説明

荷重補償機構

【課題】多数の質量に対して容易に対応することのできる荷重補償機構を提供する。
【解決手段】荷重補償機構1は、基台2と、該基台2に一端側が回転軸3で回動可能に取付けられ他端側で被運搬体4を支持する作動アーム5と、該作動アーム5の先端部に一端が固定端9として取付けられているとともに前記作動アーム5の略中央部の基準点11を経て他端が前記作動アーム5の作用点10に取付けられているバネ機構6と、を備えていて、前記作動アーム5および被運搬体4のトルクを前記作動アーム5の傾斜角度に拘わらず前記バネ機構6の弾性力により補償する。前記回転軸3から前記作用点10までの距離hを作用点位置移動操作機構21により増減可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無重力ホイスト等に使用される荷重補償機構、特に作動アームの傾斜角度に如何に拘わらず作動アームのトルクをバネ機構の弾性力により補償することのできる荷重補償機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記荷重補償機構として、例えば図17に示すものが知られている。前記荷重補償機構201は、基台202と、該基台202に回転軸203で下端側が回動可能に枢着され他端側に被運搬体を支持する作動アーム204と、一端が固定端205として前記作動アーム204の先端部に取付けられているとともに前記作動アーム204の略中央部の基準点206を経て他端が前記基台202の上端側の作用点207に取付けられているバネ機構208と、を備えている。そして、前記作動アーム204および被運搬体のトルクを前記作動アーム204の傾斜角度に拘わらず前記バネ機構208の弾性力により補償するようになっている。前記荷重補償機構201の作用、効果を示す釣り合い式は、mgLcosθ=kphcosθで示される。但し、k:バネ定数、p:回転軸から基準点までの距離、h:回転軸から作用点までの距離、m:作動アームの質量、g:重力加速度、L:回転軸から作動アームの重心までの距離である。なお、図17において、固定端205は、作動アーム204の先端に設けられているが、作動アーム204の先端に限らず回転軸203から前記p+バネ機構208の長さ以上であれば何処でも良い。また、基準点206は、固定端205と回転軸203の間に位置していれば良く、更に固定端205からバネ機構208の長さ以上の位置であれば何処でも良い。(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−181789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の荷重補償機構においては、釣り合い条件が成立する質量は、ただ1つに限定され、多数の質量に対して対応するのが困難であった。何故ならば、上記釣り合い式を変形すると、m=kph/(gL)となり、上記変形式において右辺には調整が可能な変数が存在しないからである。
【0004】
本発明は、上記従来の荷重補償機構の問題点を解決し、多数の質量に対して容易に対応することのできる荷重補償機構を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、基台と、該基台に一端側が回転軸で回動可能に取付けられ他端側で被運搬体を支持する作動アームと、該作動アームに一端が固定端として取付けられているとともに前記作動アームの基準点を経て他端が前記作動アームの作用点に取付けられているバネ機構と、を備え、前記作動アームおよび被運搬体のトルクを前記作動アームの傾斜角度に拘わらず前記バネ機構の弾性力により補償する荷重補償機構において、前記回転軸から前記作用点及び/又は基準点までの距離を作用点位置移動操作機構により増減可能にした。
【0006】
請求項2の発明は、基台と、該基台に回転軸で一端側が回動可能に取付けられ他端側で被運搬体を支持する作動アームと、一端が固定端となって他部材に取付けられているとともに前記基台の前記回転軸上方の作用点を経て他端が前記作動アームの基準点に取付けられているバネ機構と、を備え、前記作動アームおよび被運搬体のトルクを前記作動アームの傾斜角度に拘わらず前記バネ機構の弾性力により補償する荷重補償機構において、前記回転軸から前記作用点及び/又は基準点までの距離を作用点位置移動操作機構により増減可能にした。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の荷重補償機構において、前記バネ機構に、引張コイルバネを用いた。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載の荷重補償機構において、前記バネ機構に、圧縮コイルバネを用いた。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の荷重補償機構において、前記作用点位置移動操作機構を、前記作用点を前記基台に沿って昇降させる昇降操作部と、該昇降操作部を駆動する駆動機構と、で構成した。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5に記載の荷重補償機構において、前記昇降操作部を、前記作用点を設けた昇降体と、ボールネジと、で構成し、前記駆動機構を、前記ボールネジを回転させるハンドルと、該ハンドルと前記ボールネジの間の介在されていて前記ハンドルの操作で前記ボールネジを回転させる動力伝達部と、で構成した。
【0011】
請求項7の発明は、請求項5または請求項6に記載の荷重補償機構において、前記駆動機構に、減速機構を設けた。
【0012】
請求項8の発明は、請求項5〜請求項7の何れかに記載の荷重補償機構において、前記移動操作機構に、前記昇降操作部を所望の位置に停止させた状態で固定するブレーキ機構と、該ブレーキ機構のブレーキを解除するブレーキ解除機構と、を設けた。
【0013】
