説明

荷物所在管理装置

【課題】
RFID等の識別体を用いた倉庫内での荷物の位置把握手法は、通路に識別体を配置する必要があるため、特に管理対象の面積が大きくなると識別体の設置個数が膨大となるほか、フォークリフト等で識別体が踏まれる等により、識別体が破壊される可能性が高い。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明では、荷物所在管理装置に、GPSや無線LAN測位、赤外線測位などの測位技術を用い、フォークリフトなどの位置を測位し、さらにフォークリフトに搭載している荷物を、RFIDタグなどの近接したIDを読み取る技術により判別することにより、荷物の位置を搭載されたフォークリフトの位置と同一と見なし算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
物流荷物等の倉庫や保管場での所在を管理するための技術に関する
【背景技術】
【0002】
現在、製品の製造や物流分野において、その効率化や荷物の所在管理が行われている。特に、荷物とその搬送手段(ないし搬送機器、もしくは輸送手段)との位置(関係)を把握することは、効率化や正確な物流等の実現に有用なものとなる。このようなこれらの位置関係を把握するための技術として、特許文献1がある。
【0003】
特許文献1に記載されている倉庫における荷物管理システムでは、倉庫の床面の全面に、倉庫における位置を示す情報を有する複数の識別体を所定の間隔をおいて配置し、当該識別体は、荷物の置場に配置されて荷物の位置を識別するための第1の識別体と、フォークリフトの通路に配置されてフォークリフトの位置を識別するための第2の識別体とからなり、管理装置は、第1の識別体の有する情報に基づいて荷物の位置を管理するとともに、フォークリフトにより検出される第2の識別体の有する情報に基づいてフォークリフトの位置を管理する。フォークリフトが出庫または入庫を指示された荷物の置場に正確に移動しているか否かがわかり、荷物の置き違いや取り違いを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−210429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、通路に識別体を配置する必要があるため、特に管理対象の面積が大きくなると識別体の設置個数が膨大となるほか、フォークリフト等で識別体が踏まれる等により、識別体が破壊される可能性が高い。
【0006】
本発明の目的は、識別体を利用することによる位置把握による設置個数と識別体の破壊という問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、管理対象である物品(荷物)のRFIDから情報(IDなど)を読み取るリーダと搬送手段を対応付けておき、この搬送手段の位置を所定の測位技術で測位し、物品(荷物)のRFIDタグからIDを読み取った場合、読み取ったリーダと対応付けられた輸送手段の位置を当該物品の位置として特定する。この際、リーダと搬送手段の対応関係としては、搬送手段にリーダを設置されていることや搬送手段の運転手がリーダを保持していることが含まれる。さらに、本発明には、リーダ(もしくはリーダを制御する荷物所在管理コンピュータ)を搬送手段毎に儲け、当該リーダを制御する荷物所在管理コンピュータでは、当該搬送手段を識別する搬送手段IDをRFIDから読み取った情報を対応付けて記録することも含まれる。また、本発明には、保管位置などに設置されたRFIDタグからその位置を識別する位置IDを読取った場合、当該保管位置に保管されたと判断して、管理データを更新することも含まれる。
【0008】
また、本発明には、以下の態様も含まれる。荷物所在管理装置に、GPSや無線LAN測位、赤外線測位などの測位技術を用い、フォークリフトなどの位置を測位し、さらにフォークリフトに搭載している荷物を、RFIDタグなどの近接したIDを読み取る技術により判別することにより、荷物の位置を搭載されたフォークリフトの位置として算出する。
【0009】
これは、荷物に添付され荷物のIDを識別する荷物タグと、前記荷物を搬送する搬送機器に設置され、搬送機器で搬送中の荷物の荷物タグから荷物のIDを読み取る荷物タグ読取手段と、前記搬送機器に設置され、搬送機器の位置を測位する測位手段と、前記タグ読取装置による荷物タグの読取状況から荷物をおいたことを検知する配置検知手段と、前記タグ読取装置による荷物タグの読取状況から荷物を前記搬送機器に搭載中であることを検知する搭載検知手段と、前記搭載検知手段にて搭載中と判定された荷物の位置を前記測位装置で計測された位置とし、前記配置検知手段でおいたことを検知された荷物の位置を、おいた時に前記測位装置で計測された位置と判定する荷物位置判定手段とを備える。
