説明

苗箱収納ラック

【課題】 苗箱収納ラックへの苗箱の出し入れが容易であり、かつその出し入れ時および苗箱を収容した苗箱収納ラックをトラック輸送する際に収納苗箱が内側受桟の横方向の保持板より離脱するのを有効に防止し苗箱の下面を横方向へのずれを抑えて安定的に接触保持させることにある。
【解決手段】 左右に位置する各段の外側受桟と中央に位置する各段の内側受桟との間に多数の矩形苗箱を内側受桟側から外側受桟側に向って上昇傾斜するように水平に各段苗に相並べて架け渡し、これら苗箱を各段苗に前後方向または外側から出入り自在とした苗箱収納ラックにおいて、上記の内側受桟が苗箱の下降傾斜側の側面を受ける縦方向の受け板の下端部外側に当該苗箱の下面を受ける横方向の保持板を上向き傾斜状に外方へ延びる鈍角状の波板形状としかつこれらの受け板および保持板が夫々前後方向に連続して形成されたものであることを特徴とする苗箱収納ラック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温室使用を目的として、栽培温室と田植現場の田圃との間の移動が容易な苗箱収納棚に関する。
【0002】
従来においても多数の苗箱を前後左右に複数列に上下に複数段に出し入れ自在にかつ安定的に載架収納するようにした苗箱収納棚は知られている。
【0003】
【特許文献1】実公昭51−31294号公報
【特許文献2】実開平6−31442号公報
【特許文献3】公開実用昭和56−24817
【特許文献4】公開実用昭和52−158050
【特許文献5】特許第3434656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は苗箱収納ラックへの苗箱の出し入れが容易であり、かつその出し入れ時および苗箱を収容した苗箱収納ラックをトラック輸送する際に収納苗箱が内側受桟の保持板より離脱するのを有効に防止し苗箱の下面を横方向へのずれを抑えて安定的に接触保持させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は左右に位置する各段の外側受桟と中央に位置する各段の内側受桟との間に多数の矩形苗箱を内側受桟側から外側受桟側に向って上昇傾斜するように水平に各段毎に相並べて架け渡し、これら苗箱を各段毎に前後方向または左右外側から出入り自在とした苗箱収納ラックにおいて、上記の内側受桟が苗箱の下降傾斜側の側面を受ける縦方向の受け板の下端部外側に当該苗箱の下面を受ける横方向の保持板を上向き傾斜状に外方へ延びる鈍角状の波板形状としかつこれらの受け板および保持板が夫々前後方向に連続して形成されたものであることを特徴とする苗箱収納ラックに関する。
【0006】
また本発明は上記において内側受桟は、その上端部の両側に横方向に突出した突條を有し、この突條の下方に続く縦方向の受け板が下に向って互いに広がった左右の両側面からなっており、この左右の両側面の下端部に左右の保持板が形成されているものに関する。
【0007】
また本発明は上記において波板形状をなす保持板が、縦方向の受け板の下端部外側に続く苗箱の面接触受け部とこの受け部の外側に相互に隔てられた複数の苗箱の線接触受け部を備えてなることを特徴とするものに関する。
【0008】
また本発明は上記において受け板の苗箱受け面および保持板の苗箱接触面に苗箱の前後方向の滑り移動を助長しかつ苗箱の横方向の滑り移動を阻止するための前後方向の細溝を横方向密間隔に配設したものに関する。
【0009】
また本発明は上記において保持板の面接触受け部と次の点接触受け部との間および複数の点接触受け部相互間に苗箱の横方向への脱落を阻止するための鈍角状の波状の凹み部が形成されているものに関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の苗箱収納ラック特にその内側受桟の効果を列記すれば次の通りである。
(1)内部受桟の苗箱下面を上向き傾斜状に受ける横方向の保持板が鈍角状の波板形状をしているので苗箱の保持板からの横方向の脱落は保持板の面接触面、線接触面およびそれらの間の波状の凹み面で相乗的に阻止され、横方向の脱落のおそれは解消される。
