説明

芳香族化合物を含有する炭化水素留分から純粋な芳香族化合物を取得する方法

本発明は、純粋な芳香族化合物含有生成物を取得する方法であって、この生成物が、芳香族化合物リッチなガソリンの抽出蒸留によって得られ、その際にオレフィン、ジオレフィンおよびポリオレフィンが分離され、この抽出蒸留の後に、得られた芳香族化合物リッチでオレフィンが少ない生成物流の水素化が続き、そこでアルキル化芳香族化合物、特にトルエンおよびキシレンが脱アルキルされ、パラフィン系脱アルキル生成物がさらにメタンに変換され、したがって抽出蒸留の後に水素化を実施することにより、芳香族化合物混合物がオレフィンを含まずに存在し、オレフィン水素化のために水素が消費されないので、かなりの割合の水素が節約できる方法に関する。本発明はまた、上記の方法を実施するための装置であって、抽出蒸留を実施するために好ましくは塔1つを使用し、この塔により溶媒の戻しを伴う抽出蒸留が可能となり、そのため抽出溶媒を除去するための追加のストリッピング塔が不要となる、装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族化合物を含有する炭化水素留分から、特に改質ガソリン、完全水素化熱分解ガソリン、加圧精製コークス炉ベンゼンまたはそれらの混合物から純粋な芳香族化合物を取得する方法に関する。本発明による方法により、芳香族化合物、特にベンゼンが提供され、その際、芳香族化合物留分のアルキル化ベンゼン誘導体を、水素化脱アルキルにより、ベンゼンまたは低級アルキル化ベンゼン誘導体に変換する。方法の設計に応じて、これらの生成物を高純度で製造することができる。新規な方法構成により、従来技術の方法に比べて、水素化脱アルキルのために使用される高価な水素と、設備技術的コストとのかなりの節約を達成することが可能である。本発明はまた、この方法を実施することができる装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族化合物、特にベンゼン、トルエンおよびキシレンは、化学工業にとって、とりわけプラスチックおよび化繊の製造にとって重要な出発物質である。その他に、芳香族化合物は、オクタンブースターとしてオットー機関用燃料において使用されている。化学工業において使用するためには、必要な芳香族化合物を純ベンゼンの形で提供すると有利である。というのは、特にこの化学品には、高い需要があるためである。
【0003】
水素化脱アルキルによりベンゼンを取得するために、芳香族化合物リッチな炭化水素混合物としての改質ガソリン、完全水素化熱分解ガソリン、加圧精製コークス炉ベンゼンまたはその混合物から出発することができる。以下では、これらの供給原料またはその混合物を、ガソリン留分と称する。使用されるガソリン留分は大量のベンゼン誘導体、特にアルキル芳香族化合物を含有する。これらは、熱または接触による水素化によりベンゼンに変換することができ、その際、ベンゼンのアルキル置換基は水素との反応により開裂して、完全に水素化される。この水素化脱アルキル(「HDA」)方法により、所望のベンゼンが得られる。所望のベンゼンの他に、アルキル置換基がアルカンの形態で得られる。
【0004】
改質ガソリンとは、ナフサの改質、特には接触改質により製造される芳香族化合物リッチなガソリンのことである。改質の際に、石油または原油中に含有されるアルカンおよびシクロアルカンにおいて、異性化、転位、環化、脱水および類似の反応が生じる。接触改質の際に生じる芳香族化合物リッチな改質ガソリンは、芳香族化合物を取得するための重要な出発物質である。
【0005】
完全水素化熱分解ガソリンとは、炭化水素を蒸気分解する際に生じる芳香族化合物リッチなガソリンのことである。炭化水素の蒸気分解は第一に、低級オレフィン、特にエテンの製造に役立つ。蒸気分解のために使用される炭化水素混合物の沸騰範囲に応じて、大量の芳香族化合物リッチな副生成物、いわゆる熱分解ガソリンが生じ、これから、さらなる処理のために、さらに様々な水素化ステップ(選択水素化、完全水素化)によって、不飽和化合物およびヘテロ原子(硫黄、窒素、酸素)を除去する。そうすると、水素化ステップの生成物として、完全水素化熱分解ガソリンと称される芳香族化合物リッチな留分が得られる。
【0006】
加圧精製コークス炉ベンゼンも同様に、芳香族化合物リッチな生成物である。コークス炉粗製ベンゼンは、石炭をコークス化する際に生じる。熱分解ガソリンと同様に、このコークス炉粗製ベンゼンは、芳香族化合物の他に、不飽和化合物およびヘテロ原子含有化合物も含有する。熱分解ガソリンの浄化(Aufbereitung)と同様に、コークス炉粗製ベンゼンもまた、水素化処理されて、不飽和化合物ならびにヘテロ原子含有化合物が変換される。この反応の最終生成物としてとりわけ、芳香族化合物リッチな生成物が得られ、これは、不飽和化合物およびヘテロ原子含有化合物を含有せず、さらなる使用に供給することができる。この芳香族化合物リッチな生成物もまた、加圧精製コークス炉ベンゼンと称される。
【0007】
使用される芳香族化合物リッチな炭化水素混合物は、特にパラフィンおよびナフテンまたはオレフィンなどの大量の非芳香族化合物を含有することがあり、これらは、水素化脱アルキルの際に同様に水素化され、水素化の生成物としてアルカンが得られる。水素化が進行すると、アルカンから開裂により、メタンが得られる。使用される化学量論的水素量に応じて、水素化脱アルキルの際に、完全にはベンゼンに脱アルキルされなかった低級アルキル化ベンゼン誘導体も得られることがある。
【0008】
