説明

芯出し装置及び部品組立機並びに芯出し方法及び部品組立方法

【課題】部品を挿入する穴の芯出しを自動的に行う。
【解決手段】芯出しシャフト15のX−Y方向の位置と鉛直方向からの傾き角度を調整する倣い機構12〜14を設けると共に、芯出しシャフト15の下端部に、該芯出しシャフト15の径方向に拡縮動作する芯出し治具16を設ける。芯出し治具16を縮径させた状態で芯出しシャフト15を下降させて芯出し治具16を穴22内に挿入した後、芯出し治具16を拡径させて芯出し治具16の外周面を穴22の内周面に当接させることで、倣い機構12〜14により芯出しシャフト15の軸芯を穴22の軸芯に合致させるように芯出しシャフト15をX−Y方向に移動させ且つ芯出しシャフト15の傾き角度を変化させて芯出しした状態で芯出しシャフト15をロックした後、芯出し治具16を縮径させて芯出しシャフト15を上昇させて芯出し治具16を穴22から抜き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を挿入する穴の芯出しを行う芯出し装置及び部品組立機並びに芯出し方法及び部品組立方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
例えば、スプールバルブ等の軸状の部品を、クリアランスの小さい穴に挿入する作業を自動化するために、特許文献1(特開2006−26781号公報)に記載されているように、部品挿入用の穴が形成された本体部品を、該穴が鉛直方向となるように治具に固定し、ロボットハンドで軸状部品を掴んだ状態で該穴に該軸状部品の先端部を挿入し、ロボットハンドを開いて該軸状部品を解放した後、該本体部品を固有振動数で振動させることで、軸状部品を穴に挿入するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−26781号公報(請求項2等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の方法では、穴の芯出しを自動的に行う機能がないため、部品挿入用の穴が形成された本体部品を固有振動数で振動させて、穴の位置を探りながら軸状部品を穴に挿入するようにしている。このため、挿入作業の時間がばらついたり、軸状部品に擦り傷ができる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、部品を挿入する穴の芯出しを自動的に行うことができる芯出し装置及び部品組立機並びに芯出し方法及び部品組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、芯出しシャフトのX−Y方向の位置と鉛直方向からの傾き角度を調整する倣い機構と、前記芯出しシャフトを上下動させる昇降機構とを備え、前記芯出しシャフトの下端部に、該芯出しシャフトの径方向に拡縮動作する芯出し治具を設け、該芯出し治具を縮径させた状態で該昇降機構により該芯出しシャフトを下降させて該芯出し治具を前記穴内に挿入した後、該芯出し治具を拡径させて該芯出し治具の外周面を該穴の内周面に当接させることで、該倣い機構により該芯出しシャフトの軸芯を該穴の軸芯に合致させるように該芯出しシャフトをX−Y方向に移動させ且つ該芯出しシャフトの傾き角度を変化させて芯出しした状態で該芯出しシャフトをロックした後、該芯出し治具を縮径させて該昇降機構により該芯出しシャフトを上昇させて該芯出し治具を該穴から抜き出すようにしたものである。このようにすれば、部品を挿入する穴の芯出しを自動的に精度良く行うことができる。
【0007】
更に、本発明は、穴に挿入する部品を掴むチャックを備え、穴に対して芯出しシャフトの芯出しを行った後、前記チャックで部品を掴んで該チャックを該芯出しシャフトにより芯出しした状態で該チャックを下降させて該部品の下端を該穴に合致させた後、該チャックを開いて該部品を該穴内に挿入するようにすると良い。この場合、部品を穴内に挿入する前に、穴の芯出しが自動的に精度良く行われているため、穴への部品挿入動作を自動的にスムーズに行うことができ、部品の傷付きを低減することができる。しかも、複数サイズの部品に対して段取り替え無しで対応できる。
