説明

芳香族物質転化用の選択的触媒

本発明は、60nm以下の12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さ、及び少なくとも0.10cc/gのメソ細孔体積を有するMOR骨格タイプを有する微結晶の球状凝集体を含む新規なUZM−14触媒材料を含む。この新規な材料から形成される触媒は、芳香族物質のトランスアルキル化に特に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、芳香族炭化水素の転化用の触媒に関する。より詳しくは、本発明は、C芳香族物質を製造するための高い活性を有する触媒を含む。
【背景技術】
【0002】
[0002]殆どの新しい芳香族コンプレックスは、ベンゼン及びパラキシレンを生産するように設計されている。ベンゼンは、エチルベンゼン、クメン、及びシクロヘキサンなどの多くの異なる生成物において用いられる多用途の石油化学構築ブロックである。パラキシレンも、主として、テレフタル酸又はジメチルテレフタレート中間体を経由して形成されるポリエステルの繊維、樹脂、及びフィルムを製造するために重要な構築ブロックである。ベンゼン及びパラキシレンの相対的収率は接触改質及び分解のような芳香族物質を生成するプロセスから得られる割合に合致しないので、これらの好ましい生成物を得るための芳香族コンプレックスは、通常はトランスアルキル化、不均化、異性体化、及び脱アルキル化の1以上のような種々のプロセスを含んでいる。
【0003】
[0003]芳香族物質の転化のためのプロセスの使用を示す芳香族コンプレックスのフロー図が、McGraw-Hillによるthe Handbook of Petroleum Refining Processes, 3版, 2003年においてMeyersによって例示されている。
【0004】
[0004]公知の技術は、芳香族供給材料を所望の生成物に転化するのに有効な種々の触媒を含む。特に、芳香族コンプレックスからのパラキシレンの収量を増加させるために、より軽質の芳香族物質、特にトルエン、及びより重質の芳香族物質、特にC芳香族物質を転化してC芳香族物質を生成させるトランスアルキル化用の触媒が開示されている。かかるトランスアルキル化プロセスは、一般に、それらがCより重質の芳香族物質をより軽質の生成物に転化させることができる程度に限定されており、産業界においてはより有効な触媒に対する需要が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mayers, the Handbook of Petroleum Refining Processes, 3版, 2003年, McGraw-Hill
【発明の概要】
【0006】
[0005]広範には、本発明は、12員環チャネルを含むMOR骨格タイプ、少なくとも0.10cc/gのメソ細孔体積、及び60nm以下の12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さを有する微結晶の球状凝集体を含むUZM−14凝集体材料を含む。
【0007】
[0006]特定の態様においては、本発明は、12員環チャネルを含むMOR骨格タイプ、少なくとも0.10cc/gのメソ細孔体積、及び60nm以下の12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さを有する微結晶の球状凝集体を含むUZM−14凝集体材料;アルミナ、シリカ、及びシリカ−アルミナの1以上から選択されるバインダー;並びに周期律表の第VIB(6)、VIIB(7)、VIII(8〜10)、及びIVA(14)族から選択される1以上の元素を含む金属成分;を含む、芳香族炭化水素を転化させるのに好適な触媒を含む。
【0008】
[0007]より特定的な態様においては、本発明は、12員環チャネルを含むMOR骨格タイプ、少なくとも0.10cc/gのメソ細孔体積、及び60nm以下の12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さを有する微結晶の球状凝集体を含むUZM−14凝集体材料;MFI、MEL、EUO、FER、MFS、MTT、MTW、MWW、MAZ、TON、FAU、及びUZM−8の1以上から選択される更なるゼオライト成分;アルミナ、シリカ、及びシリカ−アルミナの1以上から選択されるバインダー;並びに周期律表の第VIB(6)、VIIB(7)、VIII(8〜10)、IB(11)、及びIVA(14)族から選択される1以上の元素を含む金属成分;を含む、芳香族炭化水素を転化させるのに好適な触媒を含む。
