説明

蒸発器

【課題】簡素な構成で蒸発器において冷気を蓄えることを可能とする。
【解決手段】蒸発器10は、一組の第1及び第2タンク12、14と、前記第1及び第2タンク12、14の延在方向と直交し、並列に設けられ前記第1タンク12と第2タンク14とを接続する複数のチューブ16と、前記チューブ16の間に設けられる第1及び第2フィン18、20とを有し、前記第2フィン20の第2湾曲部36a、36bは、第1フィン18の第1湾曲部30a、30bの曲率に対して大きな曲率で形成される。そして、蒸発器10を通過する空気に含有された水分が付着した際、前記水分が曲率の大きな第2湾曲部36a、36bとチューブ16との間に保水され、該水分を凍結させることで蓄冷体を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に冷媒を流通させることで通過する空気を熱交換して冷却を行う蒸発器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車両用空調装置には、送風機であるブロアによってケース内へと取り込まれた空気を冷却するために蒸発器が搭載されており、前記蒸発器を通過することで冷却された空気と、加熱手段である熱交換器により加熱された空気とを前記ケース内で所望の混合比率で混合した後、車室内へと送風することによって前記車室内の温度及び湿度の調整を行っている。
【0003】
また、近年、車両の燃費向上や環境負荷の低減を目的として、前記車両が停止した際にエンジンを停止させるアイドリングストップ機構が普及し始めている。しかしながら、冷媒を圧縮して蒸発器に供給される冷媒を圧縮するための圧縮機は、一般的に、エンジンの駆動力を利用して駆動させているため、アイドリングストップ時において前記エンジンを停止させることで前記圧縮機が停止してしまうこととなり、圧縮された前記冷媒の蒸発器への供給が停止し、それに伴って、前記蒸発器による冷却が行われずに車室内へ冷風を送風することができなくなるという問題が生じる。
【0004】
そのため、エンジン停止時(アイドリングストップ時)における空調を行って車室内の快適性を維持する目的で、例えば、電動式圧縮機を採用して該エンジン停止時においても冷媒を圧縮して蒸発器へと供給することで、車室内への冷風を送風可能としたり、または、特許文献1に開示されているように、蒸発器近傍に蓄冷器を設け、エンジン稼動時に供給される冷風によって該蓄冷器に予め冷気を蓄えておき、エンジン停止時に前記冷気から冷風を発生させて車室内へと供給することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−139201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した構成でエンジン停止時における空調を行おうとした場合に、電動式圧縮機はコストが高く、一方、蓄冷器は、例えば、車両用空調装置のケース内に設ける必要があるため、該車両用空調装置の大型化を招くと共に、該蓄冷器を設けることでコスト増加を招くという問題がある。
【0007】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、簡素な構成で、冷気を蓄えることが可能な蒸発器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、冷媒を蓄える一組のタンクと、前記タンクの延在方向に沿って並列に配置され、一方のタンクと他方のタンクを接続する複数のチューブと、前記チューブの間に設けられ、波状に複数折曲された複数のフィンとを有し、前記チューブに冷却された冷媒を流通させることで前記フィンを通過する空気の冷却を行う蒸発器において、
前記フィンは、第1フィン部と、第2フィン部とを有し、
前記第2フィン部は、前記第1フィン部に対して前記チューブとの接続部位近傍における水分の保水量が多いことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、チューブの間に設けられ波状に複数折曲された複数のフィンにおいて、前記チューブとの接続部位近傍における水分の保水量が多い第2フィン部を設けることで、例えば、前記フィンを通過する空気に含まれた水分が付着して前記チューブに沿って下方へと移動する際に、前記水分が第2フィン部の接続部位近傍に好適に保水される。
【0010】
従って、第1フィン部に対してチューブとの接続部位近傍における水分の保水量が多い第2フィン部を設けるという簡素な構成で、該接続部位近傍に前記水分を確実且つ好適に保水することができるため、該水分を凍結させることで、前記蒸発器において冷気を蓄えることが可能となる。
【0011】
