説明

自動開閉機構

【課題】ヒンジ部を軸とした回転開閉動作する開閉部の自動開閉機構において、簡易構造、低騒音、低消費電力の自動開閉機構を実現する。
【解決手段】高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により伸縮動作を行う高分子アクチュエータ5a,6aと、ヒンジ部3aを軸として回転開閉動作する開閉部2aとを備え、開閉部2aが、高分子アクチュエータ5a,6aの動作の力を利用して開閉動作を行うものであり、開閉部2aの動作手段として、高分子アクチュエータ5a,6aを用いたことにより、モータおよびギア機構等を用いずに、大きな発生力を得ることができ、そのために機構の小型化、簡略化が可能となり、また高分子アクチュエータ5a,6aは、動作時に無音のため、低騒音化を可能とし、さらには動作電力が小さいため、省電力化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子アクチュエータを用いて、ドア、ダンパ等を開閉する自動開閉機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現存する回転開閉動作を行う開閉手段としては、自動車の乗降部ドア、トランク部のバックドア、冷蔵庫の冷蔵室ドア、建造物の通用ドア、様々な機器内に機能部品として存在するダンパー等があげられる。
【0003】
従来のドア開閉機構では、大半がモータを用いているが、回転系の開閉動作は、力の伝達が困難であるため、大きな発生力を必要とされる。よって、発生力を増大させるための複雑なギア機構等が必要となり、アクチュエータは大型かつ高コストにならざるを得ない。また、大消費電力、騒音等も伴い、自動開閉機構の利用は、大半が建築物や自動車といった大構造かつ高価な商品に留まっている。
【0004】
従来の自動開閉機構としては、自動車のバックドアをモータを用いて開閉するもの(例えば、特許文献1参照)や、ソレノイドによって押し出し棒を突出動作させドアを押し開けるもの(例えば、特許文献2参照)がある。
【特許文献1】実開平3−55472号公報
【特許文献2】特開2001−56176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成は、モータの動力をドアの開閉力に変換するために、ギア機構等の複雑な増幅機構を必要とし、またモータの駆動には大電力と大騒音を伴い、コスト的にも非常に高価なものとなってしまう。
【0006】
また、特許文献2に記載の構成は、ソレノイドを用いることで簡易構造のドア開放機構を実現しているが、ドアを押し開くためには大電力を必要とし、また、ドアを開くことはできるが閉じることはできない。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡易構造、低騒音、低消費電力の自動開閉機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により屈曲または伸縮動作を行う高分子アクチュエータの動作の力を利用して開閉動作を行うようにしたので、簡易構造、低騒音、低消費電力の自動開閉機構を実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、開閉部の動作手段として、高分子アクチュエータを用いたことにより、モータおよびギア機構等を用いずに、大きな発生力を得ることができ、そのために機構の小型化、簡略化が可能となり、また高分子アクチュエータは、動作時に無音のため、低騒音化を可能とし、さらには動作電力が小さいため、省電力化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の請求項1に記載の自動開閉機構の発明は、高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により屈曲または伸縮動作を行う高分子アクチュエータと、ヒンジ部を軸として回転開閉動作する開閉部とを備え、前記開閉部は、前記高分子アクチュエータの動作の力を利用して開閉動作を行うものであり、開閉部の動作手段として、高分子アクチュエータを用いたことにより、モータおよびギア機構等を用いずに、大きな発生力を得ることができ、そのために機構の小型化、簡略化が可能となり、また高分子アクチュエータは、動作時に無音のため、低騒音化を可能とし、さらには動作電力が小さいため、省電力化を実現することができる。
【0011】
