説明

自動食器洗浄機に使用するための商品洗浄用組成物

商品洗浄用洗浄剤組成物は、洗浄剤、アルカリ源及び腐食防止剤を含む。洗浄剤は洗浄性である量の界面活性剤を含む。アルカリ源はpHが少なくとも約8である使用組成物を提供するのに有効な量が供給される。腐食防止剤はアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源を含む。亜鉛イオン源及びアルミニウムイオン源の相対量は、硬水の存在下で商品洗浄用洗浄剤組成物を使用した場合の可視的な膜形成を低減するように制御できる。商品洗浄用洗浄剤組成物の使用方法及び製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動食器洗浄機に使用するための商品洗浄用組成物、自動食器洗浄機に使用するための商品洗浄用組成物の製造方法、及び自動食器洗浄機で商品洗浄用組成物を使用する方法に関する。自動食器洗浄機は業務用及び/又は家庭用食器洗浄機であってよい。商品洗浄用組成物にはガラスの腐食を低減する腐食防止剤が含まれる。この商品洗浄用組成物を硬水環境での使用に提供できる。
【背景技術】
【0002】
自動食器洗浄機で繰り返し洗浄されるガラス製品では不可逆の表面曇りが進行する傾向がある。曇りについては、ガラス表面から反射した光の中に虹色の色調を呈する玉虫色の膜としてそれ自身が明らかとなることが多い。ガラスは繰り返し洗浄に伴い次第により不透明となる。この曇りはガラスのエッチング又は腐食の類であると考えられる。これと同じ種類の腐食は陶磁器、磁器及び陶器を含む他の商品にも見られる。
【0003】
自動食器洗浄機でのガラスの腐食は周知の現象である。D. Joubert and H. Van Daeleによる表題"Etching of Glassware in Mechanical Dishwashing", Soap and Chemical Specialities, March, 1971, pp.62, 64 and 67の論文では、様々な洗浄剤成分の影響、特にアルカリ性のものの影響について記載されている。この主題については、"The Effect of Detergents on Glassware in Domestic Dishwashers"についてのCharleroi, Belgiumでのシンポジウムで、Th. Altenschoepferによって1971年4月に発表された、題名"The Present Position of Investigations into the Behavior of Glass During Mechanical Dishwashing"の論文にも記載されている。また他にも、P. Mayauxによって同シンポジウムで発表された題名"Mechanism of Glass Attack by Chemical Agents"の論文も参照のこと。
【0004】
ガラス製品の腐食問題は2つの別々の現象に関すると考えられる。第1はケイ酸塩ネットワークの加水分解と一緒にガラス組成物自体から無機物が浸出することに起因する腐食又はエッチング、第2はガラス上へのケイ酸塩物質の堆積及び再堆積である。自動食器洗浄機で繰り返し洗浄されているガラス製品を曇った外観としうるのは、まさにこの2つの組み合わせである。洗浄の繰り返しに伴い次第により不透明となっていく玉虫色の膜として、曇りについては初期段階でそれ自身が明らかとなることが多い。
【0005】
腐食防止剤はガラスに見られるエッチング又は腐食を低減するために、自動食器洗浄用組成物に添加されている。例えば、Wegstらの米国特許第2447297号;Baconらの米国特許第2514304号;Bairdらの米国特許第4443270号;Cilleyらの米国特許第4933101号;Caravajalらの米国特許第4908148号;Beavanらの米国特許第4390441号を参照のこと。亜鉛をガラス腐食防止に使用することが開示されている。例えば、Cilleyの米国特許第4917812号;Rutkowskiの米国特許第3677820号;Knappの米国特許第3255117号;Greenの米国特許第3350318号;Baconらの米国特許第2575576号;Austinの米国特許第3755180号;Grayの米国特許第3966627号を参照のこと。アルミニウム塩を組み合わせた自動食器洗浄用洗浄剤組成物がガラス腐食を低減するために開示されている。国際公開WO96/36687;Austinらの米国特許第3701736号;Angevaareらの米国特許第5624892号;及びAngevaareらの米国特許第5624892号;並びにAngevaareらの米国特許第5598506号を参照のこと。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により商品洗浄用洗浄剤組成物が提供される。商品洗浄用洗浄剤組成物には洗浄剤、アルカリ源及び腐食防止剤が含まれてよい。洗浄剤は洗浄性である量の界面活性剤を含んでもよい。アルカリ源は、pHが少なくとも約8の使用組成物を提供するのに有効な量で供給してもよい。腐食防止剤にはアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源が含まれる。腐食防止剤は、商品洗浄用洗浄剤組成物が自動食器洗浄機でガラスを洗浄するための使用組成物として提供される場合に、ガラスの腐食を低減するのに十分な量で供給される。亜鉛イオン源及びアルミニウムイオン源の量は、使用組成物において、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比をその使用組成物を用いて洗浄したガラスの腐食を低減するのに十分なものとするために制御できる。
【0007】
ガラスの腐食は、洗浄の追加に伴って次第により曇っていくガラス表面から反射する光が虹色の色調を呈する、玉虫色の膜の外観によって特徴付けることができる。存在すると思われる腐食の一種については、沈殿物から形成されたガラス表面上の膜としてそれ自身が明らかになる。この種類の腐食は、遊離カルシウムイオンが沈殿生成に利用できる硬水の存在下で特に問題になると思われる。この種類の腐食を低減するために亜鉛イオン源及びアルミニウムイオン源の量を制御できる。例えば亜鉛イオン源及びアルミニウムイオン源の量は、使用組成物中の亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が少なくとも約2:1となるように制御できる。亜鉛イオン源のアルミニウムイオン源に対する典型的な範囲は約20:1〜約3:1であってよい。腐食防止剤の量は、使用組成物が所望水準の耐エッチング性を提供するように供給できる。使用組成物中に供給されうる腐食防止剤の典型的な量は約6ppm〜約300ppmであってよい。さらに濃縮物中に供給されうる腐食防止剤の量は約0.5質量%〜約25質量%であってよい。
【0008】
アルカリ源を含まない本発明の商品洗浄用洗浄剤組成物を提供できる。すなわち商品洗浄用洗浄剤組成物はpHが8より上又は下の使用組成物を提供できる。加えて食器洗浄機内部以外の環境で使用可能な本発明の洗浄組成物も提供される。
【0009】
商品洗浄用洗浄剤組成物を使用する方法が本発明により提供される。この方法は、水と商品洗浄用洗浄剤組成物の希釈比を少なくとも約20:1として、商品洗浄用洗浄剤組成物を水で希釈し、その使用組成物を用いて自動食器洗浄機で商品を洗浄する工程を含んでもよい。
【0010】
洗浄剤組成物を使用する方法が本発明により提供される。この方法は、水と洗浄剤組成物の希釈比を少なくとも約20:1として洗浄剤組成物を水で希釈し、その使用組成物を用いて硬い表面を洗浄する工程を含んでもよい。洗浄可能な典型的な硬い表面はガラス及びセラミックを含んでもよい。典型的なガラス表面は窓及び鏡を含む。
【0011】
商品洗浄用洗浄剤組成物の製造方法が本発明により提供される。その方法は、腐食防止剤を商品洗浄用洗浄剤組成物に添加する工程を含んでもよい。腐食防止剤は、商品洗浄用洗浄剤組成物が濃縮物の場合、及び/又は商品洗浄用洗浄剤組成物が使用組成物のときに、商品洗浄用洗浄剤組成物に添加可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、自動食器洗浄機又は商品洗浄機内で自動食器洗浄又は商品洗浄中に、ガラス製品のような物品を腐食から保護するための商品洗浄用組成物を提供する。ガラス製品の腐食はガラス表面の曇りとして検出可能である。ガラス表面から反射した光の中に虹色の色調を呈しかつ次第により曇っていく玉虫色の膜として、この曇りについては初期段階でそれ自身が明らかとなる場合がある。ガラス腐食とは一般に、ケイ酸塩ネットワークの加水分解と一緒にガラスから無機物が浸出することに起因する、ガラスのエッチングから生じるガラスの劣化、及び/又はガラス上へのケイ酸塩物質の堆積及び再堆積から生じる膜形成のことを指す。別の種類の膜形成はガラス上へのカルシウム塩の堆積から生じうると考えられる。カルシウムは、アルミニウムのようなある種の金属と相互作用し、ガラス上に膜を形成する沈殿を生じる傾向を有する場合がある。
【0013】
米国特許商標庁に2003年7月2日に出願された米国特許出願番号第10/612474号は、自動食器洗浄機で使用する商品洗浄用組成物、並びに商品洗浄用組成物を製造及び使用する方法を対象としている。本発明は、硬水存在下のガラスの腐食について改良された耐性を提供する、商品洗浄用組成物を提供することを少なくとも部分的に対象としている。米国特許出願番号第10/612474号の全体の開示を参照することにより本明細書の一部とする。
【0014】
商品洗浄用組成物は洗浄組成物と呼ばれることがあり、自動食器洗浄機又は商品洗浄機の内部以外の環境中での洗浄に使用可能である。「商品洗浄」とは商品洗浄及び食器洗浄の両方を指し、及びそれら両方を含むことを意味するものと理解されなければならない。さらに商品洗浄用組成物とは濃縮物及び使用組成物を指しうる。一般に濃縮物とは、ガラス表面と接触して、洗浄のような所望の効果をもたらす使用組成物を提供するために、水で希釈されることを意図した組成物である。
【0015】
商品洗浄用組成物は、ガラス腐食に対する耐性を示す使用組成物を提供するのに有効な量のアルミニウムイオン源及び有効な量の亜鉛イオン源を含有する腐食防止剤を含む。アルミニウムイオン源の有効量及び亜鉛イオン源の有効量は、アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源の組み合わせと等しい濃度でアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源のうち1つのみを含有することを除いて同一の組成物と比較したときに、低減したガラス腐食を示す使用組成物を提供するのに十分な量として特徴付けることができる。アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源の組み合わせは、組み合わせた量の濃度と等しい濃度でアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源のうち1つのみを含有する濃縮物から調製したことを除いて同一の他の使用組成物と比較したときに、改良された耐ガラス腐食性を示す使用組成物を提供すると見込まれる。アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源の組み合わせは、耐腐食性における改良がアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源の予期される累積的効果よりも大きい場合に、相乗的組み合わせとして特徴付けることができる。
【0016】
自動食器洗浄処理において洗浄される物品と接触する商品洗浄用組成物を、使用組成物と呼ぶことができる。使用組成物は所望水準の洗浄特性を提供する固形分濃度にて提供できる。固形分濃度とは使用組成物中の非水系成分の濃度を指す。使用組成物を提供するための希釈前の商品洗浄用組成物を、商品洗浄用組成物濃縮物又はより簡略に濃縮物と呼ぶことができる。濃縮物は液体及び固体を含む様々な形態で提供できる。当然のことながらペースト及びゲルは一種の液体と見なしうる。加えて当然のことながら、粉末、凝集物、ペレット、タブレット及びブロックはある種の固体である。
