説明

蒸散方法

【課題】害虫防除用加熱蒸散体の使用期間の後半においても、加熱蒸散性害虫防除成分の蒸散量を安定させることができる、蒸散方法を、提供すること。
【解決手段】板状の担体2と、担体2を内包した袋体3と、からなる、害虫防除用加熱蒸散体1を、担体2の一面側から加熱することによって、担体2に含有されている加熱蒸散性害虫防除成分を、袋体3に形成されている開口部41を通して、担体2の他面側から、蒸散させる、蒸散方法において、加熱中、担体2を、押圧具8によって他面側から押圧した状態に、維持することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫防除用加熱蒸散体から加熱蒸散性害虫防除成分を蒸散させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫防除用加熱蒸散体は、一般には「電気蚊取り用マット」と呼ばれている。例えば特許文献1、2に示された従来の加熱蒸散体は、平面視略矩形の板状の担体と、担体を両面側から挟むように内包した袋体と、からなっている。担体は、害虫防除成分を含有している。袋体には、1個以上の開口部が形成されている。従来の加熱蒸散体は、担体が加熱されることによって、担体の害虫防除成分を袋体の開口部を通して大気中へ蒸散させるようになっている。
【特許文献1】特開2003−201205号公報
【特許文献2】特開2004−339209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の害虫防除用加熱蒸散体は、害虫防除成分の蒸散量を調整しており、繰り返して長期間使用することができる。しかしながら、上記の害虫防除用加熱蒸散体を、従来の蒸散方法で使用した場合には、使用開始直後における害虫防除成分の蒸散量が不足して、害虫防除効果を充分に得ることができない場合があった。
【0004】
そこで、使用開始直後から使用期間の後半においても、害虫防除成分の蒸散量を安定させることが、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、板状の担体と、担体を内包した袋体と、からなる、害虫防除用加熱蒸散体を、担体の一面側から加熱することによって、担体に含有されている加熱蒸散性害虫防除成分を、袋体に形成されている開口部を通して、担体の他面側から、蒸散させる、蒸散方法において、加熱中、担体を、他面側から押圧した状態に、維持することを特徴としている。
【0006】
本発明は、更に、次のような構成を採用するのが好ましい。
【0007】
(I)上記押圧の強さが、担体に対して10〜200g/cmの圧力を与えるよう、設定されている。
【0008】
(II)上記押圧の強さが、担体に対して20〜150g/cmの圧力を与えるよう、設定されている。
【0009】
(III)開口部を避けて且つ少なくとも1箇所で、担体を押圧する、押圧具によって、担体を押圧している。
【0010】
(IV)担体の厚さが、0.2〜5.0mmである。
【0011】
(V)担体が、繊維質材料で構成されており、0.2〜0.7g/cmの緊度を有している。
【0012】
(VI)加熱蒸散性害虫防除成分が、式(1)で示される化合物である。
【0013】
【化1】


(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、又は塩素原子であり、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基である)
【0014】
(VII)上記(VI)の化合物が、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、又は
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートである、請求項7記載の蒸散方法。
【0015】
(VIII)加熱蒸散性害虫防除成分が、200℃以上の沸点を有するエステル系溶剤の、溶液として、担体に含浸されている。
【0016】
(IX)上記(VIII)のエステル系溶剤が、アセチルクエン酸エステルである。
【0017】
(X)上記(IX)のアセチルクエン酸エステルが、アセチルクエン酸トリエチルである。
【0018】
別の発明は、本発明の蒸散方法によって、害虫防除を行うことを特徴とする害虫防除方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、使用期間中、担体が、他面側から押圧された状態に、維持されているので、担体に含有されている加熱蒸散性害虫防除成分が担体から追い出されやすくなっている。それ故、使用開始直後において害虫防除成分の蒸散量が不足することなく、また、担体における加熱蒸散性害虫防除成分の含有量が少なくなっている使用期間の後半においても、加熱蒸散性害虫防除成分の蒸散量が減少することはない。更に、加熱蒸散性害虫防除成分の単位時間当たりの蒸散量が不均一になることはない。したがって、本発明の蒸散方法によれば、使用開始直後から使用期間の後半においても、安定した害虫防除効果を得ることができる。
