説明

蓄電システムおよび出力コントローラ

【課題】任意に接続された複数の蓄電ユニットの接続形態を検出し、検出された接続形態に応じて複数の蓄電ユニットを制御する。
【解決手段】6個の蓄電モジュールMOD1〜MOD6が直列に接続される。出力コントローラICNTに対して全体電圧V(Total)および各蓄電モジュールの個別出力電圧V(1)〜V(6)が供給される。出力コントローラICNTの制御部PRは、判定式が成立する
か否かによって接続形態を判定する。蓄電モジュールの数をNとし、全体出力電圧をV(Total)とし、個別出力電圧をV(1),V(2),・・・,V(N)とし、接続形態の並列数をMとする時に、(判定式:V(1)=V(2)=・・・・=V(N)=(1/M)×V(Total))が使用される。判定式が成立する場合に、(N/M)並列M直列と判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願開示は、蓄電システムおよび出力コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、リチウムイオン電池などの二次電池が自動車用蓄電池や、太陽電池、風力発電などの新エネルギーシステムと組み合わせた電力貯蔵用蓄電装置として用いる用途が、急速に拡大している。大出力を発生するために多数の蓄電素子例えば電池セルを使用する場合、複数の蓄電モジュールを直列に接続する構成が採用される。かかる構成を電池システムと称する。蓄電モジュールは、複数個例えば4個の単位電池(単電池、セルとも呼ばれる。以下の説明では、単に電池と適宜称する。)を並列および/または直列に接続して、電池ブロックを構成する。多数の電池ブロックが外装ケースに収納されて蓄電モジュール(組電池とも呼ばれる。)が構成される。
【0003】
例えば特許文献1には、外装ケースとしての電池収納箱を仕切り板で区画することによって、複数の電池収納スペースを形成し、各電池収納スペースに電池ブロックを収納する構成が記載されている。
【0004】
さらに、複数の蓄電モジュールを接続し、複数の蓄電モジュールに対して共通の制御装置を設ける構成が下記の特許文献2に記載されている。特許文献2においては、各蓄電モジュールが処理手段(マイクロプロセッサMPU)を有し、MPUと制御装置との間で通信手段を介して通信する構成が記載されている。
【0005】
さらに、一つの蓄電モジュールに含まれる複数の単位電池のそれぞれの基準点に対する電圧をマルチプレクサと電圧検出部によって検出し、検出した結果をA/Dコンバータを介して制御回路に供給すると共に、基準点と接続される基準接続ラインの断線を検出する電源装置が特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−100644号公報
【0007】
【特許文献2】特開2009−289429号公報
【0008】
【特許文献3】特開2006−280171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
複数の蓄電モジュールを使用する場合には、複数の蓄電モジュールに対して共通に制御装置を設けるようになされる。複数の蓄電モジュールによって蓄電システムを構成することは、蓄電モジュールの個数、蓄電モジュール間の接続形態(直列接続、並列接続、または直列並列接続)を蓄電システムの利用用途等に合わせて適切なものとできる利点がある。しかしながら、複数の蓄電モジュールの接続形態に応じた制御を行う制御装置が必要となる。制御装置を接続形態毎に用意することは、無駄であるので、制御装置の制御内容(プログラム)を接続形態に応じて変更することが望ましい。しかしながら、従来の蓄電装置では、複数の蓄電モジュールの接続形態が変更されることを想定しておらず、制御装置が複数の接続形態に対応することができなかった。
【0010】
したがって、制御装置が複数の蓄電モジュールの接続形態を検出し、検出した接続形態に対応する制御内容でもって複数の蓄電モジュールを制御することができる蓄電システムおよび出力コントローラの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本願開示の蓄電システムは、それぞれが分離された構成とされ、互いに直列および/または並列に接続される複数の蓄電ユニットと、複数の蓄電ユニットの全体出力電圧の情報が供給され、複数の蓄電ユニットに対して通信路を介して接続される出力コントローラとを備え、
出力コントローラが通信路を介してなされる通信の結果、蓄電ユニットの個別出力電圧の情報を受け取り、出力コントローラが全体出力電圧の情報と、蓄電ユニットの個別出力電圧の情報とから蓄電ユニットの接続形態を判定する蓄電システムである。