【0010】
また、測位技術を使用することによる精度の低下を防止するため、精度が不要な移動中は測位技術、精度が必要な格納時には棚や床に設置した位置識別子(位置タグ)を使用と適切に切り替えて使用する。
【0011】
これは、棚や床面に添付され位置を識別する位置タグと、前記荷物を搬送する搬送機器に設置され、搬送機器が存在する位置の位置タグから位置を読み取る位置タグ読取手段とを備え、前記荷物位置判定手段において、前記搭載検知手段にて搭載中と判定された荷物の位置を前記測位装置で計測された位置とし、前記配置検知手段でおいたことを検知された荷物の位置を、おいた時に前記位置タグ読取装置で計測された位置とを備えることで実現する。
【0012】
また、GPS等の測位技術による計測をなるべく少なくし、位置タグを最大限活用して精度を向上するために、位置タグが読み取れている間は位置タグの位置をフォークリフト、荷物の位置とする。
これは、請求項3に記載の、前記荷物位置判定手段において、さらに、前記搭載検知手段にて搭載中と判定しても、前記位置タグ読取手段で位置が計測されている場合は、前記位置タグ読取手段で計測した位置を、前記搭載検知手段で搭載中と判定した荷物の位置とすることで実現する。
【0013】
また、位置タグと荷物タグは、識別子を格納する媒体であり、共にRFIDにするなど共通の媒体で実現可能である。共通媒体化により、読取手段を共通化できコスト削減を図れる。この際、位置タグと荷物タグのどちらのタグかを読取り後に分別する必要がある。
【0014】
これは、前記荷物タグ読取手段と前記位置タグ読取手段のかわりに、前記荷物タグと前記位置タグの両方を読み取れるタグ読取手段と
タグから読取るIDによって荷物と位置を分別するID分別手段を備えることにより実現する。
【0015】
RFID等の機器は、常に100%の読取精度が保証されるわけではなく、読取ミスが発生することがある。そういう状態においても配置検知手段の精度を保つ必要がある。
【0016】
これは、前記位置タグ読取装置と前記配置検知手段において、一定時間もしくは一定の読取回数の間、一度も荷物が読まれないことを条件に、物がおかれたと判定することにより実現する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、識別体の設置個数の増大や、識別体の破壊という問題を解決し、従来に比較して、低コスト、低保守コストで搬送手段で輸送される物品の位置把握が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における全体構成図である
【図2】本発明の一実施形態における倉庫業務への適用イメージである
【図3】本発明の一実施形態における搭載検知手段の処理フローである
【図4】本発明の一実施形態における配置検知手段の処理フローである
【図5】本発明の一実施形態における配置検知手段の処理フローである
【図6】本発明の一実施形態における荷物位置判定手段の処理フローである
【図7】本発明の一実施形態における搭載状態テーブルである
【図8】本発明の一実施形態における所在管理テーブルである
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本実施形態におけるシステムの全体構成、図2に物流倉庫での適用例を図示する。
図1に示すように、本実施形態では、所在を管理する対象の荷物11に添付した荷物タグ13、荷物を格納する棚12などの場所ごとに添付した位置タグ14、フォークリフトなどの荷物搬送機器に取り付けた荷物タグ読取装置15、位置タグ読取装置16、測位装置17、荷物所在管理コンピュータ18を用いて処理を実行する。
【0020】
荷物タグ13は、個々の荷物のIDなどの識別子(以降、荷物IDの記述)を格納、表示するRFIDやバーコード、二次元バーコードなどの識別用タグである。
【0021】
荷物タグ読取装置15は、荷物タグ13から荷物IDを読み取るRFIDリーダやバーコードスキャナ、二次元バーコードスキャナなどの装置である。荷物タグ読取装置15は、荷物11がフォークリフトなどの荷物搬送機器に把持されていることを検知するための装置であり、図2に示すように、例えば、フォークリフト10のフォーク部に荷物タグ読取装置15であるRFIDリーダ151を取り付け、荷物11に貼付した荷物タグ13であるRFIDタグ131が一定の距離に近づいた場合に読み取れるように電波強度を調整することにより、荷物11をフォークリフト10のフォーク部に把持したことを検知する。荷物タグ読取装置15は荷物搬送機器に1つ以上設置され、荷物タグ読取装置15の識別子である装置IDから荷物搬送機器の識別子である荷物搬送機器IDへは一意に変換可能である。また、荷物搬送機器IDから装置IDへの変換では装置IDが複数検出される場合もあるが、処理フローにて該当処理が存在する場合は、該当するすべての装置IDの荷物タグ読取装置15にて読取り処理を行うこととする。
