説明

自立性多室包装袋、及びその製造方法

【課題】異なる種類の内容物を、袋の内部を仕切って設けた複数の小室に、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、良好な自立安定性を確保することができる自立性多室包装袋、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、山部と谷部が交互に形成され、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する底部と、前記一対の平面部の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その下端部が前記底部の谷部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、自立性多室包装袋である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋の内部に複数の小室を有する自立性多室包装袋、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め、異なる種類の内容物を1つの袋内で配合させておくと、経時的に内容物の状態に変化が生じてしまうような内容物については、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することが好ましく、このような内容物の充填に適する袋として、複数の小室(多室)を備えた多室包装袋が提案されてきた。
【0003】
多室包装袋の技術分野においては、様々な改良が重ねられ、例えば、特許文献1では、主収納室と主収納室と連結可能な副収納室、及び主収納室と副収納室を隔離する剥離性シール部等からなる仕切部とを有する多室パウチが開示されている。当該多室パウチは、使用時に圧をかけることによって、仕切部を開封し、パウチ内で各内容物を混合させることができる機能を有することが記載されている。
【0004】
さらに、特許文献1の図10には、底面にマチ部を設けた多室パウチに内容物が充填された実施形態が記載されている。当該図10において、内容物を充填した際にパウチに自立性を持たせたと記載されているが、副収納室2はパウチ本体を構成する主収納室3の側壁を外側に伸張させることにより形成された分岐した小室であり、当該副収納室2に内容物が充填された際には、その内容物の重みで自立性が不安定になることが強く予測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−227841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、異なる種類の内容物を、袋の内部を仕切って設けた複数の小室に、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、良好な自立安定性を確保することができる自立性多室包装袋、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討したところ、ガゼット形状の底部に、包装袋内の室間を仕切る仕切り部を配置させることにより、袋の前後方向に小室が並設され、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、良好な自立安定性を確保することができることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち本発明の第一の自立性多室包装袋は、可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、ガゼット形状を有する底部と、
前記一対の平面部の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その下端部が前記底部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、自立性多室包装袋である。
【0009】
また、本発明の第二の自立性多室包装袋は、可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
山部と谷部が交互に形成され、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する底部と、
前記一対の平面部の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その下端部が前記底部の谷部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、自立性多室包装袋である。
【0010】
本発明の第二の自立性多室包装袋において、前記底部の谷部の下端部が、前記平面部の下端部よりも上方に位置することが好ましい。
【0011】
本発明の第一及び第二の自立性多室包装袋は、前記仕切り部の上端部が、前記一対の平面部の上端部と同じ高さに位置し、且つ、当該一対の平面部の上端部の間に挟み込まれて一体化されている形態とすることができる。
【0012】
本発明の第一及び第二の自立性多室包装袋は、前記平面部の上端部を上端の封止部とする小室と、前記平面部の上端部より低い位置を上端の封止部とする他の小室を有する形態とすることができる。
【0013】
本発明の第一及び第二の自立性多室包装袋において、前記他の小室の上端の封止部が、剥離可能なシールによる封止部であってもよい。
【0014】
本発明の第一及び第二の自立性多室包装袋において、前記各小室の上端の封止位置の間、及び、各小室のうちで最も低い上端の封止位置の下方の高さ位置から選ばれた1箇所以上の位置に、開封補助手段を設けてもよい。
【0015】
本発明の第一及び第二の自立性多室包装袋において、前記自立性多室包装袋に、注出具が取り付けられていることが好ましい。
【0016】
本発明の第一及び第二の内容物充填体は、上記した本発明の自立性多室包装袋に内容物が充填されてなる内容物充填体である。
【0017】
本発明の自立性多室包装袋を製造する第一の方法は、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、底部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記底部用部材を折り込んで、山部と谷部を交互に形成し、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記底部用部材の谷部とをシールして仕切り部用部材及び底部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、自立性多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とする自立性多室包装袋の製造方法である。
【0018】
本発明の自立性多室包装袋を製造する第二の方法は、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部と底部を構成する一連部材、及び、仕切り部用部材を準備する工程、
前記一連部材の平面部となる部分と底部となる部分の境界を折り曲げて、一対の平面部となる部分と底部となる部分を区画する工程、
前記一連部材の底部となる部分を折り込んで、山部と谷部を交互に形成し、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記一連部材の底部となる部分の谷部とをシールして仕切り部用部材及び一連部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物の各部材が封止されていない部分において、自立性多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とする自立性多室包装袋の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
上記の如き本発明によれば、異なる種類の内容物を、袋の内部を仕切って設けた複数の小室に、使用直前まで各内容物を隔離した状態で保存することができる共に、良好な自立安定性を確保することができる自立性多室包装袋、及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかる自立性多室包装袋を構成する各部材の位置関係を示す斜視図である。
