説明

芝刈り機

【課題】作業性の良い芝刈り機を提供する。
【解決手段】芝刈り機10は、芝刈り手段13,15,17を備える装置本体部11と、装置本体部11に対して回動自在に設置されるハンドル部31と、装置本体部11で刈り取られた芝草を収容する集草ボックス41とを有する。装置本体部11は、芝草を吸引する吸引口20と、吸引されてきた芝草を装置本体部11から排出する排出口24と、吸引口20から排出口24へと芝草を導くための吸引風を発生させる吸引機構22と、排出口24と集草ボックス41に形成された集草口42とを連通して、排出口24から集草口42までの集草経路23,25の少なくとも一部を形成する中間経路部材26とを備える。集草ボックス41は中間経路部材26に対して着脱自在であり、中間経路部材26はハンドル部31に対して着脱自在であるとともに、装置本体部11に対して回動自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝刈り手段を備えた装置本体部と、刈り取られた芝草を収容する集草ボックスとを備える芝刈り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、芝刈り手段を備える装置本体部と、装置本体部に対して回動自在に設置されるハンドル部と、装置本体部で刈り取られた芝草を収容する集草ボックスとで主体が構成される芝刈り機が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
この種の芝刈り機では、装置本体部の後方に位置するハンドル部に対して集草ボックスが取り付けられているとともに、ハンドル部は装置本体部に対して前後方向に回動自在に連結して構成されている。そして、芝刈り時には、ハンドル部を所望の回動角度で傾倒させながら押すことで装置本体部を移動させ、収納時には、ハンドル部を装置本体部に対して起立させることで、コンパクトな状態で収納することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−118823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の芝刈り機では、装置のコンパクト化やデザイン性が重視される傾向があり、芝刈り機の作業性を阻害する構成が採用されていた。例えば、上記特許文献1に記載された芝刈り機を例にとって説明すると(なお、特許文献1で使用されている構成部材の名称を括弧書きで付記してある。)、装置本体部(本体)の後方で回動自在に設けられたハンドル部(ハンドル)には、その前方側に集草ボックスが設けられている。そして、集草ボックスは、刈り取って吸引された芝草を収容するものであるため、作業を進めると重量が増加してくる。したがって、操作者にとっては、操作するハンドル部(ハンドル)に対して集草ボックスという容積の大きな重量物が載せられているとともに、作業の進行に伴って操作する手に加わる重量も増加してくるという問題が存在していた。
【0006】
また、従来の芝刈り機は、ハンドル部(ハンドル)を急傾斜の状態で立てて使用した場合、集草経路も急傾斜となる構造であったため、刈り取った芝草が集草経路に詰まり易いという問題点を有していた。
【0007】
さらに、この種の芝刈り機は、その構造上、ハンドル部(ハンドル)を装置本体部(本体)の後方に回動させたときには芝刈り機自体が自立することができなかった。このような構造上の制約は、芝刈り機を使用する作業者に対して負担を掛けるものであり、作業性を阻害する要因となっていた。
【0008】
本発明は、上述した課題の存在に鑑みて成されたものであって、その目的は、作業性の良い芝刈り機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0010】
本発明に係る芝刈り機(10)は、芝刈り手段(13,15,17)を備える装置本体部(11)と、前記装置本体部(11)に対して回動自在に設置されるハンドル部(31)と、前記装置本体部(11)で刈り取られた芝草を収容する集草ボックス(41)と、を有する芝刈り機(10)であって、前記装置本体部(11)は、前記芝刈り手段(13,15,17)によって刈り取られた芝草を吸引する吸引口(20)と、前記吸引口(20)から吸引されてきた芝草を装置本体部(11)から排出する排出口(24)と、前記吸引口(20)から前記排出口(24)へと芝草を導くための吸引風を発生させる吸引機構(22)と、前記排出口(24)と前記集草ボックス(41)に形成された集草口(42)とを連通して、前記排出口(24)から前記集草口(42)までの集草経路(23,25)の少なくとも一部を形成する中間経路部材(26)