【0022】
位置タグ14は、個々の場所のID、棚番号などの識別子(以降、位置IDと記述)を格納、表示するRFIDやバーコード、二次元バーコードなどの識別用タグである。
【0023】
位置タグ読取装置16は、位置タグ14から位置IDを読み取るRFIDリーダやバーコードスキャナ、二次元バーコードスキャナなどの装置である。位置タグ読取装置16は、フォークリフトなどの荷物搬送機器の位置を検知するための装置であり、図2に示すように、例えば、フォークリフト10のフォーク部に位置タグ読取装置16であるRFIDリーダ151を取り付け、棚12の荷物配置部ごとに貼付したRFIDタグ141、RFIDタグ142、RFIDタグ143が一定の距離に近づいた場合に読み取れるように電波強度を調整することにより、フォーク部が荷物を配置、もしくは荷物を把持しようとしている位置を検知できる。位置タグ読取装置16は荷物搬送機器に0個以上設置され、位置タグ読取装置16の識別子である装置IDから荷物搬送機器の識別子である荷物搬送機器IDへは一意に変換可能である。また、荷物搬送機器IDから装置IDへの変換では装置IDが複数検出される場合もあるが、処理フローにて該当処理が存在する場合は、該当するすべての装置IDの位置タグ読取装置16にて読取り処理を行うこととする。
【0024】
荷物タグ読取装置15と位置タグ読取装置16は、図2で同一のRFIDリーダ151としているように、同じ装置であってもよいし、物理的に別の装置であってもよい。
【0025】
測位装置17は、フォークリフト10などの荷物搬送機器の位置を検知する機器であり、GPS(Global Positioning System)端末や、無線LAN測位端末などである。図2に示すGPS端末171のように、位置を計測するフォークリフト10などの荷物搬送機器に設置し、荷物搬送機器の緯度・経度や、建物内など限られた場所内での二次元、もしくは三次元座標値を取得する。測位装置17は荷物搬送機器に1つ以上設置され、測位装置17の識別子である装置IDから荷物搬送機器の識別子である荷物搬送機器IDへは一意に変換可能である。また、荷物搬送機器IDから装置IDへの変換では装置IDが複数検出される場合もあるが、処理フローにて該当処理が存在する場合は、読み取った位置データの平均値を用いる、もしくは中央値を用いる等の方法で代表値を決めて処理する。
【0026】
位置タグ14と位置タグ読取装置16は、測位装置17では測位精度に数メートルから数十メートルの誤差があるため、厳密に位置を特定するために必要とするものであり、高精度を求めない場合にはなくてもよい。
【0027】
荷物所在管理コンピュータ18は、パーソナルコンピュータやサーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータなどのコンピュータであり、通信装置などの入力装置181とディスプレイや通信装置などの出力装置182、CPUなどの中央処理装置183、DRAMなどのメモリ184、ハードディスクドライブやフラッシュメモリドライブなどのファイル装置185を備える。後述する荷物所在管理コンピュータ18での処理は、ファイル装置185に格納されたプログラムに従って中央処理装置183により実行されるものである。なお、プログラムについては、本願明細書および図面では搭載検知手段20のように手段として記載している。
【0028】
荷物所在管理コンピュータ18は、荷物タグ読取装置15、位置タグ読取装置16、測位装置17と有線、もしくは無線のネットワークで接続され、荷物タグ読取装置15が荷物タグ13から読み取った荷物ID、位置タグ読取装置16が位置タグ14から読み取った位置ID、測位装置17で読み取った緯度・経度、もしくは座標値などのデータを入力装置181を介して取得し、ファイル装置185に記録された各種プログラム(搭載検知手段20、配置検知手段22、ID分別手段30、荷物位置判定手段40)と各種データ(所在管理テーブル60、搭載状態テーブル50)を中央処理装置183、メモリ184を使用して実行することで荷物の所在を算出し、ディスプレイ、もしくは他のコンピュータと接続する通信装置である出力装置182を介して荷物の所在をディスプレイもしくは他のコンピュータに出力する。
【0029】
荷物所在管理コンピュータ18は、図2に示すようにフォークリフト10などの荷物搬送機器に1台ずつ設置してもよいし、倉庫の管理ルームなどに設置し、1台の荷物所在コンピュータ18で、複数の荷物搬送機器を対象としてもよい。複数の荷物搬送機器を対象とする場合には、荷物所在管理コンピュータ18が1台に対し、荷物タグ読取装置15、位置タグ読取装置16、測位装置17は荷物搬送機器ごとに設置し、1台の荷物所在管理コンピュータと有線、もしくは無線のネットワークで接続する。
