説明

航空機の乗組員および乗客に酸素を供給するための呼吸ガス供給回路

乗客および乗組員(30)を運搬する航空機のための呼吸ガス供給回路(1)であって、呼吸可能ガス源(R1,R2)と、該ガス源に接続された少なくとも1つの供給ライン(2)と、前記呼吸可能ガスの供給を制御するために前記供給ラインに設けられた減圧装置(24)と、前記供給ラインに設けられた混合装置(9)であって、該混合装置は外気を前記呼吸可能ガスと混合し、前記呼吸可能ガスと外気との混合物に一致した前記混合ガスを少なくとも一人の乗客または乗組員に提供するための外気流入口(10)をさらに具備した混合装置と、を具備し、前記減圧装置は、少なくとも一人の前記乗客または乗組員について測定された動脈血酸素飽和度(S)の関数である制御信号(F)によって駆動されることを特徴とする回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い飛行高度における減圧および/または操縦室内の煙の発生に関する危険性に対して、航空機の乗客および乗組員を保護するための呼吸ガス供給回路に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機内で減圧事故または煙の発生があった場合に乗客および乗組員の安全を保証するために、航空法は全ての航空機に酸素供給安全回路を搭載することを要求しており、それぞれの乗客および乗組員(ここでは最終使用者とも称される)にキャビン高度の流速の関数に応じた酸素を提供することが可能とされている。減圧事故の後、キャビン高度は航空機高度に接近した数値に到達する。キャビン高度によって、人はキャビン内で維持された加圧された大気に一致した高度を認識する。加圧されたキャビン内では、この数値は実際の物理的な高度である航空機高度とは異なっている。
【0003】
最小の酸素流速は与えられたキャビン高度で要求され、全体的に航空機の性質、すなわち民間または軍事の性質に依存し、保護の継続時間およびレベル、すなわち緊急降下、緊急脱出、飛行の継続等に依存する。
【0004】
乗客および乗組員を運搬する航空機のための公知の供給回路は、
−呼吸可能ガス源、例えば酸素と、
−その呼吸可能ガス源に接続された少なくとも1つの供給ラインと、
−呼吸可能ガスの供給を制御するために、供給ラインに接続された減圧装置と、
−供給ラインに設けられて、外気を呼吸可能ガスと混合し、乗客および/または乗組員に吸入されるために、呼吸可能ガスと外気との混合物に一致した混合ガスを提供するための外気流入口を具備した混合装置と、を一般的に具備している。
【0005】
呼吸可能ガス源は加圧された酸素シリンダ、化学的発生器もしくは搭載用酸素発生システム(OBOGS)、またはより一般的には任意の酸素源であってもよい。呼吸ガスは一般的に呼吸装置を介して乗客または乗組員に供給され、その装置は呼吸マスク、カニューレまたは他のものであってもよい。
【0006】
航空機内で酸素を確保する必要性は呼吸マスクの発展を導き、そのマスクは外気による(混合装置を介した)酸素希釈と同様にデマンドレギュレータ(demand regulator)を具備している。そのようなデマンドレギュレータは特許文献1および特許文献2から公知であり、それらの文献は空圧式デマンドレギュレータを開示している。または特許文献3から公知であり、その文献は電子空圧式デマンドレギュレータを開示している。最終使用者によって吸入される流速が全体的にそのようなレギュレータ内でフィードバックループを介して制御されるならば、酸素のレベルは全体的にオープンループ減圧を介して定義され、連邦航空規則(FAR)で規定された最小値を考慮している。FARの数値は実際には保守的な数値であり、結果的に酸素のレベルは、最終使用者の体内の動脈血酸素飽和度SaOが十分に高く残存することを補償する程度に十分高いものである。最終使用者に供給される正確な酸素レベルが無いことで、SaOは格段に減少し、結果的に意識を失う。数分間SaOレベルとなった後、回復不可能な損傷が最終使用者の神経システムに与えられ、死に至る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許発明第2781381号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2827179号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/005372号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
