説明

自己換気型複合ポリマーフィルム

第1および第2の面を有するポリマー基材層を含み、この基材層の1つの面上にバリア層が配置されているヒートシール可能な複合フィルムであって、(i)基材層が、その内部に1つまたは複数の換気手段を有し;(ii)バリア層の厚さが、約0.05から約30μmであり;(iii)バリア層が、ポリエステル熱可塑性エラストマーを含み;(iv)ASTM D882に従って測定されたバリア層の破断点引張り伸びが、少なくとも250%である複合フィルムのオーブン用食品の包装としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理加工済みのオーブン用食品、特に電子レンジで調理可能な食品の包装に適した自己換気型複合ポリマーフィルムであって、このオーブン用食品の容器の蓋としての使用も含めたフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック容器は、食品の包装などの包装適用分野で一般的なものであり、特にインスタント食品、例えば電子レンジまたは従来型オーブンで温められる調理加工済みオーブン用食品の包装で一般的なものである。しばしば、この容器は、メタライズ(特にフラッシュメタライズ)したPETカートン用板紙など、表面に薄い金属層が堆積されたポリマー材料を含む。例えば容器は、約0.01から4.0の範囲内の光学密度にメタライズされかつカートン用板紙に積層された、PETから製造することができる。そのような容器は「サセプタ」容器と呼ばれており、例えば、特許文献1、2、3、および4に開示されている。
【0003】
調理加工済み食品のオーブン用容器には、包装された内容物の漏れおよび乾燥を防止するために、かつ、貯蔵中の昆虫、細菌、および空気媒介性の汚染物質に対する保護封止を行うために、この容器を密閉することができる蓋であって、開封時にはこの容器から容易に剥がすこともできる蓋が必要である。その他の重要な蓋の要件は、この蓋が、包装された内容物に付着すべきでないこと、およびオーブン内で発生する熱に耐え得るべきことである。容器の蓋は、通常、柔軟な基材およびヒートシール可能な層を含んだフィルムを含み、しばしば、「蓋をする」フィルムと呼ばれる。配向ポリマーフィルム、特に二軸配向ポリエステルフィルムは、蓋をするフィルム用の柔軟な基材として以前から使用されている。蓋をするフィルムを使用した密閉容器の製造では、蓋をするフィルムと容器との間の封止形成を行う。この封止は、蓋を容器の最上部に配置し、封止可能なコーティング層が容器の表面に接着するようにかつ蓋と容器との間に効果的な封止が形成されるようにこの封止可能なコーティング層を軟化または溶融させるために熱および圧力を加えることによって、形成される。特許文献5は、穿孔基材層および封止層を含んでこの封止層の材料が基材層の間隙を埋める、通気性複合フィルムを開示しており、これは使用中に、複合フィルムの両面間の差圧によって間隙の可逆的拡張が引き起こされ、それが弁として作用することによって、通常なら不透過性になる複合フィルムの通気性が可能になる。特許文献6は、ガス透過性ポリオレフィンバリアおよび封止可能な層を含む複合フィルムであって、穿孔されていてもよくまたはメッシュもしくはネットの形をしていてもよく、かつ新鮮なカット果菜の包装に適切であると言われるフィルムを開示している。穿孔層を含む、その他の任意選択でヒートシール可能な複合フィルムは、特許文献7、8、9、10、11、12に開示されている。
【0004】
調理加工済みインスタント食品に関する重要な問題は、水蒸気が、加熱調理サイクル中に食品から追い出されることである。それによって生成される水蒸気が適正に換気されない場合、圧力の蓄積によって、従来の包装、例えばフィルムの蓋の破裂および破損が生じ、包装の破片が容器内の内容物を汚染する可能性がある。フィルムの蓋は、トレーの縁部に沿って局所的に機能しなくなる可能性があり、それが、トレー内の食品の不均等な加熱調理をもたらし、また加熱調理サイクル後にトレーを取り扱う際に、トレーの縁部に沿って逃げる水蒸気によって危険が生ずる可能性がある。これを防ぐために、オーブン用調理加工済み食品容器の以前の包装では、一般に、使用者が包装に穴を開ける必要があった。しかし、食品をその容器内で温める前に穴を開ける必要があることは、しばしば忘れられ、または使用者に理解されていない。これらの問題に対処する以前の自己換気型フィルムには、特許文献13、14、および15に開示されるものが含まれる。加熱調理前に使用者が穴を開ける必要がなく;昆虫、細菌、および空気媒介性の汚染物質に対するバリアを提供し;加熱調理サイクル中に包装の外に自由に水蒸気を通過させる包装を、提供することが望ましいと考えられる。
【0005】
【特許文献1】英国特許出願公開第2280342号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0563442号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2250408号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第2046060号明細書
【特許文献5】国際公開第01/092000号パンフレット
【特許文献6】英国特許出願公開第2355956号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0358461号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第0178218号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/0187694号明細書
【特許文献10】特開平06−219465号明細書
【特許文献11】特開平06−165636号明細書
【特許文献12】特開昭54−117582号明細書
【特許文献13】国際公開第02/026493号パンフレット
【特許文献14】国際公開第03/026892号パンフレット
【特許文献15】国際公開第03/061957号パンフレット
【特許文献16】英国特許出願公開第0838708号明細書
【特許文献17】英国特許第2,024,715号明細書
【特許文献18】英国特許第1,077,813号明細書
【特許文献19】米国特許第4,333,968号明細書
【特許文献20】国際公開第02/059186号パンフレット
【特許文献21】米国特許第4,725,481号明細書
【非特許文献1】Z.RoslaniecおよびD.Pietkiewicz "Synthesis and Characteristics of Polyester-Based Thermoplastic Elastomers: Chemical Aspects", Handbook of Thermoplastic Polyesters, Stoyko Fakirov編, Vol.I, Wiley-VCH, ISBN 3-527-30113-5; 第13章; 第581〜658頁
【非特許文献2】Encyclopedia of Polymer Science and Technology, Vol.12, 第76〜177頁(1985)
【非特許文献3】K.A.Mainstone, Modern Plastics Encyclopedia, 1983〜84, Vol.60, No.10A, 第1版, 第195〜198頁(McGraw-Hill, NY)
【非特許文献4】Franz DurstおよびHans-Gunte Wagner, Liquid Film Coating (Chapman and Hall; 1997; S.F.KistlerおよびP.M.Schweizer編; 第11a章)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、調理加工済みのオーブン用食品に適した自己換気型の包装を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、第1および第2の面を有するポリマー基材層と、この基材層の1つの面に堆積されたバリア層とを含む、ヒートシール可能な複合フィルムであって、
(i)基材層が、内部に1つまたは複数の換気手段を有し;
(ii)バリア層の厚さが約0.05から約30μmであり;
(iii)バリア層が、ポリエステル熱可塑性エラストマーを含み;
(iv)ASTM D882に従って測定されたバリア層の破断点引張り強さが少なくとも約250%である;
フィルムの、オーブン用食品の包装としての使用、特に、レセプタクルをさらに含む前記包装の蓋としての使用を提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、オーブン用食品の包装、特に、フィルムを蓋として含みさらにレセプタクルを含む前記包装での、前記フィルムの自己換気型フィルムとしての使用を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、オーブン用食品を包装する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記述されるフィルムを、前記包装の少なくとも一部として、特にレセプタクルをさらに含む前記包装の蓋として提供するステップを含む。
【0010】
別の態様では、本発明は、オーブン用食品の包装を、その加熱調理サイクル中に自己換気する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記述されるフィルムを、前記包装の少なくとも一部として、特にレセプタクルをさらに含む前記包装の蓋として提供するステップを含む。
【0011】
基材は、第1および第2の面を有する。第1の面は、フィルムをそのような包装として使用した場合に最も外側にある面であり、第2の面は、最も内側にありかつ包装される物品と向き合う面である。例えば、本明細書に記述されるフィルムを、蓋をするフィルムとして使用しかつオーブン用食品のレセプタクル上に配置する場合、第2の面は、最も内側にありかつ容器と向き合う面である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の実施形態では、基材層そのものがヒートシール可能な層である。この実施形態では、バリア層は、通常は基材の第1の面上に配置される。
【0013】
第2の実施形態では、複合フィルムは、基材の第2の面上に配置された別個のヒートシール可能な層を含む。この実施形態では、ヒートシール可能な層が換気手段も含有し、このヒートシール可能な層の換気手段の位置は、基材層の換気手段の位置に対応するようになされており、実際に、ヒートシール可能な層と基材層との換気手段は同時に生成される。この実施形態では、バリア層は通常、基材の第1の面上に配置される。
