説明

自律走行制御装置及びそれを備えた自律走行車両

【課題】路面に基準線が描かれていない道路でも形状を認識し、更に、認識した道路形状を用いて適切な車両の走行経路を設定すること。
【解決手段】自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を支援する自律走行制御装置であって、高低差が所定値以上の位置を検出し、検出した位置に基づいて道路形状を認識する道路形状認識部と、道路形状認識部によって認識された道路形状を用いて走行経路を設定する走行経路設定部12とを備え、走行経路設定部12は、道路形状認識部によって認識された道路の両端の間に複数の走行経路候補を設定する候補設定部31と、複数の走行経路候補の各々について、路面の凹凸、路面の斜度、経路の曲率、及び経路の曲率変化のうち、少なくともいずれか一つに基づいてスコアを作成するスコア作成部32と、スコア作成部32によって作成されたスコアに基づいて、複数の走行経路候補の一つを走行経路として特定する経路決定部33とを具備する自律走行制御装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行制御装置及びそれを備えた自律走行車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自律走行を支援する装置として、車両に設置されたCCDカメラなどの撮像装置によって車両前方を撮影し、取得した画像を処理することで道路の白線を検出し、この白線を用いて道路形状を認識する道路形状認識装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−314623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来の道路形状認識装置は、路面に描かれた白線などの基準線を必要とするため、路面に白線等が存在しない道路、例えば、白線が描かれていない狭い道路やオフロード等を認識することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、路面に基準線が描かれていない道路でも形状を認識し、更に、認識した道路形状を用いて比較的走り易い走行経路を設定することのできる自律走行制御装置及びそれを備えた自律走行車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を支援する自律走行制御装置であって、高低差が所定値以上である位置を検出し、検出した該位置に基づいて道路形状を認識する道路形状認識手段と、前記道路形状認識手段によって認識された道路形状を用いて走行経路を設定する走行経路設定手段とを備え、前記走行経路設定手段は、前記道路形状認識手段によって認識された道路の両端の間に複数の走行経路候補を設定する候補設定手段と、複数の走行経路候補の各々について、路面の凹凸、路面の斜度、経路の曲率、及び経路の曲率変化のうち、少なくともいずれか一つに基づいて走り易さを反映したスコアを作成するスコア作成手段と、前記スコア作成手段によって作成されたスコアに基づいて、複数の走行経路候補の一つを走行経路として決定する経路決定手段とを具備する自律走行制御装置を提供する。
【0007】
例えば、道路の両側には路肩が設けられていることがよくあり、また、舗装されていない山道などのオフロードなどでも車両が走行する道とその両脇とは高さが異なっていたり、木々が存在したりすることが多い。従って、本発明は、上述のような道路の両端における高低差に着目し、この高低差に基づいて道路の形状を認識するという技術思想に基づいている。すなわち、本発明では、車両周辺において、高低差が所定値以上の位置を検出し、該位置に基づいて道路形状を認識する。これにより、白線などの基準が描かれていないような狭い道やオフロードなどにおいても道路形状を認識することが可能となる。更に、本発明では、認識した道路形状において、その道路の両端の間に複数の走行経路候補を設定し、各走行経路候補において路面の凹凸、路面の斜度、経路の曲率、経路の曲率変化のうちの少なくとも一つに基づいてスコアを作成して、そのスコアに基づいて走行経路を決定する。これにより、比較的走行しやすい走行経路を自律走行車両に与えることができる。
【0008】
上記自律走行制御装置において、前記スコア作成手段は、前記走行経路候補毎に路面高低差を算出し、該路面高低差に基づいて凹凸スコアを作成する凹凸スコア作成手段を具備することとしてもよい。
【0009】
このように、路面高低差に基づいて凹凸スコアを作成し、この凹凸スコアに基づいて走行経路を決定するので、路面の凹凸の少ない走り易い走行経路を選ぶことが可能となる。
【0010】
上記自律走行制御装置において、前記スコア作成手段は、前記走行経路候補毎に路面の最高高さと最低高さとを抽出し、抽出した該最高高さと最低高さとの差分をその間の距離で除算して路面の斜度を算出し、算出した斜度に基づいて斜度スコアを作成する斜度スコア作成手段を具備することとしてもよい。
