説明

色分解画像処理装置、方法、及び、記録媒体

【課題】 シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡6色材システムへ色分解する画像処理装置、方法、及び、記録媒体を提案することである。
【解決手段】 シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡6色材システムへ色分解する画像処理装置において、入力色材量に対する出力濃度特性を規定する手段、濃い色材量を規定する手段、そして、淡い色材量を規定する手段と、前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出する手段と、前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求める手段とにより構成されることを特徴とする色分解画像処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像形成方法の基本色材色であるシアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラック4色のデータを濃い色材と淡い色材で構成される濃淡n色材システムへ色分解処理するための装置、方法、及び、記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の基本色材色であるシアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラック4色の濃い色材データを濃い色材と淡シアン、淡マゼンタ、淡イエロー、そして、淡ブラックの淡い色材で構成される濃淡n色材システムへ色分解処理する方法は、特開平6-226998、特開平9-163161、特開2003-230020にて開示されている。これら特許に開示されている方法は、図12で示されるような1次元のLUTを用いた方法であった。
【0003】
以下、図12を用いて、従来のシアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラック4色から淡シアン、淡マゼンタを用いた6色色材システムへの色分解処理に関して説明する。図12において、R,G,Bは、レッド、グリーン、ブルーの画像信号値を、C,M,Y,K,Lc,Lmは、それぞれ、濃シアン、濃マゼンタ、イエロー、ブラック、淡シアン、淡マゼンタの色材信号値を示す。コントローラ部1201は、パソコン等のコンピュータから送信されてきた画像信号R0G0B0、または、C0M0Y0K0の信号を所定の色分解処理によりC1M1Y1K1に変換する。この色分解処理は、入力の画像信号R0G0B0がsRGB等のモニタ色を示す信号の場合は、モニタでの再現色と画像形成装置での再現色が同一になるよう分解処理される。また、C0M0Y0K0が印刷での再現色を示す信号の場合は、印刷での再現色と本画像形成装置におけるCMYKの基本4色での再現色が同一となるよう処理される。次に、シアン色材濃淡分解部1202は、図13に示されている1次元の濃淡分解テーブルに基づき濃シアンC3と淡シアンLc3に色分解される。同様に、マゼンタ色材濃淡分解部1203は、図示されていない1次元の色分解テーブルに基づき濃マゼンタM3と淡マゼンタLm3に色分解される。
【0004】
以上のような処理により、シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラック4色のデータから濃シアン、濃マゼンタ、イエロー、ブラック、淡シアン、そして、淡マゼンタ6色材システムの4入力6出力の色分解処理が実現される。
【0005】
また、特開平10-098625では、シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラック4色のデータから濃淡シアン、濃淡マゼンタ、濃淡イエロー、そして、ブラックの計7色への変換をLUTを用いて実現する方法が開示されているが、そのLUTの具体的な作成方法に関しては述べられていない。
【特許文献1】特開平6−226998号公報
【特許文献2】特開平9−163161号公報
【特許文献3】特開2003−230020号公報
【特許文献4】特開平10−098625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、シアン、マゼンタ色材に関して、それぞれ1次元の濃淡分解テーブルに基づき、4入力6出力の色分解処理を実施している。一方、画像形成装置では、色材と印刷メディアの特性により規定される総色材量制限値があり、濃シアン、濃マゼンタ、イエロー、ブラック、淡シアン、そして、淡マゼンタの総色材量が、総色材量制限値を超えた場合、電子写真プリンタでは画像が印刷メディア上に定着することが出来ずはがれてしまうという欠点や、インクジェットプリンタでは、インクが印刷メディアで吸収することができずあふれてしまうという欠点が存在する。そこで、濃シアン、濃マゼンタ、イエロー、ブラック、淡シアン、そして、淡マゼンタの各色材量を補正して、総色材量が、総色材量制限値以下になるように補正処理しなければならない。
【0007】