【0014】
基材は、支持ベースが存在しない状態で独立して存在することが可能なフィルムまたはシートを意味する、自立型フィルムまたはシートである。基材は、任意の適切なフィルム形成材料から形成してもよい。熱可塑性ポリマー材料が好ましい。そのような材料には、エチレン、プロピレン、およびブト−1−エンなどの1−オレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、PVC、PVA、ポリアクリレート、セルロース、ならびにポリエステルの、ホモポリマーまたはコポリマーが含まれる。ポリオレフィンおよびポリエステル、特に線状ポリエステルが好ましい。複合フィルムが、追加のヒートシール可能な層を含まない場合、基材そのものがヒートシール可能である。基材は、一軸または二軸配向が好ましく、二軸配向が好ましい。
【0015】
基材としての使用に適切な熱硬化性樹脂ポリマー材料には、アクリルやビニル、ビスマレイミド、および不飽和ポリエステルなどの付加重合樹脂;尿素、メラミン、またはフェノールとの縮合物などのホルムアルデヒド縮合樹脂、シアネート樹脂、官能化ポリエステル、ポリアミド、またはポリイミドが含まれる。
【0016】
適切なポリエステルには、テレフタル酸やイソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−、または2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロ−テレフタル酸、または1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタン(任意選択でピバリン酸などのモノカルボン酸と共に)などの、1種または複数のジカルボン酸から、ならびに1種または複数のグリコール、特に脂肪族または脂環式グリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られるものが含まれる。脂肪族グリコールが好ましい。
【0017】
好ましい基材ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートから選択される。ポリエチレンテレフタレート(PET)またはそのコポリマーが特に好ましい。
【0018】
好ましいポリオレフィン基材は、ポリエチレンまたはポリプロピレンを含み、好ましくはポリプロピレンである。
【0019】
下記にて実施形態Aと呼ばれる、基材そのものがヒートシール可能な実施形態では、基材が、ヒートシール可能なポリオレフィン(好ましくはポリプロピレン)またはヒートシール可能なポリエステルを含む。
【0020】
下記にて実施形態Bと呼ばれる、複合フィルムが追加のヒートシール可能な層を含む実施形態では、基材がポリエステルを含むことが好ましい。実施形態Bでは、追加のヒートシール可能な層は、容器の面とのヒートシール結合を形成することが可能な任意の層であり、例えばポリエステルやエチレン酢酸ビニル(EVA)、または変性ポリエチレンなどのポリマー材料である。ヒートシール可能な層のポリマー材料は、これが結合される面との接着に適切な濡れが可能になるように、その粘度が十分低くなるよう十分な程度まで軟化すべきである。一実施形態では、ヒートシール層は、ポリエステル、特に、ジカルボン酸の1種または複数から得られるコポリエステル、または、本明細書で言及されるグリコールの1種または複数とのその低級アルキルジエステルを含む。
【0021】
追加のヒートシール可能な層の厚さは、一般に、基材の厚さの約1から30%の間である。典型的な場合、追加のヒートシール可能な層は、約25μmまでの厚さを有していてもよく、より好ましくは約15μmまで、より好ましくは約10μmまで、より好ましくは約0.5から6μmの間、より好ましくは約0.5から4μmの間である。一実施形態では、追加のヒートシール可能な層は、少なくとも2μmの厚さを有し、好ましくは約2から10μmの間である。
【0022】
下記において実施形態B1と呼ばれる一実施形態では、追加のヒートシール可能な層が、脂肪族グリコールおよび少なくとも2種のジカルボン酸、特に芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸およびイソフタル酸から得られたコポリエステルを含む。好ましいコポリエステルは、エチレングリコール、テレフタル酸、およびイソフタル酸から得られる。テレフタル酸成分とイソフタル酸成分の好ましいモル比は、50:50から90:10の範囲内であり、好ましくは65:35から85:15の範囲内である。好ましい実施形態では、このコポリエステルは、エチレングリコールと約82モル%のテレフタル酸および約18モル%のイソフタル酸とのコポリエステルである。
【0023】
下記において実施形態B2と呼ばれる代替の実施形態では、追加のヒートシール可能な層は、脂肪族ジオールおよび脂環式ジオールと、1種または複数の、好ましくは1種のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸から得られるコポリエステルを含む。その例には、テレフタル酸と脂肪族ジオールおよび脂環式ジオール、特にエチレングリコールおよび1,4−シクロへキサンジメタノールとのコポリエステルが含まれる。脂環式ジオールと脂肪族ジオールの好ましいモル比は、10:90から60:40の範囲内であり、好ましくは20:80から40:60の範囲内、より好ましくは30:70から35:65の範囲内である。好ましい実施形態では、このコポリエステルは、テレフタル酸と約33モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび約67モル%のエチレングリコールとのコポリエステルである。そのようなポリマーの例は、テレフタル酸、約33%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、および約67%のエチレングリコールのコポリエステルを含み、かつ常に非晶質である、PETG(商標)6763(Eastman)である。本発明の代替の実施形態では、層Bのポリマーは、エチレングリコールの代わりにブタンジオールを含んでよい。
【0024】
下記において実施形態B3と呼ばれるその他の代替の実施形態では、追加のヒートシール可能な層が、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸を含む。好ましい芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸である。好ましい脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸、アジピン酸、およびアゼライン酸から選択される。コポリエステル中に存在する芳香族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルのジカルボン酸成分に対して、好ましくは45から80モル%の範囲内であり、より好ましくは50から70モル%の範囲内、特に55から65モル%の範囲内である。コポリエステル中に存在する脂肪族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルのジカルボン酸成分に対して、好ましくは20から55モル%の範囲内であり、より好ましくは30から50モル%の範囲内、特に35から45モル%の範囲内である。そのようなコポリエステルの特に好ましい例は、(i)アゼライン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはエチレングリコールとのコポリエステル;(ii)アジピン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはエチレングリコールとのコポリエステル;(iii)セバシン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはブチレングリコールとのコポリエステルである。好ましいポリマーには、セバシン酸/テレフタル酸/ブチレングリコール(好ましくはこれらの成分を、45〜55/55〜45/100の相対モル比で、より好ましくは50/50/100の相対モル比で有する)のコポリエステルであって、ガラス転移点(Tg)が−40℃であり、融点(Tm)が117℃であるもの、およびアゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(好ましくはこれらの成分を、40〜50/60〜50/100の相対モル比で、より好ましくは45/55/100の相対モル比で有する)のコポリエステルであって、Tgが−15℃でありTmが150℃であるものが含まれる。実施形態B3では、追加のヒートシール可能な層の厚さが、好ましくは少なくとも2μmであり、典型的には約2から10μmである。
【0025】
下記において実施形態B4と呼ばれるその他の代替の実施形態では、追加のヒートシール可能な層が、エチレン酢酸ビニル(EVA)を含む。適切なEVAポリマーは、Elvax(商標)樹脂としてDuPontから得ることができる。典型的な場合、これらの樹脂は、その酢酸ビニル含量が9%から40%の範囲内であり、典型的には15%から30%の範囲内である。この実施形態では、追加のヒートシール可能な層の厚さが、好ましくは少なくとも2μmであり、典型的には約2から10μmである。
【0026】