【0030】
搭載検知手段20は、荷物所在管理コンピュータ18上で実行されるコンピュータプログラムであり、荷物タグ読取装置15が読み取った荷物IDをもとに、該当荷物IDの荷物が荷物搬送機器に搭載されている状態を管理し、搭載状態テーブル50に記録する。図3に処理フローの例を示しているが後で説明する。
【0031】
配置検知手段22は、搭載状態テーブル50にて管理されている搭載の状態をもとに、荷物が荷物搬送機器に搭載されなくなったこと、すなわち該当の荷物がどこか特定の場所に配置されたことを検知し、搭載状態テーブル50に記録するとともに、配置を検知された荷物のその時点での位置を所在管理テーブル60に記録する。図4に、処理フローの例を示しているがこの処理については後で説明する。
【0032】
ID分別手段30は、荷物所在管理コンピュータ18上で実行されるコンピュータプログラムであり、荷物タグ読取装置15と位置タグ読取装置16が読み取ったIDが荷物IDであるのか、位置IDであるのかを分別する手段である。これは、荷物タグ読取装置15と位置タグ読取装置16が同じ装置である場合、もしくは別々であっても読取るIDが荷物IDか位置IDかを荷物タグ読取装置15と位置タグ読取装置16では分別できない場合に必要な手段である。
IDを分別する手段としては、例えば以下の2つがある。
【0033】
(1)荷物IDの一覧と位置IDの一覧をファイル装置185に事前に定義しておき、荷物タグ読取装置15と位置タグ読取装置16で読み取ったIDが荷物IDの一覧に含まれる場合には荷物IDと、位置IDの一覧に含まれる場合には位置IDと分別する。
【0034】
(2)IDの先頭の特定の領域にIDの種類を分別する識別子を記録しておき、該当の領域を荷物タグ読取装置15と位置タグ読取装置16で読み取ったIDから分別し、識別子が荷物IDに該当するか、位置IDに該当するかを分別する。例えば、EPC(Electronic Product Code)のバイト表記の場合、先頭8bitが例えば00110001の場合にはSSCC−96という荷物につけるIDであるため、荷物IDと分別し、00110010の場合にはSGLN−96という場所につけるIDであるため位置IDと分別することができる。また、EPCのURI表記の場合、urn:epc:id:ssccで始まる場合には、SSCCという荷物につけるIDであるため、荷物IDと分別し、urn:epc:id:sglnで始まる場合には、SGLNという場所につけるIDであるため位置IDと分別することができる。
【0035】
搭載状態テーブル50は、荷物搬送機器と、該当の荷物搬送機器に搭載されている荷物の関係を記録する。図7に例を示す。ここでは荷物搬送機器の識別子である荷物搬送機器ID51と、該当荷物搬送機器が搭載している荷物IDである荷物ID52と、搭載していることを最後に確認した、すなわち該当荷物IDが、該当荷物搬送機器に設置された荷物タグ読取装置15にて最後に読み取られた時刻である確認時刻53を記録する。なお、最後とは、当該処理において最新であることを意味する。
【0036】
所在管理テーブル60は、荷物が移動中ではなく定位置に配置されている場合の、荷物の位置を記録する。図8に例を示す。ここでは荷物IDである荷物ID61と、荷物がおかれている位置である配置時位置62を記録する。配置時位置62は、位置タグ読取装置16が読み取った位置IDであってもよいし、測位装置17が読み取った緯度・経度、二次元、もしくは三次元座標値であってもよい。
荷物位置判定手段40は、特定の荷物の位置を提示する。図6に処理フローの例を示しているが後で説明する。
【0037】
以下、本発明の実施形態における処理手順を図2の適用例と図3から図6の処理フローを用いて説明する。
まず、図3を用いて搭載検知手段20の処理手順を説明する。
図2のフォークリフト10が荷物11に近づいていき、フォークリフト10のフォーク部を荷物11のパレットに挿入すると、荷物11に貼付されている荷物タグ13であるRFIDタグ131と、フォークリフト10に設置された荷物タグ読取装置15であるRFIDリーダ151の距離が、RFIDリーダ151の読取範囲以下となり、RFIDリーダ151がRFIDタグ131から荷物IDを読み取る。
【0038】
次に、図3のステップ201にて、RFIDリーダ151(荷物タグ読取装置15)から読み取ったRFIDタグ131(荷物タグ13)の荷物IDおよびRFIDリーダ151(荷物タグ読取装置15)の装置ID、読取時刻を取得する。
RFIDリーダ151が複数のRFIDタグを同時に読み取った場合には、ステップ202からステップ210を、読み取ったIDごとに繰り返す。
【0039】
ステップ203では、ID分別手段30にて読みとったIDの種類を分別する。
