説明

舗装路面温度予測システム

【課題】統計処理によることなく、また、数値解によることなく、実際の利用に必要な精度で路温の予測を行うことができる舗装路面温度予測システムを提供する。
【解決手段】舗装体の熱移動基礎式における路面(z=0)の境界条件を、路面温度と外気温の比の4乗を1の周りにTaylor展開し、第1項に比べ無視できる程小さい第2項以降を無視することにより路面温度Tの一次関数で近似する。また、日射強度を理論全天日射強度と雲量で定式化し雲量の将来予測値に基づいて予測値を算出する。更に、伝熱係数、アルベド、天空の見掛けの放射率を予測地点における計測された影響因子に基づいて決定し、Green関数法を適用して路面温度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装路面の凍結を予測するための舗装路面温度予測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
積雪寒冷地では、路面凍結による交通事故を防止するにあたり、いわゆる凍結防止剤を路面に散布して路面の凍結を防ぐ方法が広く採用されている。
【0003】
凍結防止剤は、路上に存在する薄い氷版や薄雪を融解するために散布(事後散布)されることもあるが、路面温度が氷点以下になる前に散布(事前散布)すれば、その凝固点降下作用により、路上水分の凍結温度を降下させ、路面温度が氷点以下となった場合にも路面凍結の発生を防ぐことができる。交通事故防止の観点からは、路面を凍結状態としない事前散布がより好ましいといえるが、事前散布の場合、路面温度が氷点以下の状態となる時刻を事前に予測する必要がある。そこで、凍結防止剤の事前散布にあたり、路面温度の推移を予測する試みがなされている。
【0004】
そのような路面温度推移の予測には統計学的手法が、すなわち、予測地点の路面温度を目的変数とし、その地点での過去の気象履歴データを説明変数とする回帰分析を行い、路面温度に関する回帰式を求め、この回帰式により路面温度を予測する手法が用いられることも多い。この手法は、介在が不明確な自然法則を比較的簡単に関連付けることができるという利点があるが、次のような欠点がある。
【0005】
まず、説明変数を不適切に選んだ場合や、目的変数、説明変数の設定が困難である時間的な要素を推定する場合には、予測精度が低くなるという欠点がある。また、予測地点で得られた回帰式は、他の場所に利用できず、汎用性がないという欠点もある。更に、回帰分析を行うためには、ある一定量のデータ蓄積が必要であり、制約が多いという欠点もある。更にまた、出現気象事象の大きな変化や、算出基礎データの変動が、時点、時点での推定精度に大きな影響を及ぼすという欠点もある。そして、これら欠点により、路面凍結発生の有無や凍結時間の予測に、看過できない不確実性が内包される場合があり、対応の遅れ(路面凍結)を招く結果や、逆に凍結防止剤を過剰に散布する結果となることがある。
【0006】
そこで、このような統計学的手法の欠点を解消し、路面温度をより高い精度で予測できる手法が必要となるが、統計処理によらず路面温度を予測する手法としては、路面における熱収支のシミユレーション結果を利用する方法がある。すなわち、路面近傍における熱放射等の熱エネルギーの収支を算出し、その結果を利用して路面温度を予測する手法である。そして、このような熱収支のシミユレーション結果を利用する手法を用いた路温予知装置として、例えば、特公昭49−6239号、特公昭49−7379号、実公昭49−10871号に開示されたものがある。
【特許文献1】特公昭49−6239号公報
【特許文献2】特公昭49−7379号公報
【特許文献3】実公昭49−10871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、熱収支のシミュレーション結果を利用する従来の路温予知装置は、路面からの放射熱量の仮定が現実と異なっていたり、熱収支全体がコンデサやコイルで置き換えられていたりするなどの理由により、その計算精度は高くなく、実際の利用に必要な予測精度を備えるものとはいえなかった。
【0008】
一方、コンピューターの性能が進歩した昨今では、電子計算機によるシミュレーション精度は向上し、電子計算機で数値解を求める手法が採用されているが、数値解を得るには、初期から予測したい時点までの繰り返し計算を常に続けなければならないという根本的な問題があった。また、熱の出入りを規定する境界条件の係数が既知でなければ計算できないという問題や、路面温度の予測のように境界条件が時間的に変動する場合は、係数を定数的に扱うと誤差が発生するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、統計処理によることなく、また、数値解によることなく、実際の利用に必要な精度で路温の予測を行うことができる舗装路面温度予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る舗装路面温度予測システムでは、舗装体の熱移動基礎式
【数4】

