説明

蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルおよびそれを用いた蓄熱槽の湾曲面への断熱材の貼り付け方法

【課題】 隣接する断熱層間を繋ぐ連通孔部分における断熱層を付け替える作業を容易化する。
【解決手段】 蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10を、軸線方向の端面同士を互いに衝接させることにより連続した湾曲体15を形成する3枚以上の発泡樹脂製の湾曲断熱板11と、該湾曲断熱板によって形成される湾曲体の内周面側に貼り付けた防水シート12により作る。蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10は、連続した湾曲体(円筒体)15を形成する開いた姿勢と、隣接する湾曲断熱板を接合部で折り込んだ姿勢とを選択的に取れるようになり、折り込んだ姿勢では蓄熱槽20に形成されているマンホールなどの狭い開口部24を通過できる大きさとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルおよびそれを用いた蓄熱槽の湾曲面への断熱材の貼り付け方法に関し、特に、既存の地下蓄熱槽の連通管部分のような湾曲面部分におけるコンクリート躯体の内壁面に、後施工により断熱パネルを設置する作業を容易化することのできる蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルと、それを用いた断熱層を備えた蓄熱槽の湾曲面への断熱材の貼り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の省エネルギーシステムとして、地下に蓄熱槽を設け、夜間の安価な電力を利用して槽内に温水あるいは冷水を生成、貯留し、それを昼間に建物内に循環させることにより、当該建物の冷暖房に要するトータルコストを低減するようにした冷暖房システムが普及している。そのようなシステムで使用される蓄熱槽を構築するに当たっては、通常、最初に箱形をなすコンクリート躯体を造り、その後、その内壁面に樹脂発泡体のような断熱材を貼り付けて断熱層とし、さらにその上に防水シート等による防水層を形成するようにしている。
【0003】
蓄熱槽を2つ以上に区分けして作り、相互間を連通管で接続することも行われる。そのような連通管部分にも、箱形をなすコンクリート躯体の内壁面と同様に、断熱材が貼り付けられ、また必要に応じて防水層も形成される。連通管部分は通常円筒状であり、その直径も比較的小さい。そのような部分への断熱材の貼り付けを容易にして作業性を向上させる提案が、特許文献1に記載されている。そこでは、組み合わせて円筒状となる同一の曲率を有する複数に分割された湾曲断熱材を用意し、それを、順次、連通管部分の内周面に貼り付けるようにしている。
【0004】
ところで、蓄熱槽を新規に構築する場合には、箱形をなすコンクリート躯体の上方は広い開放空間となっているのが普通であり、施工時に、断熱層や防水層を形成するための資材をコンクリート躯体内である施工空間に搬入するのに格別の問題はない。断熱層や防水層の形成後、上方開放部には天井施工が行われ閉じられると共に、マンホールのような開口部を一部に形成して、清掃等、蓄熱槽内のメンテナンス時に、作業者が槽内に入り込みかつ用具を搬出入できるようにされる。
【0005】
上記のような蓄熱槽において、構築後に、断熱層や防水層を付け替えることが必要となる場合がある。断熱層等の付け替え作業に当たっては、最初に、既存の断熱層や防水層を槽内から除去する作業が必要となる。この作業は、マンホール等の開口部から作業者が機材と共に槽内に入り込み、既存の断熱層や防水層を適宜の大きさに破壊し、廃材を開口部から取り出せばよく、容易に行うことができる。
【0006】
その後、新たな断熱層のための断熱パネル等の機材を槽内に搬入することとなるが、メンテナンス用に設けてあるマンホールのような開口部は、通常、直径が600mm程度であり、それ以上の横幅のある断熱パネルを槽内に搬入することはできない。そのために、例えば断熱材の貼り付け箇所が断熱層間の連通管部分のような場合には、上記特許文献1に記載のように、複数に分割された横幅の狭くなった湾曲断熱材を用いることにより、作業時に、径の小さいマンホールの開口部から作業場である槽内にそれを搬入することが可能となり、作業性は向上する
【0007】
【特許文献1】特開2001−132993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、複数個に分割された湾曲断熱材を、連通管である狭い空間内において、一枚ずつ位置合わせをしながら、その内周面に貼り付けていく作業は容易でない。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、既存の蓄熱槽を改修することが必要となったときに、特に、その連通管部分のように湾曲面を備えた領域に対して新たな断熱層を貼り付ける作業をきわめて容易化することのできる蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルと、それを用いた蓄熱槽の湾曲面への断熱材の貼り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルは、軸線方向の端面同士を互いに衝接させることにより連続した湾曲体を形成する3枚以上の湾曲断熱板と、該湾曲断熱板によって形成される湾曲体の内周面側における各湾曲断熱材同士の接合部に沿うようにして貼り付けられた連結シートとを備えており、各湾曲断熱板は、連続した湾曲体を形成する開いた姿勢と、隣接する湾曲断熱板を接合部で折り込んだ姿勢とを選択的に取れるようになっており、折り込んだ姿勢では蓄熱槽に形成されているマンホールなどの狭い開口部を通過できる大きさとなることを特徴とする。
