説明

自由空間WDM信号検出器

システム(100)は、複数の搬送波周波数を有する光信号(118)を生成する送信機(114)と、送信機(1140から自由空間によって隔てられた受信機(116)とを含み、自由空間を通って光信号(118)は伝搬する。受信機(116)は、複数タイプの検出器のアレイ(200)を含み、前記タイプは、搬送波周波数をそれぞれ有する光を検出することが可能なタイプである。光信号(118)が検出器アレイに入射する場所である入射エリア(220)の位置は一般に、送信機(114)に対する相対的な受信機(116)の位置決めの誤差によって変わるが、検出器アレイ(200)において検出器は、各タイプの少なくとも1つの検出器が、入射エリア(220)が検出器アレイ(200)上のどこであるかとは無関係に、光信号(118)からの光を検出するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
波長分割多重(WDM)光信号を使用するシステムは、データを複数のデータチャネルに分割し、各データチャネルを、異なる周波数を有する単色光搬送波上に符号化することができる。その後、それらの単色光搬送波は、単一のビームとして結合され、それよって、単一の光学系を通して伝送可能な、例えば、同じ光ファイバ上を伝送可能なWDM信号が形成される。従って、複数の光搬送波周波数を使用した伝送は、同じデータ符号化技術を単色ビームにおいて使用するシステムに比べて、光学系のデータ伝送帯域幅を増加させることができる。
【0003】
WDM信号の受信機は一般に、搬送波周波数の差を使用して、個々の周波数成分を隔離、又は分離する。次に、個々の信号を復号し、受信データを抽出することができる。一般に、そのような復号には、分離された周波数成分に対応する電気信号を生成するフォトダイオード、又は同様の光検出器が使用され、電気信号は、従来の電子回路を使用して操作、又は処理することができる。
【0004】
自由空間光通信によれば、送信機から受信機へと光信号を伝送する光ファイバ、又は光導波路の複雑さ、及びコストを回避することができる。しかしながら、送信機と受信機との間の自由空間距離が原因で、位置決めは一般に、より難しくなる。従って、自由空間光通信には、そのような位置決め誤差を許容するシステムが望ましく、または必要とされている。従って、WDM光通信のための位置決めに寛容なシステムは、広いデータ帯域幅を有し、かつ光ファイバ、又は光導波路を必要としないものであることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、波長分割多重光信号の検出器は、複数タイプの検出器のアレイを含む。異なるタイプの検出器は、波長多重化された光信号の種々の搬送波周波数をそれぞれ有する光を検出する機能を有する。検出器はさらにアレイを成すように構成され、アレイ上における、波長多重化された光信号の入射面積がいかなるものであっても、各タイプの少なくとも1つの検出器に対し、検出可能な量の光が提供されるように構成される。検出器のタイプにそれぞれ対応するチャネル電子回路ユニットは、対応するタイプの全ての検出器に接続され、十分な光を受け取る検出器から信号が出力される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、システムは、複数の搬送波周波数を有する光信号を生成する送信機と、送信機から自由空間によって隔てられた受信機とを含み、光信号は、自由空間を通って伝搬する場合がある。受信機は、複数タイプの検出器のアレイを含み、前記タイプは、搬送波周波数をそれぞれ有する光を検出することが可能なタイプである。光信号が検出器に入射する場所である入射エリアの位置は、一般に、送信機に対する受信機の相対的な位置決め誤差によって変わるが、検出器アレイ内の検出器は、入射エリアが検出器アレイ上のどこにあるかとは無関係に、各タイプの少なくとも1つの検出器が、光信号から光を検出するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による、自由空間波長分割多重光通信を使用するサーバシステムを示す図である。
【図2A】自由空間波長分割多重通信のための本発明の種々の実施形態による検出器アレイを示す平面図である。
【図2B】自由空間波長分割多重通信のための本発明の種々の実施形態による検出器アレイを示す平面図である。
【図2C】自由空間波長分割多重通信のための本発明の種々の実施形態による検出器アレイを示す平面図である。
【図3A】図2A、図2B、又は図2Cの検出器アレイでの使用に適した検出器を示す図である。