と、を備えており、前記集草ボックス(41)は前記中間経路部材(26)に対して着脱自在に設けられ、前記中間経路部材(26)は、前記ハンドル部(31)に対して着脱自在であるとともに、前記装置本体部(11)に対して回動自在に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る芝刈り機(10)では、前記中間経路部材(26)と前記集草ボックス(41)とが協働して前記排出口(24)から前記集草口(42)までの集草経路(23,25)を形成するように構成することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る芝刈り機(10)において、前記集草ボックス(41)は、前記ハンドル部(31)に対する前記中間経路部材(26)の取り付けが解除されることで前記装置本体部(11)に対して後斜め下方に傾斜したとき、地面と接触する個所にフリーローラ(45)が設置されていることとすることができる。
【0013】
またさらに、本発明に係る芝刈り機(10)において、前記装置本体部(11)には、操作者が前記ハンドル部(31)に対して力を加えたときに、芝刈り機(10)が移動するように複数の車輪(27)が設置されており、本発明に係る芝刈り機(10)は、前記複数の車輪(27)と前記フリーローラ(45)との協働によって、自立可能であることとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業性の良い芝刈り機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る芝刈り機の外観図であり、特に、正面視を示している。
【図2】本実施形態に係る芝刈り機の外観図であり、特に、右側面視を示している。
【図3】本実施形態に係る芝刈り機の外観図であり、特に、左側面視を示している。
【図4】本実施形態に係る芝刈り機の外観図であり、特に、上面視を示している。
【図5】本実施形態に係る芝刈り機の外観図であり、特に、底面視を示している。
【図6】図1中におけるA−A断面を示す図であり、本実施形態に係る芝刈り機が有する内部構成を説明するための図である。
【図7】図6中のB−B断面を示す図である。
【図8】図2中のC−C断面を示す図である。
【図9】図3中の符号D矢視を示す図である。
【図10】図9中のE−E断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
本実施形態に係る芝刈り機について、図1〜図10を用いて説明する。ここで、図1〜図5は、本実施形態に係る芝刈り機の外観図であり、特に、図1は正面視を、図2は右側面視を、図3は左側面視を、図4は上面視を、図5は底面視を示している。また、図6は、図1中におけるA−A断面を示す図であり、本実施形態に係る芝刈り機が有する内部構成を説明するための図である。さらに、図7は、図6中のB−B断面を示す図であり、図8は、図2中のC−C断面を示す図であり、図9は、図3中の符号D矢視を示す図であり、図10は、図9中のE−E断面を示す図である。以下の説明では、図1〜図10を適宜組み合わせて参照図面とし、説明を行うこととする。
【0018】
図1〜図5の外観図に示されるように、本実施形態に係る芝刈り機10は、芝刈り手段を備える装置本体部11と、装置本体部11に対して回動自在に設置されるハンドル部31と、装置本体部11で刈り取られた芝草を収容する集草ボックス41と、を有して構成されている。
【0019】
装置本体部11が備える芝刈り手段は、ハウジング12内に収納されており、図6にてその構成が詳しく描かれている。すなわち、本実施形態に係る芝刈り手段は、駆動源としてのモータ13と、芝草を刈るための刈刃17と、モータ13から及ぼされる回転駆動力を刈刃17に対して伝達するための動力伝達機構15とを含んで構成されている。なお、本実施形態の刈刃17については、モータ13の回転駆動力によって回転する上方の回転刃と、常時固定されている下方の固定刃との組合せによって構成されているが、以下の説明では、回転刃と固定刃を区別せず、両部材を一体で捉えた「刈刃」の語を用いて説明を行うこととする。
【0020】
動力伝達機構15は、モータ13が有するモータ軸13aの軸途中に設置された小プーリ13bと、モータ13の前方に配置された回転自在な中間シャフト14と、さらに中間シャフト14の前方に設置され且つ回転方向で固定された最終シャフト16とを備えている。中間シャフト14の上方には、大プーリ14aが設置されており、モータ軸13aの小プーリ13bと、中間シャフト14の大プーリ14aとは、タイミングベルト18が掛け回されることで回転駆動力を伝達可能な状態にて接続されている。
