説明

芝刈機

【課題】走行機体1から集草体30,85を取外したことをオペレータが忘れて、草刈り作業を開始しても、モア装置16によって刈取られた刈草が排出ダクト29から放散されるのを防止できるようにした芝刈機を提供するものである。
【解決手段】走行機体1に搭載されたモア装置16と、モア装置16によって刈取られた草を搬出する排出ダクト29と、排出ダクト29からの刈草を集める集草体30,85と、走行機体1に搭載されたエンジン9を停止するエンジン停止機構91と、モア装置16を駆動又は停止操作するPTO操作体18とを備えてなる芝刈機において、モア装置16を駆動するためのPTO操作体18の操作を検出するPTO入り検知体55と、走行機体1に集草体30,85が連結された状態を検出する集草検知体74とを備え、走行機体1から集草体30,85を取外した状態で、モア装置16を駆動すべくPTO操作体18を操作することによって、エンジン停止機構91が作動するように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に植立した芝草等を刈取るためのモア装置と、モア装置によって刈取られた刈草を搬出する排出ダクト及び集草体とを備えた芝刈機に係り、より詳しくは、エンジンを搭載した走行機体に、モア装置及び排出ダクト及び集草体を装備した芝刈機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、芝刈機は、走行機体に昇降動可能に装着したロータリ刈刃付きのモア装置と、当該モア装置から後向きに延びる略筒状の排出ダクトと、この排出ダクトに連通する集草体(集草ボックス又は放てきカバー)とを備え、モア装置によって地上の芝草等を連続して刈取り、モア装置から排出ダクトを介して集草体に芝草等の刈草を排出するように構成している。
【0003】
この場合、従来の芝刈機においては、エンジンが作動している状態で、PTOクラッチがオンのときに、集草体を集草位置から移動させることによって、エンジンが停止する構成を採用していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−47134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、走行機体から集草体を取外した状態で、エンジンを作動して、モア装置を駆動した場合、モア装置によって刈取られた刈草が排出ダクトから放散される等の問題がある。例えば、モア装置によって刈取られた刈草を収集する集草ボックス、又はモア装置によって刈取られた刈草を刈り跡に放てきする放てきカバーによって集草体を形成し、走行機体に集草ボックス又は放てきカバーを互換可能に連結する構造では、集草ボックス及び放てきカバーの両方を走行機体から取外したことをオペレータが忘れて、草刈作業を開始した場合、モア装置によって刈取られた刈草が排出ダクトから放散される等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、走行機体から集草体を取外したことをオペレータが忘れて、草刈り作業を開始しても、モア装置によって刈取られた刈草が排出ダクトから放散されるのを防止できるようにした芝刈機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の芝刈機は、走行機体に搭載されたモア装置と、前記モア装置によって刈取られた草を搬出する排出ダクトと、前記排出ダクトからの刈草を集める集草体と、前記走行機体に搭載されたエンジンを停止するエンジン停止機構と、前記モア装置を駆動又は停止操作するPTO操作体とを備えてなる芝刈機において、前記モア装置を駆動するための前記PTO操作体の操作を検出するPTO入り検知体と、前記走行機体に前記集草体が連結された状態を検出する集草検知体とを備え、前記走行機体から前記集草体を取外した状態で、前記モア装置を駆動すべく前記PTO操作体を操作することによって、前記エンジン停止機構が作動するように構成したものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の芝刈機において、前記集草体は、前記走行機体に着脱可能に連結する集草ボックスによって形成し、前記走行機体に前記集草ボックスを連結するための連結具に、前記集草検知体の操作体を連結するように構成したものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項に記載の芝刈機において、前記集草体は、前記走行機体に着脱可能に連結する放てきカバーによって形成し、前記放てきカバーに前記集草検知体の操作体を連結するように構成したものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の芝刈機において、前記走行機体の走行部を制動状態に維持するための駐車ブレーキの入り作動を検出する駐車ブレーキ検知体と、前記走行機体の運転座席にオペレータが座乗したことを検出する座乗検知体とを備え、前記モア装置を駆動中、前記駐車ブレーキを入り作動した場合、又は前記運転座席からオペレータが離れた場合の少なくともいずれか一方によって、前記エンジン停止機構を作動させるように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、走行機体に搭載されたモア装置と、前記モア装置によって刈取られた草を搬出する排出ダクトと、前記排出ダクトからの刈草を集める集草体と、前記走行機体に搭載されたエンジンを停止するエンジン停止機構と、前記モア装置を駆動又は停止操作するPTO操作体とを備えてなる芝刈機において、前記モア装置を駆動するための前記PTO操作体の操作を検出するPTO入り検知体と、前記走行機体に前記集草体が連結された状態を検出する集草検知体とを備え、前記走行機体から前記集草体を取外した状態で、前記モア装置を駆動すべく前記PTO操作体を操作することによって、前記エンジン停止機構が作動するように構成したものであるから、前記走行機体から前記集草体を取外した状態で、オペレータが前記PTO操作体を誤操作して、前記PTOクラッチが入り操作されても、そのPTO操作体の誤操作によって前記エンジンが停止されて、前記モア装置の刈草が前記排出ダクトから外側方に飛散するのを防止できる。