説明

臭気収着粒子により不織布を処理する方法、及びこうして処理された布を含むフェースマスク

臭気除去用途に適した不織布が提供される。布を処理する方法及び臭気を除去するフェースマスクもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭気を緩和或いは別の方法により減少させるのに用いることができる材料及び製品に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭は、長い間、臭気及び他の好ましくない化合物の除去に用いられている。活性炭及び他の高多孔性表面域物質による臭気の除去は、通常、吸着機構により生じるものと考えられている。「吸着」という用語は、一般に、物質を気相又は液相から固体基体表面上に優先的に区分化することを指す。吸着は、吸収される液体が吸収相に浸透する吸収と同じものではない。臭気除去の理論又は機構により拘束されることを望むものではないが、「収着」及び「収着剤」という用語は、それぞれ、吸収及び/又は吸着、及び、吸収剤及び/又は吸着剤を指すのに用いられる。
【0003】
従来技術の活性炭含有製剤は、扱うのが困難及び/又は高価であり、活性炭を基体に適用する方法は厄介なものであり、又は、あまり満足いくものではなかった。さらに、活性炭により被覆又は処理された最終生成物は、典型的には、好ましくない臭気を除去するのに十分な活性炭を含むものではなく、及び/又は、活性炭粒子を最終生成物に組み込む方式又は方法は、典型的には、臭気を除去する粒子能力に対して悪影響を有する。
【0004】
臭気除去特性を紙製品に付与する試みは、米国特許番号第5,693,385号に開示されており、活性炭粒子を含有するインクを用いて、ロッドにより片面が被覆された板紙包装材料について記載している。開示される材料は、空気透過性のものではなく、空気濾過用途、特に、フェースマスクといった呼吸用製品には適していない。
【発明の開示】
【0005】
したがって、濾過製品に用いられる基体を処理する方法を提供し、フェースマスク及び他の濾過用途のための臭気除去特性を有する通気性材料を提供することが望ましい。臭気を減少させるために、こうした基体に加えられるいずれのものも、臭気制御を対処する従来の試みにおいて生じたように、製品から移動しないことが望ましい。具体的には、臭気収着粒子は、製品から目立った量ですり減るものであるべきではない。すなわち、臭気を減少させる或いは別の方法により制御する材料を作成する工程の必要性が存在することが明らかである。
【0006】
本発明は、ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、約90m3/分/m2より大きい空気透過性を有する不織布を、臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させるステップを含む不織布を処理する方法を提供する。幾つかの実施形態においては、不織布は、臭気収着粒子を含む水性組成物により飽和させる前に、ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、約100m3/分/m2より大きい空気透過性を有する。或る実施形態においては、不織布は、臭気収着粒子を含む水性組成物により処理される前に、処理されていない不織布の1グラム当たり70mgより少ないピリジン臭気を除去する。臭気収着粒子は、炭素粒子、活性炭粒子、処理された活性炭粒子、処理されていない活性炭粒子、ゼオライト粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、及びこれらの混合物とすることができる。水性組成物は、ポリマーバインダを含むことが望ましい。ポリマーバインダは、ラテックス、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリレートの共重合体、メタクリレートの共重合体、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、ニトリルゴム、アクリルニトリルブタジエン共重合体、又はポリビニルアルコールバインダとすることができる。或る実施形態においては、水性組成物は、少なくとも約10重量パーセントのスチレンアクリル共重合体バインダと、少なくとも約10重量パーセントの活性炭粒子とを含む。
【0007】
本発明は、さらに、濾過目的に適した不織布を提供し、この不織布は、不織布の重量に対して少なくとも10重量パーセントの収着剤粒子を含み、ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、少なくとも40m3/分/m2の空気透過性を有し、臭気除去試験により測定した場合に、不織布の1グラム当たり少なくとも70mgのピリジン臭気を除去することができる。収着剤粒子は、通常の使用において、こすり落とされることがないことが望ましい。或る実施形態においては、不織布は、ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、少なくとも60m3/分/m2の空気透過性を有し、臭気除去試験により測定した場合に、不織布の1グラム当たり少なくとも75mgのピリジン臭気を除去することができる。或る実施形態においては、不織布は、不織繊維のボンデッドカーデッドウェブである。或る実施形態においては、ポリエステル繊維と、二成分ポリエチレンのシース繊維/ポリプロピレンのコア繊維とのボンデッドカーデッドウェブである。或る望ましい実施形態においては、収着剤粒子は、活性炭粒子であるか又はこれを含む。
【0008】
