説明

蒸気発生時の窒素酸化物生成を減少させる方法

本明細書では蒸気発生方法を開示し、この方法は、燃料を無炎反応(flameless reaction)で酸化させて熱を発生させそして前記反応で発生させた熱を用いて水を蒸気に変えることを含んで成る。1つの態様では、前記反応に由来する燃焼排気の中に存在するNOの量を約10PPMv未満にする。1つの態様では、前記反応温度を約2600度F(1430℃)未満にする。1つの態様における本方法は、更に、NOの生成が最小限になるように反応温度を制御することも含んで成る。1つの態様において、前記反応温度の制御は、更に、1つ以上のプロセス変数(process variables)を感知しそしてその感知したプロセス変数に応答させてプロセス制御装置を調整することも含んで成る。本明細書ではまた蒸気発生装置も開示し、この蒸気発生装置は、燃料を無炎反応で酸化させて熱を発生させる反応ゾーンおよび前記反応に由来する熱によって水を蒸気に変える加熱ゾーンを含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は蒸気発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気はいろいろな産業用途、例えば石油または化学プラントなどで有用である。蒸気の発生は伝統的にボイラーを用いて行われており、その場合、水を蒸気に変えるに必要な熱を供給する目的で燃料を燃焼させている。環境規制は燃焼プロセスおよび装置、例えば蒸気ボイラーなどに由来する窒素酸化物(NO)、例えば一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO)などの排出量を減少させることを要求している。従って、燃焼排気に含まれるNO排気量を減少、特に約10PPMv(parts per million by volume)未満の超低濃度にまで減少させるように改良を受けさせた燃焼プロセスおよび装置の必要性が存在する。
【発明の開示】
【0003】
本明細書では蒸気発生方法を開示し、この方法は、燃料を無炎反応(flameless reaction)で酸化させて熱を発生させそして前記反応で発生させた熱を用いて水を蒸気に変えることを含んで成る。1つの態様では、前記反応に由来する燃焼排気の中に存在するNOの量を約10PPMv未満にする。1つの態様では、前記反応温度を約2600度F(1430℃)未満にする。1つの態様における本方法は、更に、NOの生成量が最小限になるように反応温度を制御することも含んで成る。1つの態様において、前記反応温度の制御は、更に、1つ以上のプロセス変数(process variables)を感知しそしてその感知したプロセス変数に応答させてプロセス制御装置を調整することも含んで成る。
【0004】
本明細書ではまた蒸気発生装置も開示し、この蒸気発生装置は、燃料を無炎反応で酸化させて熱を発生させる反応ゾーンおよび前記反応に由来する熱によって水を蒸気に変える加熱ゾーンを含んで成る。1つの態様における本蒸気発生装置は、更に、NOの生成量が最小限になるように反応温度を制御する手段も含んで成る。
(好適な態様の詳細な説明)
加熱装置の説明
図1を参照して、無炎分配燃焼(flameless distributed combusion)(FDC)加熱装置10をこれがプロセス流体(process fluid)20と接触している状態に置く。加熱装置10には、燃料をこれが無炎酸化反応を起こすように本加熱装置内に分配させかつ計量する燃料分配装置、例えば1個以上の多孔質管15、パイプ、または他の構造的に限定されている流路、通路などが組み込まれている。多孔質管15には、燃料計量用開口部または通路(即ち孔)が含まれており、そして所望の燃料計量が達成されるように孔の数、大きさおよび配置を変えてもよい。加熱装置10には、更に、前記燃料分配装置(例えば多孔質管)と連結していて前記燃料を受け取りかつそれが無炎反応を起こすに適した形態の反応ゾーン5も1個以上含まれている。1つの態様では、前記無炎酸化反応に触媒作用を及ぼす酸化用触媒を前記反応ゾーンの中に配置してもよい。加熱装置10には、更に、前記酸化反応で発生した熱でプロセス流体を加熱する加熱ゾーン22も1個以上含まれている。加熱ゾーン22は、加熱装置本体と一体になっていてもよい(即ち、プロセス流体が壁12の中に位置する加熱装置の中を通る)か或は加熱装置が壁12の中のプロセス流れ(process stream)または槽の中に直接位置する態様では加熱装置に隣接して位置していてもよい。
【0005】