即ち、前記走行機体に前記集草体としての集草ボックス又は放てきカバーを互換可能に連結して、草刈り作業を実行できる。例えば、刈草の集草が必要な場所では、前記走行機体に集草ボックスを連結し、刈り跡を良好に仕上げることができる。一方、刈草の放てきが可能な場所では、前記走行機体に放てきカバーを連結し、刈草の集草手間を省くことができる。そのため、草刈り作業場所に応じて、前記集草体としての集草ボックス又は放てきカバーを使い分けて、草刈り作業を実行でき、草刈り作業性を向上できるものである。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、前記集草体は、前記走行機体に着脱可能に連結する集草ボックスによって形成し、前記走行機体に前記集草ボックスを連結するための連結具に、前記集草検知体の操作体を連結するように構成したものであるから、前記走行機体に対して前記集草ボックスを着脱する操作と関連して、前記操作体によって前記集草検知体を簡単に切換えることができる。そのため、前記集草ボックスを着脱する場合、前記集草検知体を切換えるための前記操作体の操作をオペレータが忘れるのを簡単に防止できるものである。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、前記集草体は、前記走行機体に着脱可能に連結する放てきカバーによって形成し、前記放てきカバーに前記集草検知体の操作体を連結するように構成したものであるから、前記走行機体に対して前記放てきカバーを着脱する操作と関連して、前記操作体によって前記集草検知体を簡単に切換えることができる。そのため、前記放てきカバーを着脱する場合、前記集草検知体を切換えるための前記操作体の操作をオペレータが忘れるのを簡単に防止できるものである。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、前記走行機体の走行部を制動状態に維持するための駐車ブレーキの入り作動を検出する駐車ブレーキ検知体と、前記走行機体の運転座席にオペレータが座乗したことを検出する座乗検知体とを備え、前記モア装置を駆動中、前記駐車ブレーキを入り作動した場合、又は前記運転座席からオペレータが離れた場合の少なくともいずれか一方によって、前記エンジン停止機構を作動させるように構成したものであるから、前記駐車ブレーキの誤操作又は前記運転座席からのオペレータの移動等によって、前記モア装置が不適切に駆動されるのを簡単に防止でき、オペレータの運転操作性又は草刈り作業性を向上できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1は芝刈機の側面図、図2は芝刈機の平面図、図3はPTOクラッチレバーの操作態様を示す側面図、図4は走行機体に集草ボックスを取付けた側面図、図5は図4の走行機体と集草ボックスの連結部の拡大図、図6は走行機体に放てきカバーを取付けた側面図、図7は図6の背面図、図8はエンジンを停止させる制御回路図である。図1及び図2に示すように、この実施形態の芝刈機においては、走行機体1は、複数の横桟フレーム(図示省略)を介して一体的に連結された左右の機体フレーム3,4を備えている。当該機体フレーム3,4は、その左右両側の前後に配置した左右の前車輪5及び左右の後車輪6によって支持されている。
【0015】
走行機体1の上面前部を覆うフロントカウル7の上側のボンネット8には、動力源としてのエンジン9が内蔵されている。ボンネット8の後部の上方側には、丸形の操向ハンドル10を有する操縦コラム部11が搭載されている。操縦コラム部11の進行方向に向かって右側の下方には、車速を適宜調節するための変速ペダル12と、走行機体1を制動操作するためのブレーキペダル13とが配置されている。
【0016】
走行機体1の上面後部を覆うリヤカウル14上には運転座席15が設けられている。この運転座席15に座ったオペレータが操向ハンドル10を回動操作することにより、その操作量(回動量)に応じてパワーステアリング用の油圧式トルクジエネレータ2が作動し、左右の前車輪5の舵取り角(操向角度)が変わるように構成されている。運転座席15の左側には、後述するモア装置16を昇降操作するためのモア昇降レバー17が前後回動可能に設けられている。運転座席15の右側には、モア装置16を駆動または停止操作するためのPTOクラッチレバー18が前後回動可能に設けられている。
【0017】
リヤカウル14内には、静油圧式無段変速機(図示省略)等を有するミッションケース19が配置されている。機体フレーム3,4の後部に前低後高形の傾斜部を形成し、機体フレーム3,4の傾斜部の前後幅の中間部にミッションケース19を支持している。ミッションケース19は、エンジン9からの動力を適宜変速して左右の後車輪6に伝達するように構成されている。機体フレーム3,4の傾斜部の後端部に、エンジン9に燃料を供給する燃料タンク20を搭載している。右機体フレーム4の傾斜部の外側に、ミッションケース19の静油圧式無段変速機等に作動油を供給するオイルタンク21を搭載している。オイルタンク21と反対側で、燃料タンク20を挟むように、左機体フレーム3の傾斜部の外側に、エンジン9の始動等に用いるバッテリ22を搭載している。
【0018】