ところが、上記従来技術では、図12、13に示されているように、シアン、マゼンタ個別に1次元の濃淡分解テーブルを制御して総色材量補正を実施する際に、墨量が多くなった領域で、淡い色材の使用による粒状感の向上が図れない場合にても無駄に淡い色材が使用されてしまうという問題点が存在した。
【0008】
そこで、本出願に係る発明の目的は、CMYK4入力データを淡い色材を含む濃淡n色材データに変換する4n変換において、総色材量制限値を守りつつ、墨量に応じた濃淡分解処理を実現する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は、以下の手段を備える。
【0010】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解する画像処理装置において、
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定する手段、濃い色材量の基本特性を規定する手段、そして、淡い色材量の基本特性を規定する手段と
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出する手段と
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求める手段
とにより構成されることを特徴とする色分解画像処理装置である。
【0011】
上記構成において、入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出し、該濃淡合計色材量に基づき濃淡分解処理を実行するため、従来技術により生じていた墨量が多い領域における淡い色材の使用量を減らして、墨量が多くなった領域で、淡い色材の使用による粒状感の向上が図れない場合にても無駄に淡い色材が使用されてしまうという問題点を解決することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、墨量に応じて淡い色材に振り分ける色材量を制御することが可能となり、墨量が多くなった領域で、淡い色材の使用による粒状感の向上が図れない場合にても無駄に淡い色材が使用されてしまうという問題点を解決する効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1実施例>
図1は、本実施形態に係る色分解処理装置において、シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡シアン、淡マゼンタ色材を含む濃淡6色材システムへ色分解処理するための装置構成を示す図である。同図において、101は色材量補正部であり、C1,M1,Y1,K1の色材量データを色材量制限値(AmtLIMIT)以下になるように色材量補正処理を実行し、シアンC2,マゼンタM2,イエローY2,ブラックK2の色材量データを出力する。102は出力濃淡合計色材量算出部であり、103濃淡分解基本特性テーブル部に基づき、シアン、マゼンタ、それぞれの色材色に対し、出力となる濃度と濃淡の合計色材量の算出を実行する。104はシアン色材濃淡分解部であり、シアンの出力濃度(DenC)と濃淡シアンの合計色材量(AmtCmax)に基づき濃淡分解し、シアンC3、淡シアンLc3を出力する。同様に、105はマゼンタ色材濃淡分解部であり、マゼンタの出力濃度(DenM)と濃淡マゼンタの合計色材量(AmtMmax)に基づき濃淡分解し、マゼンタM3、淡マゼンタLm3を出力する。詳しい処理フローは、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0014】
図2は、本実施形態の色分解処理装置を含むシステム構成を示す図であり、該システムにおいて、上述した図1に示す構成を実現する。同図において、201はコンピュータであり、プリンタ特性を調べるためのパッチデータを保持し、パッチデータをプリンタ204にて印刷するためのドライバーがインストールされている。202はコンピュータ201に接続されたモニタであり、プリンタ特性を調べるためのパッチパターン203が表示されている。204は、所定のパッチパターンを印刷するカラープリンタ、205はカラープリンタ204にて印刷出力されたサンプルパッチであり、206はサンプルパッチ205を測定するための測色器である。
【0015】
図3は、プリンタ204内に搭載された46変換テーブル部と46変換補間演算処理部の画像処理装置を示す図である。本実施例では、46変換を図1の構成のように実施する例と,図3のように46変換テーブル部と46変換補間演算処理部の構成により実施する2通りの実施例が存在する。同図において、301はコントローラ部であり、コンピュータ201からの画像データR0G0B0、または、画像データC0M0Y0K0をC1Y1M1K1に変換するためのコントローラである。該コントローラにおいて、入力の画像信号R0G0B0がsRGB等のモニタ色を示す信号の場合は、モニタでの再現色とプリンタ204での再現色が同一になるよう色分解処理される。また、C0M0Y0K0が印刷での再現色を示す信号の場合は、印刷での再現色とプリンタ204におけるCMYKの基本4色での再現色が同一となるような色分解処理が実行される。302は46変換補間演算処理部であり、46変換テーブル部303のテーブル情報に基づき四面体補間、または、立方体補間等の補間演算処理が実行される。303は46変換テーブル部であり、図1の色分解処理装置により作成されたテーブル情報が格納される。46変換補間演算処理部302にて生成されたC3,M3,Y3,K3,Lc3,Lm3の色材色データは、プリンタ204にて画像形成処理がなされて印刷出力される。
