説明

荷受台昇降装置

【課題】格納時の荷受台の変形を抑制することができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】車両の荷台3に対する荷物の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置4において、車両の下部に取り付けたガイドレール8と、ガイドレール8に沿って走行可能なスライダ9と、スライダ9に連結されたアーム17−19と、アーム17−19に連結された荷受台5と、アーム17−19を駆動して荷受台5を昇降させるリフトシリンダ20と、油圧ポンプ29と、油圧ポンプ29からリフトシリンダ20への圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁32,34と、油圧ポンプ29の吐出管路29aの圧油の最大値を規定するメインリリーフ弁36と、吐出管路29aの圧油の最大値をメインリリーフ弁36のリリーフ圧よりも低い値に規定するサブリリーフ弁73と、サブリリーフ弁73への圧油の流れを連通又は遮断する切換弁72とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置とは、車両の荷台床面高さと地面高さとの間で荷受台を昇降させ、車両の荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援するものである。荷受台昇降装置の中には、荷役作業時の位置よりも前方に荷受台をスライドさせて車枠の下部に格納することができるものがある。この種の荷受台昇降装置では、車枠の下部に荷受台を格納するとき、当該装置に備えられたガイドローラに予め荷受台を立て掛けておいて操作装置で格納動作を指示すると、荷受台がほぼ水平になるところまでリフトシリンダで荷受台を上昇させた後、スライドシリンダで荷受台を前方にスライドさせて車枠の下部に引き込むようになっている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−24116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、荷受台の格納動作で荷受台を車枠の下部に引き込む際、所定の格納位置まで荷受台が前進したことをセンサで検出したら再度リフトシリンダに圧力をかけ、荷受台のスライド動作をガイドするレールに設けたパッドに荷受台を押し付けて固定する。これによって、格納姿勢時の荷受台のガタツキを抑制し、荷受台の格納姿勢を安定させている。このとき、荷受台は、パッドに対して当該荷受台を昇降させるアームによって下から押し付けられた状態となる。
【0005】
しかしながら、パッドと荷受台との接触圧力が必要以上に強いと、格納姿勢時に荷受台が弾性変形を起こし、例えば車両後方から見て荷受台に反りが発生し得る。こうした荷受台の格納時の変形は、使用上別段問題にならなくても外観上好ましくなく、また操作者の不安を招きかねない。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたものであって、格納時の荷受台の変形を抑制することができる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、車両の荷台に対する荷物の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置において、前記車両の下部に取り付けたガイドレールと、このガイドレールに沿って走行可能なスライダと、このスライダに連結されたアームと、このアームに連結された荷受台と、前記アームを駆動して前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、油圧ポンプと、この油圧ポンプから前記リフトシリンダへの圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁と、前記油圧ポンプの吐出管路の圧油の最大値を規定するメインリリーフ弁と、前記吐出管路の圧油の最大値を前記メインリリーフ弁のリリーフ圧よりも低い値に規定するサブリリーフ弁と、このサブリリーフ弁への圧油の流れを連通又は遮断する切換弁とを備えていることを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記スライダを前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、前記スライダが格納位置にあることを検出する格納センサと、前記油圧ポンプから前記スライドシリンダへの圧油の流れを制御するスライドシリンダ用制御弁と、前記リフトシリンダ用制御弁、前記スライドシリンダ用制御弁及び前記切換弁を制御する制御装置とを備え、前記荷受台の格納動作時、前記制御装置は、前記格納センサからの信号を基に前記スライダが格納位置に到達したことを検知したら、前記切換弁を開放して前記リフトシリンダの回路の最大圧力を前記メインリリーフ弁のリリーフ圧から前記サブリリーフ弁のリリーフ圧に切り換え、前記スライドシリンダを停止させるとともに前記リフトシリンダを駆動して前記荷受台を格納姿勢に上昇させることを特徴とする。
