説明

蒸気タービン調速装置の訓練設備

【課題】発電所に実際に設置された調速装置の故障を模擬した模擬故障を発生させることができ、発電所の運転員に対し、模擬故障に対処させて、調速装置の故障原因を探り当てる技術を習得し、故障復旧技術の向上に役立てることができる蒸気タービン調速装置の訓練設備を提供する。
【解決手段】模擬蒸気弁64と、蒸気弁の開度の変化量を検出する差動トランスと同一の構造であって模擬蒸気弁の開度の変化量を検出する模擬差動トランス61、65と、蒸気弁を駆動する制御モータを模擬した模擬制御モータ63、68と、蒸気タービンと連動する発電機の出力を所定の許容値以内に制限するロードリミッタの機能を備えた模擬ロードリミッタ67と、を有する蒸気タービン調速装置の訓練設備1において、模擬差動トランスと、模擬制御モータと、模擬ロードリミッタとの内から少なくともいずれか一つに対し模擬故障を発生させる模擬故障発生部10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、模擬差動トランスと、模擬制御モータと、模擬ロードリミッタと、を有する蒸気タービン調速装置の訓練設備を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、形式及び容量の異なる各タービンのタービン下位制御装置の上位に設けられ、発電システム全体の高効率運用を支援するタービン運転支援装置が開示されている。特許文献1のタービン運転支援装置では、発電システムが備えるすべてのタービンの消費蒸気量が最小となる各タービンの設定値の組み合わせを探索し、探索結果をガイダンスとして表示することにより、発電システムの運転員の能力に左右されることなく、発電システム全体の高効率運用を図ることができる。
【特許文献1】特開平2−91405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、例えば、火力発電所には、発電機と連動する蒸気タービンの回転速度を制御する調速装置が設置されている。調速装置は、蒸気タービンに蒸気を供給する蒸気弁の開度を調整し、該蒸気タービンの回転速度を制御して発電機の出力を制御するものである。このため、火力発電所の運転時に、調速装置の故障が発生した場合には、発電機の出力が低下することを防止するために、運転員には、いち速く、調速装置の故障原因を探り当てる技術を持ち合わせていることが望まれている。そのため、調速装置の故障復旧技術を習得させるために、運転員に対し、定期的に教育や訓練を行っていた。
【0004】
しかしながら、上述した運転員に対する教育や訓練については、例えば、調速装置の取扱説明書を用いることにより、机上での学習を行うことが主流であった。このため、机上での学習では、火力発電所に設置された実際の調速装置の運転時とは異なり、教育や訓練の内容が限られてしまうことから、調速装置の故障原因を探り当てる技術の習得の効果が十分であるとは言い難かった。
【0005】
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、発電所に実際に設置された調速装置の故障を模擬した模擬故障を発生させることができ、発電所の運転員に対し、模擬故障に対処させて、調速装置の故障原因を探り当てる技術を習得し、故障復旧技術の向上に役立てることができる蒸気タービン調速装置の訓練設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る蒸気タービン調速装置の訓練設備は、蒸気タービンに蒸気を供給する蒸気弁を模擬した模擬蒸気弁と、前記蒸気弁の開度の変化量を検出する差動トランスと同一の構造であって前記模擬蒸気弁の開度の変化量を検出する模擬差動トランスと、前記蒸気弁を駆動する制御モータと同一の構造であって前記制御モータを模擬した模擬制御モータと、前記蒸気タービンと連動する発電機の出力を所定の許容値以内に制限するロードリミッタの機能を備えた模擬ロードリミッタと、を有する蒸気タービン調速装置の訓練設備において、前記模擬差動トランスと、前記模擬制御モータと、前記模擬ロードリミッタとの内から少なくともいずれか一つに対し模擬故障を発生させる模擬故障発生部を備えることを特徴とする。
請求項1の発明に係る蒸気タービン調速装置の訓練設備によれば、模擬故障発生部が、模擬差動トランスと、模擬制御モータと、模擬ロードリミッタとの内から少なくとも一つに対し、模擬故障を発生させる。
そのため、蒸気タービン調速装置を備えた発電所の運転員に対し、模擬差動トランスと、模擬制御モータと、模擬ロードリミッタとの内の少なくとも一つに発生した模擬故障に対処させることにより、故障原因を探り当てる技術を習得させることができる。これにより、故障原因を探り当てる技術の習得を通じ、実際の調速装置の故障復旧技術の向上に役立てることができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記模擬故障発生部は、操作者の操作に応じ、前記模擬差動トランスと、前記模擬制御モータと、前記模擬ロードリミッタとの内の少なくともいずれか一つに対し前記模擬故障を発生させることを選択して指示する選択指示部を備えることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、操作者の操作に応じ、選択指示部によって、模擬差動トランスと、模擬制御モータと、模擬ロードリミッタとの内の少なくともいずれか一つに対し、模擬故障を発生させることを選択して指示することにより、発電所に設置された実際の差動トランスの故障を模擬した故障、実際の制御モータ故障を模擬した故障、実際のロードリミッタの故障を模擬した故障の内から、任意の模擬故障を発生させることを選択することができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記模擬故障発生部は、電源から前記模擬差動トランスに給電する給電経路を開放し前記模擬差動トランスが断線する故障を模擬した模擬断線故障を発生させると共に、前記選択指示部は、前記模擬断線故障を発生させることを選択して指示する模擬断線故障選択指示スイッチを備えることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、操作者が、模擬断線故障選択指示スイッチを操作することにより、模擬故障発生部が、電源から模擬差動トランスに給電する給電経路を開放するため、模擬差動トランスに電圧を印加することを停止させることができる。これにより、模擬差動トランスが断線した状態と同一の状態を作り出すことができ、模擬差動トランスが断線することを模擬した故障を発生させることができる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記模擬故障発生部は、前記模擬制御モータに供給する電流値を制限する電流制限部に前記模擬制御モータを接続し前記模擬制御モータが故障したことを模擬した模擬制御モータ故障を発生させると共に、前記選択指示部は、前記模擬制御モータ故障を発生させることを選択して指示する模擬制御モータ故障選択指示スイッチを備えることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、操作者が、模擬制御モータ故障選択指示スイッチを操作することにより、模擬故障発生部が、模擬制御モータに供給する電流値を制限する電流制限部に、模擬制御モータを接続するため、模擬制御モータが正常な状態の場合とは異なり、模擬制御モータの回転数が低下する状態を作り出すことができる。