分別した結果によって、ステップ204にて処理が分岐し、処理位置IDと分別された場合には、該当IDに対する処理を終了し、荷物IDと分別された場合には、ステップ206に進む。
【0040】
ステップ206では、読み取った荷物IDがすでに搭載されている判定済みである「搭載中」か、そうではない「非搭載」かを搭載状態テーブル50から取得する。具体的には、ステップ201で取得した装置IDと荷物IDの組み合わせが、図7に示す搭載状態テーブル50の荷物搬送機器ID51と荷物ID52の組み合わせとして存在するかどうかを判定する。ステップ201で取得した装置IDが「F0001」で荷物IDが「P0001」の場合には、1行目に該当するため「搭載中」と判定するが、ステップ201で取得した装置IDが「F0002」で荷物IDが「P0002」だとすると該当行が存在しないため、「非搭載」と判定する。
【0041】
ステップ206の結果によりステップ207で処理が分岐し、「搭載中」であった場合にはステップ211に遷移し、「非搭載」であった場合にはステップ208に遷移する。
【0042】
「非搭載」であった場合、新たに搭載されたことをステップ208にて搭載状態テーブル50に記録する。具体的には、図7に示す搭載状態テーブルに新たな行を追加し、荷物搬送機器ID51と荷物ID52、確認時刻53に、それぞれステップ201で取得した装置IDと荷物ID、読取時刻を記録する。例えば、ステップ201で取得した装置IDが「F0001」で荷物IDが「P0001」、読取時刻が「10:00:01」の場合には、1行目のように記録される。ステップ201で読取時刻を取得できない場合には、本処理実行時の時刻で代用してもよい。
以上で、搭載検知手段20の処理は終了である。
【0043】
次に、図4、図5を用いて配置検知手段22の処理手順を説明する。
まず、図4を用いて配置検知手段22の前半処理の処理手順を説明する。
図2のフォークリフト10が荷物11を配置すると、フォークリフト10に設定されている荷物タグ読取装置15であるRFIDリーダ151と、荷物11に貼付されている荷物タグ13であるRFIDタグ131が離れて、RFIDリーダ151にてRFIDタグ131から荷物IDが読み取れなくなる。本処理は、荷物11を配置した、すなわち荷物IDが読み取れなくなったことを検知するために、搭載検知手段20にて定期的に搭載状態を更新している搭載状態テーブル50にて、更新されなくなった搭載関係を発見し、配置を検知する処理である。本処理は周期的(例えば、定期的)に実行してもよいし、搭載検知手段20を実行するたびに実行してもよい。周期的に実行する場合に、実行間隔を長くすると、実際に配置されてから配置を検知するまでの時間が長くなる。
【0044】
まず、ステップ220で、どのくらいの期間、搭載状態が更新されない場合に、配置とみなすのかという基準を、ファイル185に事前に定義されている定義ファイル等から読み取る。基準は、時間で指定されていてもよいし、荷物タグ読取装置15の読取回数で指定してもよい。以降の例では、時間で「3秒」と指定されている場合について説明する。
【0045】
ステップ221では、搭載状態テーブル50に記録された搭載状態(を示す情報)のそれぞれを取得する。
図7の例では、すべての行(1行目から4行目)、すなわち荷物搬送機器ID51が「F0001」から「F0004」であるそれぞれの荷物搬送機器と、該荷物搬送機器に搭載されている荷物との搭載関係を取得する。
【0046】
ステップ222からステップ227は、ステップ221で取得した各荷物搬送機器ID51ごとに処理を繰り返す。図7の例では「F0001」から「F0004」の4個の荷物搬送機器についてそれぞれ処理を実行する。
【0047】
ステップ223では、荷物搬送機器が荷物を配置したかどうかを検知する。具体的には、図7の確認時刻53について、ステップ220で取得した配置判定基準「3秒」を適用し、現在時刻が確認時刻53から3秒以上たっている場合に、「配置」したと判定する。「3秒」未満の場合には、引き続き「搭載中」とみなす。現在時刻が10:00:11だとする。荷物搬送機器ID「F0001」が搬送中の荷物ID「P0001」に対する処理、すなわち図7の1行目に対する処理の場合、現在時刻が確認時刻「10:00:01」より10秒たっており、前期判定により「配置」とみなす。同様に3行目の荷物搬送機器ID「F0003」が搬送中の荷物ID「P0111」も配置とみなす。2行目は荷物搬送機器ID「F0002」には搬送中の荷物がないことを示しており、これ以上の処理を行わない。4行目は荷物搬送機器ID「F0004」が搬送中の荷物ID「P1111」に対する処理であり、現在時刻が確認時刻「10:00:10」から1秒しかたっておらず、判定基準「3秒」未満であるため「搭載中」とみなす。
【0048】
