荷重検出装置および荷重検出方法
【課題】細い線状体の先端に作用する荷重を容易に検出することが可能な荷重検出装置および荷重検出方法を提供する。
【解決手段】この荷重検出方法では、屈曲した体内の管に挿入された中空チューブ1の入口に可撓性を有する線状体2を挿入する荷重Fiを検出するとともに、中空チューブ1または線状体2の画像を撮影し、その画像から中空チューブ1または線状体2の曲がり具合を検出し、検出した挿入荷重Fiおよび曲がり具合に基づいて、線状体2の先端の荷重Foを演算する。したがって、細い線状体2の先端荷重Foを容易に検出できる。
【解決手段】この荷重検出方法では、屈曲した体内の管に挿入された中空チューブ1の入口に可撓性を有する線状体2を挿入する荷重Fiを検出するとともに、中空チューブ1または線状体2の画像を撮影し、その画像から中空チューブ1または線状体2の曲がり具合を検出し、検出した挿入荷重Fiおよび曲がり具合に基づいて、線状体2の先端の荷重Foを演算する。したがって、細い線状体2の先端荷重Foを容易に検出できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は荷重検出装置および荷重検出方法に関し、特に、屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置および荷重検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、血管、尿管、気管支、消化管あるいはリンパ管などの体内の管内に挿入する線状の医療器具として、カテーテルが実用化されている。カテーテルを用いた治療方法としては、たとえば、中空チューブであるカテーテルの先端を体外から血管内を介して脳動脈瘤の入口に誘導した後、可撓性を有する線状体である塞栓用コイルおよびデリバリーワイヤをカテーテル内に挿入し、塞栓用コイルを脳動脈瘤内に詰め込んで脳動脈瘤の破裂を防止する方法がある。しかし、塞栓用コイルおよびデリバリーワイヤによって過度の荷重が脳動脈瘤に作用すると、脳動脈瘤が損傷する恐れがある。
【0003】
また、カテーテルの先端の荷重を検出する方法として、カテーテルの先端に圧力センサを設ける方法がある(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−263089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、細い塞栓用コイルの先端に圧力センサを設け、圧力センサの信号を外部に取り出すための信号線を塞栓用コイル内に通すことは極めて困難である。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、細い線状体の先端に作用する荷重を容易に検出することが可能な荷重検出装置および荷重検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る荷重検出装置は、屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置であって、管、中空チューブ、または線状体の曲がり具合を検出する第1の検出手段と、中空チューブの入口に線状体を挿入する荷重を検出する第2の検出手段と、第1および第2の検出手段の検出結果に基づいて、線状体の先端に作用する荷重を求める演算手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、第1の検出手段は、管、中空チューブ、または線状体の画像に基づいて、管、中空チューブ、または線状体の曲がり具合を検出する。
【0008】
また好ましくは、演算手段は、さらに線状体および中空チューブ間の摩擦係数に基づいて、線状体の先端に作用する荷重を求める。
【0009】
また好ましくは、演算手段は、線状体の曲げ剛性が線状体の位置に応じて変化する場合は、線状体の位置に対する曲げ剛性の変化度合いに基づいて摩擦係数を補正する。
【0010】
また好ましくは、摩擦係数は予め測定されている。
また好ましくは、管は血管であり、中空チューブはカテーテルであり、線状体はカテーテル内に挿入される治療用ワイヤである。
【0011】
また好ましくは、治療用ワイヤは、デリバリーワイヤと、該デリバリーワイヤの先端部に設けられ、脳動脈瘤内に詰め込むための塞栓用コイルとを含む。
【0012】
また好ましくは、第1の検出手段は、塞栓用コイルの先端が脳動脈瘤に入ったときに治療用ワイヤの曲がり具合を検出し、演算部は、塞栓用コイルが脳動脈瘤に作用する荷重を求める。
【0013】
また好ましくは、第1の検出手段は、血管の3次元画像に基づいて、血管の曲がり具合を検出する。
【0014】
また好ましくは、第1の検出手段は、手術中にX線を用いて撮影される治療用ワイヤの2次元画像と、予め撮影された血管の3次元画像とを重ね合わせて、治療用ワイヤの曲がり具合を検出する。
【0015】
また好ましくは、中空チューブの入口に線状体を挿入する駆動手段を備え、第2の検出手段は、駆動手段の駆動力に基づいて、線状体を挿入する荷重を検出する。
【0016】
また好ましくは、中空チューブの入口に線状体を挿入するための駆動ローラと、回転自在に支持され、線状体を介して駆動ローラに押圧される押さえローラと、駆動ローラを回転駆動させるモータとを備え、第2の検出手段は、モータの回転軸の歪を検出し、その検出結果に基づいて、線状体を挿入する荷重を検出する。
【0017】
また好ましくは、第2の検出手段は、線状体を挿通させる貫通孔と、貫通孔の途中に設けられ、線状体に圧縮力が作用したときに線状体が所定の方向へ湾曲し得るように形成された内部空間とを有する本体部と、内部空間における線状体の湾曲の度合いを検出する湾曲センサとを含み、湾曲センサによって検出された湾曲の度合いに基づいて、線状体を挿入する荷重を検出する。
【0018】
また好ましくは、第2の検出手段は、線状体を挿通させるとともに、線状体に圧縮力が作用したときに線状体が所定の方向へ圧力を加えるように曲げられて形成された貫通孔を有する本体部と、貫通孔の途中に設けられ、線状体によって所定の方向に加えられた圧力を検出する圧力センサとを含み、圧力センサの検出結果に基づいて、線状体を挿入する荷重を検出する。
【0019】
また好ましくは、さらに、第2の検出手段によって検出された線状体を挿入する荷重と、演算手段によって求められた線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を視覚的に表示する表示手段を備える。
【0020】
また好ましくは、さらに、第2の検出手段によって検出された線状体を挿入する荷重と、演算手段によって求められた線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を示す音響を発生する音響発生手段を備える。
【0021】
また好ましくは、さらに、第2の検出手段によって検出された線状体を挿入する荷重と、演算手段によって求められた線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を、線状体の先端部のX線透視画像とともに映像記録媒体に記録する記録手段を備える。
【0022】
また好ましくは、荷重検出装置は医療用訓練装置に組み込まれている。
また、この発明に係る荷重検出方法は、屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置であって、管、中空チューブ、または線状体の曲がり具合と中空チューブの入口に線状体を挿入する荷重とを検出し、その検出結果に基づいて、線状体の先端に作用する荷重を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係る荷重検出装置および荷重検出方法では、管、中空チューブ、または線状体の曲がり具合と中空チューブの入口に線状体を挿入する荷重とを検出し、その検出結果に基づいて、線状体の先端に作用する荷重を求める。したがって、線状体が細い場合でも、線状体の先端に作用する荷重を容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による荷重検出方法を示す図である。図1において、屈曲した体内の管(図示せず)内に中空チューブ1が挿入されており、その中空チューブ1の入口から可撓性を有する線状体2を挿入しているものとする。この荷重検出方法では、中空チューブ1の入口に線状体2を挿入する荷重Fiを検出するとともに、中空チューブ1または線状体2の画像を撮影し、その画像から中空チューブ1または線状体2の曲がり具合(たとえばΔθ/ΔL)を検出し、検出した挿入荷重Fiおよび曲がり具合に基づいて、線状体2の先端の荷重Foを演算する。
【0025】
すなわち図2に示すように、中空チューブ1の内壁と線状体2が点Pの1箇所で接触している場合、線状体2を図中A方向に移動させると、線状体2の垂直抗力Fhによって、中空チューブ1の内壁と線状体2との間に摩擦力Ffが発生する。この垂直抗力Fhおよび摩擦力Ffと、線状体2の入力荷重Fiおよび出力荷重Foとは、図3に示すような関係にある。入力荷重Fiおよび出力荷重Foは、点Pの前後の線状体2に作用する荷重である。点Pにおける線状体2および中空チューブ1間の角度をαとすると、これらの力Fh,Ff,Fi,Foのバランスから次式(1)(2)が成り立つ。
−Ff=Fo・cosα−Fi・cosα …(1)
Fh=Fo・sinα+Fi・sinα …(2)
ここで、摩擦係数をμとすれば、Ff=μ・Fhとなる。また、角度αは、図2に示すΔθに相当するので、次式(3)に示すように曲率半径RとΔsから計算できる。
|R|/Δs=1/tanα …(3)
数式(1)〜(3)をまとめると、Fo,Fi,R,Δs,μの関係は次式(4)で表わされる。
(−μ/|R|)・Δs・(Fo+Fi)=Fo−Fi …(4)
今、線状体2の挿入端から点Pまでの距離をsとし、点Pにおいて線状体2に作用する荷重をF(s)とし、点Pからの微小距離をΔsとすると、Fi,Foはそれぞれ次式(5)(6)で表わされる。
Fi=F(s) …(5)
Fo=F(s+Δs) …(6)
ここで、数式(5)(6)を数式(4)に代入し、距離sの位置Pでの曲率半径をR(s)とすれば、次式(7)が得られる。
(−μ/|R(s)|)・Δs・{F(s+Δs)+F(s)}=F(s+Δs)−F(s) …(7)
さらに、Δsを0に近づけると、次式(8)の微分方程式が得られ、その微分方程式を解くと、点Pの微小距離dsにおけるFoとFiの関係を示す次式(9)が得られる。
dF(s)/ds=−(2μ/|R(s)|)・F(s) …(8)
Fo=Fi・exp(−2μ∫(1/|R(s)|)ds) …(9)
数式(9)を用いれば、摩擦個所が連続していても積分範囲を指定することでFoを求めることができる。中空チューブ1であるカテーテル内に線状体2を挿入する場合は、中空チューブ1の内径と線状体2の外径との差が小さいので、線状体2は中空チューブ1の内壁に連続的に接触していると考えることができ、都合がよい。