このため、模擬制御モータの回転数が低下することに伴って、模擬制御モータが故障することを模擬した状態を作り出すことができる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記模擬故障発生部は、前記模擬ロードリミッタの設定値を所定の値に降下させたロードリミッタ模擬故障を発生させるリミッタ設定値下降制御信号を生成するリミッタ設定値下降制御信号生成部を備え、該リミッタ設定値下降制御信号生成部は、前記模擬ロードリミッタに前記リミッタ設定値下降制御信号を送信すると共に、前記選択指示部は、前記リミッタ設定値下降制御信号生成部に、前記リミッタ設定値下降制御信号を生成し該リミッタ設定値下降制御信号を前記模擬ロードリミッタに送信することを選択して指示するリミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチを備えることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、操作者が、リミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチを操作することにより、リミッタ設定値下降制御生成部が、模擬ロードリミッタに、該模擬ロードリミッタの設定値を所定の値に降下させたロードリミッタ模擬故障を発生させるリミッタ設定値下降制御信号を送信するため、操作者が、任意のタイミングでリミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチを操作することにより、該任意のタイミングにおいて、模擬ロードリミッタが故障したことを模擬した状態を作り出すことができる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5において、前記リミッタ設定値下降制御信号は、前記模擬蒸気弁の開度を下降させる制御を行う開度下降制御信号であることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、リミッタ設定値下降制御信号は、模擬蒸気弁の開度を下降させる制御を行う開度下降制御信号であるため、該開度下降制御信号により、模擬ロードリミッタが、模擬蒸気弁を閉弁方向に絞り込む制御を行うことになる。このため、模擬蒸気弁を閉弁方向に絞り込む制御によって、発電所に設置された実際の蒸気タービンに供給する蒸気の流通路の径が狭まる状態を模擬することから、該蒸気の圧力が高くなる故障状態を模擬することができる。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかにおいて、前記模擬故障発生部は、前記模擬断線故障に基づいて取得可能な第1模擬故障情報と、前記模擬制御モータ故障に基づいて取得可能な第2模擬故障情報と、前記ロードリミッタ模擬故障に基づいて取得可能な第3模擬故障情報とを、それぞれ表示可能な表示部を備え、前記第1模擬故障情報ないし前記第3模擬故障情報は、前記差動トランスの断線故障に基づいて取得可能な情報と、前記制御モータの故障に基づいて取得可能な情報と、前記ロードリミッタの故障に基づいて取得可能な情報とそれぞれ同一の情報であることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、模擬故障発生部の表示部には、模擬断線故障に基づいて取得可能な第1模擬故障情報と、模擬制御モータ故障に基づいて取得可能な第2模擬故障情報と、ロードリミッタ模擬故障に基づいて取得可能な第3模擬故障情報とが、それぞれ表示可能であり、前記表示部に表示される前記第1模擬故障情報ないし前記第3模擬故障情報は、発電所に設置された実際の差動トランスの断線故障に基づいて取得可能な故障情報と、実際の制御モータの故障に基づいて取得可能な故障情報と、実際のロードリミッタの故障に基づいて取得可能な故障情報とそれぞれ同一の情報である。
このため、前記表示部には、発電所で故障が発生した場合に取得可能な故障情報を表示することが可能になり、発電所の運転員に対し、該表示部を通じて故障情報を把握させることにより、故障原因を探り当てる教育や訓練の効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蒸気タービン調速装置の訓練設備によれば、模擬故障発生部が、模擬差動トランスと、模擬制御モータと、模擬ロードリミッタとの内から少なくとも一つに対し、模擬故障を発生させる。
そのため、蒸気タービン調速装置を備えた発電所の運転員に対し、模擬差動トランスと、模擬制御モータと、模擬ロードリミッタとの内の少なくとも一つに発生した模擬故障に対処させることにより、故障原因を探り当てる技術を習得させることができる。これにより、故障原因を探り当てる技術の習得を通じ、実際の調速装置の故障復旧技術の向上に役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態を、図1ないし図4を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態の蒸気タービン調速装置の訓練設備1の概略構成図である。訓練設備1は、ADC(Automatic Dispatching Controller)補助盤10と、ADC盤20と、制御盤30と、油圧ユニット40と、模擬主蒸気止め弁50と、制御装置60とを備えている。
【0015】
ADC補助盤10は、ADC盤20に接続されている。ADC盤20は、制御盤30に接続されている。制御盤30は、油圧ユニット40に接続されている。油圧ユニット40は、模擬主蒸気止め弁50及び制御装置60に接続されている。制御盤30によって、油圧ユニット40には、ポンプ起動制御信号が送信される。このポンプ起動制御信号に基づいて、油圧ユニット40のポンプが起動し、油圧ユニット40は、模擬主蒸気止め弁50及び制御装置60へ作動油を供給する。
【0016】
制御装置60は、第1模擬差動トランス61と、同期装置62と、第1模擬制御モータ63と、模擬蒸気加減弁64と、第2模擬差動トランス65と、模擬補助パイロット弁66と、模擬ロードリミッタ67と、第2模擬制御モータ68とを備えている。
【0017】
第1模擬差動トランス61は、同期装置62に接続されている。同期装置62には、第1模擬制御モータ63及び模擬蒸気加減弁64が接続されている。模擬蒸気加減弁64の開閉に応じ、同期装置62のスライド棒が上下動する。スライド棒が上下動することによる起電力の変化に伴って、第1模擬差動トランス61は、模擬蒸気加減弁64の開度が変化したことを検出している。なお、模擬蒸気加減弁64は、火力発電所に設置された蒸気タービンに蒸気を供給する蒸気加減弁を模擬したものである。本実施形態では、模擬蒸気加減弁64は、本発明の模擬蒸気弁の一例である。
【0018】
第1模擬差動トランス61の一次側には、スイッチSW1を介し、交流電圧vddを供給することが可能である。スイッチSW1は、後述する模擬断線故障を発生させるために設けられている。上記のADC補助盤10は、ADC盤20及び制御盤30を介し、スイッチSW1を開閉するために、該スイッチSW1にスイッチ開閉制御信号を送信する。後述の模擬断線故障を発生させない際には、スイッチSW1はオン状態(閉鎖状態)に制御され、第1模擬差動トランス61に、交流電圧vddが供給される。
【0019】
第1模擬差動トランス61の二次側には、スイッチSW2を介し、制御盤30が接続されている。スイッチSW2は、上記のスイッチSW1と同様に、後述する模擬断線故障を発生させるために設けられている。スイッチSW2に対しても、スイッチSW1と同様に、ADC補助盤10からスイッチ開閉制御信号が送信される。後述の模擬断線故障を発生させない際には、スイッチSW2はオン状態(閉鎖状態)に制御される。これにより、第1模擬差動トランス61の二次側から制御盤30に対し、模擬蒸気加減弁64の開度変化検出信号が送信される。
【0020】
第1模擬制御モータ63には、第1電流調整回路70が接続されている。第1電流調整回路70は、後述する模擬制御モータ故障を発生させるために設けられている。第1電流調整回路70は、切替スイッチSW3と、抵抗素子R1とを備えている。模擬制御モータ故障を発生させない際には、第1模擬制御モータ63に、切替スイッチSW3を通じ、電源ライン(図示せず。)から直流電圧が供給されている。このとき、第1模擬制御モータ63は、上記のスライド棒を上下動させて、模擬蒸気加減弁64の開度を変化させる。