請求項9の発明は、請求項8に記載の荷重補償機構において、前記ブレーキ機構を、前記駆動機構の動力伝達部を構成する歯車に係合して該歯車の回転を阻止するストッパと、該ストッパを前記歯車に係合させる重りと、で構成するとともに、前記ブレーキ解除機構を、前記重りの重力に抗して前記ストッパを前記歯車に対する係合位置から非係合位置に移動させるストッパ操作レバーで構成した。
【0014】
請求項10の発明は、請求項6〜請求項9の何れかに記載の荷重補償機構において、前記昇降操作部の駆動機構に、前記ハンドルの逆転を阻止するラチェット機構を設けた。
【0015】
請求項11の発明は、請求項6〜請求項10の何れかに記載の荷重補償機構において、前記ボールネジを、前記作用点の昇降に伴うハンドルの操作力の増減を補償する不等ピッチに形成した。
【0016】
請求項12の発明は、請求項1〜請求項11の何れかに記載の荷重補償機構において、前記作用点を作動アームの自重を補償する前記回転軸からの高さ位置と、被運搬物の荷重を含めて補償する前記回転軸からの高さ位置と、の間で移動させる2点間移動機構を設けた。
【0017】
請求項13の発明は、基台と、該基台に一端側が回転軸で回動可能に取付けられ他端側で被運搬体を支持する作動アームと、該作動アームに一端が固定端として取付けられているとともに前記作動アームの基準点を経て他端が前記作動アームの作用点に取付けられているバネ機構と、前記作用点及び/又は基準点を移動させる作用点位置移動操作機構と、該作用点位置移動操作機構ごと前記作用点を作動アームの自重を補償する前記回転軸からの高さ位置と、被運搬物の荷重を含めて補償する前記回転軸からの高さ位置と、の間で移動させる2点間移動機構と、を備え、第1,第2の2個の荷重補償機構を直列に配置した荷重補償機構であって、前記第1,第2の荷重補償機構の作用点位置移動操作機構相互間には第1の荷重補償機構の作用点位置移動操作機構を操作したときに第2の荷重補償機構の作用点位置移動操作機構を連動して操作する第1の連動機構を配置するとともに、前記第1,第2の荷重補償機構の2点間移動機構相互間には第1の荷重補償機構の2点間移動機構を操作したときに第2の荷重補償機構の2点間移動機構を連動して操作する第2の連動機構を配置した。
【0018】
請求項14の発明は、請求項13に記載の荷重補償機構において、前記バネ機構に、引張コイルバネを用いた。
【0019】
請求項15の発明は、請求項13に記載の荷重補償機構において、前記バネ機構に、圧縮コイルバネを用いた。
【0020】
請求項16の発明は、請求項13〜請求項15の何れかに記載の荷重補償機構において、前記第1の連動機構を、前記第1,第2の2点間移動機構により前記作用点が被運搬物の荷重を含めて補償する前記回転軸からの高さ位置に移動させた状態において、前記第1の作用点位置移動操作機構の操作に前記第2の作用点位置移動操作機構を連動させ、前記作用点を作動アームの自重を補償する前記回転軸からの高さ位置に移動させた状態においては、連動を遮断する構成にした。
【0021】
請求項17の発明は、請求項1〜請求項16の何れかに記載の荷重補償機構において、前記基台に、前記作用点の位置における補償荷重を表示する補償荷重表示用の目盛を設けた。
【0022】
請求項18の発明は、請求項1〜請求項17の何れかに記載の荷重補償機構において、前記基台と前記作動アームの間にダンパを設けた。
【0023】
請求項19の発明は、請求項1〜請求項18の何れかに記載の荷重補償機構において、前記作動アームの移動速度が一定値を超えた場合に該作動アームをロックするアームロック機構を設けた。
【発明の効果】
【0024】
(1)請求項1または請求項2の荷重補償機構は、前記作用点及び/又は基準点の位置を作用点位置移動操作機構により移動させ、前記基台の回転軸から前記作用点及び/又は基準点までの距離を増減させることにより多数の質量の被運搬物に対して荷重補償を可能にする。
(2)請求項3の荷重補償機構は、バネ機構に引張コイルバネを用いたので、その端部に設けられているフック部を利用して、該引張コイルバネの端部を容易に作動アーム等に取付けることができる。
(3)請求項4の荷重補償機構は、上記バネ機構に圧縮コイルバネを用いたので、上記引張コイルバネのフック部が不要となり、従って、上記引張コイルバネを用いた場合に発生するフック部の根元部への応力集中によるバネの折損事故等を無くすことができる。また、フック部が不要となるので、そのぶん上記バネ機構をコンパクトにすることができる。
(4)請求項5の荷重補償機構は、前記作用点を前記基台に沿って昇降させる昇降操作部を前記駆動機構で前記昇降操作部を昇降させることにより前記作用点及び/又は基準点の位置を移動させることができる。
(5)請求項6の荷重補償機構は、動力を要せず前記ハンドルの操作で動力伝達部を介して前記ボールネジを回転させて、該ボールネジの回転により前記作用点及び/又は基準点を移動させることができる。
(6)請求項7の荷重補償機構は、前記動力伝達部に減速歯車機構を設けたので、ギヤの切換により被運搬物の荷重が大の場合でもハンドル操作を容易に行うことができる。
(7)請求項8の荷重補償機構は、前記作用点及び/又は基準点を移動させるとブレーキ機構によって前記作用点及び/又は基準点は、その位置に固定され、ブレーキ解除機構を操作すると前記ブレーキ機構による前記作用点及び/又は基準点の固定が解除されて再び前記作用点及び/又は基準点の移動が可能になる。
(8)請求項9の荷重補償機構は、前記ブレーキ機構を、前記駆動機構の動力伝達部を構成する歯車等に係合して該歯車の回転を阻止するストッパと、該ストッパを前記歯車に係合させる重りと、で構成したので、前記重りの重力によってストッパが自動的に掛かるのでブレーキの掛け忘れを防止することができる。そして、前記ブレーキ解除機構構成するストッパ操作レバーで、前記重りの重力に抗して前記ストッパを前記歯車に対する係合位置から非係合位置に移動させることによりブレーキを解除することができる。
(9)請求項10の荷重補償機構は、前記昇降操作部の駆動機構に前記ボールネジ操作用のハンドルの逆転を阻止するラチェット機構を設けたので、被運搬物の荷重が重い場合でも、ハンドル操作中にハンドルが逆転するのを防止し、ハンドルの操作性を向上させることができる。