本願開示の出力コントローラは、それぞれが分離された構成とされ、互いに直列および/または並列に接続される複数の蓄電ユニットと接続され、複数の蓄電ユニットの全体出力電圧の情報が供給され、
複数の蓄電ユニットに対して通信路を介して接続され、通信路を介してなされる通信の結果、蓄電ユニットの個別出力電圧の情報が入力され、
全体出力電圧の情報と、蓄電ユニットの個別出力電圧の情報とから蓄電ユニットの接続形態を判定する。
好ましくは、蓄電ユニットの数をNとし、全体出力電圧をV(Total)とし、個別出力電
圧をV(1),V(2),・・・,V(N)とし、接続形態の並列数をMとする時に、出力コント
ローラが判定式が成立するか否かを判定し、
判定式が成立する場合に、(N/M)並列M直列と判定する。
判定式:V(1)=V(2)=・・・・=V(N)=(1/M)×V(Total)
【発明の効果】
【0012】
本願開示によれば、複数の蓄電ユニットが直列および/または並列に接続されている場合に、出力コントローラが接続形態を検出し、検出した接続形態に対応する制御処理を行うことができる。したがって、出力コントローラまたは蓄電ユニットの汎用性を増すことができる。さらに、複数の蓄電ユニットの接続のエラーを判定することができ、蓄電システムの安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】蓄電モジュールの一例の分解斜視図である。
【図2】蓄電モジュールの一例の接続構成を示す接続図である。
【図3】蓄電システムの一例のブロック図である。
【図4】蓄電システムの他の例のブロック図である。
【図5】複数の蓄電モジュールを直列接続した構成の蓄電システムを示すブロック図である。
【図6】複数の蓄電モジュールを並列接続した構成の蓄電システムを示すブロック図である。
【図7】複数の蓄電モジュールを3並列2直列接続した構成の蓄電システムを示すブロック図である。
【図8】蓄電システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図9】蓄電システムの動作のより具体的な例を説明するためのフローチャートである。
【図10】蓄電システムの応用例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0015】
<蓄電モジュールの一例>
大出力を発生するために多数の蓄電素子例えば電池セルを使用する場合、複数の蓄電ユニット(以下、蓄電モジュールと称する)を接続し、複数の蓄電モジュールに対して共通に制御装置を設ける構成が採用される。かかる構成を電池システムと称する。蓄電モジュールは、複数の電池セルとコントローラとを組み合わせた単位である。
【0016】
図1は、蓄電モジュールMODの全体の構成を示す斜視図である。蓄電モジュールMODの外装ケースは、板金加工された金属製の外装下ケース2aおよび外装上ケース2bからなる。外装下ケース2aおよび外装上ケース2bの材料としては、高い熱伝導率および輻射率を有する材料を用いることが好ましい。優れた筐体放熱性を得ることができ、ケース内の温度上昇を抑制することができる。優れた筐体放熱性を有することで、ケースの開口部を最小限または廃止することができ、高い防塵防滴性を実現することができる。例えば、外装下ケース2aおよび外装上ケース2bの材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金または銅または銅合金である。例えば、外装下ケース2aおよび外装上ケース2bの板厚は、約1mm以上とされる。
【0017】
ケースの背面には、蓄電モジュールMODに対して充放電のための外部正極端子3および外部負極端子4が設けられている。外部正極端子3の両側には、端子間のショートを防止するためのショート防止壁3aが設けられている。外部負極端子4の両側には、端子間のショートを防止するためのショート防止壁4aが設けられている。
【0018】
さらに、蓄電モジュールMODの背面に電流遮断器5が設けられている。電流遮断器5を設けることで、電池ユニットの安全性を向上することができる。電流遮断器5の周囲には、誤作動防止部品5aが設けられている。さらに、ケース2内に配されている制御回路との間の通信用のコネクタ部6が設けられている。制御回路は、電池ユニットの温度の監視を行い、充電、放電等を制御するために設けられている。さらに、ケースの前面には、動作状態を示すLED等の表示素子が設けられている。
【0019】