【0009】
[0008]好ましくは、上記の態様のそれぞれにおけるUZM−14凝集体材料は、以下の特徴:(1)球状凝集体は少なくとも0.13cc/gのメソ細孔体積を有する;(2)UZM−14微結晶は、UZM−14材料1gあたり少なくとも1×1019個の12員環チャネル開口を有する;(3)12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さは50nm以下である;の1以上を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】[0009]図1は、幾つかの試料を用いて得られた、12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さ、メソ細孔体積、及び転化率の三次元比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0010]本発明のUZM−14は、独特の吸着特性及び触媒活性を有し、Atlas of Zeolite Framework Types, 改訂6版, C.H. Baerlocher, L.B. MuCusker, 及びD.H. Olson編, Elsevier (2007), pp.218-219に記載されているようなMOR骨格タイプを有する新規なアルミノケイ酸塩ゼオライトである。MOR骨格は、結晶格子が結晶軸に沿って平行に走る12員環チャネルを含んで管状構造を与えるように配列しているSiO及びAlO四面体の4及び5員環を含む。このゼオライトは、通常は8〜50、好ましくは30以下のシリカ/アルミナのモル比を有することを特徴とする。本発明は、特定の結晶の特徴によって、芳香族物質のトランスアルキル化における活性及び選択性の向上のための内部微細孔体積への接近容易性の向上がもたらされるという発見に基づく。
【0012】
[0011]本発明のUZM−14凝集体材料は、次の個々の特徴の1以上を有することを特徴とする。
【0013】
(1)球状凝集体は少なくとも0.10cc/g、好ましくは少なくとも0.13cc/g、特に少なくとも0.2cc/gのメソ細孔体積を有する;
(2)UZM−14微結晶は、UZM−14材料1gあたり少なくとも1×1019個の12員環チャネル開口を有する;
(3)12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さは、60nm以下、好ましくは50nm以下である;
(4)UZM−14凝集体材料のSi/Al比は、概して8〜50の間、好ましくは30以下である。
【0014】
[0012]本発明のUZM−14は、合成されたままの形態で、無水ベースで、実験式:
n+p+Al1−xSi
(式中、Mは少なくとも1種類の交換可能なカチオンであり、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及びこれらの混合物など(ただし、これらに限定されない)のアルカリ及びアルカリ土類金属からなる群から選択される)
によって表される実験組成式を有する。Rは、プロトン化アミン、プロトン化ジアミン、第4級アンモニウムイオン、ジ4級アンモニウムイオン、プロトン化アルカノールアミン、及び第4級化アルカノールアンモニウムイオンからなる群から選択される少なくとも1種類の有機カチオンである。これらの成分に関し、“m”はAlに対するMのモル比であり、0.05〜0.95の範囲であり;“r”はAlに対するRのモル比であり、0.05〜0.95の値を有し;“n”はMの加重平均価数であり、1〜2の値を有し;“p”はRの加重平均価数であり、1〜2の値を有し;“y”はAlに対するSiのモル比であり、3〜50の範囲であり;“z”はAlに対するOのモル比であり、等式:
z=(m・n+r・p+3+4・y)/2
によって定められる値を有する。
【0015】
[0013]本発明のUZM−14凝集体材料は、M、R、アルミニウム、及びケイ素の反応性を有する供給源(reactive source)を配合することによって形成される反応混合物の水熱結晶化によって製造する。アルミニウム源としては、アルミニウムアルコキシド、沈降アルミナ、アルミニウム金属、アルミニウム塩、及びアルミナゾルが挙げられるが、これらに限定されない。アルミニウムアルコキシドの具体例としては、アルミニウムオルトsec−ブトキシド、及びアルミニウムオルトイソプロポキシドが挙げられるが、これらに限定されない。シリカ源としては、テトラエチルオルトシリケート、コロイダルシリカ、沈降シリカ、アルカリケイ酸塩、HiSil、及びUltrasilが挙げられるが、これらに限定されない。