【図2】図2A〜Cは、底部のガゼット形状のバリエーションを示す側部断面図である。
【図3】図1に示される平面部、仕切り部、及び底部のそれぞれの下端部において封止される部位をハッチングにより示した斜視図である。
【図4】図4Aは、本発明の第二の自立性多室包装袋において、仕切り部の下端部と底部との配置、並びに、平面部の下端部と底部との配置を示す側部断面図である。図4Bは、仕切り部を有さない従来の自立性単室包装袋において、平面部の下端部と底部との配置を示す側部断面図である。
【図5】図5A〜Dは、本発明の第二の自立性多室包装袋において、仕切り部の下端部3bと底部2との配置、並びに、平面部の下端部1bと底部2との配置を示す側部断面図である。
【図6】図6A〜Bは、本発明の第一の自立性多室包装袋において、仕切り部の下端部3bと底部2との配置、並びに、平面部の下端部1bと底部2との配置を示す側部断面図である。
【図7】図7は、本発明の第一の実施形態にかかる自立性多室包装袋101を示す斜視図であり、図1及び図3に示した各部材の配置及び封止状態をとる実施形態である。
【図8】図8は、自立性多室包装袋101の底部側の四隅部が円弧形状にシールされた実施形態である。
【図9】図9Aは、本発明の第一の実施形態にかかる自立性多室包装袋101に、内容物が充填されてなる本発明の第二の実施形態にかかる内容物充填体102を示す斜視図であり、図9Bは、図9AのAA断面図であり、図9Cは、図9Aを底部2側から正面視した図である。
【図10】図10は、本発明の第三の実施形態にかかる自立性多室包装袋103を示す斜視図である。
【図11】図11Aは、本発明の第三の実施形態にかかる自立性多室包装袋103に、内容物が充填されてなる本発明の第四の実施形態にかかる内容物充填体104を示す斜視図であり、図11B1及び図11B2は、図11AのAA断面図のバリエーションである。
【図12】図12Aは、本発明の第五の実施形態にかかる自立性多室包装袋105を示す斜視図であり、図12Bは、図12AのAA断面図である。
【図13】図13Aは、本発明の第六の実施形態にかかる自立性多室包装袋106を示す斜視図であり、図13B1及び図13B2は、図13AのAA断面図のバリエーションである。
【図14】図14は、本発明の第七の実施形態にかかる自立性多室包装袋107に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
【図15】図15は、本発明の第八の実施形態にかかる自立性多室包装袋108に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
【図16】図16は、本発明の第九の実施形態にかかる自立性多室包装袋109に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
【図17】図17は、本発明の第十の実施形態にかかる自立性多室包装袋110に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
【図18】図18は、本発明の第十一の実施形態にかかる自立性多室包装袋111に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
【図19】図19は、本発明の第十二の実施形態にかかる自立性多室包装袋112に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
【図20】図20Aは、本発明の第十三の実施形態にかかる自立性多室包装袋113に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す斜視図であり、図20Bは、図20AのAA断面図である。
【図21(1)】図21A〜Cは、第一の製造方法を説明する図である。
【図21(2)】図21D〜Eは、第一の製造方法を説明する図である。
【図21(3)】図21F〜Gは、第一の製造方法を説明する図である。
【図22(1)】図22A〜Bは、第二の製造方法を説明する図である。
【図22(2)】図22C〜Dは、第二の製造方法を説明する図である。
【図22(3)】図22E〜Fは、第二の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第一の自立性多室包装袋は、可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、ガゼット形状を有する底部と、
前記一対の平面部の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その下端部が前記底部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の第二の自立性多室包装袋は、可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
山部と谷部が交互に形成され、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する底部と、
前記一対の平面部の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その下端部が前記底部の谷部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の実施形態にかかる自立性多室包装袋の平面部1、底部2、及び仕切り部3を構成する可撓性フィルムは、一般に袋の製造に用いられる可撓性フィルムであれば、特に限定されず、例えば、単層フィルムであってもよく、最外層となる基材層、中間層、及び最内層となるシーラント層の3層からなる積層フィルムであってもよい。
【0024】
基材層は、袋の最外層を形成し、印刷適性、耐ピンホール性、及び耐衝撃性等の機能を有する層であることが好ましい。基材層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、及びエチレンビニルアルコール共重合体等の一軸又は二軸延伸フィルム、並びに、これらの延伸フィルムを積層したもの等が挙げられる。
【0025】
これらの延伸フィルムに、袋の用途として、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が要求される場合、基材層の材質としては、例えば、アルミニウム等の金属、並びに、酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させた蒸着フィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたコートフィルム;等を用いることもできる。また、紙やセロファン等も用いることができる。
【0026】
中間層は、酸素バリア性、水蒸気バリア性、及び引き裂き性等の機能を有する層であることが好ましい。中間層の材質としては、袋の用途として、酸素バリア性、及び水蒸気バリア性が要求される場合には、例えば、アルミニウム箔などの金属箔;アルミニウム等の金属、並びに、酸化アルミニウム、及び酸化ケイ素等の無機酸化物を蒸着させたフィルム;ポリ塩化ビニリデン、及びポリアクリル酸系樹脂等をコーティング(バリアコート)させたフィルム;等が挙げられる。
【0027】
シーラント層は、袋の最内層を形成し、ヒートシールが可能な層であることが好ましい。シーラント層の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、及びアイオノマー樹脂等からなる未延伸フィルム、又はこれらの樹脂を層状に押し出したものが挙げられる。
【0028】
これらの層を積層して積層フィルムを形成する方法は、一般に積層フィルムの形成に用いられる積層方法であれば、特に限定されず、例えば、接着剤を用いてドライラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよく、熱接着樹脂を用いて押し出しラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよい。また、その他のラミネート法により積層フィルムを形成する方法であってもよい。
【0029】
また、平面部1、底部2の最内層を構成する材料は、それぞれをヒートシールにより貼り合わせる観点から、ヒートシール性の同質材料であることが好ましい。
ここで「ヒートシール性の同質材料」とは、加熱により熱融着し、接合が可能な特性を有する材質のことをいう。