その結果、例えば、蒸発器を含む車両用空調装置を搭載した車両がエンジンを停止させたアイドリングストップ状態となり冷媒の供給が停止した場合でも、前記水分を凍結させた蓄冷体を利用して熱交換を行って車室内へと送風を行うことができる。
【0012】
また、第1及び第2フィン部は、隣接するチューブの延在方向と直交した直線部と、
前記チューブに接続される接続部と、
前記直線部と前記接続部とを湾曲しながら接続する湾曲部と、
を備え、
前記第2フィン部における湾曲部の曲率を、前記第1フィン部における湾曲部の曲率に対して大きく設定するとよい。
【0013】
さらに、第1及び第2フィン部は、チューブに接続される接続部を備え、
前記第2フィン部は前記接続部における該第2フィン部と前記チューブとのなす角度を鋭角となるように延在させるとよい。
【0014】
さらにまた、第2フィン部のフィン間隔は、第1フィン部のフィン間隔に対して小さいとよい。
【0015】
またさらに、第2フィン部のチューブとの接続部の接触面積は、第1フィン部の前記チューブとの接続部の接触面積に対して小さいとよい。
【0016】
さらに、フィンは、第1フィン部と第2フィン部とを並列に配置するとよい。
【0017】
さらにまた、フィンは、タンクに設けられ冷媒が供給される配管側近傍に第2フィン部を配置するとよい。
【0018】
またさらに、第2フィン部は、下方に配置される一方のタンク側に設けるとよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0020】
すなわち、チューブの間に設けられ波状に複数折曲された複数のフィンにおいて、前記チューブとの接続部位近傍における水分の保水量が多い第2フィン部を設けるという簡素な構成で、該接続部位近傍に前記水分を確実且つ好適に保水することができるため、該水分を凍結させることで蒸発器において冷気を蓄えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る蒸発器の外観斜視図である。
【図2】図1に示す蒸発器の全体正面図である。
【図3】図3Aは、第1フィンとチューブとの接続部位近傍を示す拡大図であり、図3Bは、第2フィンと前記チューブとの接続部位近傍を示す拡大図であり、図3Cは、第1変形例に係る蒸発器における第1フィンとチューブとの接続部位近傍を示す拡大図であり、図3Dは、第2変形例に係る蒸発器における第1フィンとチューブとの接続部位近傍を示す拡大図である。
【図4】図4Aは、第3変形例に係る蒸発器を示す拡大図であり、図4Bは、第4変形例に係る蒸発器を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る蒸発器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0023】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る蒸発器を示す。
【0024】
この蒸発器10は、図1及び図2に示されるように、所定間隔離間して配置される一対の第1及び第2タンク(タンク)12、14と、前記第1タンク12と第2タンク14との間を接続する複数のチューブ16と、前記チューブ16の間に設けられ波状に折曲された複数の第1及び第2フィン18、20とを含む。
【0025】
第1及び第2タンク12、14は、例えば、中空箱状に形成され、下部側に設けられる前記第1タンク12の側部には、外部から冷媒の供給される供給配管22と、該エバポレータの内部を循環した前記冷媒が排出される排出配管24とが接続される。なお、供給配管22及び排出配管24は、蒸発器10の厚さ方向(図1中、矢印A方向)に並列となるように配置される。
【0026】
チューブ16は、例えば、金属製材料からなる薄板で中空状且つ一直線状に形成され、第1及び第2タンク12、14に対して略直交方向に延在し、その一端部が第1タンク12に接続され、他端部が第2タンク14に接続されて互いに連通している。また、複数のチューブ16は、互いに等間隔離間して略平行に配置される。
【0027】
そして、供給配管22から第1タンク12へと供給された冷媒が複数のチューブ16を経て第2タンク14へと循環した後に、再び前記第1タンク12へと戻って排出配管24から排出される。
【0028】
第1及び第2フィン18、20は、例えば、アルミニウム等の薄板を波状に折曲することで形成され、隣接する2つのチューブ16の間に設けられる。
【0029】
この第1フィン(第1フィン部)18は、チューブ16の延在方向(矢印B方向)と直交する第1直線部26と、チューブ16の側面に接続される第1接続部28と、前記第1直線部26の端部と前記第1接続部28とを接続する一対の第1湾曲部30a、30bとからなる。なお、第1フィン18は、隣接する第1直線部26の間隔が等間隔となるように形成されている。
【0030】