【0016】
図4は、図1の色分解テーブル作成装置を用いて46変換色分解テーブルを作成するためのフローチャートである。同図において、ステップS1はスタートステップであり、46変換色分解テーブルの作成を開始する。
【0017】
ステップS2は、濃淡色材クロスパッチの印刷ステップであり、図5に示されているような濃インクと淡インクの色材量がクロス上に分布されたパッチである。図5において、左から右に行くに従い、段階的に濃インクの色材量が増えるようになっており、上から下に行くに従い、段階的に淡インクの色材量が増えるようになっている。
【0018】
ステップS3は、濃淡色材クロスパッチの測色ステップであり、図5に示されているパッチパターンの印刷物の測定を実施し、濃度特性が得られる。
【0019】
ステップS4は、濃淡色材クロスパッチから濃度-色材量マップの作成ステップであり、図16に示されているような濃度特性と色材量特性のマップを作成する。該マップと補間演算処理を利用することにより、出力とする濃度と濃淡合計の色材量により、一意に濃インク色材量と淡インク色材量の組み合わせを導くことが可能となる。
【0020】
ステップS5は、濃淡分解基本特性テーブルの作成ステップである。濃淡分解基本特性テーブルとは、入力となる濃インクの色材量(0〜100[%])に対し、出力濃度特性と1次元の出力濃インクの色材量特性と淡インクの色材量特性を規定するものである。入出力の濃度特性は図8に、1次元の出力濃インクの色材量特性と淡インクの色材量特性は、図6,7,9,10に4つタイプが図示されている。さらに、図6,7,9,10のタイプは、図6,7のタイプと図9,10のタイプに大分類することが出来る。図6,7のタイプは入力色材量の濃度特性と出力の濃淡色材で再現された濃度特性が同一となるタイプであり、図9,10のタイプは入力色材量の濃度特性より出力の濃淡色材で再現された濃度特性の方が大きくなるタイプの濃淡分解基本特性テーブルであり、出力の色再現域の拡大を実現することが出来る。
【0021】
図6には、入力シアン色材量に対し、出力濃シアン色材量、出力淡シアン色材量、出力濃淡シアン合計色材量、そして、入力シアン色材量のグラフが示されている。同図において、出力濃淡シアン合計色材量は、入力シアン色材量80[%]をピークに減少する特性を有する。図6のタイプは、入出力の濃度特性が同一となりつつ、入力シアン色材量100[%]に対しては、濃シアン色材量100[%]を利用し、途中までは、淡シアンインク優先となる濃淡分解を実現することが可能となる濃淡分解基本特性テーブルである。
【0022】
図7には、同様に入力シアン色材量に対し、出力濃シアン色材量、出力淡シアン色材量、出力濃淡シアン合計色材量、そして、入力シアン色材量のグラフが示されている。同図において、出力濃淡シアン合計色材量は、入力シアン色材量が増すに従って、単調に増加する特性を有する。図7のタイプは、入出力の濃度特性が同一となりつつ、淡シアン優先した濃淡分解を実現することが可能となる濃淡分解基本特性テーブルである。
【0023】
図8は、図9、10のタイプにおける入出力の濃度特性を示す図である。図9,10のタイプでは、入力となるシアン色材量に対する濃度特性より濃淡シアンの出力濃度特性が大きくなるタイプであり、その様子が修正濃淡シアン濃度として明示されている。
【0024】
図9には、同様に入力シアン色材量に対し、出力濃シアン色材量、出力淡シアン色材量、出力濃淡シアン合計色材量、そして、入力シアン色材量のグラフが示されている。同図において、出力濃淡シアン合計色材量は、入力シアン色材量が増すに従って、単調に増加する特性を有する。図9のタイプは、入力の濃度特性より出力の濃度特性が大きくなる特性を有するものであり、且つ、ハイライト側は淡インク優先で、高濃度側は濃インクを優先した濃淡分解を実現することが可能となる濃淡分解基本特性テーブルである。
【0025】
図10には、同様に入力シアン色材量に対し、出力濃シアン色材量、出力淡シアン色材量、出力濃淡シアン合計色材量、そして、入力シアン色材量のグラフが示されている。同図において、出力濃淡シアン合計色材量は、入力シアン色材量が増すに従って、単調に増加する特性を有する。図10のタイプは、入力の濃度特性より出力の濃度特性が大きくなる特性を有するものであり、且つ、基本は淡インク優先で高濃度側では濃インクを100[%]まで使用した濃淡分解を実現することが可能となる濃淡分解基本特性テーブルである。
【0026】
ステップS6は、CMYKの初期設定ステップである。本実施例では、46変換テーブルとして、各色が0,10,20,30,40,50,60,70,80,90,100の11格子で構成され、11x11x11x11=14641とするとき、C=M=Y=K=0の初期設定をおこなう。
【0027】
