説明

蒸気滅菌装置

【課題】 滅菌槽や、加熱槽を備えている場合は加熱槽の圧力破壊防止を確実に行い得る蒸気滅菌装置を得る。
【解決手段】 滅菌槽1に給蒸遮断弁2を設けた給蒸管3と排蒸遮断弁4を設けた排蒸管5が接続され、前記給蒸遮断弁2を開にして給蒸管3から滅菌槽1内へ導入された蒸気により内部に収容した被滅菌物の滅菌を行う蒸気滅菌装置において、前記滅菌槽1内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチ6を設け、該磁力作動スイッチ6の入力を前記給蒸遮断弁2の電気回路及び/又は排蒸遮断弁4の電気回路と直結させ、滅菌槽1内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチ6の作動により前記給蒸遮断弁2が閉じ及び/又は排蒸遮断弁4が開くようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌槽内へ蒸気を導入して内部に収容した被滅菌物の滅菌を行う蒸気滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院等で治療に用いられたメスや鉗子等の被滅菌物を蒸気で滅菌する蒸気滅菌装置が知られている。蒸気滅菌とは、蒸気が凝縮する際に放出される熱を利用して滅菌を行うものであり、蒸気滅菌装置は、被滅菌物を収容した滅菌槽へ蒸気を導入して加圧し、所定の温度とした状態を一定時間保ち、被滅菌物の滅菌を行っている。
【0003】
また、蒸気滅菌装置の多くは、滅菌効果を高めると共に滅菌処理後の被滅菌物の濡れを防止するために、滅菌槽とこの滅菌槽内の被滅菌物を所定温度まで予熱した後、滅菌作業を実施している。このような蒸気滅菌装置では、滅菌槽と被滅菌物との予熱に関しては、被滅菌物を収容する滅菌槽の周囲を覆う加熱槽を備えた構造となっており、加熱槽内へ蒸気を導入することによって滅菌槽を外側から加熱し、運転開始時においては滅菌槽内を所定温度まで昇温させ、運転中においてこの温度を維持している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような蒸気滅菌装置は、被滅菌物を収容した滅菌槽へ蒸気を導入して加圧し、滅菌槽内を所定の温度とし、また、加熱槽内へ蒸気を導入して加圧し、加熱槽内を所定の温度として滅菌槽を外側から加熱しているので、滅菌槽や加熱槽の圧力破壊を常に注意する必要があり、蒸気滅菌装置を安全に使用するために、滅菌槽や加熱槽の圧力破壊防止が重要なポイントとなっている。
【0005】
滅菌槽や加熱槽の圧力破壊は、槽内圧力が異常に上昇することに起因するものであり、滅菌槽や加熱槽の圧力破壊を防止する手段として、滅菌槽や加熱槽内に温度センサを設けておき、温度センサにより検出した槽内の温度信号をマイクロコンピュータに入力して判断し、滅菌槽や加熱槽の圧力が異常であると判断すると滅菌槽や加熱槽内へ蒸気を供給する弁を閉じて、滅菌槽や加熱槽の圧力の上昇を防止することが考えられる。
【特許文献1】特開2001−190642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記の滅菌槽や加熱槽の圧力破壊を防止する手段は、温度センサがフェールセーフなものとなっておらず、また、前記温度センサの信号をマイクロコンピュータにて判断して滅菌槽や加熱槽内へ蒸気を供給する弁を制御するようになっているので、前記マイクロコンピュータが暴走したり、誤動作をした場合には、安全性が確保できないといった問題があった。
【0007】
本発明の目的は、滅菌槽や、加熱槽を備えている場合は加熱槽の圧力破壊防止を確実に行い得る蒸気滅菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明の構成を説明すると、下記の通りである。
