説明

色フィルタ層整列

反射型ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ等のディスプレイを製造する方法を提供する。その一例は、アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリに対し、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を整列させる方法である。本方法では、第1群に属する画素形成素子を、その群に属する個々の画素形成素子のアクティべーション状態が変化するようアクティベートする。少なくとも、第1群に属するアクティベート済の画素形成素子に従い、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子のディスプレイアセンブリに対する目標整列状態を決定する。その目標整列状態に従い、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子をディスプレイアセンブリに対し整列させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多色表示装置で使用される色フィルタ、特にパターン層をなす複数個の色フィルタ素子をディスプレイアセンブリの表面に対し整列させる方法に関する。本方法は、例えば液晶ディスプレイや電気泳動ディスプレイの製造に役立つものである。
【背景技術】
【0002】
今日では、可視情報を表示可能な電子式カラーディスプレイが様々な方式で実現されている。それらのディスプレイでは、可視情報の一種である色情報が色フィルタによって生成されることが多い。まず、液晶ディスプレイ(LCD)は、2枚の透明電極間に液晶素材層を挟み込んだ構成を有している。その透明電極間への電界印加で液晶分子の整列状態、ひいてはそのディスプレイの輻射光透過特性を変化させる仕組みであるため、液晶ディスプレイでは、ディスプレイから部位選択的に出射される光に色フィルタを適用して色情報を表現させることが多い。
【0003】
次に、有機発光ダイオード(OLED)は発光ダイオード(LED)の一種であり、有機素材で形成された電界発光層(OLED素材層)を有している。これを用いたディスプレイは、バックライト照明器が原則として必要ないため、液晶ディスプレイ等の他種ディスプレイ比べ低消費電力且つ薄型であるのが普通である。カラーのOLEDディスプレイは幾通りかの方式で構成することができ、そのなかには有色光を発するOLED素材を使用するため受動的な色フィルタが不要な方式もあるが、白色OLED光源を使用する方式では色情報表示のため色フィルタが併用されている。
【0004】
そして、電気泳動ディスプレイでは、通常、電界を用い荷電粒子を移動させることで、そのディスプレイを組成する画素の透過/反射状態を変化させている。電気泳動ディスプレイは、表示用の画素をバックライトで照明するタイプの従来型ディスプレイと違い可撓性、外光反射性等に優れていて、その点で通常の紙と似ているため電子ペーパ、eペーパ等と呼ばれることがある。電気泳動ディスプレイの多くでは、エネルギを追加供給することなく、表示されている画像をそのまま表示させ続けることができる。電気泳動ディスプレイで色情報を表示させる手法としては、有色荷電粒子を使用する手法、有色電極を使用する手法等、様々な手法が提案されており、そのなかには色フィルタを使用する手法も含まれている。
【0005】
これら、ディスプレイパネル内で使用される色フィルタは、複数個の色フィルタ素子をあるパターンに従い配置した構成を採るのが普通である。そのパターン即ち色フィルタ素子パターンは、例えばレッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)の各色フィルタ素子で形成されるものであるが、その他の色、例えばシアン、マゼンタ及びイエローの各色フィルタ素子で形成することもできる。更に、色フィルタ素子の並べ方には様々なバリエーションがある。図1Aに、従来からあるストライプ配置の色フィルタ10の一部を示す。この配置では、複数個のR色フィルタ素子12Aからなるカラム、複数個のG色フィルタ素子12Bからなるカラム及び複数個のB色フィルタ素子12Cからなるカラムが、その表面13上に順繰りに現れている。以下、素子12A、12B、12C等の色フィルタ素子をまとめて色フィルタ素子12と呼ぶことにする。図中の色フィルタ10は液晶ディスプレイ用の色フィルタであり、そのため色フィルタ用ブラックマトリクス15(略してマトリクス15)を備えているが、電気泳動ディスプレイ等の反射型ディスプレイではマトリクス15は必要ない。この図では、細長い色フィルタ素子ストライプをマトリクスセル17(略してセル17)で分断することで、個々の色フィルタ素子12が形成されている。
【0006】
色フィルタにおける色フィルタ素子配置は、図1Aに例示したストライプ配置に限らず様々な配置にすることができる。例えば、複数個の色フィルタ素子がカラム沿い方向及びロー沿い方向の双方に沿い順繰りに現れるモザイク配置や、種類の異なる色フィルタ素子が三角形をなすデルタ配置(図示せず)である。これら、モザイク配置やデルタ配置は、個々の色フィルタ素子が島のように見えるアイランド配置の一種である。図1Bに、従来からあるモザイク配置の色フィルタ10の一部を示す。この配置では、色フィルタ素子12A、12B及び12Cで複数本のカラムが形成されており、それらの素子12A、12B及び12Cがカラム沿い方向及びロー沿い方向の双方に沿い順繰りに現れている。なお、ここでは方形の色フィルタ素子で形成されるパターンを示したが、他の形状を有する色フィルタ素子、例えば三角形や山稜形の色フィルタ素子で形成されたパターンも知られている。
【0007】
色フィルタは、そのディスプレイで使用されている様々な基板上に様々な手法で形成することができる。既存の手法としては、例えばフォトリソグラフィプロセス、電気化学的プロセス、(インクジェット印刷等の)印刷プロセス等がある。レーザ誘起熱転写プロセス等の直接露出プロセスも提案されている。例えばレーザ誘起熱転写プロセスを用い色フィルタを製造する製造手法では、まずレシーバ要素の一種である色フィルタ基板にドナー要素を載せ、それを像状露光することでドナー要素からレシーバ要素へと着色剤を部位選択的に転写させる。着色剤をレシーバ要素に転写させる手段としては、レーザビーム等の輻射ビームを使用するのが望ましい。低コストで寸法が小さいダイオードレーザが特に適している。
【0008】
なお、使用できるレーザ誘起熱転写プロセスには、レーザ誘起ダイ転写プロセス、レーザ誘起メルト転写プロセス、レーザ誘起アブレーション転写プロセス、レーザ誘起マス転写プロセス等がある。レーザ誘起熱転写プロセスで転写できる着色剤には、ある種の顔料ベース組成着色剤やある種の染料ベース組成着色剤がある。他の要素例えば一種類又は複数種類のバインダを転写することもできる。
【0009】
こうしたカラーディスプレイで使用される画素のアクティべーションは、そのディスプレイを構成している電極構造その他の能動コンポーネント(画素形成素子)によって制御されるので、そのディスプレイで最終的に得られる画質は、画素形成素子とそれに対応する色フィルタ素子との間の整列状態を概ね目標整列状態にすることができるか否かに強く依存している。しかし、目標整列状態の実現を妨げる要因は数多くある。例えば、ディスプレイ内部材ではその基板素材としてガラスが広く用いられているが、別種素材例えばプラスチックからなる基板の使用が望まれることがある。特に、可撓性の高さ、コストの低さ等の特質がそのディスプレイに求められる場合である。しかし、ガラスに比べてプラスチックの方が、温度変化、湿度変化等の環境変化に曝されたときの寸法変化や歪が大きくなりやすい。プラスチック基板には、ディスプレイ製造時に実行される様々な処理工程の影響による寸法変化や歪が生じやすいものもある。両方の寸法変化乃至歪が共に現れるものもある。このように、ディスプレイアセンブリ表面に対し、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を所望の如く整列させること(例えば整列するよう形成すること)が望まれてはいるが、目標整列状態に従い色フィルタを整列させることは難しいものである。
【0010】
ディスプレイアセンブリに対する色フィルタ層の最終的な整列状態を制約する要因は、各種ディスプレイ内基板の素材特性だけではない。例えば、そのディスプレイの光学的仕様を満たすため各種ディスプレイ内電極が実質的に透明又は無色でなければならない場合、その電極に対する位置合わせを画像ベースで行うのは難しいものである。逆に、ディスプレイ構成部材のどれかに幾ばくかでも不透明性があると、所望の色フィルタ整列状態が実現されていても判らないことがある。例えば電気泳動ディスプレイでは、画素電極間に配される電気泳動素材が不透明であるため、色フィルタ層と画素電極との間に所望の整列状態が実現していても判らないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6957773号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子とディスプレイアセンブリのその他構成要素との間に所望の整列状態を成立させる、実効的且つ現実的な方法及びシステムが求められている。
【0013】
また、そのディスプレイアセンブリのその他構成要素に対し所望の整列状態が成立するよう、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子をディスプレイアセンブリ上に形成する、実効的且つ現実的な方法及びシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
