説明

蒸気タービン発電システム及びそれを組立てる方法

【課題】冷却媒体源(132)と共に使用する蒸気タービン発電システム(200)を提供する。
【解決手段】本発電システムは、第1の高圧タービン組立体(116)、第1の高圧タービン組立体と流体連通して結合した第1の低圧タービン組立体(120)、及び第1の低圧タービン組立体と流体連通して結合した第1の復水器(412)を含む第1の蒸気タービン系列(400)と、第2の高圧タービン組立体、第2の高圧タービン組立体と流体連通して結合した第2の低圧タービン組立体、及び第2の低圧タービン組立体と流体連通して結合した第2の復水器(512)を含む第2の蒸気タービン系列(500)と、第1の復水器及び第2の復水器に結合されかつ冷却媒体を冷却媒体源(132)から第1の復水器を通して、第1の復水器から第2の復水器を通して、また第2の復水器から冷却媒体源に戻すように導くように構成された冷却チューブ(130)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術分野は、総括的には蒸気タービンに関し、より具体的には、蒸気タービン発電システム及びそれを組立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの公知の蒸気タービン発電システムは、少なくとも1つの蒸気タービン系列を含み、この蒸気タービン系列は、復水器を利用して排出蒸気を凝縮して該系列を通して再循環させるための液体水にする。具体的には、少なくとも幾つかの公知蒸気タービン発電システムは、複数の独立した蒸気タービン系列を利用しており、各系列は、その他の系列の復水器と並列状態で冷却されるそれ自体の復水器を備えている。
【0003】
しかしながら、複数の独立した蒸気タービン系列が並列状態で冷却される場合に、独立した復水器間の復水器圧力差は、最小になる(つまり、それらの系列は、ほぼ同一の効率を有する傾向がある)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5581997号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、複数の独立した蒸気タービン系列の少なくとも1つにおける復水器圧力を低下させ、それによって発電システムの全体効率を増大させることができる蒸気タービン発電システムを有することは、有益であると言える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、冷却媒体源を有する蒸気タービン発電システムを組立てる方法を提供する。本方法は、第1の高圧タービン組立体、第1の高圧タービン組立体と流体連通して結合した第1の低圧タービン組立体、及び第1の低圧タービン組立体と流体連通して結合した第1の復水器を備えた第1の蒸気タービン系列を準備するステップを含む。本方法はまた、第2の高圧タービン組立体、第2の高圧タービン組立体と流体連通して結合した第2の低圧タービン組立体、及び第2の低圧タービン組立体と流体連通して結合した第2の復水器を備えた第2の蒸気タービン系列を準備するステップを含む。本方法はさらに、第1の復水器及び第2の復水器に冷却チューブを結合して、該冷却チューブが、冷却媒体を冷却媒体源から第1の復水器を通して、第1の復水器から第2の復水器を通して、また第2の復水器から冷却媒体源に戻すように導くように構成するステップを含む。
【0007】
別の態様では、冷却媒体源と共に使用する蒸気タービン発電システムを提供する。本システムは、第1の高圧タービン組立体、第1の高圧タービン組立体と流体連通して結合した第1の低圧タービン組立体、及び第1の低圧タービン組立体と流体連通して結合した第1の復水器を備えた第1の蒸気タービン系列を含む。本システムはまた、第2の高圧タービン組立体、第2の高圧タービン組立体と流体連通して結合した第2の低圧タービン組立体、及び第2の低圧タービン組立体と流体連通して結合した第2の復水器を備えた第2の蒸気タービン系列を含む。本システムはさらに、第1の復水器及び第2の復水器に結合されかつ冷却媒体を冷却媒体源から第1の復水器を通して、第1の復水器から第2の復水器を通して、また第2の復水器から冷却媒体源に戻すように導くように構成された冷却チューブを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】蒸気タービン系列の流れ線図。