【0026】
さらに、dsが0に近いとき、tan(dθ)をdθに近似できるので、R(s),ds,dθは次式(10)の関係となる。ここで、dθをθ(s,s+ds)と記述し、sからs+dsの間の角度を示すものとする。数式(10)を数式(9)に挿入すると、次式(11)が得られる。
1/|R(s)|・ds=|θ(s,s+ds)| …(10)
Fo=Fi・exp(−2μ∫(|θ(s,s+ds)|/ds)ds) …(11)
この数式(11)において、∫(|θ(s,s+ds)|/ds)dsは、中空チューブ1の入口から先端までにおいて、線状体2または中空チューブ1に対して微小長さdsで区切った微小角度θ(s,s+ds)をその微小長さdsで割り、微小長さdsで積分するため、その結果は、線状体2または中空チューブ1の曲がり具合の総和θとなる。この数式(11)に基づき、中空チューブ1の入口から先端までにおいて、線状体2または中空チューブ1の曲がり具合の総和θと、線状体2の挿入荷重Fiから、線状体2の先端の荷重Foを求めることができる。摩擦係数μは、中空チューブ1と線状体2の組み合わせで異なる可能性があるので、組合せ毎に予め測定しておき、使用する中空チューブ1と線状体2に応じて、選択して使用すればよい。
【0027】
図4は、線状体2の挿入荷重FiをFi0,Fi1,Fi2(ただし、Fi0<Fi1<Fi2である)の3段階で変えた場合における中空チューブ1の曲がり具合の総和θ(rad)と線状体2の先端荷重Fo(N)との関係を示す図である。ここでは、中空チューブ1として内径φ0.56mmのカテーテルを使用し、線状体2として外径φ0.25mmの脳動脈瘤塞栓用コイルを使用した。図4中の3本の曲線は次式(12)を用いて計算した値を示し、各点は測定値である。
Fo=(Fi−β(θ))・(exp(−2μθ)−C) …(12)
数式(12)は、数式(11)を補正した式である。β(θ)はθによって、入力荷重Fiを補正する関数であり、Cは線状体2が真直ぐな場合(θ=0)における摩擦の影響を補正する一定値である。
【0028】
図4から分かるように、計算値と測定値はほぼ一致した。挿入荷重Fiを一定にした場合は、カテーテルの曲がり具合の総和θ(rad)が増加すると先端荷重Fo(N)は減少した。また、カテーテルの曲がり具合の総和θ(rad)を一定にした場合は、挿入荷重Fi(N)が増大すると先端荷重Fo(N)も増大した。
【0029】
また、たとえば、デリバリーワイヤはコイル先端に近いところで細くなるなど、線状体2の曲げ剛性が線状体2の位置に対して均一ではなく変化する部分がある。そのような曲げ剛性が変化する位置では曲げ剛性の小さい側の方が大きく曲がろうとし、中空チューブ1に及ぼす垂直抗力Fhが大きくなる。その場合には、線状体2の位置における曲げ剛性EIおよび曲げ剛性EIの変化によって、数式(12)を次式(13)のように補正する。この場合は、等価なμを補正すればよい。したがって、摩擦係数μを曲げ剛性EI(s)、曲げ剛性変化dEI(s)/ds、およびR(s)の関数とし、この関数を事前に実験で求めておく。
Fo=Fi・exp(−2∫μ(EI(s),dEI(s)/ds,R(s))・|R(s)|ds) …(13)
この実施の形態1では、中空チューブ1または線状体2の曲がり具合θと中空チューブ1の入口に線状体2を挿入する荷重Fiとを検出し、その検出結果に基づいて、線状体2の先端に作用する荷重Foを求める。したがって、細い線状体2の先端に作用する荷重Foを容易に検出することができる。よって、線状体2の先端荷重Foの検出値に基づいて、医師である術者が線状体2を正確に操作することが可能となり、線状体2の先端で脳動脈瘤などを損傷するような医療事故の発生が防止される。また、先端に圧力センサを付ける必要がないので、従来の線状体2をそのまま使用することでき、低コストで検出することができる。
【0030】
[実施の形態2]
図5は、この発明の実施の形態2による荷重検出方法を示す図である。この実施の形態2は、実施の形態1の荷重検出方法を脳動脈瘤の塞栓治療に適用したものである。図5において、中空チューブ1としてカテーテル3が使用され、可撓性を有する線状体2として塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5が使用されている。塞栓用コイル4の基端は、デリバリーワイヤ5の先端に結合されている。患者の脳動脈6の一部に脳動脈瘤7が発生している。カテーテル3の先端は、体外から患者の動脈に挿入され、脳動脈6を介して脳動脈瘤7の入口に誘導されている。カテーテル3の基端は、Yコネクタ8の出口8aに接続されている。ガイドワイヤ(図示せず)を用いてカテーテル3の先端を脳動脈瘤7の入口に誘導した後、Yコネクタ8の入口8bから塞栓用コイル4の先端を挿入する。塞栓用コイル4に続いてデリバリーワイヤ5をYコネクタ8の入口8bから挿入し、カテーテル3を介して塞栓用コイル4を脳動脈瘤7内に詰め込む。このとき実施の形態1で示した方法で、塞栓用コイル4の先端に作用している荷重Foを検出しながら、デリバリーワイヤ5を挿入する。手術中は、Yコネクタ8のもう1つの入口8cからカテーテル3内に生理食塩水を注入する。塞栓用コイル4を脳動脈瘤7内に収納した後、デリバリーワイヤ5を塞栓用コイル4から切り離し、カテーテル3とデリバリーワイヤ5を体外に抜き取って手術は終了する。
【0031】
このような脳動脈瘤7の塞栓治療は、X線撮影装置で人体を透視しながら行なわれる。カテーテル3は樹脂で形成されているのでX線透視画像に写らないが、塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5は金属で形成されているのでX線透視画像に写る。X線透視画像は通常2次元画像であるが、脳動脈瘤7の塞栓治療では、脳動脈瘤7内の塞栓用コイル4の状態を観察するために、X線撮影装置は回転式となっており、回転しながら撮影した複数の2次元透視画像から、3次元画像を生成することが可能である。
【0032】
脳動脈瘤7の塞栓治療においては、血管壁が薄くて脆い脳動脈瘤7の中に、脳動脈瘤7が破裂しないように塞栓用コイル4を詰める必要があるので、塞栓用コイル4が脳動脈瘤7に作用する力Foを測定することが望まれている。本実施の形態2では、X線透視画像からカテーテル3内における塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5の曲がり具合θを積算し、デリバリーワイヤ5を挿入する荷重Fiを計測して、塞栓用コイル4が脳動脈瘤7に作用する力Foを推定する。
【0033】
図6は、この実施の形態2の荷重検出方法を実施するための荷重検出装置の構成を示すブロック図である。図6において、この荷重検出装置は、X線撮影装置10、画像合成装置11、曲がり具合検出装置12、挿入荷重検出装置13、記憶装置14、演算処理装置15、および表示装置16を備える。
【0034】
X線撮影装置10は、患者の周囲を回転しながら複数の2次元透視画像を撮影する。画像合成装置11は、X線撮影装置10によって撮影された2次元画像からから3次元画像を生成する。曲がり具合検出装置12は、画像合成装置11によって生成された3次元画像に基づき、塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5の曲がり具合θを検出する。挿入荷重検出装置13は、デリバリーワイヤ5を挿入する荷重Fiを検出する。記憶装置14には、予め測定された塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5とカテーテル3との摩擦係数μが記憶されている。
【0035】
演算処理装置15は、曲がり具合検出装置12で検出された塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5の曲がり具合θと、挿入荷重検出装置13によって検出されたデリバリーワイヤ5の挿入荷重Fiと、記憶装置14に記憶された摩擦係数μとに基づいて、塞栓用コイル4が脳動脈瘤4に作用する先端荷重Foを演算する。この演算方法は、実施の形態1で説明した通りである。表示装置16は、先端荷重Foを表示する。医者は、表示装置16に表示された先端荷重Foを見ながら塞栓治療を行なう。
【0036】
[実施の形態3]
実施の形態2では、コイル塞栓中にデリバリーワイヤ5などの曲がり具合を求めたが、本実施の形態3では、治療前にデリバリーワイヤ5などの曲がり具合を求める。脳動脈瘤7のコイル塞栓治療では、治療前に脳動脈瘤7の大きさや、その存在を確認するために、X線CT(コンピュータ断層撮影装置)やMRI(核磁気共鳴装置)を用いて、図7に示すような3次元の血管画像を撮影する。
【0037】
治療において、カテーテル3は、大腿部の付け根の動脈から挿入され、大動脈20から頚動脈21(または椎骨動脈22)および脳動脈6を経由して脳動脈瘤7まで送られる。カテーテル3は、血管に沿って屈曲するため、その中を通過する塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5の屈曲もほぼ血管の屈曲と等しくなる。したがって、脳動脈瘤7までの血管経路の曲がり具合を用いることで、実施の形態2と同様に塞栓用コイル4が脳動脈瘤7に作用する力を推測することができる。
【0038】
すなわち、図7に示すような3次元血管画像を取得した後、医師が脳動脈瘤7の位置(カテーテル先端位置Po)と画像上で見えているカテーテル3の通過する最下部(たとえば、大動脈20)の位置(カテーテル挿入位置Pi)とを指定する。足の付け根の動脈から大動脈20までは脳動脈6に比べて血管径が広く、ほとんど真直ぐであり、患者毎に大きな差がないため、先端荷重Foの推定においては、この範囲の摩擦は、ゼロとするか、一定とすれば十分である。次に、図8に示すように、医師が選択した脳動脈瘤7と大動脈20の間の血管23を抽出する。この血管23の経路において、血管23の中心線23aを求め、たとえば所定の間隔wで中心線23aの曲がり具合θiを求め、θiを積算する(Σθi)ことで、塞栓用コイル4が脳動脈瘤7に作用する力Foを推定することができる。
【0039】
なお、本実施の形態3では、血管23の経路を抽出した後に、血管23の中心線23aを求めたが、血管全体の中心線を先に画像処理で求め、その中心線の経路から、カテーテル3の通る血管経路を求めてもよい。
【0040】
[実施の形態4]
図9は、この発明の実施の形態4による荷重検出方法を示すブロック図である。この荷重検出方法では、線状体2の挿入途中で先端荷重Foを検出する。図9において、線状体2の人体への挿入は、医師がX線透視2次元画像24を観察しながら行なう。X線透視2次元画像24では、線状体2の3次元的な曲がり具合を見ることはできない。
【0041】