【0009】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記スライダを前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、前記荷受台の角度を検出するゲートセンサと、前記スライダが格納位置にあることを検出する格納センサと、前記油圧ポンプから前記スライドシリンダへの圧油の流れを制御するスライドシリンダ用制御弁と、前記リフトシリンダ用制御弁、前記スライドシリンダ用制御弁及び前記切換弁を制御する制御装置とを備え、前記荷受台の格納動作時、前記制御装置は、前記リフトシリンダ用制御弁に指令して前記アームを上方に回動させ、前記ゲートセンサからの信号を基に前記アームが所定角度になったことを検知したら、前記リフトシリンダを停止させるとともに前記スライドシリンダ用制御弁に指令し、前記スライダを前進させて前記荷受台を前記車両の下部に移動させ、前記格納センサからの信号を基に前記スライダが格納位置に到達したことを検知したら、前記切換弁を開放して前記リフトシリンダの回路の最大圧力を前記メインリリーフ弁のリリーフ圧から前記サブリリーフ弁のリリーフ圧に切り換え、前記スライドシリンダを停止させるとともに前記リフトシリンダを駆動して前記荷受台を格納姿勢に上昇させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、格納時の荷受台の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置の詳細構造を表す斜視図であって、荷受台を格納した状態を表している。
【図3】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置の詳細構造を表す斜視図であって、荷受台を展開した状態を表している。
【図4】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた油圧駆動装置の一構成例を表す油圧回路図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置による荷受台の格納動作の制御手順を表したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図である。本願明細書においては、図1の左右を車両の前後とする。
【0014】
図1に示した車両は、車枠1と、車枠1の前方に設けた運転室2と、車枠1上に搭載した荷台3と、車枠1の下部後側に設けた格納式の荷受台昇降装置4とを備えている。この荷受台昇降装置4は、例えば走行運転時には荷受台5を折り畳んで車枠1の下部側に格納する一方、荷台3への荷物の積み下ろし作業時等には荷受台5を後方に引き出して展開し、荷台3の床面高さと地面高さとの間で昇降させ作業支援を行う。
【0015】
図2及び図3は荷受台昇降装置4の詳細構造を表す斜視図で、図2は荷受台5を格納した状態、図3は荷受台5を展開した状態を表している。
【0016】
図2及び図3に示したように、荷受台昇降装置4は、荷物を積載する上記の荷受台(プラットフォーム)5と、荷受台5等を前後方向に移動させるスライド駆動部6と、荷受台5を昇降させる昇降駆動部7とを備えている。
【0017】
スライド駆動部6は、車枠1の下部後側に前後方向に延在するように取り付けた左右一対のガイドレール8と、左右のガイドレール8にそれぞれ係合支持されガイドレール8に沿って走行可能な左右のスライダ9と、左右のスライダ9に装架した連結部材10と、連結部材10におけるスライダ9の外側に設けた左右のブラケット部11と、スライダ9の後方に突設した左右の支持フレーム13(図3参照)と、支持フレーム13の先端に設けられ格納及び展開の際に荷受台5が転接する支持ローラ12と、左右のスライダ9をガイドレール8に沿って前後に移動させる左右のスライドシリンダ14とを備えている。左右のスライドシリンダ14の伸縮駆動に伴ってスライダ9がガイドレール8に沿って移動し、スライダ9と一体となって連結部材10、ブラケット部11、支持フレーム13、支持ローラ12が前後方向にスライドする。このとき、左右のガイドレール8には、スライダ9の前後方向の移動範囲を制限する前後のストッパ(図示せず)と、スライダ9が後側ストッパに当接した位置(引き出し位置とする)にあるかどうかを検出する引出センサ15(後述の図5参照)と、スライダ9が前側ストッパに当接した位置(格納位置とする)にあるかどうかを検出する格納センサ16(後述の図5参照)が設けられている。これらセンサ15,16には例えば近接センサやリミットスイッチ等を用いることができる。
【0018】