ここに、本発明はディスプレイの製造、例えば反射型ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ等の製造に関する。本発明の一実施形態に係る方法では、プリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間に相対運動をもたらしつつ、パターン層をなすよう複数個の色フィルタ素子をディスプレイアセンブリ上に形成する。それら色フィルタ素子の形成は、例えば、レーザ誘起熱転写プロセス(レーザ誘起ダイ転写プロセスやレーザ誘起マス転写プロセス)等のプロセスでドナー要素からディスプレイアセンブリ表面へと素材を転写することで、或いはインクジェットプロセスでディスプレイアセンブリ表面に画像形成素材を転写することで行う。
【0015】
本発明の他の実施形態は、アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリに対し、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を整列させる方法である。本方法では、その群に属する個々の画素形成素子のアクティべーション状態が変化するよう、第1群に属する画素形成素子をアクティベートする。アクティべーション状態とは例えばオン状態のことである。変化させる先のアクティべーション状態は、例えば、第2群に属する画素形成素子のそれとは異なるアクティべーション状態とする。アクティべーション状態は、例えば、個々の画素形成素子に対し一種類又は複数種類のアクティべーション信号を供給することで変化させる。次いで、第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子、第2群に属する画素形成素子又はその双方を利用し、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子のディスプレイアセンブリに対する目標整列状態を決定する。そして、その目標整列状態に従い、当該パターン層をなす複数個の色フィルタ素子をディスプレイアセンブリに対し整列させる。
【0016】
本方法では、例えば、ディスプレイアセンブリ表面から部位選択的に光が出射されるよう、或いはディスプレイアセンブリの部位毎に別様に光が反射されるよう、第1群に属する画素形成素子を第2群に属する画素形成素子とは別様にアクティベートする。
【0017】
色フィルタ素子は、パターン層が形成されるよう上掲の諸プロセスのうちいずれかでディスプレイアセンブリの表面に形成するとよい。この色フィルタ素子形成は、例えば、画素形成素子のうち少なくとも1個を他の画素形成素子とは異なるアクティべーション状態に保ちつつ実行する。アクティベートされている画素形成素子は例えばセンサで検出する。ディスプレイアセンブリの表面やアクティベートされている画素形成素子は例えば照明器で照明する。
【0018】
パターン層が形成されるよう複数個の色フィルタ素子をディスプレイアセンブリの表面に形成する際には、例えば、個別アドレッシング可能な複数個のチャネルを備えるプリントヘッドを作動させるようにするとよい。それによってディスプレイアセンブリの表面に輻射ビームが送られ又は画像形成素材が転写されてその面上に画像が発生する過程で、チャネルのうち一部のアクティベートタイミングを調整することができる。
【0019】
パターン層が形成されるよう複数個の色フィルタ素子をディスプレイアセンブリの表面に形成する際には、或いは、モーションシステムを用いプリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間に相対運動を発生させるようにするとよい。その過程で、プリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間相対運動、例えばプリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間相対速度や走査方向に対するプリントヘッドの向きを調整することができる。
【0020】
ディスプレイアセンブリの表面に生じている画像の一部をイメージセンサで撮影し、輻射ビームとイメージセンサの位置関係を判別するようにしてもよい。
【0021】
本発明の他の実施形態は、アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリの上に、複数個の色フィルタ素子を形成する方法である。本方法では、まず、ドナー要素をディスプレイアセンブリ、ディスプレイアセンブリを支持部にそれぞれ載せる。次いで、その群に属する個々の画素形成素子のアクティべーション状態が変化するよう、第1群に属する画素形成素子をアクティベートする。更に、それら第1群に属する画素形成素子をセンサで検出し、少なくとも、それら第1群に属する画素形成素子の検出結果を利用し、整列状態情報を導出する。次いで、プリントヘッドを作動させることでビームを輻射させ、その輻射ビームでドナー要素上に成像する。この成像によって、ドナー要素からディスプレイアセンブリへと画像形成素材が転写されていく。その画像形成素材によってそのディスプレイアセンブリ上に複数個の色フィルタ素子が形成されることとなるよう、ドナー要素上への成像に際しては、少なくとも整列状態情報を含む情報に従いプリントヘッドを制御する。
【0022】
本発明の他の実施形態は、アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリの表面に複数個の色フィルタ素子を形成する装置である。本装置は、ディスプレイアセンブリを受容する支持部と、チャネル間で画像構成部分を分担しつつディスプレイアセンブリの表面に画像を発生させることができるよう複数のチャネルが配列されたプリントヘッドと、その群に属する個々の画素形成素子のアクティべーション状態が変化するよう第1群に属する画素形成素子をアクティベートする制御回路と、第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子を検出するセンサと、1個又は複数個のコントローラと、を備える。そのコントローラでは、少なくとも第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子の検出結果に基づき整列状態情報を導出し、その整列状態情報に従いプリントヘッドを制御することで、ディスプレイアセンブリの表面に複数個の色フィルタ素子を形成させる。例えば、チャネルのうち一部のアクティベートタイミングを調整するようコントローラを構成しておく。プリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間に相対運動をもたらすモーションシステムを設け、その運動をコントローラが整列状態情報に従い制御するようにしてもよい。
【0023】
プリントヘッドは、例えば、走査方向沿いにディスプレイアセンブリの表面を走査しつつ、その面上に複数個の色フィルタ素子を形成する構成にするとよい。コントローラは、整列状態情報に従いアクチュエータを制御することで、走査方向に対するチャネルの配列方向を調整する構成にするとよい。プリントヘッドは、画像形成素材をディスプレイアセンブリの表面に転写させ、そこに複数個の色フィルタ素子を形成する構成にするとよい。例えば、プリントヘッドからビームを輻射させ、そのビームで画像形成素材をドナー要素からディスプレイアセンブリの表面へと転写させることでその面上に画像を発生させ、それによってその面上に複数個の色フィルタ素子を形成させる。
【0024】
本発明の他の実施形態は、アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリに対し、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を整列させる方法である。本方法では、まず、第2群に属する画素形成素子とは異なるアクティべーション状態になるよう、第1群に属する画素形成素子をアクティベートする。次いで、第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子、第2群に属する画素形成素子又はその双方を利用し、整列状態情報を導出する。更に、その整列状態情報に従い、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子をディスプレイアセンブリに対し整列させる。第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子又は第2群に属する画素形成素子のうち、いずれかに該当する少なくとも1個の画素形成素子を、センサを用い検出するとよい。第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子又は第2群に属する画素形成素子のうち、いずれかに該当する少なくとも1個の画素形成素子を、撮影装置を用い撮影してもよい。パターン層が形成されるよう、またそのパターン層がディスプレイアセンブリに対し整列するよう、複数個の色フィルタ素子を整列状態情報に従い形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】従来型色フィルタの一部を示す平面図である。
【図1B】他の従来型色フィルタの一部を示す平面図である。
【図1C】電気泳動ディスプレイアセンブリ及び色フィルタを備える従来型電気泳動ディスプレイを示す分解斜視図である。
【図1D】液晶ディスプレイアセンブリ及び色フィルタを備える従来型液晶ディスプレイを示す分解斜視図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係り、ディスプレイアセンブリを装着してその上の画素形成素子群をアクティベートすることができるよう構成されている装置を示す模式的平面図である。
【図2B】本発明の一実施形態に係る図2Aの装置、特に複数個の色フィルタ素子からなるパターン層をディスプレイアセンブリに対し整列するよう形成している状態を示す模式的平面図である。
【図2C】図2Aに示した装置の一部を示す模式的側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態におけるビームファインダの構成を示す図である。
