説明

著作権付画像データ管理システム

【課題】 用紙媒体上に印刷されたDRM画像データを、ユーザが別の用紙媒体にコピーする際、印刷された画像データを光学的に読み取って劣化した画像をコピーするしか手段が提供されていなかった。
【解決手段】 著作権付画像データはユーザ毎の閲覧許可属性、印刷許可属性と共に複製許可属性を有し、ユーザが用紙媒体上に印刷された著作権付画像データを画像形成装置から複写印刷する際には、画像形成装置は管理サーバと通信して、複写許可属性に基づく印刷制御または制限を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント、コピー、Fax、スキャンといった多機能な機能を備えたマルチファンクションプリンタ (MFP)と、デジタル画像データの著作権保護対策としてのDigital Rights Management (DRM)システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
写真やデザインなどの画像データをベースとしてビジネスを展開する市場は年々増加し、それらのデータを取り扱うアプリケーションソフトウエアの発展や印刷技術の進歩により市場に流通される画像データは高精細なものとなってきている。これに伴い、流通する画像データの容量は増加し、取り扱われるデータの数量も増加の一途をたどっている。
【0003】
その一方で、画像データをベースとしたビジネスにおいて留意しなければならないことの一つに、流通するデータの著作権の保護がある。データ容量やデータ数量が増加していくのに伴い、データをハンドリングするためのシステムには負荷がかかりまた複雑化していく一方で、著作権の保護を考慮したシステムの構築が望まれていた。このようないくつかの課題を抱えたシステムのニーズに答えるために開発されたシステムの一例として、「VFZ」という高精細、高品質の画像フォーマット(DRMフォーマットという呼称を使用する場合もある)を採用したDigital Rights Management (DRM)システムがある。この画像フォーマットは特殊な圧縮技術により、高精細、高品質の画像であるのにも関わらずデータ容量が少なくてすむという利点を持つ。更に、この「VFZ」データを暗号化しユーザIDとパスワードによって保護をかけたデータファイルと、これらデータファイルを管理する管理サーバとを連携させることにより、データファイルの操作、例えばファイルのオープンやクローズ、拡大や縮小、画像表示や印刷の品質レベルの設定、保存や印刷、などに対して細かに制限することが可能となっている。このシステムにより、デジタル画像データの複製や不正使用を防止することができ、著作権を保護したデジタル画像データの配布(有料)が実現されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、ユーザの「コピーする権利」については考慮されていなかった。すなわち用紙媒体上に印刷されたDRM画像データを、ユーザが別の用紙媒体にコピーする際、ネットワークMFP等の元のDRMデータを入手する通信手段を備えた装置を用いたとしても、印刷された画像データを光学的に読み取って劣化した画像をコピーするしか手段が提供されていなかった。また、DRMデータの属性として「コピーする権利」を設けたとしても、これを制限・運用する手段がなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の著作権付画像データ管理システムにおいては、著作権付画像データと、前記著作権付画像データを購入し使用するユーザのユーザIDを管理する管理サーバと、前記著作権付画像データを用紙媒体上に印刷する画像形成装置から構成される著作権付画像データ管理システムであって、前記著作権付画像データは前記ユーザ毎の閲覧許可属性、印刷許可属性と共に複製許可属性を有し、ユーザが用紙媒体上に印刷された前記著作権付画像データを前記画像形成装置から複写印刷する際には、前記画像形成装置は前記管理サーバと通信して、前記複写許可属性に基づく印刷制御または制限を行うことを特徴とする。
【0006】
さらに、前記画像形成装置は、前記著作権付画像データを用紙媒体に印刷する際に、前記ユーザIDまたはユーザIDに基づくユーザ毎の前期許可属性情報を、同時に用紙媒体上に記録する情報記録手段を有する。
【0007】
