蓄電システム
【課題】システムを停止させることなく、蓄電器の交換ができる蓄電システムの提供を課題とする。
【解決手段】上記課題は、電力変換器4,5,6,7を負荷接続端側において電気的に直列に接続し、電力変換器4,5,6,7のそれぞれの電源接続端に蓄電装置8,9,10,11のいずれか1つを電気的に接続してなる蓄電システム1において、電力変換器4,5,6,7のそれぞれに対応して、対応する電力変換器4,5,6,7の電力利用率の比率を変更する電力利用率変更手段を設けることを、上記代表課題を解決する代表的な解決手段とする。
【解決手段】上記課題は、電力変換器4,5,6,7を負荷接続端側において電気的に直列に接続し、電力変換器4,5,6,7のそれぞれの電源接続端に蓄電装置8,9,10,11のいずれか1つを電気的に接続してなる蓄電システム1において、電力変換器4,5,6,7のそれぞれに対応して、対応する電力変換器4,5,6,7の電力利用率の比率を変更する電力利用率変更手段を設けることを、上記代表課題を解決する代表的な解決手段とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野に関する背景技術として、例えば特許文献1,2に開示された技術がある。
【0003】
特許文献1には、複数のスイッチ回路と、複数のスイッチ回路のそれぞれに接続されて、対応するスイッチ回路に直流電圧を出力する直流電源(鉛電池のようなバッテリ)とを有する複数の電源回路が直列に接続されることにより構成され、トランスを介して電力系統に接続された多重化インバータ装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、複数のバッテリ及び予備バッテリがバッテリ入出力ライン上に互いに直列に接続され、バッテリ切替制御部が、バッテリ診断部により異常があると判定されたバッテリをバッテリ入出力ラインから切断すると共に、予備バッテリをバッテリ入出力ラインに接続するように構成されたバッテリ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−174663号公報
【特許文献2】特開2009−213248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、二酸化炭素の排出による地球温暖化や、化石燃料の枯渇が懸念されており、二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下が求められている。二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下を図るためには、駆動システムの電動化や、風力や太陽光などの自然から得られる再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入などの促進が考えられる。駆動システムの電動化にあたっては、電気エネルギーの蓄積及び放出が可能な蓄電システムを駆動電源として備える必要がある。また、再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入にあたっては、電気エネルギーの蓄積及び放出が可能な蓄電システムを、気象条件に左右される再生可能エネルギーの変動に伴う電力変動を抑制する、すなわち電力の余剰時に余剰電力を貯蔵し、電力の不足時に不足電力を補うために併設する必要がある。このように、いずれのシステムにおいても蓄電システムが必要不可欠である。
【0007】
ここ数年、地球温暖化の一層の歯止め、省エネルギー化の一層の推進などの要求が社会的に高まっている。この要求に応えるためには、地球環境に対する環境負荷のさらなる低減,システム効率及びエネルギー効率のさらなる向上などが必要になる。蓄電システムにおいて、その要求に応えるためには、さらなる高性能化が必要になる。これを達成するための一つの手段としては、特許文献1に開示された技術のように、スイッチ回路(電力変換回路)と直流電源(蓄電器)とを接続して構成した電源回路が複数、直列に接続されてなり、複数の電源回路の出力電圧を合成して出力するように構成された多重化インバータ方式の蓄電システムを採用することが考えられる。多重化インバータ方式の蓄電システムによれば、電力変換の高効率化を図ることができ、電気エネルギーの有効利用及び有効回収による高性能化を図ることができる。
【0008】
尚、多重化インバータ方式は、CMC(Cascade Multilevel Converter)方式と呼ばれる場合もある。
【0009】
蓄電システムは、設置されるシステムなどによって数は異なるが、複数の蓄電器を有する。複数の蓄電器は、蓄電システムの作動によって、その状態、例えば蓄電性能や寿命などが変化する。このとき、複数の蓄電器の状態変化にはばらつきが生じる。これは、複数の蓄電器の間に個体差が存在するからである。複数の蓄電器の間の個体差は時間の経過と共に大きくなる。このため、複数の蓄電器の状態変化のばらつきも大きくなる。蓄電システムは複数の蓄電器の状態変化のばらつきを考慮して設計や制御されている。しかし、複数の蓄電器の状態変化のばらつきが許容範囲を超えると、蓄電システムの性能に影響を及ぼすようになる。このような場合には、複数の蓄電器の状態変化のばらつきが許容範囲を超える前に、他の蓄電器よりも状態変化が大きい蓄電器を新しい蓄電器に交換し、複数の蓄電器の状態変化のばらつきを小さくする必要がある。また、複数の蓄電器の中に、蓄電量の自己放出量が他の蓄電器よりも大きい蓄電器が存在する場合がある。このような場合においても、蓄電量の自己放出量が大きい蓄電器を新しい蓄電器に交換する必要がある。
【0010】
蓄電器を交換する方法の一つとしては、特許文献2に開示された技術のように、複数の蓄電器からなる蓄電器群と予備蓄電器とを接続した状態で、交換対象の蓄電器を交換することが考えられる。このような交換方法によれば、蓄電器の交換作業中でも、蓄電システムを停止させることなく、蓄電システムに要求される最大出力を確保することができるので、蓄電システムの稼動が制限され、蓄電システムの利用者がその影響を受けるようなことがない。
【0011】
しかしながら、特許文献2に開示された交換方法では、予備蓄電器を備える分、蓄電システムのコストが高くなる。また、特許文献2に開示された技術は、蓄電器の出力の最大容量を確保する技術であることから、特許文献1のように、インバータ毎にバッテリを分割して交流電力を出力するシステムにはそのまま適用できない。
【0012】
また、特許文献1に開示された技術では、蓄電器の交換を考慮していない。特許文献1に開示された技術において、蓄電器を交換するためには、交換対象の蓄電器を含む直流電源に対応して設けられたスイッチ回路をOFFとして、電源回路と変圧器側との間で電力を授受しない状態とし、蓄電器を交換することが考えられる。しかし、このような方法では、システムの最大入出力が低下し、予期せぬシステムの入出力の増大指令に対応することができない。
【0013】
さらに、特許文献1に特許文献2を適用し、特許文献1の多重化インバータ方式の蓄電システムに、特許文献2に開示された技術のように、スイッチ回路と蓄電器との対からなる予備の電源回路の対を備え、蓄電器の交換時、予備の電源回路を接続し、システムの最大出力を確保した状態で蓄電器を交換することも考えられる。しかし、このような方法では、予備の電源回路の設置に追加コストを要する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願が解決すべき代表課題は、システムを停止させることなく、蓄電器の交換ができる蓄電システムの提供にある。
【0015】
上記蓄電システムの提供にあたっては、蓄電器の交換用として、予備装置を追加することなく、蓄電器を交換できることが好ましい。
【0016】
また、上記蓄電システムの提供にあたっては、蓄電システムの高効率化を図ることができることが好ましい。
【0017】
尚、この他の課題は、以下に説明する実施形態において、課題の裏返しとなる効果に置き換え、その解決手段と共に説明する。
【0018】
本願は、上記代表課題を解決する解決手段を複数有する。ここでは、そのうちの一つを代表的な解決手段として挙げる。
【0019】
ここに、本願は、負荷が電気的に接続される負荷接続端、及び電源が電気的に接続される電源接続端を備え、負荷側接続端或いは電源側接続端に供給された電力を制御して電源側接続端或いは負荷側接続端から出力する電力制御回路を複数、負荷接続端側において電気的に直列に接続してなる電力制御回路群と、複数の電力制御回路のそれぞれに対応して設けられ、電源として、対応する電力制御回路の電源接続端に電気的に接続された、複数の蓄電器を有する蓄電装置と、複数の電力制御回路の作動を制御する制御装置と、複数の電力制御回路のそれぞれに対応して設けられ、対応する電力制御回路の電力利用率の比率を変更する電力利用率変更手段と、を有することを、上記代表課題を解決する代表的な解決手段とする。
【発明の効果】
【0020】
本願の代表的な解決手段によれば、システムを停止させることがなく、蓄電器の交換ができる蓄電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】蓄電システムの全体の概略構成を示すシステムブロック図。
【図2】図1のシステムを構成する蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図3】図2の電力変換器の制御装置の構成を示す機能ブロック図。
【図4】図1のシステムを構成する中央制御装置の構成を示す機能ブロック図。
【図5】図1のシステムの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図6】図1のシステムの動作を説明するための図であって、交流電源系統の電圧と、蓄電システムの目標電圧と、変圧器と蓄電システムとの間において流れる電流との関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図7】図1のシステムの動作を説明するための図であって、図6に示す目標電圧に対する蓄電システムの負荷側接続端における電圧と、各電力変換器の交流端子における電圧との関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図8】図1のシステムの動作を説明するための図であって、各電力変換器の交流端子における電流の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図9】図1のシステムの動作を説明するための図であって、各電力変換器の交流端子における電力の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図10】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更する前後の電圧パターンの関係を示す関係図。
【図11】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンにしたときの、図6に示す目標電圧に対する蓄電システムの負荷側接続端における電圧と、各電力変換器の交流端子における電圧との関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図12】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンにしたときの、各電力変換器の交流端子における電流の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図13】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンにしたときの、各電力変換器の交流端子における電力の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図14】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンとは異なる電圧パターンとして、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更にしたときの、図6に示す目標電圧に対する蓄電システムの負荷側接続端における電圧と、各電力変換器の交流端子における電圧との関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図15】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンとは異なる電圧パターンとして、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更にしたときの、各電力変換器の交流端子における電流の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図16】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンとは異なる電圧パターンとして、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更にしたときの、各電力変換器の交流端子における電力の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図17】図5に示す状態から蓄電池を交換するときの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図18】図5に示す状態から蓄電池を交換するときの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図19】図5に示す状態から蓄電池を交換するときの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図20】図5に示す状態から蓄電池を交換するときの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図21】図17に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図22】図17に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図23】図17に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの各構成要素の動作や状態の時間的な変化及び信号や電気的特性の時間的な変化を示すタイムチャート。
【図24】図18に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図25】図18に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図26】図18に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの各構成要素の動作や状態の時間的な変化及び信号や電気的特性の時間的な変化を示すタイムチャート。
【図27】図19に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図28】図19に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図29】図19に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの各構成要素の動作や状態の時間的な変化及び信号や電気的特性の時間的な変化を示すタイムチャート。
【図30】図20に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図31】図20に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図32】図20に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの各構成要素の動作や状態の時間的な変化及び信号や電気的特性の時間的な変化を示すタイムチャート。
【図33】図1の蓄電システムの実際のハードウエア構成を示す斜視図。
【図34】図1の蓄電システムにバイパス回路を追加したときの実際のハードウエア構成を示す斜視図。
【図35】図34のバイパス回路の構成を示す回路図。
【図36】図33のハードウエア構成を一部変更したときのハードウエア構成を示す斜視図。
【図37】図34のハードウエア構成を一部変更したときのハードウエア構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を説明する。
【0023】
《発明の適用アプリケーション》
以下に説明する実施形態では、本願の発明を、再生可能エネルギーを利用した発電システム、例えば太陽光発電システム或いは風力発電システムと共に発電ファームに、電力貯蔵システムとして設置された定置用蓄電システムに適用した場合を例に挙げて説明する。
【0024】
再生可能エネルギーを利用した発電システムは、自然環境に及ぼす負荷が少ないという利点がある反面、天候などの自然環境に発電能力が左右され、電力系統に対する出力が変動する。定置用蓄電システムは、発電システムの上記出力変動の抑制(緩和)を図るために設けられている。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の出力電力に対して不足状態にある場合には、定置用蓄電システムは放電し、発電システムの不足分の電力を補う。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の電力に対して余剰状態にある場合には、定置用蓄電システムは、発電システムの余剰分の電力を受けて充電する。
【0025】
《発明の他の適用アプリケーション》
以下に説明する実施形態の構成は、データセンタのサーバーシステムや通信設備などの無停電用電源(バックアップ用電源)として設置される定置用蓄電システムにも適用できる。
【0026】
また、以下に説明する実施形態の構成は、需要家に配置され、夜間電力を貯蔵し、この貯蔵された電力を昼間に放出して電力負荷の平準化を図る電力貯蔵システムとして設置される定置用蓄電システムにも適用できる。
【0027】
さらに、以下に説明する実施形態の構成は、送配電系統の途中に電気的に接続され、送配電系統において送配電される電力の変動対策,余剰電力対策,周波数対策,逆潮流対策などとして用いられる定置用蓄電システムにも適用できる。
【0028】
さらにまた、以下に説明する実施形態の構成は、移動体に設置され、移動体の駆動用電源や、移動体に搭載された負荷を駆動する駆動用電源などとして用いられる移動用蓄電システムにも適用できる。移動体としては、エンジン及びモータを車両の駆動源とするハイブリッド電気自動車やモータを車両の唯一の駆動源とする純粋な電気自動車などの自動車、すなわち陸上走行車両(乗用車,トラックなどの貨物自動車,バスなどの乗合自動車など)、ディーゼルエンジンの動力で発電し、この発電によって得られた電力により駆動されるモータを駆動源とするハイブリッド電車などの鉄道車両,建設機械やフォークリフトトラックなどの産業用車両などがある。
【0029】
《蓄電システムの概略構成》
蓄電システムは、複数の蓄電器(二次電池又は容量性を有する受動素子)を備え、複数の蓄電器の電気化学的作用や電荷蓄積構造によって電気エネルギーを蓄積(充電)及び放出(放電)するシステムである。複数の蓄電器は、蓄電システムに要求される出力電圧,蓄電容量などの仕様に応じて、電気的に直列或いは並列若しくは直並列に接続される。
【0030】
以下に説明する実施形態では、蓄電器としてリチウムイオン二次電池を用いた場合を例に挙げて説明する。蓄電器としては、鉛電池,ニッケル水素電池などの他の二次電池を用いてもよい。また、2種の蓄電器、例えばリチウムイオン二次電池とニッケル水素電池とを組み合わせて用いるようにしてもよい。容量性を有する受動素子としては、キャパシタ、例えば電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどを用いることができる。
【0031】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0032】
《蓄電システム1の概略構成》
まず、図1乃至図4を用いて、蓄電システム1の構成について説明する。
【0033】
図1は、蓄電システムシステム1の全体の概略構成を示す。
【0034】
尚、図1では、再生可能エネルギーを利用した発電システムの図示を省力しているが、実際には、発電システムは交流電源系統2に対して電気的に接続されている。
【0035】
蓄電システム1の負荷側接続端は、単相の変圧器3の一次側或いは二次側の接続端に電気的に接続されている。変圧器3の蓄電システム1との対極側(二次側或いは一次側)の接続端は単相の交流電源系統2の接続端に電気的に接続されている。このように、蓄電システム1は変圧器3を介して交流電源系統2と連系されており、蓄積された電気的エネルギーを直流電力として放電し、この放電した直流電力を交流電力に変換して交流電源系統2側に出力したり、交流電源系統2側或いは発電システムから供給された交流電力を入力し、この入力した交流電力を直流電力に変換して充電し、直流電力を電気的エネルギーとして蓄積したりすることが可能である。
【0036】
尚、本実施形態では、交流電源系統2が単相の場合を例に挙げて説明するが、交流電源系統2が三相の場合もある。この場合には、三相の各相に対応して設けられた三相分の蓄電システム1が三相の変圧器3を介して三相の交流電源系統2と連係することになる。
【0037】
蓄電システム1は、蓄電装置8,9,10,11,電力変換器4,5,6,7,中央制御装置8,電圧計測装置13及び電流計測装置14を備えている。
【0038】
蓄電装置8,9,10,11は、それぞれ、図2を用いて後述するように、電気的に直並列に接続された複数の蓄電池(リチウムイオン二次電池)を備えている。複数の蓄電池の電気的な接続の仕方は、蓄電システムに要求される出力電圧や蓄電容量などに関する仕様によって、直列接続,並列接続,直並列接続のいずれかが用いられる。本実施形態では、発電システムに対応して設けられており、仕様として高電圧,高容量が要求されることから、複数の蓄電池が電気的に直並列に接続された構成を採用している。
【0039】
電力変換器4,5,6,7は、それぞれ、蓄電装置8,9,10,11のうちのいずれか一つに対応して設けられ、対応する蓄電装置8,9,10,11から出力された直流電力を交流電力に変換して変圧器3に出力する、或いは、変圧器3から供給された交流電力を直流電力に変換して、対応する蓄電装置8,9,10,11に出力する、というように、電源と負荷の一方から供給された電力を所定の電力に制御して電源と負荷の他方に出力する電力制御器であり、図2を用いて後述するように、電力制御(変換)用のスイッチング回路を備えている。
【0040】
電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との対応関係は、具体的には、電力変換器4の直流側接続端が蓄電装置8の負荷側接続端に電気的に接続され、電力変換器5の直流側接続端が蓄電装置9の負荷側接続端に電気的に接続され、電力変換器6の直流側接続端が蓄電装置10の負荷側接続端に電気的に接続され、電力変換器7の直流側接続端が蓄電装置11の負荷側接続端に電気的に接続され、という接続対の関係になっている。
【0041】
電力変換器4,5,6,7の交流側接続端(図2を用いて後述する交流端子)は電気的に直列に接続されている。具体的には、電力変換器4の交流側接続端の他方側と電力変換器5の交流側接続端の一方側とが電気的に直列に接続され、・・・、電力変換器6の交流側接続端の他方側と電力変換器7の交流側接続端の一方側とが電気的に直列に接続され、というように、電気的に直列に接続される2つの電力変換器の一方の交流側接続端の一方側と他方の交流側接続端の他方側とが電気的に接続されている。電力変換器4の交流側接続端の一方側及び電力変換器7の交流側接続端の他方側は変圧器3の一次側或いは二次側の接続端と電気的に接続されている。このように、電力変換器4,5,6,7の交流側接続端を電気的に直列に接続すると、図7を用いて後述するように、蓄電システム1の負荷側接続端の出力電圧或いは入力電圧は、電力変換器4,5,6,7の交流側接続端の出力電圧或いは入力電圧の合成電圧になる。
【0042】
中央制御装置12は、交流電源系統2と蓄電システム1とが連系して電力の授受ができるように、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対の作動を制御する。このため、中央制御装置12は、交流電源系統2の交流電圧に関する情報と、蓄電システム1の負荷側接続端と変圧器3との間において流れる交流電流に関する情報を入力し、この入力情報や記憶情報などの複数の情報に基づいて、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対の作動を制御するための指令値を、制御プログラムにしたがって演算する。そして、中央制御装置12は、演算された指令値を、無線或いは有線による通信を用いて、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対のそれぞれに信号伝送する。これにより、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対のそれぞれにおいて、スイッチング回路の作動が制御されると共に、スイッチング回路と複数の蓄電池との電気的な接続が制御され、蓄電システム1と交流電源系統2とが連係するように、両者間において授受される電力が制御される。
