説明

自転車用のギアチェンジ・ブレーキ一体型制御ユニット

【課題】自転車用のギアチェンジ・ブレーキ制御一体型ユニットを提供する。
【解決手段】一体型ユニットは、自転車のハンドルに固定可能な支持部材12と、第1の軸16周りにピボット回転可能に支持部材上に取付けたブレーキ制御レバー14と、支持部材に連結されたギアチェンジ制御ユニット18とを備える。制御ユニットは、第1の軸16に直交又は略直交する第2の軸22周りにピボット回転可能なシャフト20を有する。ギアチェンジ制御ユニットは、シャフト20に堅固に連結されたギア26と噛合ユニット28とを備えたラチェット機構を有する。噛合ユニット28は、第2の軸周りに回転自在に連結部材36に連結される。一体型ユニットはさらに、シャフトの第2の軸周りの回転を制御するために、ラチェット機構26、28に駆動連結されたギアチェンジレバー58を備える。ギアチェンジレバーは、第2の軸周りに揺動可能に、連結部材に堅固に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用のギアチェンジ・ブレーキ制御一体型ユニットに関する。さらに正確には、本発明は、文献EP0504118において本出願人により開示されたタイプの一体型ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記文献によれば、一体型制御ユニットは、第1の軸周りにピボット回転するブレーキ制御レバーに連結された支持部材と、支持部材に連結されたギアチェンジ制御ユニットとを備える。この制御ユニットは、ギアを切り替えるために、第1の軸に直交する第2の軸周りにピボット回転可能なギアチェンジレバーを備える。ギアチェンジレバーは、ブレーキコントロールレバーの直ぐ後方に配置されるとともに、ブレーキ制御運動を妨げないようにブレーキコントロールレバーと同じ方向に揺動自在になっている。
【0003】
上記ユニットは、デライヤの制御ケーブルと協働する、第2の軸周りに回転可能なシャフトを備える。シャフトの回転は、シャフトに堅固に固定されたギアを備えたラチェット機構により制御される。ギアチェンジレバーは、ギアと噛合う噛合ユニットを介して、シャフトの回転を制御する。公知の方法では、噛合ユニットは、第2の軸に対し回転自在となるようにシャフトに取付けた連結部材に対し、ピボット回転可能に連結されている。ギアチェンジレバーは、噛合ユニット上で回転するように移動する。初期状態では、噛合ユニットは、ギアの歯と接触していない。ギアチェンジレバーが第2の軸周りに回転する際に、レバーは、噛合ユニットを歯に接触させるために、小さな角距だけ移動する必要がある。この小さな無駄な移動(ストローク)の後、ギアチェンジレバーの回転運動は、噛合ユニットと歯の接触により、シャフトの角距と等しい角距の回転を生じさせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、公知の方法に比べて構成がより簡易で且つコスト効率がよく、噛合ユニットを歯に接触させるのに必要なギアチェンジレバーの角距を減らすことのできるギアチェンジ制御ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、これらの目的は、メインクレームに特徴が記載された一体型制御ユニットにより達成される。
【0006】
本発明は、非限定的例としての添付図面を参照して、以下の詳細な記載によりさらによく説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照して、符号10は、競技用自転車のギアチェンジ・ブレーキ一体型制御ユニットを表す。ユニット10は、実質的に、本出願人によりなされた上記特許出願EP0504118に記載されたユニットと同様に機能する。本願で明示されない全ての事項については、上記特許出願が参照される。
【0008】
一体型制御ユニット10は、自転車のハンドル(図示せず)に固定するための手段(図示せず)を備えた支持部材12を有する。ブレーキ制御レバー14は、ピボット16により形成される第1の軸周りにピボット回転自在に、支持部材12に固定されている。ブレーキ制御ケーブルの端部は、公知の方法を用いて、レバー14の上端に固定されている。
【0009】
支持部材12は、全体を符号18で表すギアチェンジユニットを担持する。図6、7を特に参照して、ギアチェンジユニット18はシャフト20を有する。シャフト20は、ブレーキコントロールレバー14のピボット軸16に対し直交又は略直交する第2の軸22周りに回転自在に、支持部材12に連結されている。シャフト20はプーリ(図示せず)を担持し、このプーリには、フロント又はリアデライヤの制御ケーブルの端部が巻回されている。
【0010】