下記において実施形態B5と呼ばれるその他の代替の実施形態では、追加のヒートシール可能な層は、1種または複数のポリ(アルキレンオキシド)グリコール、1種または複数の低分子量ジオール、および1種または複数のジカルボン酸から得られたコポリエステルを含み、したがってこのコポリエステルは、前記低分子量ジオールおよび前記ジカルボン酸から得られた3種以上(好ましくは3種)の異なるモノマー単位を含むようになる。このように、コポリエステルは、1種または複数のポリ(アルキレンオキシド)グリコールと、第1の低分子量ジオールと、第2のジカルボン酸と、第2の低分子量ジオールおよび第2のジカルボン酸から選択されてヒートシール性を付与するその他のコモノマーとを含み、このその他のコモノマーは、ジカルボン酸であることが好ましい。したがって好ましい実施形態では、コポリエステルは、前記1種または複数のポリ(アルキレンオキシド)グリコール、ジカルボン酸(好ましくは芳香族)から得られた2種以上の(典型的には2種または3種、より典型的には2種の)異なるモノマー単位、および低分子量ジオールから得られた1種または複数の(典型的には1種の)モノマー単位を含む。代替の実施形態では、コポリエステルは、前記1種または複数のポリ(アルキレンオキシド)グリコール、ジカルボン酸(典型的には芳香族)から得られた1種または複数の(典型的には1種の)異なるモノマー単位、および低分子量ジオールから得られた2種以上の(典型的には2種の)モノマー単位を含んでもよい。適切なポリ(アルキレンオキシド)グリコールは、好ましくはC2からC15、好ましくはC2からC10、好ましくはC2からC6アルキレン鎖から選択され、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、およびポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール(PTMO)から選択され、好ましくはポリエチレングリコールである。エチレンオキシド末端ポリ(プロピレンオキシド)セグメントを使用してもよい。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの混合物を使用することができるが、好ましい実施形態では、コポリエステルは、1つのタイプのポリ(アルキレンオキシド)グリコール残基しか含まない。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの平均分子量は、好ましくは少なくとも約400(典型的には少なくとも約1000)であり、かつ好ましくは約10000以下、好ましくは4500以下であり、一実施形態では約2500以下である。コポリエステル中に存在するポリ(アルキレンオキシド)グリコールの量は、好ましくはコポリエステルのグリコール分の50モル%以下であり、好ましくは45モル%以下であり、好ましくは10から40モル%の範囲内であり、一実施形態では20から40モル%の範囲内である。適切な低分子量ジオール(即ちジオールそのものが約250よりも低い分子量を有する)は、基材ポリエステルに関して上述されるものから選択され、好ましくはエチレンやプロピレン、テトラメチレングリコールなどの2〜15個の炭素原子を有する脂肪族ジオールから、好ましくはエチレンおよびプロピレングリコールから、特にエチレングリコールから選択される。そのようなジカルボン酸は、約300未満の分子量を有し(これは、酸の分子量を指し、これと均等なエステルまたはエステル形成誘導体を指すのではない)、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、および2,5−、2,6−、または2,7−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族酸、ならびにスルホン酸基が芳香族核に結合しているスルホン化芳香族ジカルボン酸から選択してもよい。好ましくは、フルホモノマーのスルホン酸基はスルホン酸塩であり、好ましくはI族またはII族の金属、好ましくはリチウム、ナトリウム、またはカリウム、より好ましくはナトリウムのスルホン酸塩である。アンモニウム塩を使用してもよい。スルホン化芳香族ジカルボン酸は、任意の適切な芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−、または2,7−ナフタレンジカルボン酸から選択してもよい。しかし、スルホモノマーの芳香族ジカルボン酸は、イソフタル酸であることが好ましい。好ましいスルホモノマーは、5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸、および4−ナトリウムスルホ−イソフタル酸である。典型的な場合、テレフタル酸やイソフタル酸などの非スルホン化芳香族ジカルボン酸を使用する。コポリエステルの調製は、当技術分野で周知の従来の方法によって、容易に実現される。下記にて実施形態B5(a)と呼ばれる一実施形態では、ジカルボン酸成分が、第1の芳香族ジカルボン酸(好ましくはテレフタル酸と、ヒートシール性を付与する第2のジカルボン酸(好ましくは芳香族であり、好ましくはイソフタル酸)と、任意選択で第3にジカルボン酸(好ましくは芳香族であり、スルホン化され、好ましくはナトリウムスルホ−イソフタル酸)とを含む。実施形態B5(a)では、第1のジカルボン酸は、好ましくは酸成分の50から90モル%(好ましくは65から85モル%、好ましくは80から85モル%)の量で存在し、第2のジカルボン酸は、好ましくは酸成分の10から50モル%(好ましくは15から35モル%、好ましくは15から20ル%)の量で存在し、第3のジカルボン酸成分は、好ましくは酸成分の0から10モル%(存在する場合には、典型的には1から6モル%)の量で存在する。典型的な場合、ジカルボン酸成分は、第1および第2のジカルボン酸しか含まない。したがって好ましい実施形態では、コポリエステルは、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール(好ましくはPEG)、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸、および任意選択でナトリウムスルホ−イソフタル酸から得られ、好ましくはポリ(アルキレンオキシド)グリコール(好ましくはPEG)、エチレングリコール、テレフタル酸、およびイソフタル酸から得られる。下記において実施形態B5(b)と呼ばれる代替の実施形態では、第2の層は、芳香族ジカルボン酸、第1の低分子量ジオール(好ましくは脂肪族ジオール、好ましくはエチレングリコールまたはブタンジオール、より好ましくはエチレングリコール)、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール、および第2の低分子量ジオール(好ましくは脂環式ジオール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノール)から得られるコポリエステルを含む。その例には、テレフタル酸と、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール、脂肪族ジオール、および脂環式ジオール、特にエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールとのコポリエステルが含まれる。第1の低分子量ジオールは、好ましくは全グリコール分の40から90モル%の量で存在し、好ましくは50から80モル%の範囲内である。第2の低分子量ジオールは、全グリコール分の10から40モル%の量で存在することが好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールは、全グリコール分の10から40モル%の量で存在することが好ましい。
【0027】
好ましくは複合フィルムは、それ自体に対して少なくとも400g/25mm、好ましくは約400g/25mmから約1000g/25mm、より好ましくは約500から約850g/25mmのヒートシール強度(周囲温度で)を示す。
【0028】
複合フィルムは、典型的な場合、標準的なAPET/CPETトレーに対して400から1800g/25mmの範囲のヒートシール強度(周囲温度)を示し、好ましくは少なくとも500、好ましくは少なくとも600、好ましくは少なくとも700、より好ましくは少なくとも800g/25mmを示す。好ましくは、APET/CPETトレーに対するコーティングされたフィルムのヒートシール強度は800〜1500g/25mmの範囲内であり、好ましくは800〜1200g/25mmである。ヒートシール強度は、フィルムをオーブン用食品の包装の蓋として使用する場合、加熱調理サイクル中にフィルムとトレーとの間のヒートシール結合が破壊されないように、またその一方で、消費者が加熱調理サイクルの終了時にトレーから蓋を剥がすことが可能になるように、十分強力であるべきである。
【0029】
基材の形成は、当技術分野で周知の従来の技法によって行ってもよい。これまで、基材の形成は、以下に示す手順に従って押出しにより行っている。一般にこの方法は、溶融ポリマー層を押し出すステップと、この押出し物を急冷するステップと、急冷した押出し物を少なくとも一方向に配向するステップとを含む。
【0030】
基材は一軸配向でもよいが、機械的および物理的性質の満足のいく組合せを実現するために、フィルムの平面内で2つの相互に直交する方向へとに引き出すことによって、二軸配向にすることが好ましい。配向は、配向フィルムを製造するための当技術分野で知られる任意の方法によって、例えばチューブラまたはフラットフィルム法によって行ってもよい。
【0031】
好ましいフラットフィルム法では、基材形成ポリエステルをスロットダイに通して押し出し、冷却した流延ドラム上で素早く急冷して、ポリエステルが非晶質状態にまで確実に急冷されるようにする。次いで、急冷した押出し物を、ポリエステルのガラス転移温度よりも高い温度で少なくとも一方向に延伸することによって、配向を行う。逐次配向は、平らな急冷済みの押出し物を、最初にフィルム延伸機内で一方向に、通常は縦方向に、即ち順方向に延伸し、次いで横方向に延伸することにより行ってもよい。押出し物の順方向延伸は、一組の回転ロール上でまたは二対のニップロール間で都合良く行われ、次いで横方向延伸がステンタ装置で行われる。あるいは流延フィルムは、二軸ステンタ内で、順方向および横方向の両方に同時に延伸してもよい。延伸は、ポリエステルの性質により決定された程度まで行い、例えばポリエチレンテレフタレートは、通常、配向フィルムの寸法がその各延伸方向において元の寸法の2から5倍、より好ましくは2.5から4.5倍になるように延伸される。典型的な場合、延伸は、70から125℃の範囲内の温度で行われる。一方向のみの配向が必要である場合、より高い延伸比(例えば約8倍まで)を使用してもよい。機械で横方向に均等に延伸することは、必要ではないが、これはバランスのとれた性質が望まれる場合に好ましい。
【0032】
延伸フィルムは、ポリエステルの結晶化を引き起こすために、ポリエステルのガラス転移温度よりも高くかつその融解温度よりも低い温度で寸法の制約の下、熱硬化によって、寸法上安定していてもよくまた寸法上安定することが好ましい。フィルムの収縮が大きな問題ではない用途では、フィルムを比較的低い温度で熱硬化してもよく、または全く熱硬化しなくてもよい。一方、フィルムを熱硬化する温度が上昇するにつれ、フィルムの引裂き抵抗は変化してもよい。したがって、実際の熱硬化温度および時間は、フィルムの組成に応じて変わることになるが、フィルムの引裂抵抗性が実質的に低下するように選択すべきではない。この制約の範囲内では、特許文献16に記載されるように、約135°から250℃の熱硬化温度が一般に望ましい。
【0033】