さらに、仕切り部3においては、図1に示すように、仕切り部の下端部3bを底部2の谷部5に挟むように配置する場合や、仕切り部の上端部3tを一対の平面部1,1の両方と貼り合わせる場合、すなわち、仕切り部3の両面において、底部2の谷部5あるいは一対の平面部1,1が貼り合わされている場合には、仕切り部3の両最外層は、共にヒートシールが可能な層であることが好ましい。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、本発明の第二の自立性多室包装袋を中心に図面を参照しながら説明する。
本発明の第一の実施形態については、図1〜図5を参照しながら説明し、その斜視図を図7に示す。
図1は、本発明の実施形態にかかる自立性多室包装袋を構成する各部材(平面部1、底部2、及び仕切り部3)の位置関係を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、本発明の自立性多室包装袋は、袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部1,1と、ガゼット形状を有する底部2と、一対の平面部1,1の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その下端部が底部2の谷部5に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部3から構成される。袋を構成する各部材は、いずれも可撓性フィルムで形成されており、折り曲げ加工や折り畳み加工することが可能である。
【0032】
図1に示す例では、一対の平面部1,1、底部2及び仕切り部3はそれぞれ別個独立の部材であるが、これら部材の2つ以上が連続した展開形状を有する1枚の可撓性フィルムを折り曲げ加工して用いてもよい。
例えば、一対の平面部1,1と底部2が連続した展開形状を有する可撓性フィルムを折り曲げ加工して、一対の平面部1,1となる部分と底部2となる部分を区画したものを用いることができる。
【0033】
底部2は、山部4と谷部5が交互に形成され、且つ、山部4の数が谷部5の数よりも1つ多いガゼット形状を有する。
ここで「山部」とは、袋の内方に向けて断面逆V字状に折り込みができる折線部又はその近傍のことをいい、一方、「谷部」とは、袋の外方に向けて断面V字状に折り返しができる折線部又はその近傍のことをいう。
【0034】
図2A〜Cは、底部2のガゼット形状のバリエーションを示す側部断面図である。
ガゼット形状としては、例えば、図2Aに示されるように、一対の山部4の間に谷部5を1つ有し、断面M字状のガゼットを備えるものを例示でき、上述した図1の例も断面M字状である。
【0035】
図2Aの他に、図2B及び図2Cに示されるように、山部4と谷部5とを交互に形成し、且つ、両端の折り込みが山部4となるように谷部5を2つ以上有するものであってもよい。
なお、山部4及び/又は谷部5の高さは、適宜変更される。
【0036】
図2B及び図2Cに示されるように、谷部5を2つ以上有するものである場合、各谷部5には、それぞれ仕切り部3が1つずつ設けられていてもよいし、ある一つの谷部5に対して仕切り部3が2枚以上設けられていてもよい。仕切り部3を2枚以上用いる場合には、袋の前後方向に3つ以上の小室を並設させることができる。
【0037】
例えば、袋の前後方向に4つの小室を並設させたい場合には、図2Cに示されるガゼット形状を選択し、3つの谷部5に仕切り部3をそれぞれ1つずつ設けてもよく、図2Bに示されるガゼット形状を選択し、2つの谷部のうち、1つの谷部に仕切り部3を1つ設け、もう1つの谷部には仕切り部3を2枚設けてもよい。しかし、谷部の数が増えるということは、それだけ、底部2を平面に展開したときの面積が広くなり皺が発生し易くなるため、仕切り部3を複数設ける場合には、一つの谷部5に仕切り部3を複数設けることが好ましい。
【0038】
底部2は、1枚の可撓性フィルムを折り曲げて、上記のようなガゼット形状に形成することができるほか、2枚以上の可撓性フィルムを用いて、当該フィルムの端縁同士を接合することで、上記のようなガゼット形状に形成することもできる。
【0039】
図3においては、底部2として、一対の山部4の間に谷部5を1つ有し、断面M字状のガゼットを備えるもの、さらに仕切り部3は1つの谷部5に1枚設けられているものを例に挙げて説明する。
【0040】
図3は、図1に示される平面部1、仕切り部3、及び底部2のそれぞれの下端部においてシールされる部位をハッチングにより示した斜視図である。
各部材は、図示した配置において、各部材間の相対する端縁がシールされている。
【0041】
図3に示される斜視図の部材は、図1に示される平面部1、底部2、及び仕切り部3の各部材において、仕切り部の下端部3bに沿って、当該仕切り部の下端部3bと底部の谷部5とがシールされた仕切り部の下端縁シール部6と、平面部の下端部1bに沿って、当該平面部の下端部1bと底部の下端部2bとがシールされた平面部の下端縁シール部7により、各部材が連結されたものである。
ここで「シールする」とは、加熱加圧によるヒートシール、及び接着剤等による接着の全てを含めていう。以下においても同様の意味で使用する。
【0042】
なお、図3に示される例では、仕切り部の上端部3tの高さが、平面部の上端部1tの高さとが同じなので、仕切り部の上端部3tは、一対の平面部の上端部1t,1tの位置でシールされることになる。しかし、仕切り部の上端部3tの高さが、平面部の上端部1tの高さよりも低い場合には、仕切り部の上端部3tは平面部の上端部1tよりも下方の位置でシールされることになる。この場合、仕切り部の上端部3tは、平面部の相対する内面または隣接する他の仕切り部3の相対する面との間でシールされる。
【0043】
図4Aは、本発明の第二の自立性多室包装袋において、仕切り部の下端部3bと底部2との配置、並びに、平面部の下端部1bと底部2との配置を示す側部断面図である。図4Bは、仕切り部3を有さない従来の自立性単室包装袋において、平面部の下端部1bと底部2との配置を示す側部断面図である。
【0044】
図4A、後述する図5A〜Dにおいて、仕切り部3は、一対の平面部1,1の間に当該平面部に対して略平行に配置され、且つ、その下端部3bが、底部2の谷部5に配置されている。
ここで「仕切り部の下端部3bが、底部2の谷部5に配置する」とは、仕切り部の下端部3b又は仕切り部の下端部3b付近が折り曲げられた場合にはその折曲基部3b1が谷部5の折れ線に直接接するように位置することを指していう他に、その折曲基部3b1が谷部5の折れ線に直接は接しないが、谷部5の近傍に位置することも指していう。
【0045】
図4Aに示される底部2は、山部4と谷部5が交互に形成され、且つ、山部4の数を2つ、谷部5の数を1つ有するため、山部4の数を1つしか有さない図4Bに示される底部2と比較して、底部を平面に展開したときの面積が広くなる。すなわち、底部を形成するために用いる可撓性フィルムの使用面積が広い。
図4A及び図4Bにおいて、一対の平面部1,1の間に、各折線部を介して折り畳まれた底部2が介在するように折り畳んだ状態下で、底部の山部4の頂部から底部の下端部2bまでの高さhが、同じである場合には、図4Aに示される底部を平面に展開したときの面積は、図4Bに示される底部を平面に展開したときのおよそ2倍となる。
【0046】
図4Bに示される側部断面図を有する従来の自立性単室包装袋の小室に、内容物を充填したとき、その底部の開き形状は、両側縁部においては、平面部の側端縁シール部8による拘束によって、底部の広がりに制限を受けるため、それ以外の領域における底部形状は、ほぼ一定の平坦な形状となる。
【0047】
一方、図4Aに示される側部断面図を有する本発明の自立性多室包装袋のそれぞれの小室に、内容物を充填したとき、底部を形成するために用いる可撓性フィルムの使用面積が広いために、底部が広がりきらず、その底部の開き形状は、図4Bのように一定の形状とならず、不定形状となるため、図4Aの底部には、図4Bの底部と比較して皺が発生し易くなる。当該皺が多くなると、皺の間に内容物が残留し易くなり、フィルムの擦れ等によるピンホールの原因となる他、底部2側から見たときの外観が悪いなどの問題が生じ易くなる場合がある。
【0048】