【0043】
中央制御装置12から信号伝送される指令値としては、蓄電システム1の負荷側接続端に発生させる目標電圧を示す変調波(正弦波)、及び変調波との比較によって、電力変換器4,5,6,7のそれぞれの交流側接続端に矩形波状の出力電圧或いは入力電圧を発生させるための搬送波(三角波)などがある。
【0044】
尚、本実施形態では、中央制御装置12において変調波及び搬送波を生成する場合を例に挙げて説明するが、搬送波は、電力変換器4,5,6,7において生成し、この生成に必要な情報、例えば電力変換器4,5,6,7のそれぞれにおいて、どの電位レベルの搬送波を生成するか、また、生成する搬送波の振幅の高さなどの情報を中央制御装置12から信号伝送するようにしてもよい。
【0045】
電圧計測装置13は交流電源系統2の交流電圧を計測し、この計測した交流電圧に関する信号を中央制御装置12に出力する。電流計測装置14は、蓄電システム1の負荷側接続端と変圧器3との間において流れる交流電流を計測し、この計測した交流電流に関する信号を中央制御装置12に出力する。
【0046】
《電力変換器と蓄電装置との接続対の構成》
図2は、蓄電システム1の電力変換器と蓄電装置との接続対の構成を示す。
【0047】
尚、本実施形態では、前述のように、電力変換器と蓄電装置との接続対を4組備えているが、いずれの組も同じ構成になっている。このようなことから、本実施形態では、電力変換器4と蓄電装置8との接続対を代表に挙げ、図2に基づいて、その構成を説明し、他の接続対の構成については図示及び説明を省略する。
【0048】
電力変換器4の直流側接続端と蓄電装置8の負荷側接続端との間には、電力変換器4の直流側接続端の正極側と蓄電装置8の負荷側接続端の正極側とを電気的に接続する直流正極側電路、及び電力変換器4の直流側接続端の負極側と蓄電装置8の負荷側接続端の負極側とを電気的に接続する直流負極側電路によって、電力変換器4の直流側接続端と蓄電装置8の負荷側接続端とを電気的に接続する主回路が設けられている。
【0049】
蓄電装置8は、蓄電モジュール81a,81b,81c、及び蓄電モジュール81a,81b,81cのそれぞれに対応して設けられた開閉器82a,82b,82cを備えている。
【0050】
蓄電モジュール81a,81b,81cは、正極側同士及び負極側同士がそれぞれ電気的に接続されており、これによって、電気的に並列に接続されている。蓄電モジュール81a,81b,81cは、それぞれ、対応して設けられた複数の蓄電池83a,83b,83cが電気的に直列に接続されて構成された蓄電池群を備えている。
【0051】
開閉器82a,82b,82cは、対応する蓄電モジュール81a,81b,81cと主回路との間の電気的な接続を制御する接続端子であり、スイッチング素子、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)によって構成されている。
【0052】
尚、本実施形態では、開閉器82a,82b,82cはとして、スイッチング素子を用いた場合を例に挙げて説明するが、電磁力によって、2つの接点を接触したり切り離したりする機械的なスイッチ機構を用いても構わない。
【0053】
蓄電モジュール81a,81b,81cと開閉器82a,82b,82cとの対応関係は、具体的には、蓄電モジュール81aの正極側及び負極側に開閉器82aが電気的に接続され、蓄電モジュール81bの正極側及び負極側に開閉器82bが電気的に接続され、蓄電モジュール81cの正極側及び負極側に開閉器82cが電気的に接続され、という、接続対の関係になっている。
【0054】
尚、本実施形態では、蓄電モジュールを3つ備えた場合を例に挙げて説明するが、電気的に並列に接続される蓄電モジュールの数は、蓄電システム1に要求される定格出力電圧や定格蓄電容量などに応じて変更しても構わない。
【0055】
電力変換器4は、スイッチング回路、及びスイッチング回路に電気的に接続された交流端子43を備えている。
【0056】
スイッチング回路は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるスイッチング素子41a,41b,41c,41dを備えている。
【0057】
尚、本実施形態では、スイッチング素子41a,41b,41c,41dとしてMOFETを用いた場合を例に挙げて説明するが、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他のスイッチング素子を用いても構わない。
【0058】
スイッチング回路は、具体的には、上アームのスイッチング素子41aのソースと下アームのスイッチング素子41bのドレインとが電気的に直列に接続されて構成された第1のアームと、上アームのスイッチング素子41cのソースと下アームのスイッチング素子41dのドレインとが電気的に直列に接続されて構成された第2のアームとを備え、上アームのスイッチング素子41a,41cのドレイン同士及び下アームのスイッチング素子41b,41dのソース同士下が電気的に接続されて、第1のアームと第2のアームとが電気的に並列に接続された単相フルブリッジインバータ回路である。
【0059】
スイッチング素子41a,41b,41c,41dのドレインとソースとの間には、それぞれ、MOSFETの構造上、寄生ダイオードが設けられている。具体的には、スイッチング素子41aのドレインとソースとの間にはダイオード42aが、スイッチング素子41bのドレインとソースとの間にはダイオード42bが、スイッチング素子41cのドレインとソースとの間にはダイオード42cが、スイッチング素子41dのドレインとソースとの間にダイオード42dが、それぞれ、設けられている。このため、別途、ダイオードを、スイッチング素子のドレインとソースとの間に設ける必要がない。スイッチング素子としてIGBTを用いた場合には、スイッチング素子のドレインとソースとの間にダイオードを設ける必要がある。
【0060】
上アームのスイッチング素子41a,41cのドレインは直流正極側接続端として、蓄電モジュール81a,81b,81cの正極側に設けられた開閉器82a,82b,82cに電気的に接続されている。下アームのスイッチング素子41b,41dのソースは直流負極側接続端として、蓄電モジュール81a,81b,81cの負極側に設けられた開閉器82a,82b,82cに電気的に接続されている。開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子がスイッチング(オン,オフ)されることによって、蓄電モジュール81a,81b,81cは、それぞれ、第1のアーム及び第2のアームに電気的に接続されたり、第1のアーム及び第2のアームから電気的に切り離されたりする。
【0061】
第1のアームの中点、すなわち上アームのスイッチング素子41aのソースと下アームのスイッチング素子41bのドレインとの電気的な接続点、及び第2のアームの中点、すなわち上アームのスイッチング素子41cのソースと下アームのスイッチング素子41dのドレインとの電気的な接続点は、それぞれ、交流側接続端(負荷側接続端)として引き出されている。第1のアーム及び第2のアームのそれぞれの交流側接続端(負荷側接続端)の先端には交流端子43が設けられている。2つの交流端子43のうち、一方の交流端子43は変圧器3の一次側或いは二次側の接続端に電気的に接続されている。他方の交流端子43は、電力変換器4に電気的に直列に接続される電力変換器5の交流端子の一方に電気的に接続されている。
【0062】
また、電力変換器4は、制御装置44及び信号装置45を備えている。
【0063】
制御装置44は、中央制御装置12から信号伝送された指令値に対応した目標電圧が、蓄電システム1の負荷側接続端に発生するように、スイッチング素子41a,41b,41c,41d、及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子の駆動を制御する。このため、制御装置44は、中央制御装置12及び信号装置45から信号伝送された指令値や、外部装置50から信号伝送された外部情報を含む複数の情報を入力し、この入力された複数の情報や予め記憶された記憶情報などに基づいて、スイッチング素子41a,41b,41c,41dをスイッチング(オン,オフ)させるための駆動パターン、及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子をスイッチング(オン,オフ)させるための駆動パターンを、制御プログラムにしたがって演算する。そして、制御装置44は、演算された駆動パターンに関する駆動信号を生成し、スイッチング素子41a,41b,41c,41dのゲート及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子のゲートに出力し、スイッチング素子41a,41b,41c,41d及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子の駆動を制御する。
【0064】
信号装置45は、具体的な図示は省略するが、例えば操作員がボタンやレバーを手動操作することによって、スイッチング素子41a,41b,41c,41dのスイッチング(オン,オフ)を制御する指令値や、開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子のスイッチング(オン,オフ)を制御する指令値を制御装置44に信号伝送する通信装置であり、外部操作装置に設けられている。信号装置45と制御装置44との間の通信は無線或いは有線によって行われている。
【0065】
外部装置50は、具体的な図示は省略するが、蓄電システム1が電気的に接続される発電システムの制御装置或いは系統の状態を監視する監視装置であったり、蓄電システム1をメンテナンスするときに用いられるメンテナンス装置であったりする。外部装置50と制御装置44との間の通信は無線或いは有線によって行われている。
【0066】
《制御装置44の構成》
図3は、制御装置44の構成を示す。
【0067】
制御装置44は、入力回路441,入出力ポート442,RAM443,ROM444,CPU445,ゲートドライバ回路446及びスイッチドライバ回路447を備えている。
【0068】
入力回路441は、中央制御装置12及び信号装置45から出力された指令値に関する信号,蓄電システム1の外部装置50から信号伝送された外部情報に関する信号を入力し、この入力した信号に基づいて、制御装置44が動作できるように、入力された信号を処理する信号処理回路である。例えば中央制御装置12と制御装置44との間において、無線通信によって信号を伝送する場合には、入力回路441は、中央制御装置12から出力された電波を受信し、この受信した電波を電気信号に変換する、というように、電波によって入力された信号を処理する。
【0069】
入出力ポート442は、入力回路441,ゲートドライバ446及びスイッチドライバ447と、これらとは通信プロトコルが異なるRAM443,ROM444及びCPU445との間において、情報のやり取りができるように設けられたインターフェース回路である。例えば入力回路441からRAM443及びCPU445に情報が信号伝送される場合、入出力ポート442は、第1の通信プロトコルによって入力回路441から信号伝送された情報を入力し、入力されたデータをRAM443及びCPU445のそれぞれに第2の通信プロトコルによる信号伝送によって出力する。
【0070】
RAM443は、情報の書き込み及び読み出しが自由にできる記憶装置、すなわち電源の供給を受けると、情報の保持が可能になり、電源の供給が絶たれると、保持した情報が失われる揮発性メモリであり、Random Access Memoryの略称である。CPU445に信号伝送される情報及びCPU445から信号伝送される情報はRAM443に書き込まれて保持される。
【0071】
ROM444は、予め書き込まれて保持されたデータの読み出しのみができる記憶装置、すなわち電源を供給しなくてもデータを保持することが可能な不揮発性メモリであり、Read Only Memoryの略称である。CPU445の制御プログラムはROM444に保持されている。
【0072】
CPU445は、ROM444に予め書き込まれて保持された制御プログラムをROM444から読み出し、入出力ポート442から信号伝送された情報(中央制御装置12から信号伝送された指令値)やRAM443に記憶された記憶情報に基づいて、スイッチング素子41a,41b,41c,41dをスイッチング(オン,オフ)させるための駆動パターン及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子をスイッチング(オン,オフ)させるための駆動パターンを、読み出した制御プログラムにしたがって演算する演算装置であり、Central Processing Unitの略称である。CPU445によって演算された駆動パターンは、RAM443に信号伝送されて保持された後、入出力ポート442を介してゲートドライバ回路446及びスイッチドライバ回路447に信号伝送される。
【0073】
ゲートドライバ回路446は、入出力ポート442を介してCPU445から信号伝送された駆動パターンに対応した駆動信号を生成して、スイッチング素子41a,41b,41c,41dのゲートに出力する。これにより、スイッチング素子41a,41b,41c,41dは駆動される。
【0074】
スイッチドライバ回路447は、入出力ポート442を介してCPU445から信号伝送された駆動パターンに対応する駆動信号を生成して、開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子のゲートに出力する。これにより、開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子は駆動される。
【0075】
尚、本実施形態では、ゲートドライバ回路446及びスイッチドライバ回路447を制御装置44に設けた場合を例に挙げて説明したが、制御装置44から分離して構成、すなわち制御装置44を構成する電子部品が実装された回路基板とは別の回路基板に構成しても構わない。
【0076】
《中央制御装置12の構成》
図4は、中央制御装置12の詳細な構成を示す。
【0077】
中央制御装置12は、入力回路121,入出力ポート122,RAM123,ROM124,CPU125及び出力回路126を備えている。
【0078】
入力回路121は、電圧計測装置13及び電流計測装置14から出力された計測情報に関する信号を入力し、この入力した信号を中央制御装置12が認識できるように信号処理、例えばアナログ信号からディジタル信号に変換する信号処理回路である。
【0079】
入出力ポート122は、入力回路121及び出力回路126と、これらとは通信プロトコルが異なるRAM123,ROM124及びCPU125との間において、情報のやり取りができるように設けられたインターフェース回路である。例えば入力回路121からRAM123及びCPU125に情報が信号伝送される場合、入出力ポート122は、第1の通信プロトコルによって入力回路121から信号伝送された情報を入力し、入力された情報をRAM123及びCPU125のそれぞれに第2の通信プロトコルによる信号伝送によって出力する。
【0080】
RAM123は、情報の書き込み及び読み出しが自由にできる記憶装置、すなわち電源の供給を受けると、情報の保持が可能になり、電源の供給が絶たれると、保持した情報が失われる揮発性メモリであり、Random Access Memoryの略称である。CPU125に信号伝送される情報及びCPU125から信号伝送される情報はRAM123に書き込まれて保持される。
【0081】
ROM124は、予め書き込まれて保持された情報の読み出しのみができる記憶装置、すなわち電源を供給しなくても情報を保持することが可能な不揮発性メモリである。CPU125の制御プログラムはROM124に保持されている。
【0082】
CPU125は、ROM124に予め書き込まれて保持された制御プログラムをROM124から読み出し、入出力ポート122から信号伝送された情報(電圧計測装置13及び電流計測装置14から出力された計測情報)やRAM123に記憶された記憶情報に基づいて、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対のそれぞれに対する指令値を、読み出した制御プログラムにしたがって演算する演算装置であり、Central Processing Unitの略称である。CPU125によって演算された各指令値は、RAM123に信号伝送されて保持された後、入出力ポート122を介して出力回路126に信号伝送される。
【0083】
出力回路126は、入出力ポート122を介してCPU125から信号伝送された各指令値に関する信号を生成して、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対のそれぞれ(電力変換器4の制御装置44及び電力変換器5,6,7のそれぞれの制御装置)に出力する。これにより、電力変換器4の制御装置44及び電力変換器5,6,7のそれぞれの制御装置は、中央制御装置12から出力された指令値に基づいて、対応する電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対の作動を制御する。
【0084】
《蓄電システム1の動作の説明(1)》
次に、図5乃至図9を用いて、蓄電システム1の通常運転時の動作について説明する。
【0085】
動作の説明にあたっては、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との各接続対において、2つの蓄電モジュールのそれぞれに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池が設けられ、その2つの蓄電モジュールを、対応する電力変換器に電気的に接続して運転している状態を例に挙げて説明する。
【0086】
また、動作の説明にあたっては、電力変換器4と蓄電装置8との接続対の動作を例に挙げて説明する。電力変換器4と蓄電装置8との接続対は、図5に示すように、蓄電池83aが複数、電気的に直列に接続されて設けられた蓄電モジュール81aを、開閉器82aの投入によって、蓄電池83bが複数、電気的に直列に接続されて設けられた蓄電モジュール81bを、開閉器82bの投入によって、それぞれ、電力変換器4に電気的に接続して運転している状態になっている。この他の接続対においても同様に、開閉器の投入によって、2つの蓄電モジュールが電力変換器5,6,7に電気的に接続されている状態になっている。また、蓄電モジュール81cは、ここでは、将来、交流電源系統2側の状況に応じて、蓄電システム1に増設されることを見込んで設けられた、電気的に直列に接続された複数の蓄電池を持たない、空の蓄電モジュールとして扱う。
【0087】
さらに、動作の説明にあたっては、図6に示すように、交流電源系統2の電圧に対して、蓄電システム1の目標電圧の位相が遅れて、変圧器3から蓄電システム1に電流が流れ、蓄電システム1が変圧器3を介して交流電源系統2から交流電力を受電している状態を例に挙げて説明する。
【0088】
図6は、縦軸に電圧及び電流(正,負)を、横軸に時間をとり、電圧計測装置13によって計測された交流電源系統2の電圧(実線)と、蓄電システム1の負荷側接続端の目標電圧(点線)と、電流計測装置14によって計測された、変圧器3と蓄電システム1との間に流れる電流(破線)との関係(1サイクル分)を示す。
【0089】
図7は、縦軸に電圧(正,負)を、横軸に時間をとり、図6に示す目標電圧に対する蓄電システム1の負荷側接続端における電圧と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧との関係(1サイクル分)を示す。
【0090】
図7では、上から順に、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧Vout、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧V4、電力変換器5の交流端子に発生する電圧V5、電力変換器6の交流端子に発生する電圧V6、電力変換器7の交流端子に発生する電圧V7を示す。
【0091】
また、図7では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0092】
さらに、図7では、蓄電システム1の目標電圧、すなわち中央制御装置12において演算され、中央制御装置12から電力変換器4の制御装置44及び電力変換装置5,6,7のそれぞれの制御装置に信号伝送された蓄電システム1の負荷側接続端の目標電圧(正弦波状の変調波)を点線で示す。
【0093】
図7に示すように、蓄電システム1では、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に、振幅の基準電位及び幅の異なる矩形波状の電圧が発生して、蓄電システム1の負荷側接続端に、中央制御装置12から出力された目標電圧に対応した電圧が発生するように、電力変換器4のスイッチング素子41a,41b,41c,41d及び電力変換器5,6,7のそれぞれの4つのスイッチング素子のスイッチング(オン,オフ)を制御し、これによって、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生した、振幅の基準電位及び幅が異なり、振幅の高さが同じ矩形波状の電圧を合成する。これにより、目標電圧に対応した階段状の電圧が蓄電システム1の負荷側接続端に発生する。
【0094】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T4から時刻T5の期間において電力変換器4の交流端子43に、時刻T3から時刻T6の期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T2から時刻T7の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻T1から時刻T8期間において電力変換器の交流端子に、それぞれ、振幅の高さが同じ正の電圧が発生する。また、時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において発生させた正の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧とは振幅の向きが逆の電圧(負の電圧)が、正の電圧とは対称的に発生する。電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生した電圧は、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子が電気的に直列に接続されているので、足し合わされる。この結果、階段状の電圧が、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する。
【0095】
このとき、電力変換器4の制御装置44及び電力変換器5,6,7のそれぞれの制御装置は、中央制御装置12から信号伝送された指令値(搬送波と変調波との比較)に基づいて、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に、上記矩形波状の電圧が発生するように、対応する4つのスイッチング素子の駆動パターンを演算する。そして、演算した駆動パターンに対応する駆動信号を生成して、対応する4つのスイッチング素子のゲートに出力し、対応する4つのスイッチング素子をスイッチング(オン,オフ)させる。
【0096】
ここで、電力変換器4,5,6,7の電圧の基準電位に対する大きさ(波高値)の絶対値は、電力変換器4,5,6,7のそれぞれに電気的に接続された、対応する蓄電装置8,9,10,11の電力変換器4,5,6,7側接続端間の電圧とほぼ同等の値となる。
【0097】
図8は、縦軸に電流(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流の関係(1サイクル分)を示す。
【0098】
図8では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に流れる電流I4、電力変換器5の交流端子に流れる電流I5、電力変換器6の交流端子に流れる電流I6、電力変換器7の交流端子に流れる電流I7を示す。
【0099】
また、図8では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0100】
図6と図8とを比較して明らかなように、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図8参照)は、振幅(幅及び高さ)及び位相が、変圧器3と蓄電システム1の負荷側接続端との間に流れる電流(図6参照)と同じになる。
【0101】
図9は、縦軸に電力(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力(1サイクル分)の関係を示す。
【0102】
図9では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に発生する電力P4、電力変換器5の交流端子に発生する電力P5、電力変換器6の交流端子に発生する電力P6、電力変換器7の交流端子に発生する電力P7を示す。
【0103】
