説明

自立性収容体

【課題】 屋外もしくは屋内に置いて使用される収容体において、開口部の開閉手段としての展開操作を簡便にし、なおかつ設置時に安定して転倒しにくい収容体を提供する。
【解決手段】 収容体上部に開口部を設け、側部にヒダをつけることで、上部開口部が自在に伸縮展開し、被収容物の投入が容易になるとともに、収容体の安定性が高くなり、折畳みの操作も容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック樹脂製繊維網でつくられた収容体本体が自立し、たとえばごみや資源物とされる被収容物を収容するための自立性収容体に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭などから材質ごとに区分し排出されるプラスチックやペットボトルなどの資源物は、被収容物の典型例であり、従来被収容物を回収まで保管する際に一般に使われている収容体においては、樹脂製繊維網でつくられたマチのない巾着式の平袋や、自立させるために補助材の組み込まれた折畳み式や支柱を使ったものなどがあり、利用者が収容体を展開操作して利用することが多い。
【特許文献1】特開2006−124128
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
資源回収用保管容器として、樹脂製繊維網からできた自立する各種容器においては、その折り畳み方法や構造から、実際の使用においては利用者が汚れた状態の容器を持って展開する必要があり、不便なだけでなく不衛生である。
【0004】
特許文献1に記載された収容体では、上部開口部を開口させたまま自立するように構成され、開口部閉鎖は口紐8を使って行う。したがって開口部を閉鎖した状態から被収容物を投入する際には、再び開口部を開くために口紐8を緩め、前後もしくは左右の壁面を手で押し広げ投入し、さらには開口部を閉じるために再度口紐を締めなければならず、不便で煩わしい。
【0005】
前記と同様、樹脂製繊維網からできたマチのない巾着式の平袋を資源回収用保管容器として使用する場合、そのまま地面に置かれるため、被収容物が入っていないもしくは少量の際には、被収容物の投入時に地面に置かれた袋を一度持ち上げて口を広げ、投入後にまた閉じて置くといった煩雑な操作が必要となり、不便なだけでなく不衛生である。また、その問題を解決するために使用されている補助器具などもあるが、管理者が収集の都度取付けなければならない。
【0006】
本発明はこのような従来の収容体が有していた問題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、第1の手段として、上方に有する開口部と、側部と底部を有するプラスチック樹脂製繊維網からなる筒状の収容体において、該筒体側部のうち対向部位のそれぞれに、少なくとも一筋の高さ方向全長にわたるヒダを付けて、開口部閉鎖方向に収縮させておき、外力を加えたときに伸展し、外力を外したときに弾性復帰するように構成したことを特徴とする収容体である(請求項1)。
【0008】
第2の手段として収容体の側部と底部の境界部分には自在に屈曲可能なおもりを装着させたことを特徴とする収容体である(請求項2)。
【0009】
第3の手段として、前記の底部は四角形、側部は4面で構成され、側部の対向する面において、幅方向の中央に前記のヒダを付け、底部には2本の対角線上に第一の折り目、対向する側部に付けられたヒダとヒダとを結ぶ線上に第二の折り目を付け、収容体内方へ畳み入れることが可能となることを特徴とする収容体である(請求項3)。
【0010】
第4の手段として、前記収容体側部には、側部4面の角にあたる位置に、少なくとも対向する一対以上の、高さ方向に支柱をいれる挿入部を有し、該挿入部は側部と底部の境界部分を通り底部から突出するように構成されていることを特徴とする収容体である(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の収容体を設置した際、上述のように収容体側部にヒダがついていることにより開口部が閉鎖方向に収縮し、被収容物の投入時においては側部を容易に伸展させ、投入後は外力を外すことによって、その弾性により開口部が再び閉鎖方向に収縮するので、被収容物の投入が容易である上、投入後にほとんど操作が必要とされず便利である(請求項1)。
【0012】
上述のように収容体側部にヒダをつけることにより、ヒダを付けた側部の対向する面がそれぞれ三角形をなし、上方からの荷重に対しての強度と曲げ方向に対しての強度が増すとともに、長方形の側面形状の収容体よりも重心が低くなり(請求項1)、尚且つ側部と底部の境界部分にはおもりが装着されていることから、被収容物が無い、または少量の際の安定性を高めることができる(請求項2)。
【0013】
屋外での資源物収集の保管容器として使用する際は、不特定多数の利用者が考えられその被収容物の投入方法も様々であり、上述のように収容体の安定性や構造上の強度を増すことで、転倒による被収容物の散乱などを起こりにくくし、同時に美観を損ねにくくする効果がある(請求項1乃至請求項2)。
【0014】
本発明の収容体は側部にヒダと底部には折り目が入っているので、使用時以外においては、容易に、また常に同じ形状に折畳んで収納できる(請求項1乃至請求項3)。
【0015】
側部四角に支柱を挿入することで、収容体本体がもつ自立性をさらに補助する効果が得られる。また、支柱を持って操作すると柔軟性のあるプラスチック樹脂製繊維網からできた収容体本体の折畳みの操作が容易となるだけでなく、回収時に収容体本体を反転し被収容物を取り出すことも容易となる(請求項4)。