水素化脱アルキルのための供給流中に非芳香族化合物が大量に存在する場合、対応する十分な量の水素が、反応を実施するために必要である。というのは、水素は、アルキル芳香族化合物を水素化脱アルキルしてベンゼンまたは低級アルキル化ベンゼン誘導体にするために必要なだけではなく、それに加えて、長鎖非芳香族化合物を分解して短鎖非芳香族化合物にするためにも消費されるからである。長鎖化合物を完全に分解すると、メタンが得られる。したがって、本発明の課題は、水素の使用が最小限に抑えられる水素化脱アルキル方法を提供することである。
【0009】
水素化脱アルキルの際に、所望のベンゼンの他に、短鎖パラフィンからなる混合物またはメタンも生じる。芳香族化合物の脱アルキルによって生じる発生するガスの量は、本発明による方法の影響を受けることはない。それに反して、同じく入口流中に存在する非芳香族化合物の水素化によって生じるガスの量を低減することも、本発明の課題である。
【0010】
これらの目的を達成するために、水素化脱アルキルに供される炭化水素留分をまず、抽出蒸留により精製することが有利である。抽出蒸留を実施することにより、大部分の非芳香族化合物を先に分離することができる。次いで、抽出蒸留から得られた芳香族化合物濃縮物を水素化脱アルキルに供することができる。抽出蒸留によって出発混合物から既に除去された非芳香族化合物を水素化して鎖長を短くするために、水素が消費されないので、水素化脱アルキルのための水素消費量が減少する。他にも、物質混合物は、抽出蒸留が前にあることによって、水素化アルキルの後に、より低い割合の気体パラフィンを含有するようになる。これにより、方法全体を、より低いガススループットで設計することができ、このため有利な結果がもたらされる。
【0011】
欧州特許第792928B1号明細書(特許文献1)は、改質ガソリンから純粋な芳香族化合物を取得する方法を記載している。その教示は、第1のプロセスステップで、改質ガソリンから分留により、選択された炭素数の芳香族化合物を含む、または複数の選択された炭素数C、Cを有する芳香族化合物を含む、改質ガソリンカット留分(Reformatschnitt)を得、その芳香族化合物カット留分を第2のプロセスステップで選択的に水素化触媒で水素化し、続いて、第3のプロセスステップで、第2のプロセスステップからの選択的水素化された芳香族化合物含有生成物を抽出蒸留および/または液液抽出により、芳香族化合物と非芳香族化合物とに分離する方法を開示している。第2のプロセスステップの水素化条件は、非芳香族不飽和炭化水素、とりわけオレフィン、ジオレフィンおよびトリオレフィンが同時水素化され、共役ジオレフィンおよびトリオレフィンができるだけ完全に水素化されるように調整される。
【0012】
ドイツ特許出願公開第1568940A1号(特許文献2)は、非芳香族化合物成分としてパラフィン、シクロパラフィン、オレフィン、ジオレフィンおよび有機硫黄化合物を含有し得る任意の芳香族化合物含有率の炭化水素混合物から、抽出蒸留により芳香族化合物を分離する方法を記載している。抽出蒸留のために特に、その置換基が7個以下のC原子を有するN−置換モルホリンが使用される。得られる芳香族化合物留分は、後処理にかけることができ、その際、後に接続されている硫酸洗浄または酸性白土での処理が挙げられている。抽出剤中の、特に不飽和炭化水素からなる不純物は、塔のスラリー相(Sumpfphase)に集まり、これらは、スラリー相水素化および抽出蒸留により分離することができる。
【0013】
ドイツ特許第10019196C1号明細書(特許文献3)は、非芳香族化合物を含有する狭沸点(engsiedenden)または共沸前駆物質から、ベンゼンおよびトルエンまたはトルエンおよびキシレンからなる高純度の芳香族生成物を取得する方法およびこの方法を実施するための装置を記載している。非芳香族化合物の抽出蒸留および抽出剤の回収がただ1つの塔中で実施され、この塔は、2個の並列する室からなる塔主要区画と、塔主要区画の上にある濃縮部と、塔主要区画の下にある除去部と、油溜め加熱部を備えた油溜めとを有する。出発ガソリンは予め蒸留により、少なくとも2つの留分に分けられ、そのうちの1つは、より高沸点の非芳香族化合物を含有する芳香族化合物留分であり、第2は、より低沸点の非芳香族化合物を含有する芳香族化合物留分である。両方の留分を、塔主要区画の下側および上側が開いた室の別々の投入位置から供給するが、その際、より高沸点の芳香族化合物留分を、より低沸点の芳香族化合物留分より上方に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第792928B1号
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第1568940A1号
【特許文献3】ドイツ特許第10019196C1号
【特許文献4】ドイツ特許出願公開第1668719A1号
【特許文献5】米国特許第3197523A号
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第19849651A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、芳香族化合物リッチな出発ガソリンからまず、抽出蒸留によって非芳香族炭化水素を減らし、得られた芳香族化合物濃縮物を水素化によって脱アルキルし、生成物としてのベンゼンまたは脱アルキル芳香族化合物に転化する方法を提供するという課題が存在する。生じる芳香族化合物濃縮物は、水素化脱アルキルの後に、フラッシング、精留またはそれら両方などの簡単な処理によって精製できるのに十分な純度を有するべきである。設計に応じて、抽出蒸留プロセスステップと水素化脱アルキルプロセスステップの間で、さらなる水素化を実施して、残りのオレフィンおよびポリ不飽和非芳香族炭化水素を除去することも可能であるべきである。