請求項2に記載の自動開閉機構の発明は、高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により屈曲または伸縮動作を行う高分子アクチュエータと、前記高分子アクチュエータの動作の力を伝達する伝達部と、ヒンジ部を軸として回転開閉動作する開閉部とを備え、前記開閉部は、前記伝達部を介して前記高分子アクチュエータの屈曲または伸縮動作の力を利用して開閉動作を行うものであり、請求項1に記載の発明の作用、効果に加えて、高分子アクチュエータの動作の力を伝達する伝達部を設けたことで、高分子アクチュエータの取りつけ位置等に融通性を持たせ、屈曲または伸縮動作を離れた場所へ伝達することが可能となり、また、これらの動作を回転動作等に変換することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の自動開閉機構の発明は、高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により屈曲または伸縮動作を行う高分子アクチュエータと、前記高分子アクチュエータの動作の力を伝達する伝達部と、ヒンジ部を軸として回転開閉動作する開閉部と、前記ヒンジ部とは別の箇所に設けられた回転動作機構と、前記回転動作機構による回転動作の力を前記開閉部の押し込みおよび引き込み動作の力として伝えるアームとを備え、前記回転動作機構は、前記伝達部を介して前記高分子アクチュエータの屈曲または伸縮動作の力を利用しての回転動作を行い、前記開閉部は、前記アームを介して前記回転動作機構の回転動作の力を利用して開閉動作を行うものであり、請求項2に記載の発明の作用、効果に加えて、高分子アクチュエータの動作の力を、押し込み引き込み動作の力に変換してから、開閉部に動力を伝達するため、開閉部の開閉動作を容易に行うことができる。
【0013】
請求項4に記載の自動開閉機構の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記高分子アクチュエータが縮む動作を行う時に、前記開閉部が開動作を行うように構成したものであり、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の作用、効果に加えて、特に高分子アクチュエータの縮みの動作を用いた開閉部の開動作時に効率良く引っ張り力を伝達することができる。
【0014】
請求項5に記載の自動開閉機構の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記高分子アクチュエータが縮む動作を行う時に、前記開閉部が閉動作を行うように構成したものであり、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の作用、効果に加えて、特に高分子アクチュエータの縮みの動作を用いた開閉部の閉動作時に効率良く引っ張り力を伝達することができる。
【0015】
請求項6に記載の自動開閉機構の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明における前記高分子アクチュエータが、二つで一組の前記高分子アクチュエータであり、一方の前記高分子アクチュエータが縮む動作を行う時に他方の前記高分子アクチュエータが伸びる動作を行い、一方の前記高分子アクチュエータが伸びる動作を行う時に他方の前記高分子アクチュエータが縮む動作を行うものであり、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の作用、効果に加えて、特に高分子アクチュエータの伸縮動作を用いた開閉部の開閉動作時に効率良く伸縮力を伝達することができる。
【0016】
請求項7に記載の自動開閉機構の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明に加えて、スイッチを備え、前記スイッチの操作が行われた時に前記高分子アクチュエータに所定の電圧が印加されるように構成したものであり、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明の作用、効果に加えて、ドアの開閉動作を開始する手段として一般的に普及しているスイッチを備えたことにより、より実用性を高めた自動開閉機構とすることができる。
【0017】
請求項8に記載の自動開閉機構の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明に加えて、リモコンを備え、前記リモコンの操作が行われた時に前記高分子アクチュエータに所定の電圧が印加されるように構成したものであり、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明の作用、効果に加えて、リモコンを備えたことにより、遠隔部から自動開閉動作を行うことができる。
【0018】
請求項9に記載の自動開閉機構の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明に加えて、周囲環境の変化を検知するセンサを備え、前記センサが検知した時に前記高分子アクチュエータに所定の電圧が印加されるように構成したものであり、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明の作用、効果に加えて、周囲環境の変化を検知するセンサを備えたことにより、人体検知、温度検知、湿度検知、濃度検知等をきっかけとして自動開閉を行うことができるので、様々な製品への適用範囲を拡大できる。
【0019】