【0016】
硬質の箱型プラスチック製容器では、被収容物が積み重なった際に、被収容物間の隙間ができても詰めることが容易でなく無駄な隙間ができやすく、実容量が容器本来の容量に満たないことも多い。しかし本発明では、収容体本体をプラスチック樹脂製繊維網で構成しているので、被収容物が収容体に投入され重なっていった場合でも、収容体のもつ可撓性により無駄な隙間ができにくく、被収容物を詰めて保管することができ、より効率的に保管することができる。
【0017】
硬質の箱型プラスチック製容器では、その自重が重くなることから容易に容器本体を拡大することが難しい。また、樹脂製繊維網からできた収容体のうち、立方体形状に構成されるものは、その容積を増量したい場合底面積を大きくする必要があり、設置場所での占有面積が増えてしまう。しかしながら本発明では収容体の側部の高さ方向を上方に拡大することが可能であるので、設置場所の占有面積を増やさずに収容量を増やすことが可能である。よって、該収容体と収容される被収容物の重量とを加味して希望する大きさでの製作が可能である。
【0018】
本発明の収容体をプラスチック樹脂製繊維網で構成することにより外から収容体の中が見えるようになり、被収容物の判別が容易となる。特に対象資源物以外の異物が混入した場合の判断が容易となる。
【0019】
収容体が自立することによる利点は、被収容物を上部開口部から投入するだけとなるので投入時の操作が便利であることや、投入された被収容物がこぼれにくいことだけでなく、資源物回収の保管容器として使用する場合は対象資源物の表記があることが多く、収容体が自立していることにより表記が見やすくなることもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明の実施形態を示したものである。収容体本体100は上方に有する上部開口部1と、側部2と底部3を有するプラスチック樹脂製繊維網からなる筒状の収容体において、該筒体側部2のうち対向部位のそれぞれに、少なくとも一筋の高さ方向全長にわたるヒダ4を付けて、開口部閉鎖方向に収縮させておき、外力を加えたときに伸展し、外力を外したときに弾性復帰するように構成している。図中の双方向矢印aは実線と二点鎖線との相互間で往復移動して上部開口部1が伸縮する様子を示している。
【0022】
図1において、収容体本体100は、側部2と底部3との境界は袋状となるよう縫製する。鎖状帯体を装着しおもり5とすることが好ましい。本体の四角には支柱9を挿入するために高さ方向に袋状に縫製した支柱挿入部8があり、底部3には対角線上の第一の折り目6と、側部2に付けられた対向するヒダ4とヒダ4とを結ぶ線上に第二の折り目7がつけられている。
【0023】
図2は、図1の丸で囲んだ側部2および底部3の境界周辺部に装着されるおもり5と、支柱挿入部8部分の拡大図である。支柱9を挿入するために側部2の高さ方向に袋状に縫製された支柱挿入部8は、支柱9をおもり5と交差するように側部2と底部3の境界部分を通り越し、底部3から突出するように構成する。これは支柱9がおもり5の上部に装着された場合、その先端部分を起点として回転することを防ぐためである。
【0024】
側部2と底部3の結合部分に装着された屈曲可能なおもり5により設置面に密着しやすくなり、おもり5による自重と相まって設置時に安定しやすくなる。
【0025】
図3は上部開口部1の収縮時の形態例として外形図を示したものである。図中の双方向矢印bは実線から二点鎖線との相互間で往復移動して上部開口部1が伸縮する様子を示している。
【0026】
図4は底部3の形態例をおよび第一の折り目6と、第二の折り目7について示したものである。図4中において第一の折り目6は一点鎖線にて谷折りを表し、第二の折り目7は破線にて山折りを表している。
【0027】
図5は底部3の拡大斜視図である。
【0028】
図5において、収容体側部2のヒダ4と、底部3につけられる第二の折り目7を、それぞれ本体外側に山折りになるようにつけることで、互いの畳まれようとする力が反発しあい底部3が拡がりやすくなり、上述の安定性を保つ効果が得られる。図5中において第一の折り目6は破線にて山折りを表し、第二の折り目7は一点鎖線にて谷折りを表している。
【0029】
図6は本発明の使用例である。本発明の収容体は、設置した際上部開口部1が閉鎖方向に収縮し、被収容物10の投入時においては側部2を使用者が手(外力)で広げることによって容易に伸展させ、投入後は手を放す(外力を外す)ことによって、その弾性により上部開口部1が再び閉鎖方向に収縮するので、被収容物10の投入が容易である上、投入後にほとんど操作が必要とされず便利である。
【0030】
図7は本発明の収容体を折畳んだ状態を示している。収容体側部2の四角に高さ方向に一対以上の支柱9を挿入させることで、収容体本体100を折畳む際には支柱9を持って束ねるようにすれば、柔軟性のあるプラスチック樹脂製繊維網からなる該収容体の操作をより簡便にすることができるようになる。
【0031】
図8のように被収容物の回収時には、収容体本体100を反転させればよい。収容体自体を構成している部材がプラスチック樹脂製繊維網から構成されているので、軽量であり、尚且つ収容体本体100の四角に支柱9を挿入することで回収作業者11が柔軟性のあるプラスチック樹脂製繊維網からなる該収容体100の全体を持ちやすくなり作業もしやすくなる。
【0032】