(10)請求項11の荷重補償機構は、前記ボールネジで、前記作用点を上昇させる場合に作用点が高くなるに連れてハンドルの操作力が大になるが、前記ボールネジのピッチを変えること、具体的には前記ボールネジのピッチを小さくすることによりハンドルの操作力を略一定に保つことが可能になる。
(11)請求項12の荷重補償機構は、同程度の荷重の被運搬物を運搬する際に、いちいちハンドル操作をして前記作用点の位置を昇降させなくても、前記作用点を2点間切換機構により作動アームの自重を補償する高さ位置と、被運搬物の荷重を含めて補償する高さ位置と、の間で切換を行うことにより、操作性を格段に向上させることができる。(12)請求項13の荷重補償機構は、第1の荷重補償機構の作用点位置移動操作機構を操作することにより第1の連動機構を介して第2の荷重補償機構の作用点位置移動操作機構を操作することができる。また、第1の荷重補償機構の2点間移動機構を操作することにより第2の連動機構を介して第2の荷重補償機構の2点間移動機構を操作することができる。
(13)請求項14の荷重補償機構は、請求項13の荷重補償機構において、バネ機構に引張コイルバネを用いたので、その端部に設けられているフック部を利用して、該引張コイルバネの端部を容易に作動アーム等に取付けることができる。
(14)請求項15の荷重補償機構は、請求項13の荷重補償機構において、上記バネ機構に圧縮コイルバネを用いたので、上記引張コイルバネのフック部が不要となり、従って、上記引張コイルバネを用いた場合に発生するフック部の根元部への応力集中によるバネの折損事故等を無くすことができる。また、フック部が不要となるので、そのぶん上記バネ機構をコンパクトにすることができる。
(15)請求項16の荷重補償機構は、前記作用点を作動アームの自重を補償する前記回転軸からの高さ位置に移動させた状態においては、連動を遮断して、ハンドルを操作した場合に第2の荷重補償機構の作用点位置移動操作機構が連動するのを防止する。
(16)請求項17の荷重補償機構は、ハンドル操作により作用点の位置をどの程度まで昇降させれば良いのかを、基台に設けた補償荷重表示用の目盛によって判断することが可能になるのでハンドル操作が容易になる。
(17)請求項18の荷重補償機構は、前記基台と前記作動アームの間に介在させたダンパの緩衝作用により被運搬物の急激な移動を阻止して安全性の向上を図ることができる。
(18)請求項19の荷重補償機構は、作動アームから被運搬物が落下し、前記バネ機構のバネ力で前記作動アームが急速で回動した場合に該作動アームをアームロック機構でロックして安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1〜図9は、第1の実施の形態を示す。図1に示すように、荷重補償機構1は、基台2と、該基台2に回転軸3で基端側が回動可能に取付けられていて被運搬体4を吊り下げて支持する作動アーム5と、該作動アーム5に起立方向の回動力を付与するバネ機構6と、を備えている。図2に示すように前記作動アーム5の先端にはフック7が設けられていてワイヤ8等を介して前記被運搬体4を吊り下げる構成になっている。そして、前記バネ機構6によって前記作動アーム5の自重や被運搬体4の荷重によって前記作動アーム5に生じるトルクを前記作動アーム5の傾斜角度に拘わらず補償するようになっている。
【0026】
前記バネ機構6は、一端部が固定端9として前記作動アーム5の先端部に取付けられ、他端部が作用点10として前記基台2の上端側に取付けられている。前記作動アーム5の中央部には基準点11となるベアリング内蔵のプーリ12が設けられている。
【0027】
前記バネ機構6は、引張コイルバネ13と、該引張コイルバネ13の一端部に接続されたワイヤ14と、からなっている。前記引張コイルバネ13は、前記固定端9と作用点10の間に配置されていて、前記ワイヤ14が前記ベアリング内蔵のプーリ12に掛けられている。
【0028】
前記作用点10の位置、すなわち、回転軸から作用点までの距離hは、作用点位置移動操作機構21により増減可能になっている。前記作用点位置移動操作機構21は、前記作用点10を前記基台2に沿って昇降させる昇降操作部22と、該昇降操作部22を駆動する駆動機構23と、で構成されている。
【0029】
図3に示すように、前記昇降操作部22は、前記作用点10が設けられていて前記基台2に沿って昇降する昇降体24と、該昇降体24を昇降させるボールネジ25と、で構成されている。前記昇降体24は枠24aによって回転を阻止された状態になっていて、前記ボールネジ25を回転させることにより、前記枠24a内を前記基台2に沿って昇降する。一方、前記駆動機構23は、前記ボールネジ25を回転させるハンドル26と、該ハンドル26と前記ボールネジ25の間の介在されていて前記ハンドル26の操作で前記ボールネジ25を回転させる動力伝達部27と、で構成されている。前記動力伝達部27は、傘歯車28、29等を利用したギヤトレインで構成されている。そして、前記ハンドル26を回転させると前記動力伝達部27を介して前記昇降体24および該昇降体24に設けた作用点10は、前記基台2に沿って昇降する。
【0030】
前記駆動機構23には、図示を省略した減速機構が設けられていて、被運搬物の荷重が大の場合には減速することによりハンドル操作を軽く容易に行うことができるようになっている。前記減速機構は、減速ギヤとギヤ切換機構等により形成されている。
【0031】
