説明

自発光道路鋲

【課題】埋設後の本体部分の交換が容易であり、装置に衝撃などを受けても本体の一部に力が集中しない自発光式道路鋲を提供する。
【解決手段】上面に突出するように設けた光放射部17より外部に光を放射する本体1に筒状のカバー体2を被せて固定し、これを有底筒状の外枠3に上方から収容する。カバー体2の外周壁の上縁には全周に亘る第一の段部21を形成し、外枠3の内周壁の上縁には全周に亘る第二の段部31を形成し、リング状の押え金具4を前記第一の段部21の上面と前記第二の段部31の上面に跨って固定すると共に、前記押え金具4の上面と外枠3の上面とカバー体2の上面とを面一にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の外側線やセンターライン、交差点中央、中央分離帯、縁石、歩道等、道路周辺の種々の場所に設置される自発光道路鋲に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自発光機能を有する装置を道路面に埋設設置して車両運転手や歩行者などの視線誘導や注意喚起を行う自発光式道路鋲のような製品については、埋設設置後のメンテナンスや交換などが容易に出来るように埋設設置後に設置場所から取り外し可能であることが望ましく、このような装置について種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1には、内部底面の四隅角部にねじ孔が形成された略々四角形状の地中固定用のアウターケースと、外周縁が該アウターケースの上端開口縁に被ることなく上端面が該アウターケースの上端開口縁の水準から少し突出するように該アウターケース内に収容できる信号装置本体とからなり、該信号装置本体に太陽電池と蓄電池と発光ダイオードが水密状なるように封止状態で設けられ、該信号装置本体の四隅角部には上方の大径部と下方の小径部よりなる貫通孔が形成され、該貫通孔に角孔付ボルトをその頭部が大径部内に収まるように貫挿して前記ねじ孔に螺合することにより該信号装置本体をアウターケース内に着脱自在に収容してなることを特徴とした路面設置型道路信号装置が開示されている
【0004】
【特許文献1】特開平8−165619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の如き装置は装置本体設けた貫通孔を通して角孔付きボルトをアウターケースに螺合させているので、装置上を車両が通過するなどして装置が強い衝撃を受けたときに貫通孔付近に応力が集中して装置本体の故障や破壊の要因となる恐れがあった。
【0006】
そこで本発明は、埋設後の本体部分の交換が容易であり、装置に衝撃などを受けても本体の一部に力が集中しない自発光式道路鋲を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る自発光式道路鋲は、内装した自発光部の発する光を上面に突出するように設けた光放射部より外部に放射する本体と、該本体を上方から着脱可能に収容する有底筒状の外枠とを備えた自発光式道路鋲において、前記本体に筒状のカバー体が被せられ、前記カバー体は本体の外周壁の上縁を押えるカバー部と本体の上部に外嵌される筒状部とからなり、この筒状部の外周壁の上縁に全周に亘る第一の段部を形成し、前記外枠の内周壁の上縁に全周に亘る第二の段部を形成し、前記本体を前記外枠に収容し、リング状の押え金具を前記第一の段部の上面と前記第二の段部の上面に跨って固定すると共に、前記押え金具の上面と前記外枠の上面とカバー部の上面とを面一としたことを特徴としている。
【0008】
本発明に係る自発光式道路鋲によれば、上面に突出するように設けた光放射部より光を放射する本体を、外枠に着脱可能に上方から収容して固定するので、設置場所に埋設設置後でも外枠から本体を容易に取り外すことができる。また、本体に被せる筒状のカバー体が、本体の外周壁の上縁を押えるカバー部と本体の上部に外嵌される筒状部とからなり、この筒状部の外周壁の上縁に全周に亘る第一の段部を形成し、外枠の内周壁の上縁に全周に亘る第二の段部を形成し、リング状の押え金具を第一の段部の上面と第二の段部の上面に跨って固定するので、自発光式道路鋲が衝撃などを受けた場合でも、外枠や押さえ金具から本体へ伝わる力の伝達はカバー体のカバー部全体から通じ、本体の固定部分の一部に力が集中することがないため、本体に故障や破壊などが起こりにくい。