本発明は、さらに、内側に面する層と、濾過層と、臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させることにより処理された不織布層とを含むフェースマスクを提供する。或る実施形態においては、臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させることにより処理された不織布層が、フェースマスクの外側に面する層であり、濾過層が、内側に面する層と、臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させることにより処理された不織布層との間に配設される。他の実施形態においては、フェースマスクは、外側に面する層をさらに含み、臭気収着粒子で処理された不織布層が、濾過層とフェースマスクの外側に面する層との間に配設される。フェースマスクは、さらに、耐流体層を含むことができる。また、或る実施形態においては、耐流体層は、臭気収着粒子で処理された不織布層と、フェースマスクの内側に面する層との間に配設される。耐流体層は、開口フィルムとすることができる。
さらに別の望ましい実施形態においては、本発明は、内側に面する層と、メルトブローン不織構造を含む濾過層と、少なくとも10重量パーセントのスチレンアクリル共重合体バインダと、少なくとも約10重量パーセントの活性炭粒子とを含む水性組成物で処理されたボンデッドカーデッドウェブを含む臭気収着層とを含み、処理されたボンデッドカーデッドウェブが、ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、少なくとも120m3/分/m2の空気透過性を有する、フェースマスクを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
試験方法
空気透過性試験手順
本発明の材料並びに比較材料の空気透過性又は「通気性」を試験するために、ASTM D−737−96による空気透過性試験が行われた。この試験に用いられた機器は、38cm2の試験ヘッドをもつTEXTEST FX3300であった。試験は、水位計圧力0.5インチ(約1.27cm)の指定された表面圧力差の下で、布を通る空気流の速度及び容量を測定する。データは、布の38cm2の試験ヘッドについて、立方フィート/分/平方フィート(CFM/ft2)の空気流速度として表現され、m3/分/m2に変換された(CFM/ft2の読み取り値を3.28により除算する)。
【0010】
臭気除去試験手順
被覆対飽和により収着剤を適用する効率を試験するために、両方の方法が実行されて、結果として得られる材料が試験された。この試験においては、ブレード及びMeyerロッド(10番の二重巻き)を用いることを含む異なる表面被覆方法を用いて、MeadWestvacoからのNuchar PMA Inkが、セルロース繊維を含有する湿式堆積布(Ahlstromからの)に適用された。湿式堆積布の他の例は、上述のように飽和されて、蒸気カンで乾燥された。臭気除去効率は、ピリジン(アミン)をモデル臭気として、ヘッドスペース気体クロマトグラフィ(GC)法を用いて測定され、これは、共に独国Waldbronn所在のAgilent Technologiesから入手可能なAgilent7694ヘッドスペースサンプラをもつAgilent5890、SeriesII気体クロマトグラフ上で行われた。ヘリウムがキャリア気体として用いられた(噴射ポート圧力:12.7psig(188.9kPa)、ヘッドスペースバイアル圧力:15.8psig(210.3kPa)、供給ライン圧力:60psig(515.1kPa))。(カリフォルニア州フォルサム所在のJ&W Scientific,Indから入手可能な)長さ30m、内径0.25mmのDB−624カラムが臭気化合物のクロマトグラフィに用いられた。
【0011】
ヘッドスペースGC法に用いられる作動パラメータを以下の表に示す。

ヘッドスペース気体クロマトグラフィ装置の作動パラメータ

【0012】
試験手順は、20立方センチメートル(cc)のヘッドスペースのバイアル内に臭気吸着剤を含有する約0.008gのサンプルを置くことを含む。シリンジを用いて、臭気可能物のアリコートもまたバイアル内に置かれた。バイアルは、次いで、キャップ及びセプタムでシールされて、37℃のヘッドスペース気体クロマトグラフィオーブン内に置かれた。10分後、中空ニードルがセプタムを通して、バイアルの中に挿入された。ヘッドスペースの1ccのサンプル(バイアル内の空気)が、次いで、気体クロマトグラフの中に噴射された。
【0013】
試験結果は以下に示されており、湿式堆積布におけるセルロースの弱酸性の性質のため、対照はピリジンの幾らかを除去することに注目すべきである。
【0014】
本発明は、臭気を制御する通気性材料について述べる。通気性材料は、外科用フェースマスクといった呼吸濾過製品に用いることができる。フェースマスクにおける臭気制御は、例えば、レーザ又は焼灼手順に曝される人々のような、臭気環境においてフェースマスクを用いる人々にとって特に関心がもたれる。これらの手順により生成される臭気性「外科的スモーク」は、ピリジンを含む有毒な化学副産物の表を示すAAA Journalの記事(2001年4月第69巻2番、125から132ページ)を含む多くの刊行物に述べられている。発明者らは、臭気収着剤の耐久性のある処理を通気性布基体に生成する方法を見出した。臭気収着剤は基体上に付着され、臭気収着剤、バインダ、及び水を含む製剤から乾燥される。この臭気収着製剤は、飽和法を用いて付着させることができ、厳しい製品使用にもかかわらず、実質的に、適当な位置に残る。ここで用いられる「飽和」は、浸漬及び圧搾を含み、一般に、浸透或いは別の方法により、基体を、臭気収着製剤を含む溶液又はエマルジョンに浸すことを含み、この基体を、臭気収着製剤を含有する溶液又はエマルジョンで満載することは必要としない。
【0015】
臭気収着剤は、ゼオライト、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸亜鉛並びに硫酸銅、及び、粒子又は繊維形態の活性炭、又は臭気を制御するものと知られる他の化学物質、及び、これらの混合物とすることができ、又はこれらを含むことができる。臭気収着剤の量は、選択される収着剤の効率に応じて変化するが、一般に、約2から約80重量パーセントまでの範囲、望ましくは約5から75重量パーセントまでの間、より望ましくは約10から30重量パーセントまでの間であるべきである。特に提案される臭気収着剤は、これに限るものではないが、活性炭粒子を含む。活性炭粒子は、臭気を収着する、すなわち吸収及び/又は吸着することができるため、臭気制御に望ましい。
