説明

自動車両のルーフから水を排出する機構

本発明は、自動車両用排水機構のための装置に関するものであり、前記装置は、角度付きのプラスチック部品(1)として提供され、前記プラスチック部品(1)は、自動車両の金属シート(8)に挿入される手段(2)に接続することができる第1端部(3)と、排水管に接続することができる第2端部(5)と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機付き車両のルーフの排水装置に関するものであり、この装置を備えることにより、水を原動機付き車両のルーフから排出する機構に関するものである。本発明はまた、このような装置を製造する方法に関するものであり、最終的に、このような装置をそのようにして装着した原動機付き車両を含む。
【背景技術】
【0002】
従来より、水は原動機付き車両のルーフから、原動機付き車両のルーフの機構部材に溶接されるプレートの下に取り付けられる配管を介して排出される。このプレートは、当該配管に対応する開口部を有し、水は、車両のルーフの上面からこの開口部を通って排出され、次に、下方に当該配管を介して案内される。ルーフが側面車体部材にレーザ溶接されている場合、例えば、従来の方法で水を排出することができるルーフ溝がない大型サンルーフの場合、これまでの解決策では、補強プレートをルーフの側面部分に取り付けていた。水を排出するこの解決策によって、水が滞留し得る空間が生じてしまう。
【0003】
従って、水を原動機付き車両のルーフから排出する別の解決策が必要になる。
【発明の概要】
【0004】
従って、本発明の1つの目的は、レーザ溶接で作製されるルーフ構造を有する車両を含む非常に多くの原動機付き車両に適する原動機付き車両用排水装置を提供することにある。
【0005】
この目的のために、本発明は、原動機付き車両用排水機構から成る装置を利用し、前記装置は、屈曲プラスチック部品の形状をなし、前記屈曲プラスチック部品は、原動機付き車両のシート状金属加工パネルに嵌合する手段に接続されるように設計される第1端部と、排水管に接続されるように設計される第2端部と、を含むことを特徴とする。
【0006】
嵌合手段に接続されるように設計される前記第1端部は、前記嵌合手段の座グリ穴に挟み込まれるように設計される手段を含むことができる。前記第1端部は、ネジ切り部を含むことができる。最後に、前記第1端部は、前記装置の正しい向きを確保するための少なくとも1つの極性突起を含むことができる。
【0007】
前記プラスチック部品は、シールを収容するように設計される収納部を有することができる。
【0008】
本発明はまた、原動機付き車両用排水機構から成る装置を製造する方法に関するものであり、前記方法は、プラスチック材料を金型に射出して屈曲プラスチック部品に成形する工程を含み、前記屈曲プラスチック部品は、原動機付き車両のシート状金属加工パネルに嵌合する手段に接続されるように設計される第1端部と、排水管に接続されるように設計される第2端部と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明はまた、水を原動機付き車両のルーフから排出する機構に関するものであり、前記機構は、前記原動機付き車両の前記ルーフの開口部に嵌め込まれるように構成される嵌合手段を備え、前記機構は、屈曲プラスチック部品を備え、前記屈曲プラスチック部品は、前記嵌合手段に接続されるように設計される第1端部と、排水管に接続されるように設計される第2端部と、を含むことを特徴とする。
【0010】
前記嵌合手段は沈みナットを形成することができ、前記沈みナットによって、前記嵌合手段を、前記原動機付き車両の前記ルーフの前記開口部にブラインド嵌合することができ、前記嵌合手段は、引っ張ることによりシート状金属加工パネルに圧着するように構成される。
【0011】
本発明はまた、水を車両のルーフから排出する上に説明した機構を備える原動機付き車両に関するものである。
【0012】
本発明のこれらの目的、特徴、及び利点は、添付の図を参照しながら非限定的に提供される1つの特定の実施形態の以下の記述に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態による排水機構の模式図である。
【図2】図2は、前の図に示す機構を下から眺めた図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態による機構の分解図を示している。
【図4】図4は、組み付け後の上に示した機構の図を示している。
【図5a】図5aは、本発明の実施形態による機構から成る装置の詳細を示している。
【図5b】図5bは、本発明の実施形態による機構から成る装置の詳細を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明によれば、水は2つの主要構成部材から成る機構、すなわちプラスチック部品1を嵌合手段2と組み合わせた構成の機構によって排出される。
【0015】
嵌合手段2は、ルーフ構造内に、かつルーフの隅6の近傍に形成される開口部4に直接、略垂直位置になるように、車両構造のクロスメンバー10の直ぐ傍で嵌め込まれるように設計される。車両に大型サンルーフを搭載する場合、この開口部は、隅補強部材8に形成される。
【0016】
1つの特定の有利な実施形態では、嵌合手段2は、沈みナットにより構成することができ、この沈みナットによって、開口部4への当該嵌合手段2のブラインド嵌合が可能になる。当該嵌合手段2は、引っ張ることによりシート状金属加工パネルに圧着し、ルーフが電気泳動装置のオーブンを通過すると、当該嵌合手段2のホットメルトシールまたはガスケットが溶解し、当該シールまたはガスケットによって、嵌合手段2をボディーシェルに機械的に密閉する。
【0017】
これらの図に示す実施形態によれば、嵌合手段2は、ネジ切り部12を有する円筒形ナットから成る。別の構成として、このナットは、溝、及び溝の肩を示す他の或る形状を、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で有することができる。