ステップ224は処理の分岐であり、ステップ223の判定結果が「配置」の場合はステップ225に、「搭載中」の場合は、ステップ227に進む。
【0049】
ステップ225では、搭載状態テーブル50に、該当荷物搬送機器IDの荷物搬送機器が該当荷物IDの荷物を「配置」したことを登録する。具体的には、図7の1行目の場合、ステップ223で「配置」と判定されたので、荷物ID52、確認時刻53の列にそれぞれ「−」を入れて、荷物搬送機器ID「F0001」の荷物搬送機器に搭載物がなくなったことを登録する。3行目の場合も同様に、荷物搬送機器ID「F0003」の荷物搬送機器に搭載物がなくなったことを登録する。
【0050】
ステップ226では、搭載状態が「配置」に更新された荷物に関して、図5に示す配置時位置を登録する処理を実行する。
【0051】
図5を用いて、配置検知手段22の後半の処理手順を説明する。
本処理は、図2のフォークリフト10が荷物11を配置したことを、配置検知手段22の前半処理にて配置を検知した際に、次に荷物11が搬送されるまで、荷物11は動かないため、荷物11の位置を配置を検知したときのフォークリフト10の位置、もしくはフォークリフト10が隣接している棚な区画の位置とし、所在管理テーブル60に記録する処理である。
【0052】
本処理では、図4に示した配置検知手段22の前半処理から「配置」と検知された荷物搬送機器IDと荷物IDを引き継ぐ。前述の図4の説明の例では、図7の1行目、3行目が「配置」と判定されたため、荷物搬送機器ID「F0001」と荷物ID「P0001」、荷物搬送機器ID「F0003」と荷物ID「P0011」を引き継ぐ。
【0053】
まず、ステップ400で、配置時の荷物11の位置をどのように設定するのかの事前定義をファイル装置185等から取得する。事前定義として「測位装置17から取得」と「位置タグ読取装置16」から取得の2種類が存在する。どちらかしかフォークリフトに設置されていない場合は、荷物所在管理コンピュータ18にて、自動的に設置されている方の装置を選択してもよい。また、「測位装置17から取得」と設定した場合、図2に示すように測位装置17であるGPS端末171と、荷物11の設置位置は一致しておらず、GPS端末171の測位位置からフォークリフト10の進行方向に若干進んだ位置に配置される。そのため、そのオフセット値を設定してもよい。どちらが進行方向かは、GPS端末171の測位した位置の履歴、すなわちフォークリフト10の経路の「配置」直前の微分値としてもよいし、「配置」時のフォークリフト10の向きを方角センサ等で取得してもよい。
【0054】
ステップ402では、ステップ400で取得した位置取得方法の定義により分岐する。「測位装置17から取得」の場合はステップ403に、「位置タグ読取装置16から取得」の場合はステップ404に進む。ここでは、定義は「位置タグ読取装置16から取得」とされており、荷物搬送機器ID「F0001」はステップ404に進むが、荷物搬送機器ID「F0003」には位置タグ読取装置16が設置されていないため、「測位装置17から取得」が自動的に選択されステップ403に進むものとし、両方の例を説明する。
【0055】
ステップ403では、測位結果を当該荷物搬送機器に設置されている測位装置17から取得する。当該荷物搬送機器に設置されている測位装置は、前述のように荷物搬送機器1つにつき1個以上設置可能であり、事前定義により荷物搬送機器IDから位置タグ読取装置の装置IDへ変換し、測位処理を実行する。2つ以上設置されている場合には代表値を取得する。
ステップ403が終了するとステップ405に進む。
【0056】
ステップ404では、位置タグ14の読取結果を当該荷物搬送機器に設置されている位置タグ読取装置16から取得する。位置タグ14は前述のように棚などに貼付された位置IDを格納したメディアであり、位置タグ読取装置16で位置タグ14を読み取るということは、位置タグ14の棚に該位置タグ読取装置16が設置された荷物搬送機器が荷物を配置する位置にいることを意味する。当該荷物搬送機器に設置されている位置タグ読取装置16は、前述したように荷物搬送機器1つにつき0個以上設置可能であり、事前定義により荷物搬送機器IDから位置タグ読取装置の装置IDへ変換し、位置タグ読取処理を実行する。
ステップ404が終了するとステップ405に進む。
【0057】
ステップ405では、ステップ403、もしくはステップ404で取得した位置を所在管理テーブル60に記録する。
【0058】
荷物搬送機器ID「F0001」が荷物ID「P0001」を配置したと検知した場合を例とすると、ステップ402の例で説明したように、ステップ404に進み、位置タグ読取装置16を用いて位置タグ14から位置IDを読み取る。ここで位置ID「S0101」が取得されたとすると、荷物ID「P0001」の荷物が「S0101」の棚もしくは区画に配置されたとし、図8に示す所在管理テーブル60の1行目のように荷物ID「P0001」を荷物ID61に、位置ID「S0101」を配置時位置62に記録する。