【0021】
また、中間シャフト14の下方には、中間ギヤ14bが設置されており、一方、最終シャフト16の中間部近傍には、中間シャフト14の中間ギヤ14bと噛み合う最終ギヤ16cが設置されている。この最終ギヤ16cは、最終シャフト16の軸周りで回転自在に設置される部材であり、その回転駆動力は、最終ギヤ16cの下方に設置された伝達部材16dを介して刈刃17に伝達され、刈刃17を回転駆動することとなる。つまり、モータ13の駆動によってモータ軸13aが回転すると、その回転駆動力は、小プーリ13b、タイミングベルト18、大プーリ14a、中間シャフト14、中間ギヤ14b、最終ギヤ16c及び伝達部材16dを介して最終的に刈刃17に伝達されることとなる。
【0022】
なお、地面に対する刈刃17の高さ調整を実現するために、最終シャフト16は二重の軸構造を有して構成されている。すなわち、最終シャフト16は、外側に配置された中空のマカロニ形状をした中空円筒形軸体16aと、この中空円筒形軸体16aの中空部分に上下動自在に設置される中実円筒形軸体16bとから構成されている。また、中実円筒形軸体16bの下方には、半円盤状の受け部材16eが設置されている。
【0023】
そして、中空円筒形軸体16aは、ハウジング12内での移動を規制されている。一方、中実円筒形軸体16bは、中空円筒形軸体16aに対する回転方向の移動を規制される一方で、中空円筒形軸体16aに対する上下方向の移動が自由になっている。さらに、刈刃17の上下方向の位置は固定されている。つまり、刈刃17は上下位置を固定される一方、中実円筒形軸体16b及びその下端に対して設置されている受け部材16eが上下方向で移動する。このとき、受け部材16eの底面が地面と接触することで、地面と刈刃17との位置が調節できるので、その結果として刈り取る芝草の長さを調節できるようになっている。
【0024】
なお、中実円筒形軸体16bの上下位置を調整する機構については、種々の構成を採用できるが、本実施形態では、装置本体部11の前方に設置されたお椀形の高さ調整つまみ19aと、この高さ調整つまみ19aと中実円筒形軸体16bとを接続して高さ調整つまみ19aの回転運動量を中実円筒形軸体16bの上下移動量に変換させる連結部材19bとによって構成されている。
【0025】
次に、本実施形態に係る装置本体部11が備える芝草の吸引機構について説明を行う。図6に示されるように、装置本体部11のハウジング12形状については、上方側に対して上述した動力伝達機構15が配置されているが、一方、その下方側には、刈り取られた芝草を吸引するための機構が配置されている。すなわち、装置本体部11には、装置本体部11の前方且つ刈刃17の直上位置周辺に対して芝草を吸引するための吸引口20が設けられている。吸引口20の後方には、装置本体部11の後方に向かって形成された第一経路21が形成されており、芝刈り手段としての刈刃17によって刈り取られた芝草は、吸引口20から吸い込まれた後に、まずこの第一経路21に誘導されることとなる。
【0026】
第一経路21の終端位置の上方には、モータ軸13aの軸端部に設置された吸引機構としての吸引ファン22が配置されている。この吸引ファン22は、モータ13の回転駆動に伴って回転し、吸引口20から後述する排出口24、集草口42へと芝草を導くための吸引風を発生させることができる。また、吸引ファン22によって発生する吸引風は、その一部が発熱体となるモータ13に対して送られることで、冷却風としての機能をも発揮することができるようになっている。
【0027】
第一経路21のさらに後方には、吸引ファン22の後方へと芝草を送り出すための第二経路23が形成されている。この第二経路23の終端には、吸引口20から吸引されてきた芝草を装置本体部11のハウジング12から排出するための排出口24が形成されている。
【0028】
排出口24の後方にはさらに、第三経路25を形成する中間経路部材26と、この中間経路部材26に接続する集草ボックス41とが接続されている。中間経路部材26が形成する第三経路25は、排出口24と集草ボックス41に形成された集草口42とを連通して、排出口24から集草口42までの集草経路を形成している。なお、中間経路部材26と集草ボックス41とは、図6中の符号αで示される個所で着脱自在となっており、また、第三経路25の下方の一部については、集草ボックス41の外周面の一部(符号βで示される個所)が利用されている。つまり、排出口24から集草口42までの集草経路としての第三経路25については、中間経路部材26と集草ボックス41とが協働して形成する構成が採用されている。この構成については、第三経路25を中間経路部材26などの一部材で構成する場合に比べて部材量を減らすことができるので、軽量化やコンパクト化が実現できる点で好ましい。
