説明

荷電粒子照射装置及び荷電粒子制御方法

【課題】複数のイオンビームを独立してオン・オフ可能とする。
【解決手段】 イオンガン11は、ガス導入部114よりArガスを本体111内に導入し、フィラメント113とアノード112との間で直流熱陰極放電をおこし、Arのプラズマを生成する。次に、2つ分割された構成を有する、分割加速グリッド116a、116bに、イオンを射出する方向に電圧勾配を与えて、イオンを射出させる。加速制御スイッチ121a、121bを独立してオン・オフすることにより、分割加速グリッド116a、116bの電位を独立に制御し、停止すべきイオンビームに対応する分割加速グリッド116a、116bの電位をフローティング状態にして、イオンビームを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン等の荷電粒子を照射する荷電粒子照射装置に関し、特に、複数の荷電粒子ビームを独立して制御可能な荷電粒子照射装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な圧電素子である水晶振動子の共振周波数は、水晶片の厚みとその表面に形成された金属電極の膜厚によって決定される。従来においては、水晶振動子の所望の共振周波数を得るために、i)水晶片を規定の厚みで切り出し、ii)表面を研磨し、その表面にスパッタ蒸着等によってベースとなる金属膜電極を形成し、iii)共振周波数を測定しながら、金属電極膜の厚みを調整する、といった処理を行っている。金属電極膜の厚みを調整する方法として、イオンガンからイオンビームを照射して、金属電極膜をエッチングして薄くする方法が知られている。イオンビームエッチングによる周波数調整手法は、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0003】
従来の周波数調整用のイオンガンは、図12に示されるように、本体811と、アノード812と、フィラメント813と、ガス導入部814と、遮蔽グリッド815と、加速グリッド816と、複数の直流電源と、で構成される。
【0004】
このような構成により、ガス導入部814から、放電用ガスとして例えばArガスを本体811内に導入し、フィラメント813を通電加熱し、フィラメント813とアノード812との間の直流熱陰極放電によってArプラズマを生成し、高圧電源によって加速グリッド816に高電圧を印加することによって、イオンを加速する向きに電位勾配を生成し、Arの正イオンを引き出しイオンビームとして出射し、載置台822に載置された水晶振動子821に照射する。
【0005】
遮蔽グリッド815と加速グリッド816には、複数のビーム孔(引き出し口)からなるビーム孔群が形成される。図13に示すようなパターンで1群のビーム孔群を形成した場合、図14に示すように、中心が一番強く、そこから周辺に向かって徐々に弱くなるようなイオン電流密度分布を有する1つのイオンビームが形成される。図14はエッチング対象である基板位置におけるイオン電流密度を示し、イオンガンの中心と対向する位置を原点として原点からの距離を表す。
【0006】
近時、装置の省スペース化、処理時間の短縮をねらいとして、1つのイオンガンから図17に示すようなイオン電流密度分布を有する複数のイオンビームを複数の圧電素子に照射することにより、一度に複数の水晶振動子を処理することが行われている。図17はエッチング対象である基板位置におけるイオン電流密度を示し、イオンガンの中心と対向する位置を原点として原点からの距離を表す。
【0007】
複数のイオンビームを照射するイオンガンの基本構成は、図15に示すように、図12に示す1イオンビーム用のイオンガンと同一である。ただし、複数のイオンビームを生成するため、図16に示すように、複数のビーム孔群(図では、2群)が形成された遮蔽グリッド815と加速グリッド816とが配置される。
【特許文献1】特開2000‐323442号公報
【特許文献2】特開2003‐298374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
周波数調整にかかる時間は目標周波数に対する水晶振動子の周波数の偏差によって決まり、調整対象の水晶振動子821毎に異なる。このため、2つの水晶振動子821を並行して調整する場合には、周波数調整は別々のタイミングで終了する。このため、先に周波数調整が終わった水晶振動子821の電極にビームが当たらないようにしなければならない。しかし、従来では、一方のイオンビームのみを停止させる等の制御ができない。このため、機械シャッター823を配置し、機械シャッター823により、調整が終了した水晶振動子821へのイオンビームを遮断している。
【0009】
しかしこのような構成では、遮断されたイオンビームにより機械シャッター223がスパッタされ、パーティクルとして真空槽内に堆積し、シャッターが消耗しそれらの定期的な交換作業や、パーティクルを除去する作業が必要となるのでオペレーターの手を煩わせていた。
【0010】
また、槽内を浮遊するパーティクルが素子に付着することにより、水晶振動子の品質低下を招いていた。
【0011】
同様の問題は、水晶振動子の金属電極をイオンビームにより研磨する場合に限らず、複数の荷電粒子ビームを用いて、処理対象物を加工する場合に共通に発生する。
【0012】
また、従来の構成では、複数のイオンビームの強度は共通であり、バリエーションに富んだ加工が困難であった。
【0013】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複数の荷電粒子ビームを独立して制御可能とすることを目的とする。
また、本発明は、操作及びメンテナンスが容易な荷電粒子ビーム照射装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、この発明の荷電粒子照射装置は、
