航空機構造およびその他の大型構造に対する製造システム
加工物を製造するための生産システムは、加工物に沿った長手方向に間隔をおいた知られる場所に除去可能に設置される複数の位置合せ装置を含む位置合せシステムと、位置合せ装置の少なくとも2つと取外し可能に係合されることによって位置合せの位置および向きが位置合せ装置によって加工物に対して固定される長手方向に延在する位置合せ部材とを含み、位置合せ部材はそれに沿って配される位置を示す特徴を有する。この生産システムは、位置合せ部材に沿った長手方向の移動のために設置されて動作を行なうよう動作可能な機械モジュールをさらに含み、機械モジュールは位置合せ部材上の位置を示す特徴を検出するよう動作可能であることにより、加工物に対する機械モジュールの位置を定める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、航空機の翼桁、厚板、翼部分、胴体部分などの大型構造、およびその他の大型構造を製造するための生産システムに関する。より特定的には、この発明は、連続流または脈動流プロセスを用い、加工物がそのプロセス流経路に沿って進む際に加工物に係合され、加工物に装備された位置合せ装置により加工物の割出しをする機械モジュールを用いる非固定基部型の生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
前述などの大型構造は伝統的に、ロボットドリル加工機およびリベット締め機などの大型の固定基部機械を用いて製造される。こうした機械を用いることのいくつかの周知の欠点の中には、機器を取得し取付けるための高い初期設備投資およびそれらが要求する大きく高価な基礎、複雑な機械の動かし方を作業者に訓練するため、また機械を維持および支持するために必要とされるかなりの量の時間および資産、ならびに機械の認証、認定およびメンテナンスの際に機械の生産的な使用ができないことがある。加えて、大型の固定基部機械は、最も主要な製造専門家に最も有効な製造方法であると考えられている連続流製造(CFM)に向いていない。さらに、航空機構造などの大型構造の製造は従来、床組立治具(FAJ)およびジェムコヘッダシステム(Gemcor header systems)など、モデルに特定の工具を必要とした。こうしたモデルに特定の工具は、新たな航空機を開発するコスト全体のかなりの部分(たとえば約3分の1)になる。
【0003】
前述のものなどの不利益のため、これらの不利益の1つまたはそれ以上を避ける代替的な製造方法が望ましい。好ましくはその方法はCFMプロセスを支持できるべきであり、別の代替機が生産を続ける間の機械のオフラインでのメンテナンスおよび認定を容易にすべきであり、したがって非固定基部機械を用いるシステムが求められる。これらの目的は望ましいにも拘らず、それらはさまざまな理由から達成が困難であり、その少なからぬ理由の1つに非固定基部機械を加工物に対して正確に位置決めすることの困難さがある。加工物に対して機械を位置決めするためにレーザポジショナなどのシステムを用いることができるが、こうしたシステムは高度に複雑であり、通常は製造される特定の加工物に対して特有の設定を必要とし、またしばしば照準線の問題によって制限される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
この発明は、CFMまたは脈動流製造プロセスにおいて加工物とともに進むことのできる位置合せシステムを介して加工物と整合する非固定基部機械を用いる生産システムを提供することによって、上述の要求に対処し、その他の利益を達成するものであり、位置合せシステムは加工物に除去可能に設置された位置合せ装置に物理的に位置合せすることによって、加工物に対して機械を正確に置く。この発明の1つの局面に従うと、加工物を製造するための生産システムは、加工物に沿った知られる長手方向に間隔を置かれた場所において加工物に除去可能に設置される複数の位置合せ装置を含む位置合せシステムと、位置合せ装置の少なくとも2つと取外し可能に係合されることによって、位置合せ装置によって加工物に対して位置合せ部材の位置および向きが固定される、長手方向に延在する位置合せ部材とを含み、位置合せ部材に沿って位置を示す特徴が配される。この生産システムは、位置合せ部材に沿った長手方向の移動のために設置され、動作を行なうために動作可能な機械モジュールをさらに含み、機械モジュールは位置合せ部材上の位置を示す特徴
を検出するために動作可能であることによって、加工物に対する機械モジュールの位置を定める。
【0005】
位置合せ部材は、伸長した精密に製造された梁または棒であってもよい。位置合せ部材に沿った位置を示す特徴はさまざまな態様で設けられてもよく、位置合せ部材に沿って付けられた機械読取可能なテープまたはストリップを含むが、それに制限されない。ストリップは、位置を示す情報によって光学的または磁気的に符号化されてもよい。この場合の機械モジュールは、符号化されたストリップを読取ることによって加工物に対する機械モジュールの位置を定めるために動作可能な読取器を含む。
【0006】
位置決め部材は、加工物に設置される位置合せ装置を係合することによって、加工物に対して公知の態様で置かれて向き付けされる。この発明の好ましい実施例における位置合せ装置は、加工物の知られた場所に形成される穴の中に除去可能に設置されるピンなどを含む。好ましくは、各位置合せ装置はその上に設置されるかまたは中に埋込まれたセンサを有し、センサはその位置合せ装置に一意の識別子を機械読取可能な形で保存する。したがって、加工物に設置されたさまざまな位置合せ装置はすべて異なる識別子を有し、これらの識別子は異なるプロセス要求を有する加工物の異なる区域に対応できる。たとえば、生産システムのコントローラは、加工物の各区域に対するプロセス情報をその区域に対する識別子に対応させて保存でき、位置合せシステムは、その区域に近接する位置合せ装置と相互作用してセンサに保存される識別子を読取る読取器を含み得る。次いでコントローラは読取器から識別子を受取って、特定の加工物区域に対するプロセス情報を取出すことができる。プロセス情報はたとえば、加工物にドリル加工される穴の場所および直径、加工物にクランプ締めおよび留められる付加的な部品の場所、加工物に施されるマーク付けおよびそうしたマーク付けの場所、ならびに/またはその他の情報を含んでもよい。
【0007】
位置合せ装置は、予め定められた場所において加工物にドリル加工された穴に取付けられる位置合せピンを含むことが好ましい。位置合せピンは、加工物の穴に取付けられるときに加工物の対向側から延びる2つの取外し可能に係合可能な部分を含むことが好ましい。位置合せピンのいずれかまたは両方の部分にはセンサが取付けられてもよい。たとえば、加工物の両側が加工される必要があるときには、両方の部分にセンサを有する位置合せピンを用いることが有利である。それによって2つのセンサは加工物の各側に隣接して位置決めされた機械モジュールに別個の情報を運ぶことができる。
【0008】
位置合せ部材に係合される機械モジュールはさまざまな種類のものであってもよく、連結されるクランプ締め機構を有するもしくは有さない、またドリル加工装置のドリル加工具を交換するための自動ドリル交換装置を有するもしくは有さないドリル加工装置、加工物にマーク付けを施すためのマーク付け装置、加工物に形成される穴にボルトもしくはリベットなどの留具を挿入するための留具挿入装置、加工物を探査するための装置、および/またはその他の装置を含む。
【0009】
この発明のいくつかの実施例において、機械モジュールまたはそのフレームは、機械モジュールを位置合せ部材に沿って移動させるための、位置合せ部材を駆動的に係合する駆動装置を有する。制限的でない例として、位置合せ部材は精密ラックなどのギア素子を有してもよく、機械モジュールは位置合せ部材のギア素子を駆動的に係合して符号器などを有するステッパモータなどの好適なドライブモータによって駆動される小歯車ドライブなどの駆動ギア配置を有してもよい。代替的には、機械モジュールはそれが進む床から外れてもよい。
【0010】
前述のとおり、機械モジュールは接合される加工物の部品をともにクランプ締めするためのクランプ締め配置を含んでもよい。こうした場合、クランプ締め配置は、間に部品を
クランプ締めする対向して相対的に移動可能なクランプ締め部材を有するフレームを含んでもよい。たとえば、クランプ締め配置はOフレームを含んでもよく、その一方の脚にはそれに沿って機械モジュールを駆動するために位置合せ部材を駆動的に係合するための駆動装置が設置される。クランプ締め配置は、生産システムが収容される建物の床の上に支持される基部に設置されてもよく、基部は弾性懸垂を有することによって、基部が鉛直に浮かぶ態様で床に支持されてもよい。したがって、一旦クランプ締め配置が加工物をクランプ締めすると、それは加工物がCFMプロセスなどのプロセス流経路に沿って進む際に加工物とともに運ばれてもよい。
【0011】
好ましい実施例の1つにおいて、Oフレームは閉鎖位置と開放位置との間で移動可能な部分を含んでもよい。移動可能フレーム部分の閉鎖位置においては、移動可能フレーム部分および残りのフレームは加工物を囲む。移動可能フレーム部分の開放位置においては、加工物が通過できるフレームの開口が定められる。よって、加工物を係合または分離するために加工物の一方または他方端に移動させる必要のあった先行Oフレーム機械に対し、このフレームはそれに沿ったあらゆる位置において加工物と分離または係合され得る。フレームの移動可能部分は、通常鉛直な位置と通常水平な位置との間を移動可能なドロップタワーを含んでもよい。
【0012】
この発明の別の局面に従うと、位置合せシステムは位置合せ部材を支持するための位置合せ支持システムを含み、この位置合せ支持システムは加工物中に取付けられた位置合せ装置を係合する前に位置合せ部材と加工物との間の相対的な移動を可能にするように動作可能であり、位置合せ支持システムは位置合せシステムが位置合せ装置を係合した後にロックすることによって位置合せ部材を加工物に対して動かなくするように動作可能である。生産システムはまた、加工物を保持し、加工物をプロセス流経路に沿って輸送するように動作可能な材料取扱システムを含んでもよい。実施例のいくつかにおいて、位置合せ支持システムは材料取扱システムの上に、またはそれによって支持される。位置合せ支持システムは、その対向側から加工物にクランプ力を加えるように動作可能な1対のクランプアセンブリを含んでもよい。
【0013】
他の実施例において、位置合せ支持システムは、位置合せ部材および機械モジュールを床の上に支持することによって、位置合せ支持システムのロックの前に、位置合せ部材および機械モジュールの重さよりも実質的に少ない力の印加によって位置合せ部材および機械モジュールを上下に鉛直に移動可能にするための少なくとも1つのゼロバランス支持装置を含む。ロックされた後の位置合せ支持システムは、材料取扱システムによって引張られることにより加工物とともにプロセス流経路に沿って進んでもよい。
【0014】
この発明のさらに別の局面において、位置合せ部材は第1の位置合せ装置を係合し、機械モジュールは第1の位置合せ装置から長手方向に間隔を置かれた第2の位置合せ装置を係合し、生産システムは機械モジュールと通信するコントローラをさらに含む。機械モジュールは機械モジュールの長手方向の位置を示す信号をコントローラに送り、コントローラは機械モジュールが第2の位置合せ装置と係合したときに機械モジュールからの信号に基づいて第1および第2の位置合せ装置の間の加工物の長手方向の成長を定めるために動作可能である。位置合せ装置の連続する対の間の成長を順に測定することにより、累積成長を測定できる。加工物の成長は、加工物に行なわれた前の作業動作によって、熱伸長またはその他の要因の結果としてもたらされ得る。生産システムは、製造プロセスの際の加工物の測定される成長を考慮に入れることが好ましい。
【0015】
この発明の範囲にはまた、加工物の穴にリベットを取付けてリベットを据え込み加工するためのリベッタを用いる生産システムが含まれる。リベッタは液圧、空気圧、または電磁リベッタを含んでもよい。リベッタは、従来行なわれていたようにリベットを打ち込む
のではなく、一定の圧力の印加によって働く液圧リベットプレスであることが好ましい。液圧リベットプレスは従来のリベッタよりもかなり静かである。この発明の好ましい実施例において、リベッタにはリベットワイヤ切断装置において適切な長さに切断されたリベットワイヤが供給される。切断装置は、ともにリベット締めされる加工物の部品をともにクランプ締めするクランプ締め装置と通信するコントローラによって制御される。クランプ締め装置は接合される部品の積重ね厚さを測定するために動作可能であり、コントローラは測定された積重ね厚さに基づいてリベットワイヤを適切な長さに切断するために切断装置を制御する。切断されたリベットワイヤは次いでリベッタに供給される。生産システムは異なる直径のリベットワイヤが供給される2つまたはそれ以上の切断装置を含んでもよく、コントローラは加工物の特定の穴の場所に対して要求されるリベットの大きさに依存して適切な切断装置を選択する。
【0016】
この発明のさらなる局面に従うと、加工物の区域に近接して設置された位置合せ装置を係合する読取器と通信するコントローラによるアクセスのために、加工物のさまざまな区域に対するプロセス情報が保存されてもよい。読取器は位置合せ装置のセンサに保存される一意の識別子を読取ることができ、コントローラは識別子に対応するプロセス情報の組にアクセスできる。生産システムは、プロセス情報を作業者が用いるための視覚的な形に変換するための装置を含む。たとえば、その装置は作業者によるその後の使用のために加工物にマーク付けを施すマーク付け装置、加工物にしるしおよび/または図形を投射するプロジェクタ、またはCRT装置などのモニタであってもよい。この態様で、たとえ同じ生産ライン上で加工物の複数の構成が製造されていても、所与の加工物に関する製造プランを作業者が迅速かつ容易に入手できる。
【0017】
この発明の前述およびその他の目的、特徴および利点は、特定の好ましい実施例の以下の説明を添付の図面と組合せることによってより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の詳細な説明
この発明について、この発明の好ましい実施例が示された添付の図面を参照しながら以下により完全に説明する。しかし、この発明は多くの異なる形で実施されてもよく、ここに示される実施例に制限されると解釈されるべきではない。これらの実施例は、この開示を完全で完成したものにし、この発明の範囲を当業者に完全に示唆するために提供されるものである。類似の番号は全体を通じて類似の構成要素を示す。
【0019】
図1を参照すると、この発明のいくつかの実施例に従った位置合せ装置30に嵌められた翼桁Sが示される。翼桁Sは、矢印Aによって示されるプロセス流経路に沿って翼桁を輸送する材料取扱システム40によって支持される。生産システムは、翼桁Sがプロセス流経路に沿って連続的に移動する連続流製造プロセスを用いても、または作業プロセスを行なうために翼桁が交互に停止され、次いでプロセス流経路をさらに下って別の場所まで移動または「脈動」され、そこでさらなる作業プロセスを行なうために翼桁が再び停止される脈動流製造プロセスを用いてもよい。この発明に従うと、翼桁Sは最初に位置合せ装置30の取付けのために、翼桁の知られた場所に一連の穴32を予めドリル加工することによって準備される。穴32をドリル加工するために、あらゆる好適な正確なドリル加工機械が用いられてもよい。その後の製造動作のすべての位置合せが穴32に取付けられた位置合せ装置30を参照して行なわれるため、穴32の正しい設置は重要である。
【0020】
図2は、翼桁S中の穴32に取付けられた位置合せ装置30を示す。例示される好ましい実施例において、位置合せ装置30は翼桁の前側を係合する前部34と、翼桁の反対の後ろ側を係合する後部35とを有する急速分離ピンを含む。前部34は、翼桁の穴32を通る密な滑り嵌合によって嵌合して後部35のボアに受取られるシャフト36を含む。位
置合せ装置の後部のボアと同様に、シャフト36の末端にはねじ山が切られている。よって、後部35が前部34に対して回転されることによって、前および後部を互いに向けて引張り、翼桁を固くクランプ締めする。もちろん、例示されるピンはピンの多くの可能な構成または用い得る類似の構造の1つの例にすぎないことが理解されるであろう。
【0021】
各位置合せ装置の前部34にはセンサ38が設置または埋込まれており、位置合せ装置の後部35には別のセンサ38が設置または埋込まれている。代替的には、前および後部34、35の一方のみがセンサ38を有し、他方はセンサを有さなくてもよい。この配置は、加工物が一方側のみから加工されるときに用いられ得る。しかし、加工物が両側から加工されるときには、前および後部の両方にセンサ38を有する例示される位置合せ装置が有利である。さまざまな位置合せ装置30の前部34が1つずつ一様な外部構成を有することにより、後述のように各々が同じ位置合せ部材またはアームに係合され得る。同様に、後部35は一様な外部構成を有し、それは前部と同じであることが有利である。前および後部のいずれかまたは両方が、位置合せ装置を係合する装置に位置参照を与える基準面を定める外部構成を有する。好ましくは、各ハウジング部は少なくともXおよびY基準面を定め、XおよびYは一般的に加工物面Sの面における座標である。さらに好ましくは、位置合せ装置はまたZ方向(一般的には加工物面Sに対して垂直)における位置参照を与えるZ基準面を定める。したがって、装置が位置合せ装置を係合すると、その装置の位置がX、YおよびZで定められる。
【0022】
各位置合せ装置のセンサ38の中には一意の識別子が保存される。センサ38は機械読取可能であることにより、好適な機械読取器がセンサに保存される識別子を読取ることができる。好ましくは、センサ38は一意の識別子によってプログラムされる内部マイクロチップ(図示せず)を有する「スマートボタン」または類似の種類のセンサを含む。図3Aおよび3Bに示されるとおり、読取器50は位置合せ装置30の上に嵌合するよう構成されることにより、読取器中の接触子52がセンサ38と接触する。接触子52とセンサ38との間の電気マイクロボルテージ電位が、センサ38に保存される識別子を読取るための電源を提供する。したがって、翼桁S中のあらゆる所与の穴32が、穴に取付けられた位置合せ装置30の一意の識別子に基づいて読取器50によって識別され得る。この穴32を識別する能力の目的を以下に説明する。読取器によって物理的に係合されるスマートボタンの代替形として、位置合せ装置30は好適な読取器によって遠隔に読取られるセンサを用いてもよい。たとえば、センサは読取器によって受信される無線周波数信号を伝達してもよく、さらに別の態様で働く他のセンサおよび読取器システムが用いられてもよい。よってセンサおよび読取器システムの詳細はこの発明において特に重要ではない。重要なことは、加工物区域に関する情報が、加工物区域に近接して設置される位置合せ装置に取付けられたセンサによって機械モジュールまたはコントローラに運ばれ得ることである。
【0023】