また、本体の外周壁の上縁を押えるカバー部と本体の上部に外嵌される筒状部とからなるカバー体の、筒状部の外周壁の上縁に第一の段部を設けるので、衝撃を受けるなどして外枠や押え金具から伝わる力が直接本体に届くのではなく、第一の段部を介して筒状部を通じカバー部を通して本体に届くため、力が緩和され本体に故障や破壊が起こりにくい。また、第一の段部を筒状部の外周壁の上縁に設けるので、押え金具が上方からの力を受けた場合に、その下向きの力は第一の段部を設けたカバー体のカバー部ではなく筒状部で受けるため、下向きの力がカバー体のカバー部を通して透光部材に直接伝わることがなく、透光部材の破損などが起こりにくい。また、押え金具を跨って固定する第一の段部をカバー体の筒状部の外周壁の上縁に設けるので、押え金具の上面をカバー部の上面と面一になるように押え金具を形成して固定することができるため、本体の上面に突出するように設けた光放射部から放射される光が押え金具によって遮られることがない。また、押え金具を跨って固定する第二の段部を外枠の内周壁の上縁に設けるので、押え金具の上面が外枠の上面と面一となるように押え金具を形成して固定することができるため、本体の光放射部からの光が外枠によって遮られることがない。また、押え金具の上面と外枠の上面とカバー部の上面が面一なので、外枠の上面まで自発光式道路鋲を埋設設置したときに押え金具やカバー部が設置面より上部に突出しないため、車両からの衝撃を受けにくい。
【0009】
また、リング状の押え金具の内周壁を上方に向かうほどリングの内側方向に張り出すように縮径させれば、押え金具を固定したときに押え金具の内周壁とカバー体の第一の段部の側壁との間の隙間が上方に向かうほど狭くなるので、自発光式道路鋲の上部からこの隙間への粉塵などの侵入が起こりにくくなり好ましい。
【0010】
また、リング状の押え金具の外周壁を上方に向かうほどリングの外側方向に張り出すように膨径させれば、押え金具を固定したときに押え金具の外周壁と外枠の第二の段部の側壁との間の隙間が上方に向かうほど狭くなるので、自発光式道路鋲の上部からこの隙間への粉塵などの侵入が起こりにくくなり好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自発光式道路鋲によれば、埋設設置後に容易に本体部分を交換することができ、装置に衝撃などを受けても本体に応力が集中せず、取り付けた押え金具が本体から放射する光を遮らない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の一形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は本発明に係る自発光式道路鋲の実施の一形態を示す平面図であり、図2はそのA−A断面図であり、図3は本発明に係る自発光式道路鋲の他の実施の一形態を示す要部の断面図である。
【0013】
図面において1は本体である。図1および図2に示すように、本体1には上方が開口された底壁を有する筒状の形状をした本体枠11の上面を塞ぐように無色透明な透光部材12が配置されている。透光部材12の上面には光放射部17が突出するように形成されている。本体枠11の材質は鉄やアルミニウムなどの金属を好適に用いる事ができる。透光部材12の材質は、ポリカーボネート、アクリル樹脂、硬質ポリ塩化ビニールなどの合成樹脂或いはガラスなどを好適に用いることができる。
【0014】
透光部材12の下面から下方に光源16が基板に取り付けられて設けられている。光源16が発した光は透光部材12を透過し、光放射部17から水平方向から斜め上方方向かけて放射される。基板の下方には蓄電部15が設けられ、透光部材12の下方の適宜の位置に設けられた太陽電池14により発電された電力が蓄電されて、夜間において光源16に蓄電された電力を供給して光源16を発光させるようになされている。蓄電部5には鉛蓄電池などの充電池や電気二重層コンデンサ等の充電装置を用いることができる。本実施例では光源16に発光ダイオードを用いているが、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、陰極管、エレクトロルミネッセンス、キセノンランプ等が適宜使用できる。
【0015】
