説明

著作権保護コンテンツの解析装置

【課題】著作権保護がかけられたコンテンツを、録画後に解析をする場合、
著作権を解く処理、及び、復号されたコンテンツが第3者から横取りされないように保護をすることが必須なため、解析結果をするための処理負荷が大きい。
【解決手段】読込み位置変更部(15)に、検出間隔情報を保持させておき、本発明の著作権保護コンテンツの解析装置が、解析を開始し、一つめのCMを検出すると、検出区間を読込み位置変更部(5)に伝える。そして、読込み位置変更部(15)は、次の検出位置を予測して、これをコンテンツ読込み部(11)に伝え、読込み部(11)は、その付近の暗号化データ単位から読込みをし、暗号化されたデータを出力する。これにより、全データの暗号解除の必要がなくなり、全体の処理量が削減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像や音楽データなどの著作権保護がかかった様々なデジタルコンテンツのメタ情報抽出を目的としたコンテンツの解析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、音楽配信事業の立ち上がり、地上デジタル放送の開始やコンテンツを保護するディスクやメディア規格の立ち上がりに伴い、著作権保護がかけられたコンテンツを利用することが必要になっている。著作権保護コンテンツには暗号がかけられており、そのコンテンツ保護規則を守ってコンテンツを復号するには、著作権保護をかけられていないコンテンツの復号よりも、処理量が増え、非圧縮データの取得に時間がかかる。
【0003】
このような状況に対して、通常、復号処理の最適化が行われているが、処理量が増えているため、改善が充分とはいえない。また、非圧縮データを取得する目的によって、速度が改善される最適な処理単位が変わることもあり、目的別に処理の制御を変更する必要もあった。
【0004】
なお、本発明に関連する文献として、以下のものがある(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−58429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、解析するコンテンツのデータサイズが大きいほど、処理の負荷が大きくなる。
【0006】
例えば、暗号化方式を変換時にコンテンツの解析をする場合、暗号化方式変換の処理以外にコンテンツの暗号を復号後し、非圧縮動画に変換して解析することが必要になり、大変処理時間が長くなる。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、読込み位置変更部がコンテンツの読込み位置を進めることで、あるコンテンツの解析が終了するまでにかかる時間を短くできる著作権保護コンテンツの解析装置である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、予め設定されたコンテンツ初期位置から著作権保護コンテンツを読み込むコンテンツ読込み部と、コンテンツ読込み部で読み込まれたたデータを暗号化された単位で暗号を解除して圧縮動画を出力する暗号解除部と、暗号解除部から出力された動画を復号する復号部と、復号部で復号された音声データの無音間隔がパターン化されている区間を検出し、パターン化された区間で隣接する区間をまとめた開始時刻と終了時刻である検出区間を出力する解析部と、解析部より出力された検出区間の終了時刻から予め設定された次の検出区間までの時間である予想間隔分を進めた時刻から検出バッファ長を引いた時刻に相当する解析開始位置を算出し、前記コンテンツ読込み部に出力する第1の読込み位置変更部と、解析開始位置から、コンテンツに対応するナビ情報の中の再生開始可能な位置情報の中から解析開始位置より前の位置情報をコンテンツ読込み開始位置として求めて、コンテンツ読込み部に出力する第2の読込み位置変更部とを備え、コンテンツ読込み部は、第1の読込み位置変更部、または第2の読込み位置変更部から指定された読込み位置がある場合は、指定された読込み位置に変更して該コンテンツを読込むことを特徴とする著作権保護コンテンツの解析装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の著作権保護コンテンツの装置は、いったん解析結果が部分的に得られた後、次の検出位置を予測して、その位置に近い位置からコンテンツ解析をするように読込み位置変更部がコンテンツの読込み位置を進める。