図1に示す態様では、反応ゾーンと燃料分配装置をそれぞれ殻と管の形態に配置するが、この場合には、外側殻壁13と内側殻壁14で限定されている反応ゾーンの中に多数の多孔質管15を位置させる。別法として、反応ゾーンと燃料分配装置をそれぞれ管の中の管(例えば同心、オフセットなど)形態に配置してもよく、この場合には、外側管壁13および14で限定されている反応ゾーンの中に多数の多孔質内部管15を位置させる。そのような多孔質管がこれらの外側表面に1種以上の酸化用触媒を担持するようにしてもよい。1つの態様では、壁12で示すように、前記加熱ゾーンを本加熱装置の中に一体化させて、プロセス流体20が矢印17で示すように本加熱装置の本体の中を流れるようにする。破線矢印17は、本加熱装置の形態をプロセス流体20が殻および/または管形態の内側部分の中を流れるような形態にしてもよいことを示している。その上、プロセス流体20の流れは酸化反応に参与または由来する成分(例えば反応体、例えば燃料および空気など、および反応生成物、例えば燃焼排気など)の流れに対して並流、向流または交差流であってもよい。そのような態様では、燃料分配装置と反応ゾーンを含んで成る内側殻または同心管を取り囲んでいる外側殻を壁12が構成するようにする。代替態様では壁12がプロセス流れまたはタンクを限定しており、その場合には、本加熱装置をその中に位置させる。
【0006】
本加熱装置に余熱ゾーンを含めてもよく、その余熱ゾーンの中で1種以上の反応体、例えば空気などをそれが反応ゾーンに入る前に予め加熱しておく。例えば、空気を余熱ゾーンの中で前以て加熱しておく目的で、前記反応で生じた燃焼排気を用いてもよい。1つの態様では、そのような余熱ゾーンを殻と管の加熱装置の中に一体化してもよく、例えば前記余熱ゾーンを前記反応ゾーンの上流に位置させることなどで一体化させてもよくそして前記反応で生じた燃焼排気を用いて1種以上の反応体をこれらが前記余熱ゾーンから反応ゾーンに向かって流れる時に前以て加熱しておいてもよい。本加熱装置に1種以上のセンサーを含めてもよく、例えばNOおよび/または温度センサーを燃焼排気出口30の中に位置させてもよく、そしてそのようなセンサーを1種以上のプロセス制御装置(process controllers)とつなげて本加熱装置の操作を制御してもよい。前記燃料分配装置、反応ゾーンおよび加熱ゾーンに代替構造形態、例えば板型加熱装置の形態を持たせることも可能であり、その場合には、多数の成形および/または多孔質板が燃料分配装置および1個以上の反応ゾーンを形成するようにする。いろいろなFDC加熱装置構造形態の例は、米国特許第5,255,742号、5,297,626号、5,392,854号および5,404,952号に示されている殻および/または管構造配置、および米国特許第6,274,101号に示されている板型構造配置であり、これらは各々引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
加熱装置操作の説明
加熱装置10の中で燃料の無炎酸化が起こることで熱が発生し、その熱をプロセス流体に伝達させて、それを加熱する。より具体的には、燃料を燃料分配装置の中に1つ以上の入り口23によって送り込むと、その後、それは矢印27で示すように燃料分配装置の中を移動する。酸化剤、例えば空気などを予熱装置(示していない)の中で前以て加熱しておくことで、温度を前記燃料の自然発火(auto−ignition)温度よりも高くしておき、そしてそれを入り口24に通して燃焼室に送り込む。燃料の自然発火温度(AIT)は、燃料が火花または炎などの如き外部の発火源無しに酸化剤(例えば空気)の存在下で自然発火する時の温度である。本加熱装置の始動時には前記酸化剤を外部の熱源で前以て加熱しておく、と言うのは、反応体を前以て加熱しておいて反応を推進させる目的で酸化反応に由来する熱を利用することがまだできないからである。前記反応ゾーンの中で燃料が燃料分配装置(例えば多孔質管15)の壁を貫通して拡散することで前記予熱された空気と混ざり合いそしてその燃料が前記酸化剤と接触した時点で無炎酸化が起こる、即ち炎も炎前線(flamefront)も生じることなく直接的酸化が起こる。酸化反応の開始(即ち本加熱装置の点火)後には反応によって発生した熱を用いて反応体(例えば空気)を自然発火温度より高い温度にまで加熱することができ、このようにして、自己維持可能な自己熱反応(autothermal reaction)が起こる。
【0007】