さまざまな位置合せ装置30は、それらを色符号化すること、またはそれらを好適なしるしおよび/または図形によってマーク付けすることなどによって視覚的に識別可能にされることが好ましく、それによって作業者は翼桁のあらゆる所与の穴32にどの位置合せ装置30が取付けられるかを容易に識別できる。図4を参照して、一旦すべての位置合せ装置30が適切な穴に取付けられると、位置合せ部材60は1対の位置合せ装置30との係合に移動される。位置合せ部材60は、床摺動65上で翼桁Sに向かっておよびそこから離れて移動可能な1対の支持62および64を含む位置合せ支持システムによって支持されることにより、作業者は位置合せ部材60を容易に操作して位置合せ装置30を係合する位置にできる。支持62、64はまた、位置合せ部材60の内側および外側への移動(すなわち位置合せ部材の長手方向の移動)を可能にする。支持62、64は、図5に示されるように位置合せ部材に付けられた1対の位置合せアーム66、68が選択された位置合せ装置30をしっかりと係合するまで位置合せ部材60の操作を可能にするために最
初に柔軟である。位置合せアーム66、68は位置合せ装置30をしっかりとクランプ締めするクランプ締め装置70を含む。クランプ締め装置70はHSK型器具ホルダ機構であっても、または位置決め装置30をV溝中にクランプ締めするための急速解放クランプを有する精密V溝などの簡単なものであってもよい。一旦位置合せアームが位置合せ装置をクランプ締めすると、支持62、64はクランプ締め機構72を介して位置合せ部材60をクランプ締めまたは「ロック」し、床摺動65もまた正しい位置にロックされる。システムロックは空気圧、液圧または電気アクチュエータによってもたらされてもよい。よって位置合せ部材60は加工物に対する固定された位置および向きにロックされ、その位置および向きは位置合せアーム66、68によって係合される位置合せ装置30の場所によって指示される。これらの位置合せ装置30の場所は知られているため、加工物に対する位置合せ部材60の位置および向きは知られている。
【0024】
位置合せ部材60は、その長さに沿って配される位置を示す特徴を含む。より特定的には、例示される実施例において、位置合せ部材はそれに沿って縦方向に延在する位置符号化テープまたはストリップ80を含む。ストリップ80は光学的または磁気的に、またはあらゆるその他の態様で符号化されてもよい。位置合せ部材60は、高度の正確さで真直ぐであってスチールまたは複合材料などの好適な固い材料で形成された精密梁または棒を含んでもよい。位置合せ部材60は、他の機械モジュールに位置符号化ストリップ80を読取る能力を与えることによって加工物に対してその機械モジュールを位置決めするために用いられる。それによって機械モジュールは位置合せ部材60に沿ったその位置を定めることができる。
【0025】
図7から9は、位置合せ部材60を係合するための機械モジュールを有するこの発明の実施例の1つを示しており、床係合基部94に支持される鉛直のL形フレーム部材92によって形成されたフレームと、フレーム部材92の下側端に旋回可能に接続されるタワー96とを有するOフレーム機械90の形を取る。タワー96は、通常鉛直または閉鎖位置と通常水平または開放位置との間で移動可能である。図7に示されるようにタワー96が開放位置にあるとき、Oフレーム機械90を翼桁Sに向けて押すことによって、フレーム部材92の上側水平交差部材に設置されたOフレームポジショナ97が位置合せ部材60を係合するまでタワー96が翼桁の下を通過することができる。Oフレームポジショナ97は、位置合せ部材60上の符号化ストリップ80を読取るための読取器98と、位置合せ部材60を駆動的に係合してOフレーム機械90を位置合せ部材の長さに沿って前後に駆動するための駆動機構99とを含むことが好ましい。好ましい実施例において、位置合せ部材60は位置合せ部材の長さに沿って設置される精密ラック100を有し、Oフレーム上の駆動機構99はステッパモータなどの好適な駆動モータを有する小歯車駆動ギア配置を含む。もちろんOフレーム機械を位置合せ部材に沿って駆動するために他の種類の駆動配置が用いられてもよく、ラックおよび小歯車配置は配置の1つの可能な種類の単なる例である。一旦Oフレームが加工物に対して位置決めされると、ドロップタワー96は通常鉛直の閉鎖位置に上げられる。
【0026】
図8は、対向フレーム部材を係合する位置にタワー96が上げられロックされた後のOフレーム機械90を示す。Oフレーム機械の基部94は弾性またはばね懸垂を有することによって、Oフレーム機械の床に対するある程度の鉛直移動を可能にすることが好ましい。したがって、位置合せ部材60はOフレーム機械のX方向における位置決めを誘導するための誘導レールとして用いられ得る。すなわち、OフレームはY方向において位置合せ部材60に対して固定されたまま床に沿って「浮動」する。位置合せ支持62、64の間の可能な運動範囲内で、Oフレーム機械90が一方方向または反対方向(すなわち図8におけるX方向)に駆動されることにより、加工物に作業動作を行なうための加工物に対する適切な場所に機械を位置決めできる。Oフレーム機械90はたとえば、加工物に穴をドリル加工するためのドリル102、および留具(たとえばボルトまたはリベット)を穴に
挿入するための液圧プレスまたはラム104を支持できる。機械はフレーム部材92上のドリルおよび液圧ラムをY方向において位置決めするための好適なポジショナ(図示せず)を含む。
【0027】
図7−9に示されるシステムは脈動流システムを含む。図8はX方向に沿った翼桁Sの脈動または移動前のシステムを示す。翼桁が脈動されるとき、位置合せ支持62、64のクランプ締め機構72は位置合せ部材60からクランプを外され、床摺動65はロックを外されることにより、位置合せ部材60はX方向に沿って移動でき、翼桁は次いで脈動されて、図9に示されるとおり、X方向に沿った新たな位置において止められる。翼桁を脈動することにより、翼桁の新たな区域が位置合せ支持62、64の間に定められる作業範囲内にもたらされる。一旦翼桁が新たな場所で停止されると、位置合せ支持のクランプ締め機構72は再び位置合せ部材60にクランプ締めされ、床摺動65は再びロックされることにより、位置合せ部材60および位置合せ支持62、64はOフレーム機械の位置決めによってもたらされるあらゆる力に反応する。
【0028】
翼桁などの加工物が線形でないときにもこの発明のシステムを用い得るが、位置合せ支持システムは少しの変更を必要としてもよい。たとえば、図6は図5と同様の生産システムを示すが、翼桁Sは「ねじられる」ことにより、1つの実質的に真直ぐな部分が別の実質的に真直ぐな部分に角度をつけて接合される。このようにねじられた翼桁に適応するために、図6の挿入図に示されるとおり、位置合せ支持64(または支持62および64の両方)はクランプ締め機構72の鉛直位置を調整する能力を有する。したがって、位置合せ部材60は傾斜角を変えられるため、ねじれの一方側の2つの位置合せ装置30を係合することによって翼桁の一方の真直ぐな部分に沿って並べることができ、翼桁のその部分に作業動作を形成することができる。次いで、作業動作がねじれの反対側の翼桁の他方部分において行なわれるとき、翼桁Sが脈動されて翼桁のその部分を支持62、64の間の作業範囲にもたらし、位置合せ部材60の傾斜角が必要に応じて調整されて1対の位置合せ装置30を翼桁のその部分に係合することができる。
【0029】
図10は図7−9と類似の生産システムを示すが、Oフレーム機械90は、機械の基部94に設置された自動ドリル交換器110をさらに含む。図11および図12は、自動ドリル交換器を有するOフレーム機械をより詳細に示す。この実施例のドリル交換器110は交換アーム機構114と相互作用する回転ラック112を含むことにより、ドリル102からドリル器具116を受入れ、その器具を回転ラック112に置き、次いで回転ラックから新たなドリル器具を取出してそれをドリルによる受取りのために位置決めする。「ワインラック」型配置またはその他のものなど、他の種類の器具交換機構が用いられてもよい。図10はまた、機械90に接続された、生産システムのためのコントローラ118を示す。コントローラ118は機械90に液圧力を供給し、また機械のさまざまな装置からコントローラに送られるフィードバック信号の助けによって機械の機能を制御する。たとえば、コントローラは機械のX方向の位置決めを制御するために、機械の符号器ストリップ読取器98および駆動配置99と通信する。コントローラはまた、位置合せアーム66、68に組込まれたセンサ読取器(図10には示されないが、図3Aおよび図3Bの読取器50を参照されたい)に接続されることにより、コントローラは読取器に読取られた識別子を受取って機械が現在位置決めされている翼桁Sの区域を定めることができる。コントローラ118は急速分離コネクタによって機械およびその他の構成要素に接続されることにより、必要であればコントローラを別のコントローラに即座に交換できることが好ましい。
【0030】
加えて、コントローラ118はデータ保存構成要素(図示せず)を含むか、または遠隔場所のそうした保存構成要素につながれてもよく、その中に翼桁のすべての区域に対するプロセス情報が保存され得る。加工物の各区域に対するプロセス情報の各組は、その区域
に近接して置かれる位置合せ装置30に対応する識別子に対応付けられる。したがって、コントローラ118が所与の加工物区域において位置合せ装置30に係合する読取器からの識別子を受取るとき、コントローラは識別子に基づいてその区域に属するプロセス情報の組を取出す。次いでこのプロセス情報が機械90を制御するためのコントローラによって用いられることにより、機械は加工物に作業動作を行なうことができる。たとえば、プロセス情報は加工物にドリル加工される穴の場所および直径、穴に挿入される留具の場所および大きさ、およびその他のプロセス情報を含んでもよい。
【0031】
図13は図7−10と類似の生産システムを示すが、Oフレーム機械90は回転能力を有し、ワインラック型ドリル交換器110を有する。機械90はY軸に平行な軸に関して回転可能である。加えてこの機械は、基部94にサーボ液圧シリンダなどの持上アクチュエータ120を与えることによってX軸に平行な軸に関して回転可能である。基部の一方側を反対側に対して上げ下げすることにより、機械を水平軸に関して回転させる。この機械の2軸回転能力によって、機械はドリル加工の方向を加工物面に対して実質的に垂直に保ちながら複雑な輪郭の厚板Pなどをドリル加工および留めることができる。
【0032】
この発明の別の局面に従い、図14Aから14Iを参照すると、位置合せ部材を参照して位置決めされた機械モジュールは、リベットを据込み加工するために力強く打込む従来のリベッタとは対照的に、一定の液圧の印加を用いてリベットを加工物中の穴に圧入してリベットを据込み加工する液圧リベット機130を含んでもよい。リベット機130は、ともにリベット締めされる加工物部品の前側を係合する圧力フット132と、部品の後側を係合するバックアップクランプフット134とを含む。圧力フット132およびクランプフット134は図1に示されるように加工物部品の対向側に機械(たとえば図13の機械90)のポジショナによって位置決めされ、好適な油圧アクチュエータ(図示せず)によって動作されて図14Bに示されるように間に部品をクランプ締めする。圧力フットおよびクランプフットに連結された位置センサ(図示せず)が用いられてクランプ締めされた部品の積重ね厚さGが測定される。測定された積重ね厚さGを示す信号は、図14Cに示されるリベット切断装置140に送られる。リベット切断機140には連続的なリベットワイヤWが供給され、それは機械のコントローラによって位置決めされる移動可能なストップ144に対する供給機構142によって与えられることにより、図14Eに示されるようにワイヤWの予め定められた長さLがストップ144からカッタ146が位置決めされた切断場所に延びる。長さLは、測定された積重ね厚さGと予め定められた関係を有することにより、長さLはリベットワイヤが据込み加工されて加工物部品をともに接合するリベットを形成するときにリベットの適切なグリップ長さを提供するために十分な量だけ厚さGよりも長い。リベット切断機のコントローラは積重ね厚さGをリベット長さLに対応付ける保存されたテーブルから長さLを定めることができるか、または好適なアルゴリズムに基づいて長さLを算出できる。カッタ146は、図14Fに示されるとおり、リベットワイヤを切断して長さLのワイヤを与えるよう動作される。
【0033】
リベット切断装置130が図14C、14Eおよび14Fに示される動作を行なうのと同時に、機械のドリル加工装置(たとえば図13のドリル102)はドリルビット148を圧力およびクランプフット132、134とそろえて位置決めするために動かされ、図14Dに示されるように加工物部品に穴をドリル加工するよう動作される。
【0034】
リベットワイヤWが図14Fのように切断されると、移動可能ストップ144は切断されたリベットRをよけて引込められ、リベットは図14Gに示されるようにコンジットまたはホース150を通って空気を動力とする供給ベンチュリ149などによって真空により吸引される。リベットRは加工物部品中の穴とそろえて位置決めされる液圧ラム160のノーズピース152に供給される。加工物部品の後側(すなわち尾部側)上の液圧ラム162は加工物部品の後側から予め定められた距離Pだけ間隔をおかれた位置に動かされ
、前側(すなわち頭部側)液圧ラム160のラム164はリベットRを穴の中に尾部側ラム162に対して圧するよう動作されることにより、図14Hに示されるようにリベットを据込み加工する。両方のラム162、164がここに示されるような取替可能なスナップ式のダイを有することが好ましい。図14Iに示されるとおり、圧力およびクランプフット132、134は次いで加工物部品からクランプを外され、ラム162、164は次のドリル加工およびリベット締め動作に備えるために引込められる。
【0035】
液圧リベットプレスの代替品として、空気圧または電磁リベッタなどの他の種類のリベッタが用いられてもよい。この発明に従った有利なリベット切断および供給システムを用いられる特定のリベッタに適合させることができる。
【0036】
この発明の好ましい実施例の1つにおいては、複数のリベット切断機140の各々に他の機械とは異なる直径のリベットワイヤWが供給される。システムのデータ保存構成要素に保存されるプロセス情報に基づいて生産システムコントローラによって加工物中の所与の穴に対する適当なリベット直径が定められ、次いでコントローラは対応するリベット切断機を選択して適当な長さのリベットを切断し、それを液圧ラム160に送ることができる。すべてのリベット切断機がそれら自身の柔軟なホースによって液圧ラム160に接続されることにより、それらのいずれかがラム160にリベットを送ることができる。
【0037】
図14C、14E、14Fおよび14Gに例示されるステップは、図14Dのドリル加工周期が完了する前に行われることが好ましい。すなわち、この発明のリベットシステムにおいては並列加工が用いられる。
【0038】
図15に、下にある翼桁に対して上側翼パネルをクランプ締めおよび留めるためのこの発明に従った生産システムの代替的な実施例を示す。図15の生産システムは、脈動流または連続流プロセスのいずれにも好適である。連続流プロセスに適応するために、位置合せ支持システムは前述のものに対して変更される。すなわち、位置合せ支持システムはシザーズテーブル174などの回転または摺動するゼロバランス装置上で床に沿って進み得る1対の位置合せ支持170、172を含む。代替的には、位置合せ支持システムはオーバーヘッドバランスシステム(図示せず)によってゼロバランスにされてもよい。ゼロバランス装置は支持システムに支持される位置合せ部材60を操作して前述のように加工物に設置された1対の位置合せ装置30に係合できるようにし、次いで位置合せ支持システムが加工物をクランプ締めしてその位置を固定する。より特定的には、位置合せ支持システムは位置合せ支持170、172の各々に設置される液圧クランプ機構176を含む。各クランプ機構176は下側および上側翼パネルWPを係合してそれらをウイングボックス構造の内部翼桁Sに対してクランプ締めする対向するクランプアップパッド178を含む。位置合せ支持170、172はまた、トラック180を含むトラックドリル加工機を支持し、そのトラックに沿ってドリルおよび留モジュール182がX方向に前後に横断できる。ドリルおよび留モジュール182はドリル184およびボルト挿入装置186を含む。トラックドリル加工機はまた自動ドリル交換器188を含む。ドリルおよび留モジュール182は、他の実施例に対して前述したとおりの位置合せ部材60を駆動的に係合する好適な駆動配置190によって、トラック180に沿ってX方向に前後に駆動される。
【0039】
クランプ機構176は十分なクランプ力(たとえば800から1000ポンド)を与えることにより、翼アセンブリのクランプ締めされた部品の間のドリル加工動作による切断片の蓄積を防ぐ。したがって、こうした小片を取り除くための分解およびデバリングのプロセスをなくすことができる。ドリルおよび留モジュール182は、クランプ締め機構176が高いクランプ力を維持する間に前後に往復して複数の場所で穴をドリル加工しボルトを挿入してもよい。
【0040】
図16は、2つの厚板P1、P2をともに継ぐための、この発明に従った生産システムのさらに別の実施例を示す。このシステムは図15と同様であるが、位置合せ支持システムはオーバーヘッドゼロバランス配置200から吊り下げられる1対のクランプ機構176′を用いるオーバーヘッドゼロバランスシステムを含むことにより、トラックドリル加工機180を操作して加工物に設置された1対の位置合せ装置30を係合できるようにする。クランプ機構176′は次いで継がれる厚板P1、P2をボルトによってともにクランプ締めし、ドリルおよび留モジュール182は位置合せ部材60に沿って前後に往復して、一般的に図15に対して前述したとおりに穴をドリル加工してボルトを挿入する。
【0041】
図17はこの発明に従った別の変形を例示する。連続流プロセスに対する材料取扱システム40は、翼桁Sをプロセス流経路に沿って(すなわちX方向に)輸送する。位置合せ部材60をクランプ締めするための複数のクランプ装置210が材料取扱システムの加工物係合部材212に設置される。よって、クランプ装置210に含まれる位置合せ支持システムは材料取扱システムとともに進む。クランプ装置210は加工物係合部材212上をY方向に摺動可能であることにより、位置合せ部材60がY方向に前後に移動できるようにする。位置合せ部材60はまたクランプ装置210がクランプを外されているときにはX方向に前後に移動可能である。よって位置合せ部材60を操作して位置合せ部材の位置合せアーム66、68を翼桁に設置される1対の位置合せ装置30と係合させることができる。位置合せアーム66、68のクランプ締め装置70は次いで位置合せ装置30をクランプ締めし、位置合せ支持システムのクランプ装置210は位置合せ部材60をクランプ締めすることにより、位置合せ部材を加工物に対して固定する。一旦位置合せ部材がこのように固定されると、機械モジュールは位置合せ部材と係合されて、ドリル、留具挿入装置、またはその他の装置を加工物に対して位置決めするためにそれに沿って前後に駆動され得る。位置合せ部材に沿った機械モジュールの動きによって生じる力は、前述の実施例のように床を通じてではなく、材料取扱システム40を通じて反応される。このシステムにおいて、同じ位置合せ部材60が翼桁Sとともに乗ってもよいが、クランプ装置70、210のクランプを外し、位置合せ部材を位置合せ装置30の異なる組との係合に再位置決めし、次いでクランプ装置70、210を再活性化することによって、翼桁に沿った異なる場所で位置決めされてもよい。