【0016】
本発明による濾過基体を処理するのに提案される組成物は、以下に限られるものではないが、炭素粒子、活性炭粒子、処理された活性炭粒子、処理されていない活性炭粒子、ゼオライト粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子及び同様なものを含む臭気収着粒子を含む組成物を含む。臭気収着粒子は、高い表面域を有し、これは多孔性であることが望ましい。1つの提案される部類の多孔性臭気収着粒子は、これに限られるものではないが、活性炭粒子を含む。こうした活性炭粒子を含み、本発明による材料を生成するのに提案される組成物は、バージニア州コビントン所在のMeadWestvaco Corporationから入手されるNuchar PMA Ink、及び、同様にMeadWestvacoからDPX−8433−68A、DPX−8433−68B、及びDPX−7861−49Aの商品名で入手される他のインク製剤を含む。一般に、これらの組成物は、水と、ポリマーバインダと、活性炭粒子との水性エマルジョンである。より具体的には、これらの組成物は、水と、少なくとも10重量パーセントのポリマーバインダと、少なくとも10重量パーセントの活性炭粒子との水性エマルジョンである。ポリマーバインダは、スチレンアクリル共重合体であることが望ましい。例えば、Nuchar PMA Inkは、11から14重量パーセントまでの独占スチレンアクリル共重合体と、14から16重量パーセントまでの活性炭と、70から85重量パーセントまでの水とを含む水性エマルジョンである。DPX−8433−68A及びDPX−8433−68Bのインクは、20から24重量パーセントまでの独占スチレンアクリル共重合体と、12から16重量パーセントまでの活性炭と、62から66重量パーセントまでの水とを含む水性エマルジョンである。さらに、DPX−7861−49Aのインクは、9から13重量パーセントまでの独占スチレンアクリル共重合体と、14から16重量パーセントまでの活性炭と、70から75重量パーセントまでの水とを含む水性エマルジョンである。他の収着剤製品は、CARBABSORB(登録商標)の商標名で米国ピッツバーグ所在のCalgon Carbon Corporationから、ウィスコンシン州ミルウォーキー所在のSigma−Aldrich Chemical Companyから、及びマサチューセッツ州ボストン所在のCabot Corporationから入手可能である。
【0017】
提案される他の水ベースのバインダは、以下に限定されるものではないが、ラテックスバインダ、ポリメタクリル酸、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)を含むポリアクリル酸塩、及び種々のアクリル酸塩とメタクリル酸エステル及びこれらのエステルの遊離酸の共重合体、スチレンブタジエン共重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、ニトリルゴム又はアクリルニトリルブタジエン共重合体などを含む。ポリビニルアルコールのような水溶性バインダもまた提案されており、収着剤粒子のためのバインダとして好適とすることができる。提案されるラテックスバインダは、例えば、Weber他に付与された米国特許番号第5,595,828号に開示されるラテックスバインダのようなセルロース基体の飽和のために一般に用いられるラテックスバインダを含む。
【0018】
本発明の臭気収着剤は、例えば、不織布のような基体上に適用し、水性ベースの製剤から乾燥されて、乾燥された基体を製品内に置くことができる。或いは、収着剤を含有する製剤は、フェースマスクにおける濾過層といった製品内の既存の層の上に適用して、乾燥させることができる。本発明の収着剤による処理に適した基体は、フィルム、ティッシュ、紙タオル、コフォーム材料のような織布及び不織布、空気堆積材料、湿式堆積材料、ボンデッドカーデッドウェブ、スパンボンデッド材料、メルトブローン材料などを含む。包括的ではない基体の例は、すべてKimberly−Clark Corporationに譲渡された米国特許番号第4,775,582号、4,853,281号、4,833,003号、及び4,511,488号に見出すことができる。
【0019】
ここで用いられる「メルトブローン繊維」という用語は、溶融した熱可塑性材料を、複数の微細な、通常は円形のダイ毛管を通じて、収束する高速高温ガス(例えば空気)流の中へ溶融糸又はフィラメントとして押し出し、熱可塑性材料のフィラメントがガス流によって細められ、直径が、マイクロファイバーの直径にまで縮小されることにより形成される小直径の繊維を意味する。その後、メルトブロー繊維は、高速ガス流により運ばれ、集積面に堆積されて、不規則に分散されたメルトブロー繊維のウェブを形成する。このような工程は、例えば、Butin他に付与された米国特許第3,849,241号に開示されている。メルトブローン繊維は、連続的又は非連続的となり得るマイクロファイバーであり、通常は平均直径が10ミクロンより小さく、集積面に堆積されるときには、通常は粘着性がある。
【0020】
不織布は、スパンボンディング、メルトブローイング、空気堆積処理、ボンディング及びカーディングなどのような工程により作成することができる。不織布は、以下に限られるものではないが、ポリエステル、ナイロン、及びポリオレフィンを含む熱可塑性樹脂から作成することができる。オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレンなど、並びに、これらの混合物を含む。本発明により処理された基体は、例えば、パルプ繊維のような親水性の成分、又は、臭気収着粒子を含有する組成物が基体を濡らすように、より親水性になるように処理された繊維を含むことが望ましい。提案される基体は、以下に限られるものではないが、ボンデッドカーデッドウェブ、特に、レーヨン繊維といった幾らかの親水性繊維を含有するもの、又は、ボンデッドカーデッドウェブを構成する繊維の親水性を増加させる組成物で処理されたボンデッドカーデッドウェブ、スパンボンデッドウェブ、特に、ポリオレフィンスパンボンデッドウェブ、メルトブローンウェブ、特にポリオレフィンメルトブローンウェブ、及び、パルプ繊維とポリエステル繊維の湿式複合ウェブを含む。提案される他の基体は、以下に限定されるものではないが、湿式ウェブ、スパンボンドウェブ及びメルトブローンウェブといったメルトスパンウェブ、空気堆積ウェブ、溶剤スパンウェブ、コフォームウェブ、水圧交絡されたウェブ、及び他の種類のウェブ、望ましくは、幾らかの親水性繊維を含有するウェブ、又は、臭気収着粒子を含有する組成物が基体を濡らすように、より親水性になるように処理された又は処理されることができる幾らかの繊維を含有するウェブを含む。
