説明

興味推定支援装置、方法及びプログラム

【課題】ユーザの興味推定の候補となる画面を漏れなく抽出できるようにし、これによりユーザの興味を高精度に推定可能とする。
【解決手段】画面キャプチャ処理部11により表示デバイス32の表示画面を一定の時間間隔でキャプチャしてその画面イメージデータを表示履歴記憶部21に順次蓄積する。そして、変化なし領域抽出部12により、上記蓄積された時刻の異なる2つの画面イメージデータ間の差分を求め、この差分をもとに変化なし領域を抽出してその画像データを領域画像データ記憶部22に記憶する。そして、この記憶された変化なし領域の画像データの内容を画像認識部14により認識し、この認識結果を解析データとして解析データ記憶部24に保存すると共にサービス提供事業者等へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイに表示された画面をもとにユーザの興味を推定するための情報を抽出する興味推定支援装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータやスマートホン、タブレット型端末等の情報端末には、ユーザが興味を持っている情報が表示される傾向性がある。そこで、ユーザの興味を推定する手段の1つとして、例えばパーソナル・コンピュータにおいてユーザの活動履歴を作成し、この活動履歴を関連のある作業や興味ごとにグループ化する方法が提案されている。例えば、特許文献1に記載された方法では、アプリケーションにより表示されるウィンドウごとにその表示情報や通信先の履歴を記録してこの記録情報を分析するようにしており、これによりユーザの関心事や嗜好の推定を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−243861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、リモートデスクトップやVirtual Machine等のように、あるアプリケーションの実行中に当該アプリケーションに含まれる別のアプリケーションが実行してその情報が表示されるような場合には、ウィンドウごとに表示情報の表示履歴を記録しただけでは、アプリケーションごとの表示履歴を収集することができない。また、複数のアプリケーションが並行して動作している場合には、それぞれのアプリケーションのウィンドウが重なり合って表示される場合がある。このような場合、ウィンドウ単位で画面の表示履歴を記録すると、ユーザが実質的に見ていない内容についても表示履歴として記録されることになり、この表示履歴の情報に対しユーザが興味を持っていると誤った推定がなされる恐れがある。
【0005】
なお、ウィンドウ全体が表示される可能性が高いアクティブウィンドウの表示情報だけを表示履歴として記録する方法も考えられるが、ユーザによってはアクティブウィンドウの背面に一部だけが表示されたウィンドウへの表示内容を参照していることも多く、この場合にもユーザの興味を精度良く推定することはできない。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ユーザの興味推定の候補となる表示情報を漏れなく抽出できるようにし、これによりユーザの興味を高精度に推定することが可能な興味推定支援装置、方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の第1の観点は、ディスプレイに表示される画面の時系列変化を表示履歴情報としてメモリに蓄積し、この蓄積された表示履歴情報をもとに、異なるタイミングに得られた複数の画面間の差分を検出することにより、同一内容の表示情報が予め設定した時間以上連続して表示されている領域を無変化領域として抽出し、この抽出された無変化領域に表示されている情報を、ユーザの興味推定に使用する情報として記憶するようにしたものである。
【0008】
したがって、ディスプレイに表示された画面の表示履歴の中から、同一内容の情報が長時間に渡って表示されている領域(ウィンドウ)が抽出され、この抽出された領域の表示情報がユーザの興味推定に使用する情報として出力される。一般に、ディスプレイにおける情報の表示時間が長ければその表示情報に対するユーザの興味の度合いは高いと言える。このため、上記したように表示時間の長さに着目してユーザの興味推定に使用する表示情報を抽出するようにしたことによって、例えばリモートデスクトップやVirtual Machineのようにアプリケーションの中に別のアプリケーションが存在してその画面が表示される場合や、複数のアプリケーションが並行して動作することで複数のウィンドウが重なり合って表示される場合であっても、ユーザの興味推定に適切した情報を漏れなく抽出し提供することが可能となる。