しかしながら、X線透視2次元画像24と手術前に撮影した3次元血管画像25と組み合わせることで、線状体2の3次元の曲がり具合を推定することができる。線状体2は血管23内に挿入され、しかも挿入口から目的地(脳動脈瘤4)までの経路26が分かっているので、X線透視2次元画像24と3次元血管画像25をマッチングすることで、3次元血管画像25における線状体2の位置が分かる。したがって、血管23の3次元の曲がり具合を用いることで、線状体2の3次元の曲がり具合θが分かる。よって、人体への線状体2の挿入中においても、線状体2の先端の荷重Foを推定することができる。
【0042】
[実施の形態5]
図10は、この発明の実施の形態5による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示すブロック図である。図10において、挿入荷重検出装置は、押さえローラ30、駆動ローラ31、モータ32、およびトルク制御回路33を含む。ローラ30,31の各々の外周部はゴムのような弾性体で形成されている。押さえローラ30は、回転自在に支持されるとともに、駆動ローラ31側に所定の圧力で押圧されている。したがって、押さえローラ30は、駆動ローラ31に従動する。
【0043】
デリバリーワイヤ5などの線状体2は、ローラ30,31の間を介して中空チューブ1内に挿入される。駆動ローラ31は、モータ32によって回転駆動される。トルク制御回路33は、トルク指令値に従って駆動電流をモータ32に供給するとともに、駆動電流値を示す信号を挿入荷重Fiの代わりに図6の演算処理装置15に出力する。
【0044】
トルク制御回路33からモータ32に駆動電流が供給されると、モータ32によってローラ30,31が低速で回転駆動され、線状体2が中空チューブ1内に挿入される。図6の演算処理装置15は、トルク制御回路33からの信号に基づいて線状体2の挿入荷重Fiを演算し、その挿入荷重Fiを用いて先端荷重Foを求める。
【0045】
この実施の形態5では、線状体2の挿入荷重Fiを容易に検出することができる。
[実施の形態6]
図11は、この発明の実施の形態6による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示すブロック図であって、図10と対比される図である。図11において、この挿入荷重検出装置が実施の形態5の挿入荷重検出装置と異なる点は、モータ32の回転軸と駆動ローラ31の回転軸との間にトルクセンサ34が設けられている点である。トルクセンサ34としては、歪みゲージや、磁歪式のトルクセンサが用いられる。トルクセンサ34は、モータ32の回転軸と駆動ローラ31の回転軸とを結合する軸の歪を検出し、その検出値を示す信号を挿入荷重Fiの代わりに図6の演算処理装置15に出力する。
【0046】
モータ32に駆動電流が供給されると、モータ32によってローラ30,31が低速で回転駆動され、線状体2が中空チューブ1内に挿入される。図6の演算処理装置15は、トルクセンサ34からの信号に基づいて線状体2の挿入荷重Fiを演算し、その挿入荷重Fiを用いて先端荷重Foを求める。
【0047】
この実施の形態6でも、線状体2の挿入荷重Fiを容易に検出することができる。
[実施の形態7]
図12は、この発明の実施の形態7による挿入荷重検出装置の要部の外観を示す図であり、図13は図12のXIII−XIII線断面図であり、図14は図12のXIV−XIV線断面図である。図12〜図14において、この挿入荷重検出装置は本体部40を備え、本体部40には線状体2が挿通される貫通孔41が形成されている。線状体2の一方端が操作者の手で操作され、線状体2の他方端は、人体の管内に挿入された中空チューブ1内に挿入される。
【0048】
貫通孔41の両端の開口部の各々には、線状体2を挿抜し易くするために、テーパ状の入出力ポート42が形成されている。入出力ポート42の奥の拘束部43では、貫通孔41の直径は線状体2の直径よりもわずかに大きく、たとえば線状体2の直径の105%〜120%である。したがって、線状体2は、拘束部43においては長手軸方向以外の方向に移動することはできない。
【0049】
本体部40は、線状体2に長手軸方向の挿入荷重Fiが作用するときに、貫通孔41の内部における線状体2の湾曲方向を規定する。すなわち、貫通孔41は、2つの拘束部43の間で曲がっており、線状体2は一方の壁に沿って曲がりながら貫通孔41を貫通している。また貫通孔41は、2つの拘束部43の間で、線状体2が沿っていない壁側に広がって空間44を形成している。したがって、空間44では、紙面と平行方向への線状体2の動作は貫通孔41によって制限されない。
【0050】
一方、入出力ポート42および空間44では、紙面と垂直方向の貫通孔41の高さは線状体2の直径よりもわずかに大きく、たとえば線状体2の直径の105%〜120%であり、紙面と垂直方向への線状体2の動作は貫通孔41によって制限されている。すなわち、入出力ポート42および空間44では、線状体2の長手軸方向に垂直な断面における貫通孔3の断面形状は、図14に示すように、長方形状である。このようにして、貫通孔41の内部における線状体2の湾曲方向を規定するとともに、線状体2に長手軸方向の挿入荷重Fiが作用したときに線状体2が湾曲する位置を定めている。
【0051】
図13に示すように、線状体2に長手軸方向の挿入荷重Fiが作用すると、貫通孔41の内部の空間44において所定の方向へ、すなわち空間44において線状体2が沿っていない壁側へ向かって、線状体2が湾曲する。線状体2の湾曲に伴い、湾曲の山の高さh、すなわち線状体2が沿っていた壁面から線状体2までの距離が増加する。本体部40には、湾曲の山の高さhを検出するための光学式のラインセンサ45が埋設されている。
【0052】
ラインセンサ45は、図15に示すように、線状体2の湾曲の高さhの方向に配列された複数の受光素子45aを有するアレイセンサである。貫通孔41の空間44を介してラインセンサ45の反対側に光源器46が本体10に埋設されている。光源器46は、空間44を介してラインセンサ45に照明光を出射する。
【0053】
光源器46から出射された照明光は、線状体2のない領域ではラインセンサ45に入射するが、線状体2のある部分では線状体2で遮られてラインセンサ45に入射しない。換言すると、ラインセンサ45に線状体2の影ができる。照明光が入射した受光素子45aでは大きな光電流が発生し、線状体2の影に位置する受光素子45aでは光電流はほとんど発生しない。したがって、各受光素子45aの光電流を検出することにより、線状体2の空間44内の位置すなわち線状体2の湾曲の高さhを求めることができる。
【0054】
挿入荷重検出装置には、さらに、記憶部47および信号発生部48が設けられている。記憶部47には、線状体2の湾曲の高さhと挿入荷重Fiとの相関を示すテーブルが格納されている。信号発生部48は、各受光素子45aの光電流を検出することにより、線状体2の湾曲の高さhを求め、記憶部47のテーブルを参照してその高さhに対する挿入荷重Fiを求め、その挿入荷重Fiを示す信号φFiを図6の演算処理装置15に出力する。図6の演算処理装置15は、信号発生部48からの信号φFiに基づいて先端荷重Foを求める。
【0055】
この実施の形態7でも、線状体2の挿入荷重Fiを容易に検出することができる。
[実施の形態8]
図16は、この発明の実施の形態8による挿入荷重検出装置の要部を示す断面図であって、図13と対比される図である。図16において、この挿入荷重検出装置は本体部50を備え、本体部50には線状体2が挿通される貫通孔51が形成されている。線状体2の一方端が操作者の手で操作され、線状体2の他方端は、人体の管内に挿入された中空チューブ1内に挿入される。
【0056】
貫通孔51の両端の開口部の各々には、線状体2を挿抜し易くするために、テーパ状の入出力ポート52が形成されている。貫通孔51の直径は線状体2の直径よりもわずかに大きく、たとえば線状体2の直径の105%〜120%である。貫通孔51は、長さ方向の中央部で円弧状に曲げられており、線状体2は曲がりながら貫通孔51を貫通している。貫通孔51の中央部の円弧をなす部分の外周側(図16では上側)に、弾性部材53が埋設されており、弾性部材53内には歪センサ54が設けられている。
【0057】
線状体2は曲げられて貫通孔51に挿入されているので、線状体2に挿入荷重Fiが作用すると、円弧状に湾曲された中央部が、さらに曲がろうとし、弾性部材53を介して歪センサ54に圧力を加える。したがって、歪センサ54の出力信号から、線状体2の挿入荷重Fiを検出することができる。図6の演算処理装置15は、歪センサ54から挿入荷重Fiを求め、その挿入荷重Fiに基づいて先端荷重Foを求める。
【0058】
この実施の形態8でも、線状体2の挿入荷重Fiを容易に検出することができる。
[実施の形態9]
図17は、この発明の実施の形態9による医療機器の構成を示すブロック図である。図17において、カテーテル3の先端は人体55の足の付け根の動脈に挿入され、たとえば脳動脈瘤4の入口に誘導されている。カテーテル3の基端はYコネクタ8の出口8aに接続されている。Yコネクタ8の一方の入口8bには、挿入荷重検出装置56が取り付けられ、他方の入口8cからカテーテル3内に生理食塩水が注入される。
【0059】
挿入荷重検出装置56としては、たとえば実施の形態7,8で示したものが使用される。挿入荷重検出装置56とYコネクタ8を一体的に形成してもよい。線状体2は、挿入荷重検出装置56およびYコネクタ8を介してカテーテル3内に挿入される。線状体2の曲がり具合は、たとえば実施の形態3,4で示した方法で求められる。
【0060】
挿入荷重検出装置56の出力信号は、ケーブル57を介して操作装置58に与えられる。操作装置58には、表示器59、スピーカ60、および切換スイッチ61が接続されている。操作装置58は、挿入荷重検出装置56の出力信号、線状体2の曲がり具合などから線状体2の先端荷重Foを求める。
【0061】
表示器59は、先端荷重Foまたは挿入荷重Fiを数字などで視覚的に表示する。スピーカ60は、先端荷重Foまたは挿入荷重Fiを音程、音量などで聴覚的に知らせる。切換スイッチ61は、表示器59およびスピーカ60に、先端荷重Foおよび挿入荷重Fiのうちのいずれを表示または報知させるかを切換えるものである。医師は、表示器59の表示を見て、あるいはスピーカ60からの音を聞いて、先端荷重Foまたは挿入荷重Fiを知ることができ、それに基づいて線状体2を操作する。
【0062】
[実施の形態10]
図18は、この発明の実施の形態9による医療訓練機器の構成を示すブロック図であって、図17と対比される図である。図18において、この医療訓練機器では、人体55の代わりにシミュレータ62が使用される。シミュレータ62は、線状体2が挿入されている人体の管のX線透視画像と同等の模擬透視画像をモニタ63に表示する。線状体2は、たとえば、先端が脳動脈瘤7の入口に配置されたカテーテル3内に挿入される塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5である。シミュレータ62は、挿入された線状体2に対して、挿入抵抗を変化させる。操作時の抵抗力、すなわち線状体2の挿入荷重Fiは、ケーブル64を介してシミュレータ62にも伝えられる。シミュレータ62は、挿入荷重Fiに応じて線状体2の挿入抵抗を変化させる。