その結果、従来、著作権保護のかかったコンテンツを解析してイベントを検出するのに著しく処理の速度が低下していたという問題があったが、これを回避できるという著しい効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による著作権保護コンテンツの装置の構成を示すブロック図である。図1において、各ブロックの機能は以下のとおりである。11はコンテンツ読込み部であり、コンテンツ記録媒体に収められたコンテンツを設定された位置から設定されたサイズだけ読み出す。12は暗号解除部であり、コンテンツ読込み部から読み込まれたデータを入力とし、このデータの暗号を解除する。13は復号部であり、12の暗号解除部の出力である圧縮データを非圧縮データに変換する。14は解析部であり、13より出力されたデータを解析して解析結果を出力する。15は読込み位置変更部であり、14解析部の結果を受取り、この結果より次にコンテンツ読込み部11がデータを読み込む位置を計算し、コンテンツ読込み部11に伝える。
【0012】
ここで、図1を用いて処理の流れを詳細に説明する。本実施例では、オーディオデータを解析してCM区間を求める場合とする。コンテンツ記録媒体に暗号化されたコンテンツとコンテンツ管理情報が記録されている。コンテンツ読込み部11は、読込みコンテンツ名、読込み開始位置と読込みサイズを保持している。これらに従い、コンテンツ記録媒体より該当するデータを読み出す。
【0013】
次に暗号解除部12は、コンテンツ読込み部11より読み込んだデータを決められた暗号方式に基づき、暗号を解除し、暗号が解除されたデータとデータサイズを出力する。
【0014】
次に復号部13は暗号が解かれたデータを非圧縮データに変換する。コンテンツがワンセグのデータの場合は、オーディオとビデオを分離し、分離されたオーディオ圧縮データをデコードし出力する。このとき、オーディオは、デコード前は例えばAACで圧縮されている。
【0015】
次に解析部14は、復号部13から出力されたオーディオデータを解析し、CMのイン点とアウト点を検出し、出力する。ここでは、無音区間のパターンの周期よりCM区間(イン点とアウト点)を求め、CMは複数連続して検出された場合は、CM群の始まりをイン点とし、CM群の終端をアウト点として出力する。
【0016】
次に読込み位置変更部15は、次のCMのイン点までの差分を計算する。次のCMまでの予想時間は、読込み位置変更部15に初期化時に与えられている。もしくは、コンテンツ記録部に記録されており、読込み位置変更部15は、これを読み込んで利用する。今、次のCMまでの時間がαと予測し、検出するために必要なバッファ再生長をβとする。その場合、予想オフセット位置Aは、下記の数式1のように演算される。
【0017】
【数1】

【0018】
この予想オフセット位置の直前の暗号化の区切り位置を変更するために、ここで求められた読込み開始位置をコンテンツ読込み部に伝える。
【0019】
次に、Aに対応するオフセット位置が、暗号化単位の位置でなければ、Aより直前の暗号化単位の位置Bを求める。直前の暗号化単位の位置Bは、例えば、192×32(バイト)の倍数でAの直前の位置である。この値を、読込み開始位置としてコンテンツ読込み部11に伝える。なお、暗号化単位に関する値はコンテンツ記録媒体16に記憶されている。
【0020】
次にコンテンツ読込み部11は、入力された読込み開始位置から、データを読み込む。
これらの処理を処理データの終端になるまで繰り返す。
本実施例では、オーディオデータを非圧縮データに変換したが、解析部14が圧縮データからの解析に対応しておれば、復号部13は圧縮データを出力しても構わない。
本実施例では、CM区間を検出する例を記載したが、番組のコーナーなど間隔開いていることが想定できる点や区間の検出であれば、構わない。
【0021】
(実施の形態2)