【0021】
加えて、模擬制御モータ故障を発生させない際には、電源ラインから第1模擬制御モータ63に至る電流路に、抵抗素子R1の一端が第1電流制限側端子T1に接続されて開放された状態で、該抵抗素子R1の他端が並列接続されている。上記のADC補助盤10は、切替スイッチSW3を第1電流制限側端子T1又は第1電流供給側端子T2に切替接続するために、上記のADC盤20及び制御盤30を介し、前記切替スイッチSW3にスイッチ切替信号を送信する。なお、抵抗素子R1は、本発明の電流制限部の一例である。
【0022】
さらに、第2模擬差動トランス65は、模擬補助パイロット弁66に接続されている。模擬補助パイロット弁66には、模擬ロードリミッタ67及び模擬蒸気加減弁64が接続されている。模擬補助パイロット弁66においても、上記の同期装置62と同様に、模擬蒸気加減弁64の開閉に応じ、スライド棒が上下動する。このため、上記の第1模擬差動トランス61と同様に、第2模擬差動トランス65は、模擬蒸気加減弁64の開度が変化したことを検出している。なお、第1模擬差動トランス61及び第2模擬差動トランス65は、火力発電所に設置された蒸気加減弁の開度の変化量を検出する差動トランスと同一の構造であって模擬蒸気加減弁64の開度の変化量を検出するものである。
【0023】
第2模擬差動トランス65の一次側には、スイッチSW4を介し、交流電圧vddを供給することが可能である。スイッチSW4は、上記のスイッチSW1と同様に、模擬断線故障を発生させるために設けられている。スイッチSW4には、スイッチSW1と同様に、スイッチ開閉制御信号が送信される。模擬断線故障を発生させない際には、スイッチSW1と同様に、スイッチSW4はオン状態(閉鎖状態)に制御される。これにより、第2模擬差動トランス65には、交流電圧vddが供給される。
【0024】
第2模擬差動トランス65の二次側には、スイッチSW5を介し、制御盤30が接続されている。スイッチSW5は、上記のスイッチSW4と同様に、後述する模擬断線故障を発生させるために設けられている。スイッチSW5に対しても、スイッチSW4と同様に、ADC補助盤10からスイッチ開閉制御信号が送信される。後述の模擬断線故障を発生させない際には、スイッチSW5はオン状態(閉鎖状態)に制御される。これにより、第2模擬差動トランス65の二次側から制御盤30に対し、上記の模擬補助パイロット弁66の開度変化検出信号が送信される。
【0025】
第2模擬制御モータ68には、第2電流調整回路75が接続されている。第2電流調整回路75は、上記の第1電流調整回路70と同様に、模擬制御モータ故障を発生させるために設けられている。第2電流調整回路75は、切替スイッチSW6と、抵抗素子R2とを備えている。模擬制御モータ故障を発生させない際には、第2模擬制御モータ68には、切替スイッチSW6を通じ、上記の直流電圧が供給されている。このとき、第2模擬制御モータ68は、模擬ロードリミッタ67の作動油量を変化させる。その後、模擬ロードリミッタ67は、模擬補助パイロット弁66に対し、該模擬補助パイロット弁66の駆動信号を送信する。模擬ロードリミッタ67は、前記駆動信号の設定値に制限を加え、該設定値が正常範囲に収まるようにしている。前記駆動信号により、模擬補助パイロット弁66のスライド棒が上下動し、模擬蒸気加減弁64の開度を変化させる。第1模擬制御モータ63及び第2模擬制御モータ68は、火力発電所に設置された蒸気加減弁を駆動する制御モータと同一の構造であって該制御モータを模擬したものである。
【0026】
模擬制御モータ故障を発生させない際には、電源ラインから第2模擬制御モータ68に至る電流路に、抵抗素子R2の一端が第2電流制限側端子T3に接続されて開放された状態で、該抵抗素子R2の他端が並列接続されている。上記のADC補助盤10は、切替スイッチSW6を第2電流制限側端子T3又は第2電流供給側端子T4に切替接続するために、上記のADC盤20及び制御盤30を介し、前記切替スイッチSW6にスイッチ切替信号を送信する。なお、抵抗素子R2は、本発明の電流制限部の一例である。
【0027】
また、第2模擬制御モータ68には、制御盤30が接続されている。後述するロードリミッタ模擬故障を発生させる際には、制御盤30によって、第2模擬制御モータ68に対し、上述した駆動信号の設定値を下限設定値を下回る値に設定する第1リミッタ設定値下降制御信号や、駆動信号の設定値を下限設定値よりもわずかに高い値に設定する第2リミッタ設定値下降制御信号が送信される。
【0028】
上記の制御装置60には、増速機80が接続されている。増速機80は、電動機81に接続されている。制御盤30は、上記模擬蒸気加減弁64の開度変化検出信号に基づいて、回転数制御信号の設定値を計算する。その後、制御盤30は、回転数制御信号を、電動機81に送信する。増速機80は、一定の比率により、電動機81の回転数を増加させる。上記の模擬ロードリミッタ67は、回転数制御信号の設定値に制限を加え、該設定値が正常範囲に収まるようにしている。制御盤30は、増速機80から、増加させた回転数を含む増速機動作信号を受信する。制御盤30は、増速機動作信号及び同期装置62のスライド棒が上下動する変位量に対応する上述の模擬蒸気加減弁64の開度変化検出信号を用い、該制御盤30に記憶された発電機出力計算プログラムにより、火力発電所に設置された発電機の出力に相当する予測発電機出力を計算する。予測発電機出力の値は、火力発電所に設置された発電機の出力に合わせて事前に設定した値(所定の許容値以内)になるようにしている。
【0029】
図2は、ADC補助盤10の外観図である。ADC補助盤10は、モニタテレビ11と、警報表示部12と、メータ13A〜13Fと、模擬故障選択指示部14とを備えている。ADC補助盤10は、本発明の模擬故障発生部の一例であり、警報表示部12及びメータ13A〜13Fは、本発明の表示部の一例である。
【0030】
モニタテレビ11は、テレビカメラから送信された画像データを受信する。テレビカメラは、制御盤30、油圧ユニット40、模擬主蒸気止め弁50、制御装置60、増速機80、電動機81が配置された位置の周辺を撮影する。このため、上記の画像データに基づいて、モニタテレビ11には、制御盤30等が配置された位置の周辺の画像が表示される。
【0031】
図3に示すように、警報表示部12には、3つの小窓12A〜12Cが設けられている。各小窓12A〜12Cには、警報内容の文字がそれぞれ刻印されている。小窓12Aには、「ADC異常」の文字が刻印され、小窓12Bには、「余裕値小」の文字が刻印されている。小窓12Cには、警報表示部12によって表示する警報内容を増設することが可能であることを示す「予備」の文字が刻印されている。各小窓12A〜12Cの裏面には、LEDランプが配置されている。後述するように、模擬断線故障等を発生させた場合には、模擬故障の内容に応じ、LEDランプによって小窓12A、12Bが点灯すると共に、ブザー音によって模擬故障が発生したことを報知する。
【0032】
各メータ13A〜13Fには、訓練設備1の作動状況が表示される。メータ13Aは、ADC盤20を介し、制御盤30によって送信される上記の予測発電機出力の計算結果を含む表示制御信号に基づいて、該制御盤30が計算した予測発電機出力の値を表示する。
【0033】
制御盤30は、上記の模擬蒸気加減弁64の開度変化検出信号に含まれる情報を用い、該制御盤30に記憶された主蒸気流量計算プログラムによって、火力発電所に設置された蒸気タービンに供給される主蒸気量に合わせて事前に設定した予測主蒸気流量を計算する。メータ13Bは、ADC盤20を介し、制御盤30によって送信される予測主蒸気流量の計算結果を含む表示制御信号に基づいて、予測主蒸気流量の値を表示する。
【0034】