M金属源としては、それぞれのアルカリ又はアルカリ土類金属のハロゲン化物塩、硝酸塩、酢酸塩、及び水酸化物が挙げられる。Rが第4級アンモニウムカチオン又は4級化アルカノールアンモニウムカチオンである場合には、その源としては、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、及びフッ化物の化合物が挙げられる。具体例としては、限定なしに、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ジエチルジメチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。Rはまた、アミン、ジアミン、又はアルカノールアミン、例えばN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、トリエチルアミン、及びトリエタノールアミンとして導入することもできる。
【0016】
[0014]場合によってはUZM−14の種を含む、所望の成分の反応性源を含む反応混合物を、85℃〜225℃、好ましくは110℃〜170℃の温度において、1日間〜2週間の間、好ましくは2日間〜6日間の時間、密封反応容器内、自生圧下で反応させる。100〜1000、好ましくは200〜500rpmの間の有効な混合が、本発明を実現するために重要である。結晶化が完了したら、濾過又は遠心分離のような手段によって固体生成物を不均一混合物から単離し、次に脱イオン水で洗浄し、空気中、雰囲気温度乃至100℃において乾燥する。
【0017】
[0015]、UZM−14は、合成されると、そのチャネル内に交換可能か又は荷電を平衡にするカチオンの一部を含む。これらの交換可能なカチオンは、他のカチオンと交換することができ、或いは有機カチオンの場合には、これらは制御された条件下での加熱によって除去することができる。UZM−14は大孔径ゼオライトであるので、例えば10〜12のpHにおける水性アンモニア処理によるイオン交換によって直接に若干の有機カチオンを除去することもできる。
【0018】
[0016]本発明の触媒は、一般に耐熱性無機酸化物バインダー及び金属成分を含む。本触媒はまた、好ましくは元素基準で0.05〜2重量%のイオウを取り込むように予備硫化工程にかける。
【0019】
[0017]本発明の無機酸化物バインダー成分は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、トリア、ボリア、マグネシア、クロミア、酸化第2スズなど、並びにこれらの組み合わせ及び複合体、例えばアルミナ−シリカ、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−チタニア、リン酸アルミニウムなどのような物質を含む。バインダーは、好ましくは、アルミナ、シリカ、及びシリカ−アルミナの1以上を含む。特にアルキル芳香族炭化水素のトランスアルキル化において用いるための触媒複合体の製造に関しては、アルミナがここで用いるのに特に好ましい耐熱性無機酸化物である。アルミナは、ベーマイト構造のα−アルミナ一水和物、ギブサイト構造のα−アルミナ三水和物、バイヤライト構造のβ−アルミナ三水和物などのような任意の種々の水和酸化アルミニウム又はアルミナゲルであってよく、1番目に言及したα−アルミナ一水和物が好ましい。
【0020】
[0018]バインダーとゼオライトを任意の通常か又は他の好都合な方法で配合して、球状体、錠剤、ペレット、顆粒、押出物、又は他の好適な粒子形状を形成することができる。例えば、微粉砕ゼオライト及び金属塩粒子をアルミナゾル中に分散し、混合物を次に加熱油浴中に液滴として分散させ、これによってゲル化を起こしてほぼ球状のゲル粒子を形成することができる。この方法は、米国特許第2,620,314号明細書においてより詳細に記載されている。好ましい方法は、微粉砕形態の選択されたゼオライト、耐熱性無機酸化物、及び金属塩を、バインダー及び/又は潤滑剤と混合して、混合物を均一な寸法及び形状の錠剤又はペレットに圧縮することを含む。或いは、更により好ましくは、ゼオライト、耐熱性無機酸化物、及び金属塩を配合し、混合粉砕器内で解膠剤(希硝酸が好適な解膠剤の一例である)と混合する。得られる生地を所定寸法のダイ又はオリフィスに通して圧縮して押出物粒子を形成し、これを乾燥及びか焼してそのまま利用することができる。円筒形、四つ葉形、亜鈴形、並びに対称及び非対称の多葉形(三葉形態が好ましい)など(しかしながらこれらに限定されない)の複数の異なる押出物の形状が可能である。押出物はまた、回転盤又はドラムを用いて球状体に成形して、次に乾燥及びか焼することもできる。