実施の形態2は、読込み位置変更部15以外は、実施の形態1と同様の動作をする。次のCMまでの時間がαと予測、検出するために必要なバッファ再生長をβとしたとする。その場合、読込み位置変更部15は、予想オフセット位置をコンテンツ記録媒体部に記録された読込みコンテンツに対する再生エントリー位置が記載されたナビ情報を使い、変更後の読込み開始位置を求める。ここで、ナビ情報は、再生開始が可能な位置をテーブルとして時間とオフセット位置をセットで持っている。通常、デコードが開始できるオフセット位置を持っており、MPEG圧縮されたデータならばIピクチャ、H.264圧縮されたデータならばIDRピクチャになっている。(図2)
まず、解析部14から出力されたCMのアウト点の時刻から検出するために必要なバッファ再生長を引いた(α−β)より直前の再生開始が可能な位置Aを見つける。
【0022】
次に、Aに対応するオフセット位置が、暗号化単位の位置でなければ、Aより直前の暗号化単位の位置Bを求める。直前の暗号化単位の位置Bは、例えば、192×32(バイト)の倍数でAの直前の位置である。この値を、読込み開始位置としてコンテンツ読込み部11に伝える。なお、暗号化単位に関する値はコンテンツ記録媒体16に記憶されている。
【0023】
(実施の形態3)
実施の形態3は、解析部14以外は、実施の形態1と同様の動作をする。本実施例では、解析部は、ビデオデータのブランク映像やシーンチェンジフレームや字幕データのCSから求めたパターンである。
【0024】
(実施の形態4)
図3は、本発明の実施の形態4による著作権保護コンテンツの装置の構成を示すブロック図である。図3において、実施の形態4は、コンテンツ読込み部21、読込み位置変更部25以外は、実施の形態2と同様の動作をする。
図4は、検出区間保存部27が保存する検出区間表の例である。番組名と番組名に対応させて、過去の番組の本編区間の最小時間を記録している。
図5もまた、検出区間保存部27が保存する検出区間表例である。番組名と番組名に対応させて、番組の先頭時刻を基準として、CM区間のイン点とアウト点を記録している。
図4の検出区間表のデータが、検出区間保存部27に保存されているとする。
【0025】
コンテンツ読込み部21は、コンテンツ初回読込み時に、コンテンツ名を読込み位置変更部25に伝える。読込み位置変更部25は、読み込むコンテンツに対応する最小区間を検出区間保存部27より読み込み、次のCMまでの時間がαをこの最小区間に設定する。
【0026】
読込み位置変更部25は、前回のCMアウト点を保持しており、これをO_Oldとする。下記の数式2が成立する場合は、αを(CMアウト点 − O_Old)に更新し、検出区間表保存部27の該当する番組名に保存させる。
【0027】
【数2】

【0028】
読込み位置変更部25は、予想オフセット位置Aを下記の数式3で求める。
【0029】
【数3】

【0030】
Aに対応するオフセット位置が、暗号化単位の位置でなければ、Aより直前の暗号化単位の位置Bを求める。直前の暗号化単位の位置Bは、例えば、192×32(バイト)の倍数でAの直前の位置である。この値を、読込み開始位置としてコンテンツ読込み部21に伝える。なお、暗号化単位に関する値はコンテンツ記録媒体16に記憶されている。
【0031】
読込むコンテンツが終端になるまで、同様の処理をすすめる。
【0032】
次に、図5の検出区間表のデータが、検出区間保存部27に保存されている場合の処理を説明する。
【0033】
コンテンツ読込み部21は、コンテンツ初回読込み時に、コンテンツ名を読込み位置変更部25に伝える。解析部14は、復号部13から出力されたオーディオデータを解析し、CMのイン点とアウト点を検出し、出力されるとする。
【0034】
読込み位置変更部25は、読み込むコンテンツに対応する検出区間を検出区間保存部27より読み込み、解析部14から検出したCMのイン点とアウト点に最も近いCM位置を検出区間表より求め、求められたイン点アウト点の次のCMまでの時間がαをこの最小区間に設定する。そして、式(3)により、予想オフセット位置Aを求める。Aに対応するオフセット位置が、暗号化単位の位置でなければ、Aより直前の暗号化単位の位置Bを求める。直前の暗号化単位の位置Bは、例えば、192×32(バイト)の倍数でAの直前の位置である。この値を、読込み開始位置としてコンテンツ読込み部21に伝える。なお、暗号化単位に関する値はコンテンツ記録媒体16に記憶されている。
【0035】
読込むコンテンツが終端になるまで、同様の処理を進める。
【0036】
