説明

自己接着性ラベル用接着剤組成物と、それを有する物品

本発明は、任意タイプの平滑または粗い表面上に自己接着性ラベルを永久的に張り付けるのに適した感圧性のホットメルト接着剤組成物と、この自己接着性ラベルを有する物品と、その方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、任意タイプの平滑または粗い支持体表面上に接着される粘着性自己接着ラベルに適したホットメルト接着組成物と、この接着組成物を有する物品と、この物品の製造方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱溶融性接着剤(ホットメルト接着剤またはHM)は水も溶剤も含まない室温で固体の物質である。これは溶融状態で塗布され、冷却すると固化して、一体化すべき基材に対して確実に固定された結合部を形成する。ある種のホットメルトはそれで被覆される支持体に総体的にタックのない硬度を与えるように配合される。他のホットメルトは支持体に総体的に柔らかさと大きなタックを与える。これが自己接着性ラベルを作るのに広く用いられているPSAであり、対応する接着剤は「ホットメルト感圧接着剤」(またはHMPSA)と呼ばれる。
【0003】
感圧接着剤(自己接着剤またはPSA)はそれで被覆される支持体に室温で直ちに粘着力(タックとよばれる)を与え、わずかな圧力で基材に即座に接着できる。
【0004】
いわゆる永久グレードのPSAは品物に情報(例えばバーコード、品名、価格)を表示し、および/または、装飾目的の自己接着性ラベルを作るのに広く使用されている。一般に、PSAは印刷可能な大寸法の紙や一層または複数層を有するポリマーフィルムの表面全体に連続コーティング法で塗布される。印刷可能な支持層を覆う接着層自体は例えばシリコーンフィルムまたは紙から成る保護層(「リリース・ライナー」とよばれる)で被覆される。こうして得られた多層物は一般に幅が2メートル、直径が1メートルの広幅のボビンに巻かれ、包装され、保管され、輸送される。
【0005】
この多層物は最終ユーザが使用可能な自己接着ラベルに加工される。すなわち、支持層の印刷面上への所望の情報および/または装飾要素の印刷と、所望の形および寸法への切断とが行われる。保護層は印刷された支持体層上に付けた粘着層を変成せず容易に除去できる。保護層を剥がした後に、ラベルは0〜50℃の温度で手で貼り付けられるか、ラベル張り機、自動包装装置で物品上に貼り付けられる。
【0006】
PSAは室温で高い粘着性を有するため、被付着物品上にラベルを迅速に工業生産速度で張り付けるのに適している。
【0007】
しかし、物品表明の表面状態すなわち粗度レベルが変化し、使用する接着剤の組成が変化し、ラベルの支持体の品質が変化するため、己接着性ラベルは時間的に変化する。貼付け前にはエッジが丸まり(roulage、カーリングし)、機械出口で物品上にラベルを位置決めするのに問題が生じる。貼付け後にはラベルの端縁が剥離(aureole、後光の形の剥離またはハローイング)する問題が観測される。これらの問題は正しい塗布およびラベルの正しい貼り付けには有害で、物品の使用寿命、耐久性を悪くする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第一の目的は、ラベル付け表面の粗度とは無関係に、自動ラベル付け前、中、後のエッジ丸まり(カーリング)や端縁剥離の問題(ハローイング)を避けることができ、ラベルの保持力を改良することができる自己接着性ラベルを物品(例えばガラス瓶またはプラスチック容器)に永久接着することができる接着剤を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、いわゆる「ノ−ラベルルック、no label look」といわれる物品すなわちラベルが見えない物品または印刷のみが見える物品を得るための透明な自己接着性ラベルを提供することにある。この目的の場合、物品に取付ける前の最初に透明な自己接着性ラベルは、端縁剥離(後光剥離)がなく、これはラベルを付ける物品の表面粗さとは無関係に、製造プロセスおよび市場に出る前(いわゆるウエットアウト時間)に見合った時間は物品表面上で見えない。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、全ての場合に、自己接着性ラベルが物品表面上で最大で36時間、好ましくは24時間、さらには12時間、分離可能な状態を維持する物品を提供することにある。これは物品表面上に接着剤を全く残すことなしに取り付けた物品からラベルが完全に分離できることを意味し、非規格物品と分類された時のにリサイクル法を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の対象は、下記(1)と(2)から成る感圧ホットメルト接着組成物にある:
(1)20重量%〜50重量%の下記の(i)と(ii)とから成るスチレンブロック共重合体の混合物から成るポリマー(A):
(i) 10〜100重量%の一種または複数のスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレンe-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン-ブタジエン‐スチレン(SEBS)、スチレン-イソプレンe/ブチレン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)タイプの放射状または直鎖のトリブロックコポリマー
(ii)少なくとも90重量%、好ましくは0重量%〜80重量%のスチレン-ブタジエン(SB)またはスチレン-イソプレン(SI)またはスチレン-エチレン/ブチレン(SEB)またはスチレン-イソプレンe/ブチレン(SIB)またはスチレン-エチレン/プロピレン(SEP)タイプの一種または複数のジブロック・コポリマー
混合物のスチレン単位の全含有量は35重量%以下、好ましくは10〜25重量%、