第1接続部28は、チューブ16と平行に設けられ、例えば、ろう付け等で前記チューブ16に対して固定される。
【0031】
第1湾曲部30a、30bは、所定半径を有した湾曲状に形成され、互いに直交するように配置された第1直線部26と第1接続部28とを接続している。
【0032】
一方、第2フィン(第2フィン部)20は、チューブ16の延在方向(矢印B方向)と略直交する第2直線部32と、チューブ16の側面に接続される第2接続部34と、前記第2直線部32の端部と前記第2接続部34とを接続する一対の第2湾曲部36a、36bとからなる。
【0033】
第2直線部32は、隣接する第2直線部32との間隔がそれぞれ等間隔となるように形成されると共に、前記第2直線部32の間隔は、第1直線部26同士の離間間隔と略同等となるように設定される。
【0034】
第2接続部34は、チューブ16と平行に設けられ、例えば、ろう付け等で前記チューブ16に対して固定される。また、第2接続部34は、チューブ16の延在方向に沿った長さが、第1接続部28の長さに対して短く形成される。
【0035】
第2湾曲部36a、36bは、所定半径を有した湾曲状に形成され、互いに直交するように配置された第2直線部32と第2接続部34とを接続している。また、第2湾曲部36a、36bの曲率は、第1湾曲部30a、30bの曲率に対して大きく設定される。換言すれば、第2湾曲部36a、36bの半径は、第1湾曲部30a、30bの半径に対して大きく設定される。
【0036】
本発明の実施の形態に係る蒸発器10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、蒸発器10が、車両に搭載され車室内へ調温した空気を送風する車両用空調装置に用いられる場合について説明する。
【0037】
先ず、供給配管22を通じて蒸発器10の第1タンク12に圧縮された冷媒が供給され、前記第1タンク12から複数のチューブ16内へと流通した後、第2タンク14へと導入される。その後、第2タンク14から再び前記チューブ16を通じて前記第1タンク12へと循環した後、排出配管24を経て導出される。すなわち、冷媒は、供給配管22を通じて蒸発器10の内部へと供給され、第1タンク12、チューブ16、第2タンク14を経て再び前記第1タンク12から排出配管24へと排出されるように循環する。
【0038】
そして、車両用空調装置を構成する送風機から供給される空気が、第1及び第2フィン18、20を通過することによってチューブ16を循環している冷媒と熱交換がなされ、所定温度に冷却されて下流側へと流通する。
【0039】
次に、蒸発器10を利用して冷気を蓄える場合について説明する。この冷気を蓄える蓄冷時では、空気が蒸発器10の上流側から下流側へと流通する際に、第1及び第2フィン18、20に付着する空気に含まれる水分S(図3A、図3B参照)を凍結させることで冷気を蓄える。
【0040】
具体的には、蒸発器10に付着した水分Sが重力作用下にチューブ16を伝って下方へと移動し、図3A及び図3Bに示されるように、その一部が、チューブ16と第1及び第2フィン18、20との接合部位近傍に溜まることとなる。この水分Sは、その表面張力によって第1及び第2湾曲部30a、30b、36a、36bの上部とチューブ16の側面との間、一対の第1及び第2湾曲部30a、30b、36a、36bの間、前記第1及び第2湾曲部30a、30b、36a、36bの下部とチューブ16の側面との間にそれぞれ保水される。
【0041】
すなわち、水分Sの表面張力は水分同士が近づきやすい距離でチューブ16や第1及び第2フィン18、20により囲まれた一定の空間であるほど溜まりやすいため、第1及び第2直線部26、32からそれぞれチューブ16に向かって延在する仮想線と、第1及び第2湾曲部30a、30b、36a、36bと、チューブ16によって囲まれる仮想空間において主に保水されやすい。そのため、曲率の大きな第2湾曲部36a、36bを有する第2フィン20が、前記第2湾曲部36a、36bに対して曲率の小さな第1湾曲部30a、30bを有する第1フィン18よりもチューブ16及び第1及び第2フィン18、20によって囲まれた空間が広くなるため保水量が多くなる。
【0042】
そのため、蒸発器10に付着した水分Sは、第1フィン18に対して第2フィン20に多く保水された状態となり、図示しない滞留手段によって前記蒸発器10の上流側から下流側への送風を滞留させることで、水分Sが第1及び第2フィン18、20に保水された状態で徐々に凍結することとなる。そして、水分Sが凍結することで蓄冷体R(氷)となる。
【0043】
この際、蓄冷体Rは、水分Sが蒸発器10の下方側により多く保水されているため、その保水量は、第2フィン20の第2タンク14側が最も多くなり、上方となるのに伴って少なくなる。
【0044】