【0009】
この発明の第2の観点は、上記無変化領域として抽出されなかった変化領域が存在する場合に、異なるタイミングに得られた複数の変化領域間で表示情報のマッチングを行って、同一内容の情報を表示している変化領域を表示位置が移動した移動領域として抽出し、この抽出された移動領域に表示されている情報を、上記ユーザの興味を推定するための情報として出力するようにしたものである。
このようにすると、同一内容の情報が表示された領域がユーザのウィンドウ操作等により別の位置に移動した場合でも、この領域をユーザの興味推定に適した表示情報として抽出することが可能となる。したがって、ユーザの興味推定に適切した情報を、さらに漏れなく抽出し提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
すなわちこの発明によれば、ユーザの興味推定の候補となる表示情報を漏れなく抽出することができ、これによりユーザの興味を高精度に推定することが可能な興味推定支援装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態に係る興味推定支援機能を備えた情報通信端末の機能構成を示すブロック図。
【図2】図1に示した情報通信端末による興味推定支援処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図3】タイミングt1における画面キャプチャデータの一例を示す図。
【図4】タイミングt2における画面キャプチャデータの一例を示す図。
【図5】図3及び図4に示した画面から抽出された変化なし領域のマスキング画像を示す図。
【図6】図3及び図4に示した画面から抽出された変化あり領域と変化なし領域(継続可視領域の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
(構成)
この発明の一実施形態に係る興味推定支援方法を実施するための機能を備えた情報通信端末の構成を示すブロック図である。
この実施形態における情報通信端末は、ユーザが使用するパーソナル・コンピュータ、スマートホン或いはタブレット型端末からなり、制御ユニット1と、記憶ユニット2と、入出力インタフェースユニット3と、通信インタフェースユニット4を備えている。
【0013】
入出力インタフェースユニット3には、キーボードやマウス、或いはタブレットを使用した入力デバイス31と、液晶又は有機ELを用いた表示デバイス32が接続されている。入出力インタフェースユニット3は、入力デバイス31において入力された操作情報を制御ユニット1に与えると共に、制御ユニット1から出力された表示情報を表示デバイス32に表示させる。
【0014】
通信インタフェースユニット4は、制御ユニット1の制御の下で、通信相手となるサーバ又は端末との間で図示しない通信ネットワークを介して情報通信を行う。通信ネットワークは、例えばIP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするためのアクセス網とから構成される。アクセス網としては、有線加入者網、LAN(Local Area Network)、CATV(Cable Television)網、携帯電話網や無線LAN等の移動通信網が用いられる。
【0015】
記憶ユニット2は、記憶媒体としてHDDやSSD等の随時書込み及び読出しが可能な不揮発性メモリを使用したもので、この実施形態を実施する上で必要な記憶領域として、表示履歴記憶部21と、領域画像データ記憶部22と、変化あり領域画像データ記憶部23と、解析データ記憶部24を備えている。
【0016】
表示履歴記憶部21は、後述する画面キャプチャ処理部11により、表示デバイス32に表示された画面のイメージを表す画像データが得られるごとに、この画像データを画面の表示履歴を表す情報として記憶するために用いられる。
【0017】
領域画像データ記憶部22は、後述する変化なし領域抽出部12により抽出される、表示画面内で表示画像が一定時間以上変化しない領域の画像データと、後述する移動領域抽出部13により抽出される、表示画面内で表示位置が移動した領域の表示画像データを記憶するために用いられる。
【0018】