荷電粒子を生成する荷電粒子生成手段と、
前記荷電粒子生成手段で生成された荷電粒子を引き出して荷電粒子ビームを出力する複数に分割された加速グリッドと、
前記複数に分割された該加速グリッドの電位を個々に制御することにより、対応する荷電粒子ビームの強度を独立に制御する制御手段と、
を備えることを特徴とした。
【0015】
分割された加速グリッド間に生ずる電界を遮蔽するための導電性の遮蔽板を配置しても良い。この遮蔽板は、例えば、前記加速グリッドの外側に配置された減速グリッドから構成される。
【0016】
前記加速グリッドの内側に配置された遮蔽グリッドと、前記加速グリッドを挟んで外側に配置された減速グリッドと、を更に配置し、遮蔽グリッド、加速グリッド、減速グリッドの3枚重ねのグリッド構成とすることが望ましい。
【0017】
前記加速グリッドに形成された加速グリッドビーム孔の面積が、前記遮蔽グリッドに形成された遮蔽グリッドビーム孔の面積より小さく形成されてもよい。
【0018】
前記加速グリッドの内側に配置された遮蔽グリッドを備え、該加速グリッド及び該遮蔽グリッドに複数のビーム孔からなるビーム孔群が形成され、該加速グリッドに形成された少なくとも一つのビーム孔の面積が、該遮蔽グリッドに形成された対応するビーム孔の面積より小さくてもよい。
【0019】
前記加速グリッドの前記加速グリッドビーム孔の面積が、前記遮蔽グリッドの前記遮蔽グリッドビーム孔の面積の0.2〜0.8倍に形成されてもよい。
【0020】
前記制御手段は、例えば、前記分割加速グリッドを独立してフローティング電位に制御することにより、対応する荷電粒子ビームを遮断する。
【0021】
前記制御手段は、例えば、各前記分割加速グリッドと電源との間に個々に設置されたスイッチ回路と、前記スイッチ回路を個別にオン・オフする手段とから構成される。
【0022】
前記減速グリッドは真空槽と同電位に設定される。
【0023】
前記荷電粒子ビームを照射して加工する被加工物を配置する手段を配置してもよい。この場合、前記加速グリッドに複数のビーム孔からなるビーム孔群が形成され、さらに加速グリッドに配される前記ビーム孔群の間隔は、前記配置手段により配置された被加工物の配置間隔に対し0.5倍〜1.0倍に形成される。
【0024】
上記構成の荷電粒子照射装置から構成されるイオンガンと、圧電デバイスを複数個配置する配置手段と、前記配置手段により配置された複数の圧電デバイスの共振周波数を判別する共振周波数判別手段と、から、前記共振周波数判別手段により前記配置手段により配置された複数の該圧電デバイスの共振周波数をモニタしながら、並行して該複数の該圧電デバイスにイオンビームを照射して各圧電デバイスの少なくとも一部をエッチングすることにより複数の該圧電デバイスの共振周波数を調整する周波数調整装置を構成してもよい。
【0025】
また、この発明に係る荷電粒子の制御方法は、
所定の容器にプラズマを生成し、
該プラズマに隣接して複数の加速グリッドを配置し、
各加速グリッドに、電圧を印加して荷電粒子を引き出す方向に電圧勾配を形成して、前記プラズマ中の荷電粒子を射出させ、
前記複数の加速グリッドの電圧を独立して制御することにより、射出させた荷電粒子のイオン電流密度分布を制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、分割された各加速グリッドに与える電圧を制御することにより荷電粒子ビームを制御できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の各実施の形態に係る荷電粒子照射装置を、水晶振動子の金属電極をエッチングすることにより共振周波数を調整する周波数調整装置に適用した場合を例に説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る周波数調整装置を図1及び図2に示す。この周波数調整装置は、図示するように、イオンガン11と、加工対象の水晶振動子を載置する載置部12と、水晶振動子の共振周波数を検出する共振周波数測定部13と、制御部14と、シャッター15から構成される。
【0029】
イオンガン11は、2つのイオンビームIaとIbを生成する装置であり、本体(チャンバ)111と、アノード(電極)112と、フィラメント113と、ガス導入部114と、遮蔽グリッド115と、加速グリッド116(116a,116b)と、減速グリッド117と、フィラメント電源131、放電電源132,ビーム電源133、加速電源134,ニュートラライザ125,加速制御スイッチ121a,121b、ビームスイッチ122,123、を備える。
【0030】
本体111は、表面がコートされた円筒状の金属筐体などから構成され、処理空間を定義する。本体111はフィラメント電源131の負極と同電位に維持されている。
アノード112は、本体111の側壁に近接して円筒帯状に配置され、直流放電の陽極として機能する。
フィラメント113は、直流放電の熱陰極を構成する。
ガス導入部114は、Ar等の放電ガスを本体111内に導入する。
【0031】
遮蔽グリッド115は、本体111のイオン射出面に配置され、ビーム孔(ビーム引き出し孔)部分を除いてイオンをチャンバ内に封じ込める。イオンガン11は、2ビームを出力するものであり、そのグリッドパターンは、図3(a)に示すような、2ビーム用の構成を有する。このグリッドパターンは、距離dをおいて、ビーム孔211のビーム孔群21が2つ形成された構成を有する。
【0032】
加速グリッド116は、本体111のイオン射出面に遮蔽グリッド115から所定距離離間してほぼ平行に配置されている。加速グリッド116は、図3(b)に示すように、円板が2分割された形状を有する。換言すれば、加速グリッド116は、半円板状の加速グリッド116aと116bが2枚組み合わされた構造を有する。なお、以下、分割された加速グリッド116aと116b全体を総称して、加速グリッド116と呼び,半円板状の個々のグリッドを、分割加速グリッド116a、116bと呼ぶこととする。