そして、例えば、走行中の車両が停車してエンジンの停止したアイドリングストップ状態において、蒸発器10において蓄冷された蓄冷体Rを利用して車室内の空調を行う場合、図示しない車両用空調装置の送風機から蒸発器10へと送風を行うことにより、凍結した蓄冷体Rが前記送風によって溶融させながら融解熱により空気が冷却されて下流側へと流通して車室内へと送風される。なお、このエンジン停止時には、該エンジンと共に圧縮機も停止しているため、蒸発器10への冷媒の供給が停止している状態にある。
【0045】
なお、蒸発器10における第1フィン18と第2フィン20との割合は、水分の保水性(保水量)を考慮して適宜設定される。例えば、保水性を高めて蓄冷体Rの容量を増加させたい場合には、第1フィン18の数量を減少させると同時に第2フィン20の数量を増加させ、一方、保水性を低下させ前記蓄冷体Rの容量を減少させたい場合には、前記第1フィン18の数量を増加させると同時に第2フィン20の数量を減少させるとよい。
【0046】
以上のように、本実施の形態では、蒸発器10において、保水性の高い第2フィン20を通常の第1フィン18に併せて設けることで、前記蒸発器10に付着した水分Sを好適且つ多く保水しておくことが可能となるため、この保水された前記水分Sを凍結させることで蓄冷を行う際、蓄冷体Rの容量を大きく確保して冷気を蓄えることが可能となる。
【0047】
その結果、車両におけるエンジンを停止させたアイドリングストップ時において、蓄冷体Rに対して送風を行うことで車室内へと冷却された空気を送風することができ、しかも、前記蓄冷体Rの容量を大きく確保することでより十分に蓄えられる冷気によって長時間送風を行うことが可能となる。
【0048】
また、第2フィン20は、第2湾曲部36a、36bの曲率を第1フィン18の第1湾曲部30a、30bの曲率に対して大きくするという簡素な構造で、第2フィン20において容易に高い保水性を確保することが可能となる。
【0049】
さらに、形状の異なる第1フィン18と第2フィン20とを、チューブ16に沿ってそれぞれ並列に設けることで、前記第1及び第2フィン18、20が列単位でそれぞれ別個となるため、隣接するチューブ16間において第1フィン18と第2フィン20とが混在することがなく、前記第1フィン18と第2フィン20とを混在させた場合に懸念される製造性の低下を回避することが可能となり、前記第1及び第2フィン18、20を含む蒸発器10の製造性を向上させることができる。
【0050】
上述した本実施の形態においては、第2フィン20において、隣接するチューブ16の延在方向と直交した第2直線部32と、前記チューブ16に接続される第2接続部34との接続する第2湾曲部36a、36bを第1フィン18の第1湾曲部30a、30bよりも大きくすることで、前記第2湾曲部36a、36bとチューブ16との間に隙間を形成して保水量を多くしているが、このような構成に限定されるものではない。
【0051】
例えば、図3Cに示すように、第2フィン20aは、チューブ16との第2接続部34aにおいて、前記チューブ16と前記第2フィン20aとのなす角度が鋭角θになるように断面V字状となる一対の第2直線部32aから形成してもよい。このように構成することにより、チューブ16と第2フィン20aとの間隔が短くなる空間が形成されるため、水分Sの表面張力により、第1フィン18に対して保水量を多くすることができる。
【0052】
また、図3Dに示すように、第2フィン20bのフィン間隔L2を第1フィン18のフィン間隔L1に対して小さく形成することで(L2<L1)、水分Sの表面張力が働きやすくなるため、チューブ16と隣り合う第2フィン20bによって形成される空間において好適に保水される。さらに、第2フィン20bとチューブ16との接続部における接触面積を第1フィン18に対して小さくすることで、フィン間隔を大きく確保することなく上述した構成とすることが容易となり、第2フィン20bの表面積減少による熱交換効率の低下を生じさせることなく保水量を多くすることが可能となる。
【0053】
一方、上述したように、水分Sの保水性が高い第2フィン20を、第1フィン18に対して並列、且つ、該第1フィン18の間となるように配置する場合に限定されるものではなく、例えば、図4Aに示される蒸発器50のように、第1タンク12における供給配管22側(矢印C1方向)に複数の第2フィン52を並列に配置し、該第2フィン52に対して前記供給配管22から離間する側(矢印C2方向)に複数の第1フィン54を並列に配置するようにしてもよい。
【0054】
換言すれば、複数の第2フィン52を供給配管22側(矢印C1方向)にまとめて配置し、一方、複数の第1フィン54を前記供給配管22とは反対側(矢印C2方向)にまとめて配置してもよい。
【0055】