典型的には、前記燃料分配装置内の圧力の方が前記反応ゾーン内の圧力よりも高くなるように圧力差を作り出すことで、矢印26で示すように燃料が反応ゾーンの中に分配されるようにする。前記反応ゾーンの中に送り込まれる燃料の量を調節する目的で、例えばプロセス制御装置などを用いて前記燃料分配装置内の圧力を高くするか或は低くしてもよく、それによって、本加熱装置が発生する熱の量を制御する。燃料の無炎酸化に触媒作用を及ぼす酸化用触媒を存在させる場合、それを前記反応ゾーンの中に位置させる。その燃料の酸化によってプロセス流体と接触している加熱装置表面(例えば反応室壁、例えば殻壁13および/または14など)が加熱されかつ公知の伝熱手段および技術に従って前記表面とプロセス流体の間で熱交換が起こる。反応生成物(例えばCO、CO、HO)と未反応燃料と酸化剤を含有する燃焼排気が矢印28で示すように本加熱装置の中を循環しそして出口30を通って出る。
【0008】
前記酸化剤は酸素、空気、酸素が豊富な空気、不活性ガス(即ち希釈剤)と混ざり合っている酸素などであってもよい。適切な酸化用触媒は本技術分野で公知であり、例えば金属触媒、例えば白金またはパラジウムなどである。前記燃料は水素、1種以上の炭化水素またはこれらの組み合わせであってもよい。そのような燃料は、典型的に、この燃料の中に化学的に拘束されている窒素の含有量が最低限であり、それによって、更に、NOの生成で利用される窒素の量も最低限である。そのような燃料は気体および/または揮発性液であり得ることから、前記燃料分配装置の形態を、本加熱装置で用いるべき個々の燃料が基になって燃料が反応ゾーンの中に拡散し得るような形態にする(例えば管の間隙率、即ち管の中の孔の大きさおよび数を建造工程および/または材料の選択で制御してもよい)。1つの態様における燃料は、炭素原子数が約1から4の気体状炭化水素である。1つの態様における燃料は更に水素も含有する。別の態様における燃料は本質的にメタンで構成されている。
NOを最小限にする加熱装置操作の説明
熱NOおよび燃料NOが化石燃料燃焼中に発生するNOの大部分を占めている。熱NOは分子状窒素が燃焼用空気の中で酸化されることで生じる。熱NOの発生は温度に依存し、温度が高くなればなるほど熱NO発生量が多くなり、特に温度が約2600−2800度F(1430−1540℃)より高くなるとNO発生量が指数関数的に多くなり始め得る。燃料NOは燃料の中に化学的に拘束されている窒素が酸化されることで生じる。燃料NOの発生は酸素濃度に依存し(完全な化学量論的比率の関係で)、もたらされる燃焼排気の中のOが約5−7%になるような空気に対する燃料の燃焼比(空気が25−45%過剰)の時にNO発生量が最大になる。空気過剰度が低くなると燃料NO反応にとって酸素が不足し、そして空気過剰度が高くなると炎の温度が低くなることで燃料NO反応速度が遅くなる。
【0009】
1つの態様では、燃料燃焼中に発生するNOの量が最低限になるような様式で本加熱装置を操作することで、例えば本産業で超低NO発生と呼ばれる度合を達成する。例えば、NO発生量が最低限になるように本加熱装置の反応ゾーン内の温度(即ち反応温度)を制御してもよい。1つの態様では、燃焼排気が含有するNOの量が約10PPMv未満、別法としてNOの量が約5PPMv未満、別法としてNOの量が約3PPMv未満になるようにする。1つの態様では、反応温度が約2600度F(1430℃)(この温度はバーナー炎前線のおおよその温度ばかりでなくNOが指数関数的速度で発生し始める時のおおよその温度である)未満のままであるように制御する。別の態様では、反応温度が実質的に2600度F(1430℃)未満のままであるように制御する。別の態様では、反応温度が約1600度F(871℃)未満のままであるように制御する。反応温度を約1600度F(871℃)未満にすると、空気中で1600度F(871℃)未満のAITを示す数多くの燃料を利用することが可能になる。その上、約1600度F(871℃)未満であると、本加熱装置構成要素(例えば反応ゾーン、燃料分配装置など)の建造で耐熱性がより高くてより高価な材料ではなく通常の材料、例えば304等級の鋼を用いることが可能になる。別の態様では、反応温度が約1500度F(816℃)未満のままであるように制御する。
【0010】
