説明

自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物

【課題】有効成分を高濃度に配合しても、少量の増粘剤で、使い勝手の良い粘度にすることができ、貯蔵安定性も良い、濃縮タイプの自動食器洗浄機用液体洗浄剤を提供する。
【解決手段】(a)低分子キレート剤1〜20質量%、(b)アクリル酸(塩)とマレイン酸(塩)が、9/1〜4/6のモル比で含有されてなる、重量平均分子量1000〜40000の高分子化合物1〜20質量%、(c)アルカリ剤0.1〜20質量%、(d)(d1)ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル0.01〜2質量%、(d2)PG1〜5質量%、(e)アミンオキシド0.005〜2質量%、(f)(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、水を含有し、20℃の粘度が500〜5,000mPa・s、25℃、pHが8〜11である自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2には、低分子キレート剤とアクリル酸/マレイン酸共重合体を含有する自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物の技術が開示されている。また、増粘剤を含有する自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、特許文献3、特許文献4に開示されている。また、特許文献5には、低分子キレート剤とアクリル酸/マレイン酸共重合体を高濃度に含有する液体洗浄剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−163079号公報
【特許文献2】特開2008−133340号公報
【特許文献3】特開2008−184500号公報
【特許文献4】特開2008−163292号公報
【特許文献5】特開2006−152287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、自動食器洗浄機は急速に普及しており、使い勝手の点から自動食器洗浄機用に用いられる洗浄剤として、粘度が高めの液体洗浄剤タイプのものが提案されている。また省エネルギーや省資源の観点から、一般の液体洗浄剤は有効成分を高濃度に含有する濃縮タイプの開発が進められている。
【0005】
このような状況の下、本発明者は自動食器洗浄機用液体洗浄剤の濃縮タイプの開発に着手した。該液体洗浄剤の有効成分は低分子キレート化剤、カルボン酸系高分子化合物、アルカリ剤、及び界面活性剤であるが、使い勝手の点から粘度が高められた組成物にこれら有効成分を高濃度に配合した場合、前記の使い勝手の良い粘度を発現させるためには、より多くの増粘剤を用いる必要があり、この場合、貯蔵安定性が良好でないという新たな課題が生じた。
【0006】
特許文献1〜4には、低分子キレート剤と重量平均分子量が7万程度のアクリル酸/マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸系増粘剤、アルカリ剤等を含有する自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物の技術が開示されているが、有効成分を高濃度に含有した場合に発生する新たな課題と、それらを解決する手段については記載されていない。特許文献5には、低分子キレート剤とアクリル酸/マレイン酸共重合体を高濃度に含有する組成物が開示されているが、使い勝手の点から粘度を上げる場合に発生する課題や解決手段を示すものではない。
【0007】
従って本願発明は、有効成分を高濃度に配合しても、少量の増粘剤で、使い勝手の良い粘度にすることができ、貯蔵安定性も良い、濃縮タイプの自動食器洗浄機用液体洗浄剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(a)低分子キレート剤を1〜20質量%、
(b)アクリル酸(塩)由来のモノマー構成単位とマレイン酸(塩)由来のモノマー構成単位が、9/1〜4/6のモル比で含有されてなる、重量平均分子量1,000〜40,000の高分子化合物を1〜20質量%、
(c)アルカリ剤を0.1〜20質量%、
(d)(d1)下記一般式(1)の化合物及び(d2)ポリプロピレングリコールを含有し、(d1)成分の含有割合が0.01〜2質量%(d2)成分の含有割合が1〜5質量%、
(e)下記一般式(2)の化合物を0.005〜2質量%、
(f)(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、並びに水を含有し、
(a)成分/(b)成分の質量比が0.1〜20であり、
(a)成分及び(b)成分の合計が10〜30質量%であり、
(d2)成分/(e)成分の質量比が0.1〜10であり、