請求項10に記載の自動開閉機構の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、前記開閉部が開いた後、任意の時間が経過すると自動的に閉じるように構成したものであり、閉め忘れ等への対応を可能とする。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が閉じた状態の上面概略断面図であり、図2は本発明の実施の形態1における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が開いた状態の上面概略断面図である。
【0022】
図1および図2において、開閉部2aが取り付けられる筐体1aは、冷蔵庫の本体にあたり、開閉部2aは冷蔵庫の冷蔵室ドアに相当する。その他にも、例えば自動車の乗降部のドアやトランク部のバックドア、または各種製品に設けられたダンパー等の機能部品として構成することも考えられる。
【0023】
ヒンジ部3aは、開閉部2aの回転開閉動作の軸となり、このヒンジ部3aの回転円周上にレバー4が設けられている。外側高分子アクチュエータ5a、および内側高分子アクチュエータ6aは、筐体1aに2箇所設けられており、それぞれヒンジ部3aの外側を通る外側伝達部7a、ヒンジ部3aの内側を通る内側伝達部8aによってレバー4へと接続されている。
【0024】
外側高分子アクチュエータ5aおよび内側高分子アクチュエータ6aは、高分子もしくは高分子と金属等の複合体で構成される素材を用いたものを指し、材料自身が電気などのエネルギーによって変形するという特徴を利用したものである。
【0025】
高分子アクチュエータには、電圧の印加によって、屈曲、伸縮といった変形をするものがあり、本実施の形態では正電圧を印可すると伸びの動作を、負電圧を印可すると縮みの動作を行う高分子アクチュエータの特性を利用している。
【0026】
外側伝達部7aおよび内側伝達部8aは、それぞれ外側高分子アクチュエータ5aと内側高分子アクチュエータ6aとに接続されたワイヤー等にあたる。これらはそれぞれの高分子アクチュエータの伸縮運動の力をヒンジ部3a上に設けられたレバー4へと伝導するためのものであり、もし構造上、両高分子アクチュエータを直接レバー4へと接続することが可能であれば、あえて設ける必要はない。
【0027】
また、ヒンジ部3a上に設けられたレバー4は両高分子アクチュエータからの動作の力をヒンジ部3aの回転動作へと伝導する作用を容易に行うためのものである。特にレバー形状をとる必要はなく、ヒンジ部3aと両伝達部との接続部であると考えて良い。
【0028】
スイッチ9は、例えば開閉部2aの前面や開閉部2aの取っ手等に取り付けられたもので、このスイッチ9を操作することで開閉部2aが開閉する。
【0029】
また、リモコン10も同様に、これを操作することで遠隔部から開閉部2aを開閉することができる。
【0030】
センサ11は、例えば静電センサによるタッチセンサ、赤外線や電波センサによる人体検知センサ等が考えられる。タッチセンサであれば、これに触れたときに開閉部2aが動作し、人体検知センサであれば人が開閉部2aに接近したときに開閉部2aが開閉する、といった作用を行うことができる。
【0031】
次に本実施の形態の動作説明をする。
【0032】
開閉部2aが閉じている状態のとき、外側高分子アクチュエータ5aおよび内側高分子アクチュエータ6aには電圧がかかっておらず、伸縮運動は行っていない。特に閉じる力に大きな力が必要であれば、外側高分子アクチュエータ5aが伸び、内側高分子アクチュエータ6aに縮みの動作をさせておいても良い。
【0033】
開閉部2aを開くときには、外側高分子アクチュエータ5aは縮みの動作を、内側高分子アクチュエータ6aは伸びの動作を行う。これによりヒンジ部3aは開動作方向に作用を受け、開閉部2aは自動的に開く。
【0034】
ドアが開いている状態から開閉部2aを閉じるときには、外側高分子アクチュエータ5aは伸びの動作を、内側高分子アクチュエータ6aは縮みの動作を行う。これによりヒンジ部3aは閉動作方向に作用を受け、開閉部2aは自動的に閉じる。
【0035】
また、開閉部2aが一定時間以上開いている場合に、自動的に閉じるといった動作を行うこともできる。
【0036】
以上のように本実施の形態の自動開閉機構は、高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により伸縮動作を行う高分子アクチュエータ5a,6aと、ヒンジ部3aを軸として回転開閉動作する開閉部2aとを備え、開閉部2aが、高分子アクチュエータ5a,6aの動作の力を利用して開閉動作を行うものであり、開閉部2aの動作手段として、高分子アクチュエータ5a,6aを用いたことにより、モータおよびギア機構等を用いずに、大きな発生力を得ることができ、そのために機構の小型化、簡略化が可能となり、また高分子アクチュエータ5a,6aは、動作時に無音のため、低騒音化を可能とし、さらには動作電力が小さいため、省電力化を実現することができる。
【0037】