シャフト20の第1の方向(図2、3、4で矢印24で表す)に関する回転により、デライヤの制御ケーブルがプーリにさらに巻回される。他方、矢印24で表す方向とは逆の方向に関するシャフト20の回転により、デライヤの制御ケーブルはリリースされる。矢印24とは逆方向にシャフト20の回転を制御する機構は、本発明の範囲内に含まれていないため、本願では説明しない。この機構は、EP0504118に詳述したように構成することができ、代わりに、本出願人により同一の発明の名称で同日に出願された特許出願に記載したように構成することもできる。シャフト20の軸22周りの矢印24方向への回転を制御する機構は以下で説明する。
【0011】
図6、7を参照して、シャフト20の矢印24方向への回転は、ギア26及び噛合ユニット28を備えたラチェット機構により制御される。ギア26は、シャフト20に固定され、鋸状の歯30を備えている。噛合ユニット28は、歯30と協働する一つの歯32と、付属物34(その機能は後述)とを備える。噛合ユニット28は、実質的に連結ロッド形状を有する連結部材36を担持する。図の例では、連結部材36は、プレス加工した湾曲金属シートからなり、ギア26の両側でシャフト20と係合する対向した2つの略環状の部分を形成する。連結部材36は、軸22に関して回転自在にシャフト20上に取付けてある。
【0012】
図7を参照して、連結部材36の2つの環状部分40はそれぞれ、ベース44で互いに連結された延長部42を形成する。延長部42はそれぞれ一直線上に並んだ孔46を有する。噛合ユニット28にはピボット50と係合する孔48が設けてあり、このピボット50は、延長部42の孔46と係合する。ピボット50の軸は、第2の軸22に平行又は実質的に平行である。噛合ユニット28は、ピボット50周りに揺動自在に連結部材36に連結されている。
【0013】
ベース44と噛合ユニット28との間には、例えば圧縮コイルばね52からなる弾性部材が配置され、これにより噛合ユニット28を、歯32がギア26の歯30と係合する位置に付勢するようになっている。
【0014】
図7を特に参照して、連結部材36の延長部42の一つ(前に向いた側)には、互いに平行に対向した一対のフランジ54が設けてあり、これらフランジには一直線上に並んだ孔56が形成されている。ギアチェンジレバー58は、第2の軸に直交又は略直交するピン60を介して、連結部材36のフランジ54にピボット回転可能に取付けてある。
【0015】
図6、7を参照して、ギアチェンジレバー58の上端は、フォーク状でフランジ54に係合し、これによりギアチェンジレバー58が軸22周りに揺動可能に連結部材36に固定される。逆に、ギアチェンジレバーは、連結部材36に対しピボット60周りに揺動自在になっている。このように、ギアチェンジレバー58は、ピボット16で実質的に表された第1の軸周りのブレーキ制御レバー14の揺動に追従できる。
【0016】
図1、2を参照して、連結部材36は復帰ばね62と協働する。この復帰ばね62は、ギアチェンジレバー58が矢印24方向への軸22周りの揺動後に解放された後に、連結部材36及びギアチェンジレバー58を図2、3に示す初期位置に戻すようになっている。図示しない第2の復帰ばねは、レバー58と協働し、ピボット60周りの揺動後にブレーキ制御レバー14のブレーキ運動により、レバー58を図1に示す位置に戻すようになっている。
【0017】
次に、本発明に係るユニットの動作を図3、4、5を参照して説明する。図3は、ギアチェンジレバー58の初期位置を示す。上述したように、連結部材36と連動する復帰ばねは、矢印24で示すのと逆の方向に連結部材が回転するように付勢する。図3に示す初期位置において、噛合ユニット28の付属物34は、支持部材12の内面62に当接するとともに、噛合ユニット28を、該ユニット28の歯32が歯30と係合しない位置に保持する。支持部材12の内面62はまた、移動止めの端部を形成し、ギアチェンジレバー58は、連結部材36と連動する復帰ばねの作用により上記端部に当接するように押され、その結果、ギアチェンジレバー58に対するレファレンス位置が形成される。
【0018】
図4を参照して、ギアをある方向に切り替えるために、サイクリストは矢印64の方向にギアチェンジレバー58を押す。ギアチェンジレバー58と連結部材36が軸22周りに揺動可能に互いに連結されているため、レバー58の回転は、角距の等しい連結部材36の回転を生じさせる。図4に示すように、矢印24方向への軸22周りの連結部材36の僅かな回転により、噛合ユニット28の付属物34は、支持部材12の内面62から離れる。
【0019】
その結果、圧縮コイルばね50の作用を受けて、噛合ユニット28はピボット50周りに回転し、歯32と歯30が係合する。図4に示す位置から矢印24方向へ軸22周りにレバー58をさらに回転させると、噛合ユニット28と歯30との接触により、軸22周りにシャフト20が回転する。
【0020】
図5は、ギアチェンジレバー58の回転運動が終了した位置を示す。サイクリストは、切り替えるギアの数に応じてギアチェンジレバー58の揺動の角距を選択できる。図5に示す位置からはじめて、サイクリストがギアチェンジレバー58を離すと、連結部材36と連動する復帰ばねは、連結部材及びギアチェンジレバー58を図3に示す初期位置に復帰させる。他方、シャフト20は、保持機構(説明省略)により新しい位置に保持される。反対方向へのギアシフトは、上記保持機構を解放するように配置されたボタン(図示せず)により得られる。