さらに20℃における粘度が500〜5,000mPa・sであり、且つ25℃におけるpHが8〜11である自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供する。
【0009】
1O(C24O)l/(C36O)mH (1)
〔式中;
1は炭素数8〜18の炭化水素基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜10の数であり、mは0〜100の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
【化1】

〔式中;
2は炭素数6〜24の炭化水素基であり、R3、R4は同一又は異なってもよい、炭素数1〜3の炭化水素基、Dは、−COO−、−CONH−、−O−から選ばれる基であり、
Eは炭素数1〜5の2価の炭化水素基、a、bはa=0且つb=0であるか、又はa=1且つb=1である。〕
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用として使い勝手の良い粘度であるが、貯蔵安定性も良く、使用時には、泡立ちも少なく高い洗浄性能を有している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<(a)成分>
(a)成分の低分子キレート剤としては、特に限定されるものではないが、分子量が40〜400である水溶性有機酸を挙げることができる。好ましくは分子量90〜360、より好ましくは100〜300の水溶性有機酸、特に分子中に2つ以上、好ましくは2〜6個のカルボン酸基を有する多価カルボン酸を挙げることができる。(a)成分は、本発明で用いる(c)成分のアルカリ剤との塩として組成物中に存在することが好ましい。
【0012】
具体的には、ギ酸、酢酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸から選ばれるカルボン酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、メチルグリシン2酢酸、グルタミン酸2酢酸、セリン2酢酸、アスパラギン酸2酢酸から選ばれるアミノカルボン酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸から選ばれるホスホン酸が好適であり、特にクエン酸、メチルグリシン2酢酸、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸が好ましい。中でもクエン酸が特に好ましい。
【0013】
<(b)成分>
(b)成分は、アクリル酸(塩)(アクリル酸又はその塩を意味する)由来のモノマー構成単位とマレイン酸(塩)(マレイン酸又はその塩を意味する)由来のモノマー構成単位とを含有する高分子化合物とは、アクリル酸(塩)とマレイン酸(塩)とを必須モノマーとして重合してなる共重合体のことである。なお、出発原料として無水マレイン酸を用いる場合には、無水マレイン酸は重合中又は重合後に加水分解され、マレイン酸のモノマー構成単位と同じ構造になっている。(b)成分は、本発明で用いる(c)成分のアルカリ剤との塩として組成物中に存在することが好ましい。
【0014】
(b)成分の高分子化合物は、重合に用いるモノマーとして、アクリル酸(塩)/マレイン酸(塩)のモノマー構成単位のモル比が9/1〜4/6であり、好ましくは8/2〜5/5、より好ましくは8/2〜6/4、特に好ましくは7.5/2.5〜6.5/3.5のものである。
【0015】
(b)成分の共重合体を構成しているモノマー構成単位としては、アクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)以外のモノマー構成単位を用いることができる。
このようなモノマー構成単位としては、非イオン系のモノマーに由来するモノマー構成単位が好ましく、そのために用いる具体的なモノマーとしては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアクリル(又はメタクリル)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン等のアミド基含有化合物、アクリル酸アルキル(炭素数1〜5)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−N,N−ジメチルアミノアルキル(炭素数1〜5)、酢酸ビニル等のエステル基含有化合物、エチレン、プロピレン、N−ブチレン、イソブチレン、N−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、N−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のオレフィン系化合物を挙げることができる。
【0016】
(b)成分の共重合体を構成している全モノマー構成単位のうち、アクリル酸(塩)及びマレイン酸(塩)由来のモノマー構成単位が、80〜100モル%を占めることが好ましく、90〜100モル%を占めることがより好ましく、95〜100モル%を占めることが更に好ましく、特には実質的にアクリル酸(塩)と、マレイン酸(塩)由来のモノマー構成単位とから構成されていることが好ましい。なお、構成単位の比率は、共重合に用いたモノマー比率(モノマーの使用量)であってもよい。