【0033】
加速グリッド116には、図3(b)に示すように、遮蔽グリッド115に形成されたビーム孔211と重なる位置にビーム孔212が形成されている。1つの分割加速グリッド116a、116bに1ビーム出力用のビーム孔群が配置される。
【0034】
減速グリッド117は、本体111のイオン射出面に加速グリッド116に近接してかつ離間してほぼ平行に配置されている。減速グリッド117は、図3(a)に示すように、遮蔽グリッド115と同一の構成を有する。減速グリッド117は、アースに接続されている。分割加速グリッド116aと分割加速グリッド116bとの間の電位差により両分割加速グリッド間に生ずる空間の電界(イオンビーム直交方向の電界)を遮蔽し、分割加速グリッド116aと116b間の相互作用を減ずる機能を有する。
【0035】
図3(c)に示すように、遮蔽グリッド115,加速グリッド116,減速グリッド117のビーム孔は、その位置が重なるように形成及び配置されている。
【0036】
図1,図2において、加速制御スイッチ121aは、加速電源134の負極と分割加速グリッド116aとの間に接続され、制御部14からの制御信号によりオン・オフする。加速制御スイッチ121bは、加速電源134の負極と分割加速グリッド116bとの間に接続され、制御部14からの制御信号によりオン・オフする。
【0037】
また、ビームスイッチ122と123とは、アノード112と加速グリッド116との間に電位差を与える。
【0038】
フィラメント電源131は、直流電源から構成され、フィラメント113に通電してこれを加熱する。
放電電源132は、アノード112と、本体111及びフィラメント電源131との間に放電用の直流電圧を印加する。
ビーム電源133は、イオンビーム照射時に、本体111内のプラズマの電圧を高める。
加速電源134は、分割加速グリッド116aと116bに負電圧を印加する。
【0039】
ニュートラライザ125は、イオンビームIaとIbに電子を供給しイオンの持つ電荷の中和を行い、圧電デバイスへの電荷のチャージを防ぐ。
【0040】
図1に示す載置部12は、加工対象の2つの水晶振動子201aと201bとを一定距離離間して配置する。
共振周波数測定部13は、載置部12に載置された水晶振動子201aと201bに接続され、その共振周波数を測定する。
【0041】
制御部14は、マイクロプロセッサまたはシーケンサー等から構成され、各部の動作を制御する。特に本実施の形態においては、共振周波数測定部13からの検出結果に従って、加速制御スイッチ121aと121bをオン・オフ制御する。また、シャッター15を開閉制御する。制御部14を共振周波数測定部13に組み込む構成とすることも可能である。
【0042】
シャッター15は、水晶振動子201aの前に配置されたシャッター15aと、水晶振動子201bの前に配置されたシャッター15bとを備え、それぞれ、イオンビームIaとIbを遮蔽する。
【0043】
なお、図1及び図2に示す各部は、真空槽内に配置されている。
【0044】
次に、上記構成の周波数調整装置の動作を説明する。
まず、載置部12に、加工対象の水晶振動子201a、201bを載置し、真空槽内を減圧する。
【0045】
ガス導入部114から、放電用ガスとして例えばArガスを本体111内に導入し、フィラメント電源131からフィラメント113に通電して加熱し、さらに、フィラメント113とアノード112との間に直流電圧を印加することにより、直流熱陰極放電をおこし、Arプラズマを生成する。
【0046】
続いて、ビームスイッチ122と123とをオンして(この時点では、加速制御スイッチ121aと121bとはオン状態にある)、アノード112と加速グリッド116間に高電圧を印加する。これにより、本体111内のプラズマにより生成されたイオンを加速する向きに電位勾配を生成し、Arの正イオンを引き出しビーム孔よりイオンビームIa、Ibとして出射する。
【0047】
照射された2本のイオンビームIaとIbにより、載置部12に載置された第1の水晶振動子201a上に形成された金属電極と第2の水晶振動子201b上に形成された金属電極とをエッチングし、それぞれの共振周波数を調整する。
【0048】
この間、共振周波数測定回路13は、各第1の水晶振動子と第2の水晶振動子の共振周波数をそれぞれ測定し、測定結果を制御部14に出力する。
【0049】
制御部14は、加工処理開始後、図4に示す処理を繰り返す。なお、図4では、理解を容易にするため、第1の水晶振動子201aに関する制御と、第2の水晶振動子201bに関する制御を順番に実施しているが、両制御は並行して行うことが望ましい。
【0050】
まず、第1の水晶振動子201aに関する周波数調整が終了したか否かを判別する(ステップS11)。当初は、加速制御スイッチ121aを開き機械シャッター15aを閉じておく。周波数調整が終了していなければ(ステップS11;NO)、加速制御スイッチ121aを閉じ(ステップS12)、機械シャッター15aを開いて(ステップS13)、水晶振動子201aの周波数調整を開始する。共振周波数測定部13が検出した第1の水晶振動子201aの共振周波数が目標周波数に一致したか否かを判別する(ステップS14)。
【0051】
目標周波数に一致していれば(ステップS14;Yes)、加速制御スイッチ121aを開く(ステップS15)。加速制御スイッチ121aを開くことにより、分割加速グリッド116aが電気的にフローティング状態となる。これにより、分割加速グリッド116bから照射されているイオンビームIbの強度に影響を殆ど与えることなく、分割加速グリッド116aから照射しているイオンビームIaが非常に弱くなる。
【0052】