制御盤30は、上記の予測主蒸気流量を計算することに加えて、該制御盤30に記憶された主蒸気圧力計算プログラムによって、主蒸気の予測圧力値を計算する。メータ13Cは、ADC盤20を介し、制御盤30によって送信される主蒸気の予測圧力値を含む表示制御信号に基づいて、主蒸気の予測圧力値を表示する。
【0035】
さらに、制御盤30は、上記の増速機動作信号に含まれる回転数の情報を用い、該制御盤30に記憶された発電機回転数計算プログラムによって、火力発電所に設置された発電機の回転数に合わせて事前に設定した予測回転数を計算する。メータ13Dは、ADC盤20を介し、制御盤30によって送信される発電機の予測回転数の値を含む表示制御信号に基づいて、発電機の予測回転数の値を表示する。
【0036】
また、制御盤30は、上記の模擬補助パイロット弁66の開度変化検出信号に含まれる情報を用い、該制御盤30に記憶された模擬補助パイロット弁開度計算プログラムによって、模擬補助パイロット弁66の開度を計算する。メータ13Eは、ADC盤20を介し、制御盤30によって送信された模擬補助パイロット弁66の開度の値を含む表示制御信号に基づいて、模擬補助パイロット弁66の開度を表示する。
【0037】
制御盤30には、模擬補助パイロット弁66の開度の値に対応させて、模擬ロードリミッタ67の開度の値が記憶されている。制御盤30は、模擬ロードリミッタ67の開度の値を含む表示制御信号を、ADC盤20を介し、ADC補助盤10に送信する。メータ13Fは、該表示制御信号に基づいて、模擬ロードリミッタ67の開度を表示する。
【0038】
図4には、上記の模擬故障選択指示部14に設けられた各種スイッチの配置を示した。模擬故障選択指示部14は、本発明の選択指示部の一例である。模擬故障選択指示部14は、第1模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14Aと、模擬断線故障第1選択指示スイッチSW14Bと、模擬断線故障第2選択指示スイッチSW14Cと、第2模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14Dと、リミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチSW14Eと、模擬故障選択確認スイッチSW14Fと、リミッタ設定値下降制御信号送信指示確認スイッチSW14Gと、模擬断線故障第3選択指示スイッチSW14Hと、模擬断線故障第4選択指示スイッチSW14Iとを備えている。スイッチSW14A〜SW14E及びスイッチSW14H、SW14Iは、スナップスイッチによって構成されている。スイッチSW14F、SW14Gは、押ボタンスイッチによって構成されている。
【0039】
次に、本実施形態の訓練設備1の制御方法を説明する。訓練設備1では、以下に説明するように、火力発電所に設置された蒸気タービン調速装置の故障を想定し、該火力発電所において起こり得る4種類の故障を模擬することができる。訓練設備1の操作者は、4種類の模擬故障の内からいずれかの模擬故障を任意に発生させ、該訓練設備1を用い、火力発電所の運転員(訓練員)に対し、発生した模擬故障の原因を探り当てる訓練を行う。
【0040】
第1の模擬故障として、各模擬制御モータ63、68が故障することを模擬した模擬制御モータ故障を発生させる場合について説明する。第1模擬制御モータ63に対する模擬制御モータ故障を発生させる際には、操作者は、模擬故障選択確認スイッチSW14Fを押し操作することにより、該スイッチSW14Fをオン状態にした後、上記の第1模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14Aをオン状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10は、ADC盤20を介し、上記の切替スイッチSW3を第1電流制限側端子T1(図1参照。)に接続することを指示するスイッチ切替信号を、該切替スイッチSW3に送信する。
【0041】
切替スイッチSW3が、第1電流制限側端子T1に接続されると、該スイッチSW3が第1電流供給側端子T2に接続されている場合に比べて、抵抗素子R1により、第1模擬制御モータ63へ通電させる電流値が制限される。このため、第1模擬制御モータ63の回転数が低下する。これにより、同期装置62の作動油量が減少する。その結果として、模擬蒸気加減弁64が閉弁方向に絞り込まれ、該模擬蒸気加減弁64の開度が下降する。
【0042】
その後、制御盤30は、第1模擬差動トランス61によって送信される模擬蒸気加減弁64の開度変化検出信号を受信し、模擬蒸気加減弁64の開度が低下したことを検知する。続いて、制御盤30は、ADC盤20を介し、開度低下検知信号を、ADC補助盤10に送信する。
【0043】
ADC補助盤10が、開度低下検知信号を受信すると、「ADC異常」の文字が刻印された上記の小窓12Aが点灯すると共に、ADC補助盤10はブザー音を発する。訓練員は、小窓12Aの点灯表示やADC盤20のランプの点灯表示等に基づいて、訓練設備1における模擬故障発生箇所(ここでは、第1模擬制御モータ63)を特定する。なお、第1模擬制御モータ63に対して模擬制御モータ故障を発生させた状態を解除する場合には、操作者が、模擬故障選択確認スイッチSW14Fをオフ状態にすると共に、第1模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14Aをオフ状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10が、ADC盤20を介し、切替スイッチSW3に対し、該切替スイッチSW3を第1電流供給側端子T2(図1参照。)に接続することを指示するスイッチ切替信号を送信する。
【0044】
小窓12Aの点灯表示により、訓練員に通知する「ADC異常」は、本発明の第2模擬故障情報の一例である。火力発電所に設置された操作盤においても、小窓12Aと同様な警報表示部が設けられている。火力発電所に設置された上記の制御モータが故障した場合には、前記操作盤の警報表示部が点灯すると共に、該操作盤はブザー音を発する。
【0045】
一方、第2模擬制御モータ68に対する模擬制御モータ故障を発生させる際には、操作者は、上記の第1模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14Aに代えて、第2模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14Dをオン状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10は、ADC盤20を介し、上記の切替スイッチSW6を第2電流制限側端子T3(図1参照。)に接続することを指示するスイッチ切替信号を、該切替スイッチSW6に送信する。
【0046】
切替スイッチSW6が、第2電流制限側端子T3に接続されると、上述した切替スイッチSW3を第1電流制限側端子T1に接続した場合と同様に、第2模擬制御モータ68の回転数が低下する。これにより、模擬ロードリミッタ67の作動油量及び模擬補助パイロット弁66の作動油量がそれぞれ減少する。その結果として、模擬蒸気加減弁64が閉弁方向に絞り込まれ、該模擬蒸気加減弁64の開度が下降する。
【0047】
その後、制御盤30は、第2模擬差動トランス65によって送信される模擬補助パイロット弁66の開度変化検出信号を受信し、模擬補助パイロット弁64の開度が低下したことを検知する。続いて、制御盤30は、ADC盤20を介し、開度低下検知信号を、ADC補助盤10に送信する。
【0048】