【0063】
訓練している術者は、モニタ63に表示された模擬透視画像と、表示器59に表示された挿入荷重Fiまたは先端荷重Foとを見ながら、さらに、挿入荷重Fiまたは先端荷重Foを示すスピーカ60の音を聞きながら線状体2を操作する。操作中の模擬透視画像、挿入荷重Fi、および先端荷重Foは映像記録装置(図示せず)内の映像記録媒体に記録される。この記録は、術者の訓練や評価に利用される。また、映像記録媒体には、熟練者がシュミレータ62において線状体2を操作したときの模擬透視画像、挿入荷重Fi、先端荷重Fo、および熟練者の解説が記録される。経験の浅い術者は、熟練者の操作記録を再生して熟練者の手技を学ぶことができる。
【0064】
この実施の形態10では、熟練操作者の手技を定量化し、経験の少ない操作者へ伝授することができ、経験の少ない操作者の手技を早期に向上させることができる。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の実施の形態1による荷重検出方法を示す図である。
【図2】図1に示した中空チューブと線状体の接触点を示す図である。
【図3】図2に示した接触点に作用する力のバランスを示す図である。
【図4】図1〜図3で説明した荷重検出方法で求めた先端荷重と実測値とを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2による荷重検出方法を示す図である。
【図6】図5に示した荷重検出方法を実施する荷重検出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3による荷重検出方法を示す図である。
【図8】図7に示した3次元血管画像から先端荷重を求める方法を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態4による荷重検出方法を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態5による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態6による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態7による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の本体部を示す図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV線断面図である。
【図15】図12に示した挿入荷重検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態8による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態9による医療機器の構成を示すブロック図である。
【図18】この発明の実施の形態10による医療訓練機器の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
1 中空チューブ、2 線状体、3 カテーテル、4 塞栓用コイル、5 デリバリーワイヤ、6 脳動脈、7 脳動脈瘤、8 Yコネクタ、10 X線撮影装置、11 画像合成装置、12 曲がり具合検出装置、13,56 挿入荷重検出装置、14 記憶装置、15 演算処理装置、16 表示装置、20 大動脈、21 頚動脈、22 椎骨動脈、23 血管、24 X線透視2次元画像、25 3次元血管画像、26 経路、27 3次元画像、30 押さえローラ、31 駆動ローラ、32 モータ、33 トルク制御回路、34 トルクセンサ、40,50 本体部、41,51 貫通孔、42,52 入出力ポート、43 拘束部、44 空間、45 ラインセンサ、46 光源器、47 記憶部、48 信号発生部、53 弾性部材、54 歪センサ、55 人体、57,64 ケ
ーブル、58 操作装置、59 表示器、60 スピーカ、61 切換スイッチ、62 シミュレータ、63 モニタ。
【技術分野】
【0001】
この発明は荷重検出装置および荷重検出方法に関し、特に、屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置および荷重検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、血管、尿管、気管支、消化管あるいはリンパ管などの体内の管内に挿入する線状の医療器具として、カテーテルが実用化されている。カテーテルを用いた治療方法としては、たとえば、中空チューブであるカテーテルの先端を体外から血管内を介して脳動脈瘤の入口に誘導した後、可撓性を有する線状体である塞栓用コイルおよびデリバリーワイヤをカテーテル内に挿入し、塞栓用コイルを脳動脈瘤内に詰め込んで脳動脈瘤の破裂を防止する方法がある。しかし、塞栓用コイルおよびデリバリーワイヤによって過度の荷重が脳動脈瘤に作用すると、脳動脈瘤が損傷する恐れがある。
【0003】
また、カテーテルの先端の荷重を検出する方法として、カテーテルの先端に圧力センサを設ける方法がある(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−263089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、細い塞栓用コイルの先端に圧力センサを設け、圧力センサの信号を外部に取り出すための信号線を塞栓用コイル内に通すことは極めて困難である。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、細い線状体の先端に作用する荷重を容易に検出することが可能な荷重検出装置および荷重検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る荷重検出装置は、屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置であって、管、中空チューブ、または線状体の曲がり具合を検出する第1の検出手段と、中空チューブの入口に線状体を挿入する荷重を検出する第2の検出手段と、第1および第2の検出手段の検出結果に基づいて、線状体の先端に作用する荷重を求める演算手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、第1の検出手段は、管、中空チューブ、または線状体の画像に基づいて、管、中空チューブ、または線状体の曲がり具合を検出する。
【0008】
また好ましくは、演算手段は、さらに線状体および中空チューブ間の摩擦係数に基づいて、線状体の先端に作用する荷重を求める。
【0009】
また好ましくは、演算手段は、線状体の曲げ剛性が線状体の位置に応じて変化する場合は、線状体の位置に対する曲げ剛性の変化度合いに基づいて摩擦係数を補正する。
【0010】
また好ましくは、摩擦係数は予め測定されている。
また好ましくは、管は血管であり、中空チューブはカテーテルであり、線状体はカテーテル内に挿入される治療用ワイヤである。
【0011】
また好ましくは、治療用ワイヤは、デリバリーワイヤと、該デリバリーワイヤの先端部に設けられ、脳動脈瘤内に詰め込むための塞栓用コイルとを含む。
【0012】
また好ましくは、第1の検出手段は、塞栓用コイルの先端が脳動脈瘤に入ったときに治療用ワイヤの曲がり具合を検出し、演算部は、塞栓用コイルが脳動脈瘤に作用する荷重を求める。
【0013】
また好ましくは、第1の検出手段は、血管の3次元画像に基づいて、血管の曲がり具合を検出する。
【0014】
また好ましくは、第1の検出手段は、手術中にX線を用いて撮影される治療用ワイヤの2次元画像と、予め撮影された血管の3次元画像とを重ね合わせて、治療用ワイヤの曲がり具合を検出する。
【0015】
また好ましくは、中空チューブの入口に線状体を挿入する駆動手段を備え、第2の検出手段は、駆動手段の駆動力に基づいて、線状体を挿入する荷重を検出する。
【0016】
また好ましくは、中空チューブの入口に線状体を挿入するための駆動ローラと、回転自在に支持され、線状体を介して駆動ローラに押圧される押さえローラと、駆動ローラを回転駆動させるモータとを備え、第2の検出手段は、モータの回転軸の歪を検出し、その検出結果に基づいて、線状体を挿入する荷重を検出する。
【0017】
また好ましくは、第2の検出手段は、線状体を挿通させる貫通孔と、貫通孔の途中に設けられ、線状体に圧縮力が作用したときに線状体が所定の方向へ湾曲し得るように形成された内部空間とを有する本体部と、内部空間における線状体の湾曲の度合いを検出する湾曲センサとを含み、湾曲センサによって検出された湾曲の度合いに基づいて、線状体を挿入する荷重を検出する。
【0018】
また好ましくは、第2の検出手段は、線状体を挿通させるとともに、線状体に圧縮力が作用したときに線状体が所定の方向へ圧力を加えるように曲げられて形成された貫通孔を有する本体部と、貫通孔の途中に設けられ、線状体によって所定の方向に加えられた圧力を検出する圧力センサとを含み、圧力センサの検出結果に基づいて、線状体を挿入する荷重を検出する。
【0019】
また好ましくは、さらに、第2の検出手段によって検出された線状体を挿入する荷重と、演算手段によって求められた線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を視覚的に表示する表示手段を備える。
【0020】
また好ましくは、さらに、第2の検出手段によって検出された線状体を挿入する荷重と、演算手段によって求められた線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を示す音響を発生する音響発生手段を備える。
【0021】
また好ましくは、さらに、第2の検出手段によって検出された線状体を挿入する荷重と、演算手段によって求められた線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を、線状体の先端部のX線透視画像とともに映像記録媒体に記録する記録手段を備える。
【0022】
また好ましくは、荷重検出装置は医療用訓練装置に組み込まれている。