【0011】
このように、路面の斜度に基づいて斜度スコアを作成し、この斜度スコアに基づいて走行経路を決定するので、斜度の緩やかな走り易い走行経路を選ぶことが可能となる。
【0012】
上記自律走行制御装置において、前記スコア作成手段は、前記走行経路候補毎に最大曲率を算出し、算出した最大曲率に基づいて曲率スコアを作成する曲率スコア作成手段を具備することとしてもよい。
【0013】
このように、各経路の最大曲率に基づいて曲率スコアを作成し、この曲率スコアに基づいて走行経路を決定するので、カーブの緩い走り易い走行経路を選ぶことが可能となる。
【0014】
上記自律走行制御装置において、前記スコア作成手段は、前記走行経路候補毎に最大曲率変化を算出し、算出した最大曲率変化に基づいて曲率変化スコアを作成する曲率変化スコア作成手段を具備することとしてもよい。
【0015】
このように、各路面の最大曲率変化に基づいて曲率変化スコアを作成し、この曲率変化スコアに基づいて走行経路を決定するので、カーブの緩い走り易い走行経路を選ぶことが可能となる。
【0016】
本発明は、上記いずれかに記載の自律走行制御装置を搭載し、該自律走行制御装置によって設定された走行経路に従って走行する自律走行車両を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、路面に基準線が描かれていない道路でも形状を認識し、更に、認識した道路形状を用いて比較的走り易い走行経路を設定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る自律走行車両の概略構成を示したブロック図である。
【図2】道路形状認識部の概略構成を示したブロック図である。
【図3】点列取得部について説明するための図である。
【図4】点列取得部の測定領域について説明するための図である。
【図5】図2に示した点列取得部によって取得される点列について説明するための図である。
【図6】図5に示されるような周辺環境において点列取得部によって取得される点列の一例を示した図である。
【図7】図6に示した点列において、点列抽出部によって抽出される点列について説明するための図である。
【図8】形状特定部によって特定された道路形状の一例を示した図である。
【図9】走行経路設定部の概略構成を示した図である。
【図10】走行経路候補の一例を示した図である。
【図11】スコア作成部の概略構成を示した図である。
【図12】凹凸スコアについて説明するための図である。
【図13】斜度スコアについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る自律走行制御装置及びそれを備える自律走行車両の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、自律走行車両の概略構成を示したブロック図である。図1に示すように、自律走行車両1は、自律走行制御装置10を備えている。自律走行制御装置10は、自律走行車両1の自律走行を制御する装置であって、車両周辺において高低差が所定値以上の位置を検出し、検出した位置情報を用いて道路形状を認識する道路形状認識部11と、道路形状認識部11によって認識された道路形状を用いて走行経路を設定する走行経路設定部12とを主な構成として備えている。
【0020】
道路形状認識部11は、図2に示すように、車両周辺の環境情報を点列として取り込む点列取得部21と、点列取得部21によって取得された複数の点列の中から距離変化が所定の閾値以上である点列を抽出する点列抽出部22と、抽出された点列から道路形状を特定する形状特定部23とを備えている。
【0021】
点列取得部21として、例えば、レーザレーダ21aを採用することができる。レーザレーダ21aは、例えば、図3に示すように、自律走行車両1の前面部の所定の高さ位置に設けられており、水平方向に向けてレーザビームL1を射出する。レーザレーダ21aを車両の高さ方向軸周りに回転させることにより、図4に示すように、車両の進行方向において円弧状にレーザビームL1が走査され、車両周辺における障害物を検出することが可能となる。すなわち、レーザビームL1の射出方向上に物体があればレーザビームL1はそこで反射されて戻ってくるので、各レーザビームL1を射出してから戻ってくるまでの時間を計測することにより、物体までの距離rを認識することができる。物体までの距離rとそのときの射出角度θとを対応付けて取得することにより、車両周辺の環境を知ることができる。
【0022】
また、車両の上部には、路面に向けてレーザビームL2を射出するレーザレーダ21bが設けられている。レーザレーダ21bが車両の高さ方向軸周りに回転することにより、車両周辺の路面の凹凸状況などを知ることができる。
レーザレーダ21aによって取得された点列(rn,θn)は点列抽出部22に出力され、レーザレーダ21bによって取得された点列は、後述する走行経路設定部12に出力されて、走行経路を決定する際に使用される。
