説明

草刈機

【課題】 刈りハウジングの後部の刈り草排出口から排出される刈り草を車体横方向に分散しやすくできるものでありながら、刈り草が車輪に付着することも、刈り刃ハウジングが接地することも構造簡単に回避しやすくする。
【解決手段】 刈り刃ハウジング12の内部に、刈り刃14からの刈り草を刈り草排出口19に流動案内する傾斜ガイド板35を設けてある。刈り刃ハウジング後端部の刈り刃ハウジング横方向での中間部に接地ソリ50を設けてある。接地ソリ50は、傾斜ガイド板35の後方で、かつ自走車体の車輪1の前方に配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈り刃ハウジング横方向に並ぶ複数の刈り刃を刈り刃ハウジング上下向き軸芯まわりで駆動回動自在に備えたリヤディスチャージ型の草刈り装置を自走車体に連結した草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の草刈機において、従来、特許文献1に示されるものがあった。
特許文献1に示されるものは、モーアデッキ10(刈り刃ハウジングに相当)の天板19の下面には、刈刃体7(刈り刃に相当)で刈り取った刈草を後方に放出案内する案内板22が固着され、案内板22は、刈刃体7の回転軌跡外周部を取囲む平面円弧部23、及び、該円弧部23に対して刈刃体7の回転軌跡と同心状に外接する直線案内部24を有するものである。
【0003】
【特許文献1】実公平1−25547号公報(第3,4欄、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された技術事項を採用し、刈り草が車体横方向に分散しやすくなるように、刈り刃からの刈り草を刈り刃ハウジングの刈り草排出口に向けて流動案内するとともに刈り刃ハウジング前後向きに対して傾斜した傾斜ガイド板を設けただけの場合、草刈り装置から排出された刈り草が、自走車体の草刈り装置よりも後側に位置する車輪に対して斜め前方から当たり、車輪のリム部などに付着しやすくなる。
【0005】
本発明の目的は、刈り草を車体横方向に分散しやすくできるものでありながら、刈り草が車輪に付着することも、刈り刃ハウジングが接地することも構造簡単に回避しやすい草刈機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明にあっては、刈り刃ハウジング横方向に並ぶ複数の刈り刃を刈り刃ハウジング上下向き軸芯まわりで駆動回動自在に備えたリヤディスチャージ型の草刈り装置を自走車体に連結した草刈機において、
前記刈り刃からの刈り草を前記刈り刃ハウジングの刈り草排出口に向けて流動案内するとともに刈り刃ハウジング前後向きに対して傾斜した傾斜ガイド板を設け、
刈り刃ハウジング後端部の刈り刃ハウジング横方向での中間部で、前記傾斜ガイド板の後方に位置し、かつ前記自走車体の車輪の前方に位置する部位に、接地ソリを設けてある。
【0007】
すなわち、刈り草が傾斜ガイド板によって刈り草排出口に流動案内され、この刈り草排出口から車体斜め後方向きに排出される。このとき、草刈り装置よりも後側に位置する車輪向かって流動しようとする刈り草は、接地ソリに当たって車輪の両横側に分散するように流動案内されて車輪に付着しにくくなる。
【0008】
また、草刈り装置の前端側が地面上の隆起部に乗り上がって刈りハウジングが前上がり姿勢になっても、接地ソリが接地し、これによって刈り刃ハウジングの後側が接地しなくなる。
【0009】
従って、本第1発明によると、刈り草を傾斜ガイド板による流動案内によって車体横方向に分散させながら、かつ、刈りハウジングの後側を接地ソリによって接地支持させて刈り刃ハウジングの接地破損を回避しながら作業することができる。しかも、刈り草が車輪に付着することを、接地ソリを利用して構造簡単に回避することができる。
【0010】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、