【図5】図4のビームファインダで発生する信号並びにその第1及び第2ピークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本件技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)に更なるご理解を頂くため、より詳細且つ具体的に説明する。但し、理解しづらい記述になることを避けるため、周知要素については詳細な説明や図示を省略してある。即ち、以下の説明及び図示は、構成要素を特定するというより説明するためのものである。加えて、別紙図面は実物の均等縮尺図ではなく、その一部に明瞭化のための強調が施されている。
【0027】
図2A、図2B及び図2Cに、本発明の一実施形態にて使用される装置50を模式的に示す。この装置50では、ディスプレイアセンブリ20に対し整列するよう、複数個の色フィルタ素子12からなるパターン層を露出プロセスで形成する。露出プロセスは輻射ビームで画像を発生させるプロセスである。露出プロセスで使用されうる画像発生手法は幾つかある。例えば、可修飾成像層の特性乃至性質を変化させることでその上に画像を発生させる、面に対するアブレーション(切除)によってその面に画像を発生させる、画像形成素材を面上に転写させることでその面に画像を発生させる、等といった手法である。これらの露出プロセスは本発明における色フィルタ形成に役立つものであるが、露出プロセス以外の画像形成プロセスを使用して本発明を実施することもできる。例えば、ディスプレイ特性の判別結果に従い画像構成要素形成処理を容易に調整可能な画像形成プロセスであれば、本発明を好適に実施することができる。これに該当する画像形成プロセスとしては、各種のインクジェット印刷プロセス等がある。
【0028】
本実施形態で使用されているのは熱転写型の露出プロセスである。これは、レーザ等の輻射源(図示せず)を備えるプリントヘッド26を使用し、ドナー要素24からディスプレイアセンブリ20の表面18へと画像形成素材(図示せず)を転写させるプロセスである。図では面18を明示するためドナー要素24が面18より小さく描かれているが、要素24は必要に応じ面18の一部分だけを覆うようにも複数部分を覆うようにも配することができる。また、ヘッド26は、個別に制御を受けつつ輻射ビームを発するチャネル40を備えている。チャネル40の個数は1個でもよいが、本実施形態では、チャネルアレイ43が形成されるよう複数個のチャネル40が配列されている。成像用電子回路38は、それらのチャネル40によるビームの輻射を、コントローラ60から与えられる画像データ62に従い制御する。
【0029】
プリントヘッド26から輻射されたビームがディスプレイアセンブリ20に達すると、その表面18に画像形成素材が像状に転写される。熱転写プロセスを使用しているので、この露出工程1回で形成できる色フィルタ素子12のパターンは一種類である。複数の色フィルタ素子パターンを形成するには、使用するドナー要素をそれまでの色のものから次の色のものに換えて露出工程を再実行する。こうした転写で幾つかの色フィルタ素子パターンからなる色フィルタ10が得られたら、必要に応じそのフィルタ10を一種類又は複数種類の処理工程に供する。例えば、フィルタ10を保護するための層等、一種類又は複数種類の層(図示せず)を付加・形成する。
【0030】
また、プリントヘッド26で発生し面18に送られる輻射ビームは、発生させるべき画像を示す画像データ62に従い像状に変調される。これにより、チャネル40のうち画像構成要素の形成に関わるべきものが駆動され、そのチャネル40からビームが輻射される一方で、そうした画像構成要素に関係していないチャネル40は不要部位に画像が発生しないよう制御される。
【0031】
本実施形態では、それらのチャネル40を画像データ62に従い制御する際、ドナー要素24が上方から輻射ビームで走査され面18上に画像が発生するよう、プリントヘッド26・ディスプレイアセンブリ20間に相対運動を発生させる。この運動は、ヘッド26を固定しアセンブリ20を動かすこと、アセンブリ20を固定してヘッド26を動かすこと、或いはヘッド26とアセンブリ20を共に動かすことで発生させる。また、本実施形態では、瞬間的な露出と瞬間的な露出の合間にヘッド26・アセンブリ20間相対運動を発生させるステップアンドリピート方式に従い、そのヘッド26に面18を露出させる。面18が大きすぎ1回の露出乃至走査で画像を形成しきれない場合は、ヘッド26に対する露出乃至そのヘッド26による走査を複数回実行することで、その面18上にその画像を発生させる。
【0032】
こうしたプリントヘッド26・ディスプレイアセンブリ20間相対運動は様々な機構で実現できる。例えば、実質的に平坦な面上に画像を形成する処理であるので、フラットベッドマーキングシステムを使用することができる。特許文献1(発明者:Gelbart)には、ディスプレイパネル露出に適した高速フラットベッドイメージャが記載されている。そのディスプレイアセンブリが十分可撓であれば、ドラム状の支持部の外面又は内面に固定した上で、そのディスプレイアセンブリ上に画像を形成することもできる。
【0033】
本実施形態の場合、図2Aに示す如く、可動式の媒体支持部たるキャリア51にディスプレイアセンブリ20を載せる。このキャリア51は、主走査軸42に対し平行な経路に沿い、順方向42A及び逆方向42B(順方向42Aに対して逆の方向)へと、アセンブリ20を動かせるように構成されている。アセンブリ20の移動方向はそれら順方向42A・逆方向42B間で随時反転される。本実施形態では、また、そのキャリア51を跨ぐ支持部53にプリントヘッド26が載っている。支持部53は、副走査軸44に対し平行な経路に沿い、アウェイ方向44A及びホーム方向44B(アウェイ方向44Aに対して逆の方向)へと、ヘッド26を動かせるように構成されている。ヘッド26による走査、即ちそのヘッド26に発する輻射ビームでドナー要素24を上方から走査し面18に画像を発生させる動作は、どちらの方向に移動しているときでも行うことができる。この双方向走査は正反対の二移動方向で走査を行う技術であり、露出プロセスの生産性向上に役立っている。
【0034】
これら、キャリア51やプリントヘッド26を動かしているのはモーションシステム52である。これは単体の又は複合的なモーションシステムであり、相応の駆動部材、伝達部材、案内部材等で構成されている。いわゆる当業者には自明な通り、この装置50内の様々なシステムを互いに別のモーションシステムで駆動する構成にすることもできる。
【0035】
このモーションシステム52を含め、この装置50を構成するシステム乃至システム群はコントローラ60によって制御されている。コントローラ60は単体の又は複合的なコントローラであり、プリントヘッド26に画像データ62を送りそのデータ62に従い輻射ビームを発するようそのヘッド26を制御する動作、センサや照明器の類を制御する動作、更には本装置50の外部にあるシステムを制御する動作にも必要に応じ使用される。そうした制御には様々な制御信号乃至様々な制御手法が使用される。コントローラ60は、必要なソフトウェアを実行できるよう相応のハードウェア、例えばマイクロプロセッサ、オンチップ型のコンピュータ、コンピュータ用CPU、その他の適切なマイクロコントローラ等のデータプロセッサ(群)や、アクセシブルなメモリ、論理回路、ドライバ、増幅器、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、入出力ポート等のハードウェアで構成されている。コントローラ60を素材ハンドリングシステムと連携させることもできる。
【0036】
図3に、本発明の一実施形態に係る方法の流れを示す。これは、複数個の色フィルタ素子からなる層をディスプレイアセンブリ20に対し整列するように形成する方法である。以下、この図中の諸ステップに関し図2A、図2B及び図2Cに示した装置50を例に説明する(これは専ら説明のためであり他種画像形成装置でも本発明を実施できる)。まず、ステップ100ではアセンブリ20をキャリア51上に装着する。アセンブリ20は何らかの手法でキャリア51にしっかり固定する。使用できる固定手段は数多くあるが、例えば各種クランプ部材や低圧源(例えば真空源)を使用するとよい。
【0037】
ディスプレイアセンブリ20は、個別にアドレッシング可能な複数個の画素形成素子22を備えている。画素形成素子22のアクティべーション状態は、その素子22をアクティベートすることで個別に制御することができる。アクティべーション状態とは、画素形成素子22に係る特性乃至状態のうち、その素子22をアクティベートすると変化乃至変動するもののことである。その例としては、個々の画素形成素子22を相応の制御信号で制御することで素子22毎に変化させうる光学特性(透過特性や反射特性)等、アセンブリ20の動作条件に基づく制御で素子22毎に変化させうる様々な特性乃至状態がある。ディスプレイを構成する種々の有色画素を形成する際には、その有色画素に対応する個々の画素形成素子22に対し色フィルタ素子12を整列させる(或いは画素形成素子22に対し整列するよう色フィルタ素子12を形成する)のが望ましい。更に望ましいのは、複数個の色フィルタ素子12で形成されるパターン層を、それに対応する画素形成素子22で形成されるパターンに対し整列させる(或いは画素形成素子22のパターンに対し整列するよう色フィルタ素子12のパターン層を形成する)ことである。
【0038】
画素形成素子22には様々な実現形態があり、その組込先ディスプレイの種類に応じそのいずれかが採用される。図1Cに、その例として、電気泳動ディスプレイアセンブリ20A及び色フィルタ10を備える従来型電気泳動ディスプレイの分解斜視外観を模式的に示す。図中のアセンブリ20Aは、完成したディスプレイにおける所要画素配置に従い行列状に並ぶ複数個の画素形成素子22Aを備えている。アセンブリ20Aは、電極板81と電極板82の間に電気泳動素材83を配した構造であり、電極板81及び82上には素子22Aを個別にアクティベートするための電極が幾つか形成されているされている。電極板81は透明、例えば無色透明であり、素材83は誘電液84中に荷電粒子85を分散させたものである。個々の素子22Aの特性を決めているのは、素材83を仕切り86で区切ることで形成されるセルである。素材83をこうして区切ることで、粒子85の液84内不要移動を抑えることができる。