【0021】
[0019]本発明の触媒には、場合によって更なるゼオライト成分を含ませることができる。更なるゼオライト成分は、好ましくはMFI、MEL、EUO、FER、MFS、MOR、MTT、MTW、MWW、MAZ、TON、及びFAU(ゼオライト命名に関するIUPAC委員会)、並びにUZM−8(国際公開第2005/113439号(参照として本明細書中に援用するものとする)を参照)の1以上から選択される。より好ましくは、特に触媒をトランスアルキル化プロセスにおいて用いる場合には、更なるゼオライト成分は実質的にMFIから構成される。触媒中の好適な全ゼオライト量は、1〜100重量%、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは60〜90重量%の範囲である。
【0022】
[0020]触媒は、好ましくは周期律表のVIB(6)、VIIB(7)、VIII(8〜10)、IB(11)、IIB(12)、IIIA(13)、及びIVA(14)族から選択される1以上の元素を含む金属成分を含む。好ましくは、触媒をトランスアルキル化プロセスにおいて用いる場合には、金属成分は、レニウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、及びタングステンの1以上から選択される。特に好ましい金属成分は、ニッケル及びモリブデンの一方又は両方を含む。トランスアルキル化触媒中の好適な金属の量は元素基準で0.01〜15重量%の範囲であり、0.1〜12重量%の範囲が好ましく、0.1〜10重量%の範囲が非常に好ましい。触媒にはまたリン成分を含ませることもでき、随意のバインダー成分は米国特許第6,008,423号明細書(参照として本明細書中に援用されるものとする)に記載のリン酸アルミニウムを含む。触媒はまた、好ましくは予備硫化工程にかけて、元素基準で0.05〜2重量%のイオウを含ませる。この予備硫化工程は、触媒の製造中か、又は触媒をプロセスユニット中に装填した後のいずれかにおいて行うことができる。
【0023】
[0021]最終複合体は、好ましくは、空気雰囲気中、425℃〜750℃の温度、好ましくは475℃〜550℃の温度において、0.5〜10時間の間か焼する。
【0024】
[0022]本発明のUZM−14凝集体材料は、当該技術において公知の種々の反応を行う触媒において用いることができる。これらとしては、限定なしに、分解、水素化分解、芳香族物質及びイソパラフィンの両方のアルキル化、異性体化、重合、改質、脱ロウ、水素化、脱水素、トランスアルキル化、脱アルキル化、水和、脱水、水素処理、水素化脱窒素、水素化脱硫、メタン生成、及び合成ガスシフトプロセスが挙げられる。好ましい炭化水素転化プロセスとしては、芳香族物質及びイソパラフィンのアルキル化、並びに芳香族物質の異性体化、特に芳香族物質のトランスアルキル化が挙げられる。
【0025】
[0023]水素化分解条件には、通常は200℃〜650℃、好ましくは310℃〜510℃の範囲の温度が含まれる。反応圧は、大気圧乃至25MPa、好ましくは1.4〜20MPaゲージ圧の範囲である。接触時間は、通常は0.1の〜15hr−1、好ましくは0.2〜3hr−1の範囲の液空間速度(LHSV)に相当する。水素循環速度は、180〜9000標準m/m、好ましくは350〜5000標準m/mの範囲である。好適な水素処理条件は、一般に上記に示す水素化分解条件の広い範囲内である。
【0026】
[0024]接触分解プロセスは、好ましくはガス油、重質ナフサ、及び脱アスファルト残油のような供給材料を、主たる所望の生成物としてガソリンに転化する。450℃〜600℃の温度条件、0.5〜hr−1のLHSV、及び大気圧乃至350kPaの圧力が好適である。
【0027】
[0025]自動車燃料成分として好適なアルキレートを製造するためのオレフィンによるイソパラフィンのアルキル化は、−30℃〜40℃の温度、大気圧乃至7MPaの圧力、及び0.1〜120hr−1の重量空間速度(WHSV)において行う。パラフィンのアルキル化に関する詳細は、米国特許第5,157,196号明細書及び米国特許第5,157,197号明細書(参照として本明細書中に援用されるものとする)において見ることができる。
【0028】