【図3B】図2A、図2B、又は図2Cの検出器アレイでの使用に適した検出器を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による検出器システムを示すブロック図である。 異なる図面における同じ符号の使用は、類似要素、又は同一要素であることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様によれば、自由空間波長分割多重化(WDM)信号の検出器システムは、異なるタイプの検出器のアレイ、又は寄せ集めを含む。静的、及び動的な位置決め誤差に対する許容度を得るために、アレイは、WDM信号ビーム断面形状に比べて大きいサイズを有するように作成され、検出器の中心が、たとえWDM信号ビームに対してビーム幅だけ誤って位置決めされた場合でも、ビームがアレイの活性領域に入射するように構成される場合がある。アレイ内の異なるタイプの検出器は、WDM信号ビームの異なる周波数成分を検出することができる。検出器は、WDM信号ビーム断面形状に比べて小さいサイズを有するように作成され、アレイを成すように構成され、WDM信号がアレイ上のどこに入射するかとは無関係に、各タイプの少なくとも1つの検出器が、WDM信号ビームから光を受け取るように構成される場合がある。
【0009】
本発明による検出器システムは、速いデータ速度、及び高い位置決め許容度の光通信が求められる種々のシステムにおける通信に使用することができる。図1は、本発明の一実施形態によるWMD通信を使用したサーバシステム100の一例を示している。システム100は、共通バックプレーン120に取り付けられた一組のブレード110を含む。バックプレーン120には、電源変圧器や冷却ファンのようなさらに別の部品130が接続される場合があり、アセンブリ全体は通常、共通のエンクロージャ(図示せず)に収容される。サーバシステム100への外部接続のためのユーザインタフェース、及びソケットが、共通のエンクロージャを通して設けられる場合がある。
【0010】
サーバシステム100における一部、又は全部のブレード110は、実質的に同一のものであってもよいし、異なる設計を有し、異なる機能を有するものであってもよい。各ブレード110は、ブレード110の特定の機能を実施する1以上のサブシステム112を含む。サブシステム112は、プリント回路基板上に設けられる部品の形で各ブレード110の片側、又は両側に取り付けられる場合があり、あるいは、ブレード110は、ブレード110の内部に、サブシステム112を備えたエンクロージャを有する場合がある。そのようなサブシステム112の一般的な例としては、ハードディスク、又は他の記憶装置、あるいは、マイクロプロセッサ、メモリソケット、及び集積回路メモリのような従来のコンピュータ部品を含むプロセッササブシステムが挙げられる。サブシステム112、及びブレード120の一般的特徴は、ヒューレット・パッカード・カンパニーから市販されているサーバシステムのCクラスアーキテクチャのようなブレードアーキテクチャを使用するサーバシステムについて知られている従来型のものであってもよい。
【0011】
各ブレード110は、1以上の光トランシーバ114、又は116をさらに含む。各トランシーバ114は、ブレード110がバックプレーン120に対して適当に取り付けられたときに、隣りのブレード110上の対応するトランシーバ116に対して適当に位置合わせされるようなブレード110上の公称位置に配置される。あるいは、トランシーバ114、及びトランシーバ116は、互いに実質的に同一のものであってもよい。サーバシステム100の一般的構成として、対応するトランシーバ114と116の間には、約5cmの空き空間、すなわち隙間が設けられ、位置決めされる各対のトランシーバ114、及び116は、ブレード110の物理的取り付けの変化に起因して、約500から1000μm程度の位置決め誤差を受ける場合がある。さらに、トランシーバ114と116の間の位置決めは、例えば、冷却ファンの動作による温度変化、及び/又は物理的振動に起因して、40μmから50μm程度の変動を受けることがある。
【0012】
トランシーバ114、又は116の送信機部分は、WDM信号118を生成し、当業者にとって周知のものも含めて、任意の適当な設計を有する場合がある。そのようなシステムは一般に、レーザーダイオード、及び適当な光学部品を使用し、WDM信号118をコリメートし、WDM信号を目標の受信機に導く。各トランシーバ114、又は116の受信機部分は一般に、異なるタイプの検出器のアレイを含む。以下で詳しく説明されるような検出器アレイによれば、位置決め許容度が得られ、それによってブレード110は、トランシーバ114、及び116が位置決め誤差、指示誤差、及び振動を受けたときでも、他のブレードと通信することが可能になる。
【0013】