【0039】
色フィルタ10は、カラーディスプレイ製造時にこの電気泳動ディスプレイアセンブリ20Aと併用される部材である。完成したディスプレイを作動させる際には、これらアセンブリ20A及びフィルタ10を動作上の条件に従い制御することで、所望色画素のパターンを発生させることができる。例えば、電極板81・82間に電圧を印加することで、荷電粒子85を透明な電極板81に近づけることや、その電極板81から遠ざけることができる。粒子85の色は例えば明色(ホワイト等)、誘電液84の色は例えば暗色(ブラック等)である。ディスプレイを構成している個別の有色画素をアクティベートするには、その画素に係る画素形成素子22Aに対し対応する色フィルタ素子12を適切に整列させておき、その素子22Aに対し選択的に電圧を印加すればよい。具体的には、明色の粒子85が電極板81に近づくよう色フィルタ素子12のうちR色のもの(12A)に対応する画素形成素子22Aを制御すると、そのフィルタ素子12Aを透過した外光がその粒子85で反射され戻って来るため、その画素の見た目の色がR色となる。逆に、その粒子85が電極板82に近づくようその画素形成素子22Aを制御すると、色フィルタ素子12Aを透過した外光が暗色の液84によって吸収されるため、その画素の見た目の色が暗色となる。従って、アセンブリ20Aをフィルタ10と併用することで、カラーディスプレイを形成することができる。更に、いわゆる当業者には自明な通り、これ以外の種類の電気泳動ディスプレイアセンブリもカラーディスプレイ用に使用することができる。例えば、使用する粒子の色が異なるもの、使用する粒子の電荷が異なるもの、使用する電極の構成が異なるもの等、様々な種類の電気泳動ディスプレイアセンブリを使用することができる。
【0040】
液晶ディスプレイアセンブリも本装置で使用することができる。図1Dに、液晶ディスプレイアセンブリ20B及び色フィルタ10を備える従来型液晶ディスプレイの分解斜視外観を模式的に示す。このアセンブリ20Bも、完成したディスプレイにおける所要画素配置に従い行列状に並ぶ複数個の画素形成素子22Bを備えている。アセンブリ20Bは透明な電極板91と薄膜トランジスタ(TFT)板92の間に液晶素材93の層を配した構造であり、照明器としてバックライト94も備えている。図示しないが、通常は、バックライト94・フィルタ10間に複数個の偏向電極が配置される。個々の画素形成素子22Bは、TFT板92上の画素電極95及びトランジスタ96、電極板91上の共通電極(図示せず)、並びに液晶素材93の一部で形成されている。フィルタ10は、カラーディスプレイが形成されるようこのアセンブリ20Bに対し相応に整列されている。完成したディスプレイ上で特定の有色画素を発色させる際には、画素電極95・共通電極間に多々あり液晶素材93を組成している分子が再配列されるよう、それら電極間に電圧を印加する。バックライト94から対応する色フィルタ素子12へと送られ所望の有色画素を発色させるに至る光の量は、この液晶分子再配列動作で決まってくる。このように、本発明では、ディスプレイアセンブリ20をフィルタ10と併用することで、カラーディスプレイを形成することができる。いわゆる当業者には自明な通り、電気泳動ディスプレイアセンブリや液晶ディスプレイアセンブリに限らずその他の種類のディスプレイアセンブリも使用することができる。そのアセンブリ20が個別に制御可能な複数個の画素形成素子22を備えていれば、個々の素子22を個別に制御しそのアクティべーション状態を変化させることで、対応する色フィルタ素子12越しに且つ画素選択的に有色光を現出させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、ディスプレイアセンブリ20を構成している個々の画素形成素子22に一種類又は複数種類のアクティべーション信号61を供給できるよう、そのアセンブリ20をキャリア51上に装着する際に幾個所かで回路を接続する。信号61は素子22のアクティべーション状態を画素選択的に変化させるための信号であり、アセンブリ20に対しキャリア51への装着後に供給される場合もあれば、装着前に供給される場合もある。例えば、電気泳動ディスプレイアセンブリの多くでは、ひとたびあるアクティべーション状態になったら、励起を受けない限りそのアクティべーション状態が保たれる。従って、そのアセンブリを構成している素子22のうち幾つかを選択的にアクティベートしてから、そのアセンブリをキャリア51上に装着することができる。
【0042】
ステップ110では、画素形成素子22のうち第1群27に属するものをアクティべーション信号(群)61に従い選択的にアクティベートすることで、その群27に属する素子22のアクティべーション状態を変化させる。具体的には、素子22の行列内で第2群28に属している素子22のアクティべーション状態とは異なるアクティべーション状態になるよう、第1群27に属する素子22をアクティベートする。図2A及び図2Bでは、明瞭化のため、凡例に従い、第1群27に属する素子22と第2群28に属する素子22を塗り分けてある。それら素子22に対し信号61を供給する制御回路としては、本件技術分野で既知の様々な制御回路を使用可能であるが、それらの素子22で構成されているディスプレイアセンブリ20の種類に見合ったものを使用するのが望ましい。また、本実施形態では、信号61をコントローラ60から画素形成素子22へと送るようにしているが、コントローラ60以外のコントローラ(本装置50の機能を制御しないコントローラでもよい)から素子22へと送る構成にすることもできる。いずれにせよ、第1群27に属する素子22をアクティベートすることで、後工程にて、色フィルタ素子12からなる1個又は複数個のパターン層をアセンブリ20上に好適に形成することが可能となる。本実施形態では第1群27に属する素子22で幾つかのカラムが形成されており、アクティベートによってそれらのアクティべーション状態が変化している。即ち、アクティベートされている素子22が、完成したディスプレイ例えばストライプ型ディスプレイに形成されるべき色別画素カラムに対応付けうるカラムを形成している。
【0043】
個々の画素形成素子22は、アクティベートによって様々なアクティべーション状態にすることができる。例えば、対応する色フィルタ素子12越しに有色光が見えるオン状態になるよう、画素形成素子22をアクティベートすることができる。対応する色フィルタ素子12越しに有色光がほとんど見えないオフ状態になるよう、素子22をアクティベートすることもできる。ディスプレイの種類によっては漏れ現象が生じるので、オフ状態になるよう素子22をアクティベートしたときでも、オン状態になるようアクティベートしたときの光量とは違うものの、なお幾ばくかの光が見えることがある。更に、そのアクティべーション状態が様々なアクティべーション状態間で切り替わり、対応するフィルタ素子12越しに見える光の量が変化するよう、指定された画素形成素子22をアクティベートすることもできる。例えば、三通り以上のアクティべーション状態を利用し、様々な階調値乃至グレースケール値を発現させることができる。
【0044】
本実施形態では、画素形成素子22のアクティべーション状態が第1群27及び第2群28のうち一方でオン状態になっているとき、他方でオフ状態になるようにしている。即ち、第1群27に属する素子22と第2群28に属する素子22を互いに別にアクティベートして別々のアクティべーション状態にすることで、第1群27と第2群28を区別できるようにしている。例えば、アクティべーション状態を別々にすることで、第1群27に属する素子22と第2群28に属する素子22とで光の種類、色又は量を違えることができる。
【0045】
ステップ120では、一群又は複数群の画素形成素子22を検出した上で、複数個の色フィルタ素子12によるパターン層に関し、ディスプレイアセンブリ20に対する目標整列状態を決定する。画素形成素子22の検出は、ある特定のアクティべーション状態を呈している素子22を検出する、複数通りのアクティべーション状態それぞれについて素子22を検出する、アクティべーション状態が変化した素子22を検出する、アクティべーション状態が変化していない素子22を検出する等といった形態で行える。本実施形態では、少なくとも、第1群27に属していてアクティベートされている画素形成素子22を検出し、例えばそれらの素子22についての幾何情報を導出する。本装置50は、図中「(SN)」で示した通り、そうした素子22を検出可能なセンサ55を備えている。本実施形態では、面18上にドナー要素24を配置するのに先立ち、そのセンサ55で個々の素子22を検出する。面18上にドナー要素24を配置した後に検出する構成にすることもできる。
【0046】
センサ55としては、画素形成素子22で生じるアクティべーション状態のうち、目的とする状態を他の状態より容易に検出可能なものを使用する。どのアクティべーション状態も同程度の容易さで検出できるものを使用してもよい。センサ55は例えば光学部品や電気部品で構成されており、本実施形態ではCCDセンサを備えた撮影装置(CCDカメラ)をセンサ55として使用している。CCDカメラを使用しているので、そのアクティべーション状態が変化した素子22等、様々な素子22を撮影することができる。また、本実施形態ではセンサ55がビジョンシステム54の一部を構成している。ビジョンシステム54はプリントヘッド26と共に支持部53沿いに動くよう構成されており、センサ55による素子22の検出を支援する様々な部材を備えている。図中に「(MS)」で示した顕微鏡56や「(IL)」で示した照明器57である。照明器57にはディスプレイアセンブリ20方向に輻射する輻射源が備わっているので、照明器57を使用することで、面18を照明すること、例えばセンサ55で検出したい素子22を照明することができる。こうした照明器57には幾つかの点で必要性がある。例えば、電気泳動ディスプレイ等の反射型ディスプレイアセンブリで素子22に生じるアクティべーション状態のなかには、外部照明無しでは検出できないものがある。また、液晶ディスプレイアセンブリ等、内部光源を備えるディスプレイアセンブリ20でも、外部照明があれば、指定された素子22からセンサ55に届く光を強くし、そのセンサ55で容易に検出できるレベルにすることができる。そのため、本実施形態では照明器57にフラッシュ機能を持たせている。