[0026]ナフサのガソリンへの改質、エチルベンゼンのスチレンへの脱水素、ベンゼンのシクロヘキサンへの水素化、アルキル芳香族物質の塩基触媒による側鎖アルキル化、アルドール縮合、オレフィン二重結合異性体化及びアセチレンの異性体化、アルコールの脱水素、及びオレフィンの二量体化、オリゴマー化、並びにアルコールのオレフィンへの転化などの他の反応を、UZM−14を含む触媒によって触媒することができる。好適にイオン交換された形態のこれらの材料によって、自動車及び工業排気流中のNOのNへの還元を触媒することができる。これらのプロセスにおいて用いることができる反応条件及び供給流のタイプの幾つかが、米国特許第5,015,796号明細書、及びH. Pines, The Chemistry Of Catalytic Hydrocarbon Conversions, Academic Press (1981), pp.123-154、及び本明細書中に含まれる参照文献(これらは参照として本明細書中に援用されるものとする)に示されている。
【0029】
[0027]本発明のゼオライトは、分子種の混合物を分子サイズ(動的分子径;分離は、より大きな種を排除しながらより小さな分子種を結晶内空間に侵入させることによって行う)に基づいて分離することができる。酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、及び種々の炭化水素のような種々の分子の動的分子径が、D.W. Breck, Zeolite Molecular Sieves, John Wiley and Sons (1974), p.636に与えられている。炭化水素も分子サイズに基づいて分離することができる。
【0030】
[0028]芳香族化合物のアルキル化、好ましくはモノアルキル化は、上記に記載のゼオライト触媒を用いて芳香族化合物をオレフィンと反応させることを伴う。本プロセスにおいて用いることができるオレフィンは、2〜20個の炭素原子を含む任意のものである。これらのオレフィンは、分岐又は線状オレフィンであってよく、末端又は内部オレフィンのいずれであってもよい。好ましいオレフィンは、エチレン、プロピレン、及び内部又は末端のいずれかの二重結合を有する6〜20個の炭素原子を含む界面活性剤範囲のオレフィンとして知られているオレフィンである。反応は、少なくとも部分的に液相条件下で行う。したがって、反応圧は、オレフィンが少なくとも部分的に液相中に溶解して保持されるように調節する。より高級のオレフィンに関しては、反応は自生圧において行う。実際には、圧力は標準的には1.4〜7MPaの範囲であるが、通常は2〜4MPaの範囲である。C〜C20の範囲のオレフィンによるアルキル化可能な芳香族化合物のアルキル化は、60℃〜400℃、好ましくは90℃〜250℃の温度において、オレフィンに関して0.1〜3hr−1の重量空間速度を用いて行うことができる。エチレンによるベンゼンのアルキル化は200℃〜250℃の温度で、プロピレンによるベンゼンのアルキル化は90℃〜200℃の温度で行うことができる。本プロセスにおいて用いられるアルキル化可能な芳香族化合物とオレフィンとの比は、特定の反応によって定まる。エチレン又はプロピレンによるベンゼンのアルキル化に関しては、ベンゼン/オレフィンの比は1〜10の間であってよい。界面活性剤範囲のオレフィンに関しては、所望のモノアルキル化選択率を確保するのには5:1〜30:1の間のベンゼン/オレフィンの比で一般に十分である。
【0031】
[0029]アルキル芳香族物質、特にエチルベンゼン及びキシレンを含むC芳香族物質混合物の異性体化は、UZM−14含有触媒の好ましい用途である。アルキル芳香族物質供給混合物、好ましくはC芳香族物質の非平衡混合物を、好適なアルキル芳香族物質異性体化条件において異性体化触媒と接触させる。かかる条件には、0℃〜600℃、又はそれ以上の範囲の温度が含まれ、これは好ましくは100℃〜500℃の範囲である。圧力は、一般に大気圧乃至10KPa絶対圧、好ましくは5KPa未満である。0.1〜30hr−1、好ましくは0.5〜10hr−1の炭化水素供給混合物に関する液空間速度を与えるのに十分な触媒を、異性体化区域内に含ませる。炭化水素供給混合物は、最適には0.5:1〜25:1又はそれ以上の水素/炭化水素のモル比で水素と混合して反応させる。このプロセスの更なる詳細は、米国特許第7,091,390号明細書(参照として本明細書中に援用されるものとする)において見ることができる。
【0032】
[0030]UZM−14を含む触媒は、アルキル芳香族炭化水素のトランスアルキル化及び不均化に特に有効である。かくして、1分子あたり6〜15個の炭素原子を有するアルキル芳香族炭化水素を、トランスアルキル化反応条件において、本発明のUZM−14を含む触媒と接触させて処理して、かかるアルキル芳香族炭化水素よりも多いか又は少ない炭素原子数の生成物を形成する。この触媒複合体は、トルエン及びベンゼンを重質芳香族物質でトランスアルキル化して高収量のキシレンを形成するプロセスにおいて特に有効である。