ステップS7は、CMYKの総色材量が制限値をオーバーしているかどうかを判定するステップであり、Yesの場合はステップS8へ進み、Noの場合はステップS10へ進む。
【0028】
ステップS8は、図1の色材量補正部101の処理を示すCMYK色材量補正処理ステップであり、下記のような色材量補正処理を実行する。
【0029】
【数1】

ここで、AmtLIMITは、総色材量制限値であり、Amt(C,M,Y,K)は、シアン色材量(C)、マゼンタ色材量(M)、イエロー色材量(Y)、そして、ブラック色材量(K)の合計値を示す。
【0030】
ステップS9は、図1の出力濃淡合計色材量算出部にて実施される入力総色材量と墨量に応じて出力となる濃淡合計色材量の算出ステップである。シアン濃淡合計色材量(AmtCmax)、及び、マゼンタ濃淡合計色材量(AmtMmax)は、それぞれ、下記のような演算式により求められる。
【0031】
【数2】

ここで、AmtCupは、シアン色材の増加可能量を示す値であり、図6,7,9,10にて示されているように、
AmtCup = 出力濃淡シアン合計色材量−入力シアン色材量 …(9)
AmtMupは、マゼンタ色材の増加可能量を示す値であり、同様に
AmtMup = 出力濃淡マゼンタ合計色材量−入力マゼンタ色材量 …(10)
である。また、α(K2)は、図15で示されているような特性を持っており、墨量(K2)が多くなるに従い、α(K2)の値が小さくなるように設定されている。これにより、墨量に応じて、淡シアン、淡マゼンタに振り分けられる色材量を少なくすることが可能となる。
【0032】
ステップS10は、出力濃度・濃淡合計色材量から濃淡分解処理ステップであり、ステップS4にて作成された濃度-色材量マップ(図16)から濃淡分解処理を実行する。該マップの格子に相当する濃度、色材量以外の値が指定された場合は、格子間補間演算処理により値を求め、出力濃度・色材量に相当する濃淡分解処理を実施する。濃淡分解基本特性テーブル部として、図6,7のタイプを用いた場合は、入出力の濃度特性は同一となるので、そのままの値が出力シアン濃度(DenC)、出力マゼンタ濃度(DenM)として用いられる。また、濃淡分解基本特性テーブル部として、図9,10のタイプを用いた場合は、入出力の濃度特性は異なるので、その場合は、図8に示されている修正濃淡シアン濃度、及び、不図示の修正濃淡マゼンタ濃度が、出力シアン濃度(DenC)、出力マゼンタ濃度(DenM)として用いられる。
【0033】
ステップS11は、CMYKのインクリメント処理ステップであり、順次CMKYインクリメント処理(+10%)を行う。
【0034】
ステップS12は、46変換テーブルの全ての格子点が終了したかどうかを判定するステップであり、Noの場合は、S7〜S11までの処理を繰り返し、Yesの場合は、ステップS13へ進む。
【0035】
ステップS13は、エンドステップであり、46変換テーブルの作成処理を終了する。
【0036】
以上説明したように、本実施例では、墨量に応じて淡い色材に振り分ける色材量を制御することが可能となり、墨量が多くなった領域で、淡い色材の使用による粒状感の向上が図れない場合にても無駄に淡い色材が使用されてしまうという問題点を解決することができる。
【0037】
<第2実施例>
第1実施例では、図2に示されるように、図3のコントローラ部301が内臓タイプのプリンタ204を用いて実施した。しかしながら、実施形態は、これに限らず、図11に示されているように、コンピュータ1101とプリンタ1105の中間に位置するコントローラ1104のような実施形態により不図示のネットワーク等を利用して実施することも可能である。また、図3のコントローラ301の機能がコンピュータ内に実装される、あるいは、ソフトウエアにより処理されるような実施形態であっても良い。
【0038】
<第3実施例>
第1実施例にて示されている色分解処理装置、及び、方法が適用される画像形成装置は、インクジェットプリンタ、電子写真プリンタ、そして、熱昇華型プリンタなど、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの基本4色に淡シアン、淡マゼンタなどの色材が追加されたシステムであるならば、どのような形態の画像形成装置にて利用することが可能である。
【0039】
<第4実施例>
第1実施例では、淡い色材色としてシアン、マゼンタを用いた色材システムを利用して説明したが、淡い色材色は、これに限らず、淡イエローや淡ブラックの色材を用いた画像形成装置に対しても適用することが可能である。
【0040】
<第5実施例>
第1実施例では、シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡シアン、淡マゼンタ色材を含む濃淡6色材システムへ色分解処理するため構成例を用いて実施した。しかしながら、実施形態は、これに限らず、図14で示されているようにシアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡シアン、淡マゼンタ、淡イエロー、そして、淡ブラック色材を含む濃淡8色材システムへ色分解処理するための装置構成例も可能である。
【0041】