また、図9では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0104】
電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力は、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧(図7参照)と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図8参照)との積算値となる。
【0105】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T4から時刻T5の期間において電力変換器4の交流端子43に、時刻T3から時刻T6の期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T2から時刻T7の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻T1から時刻T8の期間において電力変換器7の交流端子に、それぞれ、正の電力が発生する。
【0106】
尚、電力の正の方向は、蓄電システム1が交流電源系統2から受電している状態を示す。
【0107】
時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において得られた正の電力と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧と振幅の向きが同じ正の電力が発生する。
【0108】
また、図9に示すハッチング部分(波形によって囲まれた部分の面積)は、上記各期間において、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する、すなわち交流電源系統2から電力変換器4,5,6,7のそれぞれが受電する半周期(1/2サイクル)分の電力量を示す。
【0109】
ここで、図9に示すハッチング部分(波形によって囲まれた部分の面積)をそれぞれ、S4,S5,S6,S7と定義すると、それらの間には以下の関係が成立する。
【0110】
【数1】
【0111】
式(1)の関係のままで蓄電システム1が運転を継続すると、蓄電装置8,9,10,11のそれぞれに供給される電力量の偏差に基づいて、蓄電装置8,9,10,11間における蓄電状態(SOC)のばらつきが時間の経過と共に拡大する。このばらつきの拡大を防ぐためには、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子において発生する電圧パターンを、それぞれ、変化させることが考えられる。
【0112】
例えば所定期間経過後に、図7に示す電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンが、図7に示す電力変換器5の交流端子に発生する電圧パターンになるように、図7に示す電力変換器5の交流端子に発生する電圧パターンが、図7に示す電力変換器6の交流端子に発生する電圧パターンに、・・・、図7に示す電圧変換器7の交流端子に発生する電圧パターンが、図7に示す電圧変換器4の交流端子に発生する電圧パターンに、それぞれ変更されるように、というように、所定期間経過毎に、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子において発生する電圧パターンを1つずつずらし、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子において発生する電圧パターンのそれぞれが4つの電圧パターンに順次、切り替わるようにすることが考えられる。このようにすれば、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子のそれぞれにおいて4つの電圧パターンが発生した段階において、蓄電装置8,9,10,11のそれぞれに入力される電力量の合計値が同じ値になるので、蓄電装置8,9,10,11間における蓄電状態(SOC)のばらつきの拡大を抑えることができる。
【0113】
尚、本実施形態では、所定期間経過毎に、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子において発生する電圧パターンを1つずつずらした場合を例に挙げて説明したが、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子のそれぞれにおける、異なった電圧パターンの発生回数が、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子の間で均等になるようにすれば、その他のずらし方を採用しても構わない。
【0114】
《蓄電システム1の動作の説明(2)》
次に、図10乃至図16を用いて、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を、所定の運転条件の比率から変更させる時の蓄電システム1の動作について説明する。
【0115】
ここで、所定の運転条件とは、図5乃至図9を用いて説明した蓄電システム1の通常運転時を示す。
【0116】
また、本実施形態では、特定の電力変換器を電力変換器4とした場合を例に挙げて説明する。
【0117】
電力変換器iの電力利用率Pfiは、式(2)によって定義される。
【0118】
【数2】
【0119】
ここで、Vi(t),Ii(t)は、時刻tにおける電力変換器iの交流端子に発生する電圧と、時刻tにおける電力変換器iの直流端子に流れる電流を示す。
【0120】
式(2)の分母は、電力変換器iを介して接続されている蓄電装置と系統2との間で授受される電力量の総量を示す。また、式(2)の分子は電力変換器iを介して接続されている蓄電装置と系統との間で授受される電力量の中でも、蓄電システム1の目標動作に利用する電力量を示す。このことから、式(2)で定義する電力利用率は、電力変換器iを介して蓄電装置と系統2で授受する電力量に対する、蓄電システム1に利用した電力量の割合を示す。
【0121】
まず、図10を用いて、電力変換器の電力利用率の絶対値を変化させる原理ついて説明する。
【0122】
図10は、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変化させるときの電力変換器4の電圧パターンの変化を示す。
【0123】
図10では、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する前の電圧パターンを上部に、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更した後の電圧パターンを下部に、それぞれ示す。
【0124】
また、図10では、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変更の前後における電圧パターンの変化の様子が判り易くなるように、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更した後の電圧パターン(下部の電圧パターンの実線)に、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する前の電圧パターン(破線)を重ねて図示している。
【0125】
図10に示すように、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する前は、時刻T4から時刻T5の期間において正の電圧を発生させていたが、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する場合には、正の電圧の発生期間を、時刻T4よりも遅い時刻Tc4から時刻T5よりも早い時刻Tc5の期間に短縮する。時刻T9から時刻T10の期間では、正の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧とは振幅の向きが逆の負の電圧を、正の電圧とは対称的に発生させていたが、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する場合には、負の電圧の発生期間を、正の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)だけ短縮する。
【0126】
また、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する場合には、時刻0から時刻T9の期間のうち、時刻Tc1から時刻Tc2の期間と、時刻Tc6から時刻Tc7の期間において、負の電圧を発生させる。時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において発生した負の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、時刻0から時刻T9の期間において発生した負の電圧とは振幅の向きが逆の正の電圧を発生させる。
【0127】
以上のように、所定の運転条件に対して、正(負)の電圧を発生させる期間を短縮すると、電力変換器4の交流端子43において受電(送電)する電力量を減少させることができると共に、正(負)の電圧を発生させる期間に電圧を負(正)とする期間を設けると、電力変換器4の交流端子43において送電(受電)する電力量を増大させることができる。これにより、1サイクル期間中の電力積算量をほぼ零とすることができ、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零にすることができる。電力変換器5,6,7においても、同様の考え方に基づいて電圧を制御することにより、電力変換器5,6,7の電力利用率の絶対値を零にすることができる。
【0128】
このような電力利用率制御は、電力変換器4の制御装置44において、中央制御装置12から信号伝送された指令値(搬送波と変調波との比較)に基づいて演算された、対応する4つのスイッチング素子の駆動パターンを、信号装置45、または、外部装置50から出力される指令値、または、中央制御装置12から信号伝送された電力利用率の指令値に基づいて演算された、対応する4つのスイッチング素子の電力利用率制御用補正駆動パターンによって補正することにより実現することができる。電力利用率制御用補正駆動パターンは、電力変換器4の交流端子43に発生させる4つの電圧パターンのそれぞれに対応して演算されるようになっている。
【0129】
尚、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とする際の電圧パターンは、時刻0と時刻T9の中間の時刻である時刻T9/2に対して対称でなくてもよい。
【0130】
また、中央制御装置12において演算される指令値(変調波の振幅の最大値)が、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する最大電圧よりも低くなり、蓄電システム1の負荷側接続端における電圧の発生に加担しない、電力変換器と蓄電装置との接続対が複数存在する場合には、ある電力変換器が1サイクルの半分の期間において正又は負の電圧を発生し、それを補うように他の電力変換器が極性の異なる電圧を発生させるようにしてもよい。
【0131】
さらに、図10では、半サイクルで電力収支量を零とする電圧パターンを採用したが、1サイクルの全期間での電力収支量を零とする電圧パターンを採用しても良い。
【0132】
次に、図11乃至図13を用いて、蓄電システム1の電力変換器4の電力利用率の絶対値を零としたときの動作について説明する。
【0133】
図11は、縦軸に電圧(正,負)を、横軸に時間をとり、図6に示す目標電圧に対する蓄電システム1の負荷側接続端における電圧と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧との関係(1サイクル分)を示す。
【0134】
図11では、上から順に、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧Vout、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧V4、電力変換器5の交流端子に発生する電圧V5、電力変換器6の交流端子に発生する電圧V6、電力変換器7の交流端子に発生する電圧V7を示す。
【0135】
また、図11では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0136】
さらに、図11では、蓄電システム1の目標電圧、すなわち中央制御装置12において演算され、中央制御装置12から電力変換器4の制御装置44及び電力変換装置5,6,7のそれぞれの制御装置に信号伝送された目標電圧(正弦波状の変調波)を点線で示す。
【0137】
図11に示すように、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンは、図7に示す電圧パターンとは異なり、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とするために、時刻0から時刻T3の期間及び時刻T6から時刻T9の期間において負の電圧を発生させ、電圧を正とする期間を時刻T′4から時刻T′5の期間に短縮している。
【0138】
ここで、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンを、図10に示す、電力利用率を零とする電圧パターンとし、電力変換器5,6,7の電圧パターンを、図7に示す電圧パターンとし、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7の交流端子に発生させた電圧を合成した場合、蓄電システム1の負荷側接続端に発生させた電圧は、蓄電システム1に対する目標電圧とすることが困難となり、交流電源系統2から蓄電システム1に供給された電力の蓄電システム1における受電量が少なくなる。
【0139】
このため、本実施形態では、電力変換器5の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻T2から時刻T7の期間に、電力変換器6の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻T2から時刻T8の期間に、電力変換器7の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻0から時刻T9の期間に、それぞれ延長している。こうすることにより、蓄電システム1が交流電源系統2から受電する電力の受電量を、図7に示す通常運転時とほぼ同等にすることができる。
【0140】
このような電圧発生期間延長制御は、電力変換器5,6,7のそれぞれの制御装置において、中央制御装置12から信号伝送された指令値(搬送波と変調波との比較)に基づいて演算された、対応する4つのスイッチング素子の駆動パターンを、信号装置45、または、外部装置50から出力される指令値、または、中央制御装置12から信号伝送された電力利用率の指令値に基づいて演算された、対応する4つのスイッチング素子の電圧発生期間延長用補正駆動パターンによって補正することにより実現することができる。電圧発生期間延長用補正駆動パターンは、電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生させる4つの電圧パターンのそれぞれに対応して演算される。
【0141】
図12は、縦軸に電流(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流の関係(1サイクル分)を示す。
【0142】
図12では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に流れる電流I4、電力変換器5の交流端子に流れる電流I5、電力変換器6の交流端子に流れる電流I6、電力変換器7の交流端子に流れる電流I7を示す。
【0143】
また、図12では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0144】
図6と図12とを比較して明らかなように、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図12参照)は、振幅(幅及び高さ)及び位相が、変圧器3と蓄電システム1の負荷側接続端との間に流れる電流(図6参照)と同じになる。
【0145】
図13は、縦軸に電力(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力(1サイクル分)の関係を示す。
【0146】
図13では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に発生する電力P4、電力変換器5の交流端子に発生する電力P5、電力変換器6の交流端子に発生する電力P6、電力変換器7の交流端子に発生する電力P7を示す。
【0147】
また、図13では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0148】
電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力は、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧(図11参照)と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図12参照)との積算値となる。
【0149】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T′4からの時刻T′5の期間において正の電力が、時刻0からの時刻T3の期間及び時刻T6からの時刻T9の期間において負の電力が、それぞれ、電力変換器4の交流端子43に発生する。
【0150】
尚、電力の正の方向は、蓄電システム1が交流電源系統2から受電している状態を、電力の負の方向は、蓄電システム1から交流電源系統2に放電している状態を、それぞれ示す。
【0151】
ここで、電力変換器4の上記各期間における電力積算量、すなわちハッチング部分(波形によって囲まれた部分の面積)をそれぞれ、S′42,S′41,S′43と定義すると、それらの間には以下の関係が成立する。
【0152】
【数3】
【0153】
また、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T2からの時刻T7期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T1からの時刻T8の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻0からの時刻T9の期間において電力変換器7の交流端子に、それぞれ、正の電力が発生する。
【0154】
さらに、時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において得られた正又は負の電力と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正又は負の電圧と振幅の向きが同じ正又は負の電力が発生する。
【0155】
ここで、電力変換器5,6,7のそれぞれの上記各期間における電力積算量、すなわちハッチング部分(波形によって囲まれた部分の面積)をそれぞれS′5,S′6,S′7と定義すると、図9に示す電力変換器5,6,7のそれぞれの電力積算量S5,S6,S7との間には以下の関係が成立する。
【0156】
【数4】
【0157】
【数5】
【0158】
【数6】
【0159】
このように、本実施形態では、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零にして、電力変換器4の1サイクル期間中の電力積算量をほぼ零とすることができると共に、電力変換器5の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻T2から時刻T7の期間に、電力変換器6の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻T2から時刻T8の期間に、電力変換器7の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻0から時刻T9の期間に、それぞれ延長して、電力変換器5,6,7の交流端子に発生させる電力量を大きくし、蓄電システム1が交流電源系統2から受電する電力の受電量を、図7に示す通常運転時とほぼ同等にすることができる。
【0160】
従って、本実施形態では、蓄電システム1と交流電源系統2との間において授受される電力量をほぼ同じ状態に保ったまま、特定の電力変換器の電力積算量をほぼ零とすることができる。
【0161】
《蓄電システム1の動作の説明(3)》
次に、図14乃至図16を用いて、蓄電システム1の電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とするときの別の動作について説明する。
【0162】
図14は、縦軸に電圧(正,負)を、横軸に時間をとり、図6に示す目標電圧に対する蓄電システム1の負荷側接続端における電圧と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧との関係(1サイクル分)を示す。
【0163】
図14では、上から順に、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧Vout、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧V4、電力変換器5の交流端子に発生する電圧V5、電力変換器6の交流端子に発生する電圧V6、電力変換器7の交流端子に発生する電圧V7を示す。
【0164】
また、図14では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0165】
さらに、図14では、蓄電システム1の目標電圧、すなわち中央制御装置12において演算され、中央制御装置12から電力変換器4の制御装置44及び電力変換装置5,6,7のそれぞれの制御装置に信号伝送された目標電圧(正弦波状の変調波)を点線で示す。
【0166】
図14に示すように、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンは、図7及び図11に示す電圧パターンとは異なり、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とするために、時刻0から時刻T9の期間及び時刻T9から時刻T10の期間の全ての期間において、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧が零に保持されている。
【0167】
また、電力変換器5,6,7の交流端子には、振幅の基準電位及び幅の異なる矩形波状の電圧が発生している。
【0168】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T31から時刻T41の期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T21から時刻T51の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻T11から時刻T61の期間において電力変換器7の交流端子に、それぞれ、振幅の高さが同じ正の電圧が発生する。また、時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において発生させた正の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧とは振幅の向きが逆の電圧(負の電圧)が、正の電圧とは対称的に発生する。
【0169】
電力変換器5,6,7の交流端子に発生した電圧は合成される。この結果、蓄電システム1の負荷側接続端には、目標電圧に対応した階段状の電圧が発生する。
【0170】
ここで、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンを零とし、蓄電システム1の負荷側接続端に発生させる電圧を、電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生させた電圧の合成から生成するためには、中央制御装置12において演算され、中央制御装置12から電力変換器4の制御装置44及び電力変換装置5,6,7のそれぞれの制御装置に信号伝送された指令値(変調波)の振幅を、図7及び図11に示す電圧パターンよりも小さくすればよい。こうすることにより、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンを零とし、蓄電システム1の負荷側接続端に発生させる電圧を、電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生させた電圧の合成から生成することができる。但し、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧の振幅も、図7及び図11に示す蓄電システム1の負荷側接続端における電圧よりも小さくなる。
【0171】
図15は、縦軸に電流(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流の関係(1サイクル分)を示す。
【0172】