前記接地ソリは、ソリ板、前記ソリ板の前端側を刈り刃ハウジングに連結する前取り付け板、ソリ板の後端側を刈り刃ハウジングに連結する後取り付け板を備えて構成してある。
【0011】
すなわち、接地ソリは、ソリ板、前記前取り付け板、前記後取り付け板を備えて構成してあるものだから、接地ソリに中空部を備えさせ、刈り草の一部が中空部を通って失速しないようにしながら、ソリ板、前取り付け板、後取り付け板によって刈り草を車輪の両横側に分流する流動案内させることができる。
【0012】
従って、本第2発明によると、刈り草を車輪に当たりにくいように接地ソリによって流動案内するものでありながら、刈り草を極力失速させないで分散させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、左右一対の駆動自在な前車輪1、左右一対の揺動操向自在な後車輪2、車体フレーム6の後部に設けたエンジン3が装備された原動部、この原動部の前側に配置した運転座席4などが装備された運転部を備えさせて自走車を構成し、この自走車の前記車体フレーム6の前部を構成するとともに前記左右前輪1支持しているミッションケース5に、左右一対の支持アーム41などを備えたリンク機構40を介して草刈り装置10を連結するとともに、前記エンジン3から出力される駆動力を前記ミッションケース5が備える動力取り出し軸7から回転軸8を介して草刈り装置10の入力ケース21に伝達するように構成して、乗用型の草刈機を構成してある。
【0014】
この草刈機は、芝刈りや草刈り作業を行うものであり、前記ミッションケース5が有する昇降シリンダ42を操作すると、この昇降シリンダ42が前記リンク機構40をミッションケース5に対して上下に揺動操作することにより、草刈り装置10を左右一対のゲージ輪11が地面上に接地した下降作業状態と、前記ゲージ輪11が地面上から上昇した上昇非作業状態とに揺動昇降操作する。草刈り装置10を下降作業状態にして自走車体を走行させると、草刈り装置10は、前記刈り刃ハウジング12の内部で回動駆動される複数枚の回転刈り刃13,14,15によって芝刈りや草刈りを行っていく。
【0015】
前記リンク機構40について詳述すると、図1,2,3などに示すように、このリンク機構40は、前記ミッションケース5の下部の両横側から車体前方向きに上下揺動自在に延出され、延出端部が草刈り装置10の刈り刃ハウジング12の上面側に位置する連結フレーム10aの連結ブラケット10bに回動自在に連結されている前記支持アーム41、前記ミッションケース5の上部の両横側から車体前方向きに上下揺動自在に延出しているリフトアーム42a、左側のリフトアーム42aの先端部を左側の支持アーム41の途中に連結している連動ロッド43、右側のリフトアーム42aの先端部を右側の支持アーム41の途中に連動している連動ロッド43を備えて構成してある。
【0016】
左右のリフトアーム42aは、両リフトアーム42aの基部をミッションケース5に回動自在に連結している回転支軸44を介して前記昇降シリンダ42に連動されており、昇降シリンダ42が伸縮操作されると、左右のリフトアーム42aが昇降シリンダ42によってミッションケース5に対して上下に揺動操作され、左側のリフトアーム42aが前記連動ロッド43を介して左側の支持アーム41を、右側のリフトアーム42aが前記連動ロッド43を介して右側の支持アーム41をそれぞれミッションケース5に対して上下に揺動操作し、左右の支持アーム41が前記刈り刃ハウジング12を昇降操作するように構成してある。
【0017】