【0020】
上記構成(I)によれば、担体に対して10g/cm以上の圧力が加わるので、本発明の上記効果を確実に発揮できる。また、担体に対して200g/cm以下の圧力が加わるので、担体から加熱蒸散性害虫防除成分が滲み出るのを確実に防止できる。
【0021】
上記構成(II)によれば、担体に対して20g/cm以上の圧力が加わるので、本発明の上記効果をより確実に発揮できる。また、担体に対して150g/cm以下の圧力が加わるので、担体から加熱蒸散性害虫防除成分が滲み出るのをより確実に防止できる。
【0022】
上記構成(III)によれば、本発明の上記効果を確実に発揮できる。しかも、開口部を避けて押圧するので、害虫防除用加熱蒸散体からの加熱蒸散性害虫防除成分の蒸散が押圧具によって邪魔にされるのを、防止できる。
【0023】
上記構成(IV)によれば、最適な強さで担体を押圧できる。
【0024】
上記構成(V)によれば、本発明の上記効果をより容易に発揮できる。
【0025】
上記構成(VI)又は(VIII)によれば、本発明の上記効果を有効に発揮できる。
【0026】
上記構成(VII)又は(IX)によれば、本発明の上記効果をより有効に発揮できる。
【0027】
上記構成(X)によれば、本発明の上記効果を更に有効に発揮できる。
【0028】
別の発明によれば、本発明の蒸散方法による害虫防除効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第1実施形態]
(1)加熱装置
図1は、本実施形態の蒸散方法を実施している状態を示す斜視図である。本実施形態の蒸散方法は、図1に示されている加熱装置7を用いて実施する。加熱装置7は、加熱部71を有しており、加熱部71に載置された害虫防除用加熱蒸散体(以下、「加熱蒸散体」と称する)1を加熱部71によって加熱する。図2は、加熱部71に加熱蒸散体1を載置する前の状態を示す拡大斜視部分図である。加熱部71は、平面視矩形の凹部711の底面にヒーター板712を有しており、ヒーター板712上に載置された加熱蒸散体1をヒーター板712によって加熱する。
【0030】
そして、本発明では、加熱部71に、押圧具8が設けられている。図1では、押圧具8によって、加熱蒸散体1がヒーター板712に押圧されている。図2では、押圧具8が解除されている。図3は図1の加熱部71の平面図、図4は図3のIV−IV断面矢視図、図5は図3のV−V断面矢視図である。
【0031】
押圧具8は、2本の押圧アーム80からなっている。押圧アーム80は、アーム本体81と、支点部82と、係止部83と、からなっている。アーム本体81は、加熱部71上を幅方向に渡されて設けられている。アーム本体81の基端部811は、支点部82に支持されており、アーム本体81の先端部812は、係止部83に係止されるようになっている。これにより、アーム本体81は、支点部82を支点として水平軸回りに上下方向に回動可能となっている。そして、アーム本体81は、長手方向の中央部の下面に、押圧凸部813を有している。押圧凸部813は、アーム本体81を回動させて先端部812を係止部83に係止すると、ヒーター板712上に載置されている加熱蒸散体1に上方から圧接する。これにより、2本の押圧アーム80、すなわち押圧具8は、加熱蒸散体1を所定の強さで押圧する。
【0032】
(2)加熱蒸散体1
ところで、加熱蒸散体1は、以下のような構成を有している。
【0033】
図6は加熱蒸散体1を示す斜視図である。この加熱蒸散体1は、板状の担体2と、担体2を内包した袋体3と、からなっている。図7は担体2の斜視図、図8は加熱蒸散体1の平面図、図9は図8のIX−IX断面矢視図、図10は図8のX−X断面矢視図である。
【0034】
(2-1)基本的構成
(2-1-1)担体2
担体2は、平面視長方形を有している。なお、担体2は、長方形以外の矩形又は略矩形を有してもよい。
【0035】
担体2の大きさは、通常は、10〜20mm(縦)×30〜40mm(横)×0.2〜5.0mm(厚み)である。なお、担体2の大きさは、担体2を使用する加熱装置7の加熱部71の大きさに応じて、適宜、決めることができる。
【0036】
担体2は、加熱蒸散性害虫防除成分(以下、「害虫防除成分」と称する)を含有している。担体2は、害虫防除成分を保持することができ、且つ、加熱されることによって害虫防除成分を適度に蒸散させることができるよう、構成されている。担体2は、被加熱面(裏面)21と蒸散面(表面)22とを有しており、被加熱面21側から加熱されることにより、蒸散面22側から害虫防除成分を蒸散させることができる。
【0037】