1つの態様では、加熱を受けさせるプロセス流れが目標の温度または温度範囲になるようにする。この加熱を受けさせるプロセス流れにまた他のプロセス変数、例えば圧力、相および流量などを与えることも可能である。例えば、その加熱を受けさせるプロセス流れは温度および圧力が所望の蒸気(例えば過熱蒸気)であってもよい。入手可能な燃料および酸化剤の種類および濃度に関して、そのような燃料のAITを測定する。当該酸化剤を加熱して当該燃料のAITよりも高くすると反応が始まり、そして次にその加熱された酸化剤に燃料を導入する。そのような酸化反応を継続させる目的で、反応温度が当該燃料のAITにほぼ等しいか或はそれ以上のままであるように調節するが、そのようにしないと、酸化反応が終結してしまうであろう。温度変動を緩衝させる目的で、反応温度が燃料のAITより高いほぼ設定点(即ち許容範囲)のままであるように調節してもよく、例えば燃料のAITより約25、50、75、100度F(−4、10、24、38℃)またはそれ以上高くなるように調節してもよい。1つの態様では、反応温度と当該燃料が示すAITの間の差が所定許容範囲内で最低限、例えば約25、50、75、100度F(−4、10、24、38℃)またはそれ以上であるように制御する。1つの態様では、反応温度が当該燃料のAITにほぼ等しいか或はそれ以上から約1600度F(871℃)未満、別法として約1500度F(816℃)未満のままであるように制御する。
【0011】
装置の形態、例えば加熱装置の寸法、燃料分配装置の間隙率(孔の大きさおよび数)など、1種以上のプロセス変数、例えば反応体(例えば燃料および/または酸化剤)の流量、圧力、濃度、比率などの調整および/または1種以上の酸化用触媒の使用などで反応温度を調節することができる。燃焼温度に影響を与えるプロセス変数の1種以上をコンピューターで制御することができ、例えばセンサーとプロセス制御装置、例えば流量制御装置、圧力制御装置などの間に位置させたフィードバックループなどで制御することができる。1つの態様では、温度制御装置を燃焼排気NOセンサーとつなげることで、温度を制御する1種以上のプロセス変数をコンピューターでフィードバック制御する。1つの態様では、燃料の圧力を調整することで反応温度を制御し、それによって、反応に送り込むべき燃料の量を調整する。
【0012】
酸化用触媒の種類および量は、反応温度の制御に役立つように選択および/または調整可能である。1つの態様では、酸化用触媒を存在させると、酸化用触媒を存在させない同様な反応条件に比べて反応温度が低くなる。反応ゾーンの中に存在させる酸化剤の量(即ち、酸素と燃料のモル比)は、反応温度の制御に役立つように選択および/または調整可能である。1つの態様では、燃料に対する酸素のモル比を高くすると、燃料に対する酸素のモル比がより低い同様な反応条件に比べて燃料が示すAITが低くなり、それによって、反応温度も同様に低くなる。本加熱装置の始動時にそのような態様を一時的に用いてもよく、その後、燃料に対する酸素の比率を低比率に移行させる。例えば、本加熱装置を低い方の温度で始動させる目的で酸素が豊富な空気を用い、温度が上昇するにつれて徐々に空気に切り替えてもよい。
【0013】
典型的には温度勾配が存在し、燃料分配装置の外側表面または外側表面近くの温度(外皮温度と呼び、これは典型的に反応温度にほぼ等しい)の方が高く、そして前記外側表面からの距離が増すにつれて温度が低くなる。1つの態様では、燃料分配装置の外側表面に生成するコークスの量が最小限になるように外皮温度を制御、例えば外皮温度をおおよそ当該燃料が示すコークス化温度より低くなるように制御する。反応ゾーンに導入する前の燃料に蒸気を添加することでコークスの生成を更に最小限にすることができる。1つの態様では、燃料を反応ゾーンに導入するに先立って蒸気を燃料に約0.1から約0.2重量パーセント添加する。1つの態様では、酸化用触媒を燃料分配装置の外側表面または外側表面近くに存在させることで、酸化反応の維持に要する外皮温度を低くする。1つの態様では、燃焼室の中を流れる反応体の流れを、熱がプロセス流体に伝達、例えば燃料分配装置の外側表面を横切って流れる流れが層流ではなく乱流状態に維持されるようにすることなどで、伝達されるに役立つように選択する。
【0014】
加熱装置10を用いて生産施設、例えば化学プラントまたは製油所など内のプロセス流体、例えば供給材料、中間体または生成物流れなどを加熱することができる。例えば、プロセス加熱装置(process heater)10をプロセスフローライン(process flow line)またはプロセス槽、例えば壁12で限定されている如きタンクなどの中に位置させるか、または別法として、プロセス流体を壁12で限定されている如き本加熱装置に通してもよい。1つの態様では、本加熱装置を水素処理装置内のプロセス加熱装置として用いる。1つの態様では、本加熱装置を蒸留塔内の再沸騰装置として用いる。1つの態様では、本加熱装置を改質装置内のプロセス流れの加熱、例えば触媒床間のプロセス流れの加熱で用いる。そのようなプロセス流体は固体、半固体、液体または気体であり得ることから、本加熱装置の形態を、公知の熱交換技術に従い、そのような物理的状態のプロセス流体との熱交換に適した形態にする。1つの態様では、プロセス流体が加熱された時にそれが化学的反応を起こすことはなく、従って、加熱ゾーンが反応ゾーンとして機能することはない。1つの態様では、プロセス流体が加熱された時にそれが化学的に反応し、従って、加熱ゾーンがまた反応ゾーンとしても機能する。1つの態様におけるプロセス流体は製油所で蒸留すべき原油であり、例えば原油塔で蒸留を行う目的で原油を前以て加熱しておく。