昇降駆動部7は、上端部がブラケット部11に回動可能に連結された第1アーム(チルトアーム)17と、前端部が第1アーム17に後端部が荷受台5にそれぞれ回動可能に連結された第2アーム(リフトアーム)18と、前端部がブラケット部11に後端部が荷受台5にそれぞれ回動可能に連結された第3アーム(コンプレッションアーム)19と、ロッド側が第1アーム17の下端部にボトム側が第2アーム18にそれぞれ回動可能に連結されたリフトシリンダ20とをそれぞれ左右一対ずつ備えている。第2アーム18及び第3アーム19はスライダ9に対して荷受台5を昇降可能に連結する平行リンクを形成し、この平行リンクがリフトシリンダ20の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで荷受台5が水平姿勢を保って昇降する。
【0019】
荷受台5は、上記昇降駆動部7に支持された荷受台基端部21と、荷受台基端部21にヒンジ22を介し回動可能に連結された荷受台本体部23と、荷受台本体部23にヒンジ24を介し回動可能に連結された荷受台先端部25とを備えている。ヒンジ22は、両端が荷受台基端部21及び荷受台本体部23の上面近傍にそれぞれピン(図示せず)を介し回動可能に連結されており、荷受台基端部21に対する荷受台本体部23の回動機構が、ヒンジ22を介する二重関節構造となっている。同様に、ヒンジ24は、両端が荷受台本体部23及び荷受台先端部25の上面近傍にそれぞれピン(図示せず)を介し回動可能に連結されており、荷受台本体部23に対する荷受台先端部25の回動機構が、ヒンジ24を介する二重関節構造となっている。荷受台本体部23及び荷受台先端部25は、それぞれ展開状態から上方に回動して折り重ねられる。
【0020】
このとき、図2及び図3には図示していないが、荷受台基端部21と荷受台本体部23を連結するヒンジ22には、荷受台5の角度(開閉状態)を検出し荷受台5が格納動作中か否かを検出するゲートセンサ56(図5参照)が設けられている。このゲートセンサ56には、ヒンジ22の荷受台基端部21に対する角度を検出する角度センサを用いることができる。
【0021】
前述したようにヒンジ22は二重関節構造であるため、荷受台本体部23を荷受台基端部21に折り重ねる際、荷受台本体部23がヒンジ24に対して90度回動した後、ヒンジ24が荷受台本体部23に拘束されて荷受台基端部21に対して回動し始め、最終的に荷受台本体部23と荷受台基端部21の互いの荷受面が対向する。したがって、作業後に実際に荷受台5を格納する際には、後述するように荷受台先端部25及び荷受台本体部23を折り畳んで支持ローラ12に立て掛けた状態でリフトアーム18を上昇させるが、この時点ではヒンジ22の荷受台基端部21に対する角度は90度に到達していない。荷受台5が展開しているときの荷受台基端部21に対するヒンジ22の角度を0(ゼロ)、接地位置で支持ローラ12に荷受台本体部23を立て掛けた際の荷受台基端部21に対するヒンジ24の角度をα(0<α<90°)とした場合、ゲートセンサ56は、荷受台基端部21に対するヒンジ22の角度が設定角度β(α<β<90°)以上のときに検出信号を出力するように設定されている。ヒンジ22の角度が設定角度βのとき、リフトアーム18の角度は、荷受台5が設置した状態の角度から水平までの間の角度となり、リフトアーム18は、荷受台5が地面から浮いた状態で後方に向かって下り傾斜の姿勢となる。すなわち、設定角度βは、格納動作時においてリフトアーム18が上昇途中にある角度である。
【0022】
また、スライド駆動部6のブラケット部11の左端部には前出のスライドシリンダ14及びリフトシリンダ20を駆動するための油圧駆動装置(パワーユニット)26が、右端部には荷受台昇降装置4を操作するための荷台外側操作装置27(図2及び図3中にスイッチボックスのみ図示、詳細は後述)が、それぞれ設けられている。
【0023】
図4は油圧駆動装置26の一構成例を表す油圧回路図である。
【0024】
この図4において、油圧駆動装置26は、電動モータ28と、電動モータ28によって駆動される油圧ポンプ29と、油圧ポンプ29の吸込側に設けたオイルタンク30と、油圧ポンプ29の吐出管路29aの圧油をリフトシリンダ20に供給する圧油供給通路31と、圧油供給通路31の流れを連通又は遮断する上げ動作用制御弁32と、圧油供給通路31における上げ動作用制御弁32の下流側から分岐してオイルタンク30に接続する圧油戻し通路33と、圧油戻し通路33の流れを連通又は遮断する下げ動作用制御弁34と、下げ動作用制御弁34の下流側に設けた流量制御弁35と、油圧ポンプ29の吐出圧の最大値を規定するメインリリーフ弁36と、電動モータ28とバッテリ(図示せず)との間に介設したコンダクタリレー37とを備えている。本実施形態では、上げ動作用制御弁32と下げ動作用制御弁34が、油圧ポンプ29からリフトシリンダ20への圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁を構成する。