【0021】
ここで用いられる「コフォーム」という用語は、シュートの近くに少なくとも1つのメルトブローン・ダイヘッドが配置され、該ダイヘッドを通じて他の材料が成形中のウェブに添加されるような製法を意味する。このような他の材料は、例えば、パルプ、超吸収性粒子、天然ポリマー(例えば、レーヨン又はコットン繊維)、及び/又は、合成ポリマー(ポリプロピレン又はポリエステル)繊維)とすることができ、繊維はステープル長とすることができる。コフォーム工程は、Lauに付与され本出願人に譲渡された米国特許第4,818,464号と、Anderson他に付与された米国特許第4,100,324号に記載されている。コフォーム工程によって生成されたウェブは、一般にコフォーム材料と呼ばれる。
【0022】
ボンデッドカーデッドウェブは、ステープル繊維をコーミング装置又はカーディング装置の中に送り、ほぐして機械縦方向に揃え、ほぼ機械縦方向に配向された繊維不織ウェブを形成することにより作成される。ウェブが形成されると、次いでウェブは、パウダー結合、パターン結合、空気貫流結合、及び超音波結合といった幾つかの方法の1つ又はそれ以上により結合される。バインダ繊維と呼ばれる溶融可能繊維は、空気貫流結合を可能にするように、カーデッドウェブの中に含まれる。含まれるバインダ繊維の量は、必要な結合の程度、ウェブの坪量、及び繊維長並びにデニールに応じて決まる。一般に、より多くのバインダ繊維は、より強く、高密度の、孔の少ない構造を与える。たった5パーセントのバインダ繊維を有する貫流ボンデッドカーデッドウェブ及び100パーセントほどのバインダ繊維を有する貫流ボンデッドカーデッドウェブが可能である。
【0023】
空気堆積工程においては、約3から約52ミリメートル(mm)までの範囲の典型的な長さを有する小繊維の束が、分離されて空気中に浮遊させられ、次いで、通常は真空の助けによって成形スクリーン上に堆積される。次いで不規則に堆積された繊維が、互いに結合される。空気堆積教示の例は、Lausen他に付与され、Sacn Web of North America Incに譲渡された米国特許番号第4,640,810号に記載されるDanWeb工程、Kroyer他に付与された米国特許番号第4,494,278号、Soerensenに付与され、Niro Separationに譲渡された米国特許番号第5,527,171号、及びAppel他に付与され、Kimberly−Clark Corporationに譲渡された米国特許番号第4,375,448号、又は他の同様な方法を含む。
【0024】
不織基体の坪量は、約7gsm(約0.2osy)から約100gsm(約3osy)まで異なることができる。高い通気性が布に望まれる用途においては、坪量は、約34gsm(約1.0osy)より少ないことが望ましく、約24gsm(約0.7osy)より少ないことがより望ましい。より低い坪量のボンデッドカーデッドウェブにおいては、製造中に、繊維同士及び他の任意的な層への結合を改善するために、結合可能な繊維の量を増加させるように、二成分繊維の比率を増加させるべきである。
収着剤は、収着剤及びバインダの溶液又はエマルジョンとすることができる液体の中に層を浸漬し、余分なものを圧搾し、乾燥することを伴う浸漬及び圧搾法のような流体飽和方法により、収着剤を基体層に適用することができる。収着剤は、飽和トリータにより層に適用し、次いで、例えば、蒸気カンにより乾燥することができる。この方法は図2に示され、湿式堆積布69が、ローラ70、71の周りを移動し、リザーバ73を通り、次いで、ゴムロール74とステンレス鋼72との間を通り、ここで、布が「ニップ」され、又は、圧搾されて、余分な液体が除去される。濡れた湿式堆積布69は、次いで、4つの蒸気カン76、78、80、及び82上で乾燥され、次いで、ロールに巻かれる。一例においては、ゴムロールとステンレス鋼との間のニップ圧は、92psi(約634キロパスカル、KPa)であり、適用された臭気収着剤及びバインダの量は100から127重量パーセントまでの範囲であり、供給速度は28ft/分(8.53m/分)であり、蒸気カン温度は、それぞれ、176F、170F、185F、及び191F(80.0、76.7、85.0、及び88.3℃)であった。或いは、濡れた布は、空気貫流乾燥を用いることによるような他の手段で乾燥させることができる。飽和工程は、臭気収着剤の粒子を、不織基体の外側表面上だけでなく、不織材料の構造内の繊維にも接着するか、被覆するか、或いは別の方法により結束することを可能にすると信じられている。
【0025】
1つの望ましい実施形態においては、本発明は、基体の重量に対して少なくとも10重量パーセントの収着剤粒子を含み、ASTM D 737−96により測定した場合に、0.5インチ(約1.27cm)の水位計圧力差で、少なくとも40m3/分/m2の空気透過性を有し、上述の臭気除去試験手順により測定された場合に、基体1グラム当たり少なくとも70mgのピリジン臭気を除去することができる空気透過基体を与える。こうした基体は、例えば、フェースマスクのような空気濾過用途に適している。したがって、本発明は、さらに、基体の重量に対して少なくとも10重量パーセントの収着剤粒子を含み、ASTM D 737−96により測定した場合に、125Pa(0.5インチ(約1.27cm)の水)の水位計圧力差で、少なくとも40m3/分/m2の空気透過性を有し、臭気除去試験手順により測定した場合に、基体1グラム当たり少なくとも70mgのピリジン臭気を除去することができるフェースマスクを与える。例示的なフェースマスク、具体的には外科用フェースマスクを図1に示す。