さらに、ソレノイドを駆動して、シャッター15aを閉じ、第1の水晶振動子201aへのイオンビームIaの照射を完全に遮断する(ステップS16)。
一方、ステップS14で、共振周波数測定部13が検出した第1の水晶振動子201aの共振周波数が目標周波数に一致していないと判別されれば(ステップS14;No)、そのまま処理を継続して、加工を続ける。また、ステップS11で、第1の水晶振動子201aの周波数調整処理が終了していると判別されれば(ステップS11;Yes)、ステップS12〜S16をスキップする。
【0053】
次に、制御部14は、第2の水晶振動子201bに関する周波数調整が終了したか否かを判別する(ステップS17)。当初は、加速制御スイッチ121bを開き機械シャッター15bを閉じておく。周波数調整が終了していなければ(ステップS17;NO)、加速制御スイッチ121bを閉じ(ステップS18)、機械シャッター15bを開いて(ステップS19)、水晶振動子201bの周波数調整を開始する。共振周波数測定部13が検出した第2の水晶振動子201bの共振周波数が目標周波数に一致したか否かを判別する(ステップS20)。
【0054】
目標周波数に一致していれば(ステップS20;Yes)、加速制御スイッチ121bを開く(ステップS21)。加速制御スイッチ121bを開くことにより、分割加速グリッド116bが電気的にフローティング状態となる。これにより、分割加速グリッド116aから照射されているイオンビームIaの強度に影響を殆ど与えることなく、分割加速グリッド116bから照射しているイオンビームIbが非常に弱くなる。さらに、ソレノイドを駆動して、シャッター15bを閉じ、第2の水晶振動子201bへのイオンビームIbの照射を完全に遮断する(ステップS22)。
【0055】
一方、ステップS20で、共振周波数測定部13が検出した第2の水晶振動子201bの共振周波数が目標周波数に一致していないと判別されれば(ステップS20;No)、そのまま処理を継続して、加工を続ける。また、ステップS17で、第2の水晶振動子201bの周波数調整処理が終了していると判別されれば(ステップS17;Yes)、ステップS18〜S22をスキップする。
【0056】
最後に、第1の水晶振動子201aの加工と第2の水晶振動子201bの加工が共に終了したか否かを判別し(ステップS23)、終了していれば(ステップS23;Yes)、加工処理を終了して、搬出等の処理に移り、終了していなければ(ステップS23;No)、ステップS11に戻って金属電極のエッチング処理を継続する。
【0057】
このようにして、イオンガン11から照射されるイオンビームIaとIbの強度を、加速制御スイッチ121a,121bのオン・オフにより制御して、各水晶振動子の加工を適切なタイミングで終了することができる。
【0058】
次に、加速制御スイッチ121a、121bをオフすることにより、任意の一方のイオンビームIa又はIbの照射を抑えることができる点について、より詳細に説明する。
【0059】
図5は、イオンガン11により得られるビーム電源の電圧300V、放電電源の電流100mAの条件下でのイオンビームIaとIbの電流密度分布を示す。本実施の形態では加工対象である水晶振動子201をイオンビームの引き出し口から25mm離間して配置するものとし、図5にはイオンビームの引き出し口から2mm離間した位置におけるイオン電流密度分布を示す。横軸にはイオンガンの中心と対向する位置を原点としたときの原点からの距離を示す。このグラフは2つある分割加速グリッド116aと116bのうち片側の電位をビーム電圧の−20%程度、即ち、ビーム電圧300Vに対し-60V一定とし、もう片側の電位を直流安定化電源で加速電位-60Vから徐々に上げていくように変化させた場合のビーム強度の変化を表したものである。
【0060】
図5から、片側のイオンビームのピークが加速電位の変化とともに下がっていることが分かる。更に、直流電源と切り離しフローティングとした時に最も良好なビームの遮断が行えた。
即ち、イオンガン11は、分割加速グリッド116a又は116bがフローティングになるように制御することにより、イオンビームIaとIbの照射と遮断とを独立に制御が可能であることがわかる。
【0061】
図6は、ビーム電源の電圧300V、放電電源の電流100mAの条件で、減速グリッド117に直流安定化電源を繋ぎ、減速グリッド117の電位を変えていった場合のイオンビームの強度の変化を示す。イオン電流密度はイオンビームの引き出し口から2mm離間した位置において測定した。図の横軸にはイオンガンの中心と対向する位置を原点としたときの原点からの距離を示す。なお、一方の分割加速グリッド116aの電位を-60V、もう一方の分割加速グリッド116bをフローティング、即ちイオンビームIaをオン、Ibをオフの状態とした。
【0062】
その結果、イオン電流密度のピークは電位が0Vとなるところで最大の値を得た。また、オフとしたほうのビームの遮断特性は変わらない。従って、減速グリッド117をアースに繋ぐことで十分なビーム強度を得ることが出来ることが確認された。
【0063】
図7は、減速グリッド117を取り付けた場合と取り外した場合のイオン電流密度の分布を示す。イオン電流密度はイオンビームの引き出し口から25mm離間した位置において測定した。図の横軸にはイオンガンの中心と対向する位置を原点としたときの原点からの距離を示す。図6と同様に、イオンビームIaをオン、Ibをオフの状態とした。その結果、減速グリッド117をつけない場合、2つの分割加速グリッド116aと116bの電位差により生じる周辺の電界(イオンビームに直交する方向の電界)によってイオンビームIa,Ibの直進性が損なわれてしまい、加工対象である水晶振動子201位置におけるイオン電流密度が1/100程度に落ち込んでしまうが、減速グリッド117をつけることで実用上問題のない程度まで緩和されることが確認された。