このような構成とすることにより、冷媒は、複数のチューブ16に沿って流通する際に、蒸発器50に供給され始める供給配管22側(矢印C1方向)の流れが反対側(矢印C2方向)に比べて遅いため、外部との熱交換がされやすく、さらに冷媒の温度が低いため、蒸発器50に付着した水分Sは、該供給配管22近傍から凍結し易い傾向がある。そのため、水分Sが凍結し始める供給配管22側に保水性の高い第2フィン52を配置することで、より多くの水分Sを早急に凍結させ蓄冷体Rを効率的に生成することが可能となる。
【0056】
また、図4Bに示される蒸発器60のように、蒸発器60における第2タンク14側に第2フィン62を有し、第1タンク12側に第1フィン64を有するフィン66を備えるようにしてもよい。すなわち、フィン66は、チューブ16の長手方向に沿って一端部側に第1フィン64を備え、他端部側に第2フィン62を備えている。
【0057】
このような構成とすることにより、蒸発器60に付着した水分Sは、重力作用下に下方(第2タンク14側)に集まるため、該第2タンク14側に第2フィン62を設けることで、保水性の高い前記第2フィン62において前記水分Sを好適に蓄えて凍結させることが可能となる。その結果、蒸発器60においてより一層効率的に水分Sを凍結させて蓄冷体Rを生成することができる。
【0058】
なお、本発明に係る蒸発器は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0059】
10、50、60…蒸発器 12…第1タンク
14…第2タンク 16…チューブ
18、54、64…第1フィン
20、20a、20b、52、62…第2フィン
22…供給配管 24…排出配管
26…第1直線部 28…第1接続部
30a、30b…第1湾曲部 32、32a…第2直線部
34、34a…第2接続部 36a、36b…第2湾曲部
66…フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を蓄える一組のタンクと、前記タンクの延在方向に沿って並列に配置され、一方のタンクと他方のタンクを接続する複数のチューブと、前記チューブの間に設けられ、波状に複数折曲された複数のフィンとを有し、前記チューブに冷却された冷媒を流通させることで前記フィンを通過する空気の冷却を行う蒸発器において、
前記フィンは、第1フィン部と、第2フィン部とを有し、
前記第2フィン部は、前記第1フィン部に対して前記チューブとの接続部位近傍における水分の保水量が多いことを特徴とする蒸発器。
【請求項2】
請求項1記載の蒸発器において、
前記第1及び第2フィン部は、隣接するチューブの延在方向と直交した直線部と、
前記チューブに接続される接続部と、
前記直線部と前記接続部とを湾曲しながら接続する湾曲部と、
を備え、
前記第2フィン部における湾曲部の曲率は、前記第1フィン部における湾曲部の曲率に対して大きく設定されることを特徴とする蒸発器。
【請求項3】
請求項1記載の蒸発器において、
前記第1及び第2フィン部は、前記チューブに接続される接続部を備え、
前記第2フィン部は前記接続部における該第2フィン部と前記チューブとのなす角度は鋭角となるように延在することを特徴とする蒸発器。
【請求項4】
請求項1記載の蒸発器において、
前記第2フィン部のフィン間隔は、前記第1フィン部のフィン間隔に対して小さいことを特徴とする蒸発器。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の蒸発器において、
前記第2フィン部の前記チューブとの接続部の接触面積は、前記第1フィン部の前記チューブとの接続部の接触面積に対して小さいことを特徴とする蒸発器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸発器において、
前記フィンは、前記第1フィン部と前記第2フィン部とが並列に配置されることを特徴とする蒸発器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の蒸発器において、
前記フィンは前記タンクに設けられ前記冷媒の供給される配管側近傍に前記第2フィン部が装着されることを特徴とする蒸発器。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸発器において、
前記第2フィン部は、下方に配置される一方のタンク側に設けられることを特徴とする蒸発器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−113567(P2013−113567A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263177(P2011−263177)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】