【0016】
十分に高い芳香族化合物含有率を有する抽出蒸留に適した適切な供給ガソリンは例えば、加圧精製コークス炉ベンゼン、完全水素化熱分解ガソリンまたは改質ガソリンであり、これらは精油所において通常は大量に生じる。出発ガソリンに応じて、これを供給前にも分留して、芳香族化合物含有率を所望通りに高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、芳香族化合物リッチな出発ガソリンから出発し、これを順次、まず抽出蒸留によって精製し、最後に水素化によって脱アルキルする方法により、この課題を解決する。その際に、使用される水素量および使用されるガソリンカット留分に応じて、ベンゼンまたはアルキル化芳香族化合物も得られる。この場合、芳香族化合物リッチな出発ガソリンから、抽出蒸留により、ベンゼンリッチな芳香族化合物濃縮物か、または使用される出発混合物に応じて主に、トルエン類、キシレン類およびメシチレン類を含有する、アルキル化ベンゼン誘導体リッチな芳香族化合物濃縮物が得られる。アルキル側鎖は、水素化の際にアルカンに変換される。側鎖の水素化脱アルキルによって生じる高級アルカンは、水素化により完全にメタンに変換することができる。得られた芳香族化合物留分は例えば、精留により精製することができる。水素化および精製ステップの実施に応じて、芳香族化合物濃縮物を、それぞれ所望の純度で、かつそれぞれ所望の脱アルキルレベルで得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
出発ガソリン中に含有されている非芳香族化合物が水素化脱アルキルの前に、抽出蒸留によって分離されるので、抽出蒸留の後に水素化脱アルキルを実施することにより、かなりの量の水素が節約される。これにより、水素と、またオレフィンの水素化の際に生じるアルカンのガス量が従来の方法に比べて少ないため、より高い芳香族生成物の量的スループットも同様に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、例えば従来技術において実施されているような水素化脱アルキルのプロセスフローのダイアグラムを示す。
【図2】図2は、本発明による方法のプロセスフローダイアグラムを示す。
【図3】図3は、本発明による方法を実施するための本発明による装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特に、C〜C芳香族化合物リッチな炭化水素混合物を脱アルキルする方法であって、
・芳香族化合物リッチな出発炭化水素混合物をまず抽出蒸留にかけ、そこで、適切な抽出溶媒を用いて芳香族化合物含有の炭化水素混合物を蒸留し、溶媒を除去して、芳香族炭化水素が著しく低減された溶媒不含の生成物流と、芳香族炭化水素が著しく富化された溶媒不含の芳香族化合物濃縮物とを得、
・抽出蒸留後の溶媒不含の芳香族化合物濃縮物を、水素化脱アルキル用の反応器に供給し、そこで水素と反応させ、その際に、主生成物としての脱アルキル芳香族化合物流ならびに副生成物としてのパラフィン系炭化水素流およびメタン流が形成され、
・芳香族炭化水素流を、浄化ユニットに供給する方法を請求する。
【0021】
本発明による方法は、芳香族化合物を所望のアルキル化度で純粋な形態で提供するために利用することができる。本方法を実施するために、抽出蒸留プロセスステップと水素化脱アルキルプロセスステップの間に、非芳香族不飽和炭化水素を水素化するためのさらなる水素化を実施することも可能である。これは、非芳香族不飽和化合物の割合が、抽出蒸留の後でもなお望ましくないほどに高い場合に特に必要である。しかしながら通常は、この中間ステップは必要ない。
【0022】
本方法を実施するために、抽出蒸留の後に水素化脱アルキルが可能な装置はどれも利用することができる。抽出蒸留を実施するために、一般に公知であり、従来技術に属する1塔構成(1−Kolonnenverschaltung)を使用することができる。これは、抽出蒸留および抽出溶媒の回収が1つの塔中で可能な抽出蒸留の特殊な実施形態である。これは、スペースを取らず、低い投資コストおよび運転コストを可能にする。
【0023】
本発明による方法では特に、芳香族化合物含有率が20重量パーセントを超えるガソリン留分を使用する。好ましくは、その芳香族化合物含有率が50重量パーセントを超えるガソリンを使用する。特に好ましくは、その芳香族化合物含有率が80重量パーセントを超えるガソリンを使用する。設計に応じて、出発ガソリン中の芳香族化合物含有率を、予備処理ステップ(例えば予備蒸留)によって高めることもできる。
【0024】
本発明による方法で対象となる適切なガソリンは、例えば、完全水素化熱分解ガソリンである。これらは、エテンを製造する際に分解生成物として生じ、高い芳香族化合物含有率を有する。他の可能な供給ガソリンは、接触改質ガソリンまたは加圧精製コークス炉ベンゼンである。これらは例えば、これらのガソリンのCカット留分、C7,8カット留分、C8,9カット留分またはC7〜9カット留分でよい。これらのガソリンは、製造プロセスに基づき、多くの場合に十分に高い芳香族化合物含有率を有する。加圧精製コークス炉ベンゼンは特に、そのベンゼンの割合が高いので、純ベンゼンを得るために適している。コークス炉ベンゼンを供給する前に、洗浄プロセスまたは抽出プロセスを使用して、ベンゼン製造のためにガソリン留分を精製することができる。
