説明

蓄圧式スプレー容器に収容された除菌用製品

【課題】除菌効果に優れた蓄圧式スプレー容器に収容された除菌用製品を提供する。
【解決手段】除菌剤を含む薬液が蓄圧式スプレー容器に収容されていることを特徴とする、除菌用製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄圧式スプレー容器に収容されることを特徴とする除菌用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレー製剤には、フロンガス、プロパンガス等のガスの圧力によってスプレー容器内の薬液等を外部に噴射する構造のものが多く見られる。しかしながら、このようなガスを用いたスプレー製品は、ガスによる環境汚染や、廃棄処理時の残留ガスによる火災、残留ガスの爆発による人身事故が問題となっていた。そこで、これらの問題を回避するためにスプレー缶に空気ポンプを取り付けて圧縮空気を作製し、スプレーすることが可能な蓄圧式スプレー容器が用いられている(例えば特許文献1等)。このようなガスを用いないスプレー製品は、今後さらに汎用されると考えられる。
【0003】
一方、空気中に浮遊したり、家具、布製品等に付着して繁殖するカビ、酵母、ウイルス、細菌等の微生物は、アトピー、喘息等の原因ともなっていることから、微生物の増殖を抑制するために優れた除菌効果を有する製品が望まれている。さらには、空間や対象物(特に布製品)に芳香を付与する効果、異臭や悪臭をマスキング効果に優れた製品が求められている。このような背景から、優れた除菌効果、芳香効果、消臭効果等を備えた蓄圧式スプレー容器に収容された製品が求められていた。
【特許文献1】特開平11−114460
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、除菌効果に優れた蓄圧式スプレー容器に収容された除菌用製品を提供することを主な目的とする。また、本発明は、蓄圧式スプレー容器に収容された芳香除菌用又は消臭除菌用の除菌用製品を提供することをも目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、除菌剤を含有する薬液を蓄圧式スプレー容器に収容することによって、優れた除菌効果が得られることを見いだした。また、当該薬液に香料や消臭剤を配合することによって、優れた芳香作用、消臭作用が得られることを見いだした。本発明は、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果完成されたものである。
【0006】
本発明は、以下の除菌用製品を提供する。
項1.除菌剤を含む薬液が蓄圧式スプレー容器に収容されていることを特徴とする、除菌用製品。
項2.前記薬液中に除菌剤を0.0001〜8重量%含有することを特徴とする、項1に記載の除菌用製品。
項3.薬液の溶剤が水及びエタノールを含有することを特徴とする、項1又は2に記載の除菌用製品。
項4.前記薬液がさらに香料を含有し、芳香除菌用である、項1〜3のいずれかに記載の除菌用製品。
項5.前記薬液がさらに消臭剤を含有し、消臭除菌用である、項1〜4のいずれかに記載の除菌用製品。
項6.対物除菌用である、項1〜5のいずれかに記載の除菌用製品。
項7.布製品の除菌用である、項1〜5のいずれかに記載の除菌用製品。
【発明の効果】
【0007】
本発明の除菌用製品によれば、蓄圧式スプレー容器に薬液を収容することによって、除菌剤を含有させても沈殿が生じず、薬液を噴射する際に微細な粒子とすることができ、対象物に均一に噴霧できることから、優れた除菌作用を発揮することができる。
【0008】
また、本発明の除菌用製品は、薬液に香料や消臭剤を配合することによって、優れた芳香除菌作用、消臭除菌作用を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の除菌用製品は、蓄圧式スプレー容器に除菌剤を含有する薬液を収容することを特徴とするものである。以下、本発明の構成について詳述する。
【0010】
(1)薬液