【0025】
例えば、荷役動作又は格納動作における荷受台5の上げ動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37のコイル37aに通電されて通常開き状態の接点37bが閉じ、接点37bを介してバッテリから電動モータ28に給電され油圧ポンプ29が駆動する。同時に、上げ動作用制御弁32のソレノイド部32aに駆動指令信号が入力され、上げ動作用制御弁32が図4中左側の連通位置に切換わる。このとき、下げ動作用制御弁34は図4中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路31を介しリフトシリンダ20のボトム側に供給され、リフトシリンダ20が伸長し、荷受台5が上昇する。
【0026】
一方、荷役動作又は展開動作における荷受台5の下げ動作時には、無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って接点37bが開き、電動モータ28及び油圧ポンプ29が停止するとともに、上げ動作用制御弁32が図4中右側の遮断位置になる。同時に、下げ動作用制御弁34のソレノイド部34aに駆動指令信号が入力され、下げ動作用制御弁34が図4中上側の連通位置に切換わり、リフトシリンダ20のボトム側が圧油戻し通路33を介しオイルタンク30に連通し、荷受台5が自重で下降する。
【0027】
また、油圧駆動装置26は、油圧ポンプ29の吐出管路29aから分岐してスライドシリンダ14のロッド側に接続する圧油供給通路38と、圧油供給通路38に設けた絞り弁39及び逆止弁40と、圧油供給通路38から分岐してスライドシリンダ14のボトム側に接続する圧油供給通路41と、圧油供給通路41の流れを連通又は遮断する後退動作用制御弁42と、後退動作用制御弁42の下流側で圧油供給通路41から分岐してオイルタンク30に接した圧油戻し通路43と、圧油戻し通路43の流れを連通又は遮断する前進動作用制御弁44とを備えている。本実施形態では、後退動作用制御弁42と前進動作用制御弁44が、油圧ポンプ29からスライドシリンダ14への圧油の流れを制御するスライドシリンダ用制御弁を構成する。
【0028】
例えば、展開動作における荷受台5のスライド動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37の接点37bが閉じて電動モータ28及び油圧ポンプ29が駆動し、同時に後退動作用制御弁42のソレノイド部42aに駆動指令信号が入力され、後退動作用制御弁42が図4中上側の連通位置に切換わる。このとき、前進動作用制御弁44は図4中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路41を介しスライドシリンダ14のボトム側に供給され、ロッド側との受圧面積差によってスライドシリンダ14が伸長方向に駆動し、荷受台5等が後方にスライドする。
【0029】
一方、格納動作における荷受台5のスライド動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37の接点37bが閉じて電動モータ28及び油圧ポンプ29が駆動し、同時に前進動作用制御弁44のソレノイド部44aに駆動指令信号が入力され、前進動作用制御弁44が図4中上側の連通位置に切換わる。このとき、後退動作用制御弁42は図4中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路38を介しスライドシリンダ14のロッド側に供給され、スライドシリンダ14のボトム側からの圧油が圧油戻し通路43を介してオイルタンク30に流出する。この結果、スライドシリンダ14が縮短方向に駆動し、荷受台5等が前方にスライドする。
【0030】
なお、スライダ9が後端位置にある状態で荷受台5を昇降させるため、リフトシリンダ20を伸長させる間、後退動作用制御弁42を連通位置に切換えてスライダ9を既述した後側ストッパに押し付けるように構成することもできる。また、荷受台5の下降時も油圧ポンプ29を駆動し、後退動作用制御弁42のボトム側に圧油を供給して、スライダ9を後端位置に付勢するように構成することもできる。また、荷受台5の後方スライド時に瞬間的に前進動作用制御弁44を連通位置に切換え、スライドシリンダ14を圧抜きするように構成することもできる。
【0031】
なお、本実施形態においては、絞り弁39の間で吐出管路29aから分岐して圧油戻し通路43に接続したバイパス通路71を有しており、このバイパス通路71に、サブリリーフ弁73と切換弁72とを設けている。切換弁72は、そのソレノイド駆動部72aへの駆動信号によって切り換えポジションが連通位置(図中上側の位置)又は遮断位置(図中下側の位置)に切り換わり、その切り換えポジションによってサブリリーフ弁73への圧油の流れを連通又は遮断する。切換弁72はサブリリーフ弁73の上流側に設けているが、下流側に設けても良い。サブリリーフ弁73は、そのリリーフ圧(例えば6MPa程度)がメインリリーフ弁36のリリーフ圧(例えば20MPa程度)よりも低く設定してあり、切換弁72が連通位置に切り換わって吐出管路29aに接続した際には、吐出管路29aの圧油の最大値をメインリリーフ弁36のリリーフ圧よりも低い値に規定する。