(2)50〜80重量%の下記液体部分(B)と下記固体の部分(C)とから成る樹脂部分:
液体部分(B)は(B)+(C)の混合物の25〜100重量%で、ASTM規格E 28またはDSC法で測定した最低軟化点が−10℃〜50℃の範囲、好ましくは5℃〜20℃の間で、ロジンをベースにした液体極性化合物から選択される一種または複数の樹脂粘着剤から成る液体部分(B1)であるか、少なくとも一種の極性オイル、好ましくはベンゾエート鉱油から成る(B2)との混合物であり、、
固体部分(C)は(B+C)の混合物の0〜75重量%で、ASTM規格 E 28で測定した軟化点が70℃以上、好ましくは90〜150℃の間で、一種または複数の極性または無極性の樹脂粘着剤であり、
(B)+(C)の部分は0〜40重量%、好ましくは5〜35重量%の無極性樹脂と、60〜100重量%、好ましくは65〜95重量%の極性樹脂とからなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明接着組成物では、液体部分Bはロジンベースの極性液体化合物またはロジンエステル誘導体から選択される一種または複数の樹脂粘着剤から成る部分B1のみから成るのが好ましい。
【0013】
特に、本発明の対象は、下記(1)と(2)から成る感圧ホットメルト接着組成物にある:
(1)20重量%〜50重量%の下記の(i)と(ii)とから成るスチレンブロック共重合体の混合物から成るポリマー(A):
(i) 10〜100重量%の一種または複数のスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレンe-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン-ブタジエン‐スチレン(SEBS)、スチレン-イソプレンe/ブチレン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)タイプの放射状または直鎖のトリブロックコポリマー
(ii)少なくとも90重量%、好ましくは0重量%〜80重量%のスチレン-ブタジエン(SB)またはスチレン-イソプレン(SI)またはスチレン-エチレン/ブチレン(SEB)またはスチレン-イソプレンe/ブチレン(SIB)またはスチレン-エチレン/プロピレン(SEP)タイプの一種または複数のジブロック・コポリマー、
混合物のスチレン単位の全含有量は35重量%以下、好ましくは10〜25重量%、
(2)50〜80重量%の下記液体部分(B)と下記固体の部分(C)とから成る樹脂部分:
液体部分(B)は(B)+(C)の混合物の25〜100重量%で、ASTM規格E 28またはDSC法で測定した最低軟化点が−10℃〜50℃の範囲、好ましくは5℃〜20℃の間で、ロジンをベースにした液体極性化合物またはロジンのエステル誘導体から選択される一種または複数の樹脂粘着剤から成る液体部分(B1)であるか、ベンゾエート鉱油から成る(B2)との混合物であり、必要に応じてナフテンまたはパラフィン・タイプの一種または複数の炭化水素無極性鉱油を追加することができ、
固体部分(C)は(B+C)の混合物の0〜75重量%で、ASTM規格 E 28で測定した軟化点が70℃以上、好ましくは90〜150℃の間で、フェノール類で変成した、フリーデル−クラフツ(Friedel-Crafts)触媒の存在下でテルペン炭化水素を重合して得た一種または複数の無極性固体またはテルペン樹脂から成る樹脂粘着剤であり、
(B)+(C)の部分は0〜40重量%、好ましくは5〜35重量%の無極性樹脂と、60〜100重量%、好ましくは65〜95重量%の極性樹脂とからなる。
【0014】
本発明接着組成物では、部分Cの固体樹脂粘着剤は無極性樹脂から選択するのが好ましい。
本発明接着組成物では、部分Aは接着組成物の25〜45重量%であり、部分(B)+(C)は接着組成物の55〜75重量%であるのが好ましい。
【0015】
本発明の第2の対象は、下記の(1)〜(3)から成る多層システムにある:
(1)上記定義のHMPSAから成る接着層、
(2)上記接着層に隣接した無孔質で透明または不透明な物質から成る印刷可能な支持層、
(3)上記接着層に隣接した保護層。
【0016】
上記の本発明の第2の対象は下記から成る多層系である:
(1)上記定義のHMPSAから成る接着層、
(2)上記接着層に隣接した無孔質で透明な材料から成る印刷可能な支持層、
(3)上記接着層に隣接した保護層。
【0017】
上記多層系での支持層は一種または複数の層の透明ポリマーフィルム、好ましくは単層のOPPまたはPEフィルムから成るのが好ましい。
多層系では単層フィルムの印刷された面が接着層と接触するのが好ましい。
【0018】
本発明の第3の対象は、支持体表面での接着剤の量が10〜70g/m2、好ましくは15〜25g/m2である上記定義の多層系を切断して得られる自己接着性ラベルにある。
【0019】
本発明の第4の対象は、インターフェロメトリック(interferometric)顕微鏡で測定した外側表面粗さRaが0.1gm以上、好ましくは1gm以上である、自己接着性ラベルで被覆された物品にある。この物品はガラスまたはプラスチック材料から成る、例えば包装物、容器またはタイヤであるのが好ましい。
【0020】
上記物品は、ブラスチックフィルムから成る支持体が透明で、自己接着性ラベルが目で見えない、自己接着性ラベルで被覆されたいわゆる「ノ−ラベルルック、no label look」とよばれる物品であるのが好ましい
【0021】
本発明の第5の対象は、下記の(a)と(b)から成る自己接着性ラベルで被覆された物品の製造方法にある:
(a) 上記定義の自己接着性ラベルを0〜50℃の間の温度で、外側表面粗さRaが0.1μm以上、好ましくは、2〜5μmとの間の好ましい粗い表面上に取付け、
(b) 必要に応じて、製造工程で物品表面上でのラベルの位置が規格外であった場合に、24時間以内に上記ラベルを手ではがし、痕跡量の接着剤も残らない状態で物品を前のステップ(a)へ戻す。
【0022】