担体2の蒸散面22の平面視中央位置には、インジケーター(表示手段)23が設けられている。インジケーター23は、蒸散面22の平面視中央部分に含有されている害虫防除成分が消失したことを示すよう、機能する。
【0038】
(2-1-2)袋体3
袋体3は、フィルム31で構成されている。袋体3は、図9又は図10に示されるように2枚のフィルム31が担体2を両面側から挟み、且つ、図8に示されるように2枚のフィルム31が担体2の周縁に沿って接合された(接合部33)、形態を、有している。これにより、袋体3は、担体2を両面側から挟むように内包している。担体2は、袋体3内において、平面視四方向に殆ど不動である。担体2の蒸散面22とフィルム31との間、及び、担体2の被加熱面21とフィルム31との間には、隙間が無い又は殆ど無い。フィルム31の厚さは、特に制限はないが、通常は0.0001〜5mmであり、好ましくは0.001〜2mmである。
【0039】
袋体3を構成するフィルム31は、害虫防除成分に対して非透過性を有している。すなわち、フィルム31は、害虫防除成分の蒸気を実質的には透過させない性質を有している。「実質的には透過させない」とは、害虫防除効力に影響を与える量の害虫防除成分を透過させない、という意味であり、具体的には、担体2の全面をフィルム31で覆った状態で、後述する試験1と同様にして害虫防除効果を調べた場合に、30分間観察してもノックダウンしている蚊が1匹も認められない、というレベルの「非透過性」を意味している。フィルム31は、加熱蒸散体1の使用温度(例えば、50〜200℃程度)において且つその使用期間中(例えば、約100時間以上)において、担体2の露出を引き起こす破れや融解などを防止できるよう、耐熱性を、有しているのが好ましい。
【0040】
袋体3は、図8に示されるように、担体2の蒸散面22に面した蒸散面対面領域Aを有している。そして、蒸散面対面領域Aには3個の開口部41が形成されている。開口部41は、フィルム31を貫通した孔である。
【0041】
3個の開口部41は、蒸散面対面領域Aにおいて、袋体3に内包された担体2の蒸散面22の平面視中央位置(以下、「中央位置」と称する)から外れた位置(以下、「外れ位置」と称する)に、存在している。すなわち、3個の開口部41は、いずれも、蒸散面22の中央位置に面していない。なお、蒸散面22の中央位置とは、図8に示されるように、蒸散面22の2つの対角線の交点Cの位置である。
【0042】
3個の開口部41の位置関係は、平面視において均衡的である。具体的には、3個の開口部41は、二等辺三角形Sの頂点の位置に存在しており、二等辺三角形Sの底辺が、蒸散面対面領域Aの一辺に対して平行であり、1個の開口部41が、蒸散面対面領域Aの長手方向の中央に存在している。
【0043】
3個の開口部41の全開口面積は、担体2の蒸散面22の面積の3〜10%、好ましくは4.8〜7.9%に、設定されている。
【0044】
(2-2)製造方法
上記構成の加熱蒸散体1は、次のようにして作製する。まず、図11に示されるように、一辺が開放された袋30を用意する。次に、担体2を袋30の開放口301から袋30内に挿入する。そして、図12に示されるように、担体2を袋30の奥まで挿入した状態で、開放口301を線Xで示されるようにシールして、余分な部分302を切除する。シールは、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤などによって、実施する。なお、用意する袋30は、フィルム31で構成されている。また、袋30の蒸散面対面領域Aの所定位置には、3個の開口部41が形成されている。また、袋30の内部の幅Wは、担体2が殆ど余裕無く挿入される大きさである。
【0045】
(2-3)詳細な構成
担体2を構成する材料としては、繊維質材料、多孔質材料などを使用できる。具体的には、繊維質材料としては、例えば、次の材料を使用できる。
・パルプ、セルロース、綿などの天然繊維
・ポリエステル、アクリルなどの合成繊維
・ガラス繊維、石綿などの無機繊維。
また、多孔質材料としては、例えば、次の材料を使用できる。
・ケイソウ土などの多孔質無機物質
・素焼などの多孔質磁性物質
・発泡ウレタン、発泡ポリプロピレンなどの多孔質樹脂。
【0046】
担体2が繊維質材料で構成されている場合には、担体2は、0.2〜0.7g/cmの緊度を有していることが好ましい。
【0047】
害虫防除成分としては、加熱蒸散性のピレスロイド系化合物を使用でき、好ましくは一般式(1)で示されるテトラフルオロベンジルエステル化合物を使用できる。
【0048】
【化2】


(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、又は塩素原子であり、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基である)
【0049】
テトラフルオロベンジルエステル化合物としては、例えば、次の化合物を使用できる。