本発明の除菌用製品に使用される薬液は、除菌剤を含有する。除菌剤としては、従来公知のものを配合することができるが、例えば合成系の除菌剤としては、アリシン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロモクロロフェン2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、ブチルパラベン、カプリロイルコラーゲンアミノ酸、カプリロイルグリシン、カプリロイルケラチンアミノ酸、カプタン、セテチル臭化ジモニウム、セチル塩化ピリジニウム、クロロチモール、クロロキシレノール、シトラール、銅PCA、ジクロロベンジルアルコール、ジラウリル塩化ジモニウム、臭化ドミフェン、エチルパラベン、カプロン酸塩グリセリル、グリセリルラウリン酸塩、ジイソチオン酸ヘキサアミジン、メチルパラベン、塩化ミリスタルコニウム、ペンチレングリコール、フェネチルアルコール、フェノール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、フェニル酢酸第二水銀、フェニル安息香酸第二水銀、フェニルホウ酸第二水銀、o−フェニルフェノール、フィトスフィンゴシン、ピロクトンオラミン、ポリメトキシビサイクリックオキサゾリジン、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、リシノール酸アミドプロピルトリモニウムエトサルフェート、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリチオン、リシノール酸ナトリウム、チメロサール、チモール、トリクロカラバン、トリクロサン、ウンデシレンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ウンデシレン酸、酸化亜鉛、亜鉛PCA、亜鉛ピリチオン、ウンデシレン酸亜鉛、アルミニウムPCA、ヨウ化アンモニウム、カプリン酸ブチルグルコシド、カプリル酸/カプリン酸(グリセライド)、クロルヘキシジン、クロルヘキシジン二酢酸、ジグルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン二塩酸塩、クロルフェネシン、臭化ラウラルコニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、ラウリルピリジニウムクロライド、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン、クオタニウム73、シェール油硫酸ナトリム、ウスニン酸ナトリム、ウンデシレン酸、ドコサノール、エイコサノール、酢酸等の有機除菌剤、酸化カルシウムや重層などの無機除菌剤、銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン、ゼオライト含有金属イオン、ゼオライト含有銀イオン等の金属イオン除菌剤、銀ナノ粒子、金ナノ粒子等の金属ナノ粒子除菌剤等が挙げられる。また、天然系の除菌剤として、グレープフルーツシードオイル、モウソウチク抽出物、木酢酢、貝殻焼成粉末、カテキン、緑茶抽出物、フラボノイド、フィトンチッド、わさび抽出物、からし抽出物、ヨード等が挙げられる。これらの除菌剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0011】
薬液中、上記除菌剤の配合割合は、特に限定されないが、十分な除菌効果を得るという観点からは、総量で0.0001重量%以上が好ましく、0.0004重量%以上がより好ましく、0.001重量%以上である事が最も好ましい。一方、処方上の安定性の観点から、8重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、2重量%以下である事が最も好ましい。従って、除菌効果及び安定性の両観点から、除菌剤の配合割合は0.0001〜8重量%、好ましくは0.0004〜5重量%、より好ましくは0.001〜2重量%である。
【0012】
また、薬液には、必要に応じて香料が配合されていてもよく、香料を除菌用製品に配合することによって任意の香りを付与することができ、除菌製品使用時に対象物又は空間に芳香を付与することができる。従って、このような除菌用製品は芳香除菌用として用いることができる。香料は、天然香料及び合成香料のいずれであってもよく、用途に応じて所望の香気を呈する香料成分を適宜選択すればよい。
【0013】