2はカバー体である。カバー体2は側壁を構成する筒状部22と、筒状部22の上端から内側へ向けて突出するように延設されたカバー部23から構成される。筒状部22の内周壁には本体枠11外周壁に設けた螺子部と螺合可能な螺子部24が形成されており、本体枠11とカバー体2が螺合一体化されるようになされている。本体枠11とカバー体2が螺合一体化されるとき、透光部材12の上面がカバー部23の下面に当接されて透光部材12が固定される。光放射部17は、透光部材12がカバー体2に固定されるときにカバー部23の側壁の内側から突出し、カバー部23の上面より上方に位置するように形成されている。カバー体2の材質は鉄やアルミニウムなどの金属を好適に用いる事ができる。
【0016】
3は外枠である。カバー体2が螺合一体化された本体1を外枠3に収容したときに、外枠3はその側壁の上面がカバー体2の上面と略同一の高さとなるように形成している。これによって、透光部材12の上部に設けた光放射部17から放射された光が外枠3によって遮られることがない。外枠3の材質は、鉄やアルミニウムなどの金属を好適に用いる事ができる。
【0017】
4は押え金具である。カバー体2の外周壁の上縁には、第一の段部21を全周に亘って形成している。また、外枠3の内周壁の上縁には、第二の段部21を全周に亘って形成している。これにより、カバー体2が螺合一体化された本体1を外枠3に収容したときに第一の段部21と第二の段部31の上部に凹溝状の空隙を形成することができ、押え金具4はこの空隙を塞ぐように嵌着できるようなリング状の形状に形成している。また押え金具4は、カバー体2が螺合一体化された本体1を収容した外枠3に嵌着したときに、押え金具4の上面がカバー部23の上面および外枠3の側壁の上面と略同一の高さとなるように形成している。これによって、透光部材12の上部に設けた光放射部17から放射された光が押え金具4によって遮られることがない。押え金具4の材質は、鉄やアルミニウムなどの金属を好適に用いる事ができる。
【0018】
7は固定ボルトである。押え金具4には上方の大径部と下方の小径部からなる貫通孔41を形成している。第一の段部21と第二の段部22に押え金具4を跨らせ、固定ボルト7の頭部が貫通孔41の大径部に納まるように固定ボルト7を貫挿して外枠3に螺挿して固定する。固定ボルト7の頭部が押え金具4の上部に突出しないので、車両などによって直接固定ボルト7が直接踏みつけられることがない。
【0019】
図3は本発明に係る自発光式道路鋲の他の実施の一形態の押え金具4の嵌着部分の断面図であり、(イ)は押え金具4を外枠3に嵌着させる前の状態を示しており、(ロ)は押え金具4を外枠3に嵌着させて固定ボルト7で固定した状態を示している。本形態において、リング状の押え金具4の内周壁は上方に向かうほどリングの内側方向に張り出すように縮径させている。これによって、カバー体2に設けた第一の段部21の側壁と押え金具4の内周壁の間に形成される隙間51の上部を狭くすることができ、自発光式道路鋲の上面から隙間51の中への粉塵などの侵入を抑制することができる。
【0020】
また、リング状の押え金具4の外周壁は上方に向かうほどリングの外側方向に張り出すように膨径させている。これによって、外枠3に設けた第二の段部31の側壁と押え金具4の外周壁の間に形成される隙間52の上部を狭くすることができ、自発光式道路鋲の上部から隙間52の中への粉塵などの侵入を抑制することができる。
【0021】
押え金具4の内周壁には溝部42が形成されており、この溝部42に保持されるようにパッキン61が押え金具4に嵌着されている。押え金具4にパッキン61を嵌着させることで、自発光式道路鋲の上部から隙間51の中への粉塵などの侵入をより抑制することができる。また、リング状の押え金具4の内周壁が上方に向かうほどリングの内側方向に張り出すように縮径しているので、押え金具4の下面の幅が狭くなるため、第一の段部21と段二の段部31の上部に形成された溝状の空隙に押え金具4を嵌着させやすくなっている。またリング状の押え金具4の内周壁が上方に向かうほどリングの内側方向に張り出すように縮径しているので、嵌着させたパッキン61の押え金具4の内周壁に対する上方向への摩擦抵抗が大きくなることから、押え金具4を外枠3に取り付ける際に、パッキン61とカバー体2の第一の段部21の側壁との接触によるパッキン61の上方へのずれを抑制することができる。また、カバー体2に設けた第一の段部21の側壁を、押え金具の内周壁に対応するように傾斜させて形成することで、押え金具4を外枠3に取り付ける際にパッキン61と接触する第一の段部21の側壁の範囲が小さくなるので、パッキン61の上方へのずれをより抑制することができる。このとき、第一の段部21の側壁の傾斜を、押え金具4の内周壁の傾斜よりも小さくすることで、自発光式道路鋲の上部における隙間51を狭くして粉塵などの侵入を抑制するという前述の効果を保つことができる。