本発明者らは、上記したような皺に起因する問題に対して検討を行った結果、図5A、図5C、図5Dに示されるように、底部2の谷部5を介して折り返すことで形成される谷部の下端部5bの高さを、平面部の下端部1bの近傍にまで達する低いものとせず、平面部の下端部1bよりも上方に設けることで、上記皺に起因する各種問題が生じ難くなることを見出した。
【0049】
図5A〜Dは、本発明の第二の自立性多室包装袋において、仕切り部の下端部3bと底部2との配置、並びに、平面部の下端部1bと底部2との配置を示す側部断面図である。
【0050】
また、本発明者らは、一対の平面部1,1の間に、各折線部を介して折り畳まれた底部2が介在するように折り畳んだ状態下で、底部の山部4の頂部から谷部の下端部5bまでの高さをHとしたとき、シール際6tの上端位置を、折り畳んだ底部の上端縁から0.05H〜0.95Hの位置とすることが好ましく、0.05H〜0.9Hの位置とすることがより好ましいことを見出した。
【0051】
ここで「シール際」とは、シールされている部分とシールされていない部分との境界域を指していう。また、「折り畳んだ底部の上端縁」とは、各折線部を介して折り畳まれた底部2の山部4の頂部と一致する位置を指していう。
上記シール際6tの上端位置を、上記好ましい範囲内とすることで、内容物を充填したとき、その底部の開き形状が一定の形状となり、底部における皺の発生を防止し、自立安定性も向上する。
【0052】
さらに、本発明者らは、シール際6tの上端位置を、上記好ましい範囲とすることができれば、図5Bに示されるように、谷部の下端部5bの高さを、平面部の下端部1bの近傍にまで達する低いものとした場合であっても、上記皺に起因する各種問題が生じ難くなることを見出した。
【0053】
図5Aの例は、仕切り部の下端部3bが谷部5に挟まれ、仕切り部の下端部3bの両面と谷部5の折れ線付近のそれぞれに相対する面とが、仕切り部の下端縁シール部6においてシールされて、シール際6tの上端位置は、折り畳んだ底部の上端縁から0.3Hの位置にある。
図5Aの例では、谷部の下端部5bを、平面部の下端部1bよりも上方に位置させ、且つ、シール際6tの上端位置を上記好ましい範囲内とすることで、内容物を充填したとき、その底部の開き形状は、一定の形状となり、底部における皺の発生を防止し、自立安定性が向上する。
【0054】
図5Bの例は、仕切り部の下端部3bが谷部5に挟まれ、仕切り部の下端部3bの両面と谷部5の折れ線付近のそれぞれに相対する面とが、仕切り部の下端縁シール部6においてシールされて、シール際6tの上端位置は、折り畳んだ底部の上端縁から0.5Hの位置にある。
図5Bの例では、図5Aの例とは異なり、谷部の下端部5bの高さを、平面部の下端部1bの高さと同じになるように位置させている。
図5Bの例のように、谷部の下端部5bの高さを、平面部の下端部1bと同一の低い位置に一致させた場合であっても、シール際6tの上端位置を上記好ましい範囲内とすることで、内容物を充填したとき、その底部の開き形状は、一定の形状となり、底部における皺の発生を防止し、自立安定性が向上する。
図5Bの例では、平面部の下端部1bが地につくのに加えて、谷部の下端部5bも地につくため、自立安定性がより向上する。
【0055】
図5Cの例は、仕切り部の下端部3b付近が折り曲げられた折曲基部3b1が、谷部5の折れ線に接し、折り曲げられた部分と谷部5の折れ線付近との相対する面同士とが、仕切り部の下端縁シール部6においてシールされて、シール際6tの上端位置は、折り畳んだ底部の上端縁から0.2Hの位置にある。
【0056】
図5Dの例は、仕切り部の下端部5bの一方の面と谷部5の折れ線付近のそれに相対する面とが、仕切り部の下端縁シール部6においてシールされて、シール際6tの上端位置は、折り畳んだ底部の上端縁から0.2Hの位置にある。
【0057】
なお、図5C及び図5Dの例では、仕切り部の下端部3bの片面は、谷部5の折れ線付近の内面とシールされていないため、シール際6tは、上端の他に下端も存在することになる。
【0058】
本発明者らは、図5A〜Dの例において、シール際6tの上端位置を、折り畳んだ底部の上端縁から0.05H〜0.95Hの位置とする好ましい範囲内とすることで、底部2が展開する際には、図9Cに示すように、谷部5の形状が、底部2側の正面視でS字に折れ曲がることを見出した。
谷部5の形状がS字に折れ曲がることにより、袋の前後方向に並設された複数の小室の底部のガゼットが均等に開き、底部における皺の発生を防止し、皺に起因する各種問題が生じ難くなる。
【0059】
さらに、本発明者らは、谷部5がS字に折れ曲がると同時に、仕切り部の下端部3bもS字に折れ曲がり、仕切り部の上端部3tの形状が、谷部5の形状と同様に、開口部側の正面視においてもS字に折れ曲がることを見出した。
仕切り部の上端部3tの形状がS字に折れ曲がることにより、袋の前後方向に並設された複数の小室の開口部が均等に且つ充分に開かれて、複数の小室の各開口部からの内容物充填が容易となる。
【0060】
図6A〜Bは、本発明の第一の自立性多室包装袋において、仕切り部の下端部3bと底部2との配置、並びに、平面部の下端部1bと底部2との配置を示す側部断面図である。
【0061】
図6Aの例は、底部として、谷部5を有さず山部4を1つ有するガゼット形状の底部であり、仕切り部の下端部3b付近が折り曲げられた折曲基部3b1が、山部4の折れ線に直接接し、仕切り部の折り曲げられた部分と底部2との相対する面同士が、仕切り部の下端縁シール部6においてシールされて、仕切り部3は、対向する一対の平面部1,1の間の前後方向略中央部で、当該平面部に対して略平行に配置される。
【0062】
図6Bの例は、底部として、谷部5を有さず山部4を1つ有するガゼット形状の底部であり、仕切り部の下端部3bが山部4の折れ線に接し、仕切り部の下端部3b付近が折り曲げられた折曲基部3b1が、山部4の近傍に位置し、仕切り部の折り曲げられた部分と底部2との相対する面同士が、仕切り部の下端縁シール部6においてシールされて、仕切り部3は、対向する一対の平面部1,1の間のどちらか一方の平面部に近く、他方の平面部からは遠い位置で、当該平面部に対して略平行に配置される。
【0063】
図7は、本発明の第一の実施形態にかかる自立性多室包装袋101を示す斜視図であり、図1及び図3に示した各部材の配置及び封止状態をとる実施形態である。
自立性多室包装袋101の平面部の側端縁シール部8は、図3に示される斜視図の部材の、一対の平面部の側縁部1s,1sと相対する底部の側縁部2sとがシールされ、また、仕切り部3の両面においては、仕切り部の側縁部3sと相対する一対の平面部の側縁部1s,1s及び底部の側縁部2sとがシールされている。
自立性多室包装袋101は、上述した仕切り部の下端縁シール部6、平面部の下端縁シール部7、及び平面部の側縁シール部8により、袋の前後方向に各小室9X,9Yが並設されている。
【0064】
本発明の自立性多室包装袋には、袋の脚部の安定性を高めて自立安定性を向上させる観点から、図7に示されるように、補強シール部10、及び斜行シール部13が形成されていることが好ましい。
【0065】
補強シール部10は、側端縁シール部8上において、前側、後ろ側の平面部の側縁部1s,1sが一体化されていない部分、すなわち底部2が介在している部分について、前側、後ろ側の平面部の側縁部1s,1sが一体化されるように設けられたものであり、自立性包装袋の両側縁部において脚部を補強している。
補強シール部10は、前側、後ろ側の平面部の側縁部1s,1sが一体化されるように設けられたものであれば、特に限定されず、例えば、補強シール部10の位置にあたる底部2に切り欠きを有し、前側、後ろ側の平面部の内面同士がヒートシール等によりシールされ、または前側の平面部の内面と相対する仕切り部の面と後ろ側の平面部の内面と相対する仕切り部の面がヒートシール等によりシールされて、前側、後ろ側の平面部の側縁部1s,1sが一体化されたものであってもよい。
また、その他には、接着剤を用いてシールされて、前側、後ろ側の平面部の側縁部1s,1sが一体化されたものであってもよく、底部2を構成する可撓性フィルムの相対する最表面層の材質を、ヒートシール性の同質材料とし、ヒートシールにより、前側、後ろ側の平面部の側縁部1s,1sが一体化されたものであってもよい。
【0066】
斜行シール部13は、底部2側の四隅部において、一対の平面部1,1の間に、各折線部を介して折り畳まれた底部2が介在するように折り畳んだ状態下で、袋内の相対する内面同士を、平面部の側端縁シール部8の所定位置から平面部の下端縁シール部7の所定位置に渡って、斜め形状にシールして形成されるものであり、内容物を充填した際に底部2に皺が生じることなく開き易くなるため自立安定性が向上させることができ、好ましい。