請求項1に記載の発明は、滅菌槽に給蒸遮断弁を設けた給蒸管と排蒸遮断弁を設けた排蒸管が接続され、前記給蒸遮断弁を開にして給蒸管から滅菌槽内へ導入された蒸気により内部に収容した被滅菌物の滅菌を行う蒸気滅菌装置において、前記滅菌槽内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチを設け、該磁力作動スイッチの入力を前記給蒸遮断弁の電気回路及び/又は排蒸遮断弁の電気回路と直結させ、滅菌槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記給蒸遮断弁が閉じ及び/又は排蒸遮断弁が開くようにしたことを特徴とする。
【0009】
かかる構成から、滅菌槽の許容最高圧力に対応する所定温度をキュリー点とする磁力作動スイッチを使用すれば、滅菌槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記給蒸遮断弁が閉じて滅菌槽内への蒸気の導入が停止し、及び/又は排蒸遮断弁が開いて滅菌槽内の蒸気が排出されるので、滅菌槽内の圧力上昇を停止させることができ、これにより滅菌槽の圧力破壊を防止することができる。そして、前記磁力作動スイッチの作動は、滅菌槽の許容最高圧力に対応する所定温度にて磁力が消滅して磁力作動スイッチが切れることになり、電気が流れなくなるので、フェールセーフなスイッチとなり、磁力作動スイッチの入力を前記給蒸遮断弁の電気回路又は排蒸遮断弁の電気回路に直結させているので、誤動作のおそれが無く、滅菌槽の圧力破壊防止を確実に行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、被滅菌物を収容する滅菌槽とこの滅菌槽を覆い加熱する加熱槽を備え、前記滅菌槽に滅菌槽給蒸遮断弁を備えた滅菌槽給蒸管と滅菌槽排蒸遮断弁を備えた滅菌槽排蒸管が接続され、前記加熱槽に加熱槽給蒸遮断弁を備えた加熱槽給蒸管と加熱槽排蒸遮断弁を備えた加熱槽排蒸管が接続され、前記加熱槽給蒸遮断弁を開にして加熱槽給蒸管から加熱槽内へ導入された蒸気により滅菌槽を加熱し、前記滅菌槽給蒸遮断弁を開にして滅菌槽給蒸管から滅菌槽内へ導入された蒸気により滅菌槽内に収容した被滅菌物の滅菌を行う蒸気滅菌装置において、前記滅菌槽内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチを設け、該磁力作動スイッチの入力を前記滅菌槽給蒸遮断弁の電気回路及び/又は滅菌槽排蒸遮断弁の電気回路と直結させ、滅菌槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記滅菌槽給蒸遮断弁が閉じ及び/又は滅菌槽排蒸遮断弁が開くようにし、また、前記加熱槽内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチを設け、該磁力作動スイッチの入力を前記加熱槽給蒸遮断弁の電気回路及び/又は加熱槽排蒸遮断弁の電気回路と直結させ、加熱槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記加熱槽給蒸遮断弁が閉じ及び/又は加熱槽排蒸遮断弁が開くようにしたことを特徴とする。
【0011】
かかる構成から、滅菌槽及び加熱槽の許容最高圧力に対応する所定温度をキュリー点とする磁力作動スイッチを使用すれば、滅菌槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により、前記滅菌槽給蒸遮断弁が閉じて滅菌槽内への蒸気の導入が停止し、及び/又は滅菌槽排蒸遮断弁が開いて滅菌槽内の蒸気が排出されるので、滅菌槽内の圧力上昇を停止させることができ、また、加熱槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により、前記加熱槽給蒸遮断弁が閉じて加熱槽内への蒸気の導入が停止し、及び/又は加熱槽排蒸遮断弁が開いて加熱槽内の蒸気が排出されるので、加熱槽内の圧力上昇を停止させることができ、これにより滅菌槽及び加熱槽の圧力破壊を防止することができる。