本発明の実施形態による検出器アレイは、任意数Nの搬送波周波数を使用するWDM光信号向けに構成される場合がある。例示のために、図2Aは、WDM光信号が9つの搬送波周波数f1〜f9を使用する本発明のある特定の実施形態に適した検出器アレイ200の平面図を示す。検出器アレイ200は、異なるタイプの検出器1〜9から構成され、検出器のタイプは、搬送波周波数の数に一対一に対応する。同じタイプの検出器は、以下で説明するように1つに結合することができ、その結果、検出器アレイ200の一組の電気出力信号は、WDM光信号における搬送波周波数とも一対一にも対応する。具体的には、例えば、検出器アレイ200は、WDM信号における9つの異なる周波数f1〜f9にそれぞれ対応する9タイプの検出器1〜9を有し、検出器200は、検出器の各タイプについて1つ、全部で9つの出力信号を生成する。
【0014】
アレイ200における各タイプの検出器は、WDM光信号における対応する周波数を他の周波数から区別するように設計される。例えば、検出器アレイ200における各検出器1は、フォトダイオードと、対応する周波数f1をそのフォトダイオードへ通過させるとともに、他の周波数f2〜f9を全て遮断するフィルタとを含む場合がある。より一般的には、各検出器1〜9の周波数選択能力は、フィルタの使用によって得られる場合もあれば、対応する周波数の光子を有効に検出するとともに、他の搬送波周波数を有する光子を吸収、又は検出しないフォトダイオードの設計によって得られる場合もあり、あるいは、所望の周波数成分の振幅を選択的に測定する任意の他の既知の技術を使用して得られる場合もある。そのような検出器は、カラー撮影の分野で知られており、また、従来の検出器設計については、例えば、米国特許第3,971,065号、及び5,965,875号に記載がある。
【0015】
フォトダイオードはそれぞれ、検出器1〜9に使用される場合、対応する周波数チャネルのデータ速度に従って選択されたサイズの感光エリアを有する場合がある。データ速度が10Gb/s以上である場合、感光エリアの幅は、一般に、直径約40μm未満にする必要がある。
【0016】
検出器アレイ200を使用するWDM光通信路は、(1)期待範囲内の位置決め誤差を有するビームがいずれも、変わりなく検出器アレイ100に入射するくらい十分な大きさを有するように検出器アレイ200を形成すること、及び(2)検出器アレイ200上のWDMビームのいかなる入射エリアについても、測定可能な量の光が、各タイプの検出器1〜9の少なくとも1つに入射するようなパターンを成して検出器1〜9を配置することにより、位置決め誤差を許容するように構成される。
【0017】
図2Aは、WDM信号ビームが、検出器アレイ200の中心に理想的に位置決めされたときの、検出器アレイ200上の、WDM信号の部分に対応する入射エリア210を示している。図2Aに示すように、エリア210は、各タイプの検出器1〜9の少なくとも1つを覆い、又はそれらと大きく重なり、また、エリア210は、一般に、検出器1〜9の信頼出来る動作を得るために十分な光強度の領域に対応する。より具体的には、入射エリア210を有するWDM信号は、各タイプの少なくとも1つの検出器1〜9について、検出器に接続された電子回路における技術的な雑音源に打ち勝つだけの十分な光パワーを生成する。
【0018】
実際には、検出器アレイ200は、WDM信号ビームの信号源に対する静的、及び動的な位置決め誤差を受ける場合があり、その結果、WDM信号ビームの実際の入射エリアは、検出器アレイ200の中心からずれる場合がある。図2Aは、理想的に位置決めされたときの位置からビーム幅を上回る量だけずれた入射エリア200の例を示している。従って、位置決めが理想的であるときに信号検出に使用される検出器の中に、エリア220がWDM信号の入射エリアであるときに信号検出のために十分な光を受けるものは無い。図2Aに示すように、エリア220は、理想的に位置決めされたときの位置から離れているが、各タイプの光検出器1〜9の少なくとも1つは、依然としてWDM光信号220から光を受け取る。より一般的には、検出器アレイ200に対するWDM光信号の期待位置決め誤差の結果、信号の入射エリアは、エリア210と重なることがある位置を含めて、検出器上の任意の位置に発生し得る。検出器アレイ200における検出器1〜9のサイズ、及び配置は、入射エリアの全ての位置について各タイプの少なくとも1つの検出器が信号検出のために十分に照らされるようなサイズ、及び配置である。
【0019】