なお、斜行シール部13は、図8に示されるように、円弧形状にシールされるものであってもよい。
図8に示される円弧形状にシールされた領域内には、縦楕円形状の未シール部Pが数カ所適宜設けられた設計となっている。
【0067】
図9Aは、本発明の第一の実施形態にかかる自立性多室包装袋101に、内容物が充填されてなる本発明の第二の実施形態にかかる内容物充填体102を示す斜視図であり、図9Bは、図9AのAA断面図であり、図9Cは、図9Aを底部2側から正面視した図である。
なお、図9Bに示される断面図は、図9Aに示される斜視図をAAの断面で切断し、矢印方向から観た図を意味する。
以下、図11A、図12A、図13A、及び図20Aに示される矢印は、図9Aに示される矢印と同様の意味で使用する。
【0068】
本発明の内容物充填体102は、図7に示される、仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tと同じ高さに位置する自立性多室包装袋101において、開放された各小室9X,9Yに、上端側から異なる種類の内容物X,Yがそれぞれ充填され、仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tの間に挟み込まれた状態で、仕切り部の上端部3tに沿って、各平面部の上端部1tと仕切り部の上端部3tとを一体化して、袋を液密又は気密の状態に封止してできる実施形態である。
なお、内容物充填体102において、開放された各小室9X,9Yの上端縁は、同時に封止されるもので、当該各小室9X,9Yの上端縁の封止されている位置は、各平面部の上端部1tが封止されている位置と一致するものである。
【0069】
図10は、本発明の第三の実施形態にかかる自立性多室包装袋103を示す斜視図である。
本発明の自立性多室包装袋103は、図7に示される、仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tと同じ高さに位置する自立性多室包装袋101において、当該仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tよりも下方に位置するように、仕切り部の上端部3tの高さ位置を変更したこと以外は、本発明の第一の実施形態と同様の実施形態である。
【0070】
図11Aは、本発明の第三の実施形態にかかる自立性多室包装袋103に、内容物が充填されてなる本発明の第四の実施形態にかかる内容物充填体104を示す斜視図であり、図11B1及び図11B2は、図11AのAA断面図のバリエーションである。
本発明の内容物充填体104は、図10に示される、仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tよりも下方の高さに位置する自立性多室包装袋103において、開放された各小室9X,9Yに、上端側から異なる種類の内容物X,Yがそれぞれ充填され、仕切り部の上端部3tが、対向する一対の平面部の間に挟み込まれた状態で、仕切り部の上端部3tに沿って、仕切り部の上端部3tの両面と、それに対向する平面部の内面とがシールされ(図11B1)、或いは、仕切り部の上端部3tの片面と、それに対向する平面部の内面とがシールされ(図11B2)、且つ、平面部の上端部1tに沿って、各平面部の上端部1t同士がシールされることで各小室9X,9Yの上端縁がそれぞれ封止された、内容物充填体の実施形態である。
【0071】
ここで、仕切り部の上端部3tの両面又は片面と、それに対向する各平面部の内面とは、他のシール部分と同様の剥離し難いシール強度でシールされていてもよいが、剥離可能なシール強度でシールされた剥離性シール部12が形成されていてもよい。
なお、内容物充填体104において、各小室9X,9Yの上端縁が剥離可能なシール強度でシールされている位置は、各平面部の上端部1tがシールされている位置と異なるものである。
【0072】
また、剥離性シール部12のシール強度は、内容物が充填された袋を、手や掌で押圧したときに、剥離性シール部12が容易に剥離される強度であれば、特に限定されないが、5.0〜15.0N/15mm程度とすることが好ましい。
【0073】
ここで、「N/15mm」とは、15mm幅の剥離性シール部12を常温でT形剥離させるのに必要な強度を意味し、シール強度は、JIS Z 0238:1998に基づいて測定される。
【0074】
これに対して、剥離性シール部12以外の他のシール部のシール強度は全て、包装袋を密封し、且つ、剥離性シール部12のシール強度より強く手や掌の押圧に耐え得る強度でシールされている。
【0075】
各小室9X,9Yの開放された上端縁のシールが、剥離可能なシールの場合、袋の使用時に、手や掌で押圧することで、袋の内圧が上昇して、その圧力が多室内の内容物に伝達されて、剥離力として作用し、剥離性シール部12が容易に剥離されて、一方の小室の内容物が他方の小室に流入する経路が与えられ、各小室に収納されていた異なる種類の内容物を混合させることができる。
また、本発明の包装袋は、剥離可能なシール部が破壊されて袋内の充填物が合一し、混合した状態においても、袋の自立性を保持している。
【0076】
本発明の実施形態にかかる自立性多室包装袋においては、手指による袋の開封を容易にさせて、袋の利便性を向上させる観点から、開封補助手段14を設けることが好ましい。
開封補助手段14として、図9、図11、及び図20には「切り欠き」を図示したが、これに限定されるものではない。「切り欠き」の他には、例えば、平面部の側端縁シール部8上に設ける場合は、粗面、及び傷痕等の形状が代表的に挙げられる。また、平面部の内面に包装袋の側部から側部へ横断するようにテープが配置され、そのテープの端部には外面から摘むことが可能なつまみを有している形状でもよい。
【0077】
また、開封補助手段14を設ける位置は、各小室をそれぞれ開封することができる位置であれば特に限定されない。各小室の上端縁の封止位置の高さが、それぞれ異なる場合には、各小室の上端縁の封止位置の間の位置、及び各小室のうちで最も低い上端縁の封止位置よりも下方の高さ位置の中から任意に選ばれた一箇所以上の位置に開封補助手段14を設けることができる。
【0078】
例えば、図9及び図11に例示されるように、袋に含まれる全ての仕切り部の上端部3tの封止位置よりも下方の位置に、すなわち、全ての小室の上端縁が封止された位置よりも下方の高さ位置に、開封補助手段14を設けて開封を行う場合には、各小室内にそれぞれ充填された内容物を一度に全て取り出すことができる。
また、図20に例示されるように、各小室の上端縁が封止された位置の間、及び各小室のうちで最も低い上端縁の封止された位置よりも下方の高さ位置に、それぞれ開封補助手段14を設けて袋の上端側から順次開封を行う場合には、各小室内にそれぞれ充填された内容物を順次取り出すことができる。
【0079】
本発明の実施形態にかかる自立性多室包装袋においては、充填された内容部の取り出しを容易にさせて、袋の利便性を向上させる観点から、袋に注出口となる注出具15が取り付けられていてもよい。
【0080】
図12Aは、本発明の第五の実施形態にかかる自立性多室包装袋105を示す斜視図であり、図12Bは、図12AのAA断面図である。
本発明の自立性多室包装袋105は、図7に示される自立性多室包装袋101において、各小室9X,9Yに1つずつ注出具15が取り付けられた実施形態であり、内容物X,Yをそれぞれ別々に注出可能である。
【0081】
図13Aは、本発明の第六の実施形態にかかる自立性多室包装袋106を示す斜視図であり、図13B1及び図13B2は、図13AのAA断面図のバリエーションである。
本発明の自立性多室包装袋106は、図10に示される自立性多室包装袋103において、袋の上端部側に注出具15が取り付けられた実施形態である。
図13Aに示される自立性多室包装袋106は、仕切り部の上端部3tの両面又は片面と、それに対向する各平面部の内面とが、剥離可能なシールである場合、袋の使用時に、手や掌で押圧して異なる種類の内容物X,Yを1つの袋内で混合させることができるため、混合された内容物を注出することができる。
【0082】
注出具15の形状は、内容物や用途により異なり、特に限定されない。
注出具15は、口部として直接飲用する用途として用いることもできる。また、内容物を一度に全部使い切らない場合には、注出具15の開口部を閉止させる機構を有するキャップを具備させることもできる。
