説明

自動車用カムターゲットホイール

【課題】ローブ個数を増加させないで製造コスト上昇を阻止するとともに、カム搖動を認識して作動信頼度を向上させることができる自動車用カムターゲットホイールを提供する。
【解決手段】本発明は、自動車用カムターゲットホイール1に係り、カムシャフト10と、カムシャフト10の外周面に形成され、カム揺動波形の谷と山を認識することができるローブ20とを含むことを特徴とする。ここに、ローブ20の個数を増加させないので、製造コストの上昇を阻止することができるだけでなく、カム搖動を認識することができるので、作動信頼度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用カムターゲットホイールに係り、より詳しくは、カムシャフトの搖動を認識することができ作動性を向上できる自動車用カムターゲットホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、連続可変バルブタイミング(CVVT、Continuously Variable Valve Timing)が適用されたエンジンには、カムの位相を認識するためのカムターゲットホイールが設けられる。
従来の自動車用カムターゲットホイール101は、図1に示したように、カムシャフト110と、カムシャフト110の外周面に所定角度(θ’)で突出形成されたローブ120とから構成される。このとき、ローブ120の角度(θ’)は180°である。
【0003】
このような半月状のローブ120を有する従来のカムターゲットホイール101は、180°間隔(クランク基準360°)の方形波信号で位相を計算することになり、各気筒の爆発によるトルク変動及びカムシャフト110のトルク変動が気筒ごとに発生し、このようなトルク変動はカムを気筒毎の単位(180°)で周期的に搖動させる。
特に、油圧制御されるCVVTが適用された仕様では、カムシャフト110の搖動が普通180°間隔で周期的に発生し、従来の半月状のカムターゲットホイール101はクランク基準に360°の等間隔でカムシャフト110の位相を認識するため、カムの搖動を認識することができない問題点がある。
【0004】
即ち、図2に示したように、等しい運転条件で場合1と場合2において、ECUではカムターゲットホイールセンサー信号を基準にカムシャフト110が等しく制御されるものと認識しているが、実際に場合1対比場合2ではカム搖動が過多に発生するものの、半月状の形状特性によりECUではカム搖動を認識することができない問題がある。特に、カムが過多に搖動する場合、バルブの開閉時点が変化するので、エンジンの出力が低下する問題点がある。
このような問題点を解決するため、カムシャフト110の外周面にローブ120を複数個形成し、カム搖動の認識能力を向上させることもできるはずであるが、このようにローブ120を複数個形成すれば、ロジック開発及び工場ラインの変更などの大幅な変動が必要になり、製造コストが上昇する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−533592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的とするところは、ローブ個数を増加させないで製造コスト上昇を阻止するとともに、カム搖動を認識して作動信頼度を向上させることができる自動車用カムターゲットホイールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カムシャフトと、カムシャフトの外周面に形成され、カム搖動波形の谷と山を認識することができるローブとにより達成されることを特徴とする。
【0008】
前記ローブは前記カムシャフトの外周面に連続的に突出形成され、その角度は125°(180°−55°)〜145°(180°−35°)であることを特徴とする。
【0009】
前記ローブは前記カムシャフトの外周面に連続的に突出形成され、その角度は215°(180°+35°)〜235°(180°+55°)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローブの個数を増加させないので製造コストの上昇を阻止することができるだけでなく、カム搖動を認識することができるので作動信頼度を向上させることができる自動車用カムターゲットホイールが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の自動車用カムターゲットホイールの断面図である。
【図2】従来の自動車用カムターゲットホイールの問題点を説明するためのグラフである。
【図3】本発明に係る自動車用カムターゲットホイールの断面図である。
【図4】本発明に係る自動車用カムターゲットホイールによる出力状態を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して、本発明について詳しく説明する。
図3は本発明に係る自動車用カムターゲットホイールの断面図であり、図4は本発明に係る自動車用カムターゲットホイールによる出力状態を示したグラフである。
本発明に係る自動車用カムターゲットホイール1は、図3及び図4に示したように、カムシャフト10と、カムシャフト10の外周面に形成されカム揺動波形の谷と山を認識することができるローブ20とで構成される。
【0013】
このとき、ローブ20はカムシャフト10の外周面に連続的に突出形成され、その角度(θ)は125°(180°−55°)〜145°(180°−35°)である。特に、本実施例ではローブ20の角度(θ)を135°(180°−45°)にしており、このようなカムターゲットホイール1を適用してカム搖動を試した結果、図4に示したようにカム揺動波形の山と谷が正確に認識できるため、カム搖動が出力正常のときと同一水準に制御され、作動信頼度が向上する。
【0014】
さらに、本発明に係るカムターゲットホイール1の場合は、カム搖動を認識するためローブ20を複数個に構成せず一個にしているため、ロジックを変更したり工場の設備を変更する必要がないので、製造コストが上昇するのを阻止することができる利点がある。
前述の実施例におけるカムターゲットホイールでは、ローブの角度を125°(180°−55°)〜145°(180°−35°)に構成したが、215°(180°+35°)〜235°(180°+55°)にできることは勿論である。
【符号の説明】
【0015】
1:カムターゲットホイール
10:カムシャフト
20:ローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カムシャフトと、
カムシャフトの外周面に形成され、カム揺動波形の谷と山を認識することができるローブと、
を含むことを特徴とする自動車用カムターゲットホイール。
【請求項2】
前記ローブは、前記カムシャフトの外周面に連続的に突出形成され、その角度は125°(180°−55°)〜145°(180°−35°)であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用カムターゲットホイール。
【請求項3】
前記ローブは、前記カムシャフトの外周面に連続的に突出形成され、その角度は215°(180°+35°)〜235°(180°+55°)であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用カムターゲットホイール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−76394(P2013−76394A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−285176(P2011−285176)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】