【0026】
以下の詳細な説明は、外科用フェースマスクの内容で行われる。しかし、臭気除去を与えることにより利益を得る他の物品もまた本発明において考慮されるべきであり、本発明の基体及び/又は方法により利益を得ることができることが容易にわかるであろう。本発明による基体及び/又は方法を含むことにより利益を得ることができる、提案される物品は、以下に限られるものではないが、頭部に取り付けるのにひもを用いる外科用フェースマスクのような医療用フェースマスク、産業用呼吸装置、及びフェースマスク、HVAC濾過製品及び同様なものを含む。さらに、本発明は、種々の構成の内容において述べられる。本発明の代替的な配置は、こうした構成のいずれの組み合わせも含むことができることを理解すべきである。
【0027】
図1は、例示的なフェースマスクを示す。図示される例示的なフェースマスク20は、任意的なバイザ30に取り付けられたフィルタ本体32を含む。フィルタ本体32は、マスク20の着用者22の鼻及び/又は口を通して呼吸される空気をフィルタ処理するように設計される。フィルタ本体32は、当業者に知られる方法のいずれかにより形成することができる。図1に示す実施形態においては、例えば、フィルタ本体32は、一般に、上部縁、対向する側縁40(図1には一方しか示されていない)、及び底部縁44により、部分的に定義された長方形の構成を有する。図示される例示的なフィルタ本体32は、さらに、任意的ではああるが、提案される多数のプリーツ34を含んで、着用者22の鼻及び口を効率的に覆う。フィルタ本体32は、外面46と内面(図示せず)とを含む。プリーツ34は、フィルタ本体32が外向きに蛇腹になり、着用者22の顔の全体的な輪郭に容易に適応することを可能にする。プリーツ34は互いに協働して、フィルタ本体32の周囲と着用者22の顔の隣接する部分との間に形成された流体シールを犠牲にすることなく、フィルタ本体32が、着用者の呼吸中に伸縮することを可能にする。高度に有毒なバクテリア及び化学物質に対する不安が増加していることにより、フェースマスクの着用者は、特に、フェースマスクの周囲と着用者の顔の隣接する部分との間のどのような流体連通も阻止することに関心がある。
【0028】
当業者に理解されるように、フィルタ本体32は、様々な異なる材料のいずれによっても構築することができ、いずれの望ましい数の層も含むことができる。一実施形態においては、例えば、フィルタ本体32は、4つの区別できる層を含む。例えば、フィルタ本体32の外面46を定義する最も外側の層は、セルロース系布を含むカバーストック層とすることができる。カバーストック層は、液体撥水剤などで化学的に被覆又は処理して、カバーストックを耐液体性にすることができる。一実施形態においては、カバーストック層は、収着剤粒子を含む。濾過層をカバーストック層に隣接して配置することができる。濾過層は、例えば、不織ウェブ又はラミネートを含むことができる。濾過層は、微視的な空中浮遊汚染物質及び微生物の通過をいずれの方向においても阻止する。別の実施形態においては、収着粒子を含む付加的な層が、フェースマスクに含まれる。臭気収着層は、ここに述べられる臭気収着活性炭粒子を含む組成物により処理されたボンデッドカーデッドウェブとすることができる。臭気収着剤含有層は、外側カバーストック層と濾過層との間に配置されることが望ましいが、2つの外層の間のどこに配置されてもよい。或いは、外層の一方又は両方、又は、他の層のいずれかが臭気収着粒子を含むことができる。
【0029】
障壁層は、濾過層に隣接して配置することができる。こうした障壁材料の一例は、米国特許番号第4,920,960号に記載されており、引用によりここに組み入れられる低密度ポリエチレンフィルムである。障壁層は、比較的高い表面張力をもつ液体がそこを通過することを阻止するが、低い表面張力をもつ気体が通過することは可能にする小さい孔をもつことができる。障壁層は、気体をいずれの方向にも自由に通過させ、液体の通過を少なくとも1つの方向に制限するように設計される。カバーストック層及び濾過層は、フィルタ本体32に撥ねる、噴霧される、又は投げられることがある液体のいずれをも減速させることによって障壁層を助ける。液体が、障壁材料34に到達する前に、これらの2つの外層を通過することを要求することにより、液体は、少ない圧力を有することになり、障壁材料34は、液体の通過をより良好に阻止できるようになる。着用者22の顔に隣接する最も内側の層は、軽量で高多孔性の不織布で構築することができる。最も内側の層は、顔ひげ、緩んだ繊維、汗の玉のような、液体をフィルタ本体32から逃がすことがある望ましくない物質が、他の層に接触することを阻止するように設計される。最も内側の層は、さらに、着用者の顔と接触するための快適な表面を与える。
【0030】
種々の構成が上述されたが、本発明は、特定のフェースマスク又はバイザ構成のいずれかに限定されるものではないことを理解すべきである。例えば、フェースマスクは、平らな半分のマスク、プリーツ加工マスク、コーンマスク、平らの折りたたまれた個人用呼吸装置、カモノハシ形式マスク、台形形状マスクなどのような様々な形式及び幾何学的形状とすることができる。例示的なフェースマスク、フェースマスクの設計、及びフェースマスクの部品は、米国特許番号第5,724,964号、米国特許番号第5,322,061号、及び米国特許番号第4,920,960号に記載されており、これらはすべて引用によりここに組み入れられる。
【0031】
上述のフェースマスクは、実質的に正方形又は長方形の本体部分を有し、4つほどのひもストリップにより着用者に取り付けられているが、他のフェースマスク設計も本発明の範囲内にある。別の例示的な好適なフェースマスク設計は、Kimberly−Clark Corporationに譲渡された米国特許番号第4,662,005号に図示され記載されており、ここでは、フェースマスクは、カップ又はポーチ状構成を有して着用者の顎と係合し、さらに、上方縁の両側に2つのひもストリングを有して、着用者の頭部の周りを縛る。他の設計もまた本発明の範囲内にある。本発明に用いることができる代替的なフェースマスク設計は、以下に限られるものではないが、Brunson他に付与され、その全体が引用によりここに組み入れられる米国意匠特許番号第347,090号、及び、第347,713号、及び/又は、米国特許番号第5,322,061号、及び第6,173,712号を含む。