【0023】
点列抽出部22は、レーザレーダ21aによって取得された点列のうち、距離変化が所定の閾値よりも大きい点列を抽出する。距離の変化が閾値よりも大きい点列の抽出は、以下の(1)式に示すように、一次微分の絶対値が所定の閾値以上である点列を抽出する方法、または、(2)式に示すように、二次微分の絶対値が所定の閾値以下となる点列を抽出する方法を採用することができる。
【0024】
Δr=rn+1−r |Δr|>rref (1)
【0025】
Δr=−rn−1+2r−rn+1 |Δr|<rref (2)
【0026】
例えば、図5に示すような周辺環境においてレーザレーダ21aがレーザビームL1を射出した場合、図6に示すような点列が得られる。図6において、縦軸は物体までの距離(r)、横軸はレーザレーダ21aの水平方向における回転角度(θ)を示している。図5、図6に示すように、路肩や樹木がある部分においては、レーザビームL1はそこで反射されて戻ってくるため他の部分よりも距離rが短くなっている。図7は、図6に示した点列に対して(1)式に基づく座標抽出方法を適用した結果を示したグラフである。図7から図5に示された路肩の部分と樹木の部分の点列が抽出されることがわかる。
なお、本実施形態では、所定の高さ位置に設置したレーザレーダ21aにより得られる点列に基づいて高低差が所定値以上である位置を簡易的に抽出することとしたが、これに代えて、例えば、レーザレーダから射出されるレーザビームを高さ方向においても走査させることで、車両周辺の状況を立体的に捉え、これらの点列から高低差が所定値以上になる位置を抽出することとしてもよい。このように、車両周辺の状況を3次元的に捉えることで、より詳細に周囲の状況を把握することが可能となる。
このように抽出された点列は、形状特定部23に出力される。
【0027】
形状特定部23は、GPS等による現在の車両位置を用いて、点列抽出部22から入力された距離rと回転角度θからなる点列(rn,θn)を3次元座標(xn,yn,zn)に変換する。続いて、3次元座標(xn,yn,zn)における高さ方向における情報であるz座標を無視し、2次元座標(xn,yn)をXY座標空間に投影する。次に、XY座標空間上の点群(xn,yn)に対して、公知の曲線フィッティングを適用することにより、点群から曲線を生成し、道路形状を特定する。
曲線モデルは、直線、円弧、スプライン曲線、ベジェ曲線などの任意のモデルを用いることができる。フィッティング手法は、最小二乗法や、最小メジアン法、RANSAC、M推定法等のロバスト推定法などを用いることが可能である。ロバスト推定法を用いることで、レーザレーダ21aのセンサ計測値の誤差に対してロバストなフィッティングが可能となる。
曲線フィッティングは、車両位置を基準として進行方向左側の点群と、右側の点群とでそれぞれ個別に行う。あるいは,曲線モデルを平行な直線、二重円弧等,右側の点群と左側の点群を一度にフィッティングできる曲線モデルを用いてもよい。これにより、図8に示すように、点群から道路形状が特定される。
【0028】
形状特定部23において特定された道路形状を示す曲線情報は、図1に示した走行経路設定部12に入力される。
走行経路設定部12は、道路形状認識部11の形状特定部23から入力された道路形状を表わす曲線情報及びレーザレーダ21bによって取得された点列から得られる路面情報などに基づいて、道路上に走り易い走行経路を設定する。
【0029】
具体的には、走行経路設定部12は、図9に示すように、道路形状認識部11によって認識された道路の両端の間に複数の走行経路候補を設定する候補設定部31と、複数の走行経路候補の各々について、走行経路の路面の凹凸、斜度、曲率、及び曲率変化に基づいてスコアを作成するスコア作成部32と、スコア作成部32によって作成されたスコアに基づいて、複数の走行経路候補の一つを走行経路として特定する経路決定部33とを備えている。
【0030】
候補設定部31は、道路形状認識部11から入力された道路形状の曲線情報を用いて道路を内挿することで、複数の走行経路候補を設定する。例えば、道路を幅方向に等分割するような走行経路候補を作成する。このとき、道路がスプライン曲線、ベジェ曲線などの曲線モデルで表わされている場合には、制御点などの情報を用いて道路幅が等分割されるような走行経路候補を作成してもよい。図10は、図8に示した道路形状における走行経路候補の一例を示した図である。
【0031】
スコア作成部32は、図11に示すように、候補設定部31によって設定された各走行経路候補において、路面の凹凸に基づく凹凸スコアを作成する凹凸スコア作成部41と、路面の斜度に基づく斜度スコアを作成する斜度スコア作成部42と、経路の曲率に基づく曲率スコアを作成する曲率スコア作成部43と、経路の曲率変化に基づく曲率変化スコアを作成する曲率変化スコア作成部44とを備えている。
【0032】