【0025】
芳香族化合物を含有する炭化水素混合物から直接出発し、これを抽出蒸留に供するように、本方法を構成することができる。しかし、ガソリン留分をまず予備処理するように、方法を構成することもできる。可能な予備処理ステップは、例えば、所望の沸点範囲の芳香族化合物カット留分が得られる精留である。しかし、ガソリンが例えば不純物、または大量のパラフィンを含有する場合には、抽出ステップまたは洗浄ステップも可能である。これは例えば、適切な溶媒、水または酸を用いる抽出でよい。これは例えば、オレフィンを除去するために硫酸を用いる洗浄プロセスである。芳香族化合物が少ない出発ガソリンを芳香族化合物で富化するために、先に抽出蒸留を行うことも可能である。
【0026】
例えば、硫黄化合物または窒素化合物を除去するには、酸化ステップを実施することが可能である。例えば、硫黄化合物を除去するために、追加の水素化ステップを実施することも可能である。オレフィンまたはジオレフィンの含有率が高い場合には、芳香族化合物を含有する出発混合物の予備水素化を実施することもできる。その場合、この予備水素化は、本発明による方法の一部である。予備水素化は、脱硫のためにも使用することができる。
【0027】
抽出蒸留を実施するために、芳香族炭化水素をガソリン留分から分離できる溶媒はどれも使用することができる。このために特に、1〜8個の炭素原子を置換基中に含有するN−置換溶媒が適している。抽出蒸留に特に適しているのは、N−ホルミルモルホリンである。しかし例えば、N−メチルピロリドン、スルホラン、メチルスルホラン類、ジメチスルホキシド(DMSO)、アルキレングリコールまたはアルキル化アルキレングリコールも抽出蒸留に適している。勿論、溶媒混合物も使用することができる。抽出溶媒の組成を、本方法に適合させることができる。抽出溶媒に、必要に応じて水を加えることもできる。抽出蒸留の典型的な塔温度および塔圧力は、50〜250℃および0.2〜5バールである。
【0028】
抽出蒸留から、芳香族化合物が低減された留分と、所望の芳香族化合物濃縮物とが得られる。抽出溶媒を循環させ、必要に応じて精製または補充する。次いで芳香族化合物濃縮物を、通常は抽出蒸留に続く水素化脱アルキルプロセスステップに供する。本発明による方法の一部の実施形態では、抽出蒸留と水素化脱アルキルとの間に予備水素化を実施することが有利であることがある。この変形方法(Verfahrensvariante)の選択は、実施する当業者に委ねられ、明らかに、本発明による方法の一部である。水素化脱アルキルプロセスステップには、熱プロセスも触媒プロセスも考えられる。しかし、経済性がより高いことから、熱による方法が好ましい。
【0029】
熱による水素化脱アルキルにより芳香族化合物を製造する方法は、ドイツ特許出願公開第1668719A1号(特許文献4)が記載している。気化されたトルエンと水素の混合物を、加熱されたヒータ内に納められ充填物を備えていない反応コイルに760℃の温度で5.4秒以内で通す。反応中の温度が狭い範囲に保持されるように、反応の実施を制御する。脱アルキルゾーンからの流出物を取り出し、液体−ガス混合物として、高圧分離器に移し、その高圧分離器から、液体成分を取り出す。次いでこれを、例えば蒸留により後処理することができる。上記の反応により、ベンゼン88.5パーセントの水素化脱アルキルのプロセス収率が得られる。
【0030】
触媒による水素化脱アルキルによって芳香族化合物を製造する方法は、米国特許第3197523A号(特許文献5)が記載している。触媒による水素化脱アルキルを、触媒を装填した脱アルキルゾーンで実施して、反応器の出口で反応器流出物を取り出し、それを高圧分離器に供給する。この場合、水素リッチなガス留分および液体炭化水素留分が得られ、後者を低圧分離器に通して、そこで、比較的軽い炭化水素を分離し、さらなる炭化水素留分を得、これを蒸留して、所望のベンゼン留分を得る。脱アルキルゾーンの典型的な圧力は、20〜100バールであり、脱アルキルゾーンの典型的な温度は、540〜800℃である。
【0031】
有利な大量生産式の実施形態では、液体出発混合物を、予め加熱しておいた水素および水素リッチなリサイクルガスと共に気化させ、予備処理反応器に入れ、そこで、混合物中に含有されている残りのジオレフィンおよびトリオレフィンを水素化し、混合物中に含有されている硫黄化合物、特にチオフェンを水素化して、HSにする。次いで、反応混合物を火炎加熱(Befeuerung)によって加熱し、本来の脱アルキル反応器に供給する。得られた反応器流出物から水素リッチな出発ガスを分離し、得られた液体留分を除圧し、必要に応じて部分的に、反応器に戻し、芳香族生成物を蒸留する。反応器流出物を利用して、蒸気および熱を発生させる。純度に応じて、得られた純ベンゼンまたは脱アルキル芳香族化合物を、粘土体(Tonkoerper)を備えた固定床に供給する。純度に応じて、予備処理段を省くこともできる。
【0032】
水素化脱アルキルのプロセスステップの後に、浄化プロセスステップを続ける。得られた生成物の純度に応じて、いわゆる「フラッシュ」蒸留を使用して、装置コストを低く抑えることができる。しかし、例えば蒸留または凍結段階を行うこともできる。
【0033】
好ましくは、本発明による方法を用いて、純ベンゼンが得られる。しかし、出発ガソリンまたは脱アルキル度に応じて、例えばC芳香族化合物またはC7/8カット留分を得ることもできる。