【0008】
更に、本発明は、チャックを芯出しシャフトと同芯状に設けると共に、芯出しシャフトをチャックとは独立して該芯出しシャフトの軸芯方向に上下動するように設け、穴に対して芯出しシャフトの芯出しを行った後、該芯出しシャフトをその軸芯方向に上昇させてチャックに部品を掴ませるスペースをあけるようにしても良い。このようにすれば、チャックを芯出しシャフトと同芯状に設けた構成としながら、チャックに部品を掴む際に、芯出しシャフトの下端部の芯出し治具が邪魔にならずに部品を掴むことができる。
【0009】
ところで、X−Y−Z方向に移動するヘッド本体に芯出しシャフトとチャックを支持させて、芯出しシャフトとチャックを一体的にX−Y−Z方向に移動させる構成では、芯出し時のヘッド本体のZ方向位置と部品挿入時のヘッド本体のZ方向位置が異なると、穴に対する芯出しシャフトの芯出し位置と傾き角度のデータ(以下これらを「芯出しデータ」という)を用いても、部品挿入時にチャックで掴んだ部品の下端の位置が穴からずれる可能性がある。
【0010】
この対策として、本発明は、穴に対する芯出しシャフトの芯出しデータを記憶手段に記憶し、チャックで掴んだ部品の下端を穴に合致させる際に、芯出し時と部品挿入時との前記ヘッド本体のZ方向位置の差に応じて芯出しデータを補正するようにしても良い。このようにすれば、芯出し時と部品挿入時とでヘッド本体のZ方向位置が異なっても、チャックで掴んだ部品の下端を穴に精度良く合致させることができる。
【0011】
また、本発明を一定の位置関係の複数の穴にそれぞれ部品を挿入する部品組立機に適用する場合は、複数の穴に対してそれぞれ芯出しシャフトの芯出しを行って各穴に対する芯出しシャフトの芯出しデータを記憶手段に記憶した後、前記チャックで掴んだ部品の下端を各穴に合致させる際に、前記記憶手段から各穴に対する芯出しシャフトの芯出しデータを読み込んで、その芯出しデータに基づいて各穴に対する該チャックの位置と傾き角度を調整するようにしても良い。このようにすれば、一定の位置関係の複数の穴にそれぞれ部品を挿入する作業を能率良く行うことができる。
【0012】
更に、本発明は、チャックで掴んだ部品の下端を穴に合致させて該部品を該穴内に挿入する際に、該チャックの開閉動作を高速で繰り返すようにしても良い。これにより、部品の自由落下と芯出しとを高速で交互に行って部品を穴内に徐々に挿入することが可能となる。このような部品の挿入方法は、部品の高さ寸法が大きい場合や穴の傾斜角度が大きい場合に効果がある。
【0013】
或は、部品を穴内に挿入する際に、チャックを僅かに開いた状態で穴とその周辺を含む領域内をX−Y方向に移動させるようにしても良い。このようにすれば、最初は、部品と穴との芯出し誤差によって該部品の下縁が穴の上端外縁にひっ掛かった状態になっていても、チャックを移動させる途中で、該部品の下縁が該穴の上端外縁から外れて該部品が自然に該穴内に挿入される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の一実施例における部品組立機の主要部の構成を示す図である。
【図2】図2は芯出しシャフト下降動作を説明する図である。
【図3】図3は芯出し治具による芯出し動作を説明する図である。
【図4】図4はチャックによる芯出しピックアップ動作を説明する図である。
【図5】図5は穴への部品挿入動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、図1に基づいて部品組立機の構成を説明する。
ヘッド本体11は、X−Y−Z移動機構(図示せず)に保持され、X方向、Y方向、Z方向に移動するように構成されている。このヘッド本体11の下面側には、X方向倣い機構12、Y方向倣い機構13及び傾き角度倣い機構14が設けられ、これら3種類の倣い機構12〜14によって芯出しシャフト15のX−Y方向の位置と鉛直方向からの傾き角度を調整するように構成されている。