【0011】
各湾曲断熱板の曲率は、貼り付けようとする湾曲面の曲率に一致するようにされるが、連通管部分のように貼り付け面が円筒面の場合には、各湾曲断熱板の曲率半径は同一の曲率半径とされる。
【0012】
湾曲断熱板として、外周面側に溝が形成されているものを用いることができる。この形状の湾曲断熱板を用いた蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルでは、それを蓄熱槽のコンクリート躯体あるいは連通管部分などの湾曲した内周面に貼り付けたときに、コンクリートからの湧水を流し出す排水溝が同時に形成される利点がある。
【0013】
本発明による蓄熱槽の湾曲面への断熱材の貼り付け方法は、上記の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを折り込んだ姿勢として蓄熱槽のマンホールなどの狭い開口部を通過させて蓄熱槽内に搬入し、搬入後に蓄熱槽内の湾曲面部分において湾曲体をなすように開いた姿勢とし、その姿勢の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを蓄熱槽内の湾曲面部分に貼り付けることを特徴とする。
【0014】
本発明による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルは、全体が折り込み可能であり、折り込んだ状態では横幅が狭くなる。そのために、既存の蓄熱槽に付設しているマンホールなどの狭い開口部から容易に槽内に搬入することができる。搬入後は折り込まれた姿勢から開いた姿勢とすることで、3枚以上の湾曲断熱板が連続した湾曲体を形成する。その状態で断熱槽内の所要に湾曲した壁面に貼り付けることができるので、複数枚の湾曲断熱板を狭い空間内で個々に位置あわせするなどの作業は不要であり、施工効率は大きく向上する。
【0015】
本発明において、施工対象となる蓄熱槽内の湾曲面部分には、隣接する蓄熱槽間を接続する連通管の内周面部分が代表的に挙げられるが、蓄熱槽への入り口となるマンホールの内周面あるいは適宜筒状部分の内周面、さらには、内壁面同士のコーナー部に形成される曲率を持つ壁面部などであってもよい。また、前記のように、各湾曲断熱板の曲率は施工対象となる蓄熱槽内の湾曲面部分の曲率と同じものであることが望ましいが、異なっていても、発泡樹脂製である湾曲断熱板を変形させながら貼り付け施工することにより、密着した状態での施工が可能となる。この場合、前記したように外周面側に溝が形成されている湾曲断熱板はより変形しやすくなることから、湧水の排水路を形成する機能とともに、密接した貼り付け施工を容易化する効果ももたらされる。
【0016】
また、蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを連通管の内周面部分などの筒状内周面部分に貼り付ける場合、パネルの大きさは、閉じた筒形状(断面形状は円が好ましいが、楕円、長円など任意である)を形成できる大きさのものが好ましいが、対向する端面間に隙間が生じる大きさであっても、一部が重畳するような大きさであっても差し支えない。前者の場合に、必要な場合には、隙間部分を他の発泡樹脂材で充填する。
【0017】
本発明において、連結シートは、並列に対向配置している2枚の湾曲断熱板を折り込み可能な状態で一体化できるものであればよく、接合部に沿うようにして貼り付けた粘着テープのようなものであってよい。しかし、蓄熱槽の場合、形成した断熱層の上に防水層を形成することが必要であり、連結シートが単に連結機能のみを備える場合には、断熱パネルを貼り付けた後に、別途防水層を成形する作業が必要となる。それを回避するために、連結シートとして、各湾曲断熱板の全表面を少なくとも覆うことのできる大きさの防水性を備えたシートを用い、それを適宜の接着剤を用いて湾曲断熱板の内周面側に貼り付けた形態の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを用いることは望ましい。これにより、断熱層と防水層とを同時施工することが可能となる。
【0018】
上記の場合、連結シートを、蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルの一方の側縁からさらに外方に延出している部分を有する大きさとすることはさらに好ましい。この態様の断熱パネルでは、各湾曲断熱板が開いた姿勢で閉じた筒状体を形成するような場合に、端面同士の衝接部を前記シートの外側に延出する部分で覆うことができるので、端面同士の衝接部の止水性、防水性をより確実なものにすることができる。