また、本実施の形態の自動開閉機構は、高分子アクチュエータ5a,6aの動作の力を伝達する伝達部7a,8aを備え、開閉部2aが、伝達部7a,8aを介して高分子アクチュエータ5a,6aの屈曲または伸縮動作の力を利用して開閉動作を行うものであり、高分子アクチュエータ5a,6aの動作の力を伝達する伝達部7a,8aを設けたことで、高分子アクチュエータ5a,6aの取りつけ位置等に融通性を持たせ、屈曲または伸縮動作を離れた場所へ伝達することが可能となり、また、これらの動作を回転動作等に変換することが可能となる。
【0038】
また、本実施の形態の自動開閉機構は、高分子アクチュエータ5aが縮む動作を行い、高分子アクチュエータ6aが伸びる動作を行う時に、開閉部2aが開動作を行い、高分子アクチュエータ5aが伸びる動作を行い、高分子アクチュエータ6aが縮む動作を行う時に、開閉部2aが閉動作を行うので、高分子アクチュエータ5a,6aの伸縮動作を用いた開閉部2aの開閉動作時に効率良く伸縮力を伝達することができる。
【0039】
また、本実施の形態の自動開閉機構は、スイッチ9を備え、スイッチ9の操作が行われた時に高分子アクチュエータ5a,6aに所定の電圧が印加されるように構成したものであり、ドアの開閉動作を開始する手段として一般的に普及しているスイッチ9を備えたことにより、より実用性を高めた自動開閉機構とすることができる。
【0040】
また、本実施の形態の自動開閉機構は、リモコン10を備え、リモコン10の操作が行われた時に高分子アクチュエータ5a,6aに所定の電圧が印加されるように構成したものであり、リモコン10を備えたことにより、遠隔部から自動開閉動作を行うことができる。
【0041】
また、本実施の形態の自動開閉機構は、タッチセンサや人体検知センサからなるセンサ11を備え、センサ11が検知した時に高分子アクチュエータ5a,6aに所定の電圧が印加されるように構成したものであり、例えば、冷蔵庫に被保存物を入れるとき、電波センサ等によって人の接近を検出し自動的にドアが開かれる。保存者が被保存物によって両手がふさがっている状態でもドアは自動的に開くため、被保存物を一度別の場所においてドアを開く、といった面倒な作業をする必要がない。
【0042】
また、本実施の形態の自動開閉機構は、開閉部2aが開いた後、任意の時間が経過すると自動的に閉じるように構成することも可能であり、ドアの閉め忘れ等にも対応することができる。
【0043】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が閉じた状態の上面概略断面図であり、図4は本発明の実施の形態2における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が開いた状態の上面概略断面図である。
【0044】
図3および図4において、筐体1bには、開閉部2bが取り付けられる。ヒンジ部3bは開閉部2bの回転開閉動作の軸となる。
【0045】
外側高分子アクチュエータ5bおよび内側高分子アクチュエータ6bは筐体1bから開閉部2bへと渡って設けられており、それぞれヒンジ部3bの外側および内側を通っている。
【0046】
高分子アクチュエータには電圧の印加によって屈曲、伸縮といった変形をするものがあり、本実施の形態では正電圧を印可すると正方向への屈曲動作を、負電圧を印可すると逆方向への屈曲動作を行う高分子アクチュエータの特性を利用している。
【0047】
次に本実施の形態の動作説明をする。
【0048】
開閉部2bが閉じている状態のとき、外側高分子アクチュエータ5bおよび内側高分子アクチュエータ6bは屈曲したままの状態となっている。
【0049】
開閉部2bを開くときには、外側高分子アクチュエータ5bと内側高分子アクチュエータ6bは、閉じ状態の屈曲とは逆方向への屈曲動作を行う。これにより開閉部2bは開動作方向に作用を受け自動的に開く。
【0050】
ドアが開いている状態から開閉部2bを閉じるときには、外側高分子アクチュエータ5bと内側高分子アクチュエータ6bは、開き状態の屈曲とは逆方向への屈曲動作を行う。これにより開閉部2bは閉動作方向に作用を受け自動的に閉じる。
【0051】
また、開閉部2bが一定時間以上開いている場合に、自動的に閉じるといった動作を行うこともできる。
【0052】
以上のように本実施の形態の自動開閉機構は、高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により屈曲動作を行う高分子アクチュエータ5b,6bと、ヒンジ部3bを軸として回転開閉動作する開閉部2bとを備え、開閉部2bが、高分子アクチュエータ5b,6bの動作の力を利用して開閉動作を行うものであり、開閉部2bの動作手段として、高分子アクチュエータ5b,6bを用いたことにより、モータおよびギア機構等を用いずに、大きな発生力を得ることができ、そのために機構の小型化、簡略化が可能となり、また高分子アクチュエータ5b,6bは、動作時に無音のため、低騒音化を可能とし、さらには動作電力が小さいため、省電力化を実現することができる。例えば、冷蔵庫のような家電製品ではアクチュエータを取り付けるスペースが小さく構成が困難となるが、本実施の形態の高分子アクチュエータを用いればこの課題は解決する。
【0053】