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
【0050】
担体2における害虫防除成分の含有量は、担体1cm当たり、通常は0.001〜1g程度である。但し、その含有量は、担体2を構成する材料、目標とする害虫防除効果持続期間、害虫防除成分の種類などに応じて、適宜、決めることができる。
【0051】
担体2は、害虫防除成分の他に、必要に応じて、溶剤、色素、酸化防止剤、共力剤、安定化剤、香料などを、含有してもよい。
【0052】
溶剤としては、例えば、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤などを使用できる。これらは、単独で又は2種以上の混合物の形態で、使用できる。特に、エステル系溶剤としては、パルミチン酸イソプロピルなどのパルミチン酸エステル;アジピン酸ジオクチルなどのアジピン酸エステル;セバチン酸ジブチルなどのセバチン酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチルなどのアセチルクエン酸エステル;マレイン酸ジ(2−エチルヘキシル)などのマレイン酸エステル;ミリスチン酸イソプロピルなどのミリスチン酸エステル;などを、好ましく使用でき、アセチルクエン酸エステルを、特に好ましく使用できる。
【0053】
色素としては、アントラキノン系青色色素などを使用できる。アントラキノン系青色色素としては、例えば、次の化合物を使用できる。
・1,4−ジブチルアミノアントラキノン
・1,4−ジイソプロピルアミノアントラキノン
・1,4−ビス(2,6−ジエチル−4−メチルフェニルアミノ)アントラキノン
・1−メチルアミノ−4−オルトトリルアミノアントラキノン
・1−メチルアミノ−4−メタトリルアミノアントラキノン
・1−メチルアミノ−4−パラトリルアミノアントラキノン
これらは、単独で又は2種以上の混合物の形態で、使用でき、また、色の異なる他の色素との混合物の形態でも、使用できる。
【0054】
酸化防止剤としては、フェノール系抗酸化剤などを使用できる。フェノール系抗酸化剤としては、例えば、次の化合物を使用できる。
・ジブチルヒドロキシトルエン
・ブチルヒドロキシアニソール
・2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)
・2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル
・2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレ−ト
・3,9−ビス[2−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ−1,1−ジメチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン
【0055】
共力剤としては、例えば、次の化合物を使用できる。
・ビス−(2,3,3,3−テトラクロロプロピル)エ−テル(S−421)
・N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3ジカルボキシイミド(MGK264)
・α−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]−4,5−メチレンジオキシ−2−プロピルトルエン(PBO)
【0056】
安定化剤としては、紫外線吸収剤などを使用できる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などを使用できる。
【0057】
害虫防除成分は、そのままで、又は、上述した溶剤の溶液として、担体2に含浸させることができる。これにより、担体2は、害虫防除成分を含有することができる。
【0058】
インジケーター23は、例えば、次のようにして構成できる。
・担体2に色素を保持させる。色素の退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特公昭46−24277)。
・担体2に、蒸散性の酸又は塩基と、PH指示薬とを、保持させる。PH指示薬の退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開昭56−53461)。
・担体2の構成材料に、蒸散性の酸又は塩基と、PH指示薬とを、保持させ、それを、担体2の蒸散面22に貼り付ける。PH指示薬の退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開昭56−53461)。
・担体2に、電子供与性呈色有機化合物及び顕色剤を保持させる。その退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開昭63−60901)。
