説明

蓄熱空調設備管理システム

【課題】保守担当者の携帯電話に警報メールが届いた場合に、保守担当者が設備の主要機器の運転状態も携帯メールで確認することができる蓄熱空調設備管理システムを提供すること。
【解決手段】携帯電話3は、蓄熱空調設備2が備える複数の機器のうち一部の機器の機器状態に異常が発生した場合に、異常が発生したことを示すデータを機器監視端末21から受信して表示部35に表示する。さらに、携帯電話3は、警報メールに対する返信操作を受け付けたことに応じて、機器監視端末21に複数の機器の機器状態を示すデータの送信要求をし、当該機器状態を示すデータを受信して携帯電話3の表示部35に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱空調設備管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄熱受託事業などの全自動化で運転している空調熱源設備は、通常無人であり、異常発生時に保守担当者の携帯電話に異常警報メールを発信し、保守担当者は携帯電話に着信した異常警報メールをみて、設備に駆けつけるか否かの緊急対応を行っている。
【0003】
このように、設備に異常が生じた場合に携帯電話にメールを送信することにより警報を発生する監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−115949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された監視システムでは、警報内容のみがメールにより送信されてくるので、保守担当者が、設備の主要機器の運転状態などを知るためには、現地に行くか、インターネット経由で遠隔監視用パソコンで確認する必要があった。
【0006】
このような設備では、発生した警報にも緊急を要するものもある一方で、早急な対策が必要ないものもあることが知られている。そのため、携帯電話に警報メールが届くたびに現地に行き対応していたのでは、保守担当者に手間がかかり、特に、夜間や休日などでは、その負担も多大なものとなっていた。そこで、警報内容のみならず、設備の主要機器の運転状態も携帯メールで確認した上で、現地に行くか否かを判断する必要があった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みて、保守担当者の携帯電話に警報メールが届いた場合に、保守担当者が設備の主要機器の運転状態も携帯メールで確認することができる蓄熱空調設備管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 携帯端末と、前記携帯端末と通信可能に接続され、蓄熱空調設備が有する複数の機器の機器状態を監視する機器監視端末と、を備えた蓄熱空調設備管理システムであって、前記機器監視端末は、前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の機器状態に異常が発生した場合に、蓄熱空調設備に異常が発生したことを示すデータを前記携帯端末に送信する異常発生データ送信部と、前記携帯端末から前記複数の機器の機器状態を要求するデータを受信したことに応じて、前記複数の機器の機器状態を示すデータを前記携帯端末に送信する機器状態送信部と、を備え、前記携帯端末は、前記機器監視端末から前記異常が発生したことを示すデータを受信する異常発生データ受信部と、前記異常発生データ受信部が受信したデータを表示する表示部と、所定の操作を受け付けたことに応じて前記複数の機器の機器状態を要求するデータを前記機器監視端末に送信する機器状態要求送信部と、前記機器監視端末から前記複数の機器の機器状態を示すデータを受信する機器状態受信部と、を備え、前記表示部は、前記機器状態受信部が受信したデータを表示することを特徴とする蓄熱空調設備管理システム。
【0009】
本発明の蓄熱空調設備管理システムによれば、携帯端末は、複数の機器のうち一部の機器の機器状態に異常が発生した場合に、異常が発生したことを示すデータを機器監視端末から受信して表示部に表示する。さらに、携帯端末は、所定の操作を受け付けたことに応じて、機器監視端末に複数の機器の機器状態を示すデータの送信要求をし、当該機器状態を示すデータを受信して携帯端末の表示部に表示することができる。
【0010】
したがって、保守担当者は、携帯端末にて所定の操作を行えば、複数の機器の機器状態も携帯メールで確認することができるので、警報の緊急度を把握でき、設備まで駆けつける必要があるか否かを迅速に判断することができる。