機体フレーム2の下面のうち左右両前車輪5と左右両後車輪6との間には、芝刈り用のモア装置16が前後のリンク杆23,24を介して昇降動可能に装着されている。モア装置16は、下向き開口椀状のモアケース25内に、水平回転可能な左右一対のロータリ刈刃26を備えている。また、モアケース25の左右両側の前後には、下降時にモア装置16の高さを調節する4つの前後のゲージ車輪27が取付けられている。モアケース25の上面には、後向きに開口したダクト部28が設けられている。
【0019】
ダクト部28は、機体フレーム3,4の下面のうち左右両後車輪6の間に配置した排出ダクト29の前側に連通している。また、集草体としての集草ボックス30に排出ダクト29の後側を連通している。集草ボックス30は、網状シートを箱形に張設して形成している。走行機体1の後部に配置したダンプ機構31によって集草ボックス30が転動可能に支持されている。モアケース25内のロータリ刈刃26によって刈取られた芝草等の刈草は、そのロータリ刈刃の起風によってダクト部28から排出ダクト29を介して集草ボックス30の内部に搬送され、モア装置16で刈取られた刈草が集草ボックス30内に収集されるように構成している。
【0020】
次に、図1及び図2を参照しながら、芝刈機の動力伝達系統について説明する。この実施形態の芝刈機では、エンジン9の回転動力の一部を左右両後車輪6に配分する二輪駆動方式が採用されている。即ち、エンジン9の回転動力の一部は、当該エンジン9から前後外向きに突出する出力軸32の後端部から、前後両端に自在継手を備えた推進軸33と、ミッションケース19よりも前方の部位に配置した走行用伝動中継ケース34と、無端入力ベルト35とを介して、ミッションケース19に伝達される。そして、このミッションケース19に左右外向きに突設した水平な左右の後輪駆動軸36から、左右の無端後輪駆動チェン37を介して走行機体1の後ろ寄り部位に設けた左右の車軸38に伝達される。その結果、左右の車軸38に取付けた左右の後車輪6が回転駆動されることになる。左右の機体フレーム3,4の後ろ寄り部位に左右のアクスルフレーム39をそれぞれ設け、左右のアクスルフレーム39に左右の車軸38を配置している。なお、排出ダクト29は、左右のアクスルフレーム39の間で前後方向に延長されている。
【0021】
図1に示されるように、走行機体1の下面側に配置した草刈部としてのモア装置16と、走行機体1の後方に配置した集草ボックス30との間に、刈取った芝草を搬送するための排出ダクト29を延設し、排出ダクト29の上方で前低後高形に傾斜させた走行機体1に、ミッションケース19を前低後高形に傾斜させて支持し、ミッションケース19の後側方の走行機体1にアクスルフレーム39等を介して集草ボックス30を配置したから、排出ダクト29の通風断面積(上下幅寸法及び左右幅寸法)を所定の大きさに形成して刈草の詰りを防止できるものでありながら、走行機体1に簡単な組付け構造で高剛性に集草ボックス30を支持できる。
【0022】
他方、エンジン9の他の回転動力は、出力軸32の前端部から、PTO動力伝達用の無端PTO伝動ベルト41を介して、機体フレーム4の前部に軸支したPTO軸42に伝達される。次いで、このPTO軸42から、前後両端に自在継手を備えた中間軸43を介して、モアケース25の上面のうち機体フレーム4よりも右側の部位に配置したモア用ギヤボックス44に動力伝達される。その結果、モアケース25内の左ロータリ刈刃26は平面視で時計方向に回転駆動し、右ロータリ刈刃26は平面視で反時計方向に回転駆動し、左右ロータリ刈刃26によって芝草等を刈取りながら、刈取った芝草等の刈草をモアケース25の左右幅の中央に集めてダクト部28から排出ダクト29に放出することになる。
【0023】
しかも、上記の構成により、エンジン9の動力を1本の推進軸33にてミッションケース19に伝達するものでありながら、排出ダクト29の通風断面積(上下幅寸法及び左右幅寸法)を所定の大きさに確保できるように、ミッションケース19を走行機体1の高い部位に配置した状態で、伝動中継ケース34の上下伝達寸法だけ推進軸33を低く配置できるから、エンジン9とミッションケース19との間で、運転座席15に座乗姿勢のオペレータが足を載せる走行機体1の床面(ステップ)の下方に推進軸33を配置しても、走行機体1の床面(ステップ)を低く形成できる。したがって、ミッションケース19への動力伝達機構を簡単に構成することと、走行機体の左右幅の中央部に大きな排出ダクト29を配置して刈取り芝草の後方への排出を円滑にすることと、且つオペレータが運転座席15に簡単に乗降することを、同時に達成できる効果がある。
【0024】
図3に示すように、エンジン9からのモア装置16への動力を継断操作するPTOクラッチ操作機構45は、機体フレーム2の門型フレーム46に固着した支点フレーム52と、その支点フレーム52に軸支された左右横向きのレバー支点軸47回りに前後回動可能なPTOクラッチレバー18と、このPTOクラッチレバー18と共にレバー支点軸47回りに一体回動する操作プレート48とを備える。操作プレート48に連結リンク50,51を介してPTOクラッチワイヤ49の一端側を連結する。エンジン9からのモア装置16への動力を継断するためのテンションプーリ等にて形成するPTOクラッチ(図示省略)にPTOクラッチワイヤ68の他端側を連結する。なお、操作プレート48は、PTOクラッチレバー18にバネ(図示省略)によって常に弾圧維持されている。
【0025】
即ち、PTOクラッチレバー18の入り操作によって操作プレート48を一体回動させ、PTOクラッチワイヤ49を引張り、PTO伝動ベルト41を緊張することになる。なお、操作プレート48の外側面とPTOクラッチワイヤ49の一端側との間には、PTOクラッチレバー18のレバー支点軸47回りの回動操作に伴って屈曲回動可能な一対の連結リンク50,51が介設されている。複数の屈曲部を有するリンク機構としての連結リンク50,51の折れ曲がりによって、PTOクラッチワイヤ49に発生する折れ曲がり力を低減できる。
【0026】