図2Aの特定の例における9つのタイプの検出器1〜9は、矩形アレイを成すように配置され、検出器タイプ1〜9の検出器が順番に各行に配置され、各行における検出器の並びは、隣りの行の並びに対して、相対的に検出器3つ分だけオフセットされている。この構成によれば、検出器アレイ200における3×3の正方形グループの隣接検出器はいずれも、各タイプの検出器の1つを含むことになる。ビーム形状210、又は220の面積は、9個の検出器1〜9の面積よりも広く、従って、ビーム形状210、又は220は、各タイプの検出器1〜9の少なくとも1つと重なる。以下で詳しく説明するような検出器の他のパターン、又は構成によっても、同じ結果を達成することができる。
【0020】
N個の搬送波周波数を有するWDM信号のためのアレイにおける検出器の配置は、一般に、搬送波周波数の数、並びに、WDMビーム断面のサイズ、及び形によって決まる。例えば、数Nが、整数の二乗である場合(すなわち、nを何らかの整数として、N=nである場合)、各タイプについて1つ、全部でN個の検出器は、図2Aに示すような3×3検出器グループ205のような正方形グループを成すように配置される場合がある。次に、そのような同一の正方形グループを使用して、図2Aの例におけるような検出器アレイのエリアをタイル化することができる。その際、検出器上のn×nグループよりも大きなビーム形状は、少なくとも一組の検出器タイプの全体を覆い、またはその全体と十分に重なるのに十分なものでなければならない。
【0021】
搬送波周波数の数Nが、整数の二乗に等しくない場合、別のタイプのN個の検出器を、n×n構成の中にちょうど収まる矩形、又はL字形のグループを成すように構成してもよい。ただし、nは、Nよりも大きな最小の二乗整数である。例えば、数Nがn(n−1)に等しい場合、検出器は、n×(n−1)、又は(n−1)×nの矩形グループを成すように構成される場合がある。このケースでは、検出器エリアは、複数の同一の矩形検出器グループを使用してタイル化される。例えば、図2Bは、矩形グループ235を成すように構成された6つのタイプの検出器1〜6を含む検出器アレイ230を示している。グループ235は、検出器アレイ230のエリアのタイル化に使用され、図2Bの実施形態では、行列を成すように構成されている。あるいは、検出器アレイ230の行、又は列を、互いに相対的にオフセットしてもよい。この構成によれば、検出器アレイ230上でn×nグループよりも広い面積を有する形状のWDM信号ビームは、各タイプの検出器1〜6の少なくとも1つに対し、測定可能な光を提供する。
【0022】
n、及びkを、k<n、又は、n<k<2n−1なる関係を有する何らかの整数としたとき、数Nが、n−kで表される場合、N個の異なる検出器タイプは、n×nの正方形構成の中にちょうど収まるL字形のグループを成すように構成される場合がある。例えば、図2Cは、7つのタイプの検出器を含む検出器アレイ240、すなわち、N=7、n=3、及びk=2の場合を示している。検出器アレイ240におけるL字形のグループ245はそれぞれ、各タイプの検出器1〜7の1つを含み、かつ3×3の検出器正方形の中にちょうど収まる。また、図2Cに示すように、L字形グループ245は、検出器アレイ240のエリアを覆うようにタイル状に配置される場合がある。この構成によれば、3x3よりも広い面積を覆うビーム形状の検出器グループは、検出器アレイ240におけるビームの入射位置とは無関係に、各タイプの検出器1〜7の少なくとも1つに光を投射する。
【0023】
より一般的には、Nタイプの検出器について、ビーム入射面積が、各タイプの検出器の1つを覆い、又はそれと実質的に重なるような多数の代替タイル構成が可能である。そのような検出器のタイル化が、正方形検出器、又は矩形アレイに限定されることはない。
【0024】
サーバシステムにおけるトランシーバのための検出器アレイの一例示的構成は、約1mm程度の位置決め誤差を許容する、直径約1〜2mmである。この実施形態におけるWDM信号ビームは、約0.4〜0.5mmのフラットフィールドビーム腹部直径(1/e乗直径)を有する場合がある。検出器一個当たりの面積は、入射ビームの断面形状の面積を、搬送波周波数の数よりも大きな最小の二乗整数で割った値未満であることが望ましい。図2A、図2B、及び図2Cの実施形態の場合、ビームの断面形状の直径は、個々の検出器要素のサイズの約4倍であり、各検出器は、入射WDMビームの面積の約1/9未満の面積を有する。このサイズの検出器アレイは、CMOS画像センサの製造に使用されるものと同様の技術を使用して、単一の集積回路基板内に、又は単一の集積回路基板上に作成することができる。
【0025】