【図2】図1に示す蒸気タービン系列を利用した発電システムの流れ線図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、蒸気タービン発電システム及びそれを組立てる方法を限定ではなくて例示として説明している。この説明により、当業者は本開示を作製しかつ使用することが可能になり、また本説明は、現時点で本開示を実施する最良の形態であると思われるものを含む本開示の幾つかの実施形態について説明している。本明細書では、好ましい実施形態つまり複合サイクル発電システムに適用されるものとして、本開示を説明している。しかしながら、本開示は、複合サイクル発電システム以外の広範囲のシステム及び多様な用途における蒸気タービンに対して広く適用することを意図している。
【0010】
図1は、例示的な蒸気タービン系列100を示している。この例示的な実施形態では、系列100は、熱源組立体102、熱回収蒸気発生器(HRSG)組立体104、蒸気タービン組立体106、復水器組立体108及び原動機組立体110(例えば、少なくとも1つの発電機、ポンプ、プロペラなど)を含む。熱源組立体102には、それに限定されないが核熱源、石炭燃焼熱源、ガスタービン熱源、及び/又は系列100が本明細書に説明したように機能することを可能にするあらゆるその他の熱源のようなあらゆる適当な熱源を含むことができる。この例示的な実施形態では、HRSG組立体104は、作動流体(例えば、液体水)を収容するためのリザーバを備えた複数圧力のHRSGを含むことができる。その他の実施形態では、HRSG組立体104は、系列100が本明細書に説明したように機能することを可能にするあらゆる適当なタイプのあらゆる適当な数のHRSGを含むことができる。この例示的な実施形態では、HRSG組立体104は、熱を熱源組立体102から該HRSG組立体104に送ることのできる少なくとも1つの熱移送管路112を介して該熱源組立体102に結合される。HRSG組立体104はまた、蒸気を該HRSG組立体104から蒸気タービン組立体106に送ることのできる少なくとも1つの蒸気導管114を介して該蒸気タービン組立体106と流体連通して結合される。
【0011】
この例示的な実施形態では、蒸気タービン組立体106は、直列流れ配置で高圧(HP)タービン組立体116、中圧(IP)タービン組立体118及び低圧(LP)タービン組立体120を含む。幾つかの実施形態では、LPタービン組立体120は、あらゆる数のLPタービンセクション(例えば、デュアルフローLPタービンセクション)に適当に分割することができる。任意選択的に、蒸気タービン組立体106は、IPタービン組立体118を含まなくて、HPタービン組立体116及びLPタービン組立体120が互いに直接流体連通して結合される。この例示的な実施形態では、LPタービン組立体120は、少なくとも1つの排出導管122を介して復水器組立体108と流体連通して結合され、また蒸気タービン組立体106は、少なくとも1つの駆動シャフト124を介して原動機組立体110に対して作動結合される。復水器組立体108は、少なくとも1つの復水移送管路126を介してHRSG組立体104と流体連通して結合されて、あらゆる適当なポンプ128によって復水を復水器組立体108からHRSG組立体104にポンプ圧送することができる。この例示的な実施形態では、復水器組立体108は、それを貫通して延びるあらゆる適当な数の冷却チューブ130を備えた液体対空気熱交換器を含み、各冷却チューブ130は、以下に詳細に説明するようにポンプ138によってあらゆる適当な冷却媒体(例えば、液体、気体など)を冷却媒体源132(例えば、湖、冷却塔など)から復水器組立体108を通して送る。
【0012】
運転中に、熱源組立体102が熱を発生し、この熱は、熱移送管路112を介してHRSG組立体104に導かれ、それによってHRSG組立体104内の作動流体(例えば、液体水)を加熱して該HRSG組立体内で蒸気を発生させる。この蒸気は、蒸気導管114を介してHRSG組立体104から蒸気タービン組立体106内に導かれて、該蒸気が順次にHPタービン組立体116、IPタービン組立体118及びLPタービン組立体120を通して送られて、それぞれHPタービン組立体116、IPタービン組立体118及びLPタービン組立体120を駆動しかつ駆動シャフト124を介して原動機組立体110を駆動して発電できるようにする。幾つかの実施形態では、HPタービン組立体116から流出した蒸気は、第1の再熱導管134を介して該HPタービン組立体116からHRSG組立体104内に戻るように導いて該HRSG組立体104内で再加熱することができ、次に第2の再熱導管136を介してHRSG組立体104からIPタービン組立体118内に導いて、蒸気タービン組立体106の作動効率を改善することができる(つまり、蒸気タービン組立体106は、少なくとも1つの「再熱サイクル」を有することができる)。蒸気は、LPタービン組立体120を通って流れた後に排出導管122を介して復水器組立体108内に排出され、復水器組立体108内において、熱が蒸気から冷却チューブ130内を通って流れる冷却媒体に伝達され、それによって復水器組立体108内の蒸気を凝縮して該復水器組立体108内で復水(例えば、液体水)を生成する。復水は次に、ポンプ128により復水移送管路126を通して圧送されてHRSG組立体104に戻って該HRSG組立体104内で再加熱され、また系列100を通して再循環される。