PTOクラッチレバー18の前方には、当該PTOクラッチレバー18の前向き回動(切り操作の方向の回動)を規制するための切り位置ストッパ53が配置されている。また、PTOクラッチレバー18の後方には、当該PTOクラッチレバー18の後ろ向き回動(入り操作の方向の回動)を規制するための入り位置ストッパ54が配置されている。これら両ストッパ53,54は支点フレーム52に形成されている。
【0027】
図3の実線状態のように、仮想線位置(PTOクラッチ切り位置)のPTOクラッチレバー18を、入りストッパー54に当接するまで、レバー支点軸47回りに後ろ向き回動させて入り操作すると、操作プレート48がPTOクラッチレバー18と一体回動して、PTOクラッチワイヤ49が引っ張られ、クラッチ解除バネ(図示省略)の弾性付勢力に抗して、PTOクラッチのテンションプーリがPTO伝動ベルト41の中途部を押圧する。その結果、PTO伝動ベルト41が緊張して、出力軸32からPTO軸42に動力が伝達され、モア装置16を作動して草刈り作業を実行することになる。
【0028】
一方、図3の二点鎖線状態のように、実線位置(PTOクラッチ入り位置)のPTOクラッチレバー18を、切りストッパー53に当接するまで、レバー支点軸47回りに前向き回動させて切り操作すると、操作プレート48がPTOクラッチレバー18と一体回動して、PTOクラッチワイヤ49が緩み、且つPTO伝動ベルト41が緩んで、出力軸32からPTO軸42への動力伝達が遮断され、モア装置16を停止状態に維持することになる。
【0029】
図3に示されるように、モア装置16を駆動するためのPTO操作体としてのPTOクラッチレバー18の入り切り操作を検出するPTO入り検知体としてのPTOクラッチセンサ55を備える。PTOクラッチセンサ55は、リミットスイッチにて形成する。支点フレーム52にPTOクラッチセンサ55を配置する。入りストッパー54にPTOクラッチレバー18を当接することによって、PTOクラッチセンサ55がオンオフ切換作動することになる。即ち、入りストッパー54に当接したPTOクラッチ入り位置(図3の実線位置)にPTOクラッチレバー18が保持されているか、又は切りストッパー53に当接したPTOクラッチ切り位置(図3の仮想線位置)にPTOクラッチレバー18が移動しているかが、PTOクラッチセンサ55のオンオフ切換作動によって検出されることになる。
【0030】
次に、図1乃至図6を参照しながら、本願発明に係る集草体としての集草ボックス30の支持構造について説明する。図1及び図4に示されるように、集草ボックス30は通気可能な網袋体56を有している。略四角形状の枠フレーム57に網袋体56を張設して集草ボックス30が形成されている。上述した排出ダクト29の後端側開口に集草ボックス30の前面開口を臨ませ、排出ダクト29に集草ボックス30の内部を連通させている。したがって、モア装置16で刈取られた刈草が排出ダクト29から集草ボックス30内に搬送され、収集されることになる。
【0031】
図5及び図6に示されるように、四角パイプ形状の機体フレーム3,4の四角形状の内孔に後端側から差し込む四角パイプ形状の集草支持体59を備える。左右の機体フレーム3,4に左右の集草支持体59の前端側を着脱可能に嵌め込んで、左右の機体フレーム3,4に左右の集草支持体59を着脱可能な抜止めピン60にてそれぞれ連結する。即ち、左右の機体フレーム3,4に左右の集草支持体59を介して集草ボックス30が着脱可能に連結されている。したがって、抜止めピン60を抜取り操作し、左右の機体フレーム3,4から左右の集草支持体59を抜出すことによって、機体フレーム3,4から集草ボックス30を取外すことができる。
【0032】
図5及び図6に示されるように、左右の集草支持体59の後端側に左右の支点プレート58が固着されている。機体フレーム3,4の後端側の左右の支点プレート58には、枠フレーム57の上部のうち前面開口寄りの部位に固着された左右一対の回動プレート61が、連結具としての水平筒状の回動支軸62を介して回動可能に連結されている。回動支軸62は、支点プレート58にパイプ形状の筒軸受62aを介して着脱可能に貫通している。支点プレート58と回動プレート61との間の回動支軸62上には、当該回動支軸62回りに回動する左右の係合金具63が配置されている。これら両係合金具63は、回動支軸62回りに回動することにより、枠フレーム57のうち回動支軸62の後方に位置する上部梁フレーム64に係脱するように構成されている。
【0033】
図6に示されるように、回動支軸62の両端側から芯軸62bを突出する。芯軸62bは、回動支軸62と同一軸芯上に配置されている。枠フレーム57の回動プレート61に軸受61aを介して芯軸62bを回動可能に且つ着脱可能に貫通している。即ち、回動支軸62の両端側から芯軸62bを抜取ることにより、筒軸受62aから回動支軸62が抜取られることになる。
【0034】
上記の構成により、回動支軸62の自軸回りの回動で左右の係合金具63が上向き回動すると、各係合金具63は上部梁フレーム64に下方から係合してこれを持ち上げる。その結果、集草ボックス30は回動支軸62を中心に上向き回動して、集草ボックス30の前面開口を地面に向けて内部の刈草(芝草)が前面開口から下方に落下される排出姿勢となる(図1の仮想線状態)。逆に、各係合金具63が下向き回動すると、各係合金具63と上部梁フレーム64との係合が解除され、集草ボックス30は回動支軸62に対して自由回動可能な状態となる。これにより、集草ボックス30は自重により回動支軸62を中心に下向き回動し、集草ボックス30の前面開口を排出ダクト29の搬出口に向けて、モア装置16で刈取られた芝草等の刈草を受け入れる集草姿勢に戻ることになる(図1の実線状態)。
【0035】