【0032】
図5は荷受台昇降装置に備えられた制御装置の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。
【0033】
図5において、荷受台5が後端位置にあるかどうかを検出する引出センサ15と、荷受台5の格納動作に入ったことを検出するゲートセンサ56と、折り畳まれた荷受台5がスライド可能な格納位置にあるかどうかを検出する格納センサ16と、本荷受台昇降装置4に対する操作信号を有線出力する荷台外側操作装置27と、車両1側(又はパワーユニット26内)に設けた制御装置45と、本荷受台昇降装置4に対する操作信号を無線出力する携帯可能な無線操作装置(リモコン)46とが設けられている。制御装置45は、荷受台昇降装置4の電源(バッテリ)57に電源スイッチ58を介して接続しており、電源スイッチ58によって制御装置45の電源の入り切りが切り換えられる。電源スイッチ58は例えば車両1の運転室2内或いはパワーユニット26等に設置することができる。
【0034】
荷台外側操作装置27は、例えば、押しボタン式の上げ動作スイッチ47A及び下げ動作スイッチ47Bを備えたペンダント操作方式のものであり、上げ動作スイッチ47A又は下げ動作スイッチ47Bの操作に応じた操作信号を制御装置45にケーブル等を介して出力する。
【0035】
無線操作装置46は、押しボタン式の上げ動作スイッチ48A、下げ動作スイッチ48B及び電源スイッチ48Cと、動作スイッチ48A又は48BのON・OFF状態等のシリアルデータを生成し、このシリアルデータを無線信号として送信する送信部49とを備えている。勿論、運転室2や荷台3の中等、任意の場所に保管しておくこともできる。
【0036】
制御装置45は、引出センサ15、格納センサ16及びゲートセンサ56からの検出信号、荷台外側操作装置27からの操作信号を入力する入力部50と、無線操作装置46からの無線操作信号を受信する受信部(入力部)51と、制御プログラム(例えばシーケンス制御やタイマ制御等に基づいたプログラム)を記憶した記憶部(メモリ)52と、この記憶部52に記憶された制御プログラムに従って演算処理を実行しシリンダ14,20の動作を指示する指令信号等を生成する演算部(CPU)53と、この演算部53で生成した指令信号を各制御弁32,34,42,44,72のソレノイド部32a,34a,42a,44a,72aやコンダクタリレー37に適宜出力する出力部54とを備えている。
【0037】
続いて荷受台昇降装置4の動作を説明する。
【0038】
例えば車両1の下部に格納された状態の荷受台5を使用する場合、制御装置45の電源スイッチ58を入れ、無線操作装置46の下げ動作スイッチ48B又は荷台外側操作装置27の下げ動作スイッチ47Bを押せば、スイッチ操作をしている間、制御装置45を介してスライドシリンダ14の伸長指令がなされて荷受台5が格納位置から後方に移動する。荷受台5が後端位置まで引き出されたことが引出センサ15で検出された後、さらにスイッチ48B又は47Bを押すと、制御装置45からの指令信号がリフトシリンダ20の縮退指令に切り換わり、荷受台5が接地位置まで下降する。荷受台5が接地位置まで下降したら、荷受台5を展開し、無線操作装置46又は荷台外側操作装置27の上げ動作スイッチ及び下げ動作スイッチを適宜操作することにより、荷受台5を昇降させて荷役作業の支援に利用することができる。
【0039】
なお、展開動作は、荷受台5の引き出し→荷受台5の下降の二段階の動作としたが、以下に説明する格納動作の逆動作としても良い。
【0040】
図6は制御装置45による荷受台5の格納動作の制御手順を表したフローチャートである。
【0041】
(ステップ101−104)
例えば荷役作業終了後に車両1の下部に荷受台5を格納する場合、まず荷受台5を折り畳んで支持ローラ12に立て掛け(ステップ101)、操作装置27又は46の上げ動作スイッチ47A又は48Aを押す。制御装置45は、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断し(ステップ102)、操作信号が入力された場合にはリフトシリンダ20の伸長指令を出力して荷受台5を上昇させ(ステップ103)、操作信号の入力がない場合にはステップ102を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の上昇中には、荷受台5(のヒンジ22)の角度が前述した設定角度βに達したかどうかをゲートセンサ56の信号を基に判定する(ステップ104)。ゲートセンサ56の信号がOFFで荷受台5の角度がβに達しない間は、ステップ102−104の手順を繰り返し、上げ動作スイッチ47A又は48Aが操作されている間だけ荷受台5を上昇させ、操作が解除された場合には停止させる。