また、この発明に係る荷重検出方法は、屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置であって、管、中空チューブ、または線状体の曲がり具合と中空チューブの入口に線状体を挿入する荷重とを検出し、その検出結果に基づいて、線状体の先端に作用する荷重を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係る荷重検出装置および荷重検出方法では、管、中空チューブ、または線状体の曲がり具合と中空チューブの入口に線状体を挿入する荷重とを検出し、その検出結果に基づいて、線状体の先端に作用する荷重を求める。したがって、線状体が細い場合でも、線状体の先端に作用する荷重を容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による荷重検出方法を示す図である。図1において、屈曲した体内の管(図示せず)内に中空チューブ1が挿入されており、その中空チューブ1の入口から可撓性を有する線状体2を挿入しているものとする。この荷重検出方法では、中空チューブ1の入口に線状体2を挿入する荷重Fiを検出するとともに、中空チューブ1または線状体2の画像を撮影し、その画像から中空チューブ1または線状体2の曲がり具合(たとえばΔθ/ΔL)を検出し、検出した挿入荷重Fiおよび曲がり具合に基づいて、線状体2の先端の荷重Foを演算する。
【0025】
すなわち図2に示すように、中空チューブ1の内壁と線状体2が点Pの1箇所で接触している場合、線状体2を図中A方向に移動させると、線状体2の垂直抗力Fhによって、中空チューブ1の内壁と線状体2との間に摩擦力Ffが発生する。この垂直抗力Fhおよび摩擦力Ffと、線状体2の入力荷重Fiおよび出力荷重Foとは、図3に示すような関係にある。入力荷重Fiおよび出力荷重Foは、点Pの前後の線状体2に作用する荷重である。点Pにおける線状体2および中空チューブ1間の角度をαとすると、これらの力Fh,Ff,Fi,Foのバランスから次式(1)(2)が成り立つ。
−Ff=Fo・cosα−Fi・cosα …(1)
Fh=Fo・sinα+Fi・sinα …(2)
ここで、摩擦係数をμとすれば、Ff=μ・Fhとなる。また、角度αは、図2に示すΔθに相当するので、次式(3)に示すように曲率半径RとΔsから計算できる。
|R|/Δs=1/tanα …(3)
数式(1)〜(3)をまとめると、Fo,Fi,R,Δs,μの関係は次式(4)で表わされる。
(−μ/|R|)・Δs・(Fo+Fi)=Fo−Fi …(4)
今、線状体2の挿入端から点Pまでの距離をsとし、点Pにおいて線状体2に作用する荷重をF(s)とし、点Pからの微小距離をΔsとすると、Fi,Foはそれぞれ次式(5)(6)で表わされる。
Fi=F(s) …(5)
Fo=F(s+Δs) …(6)
ここで、数式(5)(6)を数式(4)に代入し、距離sの位置Pでの曲率半径をR(s)とすれば、次式(7)が得られる。
(−μ/|R(s)|)・Δs・{F(s+Δs)+F(s)}=F(s+Δs)−F(s) …(7)
さらに、Δsを0に近づけると、次式(8)の微分方程式が得られ、その微分方程式を解くと、点Pの微小距離dsにおけるFoとFiの関係を示す次式(9)が得られる。
dF(s)/ds=−(2μ/|R(s)|)・F(s) …(8)
Fo=Fi・exp(−2μ∫(1/|R(s)|)ds) …(9)
数式(9)を用いれば、摩擦個所が連続していても積分範囲を指定することでFoを求めることができる。中空チューブ1であるカテーテル内に線状体2を挿入する場合は、中空チューブ1の内径と線状体2の外径との差が小さいので、線状体2は中空チューブ1の内壁に連続的に接触していると考えることができ、都合がよい。
【0026】
さらに、dsが0に近いとき、tan(dθ)をdθに近似できるので、R(s),ds,dθは次式(10)の関係となる。ここで、dθをθ(s,s+ds)と記述し、sからs+dsの間の角度を示すものとする。数式(10)を数式(9)に挿入すると、次式(11)が得られる。
1/|R(s)|・ds=|θ(s,s+ds)| …(10)
Fo=Fi・exp(−2μ∫(|θ(s,s+ds)|/ds)ds) …(11)
この数式(11)において、∫(|θ(s,s+ds)|/ds)dsは、中空チューブ1の入口から先端までにおいて、線状体2または中空チューブ1に対して微小長さdsで区切った微小角度θ(s,s+ds)をその微小長さdsで割り、微小長さdsで積分するため、その結果は、線状体2または中空チューブ1の曲がり具合の総和θとなる。この数式(11)に基づき、中空チューブ1の入口から先端までにおいて、線状体2または中空チューブ1の曲がり具合の総和θと、線状体2の挿入荷重Fiから、線状体2の先端の荷重Foを求めることができる。摩擦係数μは、中空チューブ1と線状体2の組み合わせで異なる可能性があるので、組合せ毎に予め測定しておき、使用する中空チューブ1と線状体2に応じて、選択して使用すればよい。
【0027】
図4は、線状体2の挿入荷重FiをFi0,Fi1,Fi2(ただし、Fi0<Fi1<Fi2である)の3段階で変えた場合における中空チューブ1の曲がり具合の総和θ(rad)と線状体2の先端荷重Fo(N)との関係を示す図である。ここでは、中空チューブ1として内径φ0.56mmのカテーテルを使用し、線状体2として外径φ0.25mmの脳動脈瘤塞栓用コイルを使用した。図4中の3本の曲線は次式(12)を用いて計算した値を示し、各点は測定値である。
Fo=(Fi−β(θ))・(exp(−2μθ)−C) …(12)
数式(12)は、数式(11)を補正した式である。β(θ)はθによって、入力荷重Fiを補正する関数であり、Cは線状体2が真直ぐな場合(θ=0)における摩擦の影響を補正する一定値である。
【0028】
図4から分かるように、計算値と測定値はほぼ一致した。挿入荷重Fiを一定にした場合は、カテーテルの曲がり具合の総和θ(rad)が増加すると先端荷重Fo(N)は減少した。また、カテーテルの曲がり具合の総和θ(rad)を一定にした場合は、挿入荷重Fi(N)が増大すると先端荷重Fo(N)も増大した。
【0029】
また、たとえば、デリバリーワイヤはコイル先端に近いところで細くなるなど、線状体2の曲げ剛性が線状体2の位置に対して均一ではなく変化する部分がある。そのような曲げ剛性が変化する位置では曲げ剛性の小さい側の方が大きく曲がろうとし、中空チューブ1に及ぼす垂直抗力Fhが大きくなる。その場合には、線状体2の位置における曲げ剛性EIおよび曲げ剛性EIの変化によって、数式(12)を次式(13)のように補正する。この場合は、等価なμを補正すればよい。したがって、摩擦係数μを曲げ剛性EI(s)、曲げ剛性変化dEI(s)/ds、およびR(s)の関数とし、この関数を事前に実験で求めておく。
Fo=Fi・exp(−2∫μ(EI(s),dEI(s)/ds,R(s))・|R(s)|ds) …(13)
この実施の形態1では、中空チューブ1または線状体2の曲がり具合θと中空チューブ1の入口に線状体2を挿入する荷重Fiとを検出し、その検出結果に基づいて、線状体2の先端に作用する荷重Foを求める。したがって、細い線状体2の先端に作用する荷重Foを容易に検出することができる。よって、線状体2の先端荷重Foの検出値に基づいて、医師である術者が線状体2を正確に操作することが可能となり、線状体2の先端で脳動脈瘤などを損傷するような医療事故の発生が防止される。また、先端に圧力センサを付ける必要がないので、従来の線状体2をそのまま使用することでき、低コストで検出することができる。
【0030】
[実施の形態2]
図5は、この発明の実施の形態2による荷重検出方法を示す図である。この実施の形態2は、実施の形態1の荷重検出方法を脳動脈瘤の塞栓治療に適用したものである。図5において、中空チューブ1としてカテーテル3が使用され、可撓性を有する線状体2として塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5が使用されている。塞栓用コイル4の基端は、デリバリーワイヤ5の先端に結合されている。患者の脳動脈6の一部に脳動脈瘤7が発生している。カテーテル3の先端は、体外から患者の動脈に挿入され、脳動脈6を介して脳動脈瘤7の入口に誘導されている。カテーテル3の基端は、Yコネクタ8の出口8aに接続されている。ガイドワイヤ(図示せず)を用いてカテーテル3の先端を脳動脈瘤7の入口に誘導した後、Yコネクタ8の入口8bから塞栓用コイル4の先端を挿入する。塞栓用コイル4に続いてデリバリーワイヤ5をYコネクタ8の入口8bから挿入し、カテーテル3を介して塞栓用コイル4を脳動脈瘤7内に詰め込む。このとき実施の形態1で示した方法で、塞栓用コイル4の先端に作用している荷重Foを検出しながら、デリバリーワイヤ5を挿入する。手術中は、Yコネクタ8のもう1つの入口8cからカテーテル3内に生理食塩水を注入する。塞栓用コイル4を脳動脈瘤7内に収納した後、デリバリーワイヤ5を塞栓用コイル4から切り離し、カテーテル3とデリバリーワイヤ5を体外に抜き取って手術は終了する。
【0031】
このような脳動脈瘤7の塞栓治療は、X線撮影装置で人体を透視しながら行なわれる。カテーテル3は樹脂で形成されているのでX線透視画像に写らないが、塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5は金属で形成されているのでX線透視画像に写る。X線透視画像は通常2次元画像であるが、脳動脈瘤7の塞栓治療では、脳動脈瘤7内の塞栓用コイル4の状態を観察するために、X線撮影装置は回転式となっており、回転しながら撮影した複数の2次元透視画像から、3次元画像を生成することが可能である。
【0032】
脳動脈瘤7の塞栓治療においては、血管壁が薄くて脆い脳動脈瘤7の中に、脳動脈瘤7が破裂しないように塞栓用コイル4を詰める必要があるので、塞栓用コイル4が脳動脈瘤7に作用する力Foを測定することが望まれている。本実施の形態2では、X線透視画像からカテーテル3内における塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5の曲がり具合θを積算し、デリバリーワイヤ5を挿入する荷重Fiを計測して、塞栓用コイル4が脳動脈瘤7に作用する力Foを推定する。
【0033】
図6は、この実施の形態2の荷重検出方法を実施するための荷重検出装置の構成を示すブロック図である。図6において、この荷重検出装置は、X線撮影装置10、画像合成装置11、曲がり具合検出装置12、挿入荷重検出装置13、記憶装置14、演算処理装置15、および表示装置16を備える。
【0034】
X線撮影装置10は、患者の周囲を回転しながら複数の2次元透視画像を撮影する。画像合成装置11は、X線撮影装置10によって撮影された2次元画像からから3次元画像を生成する。曲がり具合検出装置12は、画像合成装置11によって生成された3次元画像に基づき、塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5の曲がり具合θを検出する。挿入荷重検出装置13は、デリバリーワイヤ5を挿入する荷重Fiを検出する。記憶装置14には、予め測定された塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5とカテーテル3との摩擦係数μが記憶されている。
【0035】