【0011】
(2) 前記異常発生データ送信部は、前記異常が発生する度に、前記異常が発生したことを示すデータを前記携帯端末に送信し、前記表示部は、前記異常発生データ受信部が受信した回数分の前記異常が発生したことを示すデータを、前記携帯端末が特定の操作を受け付ける度に一つずつ表示することを特徴とする(1)に記載の蓄熱空調設備管理システム。
【0012】
一般に、蓄熱空調設備は、一の機器で異常が発生すると連動して他の複数の機器にも影響して異常が発生することがよく起こる。
この蓄熱空調設備管理システムによれば、機器監視端末は、異常が発生する度に異常発生データを携帯端末に送信するので、異常発生を漏れなく知らせることができる。さらに、携帯端末の表示部は、受信した回数分の異常発生データを、携帯端末が特定の操作を受け付ける度に一つずつ表示するので、保守担当者は、特定の操作を行い、所望する異常発生データのみを閲覧することができる。
【0013】
(3) 前記表示部は、前記異常発生データ受信部が受信したデータとともに前記所定の操作を示唆する映像を表示することを特徴とする(1)又は(2)に記載の蓄熱空調設備管理システム。
【0014】
この蓄熱空調設備管理システムによれば、保守担当者は、複数の機器の機器状態を要求するための所定の操作を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、保守担当者の携帯電話に警報メールが届いた場合に、保守担当者が設備の主要機器の運転状態も携帯メールで確認することができる蓄熱空調設備管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による蓄熱空調設備管理システムの全体構成図である。
【図2】前記実施形態による蓄熱空調設備の全体構成を示す図である。
【図3】前記実施形態による蓄熱空調設備管理システムの機能ブロック図である。
【図4】前記実施形態による蓄熱空調設備管理システムを構成する機器監視端末などで行われる処理のフローチャートである。
【図5】前記実施形態による表示部における表示例である。
【図6】前記実施形態による表示部における表示例である。
【図7】前記実施形態による表示部における表示例である。
【図8】前記実施形態による表示部における表示例である。
【図9】前記実施形態による表示部における表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態による蓄熱空調設備管理システム1について説明する。
【0018】
図1は蓄熱空調設備管理システム1の全体構成図である。蓄熱空調設備管理システム1は、蓄熱空調設備2に設けられた機器監視端末21と、保守担当者が利用する携帯電話3と、機器監視端末21及び携帯電話3を通信可能に接続する通信ネットワーク4を備えている。
【0019】
機器監視端末21は、蓄熱空調設備2が備える各種機器の機器状態データを受信し、機器状態を機器監視端末21の表示装置に表示する。なお、機器状態とは、蓄熱空調設備2が備える機器の駆動状態(運転中、停止中)や機器が計測した計測値をいう。
【0020】
[蓄熱空調設備]
図2は、蓄熱空調設備2の全体構成を示す図である。
【0021】
蓄熱空調設備2は、第1冷却系5、第2冷却系6、店舗循環系7及び熱交換器81とから構成されている。
第1冷却系5は、例えば5℃程度の冷水を熱交換器81に供給し、熱交換器81は、供給された5℃程度の冷水と店舗循環系7で循環する冷水とを熱交換し、店舗循環系7で循環する冷水を例えば7℃程度の冷水にする。蓄熱空調設備2では、熱交換器81で7℃程度に冷却された冷水を店舗循環系7に供給ことで、店舗の空調に利用する。第2冷却系6は、第1冷却系5による冷水の供給で足りない場合に、第1冷却系5を補うために7℃程度の冷水を店舗循環系7に供給して店舗の空調に利用する。
【0022】
[第1冷却系]
まず、第1冷却系5の概要について説明する。
第1冷却系5は、ブラインターボ冷凍機51、氷蓄熱ユニット52、第1冷却塔53、第1ポンプ54及び第2ポンプ55からなる運転機器群と、第1温度計101、氷量計102及び第1電磁流量計103からなる計測機器群と、夜間用流水路201と、日中用流水路202と、を備えている。
第1冷却系5では、夜間に氷蓄熱ユニット52の冷却水面下に配設された夜間用流水路201を利用して、例えば−6℃程度の不凍液であるブラインを循環させて氷蓄熱ユニット52に氷を生成・蓄積し、日中に日中用流水路202を利用して、氷蓄熱ユニット52に蓄積した氷を用いて5℃程度の冷水を熱交換器81に供給する。