【0047】
本実施形態では、こうしたセンサ55で個々の画素形成素子22を検出する際、そのセンサ55をその素子22に近づけるようにしている。この相対運動は、センサ55、ディスプレイアセンブリ20の装着先キャリア51、或いはその双方を動かすことで実行する。センサ信号58は、個々の素子22が検出されるのに応じセンサ55・コントローラ60間で伝送される。エンコーダ信号(群)59はキャリア51やセンサ55の位置を識別するための信号であり、モーションシステム52で生成されてコントローラ60へと送られる。
【0048】
本実施形態では、また、第1群27に属する個々の画素形成素子22を見つけ出すため、照明器57及びセンサ55の動作をモーションシステム52と同期させている。具体的には、その一部が顕微鏡56下に来るようディスプレイアセンブリ20をモーションシステム52で位置決めした上で、照明器57を作動させて所定距離範囲内をフラッシュ光で照明し、照明されている間にセンサ55内のCCDで撮影を行うようにしている。モーションシステム52を高速で動作させる際には、発生させるフラッシュ光を明るめにする。本実施形態では、プリントヘッド26及びそれに付随するビジョンシステム54を副走査軸44に沿いこうして様々な位置に位置決めする。更に、その副走査位置にてモーションシステム52を作動させ、主走査軸42に対し平行な経路沿いにアセンブリ20を動かし、ビジョンシステム54で撮影を行う。アセンブリ20上にある所定の諸点につき一連の画像を得るこのプロセスのことを、ここではダイナミック撮影と呼んでいる。
【0049】
使用する顕微鏡56の視野が通常は狭いため、本装置50では、第1群27に属する個々の画素形成素子22を見つけ出すべく多画像探索を実行する。これは、米国カリフォルニア州リバモア所在のAdept Technologies,Inc.によって頒布されているAdept Hexsight(商品名)等の幾何測位ソフトウェアを使用し、個々の撮影済画像に特定の素子22が現れているか否かを判別してその位置を求めることで実行する。そのソフトウェアには、素子22の現れ方、撮影済画像の座標値等を表す情報を入力する。特定の素子22における特定のアクティべーション状態の現れ方を示す情報を、そのソフトウェアに組み込んでおくこともできる。
【0050】
探索の際には、通常、ビジョンシステム54を最初の副走査位置に動かした上で、ディスプレイアセンブリ20を主走査軸42に対し平行な経路沿いに動かしつつセンサ55でダイナミック撮影を行い、1カラム分の画像を取得する。目的とする画素形成素子22の一部しか検出されていない(或いは素子22が全く検出されていない)と幾何測位ソフトウェアで判別されたら、モーションシステム52によりビジョンシステム54を次の副走査位置へと動かし、その位置でダイナミック撮影を行い次の1カラム分の画像を取得してその情報を解析する。この動作は所望個数の素子22の所在が特定されるまで繰り返される。
【0051】
従って、この探索動作が繰り返されるのは、ある特定のアクティべーション状態を呈している画素形成素子22が全て見つかるまで、或いは所定個数見つかるまでである。それによって幾つかの素子22が検出されたら、その素子22に関する情報を求め、その情報に基づき又はその情報を手がかりとして、他の素子22の位置を導出又は推定する。こうしてある特定のアクティべーション状態を呈している素子22についてのデータ、例えばその推定位置を示す情報が得られたら、コントローラ60でモーションシステム52を制御してその推定位置へとビジョンシステム54を移動させる。即ち、探索無しで又は僅かな探索で、目的とする素子22が顕微鏡56の視野内に入る位置へとビジョンシステム54を移動させる。こうした手順を使用している分、それらの素子22を迅速に撮影することができる。
【0052】
情報を解析するのは、一つには、ディスプレイアセンブリ20における画素形成素子22の配列に幾何学的な歪が生じているか否かを判別するためである。その種の歪は幾種類かある。その発生原因は、例えば、アセンブリ20の製造に関わる素材的要因及び工程的要因や、温度、湿度等の環境的要因である。
【0053】
ステップ130では、個々の画素形成素子22の期待寸法又は期待形状に対する歪や、配列されている素子22の位置的な目標整列状態に対する歪が補償されるよう、コントローラ60で補償情報63を発生させる。コントローラ60は、その情報63に基づき調整しつつ個々の色フィルタ素子12を形成させることで、そのディスプレイアセンブリ20を構成している画素形成素子22に係る歪を補償する。この補償は線形的又は非線形的な様々な手法で実行される。具体的には、主走査歪を補償するため、プリントヘッド26を構成している個々のチャネル40のアクティベートタイミングを調整する。この調整では、個々のチャネル40を制御し、該当するチャネル40のアクティベートタイミングを他のチャネル40のアクティベートタイミングに比し進ませ又は遅らせる。すると、画像の形成タイミングが画像部分毎にずれる。ヘッド26は副走査軸44に対し平行な経路沿いに動いていくので、このチャネル40毎アクティベートタイミング調整はその移動のたびに実行する。移動先の位置によってその周辺での歪の現れ方が異なるので、エンコーダ信号59を参照して位置を識別する。
【0054】
本実施形態では、副走査歪を補償するため、ディスプレイアセンブリ20に対するプリントヘッド26の運動も調整する。調整される相対運動のうち一つは、画像を発生させるプロセスにおけるヘッド26・アセンブリ20間相対速度である。例えば、ドラムを利用した走査システムのなかには、ドラム及びその上に装着されている記録媒体を回転させつつ、そのドラムの回転軸に対し平行な経路沿いにプリントヘッドを並進させるものがある。この種のシステムでは画像がヘリカルスワス単位で発生するので、プリントヘッド並進速度を調整することで、画像が所望寸法になるようヘリカルスワスを調整することができる。この速度調整の仕方には均一調整と不均一調整があり、形成される画像全体の寸法調整には均一調整、画像の局所的歪の補償には不均一調整が適している。特に、経路沿いの諸点で局所的速度調整を行うことで、それらの点における歪を補償することができる。本実施形態では、主走査軸42に対し平行な経路沿いに搬送されていくアセンブリ20をヘッド26で走査しながら、支持部53に沿ったヘッド26の動きにこうした調整を施している。即ち、その調整によって走査経路を修正し、その走査で生成される画像の一部領域における歪を補償するようにしている。
【0055】
更に、画素形成素子22は何らかの配置パターンを呈するものであり、そのパターンは多くの場合規則的なものである。規則的なパターンとは、複数個の素子22が一通り又は複数通りの方向に沿い規則的に並ぶパターン、即ち個々の素子22に備わる共通の基準(その素子22の辺、頂点、中心点等)がその方向に沿い等間隔で並ぶパターンである。この間隔はピッチと呼ばれている。画素形成素子22に対し色フィルタ素子12を適正に整列させるには、前者のピッチに対し後者のピッチを一致させねばならない。並んでいる画素形成素子22のピッチは、その素子22を検出して得られた情報を解析することによって検出することができる。そのピッチ検出値は往々にしてその期待値からずれている。多々ある原因のうち一つは、温度、湿度等の環境的要因によってディスプレイアセンブリ20の全体寸法が変化し、素子22のピッチにずれが生じることである。そこで、本実施形態では、補償情報63に基づき補償指令を発生させ、その指令に従いアクチュエータ(図示せず)を作動させることで、走査方向に対するプリントヘッド26の向きを調整するようにしている。こうしてヘッド26の向きを調整することで、そのヘッド26のイメージング分解能が変化する。従って、画素形成素子22のパターンに係るピッチ検出値と実質的に一致するピッチで配置されるよう、色フィルタ素子12を形成することができる。更に、図示しない光学ズームシステムを補償指令に従い制御することでも、ヘッド26のイメージング分解能を調整し、適正ピッチで配置されるようフィルタ素子12を形成することが可能である。例えば、補償指令の一部として、アクチュエータを作動させて光学ズームシステム内レンズ位置を変化させる指令を発生させればよい。
【0056】
補償情報63には、上掲の補償に関する情報に限らず、他の補償に関する情報も含めることができる。その一例は、装置誤差への対処に必要な補償に関する情報である。装置誤差とは、本装置50を構成している部材の機械的配置における不正確さ、例えば支持部の不整や位置検出用エンコーダの検出誤差のことである。これらを含め、装置誤差は、アクティベートタイミングや相対運動の調整手法を工夫することで、検出して補償することができる。そのため、本実施形態では、情報63に補償マップを含めるようにしている。補償マップは、ディスプレイアセンブリ20に対し整列するよう色フィルタ素子12のパターン層を形成する際、プリントヘッド26・アセンブリ20間に発生する二次元相対運動をカバーするマップである。これを使用することで、アセンブリ20内で発生する歪等、あらゆる装置誤差を補償することができる。また、本実施形態で使用している補償マップには副走査歪補償マップと主走査歪補償マップがある。副走査歪補償マップ上の情報は、コントローラ60からモーションシステム52に送られ、各回走査におけるヘッド26・キャリア51間相対運動経路を定めるのに使用される。主走査歪補償マップは成像用電子回路38に送られ、ヘッド26から輻射されるビームそれぞれの遅延時間を設定するのに使用される。