図4に示すように、前記作用点位置移動操作機構21は、前記昇降体24および作用点10を所望の位置に停止させた状態で固定(ロック)するブレーキ機構31と、該ブレーキ機構31によるブレーキを解除するブレーキ解除機構32と、を備えている。前記ブレーキ機構31は、前記昇降操作部23の動力伝達部27を構成する傘歯車29に係合して該傘歯車29等の回転を阻止するストッパ33と、該ストッパ33を前記傘歯車29に係合させる重り34と、で構成されている。また、前記ブレーキ解除機構32は、前記重り34の重力に抗して前記ストッパ33を前記傘歯車29に対する係合位置から非係合位置に移動させるストッパ操作部35と、該ストッパ操作部35を操作するストッパ操作レバー36で構成されている。そして、前記作用点位置移動操作機構21を操作する場合、前記ストッパ操作レバー36を操作して前記ストッパ33と前記傘歯車29の係合を解除することにより前記昇降操作部23を回転操作可能な状態にして作用点の調整を行う。前記ストッパ操作レバー36の操作を解除してフリーな状態にすると前記重り34の重力で前記ブレーキ機構31のストッパ33は前記傘歯車29に自動的に係合して前記昇降操作部23を回転不可能な状態にロックする。また、前記ボールネジ25は、下端側から上端側に行くに従って徐々にピッチが狭くなる不等ピッチに形成されていて、前記作用点10の昇降に伴う前記ハンドル26の操作力の増減を補償するようになっている。即ち、前記作用点10を上昇させる場合に作用点10の位置が高くなるに連れて前記ハンドル26の操作力が大になる。そこで、前記ボールネジ25のピッチを小さくすることによりハンドルの操作力を略一定に保つようになっている。
【0032】
また、図1に示すように、前記基台2には、前記作用点10の位置における補償荷重を表示する補償荷重表示用の目盛41が付されていて、補償荷重に応じて、作用点10の位置を、どの程度まで昇降させれば良いのかを、前記補償荷重表示用の目盛41によって容易に判断することができる。
【0033】
図5に示すように、前記基台2と前記作動アーム5の間にダンパ51を設け、該ダンパ51により前記作動アーム5および被運搬物4の急激な移動を阻止して安全性の向上を図った。
【0034】
図6に示すように、前記ダンパ51は、作動液としてのオイル52が充填されたシリンダ53と、該シリンダ53内に移動可能に取り付けられたピストン54と、該ピストン54に設けられた調圧用の流量調整弁55と、を備えた所謂オイルダンパとして構成されている。前記ダンパ51は、シリンダ52またはピストン53の何れか一方がロッド56を介して軸57により作動アーム5に回動可能に取付けられ、他方がロッド58を介して軸59により基台2に回動可能に取付けられている。そして、作動アーム5に大きな力が加わった場合でもその速度に比例した減衰力を発生させて作動アーム5が高速で移動するのを規制するようになっている。
【0035】
図7は、前記作動アーム5から被運搬物4が落下するなどして、前記作動アーム5がバネ機構6のバネ力で急激に上昇し、その速度が一定値を超えた場合に、前記作動アーム5をロックするアームロック機構61を示す。このアームロック機構61は、前記回転軸3の回転速度を増幅する増速機62と、該増速機62に回転伝達機構63を介して連結された回転軸64と、該回転軸64に設けられたガバナ65と、該ガバナ65により操作される非常停止用のアーム66と、該非常停止用のアーム66が係合するストッパ67と、からなっている。
【0036】
前記増速機62は、ギヤ比の異なる大小のギヤ71,72を備えている。前記回転伝達機構63は、前記小径のギヤ72を取付けた軸73と、該軸73に取付けられた第1の傘歯車74と、該第1の傘歯車74に噛合させた状態で前記回転軸64の下端に取付けられた第2の傘歯車75と、を備えていて、前記小径のギヤ72を取付けた軸73の回転を前記第1,第2の傘歯車74,75を介して略直角方向に変換して前記回転軸64を回転させるようになっている。前記ガバナ65は、重り76と、該重り76を一端部に取付けていると共に他端部を前記回転軸64の上端に開き角度θを変化可能に取り付けられたアーム77と、前記回転軸64にスライド可能に設けられた環状のスライダ78と、前記アーム77とスライダ78を連結している連結杆79と、を備えている。
【0037】
前記非常停止用のアーム66は、中央部が支点80により回動可能に支持されていて一端部が前記スライダ78に取付けられている。そして、前記回転軸64が高速で回転すると、その遠心力で前記重り76、アーム77、スライダ78が実線で示す位置から2点鎖線で示す位置に移動して前記非常停止用のアーム66を操作する。図7に実線で示す状態において前記非常停止用のアーム66と前記ストッパ67は非係合状態になっている。前記作動アーム5から被運搬物4が落下するなどして、前記作動アーム5がバネ機構6のバネ力で急激に上昇すると、前記増速機62により前記回転軸64が高速で回転し、その遠心力で前記重り76、アーム77、スライダ78が実線で示す位置から2点鎖線で示す位置に移動し、前記非常停止用のアーム66が支点80を中心に回動して、該非常停止用のアーム66の一端側が前記ストッパ67に係合して前記作動アーム5の回転を阻止する。
【0038】
図8に示すように、前記ストッパ67は、前記軸73の外周に取付けられた円筒状の基部81と、該円筒状の基部81から放射状に突出形成された多数の翼片82からなっていて、これら翼片82に前記非常停止用のアーム66の先端が係合して、前記軸73の回転を阻止するようになっている。
【0039】
図9、図10は、前記作用点10を作動アーム5の自重を補償する高さ位置(図9)と、被運搬物4の荷重を含めて補償する高さ位置(図10)と、の間で移動させる2点間移動機構91を設けた場合を示す。前記2点間移動機構91は、前記作用点位置移動操作機構21を支持していて該作用点位置移動操作機構21を前記基台2に沿って昇降させる油圧式の昇降台92と、該昇降台92を操作する操作ペダル93と、を備えている。
【0040】
前記操作ペダル93をつま先等で押圧操作する前は、図9に示すように前記昇降台92および作用点位置移動操作機構21は、所定の位置まで下降した状態になっていて、前記作用点10は、作動アーム5の自重を補償する高さ位置に在る。そして、前記操作ペダル93をつま先等で押圧すると、油圧により前記油圧式の昇降台92が油圧により上昇し、該昇降台92によって前記作用点位置移動操作機構21全体が押し上げられて、図10に示すように、前記作用点10を一挙に被運搬物4の荷重を含めて補償する高さ位置に移動させる。従って、同程度の荷重の被運搬物を運搬する際に、いちいち前記ハンドル26を操作して前記作用点10の位置を昇降させなくても済むので前記作用点10の位置移動効率を格段に向上させることができる。