図3Aは、上で説明したような検出器アレイにおける使用に適した単一の検出器300を示している。検出器300は、基礎層を有するフォトダイオードを形成する活性領域315を含む半導体層310を含む。フィルタ320は、導波路格子、格子フィルタ、ファブリペロー、又は他のフィルタ構造であってよく、活性領域315の上に延在し、検出器300により検出される波長/周波数の光を選択的に通過させる。オーバレイフィルタを使用する代わりに、図3Bに示すようなフォトダイオード350の活性領域360を、例えば穴370を空けることによってパターニングし、特定の波長/周波数の光を受け入れ、又は拒否する干渉作用を生じさせてもよい。検出器300、又は500は、異なる光波長を検出するように設計されたフィルタ、又は活性層を有する同様の検出器と一体に形成される場合がある。
【0026】
図4は、本発明の一実施形態による復号システム400を示すブロック図である。復号システム400は、上で説明したように構成されたNタイプの検出器を含む検出器アレイ410と、Nタイプの検出器にそれぞれ関連するN個のチャネルのためのチャネル電子回路420−1〜420−Nと、チャネル電子回路420−1〜420−Nからの電気信号を復号し、受信データを抽出するデータ復号ユニット430とを含む。検出器アレイ410、チャネル電子回路420−1〜420−N、及びデータ復号ユニット430は、全て単一の集積回路上に作成してもよいし、個別のデバイス上に作成してもよい。
【0027】
検出器アレイ410は、特定周波数の光信号、又は特定周波数帯域内の光信号を電気信号に変換するのに適した検出器を含む。上で開示したように、そのような検出器はそれぞれ、フォトダイオード、及び該フォトダイオードから電気信号を生成させる周波数の光を選択するフィルタ手段を有する場合がある。一般に、WDM信号により十分な光を受けた検出器だけが、有用な信号を生成し、光を受けた検出器からの電圧、又は電流の振幅は、一般に、入射光の強度、及び光を受けた検出器の部分によって決まる。他の検出器は、雑音を生成するか、又は何も信号を生成しない。
【0028】
チャネル電子回路ユニット420−1〜420Nはそれぞれ、検出器アレイ410における特定タイプの検出器に対応し、その対応するタイプの全ての検出器からの信号を1つに結合する。一つの単純な実施形態として、チャネル電子回路ユニット420−1〜420−Nはそれぞれ、対応するタイプの全ての検出器の出力端子が接続される相手先となるノードである。例えば、タイプ1の全ての検出器の出力端子は、チャネル電子回路420−1における単一のノードに接続され、タイプ1の活性状態にある、すなわち光で照らされた検出器は、チャネル電子回路420−1の出力信号を駆動する場合がある。同様に、タイプNの全ての検出器の出力端子は、チャネル電子回路420−Nにおける単一のノードに接続され、タイプNの活性状態にある、すなわち光で照らされた検出器は、チャネル電子回路420−Nの出力信号を駆動する場合がある。あるいは、チャネル電子回路ユニット420−1〜420−Nはそれぞれ、有用な信号を生成している対応するタイプの検出器を特定する活性回路を有する場合がある。この活性回路は、例えば、対応するタイプの検出器のそれぞれの出力が、低信号対雑音比を示すレベルにある場合、又は、それらの検出器が、所定のビーム位置から離れたところにある場合に、それらの検出器への接続を遮断することができる。
【0029】
データ復号ユニット430は、チャネル電子回路420−1〜420−NからそれぞれN個の電気信号を受信し、復号する。典型的な応用形態として、WDM光信号の搬送波周波数の振幅は、N個のチャネルにおけるデータを表すように変調される場合がある。データ復号ユニット430は、この変調を復調し、樹脂データを抽出する。
【0030】
本発明は、特定の幾つかの実施形態について説明されているが、その説明は単に、発明の応用形態の一例を示すものであり、それを制限として捉えてはならない。たとえば、上では、光、及び光学システムを参照しているが、そのような参照は、可視光、又は可視光のためのシステムに限られない。上に記載した原理は、より一般的に、電磁放射の広いスペクトルにも適用することができる。開示した実施形態の特徴の種々の他の変形、及び組み合わせは、特許請求の範囲により規定されるような本発明の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長分割多重光信号のためのシステムであって、
複数タイプの検出器のアレイ(200)であって、各検出器が、その検出器のタイプに対応する周波数を有する光を検出する機能を有し、前記アレイ上の前記波長多重光信号のいかなる入射エリアも、各タイプの少なくとも1つの検出器に対し、検出可能な量の光を提供するように検出器が配置される、複数タイプの検出器のアレイ(200)と、
複数のチャネル電子回路ユニット(420)であって、各チャネル電子回路ユニット(420)が、前記検出器のタイプの1つに対応し、かつ当該対応するタイプの全ての検出器に接続される、複数のチャネル電子回路ユニット(420)と