【0017】
商品洗浄用組成物は、使用組成物を供給する使用場所又は位置で水を用いて濃縮物を希釈することによって使用されると見込まれる。商品洗浄用組成物を自動食器洗浄又は商品洗浄機内で使用する多くの場合、使用場所又は位置は自動食器洗浄又は商品洗浄機の内部であることが見込まれる。商品洗浄用組成物が住宅用又は家庭用食器洗浄機内で使用される場合、その組成物は食器洗浄機の洗浄剤分室に置かれうると見込まれる。洗浄剤分室は食器洗浄機の扉の中に位置することが多い。商品洗浄用組成物は、一回投与量の商品洗浄用組成物を分室内に導入可能とする形状で供給できる。一般に一回投与量とは一回の商品洗浄用途に望ましい商品洗浄用組成物の量を指す。多くの商業用食器洗浄機又は商品洗浄機、さらにある種の住宅用又は家庭用食器洗浄機の場合、商品洗浄又は食器洗浄サイクル毎に一回投与量の組成物の放出を可能にする分室内に、大量の商品洗浄用組成物が供給されうると見込まれる。そのような分室を、商品洗浄機又は食器洗浄機の一部として備えてもよく、あるいは液体を洗浄機に供給するためのホースによって商品洗浄機又は食器洗浄機と接続される分離構造体として備えてもよい。例えば商品洗浄用組成物のブロックをホッパーに供給してもよく、水をそのブロックの表面に対してスプレーして食器洗浄機へと導入可能な液体濃縮物を供給してもよい。ホッパーを食器洗浄機の一部としてもよく、あるいは食器洗浄機から分離して備えてもよい。
【0018】
濃縮物を希釈して使用組成物を生成するのに使用される希釈水は、いろいろな場所で変化しうると見込まれる。すなわち、ある場所で入手可能な水は比較的少量の全溶解固形分を有することがある一方で、他の場所の水は「硬い」と見なされうることが見込まれる。一般に硬水は全溶解固形分(TDS)含量が200ppmを超える水であると見なされる。水の硬度はガラス腐食に影響しうる。一般に高い全溶解固形分含量の水には固形分が少量である水よりも素早くガラスを腐食する傾向がある。水の硬度については多くの方法で対処できる。例えば水は軟らかくできる。すなわちカルシウム及びマグネシウムをナトリウムと置換できる。加えて、商品洗浄用組成物にはビルダー及び/又はキレート剤が硬度を処理するのに十分な水準で含まれてもよい。水軟化剤には、場合によっては分解する及び/又は軟化効果を提供する物質が失われる傾向がある。加えてある環境では、商品洗浄用洗浄剤組成物のビルダー又はキレート容量を超える硬度の水が供給される場合がある。そのような状況においては、ガラス腐食に寄与しうる自由カルシウムイオンが利用可能となる場合があると考えられる。商品洗浄用組成物に、そのような条件下でさえガラス腐食に耐える腐食防止剤を供給してもよい。
【0019】
使用組成物の固形分含量は、使い過ぎによる商品洗浄用組成物の浪費を避けつつ、所望水準の洗浄を提供するのに十分であってよい。一般に使用組成物の固形分含量は少なくとも約0.05質量%であり、約0.05質量%〜約0.75質量%であってよいと見込まれる。使用組成物は、濃縮物の簡便な使用をもたらしかつ所望の洗浄特性を有する使用組成物が生成する希釈比で、水を用いて希釈することによって濃縮物から調製してもよい。所望の洗浄特性を有する使用組成物を提供するために、濃縮物を水と濃縮物の比が少なくとも約20:1で希釈でき、及び約20:1〜約200:1で希釈できると見込まれる。
【0020】
商品洗浄用組成物は固体状で提供できる。典型的な固体食器洗浄用組成物は、Lentschらの米国特許第6410495号、Manらの米国特許第6369021号、Weiらの米国特許第6258765号、Lentschらの米国特許第6177392号、Lentschらの米国特許第6164296号、Lentschらの米国特許第6156715号、及びLentschらの米国特許第6150624号に開示されている。これら各特許の組成物は参照することにより本明細書の一部とする。ガラスのエッチング及び膜形成について所望の低減をもたらすのに有効な量の腐食防止剤を含む商品洗浄用組成物を提供するために、これら各特許の組成物を変更してもよい。
【0021】
腐食防止剤:腐食防止剤は、腐食防止剤の無いことを除き他は同一の使用組成物のガラス腐食速度より低いガラス腐食速度を示す使用組成物を提供するのに十分な量で、商品洗浄用組成物中に含まれる。腐食防止剤とはアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源の組み合わせをいう。アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源は、商品洗浄用組成物が使用組成物の形態で供給されたときに、アルミニウムイオン及び亜鉛イオンをそれぞれ供給する。使用組成物中に正確にどのようなイオンが存在しているかは完全に明らかではない。例えば使用組成物がアルカリ性のとき、アルミニウムイオンはアルミン酸イオンとして利用可能となっている場合が見込まれる。従って当然のことながら、「アルミニウムイオン」及び「亜鉛イオン」とは金属のアルミニウム及び亜鉛をそれぞれ含むイオンを指す。「アルミニウムイオン」及び「亜鉛イオン」は、イオンとして供給されるアルミニウム元素及びイオンとして供給される亜鉛元素にそれぞれ限定されない。
【0022】
使用組成物にアルミニウムイオンを供給する任意成分をアルミニウムイオン源と呼ぶことができ、使用組成物に供給された場合に亜鉛イオンを供給する任意成分を亜鉛イオン源と呼ぶことができる。アルミニウムイオン源及び/又は亜鉛イオン源の反応によりアルミニウムイオン及び/又は亜鉛イオンを生成させる必要はない。当然のことながらアルミニウムイオンはアルミニウムイオン源と見なすことができ、亜鉛イオンは亜鉛イオン源と見なすことができる。アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源は有機塩、無機塩及びこれらの混合物として供給してもよい。典型的なアルミニウムイオン源には、アルミン酸ナトリウム、臭化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、臭素酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム亜鉛、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム及びこれらの混合物のようなアルミニウム塩が含まれる。典型的な亜鉛イオン源には、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、チオシアン酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、二クロム酸亜鉛、塩素酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、フルオケイ酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛及びこれらの混合物のような亜鉛塩が含まれる。さらに、アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源は、米国食品医薬品局により直接又は間接食品添加物と見なされた成分として選択してもよい。商品洗浄用洗浄剤組成物は食品と接触する物品を洗浄するのに使用されるため、米国食品医薬品局により直接又は間接食品添加物と見なされた成分として、アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源を選択することが望ましい場合がある。理論としては、アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源は、相互作用して洗浄される物品の表面上に沈殿するアルミニウムイオン及び亜鉛イオンをそれぞれ供給すると考えられる。加えてその沈殿は次の食器洗浄操作において引き続き除去されるまで物品に残存しうると考えられる。
【0023】
アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源は、使用組成物に供給する場合にアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源の溶解を助けてアルミニウムイオン及び亜鉛イオンを生成する形態で供給してもよい。アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源の大きさは溶解性を高めるために調節できる。例えばアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源は溶解速度を増加するのを助けるナノ粒子として供給してもよい。アルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源は大きさが約500nm未満の粒子として供給してもよい。
【0024】
アルミニウムイオン及び亜鉛イオンは使用組成物中で相互作用してガラス表面上に沈殿すると見込まれる。アルカリ性環境ではアルミン酸イオンは亜鉛イオンと相互作用してアルミン酸亜鉛を生成し、そのアルミン酸亜鉛が沈殿すると見込まれる。アルミン酸亜鉛は水に不溶性と見なされるがさほど速く沈殿しない。その結果、洗浄サイクル中にアルミン酸亜鉛の全てが沈殿するとは限らず、多くのアルミン酸亜鉛が使用組成物中に残存し、さらに使用組成物の排液の際に食器洗浄機から除去されると見込まれる。その結果、アルミン酸亜鉛の沈殿によってガラス表面上に形成される膜は人間の目に実質的に不可視なものとなりうる。当然のことながら、「人間の目に実質的に不可視」とはアルミン酸亜鉛による可視的な膜化がないことを指す。可視的な膜化とは、ガラスから反射した光の中に虹色の色調を呈する、玉虫色の膜から始まるであろう曇った外観を指す。アルミニウムイオン及び亜鉛イオンの沈殿を制御することにより、ガラス上に生成する沈殿量を制御して、人間の目に実質的に不可視であってかつ保護層として機能するガラス上の膜を提供できると見込まれる。保護層として機能することによって、アルミニウムイオン及び亜鉛イオンの沈殿によって生成した膜がガラス表面の腐食に対する耐性を付与すると見込まれる。すなわちアルカリ及びビルダー又は金属イオン封鎖剤のような使用組成物の他の成分がガラス表面を攻撃する前に保護層を攻撃しうる。保護層はアルカリ、ビルダー又は金属イオン封鎖剤が保護層を攻撃して保護層の一部を除去する場合に犠牲層として機能可能であり、さらにアルミニウムイオン及び亜鉛イオンの沈殿を制御することで保護層が再生されると考えられる。
【0025】
水中のカルシウムが腐食防止剤と相互作用してガラス表面上にかなり急速に沈殿を生じ、その結果可視的な膜となる傾向があるために、硬水の存在下でガラスを洗浄することが問題となる場合がある。可視的な膜の存在を「膜化」と呼ぶことができ、実質的に不可逆であるため一種の腐食と見なされる。当然のことながら、「実質的に不可逆」とは従来の洗浄により膜が消失不可能であることを指す。膜の一部は実験室のある種の化学物質を用いて慎重に処理することにより除去できると考えられる。食器洗浄機の場合、可視的な膜化を除去するそのような処理は非現実的と思われる。硬水中のカルシウムはアルミニウムイオンと相互作用してガラス上に沈殿する傾向がある。アルミン酸イオンの場合、カルシウムはアルミン酸イオンと反応して、比較的速く沈殿するアルミン酸カルシウムを生成すると考えられる。
【0026】