そして、前記磁力作動スイッチの作動は、滅菌槽及び加熱槽の許容最高圧力に対応する所定温度にて磁力が消滅して磁力作動スイッチが切れることになり、電気が流れなくなるので、フェールセーフなスイッチとなり、磁力作動スイッチの入力を前記給蒸遮断弁の電気回路及び又は排蒸遮断弁の電気回路に直結させているので、誤動作のおそれが無く、滅菌槽及び加熱槽の圧力破壊防止を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明に係る蒸気滅菌装置によれば、滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチを設け、該磁力作動スイッチの入力を前記給蒸遮断弁の電気回路及び/又は排蒸遮断弁の電気回路と直結させ、滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記給蒸遮断弁が閉じ及び/又は排蒸遮断弁が開くようにしたので、滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽の許容最高圧力に対応する所定温度をキュリー点とする磁力作動スイッチを使用すれば、滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記給蒸遮断弁が閉じて滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽内への蒸気の導入が停止し、及び/又は排蒸遮断弁が開いて滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽内の蒸気が排出されるので、滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽内の圧力上昇を停止させることができ、これにより滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽の圧力破壊を防止することができる。そして、前記磁力作動スイッチの作動は、滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽の許容最高圧力に対応する所定温度にて磁力が消滅して磁力作動スイッチが切れることになり、電気が流れなくなるので、フェールセーフなスイッチとなり、磁力作動スイッチの入力を前記給蒸遮断弁の電気回路及び/又は排蒸遮断弁の電気回路と直結させているので、誤動作のおそれが無く、滅菌槽又は滅菌槽及び加熱槽の圧力破壊防止を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る蒸気滅菌装置を実施するための最良の形態の一例を詳細に説明する。
【0014】
図1、図2は、本発明に係る蒸気滅菌装置の実施の形態の第1例であり、図1は本例の蒸気滅菌装置を示す概略構成図、図2は本例で用いる磁力作動スイッチの一例を示す縦断面図である。
【0015】
本例の蒸気滅菌装置では、滅菌槽1に、給蒸遮断弁2を設けた給蒸管3と排蒸遮断弁4を設けた排蒸管5が接続されている。そして、前記給蒸遮断弁2を開とすることにより、ボイラ(図示せず)により生成された蒸気を給蒸管3から滅菌槽1内へ導入し、給蒸遮断弁2を閉とすることにより滅菌槽1内への蒸気の導入を遮断するようになっている、また前記排蒸遮断弁4を開とすることにより、滅菌槽1内へ導入した蒸気を排蒸管5から排出するようになっている。
【0016】
前記滅菌槽1内には、滅菌槽1内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチ6が設けられている。図2は本例で用いられる磁力作動スイッチ6の一例を示す縦断面図である。この磁力作動スイッチ6は、ガラス管7に封入されたリードスイッチ8と、その周囲に配置されキュリー温度にて磁性が変化する筒状の感温磁性体9と、同じくリードスイッチ8の周囲に配置される筒状の永久磁石10とから構成されている。
【0017】
このように構成された磁力作動スイッチ6は、感温磁性体9のキュリー点が滅菌槽1において許容される最高圧力に対応する所定温度に設定されており、滅菌槽1内の温度が前記設定温度以上となると、感温磁性体9のキュリー点以上となって磁力が消失し、これに伴いリードスイッチ8が切れるように構成されている。リードスイッチ8にはリード線11,12が接続されている。ガラス管7、リード線11,12は耐熱性絶縁材13で覆われている。