さらに、前記画像形成装置は、前記著作権付画像データが印刷された用紙媒体を別の用紙媒体に複写印刷する際に、前記記録手段によって記録された情報を読み取る情報読取手段を有し、前記情報読取手段により読み取った情報に基づき、別の用紙媒体上への複写印刷動作を制御または制限することを特徴とする。
【0008】
さらに、前記画像形成装置は、前記管理サーバと通信し、オリジナルの前記著作権付画像データを入手する著作権付画像データ入手手段を備え、前記情報読取手段により読み取った情報に基づき、複写許可されている場合にはオリジナルの画像データを用いて複写印刷を行うことを特徴とする。
【0009】
また、前記管理サーバは、前記画像形成装置との通信に基づき、前記ユーザID毎の複写枚数と複写枚数に応じた課金情報とを管理する管理手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記著作権付画像データは、特定の展開キーにより復号化可能な、暗号化された画像データであって、前記画像形成装置において印刷する際には、前記管理サーバよりユーザIDおよび許可属性に基づいて、前記特定の展開キーを入手する必要のあることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記著作権付画像データは、一度印刷された際に前記画像形成装置の不揮発性メモリ領域に暗号化された状態のまま保持され、複写印刷時における前記著作権付画像データ入手手段とは前記不揮発性メモリ領域より読み出す制御であることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記不揮発性メモリ領域に前記著作権付画像データを保存する際には、前記特定の展開キーを破棄する制御を行い、複写印刷または再印刷する際には複写印刷または再印刷しようとするユーザのユーザIDおよび前記属性情報に基づき、前記管理サーバより展開キーを再入手して画像展開することを特徴とする。
【0013】
また、前記情報記録手段とは、前記用紙媒体内に埋め込まれたICタグチップに情報を記録する手段であることを特徴とする。
【0014】
あるいは、前記情報記録手段とは、前記用紙媒体上に記録する画像データに、前記情報を人間に不可視の状態で埋め込まれる画像データに変換して合成することにより記録する手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、DRM画像データ管理システムにおいて、著作権管理をしつつ、その利用ユーザに従来の閲覧権・印刷権に加えて、複写権を提供することが可能となる。画像データの購入レベルに応じて複写権を入手したユーザは、そのデータを印刷した用紙媒体を複写印刷する際に、オリジナルと同じ画像品質の複写生成物を得ることが可能となる。また、複写権を購入した上でユーザが印刷した画像データを再配布する場合には、再配布先でオリジナルと同じ画像品質の複写生成物を印刷することも可能となり、また複写権に枚数制限を付けたり、複写枚数に応じた料金をユーザに課金するといった管理・運用も可能にできる。印刷権は購入していても、複写権を購入していないユーザには、画像劣化の伴う光学的なハードコピーのみ可能とするように制限することができ、著作権付画像データの多様な管理・運用を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照にして本発明の実施例を説明する。
【0017】
図1は本実施例を説明するためのシステム全体を示したシステム構成図である。
【0018】
1はプリント、コピー、Fax、スキャンといった多機能な機能を持つマルチファンクションプリンタ (MFP)であって、後述する、DRMサーバと通信したりサーバより入手したKeyを用いてDRMデータをラスター画像データに展開したりするDRM処理機能(11)を内蔵する。
【0019】
2は、DRM画像データ(コンテンツ)を利用するユーザが使用するユーザPCであって、DRM画像データを取り扱うためのアプリケーションプログラムであるDRM Viewer(21)がインストールされている。ユーザは固有のユーザIDおよびパスワードを保有しており、ユーザPC上のDRM Viewer(21)アプリ からネットワーク(WAN)を介してDRM画像データを検索したり、購入したりすることができる。購入したDRMデータは、購入した権利に応じてDRM Viewer(21)を用いて閲覧・印刷あるいはフォーマット変換や拡大縮小等を行うことが可能である。また、ユーザPC(2)はネットワーク(LAN)を介してMFP1と接続されており、そのネットワークプリントやスキャンなどの機能を使用できる。DRM画像データを印刷する際には、DRM Viewerから不図示のプリンタドライバを介して、MFPに、DRM画像データに加えてフィニッシング指定やユーザ情報などの付随する情報も送信される。尚、通常MFP1およびユーザPC2は直接LANに接続されており、WANへの接続はLAN上の不図示のプロクシサーバを介して行われている。