これにより、リンク機構40は、昇降シリンダ42によって車体フレーム5に対して上下に揺動操作され、草刈り装置10を支持フレーム41のミッションケース5に対する回動軸芯のまわりで車体フレーム6に対して揺動させて前記下降作業状態に下降操作したり、前記上昇非作業状態に上昇操作したりする。前記左右の支持アーム41に、この支持アーム41の途中を前記刈り刃ハウジング12の上面側の後部に連結している姿勢規制具45を備えてあり、草刈り装置10を上昇非作業状態に上昇操作した際、刈り刃ハウジング12が自重によって支持アーム41に対する連結軸芯まわりで回動することが抑制され、草刈り装置10の支持アーム41に対する連結姿勢が下降作業状態での連結姿勢とあまり変化しないようになっている。
【0018】
草刈り装置10について詳述すると、図4−7に示すように、この草刈り装置10は、前記刈り刃ハウジング12、この刈り刃ハウジング12の内部に刈り刃ハウジング横方向に並べて設けた前記複数枚のブレード型の回転刈り刃13,14,15を備えて構成してある。
【0019】
図7などに示すように、刈り刃ハウジング12は、天板12a、この天板12aの山形の前縁部から刈り刃ハウジング下方向きに延出した前壁12b、前記天板12aの両横縁部から刈り刃ハウジング下方向きに延出した横壁12cを備えて構成してある。刈り刃ハウジング12の後端部に、天板12aの後端部12dと左右一対の出口板12eとによって形成され、刈り刃ハウジング後方向きに開口している刈り草排出口19を刈り刃ハウジング12のほぼ全横幅にわたって設けてある。
【0020】
図5−7などに示すように、前記各回転刈り刃13,14,15は、刈り刃ハウジング12の前記天板12aに支持ケース18aを介して回転自在に支持された回転支軸18の下端部に一体回動自在に支持されている。図4に示すように、刈り刃ハウジング12の天板12aの上面側に、前記入力ケース21などを備えた刈り刃駆動機構20を設けてある。この刈り刃駆動機構20は、前記入力ケース21に伝達された駆動力を前記複数枚の回転刈り刃13,14,15のうちの中央部に位置するセンタ回転刈り刃14の前記回転支軸18の上端部に伝達してこの回転支軸18を回転駆動し、この回転支軸18の駆動力を伝動ベルト22により、複数枚の回転刈り刃13,14,15のうちの前記センタ回転刈り刃14の両横側に位置するサイド回転刈り刃13,15の回転支軸18の上端部に伝達して、この回転支軸18を回転駆動することにより、各回転刈り刃13,14,15を回転支軸18の刈り刃ハウジング上下向き軸芯Pのまわりで図5に示す回転方向Aに回転駆動する。
【0021】
図5−7に示すように、刈り刃ハウジング12の内部に、前記各回転刈り刃13,14,15の回転域B(回転刈り刃13,14,15の先端が描く回転軌跡によって囲まれる範囲)の前方側近くに回転刈り刃先端の回転軌跡に沿わせて配置した円弧形の前ガイド板32、各回転刈り刃13,14,15の回転域Bの後方側に回転刈り刃先端の回転軌跡に沿わせて、又はほぼ沿わせて配置した左右一対の円弧形の後ガイド板30と33、34と36、37と39、前記センタ回転刈り刃14の回転域Bの上方に配置した直線状の傾斜ガイド板35、前記一方のサイド回転刈り刃15の回転域Bの上方に配置した直線状の傾斜ガイド板38を設けてある。
【0022】
前記各前ガイド板32は、刈り刃ハウジング12の天板12aから刈り刃ハウジング下方向きに突出した状態にして、かつ、その突出長さが刈り刃ハウジング12のほぼ全高に等しい状態にして天板12aの下面側に支持させてある。各回転刈り刃13,14,15の前記一対の後ガイド板30と33、34と36、37と39は、刈り刃ハウジング12の天板12aから刈り刃ハウジング下方向きに突出した状態にして、かつ、両後ガイド板30と33、34と36、37と39の端どうしの間に刈り草通路が存在する状態にして刈り刃ハウジング12の天板12aの下面側に支持させてある。各傾斜ガイド板35,38は、刈り刃ハウジング12の天板12aから刈り刃ハウジング下方向きに突出した状態にして、かつ、傾斜ガイド板35,38の後端側が前記一方の後ガイド板34,37の端部に連結した状態にして、さらに、傾斜ガイド板35,38の全体が刈り刃ハウジング12の前後向きに対して傾斜した状態にして刈り刃ハウジング12の天板12aの下面側に支持させてある。