【0023】
次に、第1冷却系5の運転機器群について説明する。
ブラインターボ冷凍機51は、ヒートポンプ方式の冷凍機であり、夜間用流水路201を循環するブラインを−6℃程度に冷却する。ブラインターボ冷凍機51で冷却されたブラインは、第1ポンプ54により夜間用流水路201を循環し、氷蓄熱ユニット52に供給される。
氷蓄熱ユニット52は、供給されたブラインを用いて、氷蓄熱ユニット52内に貯留された冷水を冷却し、氷結させる。なお、氷蓄熱ユニット52に供給されたブラインは、第1ポンプ54を介してブラインターボ冷凍機51に還流され、ブラインターボ冷凍機51で再び冷却される。
第1冷却塔53は、冷却水を用いてブラインターボ冷凍機51で生じた熱を吸収し、吸収した熱を外気へ放出する。第2ポンプ55は、ブラインターボ冷凍機51で生じた熱を吸収するための冷却水を循環させる。
【0024】
なお、第1ポンプ54は、夜間は氷蓄熱ユニット52に氷を生成するために、ブラインターボ冷凍機51により生成されたブラインを夜間用流水路201に循環し、日中(昼間)は、氷蓄熱ユニット52に生成された氷を用いて冷却された5℃程度の冷水を日中用流水路202で循環し、当該冷却水を熱交換器81に供給する。
すなわち、夜間用流水路201は、夜間にブラインが循環する水路であり、ブラインターボ冷凍機51からのブラインを氷蓄熱ユニット52に供給する。また、日中用流水路202は、日中に冷水が循環する水路であり、氷蓄熱ユニット52に生成された氷を用いて冷却された冷水を熱交換器81に供給する。
【0025】
これらの運転機器群のそれぞれは、各機器が運転中であるか停止中であるかを示す機器状態データを機器監視端末21に送信する。
【0026】
次に、第1冷却系5の計測機器群について説明する。
第1温度計101は、夜間用流水路201を循環するブラインの温度を計測し、計測したブラインの温度を機器状態データとして機器監視端末21に送信する。氷量計102は、氷蓄熱ユニット52に蓄積された氷量を計測し、計測した氷量を機器状態データとして機器監視端末21に送信する。また、第1電磁流量計103は、氷蓄熱ユニット52からの冷水の流量を計測し、計測した冷水の流量を機器状態データとして機器監視端末21に送信する。
【0027】
蓄熱空調設備管理システム1は、機器の状態に異常が発生した場合に、保守担当者に当該異常の緊急度を付加的に送信するものであり、第1温度計101、氷量計102、及び第1電磁流量計103が測定した情報は、異常の緊急度を判断するために用いることができる。なお、第1温度計101、氷量計102、及び第1電磁流量計103は、第1冷却系5の代表的な計測機器を例示したものであり、他の計測機器を含むこととしてもよい。
【0028】
また、各計測機器が測定した情報と、予め任意に設定されたしきい値との関係によって、第1冷却系5に異常が発生していることを検知することとしてもよい。
例えば、第1温度計101は、氷蓄熱ユニット52に供給されるブラインが氷を生成するのに十分な温度であるか否か判定し、氷を生成するために十分な温度でない場合には、異常を検知することとしてもよい。また、例えば、氷量計102は、任意の時刻における氷量が十分な量であるか否かを判定し、十分な量の氷が生成されていない場合には、異常を検知することとしてもよい。また、例えば、第1電磁流量計103は、氷蓄熱ユニット52から供給されている冷水の流量が予め設定された量に達しているか否かを判定し、予め設定された量に達していない場合には、異常を検知することとしてもよい。
また、各計測機器が以上を検知した場合には、異常を検知したことを示すデータを機器監視端末21に送信することとしてもよい。
【0029】
[第2冷却系]
まず、第2冷却系6の概要について説明する。
第2冷却系6は、冷水ターボ冷凍機61、第2冷却塔62、第3ポンプ63及び第4ポンプ64からなる運転機器群と、第2温度計111及び第2電磁流量計112からなる計測機器群を備えている。
第2冷却系6では、日中に例えば7℃程度の冷水を循環させて店舗に冷水を供給する。
【0030】
次に、第2冷却系6の運転機器群について説明する。
冷水ターボ冷凍機61は、高効率のインバーター形式で構成される冷凍機であり、7℃程度の冷水を生成する。冷水ターボ冷凍機61で生成された冷水は、第3ポンプ63により店舗循環系7に供給される。なお、店舗循環系7に供給された冷水は、第3ポンプ63により冷水ターボ冷凍機61に還流され、冷水ターボ冷凍機61で再び冷却される。