【0021】
図3と図4を比較することによりわかるように、ギアチェンジレバー58は、噛合ユニット28を歯30に接触させるのに非常に小さな角距を移動すればよい。ギアチェンジレバーのアプローチストロークを減らすことは、レバーのアクティブなストロークを増やし、したがって、同じ条件下でデライヤ制御ワイヤの端部が巻回されるプーリの直径を小さくすることができる点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る制御ユニットを示す部分側断面図。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図。
【図3】制御ユニットの一動作姿勢を示す図2に類似した断面図。
【図4】制御ユニットの別の動作姿勢を示す図2に類似した断面図。
【図5】制御ユニットのさらに別の動作姿勢を示す図2に類似した断面図。
【図6】図1において矢印VIで示す部分の斜視図。
【図7】図6の部品の分解斜視図。
【符号の説明】
【0023】
12:支持部材、14:ブレーキ制御レバー、16:第1の軸、18:ギアチェンジ制御ユニット、20:シャフト、22:第2の軸、26:ギア、28:噛合ユニット、36:連結部材、58:ギアチェンジレバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用のギアチェンジ・ブレーキ制御一体型ユニットにおいて、
自転車のハンドルに固定可能な支持部材(12)と、
第1の軸(16)周りにピボット回転可能に支持部材(12)上に取付けたブレーキ制御レバー(14)と、
支持部材(12)に連結されたギアチェンジ制御ユニット(18)とを備え、
前記ギアチェンジ制御ユニット(18)は、第1の軸(16)に直交又は略直交する第2の軸(22)周りに回転可能なシャフト(20)を有し、ギアチェンジ制御ユニット(18)は、前記シャフト(20)に堅固に連結されたギア(26)と噛合ユニット(28)とを備えたラチェット機構を有し、前記噛合ユニット(28)は、前記第2の軸(22)周りに回転自在に連結部材(36)に連結され、
前記一体型ユニットはさらに、前記シャフト(20)の前記第2の軸周りの回転を制御するために、前記ラチェット機構(26、28)に駆動連結されたギアチェンジレバー(58)を備え、
前記ギアチェンジレバー(58)は、前記第2の軸(22)周りに揺動可能に、前記連結部材(36)に堅固に固定されることを特徴とするユニット。
【請求項2】
ギアチェンジレバー(58)は、連結部材(36)上を、前記第2の軸(22)に直交又は略直交する軸(60)周りにピボット回転することを特徴とする請求項1のユニット。
【請求項3】
前記噛合ユニット(28)は、前記連結部材(36)上を、前記第2の軸(22)に平行又は略平行な軸(50)周りにピボット回転するとともに、該ユニット(28)をギア(26)との噛合い位置に向けて回転するように付勢する弾性手段(52)と連動することを特徴とする請求項1のユニット。
【請求項4】
前記噛合ユニット(28)は、ギアチェンジレバー(58)の初期位置において、支持部材(12)の内面(62)と当接する付属物(34)を有し、これにより、噛合ユニット(28)を、前記弾性手段(52)の作用に抗して、前記ギア(26)に対し離間した位置に保持することを特徴とする請求項3のユニット。
【請求項5】
前記連結部材(36)は、実質的に連結ロッドの形状を有することを特徴とする請求項1のユニット。
【請求項6】
前記連結部材(36)は、前記ギア(26)の両側に配置された略環状の2つの部材(40)を有することを特徴とする請求項1のユニット。
【請求項7】
前記略環状の部材(40)にはそれぞれ、ベース(44)により互いに連結された延長部(42)が設けてあることを特徴とする請求項6のユニット。
【請求項8】
前記延長部(42)の一つには、対向して平行に配置された一対のフランジ(54)が設けてあり、これらフランジに対し前記ギアチェンジレバー(58)がピボット回転することを特徴する請求項7のユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−230553(P2007−230553A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109432(P2007−109432)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【分割の表示】特願2002−3517(P2002−3517)の分割
【原出願日】平成14年1月10日(2002.1.10)
【出願人】(592072182)カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (94)
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
【Fターム(参考)】