硬水は200ppm超の全溶解固形分(TDS)含分を含む水として特徴付けられることが多い。この種類の水は高固形分含有水と呼ばれることが多い。ある地方で水は400ppm超、さらには800ppm超の全溶解固形分含分を含む。溶解固形分とはカルシウム及びマグネシウムの存在を指す。硬水のこれら成分は、水の軟化によって、及び/又は商品洗浄用組成物中にビルダー及び金属イオン封鎖剤を用いることによって対処できる。水の軟化の場合、ナトリウムがカルシウム及びマグネシウムの置換に使用されることが多い。商品洗浄用組成物には、カルシウムの処理により、カルシウムがアルミニウムイオンと一緒に沈殿する傾向を軽減するために、ビルダー及び/又は金属イオン封鎖剤が含まれてもよい。アルミニウムイオンと一緒に沈殿するために使用組成物中で利用可能となっているカルシウムを「自由カルシウムイオン」と呼ぶことができ、一般に使用組成物中のキレートされていないカルシウムイオンであると見なされる。自由カルシウムイオンの量が比較的少ない場合、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比は、エッチングの無いことによって示される所望の耐腐食性をもたらす水準にできると考えられる。自由カルシウムイオンの存在は特別な懸念事項ではないために、カルシウムイオン及びアルミニウムイオンの沈殿によって生じる膜化は大して顕著なものとならないと考えられる。その結果、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの比は、米国特許商標庁に2003年7月2日に出願された米国特許出願番号第10/612474号に記載したように選択でき、参照することによりその全体を本明細書の一部とする。例として、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比は約20:1〜約1:6の範囲であってよく、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比は約15:1〜約1:2の範囲であってよい。自由カルシウムイオンが、カルシウムイオン及びアルミニウムイオンの沈殿を引き起こして可視的な膜化をもたらすのに十分な量で使用組成物中に利用可能となっている状況では、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの比は、耐エッチング性や、さらにはカルシウムイオン及びアルミニウムイオンの沈殿からの可視的な膜化に対する耐性を付与するように制御できる。例えば、使用組成物が200ppm超の自由カルシウムイオンを含有する場合、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比は2:1より大きくてもよい。典型的な範囲として、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比を約20:1〜約2:1としてもよいと考えられる。さらに亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比を約3:1より大きくしてもよく、約15:1〜約3:1の範囲としてもよい。加えて亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比を約4:1より大きくしてもよく、さらに約6:1より大きくしてもよい。当然のことながら、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの比は、耐腐食性を依然として付与できる場合は15:1、さらには20:1を超えてもよい。さらに当然のことながら、亜鉛イオン及びアルミニウムイオンの質量比に関する言及は、亜鉛イオンの亜鉛成分及びアルミニウムイオンのアルミニウム成分に基づいた質量比を指す。すなわち質量比のために決定されるのは、金属を含みうる分子全体の質量ではなく金属の質量である。例えばアルミン酸ナトリウムの場合、アルミニウムイオンの質量とはアルミン酸イオン全体ではなく分子のアルミニウム成分を指す。
【0027】
ガラスの腐食を軽減するのに有効な量の腐食防止剤を使用組成物中に供給できる。所望の腐食防止特性を得るために、使用組成物は少なくとも約6ppmの腐食防止剤を含むと見込まれる。腐食防止剤の量はアルミニウムイオン源及び亜鉛イオン源を合わせた量に基づき計算される。悪影響を伴わずに大量の腐食防止剤を使用組成物中に使用できると見込まれる。腐食防止剤濃度の増大に伴って増加した耐腐食性の付加的な効果はある点で失われ、腐食防止剤の追加は洗浄用組成物の使用コストを単に増加するものと見込まれる。200ppm超の自由カルシウムイオンを含有する使用組成物の場合、より高濃度のアルミニウムイオンを供給することは、アルミニウムイオンと一緒に沈殿するカルシウムイオンの利用可能性を増大しうることが見込まれる。従って腐食防止剤濃度の上限は可視的な膜化を回避するよう選択できる。使用組成物には腐食防止剤が約6ppm〜約300ppm含まれてもよく、腐食防止剤が約20ppm〜約200ppm含まれてもよい。使用組成物に希釈することを意図した濃縮物の場合、腐食防止剤は約0.5質量%〜約25質量%、約0.5質量%〜約15質量%、約1質量%〜約10質量%、及び約2質量%〜約5質量%の濃度で供給されると見込まれる。
【0028】
アルカリ源:本発明の商品洗浄用組成物には、基材の洗浄を向上させ、組成物の汚れ除去性能を改善するために、有効量の1種以上のアルカリ源が含まれてもよい。一般に1種以上のアルカリ源の有効量とは、pHが少なくとも約8の使用組成物を提供する量とみなすべきである。pHが約8〜約10の使用組成物の場合、それは弱アルカリ性と見なすことができ、pHが約12より大きい場合、使用組成物を苛性と見なすことができる。一般には、苛性系の使用組成物よりも安全であると見なされることを理由として、弱アルカリ性洗浄用組成物として使用組成物を提供することが望ましい。
【0029】
商品洗浄用組成物には金属炭酸塩及び/又はアルカリ金属水酸化物が含まれてもよい。使用可能な典型的な金属炭酸塩には例えば、炭酸、重炭酸、セスキ炭酸のナトリウム塩もしくはカリウム塩、又はこれらの混合物が含まれる。使用可能な典型的なアルカリ金属水酸化物には例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが含まれる。アルカリ金属水酸化物は、固体ビーズ状、水溶液に溶解した状態、又はこれらの組み合わせの状態で組成物に添加できる。アルカリ金属水酸化物は、粒径が約12〜100U.S.メッシュの範囲で混合した造粒した固体又はビーズの形状で固体として、あるいは例えば50質量%の水溶液、及び73質量%溶液として購入可能である。
【0030】
商品洗浄用組成物には、少なくとも約8のpHを有する使用組成物を提供するのに十分な量のアルカリ源が含まれてもよい。一般に濃縮物には、少なくとも約5質量%、少なくとも約10質量%又は少なくとも約15質量%の量のアルカリ源が含まれると見込まれる。濃縮物中に他の成分のための十分な余地を提供するために、アルカリ源を約60質量%未満の量で濃縮物中に供給してもよい。またアルカリ源は約30質量%未満の量で供給してもよく、さらに約20質量%未満の量で供給してもよい。商品洗浄用組成物は約8未満のpH水準で有用な使用組成物を提供できると見込まれる。そのような組成物ではアルカリ源を省くことができ、所望のpHの使用組成物を提供するために追加のpH調整剤を使用してもよい。従って当然のことながらアルカリ源は任意成分として特徴付けることができる。
【0031】
洗浄剤:商品洗浄用組成物には界面活性剤又は界面活性剤システムを含む少なくとも1種の洗浄剤が含まれてもよい。アニオン性、非イオン性、カチオン性及び両性イオン界面活性剤のような、様々な界面活性剤を商品洗浄用組成物に使用できる。当然のことながら界面活性剤は商品洗浄用組成物の任意成分であって、濃縮物から除くことが可能である。濃縮物として提供される場合の商品洗浄用組成物には、約0.5質量%〜約20質量%、約0.5質量%〜約15質量%、約1.5質量%〜約15質量%、約1質量%〜約10質量%、及び約2質量%〜約5質量%の範囲の洗浄剤が含まれてもよい。濃縮物中の界面活性剤のさらに典型的な範囲には、約0.5質量%〜約5質量%、及び約1質量%〜約3質量%が含まれる。
【0032】
使用可能な典型的な界面活性剤は多くの供給元から購入できる。界面活性剤を論ずるには、Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, Third Edition, volume 8, pages 900-912を参照のこと。商品洗浄用組成物に洗浄剤が含まれる場合、洗浄剤を所望水準の洗浄を提供するのに有効な量で供給できる。
【0033】
商品洗浄用組成物に有用なアニオン性界面活性剤には、例えば、アルキルカルボキシレート(カルボン酸塩)及びポリアルコキシカルボキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、ノニルフェノールエトキシレートカルボキシレートなどのようなカルボキシレート;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルアリールスルホネート、スルホン化脂肪酸エステルなどのようなスルホネート;硫酸化アルコール、硫酸化アルコールエトキシレート、硫酸化アルキルフェノール、アルキルスルフェート、スルホスクシネート、アルキルエーテルスルフェートなどのようなスルフェート;並びにアルキルリン酸エステルなどのようなリン酸エステルが含まれる。典型的なアニオン性界面活性剤には、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホネート、及び高級アルコールスルフェートが含まれる。
【0034】
商品洗浄用組成物に有用な非イオン性界面活性剤には、例えば界面活性剤分子の一部としてポリアルキレンオキシドポリマーを有するものが含まれる。そのような非イオン性界面活性剤には、例えば塩素−、ベンジル−、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−及び他の類似のアルキルでキャップした、高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル;アルキルポリグリコシドのようなポリアルキレンオキシドのない非イオン性物質;ソルビタン及びスクロースエステル並びにそれらのエトキシレート;アルコキシル化エチレンジアミン;アルコールエトキシレートプロポキシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールプロポキシレートエトキシレートプロポキシレート、アルコールエトキシレートブトキシレートなどのようなアルコールアルコキシレート;ノニルフェノールエトキシレート、ポリオキシエチレングリコールエーテルなど;グリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のエトキシル化及びグリコールエステルなどのようなカルボン酸エステル;ジエタノールアミン縮合物、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどのようなカルボン酸アミド;並びに商品名PLURONIC(登録商標)(BASF - Wyandotte)で購入可能なものなどのようなエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体を含むポリアルキレンオキシドブロック共重合体;さらに他の類似の非イオン性化合物が含まれる。ABIL(登録商標)B8852のようなシリコーン界面活性剤もまた使用できる。
【0035】
商品洗浄用組成物に使用可能なカチオン性界面活性剤には、C18アルキル又はアルケニル鎖を有する1級、2級及び3級モノアミン、エトキシル化アルキルアミン、エチレンジアミンのアルコキシレート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン、2−アルキル−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリンなどのようなイミダゾール類、並びに同類のもののようなアミン;例えば塩化n−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウム、塩化n−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム一水和物、塩化ジメチル−1−ナフチルメチルアンモニウムなどの塩化ナフチレン置換4級アンモニウムのような塩化アルキル4級アンモニウム界面活性剤、並びに同類のものが含まれる。カチオン性界面活性剤は消毒特性を付与するために使用できる。
【0036】