第2冷却塔62は、冷却水を用いて冷水ターボ冷凍機61で生じた熱を吸収し、吸収した熱を外気へ放出する。第4ポンプ64は、冷水ターボ冷凍機61で生じた熱を吸収するための冷却水を循環させる。
【0031】
これらの運転機器群のそれぞれは、各機器が運転中であるか停止中であるかを示す機器状態データを機器監視端末21に送信する。
【0032】
次に、第2冷却系6の計測機器群について説明する。
第2温度計111は、店舗循環系7に供給される冷水の温度を計測し、計測した冷水の温度を機器状態データとして機器監視端末21に送信する。第2電磁流量計112は、店舗循環系7に供給される冷水の流量を計測し、計測した冷水の流量を機器状態データとして機器監視端末21に送信する。
【0033】
なお、第2冷却系6の計測機器群について、第1冷却系5の計測機器群と同様に他の計測機器を含むこととしてもよく、また、各計測機器が測定した情報と、予め任意に設定されたしきい値との関係によって、第2冷却系6に異常が発生していることを検知することとしてもよい。
【0034】
[店舗循環系]
次に、店舗循環系7の概要について説明する。
店舗循環系7は、第5ポンプ71及び第6ポンプ72からなる運転機器群と、第3温度計121、第4温度計122及び第3電磁流量計123からなる計測機器群とを備えている。店舗循環系7は、日中に例えば7℃程度の冷水を循環させて店舗の空調を制御する。
【0035】
次に、店舗循環系7の運転機器群について説明する。
第5ポンプ71は、熱交換器81を介して第1冷却系5から供給された冷水を店舗に供給する。なお、第5ポンプ71は、第2冷却系6から冷水が供給される場合には、この冷水も店舗に供給する。
第6ポンプ72は、店舗を循環した冷水を熱交換器81及び第2冷却系6に供給する。店舗を循環した冷水は、熱交換器81により熱交換され、又は第2冷却系6の冷水ターボ冷凍機61で冷却され、再び7℃程度に冷却される。
【0036】
これらの運転機器群のそれぞれは、各機器が運転中であるか停止中であるかを示す機器状態データを機器監視端末21に送信する。
【0037】
次に、店舗循環系7の計測機器群について説明する。
第3温度計121は、店舗から還流された冷水の温度を計測し、計測した冷水の温度を機器状態データとして機器監視端末21に送信する。第3電磁流量計123は、店舗に供給される冷水の流量を計測し、計測した冷水の流量を機器状態データとして機器監視端末21に送信する。
【0038】
なお、店舗循環系7の計測機器群について、第1冷却系5の計測機器群と同様に他の計測機器を含むこととしてもよく、また、各計測機器が測定した情報と、予め任意に設定されたしきい値との関係によって、第2冷却系6に異常が発生していることを検知することとしてもよい。
【0039】
図3は蓄熱空調設備管理システム1の機能ブロック図である。蓄熱空調設備2は機器監視端末21を備える。機器監視端末21は、異常発生データ送信部211、機器状態要求受信部212及び機器状態送信部213を備える。携帯電話3は、異常発生データ受信部31、機器状態要求送信部32、機器状態受信部33、操作部34及び表示部35を備える。
【0040】
機器監視端末21の異常発生データ送信部211は、蓄熱空調設備2が備える複数の機器のうち少なくとも一部の機器の機器状態に異常が発生した場合に、携帯電話3に異常発生データを送信する。例えば、異常発生データ送信部211は、各種機器から受信した機器状態データから、運転機器群のうち運転中であるべき機器が停止中であると判別した場合に、当該機器に異常が発生したと判別し、また、計測機器群から異常が発生していることを示す測定結果を受信した場合に、当該機器に異常が発生したと判別する。
【0041】
携帯電話3の異常発生データ受信部31は、異常発生データ送信部211から送信される異常発生データを受信し、受信した異常発生データを表示部35に表示させる。
【0042】
ここで、蓄熱空調設備2に設けられた機器は、互いに密接に関連しあって稼動しているため、一の機器で異常が起こると他の機器にも影響を与える場合がある。そのため、異常発生データ送信部211は、一の機器で発生した異常に伴い複数の異常発生データを送信する場合がある。このような場合には、蓄熱空調設備2の保守担当者としては、原因や緊急度を判断できず、対応に多大な手間がかかることになる。そこで、本実施の形態では、携帯電話3に機器状態要求送信部32を設け、携帯電話3から受信した機器状態を要求するデータに基づいて、異常の原因や緊急度を判断するための複数の機器の機器状態を示すデータを携帯電話3に返信することとしている。