今日、酸素が発生器から供給されていても加圧された酸素源から供給されていても、さらに酸素を確保する必要性があり、航空機内の酸素の質量は乗客および乗組員からの推定の必要量に直接的に関連している。実際の必要量に伴った酸素供給量の最適化はより軽量な酸素供給源に帰結し、航空機の構造の制約および燃費を減少させる。
【0009】
したがって、搭載されて運搬される呼吸可能ガスの体積を減少し、または(搭載して運搬される酸素のための)シリンダの再充填までの期間を延長することが可能となるような、呼吸可能ガス供給回路の改良が強く望まれている。さらに、乗客または乗組員が実際に必要とする速度に呼吸可能ガスの流速を調整するような回路の改良は、さらに有益なものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、請求項1に規定されているように、乗客および乗組員を運搬する航空機のための呼吸ガス供給回路が設けられており、請求項12によって航空機の乗客および/または乗組員へ呼吸ガスを供給する方法が提供されている。
【0011】
実際の動脈血酸素飽和度SaOの規制を伴って、呼吸可能ガスの消費は最終使用者の実際の必要量に適合されることが可能である。過剰体積の酸素は供給されず、搭載された酸素源内の必要量を減少している。これは、規制を改良しており、呼吸可能ガス内の供給の制御を可能にしており、そのガスは最終使用者自身の代謝に基づいており、測定されたSaOが彼/彼女の酸素の必要性の良好であることを指示している。
【0012】
上述の特徴および他の特徴は、非限定的な例として与えられた以下の特別な実施形態の記載を読むことでよりよく理解されるだろう。その記載は添付図を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態における、乗客および乗組員を運搬する航空機のための呼吸ガス回路の簡略された図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における、呼吸ガスの供給に適合された航空機の酸素供給の緊急システムの例示的な実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に見られるように、本発明による供給回路は以下の要素を具備している。呼吸ガス源はここでは一組の酸素タンクR1およびR2として示され、それらはそれぞれ個々の流出口に減圧弁を具備しており、供給ライン2を介して航空機の乗客および乗組員30に呼吸ガスを提供するために設けられている。他の呼吸ガスの供給源が、本発明による供給回路内で使用されてもよい。供給ラインは呼吸装置へと延在し、ここではその装置は呼吸マスク9として示されている。外気流入口10は呼吸マスク9に設けられ、外気はそのマスク9内の呼吸ガスと、混合装置(図1には図示略)内で混合される。そのような混合装置は、最終的な使用者によって呼吸ガスが吸入されること、および混合された呼吸ガスを外気に相当させることを供与している。例示的な図1において、吸入される呼吸ガス、または要するに吸入されるガスはマスク9を介して乗組員または乗客30に供給される。
【0015】
減圧装置24は、マスク9への呼吸ガスの供給をさらに提供している。本発明の第1の実施形態による供給回路では、減圧装置24は少なくとも乗客または乗組員30、すなわち供給回路の最終使用者で測定された動脈血酸素飽和度SaOの関数制御信号Fによって駆動される。減圧装置は例えば電子バルブであってもよい。
【0016】
その効果のために、電子ユニット62またはCPUには、減圧装置24に送信される入念な制御信号が提供されており、図1において破線で示されている。
【0017】
SaOはガス移送の最大理論値に対する血液によって移送される酸素量の比率であり、肺胞内の酸素分圧PaOと関連している。標準環境下において、SaOは人間に関しては約98%である。SaOはPaOの関数として表されてもよい。結果の曲線はバークロフト曲線またはヘモグロビン解離曲線として周知であり、血液pH(pHで表された飽和減少)、肺胞PaCO内の二酸化炭素分圧(PaCOが増加する場合のSaOの減少)、および温度(血液温度が上昇する場合のSaOの減少)のようないくつかの要因に強く依存しているかもしれない。PaOは測定することが困難なデータである。SaOはより測定が容易であり、後に見られるように、センサを基礎としてとりわけ容易となる。したがって、本発明によるシステムの減圧は最終使用者について測定されたSaOを基礎とした制御信号によって駆動される。
【0018】