【0064】
さらに、複数のビーム孔群21を配置する場合に、そのピッチdとビーム幅との関係を求めた。図8は、図3に示すグリッドパターンを配するピッチと図5に示すビーム幅の関係を示す。図8に示すように、ピッチdとビーム幅とは線形の関係にあるといえる。ピッチとビーム幅の関係をこのような形で表せば容易であり、ビーム幅とピッチの関係は、イオンガンプラズマの発散角によっても変わるが、所望のビーム幅に対し、最適なピッチは0.5〜1倍の間の値である。
【0065】
以上説明したように、この実施の形態にかかる周波数調整装置によれば、イオンガン11から複数のイオンビームを照射して、複数の水晶振動子201a、201bを並行して加工することができる。また、先に加工(調整)が終了した水晶振動子201a、201bに照射しているイオンビームIa,Ibを独立してオン・オフすることができる。従って、シャッター15a、15bの消耗を低減することが可能となり、パーティクルの発生を少なくすることができる。
【0066】
さらに、必要とするビーム幅に対し、ビーム孔群21のピッチを0.5〜1倍の値に設定することにより、適切な幅のイオンビームを得ることができる。
【0067】
また、高い周波数調整精度を得るためにシャッター15を高速とする必要がなくなり、シャッター構造をソレノイド式では無くエア駆動とすることも可能である。この場合、シャッター15の機械的な連結部分の摩擦やソレノイドコイルによる発熱がなくなるので、シャッター構造及び周辺の冷却構造の簡素化が可能となり、装置の空間効率が稼げるので装置の省スペース化が期待できる。
【0068】
上記実施の形態では、2本のイオンビームIa,Ibを生成照射するイオンガン11とそれを用いた周波数調整装置について説明したが、イオンガンが照射するイオンビームの数は任意である。例えば、図9に示すように、ビーム数を4とし、同時に加工する水晶振動子の数を4個としてもよい。
【0069】
この場合には、例えば、十分なイオンを生成するために、フィラメント数を図1の構成よりも増加し、加速グリッド116を、例えば、4分割し、それぞれに、ビーム孔群を形成する。また、各分割加速グリッド116a〜116dを、加速制御スイッチ121a〜121dを介して加速電源に接続する。このような構成とすれば、4つのイオンビームを生成して、水晶振動子201a〜201dを並行して加工し、さらに、加工が終了したイオンビームから順番に、対応する加速制御スイッチをオフすることによって、その照射を停止することができる。
【0070】
さらに、イオンビームの数は、2,4に限定されず、任意であり、奇数でもよい。これらの場合に、加速グリッドは、例えば、図10(a)〜(c)に例示するように、任意のパターンで分割される。
【0071】
また、上記実施の形態においては、分割加速グリッドに印加する電圧をオン・オフ(フローティング)することにより、イオンビームをオン・オフする例を示したが、各分割加速グリッドに印加する電圧を制御することにより、各イオンビームの強度を連続的又は段階的に(図5,図6に示すように)変化させるようにしてもよい。この場合、例えば、図11に示すように、スイッチ群に代えて、各分割加速グリッドに任意の電圧を印加する電圧制御部141を配置し、その出力電圧をマイクロコンピュータなどで制御するようにしてもよい。このような構成によれば、イオンビームのオン・オフだけでなく、異なったビーム強度での加工なども可能となる。
また、同一のイオンガンで複数の素子を同時調整するときに、素子毎に周波数調整レートを変えることができる。
【0072】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る周波数調整装置を図面を用いて説明する。本実施の形態の周波数調整装置が、第1の実施の形態の装置と異なる点は、周波数調整装置を構成するイオンガンの加速グリッドの面積が遮蔽グリッドの面積と比較し小さく形成される点にある。以下、第1の実施の形態と共通する部分については、同一の引用番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0073】
本実施の形態に係る周波数調整装置の構成例を図18に示す。本実施の形態の周波数調整装置は、第1の実施の形態と同様に、イオンガン51と、加工対象の水晶振動子を載置する載置部12と、水晶振動子の共振周波数を検出する共振周波数測定部13と、制御部14と、シャッター15と、から構成される。
【0074】
イオンガン51は、2つのイオンビームIaとIbとを生成する装置であり、本体(チャンバ)111と、アノード(電極)112と、フィラメント113と、ガス導入部114と、遮蔽グリッド515と、加速グリッド516(516a,516b)と、減速グリッド517と、フィラメント電源131と、放電電源132と、ビーム電源133と、加速電源134と、ニュートラライザ125と、加速制御スイッチ121a,121bと、ビームスイッチ122,123と、を備える。
【0075】
遮蔽グリッド515は、本体111のイオン射出面に配置され、ビーム孔(ビーム引き出し孔)部分を除いてイオンをチャンバ内に封じ込める。イオンガン51は、2ビームを出力するものであり、そのグリッドパターンは、図19(a)に示すような、2ビーム用の構成を有する。このグリッドパターンは、距離d2をおいて、ビーム孔群61が2つ形成された構成を有する。
【0076】
加速グリッド516は、本体111のイオン射出面に遮蔽グリッド515から所定距離離間してほぼ平行に配置されている。加速グリッド516は、図19(b)に示すように、円板が2分割された形状を有する。換言すれば、加速グリッド516は、第1の実施の形態と同様に半円板状の分割加速グリッド516a,516bが2枚組み合わされた構造を有する。加速グリッド516には、図19(b)に示すように、遮蔽グリッド515に形成されたビーム孔611と重なる位置にビーム孔612が形成されている。加速グリッド516のビーム孔612の面積は、遮蔽グリッド515のビーム孔611の面積より小さく形成される。また、1つの分割加速グリッド516a、516bに1ビーム出力用のビーム孔群が配置される。