【0043】
具体的には、携帯電話3の機器状態要求送信部32は、操作部34から所定の操作(図5で後述する返信操作)を受け付けたことに応じて、蓄熱空調設備2が備える複数の機器の機器状態を要求するデータを機器監視端末21に送信する。すなわち、異常が発生した機器を含む全ての機器の機器状態(運転状態や測定値)を、機器監視端末21に要求する。
【0044】
機器監視端末21の機器状態要求受信部212は、当該機器状態を要求するデータを受信する。また、機器監視端末21の機器状態送信部213は、当該機器状態を要求するデータを受信したことに応じて、蓄熱空調設備2が備える複数の機器の機器状態を示すデータを携帯電話3に送信する。
携帯電話3の機器状態受信部33は、当該機器状態を示すデータを受信し、受信したデータを表示部35に表示させる。
【0045】
以上、蓄熱空調設備管理システム1の機能構成について説明した。なお、蓄熱空調設備管理システム1を構成する機器監視端末21及び携帯電話3は、コンピュータ及びその周辺装置に適用される。そして、機器監視端末21及び携帯電話3の備える各部は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
【0046】
上記ハードウェアには、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)の他、記憶部、通信装置、表示装置及び入力装置が含まれる。記憶部としては、例えば、メモリ(RAM:Random Access Memory、ROM:Read Only Memoryなど)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)及び光ディスク(CD:Compact Disk、DVD:Digital Versatile Diskなど)ドライブが挙げられる。通信装置としては、例えば、各種有線及び無線インターフェース装置が挙げられる。表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの各種ディスプレイが挙げられる。入力装置としては、例えば、キーボード及びポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボールなど)が挙げられる。
【0047】
上記ソフトウェアには、上記ハードウェアを制御するコンピュータ・プログラムやデータが含まれる。コンピュータ・プログラムやデータは、記憶部により記憶され、制御部により適宜実行、参照される。また、コンピュータ・プログラムやデータは、通信回線を介して配布されることも可能であり、CD−ROMなどのコンピュータ可読媒体に記録して配布されることも可能である。
【0048】
続いて、図4を参照して、蓄熱空調設備管理システム1における処理の流れについて説明する。図4は、蓄熱空調設備管理システム1を構成する機器監視端末21などで行われる処理のフローチャートである。
【0049】
ステップS1において、機器監視端末21のCPUは、異常発生の有無を判定する。具体的には、機器監視端末21が蓄熱空調設備2に備えられた機器の異常を検知したか否かを判定する。異常を検知した場合、処理をステップS2に移し、異常を検知しない場合、処理をステップS1に移す。
【0050】
ステップS2において、機器監視端末21のCPUは、異常発生データ送信を行う。具体的には、図5で後述する警報メールを携帯電話3に送信する。続いて、携帯電話3のCPUは、機器監視端末21から送信された異常発生データを受信する(ステップS3)。
【0051】
なお、ステップS1の処理では、機器監視端末21が各種機器から受信した機器状態データに異常がある度にYESと判定されるので、ステップS2及びステップS3の処理は、複数の機器のそれぞれに異常が発生する度に行われる。
【0052】
ステップS4において、携帯電話3のCPUは、異常発生データ表示を行う。具体的には、図5で後述する警報メールの画像を表示部35に表示する。なお、ステップS4では、携帯電話3のCPUは、受信した警報メールを閲覧するための操作が携帯電話3の操作部34にて行われたことを検出すると、図5で後述する警報メールを表示部35に表示する。すなわち、操作部34が当該操作を受け付ける度に警報メールを一つずつ表示部35に表示する。したがって、ステップS3で多くの警報メールを受信した場合であっても、保守担当者は、当該操作を行うことで所望する警報メールのみを閲覧することができる。