図15では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に流れる電流I4、電力変換器5の交流端子に流れる電流I5、電力変換器6の交流端子に流れる電流I6、電力変換器7の交流端子に流れる電流I7を示す。
【0173】
また、図15では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0174】
図6と図15とを比較して明らかなように、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図15参照)は、振幅(幅及び高さ)及び位相が、変圧器3と蓄電システム1の負荷側接続端との間に流れる電流(図6参照)と同じになる。
【0175】
図16は、縦軸に電力(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力(1サイクル分)の関係を示す。
【0176】
図16では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に発生する電力P4、電力変換器5の交流端子に発生する電力P5、電力変換器6の交流端子に発生する電力P6、電力変換器7の交流端子に発生する電力P7を示す。
【0177】
また、図16では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0178】
電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力は、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧(図14参照)と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図15参照)との積算値となる。
【0179】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間の全てにおいて、電力変換器4の交流端子43に発生する電力が零になる。
【0180】
また、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T31から時刻T41の期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T21から時刻T51の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻T11から時刻T61の期間において電力変換器7の交流端子に、それぞれ、正の電力が発生する。
【0181】
さらに、時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において得られた正の電力と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧と振幅の向きが同じ正の電力が発生する。
【0182】
以上説明した場合においても、特定の電力変換器の電力積算量をほぼ零とし、特定の電力変換器の電力積算量をほぼ零とすることができる。
【0183】
《電力利用率制御による作用効果》
以上説明した本実施形態によれば、図10乃至図16を用いて説明したように、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を零とし、特定の電力変換器の電力積算量をほぼ零とすることができる。これにより、本実施形態によれば、蓄電システム1の運転中にも関わらず、特定の電力変換器に電気的に接続された蓄電装置の複数の電気的に並列に接続された蓄電モジュールを選択的に主回路から切り離すことができる。このように、蓄電システム1の運転中に蓄電モジュールを選択的に主回路から切り離すことができると、蓄電システム1の運転中に、切り離した蓄電モジュールを構成する複数の蓄電池を交換することができる。
【0184】
具体的には、図5に示すように、開閉器82a,82bのスイッチング素子をオンし、蓄電モジュール81a,81bを主回路(電力変換器4)に電気的に接続させている状態から、図17に示すように、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とした後、開閉器82aのスイッチング素子をオフし、蓄電モジュール81aを主回路(電力変換器4)から電気的に切り離すことによって、蓄電モジュール81aを構成する複数の蓄電池83aを交換することができる。
【0185】
ここで、蓄電モジュール81aを選択して切り離した場合、主回路に電気的に接続されている蓄電モジュール81bには、電気理論上、電気的に並列に接続されていた蓄電モジュール81aに流れていた分の電流が増え、2倍の電流が流れることになる。通常、蓄電池に規定以上の電流が流れると、その蓄電池の劣化が加速され、寿命が短くなる。これにより、蓄電モジュール81bを構成する複数の蓄電池83bの寿命が大幅に短くなると考えられる。しかし、本実施形態では、蓄電モジュール81bを構成する複数の蓄電池83bの寿命を大きく変化させることがない。その理由は、本実施形態では、繰り返し述べているように、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とし、1サイクルの蓄電モジュール81bの電力収支を零としているので、蓄電モジュール81bを構成する複数の蓄電池83bの負担の増大を最小限に留めることができるからである。
【0186】
また、図5に示す状態から、図18に示すように、空の蓄電モジュール81cに、別の蓄電器、例えばコンデンサ84を設け、開閉器82cのスイッチング素子をオンして、蓄電モジュール81cのコンデンサ84を主回路(電力変換器4)に電気的に接続し、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とした後、開閉器82a,82bのスイッチング素子をオフし、蓄電モジュール81a,81bを主回路(電力変換器4)から電気的に切り離すことによって、蓄電モジュール81a,81bを構成する複数の蓄電池83a,83bを交換することができる。
【0187】
この際、本実施形態では、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零としていることから、1サイクルのコンデンサ84の電力収支は零となり、コンデンサ84の容量を適切に選ぶことにより、動作中にも電力変換器4の負荷側接続端(交流端子43)側の電圧値をほぼ一定に保つことが可能である。これにより、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧の振幅の最大値を変化させることなく、かつ蓄電システム1を停止することなく、蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bを交換することができる。
【0188】
さらに、図5に示す状態から、図19に示すように、空の蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設け、開閉器82cのスイッチング素子をオンして、蓄電モジュール81cのコンデンサ84を主回路(電力変換器4)に電気的に接続し、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とした後、開閉器82aのスイッチング素子をオフし、蓄電モジュール81aを主回路(電力変換器4)から電気的に切り離すことによって、蓄電モジュール81aを構成する複数の蓄電池83aを交換することができる。
【0189】
この際、本実施形態では、電力変換器4に電気的に接続される蓄電モジュールの状態を、図5の状態と同様の運転条件に以降できると共に、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とすることから、複数の蓄電池83cの充電状態の変化を最小限に抑え、かつ蓄電システム1を停止することなく、蓄電モジュール81aの複数の蓄電池83aを交換することができる。
【0190】
さらにまた、図5に示す状態から、図20に示すように、空の蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設け、開閉器82cのスイッチング素子をオンして、蓄電モジュール81cのコンデンサ84を主回路(電力変換器4)に電気的に接続し、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とした後、開閉器82a,82bのスイッチング素子をオフし、蓄電モジュール81a,81bを主回路(電力変換器4)から電気的に切り離すことによって、蓄電モジュール81a,81bを構成する複数の蓄電池83a,83bを交換することができる。
【0191】
この際、本実施形態では電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とすることから、複数の蓄電池83cの充電状態の変化を最小限に抑え、かつ蓄電システム1を停止することなく、蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bを交換することができる。
【0192】
《蓄電システム1の非停止による蓄電池の交換手順》
次に、図21乃至図32を用いて、図17乃至図20を用いて説明した蓄電池の交換手順について、具体的に説明する。
【0193】
図21乃至図23は、図17に示す蓄電池の交換手順示す。蓄電池の交換実施のトリガとしては、信号装置45からの信号に基づく場合と、外部装置50からの信号に基づく場合とがある。
【0194】
図21は、信号装置45からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0195】
ステップS2101において、信号装置45のボタン又はレバーが操作されてオンされると、信号装置45から信号が出力される。ステップS2102において、電力変換器4の制御装置44が、信号装置45から出力された信号を受信すると、ステップS2103において、電力変換器4の制御装置44は、信号装置45から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2104において、開閉器82aのスイッチング素子がオフされ、蓄電モジュール81aが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離される。そして、ステップ2105において、蓄電モジュール81aの複数の蓄電池83aの状態を確認し、交換が必要な蓄電池83aがある場合には、その蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。予め交換が必要な蓄電器83aが判っている場合には、ステップ2104の処理後、ステップ2105において、交換が必要な蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。
【0196】
図22は、外部装置50からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0197】
ステップS2201において、電力変換器4の制御装置44が、外部装置50から出力された信号を受信すると、ステップS2201において、電力変換器4の制御装置44は、外部装置50から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2203において、開閉器82aのスイッチング素子がオフされ、蓄電モジュール81aが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離される。そして、ステップ2204において、交換が必要な蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。
【0198】
図23は、図21又は図22による蓄電池の交換手順を実施したときの各機器の動作や状態の時間的な変化及び信号や特性の時間的な変化を示す。
【0199】
図23では、横軸に時間をとり、縦軸に、図上方より、信号装置45又は外部装置50から出力される信号の状態、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変化状態、開閉器82aのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82bのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82cのスイッチング素子のスイッチング状態、蓄電モジュール81aの接続状態、蓄電モジュール81bの接続状態及び蓄電モジュール81cの接続状態を、それぞれとる。
【0200】
また、図23では、各状態において、縦軸と横軸との交点を、「OFF」或いは「0」若しくは「非接続」とし、その交点よりも上側を「ON」或いは「1」若しくは「接続」としている。
【0201】
時刻0から時刻T231の期間では、信号装置45又は外部装置50からの信号が無く、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオンの状態で、電力利用率が1の電力変換器4に蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bが電気的に接続されている状態にある。また、蓄電モジュール81cには蓄電池が設けられていないことから、その接続状態は非接続の状態にあり、開閉器82cのスイッチング素子もオフの状態にある。
【0202】
時刻T231において、信号装置47又は外部装置50から信号が出力され、信号の状態がオンの状態になると、所定時間を経過した時刻T232において、電力変換器4の電力利用率の絶対値が低下し始め、時刻T233において、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になる。この後、所定時間を経過した時刻T234において、開閉器82aのスイッチング素子がオフになり、所定時間を経過した時刻T235において、蓄電モジュール81aが電力変換器4から電気的に切り離される。時刻T235以降では、その状態が維持され、蓄電池83aの交換が行われる。
【0203】
尚、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零にするにあたっては、図23に示すように、電力変換器4の電力利用率の絶対値をリニア(ランプ状)に減少変化させたが、ステップ状に減少変化させるようにしてもよいし、電力変換器4の電力利用率の絶対値の単位時間に対する減少度合いを時間に対して変化させるようにしてもよい。
【0204】
図24乃至図26は、図18に示す蓄電池の交換手順示す。
【0205】
図24は、信号装置45からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0206】
まず、ステップS2401において、蓄電モジュール81cにコンデンサ84を設置する。次に、ステップS2402において、信号装置45のボタン又はレバーが操作されてオンされると、信号装置45から信号が出力される。ステップS2403において、電力変換器4の制御装置44が、信号装置45から出力された信号を受信すると、ステップS2404において、電力変換器4の制御装置44は、信号装置45から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2405において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81a,81bが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)に電気的に接続される。そして、ステップ2406において、蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bの状態を確認し、交換が必要な蓄電池83a,81bがある場合には、その蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。予め交換が必要な蓄電器83a,83bが判っている場合には、ステップ2405の処理後、ステップ2406において、交換が必要な蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。
【0207】
図25は、外部装置50からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0208】
まず、ステップS2501において、蓄電モジュール81cにコンデンサ84を設置する。次に、ステップS2502において、電力変換器4の制御装置44が、外部装置50から出力された信号を受信すると、ステップS2503において、電力変換器4の制御装置44は、外部装置50から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2504において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81a,81bが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)から電気的に接続される。そして、ステップ2505において、交換が必要な蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。
【0209】
図26は、図24又は図25による蓄電池の交換手順を実施したときの各機器の動作や状態の時間的な変化及び信号や特性の時間的な変化を示す。
【0210】
図26では、横軸に時間をとり、縦軸に、図上方より、信号装置45又は外部装置50から出力される信号の状態、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変化状態、開閉器82aのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82bのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82cのスイッチング素子のスイッチング状態、蓄電モジュール81aの接続状態、蓄電モジュール81bの接続状態及び蓄電モジュール81cの接続状態を、それぞれとる。
【0211】
また、図26では、各状態において、縦軸と横軸との交点を、「OFF」或いは「0」若しくは「非接続」とし、その交点よりも上側を「ON」或いは「1」若しくは「接続」としている。
【0212】
時刻0から時刻T262の期間では、信号装置45又は外部装置50からの信号が無く、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオンの状態で、電力利用率が1の電力変換器4に蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bが電気的に接続されている状態にある。この状態において、時刻T261において、蓄電モジュール81cにコンデンサ84を設け、開閉器82cのスイッチング素子はオフの状態のままにしておく。
【0213】
時刻T262において、信号装置47又は外部装置50から信号が出力され、信号の状態がオンの状態になると、所定時間を経過した時刻T263において、電力変換器4の電力利用率の絶対値が低下し始め、時刻T264において、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になる。この後、所定時間を経過した時刻T265において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフ、開閉器82cのスイッチング素子がオンになり、所定時間を経過した時刻T266において、蓄電モジュール81a,81bが電力変換器4から電気的に切り離され、蓄電モジュール81cが電力変換器4に電気的に接続される。時刻T266以降では、その状態が維持され、蓄電池83a,83bの交換が行われる。
【0214】
尚、コンデンサ84は予め充電されていてもよいし、時刻T261から時刻T262の期間にコンデンサ84を充電するモードを設けて充電するようにしてもよい。
【0215】
図27乃至図29は、図19に示す蓄電池の交換手順示す。
【0216】
図27は、信号装置45からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0217】
まず、ステップS2701において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設置する。次に、ステップS2702において、信号装置45のボタン又はレバーが操作されてオンされると、信号装置45から信号が出力される。ステップS2703において、電力変換器4の制御装置44が、信号装置45から出力された信号を受信すると、ステップS2704において、電力変換器4の制御装置44は、信号装置45から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2705において、開閉器82aのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81aが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)に電気的に接続される。そして、ステップ2706において、蓄電モジュール81aの複数の蓄電池83aの状態を確認し、交換が必要な蓄電池83aがある場合には、その蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。予め交換が必要な蓄電器83aが判っている場合には、ステップ2705の処理後、ステップ2706において、交換が必要な蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。
【0218】
図28は、外部装置50からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0219】
まず、ステップS2801において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設置する。次に、ステップS2802において、電力変換器4の制御装置44が、外部装置50から出力された信号を受信すると、ステップS2803において、電力変換器4の制御装置44は、外部装置50から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2804において、開閉器82aのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81aが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)から電気的に接続される。そして、ステップ2805において、交換が必要な蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。
【0220】
図29は、図27又は図28による蓄電池の交換手順を実施したときの各機器の動作や状態の時間的な変化及び信号や特性の時間的な変化を示す。
【0221】
図29では、横軸に時間をとり、縦軸に、図上方より、信号装置45又は外部装置50から出力される信号の状態、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変化状態、開閉器82aのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82bのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82cのスイッチング素子のスイッチング状態、蓄電モジュール81aの接続状態、蓄電モジュール81bの接続状態及び蓄電モジュール81cの接続状態を、それぞれとる。
【0222】
また、図29では、各状態において、縦軸と横軸との交点を、「OFF」或いは「0」若しくは「非接続」とし、その交点よりも上側を「ON」或いは「1」若しくは「接続」としている。
【0223】
時刻0から時刻T292の期間では、信号装置45又は外部装置50からの信号が無く、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオンの状態で、電力利用率が1の電力変換器4に蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bが電気的に接続されている状態にある。この状態において、時刻T291において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設け、開閉器82cのスイッチング素子はオフの状態のままにしておく。
【0224】
時刻T292において、信号装置47又は外部装置50から信号が出力され、信号の状態がオンの状態になると、所定時間を経過した時刻T293において、電力変換器4の電力利用率の絶対値が低下し始め、時刻T294において、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になる。この後、所定時間を経過した時刻T295において、開閉器82aのスイッチング素子がオフ、開閉器82cのスイッチング素子がオンになり、所定時間を経過した時刻T296において、蓄電モジュール81aが電力変換器4から電気的に切り離され、蓄電モジュール81cが電力変換器4に電気的に接続される。時刻T296以降では、その状態が維持され、蓄電池83aの交換が行われる。