【0042】
図18はこの発明に従ったさらなる変形を例示する。厚板Pはプロセス流経路に沿ってX方向に厚板Pを輸送する材料取扱システム40によって支持される。位置合せ支持システムは、床に沿って回転するシザーズカートまたはばね荷重カートなどの回転するゼロバランスカート220の形で与えられる。カート220は位置合せ部材60を支持し、また一般的に参照番号222で示される重い機械、器具および/または部品を支持する。位置合せ部材60は厚板Pに設置される1対の位置合せ装置30を係合およびクランプ締めする。例示される実施例において、位置合せ装置を係合するための機構は、一方の位置合せ装置30を係合して位置合せ部材60のX方向の位置を固定するために位置合せ部材60に形成される精密V溝224と、他方の位置合せ装置30を係合して位置合せ部材のY場所をその点で固定する位置合せ部材60の平らな部分とを含む。すなわちV溝および平らな部分がともに、加工物に対する位置合せ部材の位置および向き(すなわち刻時)を固定する。カート220は品物222が十分な量だけ持上げられまたは下げられ得るようにすることで、位置合せ装置30を係合するために位置合せ部材60を操作する。品物222は品物の実際の重量よりも実質的に少ない力で持上げられ得る。たとえば、ビシャモン(Bishamon)シザーズカートは、800ポンドの荷重を20ポンドという少ない力で数インチ持上げるかまたは下げさせることができる。一旦位置合せ部材60がこのように厚板Pに対して位置合せされると、機械またはその他の品物222は厚板Pにしっかりとクランプ締めされる。材料取扱システム40によって厚板がプロセス流経路に沿って運ばれる際に、品物222を支持するカートは厚板とともに運ばれ、カートは床に沿って「浮動」する。好ましくは、材料取扱システム40はカートを引張るために厚板Pを用いる
のではなく、カート220を直接引張るように設計される。たとえば、V溝224に係合される位置合せ装置30が材料取扱システム40に直接結合されてもよく、それによってXおよびY方向の荷重が材料取扱システム40から位置合せ装置30を通じて位置合せ部材60に反応される。
【0043】
図19はこの発明に従った別の生産システムを示す。このシステムは翼桁Sを支持しそれをプロセス流経路に沿って輸送する材料取扱システム40を有する連続流プロセスを用いる。プロセス流経路に並んで床には摺動基部230が配される。機械またはロボット232が基部230上に支持され、好ましくは基部230上に移動可能に支持されることによって、機械は1つまたはそれ以上の軸に関して移動および/または回転して機械の作業エンドエフェクタ234を位置決めできる。この機械は翼桁Sに設置された位置合せ装置(図19においては見えないが、前述の実施例において示した位置合せ装置30と類似のもの)を係合する位置合せ部材60′を含む。一旦位置合せ装置と位置合せ部材60′との係合が達成されると、基部230は好適な駆動配置(図示せず)によって駆動されて翼桁に沿って進み、機械232は翼桁に作業動作を行なうことができる。基部230がプロセス流方向におけるその進行範囲の端部に達するとき、近接スイッチ(図示せず)または類似のものが位置合せ部材60′に加工物の位置合せ装置を分離させ、機械に翼桁を分離させ、基部駆動配置に基部230をその開始位置に戻らせることによって、機械は翼桁の新たな区域において作業を開始するために翼桁を再係合できる。
【0044】
図20は図19といくつかの点において類似するさらなる実施例を示す。翼桁ウェブに対するブランクBがI梁の形の位置合せ部材60に支持され、それは順に材料取扱システム40に支持される。ブランクに係合してそのX、YおよびZ方向における場所を固定するための位置合せ部材60に設置される好適な固定具236を用いることなどにより、位置合せ部材60に対するブランクBの場所は知られている。位置合せ部材60の長さに沿って符号器ストリップ80が設置される。ブランクBが輸送されるプロセス流方向に平行に走る摺動レールシステム242にフライス盤機械240が設置される。ブランクおよび位置合せ部材がプロセス流経路に沿って移動する際に、機械240上の読取器244が符号器ストリップ80を読取る。ブランクが機械240に対する予め定められたX場所に位置決めされるようになると、機械は位置合せ部材60をクランプ締めし、次いでブランクとともに運ばれる。機械はフライス削りヘッド246を有し、それは好ましくはブランクに対してX、YおよびZ方向に移動可能であることにより、機械はブランクの区域をフライス削りできる。機械240がX方向におけるその進行範囲の端部に達するとき、近接スイッチ(図示せず)または類似のものが機械にブランクを分離させ、位置合せ部材60からクランプを外させ、機械はその開始場所に戻されることにより、ブランクの新たな区域をフライス削りするためにブランクを再係合する。
【0045】
図21は翼桁ウェブSW上の弦の自動化された場所決めに対する、この発明のさらなる実施例を示す。このシステムは図15といくつかの点において類似であり、すなわち位置合せ支持システムは床に沿って進むシザーズカートまたはばね荷重カートなどのゼロバランステーブルまたはカート174上に支持される支持170、172を用いる。弦場所決め器具250は位置合せ部材60に沿った移動のためにそれに係合し、位置合せ部材上の符号器ストリップ80を読取るための読取器98を含む。位置合せ部材60は、位置合せ部材60に対して固定され、かつ翼桁ウェブに設置される2つの位置合せ装置30のうちの第1のものに係合する固定位置合せ252を含む。位置合せ部材60に沿って横断可能な自由位置合せ254は第2の位置合せ装置30に係合し、符号器ストリップ80を読取るための読取器98を含む。各位置合せ252、254は各位置合せ装置30のセンサに保存される識別子を読取るための読取器(図示せず)を含むことにより、コントローラ118は弦場所決め器具250が配される翼桁ウェブの区域を識別できる。コントローラ118は次いで翼桁ウェブのその区域に対する弦場所に関する情報を取出すことができる。
一旦このデータが取出されると、封止された弦が翼桁ウェブに関して位置決めされ得る。弦場所決め器具250は位置合せ部材60に沿って前後に往復し、符号器ストリップ80に関して位置決めされることにより、各弦を翼桁ウェブに沿った適切な場所に場所決めする。
【0046】
一旦弦が位置決めされると、次いで簡単な方法を用いて永久鋲留具を取付けることによって弦を翼桁ウェブに留める。この方法に従うと、予めドリル加工された案内穴256が翼桁ウェブにドリル加工されて鋲の場所をマーク付けする。案内穴256はウェブ製作の際に翼桁ウェブにドリル加工されても、または図23に関連して後述するものなどの可搬式ドリル加工機器によってドリル加工されてもよい。次いで、液圧アクチュエータ262を介してかなりの量のクランプ力(たとえば約1000ポンド)を与える小さなCフレーム260が用いられて、場所決めされた弦を翼桁ウェブにクランプ締めし、Cフレーム260に設置されたドリル加工装置264が用いられて、案内穴をガイドとして用いて弦をウェブに留めるボルトのための穴をドリル加工する。ドリル加工装置264は、たとえばステップドリルとともに用いられる柔軟かつ除去可能な電力供給モータであってもよい。モータは同心コレットシステムなどのあらゆる好適な配置によって除去可能であってもよく、それによって穴を広げることができ、穴は必要であれば冷間加工されてもよく、次いでボルトを穴に挿入でき、その間中弦のウェブへのクランプはCフレームによって維持される。
【0047】
図22は、製造中の加工物の成長をモニタおよび記録するための、この発明に従ったプロセスおよびシステムを例示する。さまざまな理由から、航空機構造に用いられる翼桁または厚板などの伸ばされた加工物は製造中に長くなることがある。これらの加工物のいくつかはかなりの長さであるため、加工物の全体の成長がかなり大きくなることがあり、それは明らかに穴および補剛材、弦などの他の品物の設置に影響する。この発明に従うと、製造プロセスの間にこの成長がモニタされて考慮される。この目的のために、生産システムはX方向に沿って間隔をおかれた場所において加工物Sに設置された複数の位置合せ装置30を用いる。位置合せ装置30は、加工物が、加工物のあらゆる顕著な延長をもたらし得るあらゆる態様で作業される前に取付けられる。したがって、位置合せ装置の公称X場所は知られている。「公称(nominal)X場所」とは、加工物があらゆる成長をもたらす作業プロセスを受ける前の位置合せ装置のX場所を意味する。図22において、位置合せ装置30の実際のX場所はX1、X2、…、X17と表される。加工物の成長のため、実際のX場所は公称X場所とは異なってくる。
【0048】
実際のX場所は、前述のものと一般的に類似の位置合せシステムを用いて定められる。より特定的には、位置合せ装置30の隣接する対が位置合せ部材60に設置された1対の位置合せ252、254によって係合される。位置合せ252は好ましくは位置合せ部材の固定された位置に設置された固定位置合せであり、位置合せ252によって係合された位置合せ部材30のセンサに保存される識別子を読取るための読取器(図3Aおよび3Bの参照番号50)を含む。位置合せ254は位置合せ部材60に沿って前後に横断できる自由位置合せであり、位置合せ部材上の符号器ストリップ80を読取るための読取器98を含むことによって、読取器98と通信するコントローラ118はX方向における自由位置合せ254の正確な場所を定めることができる。したがって、固定位置合せ252が場所X1において位置合せ装置30を係合し、自由位置合せ254が場所X2において位置合せ装置30を係合するとき、コントローラはこれら2つの位置合せ装置間のX位置の実際の差を定めることができ、その差から位置合せ装置間のX位置の公称差を差引く。その結果得られる数が位置X1およびX2の間の加工物の成長であり、それをここではX2″と表す。このプロセスを場所X2およびX3の間、X3およびX4の間、X4およびX5の間という風に、場所X16およびX17まで繰返す。この手順によって、位置合せ装置の各隣接対の間の一連の成長値X2″、X3″、…、X17″が得られる。位置合せ装置
30の実際のX場所は以下のとおり算出される。
【0049】
X2=X2nominal+X2″
X3=X3nominal+X2″+X3″
X4=X4nominal+X2″+X3″+X4″
・
・
・
【0050】
X17=X17nominal+X2″+X3″+...+X17″
好ましくは、熱伸長効果を考慮に入れるために、翼桁の成長を測定するためのアルゴリズムには温度補償が含まれるべきである。熱伸長を考慮に入れるための方法は当該技術分野において公知であるため、ここには説明しない。
【0051】
この発明の位置合せシステムを用いて翼桁の成長を測定するための代替的な方法が用いられてもよい。たとえば、固定および自由位置合せ252、254が非隣接位置合せ装置30を係合してこれらの位置合せ装置間の成長を測定し、この非隣接位置合せ装置の間のあらゆる中間位置合せ装置に対する成長が補間によって定められてもよい。この方法は前述のものほど正確ではないが、自由および固定位置合せ間のより大きな間隔を与えることにより、成長を同時にモニタしながら機械モジュール(たとえば図7などにおけるOフレーム機械90)がこれらの位置合せの間の位置合せ部材60を係合して加工物に作業動作を行なうことができるという利点を有し得る。
【0052】
図23は、加工物に有限アセンブリ(DA)穴などの穴をドリル加工するための、この発明のさらに別の実施例を示す。加工物SWの知られた場所に複数の位置合せ装置30が設置される。2軸ポジショナフレーム270の形の位置合せ支持システムは、床に沿ってX方向に回転または摺動する鉛直に浮動するかまたは弾性的に懸垂される基部272によって床の上に支持される。もちろん代替的には、位置合せ支持システムは好適な鉛直に浮動する機構によって頭上から懸垂されてもよい。フレーム270は他の実施例に対して前述したあらゆる態様で加工物上の1対の位置合せ装置30を係合し、それによって加工物に対するフレーム270の位置および向きを固定する。ここに示されるとおり、一般的にXおよびY方向に対して平行な2軸の各々に沿った移動のために、ドリルヘッド274がフレームに設置される。コントローラ276は、位置合せ装置から識別子を読取るために位置合せ装置30を係合するフレームの部分に組込まれる読取器(図示しないが、図3Aおよび3Bの読取器50を参照)に接続される。コントローラ276は識別子に対応する加工物区域に関する作業プロセス情報(たとえば数値制御プログラムなど)の適切な組を取出し、ドリルヘッド276の位置決めおよび動作を制御してこのプロセス情報によって指示されるとおりに穴をドリル加工する。
【0053】
図24は図23と実質的に類似のこの発明の別の実施例を示すが、フレーム270はドリルヘッドを支持する代わりに、コントローラ276によって取出されたプロセス情報に従って加工物にマーク付けを施すために動作可能なマーク付け装置280を支持する。マーク付け装置はたとえば、インクジェットヘッドまたはインクペン装置を含んでもよい。マーク付け装置を用いて、視覚システム場所および自動機器の操作、動作を行なう際の作業者によるマーク付けの使用、品質検査の目的に対するマーク付けの使用などを含むがこれに制限されないさまざまな目的に対して、加工物に正確なインクマークを施すことができる。
【0054】
図25は、加工物に情報を投射するための、この発明に従ったシステムを示す。固定基部システムでない製造システムにおける問題の1つは、加工物が製造ラインを進む際に変
化し得る作業場所において作業者に製造青写真およびその他の情報を提供することである。この発明は、位置合せ装置30を係合して図3Aおよび3Bに対して説明したものなどの識別子を読取る読取器50と、読取器50およびプロジェクタ300につながれたコントローラまたはその他のコンピュータ290とを提供することによってこの問題に対処する。読取器によって読取られた識別子に基づいて、コンピュータ290は位置合せ装置30に隣接する加工物の区域に関する製造情報を取出すことができ、プロジェクタ300に加工物S上に視覚的な形のそうした情報を投射させることができる。プロジェクタによって投射される特徴の図形描写を加工物の公知の特徴に拡大して合わせるようにプロジェクタ300を位置決めすることが可能である。図26は図25のシステムの変形を示すものであり、ここでは製造情報を表示するためにCRTディスプレイなどのモニタ310が用いられる。他の種類の表示装置が用いられてもよく、また1つよりも多くの種類が一緒に用いられてもよい。
【0055】
この発明の属する技術分野の当業者には前述の説明および関連の図面において示される教示の利益を有するこの発明の多くの変更形およびその他の実施例が考えられるであろう。たとえば、この発明の例示および説明した実施例は、機械モジュールが加工物に対するその位置を定め得るようにするために位置合せ部材上の機械読取可能テープまたはストリップを用いたが、代替的にその他の位置決めシステムがこの目的のために用いられてもよい。こうした位置決めシステムの例はレーザポジショナを含むがこれに制限されない。したがって、この発明は開示される特定の実施例に制限されず、変更形およびその他の実施例は添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。ここでは特定の用語が用いられたが、それらは一般的かつ説明的な意味においてのみ用いられるものであって、制限する目的のものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明に従った、材料取扱システムによって支持され、位置合せ装置に嵌合された翼桁の斜視図である。
【図2】加工物の穴に取付けられた代表的な位置合せ装置を示す断面図である。
【図3】図3Aは、読取器と位置合せ装置との係合の前の位置合せ部材に連結される読取器を示す断面図である。図3Bは、読取器と位置合せ装置との係合を示す、図4Aと同様の図である。
【図4】位置合せ装置と嵌合される翼桁の斜視図であり、位置合せ支持システムによって支持される位置合せ棒が1対の位置合せ装置との係合に移動されるところを示す。
【図5】真直ぐな翼桁を例示する、位置合せ部材が位置合せ装置と係合された後の、図3の生産システムの斜視図である。
【図6】真直ぐでない翼桁を例示する、図5と同様の斜視図である。
【図7】位置合せ部材および加工物との係合に移動されるのに備えて開放位置にあるOフレーム機械モジュールを示す、図5と同様の斜視図である。
【図8】位置合せ部材と係合したOフレーム機械モジュールを示す図である。
【図9】脈動流製造プロセスにおいて材料取扱システムによって翼桁の移動が行われた後の、図8のシステムを示す図である。
【図10】図8と同様の生産システムを示す図であるが、Oフレーム機械モジュールが自動器具交換装置を含む。
【図11】器具交換装置を有するOフレームモジュールを分離して示す図である。
【図12】器具交換装置を分離して示す図である。
【図13】2つの異なる回転軸に関する回転に対して配置されたドリルおよび留具挿入装置を含む機械モジュールを有する生産システムを示す図である。
【図14A】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14B】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14C】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14D】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14E】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14F】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14G】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14H】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14I】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図15】翼上側パネルに対するクランプ締め、ドリル加工および留具適用のための、この発明の別の実施例に従った生産システムを示す図である。
【図16】2つの厚板をともに継ぐためにクランプ締め、ドリル加工およびボルト挿入を行なうための、この発明のさらなる実施例に従った生産システムを示す図である。
【図17】翼桁が支持された、この発明に従った連続流製造生産システムを示す図である。
【図18】この発明のさらに別の実施例に従った、浮動位置合せ支持システムを有する生産システムの概略的な拡大図である。
【図19】プロセス流経路に沿って前後に往復し、加工物を係合する位置合せシステムおよび機械を支持する基部を有する連続流生産システムを示す図である。