追加のヒートシール可能な層の形成は、従来の技法によって行ってもよい。ヒートシール可能な層の形成方法、および基材へのその利用は、ヒートシール可能な層の本性に依存することになる。従来の技法は、予備形成された基材層上へのヒートシール可能な層の流延を含む。従来、追加のヒートシール可能な層および基材の形成は、上記の実施形態B1、B2、およびB5に適切と考えられる共押出しによって行われる。ヒートシール可能な層のその他の形成方法は、基材上への、ヒートシール可能なポリマーのコーティングを含み、この技法は、上記の実施形態B3およびB4に適切と考えられる。コーティングは、グラビア印刷ロールコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティング、ビードコーティング、押出しコーティング、溶融コーティング、または静電噴霧コーティングを含めた、任意の適切なコーティング技法を使用して行ってもよい。コーティングは、「オフライン」で、即ち基材の製造中に用いられた任意の延伸および後続の熱硬化の後に実施してもよく、あるいは、「インライン」で、即ちコーティングステップは、用いられる任意の延伸操作の前、最中、間に行われる。好ましくは、コーティングはインラインで行われ、好ましくは二軸延伸操作の順方向および横方向延伸の間に行われる(「インタードロー」コーティング)。ヒートシール可能な層のコーティングの例には、ポリオレフィンおよびポリエステルの基材それぞれに対するポリオレフィンのインタードロー押出しコーティングが特許文献17および18に開示され、;ポリプロピレン基材上へのエチレン−酢酸ビニルコポリマーのインタードロー押出しコーティングが特許文献19に開示され、;および、コポリエステルのコーティングが特許文献20に開示され、これら文献の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
基材上に、追加のヒートシール可能な層を付着させる前に、基材の露出面を、望みに応じて化学的または物理的表面改質処理にかけ、それによって、表面とその後に付着される層との結合を改善することができる。例えば、基材の露出面を、コロナ放電を伴う高圧電気ストレスにかけてもよい。あるいは、一般的な有機溶媒に溶解したハロゲン化フェノールなど、例えばp−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−または2,4,6−トリクロロフェノールまたは4−クロロレゾルシノールをアセトンまたはメタノールに溶かした溶液など、基材に対して溶媒または膨潤効果を発揮するように当技術分野で知られている薬剤で、基材を前処理してもよい。
【0035】
基材は、約5から350μmの間の厚さが適切であり、好ましくは9から約150μm、特に約12から約40μmである。
【0036】
基材層の換気手段は、1つまたは複数の切込みまたは穿孔の形をとる。基材層の切込みまたは穿孔は、フィルムの厚さ全体に広がり、即ちフィルムがxおよびy次元で平面を画定する場合、切込みまたは穿孔は、z軸に実質的に沿ってフィルムの第1の面からフィルムの第2の面に至る。単位面積当たりの切込みまたは穿孔の寸法および数は、包装される食品の種類に応じて調節することができる。
【0037】
しかし、一般に、切込みの長さは約1から約50mmに及んでよい。200cm2当たり約1から約100個の切込みが存在することが好ましく、より好ましくは200cm2当たり約1から約50個の切込みが存在する。
【0038】
単一の直線状の切込みは、使用中に自己換気をもたらすことが可能である。代替の実施形態では、複数の切込みを一緒に配置することができ、これを本明細書では「一組」の切込みと呼ぶが、そのため一組の切込みは、フィルム内に1つまたは複数のフラップを生成するようになり、このフラップは、加熱調理サイクル中の密閉容器内に蓄積された圧力に応答して動くことが可能になる。
【0039】
基材の切込み、および存在する場合には追加のヒートシール可能な層は、ブレードまたはレーザを含めた任意の適切な切断方法を使用して実現してもよい。
【0040】
自己換気手段が穿孔を含む場合、平均直径は、好ましくは約0.05から約1.5mmであり、好ましくは約0.05から約1.0mm、より好ましくは約0.05から約0.7mmである。一実施形態(実施形態I;レーザ穿孔)では、穿孔が0.05から0.3mmの範囲内であり、典型的には0.05から0.1mmの範囲内である。別の実施形態(実施形態II:ホットニードルまたはガスフレーム穿孔)では、穿孔が0.1から0.5mmの範囲内であり、好ましくは約0.1から1.0mmの範囲内である。好ましくは(実施例Iの場合)、200cm2当たり(即ち20cm×10cmの寸法をとる面積全体で)約10から100000個の穿孔があり、より好ましくは、200cm2当たり約100から約10000個の穿孔がある。好ましくは(実施例IIの場合)、200cm2当たり約1から100000個の穿孔があり、より好ましくは、200cm2当たり約10から約10000個の穿孔がある。
【0041】
穿孔された基材は、約0.001から約50%の穿孔度を有することが好ましく、約0.01から約10%が好ましい。一実施形態では、穿孔度が約0.01から約50%であり、典型的には約1から50%、より典型的には約1から30%、より典型的には約1から10%である。本明細書で使用する「穿孔度」という用語は、パーセンテージで表された全表面積の穴の割合を指し、即ち全フィルム表面積に対するパーセンテージとしての穿孔の全面積である。
【0042】
基材、および存在する場合には追加のヒートシール可能な層の穿孔は、任意の適切な手段を使用して実現してもよい。レーザ光線(例えばCO2レーザ)は、0.05から0.3mmの範囲の穿孔に適切である。基材、および存在する場合には追加のヒートシール可能な層の、機械的穿孔は、ホットニードル技法(例えばIntermittent Hot Needle Perforator PX9シリーズを使用;BPM Engineering Services Ltd.英国、Rochdale)によって実現してもよく、この技法は一般に、0.1から1.5mmの範囲内、典型的には0.1から0.7mmの範囲内の穴径を有する穿孔に適切である。基材、および存在する場合には追加のヒートシール可能な層の、機械的穿孔は、ガスフレーム技法(例えば、Shermanガスフレームフィルム穿孔機を使用)によって実現してもよく、この技法は一般に、0.4mm以上の穴径を有する穿孔に適切である。
【0043】
基材の全ての切込みまたは何組かの切込みまたは穿孔は、同じか実質的に同じ寸法を有することが好ましい。切込みまたは穿孔は、基材全体にわたって存在することが好ましい。代替の実施形態では、例えばフィルムを、レセプタクルに蓋をするフィルムとして使用する場合、レセプタクルには種々の区画が存在してもよく、したがって切込みまたは穿孔は、基材のある特定の部分にのみ存在してよく、または基材の種々の部分で種々の寸法もしくは密度で存在してよい。
【0044】
切込み(または何組かの切込み)または穿孔は、規則的な形で配置されることが好ましく、典型的には基材を横断する1本または複数の線に配置される。任意の適当なパターンが使用されてよい。例えば穿孔は、立方最密配置構成または六方最密配置構成に並べてもよい。
【0045】
好ましい実施形態では、換気手段が1つまたは複数の切込みを含む。代替の実施形態では、換気手段が穿孔を含み、特にこの場合、バリア層の厚さは12μmよりも厚い。一実施形態では、穿孔された基材上のバリア層の厚さが12.1μm以上であり、好ましくは12.5μm以上、好ましくは13μm以上である。
【0046】
本明細書に記述されるフィルムを、蓋をするフィルムとして使用する場合、バリア層の機能は、輸送および貯蔵中に内部に入っている食材を腐らせると考えられる昆虫、細菌、および空気媒介性汚染物質などの外来汚染物質の、容器内への進入に対する物理的バリアを提供することである。バリア層は、食材の加熱調理中に発生した水蒸気を逃がすように、即ち蓋をした容器の自己換気が可能になるようにも適合される。
【0047】
上述のように、バリア層は、基材の第1の面に配置され、オーブン用食品のレセプタクル上に配置したときに包装の最外層を形成する。バリア層は基材の全面に拡がることが好ましい。しかし、一実施形態では、例えば基材が1つまたは複数の離散領域内にのみ切込みまたは穿孔を含む場合、バリア層は、基材の全面の端から端までは拡がらない。その実施形態では、バリア層は、これら離散領域内の基材上に付着させるだけでよい。したがってバリア層は、穿孔が並ぶ線を包含する領域において、フィルムの幅または長さの端から端までを、1つまたは複数のストリップとしてコーティングすることができる。
【0048】
バリア層は、基材の面の少なくとも一部の上に離散層を形成し、換気手段上に配置され、即ちバリア層は、実質的に換気手段内に至りまたは換気手段を満たすことがない。本明細書で使用する「実質的に換気手段内に至りまたは換気手段を満たす」という文言は、バリア層の材料が、換気手段の体積、即ち換気手段によって基材層内に形成された空隙の体積と定義される換気手段の体積の50%以下を占めること、好ましくは40%以下、好ましくは30%以下、好ましくは20%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下、好ましくは0%を占めることを意味する。
【0049】
自己換気は、加熱調理サイクル中に形成された水蒸気によって発生した圧力蓄積の結果、薄いバリア層が裂けることによって実現される。基材層中の切込みまたは穿孔は、密閉容器内に圧力の蓄積をもたらすことになる、フィルムの構造的に弱い領域である。バリア層の厚さは、加熱調理サイクル中の容器内の圧力蓄積によって発生した力が、バリア層の強度よりも大きくなるような厚さである。基材が切込みを含む場合、圧力は、バリア層が基材層内の切込みに沿って裂ける点まで蓄積され、水蒸気を逃がすことが可能になる。基材が穿孔を含む場合、同様のメカニズムが相応しく、圧力蓄積によって発生した力は、基材層により支持されていない領域、即ち穿孔領域のバリア層の破裂を引き起こす。次いで、加熱調理中に発生した水蒸気は、基材層の切込みまたは穿孔を介してフィルムに浸透してもよく、それによって容器の自己換気が可能になる。
【0050】
したがって、1つまたは複数の換気手段上のバリア層の材料は、そのバリア特性(例えば細菌、空気媒介性汚染物質、および昆虫に対する)が、例えば加熱調理サイクル中に形成された水蒸気により発生した圧力蓄積の結果として複合フィルムの両面間の圧力差によって破壊されるように、使用中に不可逆的に破裂する。
【0051】
バリア層の、ASTM D882による破断点引張り伸びの値は、少なくとも300%が好ましく、典型的には1000%以下である。好ましくは、破断点引張り伸びは250%から1000%の範囲内であり、より好ましくは250%から800%の範囲内、より好ましくは300から700%の範囲内であり、一実施形態では350から600%の範囲内である。
【0052】
バリア層は、好ましくは水中に不溶でありまたは実質的に不溶である。溶解度は、フィルムを80℃の脱イオン水に2分間浸漬したときに溶解した、バリア層の分率として測定する。したがって、完全に水不溶性のバリア層の場合、溶解した層の質量分率は0である。溶解した層の質量分率は、0.2以下であることが好ましく、好ましくは0.1以下、好ましくは0.05以下、好ましくは0.01以下であり、好ましくは0である。