【0042】
(ステップ104−107)
荷受台3が上昇するうちにゲートセンサ56からの検出信号が入力され、ステップ104において格納動作中であることを認識したら、制御装置45は、さらに上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断し(ステップ105)、操作信号が入力された場合にはスライドシリンダ14の縮退指令を出力してスライダ9を荷受台5とともに前進させ(ステップ106)、操作信号の入力がない場合にはステップ105を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の前進中には、スライダ9が格納位置に達したかどうかを格納センサ16の信号を基に判定する(ステップ107)。格納センサ16の信号がOFFでスライダ9が格納に達しない間は、ステップ105−107の手順を繰り返し、上げ動作スイッチ47A又は48Aが操作されている間だけスライダ9を前進させ、操作が解除された場合には停止させる。
【0043】
(ステップ107−112)
スライダ9が前進するうちに格納センサ16からの検出信号が入力され、ステップ107においてスライダ9が格納位置に達したことを認識したら、制御装置45は、スライドシリンダ14を停止させるとともに、切換弁72を連通位置に切り換えて油圧回路のリリーフ圧をサブリリーフ弁73による低圧リリーフ圧に切り換える(ステップ108)。その後、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断し(ステップ109)、操作信号が入力された場合にはリフトシリンダ20の伸長指令を出力して荷受台5を上昇させ(ステップ110)、操作信号の入力がない場合にはステップ109を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の再上昇を開始する際、この時点でリリーフ圧がサブリリーフ圧によるリリーフ圧に厳密に低下しきっていることは問われず、回路的にサブリリーフ弁73が作動し得る状態に切り換わっていれば良い。或いは、タイミングの誤差で、荷受台5の再上昇がリリーフ弁の切り換えよりも遅れる場合もあり得るが、荷受台5が症状仕切るまでにサブリリーフ弁73が作動し得る状態になっていれば良い。
【0044】
荷受台5の上昇中には、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作が停止したかどうかを判定し(ステップ111)、操作信号が入力されている間はステップ110−111の手順を繰り返してリフトシリンダ20のボトム側に圧油を送り続け、例えば荷受台5が上昇しきって操作者が上げ動作スイッチ47A又は48Aから指を離したら、荷受台5の上昇動作(リフトシリンダ20のボトム側への圧油の供給)を停止させる(ステップ112)。特に図示していないが、格納位置において荷受台5が上昇しきった位置にはガイドレール8にパッドが設けられていて、荷受台5はこのパッドに下から押し付けられてガタツキが抑制される。
【0045】
(ステップ113−114)
荷受台5の上昇停止後は、制御装置45の電源が切られる前に上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作がないかどうかを判定し(ステップ113)、もし操作があればステップ110に手順を戻してリフトシリンダ20のボトム側に圧油を供給する。操作がない場合は電源が切られたかどうかを判定し(ステップ114)、切られない間はステップ113に手順を戻して待機し、切られた場合は図6の手順を終了する。
【0046】
以上、本実施形態によれば、格納動作時に最終的に荷受台5をパッドに押し付ける際、油圧回路のリリーフ圧がサブリリーフ弁73のリリーフ圧に下がるので、パッドと荷受台5との接触圧力はサブリリーフ弁73のリリーフ圧で制限される。したがって、パッドと荷受台5との接触圧力が、メインリリーフ弁36による通常のリリーフ圧付近まで上昇することがなく、パッドとの接触による荷受台5の弾性変形を外観上目立たない程度に抑えることができ、なおかつ、一定圧力で荷受台5をパッドに押し付けることができるので、格納位置における荷受台5のガタツキも抑えることができる。また、普段の運用において荷受台5の余計な弾性変形を繰り返すことがないので、装置の短命化の抑制にも繋がる。
【0047】