ケースの外装下ケース2aが箱状の構成を有し、その開口を覆うように、外装上ケース2bが設けられる。外装下ケース2aの収納スペース内に、サブモジュールAS1〜AS4が収納される。サブモジュールAS1〜AS4をビス止め等により固定するために、外装下ケース2aの底面に複数のボス9が形成されている。サブモジュールAS1〜AS4は、予めケースの外において組み立てられる。
【0020】
各サブモジュールは、複数の電池ブロックを副収納ケースとしての絶縁性のケースによって一体化したものである。サブモジュールのケースとしては、プラスチック等のモールド部品を使用することができる。サブモジュールAS1〜AS4は、内部の電池ブロックの正極端子および負極端子が露出しないように、複数の電池ブロックをケース内に収納するものである。
【0021】
一つの電池ブロックは、例えば8本の円筒状リチウムイオン2次電池を並列接続したものである。サブモジュールAS1およびAS2は、それぞれ6個の電池ブロックを上ケースおよび下ケースによって一体化したものである。サブモジュールAS3およびAS4は、それぞれ2個の電池ブロックを上ケースおよび下ケースによって一体化したものである。したがって、合計(6+6+2+2=16個)の電池ブロックが使用される。これらの電池ブロックが例えば直列に接続される。
【0022】
<電池ブロック間の接続>
サブモジュールAS1〜AS4のそれぞれにおいて、電池ブロックを直列接続するために、接続用の金属板例えばバスバーが使用される。バスバーは、細長い棒状の金属である。バスバーには、電池ブロックから導出されている接続金属板等との接続のために複数の穴が形成されている。
【0023】
図2に示すように、それぞれ8本の電池が並列に接続された電池ブロックB1〜B16(これらの電池ブロックを区別する必要がない場合には、電池ブロックBと適宜称する。)が直列に接続されている。電池ブロックB1〜B16は、それぞれ各蓄電モジュールの制御装置(以下、モジュールコントローラと適宜称する。)CNTに接続され、充放電が制御される。充放電は、外部正極端子3および外部負極端子4を介してなされる。例えば電池ブロックB1〜B6がサブモジュールAS1に含まれており、電池ブロックB11〜B16がサブモジュールAS2に含まれている。さらに、電池ブロックB7およびB10がサブモジュールAS3に含まれ、電池ブロックB8およびB9がサブモジュールAS4に含まれる。
【0024】
各電池ブロックの正負電極間の電圧等の情報がバス10を介してモジュールコントローラCNTに対して供給される。モジュールコントローラCNTは、各電池ブロックの電圧、電流、および温度をモニタし、モニタした結果を内部状態の情報として出力する。例えば一つの蓄電モジュールMODは、(16×3.5V=56V)を出力する。
【0025】
<蓄電システム>
さらに、図3に示すように、N個の蓄電モジュールMOD1〜MODNが直列に接続される。蓄電モジュールMOD1〜MODNが絶縁部ISを介してインターフェースバスBSと接続されている。各蓄電モジュールMODには、モジュールコントローラCNTと外部のインターフェースバスBSとの間を接続するために絶縁インターフェースIFが設けられている。この絶縁インターフェースIFが蓄電モジュールMODとインターフェースバスBSとの間の絶縁を受け持っている。さらに、各モジュールコントローラが全体の制御装置(以下、出力コントローラと適宜称する。)ICNTと接続され、出力コントローラICNTが充電管理、放電管理、劣化抑制等のための管理を行う。
【0026】
蓄電モジュール内のバス10、並びに蓄電モジュールMOD1〜MODNと出力コントローラICNTとを接続するバスBSとしては、シリアルインターフェースが使用される。シリアルインターフェースとしては、具体的にSMバス(System Management Bus)等が
使用される。例えばI2Cバスを使用することができる。I2Cバスは、SCL(シリアルクロック)と双方向のSDA(シリアル・データ)の2本の信号線で通信を行う同期式のシリアル通信である。
【0027】
各蓄電モジュールMODのコントローラCNTと出力コントローラICNTとが通信を行う。すなわち、各蓄電モジュールの内部状態の情報を出力コントローラICNTが受け取り、各蓄電モジュールの充電処理および放電処理が管理される。出力コントローラICNTがN個の蓄電モジュールの直列接続の出力(N×56V)を負荷に対して供給する。N=14の例では、出力が(14×56V=784V)となる。
【0028】
図4は、蓄電システムの他の例を示す。他の例では、N個の蓄電モジュールMOD1〜MODNが直列に接続される。蓄電モジュールMOD1〜MODNのそれぞれは、蓄電モジュールの間を絶縁する絶縁インターフェースを有する。絶縁インターフェースとしてのホトカプラIFS1〜IFSNを通じて各蓄電モジュールのモジュールコントローラが上位或いは下位の蓄電モジュールとの間の通信、または外部の出力コントローラとの間の通信を行う。