【0041】
第1の実施の形態の荷重補償機構1は、上述のような構成であって、前記作用点位置移動操作機構21により作用点10の位置を移動させて、前記回転軸3までの距離hを増減できる。従って、前記釣り合い式、mgLcosθ=kphcosθの変形式、m=kph/(gL)において、変数hの調整が可能になり、前記変数hを変化させることにより、多数の質量に対して対応可能な荷重補償機構になる。なお、上記実施例では作用点10を移動させる構成にしたが、基準点11を移動させて距離pを増減させる構成にしてもよい。
【0042】
図11は、第2の実施の形態を示す。第2の実施の形態と前記第1の実施の形態の主たる相違点は、前記第1の実施の形態においては、図1等に示したように、前記バネ機構6に引張コイルバネ13を使用しているのに対して、この第2の実施の形態においては、前記バネ機構6に圧縮コイルバネ13Aを使用している。
【0043】
前記圧縮コイルバネ13Aは、前記作動アーム5に固定された有底の筒体15内に収容されている。
【0044】
前記圧縮コイルバネ13Aの内側にはロッド16が挿入されていて、該ロッド16の一端部は、前記筒体15の底面15aに設けた孔15bから筒体15の外部に突出し、該突出した部分にワイヤ14の端部が接続されている。また、前記ロッド16の他端部には、前記圧縮コイルバネ13Aの上端部を押えるバネ押え部17が設けられている。
前記ワイヤ14は、圧縮コイルバネ13Aを圧縮させ、圧縮された圧縮コイルバネ13Aによるワイヤ14を引張る力が前記引張コイルバネ13の引張力と同等になるように取り付けられている。その他の構成は第1の実施の形態の場合と略同じであるので重複する説明は省略する。
【0045】
第2の実施の形態の荷重補償機構は、上述のような構成であって、作動アーム5がA方向に動作すると、ワイヤ14によってロッド16が引張られ、該ロッド16の端部に設けたバネ押え部17によって圧縮コイルバネ13Aが圧縮されることで、第1の実施の形態の引張コイルバネ13と同様の効果を得ることができる。
【0046】
更に、圧縮コイルバネ13Aを使用した場合には、引張コイルバネ13を使用した場合に較べて以下のような効果を得ることができる。即ち、引張コイルバネ13を使用する場合には、図12に示すように、引張コイルバネ13の端部を作動アーム5の固定端9に取り付けるためのフック部13aが必要になる。
【0047】
前記引張コイルバネ13が引張られたときの応力は、前記フック部13aの付け根部分13bに集中し、該付け根部分13bの折損事故が発生し易い。(前記引張コイルバネ13の折損事故は、殆どの場合に付け根部分13bで発生している)。
【0048】
付け根部分13bの折損事故を防止するためには、引張コイルバネ13の線径dを応力集中に耐え得るように太くしたりする必要がある。また、フック部13aを設けた場合に、引張コイルバネ13の長さL1には、フック部13aの長さL2が加算されるために、引張コイルバネ13の長さL1が大になり、コンパクト化の障害になる。
【0049】
これに対して、圧縮コイルバネ13Aを使用した場合には、フック部13aが不要になるので、フック部13aの付け根部分13bの折損事故を無くすことができる。また、フック部13aが不要になるので、そのぶん圧縮コイルバネ13Aを短くしてコンパクト化を図ることができる。
【0050】
図13は、第3の実施の形態を示す。第3の実施の形態と前記第1の実施の形態の主たる相違点は、前記第1の実施の形態においては、図1等に示したように、前記バネ機構6は、一端が固定端9として作動アーム5の先端部に取付けられ、前記作動アーム5の略中央部の基準点11を経て他端が前記基台2の作用点10に取付けられているのに対して、この第2の実施の形態においては、バネ機構6は、一端が固定端9として他部材20に取付けられ前記基台2の作用点10を経て他端が前記作動アーム5の基準点11に取付けられている。その他の構成、作用、効果は前記第1の実施の形態の場合と同様であるので重複する説明は省略する。
【0051】
図14、図15は、第4の実施の形態の荷重補償機構を示す。この実施の形態において荷重補償機構1は、第1の荷重補機構101の作動アーム5の先端部に第2の荷重補償機構102を直列に配置するとともに、前記第1,第2の荷重補償機構101,102の作用点位置移動操作機構21,131間には第1の荷重補償機構101の作用点位置移動操作機構(以下、第1の作用点位置移動操作機構と称する)21を操作したときに第2の荷重補償機構102の作用点位置移動操作機構(以下、第2の作用点位置移動操作機構と称する)131を連動して操作する第1の連動機構103を配置し、前記第1,第2の荷重補償機構101,102の2点間移動機構91,161間には、第1の荷重補償機構101の2点間移動機構92を操作したときに第2の荷重補償機構102の2点間移動機構161を連動して操作する第2の連動機構104を配置することにより形成されている。
【0052】
前記第1の荷重補償機構101は、前記第1の実施の形態の荷重補償機構1と略同様に、基台2と、該基台2に回転軸3で基端側が回動可能に取付けられた作動アーム5と、該作動アーム5に起立方向の回動力を付与するバネ機構6と、を備えている。前記バネ機構6は、一端部が固定端9として前記作動アーム5に取付けられ、他端部が作用点10として前記基台2の上端側に取付けられている。また、前記作動アーム5には基準点11となるベアリング内蔵のプーリ12が設けられている。前記バネ機構6は、前記ベアリング内蔵のプーリ12により前記固定端9と作用点10の間で折り曲げられている。
【0053】
前記バネ機構6は、引張コイルバネ13と、該引張コイルバネ13の一端部に接続されたワイヤ14と、からなっている。前記引張コイルバネ13は、前記固定端9と作用点10の間に配置されていて、前記ワイヤ14が前記ベアリング内蔵のプーリ12に掛けられている。
【0054】
前記作用点10は、第1の作用点位置移動操作機構21により前記回転軸3までの距離hが増減可能になっている。前記第1の作用点位置移動操作機構21は、前記作用点10を前記基台2に沿って昇降させる昇降操作部22と、該昇降操作部22を駆動する駆動機構23と、で構成されている。