(2)上記保持板の苗箱下面との接触面は部分的な面接触と隔てられた複数の線接触とからなっているので、苗箱の横方向の脱落を阻止すると共に前後方向の出し入れの移動が容易となる。
(3)保持板は外側方向に苗箱に対し長い接触保持面を提供しているので、苗箱を外側受桟の方から出し入れするときにその操作が容易かつ安全に実行される。
(4)内部受桟はその断面形状が前後方向に揃っているので、溝付の内側受桟をアルミの押出し成型によって容易に作ることができ、軽量かつ強度上も有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を図面に示す実施例によって説明するが、本発明はこれのみによって制約されるものではない。
【比較例】
【0012】
組立体を示す図1において(A)は左側枠用パネルブロック、(B)は右側枠用パネルブロック、(C)は中央枠用パネルブロックで、パネルブロック(A)(B)はアルミの押出し成型になる表面に長手方向に多数の細溝が相並んで刻設状に設けられて滑り止め面を形成しているアルミ角パイプ(断面は方形)からなる前後の同一の縦桟(1)(2)間に上記と同じく表面に細溝による滑り止め面を形成している押出しアルミ角パイプからなる断面台形の台形横桟(3)(3)…を上下に等間隔に複数個例えば2〜6段(図示では各6段)架設され、ブロック(A)(B)は夫々全体としてパネル形状をなしている。
上記の横桟(3)は図2の断面図で示すように上面は後述の中央枠用パネルブロック(C)に向かって即ち組立体の内部に向って下り傾斜した勾配面(3−S)を形成している。
中央枠用のパネルブロック(C)は上記縦桟(1)(2)と同一の縦桟(4)(5)間に、全表面に長手方向の細溝を設けた滑り止め面となっている両翼板付き角パイプからなる横桟(6)がパネル(A)(B)の横桟(3)の取付位置よりも低い位置に相対応して上下段状に架設されている。
【0013】
この横桟(6)の桟部は図2の断面図で示すように断面方形の角パイプでその下端両側から左右の翼板(7)(7)が左右対称に略「へ」の字状に支出されている。
翼板(7)は内側の傾斜面(内側より外側への上り傾斜)(7−U)と中間の幅狭の水平面(7−H)と外側の傾斜面(内側より外側への下り傾斜)(7−D)とからなっている。
これら左側枠用パネルブロック(A)と中央枠用パネルブロック(C)と右側枠用パネルブロック(B)とを左右方向に等間隔に相隔てて起立状態に、各パネルブロック(A)(C)(B)の前方縦桟(1)(4)(1)の下端を前下枠用スペースブロック(D)で連結しまた当該の前方縦桟(1)(4)(1)の上端は前上枠用スペースブロック(F)で連結している。
また、各パネルブロック(A)(C)(B)の後方縦桟(2)(5)(2)の下端は後下枠用スペースブロック(D)で、上端は後上枠用スペースブロック(G)で連結し苗箱収納棚としての組立体としている。
【0014】
上記の各スペースブロック(D)(E)(F)(G)はいずれも全表面に長手方向の細溝を付けて滑り止め面としている断面方形の角パイプの水平桟(8)(9)(10)(11)から夫々なっており、各水平桟のパイプ両端には同じくアルミ製のI形ないしはL形のジョイント用型材ブロックを溶接または嵌入溶接によって固定しまた桟中央部にはI形ないしはT形のジョイント用型材ブロックを溶接または嵌入溶接によって介在固定している。
そしてこれらブロックの垂直突出部に水平桟(8)の場合には上記縦桟(1)(4)(1)の下端を嵌合し、縦桟(1)(1)の下端を前下枠用スペースブロック(D)の水平桟(8)に着脱可能に固定する。
水平桟(9)(10)(11)についても水平桟(8)の場合と同様に実施される。
【0015】
尚前後の上枠用スペースブロック(F)(G)の水平桟(10)(11)の両端上面には組立体の吊上げ用取付環(12)が固定されこの取付環(12)にワイヤー掛けして苗箱群を収納したまたは収納しない苗箱収納棚の組立体をそのまま吊り上げトラック等への積上げ、積下しを行うようにしている。
【0016】