【0023】
図4,5に示すように、刈り刃ハウジング12の前端側の外部に、前記左右一対のゲージ輪11、及び各ゲージ輪11よりも刈り刃ハウジング12の横方向での内側に配置した前接地ローラ16を設け、刈り刃ハウジング12の後端側の外部に、刈り刃ハウジング12の横方向での両端部に配置した後接地ローラ17を設け、刈り刃ハウジング12の後端側の内部に、左右一対の接地ソリ50,51を設けてある。
【0024】
前記左右一対の接地ソリ50,51は、前記各後接地ローラ17よりも刈り刃ハウジング横方向での内側に位置するように刈り刃ハウジング12の横方向での中間部に配置してある。前記一対の接地ソリ50,51の一方の接地ソリ50は、前記センタ回転刈り刃14に対応した前記傾斜ガイド板35の後方に位置するように、かつ、自走車体の一方の前車輪1の前方に位置するように配置してある。
【0025】
図6,7に示すように、前記各接地ソリ50,51は、ソリ板52、このソリ板52の前端側に下端側が連結した前取り付け板53、前記ソリ板52の後端側に下端側が連結した後取り付け板54、前取り付け板53と後取り付け板54の上端側を連結している連結板56を備えるように、かつ、前取り付け板53及び後取り付け板54の刈り刃ハウジング横方向での長さがソリ板52のその長さと等しくなるように、さらに、接地ソリ50,51の全体が刈り刃ハウジング側面視で環状になって刈り刃ハウジング横方向に貫通した中空部を内部に備えるように折り曲げ成形した板金によって構成してある。また、各接地ソリ50,51は、連結板56を刈り刃ハウジング天板12aの下面側に連結ボルト55で連結することによって刈り刃ハウジング12に連結されており、ソリ板53で地面上に接地することによって草刈り装置10の後端側を接地支持するようになっている。
【0026】
つまり、草刈り装置10は、エンジン3からの駆動力が入力ケース21に伝達されると、刈り刃駆動機構20によって各回転刈り刃13,14,15を回転支軸18の軸芯Pまわりで回転駆動し、各回転刈り刃13,14,15によって芝刈りや草刈りを行う。各ゲージ輪11及び後接地ローラ17や接地ソリ50,51の接地によって各回転刈り刃13,14,15の対地高さをゲージ輪11の取り付け高さによって決まる設定高さに維持して、刈り高さをほぼ一定にしながら芝刈りや草刈りを行う。また、ゲージ輪11や前接地ローラ16が地面上の隆起部に乗り上がって草刈り装置10前上がり姿勢になっても、後接地ローラ17や接地ソリ50,51が接地し、これによって刈り刃ハウジング12の後側が接地することを防止されるようになっている。また、各回転刈り刃13,14,15によって切断された刈り芝や刈り草(以下、単に刈り草と称する。)を各回転刈り刃13,14,15の回転によって発生した排出風によって刈り刃ハウジング12の後部の前記刈り草排出口19から刈り刃ハウジング12の後方側に排出するようにリヤディスチャージ型になっている。
【0027】
すなわち、各回転刈り刃13,14,15が回転支軸18の駆動力によって回転支軸18の刈り刃ハウジング上下向き軸芯Pまわりで回転方向Aに回転駆動され、自走車体の走行のために回転刈り刃13,14,15の回転域Bに入り込んで来た芝や草を回転刈り刃13,14,15の両端側に位置する刃部Cによって切断する。一方のサイド回転刈り刃13は、一方の後ガイド板33に対してこの後ガイド板33の前端側から後端側に向けて移動する状態で回転駆動される。センタ回転刈り刃14は、一方の後ガイド板34に対してこの後ガイド板34の後端側から前端側に向けて移動する状態で回転駆動される。他方のサイド回転刈り刃15は、一方の後ガイド板37に対してこの後ガイド板37の後端側から前端側に向けて移動する状態で回転駆動される。このとき、各回転刈り刃13,14,15は、回転刈り刃13,14,15の両端側の刃部Cの後側に位置する起風羽根Fによって排出風を発生させる。