ADC補助盤10は、上記の小窓12Aに代えて、「余裕値小」の文字が刻印された小窓12Bを点灯させる。訓練員は、小窓12Bの点灯表示やADC盤20のランプの点灯表示等に基づいて、訓練設備1における模擬故障発生箇所(ここでは、第2模擬制御モータ68)を特定する。なお、第2模擬制御モータ68に対して模擬制御モータ故障を発生させた状態を解除する場合には、操作者が、模擬故障選択確認スイッチSW14Fをオフ状態にすると共に、第2模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14Dをオフ状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10が、ADC盤20及び制御盤30を介し、切替スイッチSW6に対し、該切替スイッチSW6を第2電流供給側端子T4(図1参照。)に接続することを指示するスイッチ切替信号を送信する。
【0049】
小窓12Bの点灯表示により、訓練員に通知する「余裕値小」は、本発明の第2模擬故障情報の一例である。上記の小窓12Aと同様に、小窓12Bと同様な警報表示部についても、火力発電所に設置された操作盤に設けられている。火力発電所に設置された上記の制御モータが故障した場合には、前記操作盤の警報表示部が点灯すると共に、該操作盤はブザー音を発する。
【0050】
続いて、第2の模擬故障として、各模擬差動トランス61、65が断線する故障を模擬した模擬断線故障を発生させる場合について説明する。第1模擬差動トランス61の一次側の模擬断線故障を発生させる際には、模擬故障選択確認スイッチSW14Fを押し操作することにより、該スイッチSW14Fをオン状態にした後、上記の模擬断線故障第1選択指示スイッチSW14Bをオン状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10は、ADC盤20及び制御盤30を介し、上記のスイッチSW1をオフ状態(開放状態)に制御するスイッチ開放信号を、該スイッチSW1に送信する。
【0051】
スイッチSW1が開放状態になると、第1模擬差動トランス61に対する給電経路が開放される。このため、第1模擬差動トランス61の一次側に交流電圧vddを供給することが停止され、第1模擬差動トランス61の一次側が断線したときと同様な状態を作り出す。これにより、第1模擬差動トランス61は、上記の模擬蒸気加減弁64の開度の変化を検出することができなる。その結果として、制御盤30は、模擬蒸気加減弁64の開度変化検出信号を受信することができなくなる。
【0052】
制御盤30は、上記の開度変化検出信号が受信できなくなることに伴って、第1模擬差動トランス61が断線したことを検出する。その後、制御盤30は、第1模擬差動トランス故障発生信号を、ADC盤20に送信する。
【0053】
ADC盤20が、第1模擬差動トランス故障発生信号を受信すると、該ADC盤20の基板に実装されたランプを点灯させる。訓練員は、前記ランプの点灯表示に基づいて、訓練設備1における模擬故障発生箇所(ここでは、第1模擬差動トランス61)を特定する。なお、第1模擬差動トランス61の一次側に模擬断線故障を発生させた状態を解除する場合には、操作者が、模擬故障選択確認スイッチSW14Fをオフ状態にすると共に、模擬断線故障第1選択指示スイッチSW14Bをオフ状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10が、ADC盤20及び制御盤30を介し、スイッチSW1に対し、該スイッチSW1をオン状態(閉鎖状態)に制御するスイッチ閉鎖信号を送信する。
【0054】
なお、火力発電所には、ADC盤20と同様に、故障内容に応じてランプ表示を行うADC盤が設けられている。火力発電所に設置された上記の差動トランスの一次側に断線故障が発生した場合には、該火力発電所に設置されたADC盤の基板に実装されたランプが点灯すると共に、該ADC盤はブザー音を発する。ここでは、差動トランスの一次側に断線故障が発生した場合に、火力発電所に設定されたADC盤の基板に実装されたランプが点灯することを例示したが、火力発電所に設定されたADC盤では、該ADC盤の警報表示部に、上記の断線故障に対応させた故障内容を表示することもある。
【0055】
一方、第1模擬差動トランス61の二次側の模擬断線故障を発生させる際には、操作者は、上記の模擬断線故障第1選択指示スイッチSW14Bに代えて、模擬断線故障第2選択指示スイッチSW14Cをオン状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10は、ADC盤20及び制御盤30を介し、上記のスイッチSW2をオフ状態(開放状態)に制御するスイッチ開放信号を、該スイッチSW2に送信する。
【0056】
スイッチSW2が開放状態になると、第1模擬差動トランス61の二次側と制御盤30との間が開放される。これにより、第1模擬差動トランス61の二次側が断線したときと同様な状態を作り出す。このため、制御盤30は、模擬蒸気加減弁64の開度変化検出信号を受信することができなくなる。
【0057】
制御盤30は、上記の開度変化検出信号が受信できなくなることに伴って、第1模擬差動トランス61が断線したことを検出する。その後、制御盤30は、第1模擬差動トランス故障発生信号を、ADC盤20に送信する。
【0058】
ADC盤20が、第1模擬差動トランス故障発生信号を受信すると、該ADC盤20の基板に実装されたランプを点灯させる。訓練員は、前記ランプの点灯表示に基づいて、訓練設備1における模擬故障発生箇所(ここでは、第1模擬差動トランス61)を特定する。なお、第1模擬差動トランス61の二次側に模擬断線故障を発生させた状態を解除する場合には、操作者が、模擬故障選択確認スイッチSW14Fをオフ状態にすると共に、模擬断線故障第2選択指示スイッチSW14Cをオフ状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10が、ADC盤20及び制御盤30を介し、スイッチSW2に対し、該スイッチSW2をオン状態(閉鎖状態)に制御するスイッチ閉鎖信号を送信する。訓練設備1のADC盤20と同様に、火力発電所に設置された上記の差動トランスの二次側に断線故障が発生した場合には、該火力発電所に設置されたADC盤の基板に実装されたランプが点灯すると共に、該ADC盤はブザー音を発する。
【0059】
また、第2模擬差動トランス65の一次側の模擬断線故障を発生させる際には、上記の模擬断線故障第1選択指示スイッチSW14Bに代えて、模擬断線故障第3選択指示スイッチSW14Hをオン状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10は、ADC盤20及び制御盤30を介し、上記のスイッチSW4をオフ状態(開放状態)に制御するスイッチ開放信号を、該スイッチSW4に送信する。
【0060】
スイッチSW4を開放状態にすることにより、上述した第1模擬差動トランス61に対する給電経路が開放された場合と同様に、第2模擬差動トランス65の一次側が断線したときと同様な状態を作り出す。これにより、第2模擬差動トランス65は、上記の模擬補助パイロット弁66の開度の変化を検出することができなる。その結果として、制御盤30は、模擬補助パイロット弁66の開度変化検出信号を受信することができなくなる。
【0061】
制御盤30は、模擬補助パイロット弁66の開度変化検出信号が受信できなくなることに伴って、第2模擬差動トランス65が断線したことを検出する。その後、制御盤30は、第2模擬差動トランス故障発生信号を、ADC盤20を介し、ADC補助盤10に送信する。
【0062】
ADC補助盤10が、第2模擬差動トランス故障発生信号を受信すると、「ADC異常」の文字が刻印された上記の小窓12Aが点灯すると共に、ADC補助盤10はブザー音を発する。訓練員は、小窓12Aの点灯表示やADC盤20のランプの点灯表示等に基づいて、訓練設備1における模擬故障発生箇所(ここでは、第2模擬差動トランス65)を特定する。なお、第2模擬差動トランス65の一次側に模擬断線故障を発生させた状態を解除する場合には、操作者が、模擬故障選択確認スイッチSW14Fをオフ状態にすると共に、模擬断線故障第3選択指示スイッチSW14Hをオフ状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10が、ADC盤20及び制御盤30を介し、スイッチSW4に対し、該スイッチSW4をオン状態(閉鎖状態)に制御するスイッチ閉鎖信号を送信する。小窓12Aの点灯表示により訓練員に通知する「ADC異常」は、本発明の第1模擬故障情報の一例である。