【0019】
本発明において、発泡樹脂である湾曲断熱板の素材樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が好ましく用いられる。その密度は10〜150kg/m3 、より好ましくは20〜100kg/m3 である。連結シートとして防水性を備えたシートを用いる場合に、そのようなシートとしては、合成樹脂系シートやゴム系シート等を挙げることができる。合成樹脂系シートとしては、ポリオレフィン系樹脂シート、ポリエチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、塩化ビニル系樹脂シート、EVA系樹脂シート等、ゴム系シートとしては加硫ゴム系シート、非加硫ゴム系シート等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、断熱層を備えた地下蓄熱槽において、何らかの事情により、湾曲した内周面、特に、隣接する断熱層間を繋ぐ連通孔部分における断熱層を付け替えることが必要となった場合に、その付け替え作業を容易かつ少ない施工工数で行うことが可能となる。また、本発明によれば、蓄熱槽を新規に構築する場合でも、箱型をなすコンクリート躯体の天井施工を行った後に、マンホールなどの狭い開口部から蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを搬入し、容易かつ少ない施工工数で断熱層施工を行うことが可能なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は本発明による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルの1形態を示す図であり、図1aは折り込んだ姿勢の斜視図、図1bは開いた姿勢の斜視図であり、図1cは開いた姿勢を側面から見て示している。図2は図1に示す蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを蓄熱槽の連通管の内周面へ貼り付ける方法を説明するための概略図である。図3〜図5は蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルの他の形態を示している。
【0022】
図1に示す本発明による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10は、軸線方向の長さLの等しい3枚の湾曲断熱板11(11a、11b、11c)を備える。各湾曲断熱板11は同じ曲率半径で円弧状に湾曲しており、軸線方向の端面同士を互いに衝接させた姿勢とすることにより、1つの円筒体(湾曲体)15を構成するようにされている。3枚の湾曲断熱板11a、11b、11cの円弧角は異なっており、この例において、湾曲断熱板11aの円弧角αはほぼ105度、湾曲断熱板11bの円弧角βはほぼ135度、湾曲断熱板11cの円弧角θほぼ120度である。なお、この円弧角は、折り込み作業のしやすさと折り込み後の姿勢などを考慮しながら、適宜設定する。
【0023】
湾曲断熱板11は好ましくは発泡ポリスチレン板であり、厚さは10〜150mm程度である。蓄熱槽の施工現場で求められる断熱環境や断熱層を形成すべき筒状部分の大きさ等を考慮して、最適な厚みのものとされる。
【0024】
3枚の湾曲断熱板11の内周面側には、全面にわたりポリプロピレン系樹脂シートのような防水性を備えたシート12が接着積層されており、3枚の湾曲断熱板11は軸線方向の端面の内周面側の側縁同士を互いに接した状態で、防水シート12により分離不能に一体化されている。ただし、図1aに示すように、1枚目の湾曲断熱板11aと3枚目の湾曲断熱板11cの端面(側縁)同士は非接続状態とされており、3枚目の湾曲断熱板11cの非接続状態にある側縁からは、貼り付けた防水シート12が外側(1枚目の湾曲断熱板11a側)に延出12aしている。
【0025】
上記の構成であり、蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10は、図1aに示す、湾曲断熱板11aを最も内側とし、2枚目の湾曲断熱板11bと3枚目の湾曲断熱板11cとを外側とした折り込んだ姿勢と、図1bあるいは図1cに示す、開いた姿勢、すなわち円筒体15を構成する姿勢と、を選択的に取ることができる。そして、折り込んだ姿勢では、その横幅は、開いた姿勢で作られる円筒体15の直径よりも狭いものとなる。また、開いた姿勢では、1枚目の湾曲断熱板11aと3枚目の湾曲断熱板11cの端面(側縁)同士が衝接した姿勢となり、その接合面は、内周面に貼り付けた防水シート12の前記延出部12aにより覆われるようになる。
【0026】
上記の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10を用いて、2つの蓄熱槽20、20間の連通管21の内周面へ断熱層を形成する方法を説明する。図2に示すように、既存の地下蓄熱槽20は、4周の側壁と底部とからなる箱形のコンクリート躯体部22とその天部を閉鎖する天井部23とを有し、天井部23の一部に、メンテナンス時等に使用するための直径が600mm程度の比較的入口幅の狭いマンホールのような開口部24が形成されるのが普通である。