【0034】
方法条件がより有利であり、かつプロセス収率がより高いので、通常は熱による脱アルキルが好ましい。より容易に実施することができ、プロセスの実施が正確であれば高いプロセス収率をもたらすからである。それにより、抽出蒸留の後に水素化脱アルキルを実施することによって得られる水素の節約が効果を発揮する。この変形方法ではさらに、より高い生成物スループットを達成することができる。というのは、抽出蒸留後の非芳香族化合物の割合が低いため、より僅かな気体副生成物しか生じないからである。これにより、生成物中の特に低沸点の炭化水素の量が低下し、このため、プロセスにおけるより僅かなガス負荷が、したがってプロセスの実施可能性および経済性の向上がもたらされる。
【0035】
本発明による方法を実施する装置も請求される。具体的には、芳香族化合物リッチな炭化水素混合物を脱アルキルする装置であって、
・抽出蒸留用の塔と、生じた芳香族化合物濃縮物を水素化するための反応器と、生じた芳香族生成物を浄化するための精製ユニットとを備え、
・プロセスフローにおいて順次、炭化水素含有混合物からの芳香族炭化水素の抽出蒸留、芳香族生成物流からの抽出溶媒の除去、脱アルキル芳香族生成物を得るための芳香族化合物の水素化脱アルキル、および得られた芳香族生成物の浄化が行われるように、抽出蒸留用の塔、水素化反応器および精製ユニットが配置されている装置が請求される。
【0036】
その際、上記の装置のために、任意の実施形態を使用することができる。精留塔としては、芳香族炭化水素混合物の抽出蒸留が可能な通常の蒸留塔が適している。これには、蒸留のために必要であるか、またはこれらを支持する装置が含まれ得る。これらは例えば、リボイラー、加熱装置または真空を維持するためのポンプであることができる。その場合、これらの装置は明らかに、本発明による装置の一部である。同様にストリッピング塔として、芳香族化合物含有生成物混合物から蒸留によって溶媒を分離することが可能な蒸留塔が適している。これらは、従来技術であり、通常、典型的な2塔構成を抽出蒸留用の装置として利用する方法で使用される。そのような装置は例えば、欧州特許第792928B1号明細書(特許文献1)に記載されている。
【0037】
抽出蒸留プロセスステップはまた、抽出蒸留および抽出溶媒の分離が1つの塔中で可能な塔の中で実施することもできる。抽出蒸留および芳香族化合物含有生成物留分からの抽出溶媒の分離が1つの塔中で可能な塔の例は、ドイツ特許出願公開第19849651A1号(特許文献6)に記載されている。この場合、抽出溶媒を循環させる。塔は、蒸留熱を保持するために、抽出溶媒用の加熱設備を含む。これらは、芳香族化合物流を加熱するための設備も含んでよく、この場合、例えば、塔の底部のリボイラーを挙げることができる。しかし、抽出蒸留が1つの塔装置の中で可能な塔は、最終的には任意の種類のものでよい。
【0038】
特に、芳香族化合物リッチな炭化水素混合物を脱アルキルする装置であって、抽出蒸留および抽出溶媒の回収がただ1つの塔の中で可能な塔を含み、この塔が、
・塔主要区画の下にある蒸留分離部と、塔主要区画の上にある濃縮部と、2つの並列する室からなる塔主要区画と、底部ヒータを備えた塔底部とを有し、
・塔主要区画の一方の室は、上側および下側が塔内部に対して開いており、他方の室は、上側が塔内部に対して閉じ、下側が塔内部に対して開いており、全ての室は、物質交換を改善するための内装物を含み、上側が塔内部に対して閉じ、下側が塔内部に対して開いている室の内装物の上方に、抽出剤不含の生成物を蒸気の形態で取り出し、液化された生成物部分流を還流させるための設備が存在している装置も請求される。
【0039】
水素化脱アルキルを実施するために、従来技術に従って水素化脱アルキルを実施することができ、過剰な水素化水素の再循環を実施することができ、純ベンゼン流または純芳香族化合物留分の精製を実施することができ、場合によっては、生じたメタン流のさらなる使用も可能である、装置が挙げられる。これには、例えば、充填塔、蒸発器、蒸留塔、触媒充填物を備えた水素化反応器、または拡散分離器(Diffusionsabscheider)が属する。水素化脱アルキルを実施するための装置は、最終的には、任意の種類のものでよいが、芳香族化合物を含有する炭化水素混合物を抽出蒸留する際に典型的に生じる芳香族化合物流の水素化脱アルキルに適していなければならない。
【0040】
出発ガソリンと芳香族化合物を含有する出発混合物とを予備処理するために、結局、これらのプロセスステップを実施するのに必要な装置も属する。予備処理のために、例えば、分留のための蒸留塔、抽出塔または凍結装置が必要となり得る。これらの装置は、本発明による方法で使用する場合には明らかに、本発明による方法の一部である。芳香族化合物を含有する生成物を水素化脱アルキルの後に精製するプロセスステップも、本発明による方法の一部である。これには例えば、分留のための蒸留塔、「フラッシュ」蒸留ユニット、粘土体を備えた固定床、または凍結段(Ausfrierstufen)が挙げられる。
【0041】
最後に、全ての装置部分は、芳香族化合物の抽出蒸留および水素化脱アルキルのための運転を維持するために必要な設備を含み得る。これらは例えば、圧縮機、タービン、ポンプおよびバルブである。これらは勿論、必要な運転温度を維持するための設備でもあり、ここでは加熱装置、バーナ、熱交換機または冷却装置が例として挙げられる。最後に、これらは、温度調節器または制御装置などの必要な調節設備も含む。
【0042】