【0029】
最下位の蓄電モジュールMOD1に対して出力コントローラICNTが接続される。出力コントローラICNTは、電池システムの全体を制御する。各蓄電モジュールの内部状態の情報を出力コントローラICNTが受け取り、各蓄電モジュールに対する充電電流、並びに放電電流を供給および遮断することによって、各蓄電モジュールの充電および放電が制御される。N個の蓄電モジュールの直列接続の出力(N×56V)が負荷に対して供給される。N=14の例では、出力が(14×56V=784V)となる。
【0030】
<蓄電システム>
複数の蓄電モジュールの接続形態を検出することができる蓄電システムの一例について以下説明する。上述したような構成をそれぞれが有し、等しい出力を発生するN個の蓄電モジュール、例えば6個の蓄電モジュールMOD1〜MOD6が使用される。図5、図6および図7は、異なる接続形態で蓄電モジュールMOD1〜MOD6が接続されている例を示す。
【0031】
すなわち、図5は、蓄電モジュールMOD1〜MOD6が全て直列に接続される例を示し、図6は、蓄電モジュールMOD1〜MOD6が全て並列に接続される例を示し、図7は、蓄電モジュールMOD1,MOD2およびMOD3が並列接続され、蓄電モジュールMOD4,MOD5およびMOD6が並列接続され、二つの並列接続が直列接続される例を示す。図7の接続形態は、一般的な(N/M)並列M直列の表記の場合では、(M=2、N=6)の例である。(M=1)の場合は、N個の全モジュールが並列接続されることを意味する。各蓄電モジュールの外部正極端子3および外部負極端子4(図1参照)を電源接続ケーブル、接続タブ等の公知の接続手段によって接続することで、異なる接続形態を実現できる。さらに、使用する蓄電モジュールの個数は、用途等に応じて任意に設定できる。
【0032】
複数の蓄電モジュールMOD1〜MOD6に対して共通の出力コントローラICNTが接続されている。蓄電モジュールMOD1〜MOD6のそれぞれの出力電圧(個別出力電圧と適宜称する)をV(1)〜V(6)と表記し、蓄電モジュールMOD1〜MOD6の全体の接続構成に関する正極端子および負極端子間に生じる電圧を全体出力電圧V(Total) と表記する。出力コントローラICNTに対して、全体出力電圧V(Total)および各モジュー
ルの個別出力電圧V(1)〜V(6)が供給される。
【0033】
出力コントローラICNTは、制御部PRを有する。制御部PRは、例えばCPU(Central Processing Unit)などにより構成されるマイクロコンピュータである。制御部P
Rは、CPUに対して、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等が接続されている。制御部PRは、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、蓄電モジュールMOD1〜MOD6を統括的に管理する。
【0034】
各モジュールの個別出力電圧V(1)〜V(6)は、各モジュールのモジュールコントローラからバスBSを通じて出力コントローラICNTの制御部PRに対して供給される。図示を省略しているが、各モジュールのモジュールコントローラから電流および温度に関する情報もバスBSを通じて出力コントローラICNTの制御部PRに対して供給される。制御部PRは、ディスプレイDPを制御し、合成後の全体的電圧値等がディスプレイDPに表示される。ディスプレイDPは、例えば液晶表示装置である。さらに、制御部PRに対して入力部IUが接続されている。入力部IUを通じてユーザの指示が制御部PRに入力される。
【0035】
蓄電モジュールMOD1〜MOD6の全体的な出力端子である正極端子および負極端子がコントローラICNTに接続され、出力コントローラICNTを通じて蓄電モジュールMOD1〜MOD6の充放電の管理がなされる。蓄電モジュールMOD1〜MOD6の正極端子が出力コントローラICNTのスイッチ回路ScおよびSdを通じてスイッチ回路SWの端子に接続される。スイッチ回路ScおよびSdは、直列に接続されている。スイッチ回路Scと並列に放電電流を流す方向にダイオードDdが接続され、スイッチ回路Sdと並列に充電電流を流す方向にダイオードDcが接続される。
【0036】