商品洗浄用組成物に使用可能な両性イオン界面活性剤には、ベタイン類、イミダゾリン類及びプロピネート類(propinates)が含まれる。商品洗浄用組成物は自動食器洗浄機又は商品洗浄機で使用することを意図しているために、界面活性剤を使用する場合に選択される界面活性剤は、食器洗浄機又は商品洗浄機内で使用したときに許容できる水準の発泡をもたらすものであってよい。当然のことながら自動食器洗浄機又は商品洗浄機に使用する商品洗浄用組成物は一般に低発泡組成物であると見なされている。
【0037】
界面活性剤は低発泡特性を提供するように選択できる。所望水準の洗浄活性を提供する低発泡界面活性剤は、大量の発泡の存在が問題となりうる食器洗浄機のような環境において有利であることが理解されよう。低発泡界面活性剤を選択することに加えて、消泡剤が泡の生成を低減するために利用可能であることも理解されよう。従って低発泡界面活性剤と見なされる界面活性剤に加えて他の界面活性剤も商品洗浄用組成物中に使用でき、発泡量は消泡剤の添加によって制御できる。
【0038】
他の添加剤:商品洗浄用組成物には、キレート及び/もしくは金属イオン封鎖剤、漂白剤、洗浄ビルダーもしくはフィラー、硬化剤もしくは溶解性調整剤、消泡剤、再付着防止剤、限界剤(threshold agent)、安定剤、分散剤、酵素、美観向上剤(aesthetic enhancing agent)(すなわち色素、香料)などのような従来の添加剤を含む他の添加剤が含まれてもよい。補助及び他の添加成分は製造する組成物の種類によって様々である。当然のことながらこれら添加剤は任意のものであって洗浄組成物に含まれる必要はない。これらが含まれる場合、その特定種類の成分の有効性を提供する量でこれらが含まれてもよい。
【0039】
商品洗浄用組成物には、アミノカルボン酸、縮合リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリアクリル酸塩などのようなキレート及び/又は金属イオン封鎖剤が含まれてもよい。一般にキレート剤は自然水中に一般に見られる金属イオンと配位(すなわち結合)可能な分子であって、その金属イオンが洗浄組成物の他の洗浄成分の作用を邪魔することを防ぐ。概してキレート及び/又は金属イオン封鎖剤は一種のビルダーであると一般に言える。またキレート及び/又は金属イオン封鎖剤は有効量含まれる場合に限界剤としても作用する。濃縮物にはキレート及び/又は金属イオン封鎖剤が約0.1質量%〜約70質量%、約5質量%〜約60質量%、約5質量%〜約50質量%、及び約10質量%〜約40質量%含まれてもよい。
【0040】
典型的なアミノカルボン酸には例えば、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチル−エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)などが含まれる。
【0041】
縮合リン酸塩の例には、オルトリン酸ナトリウム及びカリウム、ピロリン酸ナトリウム及びカリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどが含まれる。また縮合リン酸塩は、組成物中に存在する自由水を水和物水として固定することにより、ある限られた範囲で組成物の固化を助ける。
【0042】
組成物には、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸 CH3C(OH)[PO(OH)22(HEDP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸) N[CH2PO(OH)23、アミノトリ(メチレンホスホン酸)のナトリウム塩
【化1】

、2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸) HOCH2CH2N[CH2PO(OH)22、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸) (HO)2POCH2N[CH2CH2N[CH2PO(OH)222、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)のナトリウム塩 C9(28-x)3Nax155(x=7)、ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホン酸)のカリウム塩 C10(28-x)2x124(x=6)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸) (HO)2POCH2N[(CH26N[CH2PO(OH)222、及び亜リン酸 H3PO3のようなホスホン酸塩が含まれてもよい。典型的なホスホン酸塩はHEDP、ATMP及びDTPMPである。中和したもしくはアルカリ性のホスホン酸塩、又はホスホン酸塩を添加したときに中和反応により生成する熱もしくは気体がほとんどもしくは全くないように、混合物に添加する前にホスホン酸塩をアルカリ源と組み合わせたものが好ましい。ホスホン酸塩には有機ホスホン酸のカリウム塩(ホスホン酸カリウム)が含まれてもよい。ホスホン酸物質のカリウム塩は、固体洗浄剤の製造中にホスホン酸を水酸化カリウム水溶液で中和することにより生成可能である。ホスホン酸の金属イオン封鎖剤を適当な比率で水酸化カリウム溶液と合わせて、化学量論量の水酸化カリウムを供給し、ホスホン酸を中和してもよい。濃度が約1〜約50質量%の水酸化カリウムを使用できる。ホスホン酸は水系媒体に溶解又は懸濁してもよく、その後水酸化カリウムを中和目的でそのホスホン酸に添加してもよい。
【0043】
水質調節ポリマーをビルダーの形で使用してもよい。典型的な水質調節ポリマーにはポリカルボキシレートが含まれる。ビルダー及び/又は水質調節ポリマーとして使用可能な典型的なポリカルボキシレートにはペンダントカルボキシレート基(−CO2-)を有するものが含まれ、例えばポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィン共重合体、アクリル酸/マレイン酸共重合体、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド−メタクリルアミド共重合体、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体などが含まれる。キレート剤及び/又は金属イオン封鎖剤のこれ以上の議論は、Kirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, Third Edition, volume 5, pages 339-366及びvolume 23, pages 319-320を参照のこと。この開示を参照することにより本明細書の一部とする。濃縮物には水質調節ポリマーが約0.1質量%〜約5質量%、及び約0.2質量%〜約2質量%の量で含まれてもよい。
【0044】
基材を明るく又は白くするために洗浄組成物で使用される漂白剤には、洗浄処理中に通常直面する条件下でCl2、Br2、−OCl-、及び/又は−OBr-のような活性ハロゲン種を遊離させることが可能な漂白化合物が含まれる。本発明の洗浄組成物での使用に適した漂白剤には、例えば塩素、次亜塩素酸塩、クロラミンのような塩素含有化合物が含まれる。典型的なハロゲン放出化合物には、ジクロロイソシアヌレートのアルカリ金属塩、塩素化リン酸三ナトリウム塩、次亜塩素酸アルカリ金属塩、モノクロラミン及びジクロラミンなどが含まれる。また組成物中の塩素源の安定性を高めるため、封入された塩素源も使用可能である(例えば米国特許第4618914号及び第4830773号を参照、これら開示を参照することにより本明細書の一部とする)。また漂白剤は、テトラアセチルエチレンジアミンのような活性剤があろうとなかろうと、過酸化水素、過ホウ素酸塩、過炭酸ナトリウム(sodium carbonate peroxyhydrate)、過リン酸塩(phosphate peroxyhydrate)、モノ過硫酸カリウム(potassium permonosulfate)、並びに過ホウ素酸ナトリウム一及び四水和物などのような過酸素又は活性酸素源であってもよい。組成物には有効量の漂白剤が含まれてもよい。濃縮物が漂白剤を含む場合、漂白剤を約0.1質量%〜約60質量%、約1質量%〜約20質量%、約3質量%〜約8質量%、及び約3質量%〜約6質量%の量で含んでもよい。
【0045】
組成物には、それ自体は洗浄剤として機能しないが洗浄剤と協働して組成物の総合的な洗浄能力を向上させる、有効量の洗浄フィラーが含まれてもよい。本発明の洗浄組成物での使用に適した洗浄フィラーの例には、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、でんぷん、糖類、プロピレングリコールのようなC1−C10アルキレングリコールなどが含まれる。濃縮物が洗浄フィラーを含む場合、洗浄フィラーを約1質量%〜約20質量%、及び約3質量%〜約15質量%の量で含んでもよい。
【0046】
泡の安定性を低下させる消泡剤もまた、発泡を低減するために組成物中に含まれてもよい。濃縮物が消泡剤を含む場合、消泡剤は約0.01質量%〜約3質量%の量で供給されてもよい。
【0047】
組成物に使用可能な消泡剤の例には、Pluranic N−3の名前で入手可能なもののようなエチレンオキシド/プロピレンブロック共重合体、ポリジメチルシロキサン中に分散したシリカ、ポリジメチルシロキサン及びAbil B9952の名前で入手可能なもののような官能基化ポリジメチルシロキサンのようなシリコーン化合物、脂肪酸アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪酸石けん、エトキシレート、鉱物油、ポリエチレングリコールエステル、リン酸モノステアリルのようなアルキルリン酸エステルなどが含まれる。消泡剤の議論は、例えばMartinらの米国特許第3048548号、Brunelleらの米国特許第3334147号及びRueらの米国特許第3442242号に見出すことができ、これら開示を参照することにより本明細書の一部とする。
【0048】
洗浄溶液中の汚れを持続的に懸濁することを促進し、かつ除去した汚れが洗浄される基材上に再付着することを防ぐ、再付着防止剤が組成物に含まれてもよい。適した再付着防止剤の例には、脂肪酸アミド、フルオロカーボン界面活性剤、複合リン酸エステル、スチレンマレイン酸無水物共重合体、及びヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのようなセルロース誘導体が含まれる。濃縮物が再付着防止剤を含む場合、再付着防止剤を約0.5質量%〜約10質量%、及び約1質量%〜約5質量%の量で含んでもよい。
【0049】
使用可能な安定剤には、1級脂肪族アミン、ベタイン類、ホウ酸塩、カルシウムイオン、クエン酸ナトリウム、クエン酸、ギ酸ナトリウム、グリセリン、マレオン酸(maleonic acid)、有機二塩基酸、ポリオール、プロピレングリコール及びこれら混合物が含まれる。濃縮物が安定剤を含む必要はないが、濃縮物が安定剤を含む場合は所望水準の安定性を濃縮物にもたらす量で含んでもよい。安定剤の典型的な範囲には、約0〜約20質量%、約0.5質量%〜約15質量%、及び約2質量%〜約10質量%が含まれる。
【0050】
組成物に使用可能な分散剤には、マレイン酸/オレフィン共重合体、ポリアクリル酸及びこれら混合物が含まれる。濃縮物が分散剤を含む必要はないが、分散剤が含まれる場合は所望の分散特性をもたらす量で含んでもよい。濃縮物中の分散剤の典型的な範囲は、約0〜約20質量%、約0.5質量%〜約15質量%、及び約2質量%〜約9質量%であってよい。
【0051】
組成物が含んでもよい酵素には、デンプン及び/又はタンパク質のしみの除去を助ける酵素が含まれる。典型的な種類の酵素には、プロテアーゼ、α−アミラーゼ及びこれら混合物が含まれる。使用可能な典型的なプロテアーゼには、Bacillus licheniformix、Bacillus lenus、Bacillus alcalophilus、及びBacillus amyloliquefacinsに由来するものが含まれる。典型的なα−アミラーゼには、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaceins、及びBacillus licheniformisが含まれる。濃縮物が酵素を含む必要はない。濃縮物が酵素を含む場合は、商品洗浄用組成物が使用組成物として供給されたときに所望の酵素活性をもたらす量で含んでもよい。濃縮物中の酵素の典型的な範囲には、約0〜約15質量%、約0.5質量%〜約10質量%、及び約1質量%〜約5質量%が含まれる。