【0013】
図2は、第1の蒸気タービン系列400及び第2の蒸気タービン系列500を含む発電システム200の1つの実施形態を示しており、これらの系列400、500は、図1に示す系列100とほぼ同様であって、同様な構成要素は、図1で使用しているのと同じ参照符号を用いて表している。その他の実施形態では、発電システム200は、該発電システム200が本明細書に説明したように機能することを可能にするあらゆる適当な数の蒸気タービン系列(例えば、3つの系列、4つの系列、5つの系列など)を含むことができる。
【0014】
第1の系列400の例示的な実施形態では、熱源組立体102は、第1のガスタービン402及び第2のガスタービン404を含み(つまり、第1の系列400は、複合サイクル構成として配置されている)、またHRSG組立体104は、第1のHRSG406及び第2のHRSG408を含む。その他の実施形態では、第1の系列400は、あらゆる適当な数のガスタービン及び/又はあらゆるその他の適当な熱源によって加熱されるあらゆる適当な数のHRSGを含むことができる。この例示的な実施形態では、第1のガスタービン402は、第1の駆動シャフト416を介して第1の発電機414に対して作動結合され、かつ第1の熱移送管路418を介して第1のHRSG406と流体連通して結合される。第2のガスタービン404は、第2の駆動シャフト422を介して第2の発電機420に対して作動結合され、かつ第2の熱移送管路424を介して第2のHRSG408と流体連通して結合される。第1の系列400の幾つかの実施形態では、第1のガスタービン402及び/又は第2のガスタービン404のいずれか又は両方は、蒸気タービン組立体106と共に、原動機組立体110に対して作動結合して、第1のガスタービン402、第2のガスタービン404及び/又は蒸気タービン組立体106が、原動機組立体110を協働して駆動することができる(例えば、第1の系列400は、「直結形複合サイクル」構成とすることができる)。それに代えて、第1のガスタービン402及び/又は第2のガスタービン404は、それぞれ第1の駆動シャフト416及び/又は第2の駆動シャフト422を介してあらゆる適当な装置(例えば、ポンプ、プロペラ、圧縮機などのような機械的駆動装置)に対して作動結合することができる。
【0015】
この例示的な実施形態では、第1の系列400の蒸気タービン組立体106は、第1の蒸気タービン410を含み、また第1の系列400の復水器組立体108は、第1の復水器412を含む。第1の蒸気タービン410のHPタービン組立体116は、第1のHPタービンセクション430を含み、また第1の蒸気タービン410のIPタービン組立体118は、第1のIPタービンセクション432を含む。第1の蒸気タービン410のLPタービン組立体120は、第1のLPタービンセクション434及び第2のLPタービンセクション436を含む。その他の実施形態では、第1の蒸気タービン410のLPタービン組立体120は、あらゆる適当な数のLPタービンセクションを有することができる。この例示的な実施形態では、第1のHRSG406及び第2のHRSG408は、それぞれ第1の蒸気導管426及び第2の蒸気導管428を介して第1の蒸気タービン410と流体連通して結合され、また第1の復水器412は、それぞれ第1の復水移送管路440及び第2の復水移送管路442を介して第1のHRSG406及び第2のHRSG408と流体連通して結合される。
【0016】