【0033】
[0031]トランスアルキル化又は不均化プロセスへの芳香族物質に富む供給流は、限定なしに、軽質オレフィン及びより重質の芳香族物質に富む副生成物を与えるナフサ、蒸留物、又は他の炭化水素の接触改質、熱分解、並びにガソリン範囲の生成物を与える重質油の接触又は熱分解などの種々の源から誘導することができる。熱分解又は他の分解操作からの生成物は、一般に、イオウ、オレフィン、及び生成物の品質に悪影響を与える他の化合物を除去するために、複合施設に投入する前に産業界において周知のプロセスにしたがって水素処理にかける。軽質サイクル油もまた、有益には水素化分解してより軽質の成分を与えて、これを接触改質して芳香族物質に富む供給流を与えることができる。供給流が接触改質物である場合には、改質器は好ましくは、生成物中の非芳香族物質の濃度を低くして高い芳香族物質の収量を与えるように高度な厳格さで運転する。また、改質物は、有利にはオレフィン飽和化して、潜在的な生成物汚染物質及びトランスアルキル化プロセスにおいて重質の転化できない物質に重合する可能性がある物質を除去する。かかるプロセス工程は、米国特許第6,740,788B1号明細書(参照として本明細書中に援用されるものとする)に記載されている。
【0034】
[0032]トランスアルキル化又は不均化反応は、通常の又は他の好都合ないずれの方法でも本発明の触媒複合体と接触させて行うことができ、これはバッチ又は連続タイプの操作を含んでいてよいが、連続操作が好ましい。触媒は有用には縦型管状反応器の反応区域内の固定床として配置され、アルキル芳香族物質供給材料は上向き流又は下向き流で床を通過させながら投入される。トランスアルキル化区域内で用いられる条件には、通常は200℃〜540℃、好ましくは200℃〜480℃の間の温度が含まれる。トランスアルキル化区域は、広範には100kPa〜6MPa絶対圧の範囲の中程度の昇圧下で操作する。トランスアルキル化反応は広範囲の空間速度で行うことができ、則ち、1時間あたり触媒の体積あたりの投入体積:液空間速度は、一般に0.1〜20hr−1の範囲である。供給材料は、好ましくは気相中において水素の存在下でトランスアルキル化される。液相中でトランスアルキル化される場合には、水素の存在は随意である。存在する場合には、遊離水素は、アルキル芳香族物質1モルあたり0.1モル乃至アルキル芳香族物質1モルあたり10モルの量で供給材料及び再循環炭化水素と会合する。このアルキル芳香族物質に対する水素の比は、水素/炭化水素比とも呼ばれる。本触媒は、高い活性レベルにおけるその比較的高い安定性に関して特に注目に値する。
【0035】
[0033]UZM−14の12員環チャネルへの反応物質の接近が、芳香族炭化水素のトランスアルキル化に関する触媒の活性及び安定性に影響を与える最も重要なパラメーターであることが見出された。この接近は、微結晶の長さ、メソ細孔体積、及びゼオライトの単位あたりの12員環チャネル開口に関係することが見出された。最も重要なパラメーターは、明らかに12員環チャネルの方法に対して平行方向の微結晶の長さであり、これは60nm以下、好ましくは50nm以下でなければならない。
【実施例】
【0036】
[0034]以下の実施例は、アンモニウム交換しか焼したUZM−14についての試験結果及び測定された特性に基づく。特許請求の範囲は、合成したまま、或いはイオン交換の前又は後、及び/又はか焼の前又は後などの任意の製造又は配合段階におけるUZM−14を包含する。実施例は本発明の例示として示すものであり、特許請求の範囲において示す発明の概して広い範囲に対して限定するものと解釈すべきではない。
【0037】
[0035]触媒の配合及び詳細な試験のために、実施例1においてはUZM−14の2種類の試料を調製し、UZM−14A及びUZM−14Bと称した。試料は、NaOH、アルミン酸ナトリウム、SiO(Ultrasil)、及びテトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)、並びに十分な脱イオン水から調製し、示された温度において、示されたrpmでの撹拌下で示された時間の間、結晶化を行った。得られた微結晶の球状凝集体を脱イオン水で3回洗浄し、100℃の温度において乾燥した。
【0038】
実施例1:
【0039】
【表1】

【0040】