【0225】
尚、複数の蓄電池83cは予め充電されていてもよいし、時刻T291から時刻T292の期間に複数の蓄電池83cを充電するモードを設けて充電するようにしてもよい。
【0226】
図30乃至図32は、図20に示す蓄電池の交換手順示す。
【0227】
図30は、信号装置45からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0228】
まず、ステップS3001において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設置する。次に、ステップS3002において、信号装置45のボタン又はレバーが操作されてオンされると、信号装置45から信号が出力される。ステップS3003において、電力変換器4の制御装置44が、信号装置45から出力された信号を受信すると、ステップS3004において、電力変換器4の制御装置44は、信号装置45から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ3005において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81a,81bが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)に電気的に接続される。そして、ステップ3006において、蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bの状態を確認し、交換が必要な蓄電池83a,83bがある場合には、その蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。予め交換が必要な蓄電器83a,83bが判っている場合には、ステップ3005の処理後、ステップ3006において、交換が必要な蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。
【0229】
図31は、外部装置50からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0230】
まず、ステップS3101において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設置する。次に、ステップS3102において、電力変換器4の制御装置44が、外部装置50から出力された信号を受信すると、ステップS3103において、電力変換器4の制御装置44は、外部装置50から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ3104において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81a,81bが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)から電気的に接続される。そして、ステップ3105において、交換が必要な蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。
【0231】
図32は、図30又は図31による蓄電池の交換手順を実施したときの各機器の動作や状態の時間的な変化及び信号や特性の時間的な変化を示す。
【0232】
図32では、横軸に時間をとり、縦軸に、図上方より、信号装置45又は外部装置50から出力される信号の状態、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変化状態、開閉器82aのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82bのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82cのスイッチング素子のスイッチング状態、蓄電モジュール81aの接続状態、蓄電モジュール81bの接続状態及び蓄電モジュール81cの接続状態を、それぞれとる。
【0233】
また、図32では、各状態において、縦軸と横軸との交点を、「OFF」或いは「0」若しくは「非接続」とし、その交点よりも上側を「ON」或いは「1」若しくは「接続」としている。
【0234】
時刻0から時刻T322の期間では、信号装置45又は外部装置50からの信号が無く、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオンの状態で、電力利用率が1の電力変換器4に蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bが電気的に接続されている状態にある。この状態において、時刻T321において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設け、開閉器82cのスイッチング素子はオフの状態のままにしておく。
【0235】
時刻T322において、信号装置47又は外部装置50から信号が出力され、信号の状態がオンの状態になると、所定時間を経過した時刻T323において、電力変換器4の電力利用率の絶対値が低下し始め、時刻T324において、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になる。この後、所定時間を経過した時刻T325において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフ、開閉器82cのスイッチング素子がオンになり、所定時間を経過した時刻T326において、蓄電モジュール81a,81bが電力変換器4から電気的に切り離され、蓄電モジュール81cが電力変換器4に電気的に接続される。時刻T326以降では、その状態が維持され、蓄電池83a,83bの交換が行われる。
【0236】
尚、複数の蓄電池83cは予め充電されていてもよいし、時刻T321から時刻T322の期間に複数の蓄電池83cを充電するモードを設けて充電するようにしてもよい。
【0237】
《蓄電システム1のハードウエア構成》
次に、図33から図37を用いて、蓄電システム1の実際のハードウエア構成について説明する。
【0238】
図33は、図1に示す蓄電システム1の実際のハードウエア構成を示す。
【0239】
図33では、図1に示す蓄電システム1の構成要素の一部を図示省略している。図1では、電力変換器と蓄電装置との接続対を4組備えているが、図33では、そのうちの3組を図示すると共に、3組目の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを1つのみ図示している。
【0240】
図33に示すように、蓄電システム1は、鉄やスチールなどの金属製の設置台332を備え、この設置台332に、電力変換器と蓄電装置とを4組分、搭載している。
【0241】
ここで、設置台332の8つの角をそれぞれ、点A〜点Hとすると、設置台332は、点A〜点Dを結ぶことによって形成される長方形状の面ABCD、点E〜点Hを結ぶことによって形成される長方形状の面EFGH、点A,点D,点E,点Hを結ぶことによって形成される長方形状の面ADEH、点B,点C,点F,点Gを結ぶことによって形成される長方形状の面BDFG、点A,点B,点E,点Fを結ぶことによって形成される長方形状の面ABEF、及び点C,点D,点G,点Hを結ぶことによって形成される長方形状の面CDGHの6面によって囲まれて形成された6面体であり、6面のうち、対向する面ABCDと面EFGHとの面積が最も大きく、対向する面ADEHと面BCFGとの面積が最も小さく、対向する面ABEFと面CDGHとの面積がそれらの間の大きさの直方体形状の構造体である。
【0242】
設置台332は、上下2段になるように構成されたラックである。設置台332の上下の中間部位には仕切板が設けられている。仕切板は、面ABEF及び面CDGHに設けられた天板及び底板と同じ大きさのものである。天板,底板及び仕切板は、面ADEH側及び面BDFG側の縁が、面ADEH及び面BDFGの面ABCD側及び面EFGH側の縁に沿って延びるように設けられた細長い支柱板に固定されて保持されている。設置台332の面ABCDには、面ADEHから面BDFGに延びるように、上下段のそれぞれに対応して設けられた細長い電力変換器取付板332a,332bが設けられ、それぞれ支柱板に固定されて保持されている。設置台332の面EFGH側は開放されている。設置台332の面ABCD側は電力変換器取付板332a,332bによって一部が塞がれている。
【0243】
設置台332の上段には、2組の蓄電装置を構成する蓄電モジュール331a〜331fが設置されている。設置台332の下段には、蓄電モジュール331gを含む、2組の蓄電装置を構成する複数の蓄電モジュールが設置されている。
【0244】
蓄電モジュール331a〜331gは、それぞれ、対向する2つの長方形状の主面と、この2つの主面に垂直になるように、2つの主面の縁に沿って配置された、主面よりも面積が小さい4つの長方形状の側面とによって囲まれて形成された直方体形状のモジュールケースに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池を収納した構造体である。ここで、直方体形状のモジュールケースは、対向する2つの主面間の距離(高さ方向の寸法)が主面の4辺の長さ(奥行き方向と幅方向の寸法)よりも小さい扁平形状をしている。
【0245】
蓄電モジュール331a〜331gは、それぞれ、設置台332の面EFGHの開放側から、対応する段に、モジュールケースの面3310(側面の一つ)が、設置台332の面ABCDと向かい合うように挿入されている。これにより、設置台332の上段では、モジュールケースの主面が設置台332の面ADEH及び面BCFGを向くように、蓄電モジュール331a〜331fが、設置台332の面ADEH及び面BCFGの一方側から他方側に向かって並列に配列される。設置台332の下段では、蓄電モジュール331gを含む複数の蓄電モジュールが上段と同様に並列に配列される。モジュールケースの面3310には電力変換器との接続端子が設けられており、蓄電モジュールを設置台332に挿入することによって、電力変換器との接続されるように構成されている。
【0246】
電力変換器取付板332aの蓄電モジュール331a〜331f側とは反対側には、蓄電モジュール331a〜331cに対応する電力変換器333aと、蓄電モジュール331d〜331fに対応する電力変換器333bが左右に並んで取り付けられている。電力変換器取付板332aの、蓄電モジュール331gを含む複数の蓄電モジュール側とは反対側には、蓄電モジュール331gを含む複数の蓄電モジュールに対応する電力変換器333cと、残りの複数の蓄電モジュールに対応する電力変換器(図示省略)が左右に並んで取り付けられている。
【0247】
以上のように構成された蓄電システム1では、蓄電池を交換する場合、交換する蓄電池を含む蓄電モジュール、例えば蓄電モジュール331gを、設置台332に面EFGHの開放側から、設置台332の面ABCD側とは反対方向に水平に引き出すだけで、容易に取り外すことができる。また、電力変換器は333a〜333cを含む複数の電力変換器が蓄電モジュール331d〜331gから分離されて電力変換器設置板332a,332bに保持されているので、交換する蓄電池を含む蓄電モジュール、例えば蓄電モジュール331gを取り外すとき、電力変換器は333a〜333cを含む複数の電力変換器の取り外しを伴うことなく、蓄電モジュール331gのみを取り外すことができ、蓄電モジュール331gの取り外し作業を容易にできる。
【0248】
尚、本実施形態では、中央制御装置12,電圧計測装置13,電流計測装置14及び変圧器3の配置やそれらを電気的に接続するケーブルなどの図示を省略したが、それらについては設置台332の天板の上或いは設置台332の側部に設けられたりする。また、設置台332の段数を増やし、その増えた段部分にそれらを設置するようにしてもよい。
【0249】
また、本実施形態では、複数の蓄電モジュール331a〜331fを横に配列したが、縦に積み上げるようにしてもよい。
【0250】
さらに、図1の蓄電システム1のハードウエア構成を説明するにあたって、図33では、図1で用いた符号とは別の符号を用いたが、図1の電力変換器及び蓄電装置と図33の電力変換器及び蓄電装置との対応関係は次の通りである。図34以降においても同様の関係にある。
【0251】
電力変換器4⇔電力変換器333a
電力変換器5⇔電力変換器333b
電力変換器6⇔電力変換器333c
電力変換器7⇔電力変換器(図示省略。図34,図37では電力変換器333d)
蓄電モジュール81a,81b,81c⇔蓄電モジュール331a,331b,331c
蓄電装置9の3つの蓄電モジュール(図示省略)⇔蓄電モジュール331d,331e,331f
蓄電装置10の3つの蓄電モジュール(図示省略)⇔蓄電モジュール331gを含んだ3つの蓄電モジュール(図示省略)
蓄電装置11の3つの蓄電モジュール(図示省略)⇔3つの蓄電モジュール(図示省略)
【0252】
図34は、図33に示す蓄電システム1の実際のハードウエア構成にバイパス回路を追加したときのハードウエア構成を示す。図35は、バイパス回路の回路構成を示す。
【0253】
図34に示す蓄電システム1では、電力変換器333a〜333dに対応してバイパス回路344a〜344dを備えている。バイパス回路344a〜344dは、対応する電力変換器333a〜333dとは分離して設けられていると共に、対応する電力変換器333a〜333dと上下方向に並ぶように、電力変換器設置板332a,332bに取り付けられている。
【0254】
図35に示すように、バイパス回路344aは、電力変換器333aのスイッチング回路(図2に示すフルブリッジインバータ回路参照)を構成する第1のアームの中点(上アームのスイッチング素子41aのソースと下アームのスイッチング素子41bのドレインとの電気的な接続点)に電気的に接続された中点側端子3342の一方と交流端子3343の一方との間に電気的に接続された切替スイッチ3341aと、第2のアームの中点(上アームのスイッチング素子41cのソースと下アームのスイッチング素子41dのドレインとの電気的な接続点)に電気的に接続された中点側端子3342の他方と交流端子3343の他方との間に電気的に接続された切替スイッチ3341bとを備え、切替スイッチ3341a,3341bがオフのとき、中点側端子3342の一方と交流端子3343の一方とを、中点側端子3342の他方と交流端子3343の他方とを、それぞれ、電気的に接続し、切替スイッチ3341a,3341bがオンのとき、中点側端子3342の一方と交流端子3343の一方との電気的な接続、中点側端子3342の他方と交流端子3343の他方との電気的な接続を遮断し、電力変換器333aをバイパスして交流端子3343の一方と他方とを電気的に接続する接続切替回路である。
【0255】
尚、バイパス回路344b,344c,344dもバイパス回路344aと同様に構成されている。
【0256】
このように、バイパス回路344a〜344dを備え、切替スイッチ3341a,3341bをオンさせて交流端子3343と中点側端子3342との電気的な接続を切り離し、電力変換器333aをバイパスさせて交流端子3343の一方と他方とを電気的に接続することにより、蓄電システム1の負荷側接続端の一方から他方までの電気的な直列回路を途中で切断することなく、蓄電システム1の負荷側接続端の一方から他方までの電気的な直列回路から電力変換器333a〜333dを電気的に切り離すことができるので、蓄電システム1の運転中に、電力変換器333a〜333dを交換することができる。
【0257】
図36は、図33に示す蓄電システム1の実際のハードウエア構成を一部変更したときのハードウエア構成を示す。
【0258】
図36に示す蓄電システム1では、図33に示す設置台332から電力変換器取付板332a,332bを取り外した設置台361と、設置台361aとを備えている。設置台361には、図33に示す場合と同様に、蓄電モジュール331a〜331gを含む複数の蓄電モジュールを搭載している。設置台361aには、電力変換器333a〜333cを含む複数の電力変換器を上下左右に並べて取り付けている。設置台361と設置台361aとの間には距離Lの間隔を設けているが、間隔を設けなくてもよい。
【0259】
図36に示す蓄電システム1においても、図33に示す蓄電システム1と同様の作用効果を達成することができる。
【0260】
図37は、図34に示す蓄電システム1を、図36に示す蓄電システム1のように構成したときのハードウエア構成を示す。
【0261】
図37に示す蓄電システム1では、図36に示すように、電力変換器333a〜333dを設置台361aに取り付けると共に、図34に示すバイパス回路344a〜344dも設置台361aに取り付けている。バイパス回路344a〜344dは、対応する電力変換器333a〜333dとは分離して設けられていると共に、対応する電力変換器333a〜333dと上下方向に並ぶように、設置台361aに取り付けられている。
【0262】
図37に示す蓄電システム1においても、図34に示すように、バイパス回路344a〜344dが動作することにより、蓄電システム1の負荷側接続端の一方から他方までの電気的な直列回路を途中で切断することなく、蓄電システム1の負荷側接続端の一方から他方までの電気的な直列回路から、対応する電力変換器333a〜333dを電気的に切り離すことができるので、蓄電システム1の運転中に、対応する電力変換器333a〜333dを交換することができる。また、バイパス回路344a〜344dが、対応する電力変換器333a〜333dから分離して設けられているので、バイパス回路344a〜344dの取り外しを伴うことなく、電力変換器333a〜333dのみを取り外して、電力変換器333a〜333dを交換することができ、電力変換器333a〜333dの取り外し作業を容易にできる。
【技術分野】
【0001】
本発明は蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野に関する背景技術として、例えば特許文献1,2に開示された技術がある。
【0003】
特許文献1には、複数のスイッチ回路と、複数のスイッチ回路のそれぞれに接続されて、対応するスイッチ回路に直流電圧を出力する直流電源(鉛電池のようなバッテリ)とを有する複数の電源回路が直列に接続されることにより構成され、トランスを介して電力系統に接続された多重化インバータ装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、複数のバッテリ及び予備バッテリがバッテリ入出力ライン上に互いに直列に接続され、バッテリ切替制御部が、バッテリ診断部により異常があると判定されたバッテリをバッテリ入出力ラインから切断すると共に、予備バッテリをバッテリ入出力ラインに接続するように構成されたバッテリ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−174663号公報
【特許文献2】特開2009−213248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、二酸化炭素の排出による地球温暖化や、化石燃料の枯渇が懸念されており、二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下が求められている。二酸化炭素の排出量の低減や、化石燃料への依存度の低下を図るためには、駆動システムの電動化や、風力や太陽光などの自然から得られる再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入などの促進が考えられる。駆動システムの電動化にあたっては、電気エネルギーの蓄積及び放出が可能な蓄電システムを駆動電源として備える必要がある。また、再生可能エネルギーを利用した発電システムの導入にあたっては、電気エネルギーの蓄積及び放出が可能な蓄電システムを、気象条件に左右される再生可能エネルギーの変動に伴う電力変動を抑制する、すなわち電力の余剰時に余剰電力を貯蔵し、電力の不足時に不足電力を補うために併設する必要がある。このように、いずれのシステムにおいても蓄電システムが必要不可欠である。
【0007】
ここ数年、地球温暖化の一層の歯止め、省エネルギー化の一層の推進などの要求が社会的に高まっている。この要求に応えるためには、地球環境に対する環境負荷のさらなる低減,システム効率及びエネルギー効率のさらなる向上などが必要になる。蓄電システムにおいて、その要求に応えるためには、さらなる高性能化が必要になる。これを達成するための一つの手段としては、特許文献1に開示された技術のように、スイッチ回路(電力変換回路)と直流電源(蓄電器)とを接続して構成した電源回路が複数、直列に接続されてなり、複数の電源回路の出力電圧を合成して出力するように構成された多重化インバータ方式の蓄電システムを採用することが考えられる。多重化インバータ方式の蓄電システムによれば、電力変換の高効率化を図ることができ、電気エネルギーの有効利用及び有効回収による高性能化を図ることができる。
【0008】
尚、多重化インバータ方式は、CMC(Cascade Multilevel Converter)方式と呼ばれる場合もある。
【0009】
蓄電システムは、設置されるシステムなどによって数は異なるが、複数の蓄電器を有する。複数の蓄電器は、蓄電システムの作動によって、その状態、例えば蓄電性能や寿命などが変化する。このとき、複数の蓄電器の状態変化にはばらつきが生じる。これは、複数の蓄電器の間に個体差が存在するからである。複数の蓄電器の間の個体差は時間の経過と共に大きくなる。このため、複数の蓄電器の状態変化のばらつきも大きくなる。蓄電システムは複数の蓄電器の状態変化のばらつきを考慮して設計や制御されている。しかし、複数の蓄電器の状態変化のばらつきが許容範囲を超えると、蓄電システムの性能に影響を及ぼすようになる。このような場合には、複数の蓄電器の状態変化のばらつきが許容範囲を超える前に、他の蓄電器よりも状態変化が大きい蓄電器を新しい蓄電器に交換し、複数の蓄電器の状態変化のばらつきを小さくする必要がある。また、複数の蓄電器の中に、蓄電量の自己放出量が他の蓄電器よりも大きい蓄電器が存在する場合がある。このような場合においても、蓄電量の自己放出量が大きい蓄電器を新しい蓄電器に交換する必要がある。
【0010】
蓄電器を交換する方法の一つとしては、特許文献2に開示された技術のように、複数の蓄電器からなる蓄電器群と予備蓄電器とを接続した状態で、交換対象の蓄電器を交換することが考えられる。このような交換方法によれば、蓄電器の交換作業中でも、蓄電システムを停止させることなく、蓄電システムに要求される最大出力を確保することができるので、蓄電システムの稼動が制限され、蓄電システムの利用者がその影響を受けるようなことがない。
【0011】
しかしながら、特許文献2に開示された交換方法では、予備蓄電器を備える分、蓄電システムのコストが高くなる。また、特許文献2に開示された技術は、蓄電器の出力の最大容量を確保する技術であることから、特許文献1のように、インバータ毎にバッテリを分割して交流電力を出力するシステムにはそのまま適用できない。
【0012】
また、特許文献1に開示された技術では、蓄電器の交換を考慮していない。特許文献1に開示された技術において、蓄電器を交換するためには、交換対象の蓄電器を含む直流電源に対応して設けられたスイッチ回路をOFFとして、電源回路と変圧器側との間で電力を授受しない状態とし、蓄電器を交換することが考えられる。しかし、このような方法では、システムの最大入出力が低下し、予期せぬシステムの入出力の増大指令に対応することができない。
【0013】
さらに、特許文献1に特許文献2を適用し、特許文献1の多重化インバータ方式の蓄電システムに、特許文献2に開示された技術のように、スイッチ回路と蓄電器との対からなる予備の電源回路の対を備え、蓄電器の交換時、予備の電源回路を接続し、システムの最大出力を確保した状態で蓄電器を交換することも考えられる。しかし、このような方法では、予備の電源回路の設置に追加コストを要する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願が解決すべき代表課題は、システムを停止させることなく、蓄電器の交換ができる蓄電システムの提供にある。
【0015】
上記蓄電システムの提供にあたっては、蓄電器の交換用として、予備装置を追加することなく、蓄電器を交換できることが好ましい。
【0016】
また、上記蓄電システムの提供にあたっては、蓄電システムの高効率化を図ることができることが好ましい。
【0017】
尚、この他の課題は、以下に説明する実施形態において、課題の裏返しとなる効果に置き換え、その解決手段と共に説明する。
【0018】
本願は、上記代表課題を解決する解決手段を複数有する。ここでは、そのうちの一つを代表的な解決手段として挙げる。
【0019】
ここに、本願は、負荷が電気的に接続される負荷接続端、及び電源が電気的に接続される電源接続端を備え、負荷側接続端或いは電源側接続端に供給された電力を制御して電源側接続端或いは負荷側接続端から出力する電力制御回路を複数、負荷接続端側において電気的に直列に接続してなる電力制御回路群と、複数の電力制御回路のそれぞれに対応して設けられ、電源として、対応する電力制御回路の電源接続端に電気的に接続された、複数の蓄電器を有する蓄電装置と、複数の電力制御回路の作動を制御する制御装置と、複数の電力制御回路のそれぞれに対応して設けられ、対応する電力制御回路の電力利用率の比率を変更する電力利用率変更手段と、を有することを、上記代表課題を解決する代表的な解決手段とする。