【0029】
以上から、本実施形態に係る芝刈り機10が備える集草経路は、吸引口20、第一経路21、第二経路23、排出口24及び第三経路25の順に形成されて、集草ボックス41に形成された集草口42へと接続するように構成されており、吸引口20から吸引された芝草が、最終的に集草ボックス41の芝草回収スペース43へと吸引/回収されるようになっている。
【0030】
本実施形態に係る装置本体部11は、上述した構成の他に、左右一対の車輪27,27を備えている。この車輪27は、図8にて示されるように、第一経路21や第二経路23の確保のために、片持ちの車軸27aによって装置本体部11のハウジング12に対して接続されている。左右一対の車輪27,27の作用によって、芝刈り機10のスムースな移動が実現されている。
【0031】
上述した装置本体部11に対しては、ハンドル部31が設置されている。本実施形態のハンドル部31は、左右一対のパイプ体32,32と、このパイプ体32,32を接続するとともに操作者からの把持を受ける把持部33とを有する構成が採用されている。左右一対のパイプ体32,32については、それぞれが装置本体部11の後方に回動自在な状態で設置されており、また、このパイプ体32,32は、長手方向で伸縮自在な構成となっている。すなわち、本実施形態に係るハンドル部31を構成する2本のパイプ体32,32のそれぞれは、図3、図9及び図10に示されるように、中空パイプ形状をした2本の径の異なるパイプの組合せによって構成されており、装置本体部11に接続する側に大径のパイプが、操作者から把持を受ける側に小径のパイプが配置され、大径のパイプに対する小径のパイプの挿入量を調整することで、パイプ体32の長さ調整ができるようになっている。パイプ体32を構成する2本のパイプの位置固定には、大径のパイプと小径のパイプの重なる位置に固定機構34が設置されており、この固定機構34が、大径のパイプと小径のパイプの重なる位置で2つのパイプを抱持する力を加えたり開放したりすることで、左右一対のパイプ体32,32を所望の長さで固定することができるようになっている。
【0032】
また、ハンドル部31に対しては、中間経路部材26が着脱自在となるように構成されている。その具体的な構成について、図6を参照して説明する。本実施形態に係る中間経路部材26については、ハンドル部31に対して着脱自在であるとともに、装置本体部11に対して回動自在に設けられている。そして、装置本体部11に対するハンドル部31の接続は、水平方向に設置される回動軸35によって実現されている。一方、中間経路部材26と排出口24とが接続する個所の形状は、相似形にて形成されており、互いに摺動しながら回動自在なように構成されている。そして、装置本体部11に対するハンドル部31の回動中心の位置は、回動軸35の軸中心となるが、装置本体部11に対するハンドル部31と中間経路部材26の回動中心は重畳しており、ハンドル部31の回動動作に従って、中間経路部材26についてもハンドル部31と同様に回動できるようになっている。
【0033】
さらに、排出口24の近傍の形状と、中間経路部材26における排出口24と接続する個所の形状とは、回動中心である回動軸35の中心軸に対して垂直な方向の断面(すなわち、図6で示される断面)で見たときに、回動中心を中心点として描かれる円弧形状として形成されている。したがって、中間経路部材26が装置本体部11に対してどのような回動位置にあったとしても、中間経路部材26における排出口24と接続する個所の集草経路の有効断面積は、変化しない。また、中間経路部材26と排出口24とが接続する個所は、互いが相似形であることから従来技術のような段差が存在しない。したがって、吸引機構である吸引ファン22によって吸い込まれた芝草は、集草経路内(特に、中間経路部材26と排出口24とが接続する個所)で詰まることがない。
【0034】
なお、中間経路部材26の上方には、バネ28aの弾性力によって係止爪28bの出し入れができる係止機構28が設置されており、一方、ハンドル部31の側には、この係止機構28の係止爪28bの保持をすることが可能な係合孔36が形成されている。したがって、中間経路部材26をハンドル部31に取り付けるときには、図9にて示されるように、係合孔36に対して係止爪28bを係合させ、中間経路部材26をハンドル部31から取り外して装置本体部11の後方側に回動させたいときには、係合孔36に対する係止爪28bの係合を解除すればよい。
【0035】