例えば、本発明に使用される香料としては、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、イランイラン油、パチュリ油、シトロネラ油、レモングラス油、ボアドローズ油、チョウジ油、ユーカリ油、セダー油、ラベンダー油、ビャクダン油、ベチバー油、ゼラニウム油、ラブダナム油、ペパーミント油、ローズ油、ジャスミン油、リッツアキュベバ油などの天然香料;炭化水素系香料(例えば、リモネン、α−ピネン、カンフェン、p−サイメン、フェンチェンなど)、エーテル系香料(例えば、1,8−シネオール、ローズオキサイド、セドロールメチルエーテル(セドランバー)、p−クレジルメチルエーテル、イソアミルフェニルエチルエーテル、4−フェニル−2,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、アネトールなど)、エステル系香料(例えば、エチルアセテート、エチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、ブチルアセテート、エチル2−メチルブチレート、イソアミルアセテート、エチル2−メチルペンタノエート(マンザネート)、ヘキシルアセテート、アリルヘキサノエート、トリシクロデセニルプロピオネート(VERTOPRO;フロロシクレン)、アリルヘプタノエート、イソボルニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、2−ter−ブチルシクロヘキシルアセテート(ナルシドール)など)、アルコール系香料(例えば、リナノール、3−オクタノール、2,6−ジメチル−ヘプタノール、10−ウンデセノール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、テトラヒドロリナロール、ターピネオール、セドロール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキサン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、ネロリドール、9−デセノール、シス−3−ヘキセノール、トランス−2−ヘキセノール、オイゲノールなど)、アルデヒド系香料(例えば、シトロネラール、パラアルデハイド、ベンズアルデヒド、アルデヒドC−6、アルデヒドC−7、 アルデヒドC−8、アルデヒドC−9、アルデヒドC−10、トリプラール、p−エチルジメチルヒドロシンナミックアルデヒド(フローラゾン)、2−トリデセナール、アルデヒドC11など)などの合成香料、又はこれらをブレンドした調合香料等が挙げられる。
【0014】
薬液中の香料の配合割合は、総量で0.005〜10重量%程度、好ましくは0.01〜5重量%程度、より好ましくは0.05〜3重量%程度である。
【0015】
さらに、薬液には、必要に応じて消臭剤が配合されていてもよく、消臭剤を除菌用製品に配合することによって、除菌製品を対象物又は空間に噴霧した際、対象物や空間の悪臭や異臭をマスクすることができる。従って、このような除菌用製品は消臭除菌用として用いることができる。消臭剤としては、従来公知の物から適宜選択して用いることができ、例えばイネ、松、ヒノキ、笹、緑茶等の植物の抽出物;アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、セチルピリジニウム塩、ベンゾイソチアゾリンなどの複素環化合物;酸化銀、銀含有の水溶性ガラス、銀を担持させたゼオライト、銀ナノ粒子、銀オン、硝酸銀、硫化銀、等の銀化合物;酸化亜鉛、酸化銅、亜鉛イオン、銅イオン、金ナノ粒子等の金属化合物;シクロデキストリンやシクロファンなどの包接化合物;両性界面活性剤系消臭剤、アミノ酸系消臭剤などの両性化合物;シリカゲル、アルミナ、活性炭、ゼオライト等の吸着物質の微細粉末等が挙げられる。
【0016】
薬液中の消臭剤の配合割合は総量で0.001〜10重量%程度、好ましくは0.00
5〜5重量%程度、より好ましくは0.01〜3重量%程度である。
【0017】
本発明の薬液に上記香料や消臭剤を配合する場合、除菌剤に対する各成分の配合比率は、除菌剤1重量部に対して香料の総量が0.0006〜100000重量部程度、好ましくは0.025〜3000重量部程度;消臭剤の総量が0.0001〜100000重量部程度、好ましくは0.005〜3000重量部程度である。
【0018】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、上記以外の成分を配合することができる。このような成分としては、酵素、キレート剤、着色剤、顔料、増量剤、溶解性調整剤、漂白剤、pH調整剤、緩衝剤、消泡剤等の添加剤を適量含むことができる。
【0019】
上記各種成分を、水、エタノール、イソパラフィン、ノルマルパラフィンやグリコールエーテル等の溶剤から選択される少なくとも1種または2種以上と混合して本発明の薬液とすることができる。本発明の除菌用製品の溶媒として好ましくは、水、エタノールの少なくとも1種又はこれらの混合物である。