苗箱は図1の組立体において左右には2列に、前後には例えば5列等の複数列に上下には例えば6段等の複数段に多数載架収納することができるが、パネルブロック(A)(B)(C)の各縦桟(1)(2)(4)(5)中間に夫々上記のジョイント用型材ブロックと蝶ねじとの組合わせを介在させ、これらブロック(A)(B)(C)を上下に2分割し、下枠用スペースブロック(D)(E)と上枠用スペースブロック(F)(G)を別にもう1個宛用意しておけば全体が6段構成の場合、2段構成のものと、4段構成のものとに分けて使用することができる。各苗箱(13)は図2に示すように左または右側枠用パネルブロック(A)(B)の各段の横桟(3)は上面と対応する各段の中央枠用パネルブロック(C)の両翼板付き横桟(6)の左または右の翼板上面との間に架け渡される。
このようにして多数の苗箱は組立体内部の中央枠用パネルブロック(C)に向かって夫々下降傾斜状かつ段状に前後方向に相並んで収納される。
【0017】
その際左右枠用パネルブロック(A)(B)の台形横桟(3)の勾配上面(3−S)が苗箱底面の外側付近を支え、中央枠用パネルブロック(C)の両翼板付き横桟(6)の翼板(7)の内側傾斜面(7−U)が苗箱底面の内側付近を支え、かつ苗箱の下降先端前面は中央枠用パネルブロック(C)の横桟(6)の桟部側面で支えられる。
また各段の前後両端部に収納される苗箱はその対応側面が左右側枠用パネルブロック(A)(B)の縦桟(1)(2)の内側面で支持されているので、組立体の各段部からの苗箱の抜け落ちは防止される。
【実施例】
【0018】
本発明は比較例の両翼板付き横桟(6)を改良したので、以下この改良された横桟を内側受桟と表示して説明する。尚比較例の横桟は本発明では外側受桟と表示する。図3に示すように内側受桟(20)は左右両側に突条(21)(21)を有する頂面部(22)とこの頂面部(22)から下方に向かって互いに広がった両側面からなる左右の縦方向の受け板(23)(23)と受け板(23)の下端部の両側に支出した鈍角状の波板形状の保持板(24)(24)とからなっているが、内側受桟(20)は軽量化および強度面から、左右の保持板(24)(24)は内側で連続板(25)となっており、頂面部(22)、左右の受け板(23)(23)および連続板(25)で囲まれた空洞部(26)を形成しアルミの押出し成型により一体型に作られている。
保持板(24)は受け板(23)と直交(90°の角度)して支出されている外方に向って上り勾配の面接触受け部(27)と受け部(27)に第1の線接触受け部(28)を介して連続している第1の鈍角状の波形凹み部(29)と受け部(27)の延長面に位置する第2の線接触受け部(30)を介して更に連続している第2の鈍角状の波形凹み部(31)とからなっており、凹み部(31)の終端は受け部(27)および第2の線接触受け部(30)と同一延長面の第3の線接触受け部(32)となっている。
頂面部(22)の上面並びに受け板(23)の外面および保持板(24)の上面には前後方向の細溝(33)が横方向密間隔に刻設されている。
苗箱のラックへの収納時には苗箱の下降側の側面が受け板(23)に面接触しかつ苗箱の下面が面接触受け部(27)、線接触受け部(28)(30)(32)で接触支持される。
【0019】
苗箱収納ラックにおいては苗箱の内側端面側を支持する内側受桟と苗箱の外側端面側を支持する外側受桟との間には前者が低位に後者が高位にあるように高低差を持たせ外向きに上り勾配を付けて苗箱を出し入れするようにしているので、収納苗箱が内側受桟から外れるおそれは少ないが、ラック使用時の衝撃、ラックのトラック移動時の衝撃等によっては往々にして外側に外れるおそれが発生する。
特許第3434656号の場合には外側受桟に苗箱の外側への逸脱を阻止する縦突條が設けられているので、上記の苗箱の外れは効果的に防止されるが、苗箱のサイズの変化には対応できない難点がある。これに対して比較例に示した例は外側受桟は単純に載架されるフリーサイズ方式となっているので、ラックの衝撃等によって苗箱が外方へ上昇移動して受け桟から外れるおそれがある。