【0077】
減速グリッド517は、本体111のイオン射出面に加速グリッド516に近接してかつ離間してほぼ平行に配置されている。減速グリッド517は、図19(a)に示すように、遮蔽グリッド515と同一の構成を有する。本実施の形態では、減速グリッド517のビーム孔613の面積は、遮蔽グリッド515のビーム孔611の面積とほぼ同じに形成される。減速グリッド517は、アースに接続されており、分割加速グリッド516aと分割加速グリッド516bとの間の電位差により両分割加速グリッド間に生ずる空間の電界(イオンビーム直交方向の電界)を遮蔽し、分割加速グリッド516aと516b間の相互作用を減ずる機能を有する。
【0078】
また、本実施の形態では、遮蔽グリッド515と加速グリッド516と減速グリッド517とは、図20に示すように、ほぼ平行にそれぞれ離間して配置されている。遮蔽グリッド515と加速グリッド516との離間する距離と、加速グリッド516と減速グリッド517との離間する距離とは、ほぼ同じであり、具体的に本実施の形態では、ビーム孔の径とほぼ同じ距離離間して配置されている。また、特に本実施の形態では、図20に示すように、遮蔽グリッド515に設けられたビーム孔611の面積と、減速グリッド517に設けられたビーム孔613の面積とは、ほぼ同じ大きさに形成されるが、加速グリッド516に設けられたビーム孔612の面積は、ビーム孔611の面積より小さく形成される。
【0079】
本実施の形態では、加速グリッド516のビーム孔612の面積は、以下に詳細に説明するように、遮蔽グリッド515のビーム孔611の面積に対し0.2〜0.8倍に形成される。このように、加速グリッド516のビーム孔612を、遮蔽グリッド515のビーム孔611と比較し小さく形成することにより、分割加速グリッド516a,516bのいずれか一方がオフされているとき、他方の分割加速グリッドからのビームの漏れを良好に抑制することができる。
【0080】
図21にビーム電源の電圧を900V、放電電源の電流を650mAとし、遮蔽グリッド515及び減速グリッド517の各ビーム孔611,613の径をφ1.1mmの円形とし、加速グリッドの各ビーム孔の径をφ1.1mm、φ1.0mm、φ0.8mm、φ0.6mm、φ0.4mmの円形とした場合のイオン電流密度の分布を示す。イオンビームは、図6と同様にIaをオン、Ibをオフとした。なお、図21に示す横軸は、イオンガンの中心と対向する位置を原点としたときの原点からの距離を示し、縦軸は、各加速グリッドの孔径において得られるイオン電流密度分布の最大値に対する強度をパーセントで示したものである。
【0081】
このようにビーム電圧が高い場合、プラズマと減速グリッド間の電位差により生ずる電界により、イオンビームIbが完全にゼロにならず、漏れのビームが生ずる。例えば、図21に示すように加速グリッドのビーム孔と遮蔽グリッドのビーム孔が同じであるφ1.1mmの場合、イオンビームIaに対し、Ibは40%程度であり、漏れのビームが生じていることが分かる。しかし、加速グリッドの内径をφ1.0mm、φ0.8mm、φ0.6mm、φ0.4mmと小さくしていくと、徐々にイオンビームの漏れが減少し、φ0.6mmとφ0.4mmでは、5%程度まで減少することがわかる。従って、図21から明らかなように、加速グリッドのビーム孔を遮蔽グリッドのビーム孔と比較し、小さく形成するとプラズマと減速グリッド間の電位差により生ずる電界が軽減され、イオンビームの漏れを減少させることができる。
【0082】
次に、図21と同様にビーム電源の電圧900V、放電電源の電流650mAの条件下で、遮蔽グリッド515及び減速グリッド517の各ビーム孔611,613の径をφ1.1mmの円形とし、加速グリッドの各ビーム孔の径をφ1.1mm、φ1.0mm、φ0.8mm、φ0.6
mm、φ0.4mmの円形とした場合のイオンビームIaとIbとのイオン電流密度の比を図22に示す。なお、イオンビームIbはオフ状態である。図22では、横軸を遮蔽グリッドのビーム孔面積に対する加速グリッドのビーム孔面積をビーム孔面積比とし、縦軸をイオン電流密度Iaに対するIbの比(Ib/Ia)として示す。
【0083】
図22からは、遮蔽グリッドのビーム孔面積に対する加速グリッドのビーム孔面積の比が、30%以下ではほぼIb/Iaは5%程度の横ばいであり、30%を超えると徐々にIb/Iaがほぼ直線的に増加し、100%に至るとIb/Iaは40%程度に至ることが分かる。本実施の形態のように水晶振動子を加工する場合等、イオンビームがオフされている側の加工対象物に影響を及ぼさないよう、オフ側のイオンビームの電流密度のオン側の電流密度に対する比は、25%以下であることが好ましい。従って、図22に示すグラフから遮蔽グリッドのビーム孔面積に対し、加速グリッドのビーム孔径は80%以下に設定すれば良いことが分かる。
【0084】
次に、図23は、図22に示すグラフと同一の条件の下で、イオンビームIa,Ibともにオン状態とした際の電流密度を示すグラフである。図23では、横軸にビーム孔の面積比をとり、縦軸として、Ia、Ibをともにオン状態としたときのイオン電流密度をとっている。
【0085】
図23から、ビーム孔の面積比が30%まではイオン電流密度は8mA/cm2以上を維持しているが、20%以下になるとイオン電流密度が著しく低下してしまうことがわかる。特に、ビーム電源の電圧900Vの条件では、実用上、イオン電流密度は6mA/cm2以上が必要であり、ビーム孔の面積比が小さすぎると、その値を下回ってしまい、装置の処理速度に遅れが生じる。従って、イオンビームの十分な強度を得るためには、ビーム孔の面積比を20%以上にすることが必要であるといえる。