【0083】
さらに注出具としては、飲料、食品用途だけでなく、様々な分野における種々の形状のものを用いてよく、例えば、医療用のゴム栓を押し込んで又は被せて閉鎖する形状の注出具であってもよい。
注出具を設ける場所も特に制約されず、例えば、包装袋の底部近傍に、袋内に存在するいずれかの小室に通ずる注出具を取り付けてもよい。
【0084】
本発明の実施形態にかかる自立性多室包装袋の内容物としては、特に限定されない。第一の実施形態にかかる実施形態101、第五の実施形態にかかる実施形態105に充填させる、異なる種類の内容物としては、混合せずに同時に使用するものが好ましい。例えば、マスタードとケチャップ、マーガリンとジャムなどの流動性物質同士の組み合わせ、砂糖とクリームなどの流動性物質と固形物の組み合わせ、または個包装された固形物同士の組み合わせが挙げられる。
【0085】
また、第三の実施形態にかかる実施形態103、第六の実施形態にかかる実施形態106に充填させる、異なる種類の内容物としては、予め混合させておくと経時的に内容物が変化し、品質劣化を招いてしまうため使用直前に混合するものや、使用直前に混合した方が美味であるものなどが好ましい。例えば、豆乳と凝固剤、用事混合する医療用輸液などの流動性物質同士の組み合わせ、ドレッシングとゴマや粉チーズ、水と茶粉などの流動性物質と固形物の組み合わせが挙げられる。
【0086】
これまで述べてきた発明の第一乃至第六の実施形態の自立性多室包装袋は、2つの小室を有するものであったが、本発明においては、仕切り部の枚数、底部のガゼットの形状を適宜変更することで、3つ以上の小室を有する自立性多室包装袋を容易に設計することができる。
以下、3つ以上の小室を有する自立性多室包装袋について述べる。
【0087】
図14は、本発明の第七の実施形態にかかる自立性多室包装袋107に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
本発明の自立性多室包装袋107は、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tの高さ位置と同じ仕切り部3を2枚有し、当該2枚の仕切り部の下端部3bが同一の谷部5に配置されていること以外は、本発明の第二の実施形態と同様である。
自立性多室包装袋107は、当該2枚の仕切り部3により袋の前後方向において、底部にガゼットを有する小室9X,9Yと、当該2つの小室9X,9Yの間には底部にガゼットを有さない平袋状の小室9Zの計3つの小室に区画されており、それぞれの小室9X,9Y,9Zに異なる3種の内容物X,Y,Zが充填されてなる内容物充填体の実施形態である。
【0088】
図15は、本発明の第八の実施形態にかかる自立性多室包装袋108に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
本発明の自立性多室包装袋108は、図2A〜Cに示される底部2のガゼット形状のバリエーションうち、図2Bに示される、2つの谷部5を有するガゼット形状であり、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tの高さ位置と同じ仕切り部3を2枚有し、当該2枚の仕切り部の下端部3bがそれぞれの谷部5に配置されていること以外は、本発明の第七の実施形態と同様である。
【0089】
図16は、本発明の第九の実施形態にかかる自立性多室包装袋109に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
本発明の自立性多室包装袋109は、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tよりも下方に位置する仕切り部3を2枚有し、当該2枚の仕切り部の下端部3bが同一の谷部5に配置され、仕切り部の上端部に沿って、仕切り部の上端部の相対する面同士、及び平面部の内面とがシールされていること以外は、本発明の第四の実施形態と同様である。
なお、仕切り部の上端部の相対する面同士、及び平面部の内面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0090】
図17は、本発明の第十の実施形態にかかる自立性多室包装袋110に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
本発明の自立性多室包装袋110は、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tよりも下方に位置する仕切り部3を2枚有し、当該2枚の仕切り部の下端部3bが同一の谷部5に配置され、仕切り部の上端部に沿って、当該仕切り部の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とがシールされ、且つ、もう1枚の仕切り部も同様に、仕切り部の上端部に沿って、当該仕切り部の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とがシールされていること以外は、本発明の第四の実施形態と同様である。
なお、仕切り部の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0091】
本発明の実施形態にかかる自立性多室包装袋は、上端部の高さ位置が異なる仕切り部を複数枚用い、上端部の封止される位置が一致しないように、設計することで、小室の開封を段階的に或いは選択的に行うことが可能である。
【0092】
図18は、本発明の第十一の実施形態にかかる自立性多室包装袋111に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
本発明の自立性多室包装袋111は、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tよりも下方に位置する仕切り部3−1を1枚、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tの高さ位置と同じ仕切り部3−2を1枚有し、当該仕切り部3−1と仕切り部3−2の下端部が同一の谷部5に配置され、仕切り部3−1の上端部に沿って、当該仕切り部3−1の上端部の片面と、それに向かい合う仕切り部3−2の片面とがシールされていること以外は、本発明の第二の実施形態と同様である。
なお、仕切り部3−1の上端部の片面と、それに向かい合う仕切り部3−2の片面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0093】
図19は、本発明の第十二の実施形態にかかる自立性多室包装袋112に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す横断面図である。
本発明の自立性多室包装袋112は、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tよりも下方に位置する仕切り部3−1を1枚、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tの高さ位置と同じ仕切り部3−2を1枚有し、当該仕切り部3−1と仕切り部3−2の下端部が同一の谷部5に配置され、仕切り部3−1の上端部に沿って、当該仕切り部3−1の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とがシールされていること以外は、本発明の第二の実施形態と同様である。
なお、仕切り部3−1の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0094】
図20Aは、本発明の第十三の実施形態にかかる自立性多室包装袋113に、内容物が充填されてなる内容物充填体を示す斜視図であり、図20Bは、図20AのAA断面図である。
本発明の自立性多室包装袋113は、上端部の高さ位置が平面部の上端部1tよりも下方に位置する仕切り部3−1を1枚、上端部の高さ位置が仕切り部3−1の上端部よりもさらに下方に位置する仕切り部3−2を1枚有し、当該仕切り部3−1と仕切り部3−2の下端部が同一の谷部5に配置され、仕切り部3−2は、仕切り部3−2の上端部に沿って、当該仕切り部3−2の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とがシールして封止され、且つ、もう1枚の仕切り部3−1は、仕切り部3−1の上端部に沿って、当該仕切り部3−1の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とがシールされていること以外は、本発明の第四の実施形態と同様である。