・担体2の構成材料に、電子供与性呈色有機化合物及び顕色剤を保持させ、それを、担体2の蒸散面22に貼り付ける。その退色が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開昭63−60901)。
・特殊な紙又は樹脂を使用して担体2を構成する。特殊な紙又は樹脂は、光に対して低屈折率の地色層を、一面の一部又は全部に有している。地色層の色の変化が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開平8−73301)。
・特殊な紙又は樹脂に溶剤を含浸させ、それを、担体2の蒸散面22に貼り付ける。特殊な紙又は樹脂は、光に対して低屈折率の地色層を、一面の一部又は全部に有している。地色層の色の変化が害虫防除成分の消失を示す。(参考 特開平8−73301)。
【0059】
袋体3のフィルム31を構成する材料としては、例えば、次の材料を使用できる。
・鉄、ニッケル、クロム、亜鉛、モリブデン、チタン、銅、アルミニウム、すず、鉛、銀、白金、金などの金属
・ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン
・ポリアクリロニトリル
・エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合、エチレン−メチルアクリレ−ト共重合体、エチレン−メチルメタアクリレ−ト共重合体、エチレン−エチルアクリレ−ト共重合体などの共重合体
・ナイロンなどのポリアミド
・ポリイミド
・ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリブチレンテレフタラ−トなどのポリエステル
・ポリフェニレンオキシド
・ポリエーテルスルホンなどのポリエーテル
・ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂などのプラスチック
【0060】
フィルム31は、上述した材料を組み合わせた複合材料で構成してもよく、また、上述した材料からなる層を2層以上重ねた積層体でもよい。また、強度、耐熱性、接着性などを付与するために、上述した材料からなる層に、害虫防除成分の透過性が高い材料(例えば紙など)からなる層を重ねた、積層体でもよい。また、耐熱性、加工性などの観点から、上述した金属からなる層と、上述した樹脂からなる層との、積層体を用いるのが好ましい。特に、アルミニウム層と、次の樹脂からなる層との、積層体を用いるのが好ましい。その樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ナイロンなどのポリアミド;ポリイミド;ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリブチレンテレフタラ−トなどのポリエステル;ポリフェニレンオキシド;ポリエーテルスルホンなどのポリエーテルを使用できる。
【0061】
(2-4)変形可能な構成
加熱蒸散体1を製造するのに使用する袋30には、開口部41が形成されていなくてもよい。すなわち、開口部41は、袋体3が担体2を内包した後に、蒸散面対面領域Aに形成してもよい。
【0062】
袋体3は、例えば、次の方法によって製造してもよい。
・フィルム31を、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、接着剤などによって、担体2の両面21、22に貼り付ける方法。
・ディップコーティング法、スプレーコーティング法、はけ塗り法などの、通常の樹脂コーティング方法によって、樹脂からなるフィルム31を担体2の両面に形成する方法。
【0063】
孔である開口部41の代わりとして、フィルム31の開口部41に該当する部分を、害虫防除成分を透過する材料で構成してもよい。
【0064】
(3)押圧具8の位置
加熱蒸散体1は、袋体3の蒸散面対面領域Aに3個の開口部41を有している。また、担体2は、平面視中央位置にインジケーター23を有している。したがって、本実施形態では、押圧具8の2本の押圧アーム80は、図3に示されるように、アーム本体81がインジケーター23を覆い隠さない位置に、且つ、押圧凸部813が開口部41を回避した位置に、設けられている。更に、2本の押圧アーム80は、押圧凸部813が担体2をバランス良く押圧する位置に、設けられている。
【0065】
(4)押圧具8による押圧の強さ
押圧具8による押圧の強さは、担体2に対して、10〜200g/cm、好ましくは20〜150g/cmの圧力を与えるように、設定されている。なお、この圧力は、押圧具8によって加えられる荷重を、担体2の底面積で除した値である。
【0066】
(5)作用効果
(5-1)主たる作用効果
本実施形態の蒸散方法は、次のように実施する。