【発明の効果】
【0020】
本願の代表的な解決手段によれば、システムを停止させることがなく、蓄電器の交換ができる蓄電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】蓄電システムの全体の概略構成を示すシステムブロック図。
【図2】図1のシステムを構成する蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図3】図2の電力変換器の制御装置の構成を示す機能ブロック図。
【図4】図1のシステムを構成する中央制御装置の構成を示す機能ブロック図。
【図5】図1のシステムの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図6】図1のシステムの動作を説明するための図であって、交流電源系統の電圧と、蓄電システムの目標電圧と、変圧器と蓄電システムとの間において流れる電流との関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図7】図1のシステムの動作を説明するための図であって、図6に示す目標電圧に対する蓄電システムの負荷側接続端における電圧と、各電力変換器の交流端子における電圧との関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図8】図1のシステムの動作を説明するための図であって、各電力変換器の交流端子における電流の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図9】図1のシステムの動作を説明するための図であって、各電力変換器の交流端子における電力の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図10】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更する前後の電圧パターンの関係を示す関係図。
【図11】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンにしたときの、図6に示す目標電圧に対する蓄電システムの負荷側接続端における電圧と、各電力変換器の交流端子における電圧との関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図12】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンにしたときの、各電力変換器の交流端子における電流の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図13】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンにしたときの、各電力変換器の交流端子における電力の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図14】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンとは異なる電圧パターンとして、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更にしたときの、図6に示す目標電圧に対する蓄電システムの負荷側接続端における電圧と、各電力変換器の交流端子における電圧との関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図15】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンとは異なる電圧パターンとして、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更にしたときの、各電力変換器の交流端子における電流の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図16】図1のシステムの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電圧パターンを図10に示す電圧パターンとは異なる電圧パターンとして、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更にしたときの、各電力変換器の交流端子における電力の関係(1サイクル分)を示す関係図。
【図17】図5に示す状態から蓄電池を交換するときの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図18】図5に示す状態から蓄電池を交換するときの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図19】図5に示す状態から蓄電池を交換するときの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図20】図5に示す状態から蓄電池を交換するときの動作を説明するための図であって、蓄電装置と電力変換器との接続対の構成を示す回路図。
【図21】図17に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図22】図17に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図23】図17に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの各構成要素の動作や状態の時間的な変化及び信号や電気的特性の時間的な変化を示すタイムチャート。
【図24】図18に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図25】図18に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図26】図18に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの各構成要素の動作や状態の時間的な変化及び信号や電気的特性の時間的な変化を示すタイムチャート。
【図27】図19に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図28】図19に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図29】図19に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの各構成要素の動作や状態の時間的な変化及び信号や電気的特性の時間的な変化を示すタイムチャート。
【図30】図20に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図31】図20に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの手順を示すフローチャート。
【図32】図20に示すように、蓄電池を交換するとの動作を説明するための図であって、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を変更して蓄電池を交換するときの各構成要素の動作や状態の時間的な変化及び信号や電気的特性の時間的な変化を示すタイムチャート。
【図33】図1の蓄電システムの実際のハードウエア構成を示す斜視図。
【図34】図1の蓄電システムにバイパス回路を追加したときの実際のハードウエア構成を示す斜視図。
【図35】図34のバイパス回路の構成を示す回路図。
【図36】図33のハードウエア構成を一部変更したときのハードウエア構成を示す斜視図。
【図37】図34のハードウエア構成を一部変更したときのハードウエア構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を説明する。
【0023】
《発明の適用アプリケーション》
以下に説明する実施形態では、本願の発明を、再生可能エネルギーを利用した発電システム、例えば太陽光発電システム或いは風力発電システムと共に発電ファームに、電力貯蔵システムとして設置された定置用蓄電システムに適用した場合を例に挙げて説明する。
【0024】
再生可能エネルギーを利用した発電システムは、自然環境に及ぼす負荷が少ないという利点がある反面、天候などの自然環境に発電能力が左右され、電力系統に対する出力が変動する。定置用蓄電システムは、発電システムの上記出力変動の抑制(緩和)を図るために設けられている。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の出力電力に対して不足状態にある場合には、定置用蓄電システムは放電し、発電システムの不足分の電力を補う。発電システムから電力系統に出力される電力が所定の電力に対して余剰状態にある場合には、定置用蓄電システムは、発電システムの余剰分の電力を受けて充電する。
【0025】
《発明の他の適用アプリケーション》
以下に説明する実施形態の構成は、データセンタのサーバーシステムや通信設備などの無停電用電源(バックアップ用電源)として設置される定置用蓄電システムにも適用できる。
【0026】
また、以下に説明する実施形態の構成は、需要家に配置され、夜間電力を貯蔵し、この貯蔵された電力を昼間に放出して電力負荷の平準化を図る電力貯蔵システムとして設置される定置用蓄電システムにも適用できる。
【0027】
さらに、以下に説明する実施形態の構成は、送配電系統の途中に電気的に接続され、送配電系統において送配電される電力の変動対策,余剰電力対策,周波数対策,逆潮流対策などとして用いられる定置用蓄電システムにも適用できる。
【0028】
さらにまた、以下に説明する実施形態の構成は、移動体に設置され、移動体の駆動用電源や、移動体に搭載された負荷を駆動する駆動用電源などとして用いられる移動用蓄電システムにも適用できる。移動体としては、エンジン及びモータを車両の駆動源とするハイブリッド電気自動車やモータを車両の唯一の駆動源とする純粋な電気自動車などの自動車、すなわち陸上走行車両(乗用車,トラックなどの貨物自動車,バスなどの乗合自動車など)、ディーゼルエンジンの動力で発電し、この発電によって得られた電力により駆動されるモータを駆動源とするハイブリッド電車などの鉄道車両,建設機械やフォークリフトトラックなどの産業用車両などがある。
【0029】
《蓄電システムの概略構成》
蓄電システムは、複数の蓄電器(二次電池又は容量性を有する受動素子)を備え、複数の蓄電器の電気化学的作用や電荷蓄積構造によって電気エネルギーを蓄積(充電)及び放出(放電)するシステムである。複数の蓄電器は、蓄電システムに要求される出力電圧,蓄電容量などの仕様に応じて、電気的に直列或いは並列若しくは直並列に接続される。
【0030】
以下に説明する実施形態では、蓄電器としてリチウムイオン二次電池を用いた場合を例に挙げて説明する。蓄電器としては、鉛電池,ニッケル水素電池などの他の二次電池を用いてもよい。また、2種の蓄電器、例えばリチウムイオン二次電池とニッケル水素電池とを組み合わせて用いるようにしてもよい。容量性を有する受動素子としては、キャパシタ、例えば電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどを用いることができる。
【0031】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0032】
《蓄電システム1の概略構成》
まず、図1乃至図4を用いて、蓄電システム1の構成について説明する。
【0033】
図1は、蓄電システムシステム1の全体の概略構成を示す。
【0034】
尚、図1では、再生可能エネルギーを利用した発電システムの図示を省力しているが、実際には、発電システムは交流電源系統2に対して電気的に接続されている。
【0035】
蓄電システム1の負荷側接続端は、単相の変圧器3の一次側或いは二次側の接続端に電気的に接続されている。変圧器3の蓄電システム1との対極側(二次側或いは一次側)の接続端は単相の交流電源系統2の接続端に電気的に接続されている。このように、蓄電システム1は変圧器3を介して交流電源系統2と連系されており、蓄積された電気的エネルギーを直流電力として放電し、この放電した直流電力を交流電力に変換して交流電源系統2側に出力したり、交流電源系統2側或いは発電システムから供給された交流電力を入力し、この入力した交流電力を直流電力に変換して充電し、直流電力を電気的エネルギーとして蓄積したりすることが可能である。
【0036】
尚、本実施形態では、交流電源系統2が単相の場合を例に挙げて説明するが、交流電源系統2が三相の場合もある。この場合には、三相の各相に対応して設けられた三相分の蓄電システム1が三相の変圧器3を介して三相の交流電源系統2と連係することになる。
【0037】
蓄電システム1は、蓄電装置8,9,10,11,電力変換器4,5,6,7,中央制御装置8,電圧計測装置13及び電流計測装置14を備えている。
【0038】
蓄電装置8,9,10,11は、それぞれ、図2を用いて後述するように、電気的に直並列に接続された複数の蓄電池(リチウムイオン二次電池)を備えている。複数の蓄電池の電気的な接続の仕方は、蓄電システムに要求される出力電圧や蓄電容量などに関する仕様によって、直列接続,並列接続,直並列接続のいずれかが用いられる。本実施形態では、発電システムに対応して設けられており、仕様として高電圧,高容量が要求されることから、複数の蓄電池が電気的に直並列に接続された構成を採用している。
【0039】
電力変換器4,5,6,7は、それぞれ、蓄電装置8,9,10,11のうちのいずれか一つに対応して設けられ、対応する蓄電装置8,9,10,11から出力された直流電力を交流電力に変換して変圧器3に出力する、或いは、変圧器3から供給された交流電力を直流電力に変換して、対応する蓄電装置8,9,10,11に出力する、というように、電源と負荷の一方から供給された電力を所定の電力に制御して電源と負荷の他方に出力する電力制御器であり、図2を用いて後述するように、電力制御(変換)用のスイッチング回路を備えている。
【0040】
電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との対応関係は、具体的には、電力変換器4の直流側接続端が蓄電装置8の負荷側接続端に電気的に接続され、電力変換器5の直流側接続端が蓄電装置9の負荷側接続端に電気的に接続され、電力変換器6の直流側接続端が蓄電装置10の負荷側接続端に電気的に接続され、電力変換器7の直流側接続端が蓄電装置11の負荷側接続端に電気的に接続され、という接続対の関係になっている。
【0041】
電力変換器4,5,6,7の交流側接続端(図2を用いて後述する交流端子)は電気的に直列に接続されている。具体的には、電力変換器4の交流側接続端の他方側と電力変換器5の交流側接続端の一方側とが電気的に直列に接続され、・・・、電力変換器6の交流側接続端の他方側と電力変換器7の交流側接続端の一方側とが電気的に直列に接続され、というように、電気的に直列に接続される2つの電力変換器の一方の交流側接続端の一方側と他方の交流側接続端の他方側とが電気的に接続されている。電力変換器4の交流側接続端の一方側及び電力変換器7の交流側接続端の他方側は変圧器3の一次側或いは二次側の接続端と電気的に接続されている。このように、電力変換器4,5,6,7の交流側接続端を電気的に直列に接続すると、図7を用いて後述するように、蓄電システム1の負荷側接続端の出力電圧或いは入力電圧は、電力変換器4,5,6,7の交流側接続端の出力電圧或いは入力電圧の合成電圧になる。
【0042】
中央制御装置12は、交流電源系統2と蓄電システム1とが連系して電力の授受ができるように、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対の作動を制御する。このため、中央制御装置12は、交流電源系統2の交流電圧に関する情報と、蓄電システム1の負荷側接続端と変圧器3との間において流れる交流電流に関する情報を入力し、この入力情報や記憶情報などの複数の情報に基づいて、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対の作動を制御するための指令値を、制御プログラムにしたがって演算する。そして、中央制御装置12は、演算された指令値を、無線或いは有線による通信を用いて、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対のそれぞれに信号伝送する。これにより、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対のそれぞれにおいて、スイッチング回路の作動が制御されると共に、スイッチング回路と複数の蓄電池との電気的な接続が制御され、蓄電システム1と交流電源系統2とが連係するように、両者間において授受される電力が制御される。
【0043】
中央制御装置12から信号伝送される指令値としては、蓄電システム1の負荷側接続端に発生させる目標電圧を示す変調波(正弦波)、及び変調波との比較によって、電力変換器4,5,6,7のそれぞれの交流側接続端に矩形波状の出力電圧或いは入力電圧を発生させるための搬送波(三角波)などがある。
【0044】
尚、本実施形態では、中央制御装置12において変調波及び搬送波を生成する場合を例に挙げて説明するが、搬送波は、電力変換器4,5,6,7において生成し、この生成に必要な情報、例えば電力変換器4,5,6,7のそれぞれにおいて、どの電位レベルの搬送波を生成するか、また、生成する搬送波の振幅の高さなどの情報を中央制御装置12から信号伝送するようにしてもよい。
【0045】
電圧計測装置13は交流電源系統2の交流電圧を計測し、この計測した交流電圧に関する信号を中央制御装置12に出力する。電流計測装置14は、蓄電システム1の負荷側接続端と変圧器3との間において流れる交流電流を計測し、この計測した交流電流に関する信号を中央制御装置12に出力する。
【0046】
《電力変換器と蓄電装置との接続対の構成》
図2は、蓄電システム1の電力変換器と蓄電装置との接続対の構成を示す。
【0047】
尚、本実施形態では、前述のように、電力変換器と蓄電装置との接続対を4組備えているが、いずれの組も同じ構成になっている。このようなことから、本実施形態では、電力変換器4と蓄電装置8との接続対を代表に挙げ、図2に基づいて、その構成を説明し、他の接続対の構成については図示及び説明を省略する。
【0048】
電力変換器4の直流側接続端と蓄電装置8の負荷側接続端との間には、電力変換器4の直流側接続端の正極側と蓄電装置8の負荷側接続端の正極側とを電気的に接続する直流正極側電路、及び電力変換器4の直流側接続端の負極側と蓄電装置8の負荷側接続端の負極側とを電気的に接続する直流負極側電路によって、電力変換器4の直流側接続端と蓄電装置8の負荷側接続端とを電気的に接続する主回路が設けられている。
【0049】
蓄電装置8は、蓄電モジュール81a,81b,81c、及び蓄電モジュール81a,81b,81cのそれぞれに対応して設けられた開閉器82a,82b,82cを備えている。
【0050】
蓄電モジュール81a,81b,81cは、正極側同士及び負極側同士がそれぞれ電気的に接続されており、これによって、電気的に並列に接続されている。蓄電モジュール81a,81b,81cは、それぞれ、対応して設けられた複数の蓄電池83a,83b,83cが電気的に直列に接続されて構成された蓄電池群を備えている。
【0051】
開閉器82a,82b,82cは、対応する蓄電モジュール81a,81b,81cと主回路との間の電気的な接続を制御する接続端子であり、スイッチング素子、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)によって構成されている。
【0052】
尚、本実施形態では、開閉器82a,82b,82cはとして、スイッチング素子を用いた場合を例に挙げて説明するが、電磁力によって、2つの接点を接触したり切り離したりする機械的なスイッチ機構を用いても構わない。
【0053】
蓄電モジュール81a,81b,81cと開閉器82a,82b,82cとの対応関係は、具体的には、蓄電モジュール81aの正極側及び負極側に開閉器82aが電気的に接続され、蓄電モジュール81bの正極側及び負極側に開閉器82bが電気的に接続され、蓄電モジュール81cの正極側及び負極側に開閉器82cが電気的に接続され、という、接続対の関係になっている。
【0054】
尚、本実施形態では、蓄電モジュールを3つ備えた場合を例に挙げて説明するが、電気的に並列に接続される蓄電モジュールの数は、蓄電システム1に要求される定格出力電圧や定格蓄電容量などに応じて変更しても構わない。
【0055】
電力変換器4は、スイッチング回路、及びスイッチング回路に電気的に接続された交流端子43を備えている。
【0056】
スイッチング回路は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるスイッチング素子41a,41b,41c,41dを備えている。
【0057】
尚、本実施形態では、スイッチング素子41a,41b,41c,41dとしてMOFETを用いた場合を例に挙げて説明するが、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他のスイッチング素子を用いても構わない。
【0058】
スイッチング回路は、具体的には、上アームのスイッチング素子41aのソースと下アームのスイッチング素子41bのドレインとが電気的に直列に接続されて構成された第1のアームと、上アームのスイッチング素子41cのソースと下アームのスイッチング素子41dのドレインとが電気的に直列に接続されて構成された第2のアームとを備え、上アームのスイッチング素子41a,41cのドレイン同士及び下アームのスイッチング素子41b,41dのソース同士下が電気的に接続されて、第1のアームと第2のアームとが電気的に並列に接続された単相フルブリッジインバータ回路である。
【0059】
スイッチング素子41a,41b,41c,41dのドレインとソースとの間には、それぞれ、MOSFETの構造上、寄生ダイオードが設けられている。具体的には、スイッチング素子41aのドレインとソースとの間にはダイオード42aが、スイッチング素子41bのドレインとソースとの間にはダイオード42bが、スイッチング素子41cのドレインとソースとの間にはダイオード42cが、スイッチング素子41dのドレインとソースとの間にダイオード42dが、それぞれ、設けられている。このため、別途、ダイオードを、スイッチング素子のドレインとソースとの間に設ける必要がない。スイッチング素子としてIGBTを用いた場合には、スイッチング素子のドレインとソースとの間にダイオードを設ける必要がある。
【0060】
上アームのスイッチング素子41a,41cのドレインは直流正極側接続端として、蓄電モジュール81a,81b,81cの正極側に設けられた開閉器82a,82b,82cに電気的に接続されている。下アームのスイッチング素子41b,41dのソースは直流負極側接続端として、蓄電モジュール81a,81b,81cの負極側に設けられた開閉器82a,82b,82cに電気的に接続されている。開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子がスイッチング(オン,オフ)されることによって、蓄電モジュール81a,81b,81cは、それぞれ、第1のアーム及び第2のアームに電気的に接続されたり、第1のアーム及び第2のアームから電気的に切り離されたりする。
【0061】
第1のアームの中点、すなわち上アームのスイッチング素子41aのソースと下アームのスイッチング素子41bのドレインとの電気的な接続点、及び第2のアームの中点、すなわち上アームのスイッチング素子41cのソースと下アームのスイッチング素子41dのドレインとの電気的な接続点は、それぞれ、交流側接続端(負荷側接続端)として引き出されている。第1のアーム及び第2のアームのそれぞれの交流側接続端(負荷側接続端)の先端には交流端子43が設けられている。2つの交流端子43のうち、一方の交流端子43は変圧器3の一次側或いは二次側の接続端に電気的に接続されている。他方の交流端子43は、電力変換器4に電気的に直列に接続される電力変換器5の交流端子の一方に電気的に接続されている。
【0062】
また、電力変換器4は、制御装置44及び信号装置45を備えている。
【0063】
制御装置44は、中央制御装置12から信号伝送された指令値に対応した目標電圧が、蓄電システム1の負荷側接続端に発生するように、スイッチング素子41a,41b,41c,41d、及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子の駆動を制御する。このため、制御装置44は、中央制御装置12及び信号装置45から信号伝送された指令値や、外部装置50から信号伝送された外部情報を含む複数の情報を入力し、この入力された複数の情報や予め記憶された記憶情報などに基づいて、スイッチング素子41a,41b,41c,41dをスイッチング(オン,オフ)させるための駆動パターン、及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子をスイッチング(オン,オフ)させるための駆動パターンを、制御プログラムにしたがって演算する。そして、制御装置44は、演算された駆動パターンに関する駆動信号を生成し、スイッチング素子41a,41b,41c,41dのゲート及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子のゲートに出力し、スイッチング素子41a,41b,41c,41d及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子の駆動を制御する。