【0028】
前記一方のサイド回転刈り刃13が起風羽根Fによって発生させた排出風は、前記後ガイ板30、前ガイド板32、前記後ガイド板33によって流動案内されて、かつ、後ガイド板33によってセンタ回転刈り刃14の方に漏れ出ることを抑制されてサイド回転刈り刃13の回転域Bをサイド回転刈り刃13の回転方向Aに回動するように流動し、この回転域Bの後部において後ガイド板30と33の間から刈り刃ハウジング12の後部に流動して刈り草排出口19から刈り刃ハウジング12の後方に流出し、サイド回転刈り刃13によって切断された刈り草は、サイド回転刈り刃13によって発生した排出風によって搬送されるとともに各ガイド板30,32,33によって流動案内されて刈り草排出口19から刈り刃ハウジング12の後方に排出される。
【0029】
前記センタ回転刈り刃14が起風羽根Fによって発生させた排出風は、前記後ガイド板34、前ガイド板32、前記後ガイド36によって流動案内されて、かつ、後ガイド板34によってサイド回転刈り刃13の方に漏れ出ることを抑制されて、さらに、後ガイド板36によってサイド回転刈り刃15の方に漏れ出ることを抑制されてセンタ回転刈り刃14の回転域Bをセンタ回転刈り刃14の回転方向Aに回動するように流動し、この回転域Bの後部において傾斜ガイド板35と後ガイド板36によって刈り刃ハウジング後方向きに流動案内されて傾斜ガイド板35と後ガイド板36の後端側どうしの間から刈り刃ハウジング12の後部に流動して刈り草排出口19から刈り刃ハウジング12の後方に流出し、センタ回転刈り刃14によって切断された刈り草は、センタ回転刈り刃14によって発生した排出風によって搬送されて、かつ、センタ回転刃14によって持ち回りされることを傾斜ガイド板35によって防止されるとともに各ガイド板34,32,36及び傾斜ガイド板35によって流動案内されて刈り草排出口19から刈り刃ハウジング12の後方に排出される。このとき、刈り草排出口19から接地ソリ50の後方に位置する前車輪1の方向に向かって流出しようとする刈り草は、接地ソリ50のソリ板52、前取り付け板53、後取り付け板54に当たって前記前車輪1の両横側に分散するように流動案内されて前車輪1に付着しにくくなる。
【0030】
前記他方のサイド回転刈り刃15が起風羽根Fによって発生させた排出風は、前記後ガイド板37、前ガイド板32、後ガイド板39によって流動案内されて、かつ、後ガイド板37によってセンタ回転刈り刃14の方に漏れ出ることを抑制されてサイド回転刈り刃15の回転域Bをサイド回転刈り刃15の回転方向Aに回動するように流動し、この回転域Bの後部において傾斜ガイド板38と後ガイド板39によって刈り刃ハウジング後方向きに流動案内されて傾斜ガイド板38と後ガイド板39の後端側どうしの間から刈り刃ハウジング12の後部に流動して刈り草排出口19から刈り刃ハウジング12の後方に流出し、サイド回転刈り刃15によって切断された刈り草は、サイド回転刈り刃15によって発生した排出風によって搬送されて、かつ、サイド回転刈り刃15によって持ち回りされることを傾斜ガイド板38によって防止されるとともに後ガイド板37、前ガイド板32,後ガイド板39、傾斜ガイド板38によって案内されて刈り草排出口19から刈り刃ハウジング12の後方に排出される。
【0031】
図4,6に示すように、刈り刃ハウジング12の天板12aの後端部の上面側に、前記刈り草排出口19の刈り刃ハウジング横方向での全長にわたる車体横方向長さを備えた一枚の板金製カバー60を支持させ、この板金製カバー60の一端側の端部により、自走車体の左前車輪1よりも車体横外側に位置する左側の外カバー61を構成し、前記板金製カバー60の他端側の端部により、自走車体の右前車輪1よりも車体横外側に位置する右側の外カバー61を構成し、前記板金製カバー60の中間部により、自走車体の左前車輪1及び右前車輪1よりも車体横内側に位置する内カバー62を構成してある。