同図において、1401は色材量補正部であり、C1,M1,Y1,K1の色材量データを色材量制限値(AmtLIMIT)以下になるように色材量補正処理を実行し、シアンC2,マゼンタM2,イエローY2,ブラックK2の色材量データを出力する。1402は出力濃淡合計色材量算出部であり、1403濃淡分解基本特性テーブル部に基づき、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの色材色に対し、濃淡の合計色材量の算出を実行する。1403は、濃淡分解基本特性テーブル部であり、各色ごとに濃淡分解するための濃淡の基本色材量、及び,濃淡分解後の出力濃度特性が格納さている。
【0042】
1404はシアン色材濃淡分解部であり、濃淡分解基本特性テーブル部1403からのシアン出力濃度(DenC)と出力濃淡合計色材量算出部1402からの濃淡シアンの合計色材量(AmtCmax)に基づき濃淡分解し、シアンC3、淡シアンLc3を出力する。同様に、1405はマゼンタ色材濃淡分解部であり、マゼンタの出力濃度(DenM)と濃淡マゼンタの合計色材量(AmtMmax)に基づき濃淡分解し、マゼンタM3、淡マゼンタLm3を出力する。
【0043】
同様に、1406はイエロー色材濃淡分解部であり、イエローの出力濃度(DenY)と濃淡イエローの合計色材量(AmtYmax)に基づき濃淡分解し、イエローY3、淡イエローLy3を出力する。
【0044】
同様に、1407はブラック色材濃淡分解部であり、ブラックの出力濃度(DenK)と濃淡ブラックの合計色材量(AmtKmax)に基づき濃淡分解し、ブラックK3、淡ブラックLk3を出力する。
【0045】
詳しい処理フローは、図4のフローチャートを用いて処理される。実施例1の場合は、淡シアンと淡マゼンタのみの実施例であったが、実施例4では、淡イエローと淡ブラックの色材が追加されたため、式(5)〜(10)には淡イエローと淡ブラックに相当するパラメータが追加されることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る色分解処理装置において、シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡シアン、淡マゼンタ色材を含む濃淡6色材システムへ色分解処理するための装置構成を示す図である。
【図2】第1実施例にかかる色分解処理装置を含むシステム構成を示す図である。
【図3】プリンタ204内に搭載された画像処理装置を示す図である。
【図4】図1の色分解テーブル作成装置を用いて46変換色分解テーブルを作成するためのフローチャートである。
【図5】濃淡色材クロスパッチのパッチ構成を示す図である。
【図6】入出力の濃度特性が同一となりつつ、入力シアン色材量100[%]に対しては、濃シアン色材量100[%]を利用し、途中までは、淡シアンインク優先となる濃淡分解を実現することが可能となる濃淡分解基本特性テーブルである。
【図7】入出力の濃度特性が同一となりつつ、淡シアン優先した濃淡分解を実現することが可能となる濃淡分解基本特性テーブルである。
【図8】図9、10のタイプにおける入出力の濃度特性を示す図である。
【図9】入力の濃度特性より出力の濃度特性が大きくなる特性を有するものであり、且つ、ハイライト側は淡インク優先で、高濃度側は濃インクを優先した濃淡分解を実現することが可能となる濃淡分解基本特性テーブルである。
【図10】入力の濃度特性より出力の濃度特性が大きくなる特性を有するものであり、且つ、基本は淡インク優先で高濃度側では濃インクを100[%]まで使用した濃淡分解を実現することが可能となる濃淡分解基本特性テーブルである。
【図11】プリンタの外部にコントローラが存在する場合のシステム構成を示す図であり、コンピュータ1101とプリンタ1105の中間にコントローラ1104が位置している。
【図12】画像形成装置の基本色材色であるシアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラック4色の濃い色材データを濃い色材と淡シアン、淡マゼンタの淡い色材で構成される濃淡6色材システムへ色分解処理する従来技術ための図である。
【図13】従来技術におけるシアン色材の濃淡分解を説明するための図である。
【図14】シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡シアン、淡マゼンタ、淡イエロー、そして、淡ブラック色材を含む濃淡8色材システムへ色分解処理するための装置構成例を説明するための図である。
【図15】墨量に応じて、淡い色材に振り分ける出力濃淡合計色材量を制御するための関数である。
【図16】濃淡色材クロスパッチからの濃度-色材量マップを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
101 色材量補正部
102 出力濃淡合計色材量算出部
103 濃淡分解基本特性テーブル部
104 シアン色材濃淡分解部
105 マゼンタ色材濃淡分解部
201 コンピュータ
202 モニタ
203 濃淡色材クロスパッチ
204 プリンタ
205 濃淡色材クロスパッチの印刷物
206 測色器
301 コントローラ部
302 46変換補間演算処理部
303 46変換テーブル部