【0063】
一方、第2模擬差動トランス65の二次側の模擬断線故障を発生させる際には、第2模擬差動トランス65の一次側の模擬断線故障を発生させる場合とは異なり、操作者は、上記の模擬断線故障第3選択指示スイッチSW14Hに代えて、模擬断線故障第4選択スイッチSW14Iをオン状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10は、ADC盤20及び制御盤30を介し、上記のスイッチSW5をオフ状態(開放状態)に制御するスイッチ開放信号を、該スイッチSW5に送信する。
【0064】
スイッチSW5が開放状態になると、第2模擬差動トランス65の二次側と制御盤30との間が開放される。これにより、第2模擬差動トランス65の二次側が断線したときと同様な状態を作り出す。したがって、制御盤30は、模擬補助パイロット弁66の開度変化検出信号を受信することができなくなる。このため、上述した第2模擬差動トランス65の一次側の模擬断線故障を発生させる場合と同様に、制御盤30は、第2模擬差動トランス故障発生信号を、ADC盤20を介し、ADC補助盤10に送信する。
【0065】
その後、ADC補助盤10は、上述した第2模擬差動トランス65の一次側の模擬断線故障を発生させる場合と同様に、「ADC異常」の文字が刻印された上記の小窓12Aを点灯させると共に、ADC補助盤10はブザー音を発する。なお、第2模擬差動トランス65の二次側に模擬断線故障を発生させた状態を解除する場合には、操作者が、模擬故障選択確認スイッチSW14Fをオフ状態にすると共に、模擬断線故障第4選択スイッチSW14Iをオフ状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10が、ADC盤20及び制御盤30を介し、スイッチSW5に対し、該スイッチSW5をオン状態(閉鎖状態)に制御するスイッチ閉鎖信号を送信する。
【0066】
加えて、第3及び第4の模擬故障として、模擬ロードリミッタ67の設定値を強制的に所定の値へ下降させるロードリミッタ模擬故障を発生させる場合について説明する。まず、第3の模擬故障として、上記の模擬補助パイロット弁66の駆動信号の設定値が下限設定値を下回る第1ロードリミッタ模擬故障を発生させる場合について説明する。第1ロードリミッタ模擬故障を発生させる際には、操作者は、リミッタ設定値下降制御信号送信指示確認スイッチSW14Gに対する押し操作により、該スイッチSW14Gを動作状態にした後に、リミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチSW14Eをオン状態に切り替える。これにより、ADC補助盤10が備えるワンショットパルス発生回路(図示せず。)は、ADC盤20及び制御盤30を介し、第2模擬制御モータ68に対し、第1リミッタ設定値下降制御信号を送信する。ここでは、第1リミッタ設定値下降制御信号の設定値が、上記の模擬補助パイロット弁66の駆動信号の下限設定値を下回る値に設定されている。第1リミッタ設定値下降制御信号は、本発明の開度下降制御信号の一例であり、ワンショットパルス発生回路は、本発明のリミッタ設定値下降制御信号生成部の一例である。
【0067】
第1リミッタ設定値下降制御信号により、第2模擬制御モータ68は、模擬ロードリミッタ67の作動油量を変化させ、模擬ロードリミッタ67は、模擬補助パイロット弁66に対し、該模擬補助パイロット弁66の駆動信号を送信する。その後、模擬補助パイロット弁66は、該駆動信号に基づいて、模擬蒸気加減弁64の開度を急激に下降させる。その結果として、模擬蒸気加減弁64が、閉弁方向に急激に絞り込まれる。これにより、火力発電所において、蒸気タービンに供給される主蒸気の流通路の径が狭まる状態を模擬し、主蒸気圧力が急激に上昇することを模擬した状態を作り出す。
【0068】
制御盤30は、上記の模擬蒸気加減弁64の開度変化検出信号を受信し、上記の主蒸気圧力計算プログラムによって、主蒸気の予測圧力値を計算する。その結果として、制御盤30は、主蒸気の予測圧力値が急激に上昇したことを検知する。続いて、制御盤30は、上記の表示制御信号(主蒸気の予測圧力値の計算結果を含む。)を、ADC盤20及び制御盤30を介し、ADC補助盤10に送信する。
【0069】
ADC補助盤10が、表示制御信号を受信すると、上記のメータ13Cの指針が急激に高圧側に振れて、主蒸気の予測圧力値が急激に上昇すると共に、該予測圧力値が所定の圧力値(安全弁動作開始圧力値)を上回ったときに、蒸気タービンの非常停止時に作動する安全弁が発する音の模擬音を発生させる。訓練員は、メータ13Cの指針が示す予測圧力値や模擬音に基づいて、訓練設備1における模擬発生箇所(ここでは、模擬ロードリミッタ67)を特定する。なお、第1ロードリミッタ模擬故障を解除する場合には、操作者が、リミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチSW14Eをオフ状態に切り替える。これにより、上記のワンショットパルス発生回路が、動作復帰信号を、第2模擬制御モータ68に送信する。第2模擬制御モータ68が動作復帰信号を受信することにより、上述した駆動信号の下限設定値が正常範囲に収まるように制御する状態に戻る。
【0070】
なお、メータ13Cによって訓練員に通知される主蒸気の予測圧力値は、本発明の第3模擬故障情報の一例である。火力発電所に設置された操作盤には、メータ13Cと同様に、蒸気タービンに供給される主蒸気の圧力値を示すメータが設けられている。上述した第1ロードリミッタ模擬故障と同様な故障が、火力発電所に設置されたロードリミッタに生じた場合には、主蒸気の圧力値を示すメータの指針が急激に高圧側に振れると共に、該主蒸気の圧力値が所定の圧力値(安全弁動作開始圧力値)を上回ったときに、安全弁の作動音が生じる。
【0071】
次に、上述した第1ロードリミッタ模擬故障とは異なり、模擬補助パイロット弁66の駆動信号の設定値が下限設定値よりもわずかに高い値に設定された第2ロードリミッタ模擬故障を発生させる場合について説明する。第2ロードリミッタ模擬故障を発生させる際には、操作者は、リミッタ設定値下降制御信号送信指示確認スイッチSW14Gに対する押し操作により、該スイッチSW14Gを抑え状態にした後に、リミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチSW14Eをオン状態に切り替える。これにより、上記のワンショットパルス発生回路は、ADC盤20及び制御盤30を介し、第2模擬制御モータ68に対し、第2リミッタ設定値下降制御信号を送信する。ここでは、第2リミッタ設定値下降制御信号の設定値が、上記の下限設定値よりもわずかに高い値に設定されている。第2リミッタ設定値下降制御信号は、本発明の開度下降制御信号の一例である。
【0072】
第2リミッタ設定値下降制御信号により、第2模擬制御モータ68は、模擬ロードリミッタ67の作動油量を変化させ、模擬ロードリミッタ67は、模擬補助パイロット弁66に対し、該模擬補助パイロット弁66の駆動信号を送信する。その後、模擬補助パイロット弁66は、該駆動信号に基づいて、上述した第1ロードリミッタ模擬故障の場合よりも緩やかな速度で模擬蒸気加減弁64の開度を下降させる。その結果として、模擬蒸気加減弁64が、閉弁方向に絞り込まれる。これにより、火力発電所において、主蒸気圧力が徐々に上昇することを模擬した状態を作り出す。
【0073】
上述した第1ロードリミッタ模擬故障の場合と同様に、制御盤30は、主蒸気の予測圧力値を計算する。その結果として、制御盤30は、主蒸気の予測圧力値が徐々に上昇していることを検知する。続いて、第1ロードリミッタ模擬故障の場合と同様に、制御盤30は、上記の表示制御信号を、ADC補助盤10に送信する。