【図20】固定基部上で前後に往復する機械を有し、符号器ストリップを有する位置合せ部材が加工物に固定されてともに進み、機械が加工物とともに運ばれる位置合せ部材をクランプ締めする、別の生産システムを示す図である。
【図21】翼桁への弦の自動配置およびクランプ締めのための、翼桁ウェブに弦を留めるためのCフレームクランプ締めおよび留機構を用いる生産システムを示す図である。
【図22】加工物の成長を測定および記録するための生産システムおよび方法を例示する図である。
【図23】この発明の別の実施例に従った、加工物に穴をドリル加工するための生産システムを例示する図である。
【図24】加工物に正確なマーク付けを施すための生産システムを示す図である。
【図25】この発明に従った、加工物に情報を投射するためのシステムを示す図である。
【図26】この発明に従った、加工物に関する情報を表示するためのシステムを示す図である。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は、航空機の翼桁、厚板、翼部分、胴体部分などの大型構造、およびその他の大型構造を製造するための生産システムに関する。より特定的には、この発明は、連続流または脈動流プロセスを用い、加工物がそのプロセス流経路に沿って進む際に加工物に係合され、加工物に装備された位置合せ装置により加工物の割出しをする機械モジュールを用いる非固定基部型の生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
前述などの大型構造は伝統的に、ロボットドリル加工機およびリベット締め機などの大型の固定基部機械を用いて製造される。こうした機械を用いることのいくつかの周知の欠点の中には、機器を取得し取付けるための高い初期設備投資およびそれらが要求する大きく高価な基礎、複雑な機械の動かし方を作業者に訓練するため、また機械を維持および支持するために必要とされるかなりの量の時間および資産、ならびに機械の認証、認定およびメンテナンスの際に機械の生産的な使用ができないことがある。加えて、大型の固定基部機械は、最も主要な製造専門家に最も有効な製造方法であると考えられている連続流製造(CFM)に向いていない。さらに、航空機構造などの大型構造の製造は従来、床組立治具(FAJ)およびジェムコヘッダシステム(Gemcor header systems)など、モデルに特定の工具を必要とした。こうしたモデルに特定の工具は、新たな航空機を開発するコスト全体のかなりの部分(たとえば約3分の1)になる。
【0003】
前述のものなどの不利益のため、これらの不利益の1つまたはそれ以上を避ける代替的な製造方法が望ましい。好ましくはその方法はCFMプロセスを支持できるべきであり、別の代替機が生産を続ける間の機械のオフラインでのメンテナンスおよび認定を容易にすべきであり、したがって非固定基部機械を用いるシステムが求められる。これらの目的は望ましいにも拘らず、それらはさまざまな理由から達成が困難であり、その少なからぬ理由の1つに非固定基部機械を加工物に対して正確に位置決めすることの困難さがある。加工物に対して機械を位置決めするためにレーザポジショナなどのシステムを用いることができるが、こうしたシステムは高度に複雑であり、通常は製造される特定の加工物に対して特有の設定を必要とし、またしばしば照準線の問題によって制限される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
この発明は、CFMまたは脈動流製造プロセスにおいて加工物とともに進むことのできる位置合せシステムを介して加工物と整合する非固定基部機械を用いる生産システムを提供することによって、上述の要求に対処し、その他の利益を達成するものであり、位置合せシステムは加工物に除去可能に設置された位置合せ装置に物理的に位置合せすることによって、加工物に対して機械を正確に置く。この発明の1つの局面に従うと、加工物を製造するための生産システムは、加工物に沿った知られる長手方向に間隔を置かれた場所において加工物に除去可能に設置される複数の位置合せ装置を含む位置合せシステムと、位置合せ装置の少なくとも2つと取外し可能に係合されることによって、位置合せ装置によって加工物に対して位置合せ部材の位置および向きが固定される、長手方向に延在する位置合せ部材とを含み、位置合せ部材に沿って位置を示す特徴が配される。この生産システムは、位置合せ部材に沿った長手方向の移動のために設置され、動作を行なうために動作可能な機械モジュールをさらに含み、機械モジュールは位置合せ部材上の位置を示す特徴
を検出するために動作可能であることによって、加工物に対する機械モジュールの位置を定める。
【0005】
位置合せ部材は、伸長した精密に製造された梁または棒であってもよい。位置合せ部材に沿った位置を示す特徴はさまざまな態様で設けられてもよく、位置合せ部材に沿って付けられた機械読取可能なテープまたはストリップを含むが、それに制限されない。ストリップは、位置を示す情報によって光学的または磁気的に符号化されてもよい。この場合の機械モジュールは、符号化されたストリップを読取ることによって加工物に対する機械モジュールの位置を定めるために動作可能な読取器を含む。
【0006】
位置決め部材は、加工物に設置される位置合せ装置を係合することによって、加工物に対して公知の態様で置かれて向き付けされる。この発明の好ましい実施例における位置合せ装置は、加工物の知られた場所に形成される穴の中に除去可能に設置されるピンなどを含む。好ましくは、各位置合せ装置はその上に設置されるかまたは中に埋込まれたセンサを有し、センサはその位置合せ装置に一意の識別子を機械読取可能な形で保存する。したがって、加工物に設置されたさまざまな位置合せ装置はすべて異なる識別子を有し、これらの識別子は異なるプロセス要求を有する加工物の異なる区域に対応できる。たとえば、生産システムのコントローラは、加工物の各区域に対するプロセス情報をその区域に対する識別子に対応させて保存でき、位置合せシステムは、その区域に近接する位置合せ装置と相互作用してセンサに保存される識別子を読取る読取器を含み得る。次いでコントローラは読取器から識別子を受取って、特定の加工物区域に対するプロセス情報を取出すことができる。プロセス情報はたとえば、加工物にドリル加工される穴の場所および直径、加工物にクランプ締めおよび留められる付加的な部品の場所、加工物に施されるマーク付けおよびそうしたマーク付けの場所、ならびに/またはその他の情報を含んでもよい。
【0007】
位置合せ装置は、予め定められた場所において加工物にドリル加工された穴に取付けられる位置合せピンを含むことが好ましい。位置合せピンは、加工物の穴に取付けられるときに加工物の対向側から延びる2つの取外し可能に係合可能な部分を含むことが好ましい。位置合せピンのいずれかまたは両方の部分にはセンサが取付けられてもよい。たとえば、加工物の両側が加工される必要があるときには、両方の部分にセンサを有する位置合せピンを用いることが有利である。それによって2つのセンサは加工物の各側に隣接して位置決めされた機械モジュールに別個の情報を運ぶことができる。
【0008】
位置合せ部材に係合される機械モジュールはさまざまな種類のものであってもよく、連結されるクランプ締め機構を有するもしくは有さない、またドリル加工装置のドリル加工具を交換するための自動ドリル交換装置を有するもしくは有さないドリル加工装置、加工物にマーク付けを施すためのマーク付け装置、加工物に形成される穴にボルトもしくはリベットなどの留具を挿入するための留具挿入装置、加工物を探査するための装置、および/またはその他の装置を含む。
【0009】
この発明のいくつかの実施例において、機械モジュールまたはそのフレームは、機械モジュールを位置合せ部材に沿って移動させるための、位置合せ部材を駆動的に係合する駆動装置を有する。制限的でない例として、位置合せ部材は精密ラックなどのギア素子を有してもよく、機械モジュールは位置合せ部材のギア素子を駆動的に係合して符号器などを有するステッパモータなどの好適なドライブモータによって駆動される小歯車ドライブなどの駆動ギア配置を有してもよい。代替的には、機械モジュールはそれが進む床から外れてもよい。
【0010】
前述のとおり、機械モジュールは接合される加工物の部品をともにクランプ締めするためのクランプ締め配置を含んでもよい。こうした場合、クランプ締め配置は、間に部品を
クランプ締めする対向して相対的に移動可能なクランプ締め部材を有するフレームを含んでもよい。たとえば、クランプ締め配置はOフレームを含んでもよく、その一方の脚にはそれに沿って機械モジュールを駆動するために位置合せ部材を駆動的に係合するための駆動装置が設置される。クランプ締め配置は、生産システムが収容される建物の床の上に支持される基部に設置されてもよく、基部は弾性懸垂を有することによって、基部が鉛直に浮かぶ態様で床に支持されてもよい。したがって、一旦クランプ締め配置が加工物をクランプ締めすると、それは加工物がCFMプロセスなどのプロセス流経路に沿って進む際に加工物とともに運ばれてもよい。
【0011】
好ましい実施例の1つにおいて、Oフレームは閉鎖位置と開放位置との間で移動可能な部分を含んでもよい。移動可能フレーム部分の閉鎖位置においては、移動可能フレーム部分および残りのフレームは加工物を囲む。移動可能フレーム部分の開放位置においては、加工物が通過できるフレームの開口が定められる。よって、加工物を係合または分離するために加工物の一方または他方端に移動させる必要のあった先行Oフレーム機械に対し、このフレームはそれに沿ったあらゆる位置において加工物と分離または係合され得る。フレームの移動可能部分は、通常鉛直な位置と通常水平な位置との間を移動可能なドロップタワーを含んでもよい。
【0012】
この発明の別の局面に従うと、位置合せシステムは位置合せ部材を支持するための位置合せ支持システムを含み、この位置合せ支持システムは加工物中に取付けられた位置合せ装置を係合する前に位置合せ部材と加工物との間の相対的な移動を可能にするように動作可能であり、位置合せ支持システムは位置合せシステムが位置合せ装置を係合した後にロックすることによって位置合せ部材を加工物に対して動かなくするように動作可能である。生産システムはまた、加工物を保持し、加工物をプロセス流経路に沿って輸送するように動作可能な材料取扱システムを含んでもよい。実施例のいくつかにおいて、位置合せ支持システムは材料取扱システムの上に、またはそれによって支持される。位置合せ支持システムは、その対向側から加工物にクランプ力を加えるように動作可能な1対のクランプアセンブリを含んでもよい。
【0013】
他の実施例において、位置合せ支持システムは、位置合せ部材および機械モジュールを床の上に支持することによって、位置合せ支持システムのロックの前に、位置合せ部材および機械モジュールの重さよりも実質的に少ない力の印加によって位置合せ部材および機械モジュールを上下に鉛直に移動可能にするための少なくとも1つのゼロバランス支持装置を含む。ロックされた後の位置合せ支持システムは、材料取扱システムによって引張られることにより加工物とともにプロセス流経路に沿って進んでもよい。
【0014】
この発明のさらに別の局面において、位置合せ部材は第1の位置合せ装置を係合し、機械モジュールは第1の位置合せ装置から長手方向に間隔を置かれた第2の位置合せ装置を係合し、生産システムは機械モジュールと通信するコントローラをさらに含む。機械モジュールは機械モジュールの長手方向の位置を示す信号をコントローラに送り、コントローラは機械モジュールが第2の位置合せ装置と係合したときに機械モジュールからの信号に基づいて第1および第2の位置合せ装置の間の加工物の長手方向の成長を定めるために動作可能である。位置合せ装置の連続する対の間の成長を順に測定することにより、累積成長を測定できる。加工物の成長は、加工物に行なわれた前の作業動作によって、熱伸長またはその他の要因の結果としてもたらされ得る。生産システムは、製造プロセスの際の加工物の測定される成長を考慮に入れることが好ましい。
【0015】
この発明の範囲にはまた、加工物の穴にリベットを取付けてリベットを据え込み加工するためのリベッタを用いる生産システムが含まれる。リベッタは液圧、空気圧、または電磁リベッタを含んでもよい。リベッタは、従来行なわれていたようにリベットを打ち込む
のではなく、一定の圧力の印加によって働く液圧リベットプレスであることが好ましい。液圧リベットプレスは従来のリベッタよりもかなり静かである。この発明の好ましい実施例において、リベッタにはリベットワイヤ切断装置において適切な長さに切断されたリベットワイヤが供給される。切断装置は、ともにリベット締めされる加工物の部品をともにクランプ締めするクランプ締め装置と通信するコントローラによって制御される。クランプ締め装置は接合される部品の積重ね厚さを測定するために動作可能であり、コントローラは測定された積重ね厚さに基づいてリベットワイヤを適切な長さに切断するために切断装置を制御する。切断されたリベットワイヤは次いでリベッタに供給される。生産システムは異なる直径のリベットワイヤが供給される2つまたはそれ以上の切断装置を含んでもよく、コントローラは加工物の特定の穴の場所に対して要求されるリベットの大きさに依存して適切な切断装置を選択する。
【0016】
この発明のさらなる局面に従うと、加工物の区域に近接して設置された位置合せ装置を係合する読取器と通信するコントローラによるアクセスのために、加工物のさまざまな区域に対するプロセス情報が保存されてもよい。読取器は位置合せ装置のセンサに保存される一意の識別子を読取ることができ、コントローラは識別子に対応するプロセス情報の組にアクセスできる。生産システムは、プロセス情報を作業者が用いるための視覚的な形に変換するための装置を含む。たとえば、その装置は作業者によるその後の使用のために加工物にマーク付けを施すマーク付け装置、加工物にしるしおよび/または図形を投射するプロジェクタ、またはCRT装置などのモニタであってもよい。この態様で、たとえ同じ生産ライン上で加工物の複数の構成が製造されていても、所与の加工物に関する製造プランを作業者が迅速かつ容易に入手できる。
【0017】
この発明の前述およびその他の目的、特徴および利点は、特定の好ましい実施例の以下の説明を添付の図面と組合せることによってより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の詳細な説明
この発明について、この発明の好ましい実施例が示された添付の図面を参照しながら以下により完全に説明する。しかし、この発明は多くの異なる形で実施されてもよく、ここに示される実施例に制限されると解釈されるべきではない。これらの実施例は、この開示を完全で完成したものにし、この発明の範囲を当業者に完全に示唆するために提供されるものである。類似の番号は全体を通じて類似の構成要素を示す。
【0019】
図1を参照すると、この発明のいくつかの実施例に従った位置合せ装置30に嵌められた翼桁Sが示される。翼桁Sは、矢印Aによって示されるプロセス流経路に沿って翼桁を輸送する材料取扱システム40によって支持される。生産システムは、翼桁Sがプロセス流経路に沿って連続的に移動する連続流製造プロセスを用いても、または作業プロセスを行なうために翼桁が交互に停止され、次いでプロセス流経路をさらに下って別の場所まで移動または「脈動」され、そこでさらなる作業プロセスを行なうために翼桁が再び停止される脈動流製造プロセスを用いてもよい。この発明に従うと、翼桁Sは最初に位置合せ装置30の取付けのために、翼桁の知られた場所に一連の穴32を予めドリル加工することによって準備される。穴32をドリル加工するために、あらゆる好適な正確なドリル加工機械が用いられてもよい。その後の製造動作のすべての位置合せが穴32に取付けられた位置合せ装置30を参照して行なわれるため、穴32の正しい設置は重要である。
【0020】
図2は、翼桁S中の穴32に取付けられた位置合せ装置30を示す。例示される好ましい実施例において、位置合せ装置30は翼桁の前側を係合する前部34と、翼桁の反対の後ろ側を係合する後部35とを有する急速分離ピンを含む。前部34は、翼桁の穴32を通る密な滑り嵌合によって嵌合して後部35のボアに受取られるシャフト36を含む。位
置合せ装置の後部のボアと同様に、シャフト36の末端にはねじ山が切られている。よって、後部35が前部34に対して回転されることによって、前および後部を互いに向けて引張り、翼桁を固くクランプ締めする。もちろん、例示されるピンはピンの多くの可能な構成または用い得る類似の構造の1つの例にすぎないことが理解されるであろう。
【0021】
各位置合せ装置の前部34にはセンサ38が設置または埋込まれており、位置合せ装置の後部35には別のセンサ38が設置または埋込まれている。代替的には、前および後部34、35の一方のみがセンサ38を有し、他方はセンサを有さなくてもよい。この配置は、加工物が一方側のみから加工されるときに用いられ得る。しかし、加工物が両側から加工されるときには、前および後部の両方にセンサ38を有する例示される位置合せ装置が有利である。さまざまな位置合せ装置30の前部34が1つずつ一様な外部構成を有することにより、後述のように各々が同じ位置合せ部材またはアームに係合され得る。同様に、後部35は一様な外部構成を有し、それは前部と同じであることが有利である。前および後部のいずれかまたは両方が、位置合せ装置を係合する装置に位置参照を与える基準面を定める外部構成を有する。好ましくは、各ハウジング部は少なくともXおよびY基準面を定め、XおよびYは一般的に加工物面Sの面における座標である。さらに好ましくは、位置合せ装置はまたZ方向(一般的には加工物面Sに対して垂直)における位置参照を与えるZ基準面を定める。したがって、装置が位置合せ装置を係合すると、その装置の位置がX、YおよびZで定められる。
【0022】
各位置合せ装置のセンサ38の中には一意の識別子が保存される。センサ38は機械読取可能であることにより、好適な機械読取器がセンサに保存される識別子を読取ることができる。好ましくは、センサ38は一意の識別子によってプログラムされる内部マイクロチップ(図示せず)を有する「スマートボタン」または類似の種類のセンサを含む。図3Aおよび3Bに示されるとおり、読取器50は位置合せ装置30の上に嵌合するよう構成されることにより、読取器中の接触子52がセンサ38と接触する。接触子52とセンサ38との間の電気マイクロボルテージ電位が、センサ38に保存される識別子を読取るための電源を提供する。したがって、翼桁S中のあらゆる所与の穴32が、穴に取付けられた位置合せ装置30の一意の識別子に基づいて読取器50によって識別され得る。この穴32を識別する能力の目的を以下に説明する。読取器によって物理的に係合されるスマートボタンの代替形として、位置合せ装置30は好適な読取器によって遠隔に読取られるセンサを用いてもよい。たとえば、センサは読取器によって受信される無線周波数信号を伝達してもよく、さらに別の態様で働く他のセンサおよび読取器システムが用いられてもよい。よってセンサおよび読取器システムの詳細はこの発明において特に重要ではない。重要なことは、加工物区域に関する情報が、加工物区域に近接して設置される位置合せ装置に取付けられたセンサによって機械モジュールまたはコントローラに運ばれ得ることである。