本発明の範囲内で、1つは測定されたSaOおよび例えば航空機の高度に依存して設定されたSaO2を基礎とした制御信号を予想してもよい。それにもかかわらず、減圧のこのタイプは緊急事態においてあまり効果的でなく、身体機能は過度に遅く変化してもよい。
【0019】
本発明の好適な実施形態において、電子ユニット60は呼吸可能ガス含有量FIOSPに関する設定点FSPを定義し、それは少なくとも最終使用者について測定された減圧装置24に対する動脈血酸素飽和度に基づいている。確かに、より効果的な減圧は、最終使用者に供給される呼吸ガスの呼吸可能ガス含有量FSPを制御することである。周知のデマンド減圧装置(demand regulator)において、呼吸可能な含有物は開ループを使用して減圧され、それは機内高度に基づいて設定された呼吸可能ガス含有量FSPについて減圧される。本発明による供給回路において、FSPは乗組員または乗客について測定された実際のSaOから導き出される。
【0020】
本発明による制御回路の改良された実施形態において、センサ155は混合装置の下流にある供給ラインに設けられており、すなわちそれは図1の例においてマスク9の内部であり、電子回路に呼吸可能または吸入ガス内の呼吸可能ガス含有量FSPを代表する信号Fを供給している。センサ155は、呼吸可能ガス含有量へのフィードバックループが、呼吸装置9を着用した場合に酸素の適切な供給が供給回路の最終使用者からの実際の必要性に従うことを可能にしている。
【0021】
制御信号を生成するために、電子ユニット62は設定点FSPを乗客または乗組員に供給される呼吸可能ガス含有量を代表するFの信号と比較し、制御信号Fを入念に作り上げる。
【0022】
PID(比例積分微分)モジュールは電子ユニット62内に備わって、設定点の比較および測定されたFの信号から制御信号Fを入念に作り上げてもよい。フィードバックループが設けられていない場合、電子ユニット62はFSPを使用して制御信号Fを入念に作り上げる。
【0023】
呼吸ガス内の呼吸可能ガス含有量Fへのフィードバックループが設けられていてもいなくても、最終使用者に供給される呼吸可能ガス含有物は彼/彼女のSaOに基づいており、すなわち、呼吸可能ガス内の彼/彼女に実際に必要とされているものである。減圧部(例えばFAR)から供給されるFの控えめな数値はもはや必要ではなく、減少され且つ最適化された酸素の消費および航空機に搭載されるより軽量な酸素源に帰結する。
【0024】
センサ155は、フィードバックループが設けられた場合、酸素センサプローブであってもよく、混合装置の下流に設けられた吸入ガス内の呼吸可能ガス含有量を測定することに適合されている。センサ155は、例えばガルバニック酸素センサまたは酸素セルであってもよい。最後の1秒の平均呼吸サイクルとして、センサ155からの応答信号が大きく遅れないということは好適である。したがって、好適な実施形態において、高速のセンサが使用され、その応答周波数は5Hzより高く、好適には10Hzまたはそれよりも高い。したがって、応答信号は100m秒以上遅れない。
【0025】
呼吸可能ガス含有量設定点のFSPを入念に作り上げるために、第2の減圧部が本発明の好適な実施形態中に設けられている。
【0026】
その効果のために、圧力センサ140が航空機のキャビン内に設けられており、CPU62にキャビンの圧力を代表する圧力信号表示を供給している。圧力センサ140はキャビンの圧力を測定(例えばhPa単位で測定)し、事前に定義されたキャビン高度(一般にフィート単位で測定される)に一致するデータを測定する。設定点FSPは電子ユニット62によって最小減圧SaOSPに基づいて入念に作成され、低酸素症(標準レベルの下での組織内の酸素の減少)のあらゆる危険を回避している。この最小減圧SaOSPはキャビン高度または圧力の顕著な関数である。
【0027】
圧力センサ140は航空機内で利用可能な圧力センサの1つであり、その数値は航空機バス(aircraft bus)に接続されて利用可能となる。航空機バスシステム(aircraft bus system)から独立して圧力の確実な読み取りを保証するために、本発明による回路には独自の圧力センサが設けられており、すなわち、専用のセンサ140が電子ユニット62に設けられている。
【0028】
SaOセンサ150は最終使用者に設けられ、電子回路62に彼/彼女の動脈血酸素飽和度SaOを代表するSaO信号を供給している。図1の実施例において、そのようなセンサが最終使用者の鼻部分に設けられている。
【0029】