なお、仕切り部3−2の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とのシール、及び仕切り部3−1の上端部の片面と、それに向かい合う平面部の内面とのシールは、剥離可能なシールであってもよい。
【0095】
以下に、本発明の実施形態にかかる自立性多室包装袋の製造方法を具体的に説明する。説明において、袋を形成するための部材及び部材中の部分に付す符号としては、完成した包装袋の対応する各部分に付した符号と同一の符号を付すこととする。
【0096】
本発明の製造方法において、各部材間をシールする方法は、特に限定されないが、例えば、各部材を構成する可撓性フィルムの相対する面同士を、接着剤を用いてシールする方法;シールする各部材を構成する可撓性フィルムの相対する最表面層の材質を、ヒートシール性の同質材料とし、ヒートシールによりシールする方法;等が代表的に挙げられる。
これらの各部材間をシールする手順は、通常、一連の操作手順で同時に行われるものである。
【0097】
また、各部材間を剥離可能な強度でシールする方法も、特に限定されないが、例えば、イージーピールテープを介して対向する内面同士を接合し、剥離可能な強度でシールする方法;シールする各部材を構成する可撓性フィルムの相対する最表面層の材質を、ヒートシール性の同質材料とし、ヒートシールの温度、圧力、及び時間を適宜調節して、ヒートシールにより剥離可能な強度でシールする方法;等が代表的に挙げられる。
【0098】
本発明の自立性多室包装袋を製造する第一の方法は、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、底部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記底部用部材を折り込んで、山部と谷部を交互に形成し、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記底部用部材の谷部とをシールして仕切り部用部材及び底部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、自立性多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とするものである。
【0099】
以下において、「上端、下端、側端」とは、自立性多室包装袋を形成した際の位置関係を指していう。
図21A〜Gは、上記第一の方法を説明する図である。
第一の方法においては、先ず、図21Aに示すように、一対の平面部用部材1,1、底部用部材2、及び仕切り部用部材3を準備する。
なお、ここで準備した仕切り部用部材3は、自立性多室包装袋を形成した際に上端部の高さ位置が、平面部用部材の上端部の高さ位置と同じになる大きさの仕切り部用部材である。
【0100】
次に、図21Bに示すように、底部用部材2は、折り込んで山部4と谷部5を交互に形成し、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状にする。この例では、底部用部材2を、山部を2つ及び谷部を1つ有する断面M字のガゼット形状となるように折り曲げる。
次に、図21Cに示すように、仕切り部用部材3の端部3bを、ガゼット形状の底部用部材2の谷部5に配置させる。
次に、図21Dに示すように、仕切り部用部材の上記端部3bに沿って、底部用部材2と仕切り部用部材3とをシールして一体化物(2+3)を形成する。このシールによって、仕切り部の下端縁シール部6が形成される。
【0101】
次に、図21Eに示すように、一体化物(2+3)を一対の平面部用部材1,1の間に挟み、図21Fに示すように、位置合わせして重ね合わせ体(1+2+3)を形成する。
なお、図21Fにおいて、底部の山部4の折込線、及び仕切り部の下端縁シール部6を透視し、点線で示す。
次に、図21Gに示すように、重ね合わせ体(1+2+3)の各部材が封止されていない部分において、自立性多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部、すなわち自立性多室包装袋を形成した際の両側縁部及び下端縁部に沿って、平面部用部材1,1と一体化物(2+3)とをシールすると、平面部の下端縁シール部7及び平面部の側端縁シール部8が形成され、自立性多室包装袋が得られる。
【0102】
得られた自立性多室包装袋には、自立安定性を向上させる観点から、図21Gに示すように、前側の平面部の側端縁シール部8と、後ろ側平面部の側端縁シール部8とを部分的にシールして補強シール部10を形成し、また、底部2側の四隅部においては、袋内の対向する内面同士を、平面部の側端縁シール部8の所定位置から平面部の下端縁シール部7の所定位置に渡って、斜め形状にシールして斜行シール部13を形成することで、図7に示した自立性多室包装袋101となる。
【0103】
図21Aにおいて、準備する仕切り部用部材3を、自立性多室包装袋を形成した際に仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tよりも下方に位置する大きさの仕切り部用部材に変更し、上述の第一の方法と同様の手順で作成することで、自立性多室包装袋103が得られる。
また、仕切り部3の枚数、及び底部ガゼットの形状を適宜変更し、さらに各部材間のシール強度を適宜変更させることで、自立性多室包装袋107、108、109、110、111、112、及び113を作成することができる。
図21A〜Gでは、1袋の自立性多室包装袋を作成する方法を図示したが、図21Aの横方向に長尺のフィルムから連続して自立性多室包装袋を作成してもよい。
【0104】
本発明の自立性多室包装袋を製造する第二の方法は、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部と底部を構成する一連部材、及び、仕切り部用部材を準備する工程、
前記一連部材の平面部となる部分と底部となる部分の境界を折り曲げて、一対の平面部となる部分と底部となる部分を区画する工程、
前記一連部材の底部となる部分を折り込んで、山部と谷部を交互に形成し、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記一連部材の底部となる部分の谷部とをシールして仕切り部用部材及び一連部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物の各部材が封止されていない部分において、自立性多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とするものである。
ここで「一連部材」とは、「平面部及び底部用部材が連続した部材」のことをいう。
【0105】
図22A〜Fは、上記第二の方法を説明する図である。
第二の方法においては、先ず、図22Aに示すように、一対の平面部と底部を構成する一連部材(1+2)、及び仕切り部用部材3を準備する。
なお、ここで準備した仕切り部用部材3は、自立性多室包装袋を形成した際に上端部の高さ位置が、平面部用部材の上端部の高さ位置よりも下方になる大きさの仕切り部用部材である。
【0106】
一連部材(1+2)は、一対の平面部1,1の間に底部2が連続した形状を有する。図22Aにおいて、一連部材(1+2)を点線で区画し、平面部1となる部分と底部2になる部分を示す。
次に、図22Bに示すように、一連部材(1+2)の平面部となる部分と底部となる部分の境界を折り曲げて、一対の平面部1,1となる部分と底部2となる部分を区画する。
次に、図22Cに示すように、一連部材(1+2)の底部2となる部分を、折り込んで山部4と谷部5を交互に形成し、且つ、山部4の数が谷部5の数よりも1つ多いガゼット形状にする。
【0107】
次に、図22Dに示すように、仕切り部用部材3の端部3bを、一連部材(1+2)の底部となる部分の谷部5に配置させる。
なお、図22Dにおいて、配置された仕切り部用部材3の見えない部分を透視し、点線で示す。
【0108】
次に、図22Eに示すように、仕切り部用部材の下端部3bに沿って、一連部材(1+2)と仕切り部用部材3とをシールして一体化物(1+2+3)を形成する。このシールによって、仕切り部の下端縁シール部6が形成される。