【0023】
さまざまな位置合せ装置30は、それらを色符号化すること、またはそれらを好適なしるしおよび/または図形によってマーク付けすることなどによって視覚的に識別可能にされることが好ましく、それによって作業者は翼桁のあらゆる所与の穴32にどの位置合せ装置30が取付けられるかを容易に識別できる。図4を参照して、一旦すべての位置合せ装置30が適切な穴に取付けられると、位置合せ部材60は1対の位置合せ装置30との係合に移動される。位置合せ部材60は、床摺動65上で翼桁Sに向かっておよびそこから離れて移動可能な1対の支持62および64を含む位置合せ支持システムによって支持されることにより、作業者は位置合せ部材60を容易に操作して位置合せ装置30を係合する位置にできる。支持62、64はまた、位置合せ部材60の内側および外側への移動(すなわち位置合せ部材の長手方向の移動)を可能にする。支持62、64は、図5に示されるように位置合せ部材に付けられた1対の位置合せアーム66、68が選択された位置合せ装置30をしっかりと係合するまで位置合せ部材60の操作を可能にするために最
初に柔軟である。位置合せアーム66、68は位置合せ装置30をしっかりとクランプ締めするクランプ締め装置70を含む。クランプ締め装置70はHSK型器具ホルダ機構であっても、または位置決め装置30をV溝中にクランプ締めするための急速解放クランプを有する精密V溝などの簡単なものであってもよい。一旦位置合せアームが位置合せ装置をクランプ締めすると、支持62、64はクランプ締め機構72を介して位置合せ部材60をクランプ締めまたは「ロック」し、床摺動65もまた正しい位置にロックされる。システムロックは空気圧、液圧または電気アクチュエータによってもたらされてもよい。よって位置合せ部材60は加工物に対する固定された位置および向きにロックされ、その位置および向きは位置合せアーム66、68によって係合される位置合せ装置30の場所によって指示される。これらの位置合せ装置30の場所は知られているため、加工物に対する位置合せ部材60の位置および向きは知られている。
【0024】
位置合せ部材60は、その長さに沿って配される位置を示す特徴を含む。より特定的には、例示される実施例において、位置合せ部材はそれに沿って縦方向に延在する位置符号化テープまたはストリップ80を含む。ストリップ80は光学的または磁気的に、またはあらゆるその他の態様で符号化されてもよい。位置合せ部材60は、高度の正確さで真直ぐであってスチールまたは複合材料などの好適な固い材料で形成された精密梁または棒を含んでもよい。位置合せ部材60は、他の機械モジュールに位置符号化ストリップ80を読取る能力を与えることによって加工物に対してその機械モジュールを位置決めするために用いられる。それによって機械モジュールは位置合せ部材60に沿ったその位置を定めることができる。
【0025】
図7から9は、位置合せ部材60を係合するための機械モジュールを有するこの発明の実施例の1つを示しており、床係合基部94に支持される鉛直のL形フレーム部材92によって形成されたフレームと、フレーム部材92の下側端に旋回可能に接続されるタワー96とを有するOフレーム機械90の形を取る。タワー96は、通常鉛直または閉鎖位置と通常水平または開放位置との間で移動可能である。図7に示されるようにタワー96が開放位置にあるとき、Oフレーム機械90を翼桁Sに向けて押すことによって、フレーム部材92の上側水平交差部材に設置されたOフレームポジショナ97が位置合せ部材60を係合するまでタワー96が翼桁の下を通過することができる。Oフレームポジショナ97は、位置合せ部材60上の符号化ストリップ80を読取るための読取器98と、位置合せ部材60を駆動的に係合してOフレーム機械90を位置合せ部材の長さに沿って前後に駆動するための駆動機構99とを含むことが好ましい。好ましい実施例において、位置合せ部材60は位置合せ部材の長さに沿って設置される精密ラック100を有し、Oフレーム上の駆動機構99はステッパモータなどの好適な駆動モータを有する小歯車駆動ギア配置を含む。もちろんOフレーム機械を位置合せ部材に沿って駆動するために他の種類の駆動配置が用いられてもよく、ラックおよび小歯車配置は配置の1つの可能な種類の単なる例である。一旦Oフレームが加工物に対して位置決めされると、ドロップタワー96は通常鉛直の閉鎖位置に上げられる。
【0026】
図8は、対向フレーム部材を係合する位置にタワー96が上げられロックされた後のOフレーム機械90を示す。Oフレーム機械の基部94は弾性またはばね懸垂を有することによって、Oフレーム機械の床に対するある程度の鉛直移動を可能にすることが好ましい。したがって、位置合せ部材60はOフレーム機械のX方向における位置決めを誘導するための誘導レールとして用いられ得る。すなわち、OフレームはY方向において位置合せ部材60に対して固定されたまま床に沿って「浮動」する。位置合せ支持62、64の間の可能な運動範囲内で、Oフレーム機械90が一方方向または反対方向(すなわち図8におけるX方向)に駆動されることにより、加工物に作業動作を行なうための加工物に対する適切な場所に機械を位置決めできる。Oフレーム機械90はたとえば、加工物に穴をドリル加工するためのドリル102、および留具(たとえばボルトまたはリベット)を穴に
挿入するための液圧プレスまたはラム104を支持できる。機械はフレーム部材92上のドリルおよび液圧ラムをY方向において位置決めするための好適なポジショナ(図示せず)を含む。
【0027】
図7−9に示されるシステムは脈動流システムを含む。図8はX方向に沿った翼桁Sの脈動または移動前のシステムを示す。翼桁が脈動されるとき、位置合せ支持62、64のクランプ締め機構72は位置合せ部材60からクランプを外され、床摺動65はロックを外されることにより、位置合せ部材60はX方向に沿って移動でき、翼桁は次いで脈動されて、図9に示されるとおり、X方向に沿った新たな位置において止められる。翼桁を脈動することにより、翼桁の新たな区域が位置合せ支持62、64の間に定められる作業範囲内にもたらされる。一旦翼桁が新たな場所で停止されると、位置合せ支持のクランプ締め機構72は再び位置合せ部材60にクランプ締めされ、床摺動65は再びロックされることにより、位置合せ部材60および位置合せ支持62、64はOフレーム機械の位置決めによってもたらされるあらゆる力に反応する。
【0028】
翼桁などの加工物が線形でないときにもこの発明のシステムを用い得るが、位置合せ支持システムは少しの変更を必要としてもよい。たとえば、図6は図5と同様の生産システムを示すが、翼桁Sは「ねじられる」ことにより、1つの実質的に真直ぐな部分が別の実質的に真直ぐな部分に角度をつけて接合される。このようにねじられた翼桁に適応するために、図6の挿入図に示されるとおり、位置合せ支持64(または支持62および64の両方)はクランプ締め機構72の鉛直位置を調整する能力を有する。したがって、位置合せ部材60は傾斜角を変えられるため、ねじれの一方側の2つの位置合せ装置30を係合することによって翼桁の一方の真直ぐな部分に沿って並べることができ、翼桁のその部分に作業動作を形成することができる。次いで、作業動作がねじれの反対側の翼桁の他方部分において行なわれるとき、翼桁Sが脈動されて翼桁のその部分を支持62、64の間の作業範囲にもたらし、位置合せ部材60の傾斜角が必要に応じて調整されて1対の位置合せ装置30を翼桁のその部分に係合することができる。
【0029】
図10は図7−9と類似の生産システムを示すが、Oフレーム機械90は、機械の基部94に設置された自動ドリル交換器110をさらに含む。図11および図12は、自動ドリル交換器を有するOフレーム機械をより詳細に示す。この実施例のドリル交換器110は交換アーム機構114と相互作用する回転ラック112を含むことにより、ドリル102からドリル器具116を受入れ、その器具を回転ラック112に置き、次いで回転ラックから新たなドリル器具を取出してそれをドリルによる受取りのために位置決めする。「ワインラック」型配置またはその他のものなど、他の種類の器具交換機構が用いられてもよい。図10はまた、機械90に接続された、生産システムのためのコントローラ118を示す。コントローラ118は機械90に液圧力を供給し、また機械のさまざまな装置からコントローラに送られるフィードバック信号の助けによって機械の機能を制御する。たとえば、コントローラは機械のX方向の位置決めを制御するために、機械の符号器ストリップ読取器98および駆動配置99と通信する。コントローラはまた、位置合せアーム66、68に組込まれたセンサ読取器(図10には示されないが、図3Aおよび図3Bの読取器50を参照されたい)に接続されることにより、コントローラは読取器に読取られた識別子を受取って機械が現在位置決めされている翼桁Sの区域を定めることができる。コントローラ118は急速分離コネクタによって機械およびその他の構成要素に接続されることにより、必要であればコントローラを別のコントローラに即座に交換できることが好ましい。
【0030】
加えて、コントローラ118はデータ保存構成要素(図示せず)を含むか、または遠隔場所のそうした保存構成要素につながれてもよく、その中に翼桁のすべての区域に対するプロセス情報が保存され得る。加工物の各区域に対するプロセス情報の各組は、その区域
に近接して置かれる位置合せ装置30に対応する識別子に対応付けられる。したがって、コントローラ118が所与の加工物区域において位置合せ装置30に係合する読取器からの識別子を受取るとき、コントローラは識別子に基づいてその区域に属するプロセス情報の組を取出す。次いでこのプロセス情報が機械90を制御するためのコントローラによって用いられることにより、機械は加工物に作業動作を行なうことができる。たとえば、プロセス情報は加工物にドリル加工される穴の場所および直径、穴に挿入される留具の場所および大きさ、およびその他のプロセス情報を含んでもよい。
【0031】
図13は図7−10と類似の生産システムを示すが、Oフレーム機械90は回転能力を有し、ワインラック型ドリル交換器110を有する。機械90はY軸に平行な軸に関して回転可能である。加えてこの機械は、基部94にサーボ液圧シリンダなどの持上アクチュエータ120を与えることによってX軸に平行な軸に関して回転可能である。基部の一方側を反対側に対して上げ下げすることにより、機械を水平軸に関して回転させる。この機械の2軸回転能力によって、機械はドリル加工の方向を加工物面に対して実質的に垂直に保ちながら複雑な輪郭の厚板Pなどをドリル加工および留めることができる。
【0032】
この発明の別の局面に従い、図14Aから14Iを参照すると、位置合せ部材を参照して位置決めされた機械モジュールは、リベットを据込み加工するために力強く打込む従来のリベッタとは対照的に、一定の液圧の印加を用いてリベットを加工物中の穴に圧入してリベットを据込み加工する液圧リベット機130を含んでもよい。リベット機130は、ともにリベット締めされる加工物部品の前側を係合する圧力フット132と、部品の後側を係合するバックアップクランプフット134とを含む。圧力フット132およびクランプフット134は図1に示されるように加工物部品の対向側に機械(たとえば図13の機械90)のポジショナによって位置決めされ、好適な油圧アクチュエータ(図示せず)によって動作されて図14Bに示されるように間に部品をクランプ締めする。圧力フットおよびクランプフットに連結された位置センサ(図示せず)が用いられてクランプ締めされた部品の積重ね厚さGが測定される。測定された積重ね厚さGを示す信号は、図14Cに示されるリベット切断装置140に送られる。リベット切断機140には連続的なリベットワイヤWが供給され、それは機械のコントローラによって位置決めされる移動可能なストップ144に対する供給機構142によって与えられることにより、図14Eに示されるようにワイヤWの予め定められた長さLがストップ144からカッタ146が位置決めされた切断場所に延びる。長さLは、測定された積重ね厚さGと予め定められた関係を有することにより、長さLはリベットワイヤが据込み加工されて加工物部品をともに接合するリベットを形成するときにリベットの適切なグリップ長さを提供するために十分な量だけ厚さGよりも長い。リベット切断機のコントローラは積重ね厚さGをリベット長さLに対応付ける保存されたテーブルから長さLを定めることができるか、または好適なアルゴリズムに基づいて長さLを算出できる。カッタ146は、図14Fに示されるとおり、リベットワイヤを切断して長さLのワイヤを与えるよう動作される。
【0033】
リベット切断装置130が図14C、14Eおよび14Fに示される動作を行なうのと同時に、機械のドリル加工装置(たとえば図13のドリル102)はドリルビット148を圧力およびクランプフット132、134とそろえて位置決めするために動かされ、図14Dに示されるように加工物部品に穴をドリル加工するよう動作される。
【0034】
リベットワイヤWが図14Fのように切断されると、移動可能ストップ144は切断されたリベットRをよけて引込められ、リベットは図14Gに示されるようにコンジットまたはホース150を通って空気を動力とする供給ベンチュリ149などによって真空により吸引される。リベットRは加工物部品中の穴とそろえて位置決めされる液圧ラム160のノーズピース152に供給される。加工物部品の後側(すなわち尾部側)上の液圧ラム162は加工物部品の後側から予め定められた距離Pだけ間隔をおかれた位置に動かされ
、前側(すなわち頭部側)液圧ラム160のラム164はリベットRを穴の中に尾部側ラム162に対して圧するよう動作されることにより、図14Hに示されるようにリベットを据込み加工する。両方のラム162、164がここに示されるような取替可能なスナップ式のダイを有することが好ましい。図14Iに示されるとおり、圧力およびクランプフット132、134は次いで加工物部品からクランプを外され、ラム162、164は次のドリル加工およびリベット締め動作に備えるために引込められる。
【0035】
液圧リベットプレスの代替品として、空気圧または電磁リベッタなどの他の種類のリベッタが用いられてもよい。この発明に従った有利なリベット切断および供給システムを用いられる特定のリベッタに適合させることができる。
【0036】
この発明の好ましい実施例の1つにおいては、複数のリベット切断機140の各々に他の機械とは異なる直径のリベットワイヤWが供給される。システムのデータ保存構成要素に保存されるプロセス情報に基づいて生産システムコントローラによって加工物中の所与の穴に対する適当なリベット直径が定められ、次いでコントローラは対応するリベット切断機を選択して適当な長さのリベットを切断し、それを液圧ラム160に送ることができる。すべてのリベット切断機がそれら自身の柔軟なホースによって液圧ラム160に接続されることにより、それらのいずれかがラム160にリベットを送ることができる。
【0037】
図14C、14E、14Fおよび14Gに例示されるステップは、図14Dのドリル加工周期が完了する前に行われることが好ましい。すなわち、この発明のリベットシステムにおいては並列加工が用いられる。
【0038】
図15に、下にある翼桁に対して上側翼パネルをクランプ締めおよび留めるためのこの発明に従った生産システムの代替的な実施例を示す。図15の生産システムは、脈動流または連続流プロセスのいずれにも好適である。連続流プロセスに適応するために、位置合せ支持システムは前述のものに対して変更される。すなわち、位置合せ支持システムはシザーズテーブル174などの回転または摺動するゼロバランス装置上で床に沿って進み得る1対の位置合せ支持170、172を含む。代替的には、位置合せ支持システムはオーバーヘッドバランスシステム(図示せず)によってゼロバランスにされてもよい。ゼロバランス装置は支持システムに支持される位置合せ部材60を操作して前述のように加工物に設置された1対の位置合せ装置30に係合できるようにし、次いで位置合せ支持システムが加工物をクランプ締めしてその位置を固定する。より特定的には、位置合せ支持システムは位置合せ支持170、172の各々に設置される液圧クランプ機構176を含む。各クランプ機構176は下側および上側翼パネルWPを係合してそれらをウイングボックス構造の内部翼桁Sに対してクランプ締めする対向するクランプアップパッド178を含む。位置合せ支持170、172はまた、トラック180を含むトラックドリル加工機を支持し、そのトラックに沿ってドリルおよび留モジュール182がX方向に前後に横断できる。ドリルおよび留モジュール182はドリル184およびボルト挿入装置186を含む。トラックドリル加工機はまた自動ドリル交換器188を含む。ドリルおよび留モジュール182は、他の実施例に対して前述したとおりの位置合せ部材60を駆動的に係合する好適な駆動配置190によって、トラック180に沿ってX方向に前後に駆動される。
【0039】
クランプ機構176は十分なクランプ力(たとえば800から1000ポンド)を与えることにより、翼アセンブリのクランプ締めされた部品の間のドリル加工動作による切断片の蓄積を防ぐ。したがって、こうした小片を取り除くための分解およびデバリングのプロセスをなくすことができる。ドリルおよび留モジュール182は、クランプ締め機構176が高いクランプ力を維持する間に前後に往復して複数の場所で穴をドリル加工しボルトを挿入してもよい。
【0040】
図16は、2つの厚板P1、P2をともに継ぐための、この発明に従った生産システムのさらに別の実施例を示す。このシステムは図15と同様であるが、位置合せ支持システムはオーバーヘッドゼロバランス配置200から吊り下げられる1対のクランプ機構176′を用いるオーバーヘッドゼロバランスシステムを含むことにより、トラックドリル加工機180を操作して加工物に設置された1対の位置合せ装置30を係合できるようにする。クランプ機構176′は次いで継がれる厚板P1、P2をボルトによってともにクランプ締めし、ドリルおよび留モジュール182は位置合せ部材60に沿って前後に往復して、一般的に図15に対して前述したとおりに穴をドリル加工してボルトを挿入する。
【0041】
図17はこの発明に従った別の変形を例示する。連続流プロセスに対する材料取扱システム40は、翼桁Sをプロセス流経路に沿って(すなわちX方向に)輸送する。位置合せ部材60をクランプ締めするための複数のクランプ装置210が材料取扱システムの加工物係合部材212に設置される。よって、クランプ装置210に含まれる位置合せ支持システムは材料取扱システムとともに進む。クランプ装置210は加工物係合部材212上をY方向に摺動可能であることにより、位置合せ部材60がY方向に前後に移動できるようにする。位置合せ部材60はまたクランプ装置210がクランプを外されているときにはX方向に前後に移動可能である。よって位置合せ部材60を操作して位置合せ部材の位置合せアーム66、68を翼桁に設置される1対の位置合せ装置30と係合させることができる。位置合せアーム66、68のクランプ締め装置70は次いで位置合せ装置30をクランプ締めし、位置合せ支持システムのクランプ装置210は位置合せ部材60をクランプ締めすることにより、位置合せ部材を加工物に対して固定する。一旦位置合せ部材がこのように固定されると、機械モジュールは位置合せ部材と係合されて、ドリル、留具挿入装置、またはその他の装置を加工物に対して位置決めするためにそれに沿って前後に駆動され得る。位置合せ部材に沿った機械モジュールの動きによって生じる力は、前述の実施例のように床を通じてではなく、材料取扱システム40を通じて反応される。このシステムにおいて、同じ位置合せ部材60が翼桁Sとともに乗ってもよいが、クランプ装置70、210のクランプを外し、位置合せ部材を位置合せ装置30の異なる組との係合に再位置決めし、次いでクランプ装置70、210を再活性化することによって、翼桁に沿った異なる場所で位置決めされてもよい。