また、スイッチ9、リモコン10、センサ11等によって開閉動作を促がすことによってより実用的な自動開閉機構を実現することができる。さらに、一定時間以上開閉部2bが開いているときは自動的に閉じるといった動作を行うこともでき、ドアの閉め忘れ等にも対応することができる。
【0054】
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が閉じた状態の上面概略断面図であり、図6は本発明の実施の形態3における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が開いた状態の上面概略断面図である。
【0055】
図5および図6において、筐体1cには、開閉部2cが取り付けられる。ヒンジ部3cは開閉部2cの回転開閉動作の軸となる。
【0056】
外側高分子アクチュエータ5cおよび内側高分子アクチュエータ6cは筐体1c上に設けられ、これらと接続された外側伝達部7cと内側伝達部8cはそれぞれ回転動作機構12の外側および内側を経由している。
【0057】
高分子アクチュエータには電圧の印加によって屈曲、伸縮といった変形をするものがあり、本実施の形態では正電圧を印可すると伸びの動作を、負電圧を印可すると縮みの動作を行う高分子アクチュエータの特性を利用している。
【0058】
アーム13は回転動作機構12上で中心部からある程度の距離を置いた場所を軸として設けられ、開閉部2cへと接続されている。この回転動作機構12が正逆方向に回転動作を行うとアーム13は開閉部2cの押し出し引き込み動作を行い、これによって開閉部2cは開閉動作を行う。
【0059】
図5および図6において、アーム13は単一のロッド形状の部品として描かれているが、複数の部品と関節部とを持つ構成としても良い。
【0060】
また、本実施の形態では回転動作機構12を筐体1c上に設けているが、回転動作機構12を開閉部2c上に設け、アームを筐体1cに接続することでもこの開閉動作は成立する。
【0061】
次に本実施の形態の動作説明をする。
【0062】
開閉部2cが閉じている状態のとき、外側高分子アクチュエータ5cおよび内側高分子アクチュエータ6cには電圧がかかっておらず、伸縮運動は行っていない。特に閉じる力に大きな力が必要であれば、外側高分子アクチュエータ5cが伸び、内側高分子アクチュエータ6cに縮みの動作をさせておいても良い。
【0063】
開閉部2cを開くときには、外側高分子アクチュエータ5cは縮みの動作を、内側高分子アクチュエータ6cは伸びの動作を行う。これにより回転動作機構12は開動作方向に作用を受け、アーム13は開閉部2cを押し出す作用を行う。これによって開閉部2cは自動的に開く。
【0064】
ドアが開いている状態から開閉部2cを閉じるときには、外側高分子アクチュエータ5cは伸びの動作を、内側高分子アクチュエータ6cは縮みの動作を行う。これにより回転動作機構12は閉動作方向に作用を受け、アーム13は開閉部2cを引き込む動作を行う。これによって開閉部2cは自動的に閉じる。
【0065】
また、開閉部2cが一定時間以上開いている場合に、自動的に閉じるといった動作を行うこともできる。
【0066】
以上のように本実施の形態の自動開閉機構は、高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により伸縮動作を行う高分子アクチュエータ5c,6cと、高分子アクチュエータ5c,6cの動作の力を伝達する伝達部7c,8cと、ヒンジ部3cを軸として回転開閉動作する開閉部2cと、ヒンジ部3cとは別の箇所に設けられた回転動作機構12と、回転動作機構12による回転動作の力を開閉部2cの押し込みおよび引き込み動作の力として伝えるアーム13とを備え、回転動作機構12は、伝達部7c,8cを介して高分子アクチュエータ5c,6cの伸縮動作の力を利用しての回転動作を行い、開閉部2cは、アーム13を介して回転動作機構12の回転動作の力を利用して開閉動作を行うものであり、高分子アクチュエータ5c,6cの動作の力を、押し込み引き込み動作の力に変換してから、開閉部2cに動力を伝達するため、開閉部2cの開閉動作を容易に行うことができる。
【0067】
また、本実施の形態の自動開閉機構は、高分子アクチュエータ5cが縮む動作を行い、高分子アクチュエータ6cが伸びる動作を行う時に、開閉部2cが開動作を行い、高分子アクチュエータ5cが伸びる動作を行い、高分子アクチュエータ6cが縮む動作を行う時に、開閉部2cが閉動作を行うので、高分子アクチュエータ5c,6cの伸縮動作を用いた開閉部2cの開閉動作時に効率良く伸縮力を伝達することができる。
【0068】
また、スイッチ9、リモコン10、センサ11等によって開閉動作を促がすことによってより実用的な自動開閉機構を実現することができる。さらに、一定時間以上開閉部2cが開いているときは自動的に閉じるといった動作を行うこともでき、ドアの閉め忘れ等にも対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、簡易構造、低騒音、低消費電力の自動開閉機構を実現することができので、自動車の乗降部ドア、トランク部のバックドア、冷蔵庫の冷蔵室ドア、建造物の通用ドア、様々な機器内に機能部品として存在するダンパー等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が閉じた状態の上面概略断面図