凹凸スコア作成部は、それぞれの走行経路候補上にグリッドを設定し、各グリッドに路面の高さ情報を与える。図12は、カーブを描いている走行経路候補上にグリッドを設定した例を示している。路面の高さ情報は、レーザレーダ21bによって得られた点列から得ることができる。ここで、一つのグリッド内に複数の点列が存在し、複数の路面の高さ情報が存在した場合には、それらの平均値、または、最大値、あるいは最小値を用いる。平均値、最大値、あるいは最小値を採用するかについては、予め規則を決めておけばよい。
【0033】
次に、凹凸スコア作成部41は、各走行経路候補において、隣接するグリッド間における路面の高低差を順次算出する。凹凸スコア作成部41は、路面高低差とスコアとが対応付けられた凹凸スコア表を保有しており、この凹凸スコア表から算出した高低差に対応するスコアを取得する。ここで、スコア表は、例えば、高低差が大きいほど大きな値が設定されている。すなわち、走りにくい道路状況であるほど、高いスコアが設定されている。凹凸スコア作成部41は、走行経路候補の始点から終点まで辿りながらそれぞれのグリッドに順番にスコアを付け、その中で最も高いスコアをその走行経路候補の凹凸スコアとして設定する。
【0034】
斜度スコア作成部42は、図13に示すように、上述した凹凸スコア作成部41と同様に、各走行経路候補上にグリッドを設定し、各グリッドに路面の高さ情報を与える。続いて、斜度スコア作成部42は、各走行経路候補において、連続する3つのグリッドを指定し、指定した連続する3つのグリッドにおいて路面の最高高さと最低高さとを抽出し、抽出した最高高さと最低高さとの差分をその間の距離で除算して道路の斜度を算出する。斜度スコア作成部42は、斜度とスコアとが対応付けられた斜度スコア表を保有しており、算出した斜度に対応するスコアを斜度スコア表から取得する。ここで、斜度スコア表は、例えば、斜度が大きいほど大きな値が設定されている。すなわち、走りにくい道路状況であるほど、高いスコアが設定されている。斜度スコア作成部42は、走行経路候補の始点から終点まで順番に連続する3つのグリッドを指定し、それぞれ斜度スコアを付けていき、その中で最も高いスコアをその走行経路候補の斜度スコアとして設定する。
【0035】
曲率スコア作成部43は、走行経路候補毎に、その走行経路候補の始点から終点まで辿り、最大曲率を算出する。曲率スコア作成部43は、曲率とスコアとが対応付けられた曲率スコア表を保有しており、算出した最大曲率に対応する曲率スコアを曲率スコア表から取得し、取得したスコアをその走行経路候補の曲率スコアとして設定する。ここで、曲率スコア表は、例えば、曲率が大きいほど大きな値が設定されている。すなわち、走りにくい道路状況であるほど、高いスコアが設定されている。
【0036】
曲率変化スコア作成部44は、走行経路候補毎に、その走行経路候補の始点から終点まで辿り、最大曲率変化を算出する。例えば、曲率の微分値の絶対値が最も大きい値を最大曲率変化として得る。曲率スコア作成部44は、曲率変化とスコアとが対応付けられた曲率変化スコア表を保有しており、算出した最大曲率変化に対応する曲率スコアを曲率変化スコア表から取得し、取得したスコアをその走行経路候補の曲率変化スコアとして設定する。ここで、曲率変化スコア表は、例えば、曲率変化が大きいほど大きな値が設定されている。すなわち、走りにくい道路状況であるほど、高いスコアが設定されている。
【0037】
このようにして、各走行経路候補において、凹凸、斜度、曲率、曲率変化におけるそれぞれのスコアが設定されると、経路決定部33はこれらのスコアに基づいて最も走り易い走行経路候補を走行経路として決定する。例えば、経路決定部33は、凹凸スコア、斜度スコア、曲率スコア、曲率変化スコアの合計が最小となる走行経路候補を最も走りやすい経路であると判断して、走行経路として特定する。
【0038】
走行経路設定部12によって走行経路が設定されると、走行経路の情報は、例えば、自律走行車両が備える車両走行制御部(図示略)に与えられる。これにより、車両走行制御部によってオートステアリングなどが制御されることにより、走行経路に沿った自動走行が実現される。なお、自動走行については、公知の技術であるので、説明を省略する。
【0039】
次に、上述した自律走行車両1の作用について説明する。
まず、レーザレーダ21a、21bによってレーザビームL1、L2がそれぞれ射出されることにより、車両周辺における物体の存在や路面状況を示す点列(rn,θn)が取得される。レーザレーダ21aによって取得された点列は点列抽出部22に、レーザレーダ21aによって取得された点列は走行経路設定部12にそれぞれ出力される。
点列抽出部22では、レーザレーダ21aによって取得された点列のうち、距離rの変化が所定の閾値よりも大きい点列が抽出されて、形状特定部23に出力される。形状特定部23では、点列抽出部22から入力された点列を用いて曲線フィッティングが行われ、道路形状が特定される。
【0040】