第2の系列500の例示的な実施形態では、熱源組立体102は、第3のガスタービン502及び第4のガスタービン504を含み(つまり、第2の系列500は、複合サイクル構成として配置される)、またHRSG組立体104は、第3のHRSG506及び第4のHRSG508を含む。その他の実施形態では、第2の系列500は、あらゆる適当な数のガスタービン及び/又はあらゆるその他の適当な熱源によって加熱されるあらゆる適当な数のHRSGを含むことができる。この例示的な実施形態では、第3のガスタービン502は、第3の駆動シャフト516を介して第3の発電機514に対して作動結合され、かつ第3の熱移送管路518を介して第3のHRSG506と流体連通して結合される。第4のガスタービン504は、第4の駆動シャフト522を介して第4の発電機520に対して作動結合され、かつ第4の熱移送管路524を介して第4のHRSG508と流体連通して結合される。第2の系列500の幾つかの実施形態では、第3のガスタービン502及び/又は第4のガスタービン504のいずれか又は両方は、蒸気タービン組立体106と共に、原動機組立体110に対して作動結合して、第3のガスタービン502、第4のガスタービン504及び/又は蒸気タービン組立体106が、原動機組立体110を協働して駆動することができる(例えば、第2の系列500は、「直結形複合サイクル」構成とすることができる)。それに代えて、第3のガスタービン502及び/又は第4のガスタービン504は、それぞれ第3の駆動シャフト516及び/又は第4の駆動シャフト522を介してあらゆる適当な装置(例えば、ポンプ、プロペラ、圧縮機などのような機械的駆動装置)に対して作動結合することができる。
【0017】
この例示的な実施形態では、第2の系列500の蒸気タービン組立体106は、第2の蒸気タービン510を含み、また第2の系列500の復水器組立体108は、第2の復水器512を含む。第2の蒸気タービン510のHPタービン組立体116は、第2のHPタービンセクション530を含み、また第2の蒸気タービン510のIPタービン組立体118は、第2のIPタービンセクション532を含む。第2の蒸気タービン510のLPタービン組立体120は、第3のLPタービンセクション534及び第4のLPタービンセクション536を含む。その他の実施形態では、第2の蒸気タービン510のLPタービン組立体120は、あらゆる適当な数のLPタービンセクションを有することができる。この例示的な実施形態では、第3のHRSG506及び第4のHRSG508は、それぞれ第3の蒸気導管526及び第4の蒸気導管528を介して第2の蒸気タービン510と流体連通して結合され、また第2の復水器512は、それぞれ第3の復水移送管路540及び第4の復水移送管路542を介して第3のHRSG506及び第4のHRSG508と流体連通して結合される。この例示的な実施形態では、冷却チューブ130は、冷却媒体源132から復水器412を通して、復水器412から復水器512を通して、また復水器512から冷却媒体源132に戻るように延びて、ポンプ138により直列に冷却媒体を冷却媒体源132から復水器412及び復水器512を通して給送することができる。
【0018】
発電システム200が運転されている時、第1のガスタービン402、第2のガスタービン404、第3のガスタービン502及び第4のガスタービン504は、それぞれ第1の駆動シャフト416、第2の駆動シャフト422、第3の駆動シャフト516及び第4の駆動シャフト522を介して、それぞれ第1の発電機414、第2の発電機420、第3の発電機514及び第4の発電機520を同時に作動させる。第1のガスタービン402は、第1の熱移送管路418を介して高温ガスを第1のHRSG406内に放出し、また第2のガスタービン404は、第2の熱移送管路424を介して高温ガスを第2のHRSG408内に放出する。第3のガスタービン502は、第3の熱移送管路518を介して高温ガスを第3のHRSG506内に放出し、また第4のガスタービン504は、第4の熱移送管路524を介して高温ガスを第4のHRSG508内に放出する。従って、第1のHRSG406、第2のHRSG408、第3のHRSG506及び第4のHRSG508は、それらの中に収容している作動流体(例えば、液体水)を同時に加熱して蒸気を発生させる。
【0019】
第1のHRSG406及び第2のHRSG408は、蒸気を発生させ、この蒸気は、それぞれ第1の蒸気導管426及び第2の蒸気導管428を介して第1の蒸気タービン410内に送られる。具体的には、第1のHRSG406及び第2のHRSG408内で発生した蒸気は、第1のHPタービンセクション430及び第1のIPタービンセクション432を通して送られ、その後第1のLPタービンセクション434を通して送られる蒸気の第1の部分と、第2のLPタービンセクション436を通して送られる蒸気の第2の部分とに分割され、それによって駆動シャフト124により系列400の原動機組立体110を作動させて発電する。その他の実施形態では、第1の系列400は、図1に示しかつ上述したように、少なくとも1つの再熱サイクルを有することができる。