【0052】
金属保護を提供するため商品洗浄用組成物中にケイ酸塩が含まれてもよい。ケイ酸塩はアルカリ性及び再付着防止剤としての付加的な機能を提供することがさらに知られている。典型的なケイ酸塩にはケイ酸ナトリウム及びケイ酸カリウムが含まれる。商品洗浄用組成物はケイ酸塩なしで提供してもよいが、ケイ酸塩が含まれる場合、所望の金属保護をもたらす量で含まれてもよい。濃縮物にはケイ酸塩が少なくとも約1質量%、少なくとも約5質量%、少なくとも約10質量%、及び少なくとも約15質量%の量で含まれてもよい。さらに濃縮物において他の成分に十分な余地を与えるために、ケイ酸塩成分は、約35質量%未満、約25質量%未満、約20質量%未満、及び約15質量%未満の量で供給してもよい。
【0053】
濃縮物が水を含んでもよい。一般に水は処理助剤として存在してもよく、除去されていてもよく、あるいは水和水となってもよいと見込まれる。水は液体濃縮物中及び固体濃縮物中の両方に存在してもよいと見込まれる。液体濃縮物の場合、水は約5質量%〜約60質量%、約10質量%〜約35質量%、及び約15質量%〜約25質量%の範囲で存在すると見込まれる。固体濃縮物の場合、水は約0質量%〜約10質量%、約0.1質量%〜約10質量%、約1質量%〜約5質量%、及び約2質量%〜約3質量%の範囲で存在すると見込まれる。加えて当然のことながら、水を脱イオン水として又は軟水として供給してもよい。
【0054】
様々な色素、香料を含む着臭剤、及び他の美観向上剤が組成物に含まれてもよい。組成物の外観を変えるために色素を含んでもよく、例えば、Direct Blue 86(Miles)、Fastusol Blue(Mobay Chemical Corp.)、Acid Orange 7(American Cyanamid)、Basic Violet 10(Sandoz)、Acid Yellow 23(GAF)、Acid Yellow 17(Sigma Chemical)、Sap Green(Keystone Analine and Chemical)、Mitanil Yellow(Keystone Analine and Chemical)、Acid Blue 9(Hilton Davis)、Sandolan Blue/Acid Blue 182(Sandoz)、Hisol Fast Red(Capitol Color and Chemical)、Fluorescein(Capitol Color and Chemical)、Acid Green 25(Ciba-Geigy)などである。
【0055】
組成物に含まれてもよい香料又は香水には、例えばシトロネロールのようなテルペノイド、アミル桂皮アルデヒドのようなアルデヒド、C1S−ジャスミン又はジャスマルのようなジャスミン、バニリンなどが含まれる。
【0056】
濃縮物を生成するために使用する成分に、水のような水系媒体を加工助剤として含んでもよい。水系媒体は、加工に望ましい粘度を組成物に付与することに役立つと見込まれる。加えて濃縮物を固体として生成するのが望ましい場合、水系媒体は固化処理に役立つ場合があると見込まれる。濃縮物が固体として提供される場合、ブロック又はペレット状で供給してもよい。ブロックの大きさは少なくとも約5グラムであって、約50グラムより大きいものも含まれうると見込まれる。濃縮物は水を約1質量%〜約50質量%、及び約2質量%〜約40質量%の量で含むと見込まれる。
【0057】
濃縮物を生成するために処理する成分がブロックへと加工される場合、その成分は押出技術又はキャスト技術によって加工できると見込まれる。一般に押出技術によって成分を加工する場合、キャスト技術と比較して比較的少量の水が加工助剤として組成物に含まれてもよいと考えられる。一般に固体を押出によって調製する場合、組成物は約2質量%〜約10質量%の水を含んでもよいと見込まれる。固体をキャストによって調製する場合、水の量は約20質量%〜約40質量%でよいと見込まれる。
【0058】
商品洗浄用組成物の配合:商品洗浄用洗浄剤組成物は、所定の環境で想定される腐食に対処するように配合できる。すなわち腐食防止剤濃度は、例えば水の硬度、食品汚れ濃度、アルカリ度及びビルダー濃度を含む、使用場所におけるいくつかの因子に応じて調節できる。各腐食防止剤の濃度がガラス腐食に効果を及ぼしうると見込まれる。機械式の商品洗浄用途では、約25グラム/ガロン以上の食品汚れ濃度は高いと見なされ、約15〜約24グラム/ガロンの濃度は中程度と見なされ、約14グラム/ガロン以下の濃度は低いと見なされる。15グレイン/ガロン以上を示す水の硬度は高いと見なされ、約6〜約14グレイン/ガロンは中程度と見なされ、約5グレイン/ガロン以下は低いと見なされる。使用組成物において、約300ppm以上のアルカリ度は高いと見なされ、約200ppm〜約300ppmのアルカリ度は中程度と見なされ、約200ppm以下のアルカリ度は低いと見なされる。使用組成物において、約300ppm以上のビルダー濃度は高いと見なされ、約150ppm〜約300ppmのビルダー濃度は中程度と見なされ、150ppm以下のビルダー濃度は低いと見なされる。
【0059】
想定した使用条件に基づき、商品洗浄用洗浄剤組成物は所望水準の耐腐食性及び/又は耐エッチング性を提供するように配合できる。使用場所で想定される水の硬度、食品汚れ濃度、アルカリ度及びビルダー濃度の知見に基づき、洗浄剤組成物は図1を参照することにより十分な量の腐食防止剤を用いて配合できる。図1に示した値は使用組成物に供給される腐食防止剤濃度を表したものである。
【0060】
洗浄剤組成物を配合又は製造する場合、使用場所にて想定される水準の水の硬度、食品汚れ濃度、アルカリ度及びビルダー濃度に基づいて腐食防止剤の量を規定できる。所望水準の耐腐食性及び/又は耐エッチング性を提供するため、使用組成物中の腐食防止剤の量を次式に基づいて規定できる。
【0061】
使用組成物中の腐食防止剤(ppm)>[{アルカリ度(ppm)+ビルダー(ppm)}/{硬度(グレイン/ガロン)+食品汚れ(グラム/ガロン)}]+[{アルカリ度(ppm)+ビルダー(ppm)−200}/20]+10
【0062】
使用組成物中の腐食防止剤の望ましい最少濃度に基づき、使用組成物中の固形分含量を知ることによって濃縮物中の腐食防止剤量を計算でき、濃縮物は少なくとも所望水準の腐食保護を提供するように配合できる。
【0063】
濃縮物の生成:成分を混合し、かつ押出又はキャストしてペレット又はブロックのような固体に成形できる。混合物の加工を容易にするために外部源から熱を与えてもよい。
【0064】
混合システムにより高せん断力で成分が連続的に混合されて、ほぼ均一な液体又は成分がその塊全体に分布している半固体混合物が生成する。混合システムには、成分を混合して、処理中の粘度が約1000〜1000000cP、好ましくは約50000〜200000cPの、流動性を有するちょう度に混合物を維持するのに有効なせん断を与える手段が含まれる。混合システムは連続フローミキサー、又は単軸もしくは2軸スクリュー押出装置であってよい。
【0065】
混合物は、約20〜80度、及び約25〜55℃の周囲温度のような、成分の物理的及び化学的安定性を維持する温度で処理してもよい。限られた外部熱を混合物に与えてもよいが、混合により到達する温度は、摩擦や周囲条件の差異に起因して及び/又は成分間の発熱反応によって処理中に上昇する場合がある。必要に応じて、例えば混合システムの入口又は出口にて混合物の温度を上昇させてもよい。
【0066】
成分は液体状又は乾燥粒子のような固体状であってよく、独立して混合物に添加してもよく、あるいは他の成分との、例えば洗浄剤、水系媒体、及び第2の洗浄剤、洗浄補助剤もしくは他の添加剤のような追加の成分、二次硬化剤などとの予備混合物の一部として混合物に添加してもよい。1以上の予備混合物を混合物に添加してもよい。
【0067】
成分は混合されて、その成分が塊全体にほぼ一様に分布した、ほぼ均一なちょう度を生ずる。混合物はダイ又は他の形状加工手段を用いて混合システムから排出してもよい。形状化した押出物は質量を制御して有用な大きさへと分割してもよい。押し出された固体はフィルム中に包装してもよい。混合システムから排出されるときの混合物の温度は、最初に混合物を冷却せずに、混合物を包装システム内に直接キャスト又は押出可能にするほど十分な低くてもよい。押出排出及び包装間の時間は、さらなる処理及び包装中により良好に取り扱うために洗浄剤ブロックが固化可能であるように調節できる。排出点での混合物は約20〜90℃、及び約25〜55℃であってよい。組成物は、低密度、スポンジ状で展性のあるコーキング的なちょう度から、高密度、溶融した固体で、コンクリート状のブロックに至る範囲であってよい、固体形状に固化可能であってもよい。
【0068】
必要に応じて、加熱及び冷却装置を混合装置に隣接して設け、混合機中で所望の温度プロファイルを得るために熱を付与又は除去してもよい。例えば外部熱源を、原料入口部分、最終出口部分などのような混合機における1つ以上のバレル部分に付与して、処理中の混合物の流動性を増大してもよい。好ましくは排出口での温度を含む、処理中の混合物の温度は、好ましくは約20〜90℃に維持されている。
【0069】
成分の処理が完了した時点で、排出ダイを通して混合物を混合機から排出してもよい。E型の水和結合剤(E-form hydrate binder)を生成する成分の化学反応に起因して、組成物は最終的に固化する。固化処理は、例えばキャスト又は押出組成物の大きさ、組成物の成分、組成物の温度、及び他の同様の因子に応じて、数分から約6時間にわたって続けてもよい。好ましくはキャスト又は押出組成物は、約1分〜約3時間以内、好ましくは約1分〜約2時間以内、好ましくは約1分〜約20分以内に、固体状に「セットアップ(set up)」または固化し始める。
【0070】
濃縮物を液体状で提供してもよい。様々な液体状態にはゲル及びペーストが含まれる。当然のことながら濃縮物が液体状で提供される場合、組成物を固化させて固体を形成する必要はない。実際は、組成物中の水の量は固化を避けるのに十分であると見込まれる。また成分の所望の分布を維持するために、分散剤及び他の成分を濃縮物に組み入れてもよい。
【0071】
包装容器又はコンテナは剛直又は柔軟であってよく、例えばガラス、金属、プラスチックフィルムもしくはシート、ボール紙、複合ボール紙、紙などの、本発明に従って製造された組成物を包むのに適した任意の材料から構成されていてよい。有利には組成物は周囲温度にて又はその近辺で処理されるため、処理した混合物の温度は、材料に構造的なダメージを与えずにコンテナ又は他の包装システムに直接混合物をキャスト又は押出できるほど十分に低い。その結果、溶融条件下で処理し排出される組成物に使用されていたものより、幅広い種類の材料を使用してコンテナを製造できる。組成物を包むのに使用される好ましい包装は柔軟で容易に開くことのできるフィルム材料から製造される。
【0072】
包装材料を水溶性包装フィルムのような水溶性包装材料としてもよい。典型的な水溶性包装フィルムは、米国特許第6503879号、第6228825号、第6303553号、第6475977号及び第6632785号に開示されており、これら開示を参照することにより本明細書の一部とする。濃縮物を包装するのに使用可能な包装材料を提供できる、典型的な水溶性ポリマーにはポリビニルアルコールが含まれる。包装された濃縮物は単位投与量包装又は複数回投与量包装として供給できる。単位投与量包装の場合、食器洗浄機の洗浄剤分室のような食器洗浄機内に一個の包装された単位が置かれ、それが一回の洗浄サイクル中に使い尽くされると見込まれる。複数回投与量包装の場合、その単位がホッパー内に置かれ、水流が濃縮物表面を分解して、食器洗浄機内に導入される液体濃縮物が供給されると見込まれる。