上述した中間経路部材26に対して着脱自在に設置される集草ボックス41は、中間経路部材26とともに装置本体部11に対して回動自在となるが、集草ボックス41は、吸引された芝草が芝草回収スペース43内に収容されていくので、芝刈り機10を使用して行くと重量が増加していくこととなる。また、この集草ボックス41については、芝草の収容という目的から、体積が比較的大きくなってしまうものである。したがって、ハンドル部31に対する中間経路部材26の取り付けが解除されることで、集草ボックス41が装置本体部11に対して後斜め下方に傾斜したときには、ハンドル部31が軽くなり、芝刈り機10の操作性が向上することとなる。
【0036】
また、ハンドル部31に対する中間経路部材26の取り付けが解除されることで、ハンドル部31の傾斜角度と関係なく、集草経路(第三経路25)の傾斜を緩やかにできるので、刈り取った芝草が集草経路中で詰まることがない。
【0037】
ただし、単に集草ボックス41を装置本体部11に対して後斜め下方に傾斜しただけでは、集草ボックス41の下方側が地面と擦れてしまい、芝刈り機10の操作性が悪くなることが考えられる。そこで、本実施形態に係る集草ボックス41においては、集草ボックス41が装置本体部11に対して後斜め下方に傾斜したときに地面と接触する個所に対して、フリーローラ45を設置することとした。これにより、刈り取られ、吸い込まれた芝草が溜まる集草ボックス41の移動性が向上する。
【0038】
さらに、フリーローラ45の作用として、本実施形態に係る芝刈り機10は、2個の車輪27,27とフリーローラ45との協働によって、芝刈り機10自体が自立可能となっている。従来技術に係る芝刈り機は、使用状態において装置自体が自立することが出来なかったので、本実施形態のように使用状態において自立可能な構成は、操作者の負担軽減にもつながり、作業性と操作性の向上に寄与するものである。
【0039】
なお、本実施形態に係る集草ボックス41は、芝草回収スペース43に溜まった芝草を集草口42から取り出す作業の容易化のために、樹脂などの透明体によって形成されることが好適である。また、本実施形態の集草ボックス41には、持ち手44が形成されており、中間経路部材26への着脱や、芝草回収スペース43に溜まった芝草を集草口42から取り出す作業の容易化などの効果を発揮することができる。
【0040】
以上、本実施形態に係る芝刈り機10の具体的構成について説明を行った。本実施形態に係る芝刈り機10によれば、芝刈り時には、操作者がハンドル部31を所望の回動角度で傾倒させながらハンドル部31に対して力を加えて押すことで、装置本体部11を移動させることができる。このとき、装置本体部11には2個の車輪27,27が設置されているので、芝刈り機10のスムースな移動が実現される。
【0041】
また、芝刈り時における芝刈り機10の取り得る形態として、本実施形態に係る芝刈り機10は、ハンドル部31に対して中間経路部材26及び集草ボックス41を取り付けた状態で操作する場合と、中間経路部材26及び集草ボックス41をハンドル部31から取り外した状態で操作する場合とを選択することができる。特に、後者のハンドル部31から中間経路部材26及び集草ボックス41を取り外して使用する形態については、従来技術では存在しなかったものであり、作業者が操作を行うハンドル部31の重量が減少するので、操作性が向上する。また、集草ボックス41には、フリーローラ45が設置されているので、集草ボックス41が装置本体部11に対して後斜め下方に傾斜した状態であっても、このフリーローラ45の作用によって、芝刈り機10の移動性及び操作性が阻害されることは無い。さらに、この場合、2個の車輪27,27とフリーローラ45とが機能するので、芝刈り機10自体が自立可能である。また、たとえ操作者がハンドル部31から手を離しても本実施形態の芝刈り機10は安定して自立が可能なので、かかる点からも操作性の向上効果が得られる。
【0042】
なお、本実施形態に係る芝刈り機10は、収納時には、ハンドル部31を装置本体部11に対して起立させることでコンパクトに収納することができるので、この種の芝刈り機が従来から有していたコンパクト性を損なうことは無い。
【0043】
次に、本実施形態に係る芝刈り機10の動作方法について説明を行う。
【0044】
まず、操作者は、ハンドル部31の有する把持部33に接続された不図示の電源ケーブルをコンセント等の電力供給源に接続し、芝刈り機10に対して電力が供給された状態とする。そして、把持部33に設置された操作スイッチ33aを押すことによって、モータ13への動作指令を行う。操作スイッチ33aが押されると、モータ13が駆動する。モータ13が駆動すると、ハウジング12内に設置された動力伝達機構15を介して刈刃17が回転し、芝草を刈ることができる。