【0053】
明らかにバリア層は、複合フィルムが封止機械の封止ジョーに貼り付かないようにするために、本発明のフィルムを使用するときに複合フィルムの反対側にあるヒートシール可能な面がヒートシールされる温度では、ヒートシール不能であるべきである。したがって一実施形態では、バリア層の面は、約170℃よりも低い温度で、より好ましくは約180℃よりも低い温度でヒートシール不能であるべきであり、例えば、本明細書で記述される条件下で使用されるトレー封止機(本明細書で言及される、Microseal PA 201トレー封止機など)のジョーに貼り付くべきではない。
【0054】
バリア層のポリマー材料はエラストマー性であり、これは、天然ゴムで示された弾性特性を有し、変形力が除去されたときにその元の形を取り戻すことを意味する。エラストマー性材料は、少なくとも250%の破断点伸びを有するべきである。本発明で使用されるポリエステル熱可塑性エラストマーは、当技術分野で周知である(例えば、非特許文献1参照)。エラストマーは、室温において一方の相が比較的硬質で固体であり他方の相が液体でゴム状である、ブロックコポリマー相分離系と記述してもよい。強度は、硬質相によってもたらされ、この相が存在しない場合には、ゴム状のエラストマー相が応力下で流れる可能性がある。この性質は、存在する硬質相の性質および量に依存する。軟質相および硬質相のガラス転移温度(Tg1、Tg2)および結晶質融点(Tm)は、コポリマーを特徴付けかつこれを利用する温度範囲を決定するのに使用してもよい。エラストマーを高温で処理して、硬質相を融解させ流動させる。冷却すると、硬質相は凝固し、エラストマーセグメント同士の物理的な架橋のように振る舞う。本発明で使用されるブロック(セグメント化)コポリマーは、エステル結合によって接合された、交互ランダム長配列またはセグメントを含む。剛性ブロックはポリエステルセグメントである。柔軟なブロックは、ポリエーテルセグメントを含むことが好ましい。したがって、本発明は、バリア層にポリ(エーテルエステル)コポリマーを利用することが好ましい。ポリ(エーテルエステル)コポリマーおよびその生成に関する包括的な記述は、例えば、非特許文献2中に見出すことができる。
【0055】
ポリ(エーテルエステル)コポリマーは、硬質ポリエステルセグメント(典型的にはブチレンテレフタレート(PBT)またはエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルセグメント)に、エステル結合によって接合された、交互ランダム長エラストマーセグメント(典型的にはポリ(アルキレンオキシド)単位)を含む。市販のポリ(エーテルエステル)コポリマーが、とりわけArnitel(登録商標)(DSM;オランダ)およびHytrel(登録商標)(DuPont;米国)という商標で入手可能である。ポリ(エーテルエステル)コポリマーは、下記の一般式Iを有する
【0056】
【化1】

【0057】
(式中、RおよびR1は(独立に)、脂肪族鎖(典型的にはC2からC15、好ましくはC2からC10、好ましくはC2からC6、好ましくはC2からC4、特に、好ましくはエチレン、n−プロピレン、およびn−ブチレン(テトラメチレン)から選択されたアルキレン鎖)から選択され;
Aは、1種または複数の芳香族ジカルボン酸(好ましくはテレフタル酸(TA)、イソフタル酸(IPA)、または2,6−ナフタレンジカルボン酸、より好ましくはTA)から得られた芳香環(好ましくはフェニルまたはナフチル、より好ましくはフェニル)であり;
xは、典型的には3〜40の範囲内であり;
yは、典型的には1〜30の範囲内であり;
nは、典型的には14〜35、好ましくは14〜28の範囲内である)。
【0058】
剛性ポリエステルセグメントは、典型的には商用のポリ(エーテルエステル)コポリマー中に、典型的にはブチレンテレフタレートまたはエチレンテレフタレートのようなブチレンまたはエチレン単位(R1)を含む。ポリ(エーテルエステル)コポリマーは、1種または複数の芳香族ジカルボン酸から得られた1種または複数の芳香族成分(A)を含んでもよい。複数の芳香族成分が、硬質相の結晶化度およびコポリマーの機械的性質に影響を及ぼすために使用され、典型的には酸の1種が比較的少ない量で存在する。例えばイソフタル酸単位が、大量のテレフタル酸ベースのコポリ(エーテルエステル)と組み合わせて使用されている。剛性セグメントは、種々のジオールから得られた脂肪族単位の混合物を含んでもよい。例えば、大量の1,4−ブタンジオールおよび比較的少ない量の1,4−ブチンジオールの混合物から得られたポリ(エーテルエステル)コポリマーは、価値のある有利な性質を有することが示されている。分枝状ジオールも使用されている。しかし、一実施形態では、ポリエステル剛性セグメント中の脂肪族(R1)鎖は、飽和C−C結合および/または非分枝鎖しか含有しない。
【0059】
エラストマーセグメントは、典型的な場合、ポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、またはポリ(プロピレンオキシド)(PPO)を含み、通常はPTMOまたはPEOを含む。エチレンオキシド末端ポリ(プロピレンオキシド)セグメントを使用してもよい。ポリ(アルキレンオキシド)の混合物を使用してもよく、そのような混合物は、非晶質ポリエーテル相構造を維持するのに役立てることができる。ポリ(アルキレンオキシド)の分子量は、好ましくは少なくとも約400であり、好ましくは少なくとも約1000である。分子量は、約2500未満であることが好ましい。柔軟なエラストマーセグメントの分子量は、好ましくは500から6500の範囲内であり、好ましくは500から約6000、好ましくは500から約4000の範囲内であり、一実施形態では少なくとも1000である。一実施形態では、柔軟なエラストマーセグメントの分子量が約3500未満であり、別の実施形態では約2500未満である。
【0060】
ポリ(エーテルエステル)コポリマーの合成は十分に確立されており、典型的には2つまたは3つの段階での溶融状態における段階的な縮合重合を含む。したがって合成経路は、当技術分野で普通に行われるような、(i)ジカルボン酸のジメチルエステル(例えばジメチルテレフタレート(DMT))のエステル交換、またはジカルボン酸(例えばTA)とポリエーテルグリコール(例えばPTMO)および低分子量ジオール(例えば1,4−ブタンジオール)の両方のヒドロキシル基との縮合;(ii)高温(250〜350℃)での低圧溶融重縮合;および(iii)固相での後重縮合(高分子量のポリマーが望まれる場合)である。
【0061】
一実施形態では、コポリ(エーテルエステル)は、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる特許文献21に記載されているものから選択してもよい。好ましい実施形態では、ポリ(エーテルエステル)コポリマーは、エステル結合によって頭尾結合された多数の反復長鎖エステル単位および短鎖エステル単位を有し、前記長鎖エステル単位は下記の式によって表され、
【0062】
【化2】

【0063】
前記短鎖エステル単位は下記の式によって表され
【0064】
【化3】

【0065】
(式中、Gは、少なくとも約400(好ましくは少なくとも約1000)であり好ましくは約2500未満の平均分子量を有するポリ(アルキレンオキシド)グリコールから末端ヒドロキシル基を除去した後に残された2価の基であり、ポリ(アルキレンオキシド)によってポリ(エーテルエステル)中に組み込まれたアルキレンオキシド基の量は、ポリ(エーテルエステル)の全重量に対して約20から約68重量%であり、好ましくは約25から約68重量%であり;
Rは、約300未満の分子量を有するジカルボン酸からカルボキシル基を除去した後に残された2価の基であり;
Dは、約250未満の分子量を有するジオールからヒドロキシル基を除去した後に残された2価の基である)、
前記ポリ(エーテルエステル)は、約25から約80重量%の短鎖エステル単位を含有するものである。
【0066】
当技術分野で知られるように、そのような材料からフィルムを形成するときに、可塑剤を使用してもよい。確実に均一な層にするために、そのようなポリマーを基材層上にコーティングするときには、界面活性剤は通常用いられる。
【0067】
バリア層の厚さは、約0.05から約30μmであり、好ましくは約20μm以下、好ましくは約15μm以下、好ましくは約12μm以下であり、一実施形態では約8μm以下である。典型的な場合、この厚さは0.5μm以上であり、好ましくは1μm以上、好ましくは3μm以上、好ましくは5μm以上である。一実施形態では、バリア層の厚さは1から30μmであり、好ましくは3から20μm、好ましくは5から15μmである。一実施形態では、穿孔された基材上のバリア層の厚さは、12μmよりも厚く、好ましくは12.1μm以上であり、好ましくは12.5μm以上であり、好ましくは13μm以上である。
【0068】
基材およびバリア層を含む複合フィルムは、任意の適切な技法によって形成することができ、典型的には、バリア層を基材上に(または基材とヒートシール可能な層の複合体上に)コーティングすることによって形成する。製造方法は、バリア層および基材層の本性、および/または基材層の構造に依存する。コーティングステップは、当技術分野で周知の従来の技法に従って行うことができる。コーティングステップは、例えば、グラビアコーティング(直接または間接)、スロットダイコーティング、押出しコーティング、または溶融コーティングを使用して、特に押出しコーティングによって実施することができる。基材に付着させる時点でのコーティング液の粘度は、高すぎてはならず、そうでない場合にはポリマーが適正に流動しなくなり、コーティングが難しくなって不均一なコーティング厚さになるが、逆に低すぎて、コーティング液が基材層の切込みまたは穿孔内を通過するべきではない。好ましくは、コーティング液の粘度が少なくとも0.05Pa.sである。
【0069】
スロットダイコーティングおよびグラビアコーティングは、当技術分野で周知であり、特に、コーティング液の粘度が約0.05から約10Pa.sの場合に利用可能であり、この範囲の下端ではグラビアコーティングがより適切であり、この範囲の上端ではスロットダイコーティングがより適切である。
【0070】
押出しコーティングは、非特許文献3および4に記載されている。押出しコーティング法は、一般に、中粘度または高粘度のポリマー(少なくとも50Pa.sおよび最高約5000Pa.sまで)に使用され、一般にダイと基材との間の空隙(典型的には約15cm)を用いる。コーティングされた基材を、除熱した冷却ローラと圧力負荷のかかった弾性カバーニップロールとの間に通す。典型的な場合、押出しコーティング法は、200〜300℃の範囲内およびしばしばより高い温度で行われる。