【0074】
ADC補助盤10が、表示制御信号を受信すると、上記のメータ13Cの指針が徐々に高圧側に振れて、主蒸気の予測圧力値が徐々に上昇する。訓練員は、メータ13Cの指針が示す予測圧力値に基づいて、訓練設備1における模擬発生箇所(ここでは、模擬ロードリミッタ67)を特定する。なお、第2ロードリミッタ模擬故障を解除する場合には、上述した第1ロードリミッタ模擬故障を解除する場合と同様に、操作者が、リミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチSW14Eをオフ状態に切り替える。これにより、第1ロードリミッタ模擬故障を解除する場合と同様に、上述した駆動信号の設定値が正常範囲に収まるように制御する状態に戻る。このため、予測発電機出力の値が、所定の許容値以内になるように制御される。
【0075】
なお、上述した第2ロードリミッタ模擬故障と同様な故障が、火力発電所に設置されたロードリミッタに生じた場合には、火力発電所に設置された操作盤における主蒸気の圧力値を示すメータの指針が徐々に高圧側に振れる。
【0076】
<本実施形態の効果>
本実施形態の訓練設備1では、ADC補助盤10が、各模擬差動トランス61、65と、各模擬制御モータ63、68と、模擬ロードリミッタ67との内から少なくとも一つに対し、模擬故障を発生させることが可能である。
そのため、蒸気タービン調速装置を備えた発電所の運転員(訓練員)に対し、各模擬差動トランス61、65と、各模擬制御モータ63、68と、模擬ロードリミッタ67との内の少なくとも一つに発生した模擬故障に対処させることにより、故障原因を探り当てる技術を習得させることができる。これにより、故障原因を探り当てる技術の習得を通じ、実際の調速装置の故障復旧技術の向上に役立てることができる。
【0077】
また、操作者の操作に応じ、模擬故障選択指示部14によって、各模擬差動トランス61、65と、各模擬制御モータ63、68と、模擬ロードリミッタ67との内から少なくとも一つに対し、模擬故障を発生させることを選択して指示することにより、火力発電所に設置された実際の差動トランスの故障を模擬した故障、実際の制御モータ故障を模擬した故障、実施のロードリミッタの故障を模擬した故障の内から、任意の模擬故障を発生させることを選択することができる。
【0078】
さらに、操作者が、模擬断線故障第1選択指示スイッチ14B及び模擬故障選択確認スイッチSW14Fを操作することにより、交流電源から第1模擬差動トランス61に対する給電経路が開放されるため、第1模擬差動トランス61に交流電圧vddを供給することを停止させることができる。これにより、第1模擬差動トランス61が断線した状態と同一の状態を作り出すことができ、第1模擬差動トランス61が断線することを模擬した故障を発生させることができる。
一方、操作者が、模擬断線故障第3選択指示スイッチSW14H及び模擬故障選択確認スイッチSW14Fを操作することにより、交流電源から第2模擬差動トランス65に対する給電経路が開放されるため、第2模擬差動トランス65に交流電圧vddを供給することを停止させることができる。これにより、第2模擬差動トランス65が断線した状態と同一の状態を作り出すことができ、第2模擬差動トランス65が断線することを模擬した故障を発生させることができる。
【0079】
加えて、操作者が、第1模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14A及び模擬故障選択確認スイッチSW14Fを操作することにより、第1模擬制御モータ63へ通電する電流を制限する抵抗素子R1に、該第1模擬制御モータ63を接続するため、第1模擬制御モータ63が正常な状態の場合とは異なり、第1模擬制御モータ63の回転数が低下する状態を作り出すことができる。このため、第1模擬制御モータ63の回転数が低下することに伴って、第1模擬制御モータ63が故障することを模擬した状態を作り出すことができる。
一方、第2模擬制御モータ故障選択指示スイッチSW14D及び模擬故障選択確認スイッチSW14Fを操作することにより、第2模擬制御モータ68へ通電する電流を制限する抵抗素子R2に、該第2模擬制御モータ68を接続するため、第2模擬制御モータ68が正常な状態の場合とは異なり、第2模擬制御モータ68の回転数が低下する状態を作り出すことができる。このため、第2模擬制御モータ68の回転数が低下することに伴って、第2模擬制御モータ68が故障することを模擬した状態を作り出すことができる。
【0080】
さらに加えて、操作者が、リミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチSW14E及びリミッタ設定値下降制御信号送信指示確認スイッチSW14Gを操作することにより、ADC補助盤10が備えるワンショットパルス発生回路が、模擬ロードリミッタ67に、第1及び第2ロードリミッタ模擬故障を発生させる第1及び第2リミッタ設定値下降制御信号を送信する。このため、操作者が、任意のタイミングでリミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチSW14E及びリミッタ設定値下降制御信号送信指示確認スイッチSW14Gを操作することにより、該任意のタイミングにおいて、模擬ロードリミッタ67が故障したことを模擬した状態を作り出すことができる。
【0081】
また、上記の第1リミッタ設定値下降制御信号の設定値は、模擬補助パイロット弁66の駆動信号の下限設定値を下回る値に設定されているため、該第1リミッタ設定値下降制御信号を用いた制御によって、模擬ロードリミッタ67は、上述したように、模擬蒸気加減弁64を、閉弁方向に急激に絞り込む。このため、模擬蒸気加減弁64が閉弁方向へ急激に絞り込まれることに伴って、火力発電所に設置された実際の蒸気タービンに供給される主蒸気の流通路の径が狭まる状態を模擬し、主蒸気圧力が急激に上昇することを模擬した状態を作り出すことができる。
【0082】
さらに、上記の第2リミッタ設定値下降制御信号の設定値は、模擬補助パイロット弁66の駆動信号の下限設定値よりもわずかに高い値に設定されているため、該第2リミッタ設定値下降制御信号を用いた制御によって、模擬ロードリミッタ67は、上述したように、第1ロードリミッタ模擬故障の場合よりも緩やかな速度で、模擬蒸気加減弁64を、閉弁方向に絞り込む。このため、第2ロードリミッタ模擬故障の場合には、第1ロードリミッタ模擬故障の場合よりも緩やかな速度で、模擬蒸気加減弁64が閉弁方向に絞り込まれることに伴って、火力発電所に設置された実際の蒸気タービンに供給される主蒸気の流通路の径が狭まる状態を模擬し、主蒸気圧力が徐々に上昇することを模擬した状態を作り出すことができる。
【0083】
加えて、ADC補助盤10の小窓12Aを点灯させることにより、第2模擬差動トランス65の模擬断線故障に基づいて取得可能な「ADC異常」の表示を訓練員に通知可能としている。この「ADC異常」の表示は、火力発電所に設置された差動トランスに断線故障が発生した場合に取得可能な故障情報(ADC異常)と同一の情報である。このため、小窓12Aには、火力発電所で差動トランスの断線故障が発生した場合に取得可能な故障情報を表示することが可能になり、発電所の運転員(訓練員)に対し、該小窓12Aを通じて故障情報(ADC異常)を把握させることにより、故障原因(差動トランスの断線)を探り当てる教育や訓練の効果を高めることができる。