【0020】
3はDRMデジタル画像データに対する著作権保護対策であるところのDigital Rights Management (DRM)システムを運用するDRMコンテンツサーバ(管理サーバ)である。31はDRMコンテンツサーバ3の全体の動きを司るDRM管理サーバ部で、ユーザがユーザPC2からネットワークWANを介してDRMコンテンツサーバ3内のファイルをオープンした際にユーザ情報に基づいてコンテンツのアクセス制限を行うなどする。32はデジタル画像データDBで、デジタル画像データを登録するところのDBである。33はユーザDBでユーザ情報(画像データのアクセス権、コンテンツの詳細アクセス制限、ユーザ購入情報など)を保有する。コンテンツの詳細アクセス制限とは、閲覧や印刷のための最大拡大率、閲覧や印刷のための品質レベル(何段階かにレベル分けされている)、印刷が可能か否か、外部保存が可能か否か、などであり、本発明の本質に関わる複写権もこの一部となる。34はログDBで、誰が、いつ、どこから、どのサイズに縮小して外部保存したか、印刷したか、あるいは複製権まで購入されたDRM画像に対して何枚の複製印刷が行われたか、などをログとして残す。
【0021】
4はコンテンツホルダーで、デジタル画像データ情報やユーザ情報などを管理サーバに登録する。すなわち著作権付画像データの著作権保持者または管理者であって、DRMクライアントアプリケーションを用いて、デジタル画像データをデジタル画像データDB(32)に登録したり、ユーザアクセス情報をユーザDB(33)に登録したり、課金情報をユーザDB(33)から取得したり、ログ情報をログDB(34)から取得したりする。
【0022】
図2は、DRM管理サーバ31とユーザPC2上で動作するDRM Veiwerアプリケーション21の、本発明に関わる構成要素を示すブロック図である。
【0023】
201はデジタル画像データDB(32)、ユーザDB(33)やログ(DB)にアクセスしてデータの読み出し、書き込み等を行いデータの管理を行うDBアクセス管理手段である。202はユーザPC(2)やMFP(1)等の外部装置からユーザID等のユーザ情報を受信したり、外部装置からのリクエストコマンドを受信するためのユーザ情報および要求受信手段である。203はDBアクセス管理手段(201)より読み出したDRMデータや展開キー、ユーザ情報等の関連する情報を外部装置に送信するためのDRMデータおよび関連情報送信手段である。
【0024】
DRM viewer(21)の211は、ユーザI/Fを介してユーザからユーザIDおよびパスワードを入力せしめるためのユーザ情報入力手段である。入力されたユーザIDおよびパスワードは、メモリやHDD等の記憶装置によって構成される215のデータ・情報記憶手段に一旦記憶される。214はDRM管理サーバ(31)に対して、データ・情報記憶手段215から読み取ったユーザ情報や、各種要求コマンドを送信するためのユーザ情報および要求送信手段である。ここで各種要求とは、購入可能なDRMデータ一覧情報の送信要求であったり、個別DRMデータのダウンロード要求等で、ユーザI/Fからのユーザの操作に応じた要求である。216は214の送信手段により送信された要求に基づき、サーバ(31)より送られてくるDRMデータや関連情報を受信するためのDRMデータおよび関連情報受信手段である。受信されたデータや情報は、データ・情報記憶手段215に、種類に応じて一時的にまたは恒久的に蓄積される。212は、ユーザI/Fを介してユーザに対し購入可能なDRM画像データの一覧を示し、購入したいDRM画像データを選択させると共に購入する権限を決定させる、購入および高級レベル決定手段である。決定されるとこれをトリガとして214の送信手段より要求がサーバ(31)に出され、216の受信手段によりデータおよび付随する情報が受信されて、215の記憶手段に蓄積される。ユーザは215に蓄積されている各DRM画像データに対し、付随する権限に応じて、閲覧や印刷等の支持を出すことができる。例えば213はDRM画像データの外部印刷装置での印刷を指示する印刷指示手段である。UIを介して印刷指示手段213に印刷指示が出されると、指示されたDRM画像が記憶手段215から読み出され、217のDRMデータ印刷ジョブ出力手段によって外部印刷装置に印刷ジョブとして出力される。これに先んじて218の出力デバイス情報取得手段により印刷装置の情報が取得されており、印刷装置が次に説明するDRM情報記録機能付のMFPである場合には、印刷ジョブと共にユーザ情報もMFPに出力される。