【0042】
図18はこの発明に従ったさらなる変形を例示する。厚板Pはプロセス流経路に沿ってX方向に厚板Pを輸送する材料取扱システム40によって支持される。位置合せ支持システムは、床に沿って回転するシザーズカートまたはばね荷重カートなどの回転するゼロバランスカート220の形で与えられる。カート220は位置合せ部材60を支持し、また一般的に参照番号222で示される重い機械、器具および/または部品を支持する。位置合せ部材60は厚板Pに設置される1対の位置合せ装置30を係合およびクランプ締めする。例示される実施例において、位置合せ装置を係合するための機構は、一方の位置合せ装置30を係合して位置合せ部材60のX方向の位置を固定するために位置合せ部材60に形成される精密V溝224と、他方の位置合せ装置30を係合して位置合せ部材のY場所をその点で固定する位置合せ部材60の平らな部分とを含む。すなわちV溝および平らな部分がともに、加工物に対する位置合せ部材の位置および向き(すなわち刻時)を固定する。カート220は品物222が十分な量だけ持上げられまたは下げられ得るようにすることで、位置合せ装置30を係合するために位置合せ部材60を操作する。品物222は品物の実際の重量よりも実質的に少ない力で持上げられ得る。たとえば、ビシャモン(Bishamon)シザーズカートは、800ポンドの荷重を20ポンドという少ない力で数インチ持上げるかまたは下げさせることができる。一旦位置合せ部材60がこのように厚板Pに対して位置合せされると、機械またはその他の品物222は厚板Pにしっかりとクランプ締めされる。材料取扱システム40によって厚板がプロセス流経路に沿って運ばれる際に、品物222を支持するカートは厚板とともに運ばれ、カートは床に沿って「浮動」する。好ましくは、材料取扱システム40はカートを引張るために厚板Pを用いる
のではなく、カート220を直接引張るように設計される。たとえば、V溝224に係合される位置合せ装置30が材料取扱システム40に直接結合されてもよく、それによってXおよびY方向の荷重が材料取扱システム40から位置合せ装置30を通じて位置合せ部材60に反応される。
【0043】
図19はこの発明に従った別の生産システムを示す。このシステムは翼桁Sを支持しそれをプロセス流経路に沿って輸送する材料取扱システム40を有する連続流プロセスを用いる。プロセス流経路に並んで床には摺動基部230が配される。機械またはロボット232が基部230上に支持され、好ましくは基部230上に移動可能に支持されることによって、機械は1つまたはそれ以上の軸に関して移動および/または回転して機械の作業エンドエフェクタ234を位置決めできる。この機械は翼桁Sに設置された位置合せ装置(図19においては見えないが、前述の実施例において示した位置合せ装置30と類似のもの)を係合する位置合せ部材60′を含む。一旦位置合せ装置と位置合せ部材60′との係合が達成されると、基部230は好適な駆動配置(図示せず)によって駆動されて翼桁に沿って進み、機械232は翼桁に作業動作を行なうことができる。基部230がプロセス流方向におけるその進行範囲の端部に達するとき、近接スイッチ(図示せず)または類似のものが位置合せ部材60′に加工物の位置合せ装置を分離させ、機械に翼桁を分離させ、基部駆動配置に基部230をその開始位置に戻らせることによって、機械は翼桁の新たな区域において作業を開始するために翼桁を再係合できる。
【0044】
図20は図19といくつかの点において類似するさらなる実施例を示す。翼桁ウェブに対するブランクBがI梁の形の位置合せ部材60に支持され、それは順に材料取扱システム40に支持される。ブランクに係合してそのX、YおよびZ方向における場所を固定するための位置合せ部材60に設置される好適な固定具236を用いることなどにより、位置合せ部材60に対するブランクBの場所は知られている。位置合せ部材60の長さに沿って符号器ストリップ80が設置される。ブランクBが輸送されるプロセス流方向に平行に走る摺動レールシステム242にフライス盤機械240が設置される。ブランクおよび位置合せ部材がプロセス流経路に沿って移動する際に、機械240上の読取器244が符号器ストリップ80を読取る。ブランクが機械240に対する予め定められたX場所に位置決めされるようになると、機械は位置合せ部材60をクランプ締めし、次いでブランクとともに運ばれる。機械はフライス削りヘッド246を有し、それは好ましくはブランクに対してX、YおよびZ方向に移動可能であることにより、機械はブランクの区域をフライス削りできる。機械240がX方向におけるその進行範囲の端部に達するとき、近接スイッチ(図示せず)または類似のものが機械にブランクを分離させ、位置合せ部材60からクランプを外させ、機械はその開始場所に戻されることにより、ブランクの新たな区域をフライス削りするためにブランクを再係合する。
【0045】
図21は翼桁ウェブSW上の弦の自動化された場所決めに対する、この発明のさらなる実施例を示す。このシステムは図15といくつかの点において類似であり、すなわち位置合せ支持システムは床に沿って進むシザーズカートまたはばね荷重カートなどのゼロバランステーブルまたはカート174上に支持される支持170、172を用いる。弦場所決め器具250は位置合せ部材60に沿った移動のためにそれに係合し、位置合せ部材上の符号器ストリップ80を読取るための読取器98を含む。位置合せ部材60は、位置合せ部材60に対して固定され、かつ翼桁ウェブに設置される2つの位置合せ装置30のうちの第1のものに係合する固定位置合せ252を含む。位置合せ部材60に沿って横断可能な自由位置合せ254は第2の位置合せ装置30に係合し、符号器ストリップ80を読取るための読取器98を含む。各位置合せ252、254は各位置合せ装置30のセンサに保存される識別子を読取るための読取器(図示せず)を含むことにより、コントローラ118は弦場所決め器具250が配される翼桁ウェブの区域を識別できる。コントローラ118は次いで翼桁ウェブのその区域に対する弦場所に関する情報を取出すことができる。
一旦このデータが取出されると、封止された弦が翼桁ウェブに関して位置決めされ得る。弦場所決め器具250は位置合せ部材60に沿って前後に往復し、符号器ストリップ80に関して位置決めされることにより、各弦を翼桁ウェブに沿った適切な場所に場所決めする。
【0046】
一旦弦が位置決めされると、次いで簡単な方法を用いて永久鋲留具を取付けることによって弦を翼桁ウェブに留める。この方法に従うと、予めドリル加工された案内穴256が翼桁ウェブにドリル加工されて鋲の場所をマーク付けする。案内穴256はウェブ製作の際に翼桁ウェブにドリル加工されても、または図23に関連して後述するものなどの可搬式ドリル加工機器によってドリル加工されてもよい。次いで、液圧アクチュエータ262を介してかなりの量のクランプ力(たとえば約1000ポンド)を与える小さなCフレーム260が用いられて、場所決めされた弦を翼桁ウェブにクランプ締めし、Cフレーム260に設置されたドリル加工装置264が用いられて、案内穴をガイドとして用いて弦をウェブに留めるボルトのための穴をドリル加工する。ドリル加工装置264は、たとえばステップドリルとともに用いられる柔軟かつ除去可能な電力供給モータであってもよい。モータは同心コレットシステムなどのあらゆる好適な配置によって除去可能であってもよく、それによって穴を広げることができ、穴は必要であれば冷間加工されてもよく、次いでボルトを穴に挿入でき、その間中弦のウェブへのクランプはCフレームによって維持される。
【0047】
図22は、製造中の加工物の成長をモニタおよび記録するための、この発明に従ったプロセスおよびシステムを例示する。さまざまな理由から、航空機構造に用いられる翼桁または厚板などの伸ばされた加工物は製造中に長くなることがある。これらの加工物のいくつかはかなりの長さであるため、加工物の全体の成長がかなり大きくなることがあり、それは明らかに穴および補剛材、弦などの他の品物の設置に影響する。この発明に従うと、製造プロセスの間にこの成長がモニタされて考慮される。この目的のために、生産システムはX方向に沿って間隔をおかれた場所において加工物Sに設置された複数の位置合せ装置30を用いる。位置合せ装置30は、加工物が、加工物のあらゆる顕著な延長をもたらし得るあらゆる態様で作業される前に取付けられる。したがって、位置合せ装置の公称X場所は知られている。「公称(nominal)X場所」とは、加工物があらゆる成長をもたらす作業プロセスを受ける前の位置合せ装置のX場所を意味する。図22において、位置合せ装置30の実際のX場所はX1、X2、…、X17と表される。加工物の成長のため、実際のX場所は公称X場所とは異なってくる。
【0048】
実際のX場所は、前述のものと一般的に類似の位置合せシステムを用いて定められる。より特定的には、位置合せ装置30の隣接する対が位置合せ部材60に設置された1対の位置合せ252、254によって係合される。位置合せ252は好ましくは位置合せ部材の固定された位置に設置された固定位置合せであり、位置合せ252によって係合された位置合せ部材30のセンサに保存される識別子を読取るための読取器(図3Aおよび3Bの参照番号50)を含む。位置合せ254は位置合せ部材60に沿って前後に横断できる自由位置合せであり、位置合せ部材上の符号器ストリップ80を読取るための読取器98を含むことによって、読取器98と通信するコントローラ118はX方向における自由位置合せ254の正確な場所を定めることができる。したがって、固定位置合せ252が場所X1において位置合せ装置30を係合し、自由位置合せ254が場所X2において位置合せ装置30を係合するとき、コントローラはこれら2つの位置合せ装置間のX位置の実際の差を定めることができ、その差から位置合せ装置間のX位置の公称差を差引く。その結果得られる数が位置X1およびX2の間の加工物の成長であり、それをここではX2″と表す。このプロセスを場所X2およびX3の間、X3およびX4の間、X4およびX5の間という風に、場所X16およびX17まで繰返す。この手順によって、位置合せ装置の各隣接対の間の一連の成長値X2″、X3″、…、X17″が得られる。位置合せ装置
30の実際のX場所は以下のとおり算出される。
【0049】
X2=X2nominal+X2″
X3=X3nominal+X2″+X3″
X4=X4nominal+X2″+X3″+X4″
・
・
・
【0050】
X17=X17nominal+X2″+X3″+...+X17″
好ましくは、熱伸長効果を考慮に入れるために、翼桁の成長を測定するためのアルゴリズムには温度補償が含まれるべきである。熱伸長を考慮に入れるための方法は当該技術分野において公知であるため、ここには説明しない。
【0051】
この発明の位置合せシステムを用いて翼桁の成長を測定するための代替的な方法が用いられてもよい。たとえば、固定および自由位置合せ252、254が非隣接位置合せ装置30を係合してこれらの位置合せ装置間の成長を測定し、この非隣接位置合せ装置の間のあらゆる中間位置合せ装置に対する成長が補間によって定められてもよい。この方法は前述のものほど正確ではないが、自由および固定位置合せ間のより大きな間隔を与えることにより、成長を同時にモニタしながら機械モジュール(たとえば図7などにおけるOフレーム機械90)がこれらの位置合せの間の位置合せ部材60を係合して加工物に作業動作を行なうことができるという利点を有し得る。
【0052】
図23は、加工物に有限アセンブリ(DA)穴などの穴をドリル加工するための、この発明のさらに別の実施例を示す。加工物SWの知られた場所に複数の位置合せ装置30が設置される。2軸ポジショナフレーム270の形の位置合せ支持システムは、床に沿ってX方向に回転または摺動する鉛直に浮動するかまたは弾性的に懸垂される基部272によって床の上に支持される。もちろん代替的には、位置合せ支持システムは好適な鉛直に浮動する機構によって頭上から懸垂されてもよい。フレーム270は他の実施例に対して前述したあらゆる態様で加工物上の1対の位置合せ装置30を係合し、それによって加工物に対するフレーム270の位置および向きを固定する。ここに示されるとおり、一般的にXおよびY方向に対して平行な2軸の各々に沿った移動のために、ドリルヘッド274がフレームに設置される。コントローラ276は、位置合せ装置から識別子を読取るために位置合せ装置30を係合するフレームの部分に組込まれる読取器(図示しないが、図3Aおよび3Bの読取器50を参照)に接続される。コントローラ276は識別子に対応する加工物区域に関する作業プロセス情報(たとえば数値制御プログラムなど)の適切な組を取出し、ドリルヘッド276の位置決めおよび動作を制御してこのプロセス情報によって指示されるとおりに穴をドリル加工する。
【0053】
図24は図23と実質的に類似のこの発明の別の実施例を示すが、フレーム270はドリルヘッドを支持する代わりに、コントローラ276によって取出されたプロセス情報に従って加工物にマーク付けを施すために動作可能なマーク付け装置280を支持する。マーク付け装置はたとえば、インクジェットヘッドまたはインクペン装置を含んでもよい。マーク付け装置を用いて、視覚システム場所および自動機器の操作、動作を行なう際の作業者によるマーク付けの使用、品質検査の目的に対するマーク付けの使用などを含むがこれに制限されないさまざまな目的に対して、加工物に正確なインクマークを施すことができる。
【0054】
図25は、加工物に情報を投射するための、この発明に従ったシステムを示す。固定基部システムでない製造システムにおける問題の1つは、加工物が製造ラインを進む際に変
化し得る作業場所において作業者に製造青写真およびその他の情報を提供することである。この発明は、位置合せ装置30を係合して図3Aおよび3Bに対して説明したものなどの識別子を読取る読取器50と、読取器50およびプロジェクタ300につながれたコントローラまたはその他のコンピュータ290とを提供することによってこの問題に対処する。読取器によって読取られた識別子に基づいて、コンピュータ290は位置合せ装置30に隣接する加工物の区域に関する製造情報を取出すことができ、プロジェクタ300に加工物S上に視覚的な形のそうした情報を投射させることができる。プロジェクタによって投射される特徴の図形描写を加工物の公知の特徴に拡大して合わせるようにプロジェクタ300を位置決めすることが可能である。図26は図25のシステムの変形を示すものであり、ここでは製造情報を表示するためにCRTディスプレイなどのモニタ310が用いられる。他の種類の表示装置が用いられてもよく、また1つよりも多くの種類が一緒に用いられてもよい。
【0055】
この発明の属する技術分野の当業者には前述の説明および関連の図面において示される教示の利益を有するこの発明の多くの変更形およびその他の実施例が考えられるであろう。たとえば、この発明の例示および説明した実施例は、機械モジュールが加工物に対するその位置を定め得るようにするために位置合せ部材上の機械読取可能テープまたはストリップを用いたが、代替的にその他の位置決めシステムがこの目的のために用いられてもよい。こうした位置決めシステムの例はレーザポジショナを含むがこれに制限されない。したがって、この発明は開示される特定の実施例に制限されず、変更形およびその他の実施例は添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。ここでは特定の用語が用いられたが、それらは一般的かつ説明的な意味においてのみ用いられるものであって、制限する目的のものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明に従った、材料取扱システムによって支持され、位置合せ装置に嵌合された翼桁の斜視図である。
【図2】加工物の穴に取付けられた代表的な位置合せ装置を示す断面図である。
【図3】図3Aは、読取器と位置合せ装置との係合の前の位置合せ部材に連結される読取器を示す断面図である。図3Bは、読取器と位置合せ装置との係合を示す、図4Aと同様の図である。
【図4】位置合せ装置と嵌合される翼桁の斜視図であり、位置合せ支持システムによって支持される位置合せ棒が1対の位置合せ装置との係合に移動されるところを示す。
【図5】真直ぐな翼桁を例示する、位置合せ部材が位置合せ装置と係合された後の、図3の生産システムの斜視図である。
【図6】真直ぐでない翼桁を例示する、図5と同様の斜視図である。
【図7】位置合せ部材および加工物との係合に移動されるのに備えて開放位置にあるOフレーム機械モジュールを示す、図5と同様の斜視図である。
【図8】位置合せ部材と係合したOフレーム機械モジュールを示す図である。
【図9】脈動流製造プロセスにおいて材料取扱システムによって翼桁の移動が行われた後の、図8のシステムを示す図である。
【図10】図8と同様の生産システムを示す図であるが、Oフレーム機械モジュールが自動器具交換装置を含む。
【図11】器具交換装置を有するOフレームモジュールを分離して示す図である。
【図12】器具交換装置を分離して示す図である。
【図13】2つの異なる回転軸に関する回転に対して配置されたドリルおよび留具挿入装置を含む機械モジュールを有する生産システムを示す図である。
【図14A】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14B】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14C】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14D】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14E】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14F】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14G】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14H】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図14I】この発明に従った自動リベット切断システムの一連の動作を示す図である。
【図15】翼上側パネルに対するクランプ締め、ドリル加工および留具適用のための、この発明の別の実施例に従った生産システムを示す図である。
【図16】2つの厚板をともに継ぐためにクランプ締め、ドリル加工およびボルト挿入を行なうための、この発明のさらなる実施例に従った生産システムを示す図である。
【図17】翼桁が支持された、この発明に従った連続流製造生産システムを示す図である。
【図18】この発明のさらに別の実施例に従った、浮動位置合せ支持システムを有する生産システムの概略的な拡大図である。