を含むシステム。
【請求項2】
前記検出器のタイプは、nを整数として、n個のタイプからなり、前記検出器のアレイ(200)は、n個の隣り合う検出器の正方形グループ(205)を使用してタイル化され、各正方形グループ(205)は、各タイプの1つの検出器からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検出器のタイプは、nを整数として、n(n−1)個のタイプからなり、前記検出器のアレイ(200)は、n(n−1)個の隣り合う検出器の矩形グループ(235)を使用してタイル化され、各矩形グループ(235)は、各タイプの1つの検出器からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記検出器のタイプは、N個のタイプからなり、前記検出器のアレイ(200)は、N個の隣り合う検出器のL字形グループ(245)を使用してタイル化され、各L字形グループ(245)は、各タイプの1つの検出器からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記アレイ(200)、及び前記チャネル電子回路ユニット(420)は、受信機(116)の構成要素であり、
前記システムは、前記波長分割多重信号を生成し、該波長分割多重信号を自由空間を通して前期受信機(116)へ伝送する送信機(114)をさらに含み、
前記波長分割多重信号が前記アレイ(200)に入射する場所である前記入射エリア(220)は、前記送信機(114)に対する前記受信機(116)の相対的な位置決め誤差によって変わる位置を有する、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記位置決め誤差は、前記入射エリア(220)の幅を上回る大きさを有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記アレイ(200)は、前記位置決め誤差について期待される最大の大きさよりも大きな幅を有する、請求項5、又は請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記送信機(114)を有する第1のブレード(110)、及び前記受信機(116)を有する第2のブレード(110)を含むサーバシステム(100)を含む、請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
送信機(114)から受信機(116)へ自由空間を通して複数の搬送波周波数を有する光信号(118)を伝送するステップと、
複数タイプの検出器のアレイを受信機(116)に設けるステップであって、前記タイプが、前記搬送波周波数をそれぞれ有する光を検出する機能を有する、複数タイプの検出器のアレイを受信機(116)に設けるステップと、
前記アレイ(200)上の入射エリア(220)において前記光信号を受信するステップであって、前記入射エリアの位置が、前記送信機(114)に対する前記受信機(116)の位置決め誤差によって変わる、前記アレイ(200)上の入射エリア(220)において前記光信号を受信するステップと、
前記搬送波周波数を検出する機能を有する検出器の少なくとも1つを使用して、前記搬送波周波数をそれぞれ検出するステップであって、前記アレイにおいて前記検出器は、各タイプの少なくとも1つの検出器が、前記アレイ(200)上の前記入射エリア(220)の位置とは無関係に、前記光信号(118)から光を受信するように配置される、前記搬送波周波数を検出する機能を有する検出器の少なくとも1つを使用して、前記搬送波周波数をそれぞれ検出するステップと
を含むプロセス。
【請求項10】
前記光信号(118)を伝送するステップは、サーバシステム(100)における第1のブレード(110)から前記サーバシステム(100)における第2のブレード(110)へ前記光信号(118)を伝送することを含み、前記光信号(118)は、前記第1のブレード(110)から前記第2のブレード(110)へとデータを伝送する、請求項9に記載のプロセス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−534970(P2010−534970A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518196(P2010−518196)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/008744
【国際公開番号】WO2009/017610
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】