【0027】
何からの事情により、既存の蓄熱槽20の内壁面や連通管21の内周面に形成されている断熱層を取り壊し、新たに断熱板を貼り付けて断熱層を再形成することが必要になった場合、作業者は、開口部24から必要な機材とともに蓄熱槽20内に入り込み、既存の防水層や断熱層を取り壊し、開口部24から搬出する。その後で、新たに貼り付けるべき蓄熱槽内壁面用断熱材26と蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10を断熱層20内に運び込むこととなるが、その際、蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10を図1aに示すように折り込んだ姿勢とすることにより、蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10の横幅は狭いものとなるので、既存の開口部24から支障なく槽内に搬入することができる。蓄熱槽内壁面用断熱材26も同様に折り込み可能なものとして構成しておくことにより、その槽内への搬入も容易となる。
【0028】
作業者は、蓄熱槽内壁面用断熱材26を蓄熱槽20の内壁面に貼り付けるとともに、折り込んだ姿勢で槽内に搬入した蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10を、槽内で半開きにした姿勢とし、それを必要に応じ接着剤が内周面に塗布してある連通管21の内部に持ち込み、所要に位置決めをしながら内側から壁面に押しつけるようにして、全開状態とする。それにより、持ち込んだ蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10は、図1b、1cに示すように、端面同士がすべて衝接した円筒体15の状態となり、新たに形成される接合面は防水シート12の延出部12aにより覆われる。
【0029】
このように、本発明による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10を用いることにより、蓄熱槽20内の連通管21の内周面における断熱層と防水層の付け替え作業を、少ない工数でもって同時に完了することができる。なお、防水層を別行程で構築することを予定する場合には、図示しないが、防水シート12に変えて、各湾曲断熱板11の内周面側における湾曲断熱材同士の接合部に沿うようにして、粘着テープのような連結シートを単に貼り付けるようにしてもよい。この場合でも、上記した開いた姿勢と折り込んだ姿勢とを選択的にとることができることは理解されよう。
【0030】
図3は、他の形態による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10Aを示している。ここでは、各湾曲断熱板11の外周面には軸方向に延びる第1の溝16が所要本数だけ形成されている。また、図4はさらに他の形態による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10Bを示しており、ここでは、各湾曲断熱板11の外周面に軸方向に延びる第1の溝16と周方向の延びる第2の溝17とが所要本数だけ形成されている。
【0031】
いずれのものも、前記した折り込んだ姿勢(図3a、図4a)と開いた姿勢(図3b、図4b)とを選択的にとれることは、図1に示したものと同様であるが、さらに、コンクリート躯体への貼り付け後に、外周面に形成した第1と第2の溝16、17がコンクリート躯体から湧き出る湧水を排出するための排水路として有効に機能することとなり、断熱層の寿命を長期化するメリットをもたらす。さらに、このような溝16,17を外周面側に形成することにより、発泡樹脂である湾曲断熱板11の変形性が向上するので、湾曲断熱板11の曲率と連通管内周面の曲率とにずれがあるような場合でも、密着した状態での貼り付けが容易となる。
【0032】
上記の例では、蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10が3枚の湾曲断熱板11から構成されるものを説明したが、同じ大きさの蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10をより多くの枚数の湾曲断熱板11で作るようにしてもよい。それにより、折り込んだ姿勢での横幅をより小さくすることができる。図5aのものは12枚の湾曲断熱板11で作られており、図5bのものは4枚の湾曲断熱板11で作られている。開いた姿勢では同じ大きさの円筒体15となるが、折り込んだ姿勢ではその大きさが違ってくることがわかる。
【0033】