【図19】プロセス流経路に沿って前後に往復し、加工物を係合する位置合せシステムおよび機械を支持する基部を有する連続流生産システムを示す図である。
【図20】固定基部上で前後に往復する機械を有し、符号器ストリップを有する位置合せ部材が加工物に固定されてともに進み、機械が加工物とともに運ばれる位置合せ部材をクランプ締めする、別の生産システムを示す図である。
【図21】翼桁への弦の自動配置およびクランプ締めのための、翼桁ウェブに弦を留めるためのCフレームクランプ締めおよび留機構を用いる生産システムを示す図である。
【図22】加工物の成長を測定および記録するための生産システムおよび方法を例示する図である。
【図23】この発明の別の実施例に従った、加工物に穴をドリル加工するための生産システムを例示する図である。
【図24】加工物に正確なマーク付けを施すための生産システムを示す図である。
【図25】この発明に従った、加工物に情報を投射するためのシステムを示す図である。
【図26】この発明に従った、加工物に関する情報を表示するためのシステムを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物を加工するための生産システムであって、
加工物の長手方向に間隔をあけた知られた場所において加工物に除去可能に設置される複数の位置合せ装置を含む位置合せシステムと、位置合せ装置の少なくとも2つと取外し可能に係合されることによって位置合せ装置によって位置合せ部材の位置および向きが加工物に対して固定される長手方向に延在する位置合せ部材とを含み、位置合せ部材はそれに沿って位置を示す特徴を有し、前記生産システムはさらに
位置合せ部材に沿った長手方向の移動のために設置されて動作を行なうよう動作可能な機械モジュールを含み、機械モジュールは位置合せ部材上の位置を示す特徴を検出するよう動作可能であることによって加工物に対する機械モジュールの位置を定める、生産システム。
【請求項2】
位置合せ部材はそれに沿って設置される機械読取可能な位置を示すストリップを有し、機械モジュールは位置を示すストリップを読取ることによって加工物に対する機械モジュールの位置を定める読取器を含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項3】
位置を示すストリップは符号器テープを含む、請求項2に記載の生産システム。
【請求項4】
位置合せ装置の各々はその中に設置された機械読取可能センサを有し、各位置合せ装置中のセンサは前記位置合せ装置に対して一意の識別子を含む情報を保存し、機械モジュールはセンサに保存される識別子を読取るよう動作可能な読取器を含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項5】
各位置合せ装置は加工物に形成された穴に取外し可能に取付けられるよう構造化され配置されたピンを含む、請求項4に記載の生産システム。
【請求項6】
ピンは急速分離ピンを含む、請求項5に記載の生産システム。
【請求項7】
機械モジュールと通信するコントローラをさらに含み、コントローラは位置合せ装置の識別子を作業プロセス情報に対応付ける情報によってプログラムされることにより、各位置合せ装置に対する識別子は前記位置合せ装置が設置される加工物の区域に関する1組の作業プロセス情報に関連付けられる、請求項4に記載の生産システム。
【請求項8】
コントローラは、前記区域に対してコントローラに保存される作業プロセス情報に基づいて加工物の少なくとも1つの区域上で少なくとも1つの作業動作を行なうために機械モジュールを制御するように動作可能である、請求項7に記載の生産システム。
【請求項9】
機械モジュールは、位置合せシステムが係合される加工物の区域に対応する作業プロセス情報に基づいて加工物にマーク付けを施すよう動作可能なマーク付け装置を含む、請求項7に記載の生産システム。
【請求項10】
位置合せ部材および機械モジュールは、機械モジュールを位置合せ部材に沿って移動させるための協働する駆動素子を含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項11】
機械モジュールと加工物との相対的な動きは位置合せ部材とは独立の駆動システムによってもたらされる、請求項1に記載の生産システム。
【請求項12】
機械モジュールは接合される加工物の部品をともにクランプ締めするためのクランプ締め配置を含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項13】
クランプ締め配置は間に部品をクランプ締めする対向する相対的に移動可能なクランプ締め部材を有するフレームを含む、請求項12に記載の生産システム。
【請求項14】
クランプ締め配置は、機械モジュールを位置合せ部材に沿って駆動するために位置合せ部材を駆動的に係合するための駆動装置が設置されたOフレームを含む、請求項13に記載の生産システム。
【請求項15】
クランプ締め配置は閉鎖位置と開放位置との間で移動可能な部分を有するOフレームを含み、移動可能な部分の開放位置への移動は加工物が通過するためのOフレームの開口部をもたらすことにより、Oフレームは加工物に沿ったあらゆる点において加工物と係合および分離できる、請求項13に記載の生産システム。
【請求項16】
クランプ締め配置は生産システムが収容される建物の床に支持される基部上に設置され、基部は弾性懸垂を有することによって、基部は鉛直に浮動する態様で床の上に支持される、請求項13に記載の生産システム。
【請求項17】
位置合せ部材は位置合せ装置の1つを係合するよう動作可能な第1の位置合せアームと、別の位置合せ装置を係合するよう動作可能な第2の位置合せアームとを含むことにより、加工物に対する位置合せ部材の位置が位置合せ装置によって固定される、請求項1に記載の生産システム。
【請求項18】
第1の位置合せアームは位置合せ部材に対して固定され、第2の位置合せアームは位置合せ部材に沿った長手方向の位置において調整可能である、請求項17に記載の生産システム。
【請求項19】
位置合せ装置の各々はその中に設置された機械読取可能センサを有し、各位置合せ装置中のセンサは前記位置合せ装置に対して一意の識別子を含む情報を保存し、各位置合せアームは位置合せアームによって係合される位置合せ装置に保存される情報を読取るよう動作可能な読取器を含む、請求項18に記載の生産システム。
【請求項20】
位置合せシステムは位置合せ部材を支持するための位置合せ支持システムを含み、位置合せ支持システムは加工物に取付けられる位置合せ装置を係合する前に位置合せ部材と加工物との相対的な移動を可能にするよう動作可能であり、位置合せ支持システムは位置合せシステムが位置合せ装置を係合した後にロックするよう動作可能であることによって加工物に対して位置合せ部材を動かなくする、請求項1に記載の生産システム。
【請求項21】
加工物を保持して加工物をプロセス流経路に沿って輸送するよう動作可能な材料取扱システムをさらに含み、位置合せ支持システムは材料取扱システム上に支持される、請求項20に記載の生産システム。
【請求項22】
位置合せ支持システムは加工物に対向側からクランプ力を加えるよう動作可能な1対のクランプアセンブリを含む、請求項20に記載の生産システム。
【請求項23】
位置合せ支持システムは位置合せ部材および機械モジュールを支持するための少なくとも1つのゼロバランス支持装置を含むことによって、位置合せ支持システムのロックの前に、位置合せ部材および機械モジュールは位置合せ部材および機械モジュールの重量よりも実質的に少ない力の印加によって上下に鉛直に移動可能である、請求項20に記載の生産システム。
【請求項24】
加工物を保持して加工物をプロセス流経路に沿って輸送するよう動作可能な材料取扱システムをさらに含み、ロックの後の位置合せ支持システムは材料取扱システムによって引張られることにより加工物とともにプロセス流経路に沿って進む、請求項23に記載の生産システム。
【請求項25】
位置合せ支持システムはゼロバランス装置を含む、請求項24に記載の生産システム。
【請求項26】
機械モジュールは位置合せ部材に沿って横断可能なフレームに設置されるドリルを含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項27】
フレーム上に設置され複数のドリル加工具を支持する自動ドリル交換器をさらに含み、ドリル交換器およびドリルはドリルに保持されるドリル加工具を交換するために協働する、請求項26に記載の生産システム。
【請求項28】
フレームに設置され、ドリルによって加工物にドリル加工された穴に留具を挿入するよう動作可能な留具挿入装置をさらに含む、請求項26に記載の生産システム。
【請求項29】
フレームは、留具によって接合される加工物の部品をともにクランプ締めするよう動作可能なクランプ機構を含む、請求項28に記載の生産システム。
【請求項30】
クランプ機構は、留具が延在する必要のあるクランプ締めされた部品の積重ね厚さを測定するよう動作可能であることによって、加工物の穴への挿入のための適切な長さの留具の選択を可能にする、請求項29に記載の生産システム。
【請求項31】
異なる長さおよび直径の留具を有する留具供給システムと、留具供給システムに接続されてクランプ締めされた部品の積重ね厚さに関するクランプ機構からの情報を受取るコントローラとをさらに含み、コントローラは留具供給システムを制御することによって留具供給システムに加工物の穴への挿入のために留具挿入装置に適切な長さおよび直径の留具を配達させる、請求項30に記載の生産システム。
【請求項32】
留具挿入装置は、リベットワイヤを加工物の穴に挿入し、リベットワイヤを据込み加工してクランプ締めされた部品をともに接合するリベットを形成するためのリベッタを含む、請求項31に記載の生産システム。
【請求項33】
留具供給システムは、クランプ締めされた部品の積重ね厚さに関する情報を受取り、積重ね厚さに基づいてリベットワイヤを適切なグリップ長さに切断して切断リベットワイヤをリベッタに供給するよう動作可能なリベットカッタを含む、請求項32に記載の生産システム。
【請求項34】
留具供給システムは他のリベットカッタとは異なる直径のリベットワイヤが各々に供給される複数のリベットカッタを含み、コントローラは加工物の所与の場所に対する指定されたリベット直径に基づいてリベットカッタの1つを選択するよう動作可能である、請求項33に記載の生産システム。
【請求項35】
ドリルは、加工物中に穴がドリル加工されるドリル加工方向を変化させるために少なくとも1つの回転軸に関して回転可能である、請求項26に記載の生産システム。
【請求項36】
各々に異なる機械モジュールが設置され、各々が加工物に設置される位置合せ装置を係合および分離するよう動作可能である複数の位置合せシステムを含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項37】
機械モジュールは位置合せ部材に沿った機械モジュールの長手方向の位置を定めるよう動作可能であり、位置合せ部材は第1の位置合せ装置を係合し、機械モジュールは第1の位置合せ装置から長手方向に間隔をおかれた第2の位置合せ装置を係合し、機械モジュールと通信するコントローラをさらに含み、機械モジュールはコントローラに機械モジュールの長手方向の位置を示す信号を送り、コントローラは機械モジュールが第2の位置合せ装置と係合されるときに機械モジュールからの信号に基づいて第1および第2の位置合せ装置間の加工物の長手方向の成長を定めるよう動作可能である、請求項1に記載の生産システム。
【請求項38】
加工物を加工するための生産システムであって、
加工物を保持して加工物をプロセス流経路に沿って輸送するよう動作可能な材料取扱システムと、
加工物に関する知られる位置および向きにおいて加工物に対して固定される位置合せシステムと、
位置合せシステムに接続されて加工物の加工に用いられる1つまたはそれ以上の器具を支持する位置合せ支持システムとを含み、材料取扱システムは加工物をプロセス流経路に沿って移動させ、位置合せシステムを伴う位置合せ支持システムを加工物とともに受動的に輸送させる、生産システム。
【請求項39】
位置合せ支持システムはゼロバランス装置を含む、請求項38に記載の生産システム。
【請求項40】
位置合せ支持システムは車輪のあるカートを含む、請求項38に記載の生産システム。
【請求項41】
位置合せ支持システムはばね懸垂を含む、請求項38に記載の生産システム。
【請求項42】
位置合せ支持システムは床に沿って摺動する摺動基部を含む、請求項38に記載の生産システム。
【請求項43】
基部上に支持されて位置合せシステムに接続される機械をさらに含み、位置合せシステムは加工物に付けられた1対の位置合せ装置をクランプ締めするよう動作可能な位置合せ部材を含むことにより、機械を伴う基部がプロセス流経路に沿って加工物とともに引張られ、機械は基部および機械が加工物とともに移動する際に加工物に1つまたはそれ以上の作業動作を行なうよう動作可能である、請求項42に記載の生産システム。
【請求項44】
基部は開始場所と終了場所との間で前後に摺動するよう動作可能であり、位置合せ部材は基部が終了場所に達したときに位置合せ装置から分離するよう動作可能であることによって基部が開始場所に戻れるようにする、請求項43に記載の生産システム。
【請求項45】
基部上に支持されて位置合せシステムに接続される機械をさらに含み、機械は位置合せシステムをクランプ締めするよう動作可能であることにより、機械を伴う摺動する基部がプロセス流経路に沿って加工物とともに引張られ、機械は基部および機械が加工物とともに移動する際に加工物に1つまたはそれ以上の作業動作を行なうよう動作可能である、請求項42に記載の生産システム。
【請求項46】
位置合せシステムは位置合せ部材に沿って延在する機械読取可能な位置符号化ストリップを有する長手方向に延在する位置合せ部材を含み、位置合せ部材を係合する機械をさらに含み、機械は位置符号化ストリップを読取ることによって加工物に対する機械の位置を定めるよう動作可能である、請求項38に記載の生産システム。
【請求項47】
加工物を加工するための生産システムであって、
加工物の知られる場所に除去可能に付けられた複数の位置合せ装置を含み、各位置合せ装置は加工物の異なる区域に近接し、各位置合せ装置は前記位置合せ装置に対して一意の識別子を保存する機械読取可能センサを有し、前記生産システムはさらに
各位置合せ装置のセンサに保存される識別子を読取るよう動作可能な読取器と、
読取器から識別子を受取るために読取器に接続されるコントローラとを含み、コントローラは加工物の各区域に対するプロセス情報によって予めプログラムされ、各区域に対するプロセス情報は前記区域に近接して場所決めされる位置合せ装置のセンサに保存される識別子に対応付けされ、コントローラは読取器によって読取られる識別子に基づいて各区域に対するプロセス情報を取出すよう動作可能である、生産システム。
【請求項48】
取出されたプロセス情報を作業者による使用のための視覚的な形に変換するための装置をさらに含む、請求項47に記載の生産システム。
【請求項49】
取出されたプロセス情報を視覚的な形に変換するための装置は、取出されたプロセス情報に基づいて加工物にマーク付けを施すよう動作可能なマーク付け装置を含む、請求項48に記載の生産システム。
【請求項50】
マーク付け装置はインク装置を含む、請求項49に記載の生産システム。
【請求項51】
マーク付け装置は、加工物に対する2軸位置決めシステムの位置および向きを固定するために1対の位置合せ装置を係合する2軸位置決めシステムに設置される、請求項49に記載の生産システム。
【請求項52】
取出されたプロセス情報を視覚的な形に変換するための装置は、取出されたプロセス情報に基づいて加工物に視覚情報を投射するためのプロジェクタを含む、請求項48に記載の生産システム。
【請求項53】
取出されたプロセス情報を視覚的な形に変換するための装置はモニタを含む、請求項48に記載の生産システム。
【請求項54】
各位置合せ装置は加工物に形成された穴に取外し可能に設置されるピンを含む、請求項48に記載の生産システム。
【請求項55】
加工物を加工するための生産システムであって、
加工物の知られる場所に除去可能に付けられた複数の位置合せ装置を含み、各位置合せ装置は加工物の異なる区域に近接し、各位置合せ装置は前記位置合せ装置に対して一意の識別子を保存する機械読取可能センサを有し、前記生産システムはさらに
各位置合せ装置のセンサに保存される識別子を読取るよう動作可能な読取器と、
読取器から識別子を受取るために読取器に接続されるコントローラとを含み、コントローラは加工物にドリル加工される穴の場所を指示する情報を含む加工物の各区域に対するプロセス情報によって予めプログラムされ、各区域に対するプロセス情報は前記区域に近接して場所決めされる位置合せ装置のセンサに保存される識別子に対応付けされ、コントローラは読取器によって読取られる識別子に基づいて各区域に対するプロセス情報を取出すよう動作可能であり、前記生産システムはさらに
コントローラに接続され、コントローラによって制御されて加工物の各区域に対するプロセス情報において指示される場所に穴をドリル加工するよう動作可能なドリル加工装置を含む、生産システム。
【請求項56】
ドリル加工装置は2軸位置決めシステムに設置されるドリルヘッドを含む、請求項55
に記載の生産システム。
【請求項57】
2軸位置決めシステムは加工物に付けられた1対の位置合せ装置を取外し可能に係合するよう動作可能であることによって、加工物に対して2軸位置決めシステムの位置および向きを固定する、請求項56に記載の生産システム。
【請求項58】
製造動作における参照特徴として用いるために加工物に設置するための位置合せ装置であって、
加工物に取付けて加工物に形成される穴を係合することによって位置合せ装置を加工物に対して場所決めするよう構造化および配置されるハウジングと、
ハウジングに設置される機械読取可能センサとを含み、センサは識別子を保存することによって、識別子は加工物上の位置合せ装置の場所に対応付けられ得る、位置合せ装置。
【請求項59】
ハウジングは一般的にピン形の構成を有する、請求項58に記載の位置合せ装置。
【請求項60】
ハウジングは、加工物の対向側に位置決めされ、かつ加工物の穴を通るシャフトによってともに接続される第1の部分および第2の部分を有する、請求項58に記載の位置合せ装置。
【請求項61】
第1および第2の部分の各々は位置参照を与える少なくとも1つの基準面を定める、請求項60に記載の位置合せ装置。
【請求項62】
センサは第1および第2の部分の一方に場所決めされ、他方の部分は中に第2のセンサを有する、請求項60に記載の位置合せ装置。
【請求項63】
ハウジングはXおよびY位置参照を与える少なくともXおよびY基準面を定める、請求項58に記載の位置合せ装置。
【請求項64】
ハウジングはZ位置参照を与えるZ基準面をさらに定める、請求項63に記載の位置合せ装置。
【請求項1】
加工物を加工するための生産システムであって、
加工物の長手方向に間隔をあけた知られた場所において加工物に除去可能に設置される複数の位置合せ装置を含む位置合せシステムと、位置合せ装置の少なくとも2つと取外し可能に係合されることによって位置合せ装置によって位置合せ部材の位置および向きが加工物に対して固定される長手方向に延在する位置合せ部材とを含み、位置合せ部材はそれに沿って位置を示す特徴を有し、前記生産システムはさらに