スイッチ回路SWの一方の端子cに対して充電装置CHが接続され、スイッチ回路SWの他方の端子dに対して負荷LOが接続されている。充電装置CHは、車載充電器、外部充電コネクタを通じて接続される充電器等である。これらの充電器は、例えば家庭のAC電源を整流回路によって整流し、整流出力をDC−DCコンバータを介して蓄電モジュールの電池に対して供給する構成とされている。さらに、太陽光発電、風力発電等によって発生した電力によって充電される場合もある。負荷LOは、例えば車、バイク等の駆動用のモータ、家庭内の電気機器等である。必要に応じて、DC−ACインバータを介して負荷LOに電力が供給される。
【0037】
スイッチ回路SWは、制御部PRからのコントロール信号によって制御される。スイッチ回路SWの端子cが充電時に選択される。制御部PRからのコントロール信号によってスイッチ回路Scがオンとされると共に、スイッチ回路Sdがオフとされる。充電装置CHからの充電電流がダイオードDcおよびスイッチ回路Scを通じて蓄電モジュールMOD1〜MOD6に対して供給される。
【0038】
放電時には、スイッチ回路SWの端子dが選択される。制御部PRからのコントロール信号によってスイッチ回路Scがオフとされると共に、スイッチ回路Sdがオンとされる。電池システムからの放電電流がダイオードDdおよびスイッチ回路Sdを通じて負荷LOに対して供給される。スイッチ回路ScおよびSdとしては、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を使用することができる。MOSF
ETの寄生ダイオードがダイオードDcおよびDdとして機能する。
【0039】
蓄電モジュールMOD1〜MOD6の全体出力電圧V(Total)が出力コントローラIC
NTにおいて、抵抗R1およびR2によって分圧される。抵抗R1およびR2の接続点から取り出された電圧がA/DコンバータADに供給され、デジタル値に変換される。A/DコンバータADからのデジタル信号が制御部PRに対して供給される。制御部PRは、デジタル値に変換された全体出力電圧と、バスBSを介して供給される各モジュールの個別電圧V(1)〜V(6)を使用して蓄電モジュールMOD1〜MOD6の接続形態がどのようなものかを判定(検出)する。
【0040】
<接続形態の判定処理>
接続形態の判定処理について図8のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートに示す処理は、出力コントローラICNTの制御部PRによってなされる。なお、図8および後述する図9の処理では、使用する蓄電モジュールの個数をN(=1,2,・・・,N)としている。処理が開始し、最初のステップS1において、蓄電モジュールMOD1〜MOD6との間でなされた通信の結果、蓄電モジュールの数Nが判明する。
【0041】
ステップS2において、電池の合計の全体出力電圧V(Total)を測定する。上述したよ
うに、A/DコンバータADの出力をV(Total)とする。抵抗R1およびR2の分圧比を
キャンセルするように、A/DコンバータADでは、入力電圧を増幅する。例えば分圧比が1/2であれば、A/DコンバータADが入力電圧を2倍とする。なお、A/DコンバータADの出力を増幅しないでも良い。その場合には、判定処理に使用する各蓄電モジュールの出力電圧に対して抵抗の分圧比に対応する係数が乗算される。さらに、抵抗分圧以外の構成によって全体出力電圧V(Total)を制御部PRに供給するようにしても良い。
【0042】
ステップS3において、変数(直列数)Mが1に設定される。ステップS4において、判定処理がなされる。この判定処理は、次の式で表される。
V(1)=V(2)=・・・・=V(N)=(1/M)×V(Total)
すなわち、この式が成立するかどうかが判定される。式が成立しない場合には、処理がステップS5に移り、式が成立する場合には、処理がステップS9に移る。なお、上式において、許容できる範囲の差は、検出誤差とみなし、等号が成立するものと扱われる。
【0043】
ステップS4の判定結果が否定の場合には、ステップS5において、Mの値が+1とされ、ステップS6において、(M≦N?)の判定処理がなされる。ステップS6の判定結果が肯定の場合には、処理がステップS4に戻り、同様の処理が繰り返される。ステップS6の結果が否定の場合、すなわち、(M>N)と判定されると、ステップS7において、モジュール数がオーバーしていると判定され、ステップS8において、エラー処理がなされる。そして、処理が終了する。例えばステップS8において、スイッチ回路ScおよびSdがオフされて出力が遮断されると共に、エラーメッセージの表示がディスプレイDPにおいてなされる。このエラー処理によって、誤接続の場合に出力を遮断できるので、システムの安全性を向上することができる。
【0044】