さらに、上記の例では、開いた姿勢で完全な円筒体15となるものを示したが、図5cに示すように、開いた状態で対向する側縁同士が閉じた状態とならずに、一部が開いた湾曲体15aを構成するもの、あるいは、図5dに示すように、開いた状態で一部が重なり合うような湾曲体15bを構成するもの、などであってもよい。これらのものは、施工現場での貼り付け領域に寸法に合うように、縮径した姿勢としたり、拡径した姿勢としたり、一部を除去した姿勢としたりして、適宜使用することができる。さらに、各湾曲断熱板の曲率は同じであることが望ましいが、施工現場の状況に合わせて、異なっていても差し支えない。
【0034】
図示しないが、蓄熱槽20の内壁面同士のコーナー部が曲率を持つようにして形成されているような場合にも、本発明による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル10を用いることにより、容易に断熱層を形成できる。その際には、湾曲断熱板11には、好ましくは該コーナー部の曲率に一致する曲率を持つものが用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルの1形態を示す図であり、図1aは折り込んだ姿勢の斜視図、図1bは開いた姿勢の斜視図であり、図1cは開いた姿勢を側面から見て示す図である。
【図2】図1に示す蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを蓄熱槽の連通管の内周面へ貼り付ける方法を説明するための概略図である。
【図3】蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルの他の形態を示す斜視図であり、図3aは折り込んだ姿勢を、図3bは開いた姿勢を示している。
【図4】蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルのさらに他の形態を示す斜視図であり、図4aは折り込んだ姿勢を、図4bは開いた姿勢を示している。
【図5】図5a〜図5dは蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルのさらに他の4つの形態を示している。
【符号の説明】
【0036】
10…蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル、11(11a、11b、11c)…湾曲断熱板、15…形成される円筒体(湾曲体)、12…防水シート、12a…防水シートの延出部、20…蓄熱槽、21…連通管、22…コンクリート躯体部、23…天井部、24…マンホールのような開口部、16、17…湾曲断熱板の外周面に形成される溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルであって、軸線方向の端面同士を互いに衝接させることにより連続した湾曲体を形成する3枚以上の発泡樹脂製の湾曲断熱板と、該湾曲断熱板によって形成される湾曲体の内周面側における各湾曲断熱材同士の接合部に沿うようにして貼り付けられた連結シートとを備えており、各湾曲断熱板は、連続した湾曲体を形成する開いた姿勢と、隣接する湾曲断熱板を接合部で折り込んだ姿勢とを選択的に取れるようになっており、折り込んだ姿勢では蓄熱槽に形成されているマンホールなどの狭い開口部を通過できる大きさとなることを特徴とする折り込み可能な蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル。
【請求項2】
各湾曲断熱板の曲率半径が同一であることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル。
【請求項3】
全部または一部の湾曲断熱板の外周面側には溝が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル。
【請求項4】
連結シートは、3枚以上の湾曲断熱板の全内周面側を少なくとも覆うことのできる大きさの防水性を備えたシートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル。
【請求項5】
連結シートは、蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルの一方の側縁からさらに外方に延出している部分を有することを特徴とする請求項4に記載の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを折り込んだ姿勢として蓄熱槽のマンホールなどの狭い開口部を通過させて蓄熱槽内に搬入し、搬入後に蓄熱槽内の湾曲面部分において湾曲体を形成する開いた姿勢とし、その姿勢で蓄熱槽内の湾曲面部分に蓄熱槽内湾曲面用断熱パネルを貼り付けることを特徴とする蓄熱槽の湾曲面への断熱材の貼り付け方法。
【請求項7】
蓄熱槽内の湾曲面部分が蓄熱槽間の連通管部分であることを特徴とする請求項6に記載の蓄熱槽の湾曲面への断熱材の貼り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−225916(P2006−225916A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39149(P2005−39149)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】