なお、図22Eにおいて、底部の山部4と谷部5の折込線、仕切り部の上端部3t、及び仕切り部の下端縁シール部6を透視し、点線で示す。
【0109】
次に、図22Fに示すように、一体化物(1+2+3)の各部材が封止されていない部分において、自立性多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部、すなわち自立性多室包装袋を形成した際の両側縁部及び下端縁部に沿って、一体化物(1+2+3)をシールすると、平面部の下端縁シール部7及び平面部の側端縁シール部8が形成され、自立性多室包装袋が得られる。
【0110】
得られた自立性多室包装袋には、自立安定性を向上させる観点から、図22Fに示すように、前側の平面部の側端縁シール部8と、後ろ側平面部の側端縁シール部8とを部分的にシールして補強シール部10を形成し、また、底部2側の四隅部においては、袋内の対向する内面同士を、平面部の側端縁シール部8の所定位置から平面部の下端縁シール部7の所定位置に渡って、斜め形状にシールして斜行シール部13を形成することで、図10に示した自立性多室包装袋103となる。
【0111】
図22Aにおいて、準備する仕切り部用部材3を、自立性多室包装袋を形成した際に仕切り部の上端部3tが、一対の平面部の上端部1tの高さ位置と同じになる大きさの仕切り部用部材に変更し、上述の第二の方法と同様の手順で作成することで、自立性多室包装袋101が得られる。
また、仕切り部3の枚数、及び底部ガゼットの形状を適宜変更し、さらに各部材間のシール強度を適宜変更させることで、自立性多室包装袋107、108、109、110、111、112、及び113を作成することができる。
図22A〜Fでは、1袋の自立性多室包装袋を作成する方法を図示したが、図22Aの横方向に長尺のフィルムから連続して自立性多室包装袋を作成してもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 …平面部
1b …平面部の下端部
1t …平面部の上端部
1s …平面部の側縁部
2 …底部
2b …底部の下端部
2s …底部の側縁部
3 …仕切り部
3b …仕切り部の下端部
3b1 …仕切り部の下端部の折曲基部
3t …仕切り部の上端部
3s …仕切り部の側縁部
4 …山部
5 …谷部
6 …仕切り部の下端縁シール部
6t …シール際
7 …平面部の下端縁シール部
8 …平面部の側端縁シール部
9X …小室
9Y …小室
10 …補強シール部
11 …平面部の上端シール部
12 …剥離性シール部
13 …斜行シール部
14 …開封補助手段
15 …注出具
X …内容物
Y …内容物
Z …内容物
P …未シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、ガゼット形状を有する底部と、
前記一対の平面部の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その下端部が前記底部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、自立性多室包装袋。
【請求項2】
可撓性フィルムにより形成された小室を複数有する包装袋であって、
袋の前側と後ろ側を構成する対向する一対の平面部と、
山部と谷部が交互に形成され、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状を有する底部と、
前記一対の平面部の間に当該平面部と略平行に配置され、且つ、その下端部が前記底部の谷部に位置し、包装袋内の小室間を仕切る、少なくとも1つの仕切り部とを有することを特徴とする、自立性多室包装袋。
【請求項3】
前記底部の谷部の下端部が、前記平面部の下端部よりも上方に位置することを特徴とする、請求項2に記載の自立性多室包装袋。
【請求項4】
前記仕切り部の上端部が、前記一対の平面部の上端部と同じ高さに位置し、且つ、当該一対の平面部の上端部の間に挟み込まれて一体化されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自立性多室包装袋。
【請求項5】
前記平面部の上端部を上端の封止部とする小室と、前記平面部の上端部より低い位置を上端の封止部とする他の小室を有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自立性多室包装袋。
【請求項6】
前記他の小室の上端の封止部が、剥離可能なシールによる封止部であることを特徴とする、請求項5に記載の自立性多室包装袋。
【請求項7】
前記各小室の上端の封止位置の間、及び、各小室のうちで最も低い上端の封止位置の下方の高さ位置から選ばれた1箇所以上の位置に、開封補助手段を設けることを特徴とする、請求項5又は6に記載の自立性多室包装袋。
【請求項8】
前記自立性多室包装袋に、注出具が取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の自立性多室包装袋。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の自立性多室包装袋に内容物が充填されている内容物充填体。
【請求項10】
請求項2乃至8のいずれか一項に記載の自立性多室包装袋を製造する方法であって、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部用部材、底部用部材、及び仕切り部用部材を準備する工程、
前記底部用部材を折り込んで、山部と谷部を交互に形成し、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記底部用部材の谷部とをシールして仕切り部用部材及び底部用部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物を、前記一対の平面部用部材の間に挟み重ね合わせ体を形成し、重ね合わせ体の各部材が封止されていない部分において、自立性多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とする自立性多室包装袋の製造方法。
【請求項11】
請求項2乃至8のいずれかに記載の自立性多室包装袋を製造する方法であって、
いずれも可撓性フィルムで形成された、一対の平面部と底部を構成する一連部材、及び、仕切り部用部材を準備する工程、
前記一連部材の平面部となる部分と底部となる部分の境界を折り曲げて、一対の平面部となる部分と底部となる部分を区画する工程、
前記一連部材の底部となる部分を折り込んで、山部と谷部を交互に形成し、且つ、山部の数が谷部の数よりも1つ多いガゼット形状にする工程、
前記仕切り部用部材の端部と、前記一連部材の底部となる部分の谷部とをシールして仕切り部用部材及び一連部材の一体化物を形成する工程、
前記一体化物の各部材が封止されていない部分において、自立性多室包装袋を形成した際に端縁部となる部分のうち充填口となる端縁部以外の端縁部をシールする工程、
を含むことを特徴とする自立性多室包装袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21(1)】
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【図21(2)】
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【図21(3)】
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【図22(1)】
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【図22(2)】
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【図22(3)】
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【公開番号】特開2011−25944(P2011−25944A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171437(P2009−171437)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】