【0017】
(b)成分の共重合体の重量平均分子量は、貯蔵安定性の観点から、1,000〜40,000である。好ましくは5,000〜40,000、より好ましくは10,000〜40,000、更に好ましくは20,000〜40,000であることが、洗浄性能と貯蔵安定性を高めるために有効である。この重量平均分子量は、アセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準物質として求めたものである。
【0018】
<(c)成分>
(c)成分のアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムから選ばれる無機アルカリ剤、アミン化合物から選ばれる有機アルカリ剤を挙げることができる。アミン化合物としては下記一般式(3)〜(6)で表されるアミン化合物が好適である。
【化2】

【0019】
(式中、R11、R14、R16、R18、R20、R22、R23は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R12、R13、R15、R17、R19、R21は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を示す)。
【0020】
一般式(3)で表される化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等を挙げることができ、
一般式(4)で表される化合物としては、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン等を挙げることができ、
一般式(5)で表される化合物としては、ジエチレントリアミン等を挙げることができ、
一般式(6)で表される化合物としては、モルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
【0021】
これらの中でもモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリンが好ましく、特にモノエタノールアミンが好ましい。
【0022】
無機アルカリ剤としては、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のカリウム化合物、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等のナトリウム化合物を挙げることができる。好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化物である。特に好ましくは水酸化カリウムである。
【0023】
本発明では(c)成分としてモノエタノールアミンと水酸化カリウムを併用することが好ましく、洗浄性能及び高pH域での増粘の点から、モノエタノールアミン/水酸化カリウムの質量比は、好ましくは90/10〜10/80、より好ましくは70/30〜20/80、特に好ましくは50/50〜30/70が好適である。
【0024】
<(d)成分>
本発明の組成物は、(d)成分として(d1)下記一般式(1)の化合物、及び(d2)ポリプロピレングリコールを含有する。
1O(C24O)l/(C36O)mH (1)
〔式中;R1は炭素数8〜18の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜10の数であり、mは0〜100の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
具体的には下記(I)〜(III)の化合物が好適である。
【0025】
(I)重量平均分子量が600〜20,000、好ましくは2,000〜10,000のポリプロピレングリコール。なお、ポリプロピレングリコールの重量平均分子量は光散乱法を用いて決定することができ、ダイナミック光散乱光度計(DLS−8000シリーズ、大塚電子株式会社製等)により測定することができる。なお、ポリプロピレングリコールには、多価アルコールにプロピレンオキサイドを付加させたものも本発明の範囲に含むものとする。
【0026】
(II)一般式(1)において、R1が炭素数8〜18、好ましくは10〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基、lが1〜10、好ましくは1〜7のポリオキシエチレンアルキルエーテル(m=0)。
【0027】
(III)一般式(1)において、R1が炭素数8〜18、好ましくは10〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基、lが1〜10、好ましくは1〜7、mが1〜10、好ましくは1〜7のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(オキシエチレン基及びオキシプロピレン基はランダムであってもブロックであっても差し支えない)。