【0015】
蒸気ボイラー態様におけるプロセス流体は水であり、それを加熱装置10と接触させることで蒸気に変える。そのような水には場合により添加剤、例えば清かん添加剤などが入っている可能性がある。1つの態様では、蒸気を約400度F(204℃)より高い温度、別法として約500度F(260℃)より高い温度で発生させる。1つの態様では、発生させた蒸気の一部を再循環させて、燃料が酸化を受ける前に燃料と一緒にすることで、燃料から生じるコークスの量を減少させる。1つの態様では、蒸気ボイラーを製油所内で用いそして蒸気を炭化水素分解工程で用いることで、蒸気タービンに動力を送るか、プロセス流れを加熱するか、或はそれらの組み合わせを行う。1つの態様では、蒸気を別の場所における伝熱、例えば蒸気ジャケットなどによる伝熱を助長する目的で用いるか、或は加熱用流体、例えば加熱用油または不凍液などの温度を上昇させる目的で用いる。1つの態様では、1種以上の石油精製プロセスに由来する炭素原子数が約4未満の炭化水素を含んで成るか或は別法としてそれで本質的に構成されているライトオフガス(light off gas)を本加熱装置への燃料として用いる。
【0016】
本発明の好適な態様および実施例を示しかつ説明してきたが、本分野の技術者は、本発明の精神および教示から逸脱することなくそれらの修飾を成すことができるであろう。本分野の技術者は本明細書の開示を基にして本発明の所定の実施に適した加熱装置デザイン判断基準(寸法、建造用材料の選択および加工などを包含)、ペンダントプロセス装置(pendant processing equipment)などを容易に確かめることができるであろう。本明細書に記述した態様および実施例は説明の目的で示したものであり、限定を意図するものでない。本明細書に開示した発明の数多くの変形および修飾形が可能であり、それらも本発明の範囲内である。従って、保護の範囲をこの上に挙げた説明で限定するものでなく、その範囲を限定するのは本請求の範囲のみであり、その範囲には、本請求項の主題事項のあらゆる相当物が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、無炎分配燃焼加熱装置の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を発生もしくは加熱または他のプロセス流れを加熱する方法であって、NOの生成が最小限になるように制御した反応温度で燃料を無炎反応で酸化させて熱を発生させそして前記無炎反応で発生させた熱を用いて水を蒸気に変えるか或は他のプロセス流れを加熱することを含んで成る方法。
【請求項2】
燃料分配装置の寸法または間隙率を調整することで前記反応温度を制御する請求項1記載の方法。
【請求項3】
反応体の流量、反応体の圧力、反応体の濃度、反応体の比率および酸化用触媒の使用有り無しから成る群から選択した1種以上のプロセス変数を調整することで前記反応温度を制御する請求項1記載の方法。
【請求項4】
燃焼温度に影響を与える1種以上のプロセス変数をコンピューターで調整する請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記コンピューターが制御装置である請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記制御装置がセンサーとプロセス制御装置の間に位置するフィードバックループである請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記プロセス制御装置が流量制御装置または圧力制御装置である請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記センサーが燃焼排気NOセンサーである請求項6記載の方法。
【請求項9】