【0018】
前記磁力作動スイッチ6は前記給蒸遮断弁2の電気回路及び排蒸遮断弁4の電気回路に設けてある制御回路14と直結しており、前記滅菌槽1内の温度がキュリー点を超えたとき、感温磁性体9の磁力が消失し、前記磁力作動スイッチ6が作動してOFFとなり、制御回路14により前記給蒸遮断弁2が閉じ又は排蒸遮断弁4が開き、又は、給蒸遮断弁2が閉じると共に排蒸遮断弁4が開くようになっている。
【0019】
また、前記滅菌槽1には、大気圧近傍の飽和温度に対して検知できる温度センサ15が設けられており、この温度センサ15の信号が前記制御回路14に与えられ、滅菌槽1の扉(図示せず)を開ける際の0圧の確認を該制御回路14で行って、扉を開ける際の許可の指示を出すようになっている。
【0020】
このように構成された蒸気滅菌装置では、滅菌槽1内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチ6が作動し、磁力作動スイッチ6からの信号を受けた制御回路14の制御により、前記給蒸遮断弁2が閉じ、及び/又は排蒸遮断弁4が開く。前記給蒸遮断弁2が閉じることにより滅菌槽1内への蒸気の導入が停止し、排蒸遮断弁4が開くことにより滅菌槽1内の蒸気が排出されるので、滅菌槽1内の圧力上昇を停止させることができ、これにより滅菌槽1の圧力破壊を防止することができる。
【0021】
このような給蒸遮断弁2、排蒸遮断弁4の動作は前記制御回路14により制御される。これらの動作のうち、どの動作を選択するかは、特に限定されないが、滅菌槽1内の温度がキュリー点を超えたとき、前記給蒸遮断弁2が閉じると共に排蒸遮断弁4が開くように動作させると、より一層安全性の高いものとなる。
【0022】
そして、前記磁力作動スイッチ6の作動は、滅菌槽1の許容最高圧力と対応する所定温度にて磁力が消滅して磁力作動スイッチが切れることになり、電気が流れなくなるので、フェールセーフなスイッチとなり、磁力作動スイッチ6の入力を前記給蒸遮断弁2の電気回路及び排蒸遮断弁4の電気回路に設けてある制御回路14と直結させているので、誤動作のおそれが無く、滅菌槽1の圧力破壊防止を確実に行うことができる。
【0023】
なお、本例では、前記磁力作動スイッチ6が滅菌槽1内に設けられているが、これに限られるものではなく、滅菌槽1に接続される給蒸管3内の給蒸遮断弁2の下流側に設けられていてもよく、又は、排蒸管5内の排蒸遮断弁4の上流側に設けられていてもよい。
【0024】
図3は、本発明に係る蒸気滅菌装置の実施の形態の第2例の概略構成図である。
【0025】
本例の蒸気滅菌装置では、被滅菌物を収容する滅菌槽16と、この滅菌槽16を覆い加熱する加熱槽17を備えている。前記滅菌槽16には、滅菌槽給蒸遮断弁18を備えた滅菌槽給蒸管19と滅菌槽排蒸遮断弁20を備えた滅菌槽排蒸管21が接続されている。
【0026】
また、前記加熱槽17には、加熱槽給蒸遮断弁22を備えた加熱槽給蒸管23と加熱槽排蒸遮断弁24を備えた加熱槽排蒸管25が接続されている。
【0027】
そして、前記滅菌槽給蒸遮断弁18を開にすることにより、ボイラ(図示せず)により生成された蒸気を滅菌槽給蒸管19から滅菌槽16内へ導入し、滅菌槽給蒸遮断弁18を閉とすることにより滅菌槽16内への蒸気の導入を遮断するようになっている、また前記滅菌槽排蒸遮断弁20を開とすることにより、滅菌槽16内へ導入した蒸気を滅菌槽排蒸管21から排出するようになっている。
【0028】
また、前記加熱槽給蒸遮断弁22を開とすることにより、ボイラ(図示せず)により生成された蒸気を加熱槽給蒸管23から加熱槽17内へ導入し、加熱槽給蒸遮断弁22を閉とすることにより加熱槽17内への蒸気の導入を遮断するようになっている、また前記加熱槽排蒸遮断弁24を開とすることにより、加熱槽17内へ導入した蒸気を加熱槽排蒸管25から排出するようになっている。
【0029】