【0018】
本発明の実施形態による機構は更に、プラスチック部品1を備え、このプラスチック部品1は、嵌合手段2に接続されるように構成される第1端部3と、図示されていない排水管に接続されるように構成される第2端部5と、を含む。このプラスチック部品は、所定の角度で曲がる屈曲部を形成して、原動機付き車両のルーフから延出する嵌合手段2の略垂直部分を排水管に接続する。
【0019】
例えば、ポリアミドにより作製することができるプラスチック部品の第1端部3は、挟み込み固定により、嵌合手段2の座グリ穴に接続する手段7と、嵌合手段2のネジ切り部12と螺合するネジ切り部11と、を含む。最後に、第1端部3は、極性突起9を含み、この極性突起9によって、当該第1端部は確実に、嵌合手段2に嵌め込まれるときに正しい向きになる。
【0020】
図5aに示すプラスチック部品1の第2端部5は、排水管に接続される、くい込み式管継手(olive feature)を有する。
【0021】
図5bは、この端部が、リブの外観を呈する実施形態の別の形状を示している。配管は、プラスチック部品の端部5に種々の方法、挟み込み法、接着剤接着法、超音波溶接法などにより取り付けることができる。
【0022】
プラスチック部品1は、1回の射出成形処理で、プラスチックをシングルキャビティ金型またはマルチキャビティ金型に射出成形することにより作製することができる。その後、ホットメルトシール14を、この部品に設けられる位置13に嵌め込むことができる。別の構成として、膨張する物質を金型に射出して、シール14を2ショット射出成形製造法で成形することができる。
【0023】
上に説明した解決策は、このようにして、所望の目的を満たし、次の利点をもたらす:
−当該機構は、いずれのタイプの自動車両ルーフにも適し、当該機構によって、水が滞留し得る領域を減らすことができる、
−当該機構は簡略化され、当該機構では、多数の車両に亘って標準化することができ、かつ使用することができるプラスチック部品を利用する、
−排水管をプラスチック部品に最後に取り付ける作業が極めて簡単である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両用排水機構から成る装置であって、前記装置は、屈曲プラスチック部品(1)の形状をなし、前記屈曲プラスチック部品(1)は、原動機付き車両のシート状金属加工パネル(8)に嵌合する手段(2)に接続されるように設計される第1端部(3)と、排水管に接続されるように設計される第2端部(5)と、を含むことを特徴とする、原動機付き車両用排水機構から成る装置。
【請求項2】
嵌合手段(2)に接続されるように設計される前記第1端部(3)は、前記嵌合手段(2)の座グリ穴に挟み込まれるように設計される手段(7)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の原動機付き車両用排水機構から成る装置。
【請求項3】
嵌合手段(2)に接続されるように設計される前記第1端部(3)は、ネジ切り部(11)を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項2の一項に記載の原動機付き車両用排水機構から成る装置。
【請求項4】
嵌合手段(2)に接続されるように設計される前記第1端部(3)は、前記装置の正しい向きを確保するための少なくとも1つの極性突起(9)を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3の一項に記載の原動機付き車両用排水機構から成る装置。
【請求項5】
前記プラスチック部品は、シール(14)を収容するように設計される収納部(13)を有することを特徴とする、請求項1〜請求項4の一項に記載の原動機付き車両用排水機構から成る装置。
【請求項6】
原動機付き車両用排水機構から成る装置を製造する方法であって、前記方法は、プラスチック材料を金型に射出して屈曲プラスチック部品(1)に成形する工程を含み、前記屈曲プラスチック部品(1)は、原動機付き車両のシート状金属加工パネル(8)に嵌合する手段(2)に接続されるように設計される第1端部(3)と、排水管に接続されるように設計される第2端部(5)と、を含むことを特徴とする、方法。
【請求項7】
原動機付き車両のルーフから水を排出する機構であって、前記機構は、前記原動機付き車両の前記ルーフの開口部(4)に嵌め込まれるように構成される嵌合手段(2)を備え、前記機構は、屈曲プラスチック部品(1)を備え、前記屈曲プラスチック部品(1)は、前記嵌合手段(2)に接続されるように設計される第1端部(3)と、排水管に接続されるように設計される第2端部(5)と、を含むことを特徴とする、原動機付き車両のルーフから水を排出する機構。
【請求項8】
前記嵌合手段(2)は沈みナットを形成し、前記沈みナットによって、前記嵌合手段(2)を、前記原動機付き車両の前記ルーフの前記開口部(4)にブラインド嵌合することができ、前記嵌合手段(2)は、引っ張ることによりシート状金属加工パネルに圧着するように構成されることを特徴とする、請求項7に記載の原動機付き車両のルーフから水を排出する機構。
【請求項9】
請求項7及び8のいずれかに記載の車両のルーフから水を排出する機構を備える原動機付き車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2012−501893(P2012−501893A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525591(P2011−525591)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051550
【国際公開番号】WO2010/026326
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】