なお、図1及び図2に示すように、機体の前進方向に向かって右側の係合金具63には、機体フレーム4に設けた油圧ダンプシリンダ66のピストンロッド66aが、昇降操作リンク65を介して連結されている。したがって、運転座席の右斜め後方のリヤカウル14上に突出させた姿勢切換用のダンプレバー67が、オペレータによって操作されることにより、油圧ダンプシリンダ66のピストンロッド66aが進出または退入作動し、集草ボックス30を排出姿勢または集草姿勢に移動することになる。
【0036】
また、昇降操作リンク65に一端側を連結する接続ロッド68を備える(図3、図6参照)。その接続ロッド68の他端側が、連結体69を介して、上述した操作プレート48に連結されている(図3参照)。即ち、操作プレート48と昇降操作リンク65とを、接続ロッド68によって連結している。したがって、PTOクラッチレバー18が入り位置に支持されている状態で、集草ボックス30を排出姿勢に移動する方向に、油圧ダンプシリンダ66が作動することにより、昇降操作リンク65が回動して、接続ロッド68が引張られて、操作プレート48が回動され、PTOクラッチレバー18が切り位置に移動されることになる。
【0037】
即ち、オペレータがダンプレバー67を操作して、油圧ダンプシリンダ66のピストンロッドを進出作動し、集草ボックス30を排出姿勢に移動する操作が実行された場合、集草ボックス30が排出姿勢に移動する前に、昇降操作リンク65に接続ロッド68を介して連結された操作プレート48が回動され、PTOクラッチレバー18を入り位置から切り位置に移動して、モア装置16への動力の伝達を中止し、モア装置16を強制的に停止させることになる。
【0038】
なお、図5に示すように、集草ボックス29の下端前部に横軸70を固着する。また、排出ダクト29の後端下部の機体フレーム3,4(アクスルフレーム39)に設けられた鉤状の係合フック71を固着する。集草ボックス30が回動支軸62回りに回動することにより、係合フック71に横軸70が係脱することになる。即ち、係合フック71に横軸70が係合して、集草ボックス30が集草姿勢に支持されるように構成している。
【0039】
上記の構成により、モア装置16によって地上の芝草等を刈取り、集草ボックス30に刈取った芝草等の刈草を収集する草刈り作業を実行し、集草ボックス30に刈草が満杯になった場合、集草ボックス30内の刈草を排出するための場所に走行機体1を移動させる。そして、オペレータがダンプレバー67を操作して、油圧ダンプシリンダ66のピストンロッドを進出作動した場合、集草ボックス30が排出姿勢に移動する前、換言すると、係合金具63が上向き回動して上部梁フレーム64に下方から係合する前に、接続ロッド68を介してPTOクラッチレバー18が入り位置から切り位置に移動し、モア装置16を強制的に停止する。
【0040】
その後、油圧ダンプシリンダ66のピストンロッドがさらに進出作動することにより、係合金具63がさらに上向き回動して上部梁フレーム64に下方から係合し、回動支軸62回りに集草ボックス30を回動する。したがって、集草ボックス30が集草姿勢(図1の実線位置)から排出姿勢(図1の仮想線位置)に移動し、集草ボックス30内の刈草が前面開口から地上に放出される。集草ボックス30内の刈草が排出されることにより、オペレータがダンプレバー67を操作して、油圧ダンプシリンダ66のピストンロッドを退入作動した場合、集草ボックス30が排出姿勢から集草姿勢に移動する。
【0041】
なお、油圧ダンプシリンダ66のピストンロッドの退入作動によって横軸70が係合フック71に再び係合した場合、接続ロッド68が初期位置(PTOクラッチレバー18の入り位置)に戻るが、PTOクラッチレバー18及び操作プレート48は切り位置に維持される。したがって、次の草刈り場所に走行機体1を移動して、次行程の草刈り作業を開始する場合、オペレータがPTOクラッチレバー18を入り位置ストッパー54に当接するまで後ろ向き回動させて入り操作することによって、出力軸32からPTO軸42にエンジン9の動力が伝達され、モア装置16が再び作動することになる。
【0042】
即ち、集草ボックス30内の刈草の排出が完了した場合、オペレータがダンプレバー67を操作し、排出姿勢の集草ボックス30が集草姿勢に戻る方向に、油圧ダンプシリンダ66が作動することによって、集草ボックス30が排出姿勢から集草姿勢に戻されても、それらの操作及び動作に関連してモア装置16は作動しない。オペレータがPTOクラッチレバー18を再び入り操作することにより、モア装置16が再び作動して、次の草刈り場所での草刈り作業が実行されることになる。
【0043】
次に、図1、図2、図4、図5を参照しながら、本願発明に係る集草体としての集草ボックス30の取付け状態及び取外し状態の検出構造について説明する。図2及び図5に示されるように、上述した機体フレーム3,4及びアクスルフレーム39の後端側に機体後面フレーム72を略垂直に立設している。排出ダクト29の外周側の集草ボックス30の前面開口を塞ぐための平板形状の蓋体73が機体後面フレーム72に固着されている。即ち、排出ダクト29の左右側面及び上面の各外側方に蓋体73を延出し、排出ダクト29の左右側面及び上面と集草ボックス30の前面開口縁との間に形成される隙間を蓋体73によって閉塞している。したがって、排出ダクト29から集草ボックス30に排出された刈草が、前記隙間から排出ダクト29の左右外側面及び上面の方向に放出されるのを防止できることになる。
【0044】
図5に示されるように、走行機体1に集草ボックス30が連結された状態を検出する集草検知体としてのプッシュスイッチ(リミットスイッチ)形状の集草体センサ74を備える。集草体センサ74は、蓋体73にボルト76にて締結したスイッチホルダ75に固着する。スイッチホルダ75に集草体センサ74の本体部分を前低後高形状に傾斜させて取付けている。即ち、集草体センサ74の円筒形状の箱形本体が、蓋体73のスイッチ取付け用の切欠き部73aを介して蓋体73の前面側と後面側とに突出するように、スイッチホルダ75に集草体センサ74が取付けられている。集草体センサ74の箱形本体の上面側が後向きに傾斜した状態で、スイッチホルダ75に集草体センサ74が支持されることになる。