【0057】
ステップ140では本装置50を校正するルーチンを実行する(必須ではないため破線で示してある)。これを実行するのは、ある特定のアクティべーション状態を呈している一群の画素形成素子22がステップ120でビジョンシステム54を用い検出されてはいるが、画像を発生させるための輻射ビームとセンサ55内CCDの視野との位置関係が判らないと、それらの画素形成素子22に対する個々の色フィルタ素子12の位置関係を正確に整えることができないからである。いわゆる当業者には自明な通り、この位置関係は様々な要因によって左右される。例えば、ビームの輻射方向は、プリントヘッド26内温度変動やプリントヘッド26外温度変動の影響を受けやすく、構成部材温度の経時変化に伴いふらつくものである。この現象は熱ドリフトと呼ばれている。
【0058】
本実施形態では、この位置関係を求めるためビームファインダ64を使用している。図2Cに本装置50の一部断面を模式的に示す。図示の通り、ビームファインダ64はキャリア51の下方に位置している。
【0059】
図4に、本実施形態におけるビームファインダ64の構成を示す。このビームファインダ64は幾つかの領域を定めるマスク65を備えている。定められているのは副走査位置ターゲット66、センサターゲット67、主走査位置ターゲット68等の領域である。マスク65は、それらターゲット66〜68間の位置関係を正確に定めるためフォトリソグラフィ技術等で形成されている。
【0060】
本実施形態では、副走査位置ターゲット66が領域45、主走査位置ターゲット68が領域46、センサターゲット67が領域47によって形成されている。図示例では領域45及び46が各1個であるが、副走査軸44に対し直交する方向に沿い複数個の領域45を設けることや、副走査軸44に対し所定角度をなすよう複数個の領域46を設けることもできる。図示しないが、領域45及び46のそばにはフォトダイオードがあり、領域47のそばには光源がある。フォトダイオードは輻射に曝されると相応の信号を出力し、光源はコントローラ60からの指示で発光して領域47を照明する。
【0061】
輻射ビームとセンサ55の視野との位置関係を求める際には、ビームファインダ64のそばでプリントヘッド26とキャリア51を相対運動させる。即ち、図4及び図5に示す如く、副走査軸44に対して平行な経路沿いにヘッド26を動かしながら、図示しない1本又は複数本の輻射ビームに対しビームファインダ64を露出させる。こうすると、図4に示す如く、その輻射ビーム(群)でファインダ64が経路39沿いに横断走査され、ファインダ64を横断していく輻射ビーム(群)が副走査位置ターゲット66のそばにあるフォトダイオードや主走査位置ターゲット68のそばにあるフォトダイオードによって検出されることとなる。そのうち、輻射ビーム(群)が副走査位置ターゲット66を横断しているときには、そのターゲット66のそばにあるフォトダイオードからもたらされる信号が強まるため第1ピーク48が発生する。このピーク48はその輻射ビーム(群)の副走査位置に対応している。輻射ビーム(群)が主走査位置ターゲット68を横断しているときには、そのターゲット68のそばにあるフォトダイオードからもたらされる信号が強まるため第2ピーク49が発生する。このピーク49はその輻射ビーム(群)の主走査位置に対応している。図5に模式的に示したのはこれら第1ピーク48及び第2ピーク49の例である。
【0062】
同図に模式的に示すように、第1ピーク48には強度平坦域200がある。その平坦域200は副走査点201から始まり副走査点202で終わっている。副走査点201は、プリントヘッド26から輻射された1本又は複数本のビーム全体が副走査位置ターゲット66のそばのフォトダイオードで最初に捉えられた副走査位置に対応している。副走査点202は、そのヘッド26から輻射された1本又は複数本のビーム全体が副走査位置ターゲット66のそばのフォトダイオードで最後に捉えられた副走査位置に対応している。コントローラ60では、輻射ビーム(群)による副走査位置を正確に求めるため、モーションシステム52に備わる副走査エンコーダから信号を受け取り利用している。
【0063】
同じく同図に模式的に示すように、第2ピーク49には強度平坦域205がある。その平坦域205は副走査点206から始まり副走査点207で終わっている。副走査点206は、プリントヘッド26から輻射された1本又は複数本のビーム全体が主走査位置ターゲット68で最初に捉えられた副走査位置に対応している。副走査点207は、そのヘッド26から輻射された1本又は複数本のビーム全体が主走査位置ターゲット68で最後に捉えられた副走査位置に対応している。コントローラ60では、モーションシステム52に備わる副走査エンコーダから得られる信号のうちそれらの副走査位置に係るものを解析し、第1ピーク48・第2ピーク49間の距離210を求める。この距離210は、主走査位置ターゲット68を過ぎるときの輻射ビーム(群)の主走査位置によって変化する。領域45が方形、領域46が平行四辺形であるので領域45・46間の間隔も主走査位置によって変化する。コントローラ60では、距離210を領域45・46間の間隔に照らすことで、その輻射ビーム(群)の主走査位置を求めるようにしている。
【0064】
1本又は複数本の輻射ビームについてその副走査位置及び主走査位置が求まったら、コントローラ60はセンサターゲット67を照明させ、センサ55及び顕微鏡56を用いてターゲット67の所在を検出する。コントローラ60は、モーションシステム52内の副走査エンコーダ及び主走査エンコーダからもたらされる信号に基づき、そのときセンサ55が占めている位置を正確に求め、そのセンサ55と輻射ビーム(群)との位置関係を求める。いわゆる当業者には自明な通り、こうした位置関係を他の手法乃至装置で求めることも可能であり、そうした構成も本発明の技術的範囲に収まるものである。また、本実施形態では、求まった位置関係に従い補償情報63を修正する。具体的には、その位置関係の誤差が補償されるよう二次元オフセット行列を補償マップに組み入れる。なお、本実施形態では、主走査軸42及び副走査軸44で定義される基準座標系に従いそうした位置関係を表すようにしている。
【0065】
ステップ150では、複数個の画素形成素子22からなる幾つかのパターンに対し整列するよう、複数個の色フィルタ素子12からなる幾つかのパターン層を形成する。図2Bに、R色に対応する画素形成素子22に対し所望の如く整列するよう形成された複数個のR色フィルタ素子12Aを示す。本実施形態では、プリントヘッド26から輻射されるビームに曝し、ドナー要素24からディスプレイアセンブリ20の表面18へと画像形成素材を転写させることによって、複数個のR色フィルタ素子12Aからなるパターン層をその面18上に形成している。これとは違い、インクジェット法等で面18上にフィルタ素子12のパターン層を形成する形態でも、本発明を実施することができる。また、図2Bでは、ドナー素材の転写で途切れなきストライプ状のR色フィルタ素子12Aが形成されている。これとは違い、アイランド状のフィルタ素子12を形成する形態でも、本発明を実施することができる。なお、図2Bでは、明瞭化のため凡例に従いR色フィルタ素子12Aにハッチングを施してある。
【0066】
本実施形態では、第1群27に属する画素形成素子22に正しく対応するよう色フィルタ素子12Aを形成したら、第1群27に属する素子22を利用して求めた整列状態情報に基づき、第2群28に属する素子22に対し整列するよう他の色フィルタ素子12、例えばR色フィルタ素子12Aとは別の色の色フィルタ素子12を形成する。なお、本実施形態では、第1群27に属する画素形成素子22のアクティべーション状態をステップ110にて変化させた後、そのアクティべーション状態を維持したままR色フィルタ素子12Aが形成されているが、本発明はそれ以外の形態で実施することもできる。何故なら、整列状態情報の導出から色フィルタ素子12の形成までの間に、画素形成素子22のアクティべーション状態を再変化させても支障ないからである。
【0067】
また、本実施形態では、画像データ62に従いプリントヘッド26を制御して輻射ビームを発生させつつ面18を走査する際、各回走査に係る様々な走査パラメタを補償情報63に従い調整することで、対応する画素形成素子22に対し正しく整列するようR色フィルタ素子12Aを形成している。他の色フィルタ素子12、例えばG色フィルタ素子12BやB色フィルタ素子12Cも、同様に、それらに対応するデータ62及び情報63に従い形成している。当該他の色フィルタ素子12を形成するとき使用する情報63は、先に素子12Aを形成する際に使用していたものと同じ情報でも、それを修正したものでもかまわない。情報63を毎回新規生成して素子12のパターンを形成してもよい。図3中の諸ステップはその性質上例示的なものであるので、本発明を実施するに当たり、それらのステップの内容が修正されることや実行順序が変更されることもあり得る。
【0068】
プログラム製品97は、コントローラ60で実行したとき、本発明に係る方法が実現されるように作成されている。即ち、コントローラ60等のコントローラで実行したとき、本発明の実施に必要な諸機能が実現されるように作成されている。それらの機能のうち一つは、複数個の画素形成素子22からなる所定の画素形成素子群に向けにアクティべーション用の指令を発行し、それらの素子22のアクティべーション状態を変化させる機能である。他の一つは、センサ55を制御してそれらの素子22(例えばある特定のアクティべーション状態を呈している素子22)を検出する機能である。他の一つは、少なくとも検出された素子22に基づき整列状態情報を導出する機能である。更に他の一つは、少なくとも検出された素子22に基づき補償情報63を導出する機能である。ある特定のアクティべーション状態を呈している画素形成素子22の検出で得られる情報は、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子12をディスプレイアセンブリ20に対し整列させる手がかりとして有用である。プログラム製品97は、アセンブリ20を構成している画素形成素子22のうち選択的にアクティベートされたものを検出して得られる情報に基づき、本装置50又はその他の画像発生装置をコントローラ60に制御させることで、アセンブリ20に対し整列するよう色フィルタ素子12のパターンを形成させる。