このおそれを本発明の面接触受け部(27)、第1のおよび第2更に第3の線接触受け部(28)(30)(32)、第1および第2の鈍角状の波形凹み(29)(31)からなる保持板(24)が解消している。また左右外側から苗箱を外側受桟から内側受桟に掛け渡すときに保持板上に確実に安心してセットできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】比較例の苗箱収納棚用組立体の斜視図である。
【図2】同上のパネルブロック(A)(B)(C)相互の配置関係を示すための一部縦断面図である。
【図3】実施例の内部受桟の縦断面図である。
【符号の説明】
【0021】
A……左側枠用パネルブロック
B……右側枠用パネルブロック
C……中央枠用パネルブロック
D……前下枠用スペースブロック
E……後下枠用スペースブロック
F……前上枠用スペースブロック
G……後上枠用スペースブロック
1……ブロック(A)(B)の前方縦桟
2……ブロック(A)(B)の後方縦桟
3……ブロック(A)(B)の台形横桟
3−S……台形横桟の勾配上面
4……ブロック(C)の前方縦桟
5……ブロック(C)の後方縦桟
6……ブロック(C)の両翼板付き横桟
7……翼板
7−U……翼板の内側傾斜面
7−H……翼板の中間水平面
7−D……翼板の外側傾斜面
8……前下枠用スペースブロック(D)の水平桟
9……後下枠用スペースブロック(E)の水平桟
10……前上枠用スペースブロック(F)の水平桟
11……後上枠用スペースブロック(G)の水平桟
12……吊上げ用取付環
13……苗箱
20……内側受桟
21……突条
22……頂面部
23……縦方向の受け板
24……保持板
25……連続部
26……空洞部
27……面接触部
28……線接触部
29……凹み部
30……線接触部
31……凹み部
32……線接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に位置する各段の外側受桟と中央に位置する各段の内側受桟との間に多数の矩形苗箱を内側受桟側から外側受桟側に向って上昇傾斜するように水平に各段毎に相並べて架け渡し、これら苗箱を各段毎に前後方向または左右外側から出入り自在とした苗箱収納ラックにおいて、上記の内側受桟が苗箱の下降傾斜側の側面を受ける縦方向の受け板の下端部外側に当該苗箱の下面を受ける横方向の保持板を上向き傾斜状に外方へ延びる鈍角状の波板形状としかつこれらの受け板および保持板が夫々前後方向に連続して形成されたものであることを特徴とする苗箱収納ラック。
【請求項2】
内側受桟は、その上端部の両側に横方向に突出した突條を有し、この突條の下方に続く縦方向の受け板が下に向って互いに広がった左右の両側面からなっており、この左右の両側面の下端部に左右の保持板が形成されている請求項1記載の苗箱収納ラック。
【請求項3】
波板形状をなす保持板が、縦方向の受け板の下端部外側に続く苗箱の面接触受け部とこの受け部の外側に相互に隔てられた複数の苗箱の線接触受け部を備えてなることを特徴とする請求項1または2記載の苗箱収納ラック。
【請求項4】
受け板の苗箱受け面および保持板の苗箱接触面に苗箱の前後方向の滑り移動を助長しかつ苗箱の横方向の滑り移動を阻止するための前後方向の細溝を横方向密間隔に配設した請求項1から3までのいずれか1項記載の苗箱収納ラック。
【請求項5】
保持板の面接触受け部と次の点接触受け部との間および複数の点接触受け部相互間に苗箱の横方向への脱落を阻止するための鈍角状の波状の凹み部が形成されている請求項1から4までのいずれか1項記載の苗箱収納ラック。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−25732(P2006−25732A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211458(P2004−211458)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(391028100)株式会社内山商会 (20)
【Fターム(参考)】