【0032】
被覆対飽和により収着剤を適用する効率を試験するために、両方の方法が実行され、結果として得られる材料が試験され、並びに、他の材料が比較目的のために試験された。
【実施例】
【0033】
[実施例1]
実施例1は、本発明により作成された、濾過用途に適した基体の例である。実施例1の基体は、Dexter(登録商標)11399外面マスクカバーストックという商標名でAhlstromから入手される1平方メートル当たり18.6グラム(gsm)の湿式布で構成される。Dexter(登録商標)11399外面マスクカバーストックのデータシートによれば、カバーストックは、湿式形成された軽量で高度に通気性のある不織布であり、1,300L/分/100cm2の空気透過性を有する。カバーストック布は、熱結合に適した布を作成する熱可塑性繊維の比率、及び/又は、製造工程中に用いることができる超音波組み立て技術を含む。
【0034】
カバーストック布は、1分当たり約15フィートの速度で、湿式堆積布を、Nuchar PMA Ink内に浸漬及び圧搾することにより、MeadWestvacoから入手されるNuchar PMA Inkで、パイロットライン上で処理された。Nuchar PMA Inkは、約14ないし16重量パーセントの活性炭と、約11ないし14重量パーセントのスチレンアクリル共重合体バインダとを含む水性エマルジョンである。飽和湿式堆積布は、ニップを通して稼動され、次いで、2つの蒸気カンを用いて乾燥されて、20重量パーセントのレベルの活性炭粒子が追加された、処理された湿式堆積布を生成した。処理された湿式堆積材料は、空気透過特性及び臭気除去特性について試験された。試験の結果、並びに、他の材料に対する同じ試験の結果を以下の表1に示す。
【0035】
[実施例2]
実施例2は、本発明により作成された濾過用途に適した基体の別の例である。実施例2の基体もまた、Alstromから入手されるDexter(登録商標)11399外面マスクカバーストックであった。実施例2のカバーストック布は、湿式堆積布を、213グラムのDPX−8433−68Aインクと94グラムの蒸留水とで作成された溶液内に浸漬及び飽和することにより、MeadWestvacoから入手されるDPX−8433−68Aインクで、オフラインで処理された。飽和された湿式堆積布は、ニップを通して稼動され、次いで、1つの固定の蒸気カンを用いて乾燥されて、14重量パーセントの活性炭粒子が追加された、処理された湿式堆積布を生成した。処理された実施例2の湿式堆積材料は、空気透過特性及び臭気除去特性について試験された。実施例2の濾過材料に対する試験結果を以下の表1に示す。
【0036】
[実施例3]
実施例3は、本発明による多孔性の3次元基体のさらに別の例である。実施例3の多孔性の3次元基体は、二種類の繊維から作成された1平方ヤード当たり0.9オンス(osy)のボンデッドカーデッドウェブ(BCW)で構成された。第1の種類の繊維は、ポリプロピレンのコア成分とポリエチレンのシース成分とで構成された3デニールの二成分繊維であった。二成分繊維は、ジョージア州アセンズ所在のE.S.Fibervisionsから入手されたもので、これは、0.5重量パーセントの追加レベルで、E.S.FibervisionsによるHR6独自仕上げによって予処理されたものである。BCWを作成するのに用いられた第2の種類の繊維は、6デニールのポリエステルのステープル繊維、具体的には、テキサス州ヒューストン所在のKoSaから入手されるポリ(エチレンテレフタレート)繊維であった。PET繊維は、0.55重量パーセントで適用されたL−1仕上げで、供給者により予処理されたものである。L−1仕上げは、エトキシレートされた水素化ヒマシ油とソルビタンモノオレエートとの配合物である。繊維は、さらに、潤滑剤及び静電帽子剤を含んで、カーディング工程を容易にすることができる。0.9osyのBCWは、約75重量パーセントのPEシース/PPコア繊維と、約25重量パーセントのPET繊維とで構成された。ウェブのボンディングは、ウェブが、加熱された場合にホットローラその他同様なものにより圧縮されないため、嵩高い構造を与える工程である温風衝突により行われた。具体的には、ボンディングは、空気貫流ボンダ(TAB)を通して、約263+/−3°Fの温度及び約2インチの水のフード圧力により達成された。
【0037】
実施例3のBCW布は、BCW布を、実施例2に述べられるMead Westvacoから入手されるDPX−8433−68Aインク及び蒸留水の溶液内に浸漬及び飽和させることにより、DPX−8433−68Aインクで、オフラインで処理された。飽和されたBCW布は、ニップを通して稼動され、次いで、1つの固定の蒸気カンを用いて乾燥されて、30重量パーセントの活性炭粒子が追加された、処理されたBCW布を生成した。処理されたBCW材料は、空気透過特性及び臭気除去特性について試験された。実施例3のBCW濾過材料に対する試験結果を以下の表1に提示する。
【0038】
[実施例4]
実施例4は、MeadWestvacoから入手されるDPA−8433−68Bインクで飽和処理されたこと以外は、上述の実施例3と同じ材料及び工程を用いて作成された。この工程は、56重量パーセントの活性炭粒子が追加された、処理されたBCW布を生成した。実施例4の処理されたBCW材料もまた、空気透過特性及び臭気除去特性について試験された。実施例4のBCW濾過材料に対する試験結果を以下の表1に提示する。
【0039】
[実施例5及び実施例6]
実施例5及び実施例6は、0.55osyのポリプロピレンスパンボンデッド(SB)材料で開始することにより作成されたことを除いては、上述の実施例3と同じ材料及び工程を用いて作成された。スパンボンデッド材料は、Kimberly−Clarkにより生成されたものである。実施例5のSB材料は、実施例2に述べられるDPX−8433−68Aインク及び蒸留水の溶液で、オフラインで処理され、実施例6は、DPX−8433−68Bインクで、オフラインで処理された。この工程は、それぞれ、31重量パーセント及び47重量パーセントの活性炭粒子が追加された処理されたSB布を生成した。実施例5の処理されたSB材料は臭気除去特性について試験され、実施例6の処理されたSB材料は空気透過性について試験された。実施例5及び実施例6のSB濾過材料に対する試験結果を以下の表1に提示する。