[0036]UZM−14試料と比較するために、公知の最新技術のモルデナイトの試料をZeolyst International及びTosoh Corporationから入手した。実施例2においては、2種類のUZM−14試料並びにZeolyst及びTosoh試料の特性を比較した。
【0041】
[0037]X線回折データにScherrer式を適用することによって、12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さを求めた。分析の前に、NH交換形態を540℃に窒素中において2時間、次に空気中において5時間加熱することによって、UZM−14及び市販のモルデナイトのそれぞれを水素形態に変換した。具体的には、CuKα放射線に関する23.8°2θにおけるMOR成分の(002)回折ピークに関して半値全幅(FWHM)を測定し、次にScherrer式:
002=0.9・λ/(β・cos(θ))
(式中、λはCuKα放射線に関する波長であり、θは回折角の1/2であり、βは等式:
β1/2=B1/2−b1/2
(式中、Bはピークに関して測定されたFWHMであり、bは装置によるブロードニングのみを示す装置標準に関して測定されたFWHMである)
を用いて装置によるブロードニングに関して補正したピークに関するFWHMである)
から12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さ(L002)を計算した。ピークは、形状が、ある部分的についてはガウス分布であり、また、別のある部分的についてはコーシー分布であると仮定した。
【0042】
[0038]MOR骨格タイプのゼオライト1gあたりの12員環チャネル開口の数:Nは、12員環チャネルの方向に平行方向の平均微結晶長さに反比例し、式:
=(4・N・c)/(L002・MW)
(式中、Nはアボガドロ数(6.023・1023)であり、cはc軸の単位セル長さであり、L002は12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さであり、MWは単位セル内容物の分子量である)から算出した。本試料に関しては、この式は、約分して
=6.2×1020/L002
にする(L002はnmで測定した)。
【0043】
[0039]高解像度SEM画像から粒径を評価した。粒子は集合微結晶を含んでいる可能性があるので、UZM−14試料及び市販のモルデナイトに関するSEM粒径は一般に微結晶の寸法よりも大きい。
【0044】
[0040]これらの材料のそれぞれに関するメソ細孔体積を、以下のようにして窒素吸着等温線から求めた。分析の前に、NH交換形態を540℃に窒素中で2時間、次に空気中で5時間加熱することによって、UZM−14及び市販のモルデナイトのそれぞれを水素形態に変換した。次に、吸着等温線を測定し、P/Pの最も高い値(約0.98)における窒素吸収量から全孔体積を求めた。t−プロットを用いて微細孔体積を評価した。全孔体積から微細孔体積を減じることによってメソ細孔体積を得た。
【0045】
[0041]更なる試験のために、上記に記載のUZM−14粉末及び市販のモルデナイト粉末のそれぞれを、0.15%のRe、25%のAlバインダー、及び75%のUZM−14又は市販のモルデナイト材料を含む触媒に形成した。代表的な触媒の製造においては、100gのアンモニウム交換ゼオライトを解膠Catapal Bアルミナと一緒に押出して、75%ゼオライト/25%アルミナの配合物を調製した。押出物を空気中550℃において3時間か焼し、次に触媒上に0.15%のReを目標としてHReO水溶液を回転含浸した。次に、Reを含む押出物を、空気中540℃において2時間か焼した。
【0046】
[0042]芳香族物質トランスアルキル化試験において、これらの触媒試料のそれぞれに関して活性試験を行った。350℃、反応器圧力=250psig、重量空間速度=4、及びH:HC比=6において、トランスアルキル化、脱アルキル化、及び不均化反応の加重平均全転化率を測定した。触媒は、試験ユニット内において、試験の最初の1時間の間に供給流に過剰のジメチルジスルフィド(250ppm−S)をドープすることによって硫化した。消費された触媒上のS/Reのモル比は、通常は0.5〜0.8の範囲であった。供給流は、みかけ上、重量%で以下の組成を有していた。
【0047】
【表2】

【0048】
これらの触媒のそれぞれについての上記記載の供給流のトランスアルキル化に関する比較転化結果、並びにZeolyst及びTosoh試料の特性を、実施例2において示す。
【0049】
実施例2:
【0050】
【表3】

【0051】
実施例3:
[0043]実施例1において議論したパラメーターに対して僅かな変更を加えて、UZM−14A及びUZM−14Bと同様の方法で更なるUZM−14試料を調製し、それぞれの試料に関して、12員環チャネルの方向に対して平行方向の微結晶長さ、メソ細孔体積、及び転化率を測定した。
【0052】
【表4】

【0053】
上記の結果を添付の三次元図に示す。ここで、それぞれの点の下の垂直線は25%の基準よりも高い転化率%を表す。上記の結果は、12員環チャネルの方向に対して平行方向のより短い微結晶長さ、及び増加したメソ細孔体積の有利性を明確に示している。
【0054】
実施例4:
[0044]50%のUZM−14、25%のMFIゼオライト、及び25%の解膠Catapal Bの混合物を、硝酸ニッケル、ヘプタモリブデン酸アンモニウム、及びリン酸の溶液とブレンドすることによって、上記に記載のUZM−14A及びUZM−14B材料を触媒に形成して、0.45%のNi、2%のMo、及び0.3%のPを有する触媒を得た。押出の後、触媒を空気中500℃において2時間か焼した。
【0055】
[0045]次に、硫化段階を20時間に延長してより多量の金属の完全な硫化を行うのに十分な時間にした他は、実施例9において用いたものと同じ条件下でこれらの触媒を活性に関して試験した。350℃において得られた転化率は以下の通りであった。
【0056】
【表5】

【0057】
実施例5:
[0046]合成後のUZM−14B材料を、空気中550℃において12時間か焼し、イオン交換し、次に550℃において更に12時間か焼した。この処理の後において、材料の全酸性度はNH−TPDによって測定して0.500ミリモル/gであり、Alの26%はAl−NMRによって測定して非骨格性であった。これは、UZM−14材料の酸性度が熱的に安定であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
12員環チャネルを含むMOR骨格タイプ、少なくとも0.10cc/gのメソ細孔体積、及び60nm以下の12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さを有する微結晶の球状凝集体を含むUZM−14凝集体材料。
【請求項2】
12員環チャネルの方向に対して平行方向の平均微結晶長さが50nm以下である、請求項1に記載のUZM−14凝集体材料。
【請求項3】
メソ細孔体積が少なくとも0.13cc/gである、請求項1又は2のいずれかに記載のUZM−14凝集体材料。
【請求項4】
UZM−14微結晶が凝集体材料1gあたり少なくとも1×1019個の12員環チャネル開口を有する、請求項1、2、又は3のいずれかに記載のUZM−14凝集体材料。
【請求項5】
8〜50のシリカ/アルミナのモル比を有することを更に特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のUZM−14凝集体材料。
【請求項6】
アルミナ、シリカ、及びシリカ−アルミナの1以上から選択されるバインダー、並びに周期律表の第VIB(6)、VIIB(7)、VIII(8〜10)、及びIVA(14)族から選択される1以上の元素を含む金属成分を更に含んで、芳香族炭化水素の転化に好適な触媒を形成している、請求項1〜5のいずれかに記載のUZM−14凝集体材料。
【請求項7】
バインダーがリン酸アルミニウムを含む、請求項6に記載のUZM−14凝集体材料。
【請求項8】
触媒が油に滴下した球状形態である、請求項6又は7のいずれかに記載のUZM−14凝集体材料。
【請求項9】
金属成分が、レニウム、ニッケル、及びモリブデンの少なくとも1つから実質的に構成される、請求項6、7、又は8のいずれかに記載のUZM−14凝集体材料。
【請求項10】
MFI、MEL、EUO、FER、MFS、MTT、MTW、TON、MOR、及びFAUの1以上から選択される更なるゼオライト成分を更に含む、請求項6〜9のいずれかに記載のUZM−14凝集体材料。

【図1】
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【公表番号】特表2011−525888(P2011−525888A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516443(P2011−516443)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/047440
【国際公開番号】WO2009/158233
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】