【0025】
図3は、DRM印刷機能および複写機能を持つMFP(1)の、本発明に関わる構成要素を示すブロック図である。303はユーザPC(2)のDRM viewer(21)から、DRMデータの印刷ジョブを受信するためのDRMデータジョブ受信手段である。受信されたDRMデータおよび付随するユーザID等のユーザ情報は、306のデータ・情報記憶手段に保持される。不図示のCPU等のMFP制御手段によって、303の受信手段によりDRMジョブが受信されると、記憶手段306からDRMデータと付随する情報が読み出される。読み出したユーザIDと印刷要求は301のユーザ情報および要求送信手段によりDRM管理サーバ31に画像データIDと共に送信され、ユーザIDのユーザがその画像データに対して印刷権限があれば、DRM画像の展開キーがDRM管理サーバより送られてくる。この展開キーは302のDRMデータおよび関連情報受信手段により受信される。展開キーが入手されたDRM画像データは、307のDRM画像展開手段によって展開キーを用いて復号化され、ビットマップ(ラスター)画像となる。展開された画像は320のプリンタ部にユーザ情報と共に送信され、320のプリンタ部では印字手段321により用紙に画像データを印刷すると共に、ユーザ情報記録手段322のユーザ情報記録手段により同時に用紙上に、少なくともユーザIDと画像IDを含むユーザ情報が記録される。ユーザ情報の記録手段は、例えば用紙をICチップ内蔵用紙とし、DRM印刷時にはICチップ内蔵用紙に限定してICチップ上に記録する方法と、展開され送られてきたラスター画像に、薄い黄色等を用いたりビット間の間隔を微妙に変える等して、人間には不可視な画像の変化量(アドオン)として埋め込み321で同時に印刷させる方法等がある。
【0026】
また、図3のMFP(1)は、308の複写印刷指示手段によって、ユーザから複写印刷(コピー)の指示を受けることが可能である。ユーザは310のスキャナ部にコピーしたい原稿をセットした後に、308に複写指示し、複写指示を受けた不図示のMFP制御手段は、310のスキャナ部に対して原稿画像の読み取りを指示する。本MFPは、スキャナ部310に光学的に画像を読み取り画像データに変換する光学的画像読取手段311を備えると共に、先に説明したユーザ情報記録手段322により用紙媒体上に記録されたユーザ情報を読み取るユーザ情報読取手段312を備えている。原稿がDRM画像原稿である場合には、ユーザIDおよび画像IDが読み取られ、DRM原稿であることが判断される。DRM原稿と判断された場合には、データ・情報記憶手段306に元となるDRM画像データがあればそれを用い、無い場合には301の送信手段および302の受信手段によりDRM管理サーバより元となる画像データを入手する。どちらの場合でも、ユーザIDと画像IDはDRMサーバに送信され、複写権があるかどうかの確認と、ある場合には画像展開キーが入手される。尚、複写権には制限枚数や期間等を設定できるが、これらはDRM管理サーバ上で管理されるため、現時点で複写可能な状態であるときのみ複写権有りとしてサーバより返事が返ってくる。また、合わせて複写したい枚数情報等もサーバに送受信されている。複写権がある場合には、DRM画像データを307の展開手段により展開して320のプリンタ部で印刷する。このときは本実施例では複写生成物であるので、ユーザ情報は用紙に記録されないものとする。DRM画像でなかったり、DRM画像であっても複写権が無かった場合には、光学的画像読み取り手段311により読み取ったラスター画像を320に送って、印字手段321により用紙上に印刷させる制御を行う。
【0027】
図9に、以上説明してきたDRMコンテンツサーバ(3)、DRM Viewerの動作するユーザPC(2)、およびMFP(1)の動作に伴うデータの流れの一例を表すデータフロー図を示す。
【0028】
以下、図2〜図8を用いて、複写権に関わるDRM画像の購入、印刷および複製動作について詳細に説明する。
【0029】