【0040】
[実施例7]
実施例7は、10gsmのポリプロピレンスパンボンデッド/メルトブローン/スパンボンデッド(SMS)ラミネート材料を用いて作成されたこと以外は、上述の実施例3について述べられた工程を用いて作成された。SMS材料は、Kimberly−Clarkにより生成された。実施例7は、実施例2に述べられるDPX−8433−68Aインク及び蒸留水の溶液で、オフラインで処理された。この工程は、39重量パーセントの活性炭粒子が追加された処理されたSMS布を生成した。実施例7の処理された、SMS材料は、空気透過性について試験された。実施例7のSMS濾過材料に対する試験結果を以下の表1に提示する。
【0041】
[実施例8]
実施例8は、実施例7の10gsmのSMSラミネート材料を用いて作成されたこと以外は、上述の実施例3について述べられた工程を用いて作成された。実施例8は、DPX−8433−68Aインクで、オフラインで処理された。この工程は、70重量パーセントの活性炭粒子が追加された処理されたSMS布を生成した。実施例8の処理されたSMS材料は、空気透過性及び臭気制御特性について試験された。実施例8のSMS濾過材料に対する試験結果を以下の表1に提示する。







【0042】
表1

【0043】
試験データは、浸漬及び圧搾工程のような飽和工程により処理された材料は、より大きい活性炭粒子の相対量を搭載し、同じインク製剤でロッド又はブレードにより被覆された材料の透過性より予想外に高い、例えば、100CFM/ft2(30m3/分/m2)より大きい、望ましくは200CFM/ft2(60m3/分/m2)より大きい、許容可能な空気透過性を保持することができることを示した。さらに、飽和処理された材料は、ピリジンによる臭気除去試験で測定した場合に、より良好な臭気除去特性があった。
【0044】
さらに、被験者が親指と人差し指との間で布のサンプルをこすることにより、本発明による実施例が、こすり落ちについて質的に試験された。ブレード及びロッドにより被覆された例は、はるかに低いレベルの活性炭を含んでいたが、本発明による例は、こすり落ちをほとんど又はまったく示すことがなく、ブレード又はロッド被覆技術により生成されたサンプルと比較すると優れていた。
【0045】
一般に、収着剤粒子及びバインダを含有する実施例の製剤量は、乾燥されて、使用中又は搬送中に移動する又は落ちる傾向を抑制する耐久性処理剤を与える。耐久性は、基体を親指と人差し指との間に置いて、この2つを互いにこすることにより、測定することができる。収着剤はほとんど又は全く指に残るべきではない。フレキソ印刷業界において広く用いられる別の試験は、処理された基体を硬い表面上に置き、親指をこの基体の上に置いて、親指を約90度だけ回転させるものである。ここでも、収着剤はほとんど又は全く指に残るべきではない。この「親指ツイスト」試験は、さらに、SITA Technology,Ltd.,ISBN0947798 54 4と関連して、John Wiley&Sond Ltd.により1997年に発行された、C Lowi、G.Webster、S.Kellse、及びI.McDonaldにより「Chamistry&Technology for UV & EB Formulation for Coatings,Inks&Paints」第4巻、54ページ、及び、SITA Technology,Ltd.,ISBN0471 978906と関連して、John Wiley&Sond Ltd.により1998年に発行された、C.Lowe及びR.K.T.Oldringによる「Test Methods forUV and EB Curing Systems」第6巻に述べられている。この試験は、特定の試験器により適用される圧力は異なることがあるため、幾らかの変動を受けるが、ほとんどの条件下では驚くほど正確である。この試験は、一般に、布全体にわたり、磨耗ホイールが摩滅するのに必要なサイクル数を測定するテーバー磨耗試験と相関させることができる。
【0046】
テーバー磨耗試験においては、布のサンプルが、水平面で回転するターンテーブル上に置かれ、これが回転するとき、磨耗ホイールはサンプル上に載っている。ホイールは、1分当たり約30から45回転の速度で回転するターンテーブルと同じ速度で回転する。磨耗程度が異なるホイールが利用可能である。テーバー磨耗試験装置は、H−38のホイール及び125グラムの釣り合い重りをもつ型番5130として、米国ノーストナウォンダ所在のTeledyne Taberから入手可能である。この構成においては、本発明によるサンプルは、視認できる量の収着剤がホイールに移動することなく、少なくとも10サイクルを耐えるものとなる。
【0047】
本発明は、特定の実施形態に関して詳細に述べられたが、当業者であれば、上記の理解を得ることにより、これらの実施形態に対する変更、変形態様、及び等価物を容易に思い付くことができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びこれに対する等価物のいずれかとして評価されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ユーザにより着用されているフェースマスクの例示的な実施形態の斜視図である。
【図2】本発明による基体を処理する方法の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布を処理する方法であって、
a.ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、約90m3/分/m2より大きい空気透過性を有する不織布を準備するステップと、