前記滅菌槽16及び加熱槽17内には、滅菌槽16及び加熱槽17内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチ26,27が設けられている。本例で用いられる磁力作動スイッチ26,27は、前記第1例で用いられている磁力作動スイッチ6と同様の構成となっている。前記磁力作動スイッチ26は、感温磁性体9のキュリー点が滅菌槽16において許容される最高圧力と対応する所定温度に設定されており、また、前記磁力作動スイッチ27は、感温磁性体9のキュリー点が加熱槽17において許容される最高圧力と対応する所定温度に設定されている。
【0030】
前記滅菌槽16内に設けた磁力作動スイッチ26は、前記滅菌槽給蒸遮断弁18の電気回路及び/又は滅菌槽排蒸遮断弁20の電気回路に設けてある制御回路28と直結しており、前記滅菌槽16内の温度がキュリー点を超えたとき、感温磁性体9の磁力が消失し、前記磁力作動スイッチ26が作動してOFFとなり、制御回路28により前記滅菌槽給蒸遮断弁18が閉じ又は滅菌槽排蒸遮断弁20が開き、又は、滅菌槽給蒸遮断弁18が閉じると共に滅菌槽排蒸遮断弁20が開くようになっている。
【0031】
また、前記加熱槽17内に設けた磁力作動スイッチ27は、前記加熱槽給蒸遮断弁22の電気回路及び/又は加熱槽排蒸遮断弁24の電気回路に設けてある制御回路28と直結しており、前記加熱槽17内の温度がキュリー点を超えたとき、感温磁性体9の磁力が消失し、前記磁力作動スイッチ27が作動してOFFとなり、制御回路28により前記加熱槽給蒸遮断弁22が閉じ又は加熱槽排蒸遮断弁24が開き、又は、加熱槽給蒸遮断弁22が閉じると共に滅菌槽排蒸遮断弁20が開くようになっている。
【0032】
また、前記滅菌槽16には、第1例と同様に、大気圧近傍の飽和温度に対して検知できる温度センサ29が設けられており、この温度センサ29の信号が前記制御回路28に与えられ、滅菌槽16の扉(図示せず)を開ける際の0圧の確認を該制御回路28で行って、扉を開ける際の許可の指示を出すようになっている。
【0033】
このように構成された蒸気滅菌装置では、滅菌槽16内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチ26が作動し、磁力作動スイッチ26からの信号を受けた制御回路28の制御により、前記滅菌槽給蒸遮断弁18が閉じ、及び/又は滅菌槽排蒸遮断弁20が開く。前記滅菌槽給蒸遮断弁18が閉じることにより滅菌槽16内への蒸気の導入が停止し、滅菌槽排蒸遮断弁20が開くことにより滅菌槽16内の蒸気が排出されるので、滅菌槽16内の圧力上昇を停止させることができ、これにより滅菌槽16の圧力破壊を防止することができる。
【0034】
このような滅菌槽給蒸遮断弁18、滅菌槽排蒸遮断弁20の動作は前記制御回路28により制御される。これらの動作のうち、どの動作を選択するかは、特に限定されないが、滅菌槽16内の温度がキュリー点を超えたとき、前記滅菌槽給蒸遮断弁18が閉じると共に滅菌槽排蒸遮断弁20が開くように動作させると、より一層安全性の高いものとなる。
【0035】
また、加熱槽17内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチ27が作動し、磁力作動スイッチ27からの信号を受けた制御回路28の制御により、前記加熱槽給蒸遮断弁22が閉じ、及び/又は加熱槽排蒸遮断弁24が開く。前記加熱槽給蒸遮断弁22が閉じることにより加熱槽17内への蒸気の導入が停止し、加熱槽排蒸遮断弁22が開くことにより加熱槽17内の蒸気が排出されるので、加熱槽17内の圧力上昇を停止させることができ、これにより加熱槽17の圧力破壊を防止することができる。
【0036】
このような加熱槽給蒸遮断弁22、加熱槽排蒸遮断弁24の動作は前記制御回路28により制御される。これらの動作のうち、どの動作を選択するかは、特に限定されないが、加熱槽17内の温度がキュリー点を超えたとき、前記加熱槽給蒸遮断弁22が閉じると共に加熱槽排蒸遮断弁24が開くように動作させると、より一層安全性の高いものとなる。
【0037】