第2のセンサ150は乗客または乗組員の動脈血酸素飽和度を測定するために適合されたセンサプローブである。センサ150は例えば光プレチスモグラフィックセンサ、または(パルスに基づいた技術を使用した)パルス酸素濃度計であってもよい。そのようなセンサは皮膚を通した赤外線信号の放射(IR)を介して作動する。痩せ型体系の人体が必要であり、IR信号が一側から放射されることが可能であり、伝播後に他側において読み取られることが可能である程度に十分痩せていなければならない。放射された信号であるIRの反射波も使用され、それはセンサが皮膚の一部に対してちょうど押し付けられているためである。この部分は例えば鼻、指または耳である。センサの検出セルは体の一部を透過したまたは体の一部に反射された信号を読み取ることが可能であり、より具体的には、体内の血管のおかげである。SaOは、IR吸収率がSaOに関連しているとして入手可能である。
【0030】
第2のセンサ150は呼吸装置9に取り付けられてもよく、図1に示された装置9内、または最終使用者への取り付け具として装置に設けられたストラップの周囲のいずれかであってもよい。第1の場合において、呼吸装置9を着用している際に、センサ150は使用者の鼻に接触して、光源は鼻または鼻の周囲の皮膚に面している。第2の場合において、体の一部は耳たぶのような耳の任意の部分であってもよい。別の可能性は、関心は少ないが、指であり、しかしこれはセンサ150を指に自発的に着用することを要求され、緊急の場合、実用的でないかもしれない。
【0031】
本発明によるシステムにおいて、電子回路62は動脈血酸素飽和度設定点SaOSPを測定されたSaOと比較し、呼吸ガス含有量設定点FSPを入念に作り上げる。例えば、SaOが突然に減圧事故の後に急速に減少した場合、測定されたSaOは航空機の高度におけるSaO設定点から離れる(減圧事故を伴って、キャビン高度は航空機高度と同等に近づく)。より多くの酸素が必要とされるので、CPU62はSaOとSaOSPとの比較から、より高いFSPを定義する。呼吸可能ガス含有量の減圧は結果的に、最終使用者に供給されるさらに高いFが最終使用者の体内の欠乏に対向することを可能にする。そのような呼吸可能ガス含有量のレベルは最終使用者の現実の必要性に適合されている。
【0032】
本願の図において、減圧装置24は1つのマスク9への呼吸可能ガスの供給を駆動している。当業者は本願発明の教示を一群の呼吸装置9への呼吸可能ガスの供給を規制するための減圧装置へと容易に転用する。それは、それぞれの呼吸装置9が設けられたそれぞれのセンサ150を介して測定された平均SaOに一致した制御信号のおかげである。
【0033】
図2は本発明によるシステムの例示的な実施形態を示したものであり、より具体的には、特許文献3から公知の減圧装置を具備したデマンド減圧装置であり、乗組員に使用される。このシステムは呼吸可能ガス含有量のフィードバックループを備えていない。
【0034】
減圧装置は2つの部分を具備しており、1つの部分10はマスク(図示略)に担持されたハウジング内に組み込まれ、他の部分12はマスクを格納するための格納ボックスによって担持されている。そのボックスは従来型の一般的な構造であってもよく、ドアによって閉鎖され、そこから突出したマスクを備えている。マスクを引き出すことによってドアが開き、酸素供給バルブを開く。
【0035】
マスクに担持された部分10は一体に組み合わされた複数の部品を具備したハウジングによって構成され、それらの部品は凹部および通路を備え、その内部に複数の流路を定義するように形成されている。
【0036】
第1の流路は酸素のための流入口14を、マスクへと導入する流出口16に接続している。第2の流路または空気流路は、希薄な空気のための流入口20をマスクへと導入する流出口22に接続している。第1の流路に沿った酸素の流速は減圧装置24によって制御され、ここには電気制御バルブが存在している。図2の実施例において、このバルブは電圧で制御された比例バルブ24であり、流入口14を流出口16に接続し、導線26を備えている。オン/オフタイプの電磁弁を使用することも可能であり、可変の負荷比率においてパルス幅変調を使用して制御されている。
【0037】
“デマンド”サブアセンブリは空気の流路の間に介在し、希薄な空気をマスク内に流入させている。そのサブアセンブリは外気を導入するために作動し、要求された瞬間的な流速または他のタイプの遠隔的に制御されるアクチュエータを測定している。
【0038】