【0073】
本発明で使用できる適当な水溶性ポリマーは、Davidson and Sittig, Water Soluble Resins, Van Nostrand Reinhold Company, New York (1968)に記載されており、参照することにより本明細書の一部とする。水溶性ポリマーは、機械的取り扱いを許容するため強度及び柔軟性のような適切な特性を備えていなければならない。好ましい水溶性ポリマーには、ポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル−マレイン酸無水物、ポリマレイン酸無水物、スチレンマレイン酸無水物、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、アクリルアミド共重合体、グアーガム、カゼイン、一連のエチレン−マレイン酸無水物樹脂、ポリエチレンイミン、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースが含まれる。より低分子量の水溶性ポリビニルアルコールフィルムを形成するポリマーが一般に好ましい。使用可能なポリビニルアルコールには、重量平均分子量が約1000〜約300000、及び約2000〜約150000、さらには約3000〜約100000のものが含まれる。
【0074】
本発明に従って作られた洗浄組成物は、米国特許第4826661号、第4690305号、第4687121号、第4426362号、並びに米国再発行特許第32763号及び第32818号に開示されているようなスプレー式ディスペンサから分配される。これら開示は参照することにより本明細書の一部とする。簡潔には、スプレー式ディスペンサは、水のスプレーを固体組成物の露出面上にぶつけて組成物の一部を溶解し、その後速やかに組成物を含む濃厚溶液をディスペンサから出て貯蔵容器へと導くか、あるいは直接使用場所に導くことにより機能する。使用時には製品を包装(例えば)フィルムから取り除いてもよく、それをディスペンサ内に挿入する。水のスプレーを固体の洗浄剤形状に適合した形状のノズルで作ってもよい。またディスペンサ筐体を、間違った洗浄剤の導入及び分配を防ぐ分配システムにおいて、洗浄剤形状に厳密に適合させてもよい。
【0075】
自動食器洗浄機において物品を洗浄するための商品洗浄用組成物の背景について本発明を説明したが、当然のことながら商品洗浄用組成物は商品以外の物品の洗浄にも使用できる。すなわち商品洗浄用組成物とは洗浄組成物を指してもよく、様々な物品、特に腐食及び/又はエッチングを受けるであろう物品を洗浄するために使用できる。当然のことながら、自動食器洗浄機での使用を意図したために商品洗浄用組成物に含まれうるある種の成分が、自動食器洗浄機での使用を意図しない洗浄組成物から除外されてもよく、その反対も可能である。例えば、かなりの泡を作る傾向がある界面活性剤を、自動食器洗浄機での使用を意図しない洗浄組成物に使用することが可能である。ガラス腐食を低減する腐食防止剤を含む洗浄組成物の用途には硬い表面の洗浄が含まれる。典型的な硬い表面にはガラス及び/又はセラミックを含むものが含まれる。典型的な表面には窓及び鏡が含まれる。当然のことながらそのような洗浄用組成物については、自動車にガラスが存在するため自動車洗浄産業に用途を見出すことができる。
【0076】
商品洗浄用組成物は固体及び液体を含む様々な形態で提供できる。固体状で提供される場合、商品洗浄用組成物は粉末、顆粒、ペレット、タブレット、ブロック、キャストした固体及び押出した固体の形態で提供できる。例として、ペレットの大きさは直径約1mm〜約10mmであってよく、タブレットの大きさは直径約1mm〜約10mmであってよく、またタブレットの大きさは直径約1cm〜約10cmであってよく、ブロックの大きさは直径が少なくとも約10cmであってよい。液体状で提供される場合、商品洗浄用組成物はゲル又はペーストとして提供できる。ゲル又はペーストとして提供される場合の商品洗浄用組成物の成分の典型的な範囲を表1に示す。固体として提供される場合の商品洗浄用組成物の成分の典型的な範囲を表2に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
様々な形態の商品洗浄用組成物の濃縮物は水溶性包装フィルムに入れて提供できる。すなわち固体及び液体を水溶性フィルムに入れて包装できる。水溶性フィルムで包装できる典型的な固体には、粉末、ペレット、タブレット及びブロックが含まれる。水溶性フィルムで包装できる典型的な液体にはゲル及びペーストが含まれる。
【0080】
上述の詳細な説明は本発明の幅広い範囲を理解するための基礎を提供するものである。以下の例及び試験データは本発明のある特定の実施態様の理解を提供する。この例は上記記載で述べられた本発明の範囲を限定することを意図していない。本発明の概念の範囲内での変形は当業者にとって明らかである。
【実施例】
【0081】
例1:次の例は、いくつかの商品洗浄用組成物に基づき、リビーガラスから作られたガラス製品のエッチングを比較するために行った。入手したガラス製品は未使用で箱から出したばかりのものだった。1つのガラスを1つの試験に使用した。サンプルを保持するのに使用した容器は、ふたに紙の裏地のない石英プラスチック容器だった。
【0082】
次の手順に従った。
1.皮脂がガラス製品に接触するのを防ぐため、ガラス洗浄前に手袋を着用する。
2.埃及び油を除去するため、中性pHの液体食器洗浄剤(Ecolab Inc.から「Express」の名前で入手可能な鍋フライパン用洗浄剤)を用いてガラス製品を完全にこすり洗いし、空気乾燥する。
3.埃を除去するため全てのプラスチック容器を蒸留水ですすぎ、空気乾燥する。
4.洗浄剤溶液を調製する。
5.各プラスチック容器に1つのガラスを置き、溶液をプラスチック容器に注いで確実にガラスを完全に覆う。容器にふたを置いて溶液の名前を記す。
6.各溶液20mLを1オンスのプラスチック瓶に注いで名前を記す。
7.プラスチック容器を撹拌している水浴に置く。水浴の温度を160°Fに制御する。
8.試験時間全体を通して水浴を補充するために水分配機構を据え付ける。
9.48時間毎に20mLの溶液サンプルを収集し、1オンスのプラスチック瓶に入れる。
10.試験が完了したらカルシウム及びケイ素含量についてサンプルを分析する。
【0083】
ガラス腐食を測定し腐食防止剤の保護効果を示すために、洗浄剤溶液に暴露したガラス製品から除去された成分の割合を測定した。数日間にわたって洗浄剤溶液サンプル中のケイ素元素及びカルシウム元素の濃度変化を分析的に測定した。一般のソーダ石灰ガラスにはケイ素酸化物、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムが含まれる。洗浄ビルダーがカルシウムと錯体を形成しうることは周知なため、試験溶液中に存在するカルシウムを測定して、洗浄ビルダーがガラス表面からのカルシウム除去を加速して、腐食過程に寄与しているかどうかを決定した。ガラス試験サンプルは昇温した洗浄剤溶液中に沈めた。ポリエチレン瓶を溶液の収納に使用したので、注目していた元素の唯一の供給源はガラス試験サンプルであった。
【0084】
表3には炭酸ナトリウム系洗浄剤溶液中のアルミン酸ナトリウム及び塩化亜鉛の防止効果を記す。基本組成物1の組成を表4に記す。
【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
腐食防止剤が存在しない場合、溶液中のシリカ及びカルシウム濃度は、材料がガラス表面から除去されるにつれて経時で増加する。腐食防止剤が存在する場合でもシリカ及びカルシウム濃度は増加するが、劇的に低い速度である。
【0088】
この試験では、洗浄剤溶液中にアルミン酸ナトリウム及び塩化亜鉛の両方が存在するとガラスから除去されるシリカ及びカルシウムの比率が低下することが示された。アルミン酸ナトリウム及び塩化亜鉛の組み合わせは、等濃度のいずれか一方のみよりも腐食速度をより減少させた。
【0089】
例2:苛性洗浄剤溶液中のアルミン酸ナトリウム及び塩化亜鉛の腐食防止効果を表5に記す。洗浄剤溶液を作るのに使用した基本組成物2の組成を表6に記す。
【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
例3:ガラス腐食における水の硬度及び苛性系洗浄剤組成物の効果を表7に記す。水の硬度は単位gpg(グレイン/ガロン)で記し、1グレインは炭酸カルシウムで表した時の水の硬度17.1ppmと等しい。基本組成物3の組成を表8に記す。
【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
例4:ガラス腐食における食品汚れ及び苛性系洗浄剤組成物の効果を表9に記す。与えた食品汚れは試験溶液中2質量%のビーフシチューの汚れであった。基本組成物4の組成を表10に記す。
【0096】
【表9】

【0097】
【表10】

【0098】
例5:炭酸ナトリウム系洗浄剤組成物中の腐食防止剤の腐食防止効果を表11に記す。
【0099】
【表11】

【0100】
例6:ガラス腐食における食品汚れ及び炭酸ナトリウム系洗浄剤組成物の効果を表12に記す。食品汚れは試験溶液中2質量%のオートミールの汚れである。
【0101】
【表12】

【0102】
例7:水の硬度及び炭酸ナトリウム系洗浄剤組成物の効果を表13に記す。
【0103】
【表13】

【0104】
例8:腐食防止剤及び非リン酸塩のNTA系洗浄剤組成物の腐食防止効果を表14に記す。
【0105】
【表14】

【0106】
例9:濃縮物中の腐食防止剤量の効果を表15に記す。表15のデータはグラフで図2及び3に示してある。
【0107】
【表15】

【0108】
例10:典型的な商品洗浄用組成物を表16に規定する。
【0109】
【表16】

【0110】
組成物は、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸及び脱イオン水を混合しながら合わせることによって部分Aを作り、部分Bの成分を混合し、さらに部分Bを部分Aに混合しながら添加することによって調製した。部分Cの成分を混合し、次に部分Cを部分A及びBと混合しながら合わせた。組成物を80°Fに冷却し、部分Dの成分を混合しながら添加した。得られた組成物はペーストとして特徴付けられた。この組成物は軟水中で所望の耐腐食性を提供しうると見込まれる。
【0111】
例11.誘導結合プラズマ分光法(ICP)によるガラスエッチ防止の定量的測定:例10の食器用ゲルの0.46%使用組成物を軟水中で調製して、Collins Glass Straight Sided Shellと呼ばれる10オンスのガラスコップを入れた1クオートの高密度ポリエチレン広口瓶に添加した。その広口瓶を振幅振とうバッチ処理セットに160°Fで96時間置いた。洗浄剤溶液のサンプルをt=0及びt=96時間で採取し、試験前後のケイ素量をICPで測定した。ケイ素量は、推奨使用組成物濃度0.23%の市販の洗浄剤粉末(Proctor and Gambleより入手したCascade Complete)及び洗浄剤0.43%のいくつかの他の市販のゲル製品と比較した。試験した市販のゲル製品には、Proctor and Gambleより入手したCascade Pure Rinseゲル、Colgate Palmoliveより入手したPalmoliveゲル、Reckitt Benckiserより入手したElectrasolゲル、及びLever Brothersより入手したSunlightゲルが含まれる。ケイ素量は、洗浄剤溶液に暴露している最中に生じたガラスエッチング量の尺度として使用した。96時間の試験時間の終了時に、Cascade Complete溶液中に濃度71ppmのケイ素が検出され、市販のゲル製品の溶液中には58〜93ppmの量のケイ素が検出された。例10の食器用ゲルから調製した溶液中ではケイ素がt=0の初期溶液量から増加しておらず、腐食が起こらなかったことを示した。
【0112】