【0059】
荷物搬送機器ID「F0003」が荷物ID「P0011」を配置したと検知した場合を例とすると、ステップ402の例で説明したように、ステップ403に進み、測位装置17を用いて、測位装置17の緯度・経度、もしくは2次元、3次元座標値を読み取る。3次元座標値(10,10,10)が取得されたとすると、荷物ID「P0011」の荷物が(10,10,10)に配置されたとし、図8に示す所在管理テーブル60の3行目のように荷物ID「P0011」を荷物ID61に、座標値「(10,10,10)」を配置時位置列62に記録する。ステップ400で説明したように、配置時の荷物搬送機器の方向を考慮し、測位装置17と荷物配置位置のオフセットを考慮する場合、オフセットを計算してから計算後の座標値を所在管理テーブル60に記録する。例えば、荷物搬送機器がX軸正の方向を向いており、オフセット値が10ある場合、座標値のXに10を追加し、(20,10,10)を記録する。
以上で、図4、図5に示した配置検知手段22の処理は終了である。
【0060】
次に、図6を用いて荷物位置判定手段40の処理手順を説明する。
本処理は、荷物の位置を判定する処理である。搭載状態テーブル50より荷物が荷物搬送機器に搭載中であると記録されている場合には荷物搬送機器の位置を荷物の位置として提示し、搭載状態テーブル50より荷物が荷物搬送機器に搭載中と記録されていない場合には、所在管理テーブル60に記録されている配置時位置を現在の位置として提示する。
【0061】
なお、本処理フローは荷物IDを指定して該当荷物の現在位置を提示する処理を説明する。管理対象のすべての荷物IDについて、該当荷物の現在位置を提示する処理や、荷物の過去の特定時点の位置を提示する処理については後で補足説明する。
【0062】
まず、ステップ421で、搭載状態テーブル50より、位置を提示する荷物の荷物IDを検索キーに、現在の搭載状態を取得する。荷物ID「P1111」を例とすると、図7に示した搭載状態テーブル50の4行目に該当行があり「F0004」の荷物搬送機器に「搭載中」と判定する。荷物ID「P0101」を例とすると、図7に示した搭載状態テーブル50に該当行がなく、「搭載中」ではないと判定する。
【0063】
次にステップ422では、ステップ421で取得した搭載状態に応じて後の処理を分岐する。搭載状態が「搭載中」である場合には、該当荷物IDが搭載されている荷物搬送機器の荷物搬送機器IDを搭載状態テーブル50より取得しステップ424に、搭載状態が「搭載中」ではない場合にはステップ423に進む。先ほどの例では荷物ID「P1111」の場合には「搭載中」であるためステップ424に、荷物ID「P0101」の場合には「搭載中」ではないためステップ423に進む。
【0064】
搭載状態が「搭載中」ではない場合、まず、ステップ423で、所在管理テーブル60から該当荷物IDの配置時位置を取得し、ステップ427でディスプレイ等の出力装置182にステップ423で取得した位置を提示する。先ほどの例では、荷物ID「P0101」については図8に示す所在管理テーブル60から荷物ID61が該当する2行目の配置時位置62「S0001」を現在位置として取得し、ディスプレイに提示する。
【0065】
搭載状態が「搭載中」の場合、ステップ422で取得した荷物搬送機器IDについて、該当荷物搬送機器に設置されている位置タグ読取装置16から、その時点で読み取れる位置タグ14の位置IDを取得する。荷物搬送機器に設置されている位置タグ読取装置16の特定方法はステップ404の説明で示した。
【0066】
そして、位置IDが取得できたかどうかでステップ425で分岐を行う。位置IDが取得できた場合にはステップ427で該当位置IDをディスプレイ等の出力装置182にステップ424で取得した位置を提示する。位置IDが取得できなかった場合には、ステップ426に進む。
【0067】
ステップ426では、ステップ422で取得した荷物搬送機器IDについて、該当荷物搬送機器に設置されている測位装置17から、緯度・経度、もしくは2次元、3次元の座標値を取得する。荷物搬送機器に設置されている測位装置17の特定方法はステップ403の説明で示した。また、測位装置17から荷物の位置までのオフセットを図5の説明と同様に計算してもよい。
【0068】
そして、ステップ427でステップ426で取得した緯度・経度、もしくは2次元、3次元の座標値をディスプレイ等の出力装置182にステップ424で取得した位置を提示する。
以上で、図6に示した荷物位置判定手段40の処理は終了である。
【符号の説明】
【0069】
10・・・フォークリフト