変化あり領域画像データ記憶部23は、後述する移動領域抽出部13の移動領域抽出処理に使用するために、表示画面内で表示画像が一定時間内に変化した領域の画像データを記憶するために用いられる。
【0019】
解析データ記憶部24は、後述する画像認識部14により認識される、表示画像の内容を表す情報を解析データとして記憶するために用いられる。
【0020】
制御ユニット1は、中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)を備え、この実施形態を実施する上で必要な処理機能として、画面キャプチャ処理部11と、変化なし領域抽出部12と、移動領域抽出部13と、画像認識部14と、解析データ送信制御部15とを有している。これらの処理機能は何れも図示しないプログラムメモリに格納されたプログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0021】
画面キャプチャ処理部11は、表示デバイス32に表示されている1画面の情報を入出力インタフェースユニット3から予め設定された一定の時間間隔で取り込む。そして、1画面の情報を取り込むごとに、この取り込まれた1画面の画面イメージを画像データの形式で抽出して、この画面イメージを表す画像データを表示履歴記憶部21に記憶させる処理を実行する。
【0022】
変化なし領域抽出部12は、時系列上で異なるタイミング(例えば隣接する2つのサンプリングタイミング)において得られた2つの画面イメージデータを重ね合わせてその差分を検出することにより、表示画像が同一の領域、つまり画像の変化がない領域を抽出する処理を実行するもので、マスク画像生成部121と、変化なし領域画像抽出部122を有する。
【0023】
マスク画像生成部121は、変化なし領域のマスク画像を生成するもので、上記画面キャプチャ処理部11により異なるタイミングに得られた2つの画面イメージデータ間の画素ごとの差分値をもとに、画素の変化の有無を“0/1”で表したマスク画像を生成する。なお、画面イメージデータがRGB画像データの場合には、R、G、Bの3つの画像データに分解してこれらのR、G、Bの画像データごとに比較し、3つの画像データとも同一値である画素については“0”を、1つでも異なる画素については“1”をそれぞれ設定することにより、マスク画像を生成する。
【0024】
変化なし領域画像抽出部122は、上記マスク画像を生成する際に使用した2つの画面イメージデータのいずれか1つに対し、当該マスク画像に基づくマスク処理を実行する。ここでのマスク処理とは、マスク画像の値が“0”の画素に対しては画面イメージデータの画素値をそのまま設定し、“1”の画素に対しては塗り潰しの画像値として“1”を設定する。なお、画面イメージデータがRGB画像データの場合にも、同様にマスク画像の値が“0”の画素についてはR、G、Bのそれぞれの値をそのまま適用し、“1”の画素についてはR、G、Bの全てに“1”を設定する。
【0025】
移動領域抽出部13は、上記変化なし領域抽出部12による抽出処理の結果、変化なし領域として抽出されなかった領域、つまり変化あり領域について、当該領域が画面内で移動しているか否かを判定するもので、輪郭図形抽出部131と、移動先検出部132を有する。
【0026】
輪郭図形抽出部131は、変化なし領域として抽出されなかった領域、つまり変化ありの領域をマスク処理により抽出するもので、先ず上記変化なし領域抽出部12により生成されたマスク画像の“0/1”を反転させた反転マスク画像を生成する。次に、上記変化なし領域画像抽出部122における処理と同様に、マスク画像を生成する際にもとになった2つの画面イメージデータのうち時系列的に古い画面イメージデータに対し反転マスク画像を適用し、これにより変化あり領域を抽出する。そして、この抽出された画像データを変化あり領域画像データ記憶部23に記憶させる。
【0027】
移動先検出部132は、マスク画像を生成する際にもとになった2つの画面イメージデータのうち時系列的に新しい画面イメージデータを用いて、上記変化あり領域画像データ間でマッチング処理を行う。マッチング処理には、例えば「テンプレートマッチング法」を適用する。そして、上記マッチング処理により画像が合致する領域が検出された場合には、当該領域の画像データを領域画像データ記憶部22に記憶させる。
【0028】
画像認識部14は、上記領域画像データ記憶部22から変化なし領域の画像データ及び移動領域の画像データを読出し、当該画像データの内容を認識する処理を行う。そして、認識された画像データの内容を解析データとして解析データ記憶部24に記憶させる処理を行う。