【0086】
このように、イオンビームの漏れを抑制する効果を得るためには加速グリッドのビーム孔を小さく形成することが好ましいが、ビーム孔を小さく形成しすぎるとオン状態のイオンビームの強度を弱める結果となる。従って、オフ状態の漏れを抑制し、更にオン状態の電流強度を確保するためには、各ビーム孔の面積比を0.2〜0.8倍に設定するのが好ましい。なお、本実施の形態内では、ビーム電源電圧900Vの場合を例に示しているが、これ以外の電源電圧でも同様に、ビームの漏れを抑制し且つイオンビームの強度を確保するためにはビーム孔の面積比を0.2〜0.8倍とすることが好ましい。
【0087】
このように本実施の形態の周波数調整装置では、加速グリッドのビーム孔を遮蔽グリッドのビーム孔に対し小さく形成することにより、オン側のイオン電流密度の強度を損なうことなく、オフ側のイオンビームの漏れを抑制することができるため、イオンビームの良好なオン・オフ特性を得ることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、2本のイオンビームIa,Ibを生成照射するイオンガン11を例に挙げたが、イオンガンが照射するイオンビームの数は任意である。2,4に限定されず、任意であり、奇数でもよい。また、本実施の形態でも、分割加速グリッドに印加する電圧をオン・オフ(フローティング)することにより、イオンビームをオン・オフする場合に限られず、各分割加速グリッドに印加する電圧を制御することにより、各イオンビームの強度を連続的又は段階的に(図5,図6に示すように)変化させるようにしてもよい。また、同一のイオンガンで複数の素子を同時調整するときに、素子毎に周波数調整レートを変えることができる。
【0089】
本実施の形態では、加速グリッドに形成されたビーム孔群が、遮蔽グリッドに形成されたビーム孔群に対応し、加速グリッドのビーム孔が全て、対応する遮蔽グリッドのビーム孔よりも小さいものとするが、加速グリッドのビーム孔の少なくとも一つが対応する遮蔽グリッドのビーム孔より小さければよい。例えば、ビーム孔群の中心部のみ加速グリッドのビーム孔が遮蔽グリッドのビーム孔よりも小さく、ビーム孔群の周縁部は加速グリッドと遮蔽グリッドと等しい大きさとすることも考えられる。
【0090】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更及び応用が可能である。例えば、上記実施の形態においては、水晶振動子の金属電極をエッチングすることにより、その共振周波数を調整(変更)する調整装置を例にこの発明を説明したが、エッチング及び調整の対象は任意である。例えば、水晶振動子以外の圧電デバイスの電極をエッチングする場合に適用可能である。また、エッチングの対象物やその材質は任意であり、例えば、金属、半導体、樹脂等をエッチングすることができる。
【0091】
また、上記実施の形態においては、スパッタ用のイオンとしてArイオンを使用したが、他のイオンを使用することも当然可能である。また、イオンに限定されず、電子にも適用することができる。
【0092】
また、上述した各実施の形態では、各ビーム孔の群が多孔で構成される例のみを示したが、単孔でも実施可能である。また、各ビーム孔の平面形状は円径に限られず、楕円形、多角形であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る周波数調整装置の全体構成図である。
【図2】図1に示す周波数調整装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るグリッドの構成を示す図である。
【図4】制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】分割加速グリッドに印加する電圧とイオンビーム強度との関係を示すグラフである。
【図6】減速グリッドに印加する電圧とイオンビーム強度との関係を示すグラフである。
【図7】減速グリッドの有無とイオンビーム強度との関係を示すグラフである。
【図8】グリッドピッチとイオンビームの幅との関係を示すグラフである。
【図9】イオンビームの数を4としたときの装置構成の例を示す図である。
【図10】加速グリッドのパターンの例を示す図である。
【図11】イオンビームの強度を可変できる構成としたときの装置構成の例を示す図である。
【図12】従来の1ビーム型の周波数調整装置の構成例を示す図である。
【図13】図12の装置で使用する加速グリッドのパターンの例を示す図である。
【図14】図12の装置で照射されるイオンビームの電流密度の例を示すグラフである。
【図15】従来の2ビーム型の周波数調整装置の構成例を示す図である。
【図16】図15の装置で使用する遮蔽グリッドと加速グリッドのパターンの例を示す図である。
【図17】図15の装置で照射されるイオンビームの電流密度の例を示すグラフである。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る周波数調整装置の全体構成図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係るグリッドの構成を示す図である。
【図20】図19に示すグリッドのXX−XX線断面図である。
【図21】加速グリッドの径を変化させた際の電流密度の変化を示すグラフである。
【図22】ビーム孔の面積比に対するイオンビームの強度の比(Ib/Ia)の関係を示すグラフである。
【図23】ビーム孔の面積比に対するイオンビーム強度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0094】
11,51 イオンガン
12 載置部
13 共振周波数測定部
14 制御部
15 シャッター