11・・・荷物
12・・・棚
13・・・位置タグ
14・・・荷物タグ
15・・・荷物タグ読取装置
16・・・位置タグ読取装置
17・・・測位装置
18・・・荷物所在管理コンピュータ
181・・・入力装置
182・・・出力装置
183・・・中央処理装置
184・・・メモリ
185・・・ファイル装置
20・・・搭載検知手段
22・・・配置検知手段
30・・・ID分別手段
40・・・荷物位置判定手段
50・・・搭載状態テーブル
60・・・所在管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の荷物の所在を管理する荷物所在管理装置において、
前記荷物の搬送手段の位置を測位する手段と、
前記荷物のRFIDから当該荷物を識別する荷物IDを読み取るリーダであって前記搬送手段と対応付けられたリーダと接続された手段と、
前記リーダが前記荷物IDを読み取った場合、当該荷物IDと測位された前記位置を対応付けて記憶する手段とを有し、
前記荷物IDで識別される荷物の位置を前記即位された位置として管理可能とする荷物所在管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷物所在管理装置において、
前記荷物の保管場所に設置されたRFIDから、当該保管場所を識別する位置IDを読み取るリーダと接続された手段と、
前記位置IDの読取り状況に応じて、前記荷物IDで識別される荷物が搬送中か、保管されたかを判断する手段とを更に有することを特徴とする荷物所在管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の荷物所在管理装置において、
前記位置IDが読取られた場合、前記荷物IDと前記位置IDを対応付けて記憶することで、前記荷物IDで識別される荷物が、前記位置IDに対応する保管場所に保管されたと判断する手段とを更に有することを特徴とする荷物所在管理装置。
【請求項4】
請求項2または3のいずれかに記載の荷物所在管理装置であって、
前記搬送中か、保管されたかを判断する手段は、一定時間もしくは一定の読取回数の間、前記荷物IDを読取るリーダで荷物IDが読まれないことを条件に、荷物が保管されたと判断することを特徴とする荷物所在管理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の荷物所在管理装置において、
当該荷物所在管理装置は、前記搬送手段毎に設けられたことを特徴とする荷物所在管理装置。
【請求項6】
管理対象の荷物の所在を管理する荷物所在管理装置を用いた荷物所在管理方法において、
前記荷物の搬送手段の位置を測位し、
前記荷物のRFIDから当該荷物を識別する荷物IDを読み取るリーダであって前記搬送手段と対応付けられたリーダと接続し、
前記リーダが前記荷物IDを読み取った場合、当該荷物IDと測位された前記位置を対応付けて記憶することで、前記荷物IDで識別される荷物の位置を前記即位された位置として管理可能とする荷物所在管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の荷物所在管理方法において、
前記荷物の保管場所に設置されたRFIDから、当該保管場所を識別する位置IDを読み取るリーダと接続し、
前記位置IDの読取り状況に応じて、前記荷物IDで識別される荷物が搬送中か、保管されたかを判断することを特徴とする荷物所在管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の荷物所在管理方法において、
前記位置IDが読取られた場合、前記荷物IDと前記位置IDを対応付けて記憶することで、前記荷物IDで識別される荷物が、前記位置IDに対応する保管場所に保管されたと判断することを特徴とする荷物所在管理方法。
【請求項9】
請求項7または8のいずれかに記載の荷物所在管理方法であって、
前記搬送中か、保管されたかの判断は、一定時間もしくは一定の読取回数の間、前記荷物IDを読取るリーダで荷物IDが読まれないことを条件に、荷物が保管されたと判断することを特徴とする荷物所在管理方法。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載の荷物所在管理方法において、
前記荷物所在管理装置は、前記搬送手段毎に設けられたことを特徴とする荷物所在管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−219229(P2011−219229A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91054(P2010−91054)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】