ステップS4の判定結果が肯定の場合には、ステップS9において、(N/M)並列M直列と判定される。そして、ステップS10において、判定結果に応じて制御処理が行われる。そして、処理が終了する。
【0045】
図5に示す全直列の構成では、V(Total)=V(1)+V(2)+・・・・+V(N)が成立する。したがって、M=6の場合に、ステップS4の判定結果が肯定となる。この場合には、ステップS9の判定結果は、(6/6=1)並列6直列となる。そして、ステップS10において、全直列の場合の制御処理がなされる。
【0046】
図6に示す全並列の構成では、V(1)=V(2)=・・・・=V(N)=V(Total)が成立する。したがって、M=1の場合に、ステップS4の判定結果が肯定となる。この場合には、ステップS9の判定結果は、(6/1=6)並列1直列となる。そして、ステップS10において、全並列の場合の制御処理がなされる。
【0047】
図7に示す3並列2直列の構成では、V(1)=V(2)=・・・・=V(N)=(1/2)×
V(Total)が成立する。したがって、M=2の場合に、ステップS4の判定結果が肯定と
なる。この場合には、ステップS9の判定結果は、(6/2=3)並列2直列となる。そして、ステップS10において、3並列2直列の場合の制御処理がなされる。
【0048】
<判定結果に応じた処理の一例>
ステップS10として示される判定結果に応じた処理の一例は、図9に示すものである。ステップS9において、(N/M)並列M直列と判定されると、ステップS11において、M=1か否かが判定される。上述したように、M=1であることは、接続形態が全並列であることを意味する。
【0049】
ステップS11の判定結果が否定の場合、すなわち、全並列でない場合には、ステップS12において、直列接続されている蓄電モジュール間で出力電圧が等しくなるように、バランス動作がなされる。(N/M)並列M直列の場合では、直列接続されている蓄電モジュール(N並列)間の出力電圧が等しくなるように、バランス動作がなされる。バランス動作は、例えばモジュールの個別出力電圧の差がしきい値以上である場合には、バランスがとれていないと判定し、例えば個別出力電圧が過大であるモジュールのみを放電させ、互いの個別出力電圧をほぼ等しくさせる処理である。バランス動作は、蓄電モジュールの劣化抑制のために行われる。ステップS11の判定結果が肯定の場合、すなわち、全並列の場合には、ステップS12のバランス動作がなされない。
【0050】
ステップS11の判定結果が肯定の場合、並びにステップS12のバランス動作の後に、ステップS13において、現在の出力電圧の電圧値がディスプレイDPに表示される。すなわち、V(Total)/Mの結果の電圧値が表示される。さらに、ステップS14におい
て、現在の出力電流の電流値がディスプレイDPに表示される。すなわち、I(Total)/
(N/M)の結果の電流値が表示される。そして、処理が終了する。なお、ステップS13の電圧値の表示は、直列接続の場合になされ、ステップS14の電流値の表示は、並列接続の場合になされることが好ましい。すなわち、ステップS11の判定の結果、(M=1)の場合には、電流値の表示を行い、(M=1)でない場合には、電圧値の表示を行うようになされる。
【0051】
<応用例>
図10を参照して応用例について説明する。例えば6個の蓄電モジュールを全て直列に接続した蓄電装置をn個使用し、各蓄電装置のそれぞれの出力コントローラICNT1〜ICNTnと統合出力コントローラICNTnnとがバスBSnnによって、接続される。統合出力コントローラICNTnnに対して充電装置CHおよび負荷LOがスイッチ回路SWを介して接続される。
【0052】
図10に示す構成は、上述した蓄電システムと同様に動作する。すなわち、各蓄電装置の接続形態に関する検出結果の情報がコントローラICNT1〜ICNTnから統合出力コントローラICNTnnに供給される。この各蓄電装置の接続形態に関する検出結果に応じて統合出力コントローラICNTnnによって各蓄電装置が管理される。さらに、統合出力コントローラICNTnnが出力コントローラICNT1〜ICNTnのスイッチ回路を制御することによって、使用する蓄電装置の個数を適宜切り替えることが可能となる。
【0053】
<変形例>
上述した説明では、蓄電素子として、リチウムイオン二次電池を使用している。しかしながら、リチウムイオン二次電池以外の二次電池を使用しても良い。さらに、二次電池以外の蓄電素子例えば電気二重層キャパシタ (Electric Double Layer Capaciter)を使用しても良い。
【符号の説明】
【0054】