【0032】
図4,6に示すように、前記板金製カバー60の車体横方向での複数箇所に付設したカバー側連結ブラケット63と、天板12aの刈り刃ハウジング横方向での複数箇所に付設したハウジング側連結ブラケット64とを左右一対の連結軸65によって相対回転自在に連結し、板金製カバー60を、前記連結軸65の車体横向きの軸芯Xまわりで刈り刃ハウジング12に対して揺動昇降し、刈り刃ハウジング12から車体後方向きに延出した状態に刈り刃ハウジング12の天板後端部12dによって受け止め支持されて刈り刃ハウジング12の前記刈り草排出口19の後方上方を覆う下降作用姿勢と、この下降作用姿勢よりも上昇した上昇取り付け状態とに昇降するように構成してある。前記各連結軸65に装着したコイル形の巻きバネ66により、板金製カバー60を前記下降作用姿勢に揺動付勢してある。
【0033】
これにより、前記左右の外カバー61も、前記内カバー62も、車体側面視で前記軸芯Xまわりで刈り刃ハウジング12に対して上下揺動し、刈り刃ハウジング12から車体後方向きに延出して前記刈り草排出口19の後方上方を覆う下降作用姿勢と、この下降作用姿勢よりも上昇した上昇退避状態とに昇降するようになり、かつ、前記巻きバネ66によって下降作用姿勢に揺動付勢されるようになっている。
【0034】
前記左右の後接地ローラ17において、図9,10に示すように、後接地ローラ17が左右一対の支持アーム部67aに回転自在に連結されたローラ支持体67の基端側を、刈り刃ハウジング12の後端部に固定された取り付けブラケット68に連結軸69を介して回動自在に連結し、後接地ローラ17を、連結軸69の刈り刃ハウジング横向き軸芯Yのまわりで刈り刃ハウジング12に対して揺動操作して、ローラ支持体67の支持アーム部67aが取り付けブラケット68から下方向きに延出した状態になって後接地ローラ17の下部が地面上に接地する下降使用状態と、この下降使用状態よりも上昇した上昇退避状態とに昇降するように構成してある。ローラ支持体67の一方の支持アーム部67aとブラケット70にわたって摺動操作自在に支持させてあるロックピン71をロックバネ72によって摺動操作させて、ロックピン71の先端側を取り付けブラケット68のピン孔68aに挿入することにより、後接地ローラ17を下降使用状態に固定することができるように構成してある。
【0035】
つまり、草刈り装置10を下降作業状態にすると、左右の外カバー61、及び内カバー62が巻きバネ66による揺動付勢のために下降作用姿勢になり、刈り刃ハウジング12の刈り草排出口19から左前車輪1や右前車輪1よりも車体横外側に排出された刈り草が外カバー61に当たって車体下方向きに飛んで地面上に落下するように飛散規制され、刈り刃ハウジング12の刈り草排出口19から左右前輪1の間に排出された刈り草が内カバー62に当たって車体下方向きに飛んで地面上に落下するように飛散規制され、草刈り装置10からの刈り草を車体横外側の広範囲に飛散しにくくするとともに車体下部のミッションケース5などに付着しにくくしながら作業を行うことができるようになっている。
【0036】
また、草刈り装置10の刈り刃ハウジング内の清掃や点検などを行う際、図8に示すように、左右の支持アーム41の姿勢規制具45による刈り刃ハウジング12への連結を解除した状態にしてリンク機構40を上昇操作し、これによる草刈り装置10の上昇操作と、草刈り装置10の自重による支持アーム41に対する回動とにより、刈り刃ハウジング12を内部が車体前方向きに開放して地面上に立った状態にする。このとき、左右の後接地ローラ17の前記ロックピン71を取り付けブラケット68のピン孔68aから抜き外すとともに、ロックピン71のバネ受け片73を支持する支持ピン74をブラケット70の切り欠き70a(図10参照)に係入させてロックピン71をロック解除状態に保持することにより、左右の後接地ローラ17の下降作用姿勢でのロックを解除しておく。すると、草刈り装置10が上昇操作されて支持アーム41に対して揺動していくに伴い、左右の後接地ローラ17が接地反力によって軸芯Yまわりで刈り刃ハウジング12に対して揺動上昇していく。これとともに左右の外カバー61も、内カバー62も接地反力によって軸芯Xまわりで刈り刃ハウジング12に対して揺動上昇していき、刈り刃ハウジング12が後接地ローラ17、外カバー61、内カバー62による起立障害を受けず、地面上に直立又はこれに近い状態になって立つ。