【0071】
ホットメルトコーティングまたはスロットコーティングとしても知られる溶融コーティングについては、DurstおよびWagner(同書)により記述されている。このコーティングは、一般に約260℃以下の温度(典型的には200から260℃、特に220から250℃、より特別には230から250℃)で実施される。溶融コーティング装置は、典型的には絶縁柔軟ホースを介してダイに連結された溶融機を含む。溶融機は、その基部に加熱要素を有するホッパからなり、この加熱要素が、ポリマー/接着剤を溶融状態にまで加熱する。ホッパには、溶融機が常に「補給されている」ように従来の手段によって連続的に供給され、それによって、溶融ポリマーへの空気の進入が最小限に抑えられて、溶融ポリマーの酸化が減じられる。次いで溶融ポリマーを、ホースを通して伝統的な「コートハンガ」へと送出する。伝統的な溶融コーティング法では、基材ウェブを、ローラによってダイに対して押し上げ、それによってダイと基材との間に空隙が存在しないようにする。ローラは一般に、均一なコーティング層が得られるように、ダイに十分な背圧を提供するゴムバッキングローラである。処理温度でのコーティング層ポリマーの粘度は、約50Pa.s以下であることが好ましく、少なくとも約20Pa.sであることが好ましい。
【0072】
基材が、0.1mmよりも大きい穿孔を含む場合、バリア層は、押出しコーティングによってより適切に付着される。
【0073】
コーティングの前に、上記にて示したように、複合フィルムの基材および/またはバリア層の露出面を、望みに応じて化学的または物理的な表面改質処理にかけてもよい。特に、基材層の表面張力を低下させ、かつコーティング溶液によって面に濡れをもたらすために、基材上にバリア層をコーティングする場合には、界面活性剤が好ましく、それによって均一な層が得られる。
【0074】
一実施形態では、基材とバリア層との間の離層抵抗を改善するために、接着促進層を基材の第1の面に付着させる。この実施形態では、換気手段が接着促進層にも存在する。換気手段は、基材の第1の面に対する接着促進層の付着に続いて、また基材への換気手段の組込みと同時に組み込まれる。この実施形態では、基材そのものがヒートシール可能な層でよく(上述の実施形態A)、またはその第2の面上に追加のヒートシール可能な層を含んでもよい(上述の実施形態B)。接着促進層は、当技術分野における従来の技法に従って、基材に付着させることができる。したがって接着促進層は、基材の製造中にオフラインでまたはインラインで、コーティングとして付着させることができる。あるいは接着促進層は、基材の製造中に共押出しされた層として付着させてもよい。適切な接着促進コーティングには、PVdC(典型的にはインラインまたはオフラインコーティングにより付着される)と、本明細書に開示されているようなコポリエステル(特に、本明細書で言及されるIPA含有PETコポリエステルであって、共押出しにより付着させることが好ましいと考えられるもの)が含まれる。
【0075】
本発明の別の態様によれば、
(a)第1および第2の面を有するポリマー基材層であって、任意選択でこの基材の第2の面上に配置された別個のヒートシール可能な層を有するポリマー基材層を提供するステップと、
(b)1つまたは複数の換気手段を、前記基材および存在する場合には前記別個のヒートシール可能な層に提供するステップと、
(c)基材の面上に、ポリエステル熱可塑性エラストマーを含むバリア層を提供するステップと
を含み、
このバリア層の厚さが約0.05から約30μmであり、前記バリア層の、ASTM D882による破断点引張り伸びが少なくとも250%である、
ヒートシール可能な複合フィルムの生成方法が提供される。
【0076】
ポリマーフィルムの層の1つまたは複数は、ポリマーフィルムの製造に都合良く用いられる添加剤のいずれかを、都合良く含有することができる。したがって、架橋剤、染料、顔料、ボイド形成剤、潤滑剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、UV吸収剤、熱安定剤、ブロッキング防止剤、表面活性剤、スリップ助剤、蛍光増白剤、光沢向上剤、分解防止剤、粘度改質剤、および分散安定剤などの薬剤を、必要に応じて組み込んでよい。特に、複合フィルムは、例えば粒状無機充填剤または非相溶性樹脂充填剤または2種以上のそのような充填剤の混合物でよい粒状充填剤を、含むことができる。そのような充填剤は、当技術分野で周知である。
【0077】
粒状無機充填剤には、従来の無機充填剤、特に金属またはメタロイド酸化物、例えばアルミナ、シリカ(特に、沈降または珪藻土シリカおよびシリカゲル)、およびチタニアなど、か焼チャイナクレー、およびアルカリ金属塩、例えばカルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩などが含まれる。粒状無機充填剤は、ボイド形成または非ボイド形成タイプのものでよい。適切な粒状無機充填剤は、均質にすることができ、かつ本質的に、単独の二酸化チタンや硫酸バリウムなどの単一の充填剤材料または化合物からなるものでよい。あるいは、充填剤の少なくとも一部が異質なものでよく、大部分の充填剤材料を、追加の改質成分に関連付けることができる。例えば大部分の充填剤粒子を、顔料、石鹸、界面活性剤結合剤、または充填剤がポリマー層に適合する程度を向上させまたは変化させるその他の改質剤などの、表面改質剤で処理することができる。好ましい粒状無機充填剤には、二酸化チタンおよびシリカが含まれる。
【0078】
無機充填剤は細粒にすべきであり、その体積分布メジアン粒径(体積%と粒子の直径とを対応させた累積分布曲線状で読み取った、全粒子の体積の50%に相当する、均等な球の直径−しばしば「D(v,0.5)」値と呼ばれる)は、好ましくは0.01から5μmの範囲内であり、より好ましくは0.05から1.5μm、特に0.15から1.2μmである。好ましくは無機充填剤粒子の少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%が、体積分布メジアン粒径±0.8μm、特に±0.5μmの範囲内にある。充填剤粒子の粒度は、電子顕微鏡、クールターカウンタ、沈降分析、および静的または動的光散乱によって測定することができる。レーザ光回折に基づいた技法が好ましい。メジアン粒度は、選択された粒度よりも低い粒子体積のパーセンテージを表しかつ50パーセンタイルに適した累積分布曲線をプロットすることによって決定することができる。
【0079】
層の組成成分は、従来の手法で一緒に混合してよい。例えば、層のポリマーが得られるモノマー反応体と混合することによって、あるいは成分を、タンブルまたはドライブレンドによってあるいは押出し機内で配合することによってポリマーと混合することができ、その後、冷却し、通常は顆粒またはチップに粉砕することができる。マスターバッチ技術を用いてもよい。
【0080】
好ましい実施形態では、本明細書に記述されるフィルムが光学的に透明であり、好ましくは散乱可視光の%(ヘーズ)が、標準的なASTM D1003に従って測定したときに、<10%、好ましくは<6%、より好ましくは<3.5%、特に<2%である。好ましくは、400〜800nmの範囲での全光透過率(TLT)が、標準的なASTM D1003に従って測定したときに少なくとも75%であり、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%である。この実施形態では、充填剤は、典型的には少量でしか存在せず、一般に所与の層のポリマーの0.5重量%を超えず、好ましくは0.2重量%未満である。
【0081】
使用の際、本明細書に記述されるポリマーフィルムは、インスタントまたは調理加工済みの食品、例えば電子レンジまたは従来型オーブンで温めるオーブン用の食品の、包装を提供する。フィルムは、加熱調理サイクル中に生成された水蒸気を、容器から排出させる。また自己換気フィルムは、食材の全体積にわたって均一な加熱を促進させるので有利であるが、これは、このようなタイプの適用例において既存の蓋では問題になる可能性があるものである。レセプタクルは、熱形成したトレーやボウルなどのトレーでよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルで、またはポリプロピレン、ポリスチレンで形成することができ、PVCDでコーティングすることができる。しかし、典型的な場合、オーブン用食品のレセプタクルは、APET/CPETトレー(結晶質ポリエチレンテレフタレート層の上部に非晶質ポリエチレンテレフタレート層を有する複合材料)である。その他の適切なタイプのレセプタクルには、ホイルトレー(特にアルミホイルトレー)、金属化トレー、およびPETでコーティングされたカートン紙または板紙から形成されたトレーが含まれる。特に有用なのは、金属化(特にフラッシュメタライズされた)PETカートン紙で形成されたトレーである。例えばトレーは、約0.01から4.0の範囲の光学密度に金属化されておりかつカートン紙に積層された、PETから製造することができる。一実施形態では、トレーは、特許文献1、2、または3に開示されているような材料から作製されたサセプタトレーであり、あるいは、参照により本明細書に組み込まれるこれら文書の開示に従って製造されたサセプタトレーである。
【0082】
代替の実施形態では、フィルムをそれ自体にヒートシールして、オーブン用調理加工済み食品の包装の全てを形成する。この実施形態では、封止は、フィルムの第1の部分をフィルムの第2の部分にヒートシールすることによってもたらされる。そのような封止は、従来の技法によって行われ、「フィンシール」および「オーバーラップシール」を含み、フィンシールが好ましい。食品をフィルム内に置いたら、互いに結合されることになるフィルムの2つの部分を1つに合わせて、一方のフィルム部分のヒートシール可能な面を他方のフィルム部分のヒートシール可能な面に接触させた状態にし、従来の装置を使用して温度および任意選択で圧力を加えることによりヒートシール結合を形成する。ヒートシール結合は、約110から約150℃の範囲内の温度で形成することができる。
【0083】
本発明はさらに、包装された食品、特にオーブン用食品であって、包装が、本明細書で定義されるフィルムを含む食品を提供する。
【0084】
本発明はさらに、食品、特にオーブン用食品が入っているレセプタクルと、本明細書で定義されるポリマーフィルムから形成された蓋とを含む密閉容器を提供する。密閉容器は、当業者に周知の方法により製造される。包装されることになる食品をレセプタクル内に導入すると、従来の技法および装置を使用する温度および/または圧力を使用して、ヒートシール可能なフィルムの蓋を貼り付ける。
【0085】