【0028】
<(e)成分>
本発明の組成物は、(e)成分として下記一般式(2)の化合物を含有する。
【化3】

〔式中;
2は炭素数6〜24の炭化水素基であり、R3、R4は、同一又は異なってもよい、炭素数1〜3の炭化水素基、Dは、−COO−、−CONH−、−O−から選ばれる基であり、Eは炭素数1〜5の2価の炭化水素基、a、bはa=0且つb=0であるか、又はa=1且つb=1である。〕
【0029】
一般式(2)の化合物において、本発明では、R2は6〜12のアルキル基が好ましく、R3、R4はメチル基が好ましく、a=0、b=0が好適である。
【0030】
<(f)成分>
本発明の組成物は、貯蔵安定性の観点から、(f)成分として(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体を含有する。(メタ)アクリル酸エステルは、エステルを構成する炭化水素基はアルキル基が好ましく、その炭素数は8〜30、更に10〜30、特に10〜22が好ましい。
【0031】
また、(f)成分の前記共重合体は、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(以下、AOという)に由来する構成単位を含んでいてもよく、AOとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイドを挙げることができる。AOの平均付加モル数は5〜20が好ましい。
【0032】
また、(f)成分の前記共重合体を製造するための単量体の比率は、モル比で(メタ)アクリル酸100に対して(メタ)アクリル酸エステル0.2〜10が好ましく、特に0.5〜5が好ましい。AO由来の構成単位を導入する場合は、(メタ)アクリル酸エステルのAO付加物及び/又は(メタ)アクリル酸AO付加物を、モル比で(メタ)アクリル酸100に対して0.1〜10用いることが好ましい。
【0033】
(f)成分の(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体は、(f)成分を0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計(ローターNo.4、回転数12r/m)で測定した粘度が500mPa・s以上が好ましく、より好ましくは1000〜70,000mPa・s、特には1500〜40,000mPa・sであることが好ましい。
【0034】
(f)成分は、構成単量体がアクリル酸とアクリル酸アルキルエステルであるものが好ましく、特にアクリル酸100質量部に対して、0.01質量部以上エチレン性不飽和基を少なくとも2個有する化合物を架橋剤として使用して得られる架橋型ポリアクリル酸/アクリル酸アルキルエステル共重合体が好ましい。
【0035】
(f)成分としては、例えば、ノベオン社(Noveon Inc.)製のカーボポールETD2020、住友精化株式会社製アクペックHV501ER、アクペックHV701EDR等の市販品を用いることができる。これらは、2種以上を併用することもできる。
【0036】
(f)成分は、本発明で用いる(c)成分のアルカリ剤との塩として洗浄剤組成物中に存在することが好ましい。
【0037】
<その他の成分>
本発明の組成物は、任意ではあるが、洗浄力をさらに向上させる目的から酵素〔以下(g)成分という〕を含有することが好ましい。好適な(g)成分としては、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼおよびペルオキシダーゼを挙げることができ、特にプロテアーゼ、アミラーゼが好適である。
本発明ではプロテアーゼとアミラーゼを併用することが好ましく、酵素タンパク質の量としてアミラーゼ/プロテアーゼの質量比は、好ましくは1/99〜94/6、より好ましくは2/98〜90/10、特に好ましくは20/80〜80/20である。
【0038】
本発明の組成物が酵素を含有する場合、アルカリ剤を含有する中性〜弱アルカリ性水溶液中での酵素失活を抑制するため、酵素安定化剤〔以下(h)成分という〕を配合することが好ましい。
【0039】
酵素安定化剤としては、ホウ酸又はホウ酸を形成することが可能なホウ素化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、水溶性カルシウム塩から選ばれる1種以上を配合することが好ましい。(h)成分としては、プロピレングリコール及び/又はグリセリンと水溶性カルシウム塩を併用することが最も好ましい。
【0040】
本発明の組成物は、その他、色素、香料、消泡剤、エタノールを任意の成分として含有することができる。
【0041】
<自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物>
本発明の組成物における各成分の含有割合、各成分の比率は、以下のとおりである。
【0042】