演算処理装置15は、曲がり具合検出装置12で検出された塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5の曲がり具合θと、挿入荷重検出装置13によって検出されたデリバリーワイヤ5の挿入荷重Fiと、記憶装置14に記憶された摩擦係数μとに基づいて、塞栓用コイル4が脳動脈瘤4に作用する先端荷重Foを演算する。この演算方法は、実施の形態1で説明した通りである。表示装置16は、先端荷重Foを表示する。医者は、表示装置16に表示された先端荷重Foを見ながら塞栓治療を行なう。
【0036】
[実施の形態3]
実施の形態2では、コイル塞栓中にデリバリーワイヤ5などの曲がり具合を求めたが、本実施の形態3では、治療前にデリバリーワイヤ5などの曲がり具合を求める。脳動脈瘤7のコイル塞栓治療では、治療前に脳動脈瘤7の大きさや、その存在を確認するために、X線CT(コンピュータ断層撮影装置)やMRI(核磁気共鳴装置)を用いて、図7に示すような3次元の血管画像を撮影する。
【0037】
治療において、カテーテル3は、大腿部の付け根の動脈から挿入され、大動脈20から頚動脈21(または椎骨動脈22)および脳動脈6を経由して脳動脈瘤7まで送られる。カテーテル3は、血管に沿って屈曲するため、その中を通過する塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5の屈曲もほぼ血管の屈曲と等しくなる。したがって、脳動脈瘤7までの血管経路の曲がり具合を用いることで、実施の形態2と同様に塞栓用コイル4が脳動脈瘤7に作用する力を推測することができる。
【0038】
すなわち、図7に示すような3次元血管画像を取得した後、医師が脳動脈瘤7の位置(カテーテル先端位置Po)と画像上で見えているカテーテル3の通過する最下部(たとえば、大動脈20)の位置(カテーテル挿入位置Pi)とを指定する。足の付け根の動脈から大動脈20までは脳動脈6に比べて血管径が広く、ほとんど真直ぐであり、患者毎に大きな差がないため、先端荷重Foの推定においては、この範囲の摩擦は、ゼロとするか、一定とすれば十分である。次に、図8に示すように、医師が選択した脳動脈瘤7と大動脈20の間の血管23を抽出する。この血管23の経路において、血管23の中心線23aを求め、たとえば所定の間隔wで中心線23aの曲がり具合θiを求め、θiを積算する(Σθi)ことで、塞栓用コイル4が脳動脈瘤7に作用する力Foを推定することができる。
【0039】
なお、本実施の形態3では、血管23の経路を抽出した後に、血管23の中心線23aを求めたが、血管全体の中心線を先に画像処理で求め、その中心線の経路から、カテーテル3の通る血管経路を求めてもよい。
【0040】
[実施の形態4]
図9は、この発明の実施の形態4による荷重検出方法を示すブロック図である。この荷重検出方法では、線状体2の挿入途中で先端荷重Foを検出する。図9において、線状体2の人体への挿入は、医師がX線透視2次元画像24を観察しながら行なう。X線透視2次元画像24では、線状体2の3次元的な曲がり具合を見ることはできない。
【0041】
しかしながら、X線透視2次元画像24と手術前に撮影した3次元血管画像25と組み合わせることで、線状体2の3次元の曲がり具合を推定することができる。線状体2は血管23内に挿入され、しかも挿入口から目的地(脳動脈瘤4)までの経路26が分かっているので、X線透視2次元画像24と3次元血管画像25をマッチングすることで、3次元血管画像25における線状体2の位置が分かる。したがって、血管23の3次元の曲がり具合を用いることで、線状体2の3次元の曲がり具合θが分かる。よって、人体への線状体2の挿入中においても、線状体2の先端の荷重Foを推定することができる。
【0042】
[実施の形態5]
図10は、この発明の実施の形態5による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示すブロック図である。図10において、挿入荷重検出装置は、押さえローラ30、駆動ローラ31、モータ32、およびトルク制御回路33を含む。ローラ30,31の各々の外周部はゴムのような弾性体で形成されている。押さえローラ30は、回転自在に支持されるとともに、駆動ローラ31側に所定の圧力で押圧されている。したがって、押さえローラ30は、駆動ローラ31に従動する。
【0043】
デリバリーワイヤ5などの線状体2は、ローラ30,31の間を介して中空チューブ1内に挿入される。駆動ローラ31は、モータ32によって回転駆動される。トルク制御回路33は、トルク指令値に従って駆動電流をモータ32に供給するとともに、駆動電流値を示す信号を挿入荷重Fiの代わりに図6の演算処理装置15に出力する。
【0044】
トルク制御回路33からモータ32に駆動電流が供給されると、モータ32によってローラ30,31が低速で回転駆動され、線状体2が中空チューブ1内に挿入される。図6の演算処理装置15は、トルク制御回路33からの信号に基づいて線状体2の挿入荷重Fiを演算し、その挿入荷重Fiを用いて先端荷重Foを求める。
【0045】
この実施の形態5では、線状体2の挿入荷重Fiを容易に検出することができる。
[実施の形態6]
図11は、この発明の実施の形態6による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示すブロック図であって、図10と対比される図である。図11において、この挿入荷重検出装置が実施の形態5の挿入荷重検出装置と異なる点は、モータ32の回転軸と駆動ローラ31の回転軸との間にトルクセンサ34が設けられている点である。トルクセンサ34としては、歪みゲージや、磁歪式のトルクセンサが用いられる。トルクセンサ34は、モータ32の回転軸と駆動ローラ31の回転軸とを結合する軸の歪を検出し、その検出値を示す信号を挿入荷重Fiの代わりに図6の演算処理装置15に出力する。
【0046】
モータ32に駆動電流が供給されると、モータ32によってローラ30,31が低速で回転駆動され、線状体2が中空チューブ1内に挿入される。図6の演算処理装置15は、トルクセンサ34からの信号に基づいて線状体2の挿入荷重Fiを演算し、その挿入荷重Fiを用いて先端荷重Foを求める。
【0047】
この実施の形態6でも、線状体2の挿入荷重Fiを容易に検出することができる。
[実施の形態7]
図12は、この発明の実施の形態7による挿入荷重検出装置の要部の外観を示す図であり、図13は図12のXIII−XIII線断面図であり、図14は図12のXIV−XIV線断面図である。図12〜図14において、この挿入荷重検出装置は本体部40を備え、本体部40には線状体2が挿通される貫通孔41が形成されている。線状体2の一方端が操作者の手で操作され、線状体2の他方端は、人体の管内に挿入された中空チューブ1内に挿入される。
【0048】
貫通孔41の両端の開口部の各々には、線状体2を挿抜し易くするために、テーパ状の入出力ポート42が形成されている。入出力ポート42の奥の拘束部43では、貫通孔41の直径は線状体2の直径よりもわずかに大きく、たとえば線状体2の直径の105%〜120%である。したがって、線状体2は、拘束部43においては長手軸方向以外の方向に移動することはできない。
【0049】
本体部40は、線状体2に長手軸方向の挿入荷重Fiが作用するときに、貫通孔41の内部における線状体2の湾曲方向を規定する。すなわち、貫通孔41は、2つの拘束部43の間で曲がっており、線状体2は一方の壁に沿って曲がりながら貫通孔41を貫通している。また貫通孔41は、2つの拘束部43の間で、線状体2が沿っていない壁側に広がって空間44を形成している。したがって、空間44では、紙面と平行方向への線状体2の動作は貫通孔41によって制限されない。
【0050】
一方、入出力ポート42および空間44では、紙面と垂直方向の貫通孔41の高さは線状体2の直径よりもわずかに大きく、たとえば線状体2の直径の105%〜120%であり、紙面と垂直方向への線状体2の動作は貫通孔41によって制限されている。すなわち、入出力ポート42および空間44では、線状体2の長手軸方向に垂直な断面における貫通孔3の断面形状は、図14に示すように、長方形状である。このようにして、貫通孔41の内部における線状体2の湾曲方向を規定するとともに、線状体2に長手軸方向の挿入荷重Fiが作用したときに線状体2が湾曲する位置を定めている。
【0051】
図13に示すように、線状体2に長手軸方向の挿入荷重Fiが作用すると、貫通孔41の内部の空間44において所定の方向へ、すなわち空間44において線状体2が沿っていない壁側へ向かって、線状体2が湾曲する。線状体2の湾曲に伴い、湾曲の山の高さh、すなわち線状体2が沿っていた壁面から線状体2までの距離が増加する。本体部40には、湾曲の山の高さhを検出するための光学式のラインセンサ45が埋設されている。
【0052】
ラインセンサ45は、図15に示すように、線状体2の湾曲の高さhの方向に配列された複数の受光素子45aを有するアレイセンサである。貫通孔41の空間44を介してラインセンサ45の反対側に光源器46が本体10に埋設されている。光源器46は、空間44を介してラインセンサ45に照明光を出射する。
【0053】
光源器46から出射された照明光は、線状体2のない領域ではラインセンサ45に入射するが、線状体2のある部分では線状体2で遮られてラインセンサ45に入射しない。換言すると、ラインセンサ45に線状体2の影ができる。照明光が入射した受光素子45aでは大きな光電流が発生し、線状体2の影に位置する受光素子45aでは光電流はほとんど発生しない。したがって、各受光素子45aの光電流を検出することにより、線状体2の空間44内の位置すなわち線状体2の湾曲の高さhを求めることができる。
【0054】
挿入荷重検出装置には、さらに、記憶部47および信号発生部48が設けられている。記憶部47には、線状体2の湾曲の高さhと挿入荷重Fiとの相関を示すテーブルが格納されている。信号発生部48は、各受光素子45aの光電流を検出することにより、線状体2の湾曲の高さhを求め、記憶部47のテーブルを参照してその高さhに対する挿入荷重Fiを求め、その挿入荷重Fiを示す信号φFiを図6の演算処理装置15に出力する。図6の演算処理装置15は、信号発生部48からの信号φFiに基づいて先端荷重Foを求める。
【0055】
この実施の形態7でも、線状体2の挿入荷重Fiを容易に検出することができる。
[実施の形態8]
図16は、この発明の実施の形態8による挿入荷重検出装置の要部を示す断面図であって、図13と対比される図である。図16において、この挿入荷重検出装置は本体部50を備え、本体部50には線状体2が挿通される貫通孔51が形成されている。線状体2の一方端が操作者の手で操作され、線状体2の他方端は、人体の管内に挿入された中空チューブ1内に挿入される。
【0056】
貫通孔51の両端の開口部の各々には、線状体2を挿抜し易くするために、テーパ状の入出力ポート52が形成されている。貫通孔51の直径は線状体2の直径よりもわずかに大きく、たとえば線状体2の直径の105%〜120%である。貫通孔51は、長さ方向の中央部で円弧状に曲げられており、線状体2は曲がりながら貫通孔51を貫通している。貫通孔51の中央部の円弧をなす部分の外周側(図16では上側)に、弾性部材53が埋設されており、弾性部材53内には歪センサ54が設けられている。