【0064】
信号装置45は、具体的な図示は省略するが、例えば操作員がボタンやレバーを手動操作することによって、スイッチング素子41a,41b,41c,41dのスイッチング(オン,オフ)を制御する指令値や、開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子のスイッチング(オン,オフ)を制御する指令値を制御装置44に信号伝送する通信装置であり、外部操作装置に設けられている。信号装置45と制御装置44との間の通信は無線或いは有線によって行われている。
【0065】
外部装置50は、具体的な図示は省略するが、蓄電システム1が電気的に接続される発電システムの制御装置或いは系統の状態を監視する監視装置であったり、蓄電システム1をメンテナンスするときに用いられるメンテナンス装置であったりする。外部装置50と制御装置44との間の通信は無線或いは有線によって行われている。
【0066】
《制御装置44の構成》
図3は、制御装置44の構成を示す。
【0067】
制御装置44は、入力回路441,入出力ポート442,RAM443,ROM444,CPU445,ゲートドライバ回路446及びスイッチドライバ回路447を備えている。
【0068】
入力回路441は、中央制御装置12及び信号装置45から出力された指令値に関する信号,蓄電システム1の外部装置50から信号伝送された外部情報に関する信号を入力し、この入力した信号に基づいて、制御装置44が動作できるように、入力された信号を処理する信号処理回路である。例えば中央制御装置12と制御装置44との間において、無線通信によって信号を伝送する場合には、入力回路441は、中央制御装置12から出力された電波を受信し、この受信した電波を電気信号に変換する、というように、電波によって入力された信号を処理する。
【0069】
入出力ポート442は、入力回路441,ゲートドライバ446及びスイッチドライバ447と、これらとは通信プロトコルが異なるRAM443,ROM444及びCPU445との間において、情報のやり取りができるように設けられたインターフェース回路である。例えば入力回路441からRAM443及びCPU445に情報が信号伝送される場合、入出力ポート442は、第1の通信プロトコルによって入力回路441から信号伝送された情報を入力し、入力されたデータをRAM443及びCPU445のそれぞれに第2の通信プロトコルによる信号伝送によって出力する。
【0070】
RAM443は、情報の書き込み及び読み出しが自由にできる記憶装置、すなわち電源の供給を受けると、情報の保持が可能になり、電源の供給が絶たれると、保持した情報が失われる揮発性メモリであり、Random Access Memoryの略称である。CPU445に信号伝送される情報及びCPU445から信号伝送される情報はRAM443に書き込まれて保持される。
【0071】
ROM444は、予め書き込まれて保持されたデータの読み出しのみができる記憶装置、すなわち電源を供給しなくてもデータを保持することが可能な不揮発性メモリであり、Read Only Memoryの略称である。CPU445の制御プログラムはROM444に保持されている。
【0072】
CPU445は、ROM444に予め書き込まれて保持された制御プログラムをROM444から読み出し、入出力ポート442から信号伝送された情報(中央制御装置12から信号伝送された指令値)やRAM443に記憶された記憶情報に基づいて、スイッチング素子41a,41b,41c,41dをスイッチング(オン,オフ)させるための駆動パターン及び開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子をスイッチング(オン,オフ)させるための駆動パターンを、読み出した制御プログラムにしたがって演算する演算装置であり、Central Processing Unitの略称である。CPU445によって演算された駆動パターンは、RAM443に信号伝送されて保持された後、入出力ポート442を介してゲートドライバ回路446及びスイッチドライバ回路447に信号伝送される。
【0073】
ゲートドライバ回路446は、入出力ポート442を介してCPU445から信号伝送された駆動パターンに対応した駆動信号を生成して、スイッチング素子41a,41b,41c,41dのゲートに出力する。これにより、スイッチング素子41a,41b,41c,41dは駆動される。
【0074】
スイッチドライバ回路447は、入出力ポート442を介してCPU445から信号伝送された駆動パターンに対応する駆動信号を生成して、開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子のゲートに出力する。これにより、開閉器82a,82b,82cを構成するスイッチング素子は駆動される。
【0075】
尚、本実施形態では、ゲートドライバ回路446及びスイッチドライバ回路447を制御装置44に設けた場合を例に挙げて説明したが、制御装置44から分離して構成、すなわち制御装置44を構成する電子部品が実装された回路基板とは別の回路基板に構成しても構わない。
【0076】
《中央制御装置12の構成》
図4は、中央制御装置12の詳細な構成を示す。
【0077】
中央制御装置12は、入力回路121,入出力ポート122,RAM123,ROM124,CPU125及び出力回路126を備えている。
【0078】
入力回路121は、電圧計測装置13及び電流計測装置14から出力された計測情報に関する信号を入力し、この入力した信号を中央制御装置12が認識できるように信号処理、例えばアナログ信号からディジタル信号に変換する信号処理回路である。
【0079】
入出力ポート122は、入力回路121及び出力回路126と、これらとは通信プロトコルが異なるRAM123,ROM124及びCPU125との間において、情報のやり取りができるように設けられたインターフェース回路である。例えば入力回路121からRAM123及びCPU125に情報が信号伝送される場合、入出力ポート122は、第1の通信プロトコルによって入力回路121から信号伝送された情報を入力し、入力された情報をRAM123及びCPU125のそれぞれに第2の通信プロトコルによる信号伝送によって出力する。
【0080】
RAM123は、情報の書き込み及び読み出しが自由にできる記憶装置、すなわち電源の供給を受けると、情報の保持が可能になり、電源の供給が絶たれると、保持した情報が失われる揮発性メモリであり、Random Access Memoryの略称である。CPU125に信号伝送される情報及びCPU125から信号伝送される情報はRAM123に書き込まれて保持される。
【0081】
ROM124は、予め書き込まれて保持された情報の読み出しのみができる記憶装置、すなわち電源を供給しなくても情報を保持することが可能な不揮発性メモリである。CPU125の制御プログラムはROM124に保持されている。
【0082】
CPU125は、ROM124に予め書き込まれて保持された制御プログラムをROM124から読み出し、入出力ポート122から信号伝送された情報(電圧計測装置13及び電流計測装置14から出力された計測情報)やRAM123に記憶された記憶情報に基づいて、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対のそれぞれに対する指令値を、読み出した制御プログラムにしたがって演算する演算装置であり、Central Processing Unitの略称である。CPU125によって演算された各指令値は、RAM123に信号伝送されて保持された後、入出力ポート122を介して出力回路126に信号伝送される。
【0083】
出力回路126は、入出力ポート122を介してCPU125から信号伝送された各指令値に関する信号を生成して、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対のそれぞれ(電力変換器4の制御装置44及び電力変換器5,6,7のそれぞれの制御装置)に出力する。これにより、電力変換器4の制御装置44及び電力変換器5,6,7のそれぞれの制御装置は、中央制御装置12から出力された指令値に基づいて、対応する電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との接続対の作動を制御する。
【0084】
《蓄電システム1の動作の説明(1)》
次に、図5乃至図9を用いて、蓄電システム1の通常運転時の動作について説明する。
【0085】
動作の説明にあたっては、電力変換器4,5,6,7と蓄電装置8,9,10,11との各接続対において、2つの蓄電モジュールのそれぞれに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池が設けられ、その2つの蓄電モジュールを、対応する電力変換器に電気的に接続して運転している状態を例に挙げて説明する。
【0086】
また、動作の説明にあたっては、電力変換器4と蓄電装置8との接続対の動作を例に挙げて説明する。電力変換器4と蓄電装置8との接続対は、図5に示すように、蓄電池83aが複数、電気的に直列に接続されて設けられた蓄電モジュール81aを、開閉器82aの投入によって、蓄電池83bが複数、電気的に直列に接続されて設けられた蓄電モジュール81bを、開閉器82bの投入によって、それぞれ、電力変換器4に電気的に接続して運転している状態になっている。この他の接続対においても同様に、開閉器の投入によって、2つの蓄電モジュールが電力変換器5,6,7に電気的に接続されている状態になっている。また、蓄電モジュール81cは、ここでは、将来、交流電源系統2側の状況に応じて、蓄電システム1に増設されることを見込んで設けられた、電気的に直列に接続された複数の蓄電池を持たない、空の蓄電モジュールとして扱う。
【0087】
さらに、動作の説明にあたっては、図6に示すように、交流電源系統2の電圧に対して、蓄電システム1の目標電圧の位相が遅れて、変圧器3から蓄電システム1に電流が流れ、蓄電システム1が変圧器3を介して交流電源系統2から交流電力を受電している状態を例に挙げて説明する。
【0088】
図6は、縦軸に電圧及び電流(正,負)を、横軸に時間をとり、電圧計測装置13によって計測された交流電源系統2の電圧(実線)と、蓄電システム1の負荷側接続端の目標電圧(点線)と、電流計測装置14によって計測された、変圧器3と蓄電システム1との間に流れる電流(破線)との関係(1サイクル分)を示す。
【0089】
図7は、縦軸に電圧(正,負)を、横軸に時間をとり、図6に示す目標電圧に対する蓄電システム1の負荷側接続端における電圧と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧との関係(1サイクル分)を示す。
【0090】
図7では、上から順に、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧Vout、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧V4、電力変換器5の交流端子に発生する電圧V5、電力変換器6の交流端子に発生する電圧V6、電力変換器7の交流端子に発生する電圧V7を示す。
【0091】
また、図7では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0092】
さらに、図7では、蓄電システム1の目標電圧、すなわち中央制御装置12において演算され、中央制御装置12から電力変換器4の制御装置44及び電力変換装置5,6,7のそれぞれの制御装置に信号伝送された蓄電システム1の負荷側接続端の目標電圧(正弦波状の変調波)を点線で示す。
【0093】
図7に示すように、蓄電システム1では、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に、振幅の基準電位及び幅の異なる矩形波状の電圧が発生して、蓄電システム1の負荷側接続端に、中央制御装置12から出力された目標電圧に対応した電圧が発生するように、電力変換器4のスイッチング素子41a,41b,41c,41d及び電力変換器5,6,7のそれぞれの4つのスイッチング素子のスイッチング(オン,オフ)を制御し、これによって、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生した、振幅の基準電位及び幅が異なり、振幅の高さが同じ矩形波状の電圧を合成する。これにより、目標電圧に対応した階段状の電圧が蓄電システム1の負荷側接続端に発生する。
【0094】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T4から時刻T5の期間において電力変換器4の交流端子43に、時刻T3から時刻T6の期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T2から時刻T7の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻T1から時刻T8期間において電力変換器の交流端子に、それぞれ、振幅の高さが同じ正の電圧が発生する。また、時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において発生させた正の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧とは振幅の向きが逆の電圧(負の電圧)が、正の電圧とは対称的に発生する。電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生した電圧は、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子が電気的に直列に接続されているので、足し合わされる。この結果、階段状の電圧が、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する。
【0095】
このとき、電力変換器4の制御装置44及び電力変換器5,6,7のそれぞれの制御装置は、中央制御装置12から信号伝送された指令値(搬送波と変調波との比較)に基づいて、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に、上記矩形波状の電圧が発生するように、対応する4つのスイッチング素子の駆動パターンを演算する。そして、演算した駆動パターンに対応する駆動信号を生成して、対応する4つのスイッチング素子のゲートに出力し、対応する4つのスイッチング素子をスイッチング(オン,オフ)させる。
【0096】
ここで、電力変換器4,5,6,7の電圧の基準電位に対する大きさ(波高値)の絶対値は、電力変換器4,5,6,7のそれぞれに電気的に接続された、対応する蓄電装置8,9,10,11の電力変換器4,5,6,7側接続端間の電圧とほぼ同等の値となる。
【0097】
図8は、縦軸に電流(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流の関係(1サイクル分)を示す。
【0098】
図8では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に流れる電流I4、電力変換器5の交流端子に流れる電流I5、電力変換器6の交流端子に流れる電流I6、電力変換器7の交流端子に流れる電流I7を示す。
【0099】
また、図8では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0100】
図6と図8とを比較して明らかなように、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図8参照)は、振幅(幅及び高さ)及び位相が、変圧器3と蓄電システム1の負荷側接続端との間に流れる電流(図6参照)と同じになる。
【0101】
図9は、縦軸に電力(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力(1サイクル分)の関係を示す。
【0102】
図9では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に発生する電力P4、電力変換器5の交流端子に発生する電力P5、電力変換器6の交流端子に発生する電力P6、電力変換器7の交流端子に発生する電力P7を示す。
【0103】
また、図9では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0104】
電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力は、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧(図7参照)と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図8参照)との積算値となる。
【0105】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T4から時刻T5の期間において電力変換器4の交流端子43に、時刻T3から時刻T6の期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T2から時刻T7の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻T1から時刻T8の期間において電力変換器7の交流端子に、それぞれ、正の電力が発生する。
【0106】
尚、電力の正の方向は、蓄電システム1が交流電源系統2から受電している状態を示す。
【0107】
時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において得られた正の電力と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧と振幅の向きが同じ正の電力が発生する。
【0108】
また、図9に示すハッチング部分(波形によって囲まれた部分の面積)は、上記各期間において、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する、すなわち交流電源系統2から電力変換器4,5,6,7のそれぞれが受電する半周期(1/2サイクル)分の電力量を示す。
【0109】
ここで、図9に示すハッチング部分(波形によって囲まれた部分の面積)をそれぞれ、S4,S5,S6,S7と定義すると、それらの間には以下の関係が成立する。
【0110】
【数1】
【0111】
式(1)の関係のままで蓄電システム1が運転を継続すると、蓄電装置8,9,10,11のそれぞれに供給される電力量の偏差に基づいて、蓄電装置8,9,10,11間における蓄電状態(SOC)のばらつきが時間の経過と共に拡大する。このばらつきの拡大を防ぐためには、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子において発生する電圧パターンを、それぞれ、変化させることが考えられる。
【0112】
例えば所定期間経過後に、図7に示す電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンが、図7に示す電力変換器5の交流端子に発生する電圧パターンになるように、図7に示す電力変換器5の交流端子に発生する電圧パターンが、図7に示す電力変換器6の交流端子に発生する電圧パターンに、・・・、図7に示す電圧変換器7の交流端子に発生する電圧パターンが、図7に示す電圧変換器4の交流端子に発生する電圧パターンに、それぞれ変更されるように、というように、所定期間経過毎に、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子において発生する電圧パターンを1つずつずらし、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子において発生する電圧パターンのそれぞれが4つの電圧パターンに順次、切り替わるようにすることが考えられる。このようにすれば、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子のそれぞれにおいて4つの電圧パターンが発生した段階において、蓄電装置8,9,10,11のそれぞれに入力される電力量の合計値が同じ値になるので、蓄電装置8,9,10,11間における蓄電状態(SOC)のばらつきの拡大を抑えることができる。
【0113】
尚、本実施形態では、所定期間経過毎に、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子において発生する電圧パターンを1つずつずらした場合を例に挙げて説明したが、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子のそれぞれにおける、異なった電圧パターンの発生回数が、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子の間で均等になるようにすれば、その他のずらし方を採用しても構わない。
【0114】
《蓄電システム1の動作の説明(2)》
次に、図10乃至図16を用いて、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を、所定の運転条件の比率から変更させる時の蓄電システム1の動作について説明する。
【0115】
ここで、所定の運転条件とは、図5乃至図9を用いて説明した蓄電システム1の通常運転時を示す。
【0116】
また、本実施形態では、特定の電力変換器を電力変換器4とした場合を例に挙げて説明する。
【0117】
電力変換器iの電力利用率Pfiは、式(2)によって定義される。
【0118】
【数2】
【0119】
ここで、Vi(t),Ii(t)は、時刻tにおける電力変換器iの交流端子に発生する電圧と、時刻tにおける電力変換器iの直流端子に流れる電流を示す。
【0120】
式(2)の分母は、電力変換器iを介して接続されている蓄電装置と系統2との間で授受される電力量の総量を示す。また、式(2)の分子は電力変換器iを介して接続されている蓄電装置と系統との間で授受される電力量の中でも、蓄電システム1の目標動作に利用する電力量を示す。このことから、式(2)で定義する電力利用率は、電力変換器iを介して蓄電装置と系統2で授受する電力量に対する、蓄電システム1に利用した電力量の割合を示す。
【0121】
まず、図10を用いて、電力変換器の電力利用率の絶対値を変化させる原理ついて説明する。
【0122】
図10は、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変化させるときの電力変換器4の電圧パターンの変化を示す。
【0123】
図10では、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する前の電圧パターンを上部に、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更した後の電圧パターンを下部に、それぞれ示す。
【0124】
また、図10では、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変更の前後における電圧パターンの変化の様子が判り易くなるように、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更した後の電圧パターン(下部の電圧パターンの実線)に、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する前の電圧パターン(破線)を重ねて図示している。
【0125】
図10に示すように、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する前は、時刻T4から時刻T5の期間において正の電圧を発生させていたが、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する場合には、正の電圧の発生期間を、時刻T4よりも遅い時刻Tc4から時刻T5よりも早い時刻Tc5の期間に短縮する。時刻T9から時刻T10の期間では、正の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧とは振幅の向きが逆の負の電圧を、正の電圧とは対称的に発生させていたが、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する場合には、負の電圧の発生期間を、正の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)だけ短縮する。
【0126】
また、電力変換器4の電力利用率の絶対値を変更する場合には、時刻0から時刻T9の期間のうち、時刻Tc1から時刻Tc2の期間と、時刻Tc6から時刻Tc7の期間において、負の電圧を発生させる。時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において発生した負の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、時刻0から時刻T9の期間において発生した負の電圧とは振幅の向きが逆の正の電圧を発生させる。