本発明はさらに、食品の周りの封止を機能させかつ形成する包装が、本明細書に定義された、それ自体にヒートシールされる複合フィルムである、包装され封止された食品を提供する。
【0086】
本発明はさらに、第1および第2の面を有するポリマー基材層を含み、この基材層の1つの面上にバリア層が配置されている、ヒートシール可能な複合フィルムであって、
(i)基材層が、その内部に1つまたは複数の換気手段を有し;
(ii)バリア層の厚さが約0.05から約30μmであり;
(iii)バリア層がポリエステル熱可塑性エラストマーを含み;
(iv)ASTM D882に従って測定されるバリア層の破断点引張り伸びが少なくとも250%である
複合フィルムを提供し、但し一実施形態では、換気手段が穿孔であり、バリア層の厚さが12μmよりも厚い。
【0087】
本発明はさらに、第1および第2の面を有するポリマー基材層を含み、この基材層の1つの面上にバリア層が配置されている、ヒートシール可能な複合フィルムであって、
(i)基材層が、その内部に1つまたは複数の換気手段を有し、前記換気手段は1つまたは複数の切込みを含み;
(ii)バリア層の厚さが約0.05から約30μmであり;
(iii)バリア層がポリエステル熱可塑性エラストマーを含み;
(iv)ASTM D882に従って測定されたバリア層の破断点引張り延びが少なくとも250%である複合フィルムを提供する。
【0088】
本発明はさらに、第1および第2の面を有するポリマー基材層を含み、この基材層の1つの面上にバリア層が配置されている、ヒートシール可能な複合フィルムであって、
(i)基材層が、その内部に1つまたは複数の換気手段を有し;
(ii)バリア層の厚さが、12μmよりも厚くかつ約30μmまでであり;
(iii)バリア層がポリエステル熱可塑性エラストマーを含み;
(iv)ASTM D882に従って測定されたバリア層の破断点引張り延びが少なくとも250%であり、
前記換気手段が穿孔である複合フィルムを提供する。
【0089】
下記の試験方法を、このポリマーフィルムを特徴付けるのに使用してもよい。
(i)フィルムの透明度は、ASTM D−1003−61に従いGardner XL 211視程計を使用して、フィルムの全厚を通過する全光透過率(TLT)およびヘーズ(散乱した透過可視光の%)を測定することによって評価することができる。
(ii)ヒートシール可能な層の、それ自体に対するヒートシール強度は、ポリエステルフィルムの2つのサンプルのヒートシール可能な層を1つに合わせて位置決めし、140℃で1秒間、275kPa(40psi)の圧力下で加熱することによって測定される。封止されたフィルムを室温に冷却し、封止された複合体を25mm幅のストリップに切断する。ヒートシール強度は、フィルムの層を4.23mm/秒の一定速度で引き剥がすのに、封止の単位幅当たりの線張力下で必要とされる力を測定することによって決定する。
(iii)標準的なAPET/CPETトレーに対するヒートシール強度は、下記の手順によって測定する。コーティングされたフィルムを、Microseal PA 201(Packaging Automation Ltd.英国)トレー封止機を使用して、温度180℃および圧力80psiで1秒間、コーティング層を用いて標準的なAPET/CPETトレー(例えば、Faerchplast製など)に封止した。封止されたフィルムおよびトレーのストリップ(25mm)を、封止に対して90°で切り出し、封止を引き離すのに必要とされる負荷を、クロスヘッド速度0.2m/分で作動するInstron Model 4301を使用して測定した。この手順を繰り返し、5つの結果の平均値を計算した。
(iv)離層結合強度は、下記の手順によって測定する。直定規および較正サンプルカッタ(25mm±0.5mm)を使用して、最小の長さが100mmの積相対の5つのストリップを切断する。積層された層同士の剥離を、各サンプルの一端から開始し、この積層体を、長さ方向に約40mmの距離にわたって引き剥がす。次に各サンプルを、ラバージョーフェースを備えた空気動作グリップを使用する、Instronモデル4464材料試験機を使用して試験する。クロスヘッド速度は50mm/分であった。サンプルをInstronジョーに挿入するが、このとき、一方の層が固定ジョーにクランプ留めされ、かつもう半分の層が可動ジョーにクランプ留めされた状態にして、各層の等量を各ジョーに確実に保持させることにより、積層体を均等に引き離す。装置は、10mmから50mmの間の各サンプルの平均剥離強度を記録し、積層体の結合強度を、単位がg/25mmである5つのサンプルの平均として表す。
(v)バリア層の溶解度は、フィルムを80℃の脱イオン水に2分間浸漬したときに溶解した層の割合として測定する。したがって、完全に水不溶性のバリア層の場合、溶解した層の割合は0である。手順は下記の通りである。フィルムサンプル(200cm2)を計量し、次いで80℃の脱イオン水1リットルに、2分間、撹拌しながら浸漬する。次いでフィルムサンプルを、120℃で10分間、オーブン内で乾燥する。次いで処理したフィルムサンプルの重量を測定する。次いで処理前のコーティング済みフィルムの重量がわかっているので、バリア層部分の重量を計算することができる。フィルムは、スリット/穴の被覆を評価するために、顕微鏡(Microviewer Nikon V12B−倍率50倍)を使用して検査してもよい。完全に不溶性のバリア層の場合、そのフィルムの検査では、バリア層が無傷のままでありスリットまたは穿孔が覆われたままであることが示される。部分的に可溶性のバリア層の場合、溶解した割合は0よりも大きく、穿孔またはスリットは、覆われていなくてもまたは部分的に覆われていてもよい。
(vi)自己換気は、フィルムが裂けて自己換気を開始するのに必要な時間(秒)として測定する。フィルムを、5.5バールで1秒間、160℃で、脱イオン水50cm3が入っているPETトレー(面積:16.5cm×12.5cm、深さ:3.5cm)にヒートシールする。次いで封止されたトレーを、電力900Wの電子レンジに入れ、10分間作動させる。
(vii)試験方法ASTM D882による破断点引張り伸び。バリア層を、最初にベースフィルムから引き裂くが、これは、フィルムを70℃の水に10分間浸漬することによって実現することができる。次いで引き離された層を、60℃の真空中で24時間、オーブン内で乾燥する。直定規および較正サンプルカッタ(25mm±0.5mm)を使用して、フィルム長の5つのストリップ(長さ100mm)を機械方向に沿って切断する。各サンプルを、ラバージョーフェースを備えた空気作動グリップを使用する、Instronモデル3111材料試験機を使用して試験する。温度および相対湿度(23℃、50%rh)を制御する。クロスヘッド速度(分離速度)は25mm/分である。歪み速度は50%である。これは、分離速度をグリップ間の初期距離(サンプル長)で割ることによって計算される。装置は、各サンプルの破断点伸びを記録する。破断点伸び(εB(%))は、下式の通り定義される。
εB(%)=(破断点伸長/L0)×100
(式中、L0は、グリップ間のサンプルの元の長さである。)
本発明について、基材層の切込みに関するパターン(a)から(h)を示す図1を参照しながら説明する。
【0090】
本発明を、下記の実施例によりさらに説明する。これらの実施例は、単なる例示を目的とし、上述の本発明を限定するものではないことが理解されよう。詳細の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行ってよい。
【実施例1】
【0091】
(i)基材層の製造
ポリエチレンテレフタレートを含むポリマー組成物を、テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール(82/18/100)を含むヒートシール可能なコポリエステルと共押出しし、冷却した回転ドラム上に流延し、押出し方向に、その元の寸法の約3倍に延伸した。フィルムを、温度100℃のステンタオーブンに通し、そこでフィルムを横方向に、その当初の寸法の約3倍に延伸した。二軸延伸フィルムを、従来の手段によって約230℃の温度で熱硬化した。最終的なフィルムの全厚は23μmであり;ヒートシール可能な層は、約4μmの厚さであった。次いで切込みを、真っ直ぐなブレードによって基材に形成した。切込みは線状であり、200cm2当たり2本のライン(それぞれ長さ約2cm)を含んでいた。
(ii)複合フィルムの製造
次いで、基材の非シーラント側を、コポリエステル熱可塑性エラストマー(Arnitel(登録商標)EM400;DSM、オランダ)を含んだコーティングと、240°で押出しコーティングした。押出し機の出力は15kg/時であり、樹脂がコーティングされるウェブの速度は25m/分であり、それによって12μmの乾燥コーティング厚が得られた。
【0092】
エラストマーバリア層を基材から分離し、その破断点伸びは、本明細書に記述される試験方法に従って425%と測定された。
【0093】
次いでコーティングされたフィルムを、Sentinel Heat Sealer(Packaging Industries、米国)を使用して、50mlの水が入っているPETトレーに160℃で5.5バールの圧力下、1秒間ヒートシールした。1つの切込みは、トレーに封止されたフィルム中に存在した。自己換気特性を、本明細書で述べるように試験した。スリット上のバリア層は、25〜35秒後に裂け、その後フィルムの自己換気が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1a】本発明の基材層の切込みに関するパターンを示す図である。
【図1b】本発明の基材層の切込みに関するパターンを示す図である。
【図1c】本発明の基材層の切込みに関するパターンを示す図である。
【図1d】本発明の基材層の切込みに関するパターンを示す図である。
【図1e】本発明の基材層の切込みに関するパターンを示す図である。
【図1f】本発明の基材層の切込みに関するパターンを示す図である。
【図1g】本発明の基材層の切込みに関するパターンを示す図である。
【図1h】本発明の基材層の切込みに関するパターンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の面を有するポリマー基材層を含み、前記基材層の1つの面上にバリア層が配置されているヒートシール可能な複合フィルムであって、
(i)前記基材層が、その内部に1つまたは複数の換気手段を有し;
(ii)前記バリア層の厚さが、約0.05から約30μmであり;
(iii)前記バリア層が、ポリエステル熱可塑性エラストマーを含み;
(iv)ASTM D882に従って測定された前記バリア層の破断点引張り伸びが、少なくとも250%である、
ことを特徴とする複合フィルムのオーブン用食品の包装としての使用。
【請求項2】