まず、加熱蒸散体1を、蒸散面22を上に向けた状態で、加熱装置7の加熱部71に載置する。次に、押圧具8をセットする。すなわち、アーム本体81を回動させて、先端部812を係止部83に係止する。これにより、押圧凸部813が加熱蒸散体1に上方から圧接する。したがって、担体2は、蒸散面22側から押圧された状態に、維持される。そして、加熱蒸散体1を、約50〜約200℃程度に加熱する。加熱装置7によって、加熱蒸散体1が被加熱面21側から加熱されると、担体2に含有されている害虫防除成分が、袋体3の3個の開口部41を通って大気中へ蒸散される。
【0067】
上記構成の加熱蒸散体1によれば、害虫防除成分は、蒸散面22の外れ位置から、積極的に蒸散される。それ故、蒸散面22の外れ位置においては、害虫防除成分が積極的に消費され、その消費に伴って、蒸散面22の中央位置の害虫防除成分も消費される。これにより、蒸散面22の外れ位置及び中央位置には、害虫防除成分が殆ど残留しないこととなる。したがって、上記構成の加熱蒸散体1によれば、使用期間終了期の担体2における害虫防除成分の残留量を大きく低減できる。それ故、害虫防除成分の経済的損失を低減できる。しかも、担体2の害虫防除成分を有効に消費して、使用期間を長くすることができる。
【0068】
また、上述したように、蒸散面22の中央位置の害虫防除成分は、外れ位置の害虫防除成分よりも、遅れて消費されていくので、インジケーター23は、遅れて消費されていく位置の害虫防除成分の消失を示すこととなる。したがって、インジケーター23は、使用期間終了期を略正確に示すことができる。
【0069】
そして、本実施形態の蒸散方法によれば、使用期間中、担体2が、蒸散面22側から押圧された状態に、維持されているので、担体2に含有されている害虫防除成分が担体2から追い出されやすくなっている。それ故、使用開始直後において害虫防除成分の蒸散量が不足することなく、また、担体2における害虫防除成分の含有量が少なくなっている使用期間の後半においても、害虫防除成分の蒸散量が減少することはない。更に、害虫防除成分の単位時間当たりの蒸散量が不均一になることはない。したがって、本実施形態の蒸散方法によれば、使用開始直後から使用期間の後半においても、安定した害虫防除効果を得ることができる。
【0070】
(5-2)その他の作用効果
上記構成の加熱蒸散体1によれば、各種の有害昆虫、及び、ダニ類などの節足動物を、防除できる。特に、次のような飛翔性害虫を防除できる。例えば、アカイエカ、コガタアカイエカなどのイエカ類;ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどのヤブカ類;シナハマダラカなどのハマダラカ類;ユスリカ類;イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエなどのイエバエ類;クロバエ類;ニクバエ類;ショウジョウバエ類;チョウバエ類;ノミバエ類;アブ類;ブユ類;サシバエ類;ヌカカ類。
【0071】
上記構成の加熱蒸散体1によれば、担体2が袋体3に内包されているので、担体2に触れることなく、加熱蒸散体1を取り扱うことができる。したがって、害虫防除成分が使用者の指に付着するという危険を解消できる。
【0072】
上記構成の加熱蒸散体1によれば、袋体3の開口部41を、害虫防除成分を透過しないシールなどによって塞ぐことにより、次のような効果を発揮できる。
(a)害虫防除成分の蒸散を止めることができる。したがって、害虫防除成分の不必要な蒸散を防止できる。
(b)害虫防除成分が開口部41を通して使用者の指に付着するのを防止できる。
なお、シールとしては、片面に、貼り付け及び引き剥がしを容易に行うことができる接着層を備えたものが、好ましい。そのシールによれば、繰り返し使用が可能である。
特に、上記構成の加熱蒸散体1は、最初の使用前には開口部41を上述したシールなどで塞いでおき、使用開始時に当該シールなどを除去して、使用するのが、好ましい。
【0073】
[別の実施形態]
(1)開口部41の個数は、3〜10個であれば、3個に限らない。また、開口部41の形は、円形に限らず、四角、三角、その他の形でもよい。更に、開口部41の位置関係は、平面視において非均衡的でもよい。
【0074】
(2)押圧具は、開口部41を避けて且つ少なくとも1箇所で、担体2を押圧することができるものであれば、上記構成の押圧具8に限るものではない。例えば、加熱部71に対して上方から取り付けることができるよう構成された押圧具でもよく、より具体的には、環状の枠体に上記アーム本体81と同様のアームを張り渡して構成された押圧具でもよい。
【実施例】
【0075】
以下、第1実施形態の蒸散方法の実施例を、比較例を参照しながら、説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。
【0076】
[第1実施例]
(1)加熱蒸散体1
本実施例で用いる加熱蒸散体1は、図8に示す加熱蒸散体1において、以下のような具体的構成を有している。