【0029】
解析データ送信制御部15は、上記変化なし領域及び移動領域の画像データの内容の解析処理が終了した時点で、解析データ記憶部24から解析データを読み出し、この解析データをユーザの識別情報と共に、通信インタフェースユニット4から要求元のサービス提供事業者の端末へ送信する処理を行う。
【0030】
(動作)
次に、以上のように構成された装置による興味推定支援動作を説明する。図2はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
なお、ここでは複数のアプリケーション・プログラムが起動し、これらのアプリケーション・プログラムによりWebサイトから取得されたコンテンツや記録媒体から読込まれたコンテンツが表示デバイス32に異なるウィンドウにより表示されているものとして説明を行う。各コンテンツはテキストデータ、画像データ及び音楽データの何れを含むものでもよい。
【0031】
(1)表示画面のキャプチャ処理
上記複数のコンテンツがウィンドウ表示された状態で、制御ユニット1はステップS1により画面キャプチャ処理部11を起動する。そして、この画面キャプチャ処理部11の制御の下で、表示デバイス32に表示されている1画面の表示情報を入出力インタフェースユニット3から予め設定された一定の時間間隔で取り込み、この1画面の表示情報を取り込むごとに、当該1画面の画面イメージを画像データの形式で取得タイミングを表す情報と関連付けて表示履歴記憶部21に記憶させる。したがって、表示履歴記憶部21には、上記表示デバイス32に表示された画面イメージの時系列変化が表示履歴情報として蓄積されることになる。
【0032】
(2)変化なし領域抽出処理
上記表示デバイス32における表示動作が終了するか、又は表示開始後所定時間が経過すると、制御ユニット1は変化なし領域抽出部12の制御の下で以下のように変化なし領域画像の抽出処理を実行する。
【0033】
すなわち、先ずステップS2により、処理対象となる各画面イメージデータのうち、最も古いタイミングとその次に古いタイミングにおける画面イメージデータを表示履歴記憶部21から読込み、ステップS3による変化なし領域抽出処理に移行する。
【0034】
変化なし領域抽出処理S3では、先ずステップS31において、上記表示履歴記憶部21から読込まれた2つの2つの画面イメージデータ間で画素ごとに画素値の差分が算出され、この算出された画素の差分値をもとに、画素の変化の有無を“0/1”で表したマスク画像が生成される。具体的には、時系列的に連続する2つの画面イメージデータに対し、同一のXY座標において同一の画素値であれば“0”、そうでなければ“1”とそれぞれ判定され、この判定処理がすべてのXY座標について行われる。
【0035】
例えば、いま上記2つの画面イメージデータが、図3の「画面1」に示すように異なる色領域(ウィンドウ)WA1,WB1,WC1,WD1により構成され、また図4の「画面2」に示すように異なる色領域(ウィンドウ)WA2,WB2,WC2,WD2により構成されていたとする(WA1とWA2は同一色)。この場合、これらの「画面1」及び「画面2」の各イメージデータ間で画素ごとにその差分値を求め、その変化の有無を判定してその判定結果を“1/0”で表すと、図5に示すようなマスク画像が生成される。
【0036】
次にステップS32において、上記マスク画像を生成する際に使用した上記2つの画面イメージデータのいずれか1つに対し、当該マスク画像に基づくマスク処理が実行される。例えば、マスク画像の値が“0”の画素に対しては画面イメージデータの画素値がそのまま設定され、“1”の画素に対しては塗り潰しの画像値として“1”が設定される。
【0037】
例えば、上記図5に示したマスク画像を用いて、上記2つの画面イメージデータのうちの「画面1」に対しマスク処理を行うと、画素値が変化しない領域WA1の一部と、WB1及びWD1の全部については図6に示すように「画面1」のイメージデータの画素値がそのまま設定され、画素値が変化した他の領域については図6に示すように濃度が一定の塗り潰しの画像値が設定される。
【0038】