本発明による方法および本発明による装置は、純粋な芳香族化合物を含有する生成物を製造するための従来の装置構成に、従来の方法に比べてかなり少ない量の水素しか消費されないという利点をもたらす。加えて、この方法により、純粋な芳香族化合物を製造するために従来の装置の場合よりもかなり高いスループットを達成することができる。上記の装置は、純ベンゼンの製造に特に適しているが、例えばトルエンなどのアルキル化芳香族化合物を含有する留分を製造するのにも適している。
【0043】
芳香族化合物を含有する炭化水素混合物を製造するための方法の本発明による形態を、手順ならびに出発混合物および抽出蒸留後の芳香族化合物濃縮物の組成を記載している例によって説明する。
【0044】

86質量パーセントの芳香族化合物含有率を有する完全水素化熱分解ガソリン由来の芳香族化合物を含有する炭化水素混合物を抽出蒸留にかけるが、その際、ドイツ特許出願公開第19849651A1号(特許文献6)に挙げられている装置および抽出溶媒としてN−ホルミルモルホリンを使用する。抽出蒸留前の芳香族化合物を含有する出発混合物の組成と、抽出蒸留後の芳香族化合物濃縮物の組成とを表1に記載する。これらの組成は、留分のガスクロマトグラフィー分析により決定した。抽出蒸留に続いて、水素化脱アルキルを実施するが、その際、抽出蒸留から得られた混合物を、水素化脱アルキル用の装置部分で、水素と反応させる。そうすると、芳香族化合物を含有する脱アルキル生成物が得られる。
【0045】
例で挙げられている出発混合物を水素化脱アルキルにかける場合、出発混合物1000kg当たり水素38.7kgが必要であり、ベンゼン718kgが得られる。反応器出口でのガス負荷は、636Nmである(必要な過剰水素は考慮せず)。これに対して、抽出蒸留の後に得られた芳香族化合物濃縮物を水素化脱アルキルにかけると、芳香族化合物濃縮物1000kg当たり、水素24.4kgが必要であり、ベンゼン825kgが得られる。反応器出口でのガス負荷は、507Nmである(必要な過剰水素は考慮せず)。この例は、本発明の有利な実施を証明している。
【0046】
脱アルキル芳香族化合物を含有する炭化水素混合物を製造するためのプロセスフローの本発明による形様を、3つの図面により詳細に説明するが、本発明による方法が、これらの実施形態に限定されることはない。
【0047】
図1は、例えば従来技術において実施されているような水素化脱アルキルのプロセスフローのダイアグラムを示している。芳香族化合物を含有する出発混合物を脱水素化アルキルに供する。反応を実施するために、この反応段階にさらに水素を供給する。水素化脱アルキルの際に、アルキル側鎖の水素化開裂により、メタンが生じる。脱アルキル芳香族化合物の生成物流が得られ、これを、浄化ユニットで精製する。こうして脱アルキル芳香族化合物の純粋な生成物が得られる。芳香族化合物濃縮物中に含有されているオレフィンが同時水素化される。
【0048】
図2は、本発明による方法のプロセスフローダイアグラムを示している。炭化水素からなる芳香族化合物を含有する出発混合物を、抽出蒸留に供する。その際、芳香族化合物が低減された炭化水素流と、芳香族化合物が富化された炭化水素流とが得られる。芳香族化合物が富化された炭化水素流を芳香族化合物濃縮物として、水素化脱アルキル用のプロセスユニットに供給する。反応を実施するために、この反応段階に、さらに水素を供給する。水素化脱アルキルの際に、アルキル側鎖の水素化開裂によりメタンが生じる。脱アルキル芳香族化合物の生成物流が得られ、これを、浄化ユニットで精製する。こうして、脱アルキル芳香族化合物の純粋な生成物が得られる。
【0049】
図3は、本発明による方法を実施するための本発明による装置を示している。芳香族化合物を含有する出発ガソリン(1)を蒸留塔(2)に供給し、そこで、出発ガソリンが、それぞれ非芳香族化合物を含有する芳香族化合物留分である低沸点留分(2a)および高沸点留分(2b)に分離される。例えば、これらの留分は、主にベンゼンを含有する留分(2a)および主にトルエンおよびキシレン類を含有する留分(2b)である。高沸点留分(2b)は排出することができる。これらの留分は典型的には、オレフィンも含有する。出発ガソリンの組成に応じて、2つの蒸留塔を使用することもできる。この分離は、混合物の改善された分離が可能な特別な装置(2c)を備えた予備蒸留塔(2)中で行う。この図では、蒸留は、蒸留を行う温度を維持するための装置(2d)、いわゆるリボイラーも含む。その他に、中間容器(2e)、圧縮機(2f)および中間ヒータ(2g)が存在する。次いで、両方の留分を別々の投入位置で、抽出蒸留のために設けた蒸留塔(3)に供する。低沸点芳香族化合物留分(2a)を、中間ヒータ(2g)、圧縮機(2f)および熱交換機(3c)によって、抽出蒸留に必要な温度および圧力レベルにする。抽出蒸留用のこの塔(3)中で、芳香族化合物混合物が、芳香族化合物が少ない炭化水素混合物(3a)と、芳香族化合物リッチな炭化水素混合物(3b)とに分離されるが、その際、芳香族化合物が少ない炭化水素留分(3a)は塔の頂部で得、芳香族化合物を含有し非芳香族化合物が少ない炭化水素留分は芳香族化合物濃縮物(3b)として、塔の側面出口から引き出すことができる。出発混合物(2a)の投入は特殊な蒸留装置を介して行うが、この蒸留装置は、塔主要区画に納められており、物質交換を改善するための内装物を備えている2つの室(3d)を有する。塔の特殊な形態により、抽出溶媒を循環させ(3e)、分解または流出する溶媒を時々補充することが可能となっている。塔は、抽出溶媒を抽出蒸留に必要な温度に保持するために熱交換機(3c、3f、3g)を含む。さらに塔は、物質流全体を抽出蒸留に必要な圧力および温度に維持する設備、例えば、圧縮機(3h)およびリボイラー(3i)も含む。芳香族化合物濃縮物の調製は、中間容器(3j)および圧縮機(3k)を介して行う。芳香族化合物が少ない炭化水素留分(3a)は、パラフィンの他に、オレフィン、ジオレフィンおよびトリオレフィンを含有し、収集容器(3l)を介して排出される。塔の頂部には、真空を維持するための真空ポンプ(3m)および中間容器(3n)が存在する。