【0077】
(1-1)袋体3
・寸法:L1=42mm、W1=18mm
・開口部41の直径:4mm
・開口部41の位置:E1=21mm、E2=E3=10mm、E4=E5=6mm
・担体2の蒸散面22の面積に対する、全ての開口部41の開口面積の合計の割合(すなわち開口割合):7.7%
・フィルム31は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。なお、片面には、ヒートシールのために、薄いポリプロピレンが積層されている。
【0078】
(1-2)担体2
・寸法:14mm×35mm×1.6mm
・構成材料:パルプ及びコットンリンターからなる繊維質材料
・緊度:0.4g/cm
・害虫防除成分:2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 1R−トランス−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
・担体2に害虫防除成分を含有させる方法:害虫防除成分8.4重量%を、ジブチルヒドロキシトルエン3.5重量%とアセチルクエン酸トリブチル15.0重量%とアセチルクエン酸トリエチル73.1重量%とからなる溶液200mgに溶解し、その溶液を担体2に含浸させた。
・インジケーター23は、特開2004−339209号公報に記載されている「油液含有時に透明に変性する層」を蒸散面22に印刷して構成した。
【0079】
(2)蒸散方法
(2-1)押圧具8の位置
押圧凸部813が、図8の点Dを中心として圧接するよう、設定した。
・点Dの位置:E6=E7=11mm、E8=E9=9mm
・押圧凸部813の直径:1mm
【0080】
(2-2)押圧具8による押圧の強さ
担体2に対して、60g/cmの圧力を与えるよう、設定した。
【0081】
(2-3)加熱部72
・加熱温度:120℃
・ヒーター板の寸法:40mm×28mm
【0082】
[第1比較例]
(1)加熱蒸散体1
第1実施例と同じである。
【0083】
(2)蒸散方法
押圧具8を使用しない。その他は、第1実施例と同じである。
【0084】
[試験]
第1実施例及び第1比較例について、次のような試験を行った。
【0085】
(試験装置)
図13に示す試験装置8を用意した。試験装置8は、直径20cm及び高さ80cmの第1円筒81と、直径20cm及び高さ30cmの透明樹脂製の第2円筒82と、幅7.8cmの金属製の台座83と、内径4cm及び高さ12cmの2本の透明なガラス管84と、加熱装置7と、で構成されている。第1円筒81は、平面上に立設されている。台座83は、第1円筒81の頂部に、直径方向に設置されている。台座83は、直径4cmの孔(図示せず)を2個有している。2個の孔は、台座83の中央から等距離に形成されている。2本のガラス管84には、アカイエカ(Culex pipiens pallens)の雌成虫10匹が入れられており、ガラス管84の両端は、16メッシュのナイロンネットで塞がれている。ガラス管84は、台座83の孔に立設されている。第1円筒81の底部には、加熱装置7が設置される。
【0086】
この試験装置8においては、加熱装置7によって加熱蒸散体1を加熱すると、害虫防除成分が、加熱蒸散体1から蒸散され、第1円筒81内を上昇し、ガラス管84内に流入し、第2円筒82を上昇して、外部へ放出される。したがって、ガラス管84内のアカイエカが害虫防除成分に晒され、これにより、害虫防除成分の効力を試験できる。
【0087】
(試験方法1)
加熱蒸散体1を、加熱装置7に装着し、加熱開始後30分後に試験装置8に設置した。5分後にノックダウンしたアカイエカ雌成虫数をカウントした。これにより、使用開始直後における害虫防除効果を求めた。なお、第1実施例では、加熱装置7において押圧具8を使用するが、第1比較例では、加熱装置7において押圧具8を使用しない。また、加熱中、第1実施例及び第1比較例のいずれにおいても、加熱蒸散体1の被加熱面21とフィルム31との間、及び、そのフィルム31と加熱装置7のヒーター板との間に、隙間はなく、それらは密着していた。
【0088】
(試験方法2)
加熱蒸散体1を、試験装置8に設置する前に、加熱装置7に装着し、12時間毎のON・OFFサイクルを6回繰り返しながら加熱した。加熱温度は120℃であった。そして、その加熱蒸散体1を、7回目の加熱開始から5時間経過後に、加熱装置7に装着したまま試験装置8に設置し、約120℃で加熱し、5分後にノックダウンしたアカイエカ雌成虫数をカウントした。これにより、使用期間後半における害虫防除効果を求めた。なお、第1実施例では、加熱装置7において押圧具8を使用するが、第1比較例では、加熱装置7において押圧具8を使用しない。また、加熱中、第1実施例及び第1比較例のいずれにおいても、加熱蒸散体1の被加熱面21とフィルム31との間、及び、そのフィルム31と加熱装置7のヒーター板との間に、隙間はなく、それらは密着していた。