【0020】
(2)蓄圧式スプレー容器
本発明の除菌用製品は、前記薬液が蓄圧式スプレー容器に収容されていることを特徴とするものである。本発明に使用される蓄圧式スプレー容器は、薬液が収容される容器本体部分、ノズル、噴射口、ポンプを備え、ポンプを用いてピストン運動を行うことにより、容器外の空気を容器内に移行させて、容器内部に圧縮空気を作製、貯留し、噴射口を押すことによって圧縮された空気の圧力で薬液が噴射口から噴出、噴霧されるように構成される。当該蓄圧式スプレー容器は、容器内部に作製、貯留される圧縮空気が外部に漏れ出さないように密閉されていることが必要である。このような蓄圧式スプレー容器は従来公知であり、具体的には、例えば米国特許第3,955,720号、同第4,492,320号、食品と容器 1993年、VOL34、NO.7、P.410−413に記載される構成を有する容器が挙げられる。
【0021】
本発明の除菌用製品に用いられる蓄圧式スプレー容器は、ポンピングによって容器の内圧が0.10〜0.30MPa、好ましくは0.15〜0.20MPaになるように設計されていることが好ましい。また、当該蓄圧式スプレー容器は、容量により異なるが、例えば200mL容器の場合、10回以上、好ましくは15〜26回程度のポンピングによって容器内の空気圧が前記圧力になるように構成されることが望ましい。また、本発明に用いられる容器の噴射口としては、従来公知のミスト製品に用いられる噴射口を採用することができるが、噴射口の孔径は通常0.1〜0.5mm程度であることが好ましい。ここで、ミスト製品とは、手動によるポンピング動作で内容液を吐出(噴射)されるように構成されてなる容器に収容された製品を指す。
【0022】
蓄圧式スプレーは、噴射時に前記圧力にすることよって、内部に収容されている薬液が微細な粒子となって均一に噴霧され、除菌効果、消臭効果、芳香効果等の本願発明の効果をより一層効果的に獲得することができる。また、薬液中に微細粉末(微細な固形物)が含有される場合であっても、容器に蓄えられる圧力によって液体と同様に噴射することが可能である。
【0023】
(3)本発明の使用態様
本発明の除菌用製品は、広範囲にわたって均一に薬液を噴霧することができることから物や空間の除菌に好適である。対物除菌用として適用する場合、対象物としては通常の家庭に存在するものであれば特に制限なく適用可能であるが、例えば、カーテン、衣類、布団、絨毯、ソファー等の布製品、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、床、壁紙、壁、便器、浴槽、シンク、排水口等に対して優れた除菌効果、消臭効果、芳香効果を発揮することができる
。また、芳香成分によるマスキング効果や消臭剤による消臭効果の観点から、対象物が布製品である場合により顕著な効果が期待できる。
【実施例】
【0024】
以下に試験例、処方例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
被験薬液1〜4
下表1に示される組成に従って、各成分を混合し、薬液を調製した。
【0026】
【表1】

【0027】
試験例1.経時変化試験
上記表1に示される薬液をそれぞれ、エアゾールスプレー製品、蓄圧式スプレー製品、ミスト製品として調製した。エアゾール製品は、容量100mLのガラススプレー瓶にジメチルエーテル(ガス)と薬液を、薬液:ガス=40:60(重量)となるように充填して作製した。蓄圧式スプレー製品は、容量200mLのスプレー缶であって、ポンピングする勢いで、送り込まれる空気の量は変動するが、約1秒かけてゆっくり1回ポンピング
すると0.01〜0.019gの空気が容器内部に送り込まれるように構成されてなるポリプロピレン容器に薬液を充填して調製した。ミスト製品は、容量150mLのペットボトル容器に薬液を充填して調製した。なお、各容器のノズルは一般的な家庭用除菌剤に用いられるものを使用し、薬液が噴出される噴射口は孔径が0.3mmのものを用いた。
【0028】
噴射量はそれぞれ、エアゾールスプレー=0.1g、蓄圧式スプレー=0.1g、ミスト=0.2gであった。ここで噴射量は、薬液をシャーレにスプレーし、シャーレを回して薬液を広げ、ガス分を抜いて1分後の重量である。
【0029】
本試験は、各製品を40℃又は4℃で4週間保存し、薬液の状態を目視にて確認した(各温度N=3)。判定基準は以下の通りである。