この例示的な実施形態では、蒸気の第1及び第2の部分は次に、それぞれ第1のLPタービンセクション434及び第2のLPタービンセクション436から系列400の排出導管122を介して第1の復水器412内に排出される。第1の復水器412内で、熱が蒸気から冷却チューブ130を通って流れる冷却媒体に伝達されて、蒸気が凝縮して復水(例えば、液体水)を生成する。復水は、第1の系列400のポンプ128によってそれぞれ第1の復水移送管路440及び第2の復水移送管路442を通して第1のHRSG406及び第2のHRSG408に戻るように圧送されて、第1の系列400内を再循環する。
【0020】
第3のHRSG506及び第4のHRSG508は、蒸気を発生させ、この蒸気は、それぞれ第3の蒸気導管526及び第4の蒸気導管528を介して第2の蒸気タービン510内に送られる。具体的には、第3のHRSG506及び第4のHRSG508内で発生した蒸気は、第2のHPタービンセクション530及び第2のIPタービンセクション532を通して送られ、その後第3のLPタービンセクション534を通して送られる蒸気の第1の部分と、第4のLPタービンセクション536を通して送られる蒸気の第2の部分とに分割され、それによって駆動シャフト124により系列500の原動機組立体110を作動させて発電する。その他の実施形態では、第2の系列500は、図1に示しかつ上述したように、少なくとも1つの再熱サイクルを有することができる。この例示的な実施形態では、蒸気の第1及び第2の部分は次に、それぞれ第3のLPタービンセクション534及び第4のLPタービンセクション536から系列500の排出導管122を介して第2の復水器512内に排出される。第2の復水器512内で、熱が蒸気から冷却チューブ130を通って流れる冷却媒体に伝達されて、蒸気が凝縮して復水(例えば、液体水)を生成する。復水は、第2の系列500のポンプ128によってそれぞれ第3の復水移送管路540及び第4の復水移送管路542を通して第3のHRSG506及び第4のHRSG508に戻るように圧送されて、第2の系列500内を再循環する。
【0021】
この例示的な実施形態では、冷却媒体は、冷却媒体源132から冷却チューブ130を介して流れ方向F′に復水器412、512を通して送られる。具体的には、冷却媒体は、冷却媒体源132から第1の復水器412を通して、第1の復水器412から第2の復水器512を通して、また第2の復水器512から冷却媒体源132に戻るように送られて、復水器412、512は、互いに直列的に冷却媒体源132から冷却媒体を受ける。その他の実施形態では、冷却媒体は、第2の復水器512を通して送られた(流れた)後に、第1の復水器412を通して送る(つまり、流れ方向F′とは逆方向に)ことができる。それに代えて、発電システム200が2つよりも多い系列及び/又は2つよりも多い復水器を含む場合には、冷却媒体は、あらゆる適当な順序でそれらの系列の復水器を通して送ることができる。
【0022】
冷却媒体が直列に第1の復水器412及び第2の復水器512を通して送られる(つまり、最初に第1の復水器412を通り、その後第2の復水器512を通って流れる)場合には、復水器412、512の各々内で異なる圧力を得ることが可能になる。具体的には、第2の復水器512(つまり、冷却媒体が後から流入する復水器)内よりも第1の復水器412(つまり、冷却媒体が最初に流入する復水器)内でより低い圧力を得ることが可能になる。1つの実施形態では、例えば、第1の復水器412内で約1.1HgAの圧力を、また第2の復水器512内で約1.3HgAの圧力を得ることが可能になる。発電システム200が第3の復水器を有する第3の系列を含むその他の実施形態では、冷却媒体が第1の復水器412を通して、次に第2の復水器512を通して、その後第3の復水器を通して送られる場合には、第3の復水器内で約1.5HgAの圧力を得ることが可能になる。
【0023】
さらに、冷却媒体を第1の復水器412を通して循環させた後に第2の復水器512を通して送る場合には、冷却媒体の対数平均温度を第1の復水器412内で低下させることが可能になり、それによって第1の復水器412をより低い復水器圧力になるように設計することが可能になる。従って、第1の復水器412内における復水器圧力がより低い場合には、第1の蒸気タービン410をより低い背圧を有するように設計し、それによって同じ性能レベル(例えば、熱供給レベル)におけるより大きな出力及び/又は上昇した正味複合サイクル効率(例えば、幾つかの用途では約0.2%の上昇)を得ることが可能になる。加えて、第1の復水器412内における復水器圧力がより低い場合には、第1の蒸気タービン410をより大きな最終段バケット(LSB)長さを有するように設計することが可能になる。幾つかの実施形態では、第1の復水器412内の圧力の低下を補償するために、第1の系列400のポンプ128は、より大きい吐出圧力を有するように設計することができ、かつ/又は第1の復水器412は、より大きい表面積を有するように設計して、復水器412、512間の対数平均温度差(LMTD)の減少を補償する。