【0069】
プログラム製品97は、一群のコンピュータ可読信号を担持可能な媒体等によって担持されている。そのコンピュータ可読信号の一部は、コンピュータ用プロセッサで実行可能な指令、特にそのプロセッサで実行したとき本発明に係る方法が実行されることとなる指令である。こうした製品97は様々な形態で提供することができる。例えば、フロッピー(商標)ディスク、ハードディスクドライブ等の磁気記録媒体や、CD−ROM、DVD等の光記録媒体や、ROM、フラッシュRAM等の電子データ記録媒体を初め、様々な物理媒体で提供することができる。媒体上の指令に圧縮や暗号化を施してもよい。
【0070】
チャネル40は、一次元(又は二次元)のアレイをなすようプリントヘッド26上に配置されている。その光源としては赤外線レーザを使用している。具体的には、従来からレーザ誘起熱転写プロセスで使用されている総出力パワー=約50W、波長=830nmの150μmエミッタ付赤外線レーザダイオードアレイである。但し、赤外線レーザに限らず可視光レーザでも、本発明を実施することができる。どのようなレーザ光源を使用するかは、画像を発生させたい媒体の特性に従い定めることができる。
【0071】
以上、その好適な実施形態を参照して本発明を具体的且つ詳細に説明したが、自明な通り、本発明はそれらを変形乃至改良した形態でも実施することができる。そうした形態も、本発明の技術的範囲内に包含されると解されるべきである。
【符号の説明】
【0072】
10 色フィルタ、12 色フィルタ素子、12A レッド(R)色フィルタ素子、12B グリーン(G)色フィルタ素子、12C ブルー(B)色フィルタ素子、13,18 表面、15 色フィルタ用ブラックマトリクス(マトリクス)、17 マトリクスセル(セル)、20 ディスプレイアセンブリ、20A 電気泳動ディスプレイアセンブリ、20B 液晶ディスプレイアセンブリ、22 画素形成素子、22A 電気泳動ディスプレイ画素形成素子、22B 液晶ディスプレイ画素形成素子、24 ドナー要素、26 プリントヘッド、27 画素形成素子の第1群、28 画素形成素子の第2群、38 成像用電子回路、39 経路、40 チャネル、42 主走査軸、42A 順方向、42B 逆方向、43 チャネルアレイ、44 副走査軸、44A アウェイ方向、44B ホーム方向、45〜47 領域、48 第1ピーク、49 第2ピーク、50 装置、51 キャリア、52 モーションシステム、53 支持部、54 ビジョンシステム、55 センサ、56 顕微鏡、57 照明器、58 センサ信号、59 エンコーダ信号、60 コントローラ、61 アクティべーション信号、62 画像データ、63 補償情報、64 ビームファインダ、65 マスク、66 副走査位置ターゲット、67 センサターゲット、68 主走査位置ターゲット、81,82,91 電極板、83 電気泳動素材、84 誘電液、85 荷電粒子、86 仕切り、92 薄膜トランジスタ(TFT)板、93 液晶素材、94 バックライト、95 画素電極、96 トランジスタ、97 プログラム製品、100〜150 ステップ、200,205 強度平坦域、201,202,206,207 副走査点、210 距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリに対し、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を整列させる方法であって、
その群に属する個々の画素形成素子のアクティべーション状態が変化するよう、第1群に属する画素形成素子をアクティベートするステップと、
少なくとも、上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子を利用し、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子の上記ディスプレイアセンブリに対する目標整列状態を決定するステップと、
その目標整列状態に従い、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリに対し整列させるステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、上記第1群に属する個々の画素形成素子を、第2群に属する個々の画素形成素子のそれとは異なるアクティべーション状態に変化させる方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、上記アクティベートステップが、上記第1群に属する個々の画素形成素子に対し一種類又は複数種類のアクティべーション信号を供給するステップを含む方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、上記整列ステップが、上記色フィルタ素子のうちある一群を上記第1群に属する画素形成素子に対して整列させるステップを含む方法。
【請求項5】
請求項2記載の方法であって、上記ディスプレイアセンブリの表面から部位選択的に光が出射されるよう、上記第1群に属する画素形成素子を上記第2群に属する画素形成素子とは別様にアクティベートするステップを有する方法。
【請求項6】
請求項2記載の方法であって、上記ディスプレイアセンブリの表面から部位毎に別様に光が反射されるよう、上記第1群に属する画素形成素子を上記第2群に属する画素形成素子とは別様にアクティベートするステップを有する方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、上記パターン層が形成されるよう上記複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリの表面に形成するステップを有する方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、上記画素形成素子のうち少なくとも1個を他の画素形成素子とは異なるアクティべーション状態に保ちつつ、上記パターン層が形成されるよう上記複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリの表面に形成するステップを有する方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法であって、上記パターン層が形成されるよう露出プロセスを用い上記複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリの表面に形成するステップを有する方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法であって、上記露出プロセスが熱転写プロセスを含む方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法であって、上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子をセンサで検出するステップを有する方法。
【請求項12】
請求項2記載の方法であって、上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子及び上記第2群に属する画素形成素子をセンサで検出するステップを有する方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子を照明器で照明するステップを有する方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法であって、上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子を検出する際、上記ディスプレイアセンブリの表面を照明器で照明するステップを有する方法。
【請求項15】
請求項7記載の方法であって、
個別アドレッシング可能な複数個のチャネルを備えるプリントヘッドを作動させることで上記ディスプレイアセンブリの表面に輻射ビームを送り、それによってその面上に画像を発生させるステップと、
上記パターン層が形成されるよう複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリの表面に形成する際、上記チャネルのうち一部のアクティベートタイミングを調整するステップと、
を有する方法。
【請求項16】
請求項7記載の方法であって、
個別アドレッシング可能な複数個のチャネルを備えるプリントヘッドを作動させることで上記ディスプレイアセンブリの表面に画像形成素材を転写させ、それによってその面上に画像を発生させるステップと、
上記パターン層が形成されるよう複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリの表面に形成する際、上記チャネルのうち一部のアクティベートタイミングを調整するステップと、
を有する方法。
【請求項17】
請求項7記載の方法であって、
プリントヘッドを用い上記ディスプレイアセンブリの表面に画像を発生させるステップと、
モーションシステムを用いプリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間に相対運動をもたらすステップと、
上記パターン層が形成されるよう複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリの表面に形成する際、上記プリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間相対運動を調整するステップと、