【0045】
したがって、集草体センサ74の箱形本体が蓋体73に貫通した状態で、スイッチホルダ75を介して集草体センサ74が組み付けられ、集草体センサ74の箱形本体の底面側が蓋体73の前面側に突出し、集草体センサ74の箱形本体の上面側が蓋体73の後面側に突出し、集草体センサ74の箱形本体の上面側から出入可能に突出させたアクチュエータ74aが、集草体センサ74の後側の斜め上方に向けて集草体センサ74の箱形本体の上面側から集草ボックス30内に突出されることになる。
【0046】
図5に示されるように、アクチュエータ74aに当接させる集草体センサ74の操作体(集草検知体)としてのスイッチ操作板77を備える。スイッチ操作板77の一端側には、へ形に折り曲げた形状の係合片77aが形成されている。当該係合片77aを係脱可能に係合させるための係合孔73bが、スイッチ取付け孔73aより上方の蓋体73に形成されている。一方、スイッチ操作板77の他端側には、L形に略90度折り曲げた形状の鉤片77bが形成されている。係合孔73bに係合片77aを係合させて、アクチュエータ74aにスイッチ操作板77の下面側を当接させた状態で、スイッチホルダ75に鉤片77bを蝶ネジ78にて着脱可能に締結する。
【0047】
即ち、スイッチホルダ75に蝶ネジ78を介してスイッチ操作板77を固着することによって、スイッチ操作板77の下面側がアクチュエータ74aに当接し、集草体センサ74の箱形本体内にアクチュエータ74aを退入し、走行機体1に集草ボックス30が連結された状態を検出することになる。一方、スイッチホルダ75からスイッチ操作板77を取外すことによって、集草体センサ74の箱形本体からアクチュエータ74aが進出し、走行機体1から集草ボックス30が離脱された状態を検出することになる。
【0048】
図5に示されるように、鉤片77bには、ワイヤによって形成された紐体79の一端側を連結している。紐体79の他端側には、上述した回動支軸62に係止された係止リング80を連結している。前進方向に向かって左側の芯軸62bに係止リング80が係止されている。即ち、回動支軸62に紐体79を介してスイッチ操作板77を連結している。したがって、走行機体1に集草ボックス30を連結するための連結具としての回動支軸62に、紐体79を介して、スイッチ操作板77を連結することになる。その結果、芯軸62b(回動支軸62)と、スイッチ操作板77とは、常に一体的に取扱われるから、芯軸62b(回動支軸62)とスイッチ操作板77とが各別に着脱操作される構造に比べ、走行機体1から集草ボックス30を取外したときに、芯軸62b(回動支軸62)又はスイッチ操作板77を紛失する確率を低減できる。また、走行機体1に集草ボックス30を連結する場合、オペレータの不注意によって、スイッチ操作板77の取付け操作をオペレータが忘れるのを防止できる。
【0049】
次に、図7及び図8を参照しながら、本願発明に係る集草体としての放てきカバー85の取付け状態及び取外し状態の検出構造について説明する。図7及び図8に示されるように、放てきカバー85は、排出ダクト29の後端側に配置されている。即ち、放てきカバー85の上面側には左右の上部カバー支持ブラケット87を立設している。カバー支持ブラケット87の上端側は、上述した支点プレート58を取外した状態の集草支持体59に、係止レバー88にて着脱可能に固着する。また、放てきカバー85の前面の下端側に左右の下部カバー支持ブラケット89を配置し、上述した機体後面フレーム72に左右の下部カバー支持ブラケット89を蝶ネジ90にて着脱可能に締結している。排出ダクト29の後端側の左右側方及び上方及び後方が放てきカバー85によって閉塞され、排出ダクト29から後方下方の地面に向けて刈草86が放出されるように構成している。
【0050】
図7及び図8に示されるように、放てきカバー85の多面形上面のコーナー部85aに対向した上部カバー支持ブラケット87の下端側に切欠き孔87aが形成されている。その切欠き孔87aに上述した係止リング80を貫通している。前進方向に向かって左側の上部カバー支持ブラケット87を利用して、放てきカバー85に係止リング80を介して紐体79が連結される。即ち、放てきカバー85に紐体79を介してスイッチ操作板77が連結されることになる。
【0051】
したがって、走行機体1に集草ボックス30を連結するための連結具としての上部カバー支持ブラケット87に、紐体79を介して、スイッチ操作板77を連結することになる。その結果、放てきカバー85(上部カバー支持ブラケット)と、スイッチ操作板77とは、常に一体的に取扱われるから、放てきカバー85とスイッチ操作板77とが各別に着脱操作される構造に比べ、走行機体1から集草ボックス30を取外したときに、放てきカバー85又はスイッチ操作板77を紛失する確率を低減できる。また、走行機体1に放てきカバー85を連結する場合、オペレータの不注意によって、スイッチ操作板77の取付け操作をオペレータが忘れるのを防止できる。
【0052】
次に、図9を参照しながら、本実施形態の芝刈機において、オペレータのPTOクラッチレバー18の誤操作によって、エンジン9を自動的に停止させる制御構造について説明する。図9に示されるように、上述したエンジン9始動用のバッテリ22と、上述したPTOクラッチレバー18のPTO入り操作(モア装置16の駆動操作)を検出するオンオフ切換形スイッチ構造のPTOクラッチセンサ55と、上述した燃料タンク20からエンジン9への燃料の供給を中止してエンジン9を停止させるエンジン停止機構としてのエンジン停止ソレノイド91とを備える。バッテリ22に、PTOクラッチセンサ55と、エンジン停止ソレノイド91とを直列に接続する。
【0053】