また、ADC補助盤10の小窓12A又は小窓12Bを点灯させることにより、第1模擬制御モータ63の模擬故障に基づいて取得可能な「ADC異常」の表示又は第2模擬制御モータ68の模擬故障に基づいて取得可能な「余裕値小」の表示を訓練員に通知可能としている。この「ADC異常」の表示や「余裕値小」の表示は、火力発電所に設置された制御モータが故障した場合に取得可能な故障情報(ADC異常、余裕値小)と同一の情報である。このため、小窓12A又は小窓12Bには、火力発電所で制御モータの故障が発生した場合に取得可能な故障情報を表示することが可能になり、訓練員に対し、該小窓12A又は小窓12Bを通じて故障情報(ADC異常、余裕値小)を把握させることにより、故障原因(制御モータの故障)を探り当てる教育や訓練の効果を高めることができる。
さらに、ADC補助盤10の主蒸気の予測圧力値を示すメータ13C又は予測発電機出力の値を示すメータ13Aの各指針を振れさせることにより、ロードリミッタ模擬故障に基づいて取得可能な主蒸気の予測圧力値の上昇や予測発電機出力の値の低下を、訓練員に通知可能としている。この予測圧力値の上昇や予測発電機出力の値の低下は、火力発電所に設置されたロードリミッタに故障が発生した場合に取得可能な故障情報と同一の情報である。このため、メータ13C又はメータ13Aには、火力発電所でロードリミッタの故障が発生した場合に取得可能な故障情報を表示することが可能になり、訓練員に対し、該メータ13C又はメータ13Aの各指針を通じて故障情報(予測圧力値の上昇、予測発電機出力の値の低下)を把握させることにより、故障原因(ロードリミッタの故障)を探り当てる教育や訓練の効果を高めることができる。
【0084】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施することができる。例えば、上記の各電流調整回路70、75では、各抵抗素子R1、R2に代えて、スイッチを設けてもよい。これにより、各模擬制御モータ63、68に電流を供給することを停止させ、各模擬制御モータ63、68の動作を停止させることができる。このため、各模擬制御モータ63、68が故障した状態を模擬することができる。
【0085】
さらに、上述した訓練設備1では、上記の第1ないし第4の模擬故障の内からいずれか一つの模擬故障を発生させる以外にも、第1ないし第4の模擬故障のすべてを同時に発生させるようにしてもよい。また、本訓練設備1は、火力発電所における調速装置の故障を模擬した訓練に限らず、原子力発電所における調速装置の故障を模擬した訓練に適用することも可能である。
加えて、上記のADC補助盤10に、第1ないし第4の模擬故障を任意のタイミングで発生させることを可能とする模擬故障発生プログラムを記憶させ、該模擬故障発生プログラムを実行することにより、第1ないし第4の模擬故障を発生させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態の蒸気タービン調速装置の訓練設備の概略構成図である。
【図2】ADC補助盤の外観図である。
【図3】ADC補助盤に設けられた警報表示部の拡大図である。
【図4】ADC補助盤の模擬故障選択指示部に設けられた各種スイッチの配置図である。
【符号の説明】
【0087】
1・・蒸気タービン調速装置の訓練設備、10・・ADC補助盤、12・・警報表示部、13A〜13F・・メータ、14・・模擬故障選択指示部、61・・第1模擬差動トランス、63・・第1模擬制御モータ、64・・模擬蒸気加減弁、65・・第2模擬差動トランス、67・・模擬ロードリミッタ、68・・第2模擬制御モータ、SW14A・・第1模擬制御モータ故障選択指示スイッチ、SW14B・・模擬断線故障第1選択指示スイッチ、SW14C・・模擬断線故障第2選択指示スイッチ、SW14D・・第2模擬制御モータ故障選択指示スイッチ、SW14E・・リミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチ、SW14F・・模擬故障選択確認スイッチ、SW14G・・リミッタ設定値下降制御信号送信指示確認スイッチ、SW14H・・模擬断線故障第3選択指示スイッチ、SW14I・・模擬断線故障第4選択指示スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンに蒸気を供給する蒸気弁を模擬した模擬蒸気弁と、前記蒸気弁の開度の変化量を検出する差動トランスと同一の構造であって前記模擬蒸気弁の開度の変化量を検出する模擬差動トランスと、前記蒸気弁を駆動する制御モータと同一の構造であって前記制御モータを模擬した模擬制御モータと、前記蒸気タービンと連動する発電機の出力を所定の許容値以内に制限するロードリミッタの機能を備えた模擬ロードリミッタと、を有する蒸気タービン調速装置の訓練設備において、
前記模擬差動トランスと、前記模擬制御モータと、前記模擬ロードリミッタとの内から少なくともいずれか一つに対し模擬故障を発生させる模擬故障発生部を備えることを特徴とする蒸気タービン調速装置の訓練設備。
【請求項2】
前記模擬故障発生部は、操作者の操作に応じ、前記模擬差動トランスと、前記模擬制御モータと、前記模擬ロードリミッタとの内の少なくともいずれか一つに対し前記模擬故障を発生させることを選択して指示する選択指示部を備えることを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン調速装置の訓練設備。
【請求項3】
前記模擬故障発生部は、電源から前記模擬差動トランスに給電する給電経路を開放し前記模擬差動トランスが断線する故障を模擬した模擬断線故障を発生させると共に、
前記選択指示部は、前記模擬断線故障を発生させることを選択して指示する模擬断線故障選択指示スイッチを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気タービン調速装置の訓練設備。
【請求項4】
前記模擬故障発生部は、前記模擬制御モータに供給する電流値を制限する電流制限部に前記模擬制御モータを接続し前記模擬制御モータが故障したことを模擬した模擬制御モータ故障を発生させると共に、
前記選択指示部は、前記模擬制御モータ故障を発生させることを選択して指示する模擬制御モータ故障選択指示スイッチを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の蒸気タービン調速装置の訓練設備。
【請求項5】
前記模擬故障発生部は、前記模擬ロードリミッタの設定値を所定の値に降下させたロードリミッタ模擬故障を発生させるリミッタ設定値下降制御信号を生成するリミッタ設定値下降制御信号生成部を備え、該リミッタ設定値下降制御信号生成部は、前記模擬ロードリミッタに前記リミッタ設定値下降制御信号を送信すると共に、
前記選択指示部は、前記リミッタ設定値下降制御信号生成部に、前記リミッタ設定値下降制御信号を生成し該リミッタ設定値下降制御信号を前記模擬ロードリミッタに送信することを選択して指示するリミッタ設定値下降制御信号送信指示スイッチを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の蒸気タービン調速装置の訓練設備。
【請求項6】
前記リミッタ設定値下降制御信号は、前記模擬蒸気弁の開度を下降させる制御を行う開度下降制御信号であることを特徴とする請求項5に記載の蒸気タービン調速装置の訓練設備。
【請求項7】
前記模擬故障発生部は、前記模擬断線故障に基づいて取得可能な第1模擬故障情報と、前記模擬制御モータ故障に基づいて取得可能な第2模擬故障情報と、前記ロードリミッタ模擬故障に基づいて取得可能な第3模擬故障情報とを、それぞれ表示可能な表示部を備え、
前記第1模擬故障情報ないし前記第3模擬故障情報は、前記差動トランスの断線故障に基づいて取得可能な情報と、前記制御モータの故障に基づいて取得可能な情報と、前記ロードリミッタの故障に基づいて取得可能な情報とそれぞれ同一の情報であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の蒸気タービン調速装置の訓練設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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