の路面(z=0)の境界条件(以下、「路面境界条件」という)を
【数5】

とし、該日射強度を
【数6】

として雲量の将来予測値に基づいて予測値を算出し、該伝熱係数、該アルベド、該天空の見掛けの放射率を予測地点における計測された影響因子に基づいて決定し、Green関数法を適用して路面温度を算出する。
【0011】
路面の境界条件は、対象とする舗装体表面(路面)での熱の収支を式で表したものである。路面では、まず、舗装体表面に到達した日射(日射強度qrに同じ)の一部(A・qr:Aはアルベド)が反射し、残りが路面に吸収される。次に、吸収された熱の一部は、舗装体内部で熱伝導により伝播し、対流伝熱により外気へ天空に向かって長波放射として路面から放出される。これらの関係を式で表すと、次のようになる。
【数7】

なお、右辺第1項は熱伝導を、第2項は対流伝熱を、第3項は長波放射をそれぞれ意味する。この式(以下、熱伝モデル式という)は、温度Tの4乗の項を含む非線形となっているため、解析解を得ることができない。ところが、路面温度の予測が必要となる環境での路面温度Tと外気温Taの値は、270Kから280K程度で大差がない。そこで、TとTaの比の4乗を1の周りにTaylor展開し、第1項に比べ無視できる程小さい第2項以降を無視することにより、Tの4乗は、Tの一次関数で近似することができる。すなわち、Taylor展開
【数8】

において、(T/Ta−1)<<1であることから、第1項のみを残して整理すると、
【数9】

となり、Tの4乗をTの一次関数で近似することができる。
一方、天空温度Tskyの4乗は、経験式である天空の見掛けの射出率fpw(以下、補正係数という)を用いることにより、
【数10】

と表すことができるので、これらの関係式を熱伝モデル式に代入し整理すると、本発明の路面境界条件を得ることができる。
【0012】
路面境界条件におけるhとTaは厳密にいえば時間の関数である。しかしながら、まず、Taについていえば、その変更範囲は273K±10K程度と小さく、また、舗装体内温度を計算するに当たっては、外気の乱流に伴う温度の微小変動に対する舗装体温度の反応は、時定数が大きく感度が極めて鈍いことから、伝熱工学的にhを長時間にわたる平均値で一定とみなしてもほとんど誤差を生じないものと考えられる。従って、路面境界条件は、Uを一定値とみなすことにより線形となり、時間的、場所的に変動する変数を含む境界条件を持つ熱伝導問題に回帰することになる。
【0013】
Green関数法を適用するには、路面境界条件式を以下のように変形すればよい。
【数11】

この式の意味するところは、Ta(t)+F(t)/Uなる温度で流れる仮想の空気への対流伝熱によって、舗装表面が冷やされる場合の条件とみなすことができ、この場合、Green関数をG(z,z’,t−τ)とすると、路温Tの解析解はGreen関数法の公式により次のように求めることができる。
【数12】

【0014】
日射強度は路温に大きな影響を及ぼし、雲量と密接な関係がある。雲量とは、気象台の観測官が目視で雲の占める割合を決め、快晴を0、全天雲を10とする11段階で示す値である。この雲量の現地観測は困難であるが、日射強度は雲量を基にすることにより簡便に算出できる。そこで、本発明においては、気象協会の雲量予測データ(雲量C)と実日射強度qrとの関係を定式化することにより、予測値を算出している。
【0015】
本発明における日射強度の定式、すなわち前記数式6は、日射強度の実測値を理論全天日射強度で正規化した値の雲量実測値Cに対する相関実験式から得ることができる。なお、理論全天日射強度は、次の式に示すように、水平面直達日射強度と水平面天空日射強度の和として求めることができる。
【数13】

この式において、右辺第1項が水平面直達日射強度、第2項が水平面天空日射強度であるが、これらの値は、以下の式(Bouguerの式)で求めることができるため、結局、理論全天日射強度は予測地点における物性値と太陽の高度から算出できることになる。
【数14】