図9に示されるように、上述した運転座席15にオペレータが座乗することによってオフ作動する座乗検知体としてのオンオフ切換形スイッチ構造のオペレータセンサ92を備える。PTOクラッチセンサ55と、エンジン停止ソレノイド91とに、オペレータセンサ92を直列に接続する。したがって、運転座席15にオペレータが座乗していない場合、オペレータセンサ92がオン維持され、PTOクラッチレバー18のPTO入り操作によってPTOクラッチセンサ55がオンになることにより、エンジン停止ソレノイド91が作動してエンジン9を自動的に停止する。即ち、運転座席15にオペレータが座乗していない場合、オペレータセンサ92がオンになり、モア装置16の作動が禁止される。運転座席15にオペレータが座乗している場合、オペレータセンサ92がオフになり、モア装置16を作動できる。
【0054】
図9に示されるように、上述したブレーキペダル13を制動位置(足踏み位置)に係脱可能に係止維持する駐車ブレーキとしてのパーキングレバー93と、パーキングレバー93によるブレーキペダル13の係止動作(パーキングブレーキ作動状態)によってオン作動する駐車ブレーキ検知体としてのオンオフ切換形スイッチ構造のパーキングブレーキセンサ94を備える。PTOクラッチセンサ55と、エンジン停止ソレノイド91とに、パーキングブレーキセンサ94を直列に接続する。したがって、パーキングレバー93にブレーキペダル13が係止されている状態で、パーキングブレーキセンサ94がオンになり、PTOクラッチレバー18のPTO入り操作によって、上述と同様に、エンジン9が自動的に停止される。パーキングブレーキ作動状態で、パーキングブレーキセンサ94がオンになり、モア装置16の作動を禁止できる。
【0055】
図9に示されるように、上述したダンプレバー67の刈草放出操作(集草ボックス30のダンプ作動)によってオン作動するレバー操作センサ95を備える。PTOクラッチセンサ55と、エンジン停止ソレノイド91とに、レバー操作センサ95を直列に接続する。したがって、PTOクラッチレバー18をPTO入り操作している場合、換言すると、モア装置16を作動中、ダンプレバー67が刈草放出操作されることにより、エンジン停止ソレノイド91が作動してエンジン9を自動的に停止する。即ち、ダンプレバー67の誤操作によって、排出ダクト29の後端の開口から、集草ボックス30の外側方に、刈草が放散されるのを防止できる。
【0056】
図9に示されるように、上述した集草ボックス30又は放てきカバー85の少なくともいずれか一方が走行機体1の後方の集草姿勢位置に連結されている場合であって、集草検知体としてのスイッチ操作板77が蝶ネジ78によってスイッチホルダ75に固着されている場合にオン作動するオンオフ切換形スイッチ構造の集草体センサ74を備える(図5、図7参照)。PTOクラッチセンサ55と、エンジン停止ソレノイド91とに、集草体センサ74を直列に接続する。したがって、集草ボックス30及び放てきカバー85のいずれも走行機体1の後方の集草姿勢位置に連結されていない場合、換言すると、集草ボックス30及び放てきカバー85のいずれも走行機体1から取外され、集草検知体としてのスイッチ操作板77がスイッチホルダ75から取外されている場合、集草体センサ74がオンになり、モア装置16の作動を禁止できる。即ち、モア装置16からの刈草86が排出ダクト29の後端側の開口から周辺に広範囲に飛散するのを防止できる。
【0057】
一方、走行機体1の後方の集草姿勢位置(草刈り作業姿勢位置)に、集草ボックス30を連結した場合(図5参照)、又は放てきカバー85を連結した場合(図7参照)、スイッチ操作板77がスイッチホルダ75に締結されることによって、集草体センサ74がオフになり、モア装置16を作動できる。したがって、図5に示すように、集草ボックス30を連結した場合は、モア装置16からの刈草86が、排出ダクト29を介して、集草ボックス30内に搬出される。また、図7に示すように、放てきカバー85を連結した場合は、モア装置16からの刈草86が、排出ダクト29を介して、地上の所定位置(既刈り地表面)に放出される。
【0058】
上記の記載及び図3、図5、図7、図9から明らかなように、走行機体1に搭載されたモア装置16と、モア装置16によって刈取られた草を搬出する排出ダクト29と、排出ダクト29からの刈草を集める集草体としての集草ボックス30又は放てきカバー85と、走行機体1に搭載されたエンジン9を停止するエンジン停止機構としてのエンジン停止ソレノイド91と、モア装置16を駆動又は停止操作するPTO操作体としてのPTOクラッチレバー18とを備えてなる芝刈機において、モア装置16を駆動するためのPTOクラッチレバー18の操作を検出するPTO入り検知体としてのPTOクラッチセンサ55と、走行機体1に集草ボックス30又は放てきカバー85が連結された状態を検出する集草検知体としての集草体センサ74とを備え、走行機体1から集草ボックス30又は放てきカバー85を取外した状態で、モア装置16を駆動すべくPTOクラッチレバー18を操作することによって、エンジン停止ソレノイド91が作動するように構成したものであるから、走行機体1から集草ボックス30又は放てきカバー85を取外した状態で、オペレータがPTOクラッチレバー18を誤操作して、PTOクラッチが入り操作されても、そのPTOクラッチレバー18の誤操作によってエンジン9が停止されて、モア装置16の刈草が前記排出ダクト29から外側方に飛散するのを防止できる。即ち、走行機体1に集草ボックス30又は放てきカバー85を互換可能に連結して、草刈り作業を実行できる。例えば、刈草の集草が必要な場所では、走行機体1に集草ボックス30を連結し、刈り跡を良好に仕上げることができる。一方、刈草の放てきが可能な場所では、走行機体1から集草ボックス30を取外して、走行機体1に放てきカバー85を連結し、刈草の集草手間を省くことができる。そのため、草刈り作業場所に応じて、集草ボックス30又は放てきカバー85を使い分けて、草刈り作業を実行でき、草刈り作業性を向上できる。