図5は、ユーザPC(2)上で動作するDRM Viewerアプリケーション(21)の、DRM画像データ購入時における動作を示すフローである。尚、ユーザはDRM Viewerを使用するに当たって、DRM Viewerアプリを起動し、図2の211のユーザ情報入力手段により、自己のユーザIDおよびパスワードを入力し、ログインを済ませておく必要がある。また、各ユーザは予め所定の手段を通じてサーバ(3)のデータベースに登録されており、料金の引落口座等の課金手段についてもユーザ毎に登録されている。
【0030】
ViewerのUIからのユーザの指示を図2の購入および購入レベル決定手段(212)で受けて購入フローに入ると、まずS501において、214のユーザ情報および要求送信手段により、DRM管理サーバ31にユーザID等のユーザ情報とそのユーザが購入可能なDRM画像データの一覧取得要求を行う。そして、216の受信手段により、一覧情報を取得する。この一覧情報には画像IDの他に、サムネイルや購入可能な権利等も含まれている。
【0031】
そして、S502においてUI上に購入可能な一覧画像の一覧と、それぞれに付随する購入可能な権利が表示される。この権利とは、例えば図4の表のようにDRM管理サーバ31のDBアクセス管理手段201により管理されるものであって、画像の閲覧許可やDRMではないフォーマットでの画像の保存を許可するか否かという権利に加えて、印刷に対する許可や枚数・期間制限、さらには用紙媒体上に印刷した画像に対して、高画質での複写を許可する複写許可やその枚数・期間制限が含まれている。
【0032】
S503において、ユーザは画像を選択するとともに、これらのどの権利を購入するかを決定する。もちろん通常、購入する権利に応じて、課金は異なってくる。
【0033】
S504では、送信手段(214)により、決定された画像IDと権利および購入するユーザのIDが購入要求と共にサーバに送信される。サーバ(31)においては、202の受信手段により受信したこれらの情報に基づき、201のDBアクセス管理手段を用いてDBに登録すると共に、しかるべき課金処理を行って、203のDRMデータおよび関連情報送信手段によってユーザPC(2)に購入したDRM画像を送信する。このとき、購入した権利に応じて、例えば閲覧可能に画像をデコードするキーや印刷可能に画像展開するためのキー等の付随する情報も合わせて送信する。
【0034】
S505において、DRM Viewerは、216の受信手段により、DRM画像データとこれらの情報を受信し、215のデータ・情報記憶手段に格納する。尚、受信したDRM画像データファイルそのものは、HDD等に、他のアプリ等を用いてアクセス可能な状態に保存されるが、ユーザIDと上記の展開キーなどのユーザ毎の権利に付随する情報は、他のアプリからはアクセス不可能にしている。
【0035】
次に、図6において購入済みのDRM画像データに対する、DRM Viewer(21)における印刷処理について説明する。
【0036】
図2の213の印刷指示手段により、印刷処理フローに入ると、まずはS601においてHDDに保存されているDRM Viewerがアクセス可能なDRM画像データの一覧を表示し、ユーザに印刷させたいDRM画像を選択させる。
【0037】
次に、S602において、管理サーバ(31)と通信し、選択された画像IDに対して、ユーザIDのユーザが印刷権を持つかどうかを問い合わせる。図4の管理DBの表の例では、例えばユーザAは、印刷許可されており、かつ制限枚数もないので、現在の時刻が期間制限内であれば、印刷権有りとの情報がサーバより返る。ユーザBにおいては、印刷枚数制限があるため、今までに10枚以上印刷されていなければ許可有り、されていた場合には許可無しとして返る。すなわち図1のユーザDBにおいては、図4の表のアクセス権一覧に加えて、今までの印刷枚数情報も各ユーザ毎に管理されている。
【0038】
S604において、サーバからの問い合わせ結果に基づきユーザ権有無を判断し、印刷権ない場合には、所定の印刷不可時処理S609を行って終了する。尚、この所定の印刷不可時処理は、例えば、ユーザに印刷権の購入を促すためのUI表示であったり、その後図5で説明したのと同等の購入フローに進むように実装することが可能である。
【0039】
印刷権有の場合には、S605のステップへと進み、図2の218の出力デバイス情報取得手段により取得したデバイス情報に基づき、印刷可能なデバイスを表示する。このときデバイスが図3に示したDRM処理可能なMFPであるか、あるいは単にラスター画像を受け取って用紙上に印刷するのみの機能のプリンタであるか、と言った情報や、デバイスのフィニッシング機能等も取得される。
【0040】