【図2】本発明の実施の形態1における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が開いた状態の上面概略断面図
【図3】本発明の実施の形態2における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が閉じた状態の上面概略断面図
【図4】本発明の実施の形態2における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が開いた状態の上面概略断面図
【図5】本発明の実施の形態3における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が閉じた状態の上面概略断面図
【図6】本発明の実施の形態3における自動開閉機構を冷蔵庫に取り付けた場合の開閉部が開いた状態の上面概略断面図
【符号の説明】
【0071】
1a,1b,1c 筐体
2a,2b,2c 開閉部
3a,3b,3c ヒンジ部
4 レバー
5a,5b,5c 外側高分子アクチュエータ
6a,6b,6c 内側高分子アクチュエータ
7a,7c 外側伝達部
8a,8c 内側伝達部
9 スイッチ
10 リモコン
11 センサ
12 回転動作機構
13 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により屈曲または伸縮動作を行う高分子アクチュエータと、ヒンジ部を軸として回転開閉動作する開閉部とを備え、前記開閉部は、前記高分子アクチュエータの動作の力を利用して開閉動作を行うことを特徴とした自動開閉機構。
【請求項2】
高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により屈曲または伸縮動作を行う高分子アクチュエータと、前記高分子アクチュエータの動作の力を伝達する伝達部と、ヒンジ部を軸として回転開閉動作する開閉部とを備え、前記開閉部は、前記伝達部を介して前記高分子アクチュエータの屈曲または伸縮動作の力を利用して開閉動作を行うことを特徴とした自動開閉機構。
【請求項3】
高分子または高分子と金属の複合体で構成され電圧の印加により屈曲または伸縮動作を行う高分子アクチュエータと、前記高分子アクチュエータの動作の力を伝達する伝達部と、ヒンジ部を軸として回転開閉動作する開閉部と、前記ヒンジ部とは別の箇所に設けられた回転動作機構と、前記回転動作機構による回転動作の力を前記開閉部の押し込みおよび引き込み動作の力として伝えるアームとを備え、前記回転動作機構は、前記伝達部を介して前記高分子アクチュエータの屈曲または伸縮動作の力を利用しての回転動作を行い、前記開閉部は、前記アームを介して前記回転動作機構の回転動作の力を利用して開閉動作を行うことを特徴とした自動開閉機構。
【請求項4】
前記高分子アクチュエータが縮む動作を行う時に、前記開閉部が開動作を行うように構成したことを特徴とした請求項1から3のいずれか一項に記載の自動開閉機構。
【請求項5】
前記高分子アクチュエータが縮む動作を行う時に、前記開閉部が閉動作を行うように構成したことを特徴とした請求項1から3のいずれか一項に記載の自動開閉機構。
【請求項6】
前記高分子アクチュエータは、二つで一組の前記高分子アクチュエータであり、一方の前記高分子アクチュエータが縮む動作を行う時に他方の前記高分子アクチュエータが伸びる動作を行い、一方の前記高分子アクチュエータが伸びる動作を行う時に他方の前記高分子アクチュエータが縮む動作を行うことを特徴とした請求項1から3のいずれか一項に記載の自動開閉機構。
【請求項7】
スイッチを備え、前記スイッチの操作が行われた時に前記高分子アクチュエータに所定の電圧が印加されるように構成したことを特徴とした請求項1から6のいずれか一項に記載の自動開閉機構。
【請求項8】
リモコンを備え、前記リモコンの操作が行われた時に前記高分子アクチュエータに所定の電圧が印加されるように構成したことを特徴とした請求項1から7のいずれか一項に記載の自動開閉機構。
【請求項9】
周囲環境の変化を検知するセンサを備え、前記センサが検知した時に前記高分子アクチュエータに所定の電圧が印加されるように構成したことを特徴とした請求項1から8のいずれか一項に記載の自動開閉機構。
【請求項10】
前記開閉部が開いた後、任意の時間が経過すると自動的に閉じるように構成したことを特徴とした請求項1から9のいずれか一項に記載の自動開閉機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−77397(P2006−77397A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259247(P2004−259247)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】