上記方法は、自己接着性ラベルが10日以下、好ましくは1〜7日間透明であるいわゆる「ノ−ラベルルック、no label look」とよばれる物品を製造するための方法であるが好ましい。
【0023】
本発明の第6の対象は、上記定義の自己接着性ラベルの物品、好ましくはプラスチック包装材料またはタイヤの表面の被覆での使用にある。使用したラベルは、少なくとも72時間の間、ラベルが丸まって剥離(カーリング)したり、端縁が剥離(ハローイング)する現象しないのが好ましい。
【0024】
1. 接着剤組成物、配合
1.1.1 ポリマー部分(A)
本発明の接着剤組成物は20〜50重量%、好ましくは25〜45重量%のスチレン・ブロック共重合体混合物から成るポリマー部分(A)を含む。
本発明のHMPSAで使用可能なブロック共重合体は一般に60kDa〜400kDaの重量平均モル質量Mwを有し、重合された異なるモノマーのブロックから成り、下記一般式のトリブロック形状を有する:
ABA (I)
(ここで、
Aはスチレン非エラストマーブロック(またはポリスチレン)を表し、
【0025】
Bはいわゆるエラストマーブロックで、下記のものにすることができる:
(1)ポリイソプレン:このブロック共重合体はポリスチレン-ポリイソプレン−ポリスチレンの構造を有する:SISとよばれる、
(2)ポリイソプレン-ポリブタジエン:このブロック共重合体はポリスチレン-ポリイソプレン-ポリブタジエン・ポリスチレンの構造を有し、SIPSとよばれる、
(3)完全または部分的に水素化されたポリイソプレン、このブロック共重合体はポリスチレン-ポリ(エチレンプロピレン)-ポリスチレンの構造を有し、SEPSとよばれる、
(4)ポリブタジエン:このブロック共重合体はポリスチレン-ポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、SBSとよばれる、
(5)完全または部分的に水素化されたブタジエン:このブロック共重合体はポリスチレン-ポリ(エチレンブチレン)-ポリスチレンの構造を有し、SEBSとよばれる。このSEBSコポリマーは必要に応じて無水マレイン酸で化学的に変成されていてもよい。
【0026】
このスチレン・トリブロック・コポリマーは公知の任意の方法で得ることができ、商業的に入手可能である。また、一般に商業的に入手可能な製品は式 ABのジブロック化合物の組成の量帰ることができる。従って、本発明でSIS、SIBS、SEBS、SEPS SBSという用語はトリブロックとジブロックとの混合物を意味する。ジブロックの量はスチレンコポリマーの総重量を基にして0〜80重量%にすることができる。本発明のHMPSAで使用可能なトリブロック・スチレンコポリマーは、式(I)の直鎖構造の他に、放射状の構造をとることもできる。
【0027】
本本発明のHMPSAに含まれるスチレン・ブロックコポリマーはSIS、SBS、SIBS、SEBS、SEPから成る群の中から選択され、これら5つのコポリマーのファミリーに属する一つにすることかできる。スチレン・ブロックの量は広範囲に変えることができ、例えばブロックコポリマーの総重量を基にして10%〜15%にすることができる。商業的に入手可能な例としては下記が挙げられる:
(1)直鎖SIS:エクソン・モービル(Exxon Mobil)社のベクター(Vector、登録商標)4111(ジブロック含有量0%、スチレン含有量19%)、ケラト(Kraton)社のケラトン(登録商標、Kraton)D1113(ジブロック56%、スチレン16%)
(2)放射状SIS:ケラト(Kraton)社のケラトン(登録商標、Kraton)D1124(ジブロック29%、スチレン18%)、エクソン・モービル(Exxon Mobil)社のベクター(Vector、登録商標)DPX 586(ジブロック80%、スチレン18%)、
(3)SIDB:ケラト(Kraton)社のケラトン(登録商標、Kraton)MD6455(ジブロック35%、スチレン18%)、
(4)ポリマリユーヤピア(Polimeri Europa)社のユーロプレンヌソル(Europrene Sol)T166(ジブロック10%、スチレン30%)、ファイアストーン(Firestone)社のステロン(Stereon)840A、ケラトン(登録商標、Kraton)D 1118(ジブロック75%、スチレン30%)、ダイナソル(Dynsol)社のソルプレン(Solprene)1205(ジブロック100%)、
(5)SEBS:ケラトン(登録商標、Kraton)G1726(ジブロック70%、スチレン30%)。ケラトン(登録商標、Kraton)G1924(ジブロック30%、スチレン30%)は1重量%の無水マレイン酸がグラフトしたSEBSである。
【0028】
1.2 樹脂部分(B)と(C)
本発明の接着剤組成物は50〜重量80%、好ましくは55〜75重量%の液体部分(B)と固形の部分(C)とから成る樹脂部分を有する。
【0029】
部分(B)
液体部分(B)は、B+C混合物の25〜100重量%であり、最低軟化点が−10℃〜50℃の範囲、好ましくは5℃〜20℃の間で、ASTM規格E28で測定した軟化点が20℃〜50℃の間で、DSC(走査示差熱計)で−10℃〜20℃の範囲である。この液体部分は液体極性化合物から選択される一種または複数の樹脂粘着剤から成る部分(B1)を有する。これは必要に応じて、少なくとも一種の極性鉱油、好ましくはベンゾエート鉱油を含む混合物(B2)をさらに含むことができる。
【0030】
部分(B1)は一般に数平均モル質量Mnが200〜5,000の間にある樹脂粘着剤を含み、特に固形または液体の極性化合物から選択される。極性化合物の例としては天然物質のロジンまたは変成ロジン、例えば松の根から抽出されるウッドロジン、ガムから抽出されるロジン、その水素化、脱水素化、ダイマー化またはポリマー化誘導体またはグリセリンのようなモノアルコールまたはポリオールによるエステル化物が挙げられる。
【0031】