S606において、ユーザは印刷するデバイスを選択するとともに、フィニッシング等の印刷オプションも合わせて選択する。これはデバイスに応じたプリントドライバを用いることにより行っている。
【0041】
デバイスが決定すると、S607において先に取得したデバイスの機能を調べ、DRM印刷機能の有無を調べる。DRM印刷機能とは、図3で説明したMFPの持つDRM画像の処理とDRMサーバとの通信機能のことである。
【0042】
DRM印刷機能有りのデバイスである場合には、S608においてユーザIDを含むユーザ情報とDRM画像データを含む印刷ジョブとして、デバイスにジョブを出力して終了する。
【0043】
DRM印刷機能無しのデバイスである場合には、S610において、DRM Viewerが214の送信手段を持って画像IDとユーザIDをDRM管理サーバに送信し、印刷用の画像展開キーをDRMサーバより取得する。
【0044】
そしてS611において、DRM画像データを展開キーを用いて暗号化をデコードして画像展開し、ラスター画像データを生成してこれを含む印刷ジョブとして、デバイスに出力すると共に、S612においてDRM管理サーバに今回印刷したDRMデータの枚数を送信する。DRM管理サーバ(31)ではDBアクセス管理手段(201)を用いて、ユーザDBに印刷済み枚数を記録する。
【0045】
図3のMFPにおけるDRM印刷ジョブの処理フローは図7のようになる。
【0046】
まず、S701に示す処理として、図3の303に示した受信手段により、DRM Viewer(21)より、DRMデータ印刷ジョブをユーザIDを含む形式で受信する。
【0047】
そして、S702において、ユーザIDと画像IDを管理サーバに送信し、S703において印刷用の画像展開キーをサーバより受信する。尚、フローでは簡略化のため、図6に示したように予め印刷許可がある場合のみにDRMジョブが送られてくる場合を想定しているため、ここで印刷許可を問い合わせることは行っていないが、例えばすでにMFPのHDD内のドキュメントBoxのようなところにDRM印刷ジョブが存在していてこれを印刷するような場合を想定するならば、S703に先んじて(あるいは同時に)、図6で示した許可の問い合わせ動作が必要となる。
【0048】
そしてS704においては、ジョブの用紙指定やフィニッシング指定等の解析をし、ジョブシーケンスを組み立てると共に、サーバより入手した展開キーを用いて、図3の307のDRM画像展開手段により暗号化されているDRM画像データを復号化し、ラスター画像へと展開する。
【0049】
そしてS705において、展開したラスター画像と制御シーケンスに合わせて、ユーザIDを含むユーザ情報をプリンタ部320へと送信し、S706において321の印字手段により画像形成すると共に、322のユーザ情報記録手段により、用紙媒体上のICチップなどにユーザ情報を記録する。
【0050】
最後にS707において、印刷した枚数を管理サーバに通知して処理終了となる。
【0051】
次に図8にて図3のMFP(1)における、用紙媒体上に印刷されたDRM画像の複写印刷処理について説明する。
【0052】
ユーザは、図3の310のスキャナ部原稿台に、コピーしたいDRM画像の印刷された原稿用紙をセットし、MFPのUIより複写印刷を指示する。
【0053】
MFP(1)はS801で、複写印刷指示手段(308)から複写印刷指示を受け付ける。
【0054】
すると、S802にて、311の光学的読取手段と312のユーザ情報読取手段を用いて、原稿の画像を光学的に読み取ってラスター画像データを生成すると共に、用紙媒体上のICチップ等に記録されているユーザIDを含むユーザ情報を読み取る。読み取ったデータおよび情報は、306の記憶手段に一時保存される。
【0055】
次にS804において、ICチップなどよりユーザID等のユーザ情報が読み取れたか否かによって、複写印刷しようとしている原稿がDRM画像であるのか否かを判断する。DRM画像でないと判断された場合には、S814へと進み、通常の光学的複写印刷処理を行う。
【0056】
S814においては先に読み取って306に保存してあるラスターデータをプリンタ部に転送して、S815としてプリンタ部320にて印刷処理する。もちろん、図6のS610〜612で示したように、元がDRM画像データであってもユーザ情報が記録されていない場合は非DRMと判断され、この光学的複写印刷動作が行われる。
【0057】