【0030】
○ 変化なし
△ やや変化有り
× 変化有り
結果を下表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
表2に示されるように、蓄圧式スプレー容器又はミスト容器に収容した場合はいずれの薬液も経時的に変化は認められなかった。一方、エアゾールスプレー容器に収容した場合、除菌剤(塩化ベンズアルコニウム)を含有する薬液(被験薬液3及び4)については、40℃で保管した際に沈殿を生じることが示された。
【0033】
試験例2.防腐力試験
本試験においては、被験薬液3をエアゾール製品、蓄圧式スプレー製品、ミスト製品にそれぞれ調製した場合の除菌効果について評価を行った。各製品の容器は、上記試験例1に記載の通りである。評価方法は、AOAC Official Methods of Analysis(2005)、AOAC Official Methods 961.02 Germicidal、及びSpray Products as Disinfectantsに記載の方法に従った。ただし、本試験例においては、2枚のプレート上の菌数をカウントし
て、平均値で判定を行った。
【0034】
具体的な試験手順は以下の通りである(各細菌についてN=2)。なお、細菌としては黄色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus(NBRC12732))及び大腸菌(Escherichia coli
(NBRC3972))を用いた(NBRC:独立行政法人製品評価技術基盤機構 生物遺伝資源センター)。
【0035】
(1)菌液は被検菌株を純培養増菌後MacFaland0.5になるようにNB培地(ニュートリエント
ブロス)に懸濁させ調製した。
(2)滅菌済み(オートクレーブ121℃、15分)ステンレスプレート上に、ピペットで菌液0.01mLを添加し、白金耳を用いて円状に塗り広げた。
(3)目視で乾いたらユニパック(チャック付きポリ袋)中で、エアゾール製品又は蓄圧式
スプレー製品を50cmの距離で1秒間噴霧した。ミスト製品は、同条件にて1プッシュで噴霧した。
(4)5分後にステンレスプレートを取り出し、50mL遠沈管に入れ、ピペットでSCDLP10ml
(インキュベーター希釈液「ダイゴ」:和光純薬工業株式会社製)を添加し、蓋をした。(5)10秒間ボルテックスで、攪拌し、ピペットを用いて100μL採取した。
(6)採取した液をSCDLP培地(JIS Z 2801に準じて作成)に摂取し、コンラージ棒を用いて培地上に塗り広げた。
(7)SCDLP寒天培地(ダイゴ:和光純薬工業株式会社製)を37℃、5%CO2のインキュベータ
ーで24時間培養後、目視で生菌数を数えた。
【0036】
【表3】

【0037】
表3より、被験薬液3を蓄圧式スプレー製品に調製した場合にのみ大腸菌と黄色ブドウ球菌の両方に対して優れた除菌効果が奏されることが示された。一方、ミスト製品の場合は、大腸菌に対する除菌効果は認められたものの、黄色ブドウ球菌に対する除菌効果は十分ではなかった。また、エアゾール製品の場合は大腸菌と黄色ブドウ球菌の両方に対して、十分な除菌効果が得られなかった。
【0038】
さらに、被験薬液3の薬液を用いて下記指標に従って評価を行った。評価基準は以下の通りである。
○ 生菌数が2桁以上減る
△ 生菌数が1桁以上2桁未満減る
× 生菌数が1桁未満減る
結果を下表4に示す。
【0039】
【表4】

【0040】
表4に示されるように、薬液を蓄圧式スプレー製品として調製した場合にのみ、大腸菌と黄色ブドウ球菌の両方に対して優れた除菌効果を奏し得ることが示された。
【0041】
試験例3.官能試験(芳香)
被験薬液3をエアゾール製品、蓄圧式スプレー製品又はミスト製品に調製した場合の芳香効果を評価した。各製品の容器は、上記試験例1に記載の通りであるが、噴射量はエアゾールスプレー=0.1g、蓄圧式スプレー=0.1g、ミスト=0.1gであった。試験方法は以下の通りである。
【0042】
10cm×10cmの布(綿又はポリエステル)又はろ紙に対し垂直に上方30cmの距離から、エアゾールと蓄圧式スプレーは1秒スプレーし、ミストの場合は、1/2プッシ
ュしたときを0時間とし、5分後、1時間後の香りの強さについて評価した。使用した布又はろ紙は以下の通りである。
綿:JIS染色堅牢度試験用(JIS L 0803準拠)綿
ポリエステル:JIS染色堅牢度試験用(JIS L 0803準拠)ポリエステル