液体樹脂としてはアリゾナケミカル(Arizona Chemicals)社からの軟化点が約12℃のシルバタック(登録商標、Sylvatac) RE 12、イーストマン(Eastman)社の軟化点が約10℃のスタリベライト(Staybelite)エステル3Eが挙げられる。
【0032】
部分(B2)は少なくとも一種の極性鉱油、好ましくはベンゾエート鉱油、例えばベルシコル(Velsicol)社のベンゾフレックス(Benzoflex) 2088またはフタラートベースの鉱油、例えばダイイソノニルフタレート(Iso Nonyl Phthalate)を含む。この(B2)部分の残りは一種または複数のナフテンまたはパラフィンタイプの炭化水素無極性鉱油、例えばエッソ社のプリモル(登録商標、Primol)352のようなパラフィンまたはナフテン鉱油にすることができる。
【0033】
樹脂粘着剤(B1)として軟化温度が高い樹脂を選択した場合、軟化温度が-10℃〜50℃の間にある液体混合物を得るために、少なくとも一種の極性鉱油、例えばベンゾエート鉱油を混合することが有効である。
本発明の好ましい実施例では、部分(B1)の樹脂粘着剤は極性液体、例えば軟化温度が0℃〜50℃の間にあるロジンベースの樹脂を選択する場合、混合物中で(B2)タイプの鉱油を用いる必要はない。
【0034】
特に、ロジンまたはロジンのエステル誘導体をベースにした液体極性化合物から選択される一種または複数の樹脂粘着剤から成る液体部分(B1)が好ましく、残りを少なくとも一つのベンゾエート鉱油を含む混合物(B2)とし、それに必要に応じてナフテンまたはパラフィンタイプの一種または複数の無極性炭化水素鉱油を加えることができる。液体部分(B)はロジンまたはロジンのエステル誘導体をベース液体極性化合物から選択される一種または複数の樹脂粘着剤からなる部分(B1)のみから成るのが好ましい。
【0035】
部分(C)
固体部分(C)は(B+C)混合物の0〜75重量%、好ましくは20〜50重量%で、ASTM規格 E 28で測定した軟化点が70℃以上、好ましくは90〜150℃である樹脂粘着剤の一種または複数の極性無極性固形物から成る。
【0036】
部分(B+C)の全体は0〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、好ましくは60〜100重量%、さらには65〜95重量%の極性樹脂から成る。
【0037】
本発明組成物の部分(C)の極性固体粘着剤は一般に数平均モル質量が300〜5,000で、特に下記の中から選択される:
(1)極性樹脂、例えば、
(i) 天然物起源のロージンまたは変成ロージン、例えば松、ガムから抽出したロジン、木材の根から抽出したウッドロジン、その水素化、脱水素化、ダイマー化、ポリマー化誘導体またはモノアルコールまたはポリオール、例えばグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールのエステル化物、
(ii) 一般にフリーデルクラフト(Friedel-Crafts)触媒の存在下で例えばモノテルペン(またはピネン)、α-メチルスチレンのようなテルペン炭化水素の重合し、フェノールで変成して得られるテルペン樹脂、
後者が好ましく、HMPSAの極性樹脂を表すのが好ましい。
【0038】
(2)非極性樹脂、例えば、
(iii) 鉱油カットから得られる約5、9または10の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素混合物の水素化、重合化または(芳香族炭化水素との)共重合化で得られる樹脂
(iv) 一般にFreidel-Crafts触媒の存在下でテルペン炭化水素を重合して得られるテルペン樹脂、例えばモノテルペン(またはピネン)、天然テルペン類をベースにしたコポリマー、例えばスチレン-テルペン、α-ビニールトルエン・テルペンおよびビニールトルエン-テルペン・コポリマー。
【0039】
これらの樹脂は軟化温度が80〜150℃の間にある商業的に入手可能な下記の製品の中から選択できる:
(i) アリゾナケミカル(Arizona Chemical)社のSylvalite(登録商標) RE 100S、フランスの会社DRT社のDertoline(登録商標) G2L、Dertopoline(登録商標) CG、イーストマン(Eastman)社のForal(登録商標)AX-E、
(ii) DRT社のDertophene(登録商標)T、95℃の軟化温度と約1,120DaのMWを有するフェノールテルペン樹脂であるアリゾナケミカル(Arizona Chemical)社のSylvarez(登録商標)TP95、
【0040】
(iii) 100℃(120℃)の軟化温度と約980DaのMWとを有する芳香属化合物で変成された水素化ジクロロペンタジエン樹脂であるエクソンケミカル(Exxson Chemicals)から入手可能なEscorez (登録商標)5600(5615)、100℃の軟化温度を有するエクソンケミカル(Exxson Chemicals)のEscorez(登録商標)5400、クレイ-バレー(Cray-Valleay)社のWingtack(登録商標)Extra、イーストマン(Eastman)社のRegalite (登録商標)R5100、
(iv) 105℃の軟化点を有するスチレン-テルペン・コポリマーであるアリゾナケミカル(Arizona Chemical)社のSylvarez(登録商標) ZT 105LT、100℃の軟化点を有するクレイ-バレー(Cray-Valleay)社のNorselene(登録商標)W100。
【0041】
本発明接着組成物で使用する樹脂粘着剤は相溶性があると言われる、すなわち、樹脂粘着剤を選択したスチレンブロック共重合体(SISまたはSBS)と50%/50%配合で混合した時に均一な混合物を与える。
軟化温度が95〜130℃の樹脂粘着剤、例えばEscorez(登録商標)5600または5615が好ましい。
【0042】
1.3 他の添加剤
本発明で使用する組成物は接着組成物の0〜5重量%のポリエチレン・ホモポリマーのワックス(例えばハネウェル社のAC(登録商標))またはポリエチレンと酢酸ビニールのコポリマーのワックスをさらに含むことができる。