【0016】
この場合、X方向倣い機構12とY方向倣い機構13は、リニアモータ等のアクチュエータで芯出しシャフト15をX方向とY方向に独立して移動させるものであっても良いし、アクチュエータ無しで芯出しシャフト15のX方向とY方向の動きに追従するものであっても良く、要は、芯出しシャフト15を芯出した任意の位置でロック(保持)する機能があれば良い。
【0017】
また、傾き角度倣い機構14は、アクチュエータで芯出しシャフト15の鉛直方向からの傾き角度を変化させるものであっても良いし、アクチュエータ無しで芯出しシャフト15の傾き角度の変化に追従するものであっても良く、要は、芯出しシャフト15を芯出した任意の傾き角度でロック(保持)する機能があれば良い。傾き角度倣い機構14の一例としては、球面状凹面と球面状凸面とを嵌合させて両者間に正圧を導入することで、任意の傾き角度に調整可能とし、両者間に負圧を導入することで、両者を密着させて傾き角度をロックする構成のものが挙げられる。
【0018】
また、各倣い機構12〜14にアクチュエータを設ける場合は、エンコーダ等の位置認識手段を設け、芯出しシャフト15のX−Y方向の芯出し位置と傾き角度のデータをコンピュータ(制御手段)の記憶手段に記憶するようにすると良い。
【0019】
ヘッド本体11には、芯出しシャフト15の任意の傾き角度で該芯出しシャフト15を軸方向に上下動させる昇降機構(図示せず)が設けられている。
芯出しシャフト15の下端部には、該芯出しシャフト15の径方向に対称に拡縮動作する芯出し治具16が設けられている。芯出し治具16は、複数に分割され、後述する芯出し動作により拡径したときに、外周面が穴22(図4参照)の内周面に倣う形状に形成されている。芯出し治具16の拡縮動作の駆動源は、エアー圧力、電磁石等を用いれば良い。
【0020】
一方、傾き角度倣い機構14の下面側には、部品21(図4参照)を掴むチャック17が芯出しシャフト15と同芯状に組み付けられ、常にチャック17の軸芯が芯出しシャフト15の軸芯と合致した状態で両者が一体的に動くように構成されている。チャック17の駆動源は、エアー圧力、電磁石等を用いれば良い。
【0021】
以上のように構成した部品組立機は、部品21を挿入する穴22の芯出し動作と部品挿入動作をコンピュータ(制御手段)によって次のように制御する。
【0022】
まず、ヘッド本体11をX−Y−Z移動機構により穴22の真上の位置へ移動させて、芯出しシャフト15を穴22の真上の位置へ移動させる。この際、穴22の位置は、予め決められた位置であっても良いし、作業者が入力した位置であっても良い。或は、部品組立機に搭載したカメラで穴22を撮像して、画像処理により穴22の位置を計測しても良い。
【0023】
この後、ヘッド本体11をX−Y−Z移動機構により所定のZ方向位置(但しチャック17の下端が穴22の外周部分に接触しない高さ位置)まで下降させた後、図2に示すように、芯出し治具16を縮径させた状態で昇降機構により芯出しシャフト15を下降させて芯出し治具16を穴22内に挿入する。この場合、芯出し治具16を縮径させた状態では、穴22の内径寸法と芯出し治具16の外径寸法との差が、ヘッド本体11と穴22との位置ずれ量よりも大きくなるように設定されており、芯出し治具16を縮径させた状態で穴22内に確実に挿入できるようになっている。
【0024】
この後、各倣い機構12〜14が芯出しシャフト15の動きに自由に追従できるように各倣い機構12〜14をフリーにした状態で、図3に示すように、穴22内で芯出し治具16を拡径させて該芯出し治具16の外周面を穴22の内周面に当接させる。これにより、各倣い機構12〜14が追従して芯出しシャフト15の軸芯を穴22の軸芯に合致させるように該芯出しシャフト15をX−Y方向に移動させ且つ該芯出しシャフト15の傾き角度を変化させて、該穴22に対して該芯出しシャフト15を芯出しし、この状態で、各倣い機構12〜14をロックして芯出しシャフト15のX−Y方向の位置と傾き角度を保持する。これにより、芯出しシャフト15と同芯状に設けられたチャック17も芯出しした状態に保持される。