S1 スタートステップ
S2 濃淡色材クロスパッチの印刷ステップ
S3 濃淡色材クロスパッチの測色ステップ
S4 濃淡色材クロスパッチから濃度−色材量マップの作成ステップ
S5 濃淡分解基本特性テーブルの作成ステップ
S6 CMYKの初期設定
S7 CMYKの総色材量が制限値オーバーか同かを判定するステップ
S8 CMYK色材量補正処理ステップ
S9 入力色材量に基づき出力濃淡合計色材量の算出ステップ
S10 出力濃度・出力濃淡合計色材量から濃淡分解処理ステップ
S11 CMYKのインクリメント処理ステップ
S12 全ての格子点が終了したかどうかを判定するステップ
S13 エンドステップ
1101 コンピュータ
1102 モニタ
1103 濃淡色材クロスパッチ
1104 コントローラ
1105 プリンタ
1106 濃淡色材クロスパッチの印刷物
1107 測色器
1201 コントローラ部
1202 シアン色材濃淡分解部
1203 マゼンタ色材濃淡分解部
1401 色材量補正部
1402 出力濃淡合計色材量算出部
1403 濃淡分解基本特性テーブル部
1404 シアン色材濃淡分解部
1405 マゼンタ色材濃淡分解部
1406 イエロー色材濃淡分解部
1407 ブラック色材濃淡分解部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解する画像処理装置において、
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定する手段、濃い色材量の基本特性を規定する手段、そして、淡い色材量の基本特性を規定する手段と
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出する手段と
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求める手段と
により構成されることを特徴とする色分解画像処理装置である。
【請求項2】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解する画像処理装置において、
・ シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色色材量を総色材量制限値以下に補正処理手段と
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定する手段、濃い色材量の基本特性を規定する手段、そして、淡い色材量の基本特性を規定する手段と
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出する手段と
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求める手段と
により構成されることを特徴とする色分解画像処理装置である。
【請求項3】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解処理を色分解用テーブル手段と前記色分解用テーブル手段に基づき補間演算処理により実行する画像処理装置において、
前記色分解用テーブル手段は、
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定する手段、濃い色材量の基本特性を規定する手段、そして、淡い色材量の基本特性を規定する手段と
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出する手段と
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求める手段と
により作成されることを特徴とする色分解画像処理装置である。
【請求項4】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解処理を色分解用テーブル手段と前記色分解用テーブル手段に基づき補間演算処理により実行する画像処理装置において、
前記色分解用テーブル手段は、
・ シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色色材量を総色材量制限値以下に補正処理手段と
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定する手段、濃い色材量の基本特性を規定する手段、そして、淡い色材量の基本特性を規定する手段と
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出する手段と
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求める手段と
により作成されることを特徴とする色分解画像処理装置である。
【請求項5】
前記請求項1,2,3,4記載のシアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解する画像処理装置において、
前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出する手段とは、墨量が増すに従い濃淡合計色材量が減ることを特徴とする色分解画像処理装置である。