15a、15b シャッター
21,61 ビーム孔群
111 本体(チャンバ)
112 アノード(電極)
113 フィラメント
114 ガス導入部
115,515 遮蔽グリッド
116,516 加速グリッド
116a〜116d,516a,516b 分割加速グリッド
117,517 減速グリッド
121a〜121d 加速制御スイッチ
122,123 ビームスイッチ
125 ニュートラライザ
131 フィラメント電源
132 放電電源
133 ビーム電源
134 加速電源
201a〜201d 水晶振動子
211,611 ビーム孔
Ia,Ib イオンビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子を照射する荷電粒子照射装置であって、
荷電粒子を生成する荷電粒子生成手段と、
前記荷電粒子生成手段で生成された荷電粒子を引き出して荷電粒子ビームを出力する複数に分割された加速グリッドと、
前記複数に分割された該加速グリッドの電位を個々に制御することにより、対応する荷電粒子ビームの強度を独立に制御する制御手段と、
を備えることを特徴とした荷電粒子照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷電粒子照射装置であって、分割された該加速グリッド間に生ずる電界を遮蔽するための導電性の遮蔽板を備えることを特徴とする荷電粒子照射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の荷電粒子照射装置であって、遮蔽板は、前記加速グリッドの外側に配置された減速グリッドから構成されることを特徴とする荷電粒子照射装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の荷電粒子照射装置であって、前記加速グリッドの内側に配置された遮蔽グリッドと、前記加速グリッドを挟んで外側に配置された減速グリッドと、を更に備え、遮蔽グリッド、加速グリッド、減速グリッドの3枚重ねのグリッド構成を備える、ことを特徴とする荷電粒子照射装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の荷電粒子照射装置であって、前記加速グリッドの内側に配置された遮蔽グリッドを備え、前記加速グリッドに形成された加速グリッドビーム孔の面積が、前記遮蔽グリッドに形成された遮蔽グリッドビーム孔の面積より小さく形成されることを特徴とする荷電粒子照射装置。
【請求項6】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の荷電粒子照射装置であって、前記加速グリッドの内側に配置された遮蔽グリッドを備え、該加速グリッド及び該遮蔽グリッドに複数のビーム孔からなるビーム孔群が形成され、該加速グリッドに形成された少なくとも一つのビーム孔の面積が、該遮蔽グリッドに形成された対応するビーム孔の面積より小さいことを特徴とする荷電粒子照射装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の荷電粒子照射装置であって、前記加速グリッドの前記加速グリッドビーム孔の面積が、前記遮蔽グリッドの前記遮蔽グリッドビーム孔の面積の0.2〜0.8倍に形成されることを特徴とする荷電粒子照射装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の荷電粒子照射装置であって、前記制御手段は、前記分割加速グリッドを独立してフローティング電位に制御することにより、対応する荷電粒子ビームを遮断する、ことを特徴とした荷電粒子照射装置。
【請求項9】
請求項8に記載の荷電粒子照射装置であって、前記制御手段は、各前記分割加速グリッドと電源との間に個々に設置されたスイッチ回路と、前記スイッチ回路を個別にオン・オフする手段とを備えることを特徴とする荷電粒子照射装置。
【請求項10】
請求項3又は4に記載の荷電粒子照射装置であって、前記減速グリッドが真空槽と同電位であることを特徴とした荷電粒子照射装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の荷電粒子照射装置であって、
前記荷電粒子ビームを照射して加工する被加工物を配置する配置手段を更に備え、
前記加速グリッドに複数のビーム孔からなるビーム孔群が形成され、さらに加速グリッドに配される前記ビーム孔群の間隔は、前記配置手段により配置された被加工物の配置間隔に対し0.5倍〜1.0倍に形成されている、ことを特徴とする荷電粒子照射装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の荷電粒子照射装置から構成されるイオンガンと、
圧電デバイスを複数個配置する配置手段と、
前記配置手段により配置された複数の圧電デバイスの共振周波数を判別する共振周波数判別手段と、
を備え、
前記共振周波数判別手段により前記配置手段により配置された複数の該圧電デバイスの共振周波数をモニタしながら、並行して該複数の該圧電デバイスにイオンビームを照射して各圧電デバイスの少なくとも一部をエッチングすることにより複数の該圧電デバイスの共振周波数を調整する、ことを特徴とする周波数調整装置。
【請求項13】
所定の容器にプラズマを生成し、
該プラズマに隣接して複数の加速グリッドを配置し、
各加速グリッドに、電圧を印加して荷電粒子を引き出す方向に電圧勾配を形成して、前記プラズマ中の荷電粒子を射出させ、
前記複数の加速グリッドの電圧を独立して制御することにより、射出させた荷電粒子の電流密度分布を制御する、
ことを特徴とした荷電粒子制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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