【0043】
さらに、本発明の組成物は0.1〜3重量%の一種または複数の安定化剤(または抗酸化剤)を含むのが好ましい。安定化剤(または抗酸化剤)は組成物を酸素、熱、光または樹脂粘着剤中に残った触媒と反応して劣化するのを保護するために導入される。これらの化合物は遊離ラジカルを閉じ込める一般に置換フェノール類である一次抗酸化剤を含み、例えばチバ(CIBA)社のIrganox 1010またはSumilizer(登録商標)GSにすることができる。一次抗酸化剤は単独またはIrganox (登録商標)PS800のような亜硫酸エステルまたはチバ(CIBA)社のTinuvin(登録商標)328のようなアミンのような紫外線安定剤やその他の抗酸化剤と一緒に使用できる。
【0044】
2. 接着組成物の製造
本発明の自己接着性ホットメルト組成物は130〜200℃の間の温度でその各成分を均一な混合物が得られるまで単に混ぜることで製造できる。非必な混合技術は当業者に周知である。
【0045】
3. 接着組成物の特性
本発明の自己接着性ホットメルト組成物は、70gベラム紙にラベルを付けた後の20分後(接着後)にベラム紙デフィブリル(defibrating)する特徴を有するような接着係数を有する永久接着剤の部類に属する。
【0046】
接着組成物はFINAT規格 no.1に従って測定したガラス上での初期剥離接着強度が2.5N /cm以上である。この接着強度は時間とともに増加し、24時間後、さらには36時間後で3N/cm以上になる。すなわち、36時間以内は、本発明接着組成物を用いて支持体に接着したラベルは支持体上に接着剤を残さずに支持体から手で分離できる。
【0047】
4. 多層系
本発明のさらに他の対象は下記から成る多層系(システム)にある:
(1)本発明の感圧性しうるホットメルト接着組成物(特にHMPSA)から成る接着層、
(2)上記接着層に隣接した無孔質で透明または不透明な物質から成る印刷可能な支持層、好ましくは一種または複数の層を有するポリマーフィルム
(3)上記接着層に隣接した保護層。
【0048】
印刷可能な支持層を被覆した接着層自体は保護層(「リリース・ライナー」とよばれ)、例えばシリコーンフィルムまたは紙から成る保護層で被覆される。得られた多層系は一般に幅が最大で2メートル、直径が1メートルの広いロールの形に巻き取られ、包装され、保存され、輸送される。
【0049】
支持層は上記接着層の面上にいわゆる「バリアー」層を有する。この層、例えばアクリルポリマー層は一般にフィルムに接着剤成分の移行を防ぎ、カーリング現象を避ける役目をする。しかし、この追加の処理はフィルム価格に無視し得ないコストを加える。
本発明の好ましい実施例では印刷可能な接着層上にバリヤー層なしに、OPPまたはPEタイプの「単層フィルム」を使用することができる。従って、ラベルの総費用を下げることができる。
【0050】
本発明のHMPSAは保護層(リリース・ライナー)上に120℃以上の温度で溶融状態で10〜70g/m2の量で塗布され、支持体の印刷面上に移されて、接着層を形成する。接着剤の量は最終支持体上に塗布する所望厚さと、目標とする支持体表面の状態とで決まる。
この塗布は公知のコーティング法、例えばリップノズル型のコーティング方法(約160〜180℃の温度)またはカーテン型(約120〜180℃の温度)で実行できる。リップ・ノズルによるHMPSAの塗布は一般に保護層上に実行され、それから全体支持層上に移される(移送塗布)。カーテン型コーティングではHMPSAをコーティング温度の関数で支持層上に直接塗布できる。
バリヤー層のない単層フィルムの場合には、接着剤が塗布される面上に印刷をすることかできる。この方法を用いると耐スクラッチング性に優れたラベルが得られる。
【0051】
5. 自己接着性ラベル
本発明はさらに、上記多層系を成形して得られる自己接着性ラベルにも関するものである。これに使用する一般的な成形方法は少なくとも一回の切断段階を含む。印刷をしていない場合には多層系の製造時に印刷可能な支持層に印刷する。切断段階後に巻き取ってラベルを貯蔵する。本発明の自己接着性ラベルの支持体表面上の接着剤量は10〜70g/m2、好ましくは15〜25g/m2である。
【0052】
6. ラベル付けした物品
本発明のさらに他の対象は上記ラベルで被覆された物品にある。本発明のラベル付き物品(包装材料または容器)はガラスまたはプラスチック材料から成るのが好ましい。プラスチック材料はポリエチレン テレフタレート(PET)る、ポリVinyl Chloride(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等から選択される。本発明の被覆物品の他の好ましい実施例は任意車両のタイヤである。
【0053】
6.1 物品の表面状態の測定
本発明では物品の外側表面状態は実施例に記載の3Dインターフェロメトリック(interferometric)顕微鏡で測定した外側表面粗さRaで定義される。
すなわち、本発明物品は、表面処理または組成物に応じて変わる種の高い表面粗度を有する。例えばプラスチック容器の場合には多くの場合、組成物中に顔料を含み、平滑表面から粗い表面までの表面粗度を有する。
【0054】
3Dインターフェロメトリック顕微鏡で測定した平滑表面材料の外側表面粗さRaは1μm以下、好ましくは0.1μm〜11μmである。平滑表面を有する最終材料の例には顔料を含まないPETから作ったビン(ボトル)がある。3Dインターフェロメトリック顕微鏡で測定した粗面を有する表面材料の外側表面粗さRaは1μm以上、好ましくは1.5μm〜5μmの間にある。粗面を有する材料の例としては着色した不透明PPボトルがある。
【0055】
ラベルを物品に付けるときには、物品表面上で気泡または空隙が残らないように表面にストレスも圧力も加えずに接着剤を広げなければならない。この欠陥は透明ラベルが見えないことが必要である最終物品を得る場合には、製造工程および輸送工程に見合った時間内に取外すことが絶対に必要である。「ウエットアウト」時間と呼ばれるこの含浸時間は使用する接着組成物の物理パラメータ、粘性、界面エネルギー、凝集力、レオロジまたは極性に依存する。