【0055】
前記昇降操作部22は、図3に示したように、前記作用点10が設けられていて前記基台2に沿って昇降する昇降体24と、該昇降体24を昇降させるボールネジ25と、で構成されている。一方、前記駆動機構23は、前記ボールネジ25を回転させるハンドル26と、該ハンドル26と前記ボールネジ25の間の介在されていて前記ハンドル26の操作で前記ボールネジ25を回転させる動力伝達部27と、で構成されている。前記動力伝達部27は、傘歯車28、29等を利用したギヤトレインで構成されている。そして、前記ハンドル26を回転させると前記動力伝達部27を介して前記昇降体24および該昇降体24に設けた作用点10を前記基台2に沿って昇降させるようになっている。
【0056】
前記第1の荷重補償機構101は、前記作用点10を作動アーム5の自重及び作動アーム5の自重を含めて補償する高さ位置(図15)と、作動アーム5の自重、作動アーム113の自重及び被運搬物4の荷重を補償する高さ位置(図14)と、の間で移動させる2点間移動機構91を備えている。前記2点間移動機構91は、前記第1の作用点位置移動操作機構21を支持していて該第1の作用点位置移動操作機構21を前記基台2に沿って昇降させる油圧式の昇降台92と、該昇降台92を操作する操作ペダル93と、を備えている。
【0057】
前記操作ペダル93をつま先等で押圧操作する前は、図15に示すように前記昇降台92および第1の作用点位置移動操作機構21は、所定の位置まで下降した状態になっていて前記作用点10は、作動アーム5の自重及び作動アーム113の自重を補償する高さに位置している。そして、前記操作ペダル93をつま先等で押圧操作して、前記油圧式の昇降台92によって前記第1の作用点位置移動操作機構21全体を上昇させて、図14に示すように、前記作用点10を、作動アーム5の自重、作動アーム113の自重及び被運搬物4の荷重を補償する高さ位置に移動させる。
【0058】
一方、前記第2の荷重補償機構102は、前記第1の荷重補償機構101と略同様に、第2の基台111と、該第2の基台111に第2の回転軸112により回動可能に取付けられた第2の作動アーム113と、該第2の作動アーム113に起立方向の回動力を付与する第2のバネ機構114と、を備えている。前記第2のバネ機構114は、一端部が固定端115として前記第2の作動アーム113に取付けられ、他端部が第2の作用点116として前記第2の基台111の上端側に取付けられている。また、前記第2の作動アーム113には第2の基準点117となるベアリング内蔵のプーリが設けられている。前記第2のバネ機構114は、前記ベアリング内蔵のプーリにより前記固定端115と第2の作用点116の間で折り曲げられている。
【0059】
前記第2のバネ機構114は、引張コイルバネ121と、該引張コイルバネ121の一端部に接続されたワイヤ122と、からなっている。前記引張コイルバネ121は、前記固定端115と第2の基準点117の間に配置されている。
【0060】
前記第2の作用点116は、第2の作用点位置移動操作機構131により前記第2の回転軸112からの距離hが増減可能になっている。前記第2の点位置移動操作機構131は、前記第2の作用点116を前記第2の基台111に沿って昇降させる昇降操作部132と、該昇降操作部132を駆動する駆動機構133と、で構成されている。
【0061】
前記昇降操作部132は、前記第2の作用点116が設けられていて前記第2の基台111に沿って昇降する昇降体134と、該昇降体134を昇降させるボールネジ135と、で構成されている。一方、前記駆動機構133は、前記ボールネジ135の下端に取付けられた第1の傘歯車136、該第1の傘歯車136と噛合している第2の傘歯車137、該第2の傘歯車137を取付けた軸138と、該軸138に取付けられたギヤ139と、を備えている。そして、図14の状態において、前記第1の荷重補償機構101のハンドル26を操作することにより前記第1の連動機構103および前記駆動機構133を介して前記昇降体134を昇降させる。
【0062】
前記第1の連動機構103は、前記駆動機構133のギヤ139と噛合するギヤ140と、該ギヤ140の軸141に取付けられた第1の傘歯車142と、該第1の傘歯車142に噛合する第2の傘歯車143と、該第2の傘歯車143を上端側に取付けていて下端側に設けた傘歯車(図示省略)等を介して前記第2の回転軸112を回転させる軸144と、前記第2の回転軸112の端部と前記第1の回転軸3の端部にそれぞれプーリ145a,145bを介して回転自在に懸掛されたエンドレスベルト145と、前記第1の回転軸3の回転により傘歯車(図示省略)等を介して回転する軸146と、該軸146の上端に取付けられた傘歯車147と、該傘歯車147に噛合する傘歯車148と、該傘歯車148を取付けた軸149と、該軸149に取付けられたギヤ150と、を備えている。前記ギヤ150は、図14に示すように、前記2点間移動機構91により前記第1の作用点位置移動操作機構21を上方に移動させることで前記駆動機構23を構成する傘歯車28の軸151に取付けられているギヤ152と噛合するようにしてある。
【0063】
また、前記第2の荷重補償機構102は、第1の荷重補償機構101と同様、前記第2の作用点116を第2の作動アーム113の自重を補償する高さ位置(図15)と、被運搬物4の荷重を含めて補償する高さ位置(図14)と、の間で移動させる第2の2点間移動機構161を備えている。前記2点間移動機構161は、前記第2の作用点位置移動操作機構131を支持し、これを前記第2の基台111に沿って昇降させる油圧式の昇降台162、前記第2の連動機構104等で構成されている。
【0064】