反応体の圧力を調整することで温度を制御し、前記反応体が燃料でありそしてそれによって前記無炎反応に供給すべき燃料の量を調整する請求項8記載の方法。
【請求項10】
存在するNOの量が前記無炎反応に由来する燃焼排気の中の量でありそしてそれの存在量が約10PPMv未満である請求項1記載の方法。
【請求項11】
存在するNOの量が約5PPMv未満である請求項1記載の方法。
【請求項12】
存在するNOの量が約3PPMv未満である請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記反応温度を約2600度F(1430℃)未満にする請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記反応温度を約1600度F(871℃)未満にする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記反応温度を前記燃料の自然発火温度より高くしそして前記反応温度と前記燃料の自然発火温度の間の差を約100度F(38℃)に等しいか或はそれ以下にする請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記反応温度と前記燃料の自然発火温度の間の差を約75度F(24℃)に等しいか或はそれ以下にする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記反応温度と前記燃料の自然発火温度の間の差を約50度F(10℃)に等しいか或はそれ以下にする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記反応温度と前記燃料の自然発火温度の間の差を約25度F(−4℃)に等しいか或はそれ以下にする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記反応中に起こるコークス化を軽減する目的で蒸気を前記燃料の中に添加することも更に含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項20】
該加熱装置を炭化水素分解工程、蒸留工程、改質工程、プロセス流れの加熱またはこれらの組み合わせで用いることも更に含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項21】
プロセス加熱装置であって、
燃料を無炎反応で酸化させて熱を発生させる反応ゾーン、
前記無炎反応に由来する熱を用いてプロセス流れの温度を上昇させる加熱ゾーン、および
反応体の流量、反応体の圧力、反応体の濃度、反応体の比率および酸化用触媒の使用有り無しから成る群から選択される1種以上のプロセス変数を調整する装置、
を含んで成るプロセス加熱装置。
【請求項22】
1種以上のプロセス変数を調整する前記装置がコンピューターである請求項21記載のプロセス加熱装置。
【請求項23】
前記コンピューターが制御装置である請求項22記載のプロセス加熱装置。
【請求項24】
前記制御装置がセンサーとプロセス制御装置の間に位置するフィードバックループである請求項23記載のプロセス加熱装置。
【請求項25】
前記プロセス制御装置が流量制御装置または圧力制御装置である請求項24記載のプロセス加熱装置。
【請求項26】
前記センサーが燃焼排気NOセンサーである請求項24記載のプロセス加熱装置。
【請求項27】
プロセス加熱装置であって、
燃料を無炎反応で酸化させて熱を発生させる反応ゾーン、
前記無炎反応に由来する熱を用いてプロセス流れの温度を上昇させる加熱ゾーン、および
該プロセス加熱装置の反応温度を制御するように寸法または間隙率が選択されている熱分配装置、
を含んで成るプロセス加熱装置。

【図1】
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【公表番号】特表2006−511783(P2006−511783A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563777(P2004−563777)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/040401
【国際公開番号】WO2004/059208
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(505046112)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (9)
【Fターム(参考)】