【0056】
本発明の接着組成物の「ウエットアウト」時間10日以内、好ましくは支持体の表面粗度に応じ3〜5日の間であるのが好ましい。
【0057】
上記の自己接着性ラベルを有する本発明の全ての物品では、表面粗さとは無関係に、ラベル付け前にカーリングまたはエッジ剥離の現象はなく、また、ラベル付け後の全テスト期間中に端縁剥離の現象(いわゆる「ハローイング」)もない。この利点は特にプラスチックボトルのラベル付け、ガラスボトルのラベル付け、タイヤトレッド面へのラベル付けで有利である。
【0058】
さらに、ラベルの支持層が透明なポリマーフィルムの場合には、粗度のレベルとは無関係に、物品、特にプラスチックの物品にそれを付けた時に少なくとも10日間は、自己接着性ラベルが見えなくなる「ノ−ラベルルック、no label look」であるのが好ましい。
【0059】
本発明の特に有利な実施例では、表面が非常に粗い、例えば粗度が1μm以上、好ましくは1.5〜5μmであるプラスチック物品上にラベルを付けた時でも、自己接着性ラベルは1〜7日間見えない。
【0060】
特に好ましい実施例では、ラベルを粗い支持体上に付けた場合でも、本発明接着剤は接着剤の量を減らして、15〜30g/m2、好ましくは15〜25g/m2の間にして、ラベルを保持でき、不可視性を保持することができる。
【0061】
本発明ではマーケット商品を入れた物品の表面に自己接着性ラベルを好ましく付けることができる。物品上にラベルが正しく付かなかった場合には、付けた支持体を傷付けずに、最大36時間内に、接着剤の痕跡量も残さずに、手でラベルを引き離すことができ、ラベル付き物品をリサイクルすることができる。
【0062】
7. 製造および使用方法
自己接着性ラベルを付けた物品の製造方法は以下から成る:
(a) 上記定義の自己接着性ラベルを0〜50℃の間の温度で、外側表面粗さRaが0.1μm以上、好ましくは、2〜5μmとの間の好ましい粗い表面上に取付け、
(b) 必要に応じて、製造工程で物品表面上でのラベルの位置が規格外であった場合に、24時間以内に上記ラベルを手ではがし、痕跡量の接着剤も残らない状態で物品を前のステップ(a)へ戻す。
【0063】
本発明方法は、自己接着性ラベルが10日以下、好ましくは1〜7日間透明であるいわゆる「ノ−ラベルルック、no label look」とよばれる物品を製造することができる。
【0064】
本発明のさらに他の対象は、上記定義の自己接着性ラベルの物品、好ましくはプラスチック包装材料またはタイヤの表面の被覆での使用にある。使用するラベルは少なくとも72時間内にエッジの丸まり(カーリング)または端縁の剥離現象(ハローイング)を示さないのが好ましい。
【0065】
8. 性能の価値判断
8.1. 接着組成物の粘度の測定
粘度はASTM規格 D 3236によるブルックフィールド(Brookfield) RVTタイプの粘度計で測定する。
8.2. R&B測定
固体樹脂の20℃以上の軟化点はASTM E 28の方法に従う環−球試験方法で測定する。その原理は以下のとおり:約2cmの直径を有する黄銅のリング環に溶融した被測定樹脂で満たす。室温へ冷却後、環と固体樹脂を自動温度調節されたグリセリン溶液中に水平に置き、グリセリン温度を毎分5℃だけ変化させる。約9.5mmの直径の鋼球を固体樹脂ディスクの中心に載せる。毎分5℃の速度で溶液温度を上げ、ボールの自重で25.4mmの高さから樹脂ディスクから下に落下したときの温度を軟化温度とする。
【0066】
DSC(示差走査熱量)法で測定する樹脂の軟化点は−10℃〜20℃の間にある。その原理は以下のとおり:物品の熱履歴を消した後に10℃/分の速度でサンプルの温度を上げで測定する。吸熱(上下逆)曲線を得る。溶融温度はこの曲線の極値である。
【0067】
8.3 「カール」の測定
カーリングは5mmの直径を有するガラスまたは金属のマンドレルに10cm×10cm寸法のラベルをセット従って、肉眼で測定する。保護支持体のないラベルをマンドレルに接線方向に張り付ける。直立投影面に沿ってラベルに全くストレスが加わらない状態でマンドレルを支持体に取り付ける。全体を湿分値が23℃/50%の気候施設に置き、ラベルが最初に正しく扁平であることを確認する。全体を48時間放置し、ラベルの反りをみる。反り角が約5°以下の場合、カーリングはないとする。
【0068】
8.4. ハローイングの測定
ハローイングは曲率半径が10cm(直径1cm)のボトルに7cm×10cの四角のラベルを張り、目視で判断する。ラベルは工業的条件下に自動的にカットし、ボトル上に手で付けた。ボトルを23°/50%の相対湿度で24時間保存し、40°で48時間、乾燥器に入れた。テストの終わりに端縁の剥離があるか否かも見た。
【0069】
8.5. ウエットアウト時間の測定
ウエットアウト時間は粗度が分かっているボトルと一緒に測定した。
10cm×5cmの表面ラベルを手または自動ラベル付け装置でボトルに付けた。軽い圧力を加えて気泡を除いた。ラベルを付けたボトルを23°/50%の湿分の気候施設中に保存した。24時間毎に透明度を視覚でチェックした。透明が完全担った時点でテストをやめる。ウエット時間またはウエットアウト時間を測定する。
【0070】
8.6. 接着力の測定
引剥試験
本発明のHMPSAの接着強度はFINAT規格 No.1(FINAT Technical Manual、第6版、2001)に記載の方法で、ガラス板上またはHDPE上で180℃での剥離試験評価した。このFINATは自己接着性ラベルの製造業者の国際的な連合組織である。このテストの原則は以下のとおり:HMPSAを20g/m2の量で19μmの厚さのPETフィルムから成る支持体層のOPP面上に塗布する。その厚さは2-成分ポリウレタン接着剤によって50μmに調節した。自己接着性の支持体をカットして、長方形のストリップ(25mm×175mm)形の試験片を得た。この試験片をガラス板から成る基材に取り付けた。得られた組立体を室温で20分間放置する。その後、ストリップの剥離を実行できる牽引機械または180°の角度で剥離が可能な装置に入れ、300mm/分の剥離速度で剥離し、時間を測定する。機械で上記条件下でストリップを剥離するのに必要な力を測定する。結果はN/cmで表示する。自己接着性ラベルの製造用の接着剤のガラス板上での180°剥離力は一般に2N/cmを超え、好ましくは4N/cmを超える。