を有する方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、上記相対運動調整ステップが、プリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間の相対速度を調整するステップを含む方法。
【請求項19】
請求項7記載の方法であって、
走査方向沿いに上記ディスプレイアセンブリの表面を走査しつつプリントヘッドでその面に画像を発生させるステップと、
その走査方向に対する上記プリントヘッドの向きを調整するステップと、
を有する方法。
【請求項20】
請求項7記載の方法であって、
プリントヘッドに備わる複数個のチャネルそれぞれで、上記ディスプレイアセンブリの表面に画像の一部分を発生させるステップと、
モーションシステムを用いプリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間に相対運動をもたらすステップと、
上記チャネルのうち一部のアクティベートタイミング、並びに上記プリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間相対運動のうち、少なくとも一方を少なくとも上記目標整列状態に基づき調整するステップと、
を有する方法。
【請求項21】
請求項7記載の方法であって、
個別アドレッシング可能な複数個のチャネルを備えるプリントヘッドを用い、輻射ビームを上記ディスプレイアセンブリの表面に送るステップと、
その面上の画像の一部をイメージセンサで撮影するステップと、
それら輻射ビームとイメージセンサの間の位置関係を判別するステップと、
を有する方法。
【請求項22】
請求項2記載の方法であって、上記第1群に属する画素形成素子及び上記第2群に属する画素形成素子のうち、一方のアクティべーション状態がオン状態である方法。
【請求項23】
請求項2記載の方法であって、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を、上記第1群に属する画素形成素子に対し整列させるステップを有する方法。
【請求項24】
請求項2記載の方法であって、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を、上記第2群に属する画素形成素子に対し整列させるステップを有する方法。
【請求項25】
請求項1記載の方法であって、上記ディスプレイアセンブリが反射型ディスプレイアセンブリである方法。
【請求項26】
請求項1記載の方法であって、上記ディスプレイアセンブリが電気泳動ディスプレイアセンブリである方法。
【請求項27】
請求項1記載の方法であって、上記ディスプレイアセンブリが液晶ディスプレイアセンブリである方法。
【請求項28】
アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリに対し、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を整列させる方法であって、
少なくとも、上記第1群に属する画素形成素子のアクティべーション状態に基づき、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子の上記ディスプレイアセンブリに対する目標整列状態を決定するステップと、
その目標整列状態に従い、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリに対し整列させるステップと、
を有する方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法であって、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を、上記目標整列状態に従い上記ディスプレイアセンブリに対し整列させつつ、そのディスプレイアセンブリの表面に形成するステップを有する方法。
【請求項30】
アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリの上に複数個の色フィルタ素子を形成する方法であって、
上記ディスプレイアセンブリを支持部、ドナー要素を当該ディスプレイアセンブリにそれぞれ載せるステップと、
上記ディスプレイアセンブリ上のドナー要素に輻射ビームを送り、そこに画像を発生させるプリントヘッドを準備するステップと、
その群に属する個々の画素形成素子のアクティべーション状態が変化するよう、第1群に属する画素形成素子をアクティベートするステップと、
上記第1群に属する画素形成素子をセンサで検出するステップと、
少なくとも、上記第1群に属する画素形成素子の検出結果に基づき、整列状態情報を導出するステップと、
上記ドナー要素から上記ディスプレイアセンブリへと画像形成素材が転写され、それによってそのディスプレイアセンブリ上に上記複数個の色フィルタ素子が形成されるよう、少なくとも上記整列状態情報を含む情報に従い上記プリントヘッドを制御しつつ、当該ドナー要素上に成像するステップと、
を有する方法。
【請求項31】
アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリの表面に複数個の色フィルタ素子を形成する装置であって、
上記ディスプレイアセンブリを受容する支持部と、
複数のチャネルが配列されたプリントヘッドと、
その群に属する個々の画素形成素子のアクティべーション状態が変化するよう、第1群に属する画素形成素子をアクティベートする制御回路と、
上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子を検出するセンサと、
少なくとも、上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子の検出結果に基づき整列状態情報を導出し、その整列状態情報に従い上記プリントヘッドを制御することで、上記ディスプレイアセンブリの表面に上記複数個の色フィルタ素子を形成させるコントローラと、
を備える装置。
【請求項32】
請求項31記載の装置であって、上記コントローラが、上記整列状態情報に従い上記チャネルのうち一部のアクティベートタイミングを調整する装置。
【請求項33】
請求項31記載の装置であって、プリントヘッド・ディスプレイアセンブリ間に相対運動をもたらすモーションシステムを備え、上記コントローラが、上記整列状態情報に従いそのモーションシステムを制御することで当該相対運動を制御する装置。
【請求項34】
請求項31記載の装置であって、走査方向沿いに上記ディスプレイアセンブリの表面を走査しつつ上記プリントヘッドでその面上に上記複数個の色フィルタ素子を形成し、上記コントローラが上記整列状態情報に従いアクチュエータを制御することで走査方向に対する上記チャネルの配置方向を調整する装置。
【請求項35】
請求項31記載の装置であって、画像形成素材を上記プリントヘッドで上記ディスプレイアセンブリの表面に転写させることで、そこに上記複数個の色フィルタ素子を形成する装置。
【請求項36】
請求項31記載の装置であって、上記プリントヘッドから輻射ビームを出射することで画像形成素材をドナー要素から上記ディスプレイアセンブリの表面へと転写させ、それによってその面上に上記複数個の色フィルタ素子を形成する装置。
【請求項37】
アドレッシング可能な複数個の画素形成素子を有するディスプレイアセンブリに対し、パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を整列させる方法であって、
第2群に属する画素形成素子とは異なるアクティべーション状態になるよう、第1群に属する画素形成素子をアクティベートするステップと、
上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子及び上記第2群に属する画素形成素子のうち、少なくとも一方に基づき整列状態情報を導出するステップと、
その整列状態情報に従い、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を上記ディスプレイアセンブリに対し整列させるステップと、
を有する方法。
【請求項38】
請求項37記載の方法であって、上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子及び上記2群に属する画素形成素子のうち、少なくともいずれかに該当する少なくとも1個の画素形成素子をセンサで検出するステップを有する方法。
【請求項39】
請求項37記載の方法であって、上記第1群に属していてアクティベートされている画素形成素子及び上記第2群に属する画素形成素子のうち、少なくともいずれかに該当する少なくとも1個の画素形成素子を撮影装置で撮影するステップを有する方法。
【請求項40】
請求項37記載の方法であって、上記パターン層をなす複数個の色フィルタ素子を、上記整列状態情報に従い上記ディスプレイアセンブリに対し整列させつつ、そのディスプレイアセンブリの表面に形成するステップを有する方法。
【請求項41】
請求項7記載の方法であって、
走査方向沿いに上記ディスプレイアセンブリの表面を走査しつつその面上にプリントヘッドで画像を発生させるステップと、
ズームシステムを作動させることで上記プリントヘッドの分解能を調整するステップと、
を有する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−523081(P2011−523081A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505602(P2011−505602)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際出願番号】PCT/IB2008/001025
【国際公開番号】WO2009/130526
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(598088778)コダック グラフィック コミュニケーションズ カナダ カンパニー (34)
【Fターム(参考)】