【0053】
ステップS5において、携帯電話3のCPUは、機器状態要求操作を受け付けたか否かを判定する。具体的には、操作部34が警報メールに対する返信操作(図5で後述)を受け付けたか否かを判定する。当該返信操作を受け付けた場合、処理をステップS6に移し、受け付けていない場合、処理をステップS5に移す。
【0054】
ステップS6において、携帯電話3のCPUは、機器状態要求信号送信を行う。具体的には、蓄熱空調設備2に備えられた複数の機器の機器状態を要求するデータを機器監視端末21に送信する。
【0055】
ステップS7において、機器監視端末21のCPUは、機器状態要求信号受信を行う。具体的には、当該機器状態を要求するデータを携帯電話3から受信する。
【0056】
ステップS8において、機器監視端末21のCPUは、機器状態データ送信を行う。具体的には、図6及び図7で後述する機器状態を示す情報を携帯電話3に送信する。続いて、携帯電話3のCPUは、機器状態データを受信する(ステップS9)。
【0057】
ステップS10において、携帯電話3のCPUは、受信した危機状態を示す情報を表示部35に表示する。具体的には、図6及び図7で後述する機器状態を示す情報を表示部35に表示する。
【0058】
次に、図5〜図7を参照して、携帯電話3の表示部35に表示される警報メールの表示例について説明する。
【0059】
蓄熱空調設備2を構成する複数の機器のうち少なくとも一部の機器で異常が発生すると、異常発生を示す情報(警報メール)が携帯電話3に送信される。図5は、ブラインターボ冷凍機51が停止した際に、送信される警報メールを示す表示例である。
【0060】
図5では、夜間にブラインターボ冷凍機51が停止するという異常が起きたことを示す警報メールが表示部35に表示されている。保守担当者にすると、ブラインターボ冷凍機51が停止した異常が緊急度の高い異常であるか否かを把握することを望む。すなわち、ブラインターボ冷凍機51が停止していても、例えば、店舗に冷水を供給するための凍りが既に十分な量だけ氷蓄熱ユニット52で生成されていた場合には、さほど緊急ではないと把握でき、氷蓄熱ユニット52で生成された氷が未だ不十分である場合には、緊急度が高く直ちに現場に駆けつけなければならないことを把握できる。
【0061】
そこで、本実施の形態では、保守担当者が「返信」の箇所にカーソルを移動操作して携帯電話3の決定ボタン(図示せず)を押下することにより、携帯電話3は、機器監視端末21から蓄熱空調設備2に備えられた複数の機器の機器状態を示す情報を受信することとしている。
【0062】
図6及び図7は、蓄熱空調設備2に備えられた複数の機器の機器状態を示す情報の表示例である。
図6によれば、ブラインターボ冷凍機51以外にも様々な機器が停止中であることを一覧表示から把握することができる。なお、図6において表示されていない機器の機器状態を示す情報については、「次へ」の箇所にカーソルを移動操作して携帯電話3の決定ボタンを押下することにより表示することができる(図7)。
図7を参照して、蓄熱空調設備2に備えられた機器のうち計測機器群に関する機器状態を示す情報が表示されている。図7によると、氷蓄熱ユニット52には既に十分な量の氷が生成されており、各温度計による温度にも目立った異常が見られないことから、保安担当者は、図5に示す警報メールは緊急度合いがそれほど高くないことを把握できる。その結果、例えば、深夜現場から離れた場所で警報メールを受信した場合に、わざわざ現場まで駆けつける必要がなく、保安担当者の手間を軽減することができる。
【0063】
このように、本実施の形態では、警報メールに対して返信するだけで、蓄熱空調設備2に備えられた他の機器の機器状態を把握でき、蓄熱空調設備2まで駆けつける必要があるか否かを迅速に判断することができる。
【0064】
特に、返信は、表示部35に表示された「返信」の箇所にカーソルを移動操作するだけで足りるので、蓄熱空調設備2に備えられた他の機器の機器状態の把握を容易に行うことができる。
【0065】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)携帯電話3は、蓄熱空調設備2が備える複数の機器のうち少なくとも一部の機器の機器状態に異常が発生した場合に、異常が発生したことを示すデータを機器監視端末21から受信して表示部35に表示する。さらに、携帯電話3は、警報メールに対する返信操作を受け付けたことに応じて、機器監視端末21に複数の機器の機器状態を示すデータの送信要求をし、当該機器状態を示すデータを受信して携帯電話3の表示部35に表示する。