b.前記不織布を、臭気収着粒子を含む水性組成物により飽和させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記不織布が、前記臭気収着粒子を含む水性組成物により飽和させる前の状態で、ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、約100m3/分/m2より大きい空気透過性を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
準備された前記不織布は、前記臭気収着粒子を含む水性組成物により飽和させる前の状態で、処理されていない不織布の1グラム当たり70mg以上のピリジン臭気を除去することができないものである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記臭気収着粒子が、炭素粒子、活性炭粒子、処理された活性炭粒子、処理されていない活性炭粒子、ゼオライト粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、及びこれらの混合物で構成された群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
水性組成物が、さらに、ポリマーバインダを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーバインダが、ラテックスバインダ、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリレートの共重合体、メタクリレートの共重合体、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、ニトリルゴム、アクリルニトリルブタジエン共重合体、及びポリビニルアルコールバインダで構成された群から選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記水性組成物が、少なくとも約10重量パーセントのスチレンアクリル共重合体バインダと、少なくとも約10重量パーセントの活性炭粒子とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
濾過目的に適した不織布であって、前記不織布の重量に対して少なくとも10重量パーセントの収着剤粒子を含み、ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、少なくとも40m3/分/m2の空気透過性を有し、臭気除去試験により測定した場合に、不織布の1グラム当たり少なくとも70mgのピリジン臭気を除去することができることを特徴とする不織布。
【請求項9】
前記収着剤粒子が、通常の使用において、こすり落とされることがない請求項8に記載の不織布。
【請求項10】
ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、少なくとも60m3/分/m2の空気透過性を有し、臭気除去試験により測定した場合に、不織布の1グラム当たり少なくとも75mgのピリジン臭気を除去することができる請求項8に記載の不織布。
【請求項11】
前記不織布が、繊維のボンデッドカーデッドウェブを含む請求項8に記載の不織布。
【請求項12】
前記不織布が、二成分繊維とセルロース繊維とのボンデッドカーデッドウェブを含む請求項8に記載の不織布。
【請求項13】
前記収着剤粒子が、活性炭粒子を含む請求項8に記載の不織布。
【請求項14】
内側に面する層と、濾過層と、臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させることにより処理された不織布層とを含むことを特徴とするフェースマスク。
【請求項15】
前記臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させることにより処理された前記不織布層が、前記フェースマスクの外側に面する層であり、前記濾過層が、前記内側に面する層と、該臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させることにより処理された該不織布層との間に配設された請求項14に記載のフェースマスク。
【請求項16】
外側に面する層をさらに含み、前記臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させることにより処理された前記不織布層が、前記濾過層と前記フェースマスクの前記外側に面する層との間に配設された請求項14に記載のフェースマスク。
【請求項17】
耐流体層をさらに含む請求項16に記載のフェースマスク。
【請求項18】
前記耐流体層が、前記臭気収着粒子を含む水性組成物で飽和させることにより処理された前記不織布層と、前記フェースマスクの前記内側に面する層との間に配設された請求項17に記載のフェースマスク。
【請求項19】
前記耐流体層が、開口フィルムである請求項17に記載のフェースマスク。
【請求項20】
内側に面する層と、
メルトブローン不織構造を含む濾過層と、
少なくとも10重量パーセントのスチレンアクリル共重合体バインダと、少なくとも約10重量パーセントの活性炭粒子とを含む水性組成物で処理されたボンデッドカーデッドウェブを含む臭気収着層と、
を含み、前記処理されたボンデッドカーデッドウェブが、ASTM D 737−96により測定した場合に、1.27cmの水の表面圧力差で、少なくとも120m3/分/m2の空気透過性を有し、
外側に面する層と、
を含むことを特徴とするフェースマスク。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−523265(P2007−523265A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547141(P2006−547141)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/042246
【国際公開番号】WO2005/065730
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】