図示された実施例において、希釈空気の流路の右領域はハウジングの内部表面33と、ハウジング内にスライドして組み付けられたピストン32の終端部とによって画定されている。ピストンは大気圧とチャンバ34の内圧との間の圧力差にさらされている。追加的な電気制御バルブ36(具体的には電磁弁)は、チャンバ34を、大気よりも高いレベルの気圧において、大気または酸素源のいずれかと接続する役目を果たしている。したがって、電気制御バルブ36は希薄を伴った標準モードから純酸素が供給されるモード(“100%”モードと称される)へと切り替える役目を果たしている。チャンバ34が大気に接続されている場合、ばね38はピストン32をシート39上に保持するが、ピストン32がシート39から離れることは可能である。マスク着用者が呼吸ガス吸い込み口を吸った場合、空気は空気流路を通って混合装置へと流れて混合チャンバ35へと入り、そこで空気が第1の流路から流入した酸素と混合される。チャンバが酸素供給源と接続されている場合、ピストン32はシート39を圧縮し、そこで流入してきた空気を堰き止める。ピストン32はサーボ制御減圧バルブとして使用されることも可能である。全体的に、減圧装置は希釈を伴った標準作動を実行するだけでなく、セレクタ58によって緊急状況の作動も実行することが可能であるようにデザインされている。
【0039】
空気の流路はベンチュリ狭窄部41を具備し、それはピストン32とハウジングの部分10との間、より具体的には混合チャンバ35に配置されている。ベンチュリ狭窄部41は、例えば、断面積が0.57mmである。この断面は特別なモデルのマスクに従って決定されており、他のモデルのマスクのために変化されることが可能である。流入ポート45を備えた毛細管ダクト43がベンチュリ狭窄部41に接続され、流出ポート47は圧力センサ49に接続されている。圧力センサ49は、毛細管ダクト43を介してベンチュリ狭窄部41の気圧を測定する。圧力センサ49からの信号は電子ユニットに送信され、ここでは電子回路カード62である。
【0040】
ハウジングの部分10は、呼気または排気バルブ40を含んだ呼気流路も画定している。図示されたバルブ40のシャッター要素は広範囲に使用されるタイプのものであり、本願では、流入を導くためのバルブとしておよび排気バルブとしての双方で作用する2つの機能を実行するためのものである。図示された実施形態において、そのバルブは単に排気バルブとして作用する一方で、マスクの内部を周囲の大気圧よりも高い圧力に維持することを可能にしており、それはバルブ40によって周囲の気圧よりも高い圧力に決定されたチャンバ42内の圧力を上昇させることによって実行している。
【0041】
第1の状態において、電気制御バルブ48(特に電磁弁)はチャンバ42を大気に接続し、この場合、呼吸が始まるとすぐにマスク内の圧力は周囲の圧力を上回る。第2の状態において、バルブ48はチャンバ42を、流速制限狭窄部50を介して酸素供給源に接続する。そのような環境の下で、チャンバ42内の圧力は比率閉鎖ばねを備えたリリーフバルブ46によって決定された数値を上昇させる。
【0042】
ハウジングの部分10は、マスクの空気ハーネスが膨張および収縮することを可能にする手段を、さらに坦持してもよい。これらの手段は従来型の構造であり、結果的にそれらは図示も記載もされていない。
【0043】
図2に示されたように、セレクタ58は標準モードスイッチ60を閉鎖するために設けられてもよい。セレクタ58は異なった作動モードを選択することが可能である。それらは希釈を伴った標準モード、100%酸素モード、または緊急モード(過圧を伴った酸素)である。
【0044】
スイッチは電子回路62に接続されており、その回路は選択された作動モードの関数として作動する。(格納ボックス12内に設けられた図2の例において)センサ140によって指示されたキャビン高度に応答し、航空機高度に応答し、およびマスクの着用者に酸素を供給する流速を決定するための圧力センサ49によって指示された要求された瞬間流速に応答する。
【0045】
本発明によるシステムにおいて、電子回路は動脈血酸素飽和度を表し、混合チャンバ35の下流に配置されたセンサ155によって提供されたSaOの信号を考慮している。
【0046】
電子回路カード62は適切な電気信号、すなわち制御信号を第1の電気制御バルブ24に、以下のように提供している。標準モードにおいて、圧力センサ49は空気の流路の流出口22内の瞬間的な要求圧力を、フィルタ61を介してろ過してマスク内に供給している(図2の実線参照)。電子回路62は、考慮する必要があり且つセンサ140から来るキャビンの高度に関連した情報とともに、この信号を受信する。電子回路は航空機高度に対応した信号(例えば航空機バスシステム(aircraft bus system)から得られた信号)をさらに受信する。
【0047】