DRM画像であると判断された場合には、S804にて301の送信手段を用いて、DRM管理サーバ(31)にユーザIDと複写印刷したい画像ID(これもICチップから読み取られている)を送信し、S805にてサーバから複写権情報を取得する。印刷権と同様、図4の例に示すように、複写権にも枚数制限や期間制限を設けることが可能であり、これらの条件を満たすときのみ複写権有りとしてサーバより戻る。
【0058】
S806の判断で、サーバより複写権が無いとの回答が来た場合には、S814に進み通常の光学的複写処理動作を行って終了となる。
【0059】
複写権有りの場合、MFP(1)の記憶手段306内に、複写印刷しようとしている画像IDのDRMデータが保存されていないかどうかを調べる。複写しようとしている原稿を、先に説明したDRM Viewer(21)からのDRM印刷ジョブを受けて印刷したMFPであれば、保存されている可能性があるが、他のMFPで複写印刷しようとしている場合には、当然保存されていない。よってこの場合にはS808のステップとして、管理サーバより画像IDの画像データをダウンロードする処理が加わる。
【0060】
次に、S809のステップとして、印刷用にDRM画像の暗号化を解除し復号化するためのキーを、管理サーバより取得する。この展開キーは、たとえDRM原稿を印刷したMFPであっても、印刷時に印刷が完了次第破棄するように実装されセキュリティを向上している。従って、印刷時または複写印刷時に逐次サーバより入手する必要がある。
【0061】
そしてS810において、UIからのコピー部数やFinishing設定等の指定を解析(ジョブ解析)し、ジョブシーケンスを組み立てると共に、DRM画像データを展開キーにより復号化し、ラスター画像へと展開する。
【0062】
そしてS811において、展開したラスター画像データをプリンタ部へと送信し、321の印字手段によりS812のステップで画像印刷する。尚、複写印刷時は本実施例ではユーザ情報は記録しないものとしている。
【0063】
印刷完了後、S813において、サーバに複写出力枚数を通知し、処理終了となる。すなわち管理サーバ31では、印刷時と同様に、複写印刷時にも複写枚数をDBに登録して管理している。
【0064】
尚、本実施例では、複写権と印刷権を分けて別々に管理する例を示したが、印刷権に複写権を含めて枚数や期間を管理したり、複写印刷したものに対しても複写権管理できるように複写印刷時にもユーザ情報をICチップ等に書き込むようにするといった運用ももちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施例を説明するためのシステム全体を示したシステム構成図である。
【図2】DRM管理サーバとユーザPC上で動作するDRM Viewerの構成示したブロック図である。
【図3】マルチファンクションプリンタの各手段を示したブロック図である。
【図4】DRM管理サーバにおいて管理されている、ユーザと各ユーザに対して許可されている画像毎の権限(:アクセス権限)との関係の例を示した表である。
【図5】DRM画像購入時におけるDRM Viewerの処理動作を示したフローチャートである。
【図6】DRM画像印刷時におけるDRM Viewerの処理動作を示したフローチャートである。
【図7】DRM画像印刷時におけるMFPの処理動作を示したフローチャートである。
【図8】用紙媒体上に印刷されたDRM画像の原稿を複写印刷する場合のMFPの処理動作を示したフローチャートである。
【図9】システム構成図における各情報、各データの流れの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0066】
1 マルチファンクションプリンタ(MFP)
11 DRM処理機能
2 ユーザPC
21 DRM Viewerアプリケーション
3 DRMコンテンツサーバ(管理サーバ)
31 DRM管理サーバ
32 デジタル画像データDB
33 ユーザDB
34 ログDB
4 コンテンツホルダー
201 DBアクセス管理手段
202 ユーザ情報および要求受信手段
203 DRMデータおよび関連情報送信手段
211 ユーザ情報入力手段
212 購入および購入レベル決定手段
213 印刷指示手段
214 ユーザ情報および要求送信手段
215 データ・情報記憶手段
216 DRMデータおよび関連情報受信手段
217 DRMデータ印刷ジョブ出力手段
218 出力デバイス情報取得手段
301 ユーザ情報および要求送信手段
302 DRMデータおよび関連情報受信手段
303 DRMデータ印刷ジョブ受信手段
304 デバイス情報出力手段