(a)成分の含有割合は、1〜20質量%、好ましくは3〜18質量%、より好ましくは6〜16質量%、特に好ましくは9〜15質量%である。
(b)成分の含有割合は、貯蔵安定性の観点から、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜10質量%、特に好ましくは3〜7質量%である。
(c)成分の含有割合は、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは7〜15質量%である。
(d)成分中、(d1)成分の一般式(1)の化合物の含有割合は、粘度低下抑制の観点から、0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%、より好ましくは0.3〜0.8質量%であり、(d2)成分のポリプロピレングリコールの含有割合は、泡立ち抑制及び洗浄性能の観点から、1〜5質量%であり、好ましくは1.5〜3質量%、より好ましくは1.8〜2.5質量%である。
(e)成分の含有割合は、経時増粘性の抑制と貯蔵安定性の観点から、0.005〜2質量%、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.05〜0.7質量%、特に好ましくは0.2〜0.5質量%である。
【0043】
(f)成分の含有割合は、貯蔵安定性の観点から、組成物の粘度範囲と関連して調整されるものであり、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、特に好ましくは0.7〜2.5質量%である。
【0044】
(a)成分/(b)成分の質量比は、特に洗浄性能と貯蔵安定性を高めるため、0.1〜20であり、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは、3〜5であり、(a)成分及び(b)成分の合計は、特に洗浄性能を高めるため、10〜30質量%であり、好ましくは10〜25質量%、より好ましくは12〜20質量%、特に好ましくは14〜18質量%である。
【0045】
(d2)成分/(e)成分の質量比は、経時増粘性の抑制、貯蔵安定性及び泡立ち抑制の観点から、0.1〜10であり、好ましくは1〜7、特に好ましくは2〜5である。
【0046】
任意成分として(g)成分を含有するときは、(g)成分の含有割合は、酵素タンパク質の量として0.005〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、特に好ましくは0.03〜0.3質量%である。(g)成分を含有する場合には、(h)成分を0.001〜50質量%、1〜40質量%含有することが好ましい。
【0047】
本発明の組成物の残部は水であり、貯蔵安定性の上でイオン交換水等が好ましい。
【0048】
また、本発明の組成物は25℃における粘度が500〜5,000mPa・s、好ましくは1000〜4,000mPa・s、特に好ましくは2,000〜3,000mPa・sであり、このような粘度は(f)成分の含有量で適宜調整される。粘度の測定方法はブルックフィールド型粘度計(粘度が4000mPa・s以下の場合はローターNo.3、回転数30r/m、粘度が4000mPa・sを超え、20,000mPa・s以下の場合はローターNo.4、回転数30r/m)を用いて行った。
【0049】
また、本発明の組成物は、25℃におけるpHが8〜11、好ましくは8.5〜10.5、特に好ましくは9〜10であり、このようなpHは(a)成分〜(c)成分、又は(f)成分で適宜調整される(pHの測定は、JIS Z 8802の7.2(測定方法)により行う)。
【実施例】
【0050】
表1に示す配合組成で、自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を調製し、以下の評価を行った。
【0051】
<低泡性>
使用洗浄機として松下電器産業株式会社製自動食器洗い機(機種NP−C10)を用い、表1の液状洗浄剤組成物を入れて標準コースで運転した。この洗浄機は、2.2Lの水を20℃から60℃まで徐々に昇温して洗浄し、その後すすぎを3回(昇温しない)行い、最終すすぎ(20℃から70℃まで徐々に昇温してすすぎ)後、乾燥する形式のものである。
運転開始1分、4分、9分、14分、19分後に洗浄機上部より光をあてながら噴射ノズルの回転数を数え、最も回転数の少なくなる時間の回転数を表1に示した。この場合、回転数が多いほど洗浄剤組成物が低泡性であることの指標となり、24回転/分以上であれば問題ないレベルである。
【0052】
<貯蔵安定性>
表1の液状洗浄剤組成物200gをプラスティック製透明容器(花王株式会社製ファミリーフレッシュ容器)に入れ、50℃で20日間保存し、保存後の組成物の様子を観察し、保存前と変化ない場合を○、やや油分が浮いている場合を×、分離が見られるものを××として評価し、表1に示した。
【0053】
<経時増粘性>