したがって、保守担当者は、携帯電話3にて返信操作を行えば、複数の機器の機器状態も携帯メールで確認することができるので、蓄熱空調設備2まで駆けつける必要があるか否かを迅速に判断することができる。
【0066】
(2) 機器監視端末21は、異常が発生する度に異常発生データを携帯電話3に送信するので、異常発生を漏れなく知らせることができる。さらに、携帯電話3の表示部35は、受信した回数分の異常発生データを、携帯電話3が特定の操作(受信した警報メールを閲覧するための操作)を受け付ける度に一つずつ表示するので、保守担当者は、特定の操作を行い、所望する異常発生データのみを閲覧することができる。
【0067】
(3)保守担当者は、表示部35に表示された警報メールの表示画像をみることで、複数の機器の機器状態を要求するための返信操作を容易に把握することができる。
【0068】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【0069】
本実施形態では、返信操作を行うと、蓄熱空調設備2が備える全ての機器の機器状態が表示部35に表示されるが、機器の種類を選択できるようにしてもよい。例えば、図8に示す機器選択ボタン300を、図5に示した警報メールの表示画像をスクロールすることによって表示部35に表示させて、例えば、「温度計」の機器選択ボタン300にカーソルが移動して選択されると、図9に示す情報(温度計のみの機器状態を示す情報)を表示させる。これにより、保守担当者は、所望の情報のみを受信することができ、発生した異常が緊急を要するものであるか否かを容易に把握できる。
【符号の説明】
【0070】
1 蓄熱空調設備管理システム
2 蓄熱空調設備
3 携帯電話
4 通信ネットワーク
21 機器監視端末
31 異常発生データ受信部
32 機器状態要求送信部
33 機器状態受信部
34 操作部
35 表示部
211 異常発生データ送信部
212 機器状態要求受信部
213 機器状態送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、前記携帯端末と通信可能に接続され、蓄熱空調設備が有する複数の機器の機器状態を監視する機器監視端末と、を備えた蓄熱空調設備管理システムであって、
前記機器監視端末は、
前記複数の機器のうち少なくとも一部の機器の機器状態に異常が発生した場合に、蓄熱空調設備に異常が発生したことを示すデータを前記携帯端末に送信する異常発生データ送信部と、
前記携帯端末から前記複数の機器の機器状態を要求するデータを受信したことに応じて、前記複数の機器の機器状態を示すデータを前記携帯端末に送信する機器状態送信部と、を備え、
前記携帯端末は、
前記機器監視端末から前記異常が発生したことを示すデータを受信する異常発生データ受信部と、
前記異常発生データ受信部が受信したデータを表示する表示部と、
所定の操作を受け付けたことに応じて前記複数の機器の機器状態を要求するデータを前記機器監視端末に送信する機器状態要求送信部と、
前記機器監視端末から前記複数の機器の機器状態を示すデータを受信する機器状態受信部と、を備え、
前記表示部は、
前記機器状態受信部が受信したデータを表示することを特徴とする蓄熱空調設備管理システム。
【請求項2】
前記異常発生データ送信部は、前記異常が発生する度に、前記異常が発生したことを示すデータを前記携帯端末に送信し、
前記表示部は、前記異常発生データ受信部が受信した回数分の前記異常が発生したことを示すデータを、前記携帯端末が特定の操作を受け付ける度に一つずつ表示することを特徴とする請求項1に記載の蓄熱空調設備管理システム。
【請求項3】
前記表示部は、前記異常発生データ受信部が受信したデータとともに前記所定の操作を示唆する映像を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄熱空調設備管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−10001(P2012−10001A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142544(P2010−142544)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】