なお、画面イメージデータがRGB画像データの場合には、R、G、Bの3つの画像データに分解されてこれらのR、G、Bの画像データごとに画素の差分が算出され、3つの画像データとも同一値である画素については“0”が、また1つでも異なる画素については“1”がそれぞれ設定されたマスク画像が生成される。そして、マスク画像の値が“0”の画素については画面イメージデータのR、G、Bの値がそのまま設定され、“1”の画素については画面イメージデータのR、G、Bの全てに“1”が設定される。
以上のようにして抽出された変化なし領域の画像データは、ステップS33により領域画像データ記憶部22に格納される。
【0039】
(3)移動領域の抽出処理
上記変化なし領域の抽出処理において、変化なし領域として抽出されなかった領域であっても、表示内容が同一のまま画面中の別の位置に移動している可能性がある。このため、制御ユニット1は移動領域抽出部13を起動し、この移動領域抽出部13の制御の下で、上記変化なし領域として抽出されなかった領域の中から移動領域を抽出する。
【0040】
移動領域抽出部13は、先ずステップS4において、上記変化なし領域抽出処理により変化なし領域として抽出されなかった領域、つまり変化あり領域の有無を判定する。そしてこの判定の結果、変化あり領域が存在する場合にはステップS5による移動領域抽出処理に移行する。
【0041】
移動領域抽出処理S5では、先ずステップS51により、上記変化なし領域抽出部12により生成されたマスク画像の“0/1”を反転させた反転マスク画像が生成される。そして、上記変化なし領域画像抽出処理(ステップS32)による処理と同様に、マスク画像を生成する際に使用した2つの画面イメージデータのうち時系列的に古い画面イメージデータに対し反転マスク画像が適用され、これにより変化あり領域の輪郭図形が抽出される。そして、この抽出された変化あり領域の輪郭図形は変化あり領域画像データ記憶部23に記憶される。
【0042】
次にステップS52において、上記抽出された変化なし領域の輪郭図形が移動したか否かが以下のように判定される。すなわち、マスク画像を生成する際に使用した2つの画面イメージデータのうち時系列的に新しい画面イメージデータを用いて、上記変化あり領域画像データ間でマッチング処理が行われる。マッチング処理には、例えば「テンプレートマッチング法」が用いられる。そして、このマッチング処理により画像が合致する領域が検出されると、当該領域の画像データが移動領域の画像データとしてステップS53により領域画像データ記憶部22に記憶される。
【0043】
なお、移動領域抽出処理を行うタイミングは、以上述べたように変化なし領域抽出部12が変化なし領域の抽出処理を実行するごとに、それに追従して実行するようにしてもよいが、必ずしも追従して実行しなくてもよい。また、変化あり領域の画像データのサイズを予め設定された閾値と比較し、変化あり領域のサイズが閾値よりも小さい場合には、当該変化あり領域については移動領域抽出処理の対象から除外するようにしてもよい。
【0044】
以上述べたステップS〜ステップS5による変化なし領域抽出処理及び移動領域抽出処理は、表示履歴記憶部21に記憶された処理対象となる全ての画面イメージデータについて、時系列的に隣り合う画面イメージデータ間で順次実行される。そして、処理対象となる全ての画面イメージデータについての処理が終了したことがステップS6で検出されると、ステップS7に移行する。なお、上記ステップS〜ステップS5による処理は、必ずしも時系列的に隣り合う画面イメージデータ間で行わなくてもよく、1つ又は複数の画面イメージデータをスキップして処理を行ってもよい。
【0045】
(4)変化なし領域及び移動領域の各表示情報の解析
処理対象となる全ての画面イメージデータについて、変化なし領域抽出処理及び移動領域抽出処理が終了すると、制御ユニット1は続いてステップS7により画像認識部14を起動し、この画像認識部14により以下のように表示情報の解析を実行する。
【0046】
すなわち、先ず領域画像データ記憶部22から、変化なし領域の画像データ及び移動領域の画像データをそれぞれ読出す。そして、この読み出された各画像データの内容を認識するための処理を行い、この認識処理により得られた情報をステップS8により解析データ記憶部24に記憶させる。
【0047】
認識処理の方法としては、例えば文字認識によりテキスト情報を抽出するものや、QRコード等のコード情報を抽出するものが適用できる。また、予め抽出されることが予測される画像等については、当該予測画像を参照画像として予め記憶ユニット2に記憶しておき、この予測画像との類似度をもとに画像データの内容を認識するようにしてもよい。