【0071】
ガラス上でタック(ループタック
本発明のHMPSAの即時タック(Looptack)または粘着度はFINAT検査法のNo.9に記載のいわゆるループ瞬間接着試験で評価した。50μmの厚さを有するOPPフィルムをHMPSAで予め20g/m2の量で被覆して、175mm×25mmの長方形バンドにした。このバンドの両端を接合して、ループの形にした(接着層を外側に向ける)。接合した両端を、縦軸線に沿って300mm/分の移動速度で移動可能な牽引機械の上下方向へ移動可能な可動ジョーに取付ける。縦向に置いたループの下側部分を一辺が約25mmの正方形の面積で25mm×30mmの水平ガラス板と接触させる。接触後直ぐにジョーの移動の方向を逆にする。即時タックはループを乾板から完全に取り外すのに必要な力の最大値である。PSAのタックは一般に1N/cm2以上である。
【0072】
8.7. 粗度の測定
粗度は支持体上の光の反射による小さな凹部とバンプの形で視覚的に質的に目視できる。粗度は下記文献に記載の方法に従ってZygo New Viewのようなinterferometricな顕微鏡を使用して質的に測定できる。
【0073】
【非特許文献1】De Goot, P., Colonna de Lega X C., Kramer, J. and Turzhitsky, M (2002), ''Determination offringe order in white-light interference microscopy'', Appl. Opt, Vol. 41, pp. 4571 -4578
【0074】
この装置はその付随するソフトウェアで表面状態全体を再建し、下記文献に記載のような3DのパラメータRaの値を決定する。
【非特許文献2】Zygo New View 200 apparatus, manual Metropo 1 Reference OMP 0514A revised on 06.2005のユーザー・マニュアル
【0075】
各種支持体の場合のRa値を[表II]に示す。
【実施例】
【0076】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
実施例1
接着剤組成物の製造
均一混合物が得られるまで各成分を180℃で単純混合で加熱混合して[表1]に示す組成物を得た。この混合に必要菜方法は当業者に周知である。
[表1]に記載のCl〜C3は比較組成物である。これらの比較組成物は液体部分B中に無極性鉱油しか含まない。この場合には本発明の組成物で達成可能な非カーリング特性は得られない。すなわち、Cl、C2はFINAT1法で測定したガラス上で20分後に凝集破断(rupture cohesives)する。
【0077】
本発明組成物は[表1]にF4〜F13で示してある。
これらの組成物で実施したテストの結果は[表II]に示してある。本発明組成物は20分後および1時間後に接着破断(rupture adhesives)する。この時間は製造ラインからビンを回収し、ラベルを取外し、ビンをリサイクルするのに十分な時間である。特に、F6、F7、F8、F9、Fl1、F12の組成物は24時間以後に接着破断し、剥離時間がわずかに伸びる(約20%)。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)と(2)から成る感圧ホットメルト接着組成物:
(1)20重量%〜50重量%の下記の(i)と(ii)とから成るスチレンブロック共重合体の混合物から成るポリマー(A):
(i) 10〜100重量%の一種または複数のスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレンe-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン-ブタジエン‐スチレン(SEBS)、スチレン-イソプレンe/ブチレン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)タイプの放射状または直鎖のトリブロックコポリマー
(ii)少なくとも90重量%、好ましくは0重量%〜80重量%のスチレン-ブタジエン(SB)またはスチレン-イソプレン(SI)またはスチレン-エチレン/ブチレン(SEB)またはスチレン-イソプレンe/ブチレン(SIB)またはスチレン-エチレン/プロピレン(SEP)タイプの一種または複数のジブロック・コポリマー
混合物のスチレン単位の全含有量は35重量%以下、好ましくは10〜25重量%、
(2)50〜80重量%の下記液体部分(B)と下記固体の部分(C)とから成る樹脂部分:
液体部分(B)は(B)+(C)の混合物の25〜100重量%で、ASTM規格E 28またはDSC法で測定した最低軟化点が−10℃〜50℃の範囲、好ましくは5℃〜20℃の間で、ロジンをベースにした液体極性化合物またはロジンのエステル誘導体から選択される一種または複数の樹脂粘着剤から成る液体部分(B1)であるか、ベンゾエート鉱油から成る(B2)との混合物であり、必要に応じてナフテンまたはパラフィン・タイプの一種または複数の炭化水素無極性鉱油を追加することができ、
固体部分(C)は(B+C)の混合物の0〜75重量%で、ASTM規格 E 28で測定した軟化点が70℃以上、好ましくは90〜150℃の間で、フェノール類で変成した、フリーデル−クラフツ(Friedel-Crafts)触媒の存在下でテルペン炭化水素を重合して得た一種または複数の無極性固体またはテルペン樹脂から成る樹脂粘着剤であり、