前記連動機構104は、油圧パイプで前記第1の荷重補償機構101の昇降台92と前記第2の荷重補償機構102の昇降台162を連結することにより構成されている。そして、図15の状態において、前記第1の荷重補償機構101のペダル93を押圧操作すると、図14に示すように前記第1の荷重補償機構101の昇降台92と前記第2の荷重補償機構102の昇降台162が同時に上昇して、作用点10,116が上昇する。前記ペダル93の押圧操作により作動アーム5の自重、作動アーム113の自重及び被運搬物4の荷重を補償する。また、前記昇降台92,162の上昇により、前記第1の作用点位置移動操作機構21のギヤ152が前記第1の連動機構103のギヤ150に噛合するとともに、前記第2の作用点位置移動操作機構131のギヤ139が前記第1の連動機構103のギヤ140に噛合する。従って、前記ボールネジ操作用のハンドル26を回転操作すると、該ハンドル26の回転は、前記動力伝達部27を介して前記昇降体24および該昇降体24に設けた作用点10を前記基台2に沿って昇降させるとともに、前記ハンドル26の回転は、前記第1の連動機構103を介して前記第2の荷重補償機構102側に伝達され、前記動力伝達部133を介して前記昇降体132および該昇降体132に設けた第2の作用点116を前記第2の基台111に沿って昇降させる。このハンドル26の操作により、被運搬物4の荷重を補償する。
【0065】
前記第1の荷重補償機構101のペダル93を押圧操作を解除すると、前記第1の荷重補償機構101の昇降台92と前記第2の荷重補償機構102の昇降台162が同時に下降して、図15に示すように、前記第1の作用点位置移動操作機構21のギヤ152と前記第1の連動機構103のギヤ150の噛合を解除するとともに、前記第2の点位置移動操作機構131のギヤ139と前記第1の連動機構103のギヤ140の噛合が解除される。
【0066】
第4の実施の形態の荷重補償機構は、上述のような構成であって、図16に示すように従来の単一の作動アームを使用した場合には基台の根元に在る被運搬物4の移動が困難な場合があるが、第3の実施の形態の荷重補償機構においては、2つの作動アームを接続しているので、基台の根元に在る被運搬物4の移動も容易に行うことができ、被運搬物の移動範囲を拡大することができるという効果がある。
【0067】
なお、第3の実施の形態および第4の実施の形態においては、バネ機構に引張コイルバネを用いた場合を示したが、圧縮コイルバネを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1の実施の形態の荷重補償機構を概念的に示す側面図。
【図2】作動アームに被運搬物を吊り下げている状態を示す側面図。
【図3】作用点位置移動操作機構の概念を示す説明図。
【図4】ストッパ機構の概念を示す説明図。
【図5】ダンパを設けた荷重補償機構の側面図。
【図6】ダンパの説明図。
【図7】アームロック機構の概念を示す説明図。
【図8】ストッパ部分の断面図。
【図9】作用点位置移動操作機構の説明図。
【図10】作用点位置移動操作機構の説明図。
【図11】第2の実施の形態の荷重補償機構を概念的に示す側面図。
【図12】引張コイルバネの問題点を示す説明図。
【図13】第3の実施の形態の荷重補償機構を概念的に示す側面図。
【図14】第4の実施の形態の荷重補償機構を概念的に示す側面図。
【図15】第4の実施の形態の荷重補償機構を概念的に示す側面図。
【図16】単一の作動アームを使用した場合の問題点を示す説明図。
【図17】従来の荷重補償機構を概念的に示す側面図。
【符号の説明】
【0069】
1…荷重補償機構
2…基台
3…回転軸
4…被運搬物
5…作動アーム
6…バネ機構
9…固定端
10…作用点
11…基準点
13…引張コイルバネ
13A…圧縮コイルバネ
14…ワイヤ
15…筒体
16…ロッド
17…バネ押さえ部
21、131…作用点位置移動操作機構
22,132…昇降操作部
23,133…駆動機構
24…昇降体
25…ボールネジ
26…ハンドル
27…動力伝達部
31…ブレーキ機構
32…ブレーキ解除機構
33…ストッパ
34…重り
36…ストッパ操作レバー
41…補償荷重表示用の目盛
51…ダンパ
61…アームロック機構
91,161…2点間移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、該基台に一端側が回転軸で回動可能に取付けられ他端側で被運搬体を支持する作動アームと、該作動アームに一端が固定端として取付けられているとともに前記作動アームの基準点を経て他端が前記基台の作用点に取付けられているバネ機構と、を備え、前記作動アームおよび被運搬体のトルクを前記作動アームの傾斜角度に拘わらず前記バネ機構の弾性力により補償する荷重補償機構において、
前記作用点及び/又は基準点は、点位置移動操作機構により前記回転軸からの距離が増減可能になっていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項2】
基台と、該基台に一端側が回転軸で回動可能に取付けられ他端側で被運搬体を支持する作動アームと、一端が固定端となって他部材に取付けられているとともに前記基台の前記回転軸上方の作用点を経て他端が前記作動アームの基準点に取付けられているバネ機構と、を備え、前記作動アームおよび被運搬体のトルクを前記作動アームの傾斜角度に拘わらず前記バネ機構の弾性力により補償する荷重補償機構において、
前記作用点及び/又は基準点は、点位置移動操作機構により前記回転軸からの距離が増減可能になっていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の荷重補償機構において、
前記バネ機構には、引張コイルバネが用いられていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の荷重補償機構において、
前記バネ機構には、圧縮コイルバネが用いられていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記点位置移動操作機構は、前記作用点を前記基台に沿って昇降させる昇降操作部と、該昇降操作部を駆動する駆動機構と、を備えていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項6】