【0016】
伝熱係数、アルベド、天空の見掛けの放射率(以下、これらの総称をシステムパラメータという)を決定するにあたり、予測地点で計測される影響因子として、全天日射強度、反射日射強度、舗装体からの長波放射量、天空からの長波放射量、風速そして気温が挙げられる。ただし、その他に有効な因子があれば、それらをパラメータ算出に用いてもよい。
【0017】
システムパラメータの算出に関し、まず、伝熱係数については、次の式(Campbellの予測式)を利用し、風速、気温に基づいて決定することができる。
【数15】

なお、この式において、空気の密度や比熱は、気温に基づいて決定される。また、舗装表面(アスファルト面)の粗度パラメータzmは、「Panofsky, H. A. and Dutton, J. A., 1983:Atmospheric Turbulence ; Models and Methods for Engineering Applications」より引用し、空港の滑走路の値と同一値とみなした。更に、大気の安定度補正量については以下の式で表される。
【数16】

そして、Gauss−Zeidel法などの繰り返し計算により、顕熱の伝熱抵抗、摩擦速度、大気の安定度を表すパラメータとともに算出することができる。
【0018】
伝熱係数は、既述のように、厳密にいえば時間の関数である。しかしながら、舗装体内温度を計算するに当たっては、外気の乱流に伴う温度の微小変動に対する舗装体温度の反応は、時定数が大きく感度が極めて鈍いことから、伝熱工学的には、この伝熱係数を長時間にわたる平均値で一定とみなしてもほとんど誤差を生じないものと考えられる。そこで、本発明においては、伝熱係数をパラメータ、すなわち時間変化に対し一定として扱うものとする。
【0019】
また、補正係数については、次の式を利用し、全天日射強度、反射日射強度、舗装体からの長波放射量、天空からの長波放射量及び気温に基づいて決定することができる。
【数17】

なお、アルベドは、計測された全天日射強度と反射日射強度の比として決定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る舗装路面温度予測システムによれば、境界条件を線形近似すると共に、所定のパラメータを予測地点における観測結果に基づいて決定し、解析数学の手法であるGreen関数法を適用することにより、路面温度の解析解を求めることができる。そのため、統計処理によることなく、また、数値解によることなく、実際の利用に必要な精度で路温の予測を行うことが可能となる。
【0021】
また、熱収支計算に関わる特定の影響因子を現地観測機器で入力値として捉えることで、温度の将来値の推定において必要となるデータの補正・推定を行うため、解析解による温度の計算理論値と現地観測値の整合を図ることができる。なお、本発明において現地観測機器による入力値とされている影響因子、すなわち、全天日射強度、反射日射強度、舗装体からの長波放射量、天空からの長波放射量、風速及び気温は、試行錯誤により特定されたものであり、計算理論値と現地観測値の整合を図るためのこれら影響因子を特定したことも本発明の特徴の一つである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1及び図2に、本発明に係る舗装路面温度予測システムの実施例を示す。図1は、同システムの概略を示すブロック図、図2は予測地点に設置される計測機器の概要図である。
【0023】
このシステムの構成には、予測地点に設置された測定機器が含まれており、そのような測定機器として、まず、放射収支計1及びアルベドメーター2が、予測地点の路面3の脇に設けられた照明柱4に取り付けられている。また、風向風速計及び気温計が、予測地点に設けられた気象観測局5に配置されている。そして、熱収支計算に関わる影響因子が、これら測定機器で計測されることになる。なお、図2に示す路面3には、このシステムの検証に必要となる路温計6及び熱流計7が埋設されているが、全予測地点に埋設しておく必要はない。
【0024】
影響因子、すなわち、予測地点における各種計測値を得たら、次に、それらに基づいてシステムパラメータを決定する。なお、システムパラメータ、すなわち、アルベド、補正係数及び伝熱係数は、それぞれ、以下のように算出する。
【0025】
<アルベド>
全天日射強度に対する反射日射強度の比として、すなわち、A=(反射日射強度/全天日射強度)として求めることができる。ただし、実際には、アルベドメーターから直接出力される。
【0026】
<伝熱係数>
伝熱係数は、次の式(Campbellの予測式)を利用し、風速、気温に基づいて決定することができる。
【数18】

なお、この式において、空気の密度や比熱は、気温に基づいて決定される。また、舗装表面(アスファルト面)の粗度パラメータzmは、「Panofsky, H. A. and Dutton, J. A., 1983:Atmospheric Turbulence ; Models and Methods for Engineering Applications」より引用し、空港の滑走路の値と同一値とみなした。更に、大気の安定度補正量は以下の式で表される。
【数19】