したがって、電子回路62はセンサ140で測定された少なくともキャビン圧力に基づいたSaO設定点であるSaOSPを決定する。前述のように電子回路62は、その後、設定点を酸素センサ150によって測定された実際のSaOと比較し、呼吸ガス含有量設定点FSPを生成する。そして、電子ユニット62は制御信号Fを入念に作り上げ、電気制御バルブ24を駆動し、呼吸ガス内の適切な酸素レベルを提供する。
【0048】
へのフィードバックが実行された場合、デマンドサブアセンブリは要求されない。圧力センサ149は呼吸サイクルを検出するためのみに使用され、酸素は最終使用者が場合に必要とだけされるためである。したがって、電子ユニット62は開閉速度と同様に、バルブ24の開閉を駆動することを可能にしている。
【符号の説明】
【0049】
2 供給ライン
9 呼吸マスク
10 外気流入口
14、20 流入口
16、22 流出口
24 減圧装置
26 導線
30 乗客、乗組員
32 ピストン
33 内部表面
34 チャンバ
36 電気制御バルブ
38 ばね
39 シート
40 バルブ
41 ベンチュリ狭窄部
48 電気制御バルブ
49 圧力センサ
58 セレクタ
60 電子ユニット
62 電子ユニット
140 圧力センサ
155 センサ
R1,R2 酸素タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客および乗組員(30)を運搬する航空機のための呼吸ガス供給回路(1)であって、
−呼吸可能ガス源(R1,R2)と、
−該ガス源に接続された少なくとも1つの供給ライン(2)と、
−前記呼吸可能ガスの供給を制御するために前記供給ラインに設けられた減圧装置(24)と、
−前記供給ラインに接続された混合装置(9)であって、該混合装置は外気を前記呼吸可能ガスと混合し、少なくとも一人の乗客または乗組員に吸入されるために、前記呼吸可能ガスと外気との混合物に一致した前記混合ガスを提供するための外気流入口(10)をさらに具備した混合装置と、を具備し、
前記減圧装置は、少なくとも一人の前記乗客または乗組員について測定された動脈血酸素飽和度(SaO)の関数である制御信号(F)によって駆動されていることを特徴とする回路。
【請求項2】
前記制御信号は電子回路(62)によって提供されていることを特徴とする、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記電子回路は、少なくとも測定された動脈血酸素飽和度を基にして呼吸可能ガス含有量設定点(FSP)を定義していることを特徴とする、請求項1または2に記載の回路。
【請求項4】
第1のセンサ(155)が前記混合装置の下流に設けられ、前記電子回路に、呼吸される前記ガスの代表の呼吸ガス含有量の信号(F)を供給し、前記電子回路は前記呼吸可能ガス設定点を前記表の呼吸ガス含有量の信号と比較して、前記制御信号を入念に作り上げることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路。
【請求項5】
前記航空機はキャビンを具備し、前記電子回路は少なくとも前記キャビンの気圧に基づいて動脈血酸素飽和度設定点(SaOSP)を定義していることを特徴とする、請求項3または4に記載の回路。
【請求項6】
第2のセンサ(150)が少なくとも一人の乗客または乗組員に提供され、前記電子回路に前記一人の乗客または乗組員の代表の前記動脈血酸素飽和度信号(SaO)を提供していることを特徴とする、請求項5に記載の回路。
【請求項7】
前記電子回路は前記動脈血酸素飽和度設定点を前記代表の前記動脈血酸素飽和度信号と比較し、前記呼吸可能ガス設定点を入念に作り上げることを特徴とする、請求項5または6に記載の回路。
【請求項8】
前記第2のセンサは光プレチスモグラフィックセンサ(150)であることを特徴とする、請求項6または7に記載の回路。
【請求項9】
呼吸マスク(9)が前記呼吸ガス回路の下流に設けられ、前記呼吸マスクは第2のセンサを坦持し、前記第2のセンサは前記呼吸マスクを着用した乗客または乗組員の鼻に接触することを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の回路。
【請求項10】
前記減圧装置と前記混合装置とは前記呼吸マスクのデマンド減圧装置に備わっていることを特徴とする、請求項1〜2および5〜9のいずれか一項に記載の回路。
【請求項11】
前記呼吸マスクには該呼吸マスクを乗客または乗組員に着用するためのストラップが設けられ、前記センサは前記ストラップに設けられて前記呼吸マスクを着用した乗客または乗組員の耳に接触することを特徴とする、請求項9または10に記載の回路。