ろ紙:パルプ層をレーヨン不織布層で挟んだろ紙(厚さ5mm) 10cm×10cm
評価基準は以下の通りである。評価結果は、被験者(7人)による評価の平均値として算出した。
【0043】
0 弱すぎる
1 弱い
2 やや弱い
3 ちょうどよい
4 やや強い
5 強い
6 強すぎる
結果を下表5に示す。
【0044】
【表5】

【0045】
表5に表されるように、蓄圧式スプレー製品に調製した場合には、エアゾール製品やミスト製品に比べて芳香が長時間維持される傾向が示された。また、ポリエステルは速乾性を有する素材であることが知られており、エアゾール製品やミスト製品では5分経過時点で芳香が弱くなってしまうが、蓄圧式スプレー製品では5分経過後もちょうどよい芳香が維持され、1時間経過してもエアゾール製品やミスト製品に比べて芳香が維持されていることが示された。すなわち、蓄圧式スプレー製品に調製することによって、噴霧時にちょうどよい芳香が得られ、さらに芳香が長時間維持されることが示された。
【0046】
試験例4.官能試験(消臭)
被験薬液3をエアゾール製品、蓄圧式スプレー製品又はミスト製品に調製した場合の消臭効果を評価した。各製品の容器は、上記試験例1に記載の通りである。試験方法は以下の通りである。
【0047】
10cm×10cmの布またはろ紙に、臭気強度が下記指標で3〜4程度になるように12.5%アンモニア水を0.1g、布に均一になるように塗布する。この布やろ紙に対し垂直上方30cmの距離から、エアゾールと蓄圧式スプレーは1秒スプレーし、ミストの場合は、1/2プッシュしたときを0時間とし、5分後に消臭の程度を評価した。コントロールとして、12.5%アンモニア水を0.1gを塗布したものを用いた。評価基準は以下の通りである。評価結果は、被験者(7人)による評価の平均値として算出した。
【0048】
0 無臭
1 やっと感知できるにおい
2 何のにおいか判る弱いにおい
3 楽に感知できるにおい
4 強いにおい
5 強烈なにおい
【0049】
また、アンモニアと被験薬液のにおいが混ざったときに感じる快・不快の程度についても評価した。評価基準は以下の通りである。評価結果は、被験者(7人)による評価の平均値として算出した。
【0050】
においの快・不快度:
−4=極端に不快
−3=非常に不快
−2=不快
−1=やや不快
0=快でも不快でもない
1=やや快
2=快
3=非常に快
4=極端に快
【0051】
【表6】

【0052】
【表7】

【0053】
【表8】

【0054】
表6〜8より、蓄圧式スプレー製品の場合、エアゾール製品又はミスト製品と比べて、臭気強度の低減効果(消臭効果)が優れていることが示された。さらに、アンモニアと被験薬液のにおいが混ざり合った場合にも、蓄圧式スプレー製品であれば、エアゾール製品やミスト製品に比べて不快感が低減されることが示された。すなわち、蓄圧式スプレー製品に調製することによって、優れた消臭効果及びマスキング効果が得られることが示された。
【0055】
処方例
以下に処方例を示す。下記表9に示される配合割合(重量%)で各成分を混合して、本発明の除菌用製品の薬液とすることができる。
【0056】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
除菌剤を含む薬液が蓄圧式スプレー容器に収容されていることを特徴とする、除菌用製品。
【請求項2】
前記薬液中に除菌剤を0.0001〜8重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の除菌用製品。
【請求項3】
薬液の溶剤が水及びエタノールを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の除菌用製品。
【請求項4】
前記薬液がさらに香料を含有し、芳香除菌用である、請求項1〜3のいずれかに記載の除菌用製品。
【請求項5】
前記薬液がさらに消臭剤を含有し、消臭除菌用である、請求項1〜4のいずれかに記載の除菌用製品。
【請求項6】
対物除菌用である、請求項1〜5のいずれかに記載の除菌用製品。
【請求項7】
布製品の除菌用である、請求項1〜5のいずれかに記載の除菌用製品。

【公開番号】特開2010−83806(P2010−83806A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254983(P2008−254983)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】