【0089】
試験方法1、2の結果をまとめて表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
(結果)
第1実施例では、使用開始直後から使用期間の後半においても、安定した害虫防除効果を得ることができた。これに対して、第1比較例では、使用開始直後において、害虫防除効果が不足していた。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の蒸散方法は、加熱蒸散体の使用期間全体に渡って、害虫防除成分の蒸散量を安定させることができるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1実施形態の蒸散方法を実施している状態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の加熱装置の加熱部に加熱蒸散体を載置する前の状態を示す拡大斜視部分図である。
【図3】図1の加熱部の平面図である。
【図4】図3のIV−IV断面矢視図である。
【図5】図3のV−V断面矢視図である。
【図6】第1実施形態の加熱蒸散体を示す斜視図である。
【図7】図6の担体の斜視図である。
【図8】図6の加熱蒸散体の平面図である。
【図9】図8のIX−IX断面矢視図である。
【図10】図8のX−X断面矢視図である。
【図11】図6の加熱蒸散体の製造方法の一工程を示す斜視図である。
【図12】図11に続く工程を示す斜視図である。
【図13】試験装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
1 加熱蒸散体 2 担体 21 被加熱面 22 蒸散面 3 袋体 41 開口部 8 押圧具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の担体と、担体を内包した袋体と、からなる、害虫防除用加熱蒸散体を、担体の一面側から加熱することによって、担体に含有されている加熱蒸散性害虫防除成分を、袋体に形成されている開口部を通して、担体の他面側から、蒸散させる、蒸散方法において、
加熱中、担体を、他面側から押圧した状態に、維持することを特徴とする蒸散方法。
【請求項2】
上記押圧の強さが、担体に対して10〜200g/cmの圧力を与えるよう、設定されている、請求項1記載の蒸散方法。
【請求項3】
上記押圧の強さが、担体に対して20〜150g/cmの圧力を与えるよう、設定されている、請求項1記載の蒸散方法。
【請求項4】
開口部を避けて且つ少なくとも1箇所で、担体を押圧する、押圧具によって、担体を押圧している、請求項1記載の蒸散方法。
【請求項5】
担体の厚さが、0.2〜5.0mmである、請求項1記載の蒸散方法。
【請求項6】
担体が、繊維質材料で構成されており、0.2〜0.7g/cmの緊度を有している、請求項1記載の蒸散方法。
【請求項7】
加熱蒸散性害虫防除成分が、式(1)で示される化合物である、請求項1記載の蒸散方法。
【化1】


(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、又は塩素原子であり、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基である)
【請求項8】
上記化合物が、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル 3−(2−メチル−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート、又は
2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラートである、請求項7記載の蒸散方法。
【請求項9】
加熱蒸散性害虫防除成分が、200℃以上の沸点を有するエステル系溶剤の、溶液として、担体に含浸されている、請求項1記載の蒸散方法。
【請求項10】
エステル系溶剤が、アセチルクエン酸エステルである、請求項9記載の蒸散方法。
【請求項11】
アセチルクエン酸エステルが、アセチルクエン酸トリエチル及び/又はアセチルクエン酸トリブチルである、請求項10記載の蒸散方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の蒸散方法によって、害虫防除を行うことを特徴とする害虫防除方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−253175(P2008−253175A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97553(P2007−97553)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】