【0024】
1つの実施形態では、第1の復水器412及び第2の復水器512間で冷却チューブ130に対してバイパスチューブ642を結合して、該第1の復水器412及び第2の復水器512間を流れる冷却媒体の一部分を冷却媒体源132に分流させる(例えば、バイパスチューブ642に沿って配置した弁を開くことによって)こと及び/又は該第1の復水器412及び第2の復水器512間で流れる冷却媒体を冷却媒体源132からの付加的冷却媒体で補足する(例えば、バイパスチューブ642に沿って配置したポンプ644を作動させることによって)ことのいずれか又は両方を可能にして、第1の系列400及び第2の系列500間のLSBアニュラス速度及び/又はLBS排出損失における差を得て、それによって発電システム200のあらゆる所定の運転負荷(つまり、ベース負荷時、部分負荷時など)の間にオペレータが該発電システム200における平均LSB排出損失を最少にしかつ該発電システム200の平均運転効率を高めることができる。
【0025】
本明細書に説明した方法及びシステムは、蒸気タービン系列内でより低い復水器圧力を得ることを可能にする。具体的には、本明細書に説明した方法及びシステムは、蒸気タービン系列の少なくとも1つにおける復水器圧力を低下させることによって複数の独立した復水式蒸気タービン系列の少なくとも1つ内でより低い背圧を得ることを可能にする。従って、本明細書に説明した方法及びシステムは、より大型の発電システムの出力及び効率能力を高めることができる。
【0026】
以上、蒸気タービン発電システム及びそれを組立てる方法の例示的な実施形態について、詳細に説明している。本明細書に説明した方法及びシステムは、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ本方法及びシステムの構成要素は、本明細書に記載したその他の構成要素とは独立してかつ別個に利用することができる。例えば、本明細書に説明した方法及びシステムは、本明細書に記載したような複合サイクル発電システムでの実施に限定されないその他の用途を有することができる。むしろ、本明細書に説明した方法及びシステムは、様々なその他の発電システムと関連して実施及び利用することができる。
【0027】
様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更で実施することができることは、当業者には分かるであろう。
【符号の説明】
【0028】
100 系列
102 熱源組立体
104 熱回収蒸気発生器(HRSG)組立体
106 蒸気タービン組立体
108 復水器組立体
110 原動機組立体
112 熱移送管路
114 蒸気導管
116 高圧(HP)タービン組立体
118 中圧(IP)タービン組立体
120 低圧(LP)タービン組立体
122 排出導管
124 駆動シャフト
126 復水移送管路
128 ポンプ
130 冷却チューブ
132 冷却媒体源
134 第1の再熱導管
136 第2の再熱導管
138 ポンプ
200 発電システム
400 第1の系列
402 第1のガスタービン
404 第2のガスタービン
406 第1のHRSG
408 第2のHRSG
410 第1の蒸気タービン
412 第1の復水器
414 第1の発電機
416 第1の駆動シャフト
418 第1の熱移送管路
420 第2の発電機
422 第2の駆動シャフト
424 第2の熱移送管路
426 第1の蒸気導管
428 第2の蒸気導管
430 第1のHPタービンセクション
432 第1のIPタービンセクション
434 第1のLPタービンセクション
436 第2のLPタービンセクション
440 第1の復水移送管路
442 第2の復水移送管路
500 第2の系列
502 第3のガスタービン
504 第4のガスタービン
506 第3のHRSG
508 第4のHRSG
510 第2の蒸気タービン
512 第2の復水器
514 第3の発電機
516 第3の駆動シャフト
518 第3の熱移送管路
520 第4の発電機
522 第4の駆動シャフト