なお、本例では、磁力作動スイッチ26は、前記滅菌槽16内に設けられているが、これに限られるものではなく、滅菌槽16に接続される滅菌槽給蒸管19内の滅菌槽給蒸遮断弁18の下流側に設けられていてもよく、又は、滅菌槽排蒸管21内の滅菌槽排蒸遮断弁20の上流側に設けられていてもよい。
【0038】
また、磁力作動スイッチ27は、加熱槽17内に設けられているが、これに限られるものではなく、加熱槽17に接続される加熱槽給蒸管23内の加熱槽給蒸遮断弁22の下流側に設けられていてもよく、又は、加熱槽排蒸管25内の加熱槽排蒸遮断弁24の上流側に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る蒸気滅菌装置の実施の形態の第1例を示す概略構成図。
【図2】本発明で用いる磁力作動スイッチの一例を示す縦断面図。
【図3】本発明に係る蒸気滅菌装置の実施の形態の第2例を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0040】
1 滅菌槽
2 給蒸遮断弁
3 給蒸管
4 排蒸遮断弁
5 排蒸管
6 磁力作動スイッチ
7 ガラス管
8 リードスイッチ
9 感温磁性体
10 永久磁石
11 リード線
12 リード線
13 耐熱性絶縁材
14 制御回路
15 温度センサ
16 滅菌槽
17 加熱槽
18 滅菌槽給蒸遮断弁
19 滅菌槽給蒸管
20 滅菌槽排蒸遮断弁
21 滅菌槽排蒸管
22 加熱槽給蒸遮断弁
23 加熱槽給蒸管
24 加熱槽排蒸遮断弁
25 加熱槽排蒸管
26 磁力作動スイッチ
27 磁力作動スイッチ
28 制御回路
29 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌槽に給蒸遮断弁を設けた給蒸管と排蒸遮断弁を設けた排蒸管が接続され、前記給蒸遮断弁を開にして給蒸管から滅菌槽内へ導入された蒸気により内部に収容した被滅菌物の滅菌を行う蒸気滅菌装置において、
前記滅菌槽内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチを設け、該磁力作動スイッチの入力を前記給蒸遮断弁の電気回路及び/又は排蒸遮断弁の電気回路と直結させ、滅菌槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記給蒸遮断弁が閉じ及び/又は排蒸遮断弁が開くようにしたことを特徴とする蒸気滅菌装置。
【請求項2】
被滅菌物を収容する滅菌槽とこの滅菌槽を覆い加熱する加熱槽を備え、前記滅菌槽に滅菌槽給蒸遮断弁を備えた滅菌槽給蒸管と滅菌槽排蒸遮断弁を備えた滅菌槽排蒸管が接続され、前記加熱槽に加熱槽給蒸遮断弁を備えた加熱槽給蒸管と加熱槽排蒸遮断弁を備えた加熱槽排蒸管が接続され、前記加熱槽給蒸遮断弁を開にして加熱槽給蒸管から加熱槽内へ導入された蒸気により滅菌槽を加熱し、前記滅菌槽給蒸遮断弁を開にして滅菌槽給蒸管から滅菌槽内へ導入された蒸気により滅菌槽内に収容した被滅菌物の滅菌を行う蒸気滅菌装置において、
前記滅菌槽内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチを設け、該磁力作動スイッチの入力を前記滅菌槽給蒸遮断弁の電気回路及び/又は滅菌槽排蒸遮断弁の電気回路と直結させ、滅菌槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記滅菌槽給蒸遮断弁が閉じ及び/又は滅菌槽排蒸遮断弁が開くようにし、
また、前記加熱槽内の温度がキュリー点を超えると開く磁力作動スイッチを設け、該磁力作動スイッチの入力を前記加熱槽給蒸遮断弁の電気回路及び/又は加熱槽排蒸遮断弁の電気回路と直結させ、加熱槽内の温度がキュリー点を超えたとき、前記磁力作動スイッチの作動により前記加熱槽給蒸遮断弁が閉じ及び/又は加熱槽排蒸遮断弁が開くようにしたことを特徴とする蒸気滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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