請求項5に記載の荷重補償機構において、
前記昇降操作部は、前記作用点を設けた昇降体と、ボールネジと、で構成され、前記駆動機構は、前記ボールネジを回転させるハンドルと、該ハンドルと前記ボールネジの間の介在されていて前記ハンドルの操作で前記ボールネジを回転させる動力伝達部と、で構成されていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の荷重補償機構において、
前記駆動機構は、減速機構を備えていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項8】
請求項5〜請求項7の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記点位置移動操作機構は、前記昇降操作部を所望の位置に停止させた状態で固定するブレーキ機構と、該ブレーキ機構のブレーキを解除するブレーキ解除機構と、を備えていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項9】
請求項8に記載の荷重補償機構において、
前記ブレーキ機構は、前記駆動機構の動力伝達部を構成する歯車に係合して該歯車の回転を阻止するストッパと、該ストッパを前記歯車に係合させる重りと、を備え、
前記ブレーキ解除機構は、前記重りの重力に抗して前記ストッパを前記歯車に対する係合位置から非係合位置に移動させるストッパ操作ハンドルを備えていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項10】
請求項6〜請求項9の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記昇降操作部の駆動機構は、前記ボールネジ操作用のハンドルの逆転を阻止するラチェット機構を備えていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項11】
請求項6〜請求項10の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記ボールネジは、前記作用点が昇降に伴うハンドルの操作力の増減を補償する不等ピッチに形成されていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記作用点を作動アームの自重を補償する前記回転軸からの高さ位置と、被運搬物の荷重を含めて補償する前記回転軸からの高さ位置と、の間で移動させる2点間移動機構を備えていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項13】
基台と、該基台に一端側が回転軸で回動可能に取付けられ他端側で被運搬体を支持する作動アームと、該作動アームに一端が固定端として取付けられているとともに前記作動アームの基準点を経て他端が前記作動アームの作用点に取付けられているバネ機構と、前記作用点及び/又は基準点を移動させる点位置移動操作機構と、該点位置移動操作機構ごと前記作用点を作動アームの自重を補償する前記回転軸からの高さ位置と、被運搬物の荷重を含めて補償する前記回転軸からの高さ位置と、の間で移動させる2点間移動機構と、を備えた第1,第2の2個の荷重補償機構を直列に配置し、前記第1,第2の荷重補償機構の点位置移動操作機構相互間には第1の荷重補償機構の点位置移動操作機構を操作したときに第2の荷重補償機構の点位置移動操作機構を連動して操作する第1の連動機構を配置するとともに、前記第1,第2の荷重補償機構の2点間移動機構相互間には第1の荷重補償機構の2点間移動機構を操作したときに第2の荷重補償機構の2点間移動機構を連動して操作する第2の連動機構を配置したことを特徴とする荷重補償機構。
【請求項14】
請求項13に記載の荷重補償機構において、
前記バネ機構には、引張コイルバネが用いられていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項15】
請求項13に記載の荷重補償機構において、
前記バネ機構には、圧縮コイルバネが用いられていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項16】
請求項13〜請求項15の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記第1の連動機構は、前記第1,第2の2点間移動機構により前記作用点が被運搬物の荷重を含めて補償する前記回転軸からの高さ位置に移動させた状態において、前記第1の点位置移動操作機構の操作に前記第2の点位置移動操作機構を連動させることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項17】
請求項1〜請求項16の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記基台は、前記作用点の位置における補償荷重を表示する補償荷重表示用の目盛を備えていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項18】
請求項1〜請求項17の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記基台と前記作動アームの間にダンパを備えていることを特徴とする荷重補償機構。
【請求項19】
請求項1〜請求項18の何れかに記載の荷重補償機構において、
前記作動アームの移動速度が一定値を超えた場合に該作動アームをロックするアームロック機構を備えていることを特徴とする荷重補償機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2007−119249(P2007−119249A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258393(P2006−258393)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】