306 データ・情報記憶手段
307 DRM画像展開手段
308 複写印刷指示手段
310 スキャナ部
311 光学的画像読取手段
312 ユーザ情報読取手段
320 プリンタ部
321 印字手段
322 ユーザ情報記録手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
著作権付画像データと、前記著作権付画像データを購入し使用するユーザのユーザIDを管理する管理サーバと、前記著作権付画像データを用紙媒体上に印刷する画像形成装置から構成される著作権付画像データ管理システムであって、前記著作権付画像データは前記ユーザ毎の閲覧許可属性、印刷許可属性と共に複製許可属性を有し、ユーザが用紙媒体上に印刷された前記著作権付画像データを前記画像形成装置から複写印刷する際には、前記画像形成装置は前記管理サーバと通信して、前記複写許可属性に基づく印刷制御または制限を行うことを特徴とする著作権付画像データ管理システム。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記著作権付画像データを用紙媒体に印刷する際に、前記ユーザIDまたはユーザIDに基づくユーザ毎の前期許可属性情報を、同時に用紙媒体上に記録する情報記録手段を有する請求項1の著作権付画像データ管理システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記著作権付画像データが印刷された用紙媒体を別の用紙媒体に複写印刷する際に、前記記録手段によって記録された情報を読み取る情報読取手段を有し、前記情報読取手段により読み取った情報に基づき、別の用紙媒体上への複写印刷動作を制御または制限することを特徴とする請求項2の著作権付画像データ管理システム。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記管理サーバと通信し、オリジナルの前記著作権付画像データを入手する著作権付画像データ入手手段を備え、前記情報読取手段により読み取った情報に基づき、複写許可されている場合にはオリジナルの画像データを用いて複写印刷を行うことを特徴とする請求項3の著作権付画像データ管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記画像形成装置との通信に基づき、前記ユーザID毎の複写枚数と複写枚数に応じた課金情報とを管理する管理手段を有することを特徴とする請求項1に記載の著作権付画像データ管理システム。
【請求項6】
前記著作権付画像データは、特定の展開キーにより復号化可能な、暗号化された画像データであって、前記画像形成装置において印刷する際には、前記管理サーバよりユーザIDおよび許可属性に基づいて、前記特定の展開キーを入手する必要のあることを特徴とする請求項1に記載の著作権付画像データ管理システム。
【請求項7】
前記著作権付画像データは、一度印刷された際に前記画像形成装置の不揮発性メモリ領域に暗号化された状態のまま保持され、複写印刷時における前記著作権付画像データ入手手段とは前記不揮発性メモリ領域より読み出す制御であることを特徴とする請求項4に記載の著作権付画像データ管理システム。
【請求項8】
前記不揮発性メモリ領域に前記著作権付画像データを保存する際には、前記特定の展開キーを破棄する制御を行い、複写印刷または再印刷する際には複写印刷または再印刷しようとするユーザのユーザIDおよび前記属性情報に基づき、前記管理サーバより展開キーを再入手して画像展開することを特徴とする請求6および7に記載の著作権付画像データ管理システム。
【請求項9】
前記情報記録手段とは、前記用紙媒体内に埋め込まれたICタグチップに情報を記録する手段であることを特徴とする請求項2に記載の著作権付画像データ管理システム。
【請求項10】
前記情報記録手段とは、前記用紙媒体上に記録する画像データに、前記情報を人間に不可視の状態で埋め込まれる画像データに変換して合成することにより記録する手段であることを特徴とする請求項2に記載の著作権付画像データ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−165749(P2006−165749A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351025(P2004−351025)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】