例12.ガラス製品の目視検査によるガラスエッチ防止の定性的測定:上述の例11と同じ実験条件の下、各試験溶液中のガラスを96時間後に取り除き、軟水中ですすいで乾燥した。ガラスを目視検査した。Cascade Complete溶液に暴露したガラスは、初期段階のエッチングが虹色の横縞として明らかとなった。例10のゲルから得られた使用組成物を用いて試験したガラスは、同じ試験条件下でエッチングの徴候が見られなかった。
【0113】
例13.ガラスエッチ保護性を有する自動食器洗浄用洗浄剤の調製及びICPによるガラスエッチ防止の定量的測定:表17の成分を一緒に混合して商品洗浄用基本組成物を作った。
【0114】
【表17】

【0115】
表17の商品洗浄用基本組成物を別々のより小さいバッチに分けて、それぞれに様々な量の塩化亜鉛及びアルミン酸ナトリウムを添加して、全体の組成を100質量%とした。表17の商品洗浄用基本組成物に添加した塩化亜鉛及びアルミン酸ナトリウムの様々な組成を表18に示す。
【0116】
【表18】

【0117】
各食器洗浄剤の0.23%使用組成物を硬度7グレインの水中で調製し、Collins Glass Straight Sided Shellと呼ばれる10オンスのガラスコップを入れた1クオートの高密度ポリエチレン広口瓶に添加した。その広口瓶を振幅振とうバッチ処理セットに160°Fで96時間置いた。洗浄剤溶液のサンプルをt=0及びt=96時間で採取し、試験前後のケイ素量をICPで測定した。ケイ素量は、推奨使用組成物濃度0.23%にて市販の洗浄剤粉末(Proctor and Gambleより入手したCascade Complete)と比較した。ケイ素量は、洗浄剤溶液に暴露している最中に生じたガラスエッチング量の尺度として使用した。96時間の試験時間の終了時に、質量パーセントで3:1の比率の塩化亜鉛とアルミン酸ナトリウムが最高のエッチング保護をもたらした。洗浄剤からアルミン酸ナトリウムを完全に除く(4%Zn/0%Al)とガラスエッチングの大幅な増大が生じる一方で、塩化亜鉛のない洗浄剤サンプル(0%Zn/4%Al)は依然としていくばくかのエッチング保護を提供した。図4のこの例の結果を記す。
【0118】
例14.ガラスバイアル上の膜形成の定性的測定:3元混合物の実験を、様々な比率の塩化亜鉛、アルミン酸ナトリウム及び塩化カルシウムの100ppm溶液を入れた40mLガラスバイアルにて行った。pHを維持する必要があれば炭酸ナトリウムを添加してpHを約10に保った。ガラスバイアルを試験溶液で満たし、160°Fで約108時間にわたってオーブン中で加熱した。その後バイアルを空にして水で完全にすすいだ。ガラス上に残ったリンス後残渣を次の等級に基づき定性的に決定した。1=可視残渣なし、2=少量の残渣、3=中程度の残渣、4=大量の残渣。アルミン酸ナトリウム53部:塩化カルシウム16部:塩化亜鉛31部の比率が、等級3及び4の間の被覆に関する最大のリンス後残渣の領域に近い。塩化亜鉛:アルミン酸ナトリウムが1:1の比率にて洗浄剤のキレート能力を超過している場合、溶液は最大のリンス後残渣の領域に入る。これは上記等級で等級3〜4に相当する。この例の結果を図5の三角図に記す。
【0119】
例16.アルミン酸ナトリウム、塩化亜鉛及び塩化カルシウムの様々な比率に基づくガラスエッチングの定量的決定:160°F、108時間後の試験溶液中のケイ素の増加量によって測定される、ガラスバイアルの様々な量のアルミン酸ナトリウム、塩化亜鉛及び塩化カルシウムの効果を決定するために、三元混合物の実験を行った。ソーダ灰を用いて試験溶液をpH10に調節した。各バイアル中の塩化亜鉛、アルミン酸ナトリウム及び塩化カルシウムの合計量を100ppmとした。データのプロットはアルミン酸ナトリウム量が減少するにつれエッチング量が増加することを示す。この例の結果を図6の三角図に示す。耐腐食性はガラス表面上に難溶性のアルミン酸塩が堆積することに起因している可能性があると考えられる。従ってガラス保護のための腐食防止剤は、自由カルシウムイオンを含有する硬水の存在下で可視的な膜の堆積を最小限にするように選択できると考えられる。
【0120】
上述の詳細な説明、例及びデータは本発明の組成物の製造及び使用を完全に説明するものである。本発明の多くの実施態様が本発明の精神及び範囲から逸脱せずに実施可能であるため、本明細書に添付した特許請求の範囲に本発明がある。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】水の硬度、食品汚れ、アルカリ度及びビルダー量の関数として、使用組成物中の腐食防止剤濃度を選択するための目安を示すグラフである。
【図2】例9による、48時間及び96時間での4つの商品洗浄用組成物中のケイ素濃度を示すグラフである。
【図3】例9による、48時間及び96時間での4つの商品洗浄用組成物中のカルシウム濃度を示すグラフである。
【図4】例13による、96時間での商品洗浄用組成物中のケイ素濃度を示すグラフである。
【図5】例14による、アルミン酸ナトリウム、塩化亜鉛及び炭酸カルシウム濃度の三角図を示すグラフである。
【図6】例15による、アルミン酸ナトリウム、塩化亜鉛及び炭酸カルシウム濃度の三角図を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品洗浄用洗浄剤組成物であって、
(a)洗浄性である量の界面活性剤を含む洗浄剤と;
(b)該商品洗浄用洗浄剤組成物を水で希釈して得られ、かつpHが少なくとも約8である使用組成物を提供するのに有効な量のアルカリ源と;
(c)ガラスの腐食を低減するのに十分な量の腐食防止剤であって、
(i)アルミニウムイオン源、及び
(ii)亜鉛イオン源を含み、かつ
(iii)亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が少なくとも約2:1である使用組成物を提供するのに十分な量の、該アルミニウムイオン源及び該亜鉛イオン源が存在している腐食防止剤と
を含む、商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記洗浄剤組成物が、前記洗浄剤を約0.5質量%〜約20質量%含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項3】
亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が約20:1〜約3:1である使用組成物を提供するのに十分な量の、前記アルミニウムイオン源及び前記亜鉛イオン源が存在している、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項4】
亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が約15:1〜約4:1である使用組成物を提供するのに十分な量の、前記アルミニウムイオン源及び前記亜鉛イオン源が存在している、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記洗浄剤組成物が、前記腐食防止剤を約0.5質量%〜約25質量%含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記洗浄剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記アルカリ源が、金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記アルカリ源が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項9】
前記アルカリ源が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項10】
前記アルミニウムイオン源が、アルミン酸ナトリウム、臭化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、臭素酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム亜鉛、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項11】
前記アルミニウムイオン源が、米国食品医薬品局により直接又は間接食品添加物と見なされた成分を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項12】
前記アルミニウムイオン源が、平均粒径が約500ナノメートル未満の粒子を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項13】
前記亜鉛イオン源が、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、チオシアン酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、二クロム酸亜鉛、塩素酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、フルオケイ酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酸化亜鉛、アルミン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項14】
前記亜鉛イオン源が、米国食品医薬品局により直接又は間接食品添加物と見なされた成分を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項15】
前記亜鉛イオン源が、平均粒径が約500ナノメートル未満の粒子を含む、請求項1に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項16】
商品洗浄用洗浄剤組成物であって、
(a)洗浄性である量の界面活性剤を含む洗浄剤と;
(b)pHが少なくとも約8の該商品洗浄用洗浄剤組成物を提供するのに有効な量のアルカリ源と;
(c)亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が少なくとも約2:1で該亜鉛イオン及び該アルミニウムイオンを含む、ガラスの腐食を低減するための腐食防止剤 約6ppm〜約300ppmと
を含む、商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項17】
前記亜鉛イオンと前記アルミニウムイオンの質量比が約20:1〜約3:1である、請求項16に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項18】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物の固形分含量が、約0.05質量%〜約0.75質量%である、請求項16に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項19】
商品洗浄用洗浄剤組成物であって、
(a)洗浄性である量の界面活性剤を含む洗浄剤と;
(b)該商品洗浄用洗浄剤組成物を使用組成物として提供する場合に、pHが少なくとも約8の該商品洗浄用洗浄剤組成物を提供するのに有効な量のアルカリ源と;
(c)亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が少なくとも約2:1で亜鉛イオン源及びアルミニウムイオン源を含む、ガラスの腐食を低減するための腐食防止剤 約0.5質量%〜約25質量%と
を含む、商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項20】