なお、画像認識処理の実行タイミングについては、時間的なパラメータや領域画像データに関するパラメータ、ユーザの操作や外部の端末等からのアクセスなどをトリガとして任意に設定することができる。
【0048】
(5)解析データの送信
上記変化なし領域及び移動領域の各画像データの内容解析処理が終了すると、制御ユニット1は最後にステップS9により解析データ送信制御部15を起動する。そして、この解析データ送信制御部15の制御の下で、解析データ記憶部24から解析データを読出し、この解析データをユーザの識別情報と共に通信インタフェースユニット4からサービス提供事業者の端末へ送信する。このとき、サービス提供事業者のアドレス又はURLは記憶ユニット2に予め登録してあるものを使用する。なお、上記解析データの送信処理は、サービス提供事業者の端末から解析データの取得要求が送られた時に実行するようにしてもよい。
【0049】
サービス提供事業者は、上記解析データを受け取ると、当該解析データをもとにユーザの興味の対象を推定する。そして、この興味の推定結果をもとに当該ユーザに提供すべき、例えば商品やサービス、イベントに関する情報を選択し、配信する。
【0050】
(実施形態の作用効果)
以上詳述したようにこの実施形態では、画面キャプチャ処理部11により表示デバイス32の表示画面を一定の時間間隔でキャプチャしてその画面イメージデータを表示履歴記憶部21に蓄積する。そして、変化なし領域抽出部12により、上記蓄積された時刻の異なる2つの画面イメージデータ間の差分を求め、この差分をもとに変化なし領域を抽出してその画像データを領域画像データ記憶部22に記憶する。そして、この記憶された変化なし領域の画像データの内容を画像認識部14により認識し、この認識結果を解析データとして解析データ記憶部24に保存すると共にサービス提供事業者等へ送信するようにしている。
【0051】
したがって、表示デバイス32に表示された画面の表示履歴の中から、同一内容の情報が長時間に渡って表示されている領域(ウィンドウ)が抽出され、この抽出された領域の表示情報がユーザの興味推定に使用する情報として出力される。一般に、表示デバイス32における情報の表示時間が長ければその表示情報に対するユーザの興味の度合いは高いと言える。このため、上記したように表示時間の長さに着目してユーザの興味推定に使用する表示情報を抽出するようにしたことによって、例えばリモートデスクトップやVirtual Machineのようにアプリケーションの中に別のアプリケーションが存在してその画面が表示される場合や、複数のアプリケーションが並行して動作することで複数のウィンドウが重なり合って表示される場合であっても、ユーザの興味推定に適切した情報を漏れなく抽出し提供することが可能となる。
【0052】
またこの実施形態では、上記変化なし領域の抽出処理の結果、変化あり領域の存在が確認された場合に、移動領域抽出部13により、上記2つの画面イメージデータの変化あり領域間で表示情報が同一のものがあるか否かを判定し、同一のものが見つかった場合に当該領域を移動領域と見なしてその画像データを領域画像データ記憶部22に記憶するようにしている。そして、この記憶された移動領域の画像データの内容を画像認識部14により認識し、この認識結果を解析データとして解析データ記憶部24に保存すると共にサービス提供事業者等へ送信するようにしている。
【0053】
したがって、同一内容の情報が表示された領域がユーザのウィンドウ操作等により別の位置に移動した場合でも、この領域をユーザの興味推定に適した表示情報として抽出することが可能となる。したがって、ユーザの興味推定に適切した情報を、さらに漏れなく抽出し提供することが可能となる。
【0054】
[その他の実施形態]
なお、この発明は上記一実施形態に限定されるものではない。例えば、前記一実施形態では変化なし領域抽出処理、移動領域抽出処理及び画像認識処理の各機能と、領域画像データ記憶部22、変化あり領域画像データ記憶部23及び解析データ記憶部24を何れも情報通信端末内に設けた場合を例にとって説明したが、情報通信端末と通信ネットワークを介して接続可能なサーバ等に設けてもよい。この場合、情報通信端末から画像の表示履歴情報を通信ネットワークを介してサーバへ送信し、サーバがこの送られた画像表示履歴情報をもとに変化なし領域抽出処理、移動領域抽出処理及び画像認識処理を実行することにより実現できる。
【0055】