【請求項6】
前記請求項1〜5記載の淡い色材とは、シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックのうちのn-4色であることを特徴とする色分解画像処理装置である。
【請求項7】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解する画像処理方法において、
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定するステップ、濃い色材量の基本特性を規定するステップ、そして、淡い色材量の基本特性を規定するステップと
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出するステップと
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求めるステップと
により構成されることを特徴とする色分解画像処理方法である。
【請求項8】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解する画像処理方法において、
・ シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色色材量を総色材量制限値以下に補正処理ステップと
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定するステップ、濃い色材量の基本特性を規定するステップ、そして、淡い色材量の基本特性を規定するステップと
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出するステップと
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求めるステップと
により構成されることを特徴とする色分解画像処理方法である。
【請求項9】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解処理を色分解用テーブルステップと前記色分解用テーブルステップに基づき補間演算処理により実行する画像処理方法において、
前記色分解用テーブルステップは、
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定するステップ、濃い色材量の基本特性を規定するステップ、そして、淡い色材量の基本特性を規定するステップと
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出するステップと
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求めるステップと
により作成されることを特徴とする色分解画像処理方法である。
【請求項10】
シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解処理を色分解用テーブルステップと前記色分解用テーブルステップに基づき補間演算処理により実行する画像処理方法において、
前記色分解用テーブルステップは、
・ シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色色材量を総色材量制限値以下に補正処理ステップと
・ 入力色材量に対する出力濃度特性を規定するステップ、濃い色材量の基本特性を規定するステップ、そして、淡い色材量の基本特性を規定するステップと
・ 前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出するステップと
・ 前記出力濃度と前記濃淡合計色材量から濃色材量と淡色材量を求めるステップと
により作成されることを特徴とする色分解画像処理方法である。
【請求項11】
前記請求項7,8,9,10記載のシアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックの基本4色材システムから淡い色材を含む濃淡n色材システムへ色分解する画像処理方法において、
前記入力総色材量と墨量に応じて濃淡合計色材量を算出するステップとは、墨量が増すに従い濃淡合計色材量が減ることを特徴とする色分解画像処理方法である。
【請求項12】
前記請求項7〜11記載の淡い色材とは、シアン、マゼンタ、イエロー、そして、ブラックのうちのn-4色であることを特徴とする色分解画像処理方法である。
【請求項13】
コンピュータで実行されることによって、請求項7乃至12のいずれかに記載された色分解画像処理方法を実現するプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のプログラムを記録した記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2008−28919(P2008−28919A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202068(P2006−202068)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】