【0057】
線状体2は曲げられて貫通孔51に挿入されているので、線状体2に挿入荷重Fiが作用すると、円弧状に湾曲された中央部が、さらに曲がろうとし、弾性部材53を介して歪センサ54に圧力を加える。したがって、歪センサ54の出力信号から、線状体2の挿入荷重Fiを検出することができる。図6の演算処理装置15は、歪センサ54から挿入荷重Fiを求め、その挿入荷重Fiに基づいて先端荷重Foを求める。
【0058】
この実施の形態8でも、線状体2の挿入荷重Fiを容易に検出することができる。
[実施の形態9]
図17は、この発明の実施の形態9による医療機器の構成を示すブロック図である。図17において、カテーテル3の先端は人体55の足の付け根の動脈に挿入され、たとえば脳動脈瘤4の入口に誘導されている。カテーテル3の基端はYコネクタ8の出口8aに接続されている。Yコネクタ8の一方の入口8bには、挿入荷重検出装置56が取り付けられ、他方の入口8cからカテーテル3内に生理食塩水が注入される。
【0059】
挿入荷重検出装置56としては、たとえば実施の形態7,8で示したものが使用される。挿入荷重検出装置56とYコネクタ8を一体的に形成してもよい。線状体2は、挿入荷重検出装置56およびYコネクタ8を介してカテーテル3内に挿入される。線状体2の曲がり具合は、たとえば実施の形態3,4で示した方法で求められる。
【0060】
挿入荷重検出装置56の出力信号は、ケーブル57を介して操作装置58に与えられる。操作装置58には、表示器59、スピーカ60、および切換スイッチ61が接続されている。操作装置58は、挿入荷重検出装置56の出力信号、線状体2の曲がり具合などから線状体2の先端荷重Foを求める。
【0061】
表示器59は、先端荷重Foまたは挿入荷重Fiを数字などで視覚的に表示する。スピーカ60は、先端荷重Foまたは挿入荷重Fiを音程、音量などで聴覚的に知らせる。切換スイッチ61は、表示器59およびスピーカ60に、先端荷重Foおよび挿入荷重Fiのうちのいずれを表示または報知させるかを切換えるものである。医師は、表示器59の表示を見て、あるいはスピーカ60からの音を聞いて、先端荷重Foまたは挿入荷重Fiを知ることができ、それに基づいて線状体2を操作する。
【0062】
[実施の形態10]
図18は、この発明の実施の形態9による医療訓練機器の構成を示すブロック図であって、図17と対比される図である。図18において、この医療訓練機器では、人体55の代わりにシミュレータ62が使用される。シミュレータ62は、線状体2が挿入されている人体の管のX線透視画像と同等の模擬透視画像をモニタ63に表示する。線状体2は、たとえば、先端が脳動脈瘤7の入口に配置されたカテーテル3内に挿入される塞栓用コイル4およびデリバリーワイヤ5である。シミュレータ62は、挿入された線状体2に対して、挿入抵抗を変化させる。操作時の抵抗力、すなわち線状体2の挿入荷重Fiは、ケーブル64を介してシミュレータ62にも伝えられる。シミュレータ62は、挿入荷重Fiに応じて線状体2の挿入抵抗を変化させる。
【0063】
訓練している術者は、モニタ63に表示された模擬透視画像と、表示器59に表示された挿入荷重Fiまたは先端荷重Foとを見ながら、さらに、挿入荷重Fiまたは先端荷重Foを示すスピーカ60の音を聞きながら線状体2を操作する。操作中の模擬透視画像、挿入荷重Fi、および先端荷重Foは映像記録装置(図示せず)内の映像記録媒体に記録される。この記録は、術者の訓練や評価に利用される。また、映像記録媒体には、熟練者がシュミレータ62において線状体2を操作したときの模擬透視画像、挿入荷重Fi、先端荷重Fo、および熟練者の解説が記録される。経験の浅い術者は、熟練者の操作記録を再生して熟練者の手技を学ぶことができる。
【0064】
この実施の形態10では、熟練操作者の手技を定量化し、経験の少ない操作者へ伝授することができ、経験の少ない操作者の手技を早期に向上させることができる。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の実施の形態1による荷重検出方法を示す図である。
【図2】図1に示した中空チューブと線状体の接触点を示す図である。
【図3】図2に示した接触点に作用する力のバランスを示す図である。
【図4】図1〜図3で説明した荷重検出方法で求めた先端荷重と実測値とを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2による荷重検出方法を示す図である。
【図6】図5に示した荷重検出方法を実施する荷重検出装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3による荷重検出方法を示す図である。
【図8】図7に示した3次元血管画像から先端荷重を求める方法を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態4による荷重検出方法を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態5による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態6による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態7による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の本体部を示す図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【図14】図12のXIV−XIV線断面図である。
【図15】図12に示した挿入荷重検出装置の全体構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態8による荷重検出装置に含まれる挿入荷重検出装置の構成を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態9による医療機器の構成を示すブロック図である。
【図18】この発明の実施の形態10による医療訓練機器の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0067】
1 中空チューブ、2 線状体、3 カテーテル、4 塞栓用コイル、5 デリバリーワイヤ、6 脳動脈、7 脳動脈瘤、8 Yコネクタ、10 X線撮影装置、11 画像合成装置、12 曲がり具合検出装置、13,56 挿入荷重検出装置、14 記憶装置、15 演算処理装置、16 表示装置、20 大動脈、21 頚動脈、22 椎骨動脈、23 血管、24 X線透視2次元画像、25 3次元血管画像、26 経路、27 3次元画像、30 押さえローラ、31 駆動ローラ、32 モータ、33 トルク制御回路、34 トルクセンサ、40,50 本体部、41,51 貫通孔、42,52 入出力ポート、43 拘束部、44 空間、45 ラインセンサ、46 光源器、47 記憶部、48 信号発生部、53 弾性部材、54 歪センサ、55 人体、57,64 ケ
ーブル、58 操作装置、59 表示器、60 スピーカ、61 切換スイッチ、62 シミュレータ、63 モニタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに前記線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置であって、
前記管、前記中空チューブ、または前記線状体の曲がり具合を検出する第1の検出手段と、
前記中空チューブの入口に前記線状体を挿入する荷重を検出する第2の検出手段と、
前記第1および第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記線状体の先端に作用する荷重を求める演算手段とを備えることを特徴とする、荷重検出装置。
【請求項2】
前記第1の検出手段は、前記管、前記中空チューブ、または前記線状体の画像に基づいて、前記管、前記中空チューブ、または前記線状体の曲がり具合を検出することを特徴とする、請求項1に記載の荷重検出装置。
【請求項3】
前記演算手段は、さらに前記線状体および前記中空チューブ間の摩擦係数に基づいて、前記線状体の先端に作用する荷重を求めることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の荷重検出装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記線状体の曲げ剛性が前記線状体の位置に応じて変化する場合は、前記線状体の位置に対する曲げ剛性の変化度合いに基づいて前記摩擦係数を補正することを特徴とする、請求項3に記載の荷重検出装置。
【請求項5】
前記摩擦係数は予め測定されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の荷重検出装置。
【請求項6】
前記管は血管であり、
前記中空チューブはカテーテルであり、
前記線状体は前記カテーテル内に挿入される治療用ワイヤであることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項7】
前記治療用ワイヤは、デリバリーワイヤと、該デリバリーワイヤの先端部に設けられ、脳動脈瘤内に詰め込むための塞栓用コイルとを含むことを特徴とする、請求項6に記載の荷重検出装置。
【請求項8】
前記第1の検出手段は、前記塞栓用コイルの先端が脳動脈瘤に入ったときに前記治療用ワイヤの曲がり具合を検出し、
前記演算部は、前記塞栓用コイルが前記脳動脈瘤に作用する荷重を求めることを特徴とする、請求項7に記載の荷重検出装置。
【請求項9】
前記第1の検出手段は、前記血管の3次元画像に基づいて、前記血管の曲がり具合を検出することを特徴とする、請求項6から請求項8までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項10】
前記第1の検出手段は、手術中にX線を用いて撮影される前記治療用ワイヤの2次元画像と、予め撮影された血管の3次元画像とを重ね合わせて、前記治療用ワイヤの曲がり具合を検出することを特徴とする、請求項6から請求項8までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項11】
前記中空チューブの入口に前記線状体を挿入する駆動手段を備え、
前記第2の検出手段は、前記駆動手段の駆動力に基づいて、前記線状体を挿入する荷重を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項12】
前記中空チューブの入口に前記線状体を挿入するための駆動ローラと、
回転自在に支持され、前記線状体を介して前記駆動ローラに押圧される押さえローラと、