【0050】
次いで、芳香族化合物濃縮物(3b)を、水素化脱アルキル用の装置部分に供給する。ここに図示されている実施形態では、これは、蒸発器(4a)、予備処理反応器(4b)、2つの脱アルキル反応器(4c、4c’)、水素分離器(4d)、2つの精製用後処理塔(4e、4e’)および蒸留塔(4f)を含む。芳香族化合物を含有する濃縮物をまず、蒸発器(4a)に供給し、蒸気の形態で予備処理反応器(4b)に送る。そこで、存在し得る残りのオレフィンまたはジオレフィンを水素化する。この予備処理の後に、芳香族化合物を含有する混合物を、この場合には2つ存在している脱アルキル反応器(4c、4c’)に供給する。これは通常、バーナで火炎加熱される管からなり、この管に、脱アルキルすべき芳香族化合物濃縮物を通す。こうして、蒸気状の芳香族化合物と、適用条件下で通常はメタンに変換される、アルキル鎖由来のアルカンとが生じる。得られたガス混合物を水素分離器(4d)に送り、この水素分離器により水素を分離し、メタンと共に排出するか(4g)、または圧縮機(4h)および中間体容器(4i)を介して、蒸発器(4a)に戻す。水素分離器(4d)から出た芳香族化合物混合物を、典型的な実施形態では粘土体充填物を備えている充填塔(4e、4e’)に送る。ここで例えば、脱アルキル反応の重合生成物が分離される。精製の後に、ベンゼンが得られるが、これは、非常に純粋で、蒸留塔(4f)中での蒸留により相応に後精製(aufgereinigt)することができる。純ベンゼン(4j)を塔の頂部から取り出す。脱アルキルの条件に応じて、より高度にアルキル化された生成物、例えば、トルエンまたはキシレンを得ることもできる。
【0051】
【表1】

【符号の説明】
【0052】
1 出発ガソリン
2 蒸留塔
2a 低沸点の芳香族化合物留分
2b 高沸点の芳香族化合物留分
2c 分離を改善するための装置
2d リボイラー
2e 中間容器
2f 圧縮機
2g 中間ヒータ
3 抽出蒸留用の塔
3a オレフィンリッチな炭化水素混合物
3b オレフィンが少ない芳香族化合物濃縮物
3c 熱交換機
3d 抽出蒸留塔の2つの室
3e 循環抽出溶媒
3f 熱交換機
3g 熱交換機
3h 圧縮機
3i リボイラー
3j 中間容器
3k 圧縮機
3l 収集容器
3m 真空ポンプ
3n 中間容器
4a 蒸発器
4b 予備処理反応器
4c 脱アルキル反応器
4c’ 脱アルキル反応器
4d 水素分離器
4e 後処理塔
4e’ 後処理塔
4f 蒸留塔
4g メタンおよび水素の排出
4h 圧縮機
4i 中間容器
4j 純ベンゼンの排出



【特許請求の範囲】
【請求項1】
〜C芳香族化合物リッチな炭化水素混合物を脱アルキルする方法であって、
前記芳香族化合物リッチな出発炭化水素混合物をまず、抽出蒸留にかけ、そこで、前記芳香族化合物を含有する炭化水素混合物を適切な抽出溶媒を用いて蒸留し、前記抽出溶媒を除去し、その際に芳香族炭化水素が著しく貧化された溶媒不含の生成物流と、芳香族炭化水素が著しく富化された溶媒不含の芳香族化合物濃縮物とが得られる方法において、
前記溶媒不含の芳香族化合物濃縮物を、前記抽出蒸留の後に、水素化脱アルキル用の反応器に供給し、そこで、水素と反応させ、その際に主生成物としての脱アルキル芳香族化合物流ならびに副生成物としてのパラフィン系炭化水素流およびメタン流を生じさせること、および
前記芳香族炭化水素流が、浄化ユニットに供給されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記抽出蒸留および前記抽出溶媒の回収をただ1つの塔の中で行うことを特徴とする、請求項1に記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項3】
前記浄化ユニットが分留であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記浄化ユニットが、「フラッシュ」蒸留段階であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記芳香族化合物を含有する出発材料が、完全水素化熱分解ガソリンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項6】
前記芳香族化合物を含有する出発材料が、接触改質ガソリンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項7】
前記芳香族化合物を含有する出発材料が、加圧精製コークス炉ベンゼンであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項8】
前記の脱アルキルされ浄化された芳香族化合物流が、純ベンゼンであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項9】
前記芳香族化合物を含有する出発材料が、前記抽出蒸留に供する前に、蒸留塔で分留されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項10】