ASTM D882に従って測定された前記バリア層の破断点引張り伸びは、250%から1000%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記ポリエステル熱可塑性エラストマーは、ポリ(エーテルエステル)コポリマーから選択されることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記ポリエステル熱可塑性エラストマーは、ポリ(アルキレンオキシド)単位を含むポリ(エーテルエステル)コポリマーであることを特徴とする請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記ポリ(アルキレンオキシド)単位は、ポリ(テトラメチレンオキシド)(PTMO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、またはポリ(プロピレンオキシド)(PPO)から選択されることを特徴とする請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記ポリエステル熱可塑性エラストマーは、1種または複数の芳香族ジカルボン酸から得られたポリエステル単位を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
前記芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸であり、あるいは、前記ポリエステル単位が複数の芳香族ジカルボン酸から得られる場合、前記芳香族ジカルボン酸の1種がテレフタル酸であることを特徴とする請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記ポリエステル熱可塑性エラストマーは、1種または複数の脂肪族ジオールから得られたポリエステル単位を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
前記脂肪族ジオールは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、および1,4−ブタンジオールから選択され、あるいは、前記ポリエステル単位が複数の脂肪族ジオールから得られる場合、前記ジオールの1種がエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、および1,4−ブタンジオールから選択されることを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記基材層は、ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
前記基材は、ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
前記基材は、ポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
前記基材層は、ヒートシール可能な層であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
前記基材層の第2の面上には、ヒートシール可能な層が配置されていることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
前記ヒートシール可能な層は、エチレングリコール、テレフタル酸、およびイソフタル酸から得られたコポリエステルであり、好ましくは、前記テレフタル酸成分と前記イソフタル酸成分とのモル比が65:35から85:15の範囲内であり、より好ましくは約82:18であることを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記ヒートシール可能な層は、テレフタル酸、エチレングリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノールから得られたコポリエステルであり、好ましくは、1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとのモル比が30:70から35:65の範囲内であり、より好ましくは約33:67であることを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記ヒートシール可能な層は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、および化学量論量の1種または複数のグリコールから得られたコポリエステルであり、前記コポリエステル中の前記芳香族ジカルボン酸の濃度が、前記コポリエステルの全ジカルボン酸成分に対して50から55モル%の範囲内であり、前記コポリエステル中の前記脂肪族ジカルボン酸の濃度が、前記コポリエステルの全ジカルボン酸成分に対して45から50モル%の範囲内であることを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項18】
前記芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸であり、前記脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸、アジピン酸、およびアゼライン酸から選択され、前記グリコール成分はエチレンまたはブチレングリコールであることを特徴とする請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記ヒートシール可能な層は、9%から40%の範囲内の酢酸ビニル含量を有するエチレン酢酸ビニル(EVA)を含むことを特徴とする請求項14に記載の使用。
【請求項20】
前記換気手段は、1つまたは複数の切込みを含むことを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
前記自己換気手段は、長さが約1から約40mmである切込みを含むことを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
200cm2当たり1から100個の切込みを有することを特徴とする請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記自己換気手段は、約0.05から約1.5mmの平均直径を有する穿孔を含むことを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
前記自己換気手段は、200cm2当たり約1から約100000個の穿孔を含むことを特徴とする請求項23に記載の使用。
【請求項25】
穿孔された基材は、約0.001から約50%の穿孔度を有することを特徴とする請求項23または24に記載の使用。
【請求項26】
前記バリア層の厚さは、12μmよりも厚いことを特徴とする請求項23、24、または25に記載の使用。
【請求項27】
オーブン用食品の包装における自己換気フィルムとしての使用であることを特徴とする請求項1から26のいずれかに記載のフィルムの使用。
【請求項28】
前記フィルムは前記包装の蓋であり、前記包装がさらに、前記オーブン用食品のレセプタクルを含むことを特徴とする請求項1から27のいずれかに記載のフィルムの使用。
【請求項29】
(a)第1および第2の面を有するポリマー基材層と、任意選択で前記基材の前記第2の面上に配置された別個のヒートシール可能な層とを提供するステップと、
(b)前記基材、および存在する場合には前記別個のヒートシール可能な層に、1つまたは複数の換気手段を提供するステップと、
(c)前記基材の1つの面上に、ポリエステル熱可塑性エラストマーを含むバリア層を提供するステップと
を含み、
前記バリア層の厚さが約0.05から約30μmであり、ASTM D882に従って測定された前記バリア層の破断点引張り伸びが少なくとも250%であることを特徴とするヒートシール可能な複合フィルムを生成するための方法。
【請求項30】
前記バリア層は、前記基材上にコーティングされることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記包装は、請求項1から27のいずれかに記載のフィルムを含むことを特徴とする包装済み食品。
【請求項32】
前記包装は、前記食品が入っているレセプタクルと、請求項1から27のいずれかに記載のポリマーフィルムから形成された蓋とを含むことを特徴とする請求項31に記載の包装済み食品。
【請求項33】
前記包装は、それ自体にヒートシールされる請求項1から27のいずれかに記載の複合フィルムであることを特徴とする請求項31に記載の包装済み食品。
【請求項34】
前記食品は、オーブン用食品であることを特徴とする請求項31から33のいずれかに記載の包装済み食品。
【請求項35】
第1および第2の面を有するポリマー基材層を含み、前記基材層の1つの面上にバリア層が配置されているヒートシール可能な複合フィルムであって、
(i)前記基材層が、その内部に1つまたは複数の換気手段を有し;
(ii)前記バリア層の厚さが、約0.05から約30μmであり;
(iii)前記バリア層が、ポリエステル熱可塑性エラストマーを含み;
(iv)ASTM D882に従って測定された前記バリア層の破断点引張り伸びが、少なくとも250%である、
ことを特徴とするフィルム。
【請求項36】
前記換気手段は1つまたは複数の切込みを含み、前記基材および前記バリア層は、請求項2から27のいずれかに記載の通りであることを特徴とする請求項35に記載のフィルム。
【請求項37】
前記自己換気手段は、約0.05から約1.5mmの平均直径を有する穿孔を含み、前記バリア層の厚さは12μmよりも厚く、前記基材およびバリア層は、請求項2から19、24、または25のいずれかに記載の通りであることを特徴とする請求項36に記載のフィルム。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図1g】
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【図1h】
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【公表番号】特表2008−538093(P2008−538093A)
【公表日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550833(P2007−550833)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000070
【国際公開番号】WO2006/075141
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】