なお、本実施形態では、ゲートセンサ56と格納センサ16の2種のセンサが配された構成としたが、ゲートセンサ56を用いない構成にも用いることができる。例えば、作業者の目視によってスライド可能な位置まで上昇された荷受台5が格納センサ16で検知される構成でも良い。また、荷受台を車枠の下部に格納する荷受台昇降装置を適用対象とするが、この種の荷受台昇降装置には、車枠の下部に格納する格納姿勢の他、荷受台を荷台の後部に起立させた格納姿勢を選択することができるものも存在する。本実施形態は、このような複数の格納姿勢を採用する種の荷受台昇降装置であっても、荷受台を車枠の下部に格納する際に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 車枠
3 荷台
4 荷受台昇降装置
5 荷受台
8 ガイドレール
9 スライダ
14 スライドシリンダ
16 格納センサ
17 第1アーム(アーム)
18 第2アーム(アーム)
19 第3アーム(アーム)
20 リフトシリンダ
29 油圧ポンプ
29a 吐出管路
32 上げ動作用制御弁(リフトシリンダ用制御弁)
34 下げ動作用制御弁(リフトシリンダ用制御弁)
36 メインリリーフ弁
42 後退動作用制御弁(スライドシリンダ用制御弁)
44 前進動作用制御弁(スライドシリンダ用制御弁)
45 制御装置
56 ゲートセンサ
72 切換弁
73 サブリリーフ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に対する荷物の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置において、
前記車両の下部に取り付けたガイドレールと、
このガイドレールに沿って走行可能なスライダと、
このスライダに連結されたアームと、
このアームに連結された荷受台と、
前記アームを駆動して前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、
油圧ポンプと、
この油圧ポンプから前記リフトシリンダへの圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁と、
前記油圧ポンプの吐出管路の圧油の最大値を規定するメインリリーフ弁と、
前記吐出管路の圧油の最大値を前記メインリリーフ弁のリリーフ圧よりも低い値に規定するサブリリーフ弁と、
このサブリリーフ弁への圧油の流れを連通又は遮断する切換弁と
を備えていることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記スライダを前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、
前記スライダが格納位置にあることを検出する格納センサと、
前記油圧ポンプから前記スライドシリンダへの圧油の流れを制御するスライドシリンダ用制御弁と、
前記リフトシリンダ用制御弁、前記スライドシリンダ用制御弁及び前記切換弁を制御する制御装置とを備え、
前記荷受台の格納動作時、前記制御装置は、
前記格納センサからの信号を基に前記スライダが格納位置に到達したことを検知したら、前記切換弁を開放して前記リフトシリンダの回路の最大圧力を前記メインリリーフ弁のリリーフ圧から前記サブリリーフ弁のリリーフ圧に切り換え、前記スライドシリンダを停止させるとともに前記リフトシリンダを駆動して前記荷受台を格納姿勢に上昇させる
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記スライダを前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、
前記荷受台の角度を検出するゲートセンサと、
前記スライダが格納位置にあることを検出する格納センサと、
前記油圧ポンプから前記スライドシリンダへの圧油の流れを制御するスライドシリンダ用制御弁と、
前記リフトシリンダ用制御弁、前記スライドシリンダ用制御弁及び前記切換弁を制御する制御装置とを備え、
前記荷受台の格納動作時、前記制御装置は、
前記リフトシリンダ用制御弁に指令して前記アームを上方に回動させ、
前記ゲートセンサからの信号を基に前記アームが所定角度になったことを検知したら、前記リフトシリンダを停止させるとともに前記スライドシリンダ用制御弁に指令し、前記スライダを前進させて前記荷受台を前記車両の下部に移動させ、
前記格納センサからの信号を基に前記スライダが格納位置に到達したことを検知したら、前記切換弁を開放して前記リフトシリンダの回路の最大圧力を前記メインリリーフ弁のリリーフ圧から前記サブリリーフ弁のリリーフ圧に切り換え、前記スライドシリンダを停止させるとともに前記リフトシリンダを駆動して前記荷受台を格納姿勢に上昇させる
ことを特徴とする荷受台昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−136170(P2012−136170A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290548(P2010−290548)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】