【0037】
尚、図8などに示すロックピン77は、草刈り装置10を地面上に起立させた際、連結フレーム10aを支持アーム41に対して回動ロックすることにより、草刈り装置10を支持アーム41に対して回動ロックするものである。
【0038】
図4などに示すように、前記板金製カバー60の左右前輪1に対向する部位に、板金製カバー60と前車輪1の干渉を避ける凹入部60aを設けてある。これにより、外カバー61と内カバー62を一枚の板金製カバー60によって構成しながら、草刈機の全長が極力短くなるように草刈り装置10を前車輪1に極力接近させて連結することが可能になっている。
【0039】
図4,10に示すように、前記左右の後接地ローラ17の前記ローラ支持体67の一方の支持アーム部67aにプロテクタ76を付設してある。このプロテクタ76は、後接地ローラ17と前車輪1の間に防塞を形成するように構成してある。また、このプロテクタ76は、草刈り装置10が図8に示す如く地面上に立ち上げ操作される際、刈り刃ハウジング12の起立障害にならないように後接地ローラ17と共に刈り刃ハウジング12に対して揺動上昇する。
【0040】
〔別実施例〕
本発明は、上記実施例の如く草刈り装置を自走車体の前部に設けた草刈機の他、草刈機を自走車体の前後輪間に設けた草刈機にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】乗用型草刈機の全体側面図
【図2】乗用型草刈機の全体平面図
【図3】リンク機構及び草刈機の側面図
【図4】草刈機の平面図
【図5】草刈機の底面図
【図6】接地ソリの側面図
【図7】草刈機の底面側を示す斜視図
【図8】草刈機の起立操作状態を示す側面図
【図9】(イ)は、後接地ローラの下降作用姿勢ロック状態での側面図、(ロ)は、後接地ローラの対刈り刃ハウジング上昇状態での側面図
【図10】後接地ローラ配設部の平面図
【符号の説明】
【0042】
1 車輪
12 刈り刃ハウジング
13,14,15 刈り刃
19 刈り草排出口
35 傾斜ガイド板
50 接地ソリ
52 ソリ板
53 前取り付け板
54 後取り付け板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈り刃ハウジング横方向に並ぶ複数の刈り刃を刈り刃ハウジング上下向き軸芯まわりで駆動回動自在に備えたリヤディスチャージ型の草刈り装置を自走車体に連結した草刈機であって、
前記刈り刃からの刈り草を前記刈り刃ハウジングの刈り草排出口に向けて流動案内するとともに刈り刃ハウジング前後向きに対して傾斜した傾斜ガイド板を設け、
刈り刃ハウジング後端部の刈り刃ハウジング横方向での中間部で、前記傾斜ガイド板の後方に位置し、かつ前記自走車体の車輪の前方に位置する部位に、接地ソリを設けてある草刈機。
【請求項2】
前記接地ソリは、ソリ板、前記ソリ板の前端側を刈り刃ハウジングに連結する前取り付け板、ソリ板の後端側を刈り刃ハウジングに連結する後取り付け板を備えて構成してある請求項1記載の草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−185129(P2007−185129A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4927(P2006−4927)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】