【0025】
この後、芯出し治具16を縮径させた後、ヘッド本体11の昇降機構により芯出しシャフト15をその軸芯方向に上昇させて該芯出し治具16を該穴22から抜き出し、上限位置まで上昇させる。これにより、チャック17に部品21を掴ませるスペースをあける。
【0026】
この後、ヘッド本体11をX−Y−Z移動機構により部品21が供給される位置までX−Y−Z方向に移動させてチャック17で部品21を掴んでピックアップした後、該ヘッド本体11を穴22の真上の位置まで戻す。この後、ヘッド本体11を下降させて、図4に示すように、チャック17に掴まれた部品21の下端を穴22の上端開口に合致させた状態にしてヘッド本体11の下降を停止させる。
【0027】
この後、チャック17を開いて、チャック17から部品21を解放し、該部品21を自重により穴22内に挿入する。この際、芯出しシャフト15をその軸芯方向に軽い力で下降させることで、穴22内への部品21の挿入を補助するようにしても良く、これにより、穴22内に部品21を確実に挿入することができる。
【0028】
また、穴22内に部品21を挿入する際に、チャック17の開閉動作を高速で繰り返すようにしても良い。これにより、部品21の自由落下と芯出しとを高速で交互に行って部品21を穴22内に徐々に挿入することが可能となる。このような部品21の挿入方法は部品21の高さ寸法(長さ寸法)が大きい場合や穴22の傾斜角度が大きい場合に効果がある。
【0029】
或は、穴22内に部品21の挿入する際に、チャック17を僅かに開いた状態で穴22とその周辺を含む領域内をX−Y方向に例えば渦巻状に移動させるようにしても良い。このようにすれば、最初は、部品21と穴22との芯出し誤差によって該部品21の下縁が穴22の上端外縁にひっ掛かった状態になっていても、チャック17を移動させる途中で該部品21の下縁が該穴22の上端外縁から外れて該部品21が自然に該穴22内に挿入される。
【0030】
以上説明した本実施例によれば、芯出しシャフト15のX−Y方向の位置と鉛直方向からの傾き角度を調整する倣い機構12〜14と、芯出しシャフト15を上下動させる昇降機構とを備え、芯出しシャフト15の下端部に、該芯出しシャフト15の径方向に拡縮動作する芯出し治具16を設け、該芯出し治具16を縮径させた状態で該昇降機構により該芯出しシャフト15を下降させて該芯出し治具16を穴22内に挿入した後、該芯出し治具16を拡径させて該芯出し治具16の外周面を該穴22の内周面に当接させることで、該倣い機構により該芯出しシャフト15の軸芯を該穴22の軸芯に合致させるように該芯出しシャフト15をX−Y方向に移動させ且つ該芯出しシャフト15の傾き角度を変化させて芯出しした状態で該芯出しシャフト15をロックした後、該芯出し治具16を縮径させて該昇降機構により該芯出しシャフト15を上昇させて該芯出し治具16を該穴22から抜き出すようにしたので、部品21を挿入する穴22の芯出しを自動的に精度良く行うことができる。
【0031】
更に、本実施例では、穴22に対して芯出しシャフト15の芯出しを行った後、チャック16で部品を掴んで該チャック16を該芯出しシャフト15により芯出しした状態で該チャック16を下降させて該部品21の下端を該穴22に合致させた後、該チャック16を開いて該部品21を該穴22内に挿入するようにしたので、部品21の芯出しから穴22への挿入までの一連の動作を自動的にスムーズに行うことができ、部品21を穴22に挿入する際の部品21の傷付きを低減することができる。しかも、複数サイズの部品に対して段取り替え無しで対応でき、生産性を向上できる。
【0032】
また、本実施例では、チャック16を芯出しシャフト15と同芯状に設けると共に、芯出しシャフト15をチャック16とは独立して該芯出しシャフト15の軸芯方向に上下動するように設け、穴22に対して芯出しシャフト15の芯出しを行った後、該芯出しシャフト15をその軸芯方向に上昇させてチャック16に部品21を掴ませるスペースをあけるようにしたので、チャック17を芯出しシャフト15と同芯状に設けた構成としながら、チャック17に部品21を掴む際に、芯出しシャフト15の下端部の芯出し治具16が邪魔にならずに部品21を掴むことができる。