前記洗浄剤が、前記商品洗浄用洗浄剤組成物中に約0.5質量%〜約20質量%の量で供給される、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項21】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、キレート及び/又は金属イオン封鎖剤を約0.1質量%〜約70質量%含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項22】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、漂白剤を約0.1質量%〜約60質量%含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項23】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、洗浄フィラーを約1質量%〜約20質量%含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項24】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、消泡剤を約0.01質量%〜約3質量%含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項25】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、再付着防止剤を約0.5質量%〜約10質量%含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項26】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、水を約5質量%〜約60質量%含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項27】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、水を約0.1質量%〜約10質量%含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項28】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、少なくとも約5グラムの大きさのブロックを含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項29】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、少なくとも約50グラムの大きさのブロックを含む、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項30】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物を包む水溶性包装材料をさらに含んでなる、請求項19に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項31】
前記水溶性包装材料がポリビニルアルコールを含む、請求項30に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項32】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が、食器洗浄機用途について単位投与量を供給するのに十分な量で前記水溶性包装材料の内部に供給される、請求項31に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項33】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が液体状で提供される、請求項31に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項34】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物が固体状で提供される、請求項31に記載の商品洗浄用洗浄剤組成物。
【請求項35】
商品洗浄用洗浄剤組成物を使用する方法であって、
(a)水と商品洗浄用洗浄剤組成物の希釈比を少なくとも約20:1として、商品洗浄用洗浄剤組成物を水で希釈し、ここで該商品洗浄用洗浄剤組成物は、
(i)洗浄性である量の界面活性剤を含む洗浄剤と;
(ii)pHが少なくとも約8の使用組成物を提供するのに有効な量のアルカリ源と;
(iii)亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が少なくとも約2:1で亜鉛イオン及びアルミニウムイオンを含む使用組成物を提供するのに十分な量の、亜鉛イオン源及びアルミニウムイオン源を含む、ガラスの腐食を低減するのに十分な量の腐食防止剤とを含んでおり、
(b)該使用組成物を用いて商品を自動食器洗浄機内で洗浄する
ことを含む方法。
【請求項36】
前記商品洗浄用洗浄剤組成物を希釈する水が、全溶解固形分含量が約200ppmを超える水を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記使用組成物の自由カルシウムイオン濃度が約200ppmを超える、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記亜鉛イオン源の量及び前記アルミニウムイオン源の量が、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比を約20:1〜約3:1とするのに十分である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記亜鉛イオン源の量及び前記アルミニウムイオン源の量が、亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比を約15:1〜約4:1とするのに十分である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記洗浄剤組成物が、前記腐食防止剤を約0.5質量%〜約25質量%含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記洗浄剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤のうち少なくとも1種を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記アルカリ源が、金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記アルカリ源が、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記アルカリ源が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項45】
前記アルミニウムイオン源が、アルミン酸ナトリウム、臭化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、臭素酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム亜鉛、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
前記アルミニウムイオン源が、米国食品医薬品局により直接又は間接食品添加物と見なされた成分を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項47】
前記アルミニウムイオン源が、平均粒径が約500ナノメートル未満の粒子を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項48】
前記亜鉛イオン源が、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、チオシアン酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、二クロム酸亜鉛、塩素酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、フルオケイ酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、酸化亜鉛、ケイ酸亜鉛及びこれらの混合物のうち少なくとも1種を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項49】
前記亜鉛イオン源が、米国食品医薬品局により直接又は間接食品添加物と見なされた成分を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項50】
前記亜鉛イオン源が、平均粒径が約500ナノメートル未満の粒子を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項51】
洗浄剤組成物を使用する方法であって、
(a)水と洗浄剤組成物の希釈比を少なくとも約20:1として、洗浄剤組成物を水で希釈し、ここで該洗浄剤組成物は、
(i)洗浄性である量の界面活性剤を含む洗浄剤と;
(ii)亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が少なくとも約2:1で亜鉛イオン及びアルミニウムイオンを含む使用組成物を提供するのに十分な量の、亜鉛イオン源及びアルミニウムイオン源を含む、ガラスの腐食を低減するのに十分な量の腐食防止剤とを含んでおり、
(b)該使用組成物を用いて硬い表面を洗浄する
ことを含む方法。
【請求項52】
前記硬い表面がガラス及びセラミックのうち少なくとも1つを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記硬い表面が窓及び鏡のうち少なくとも1つを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
商品洗浄用洗浄剤組成物の製造方法であって、
(a)下式に相当する、水と商品洗浄用洗浄剤組成物の濃縮物の比を少なくとも約20:1として該商品洗浄用洗浄剤濃縮物を水で希釈した結果、使用組成物中の腐食防止剤の量が十分となるような量の腐食防止剤を該商品洗浄用洗浄剤濃縮物に供給することを含み、
使用組成物中の腐食防止剤(ppm)>[{アルカリ度(ppm)+ビルダー(ppm)}/{硬度(グレイン/ガロン)+食品汚れ(グラム/ガロン)}]+[{アルカリ度(ppm)+ビルダー(ppm)−200}/20]+10
(ここで、アルカリ度とは該使用組成物のアルカリ度(ppm)を指し、ビルダーとは該使用組成物のビルダー量(ppm)を指し、硬度とは該使用組成物の硬度の量(グレイン/ガロン)を指し、及び食品汚れとは該使用組成物に想定される食品汚れ量(グラム/ガロン)を指す。)
該腐食防止剤の亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が約20:1〜約2:1であって、かつ該商品洗浄用洗浄剤組成物の濃縮物がさらに洗浄剤を含んでいる
方法。
【請求項55】
(a)前記商品洗浄用洗浄剤濃縮物を固化する
ことをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記商品洗浄用洗浄剤濃縮物が、前記洗浄剤を約0.01質量%〜約20質量%含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
(a)洗浄性である量の界面活性剤を含む洗浄剤と;
(b)ガラスの腐食を低減するのに十分な量の腐食防止剤であって、
(i)アルミニウムイオン源、及び
(ii)亜鉛イオン源を含み、かつ
(iii)亜鉛イオンとアルミニウムイオンの質量比が少なくとも約2:1である使用組成物を提供するのに十分な量の、該アルミニウムイオン源及び該亜鉛イオン源が存在している腐食防止剤と
を含む、商品洗浄用洗浄剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−504390(P2008−504390A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518032(P2007−518032)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/010450
【国際公開番号】WO2006/011934
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】