(B)+(C)の部分は0〜40重量%、好ましくは5〜35重量%の無極性樹脂と、60〜100重量%、好ましくは65〜95重量%の極性樹脂とからなる。
【請求項2】
部分(C)の固形樹脂粘着剤を無極性樹脂から選択する請求項1に記載の接着組成物。
【請求項3】
部分(A)が接着組成物の25〜45重量%で、部分(B)+(C)が接着組成物の55〜75重量%である請求項1〜2のいずれか一項に記載の接着組成物。
【請求項4】
下記の(1)〜(3)から成る多層系:
(1)請求項1〜3のいずれか一項に記載のHMPSAから成る接着層、
(2)上記接着層に隣接した無孔質で透明または不透明な物質から成る印刷可能な支持層、
(3)上記接着層に隣接した保護層。
【請求項5】
下記の(a)〜(c)から成る多層系:
(a)下記(1)と(2)から成る感圧ホットメルト接着組成物から成る接着層:
(1)20重量%〜50重量%の下記の(i)と(ii)とから成るスチレンブロック共重合体の混合物から成るポリマー(A):
(i) 10〜100重量%の一種または複数のスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレンe-スチレン(SIS)、スチレン-エチレン-ブタジエン‐スチレン(SEBS)、スチレン-イソプレンe/ブチレン-スチレン(SIBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)タイプの放射状または直鎖のトリブロックコポリマー
(ii)少なくとも90重量%、好ましくは0重量%〜80重量%のスチレン-ブタジエン(SB)またはスチレン-イソプレン(SI)またはスチレン-エチレン/ブチレン(SEB)またはスチレン-イソプレンe/ブチレン(SIB)またはスチレン-エチレン/プロピレン(SEP)タイプの一種または複数のジブロック・コポリマー
混合物のスチレン単位の全含有量は35重量%以下、好ましくは10〜25重量%、
(2)50〜80重量%の下記液体部分(B)と下記固体の部分(C)とから成る樹脂部分:
液体部分(B)は(B)+(C)の混合物の25〜100重量%で、ASTM規格E 28またはDSC法で測定した最低軟化点が−10℃〜50℃の範囲、好ましくは5℃〜20℃の間で、ロジンをベースにした液体極性化合物またはロジンのエステル誘導体から選択される一種または複数の樹脂粘着剤から成る液体部分(B1)であるか、ベンゾエート鉱油から成る(B2)との混合物であり、必要に応じてナフテンまたはパラフィン・タイプの一種または複数の炭化水素無極性鉱油を追加することができ、
固体部分(C)は(B+C)の混合物の0〜75重量%で、ASTM規格 E 28で測定した軟化点が70℃以上、好ましくは90〜150℃の間で、フェノール類で変成した、フリーデル−クラフツ(Friedel-Crafts)触媒の存在下でテルペン炭化水素を重合して得た一種または複数の無極性固体またはテルペン樹脂から成る樹脂粘着剤であり、
(B)+(C)の部分は0〜40重量%、好ましくは5〜35重量%の無極性樹脂と、60〜100重量%、好ましくは65〜95重量%の極性樹脂とからなる。
(b)上記接着層に隣接した無孔質で透明または不透明な物質から成る印刷可能な支持層、
(c)上記接着層に隣接した保護層。
【請求項6】
上記支持層が1層または複数層を有する透明な高分子フィルム、好ましくは単一の層のOPPまたはPEフィルムから成る請求項4または5に記載の多層系。
【請求項7】
単層フィルムの印刷された面が接着層と接触している請求項6に記載の多層系。
【請求項8】
支持体表面での接着剤の量が10〜70g/m2、好ましくは15〜25g/m2である請求項4〜7のいずれか一項に記載の多層系を切断して得られる自己接着性ラベル。
【請求項9】
インターフェロメトリック(interferometric)顕微鏡で測定した外側表面粗さRaが0.1gm以上、好ましくは1gm以上である、請求項8に記載の自己接着性ラベルで被覆された物品。
【請求項10】
ガラスまたはプラスチッチ材料から成る請求項9に記載の物品、例えば包装物、容器またはタイヤ。
【請求項11】
ブラスチックフィルから成る支持体が透明で、自己接着性ラベルが目で見えない、自己接着性ラベルで被覆されたいわゆる「ノ−ラベルルック、no label look」とよばれる請求項9または10に記載の物品。
【請求項12】
下記の(a)と(b)から成る自己接着性ラベルで被覆された物品の製造方法:
(a) 請求項8に記載の自己接着性ラベルを0〜50℃の間の温度で、外側表面粗さRaが0.1μm以上、好ましくは、2〜5μmとの間の好ましい粗い表面上に取付け、
(b) 必要に応じて、製造工程で物品表面上でのラベルの位置が規格外であった場合に、24時間以内に上記ラベルを手ではがし、痕跡量の接着剤も残らない状態で物品を前のステップ(a)へ戻す
【請求項13】
自己接着性ラベルが10日以下、好ましくは1〜7日間透明であるいわゆる「ノ−ラベルルック、no label look」とよばれる物品を製造するための請求項12に記載の方法。
【請求項14】
物品の表面、好ましくは、プラスチック包装材料またはタイヤを被覆するための請求項8に記載の自己接着性ラベルの使用。
【請求項15】
少なくとも72時間の間、ラベルが丸って剥離(カーリング)したり、端縁が剥離(ハローイング)する現象しない、請求項14に記載の使用。

【公表番号】特表2011−529521(P2011−529521A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520550(P2011−520550)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000955
【国際公開番号】WO2010/012906
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(501305888)
【Fターム(参考)】