【0033】
但し、本発明は、上記構成に限定されず、例えば、芯出しシャフトを保持する芯出し用のヘッドと、チャックを保持するチャック用のヘッドとを別々に設けると共に、両方のヘッドにそれぞれX方向、Y方向、傾き方向の各倣い機構を設け、芯出し用のヘッドで芯出しした芯出しデータ(X−Y方向の位置と傾き角度)を記憶手段に記憶し、その後、チャックで部品を掴んでチャック用のヘッドを穴の真上の位置まで移動させて、チャックで掴んだ部品の下端を穴に合致させる際に、上記記憶手段から芯出しデータ(X−Y方向の位置と傾き角度)を読み出して、芯出し用のヘッドのX方向、Y方向、傾き方向の各倣い機構のアクチュエータを駆動してチャックのX−Y方向の位置と傾き角度を調整してチャックを芯出しするようにしても良い。
【0034】
また、最初に、1つの穴に対する芯出しデータ(X−Y方向の位置と傾き角度)を記憶手段に記憶しておき、芯出しデータを共通して使用可能な複数の穴に対して、芯出し動作を行わずに部品を各穴に挿入するようにしても良い。このようにすれば、例えば、ロット単位で共通の芯出しデータを使用することで、ロット当たり1回の芯出し動作を行うだけで済み、生産性を向上できる。
【0035】
また、一定の位置関係の複数の穴にそれぞれ部品を挿入する場合は、複数の穴に対してそれぞれ芯出しシャフトの芯出しを行って各穴に対する芯出しデータをそれぞれ記憶手段に記憶した後、チャックで掴んだ部品の下端を各穴に合致させる際に、前記記憶手段から各穴に対する芯出しデータを読み込んで、その芯出しデータに基づいて各穴に対する該チャックの位置と傾き角度を調整するようにしても良い。このようにすれば、一定の位置関係の複数の穴にそれぞれ部品を挿入する作業を能率良く行うことができる。
【0036】
ところで、本実施例のように、X−Y−Z方向に移動するヘッド本体に芯出しシャフトとチャックを支持させて、芯出しシャフトとチャックを一体的にX−Y−Z方向に移動させる構成では、芯出し時のヘッド本体のZ方向位置と部品挿入時のヘッド本体のZ方向位置が異なると、穴に対する芯出しシャフトの芯出しデータを用いても、部品挿入時にチャックで掴んだ部品の下端の位置が穴からずれる可能性がある。
【0037】
この対策として、穴に対する芯出しシャフトの芯出しデータを記憶手段に記憶し、チャックで掴んだ部品の下端を穴に合致させる際に、芯出し時と部品挿入時とのヘッド本体のZ方向位置の差に応じて芯出しデータを補正するようにしても良い。このようにすれば、芯出し時と部品挿入時とでヘッド本体のZ方向位置が異なっても、チャックで掴んだ部品の下端を穴に精度良く合致させることができる。
【0038】
その他、本発明は、上記実施例に限定されず、種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
11…ヘッド本体、12…X方向倣い機構、13…Y方向倣い機構、14…傾き角度倣い機構、15…芯出しシャフト、16…芯出し治具、17…チャック、21…部品、22…穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を挿入する穴の芯出しを行う芯出し装置において、
芯出しシャフトと、
前記芯出しシャフトのX−Y方向の位置と鉛直方向からの傾き角度を調整する倣い機構と、
前記芯出しシャフトを上下動させる昇降機構と、
前記芯出しシャフトの下端部に設けられ、該芯出しシャフトの径方向に拡縮動作する芯出し治具と、
前記芯出し治具を縮径させた状態で前記昇降機構により前記芯出しシャフトを下降させて該芯出し治具を前記穴内に挿入した後、該芯出し治具を拡径させて該芯出し治具の外周面を該穴の内周面に当接させることで、前記倣い機構により該芯出しシャフトの軸芯を該穴の軸芯に合致させるように該芯出しシャフトをX−Y方向に移動させ且つ該芯出しシャフトの傾き角度を変化させて芯出しした状態で該芯出しシャフトをロックした後、該芯出し治具を縮径させて該昇降機構により該芯出しシャフトを上昇させて該芯出し治具を該穴から抜き出す制御手段と