前記芳香族化合物を含有する出発材料が、前記抽出蒸留に供する前に、水、酸、適切な溶媒またはこれらの物質の混合物と接触させられることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項11】
前記芳香族化合物を含有する出発材料が、前記抽出蒸留に供する前に、水素化にかけられることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項12】
前記抽出蒸留プロセスステップと前記水素化脱アルキルプロセスステップの間に、水素化が実施されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項13】
前記抽出溶媒が、置換基中に1〜8個の炭素原子を有するN−置換溶媒であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項14】
前記抽出溶媒が、N−ホルミルモルホリンであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項15】
前記抽出蒸留のための前記抽出溶媒が、N−メチルピロリドン、スルホラン、メチルスルホラン、アルキレングリコールもしくはアルキル化アルキレングリコールまたはこれらの物質の混合物であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項16】
前記抽出蒸留のための前記抽出溶媒混合物が水を含有することを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項17】
前記水素化脱アルキル用の前記水素化ステップが、熱プロセスであることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項18】
前記水素化脱アルキル用の前記水素化ステップが、触媒プロセスであることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル方法。
【請求項19】
抽出蒸留用の精留塔と、抽出溶媒を除去するためのストリッピング塔と、生じた芳香族化合物濃縮物を水素化する反応器と、生じた芳香族化合物濃縮物を浄化する精製ユニットとを備える、芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル装置であって、
プロセスフローにおいて順次、炭化水素含有混合物からの芳香族炭化水素の抽出蒸留、芳香族生成物流からの抽出溶媒の除去、脱アルキル芳香族化合物濃縮物を得るための芳香族化合物の水素化脱アルキル、および得られた芳香族化合物濃縮物の浄化が行われるように、前記精留塔、前記ストリッピング塔、前記水素化反応器、および前記精製ユニットが配置されていることを特徴とする、芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル装置。
【請求項20】
抽出蒸留および抽出溶媒の回収をただ1つの塔の中で可能にする塔を含むことを特徴とする、請求項19に記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル装置。
【請求項21】
抽出蒸留および抽出溶媒の回収をただ1つの塔の中で可能にする塔を含み、この塔が、
塔主要区画の下にある蒸留分離部と、塔主要区画の上にある濃縮部と、2個の並列する室からなる塔主要区画と、底部加熱部を備えた塔底部とを有し、
前記塔主要区画の一方の室が、上側および下側で塔内部に対して開いており、他方の室が、上側では塔内部に対して閉じ、下側では塔内部に対して開いており、その際、全ての室が、物質交換を改善するための内装物を備えており、上側では塔内部に対して閉じ下側では塔内部に対して開いた前記室の前記内装物の上方に、抽出剤不含の生成物を蒸気の形態で取り出し、液化された生成物分流を還流させるための設備が存在していることを特徴とする、請求項20に記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル装置。
【請求項22】
プロセスフローにおいて水素化脱アルキル用ユニットの後ろに配置されている、分留用の蒸留ユニットを含むことを特徴とする、請求項19〜21のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル装置。
【請求項23】
プロセスフローにおいて水素化脱アルキル用ユニットの後ろに配置されている、「フラッシュ」蒸留段階を含むことを特徴とする、請求項19〜21のいずれか一つに記載の芳香族化合物リッチな炭化水素混合物の脱アルキル装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−519716(P2012−519716A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553308(P2011−553308)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001024
【国際公開番号】WO2010/102712
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(597014730)ティッセンクルップ・ウーデ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (20)
【Fターム(参考)】