そして、Gauss−Zeidel法などの繰り返し計算により、顕熱の伝熱抵抗、摩擦速度、大気の安定度を表すパラメータとともに算出することができる。
【0027】
ただし、この伝熱係数は、後述する路温の解析解の算出に直接使用されるのではなく、その算出に必要となる複合伝熱係数の決定用として間接的に使用されることになる。そして、複合伝熱係数は、次の式で表される。
【数20】

この式に含まれる外気温及び伝熱係数は、厳密にいえば時間の関数である。しかしながら、まず、Taについていえば、その変更範囲は273K±10K程度と小さい。一方、伝熱係数についていえば、舗装体内温度を計算するに当たり、外気の乱流に伴う温度の微小変動に対する舗装体温度の反応は、時定数が大きく感度が極めて鈍いことから、伝熱工学的に、長時間にわたる平均値で一定とみなしてもほとんど誤差を生じないものと考えられる。そこで、このシステムにおいては、伝熱係数及び複合伝熱係数をパラメータ、すなわち時間変化に対し一定として扱うものとする。
【0028】
上記の算出法により得られた伝熱係数及び複合伝熱係数の一例を以下に示す。
例えば、舗装表面温度が274K(ケルビン温度)、外気温が273K、風速が7200m/h(=2m/秒)の場合、得られる伝熱係数は66.1kJ/(mhK)となった。一方、複合伝熱係数に及ぼす長波放射の寄与(数式20の右辺第2項)の値を計算すると16.6kJ/(mhK)となった。そして、これら伝熱係数と長波放射の寄与の和で得られる複合伝熱係数は、82.7kJ/(mhK)となった。また、舗装表面温度が278Kで、外気温と風速が上記と同じ場合、得られる伝熱係数は93.5kJ/(mhK)と、長波放射の寄与は17.5kJ/(mhK)となった。そして、複合伝熱係数は、111.0kJ/(mhK)となった。これらの値は、逆解析で試行錯誤により求めた値と酷似しており、風速と観測値が与えられれば理論的に伝熱係数を算出できることが確認されている。
【0029】
<補正係数>
次の式を利用し、全天日射強度、反射日射強度、舗装体からの長波放射量、天空からの長波放射量及び気温に基づいて決定することができる。
【数21】

なお、外気温は、既述の通り、厳密にいえば時間の関数であるが、その変更範囲は273K±10K程度と小さいことから、長時間にわたる平均値で一定とみなしてもほとんど誤差を生じないものと考えられる。そこで、このシステムにおいては、補正係数もまたパラメータとして扱うものとする。
【0030】
一方、パラメータの決定とは別に、気象予報業務実施者が求めた外気温及び雲量の将来予測値とから、日射強度の予測値、及び外気温の将来予測値を以下のように算出する。
【0031】
<日射強度の予測値>
気象協会の雲量予測データ(雲量C)を使用し、次の式により算出する。
【数22】

【0032】
なお、雲量Cの係数は、日射強度の実測値を理論全天日射強度で正規化した値の雲量実測値Cに対する相関実験式から得たものである。当該実験式を図3に示す。理論全天日射強度は、次の式に示すように、水平面直達日射強度と水平面天空日射強度の和として求めることができる。
【数23】

この式において、右辺第1項が水平面直達日射強度、第2項が水平面天空日射強度であるが、これらの値は、次の式(Bouguerの式)で求めることができるため、結局、理論全天日射強度は予測地点における物性値と太陽の高度から算出できることになる。
【数24】

【0033】
また、雲量Cの係数は、全天日射強度の実測値を理論全天日射強度で正規化した値を、雲量実測値に対しプロットした結果により算出したものである。図3に、そのプロット結果を示す。
【0034】
ただし、上記定式によっても、実測値との乖離があるため、実際の利用に際しては次のような補正を行う。まず、所定時刻(t=t)における全天日射強度実測値と、その時点での雲量予測値を上記式に代入して得られる全天日射強度計算値との差を求める。そして、その差を、将来時刻(t=t+η)における雲量予測値を同式に代入して得られる全天日射強度予測値に加算することにより、将来時刻(t=t+η)における全天日射強度予測値を算出する。また、時間区間t〜t+ηにおける全天日射強度には、次の式により得られる、この時間区間における時間平均値を用いた。
【数25】