【0059】
上記の記載及び図3、図5、図9から明らかなように、前記集草体は、走行機体1に着脱可能に連結する集草ボックス30によって形成し、走行機体1に集草ボックス30を連結するための連結具としての回動支軸62に、集草体センサ74の操作体としてのスイッチ操作板77を連結するように構成したものであるから、走行機体1に対して集草ボックス30を着脱する操作と関連して、スイッチ操作板77によって集草体センサ74を簡単に切換えることができる。そのため、集草ボックス30を着脱する場合、集草体センサ74を切換えるためのスイッチ操作板77の操作をオペレータが忘れるのを簡単に防止できる。
【0060】
上記の記載及び図3、図7、図9から明らかなように、前記集草体は、走行機体に着脱可能に連結する放てきカバー85によって形成し、放てきカバー85に集草体センサ74のスイッチ操作板77を連結するように構成したものであるから、走行機体1に対して放てきカバー85を着脱する操作と関連して、スイッチ操作板77によって集草体センサ74を簡単に切換えることができる。そのため、放てきカバー85を着脱する場合、集草体センサ74を切換えるためのスイッチ操作板77の操作をオペレータが忘れるのを簡単に防止できる。
【0061】
上記の記載及び図1、図2、図9から明らかなように、走行機体1の走行部としての後車輪6を制動状態に維持するための駐車ブレーキとしてのパーキングレバー93の入り作動を検出する駐車ブレーキ検知体としてのパーキングブレーキセンサ94と、走行機体1の運転座席15にオペレータが座乗したことを検出する座乗検知体としてのオペレータセンサ92とを備え、モア装置16を駆動中、パーキングレバー93を入り作動した場合、又は運転座席15からオペレータが離れた場合の少なくともいずれか一方によって、エンジン停止ソレノイド91を作動させるように構成したものであるから、パーキングレバー93の誤操作又は運転座席15からのオペレータの移動等によって、モア装置16が不適切に駆動されるのを簡単に防止でき、オペレータの運転操作性又は草刈り作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】芝刈機の全体側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】PTOクラッチレバーの取付け構造を示す側面図である。
【図4】走行機体の後部と集草ボックスを示す側面図である。
【図5】図4の部分拡大側面図である。
【図6】図5の平面視説明図である。
【図7】走行機体の後部と放てきカバーを示す側面図である。
【図8】図7の背面視説明図である。
【図9】エンジンを停止させる制御回路図である。
【符号の説明】
【0063】
1 走行機体
6 後車輪(走行部)
9 エンジン
15 運転座席
16 モア装置
18 PTOクラッチレバー(PTO操作体)
29 排出ダクト
30 集草ボックス(集草体)
55 PTOクラッチセンサ(PTO入り検知体)
62 回動支軸(連結具)
74 集草体センサ(集草検知体)
77 スイッチ操作板(操作体)
85 放てきカバー(集草体)
91 エンジン停止ソレノイド(エンジン停止機構)
92 オペレータセンサ(座乗検知体)
93 パーキングレバー(駐車ブレーキ)
94 パーキングブレーキセンサ(駐車ブレーキ検知体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に搭載されたモア装置と、前記モア装置によって刈取られた草を搬出する排出ダクトと、前記排出ダクトからの刈草を集める集草体と、前記走行機体に搭載されたエンジンを停止するエンジン停止機構と、前記モア装置を駆動又は停止操作するPTO操作体とを備えてなる芝刈機において、
前記モア装置を駆動するための前記PTO操作体の操作を検出するPTO入り検知体と、前記走行機体に前記集草体が連結された状態を検出する集草検知体とを備え、
前記走行機体から前記集草体を取外した状態で、前記モア装置を駆動すべく前記PTO操作体を操作することによって、前記エンジン停止機構が作動するように構成したことを特徴とする芝刈機。
【請求項2】
前記集草体は、前記走行機体に着脱可能に連結する集草ボックスによって形成し、前記走行機体に前記集草ボックスを連結するための連結具に、前記集草検知体の操作体を連結するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の芝刈機。
【請求項3】
前記集草体は、前記走行機体に着脱可能に連結する放てきカバーによって形成し、前記放てきカバーに前記集草検知体の操作体を連結するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の芝刈機。
【請求項4】
前記走行機体の走行部を制動状態に維持するための駐車ブレーキの入り作動を検出する駐車ブレーキ検知体と、前記走行機体の運転座席にオペレータが座乗したことを検出する座乗検知体とを備え、
前記モア装置を駆動中、前記駐車ブレーキを入り作動した場合、又は前記運転座席からオペレータが離れた場合の少なくともいずれか一方によって、前記エンジン停止機構を作動させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の芝刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−131910(P2008−131910A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321292(P2006−321292)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】