を備えたことを特徴とする芯出し装置。
【請求項2】
請求項1に記載の芯出し装置を備えた部品組立機において、
前記穴に挿入する部品を掴むチャックを備え、
前記制御手段は、前記穴に対して前記芯出しシャフトの芯出しを行った後、前記チャックで前記部品を掴んで該チャックを該芯出しシャフトにより芯出しした状態で該チャックを下降させて該部品の下端を該穴に合致させた後、該チャックを開いて該部品を該穴内に挿入することを特徴とする部品組立機。
【請求項3】
前記チャックは、前記芯出しシャフトと同芯状に設けられ、
前記芯出しシャフトは、前記チャックとは独立して該芯出しシャフトの軸芯方向に上下動可能に設けられ、
前記制御手段は、前記穴に対して前記芯出しシャフトの芯出しを行った後、該芯出しシャフトをその軸芯方向に上昇させて前記チャックに前記部品を掴ませるスペースをあけることを特徴とする請求項2に記載の部品組立機。
【請求項4】
前記芯出しシャフトと前記チャックは、X−Y−Z方向に移動するヘッド本体に支持され、
前記制御手段は、前記穴に対する前記芯出しシャフトの芯出し位置と傾き角度のデータ(以下これらを「芯出しデータ」という)を記憶手段に記憶し、前記チャックで掴んだ部品の下端を前記穴に合致させる際に、芯出し時と部品挿入時との前記ヘッド本体のZ方向位置の差に応じて前記芯出しデータを補正することを特徴とする請求項2又は3に記載の部品組立機。
【請求項5】
一定の位置関係の複数の穴にそれぞれ部品を挿入する部品組立機であって、
前記制御手段は、前記複数の穴に対してそれぞれ前記芯出しシャフトの芯出しを行って各穴に対する該芯出しシャフトの芯出しデータをそれぞれ記憶手段に記憶した後、前記チャックで掴んだ部品の下端を各穴に合致させる際に、前記記憶手段から各穴に対する該芯出しシャフトの芯出しデータを読み込んで、その芯出しデータに基づいて各穴に対する該チャックの位置と傾き角度を調整することを特徴とする請求項4に記載の部品組立機。
【請求項6】
前記制御手段は、前記チャックで掴んだ部品の下端を前記穴に合致させて該部品を該穴内に挿入する際に、該チャックの開閉動作を高速で繰り返すことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の部品組立機。
【請求項7】
前記制御手段は、前記チャックで掴んだ部品の下端を前記穴に合致させて該部品を該穴内に挿入する際に、該チャックを僅かに開いた状態で該穴とその周辺を含む領域内をX−Y方向に移動させることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の部品組立機。
【請求項8】
部品を挿入する穴の芯出しを行う芯出し方法において、
芯出しシャフトの下端部に、該芯出しシャフトの径方向に拡縮動作する芯出し治具を設け、該芯出し治具を縮径させた状態で該芯出しシャフトを下降させて該芯出し治具を前記穴内に挿入した後、該芯出し治具を拡径させて該芯出し治具の外周面を該穴の内周面に当接させることで、該芯出しシャフトの軸芯を該穴の軸芯に合致させるように該芯出しシャフトをX−Y方向に移動させ且つ該芯出しシャフトの傾き角度を変化させて芯出しした状態で該芯出しシャフトをロックした後、該芯出し治具を縮径させて該芯出しシャフトを上昇させて該芯出し治具を該穴から抜き出すことを特徴とする芯出し方法。
【請求項9】
請求項8に記載の芯出し方法により前記穴に対して前記芯出しシャフトの芯出しを行った後、チャックで前記部品を掴んで該チャックを該芯出しシャフトにより芯出しした状態で該チャックを下降させて該部品の下端を該穴に合致させた後、該チャックを開いて該部品を該穴内に挿入することを特徴とする部品組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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