【0035】
<外気温の予測値>
外気温の予測値は気象協会から発表されている。しかしながら、気象台が予測地点から離れていること等の理由により、その予測値は実測値と乖離している。そこで、気象協会から発表される外気温の予測値に対し次のような補正を行う。まず、所定時刻(t=t)における気象協会予測値と、その時点での予測地点における実測値との差を求める。そして、その差を、将来時刻(t=t+η)における気象協会予測値に加算することにより、将来時刻(t=t+η)における外気温予測値を算出する。また、時間区間t〜t+ηにおける外気温には、次の式により得られる、この時間区間における時間平均値を用いた。
【数26】

【0036】
パラメータの決定と、将来時刻における日射強度予測値及び外気温予測値の算出が終了したら、次に、将来時刻における路温の解析解を算出する。解析解の算出には、次の式を用いる。
【数27】

なお、式中Uは複合伝熱係数であり、上記の通り、パラメータとして算出されている。
【実施例】
【0037】
このシステムを利用して実際の路面温度を予測し、その予測地点における実測値との比較を行った。予測地点は、北陸自動車道今庄IC〜敦賀IC間の天王川橋観測局(北陸道上り67.2kmポスト付近)である。また、日時は平成19年2月5日0時から24時まで、及び平成19年2月25日0時から24時まである。比較結果を図4及び図5に示す。図4は、平成19年2月5日に実施した路面温度の予測値の推移を、その予測地点における実測値の推移と比較して示し、(a)は0時間後の予測値と実測値を、(b)は1時間後の予測値と実測値を、(c)は2時間後の予測値と実測値を比較して示すグラフである。図5は、平成19年2月25日に実施した路面温度の予測値の推移を、その予測地点における実測値の推移と比較して示し、(a)は0時間後の予測値と実測値を、(b)は1時間後の予測値と実測値を、(c)は2時間後の予測値と実測値を比較して示すグラフである。なお、0時間後の予測値とは、当該手法を用いて時間値をt=tの値とした場合の予測値(予測計算を行った時点の解析値)である。同様に、1時間後の予測値とは、当該手法を用いて時間値をt=t+1hrの値とした場合の予測値、2時間後の予測値とは、当該手法を用いて時間値をt=t+2hrの値とした場合の予測値である。また、図中予測値は実線で、実測値は、実測により得られた値のプロットの集合である点線で表示されている。
【0038】
図4及び図5より、夜間において、1時間程度先の路面温度を高い精度で予測できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る舗装路面温度予測システムの概略を示すブロック図である。
【図2】予測地点に設置される計測機器の概要図である。
【図3】日射強度の実測値を理論全天日射強度で正規化した値の雲量実測値Cに対する相関実験式を示すグラフである。
【図4】平成19年2月5日に実施した路面温度の予測値の推移を、その予測地点における実測値の推移と比較して示し、(a)は0時間後の予測値と実測値を、(b)は1時間後の予測値と実測値を、(c)は2時間後の予測値と実測値を比較して示すグラフである。
【図5】平成19年2月25日に実施した路面温度の予測値の推移を、その予測地点における実測値の推移と比較して示し、(a)は0時間後の予測値と実測値を、(b)は1時間後の予測値と実測値を、(c)は2時間後の予測値と実測値を比較して示すグラフである。
【符号の説明】
【0040】
1 放射収支計
2 アルベドメーター
3 路面
4 照明柱
5 気象観測局
6 路温計
7 熱流計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装体の熱移動基礎式
【数1】

の路面(z=0)の境界条件を
【数2】

とし、該日射強度を
【数3】

として雲量の将来予測値に基づいて予測値を算出し、該伝熱係数、該アルベド、該天空の見掛けの放射率を予測地点において計測された影響因子に基づいて決定し、Green関数法を適用して路面温度を算出することを特徴とする舗装路面温度予測システム。
【請求項2】
該影響因子は、全天日射強度、反射日射強度、舗装体からの長波放射量、天空からの長波放射量、風速及び気温を含む請求項1に記載の舗装路面温度予測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−47515(P2009−47515A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213069(P2007−213069)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【Fターム(参考)】