道路形状特定部23によって特定された道路形状を示す曲線情報は、走行経路設定部12に与えられる。走行経路設定部12では、候補設定部31において、道路形状認識部11によって認識された道路の両端の間に複数の走行経路候補が設定され、スコア作成部32において各走行経路候補のスコアが作成される。各走行経路候補のスコアは経路決定部33に入力され、これらのスコアに基づいて一つの走行経路候補が走行経路に決定される。
【0041】
走行経路設定部12によって設定された走行経路は、車両走行制御部に与えられ、この走行経路に基づいて車両のオートステアリング等が制御されることにより、走行経路に沿った自動走行が実現される。
【0042】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る自動走行制御装置及びそれを備えた自律走行車両によれば、道路形状認識部11が高低差が所定値以上である位置を検出し、検出した位置から道路形状を認識するので、白線などが描かれていない狭い道路やオフロードなどであっても、道路形状を認識することが可能となる。また、認識した道路における路面の状況、経路の曲がり状況などに基づいて道路上に比較的走り易い走行経路を設定するので、自律走行車両の走行性能を安定させることが可能となる。
【0043】
なお、本実施形態では、スコア作成部32において、凹凸、斜度、曲率、曲率変化の4つに基づいてそれぞれスコアを作成したが、この例に限定されず、少なくともこれら4つのうちの一つを用いてスコアを作成することとしてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、水平方向にレーザビームL1を射出するレーザレーダ21aによって車両周辺の環境状況を取得していたが、これに代えて、例えば、車両の上部に全周囲レーザレーダを設置し、3次元的に周囲の環境情報を取得し、取得した3次元の座標情報に基づいて道路形状を認識することとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 自律走行車両
11 道路形状認識部
12 走行経路設定部
21 点列取得部
21a,21b レーザレーダ
22 点列抽出部
23 形状特定部
31 候補設定部
32 スコア作成部
33 経路決定部
41 凹凸スコア作成部
42 斜度スコア作成部
43 曲率スコア作成部
44 曲率変化スコア作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能な車両に搭載され、該車両の自律走行を制御する自律走行制御装置であって、
高低差が所定値以上である位置を検出し、検出した該位置に基づいて道路形状を認識する道路形状認識手段と、
前記道路形状認識手段によって認識された道路形状を用いて走行経路を設定する走行経路設定手段と
を備え、
前記走行経路設定手段は、
前記道路形状認識手段によって認識された道路の両端の間に複数の走行経路候補を設定する候補設定手段と、
複数の走行経路候補の各々について、路面の凹凸、路面の斜度、経路の曲率、及び経路の曲率変化のうち、少なくともいずれか一つに基づいて走り易さを表わすスコアを作成するスコア作成手段と、
前記スコア作成手段によって作成されたスコアに基づいて、複数の走行経路候補の一つを走行経路として決定する経路決定手段と
を具備する自律走行制御装置。
【請求項2】
前記スコア作成手段は、前記走行経路候補毎に路面高低差を算出し、該路面高低差に基づいて凹凸スコアを作成する凹凸スコア作成手段を具備する請求項1に記載の自律走行制御装置。
【請求項3】
前記スコア作成手段は、前記走行経路候補毎に路面の最高高さと最低高さとを抽出し、抽出した該最高高さと最低高さとの差分をその間の距離で除算して路面の斜度を算出し、算出した斜度に基づいて斜度スコアを作成する斜度スコア作成手段を具備する請求項1または請求項2に記載の自律走行制御装置。
【請求項4】
前記スコア作成手段は、前記走行経路候補毎に最大曲率を算出し、算出した最大曲率に基づいて曲率スコアを作成する曲率スコア作成手段を具備する請求項1から請求項3のいずれかに記載の自律走行制御装置。
【請求項5】
前記スコア作成手段は、前記走行経路候補毎に最大曲率変化を算出し、算出した最大曲率変化に基づいて曲率変化スコアを作成する曲率変化スコア作成手段を具備する請求項1から請求項4のいずれかに記載の自律走行制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の自律走行制御装置を搭載し、該自律走行制御装置によって設定された走行経路に従って走行する自律走行車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−83892(P2012−83892A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228505(P2010−228505)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】