初めて解析する番組、すなわち、検出区間表に解析する番組に関する情報がない場合は、最初から最後まで解析を実行する。処理時に、解析部4から出力されるイン点とアウト点を検出区間表保存部27の検出区間表に順に記録する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明にかかる著作権保護コンテンツの解析装置は、著作権保護がかけられたコンテンツの中身を解析する場合に処理が完了するまでの待ち時間を短縮できるものであり、ワンセグのコンテンツやBDのコンテンツなどの解析に有用である。また、本発明は、汎用機であるパーソナルコンピューターで著作権保護がかかったコンテンツを取り扱う場合は、更に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態1と実施の形態2における著作権保護コンテンツの解析装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における著作権保護コンテンツの解析装置のコンテンツ記録媒体に記録された再生開始点を記述したテーブルを表した図
【図3】本発明の実施の形態4における著作権保護コンテンツの解析装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態4における著作権保護コンテンツの解析装置の検出区間表保存部が保存する検出区間表を表した図
【図5】本発明の実施の形態4における著作権保護コンテンツの解析装置の検出区間表保存部が保存する検出区間表を表した図
【符号の説明】
【0039】
11 コンテンツ読込み部
12 暗号解除部
13 復号部
14 解析部
15 読込み位置変更部
16 コンテンツ記録媒体
21 コンテンツ読込み部
25 読込み位置変更部
27 検出区間表保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
著作権保護のかかった動画(著作権保護コンテンツ)の解析装置において、予め設定されたコンテンツ初期位置から著作権保護コンテンツを読み込むコンテンツ読込み部と、前記コンテンツ読込み部で読み込まれたたデータを暗号化された単位で暗号を解除して圧縮動画を出力する暗号解除部と、前記暗号解除部から出力された動画を復号する復号部と、前記復号部で復号された音声データの無音間隔がパターン化されている区間を検出し、パターン化された区間で隣接する区間をまとめた開始時刻と終了時刻である検出区間を出力する解析部と、前記解析部より出力された検出区間の終了時刻から予め設定された次の検出区間までの時間である予想間隔分を進めた時刻から検出バッファ長を引いた時刻に相当する解析開始位置を算出し、前記コンテンツ読込み部に出力する第1の読込み位置変更部と、該解析開始位置から、該コンテンツに対応するナビ情報の中の再生開始可能な位置情報の中から該解析開始位置より前の位置情報をコンテンツ読込み開始位置として求めて、前記コンテンツ読込み部に出力する第2の読込み位置変更部とを備え、前記コンテンツ読込み部は、前記第1の読込み位置変更部、または前記第2の読込み位置変更部から指定された読込み位置がある場合は、指定された読込み位置に変更して該コンテンツを読込むことを特徴とする著作権保護コンテンツの解析装置。
【請求項2】
前記解析部は映像データや字幕データを用いてパターン化されている区間を求める、請求項1に記載の著作権保護コンテンツの解析装置。
【請求項3】
予め設定された次の検出区間までの時間を番組ごとに記載した検出区間表を持ち、検出区間表を保存する検出区間表保存部をさらに備え、前記第3読込み位置変更部は、前記検出区間表保存部で保存された検出区間表を参照して読込み位置を求める、請求項1に記載の著作権保護コンテンツの解析装置。
【請求項4】
前記検出区間表保存部で保存された検出区間表は番組状況によって更新される、請求項3に記載の著作権保護コンテンツの解析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−123140(P2009−123140A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299007(P2007−299007)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】