【0022】
押え金具4の外周壁には溝部43が形成されており、この溝部43に保持されるようにパッキン62が押え金具3に嵌着されている。押え金具4にパッキン62を嵌着させることで、自発光式道路鋲の上部から隙間52の中への粉塵などの侵入をより抑制することができる。また、リング状の押え金具4の外周壁が上方に向かうほどリングの外側方向に張り出すように膨径しているので、嵌着させたパッキン62の押え金具4の外周壁に対する上方向への摩擦抵抗が大きくなることから、押え金具4を外枠3に取り付ける際に、パッキン62と外枠3の第二の段部31の側壁との接触によるパッキン62の上方へのずれを抑制することができる。また、外枠3に設けた第二の段部31の側壁を、押え金具4の外周壁に対応するように傾斜させて形成することで、押え金具4を外枠3に取り付ける際にパッキン62と接触する第二の段部31の側壁の範囲が小さくなるので、パッキン62の上方へのずれをより抑制することができる。このとき、第二の段部31の側壁の傾斜を、押え金具4の外周壁の傾斜よりも小さくすることで、自発光式道路鋲の上部における隙間52を狭くして粉塵などの侵入を抑制するという前述の効果を保つことができる。
【0023】
また、カバー体2の外周壁と、外枠3の内周壁との間に、押え金具4の下面と当接するようにパッキン63を装着している。パッキン63を装着することで、カバー体2の外周壁と、外枠3の内周壁との間の隙間53への粉塵などの侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る自発光式道路鋲の実施の一形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明に係る自発光式道路鋲の他の実施の一形態を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 本体
11 本体枠
12 透光部材
14 太陽電池
15 蓄電部
16 光源
17 光放射部
2 カバー体
21 第一の段部
22 筒状部
23 カバー部
24 螺子部
3 外枠
31 第二の段部
4 押え金具
41 貫通孔
42 溝部
43 溝部
51 隙間
52 隙間
53 隙間
61 パッキン
62 パッキン
63 パッキン
7 固定ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内装した自発光部の発する光を上面に突出するように設けた光放射部より外部に放射する本体と、該本体を上方から着脱可能に収容する有底筒状の外枠とを備えた自発光式道路鋲において、前記本体に筒状のカバー体が被せられ、前記カバー体は本体の外周壁の上縁を押えるカバー部と本体の上部に外嵌される筒状部とからなり、この筒状部の外周壁の上縁に全周に亘る第一の段部を形成し、前記外枠の内周壁の上縁に全周に亘る第二の段部を形成し、前記本体を前記外枠に収容し、リング状の押え金具を前記第一の段部の上面と前記第二の段部の上面に跨って固定すると共に、前記押え金具の上面と前記外枠の上面とカバー部の上面とを面一としたことを特徴とする自発光式道路鋲。
【請求項2】
前記リング状の押え金具は、内周壁が上方に向かうほどリングの内側方向に張り出すように縮径されていることを特徴とする請求項1に記載の自発光式道路鋲。
【請求項3】
前記リング状の押え金具は、外周壁が上方に向かうほどリングの外側方向に張り出すように膨径されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の自発光式道路鋲。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−221818(P2009−221818A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70511(P2008−70511)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】