表1の液体洗浄剤組成物200gをプラスティック製透明容器(花王株式会社製ファミリーフレッシュ容器)に入れ、50℃で20日間保存し、保存後の粘度上昇を測定した。その結果、粘度上昇が1000mPa・s未満である場合を○、1000mPa・s以上である場合を×として評価し、表1に示した。
【0054】
<(b)成分>
アクリル酸/マレイン酸共重合体の塩:重量平均分子量約3万、アクリル酸/マレイン酸のモル比=7/3
(b)成分の比較成分:アクリル酸/マレイン酸共重合体の塩:重量平均分子量約7万、アクリル酸/マレイン酸のモル比=7/3
【0055】
<(d)成分>
(d1-1)界面活性剤1:一般式(1)中、アルキル基の炭素数が12〜14の第2級高級アルコールに、オキシエチレン基が平均3モル付加したポリオキシエチレンアルキルエーテル
(d1-2)界面活性剤2:一般式(1)中、アルキル基の炭素数が12の直鎖第1級高級アルコールに、オキシエチレン基が平均4モル付加した、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
(d2)PPG:ポリプロピレングリコール,重量平均分子量約3,000、平均縮合度約50(ジオールタイプ、和光純薬工業株式会社)
【0056】
<(e)成分>
界面活性剤(AO):一般式(2)中、R2は炭素数が8のアルキル基、R3、R4はメチル基、a=0、b=0であるアミンオキサイド
【0057】
<(f)成分>
アクペックHV701EDR(架橋型ポリアクリル酸/アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)共重合体,住友精化(株)製)(20℃の粘度:前記アクペックHV701EDRを0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計<ローターNo.4、回転数12r/m>で測定した粘度が13,000mPa・s)
(f)成分の比較成分:アクペック501(架橋型ポリアクリル酸重合体,住友精化(株)製)(20℃の粘度:前記アクペック501を0.2質量%含有し、水酸化ナトリウムでpH7.0に調整した水溶液を、20℃にてブルックフィールド型粘度計<ローターNo.4、回転数12r/m>で測定した粘度が7,000mPa・s)
【0058】
<(g)成分>
α−アミラーゼ:デュラミル300L(ノボザイムズジャパン株式会社)
プロテアーゼ:エバラーゼ16L(ノボザイムズジャパン株式会社)
【0059】
<(h)成分>
グリセリン(酵素安定化剤)
塩化カルシウム(酵素安定化剤)
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)低分子キレート剤を1〜20質量%、
(b)アクリル酸(塩)由来のモノマー構成単位とマレイン酸(塩)由来のモノマー構成単位が、9/1〜4/6のモル比で含有されてなる、重量平均分子量1,000〜40,000の高分子化合物を1〜20質量%、
(c)アルカリ剤を0.1〜20質量%、
(d)(d1)下記一般式(1)の化合物及び(d2)ポリプロピレングリコールを含有し、(d1)成分の含有割合が0.01〜2質量%(d2)成分の含有割合が1〜5質量%、
(e)下記一般式(2)の化合物を0.005〜2質量%、
(f)(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、並びに水を含有し、
(a)成分/(b)成分の質量比が0.1〜20であり、
(a)成分及び(b)成分の合計が10〜30質量%であり、
(d2)成分/(e)成分の質量比が0.1〜10であり、
さらに20℃における粘度が500〜5,000mPa・sであり、且つ25℃におけるpHが8〜11である自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
1O(C24O)l/(C36O)mH (1)
〔式中;
1は炭素数8〜18の炭化水素基であり、l、mは平均付加モル数であり、lは0〜10の数であり、mは0〜100の数であり、lとmが同時に0になることはない。“/”はエチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基が、順序に関係なく、ランダム又はブロックのいずれに付加したものであってもよいことを示す。〕
【化4】

〔式中;
2は炭素数6〜24の炭化水素基であり、R3、R4は同一又は異なってもよい、炭素数1〜3の炭化水素基、Dは、−COO−、−CONH−、−O−から選ばれる基であり、Eは炭素数1〜5の2価の炭化水素基、a、bはa=0且つb=0であるか、又はa=1且つb=1である。〕
【請求項2】
(a)成分が、分子量が40〜400の水溶性有機酸である、請求項1に記載の自動食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−126923(P2011−126923A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283608(P2009−283608)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】