【請求項12】
乗客および乗組員(30)を運搬する航空機内で呼吸ガスを供給するための方法であって、前記航空機は、
−呼吸可能ガス源(R1,R2)と、
−該ガス源に接続された少なくとも1つの供給ライン(2)と、
−前記呼吸可能ガスの供給を制御するために前記供給ラインに設けられた減圧装置(24)と、
−前記供給ラインに接続された混合装置(9)であって、該混合装置は外気を前記呼吸可能ガスと混合し、少なくとも一人の乗客または乗組員に吸入されるために、前記呼吸可能ガスと外気との混合物に一致した前記混合ガスを提供するための外気流入口(10)をさらに具備した混合装置と、を具備し、
前記方法は、
−少なくとも一人の前記乗客または乗組員の動脈血酸素飽和度(SaO)を測定するステップと、
−制御信号を提供して前記減圧装置を駆動するステップであって、前記制御信号は少なくとも前記動脈血酸素飽和度に基づいたものであるステップと、を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記制御信号は電子回路(62)によって提供されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも測定された動脈血酸素飽和度に基づいて呼吸可能ガス含有量設定点(SaOSP)を定義するステップをさらに含んでいることを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
第1のセンサ(155)が前記混合装置の下流に設けられ、前記方法は、
−前記第1のセンサで前記呼吸ガス内の代表の前記呼吸可能ガス含有量の信号(F)を測定するステップと、
−前記呼吸可能ガス設定点を前記表の呼吸ガス含有量の信号と比較して、前記制御信号を入念に作り上げるステップと、をさらに含んでいることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記航空機はキャビンを具備し、前記方法は少なくとも前記キャビンの気圧に基づいて動脈血酸素飽和度設定点(SaOSP)を定義するステップをさらに含んでいることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
第2のセンサ(150)が少なくとも一人の乗客または乗組員に提供され、前記方法は前記一人の乗客または乗組員の代表の前記動脈血酸素飽和度信号(SaO)を測定するステップをさらに含んでいることを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記動脈血酸素飽和度設定点を前記代表の前記動脈血酸素飽和度信号と比較し、前記呼吸可能ガス設定点を入念に作り上げるステップをさらに含んでいることを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のセンサは光プレチスモグラフィックセンサ(150)であることを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
呼吸マスク(9)が前記呼吸ガス回路の下流に設けられ、前記呼吸マスクは第2のセンサを坦持し、前記第2のセンサは前記呼吸マスクを着用した乗客または乗組員の鼻に接触することを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記減圧装置と前記混合装置とは前記呼吸マスクのデマンド減圧装置に備わっていることを特徴とする、請求項12〜14および16〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記呼吸マスクには該呼吸マスクを乗客または乗組員に着用するためのストラップが設けられ、前記センサは前記ストラップに設けられて前記呼吸マスクを着用した乗客または乗組員の耳に接触することを特徴とする、請求項20または21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−542394(P2009−542394A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518983(P2009−518983)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003500
【国際公開番号】WO2008/010021
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(591264636)インターテクニーク (5)
【Fターム(参考)】