MOD,MOD1〜MODN・・・蓄電モジュール
ICNT・・・出力コントローラ
CNT・・・各蓄電モジュールのコントローラ
ICNT・・・出力コントローラ
PR・・・制御部
DP・・・ディスプレイ
CH・・・充電装置
LO・・・負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが分離された構成とされ、互いに直列および/または並列に接続される複数の蓄電ユニットと、複数の前記蓄電ユニットの全体出力電圧の情報が供給され、複数の前記蓄電ユニットに対して通信路を介して接続される出力コントローラとを備え、
前記出力コントローラが前記通信路を介してなされる通信の結果、前記蓄電ユニットの個別出力電圧の情報を受け取り、前記出力コントローラが前記全体出力電圧の情報と、前記蓄電ユニットの個別出力電圧の情報とから前記蓄電ユニットの接続形態を判定する蓄電システム。
【請求項2】
前記蓄電ユニットの数をNとし、前記全体出力電圧をV(Total)とし、前記個別出力電
圧をV(1),V(2),・・・,V(N)とし、前記接続形態の並列数をMとする時に、前記出
力コントローラが判定式が成立するか否かを判定し、
前記判定式が成立する場合に、(N/M)並列M直列と判定する請求項1に記載の蓄電システム。
判定式:V(1)=V(2)=・・・・=V(N)=(1/M)×V(Total)
【請求項3】
前記出力コントローラが前記蓄電ユニットの接続形態の判定結果に応じて、前記蓄電ユニットを制御する請求項1または2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記蓄電ユニットは、複数の蓄電素子が収納ケースに収納され、
前記収納ケースに、前記蓄電素子の電極端子と接続される外部電極端子と、前記蓄電素子を管理する蓄電ユニットコントローラと接続される通信端子を設けた請求項1〜3の何れかに記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記出力コントローラは、(電圧値の総和)/Mおよび(電流値の総和)/(N/M)の少なくとも一方を表示装置に表示する請求項1〜4の何れかに記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記出力コントローラが前記Mの値を1として判定の処理を行い、前記判定式が成立しない場合には、(M=N)まで、順にMの値を+1して前記判定式が成立するか否かを判定し、
(M>N)の場合には、エラー処理を行う請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記出力コントローラが前記蓄電ユニットの接続形態に直列接続が存在すると判定すると、前記直列接続の間の出力電圧をほぼ等しくするバランス動作を行うように、前記蓄電ユニットを制御する請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項8】
それぞれが分離された構成とされ、互いに直列および/または並列に接続される複数の蓄電ユニットと接続され、複数の前記蓄電ユニットの全体出力電圧の情報が供給され、
複数の前記蓄電ユニットに対して通信路を介して接続され、前記通信路を介してなされる通信の結果、前記蓄電ユニットの個別出力電圧の情報が入力され、
前記全体出力電圧の情報と、前記蓄電ユニットの個別出力電圧の情報とから前記蓄電ユニットの接続形態を判定する出力コントローラ。
【請求項9】
前記蓄電ユニットの数をNとし、前記全体出力電圧をV(Total)とし、前記個別出力電
圧をV(1),V(2),・・・,V(N)とし、前記接続形態の並列数をMとする時に、判定式
が成立するか否かを判定し、
前記判定式が成立する場合に、(N/M)並列M直列と判定する請求項8に記載の出力コントローラ。
判定式:V(1)=V(2)=・・・・=V(N)=(1/M)×V(Total)
【請求項10】
前記出力コントローラが前記蓄電ユニットの接続形態の判定結果に応じて、前記蓄電ユニットを制御する請求項8または9に記載の出力コントローラ。
【請求項11】
前記出力コントローラは、(V(Total)/M)の電圧値を表示装置に表示する請求項8
〜10の何れかに記載の出力コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−90485(P2012−90485A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237013(P2010−237013)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】