図9は本発明の実施形態の変形例である。収容体本体100の上部開口部1周縁に可撓性のある網状体12を装着し、その上部周縁に口紐13を装着することにより、収容体本体100の上部開口部1を意図的に塞ぐことが可能となる。収容体本体100に被収容物10が収容された状態で運搬される場合などは被収容物を散乱させないために効果的である。網状体12は収容体本体100を構成する網よりも柔軟性があるものが操作しやすい。
【0033】
図9において網状体12上部周縁に装着された口紐13の先端にピンチ14を取り付け、収容体設置場所周辺フェンスなどに該ピンチ14を取り付けることで、強風などによる移動や転倒をさらに防止する効果を得られる。
【0034】
本発明の収容体本体の構成部材として、その側部2及び底部3の網状筒体部分を、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製繊維網とし、またおもり5を鉄製鎖状帯体、支柱9にはアルミなどの金属製パイプとすることにより、収容体として利用されたのちも、廃棄せず資源としての再活用が可能となる。
【0035】
前記本発明の収容体本体の構成部材として、その側部2及び底部3の網状筒体部分を、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂製繊維網とする際には、その弾性や引っ張り強度などから、糸の太さを888デシテックス以上でラッセル編みにした網を使用することが好ましい。該網のもつ弾性により収容体の自立性が高くなるだけでなく、該収容体の底部3が自ずと広がる効果があるので設置時に操作を簡便にできる。
【0036】
前記、本発明収容体本体を構成する部材としての網は、上述の素材や編み方に限らず、同等以上の弾性および引っ張り強度を持つものでも同様の効果が得られる。
【0037】
側部2につけられるヒダ4は、少なくとも一筋以上必用となるが、3本、5本、7本など奇数の際には底部3及び上部開口部1の開口時の形状がほぼ直角となる四角形になるので、設置の際に設置場所を効率よく使用することができる。
【0038】
側部2につけられるヒダ4はその数が2本、4本など偶数でも構成が可能である。
【0039】
前記ヒダ4と第一の折り目6及び第二の折り目7は、その折り加工についてアイロンや蒸気等、加熱処理が望ましいが、収容体本体を構成する網状生地をはぎ合わせたり、該網状生地の組織や目合方向を変えるなどして、つき合わせるように縫い合わせたりすることでも同様の機能が得られる。
【0040】
本発明の収容体本体を構成する網の形状において、該網の構造によって剛性を強化できることから、家庭などで使用者が限られる主に室内での使用においては自立を補助するための支柱9が不要とすることが可能である。
【0041】
図1〜図9に則して説明をしたが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】 本発明の実施形態を示す収容体の全体斜視図
【図2】 同側部および底部境界周辺と支柱挿入部の部分拡大図
【図3】 同上部開口部の収縮時の形態を示す平面図
【図4】 同底部の形態を示す底面図
【図5】 同底部の拡大斜視図
【図6】 同収容体の使用例を示す斜視図
【図7】 同収容体の使用例を示す斜視図
【図8】 同収容体の使用例を示す斜視図
【図9】 同実施形態の変形例を示す斜視図
【符号の説明】
【0043】
100 収容体本体
1 上部開口部
2 側部
3 底部
4 ヒダ
5 おもり
6 第1の折り目
7 第2の折り目
8 支柱投入部
9 支柱
10 被収容物
11 回収作業者
12 網状体
13 口紐
14 ピンチ
A−A 底部斜視図断面線
a 上部開口部1が伸縮する様子を示す双方向矢印
b 上部開口部1が伸縮する様子を示す双方向矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に有する開口部と、側部と底部を有するプラスチック樹脂製繊維網からなる筒状の収容体において、該筒体側部のうち対向部位のそれぞれに、少なくとも一筋の高さ方向全長にわたるヒダを付けて、開口部閉鎖方向に収縮させておき、外力を加えたときに伸展し、外力を外したときに弾性復帰するように構成したことを特徴とする収容体。
【請求項2】
収容体の側部と底部の境界部分には自在に屈曲可能なおもりを装着させたことを特徴とする請求項1の収容体。
【請求項3】
前記の底部は四角形、側部は4面で構成され、側部の対向する面において、幅方向の中央に前記のヒダを付け、底部には2本の対角線上に第一の折り目、対向する側部に付けられたヒダとヒダとを結ぶ線上に第二の折り目を付け、収容体内方へ畳み入れることが可能となることを特徴とする請求項1または2の収容体。
【請求項4】
前記収容体側部には、側部4面の角にあたる位置に、少なくとも対向する一対以上の、高さ方向に支柱をいれる挿入部を有し、該挿入部は側部と底部の境界部分を通り底部から突出するように構成されていることを特徴とする請求項3の収容体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−143642(P2010−143642A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336189(P2008−336189)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(502001019)
【Fターム(参考)】