524 第4の熱移送管路
526 第3の蒸気導管
528 第4の蒸気導管
530 第2のHPタービンセクション
532 第2のIPタービンセクション
534 第3のLPタービンセクション
536 第4のLPタービンセクション
540 第3の復水移送管路
542 第4の復水移送管路
642 バイパスチューブ
644 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却媒体源(132)と共に使用する蒸気タービン発電システム(200)であって、
第1の高圧タービン組立体(116)、前記第1の高圧タービン組立体と流体連通して結合した第1の低圧タービン組立体(120)、及び前記第1の低圧タービン組立体と流体連通して結合した第1の復水器(412)を含む第1の蒸気タービン系列(400)と、
第2の高圧タービン組立体、前記第2の高圧タービン組立体と流体連通して結合した第2の低圧タービン組立体、及び前記第2の低圧タービン組立体と流体連通して結合した第2の復水器(512)を含む第2の蒸気タービン系列(500)と、
前記第1の復水器及び第2の復水器に結合されかつ冷却媒体を前記冷却媒体源(132)から前記第1の復水器を通して、前記第1の復水器から前記第2の復水器を通して、また前記第2の復水器から前記冷却媒体源に戻すように導くように構成された冷却チューブ(130)と
を含むシステム(200)。
【請求項2】
前記第1の復水器(412)及び第2の復水器(512)間で前記冷却チューブ(130)に結合したバイパスチューブ(642)をさらに含み、前記バイパスチューブが、前記第1の復水器及び第2の復水器間を流れる前記冷却媒体の一部分を前記冷却媒体源(132)に分流させるように構成される、請求項1記載のシステム(200)。
【請求項3】
前記第1の復水器(412)及び第2の復水器(512)間で前記冷却チューブ(130)に結合したバイパスチューブ(642)をさらに含み、前記バイパスチューブが、前記第1の復水器及び第2の復水器間を流れる前記冷却媒体を前記冷却媒体源(132)からの付加的冷却媒体で補足するように構成される、請求項1記載のシステム(200)。
【請求項4】
前記第1の蒸気タービン系列(400)が、前記第1の高圧タービン組立体(116)及び第1の低圧タービン組立体(120)の少なくとも1つに対して作動結合した第1の原動機組立体(110)を含む、請求項1記載のシステム(200)。
【請求項5】
前記第1の低圧タービン組立体(120)が、第1の低圧タービンセクション(434)及び第2の低圧タービンセクション(436)を含み、前記第1の低圧タービンセクション及び第2の低圧タービンセクションが、前記第1の復水器(412)と流体連通して結合される、請求項1記載のシステム(200)。
【請求項6】
前記第1の蒸気タービン系列(400)が、第1の熱回収蒸気発生器組立体(406)及び第1の熱源組立体(102)を含み、前記第1の熱回収蒸気発生器組立体が、前記第1の高圧タービン組立体(116)及び第1の低圧タービン組立体(120)と流体連通して結合され、前記第1の熱源組立体が、前記第1の熱回収蒸気発生器組立体と流体連通して結合される、請求項4記載のシステム(200)。
【請求項7】
前記第2の蒸気タービン系列(500)が、前記第2の高圧タービン組立体及び第2の低圧タービン組立体の少なくとも1つに対して作動結合した第2の原動機組立体を含む、請求項4記載のシステム(200)。
【請求項8】
前記第1の熱源組立体(102)が、第1のガスタービン(402)を含み、
前記第1のガスタービンが、前記第1の熱回収蒸気発生器組立体(406)と流体連通して結合されて、該第1のガスタービンからの排気を該第1の熱回収蒸気発生器組立体に導くことができる、請求項6記載のシステム(200)。
【請求項9】
前記第1のガスタービン(402)に対して作動結合した発電機(414)及び機械的駆動装置の少なくとも1つをさらに含む、請求項8記載のシステム(200)。
【請求項10】
前記第1のガスタービン(402)が、前記第1の原動機組立体(110)に対して作動結合される、請求項8記載のシステム(200)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−261444(P2010−261444A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−101560(P2010−101560)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】