前記駆動ローラを回転駆動させるモータとを備え、
前記第2の検出手段は、前記モータの回転軸の歪を検出し、その検出結果に基づいて、前記線状体を挿入する荷重を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項13】
前記第2の検出手段は、
前記線状体を挿通させる貫通孔と、前記貫通孔の途中に設けられ、前記線状体に圧縮力が作用したときに前記線状体が所定の方向へ湾曲し得るように形成された内部空間とを有する本体部と、
前記内部空間における前記線状体の湾曲の度合いを検出する湾曲センサとを含み、
前記湾曲センサによって検出された前記湾曲の度合いに基づいて、前記線状体を挿入する荷重を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項14】
前記第2の検出手段は、
前記線状体を挿通させるとともに、前記線状体に圧縮力が作用したときに前記線状体が所定の方向へ圧力を加えるように曲げられて形成された貫通孔を有する本体部と、
前記貫通孔の途中に設けられ、前記線状体によって前記所定の方向に加えられた圧力を検出する圧力センサとを含み、
前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記線状体を挿入する荷重を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項15】
さらに、前記第2の検出手段によって検出された前記線状体を挿入する荷重と、前記演算手段によって求められた前記線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を視覚的に表示する表示手段を備える、請求項1から請求項14までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項16】
さらに、前記第2の検出手段によって検出された前記線状体を挿入する荷重と、前記演算手段によって求められた前記線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を示す音響を発生する音響発生手段を備える、請求項1から請求項15までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項17】
さらに、前記第2の検出手段によって検出された前記線状体を挿入する荷重と、前記演算手段によって求められた前記線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を、前記線状体の先端部のX線透視画像とともに映像記録媒体に記録する記録手段を備える、請求項1から請求項16までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項18】
前記荷重検出装置は医療用訓練装置に組み込まれていることを特徴とする、請求項1から請求項17までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項19】
屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに前記線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置であって、
前記管、前記中空チューブ、または前記線状体の曲がり具合と前記中空チューブの入口に前記線状体を挿入する荷重とを検出し、その検出結果に基づいて、前記線状体の先端に作用する荷重を求めることを特徴とする、荷重検出方法。
【請求項1】
屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに前記線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置であって、
前記管、前記中空チューブ、または前記線状体の曲がり具合を検出する第1の検出手段と、
前記中空チューブの入口に前記線状体を挿入する荷重を検出する第2の検出手段と、
前記第1および第2の検出手段の検出結果に基づいて、前記線状体の先端に作用する荷重を求める演算手段とを備えることを特徴とする、荷重検出装置。
【請求項2】
前記第1の検出手段は、前記管、前記中空チューブ、または前記線状体の画像に基づいて、前記管、前記中空チューブ、または前記線状体の曲がり具合を検出することを特徴とする、請求項1に記載の荷重検出装置。
【請求項3】
前記演算手段は、さらに前記線状体および前記中空チューブ間の摩擦係数に基づいて、前記線状体の先端に作用する荷重を求めることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の荷重検出装置。
【請求項4】
前記演算手段は、前記線状体の曲げ剛性が前記線状体の位置に応じて変化する場合は、前記線状体の位置に対する曲げ剛性の変化度合いに基づいて前記摩擦係数を補正することを特徴とする、請求項3に記載の荷重検出装置。
【請求項5】
前記摩擦係数は予め測定されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の荷重検出装置。
【請求項6】
前記管は血管であり、
前記中空チューブはカテーテルであり、
前記線状体は前記カテーテル内に挿入される治療用ワイヤであることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項7】
前記治療用ワイヤは、デリバリーワイヤと、該デリバリーワイヤの先端部に設けられ、脳動脈瘤内に詰め込むための塞栓用コイルとを含むことを特徴とする、請求項6に記載の荷重検出装置。
【請求項8】
前記第1の検出手段は、前記塞栓用コイルの先端が脳動脈瘤に入ったときに前記治療用ワイヤの曲がり具合を検出し、
前記演算部は、前記塞栓用コイルが前記脳動脈瘤に作用する荷重を求めることを特徴とする、請求項7に記載の荷重検出装置。
【請求項9】
前記第1の検出手段は、前記血管の3次元画像に基づいて、前記血管の曲がり具合を検出することを特徴とする、請求項6から請求項8までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項10】
前記第1の検出手段は、手術中にX線を用いて撮影される前記治療用ワイヤの2次元画像と、予め撮影された血管の3次元画像とを重ね合わせて、前記治療用ワイヤの曲がり具合を検出することを特徴とする、請求項6から請求項8までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項11】
前記中空チューブの入口に前記線状体を挿入する駆動手段を備え、
前記第2の検出手段は、前記駆動手段の駆動力に基づいて、前記線状体を挿入する荷重を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項12】
前記中空チューブの入口に前記線状体を挿入するための駆動ローラと、
回転自在に支持され、前記線状体を介して前記駆動ローラに押圧される押さえローラと、
前記駆動ローラを回転駆動させるモータとを備え、
前記第2の検出手段は、前記モータの回転軸の歪を検出し、その検出結果に基づいて、前記線状体を挿入する荷重を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項13】
前記第2の検出手段は、
前記線状体を挿通させる貫通孔と、前記貫通孔の途中に設けられ、前記線状体に圧縮力が作用したときに前記線状体が所定の方向へ湾曲し得るように形成された内部空間とを有する本体部と、
前記内部空間における前記線状体の湾曲の度合いを検出する湾曲センサとを含み、
前記湾曲センサによって検出された前記湾曲の度合いに基づいて、前記線状体を挿入する荷重を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項14】
前記第2の検出手段は、
前記線状体を挿通させるとともに、前記線状体に圧縮力が作用したときに前記線状体が所定の方向へ圧力を加えるように曲げられて形成された貫通孔を有する本体部と、
前記貫通孔の途中に設けられ、前記線状体によって前記所定の方向に加えられた圧力を検出する圧力センサとを含み、
前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記線状体を挿入する荷重を検出することを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項15】
さらに、前記第2の検出手段によって検出された前記線状体を挿入する荷重と、前記演算手段によって求められた前記線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を視覚的に表示する表示手段を備える、請求項1から請求項14までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項16】
さらに、前記第2の検出手段によって検出された前記線状体を挿入する荷重と、前記演算手段によって求められた前記線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を示す音響を発生する音響発生手段を備える、請求項1から請求項15までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項17】
さらに、前記第2の検出手段によって検出された前記線状体を挿入する荷重と、前記演算手段によって求められた前記線状体の先端に作用する荷重とのうちの少なくとも一方の荷重を、前記線状体の先端部のX線透視画像とともに映像記録媒体に記録する記録手段を備える、請求項1から請求項16までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項18】
前記荷重検出装置は医療用訓練装置に組み込まれていることを特徴とする、請求項1から請求項17までのいずれかに記載の荷重検出装置。
【請求項19】
屈曲した管内に挿入された中空チューブ内に可撓性を有する線状体を挿入するときに前記線状体の先端に作用する荷重を検出する荷重検出装置であって、
前記管、前記中空チューブ、または前記線状体の曲がり具合と前記中空チューブの入口に前記線状体を挿入する荷重とを検出し、その検出結果に基づいて、前記線状体の先端に作用する荷重を求めることを特徴とする、荷重検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−162746(P2009−162746A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266365(P2008−266365)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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