また、前記実施形態では表示デバイス32における表示情報を一定の時間間隔でキャプチャして表示履歴情報に加えるようにしたが、マウスのクリック操作やアプリケーションの起動等のように表示画面が変化するタイミングに応じて実行するようにしてもよく、また一定の時間間隔で実行しつつ、さらに上記表示画面が変化するタイミングに応じて実行するようにしてもよい。また、表示情報を静止画像として記録する方法を例示したが、動画像として記録し、この動画像からその変化領域を抽出してもよい。
【0056】
また、前記実施形態では表示デバイス32に表示された情報からユーザの興味推定に使用する画像情報を抽出するために、変化なし領域の抽出処理と移動領域の抽出処理の2つの処理を行うようにしたが、いずれか一方のみを実行するようにしてもよい。
その他、興味推定支援装置として使用する情報通信装置の種類や、変化なし領域の抽出処理及び移動領域抽出処理の手順と処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0057】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…制御ユニット、2…記憶ユニット、3…入出力インタフェースユニット、4…通信インタフェースユニット、11…画面キャプチャ処理部、12…変化なし領域抽出部、121…マスク画像生成部、122…変化なし領域画像抽出部、13…移動領域抽出部、131…輪郭図形抽出部、132…移動先検出部、14…画像認識部、15…解析データ送信制御部、21…表示履歴記憶部、22…領域画像データ記憶部、23…変化あり領域画像データ記憶部、24…解析データ記憶部、31…入力デバイス、32…表示デバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに表示される画面の時系列変化を表示履歴情報としてメモリに蓄積する表示履歴蓄積手段と、
前記メモリに蓄積された表示履歴情報をもとに、異なるタイミングに得られた複数の画面間の差分を検出することにより、同一内容の情報が予め設定した時間以上連続して表示されている領域を無変化領域として抽出する無変化領域抽出手段と、
前記抽出された無変化領域に表示されている情報を、ユーザの興味を推定するための情報として出力する出力手段と
を具備することを特徴とする興味推定支援装置。
【請求項2】
前記無変化領域抽出手段により無変化領域として抽出されなかった領域が存在する場合に、異なるタイミングに得られた複数の変化領域間で表示情報のマッチングを行い、同一内容の情報を表示している変化領域を表示位置が移動した移動領域として抽出する移動領域抽出手段を、さらに具備し、
前記出力手段は、前記無変化領域抽出手段により抽出された無変化領域に表示されている情報に加え、前記移動領域抽出手段により抽出された移動領域に表示されている情報を、ユーザの興味推定に使用する情報として記憶することを特徴とする請求項1記載の興味推定支援装置。
【請求項3】
ディスプレイに表示される画面の時系列変化を表示履歴情報としてメモリに蓄積する過程と、
前記メモリに蓄積された表示履歴情報をもとに、異なるタイミングに得られた複数の画面間の差分を検出することにより、同一内容の情報が予め設定した時間以上連続して表示されている領域を無変化領域として抽出する過程と、
前記抽出された無変化領域に表示されている情報を、ユーザの興味推定に使用する情報として記憶する過程と
を具備することを特徴とする興味推定支援方法。
【請求項4】
前記無変化領域として抽出されなかった変化領域が存在する場合に、異なるタイミングに得られた複数の変化領域間で表示情報のマッチングを行い、同一内容の情報を表示している変化領域を表示位置が移動した移動領域として抽出する過程を、さらに具備し、
前記出力過程は、前記抽出された無変化領域に表示されている情報に加え、前記抽出された移動領域に表示されている情報を、ユーザの興味を推定するための情報として出力することを特徴とする請求項3記載の興味推定支援方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載の興味推定支援装置が具備する各手段の処理機能を、コンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47909(P2013−47909A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186431(P2011−186431)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】