位置合せ部材に沿った長手方向の移動のために設置されて動作を行なうよう動作可能な機械モジュールを含み、機械モジュールは位置合せ部材上の位置を示す特徴を検出するよう動作可能であることによって加工物に対する機械モジュールの位置を定める、生産システム。
【請求項2】
位置合せ部材はそれに沿って設置される機械読取可能な位置を示すストリップを有し、機械モジュールは位置を示すストリップを読取ることによって加工物に対する機械モジュールの位置を定める読取器を含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項3】
位置を示すストリップは符号器テープを含む、請求項2に記載の生産システム。
【請求項4】
位置合せ装置の各々はその中に設置された機械読取可能センサを有し、各位置合せ装置中のセンサは前記位置合せ装置に対して一意の識別子を含む情報を保存し、機械モジュールはセンサに保存される識別子を読取るよう動作可能な読取器を含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項5】
各位置合せ装置は加工物に形成された穴に取外し可能に取付けられるよう構造化され配置されたピンを含む、請求項4に記載の生産システム。
【請求項6】
ピンは急速分離ピンを含む、請求項5に記載の生産システム。
【請求項7】
機械モジュールと通信するコントローラをさらに含み、コントローラは位置合せ装置の識別子を作業プロセス情報に対応付ける情報によってプログラムされることにより、各位置合せ装置に対する識別子は前記位置合せ装置が設置される加工物の区域に関する1組の作業プロセス情報に関連付けられる、請求項4に記載の生産システム。
【請求項8】
コントローラは、前記区域に対してコントローラに保存される作業プロセス情報に基づいて加工物の少なくとも1つの区域上で少なくとも1つの作業動作を行なうために機械モジュールを制御するように動作可能である、請求項7に記載の生産システム。
【請求項9】
機械モジュールは、位置合せシステムが係合される加工物の区域に対応する作業プロセス情報に基づいて加工物にマーク付けを施すよう動作可能なマーク付け装置を含む、請求項7に記載の生産システム。
【請求項10】
位置合せ部材および機械モジュールは、機械モジュールを位置合せ部材に沿って移動させるための協働する駆動素子を含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項11】
機械モジュールと加工物との相対的な動きは位置合せ部材とは独立の駆動システムによってもたらされる、請求項1に記載の生産システム。
【請求項12】
機械モジュールは接合される加工物の部品をともにクランプ締めするためのクランプ締め配置を含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項13】
クランプ締め配置は間に部品をクランプ締めする対向する相対的に移動可能なクランプ締め部材を有するフレームを含む、請求項12に記載の生産システム。
【請求項14】
クランプ締め配置は、機械モジュールを位置合せ部材に沿って駆動するために位置合せ部材を駆動的に係合するための駆動装置が設置されたOフレームを含む、請求項13に記載の生産システム。
【請求項15】
クランプ締め配置は閉鎖位置と開放位置との間で移動可能な部分を有するOフレームを含み、移動可能な部分の開放位置への移動は加工物が通過するためのOフレームの開口部をもたらすことにより、Oフレームは加工物に沿ったあらゆる点において加工物と係合および分離できる、請求項13に記載の生産システム。
【請求項16】
クランプ締め配置は生産システムが収容される建物の床に支持される基部上に設置され、基部は弾性懸垂を有することによって、基部は鉛直に浮動する態様で床の上に支持される、請求項13に記載の生産システム。
【請求項17】
位置合せ部材は位置合せ装置の1つを係合するよう動作可能な第1の位置合せアームと、別の位置合せ装置を係合するよう動作可能な第2の位置合せアームとを含むことにより、加工物に対する位置合せ部材の位置が位置合せ装置によって固定される、請求項1に記載の生産システム。
【請求項18】
第1の位置合せアームは位置合せ部材に対して固定され、第2の位置合せアームは位置合せ部材に沿った長手方向の位置において調整可能である、請求項17に記載の生産システム。
【請求項19】
位置合せ装置の各々はその中に設置された機械読取可能センサを有し、各位置合せ装置中のセンサは前記位置合せ装置に対して一意の識別子を含む情報を保存し、各位置合せアームは位置合せアームによって係合される位置合せ装置に保存される情報を読取るよう動作可能な読取器を含む、請求項18に記載の生産システム。
【請求項20】
位置合せシステムは位置合せ部材を支持するための位置合せ支持システムを含み、位置合せ支持システムは加工物に取付けられる位置合せ装置を係合する前に位置合せ部材と加工物との相対的な移動を可能にするよう動作可能であり、位置合せ支持システムは位置合せシステムが位置合せ装置を係合した後にロックするよう動作可能であることによって加工物に対して位置合せ部材を動かなくする、請求項1に記載の生産システム。
【請求項21】
加工物を保持して加工物をプロセス流経路に沿って輸送するよう動作可能な材料取扱システムをさらに含み、位置合せ支持システムは材料取扱システム上に支持される、請求項20に記載の生産システム。
【請求項22】
位置合せ支持システムは加工物に対向側からクランプ力を加えるよう動作可能な1対のクランプアセンブリを含む、請求項20に記載の生産システム。
【請求項23】
位置合せ支持システムは位置合せ部材および機械モジュールを支持するための少なくとも1つのゼロバランス支持装置を含むことによって、位置合せ支持システムのロックの前に、位置合せ部材および機械モジュールは位置合せ部材および機械モジュールの重量よりも実質的に少ない力の印加によって上下に鉛直に移動可能である、請求項20に記載の生産システム。
【請求項24】
加工物を保持して加工物をプロセス流経路に沿って輸送するよう動作可能な材料取扱システムをさらに含み、ロックの後の位置合せ支持システムは材料取扱システムによって引張られることにより加工物とともにプロセス流経路に沿って進む、請求項23に記載の生産システム。
【請求項25】
位置合せ支持システムはゼロバランス装置を含む、請求項24に記載の生産システム。
【請求項26】
機械モジュールは位置合せ部材に沿って横断可能なフレームに設置されるドリルを含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項27】
フレーム上に設置され複数のドリル加工具を支持する自動ドリル交換器をさらに含み、ドリル交換器およびドリルはドリルに保持されるドリル加工具を交換するために協働する、請求項26に記載の生産システム。
【請求項28】
フレームに設置され、ドリルによって加工物にドリル加工された穴に留具を挿入するよう動作可能な留具挿入装置をさらに含む、請求項26に記載の生産システム。
【請求項29】
フレームは、留具によって接合される加工物の部品をともにクランプ締めするよう動作可能なクランプ機構を含む、請求項28に記載の生産システム。
【請求項30】
クランプ機構は、留具が延在する必要のあるクランプ締めされた部品の積重ね厚さを測定するよう動作可能であることによって、加工物の穴への挿入のための適切な長さの留具の選択を可能にする、請求項29に記載の生産システム。
【請求項31】
異なる長さおよび直径の留具を有する留具供給システムと、留具供給システムに接続されてクランプ締めされた部品の積重ね厚さに関するクランプ機構からの情報を受取るコントローラとをさらに含み、コントローラは留具供給システムを制御することによって留具供給システムに加工物の穴への挿入のために留具挿入装置に適切な長さおよび直径の留具を配達させる、請求項30に記載の生産システム。
【請求項32】
留具挿入装置は、リベットワイヤを加工物の穴に挿入し、リベットワイヤを据込み加工してクランプ締めされた部品をともに接合するリベットを形成するためのリベッタを含む、請求項31に記載の生産システム。
【請求項33】
留具供給システムは、クランプ締めされた部品の積重ね厚さに関する情報を受取り、積重ね厚さに基づいてリベットワイヤを適切なグリップ長さに切断して切断リベットワイヤをリベッタに供給するよう動作可能なリベットカッタを含む、請求項32に記載の生産システム。
【請求項34】
留具供給システムは他のリベットカッタとは異なる直径のリベットワイヤが各々に供給される複数のリベットカッタを含み、コントローラは加工物の所与の場所に対する指定されたリベット直径に基づいてリベットカッタの1つを選択するよう動作可能である、請求項33に記載の生産システム。
【請求項35】
ドリルは、加工物中に穴がドリル加工されるドリル加工方向を変化させるために少なくとも1つの回転軸に関して回転可能である、請求項26に記載の生産システム。
【請求項36】
各々に異なる機械モジュールが設置され、各々が加工物に設置される位置合せ装置を係合および分離するよう動作可能である複数の位置合せシステムを含む、請求項1に記載の生産システム。
【請求項37】
機械モジュールは位置合せ部材に沿った機械モジュールの長手方向の位置を定めるよう動作可能であり、位置合せ部材は第1の位置合せ装置を係合し、機械モジュールは第1の位置合せ装置から長手方向に間隔をおかれた第2の位置合せ装置を係合し、機械モジュールと通信するコントローラをさらに含み、機械モジュールはコントローラに機械モジュールの長手方向の位置を示す信号を送り、コントローラは機械モジュールが第2の位置合せ装置と係合されるときに機械モジュールからの信号に基づいて第1および第2の位置合せ装置間の加工物の長手方向の成長を定めるよう動作可能である、請求項1に記載の生産システム。
【請求項38】
加工物を加工するための生産システムであって、
加工物を保持して加工物をプロセス流経路に沿って輸送するよう動作可能な材料取扱システムと、
加工物に関する知られる位置および向きにおいて加工物に対して固定される位置合せシステムと、
位置合せシステムに接続されて加工物の加工に用いられる1つまたはそれ以上の器具を支持する位置合せ支持システムとを含み、材料取扱システムは加工物をプロセス流経路に沿って移動させ、位置合せシステムを伴う位置合せ支持システムを加工物とともに受動的に輸送させる、生産システム。
【請求項39】
位置合せ支持システムはゼロバランス装置を含む、請求項38に記載の生産システム。
【請求項40】
位置合せ支持システムは車輪のあるカートを含む、請求項38に記載の生産システム。
【請求項41】
位置合せ支持システムはばね懸垂を含む、請求項38に記載の生産システム。
【請求項42】
位置合せ支持システムは床に沿って摺動する摺動基部を含む、請求項38に記載の生産システム。
【請求項43】
基部上に支持されて位置合せシステムに接続される機械をさらに含み、位置合せシステムは加工物に付けられた1対の位置合せ装置をクランプ締めするよう動作可能な位置合せ部材を含むことにより、機械を伴う基部がプロセス流経路に沿って加工物とともに引張られ、機械は基部および機械が加工物とともに移動する際に加工物に1つまたはそれ以上の作業動作を行なうよう動作可能である、請求項42に記載の生産システム。
【請求項44】
基部は開始場所と終了場所との間で前後に摺動するよう動作可能であり、位置合せ部材は基部が終了場所に達したときに位置合せ装置から分離するよう動作可能であることによって基部が開始場所に戻れるようにする、請求項43に記載の生産システム。
【請求項45】
基部上に支持されて位置合せシステムに接続される機械をさらに含み、機械は位置合せシステムをクランプ締めするよう動作可能であることにより、機械を伴う摺動する基部がプロセス流経路に沿って加工物とともに引張られ、機械は基部および機械が加工物とともに移動する際に加工物に1つまたはそれ以上の作業動作を行なうよう動作可能である、請求項42に記載の生産システム。
【請求項46】
位置合せシステムは位置合せ部材に沿って延在する機械読取可能な位置符号化ストリップを有する長手方向に延在する位置合せ部材を含み、位置合せ部材を係合する機械をさらに含み、機械は位置符号化ストリップを読取ることによって加工物に対する機械の位置を定めるよう動作可能である、請求項38に記載の生産システム。
【請求項47】
加工物を加工するための生産システムであって、
加工物の知られる場所に除去可能に付けられた複数の位置合せ装置を含み、各位置合せ装置は加工物の異なる区域に近接し、各位置合せ装置は前記位置合せ装置に対して一意の識別子を保存する機械読取可能センサを有し、前記生産システムはさらに
各位置合せ装置のセンサに保存される識別子を読取るよう動作可能な読取器と、
読取器から識別子を受取るために読取器に接続されるコントローラとを含み、コントローラは加工物の各区域に対するプロセス情報によって予めプログラムされ、各区域に対するプロセス情報は前記区域に近接して場所決めされる位置合せ装置のセンサに保存される識別子に対応付けされ、コントローラは読取器によって読取られる識別子に基づいて各区域に対するプロセス情報を取出すよう動作可能である、生産システム。
【請求項48】
取出されたプロセス情報を作業者による使用のための視覚的な形に変換するための装置をさらに含む、請求項47に記載の生産システム。
【請求項49】
取出されたプロセス情報を視覚的な形に変換するための装置は、取出されたプロセス情報に基づいて加工物にマーク付けを施すよう動作可能なマーク付け装置を含む、請求項48に記載の生産システム。
【請求項50】
マーク付け装置はインク装置を含む、請求項49に記載の生産システム。
【請求項51】
マーク付け装置は、加工物に対する2軸位置決めシステムの位置および向きを固定するために1対の位置合せ装置を係合する2軸位置決めシステムに設置される、請求項49に記載の生産システム。
【請求項52】
取出されたプロセス情報を視覚的な形に変換するための装置は、取出されたプロセス情報に基づいて加工物に視覚情報を投射するためのプロジェクタを含む、請求項48に記載の生産システム。
【請求項53】
取出されたプロセス情報を視覚的な形に変換するための装置はモニタを含む、請求項48に記載の生産システム。
【請求項54】
各位置合せ装置は加工物に形成された穴に取外し可能に設置されるピンを含む、請求項48に記載の生産システム。
【請求項55】
加工物を加工するための生産システムであって、
加工物の知られる場所に除去可能に付けられた複数の位置合せ装置を含み、各位置合せ装置は加工物の異なる区域に近接し、各位置合せ装置は前記位置合せ装置に対して一意の識別子を保存する機械読取可能センサを有し、前記生産システムはさらに
各位置合せ装置のセンサに保存される識別子を読取るよう動作可能な読取器と、
読取器から識別子を受取るために読取器に接続されるコントローラとを含み、コントローラは加工物にドリル加工される穴の場所を指示する情報を含む加工物の各区域に対するプロセス情報によって予めプログラムされ、各区域に対するプロセス情報は前記区域に近接して場所決めされる位置合せ装置のセンサに保存される識別子に対応付けされ、コントローラは読取器によって読取られる識別子に基づいて各区域に対するプロセス情報を取出すよう動作可能であり、前記生産システムはさらに
コントローラに接続され、コントローラによって制御されて加工物の各区域に対するプロセス情報において指示される場所に穴をドリル加工するよう動作可能なドリル加工装置を含む、生産システム。
【請求項56】
ドリル加工装置は2軸位置決めシステムに設置されるドリルヘッドを含む、請求項55
に記載の生産システム。
【請求項57】
2軸位置決めシステムは加工物に付けられた1対の位置合せ装置を取外し可能に係合するよう動作可能であることによって、加工物に対して2軸位置決めシステムの位置および向きを固定する、請求項56に記載の生産システム。
【請求項58】
製造動作における参照特徴として用いるために加工物に設置するための位置合せ装置であって、
加工物に取付けて加工物に形成される穴を係合することによって位置合せ装置を加工物に対して場所決めするよう構造化および配置されるハウジングと、
ハウジングに設置される機械読取可能センサとを含み、センサは識別子を保存することによって、識別子は加工物上の位置合せ装置の場所に対応付けられ得る、位置合せ装置。
【請求項59】
ハウジングは一般的にピン形の構成を有する、請求項58に記載の位置合せ装置。
【請求項60】
ハウジングは、加工物の対向側に位置決めされ、かつ加工物の穴を通るシャフトによってともに接続される第1の部分および第2の部分を有する、請求項58に記載の位置合せ装置。
【請求項61】
第1および第2の部分の各々は位置参照を与える少なくとも1つの基準面を定める、請求項60に記載の位置合せ装置。
【請求項62】
センサは第1および第2の部分の一方に場所決めされ、他方の部分は中に第2のセンサを有する、請求項60に記載の位置合せ装置。
【請求項63】
ハウジングはXおよびY位置参照を与える少なくともXおよびY基準面を定める、請求項58に記載の位置合せ装置。
【請求項64】
ハウジングはZ位置参照を与えるZ基準面をさらに定める、請求項63に記載の位置合せ装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図14F】
【図14G】
【図14H】
【図14I】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図14F】
【図14G】
【図14H】
【図14I】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2006−502010(P2006−502010A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−539888(P2003−539888)
【出願日】平成14年10月28日(2002.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2002/034506
【国際公開番号】WO2003/037564
【国際公開日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願人】(591009037)ザ・ボーイング・カンパニー (15)
【氏名又は名称原語表記】THE BOEING COMPANY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年10月28日(2002.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2002/034506
【国際公開番号】WO2003/037564
【国際公開日】平成15年5月8日(2003.5.8)
【出願人】(591009037)ザ・ボーイング・カンパニー (15)
【氏名又は名称原語表記】THE BOEING COMPANY
【Fターム(参考)】
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