【0045】
また、刈刃17の回転と同時に、吸引ファン22が回転し、吸引口20から排出口24、集草口42へと芝草を導くための吸引風が発生する。この吸引風によって、芝草の刈り込み作業をしながらも、同時に刈り取った芝草の回収作業が実行される。
【0046】
回収された芝草は、集草ボックス41の芝草回収スペース43内に溜まるが、集草ボックス41は透明体によって形成されているので、作業者は目視確認によって芝草の回収状況を確認し、集草ボックス41が満杯になった場合には、芝草の刈り込み作業を停止して中間経路部材26から集草ボックス41を取り外し、回収した芝草を捨てればよい。
【0047】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0048】
例えば、集草経路を構成する部材として、本実施形態では、装置本体部11を構成するハウジング12と中間経路部材26、及び集草ボックス41の三部材による構成を例示した。特に、集草経路の一部については、集草ボックス41の外周面の一部を利用する構成を例示した。しかしながら、本実施形態で例示した部材の形状については、本発明が取り得る一形態を例示したに過ぎない。本発明に係る芝刈り機を構成する部材の形状等については、上述した作用効果を発揮する範囲内において、種々の変形形態を採用することが可能である。
【0049】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
10 芝刈り機、11 装置本体部、12 ハウジング、13 モータ、13a モータ軸、13b 小プーリ、14 中間シャフト、14a 大プーリ、14b 中間ギヤ、15 動力伝達機構、16 最終シャフト、16a 中空円筒形軸体、16b 中実円筒形軸体、16c 最終ギヤ、16d 伝達部材、16e 受け部材、17 刈刃、18 タイミングベルト、19a 高さ調整つまみ、19b 連結部材、20 吸引口、21 第一経路、22 吸引ファン、23 第二経路、24 排出口、25 第三経路、26 中間経路部材、27 車輪、28 係止機構、28a バネ、28b 係止爪、31 ハンドル部、32 パイプ体、33 把持部、33a 操作スイッチ、34 固定機構、35 回動軸、36 係合孔、41 集草ボックス、42 集草口、43 芝草回収スペース、44 持ち手、45 フリーローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝刈り手段を備える装置本体部と、
前記装置本体部に対して回動自在に設置されるハンドル部と、
前記装置本体部で刈り取られた芝草を収容する集草ボックスと、
を有する芝刈り機において、
前記装置本体部は、
前記芝刈り手段によって刈り取られた芝草を吸引する吸引口と、
前記吸引口から吸引されてきた芝草を装置本体部から排出する排出口と、
前記吸引口から前記排出口へと芝草を導くための吸引風を発生させる吸引機構と、
前記排出口と前記集草ボックスに形成された集草口とを連通して、前記排出口から前記集草口までの集草経路の少なくとも一部を形成する中間経路部材と、
を備えており、
前記集草ボックスは前記中間経路部材に対して着脱自在に設けられ、
前記中間経路部材は、前記ハンドル部に対して着脱自在であるとともに、前記装置本体部に対して回動自在に設けられていることを特徴とする芝刈り機。
【請求項2】
請求項1に記載の芝刈り機において、
前記中間経路部材と前記集草ボックスとが協働して前記排出口から前記集草口までの集草経路を形成することを特徴とする芝刈り機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の芝刈り機において、
前記集草ボックスは、前記ハンドル部に対する前記中間経路部材の取り付けが解除されることで前記装置本体部に対して後斜め下方に傾斜したとき、地面と接触する個所にフリーローラが設置されていることを特徴とする芝刈り機。
【請求項4】
請求項3に記載の芝刈り機において、
前記装置本体部には、操作者が前記ハンドル部に対して力を加えたときに、芝刈り機が移動するように複数の車輪が設置されており、
前記複数の車輪と前記フリーローラとの協働によって、自立可能であることを特徴とする芝刈り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−244715(P2011−244715A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119171(P2010−119171)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】