【0127】
以上のように、所定の運転条件に対して、正(負)の電圧を発生させる期間を短縮すると、電力変換器4の交流端子43において受電(送電)する電力量を減少させることができると共に、正(負)の電圧を発生させる期間に電圧を負(正)とする期間を設けると、電力変換器4の交流端子43において送電(受電)する電力量を増大させることができる。これにより、1サイクル期間中の電力積算量をほぼ零とすることができ、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零にすることができる。電力変換器5,6,7においても、同様の考え方に基づいて電圧を制御することにより、電力変換器5,6,7の電力利用率の絶対値を零にすることができる。
【0128】
このような電力利用率制御は、電力変換器4の制御装置44において、中央制御装置12から信号伝送された指令値(搬送波と変調波との比較)に基づいて演算された、対応する4つのスイッチング素子の駆動パターンを、信号装置45、または、外部装置50から出力される指令値、または、中央制御装置12から信号伝送された電力利用率の指令値に基づいて演算された、対応する4つのスイッチング素子の電力利用率制御用補正駆動パターンによって補正することにより実現することができる。電力利用率制御用補正駆動パターンは、電力変換器4の交流端子43に発生させる4つの電圧パターンのそれぞれに対応して演算されるようになっている。
【0129】
尚、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とする際の電圧パターンは、時刻0と時刻T9の中間の時刻である時刻T9/2に対して対称でなくてもよい。
【0130】
また、中央制御装置12において演算される指令値(変調波の振幅の最大値)が、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する最大電圧よりも低くなり、蓄電システム1の負荷側接続端における電圧の発生に加担しない、電力変換器と蓄電装置との接続対が複数存在する場合には、ある電力変換器が1サイクルの半分の期間において正又は負の電圧を発生し、それを補うように他の電力変換器が極性の異なる電圧を発生させるようにしてもよい。
【0131】
さらに、図10では、半サイクルで電力収支量を零とする電圧パターンを採用したが、1サイクルの全期間での電力収支量を零とする電圧パターンを採用しても良い。
【0132】
次に、図11乃至図13を用いて、蓄電システム1の電力変換器4の電力利用率の絶対値を零としたときの動作について説明する。
【0133】
図11は、縦軸に電圧(正,負)を、横軸に時間をとり、図6に示す目標電圧に対する蓄電システム1の負荷側接続端における電圧と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧との関係(1サイクル分)を示す。
【0134】
図11では、上から順に、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧Vout、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧V4、電力変換器5の交流端子に発生する電圧V5、電力変換器6の交流端子に発生する電圧V6、電力変換器7の交流端子に発生する電圧V7を示す。
【0135】
また、図11では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0136】
さらに、図11では、蓄電システム1の目標電圧、すなわち中央制御装置12において演算され、中央制御装置12から電力変換器4の制御装置44及び電力変換装置5,6,7のそれぞれの制御装置に信号伝送された目標電圧(正弦波状の変調波)を点線で示す。
【0137】
図11に示すように、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンは、図7に示す電圧パターンとは異なり、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とするために、時刻0から時刻T3の期間及び時刻T6から時刻T9の期間において負の電圧を発生させ、電圧を正とする期間を時刻T′4から時刻T′5の期間に短縮している。
【0138】
ここで、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンを、図10に示す、電力利用率を零とする電圧パターンとし、電力変換器5,6,7の電圧パターンを、図7に示す電圧パターンとし、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7の交流端子に発生させた電圧を合成した場合、蓄電システム1の負荷側接続端に発生させた電圧は、蓄電システム1に対する目標電圧とすることが困難となり、交流電源系統2から蓄電システム1に供給された電力の蓄電システム1における受電量が少なくなる。
【0139】
このため、本実施形態では、電力変換器5の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻T2から時刻T7の期間に、電力変換器6の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻T2から時刻T8の期間に、電力変換器7の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻0から時刻T9の期間に、それぞれ延長している。こうすることにより、蓄電システム1が交流電源系統2から受電する電力の受電量を、図7に示す通常運転時とほぼ同等にすることができる。
【0140】
このような電圧発生期間延長制御は、電力変換器5,6,7のそれぞれの制御装置において、中央制御装置12から信号伝送された指令値(搬送波と変調波との比較)に基づいて演算された、対応する4つのスイッチング素子の駆動パターンを、信号装置45、または、外部装置50から出力される指令値、または、中央制御装置12から信号伝送された電力利用率の指令値に基づいて演算された、対応する4つのスイッチング素子の電圧発生期間延長用補正駆動パターンによって補正することにより実現することができる。電圧発生期間延長用補正駆動パターンは、電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生させる4つの電圧パターンのそれぞれに対応して演算される。
【0141】
図12は、縦軸に電流(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流の関係(1サイクル分)を示す。
【0142】
図12では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に流れる電流I4、電力変換器5の交流端子に流れる電流I5、電力変換器6の交流端子に流れる電流I6、電力変換器7の交流端子に流れる電流I7を示す。
【0143】
また、図12では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0144】
図6と図12とを比較して明らかなように、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図12参照)は、振幅(幅及び高さ)及び位相が、変圧器3と蓄電システム1の負荷側接続端との間に流れる電流(図6参照)と同じになる。
【0145】
図13は、縦軸に電力(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力(1サイクル分)の関係を示す。
【0146】
図13では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に発生する電力P4、電力変換器5の交流端子に発生する電力P5、電力変換器6の交流端子に発生する電力P6、電力変換器7の交流端子に発生する電力P7を示す。
【0147】
また、図13では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0148】
電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力は、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧(図11参照)と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図12参照)との積算値となる。
【0149】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T′4からの時刻T′5の期間において正の電力が、時刻0からの時刻T3の期間及び時刻T6からの時刻T9の期間において負の電力が、それぞれ、電力変換器4の交流端子43に発生する。
【0150】
尚、電力の正の方向は、蓄電システム1が交流電源系統2から受電している状態を、電力の負の方向は、蓄電システム1から交流電源系統2に放電している状態を、それぞれ示す。
【0151】
ここで、電力変換器4の上記各期間における電力積算量、すなわちハッチング部分(波形によって囲まれた部分の面積)をそれぞれ、S′42,S′41,S′43と定義すると、それらの間には以下の関係が成立する。
【0152】
【数3】
【0153】
また、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T2からの時刻T7期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T1からの時刻T8の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻0からの時刻T9の期間において電力変換器7の交流端子に、それぞれ、正の電力が発生する。
【0154】
さらに、時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において得られた正又は負の電力と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正又は負の電圧と振幅の向きが同じ正又は負の電力が発生する。
【0155】
ここで、電力変換器5,6,7のそれぞれの上記各期間における電力積算量、すなわちハッチング部分(波形によって囲まれた部分の面積)をそれぞれS′5,S′6,S′7と定義すると、図9に示す電力変換器5,6,7のそれぞれの電力積算量S5,S6,S7との間には以下の関係が成立する。
【0156】
【数4】
【0157】
【数5】
【0158】
【数6】
【0159】
このように、本実施形態では、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零にして、電力変換器4の1サイクル期間中の電力積算量をほぼ零とすることができると共に、電力変換器5の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻T2から時刻T7の期間に、電力変換器6の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻T2から時刻T8の期間に、電力変換器7の交流端子に発生させる正の電圧の期間を時刻0から時刻T9の期間に、それぞれ延長して、電力変換器5,6,7の交流端子に発生させる電力量を大きくし、蓄電システム1が交流電源系統2から受電する電力の受電量を、図7に示す通常運転時とほぼ同等にすることができる。
【0160】
従って、本実施形態では、蓄電システム1と交流電源系統2との間において授受される電力量をほぼ同じ状態に保ったまま、特定の電力変換器の電力積算量をほぼ零とすることができる。
【0161】
《蓄電システム1の動作の説明(3)》
次に、図14乃至図16を用いて、蓄電システム1の電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とするときの別の動作について説明する。
【0162】
図14は、縦軸に電圧(正,負)を、横軸に時間をとり、図6に示す目標電圧に対する蓄電システム1の負荷側接続端における電圧と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧との関係(1サイクル分)を示す。
【0163】
図14では、上から順に、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧Vout、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧V4、電力変換器5の交流端子に発生する電圧V5、電力変換器6の交流端子に発生する電圧V6、電力変換器7の交流端子に発生する電圧V7を示す。
【0164】
また、図14では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0165】
さらに、図14では、蓄電システム1の目標電圧、すなわち中央制御装置12において演算され、中央制御装置12から電力変換器4の制御装置44及び電力変換装置5,6,7のそれぞれの制御装置に信号伝送された目標電圧(正弦波状の変調波)を点線で示す。
【0166】
図14に示すように、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンは、図7及び図11に示す電圧パターンとは異なり、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とするために、時刻0から時刻T9の期間及び時刻T9から時刻T10の期間の全ての期間において、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧が零に保持されている。
【0167】
また、電力変換器5,6,7の交流端子には、振幅の基準電位及び幅の異なる矩形波状の電圧が発生している。
【0168】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T31から時刻T41の期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T21から時刻T51の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻T11から時刻T61の期間において電力変換器7の交流端子に、それぞれ、振幅の高さが同じ正の電圧が発生する。また、時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において発生させた正の電圧と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧とは振幅の向きが逆の電圧(負の電圧)が、正の電圧とは対称的に発生する。
【0169】
電力変換器5,6,7の交流端子に発生した電圧は合成される。この結果、蓄電システム1の負荷側接続端には、目標電圧に対応した階段状の電圧が発生する。
【0170】
ここで、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンを零とし、蓄電システム1の負荷側接続端に発生させる電圧を、電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生させた電圧の合成から生成するためには、中央制御装置12において演算され、中央制御装置12から電力変換器4の制御装置44及び電力変換装置5,6,7のそれぞれの制御装置に信号伝送された指令値(変調波)の振幅を、図7及び図11に示す電圧パターンよりも小さくすればよい。こうすることにより、電力変換器4の交流端子43に発生する電圧パターンを零とし、蓄電システム1の負荷側接続端に発生させる電圧を、電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生させた電圧の合成から生成することができる。但し、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧の振幅も、図7及び図11に示す蓄電システム1の負荷側接続端における電圧よりも小さくなる。
【0171】
図15は、縦軸に電流(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流の関係(1サイクル分)を示す。
【0172】
図15では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に流れる電流I4、電力変換器5の交流端子に流れる電流I5、電力変換器6の交流端子に流れる電流I6、電力変換器7の交流端子に流れる電流I7を示す。
【0173】
また、図15では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0174】
図6と図15とを比較して明らかなように、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図15参照)は、振幅(幅及び高さ)及び位相が、変圧器3と蓄電システム1の負荷側接続端との間に流れる電流(図6参照)と同じになる。
【0175】
図16は、縦軸に電力(正,負)を、横軸に時間をとり、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力(1サイクル分)の関係を示す。
【0176】
図16では、上から順に、電力変換器4の交流端子43に発生する電力P4、電力変換器5の交流端子に発生する電力P5、電力変換器6の交流端子に発生する電力P6、電力変換器7の交流端子に発生する電力P7を示す。
【0177】
また、図16では、縦軸と横軸との交点を基準0として、基準0よりも上側を正、基準0よりも下側を負としている。
【0178】
電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電力は、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に発生する電圧(図14参照)と、電力変換器4の交流端子43及び電力変換器5,6,7のそれぞれの交流端子に流れる電流(図15参照)との積算値となる。
【0179】
具体的には、時刻0から時刻T9の期間の全てにおいて、電力変換器4の交流端子43に発生する電力が零になる。
【0180】
また、時刻0から時刻T9の期間では、時刻T31から時刻T41の期間において電力変換器5の交流端子に、時刻T21から時刻T51の期間において電力変換器6の交流端子に、時刻T11から時刻T61の期間において電力変換器7の交流端子に、それぞれ、正の電力が発生する。
【0181】
さらに、時刻T9から時刻T10の期間では、時刻0から時刻T9の期間において得られた正の電力と同じ期間(同じ振幅の幅)及び同じ振幅の高さ(絶対値)で、正の電圧と振幅の向きが同じ正の電力が発生する。
【0182】
以上説明した場合においても、特定の電力変換器の電力積算量をほぼ零とし、特定の電力変換器の電力積算量をほぼ零とすることができる。
【0183】
《電力利用率制御による作用効果》
以上説明した本実施形態によれば、図10乃至図16を用いて説明したように、特定の電力変換器の電力利用率の絶対値を零とし、特定の電力変換器の電力積算量をほぼ零とすることができる。これにより、本実施形態によれば、蓄電システム1の運転中にも関わらず、特定の電力変換器に電気的に接続された蓄電装置の複数の電気的に並列に接続された蓄電モジュールを選択的に主回路から切り離すことができる。このように、蓄電システム1の運転中に蓄電モジュールを選択的に主回路から切り離すことができると、蓄電システム1の運転中に、切り離した蓄電モジュールを構成する複数の蓄電池を交換することができる。
【0184】
具体的には、図5に示すように、開閉器82a,82bのスイッチング素子をオンし、蓄電モジュール81a,81bを主回路(電力変換器4)に電気的に接続させている状態から、図17に示すように、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とした後、開閉器82aのスイッチング素子をオフし、蓄電モジュール81aを主回路(電力変換器4)から電気的に切り離すことによって、蓄電モジュール81aを構成する複数の蓄電池83aを交換することができる。
【0185】
ここで、蓄電モジュール81aを選択して切り離した場合、主回路に電気的に接続されている蓄電モジュール81bには、電気理論上、電気的に並列に接続されていた蓄電モジュール81aに流れていた分の電流が増え、2倍の電流が流れることになる。通常、蓄電池に規定以上の電流が流れると、その蓄電池の劣化が加速され、寿命が短くなる。これにより、蓄電モジュール81bを構成する複数の蓄電池83bの寿命が大幅に短くなると考えられる。しかし、本実施形態では、蓄電モジュール81bを構成する複数の蓄電池83bの寿命を大きく変化させることがない。その理由は、本実施形態では、繰り返し述べているように、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とし、1サイクルの蓄電モジュール81bの電力収支を零としているので、蓄電モジュール81bを構成する複数の蓄電池83bの負担の増大を最小限に留めることができるからである。
【0186】
また、図5に示す状態から、図18に示すように、空の蓄電モジュール81cに、別の蓄電器、例えばコンデンサ84を設け、開閉器82cのスイッチング素子をオンして、蓄電モジュール81cのコンデンサ84を主回路(電力変換器4)に電気的に接続し、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とした後、開閉器82a,82bのスイッチング素子をオフし、蓄電モジュール81a,81bを主回路(電力変換器4)から電気的に切り離すことによって、蓄電モジュール81a,81bを構成する複数の蓄電池83a,83bを交換することができる。
【0187】
この際、本実施形態では、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零としていることから、1サイクルのコンデンサ84の電力収支は零となり、コンデンサ84の容量を適切に選ぶことにより、動作中にも電力変換器4の負荷側接続端(交流端子43)側の電圧値をほぼ一定に保つことが可能である。これにより、蓄電システム1の負荷側接続端に発生する電圧の振幅の最大値を変化させることなく、かつ蓄電システム1を停止することなく、蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bを交換することができる。
【0188】
さらに、図5に示す状態から、図19に示すように、空の蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設け、開閉器82cのスイッチング素子をオンして、蓄電モジュール81cのコンデンサ84を主回路(電力変換器4)に電気的に接続し、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とした後、開閉器82aのスイッチング素子をオフし、蓄電モジュール81aを主回路(電力変換器4)から電気的に切り離すことによって、蓄電モジュール81aを構成する複数の蓄電池83aを交換することができる。
【0189】
この際、本実施形態では、電力変換器4に電気的に接続される蓄電モジュールの状態を、図5の状態と同様の運転条件に以降できると共に、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とすることから、複数の蓄電池83cの充電状態の変化を最小限に抑え、かつ蓄電システム1を停止することなく、蓄電モジュール81aの複数の蓄電池83aを交換することができる。
【0190】
さらにまた、図5に示す状態から、図20に示すように、空の蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設け、開閉器82cのスイッチング素子をオンして、蓄電モジュール81cのコンデンサ84を主回路(電力変換器4)に電気的に接続し、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とした後、開閉器82a,82bのスイッチング素子をオフし、蓄電モジュール81a,81bを主回路(電力変換器4)から電気的に切り離すことによって、蓄電モジュール81a,81bを構成する複数の蓄電池83a,83bを交換することができる。
【0191】
この際、本実施形態では電力変換器4の電力利用率の絶対値を零とすることから、複数の蓄電池83cの充電状態の変化を最小限に抑え、かつ蓄電システム1を停止することなく、蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bを交換することができる。
【0192】
《蓄電システム1の非停止による蓄電池の交換手順》
次に、図21乃至図32を用いて、図17乃至図20を用いて説明した蓄電池の交換手順について、具体的に説明する。
【0193】
図21乃至図23は、図17に示す蓄電池の交換手順示す。蓄電池の交換実施のトリガとしては、信号装置45からの信号に基づく場合と、外部装置50からの信号に基づく場合とがある。
【0194】
図21は、信号装置45からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0195】
ステップS2101において、信号装置45のボタン又はレバーが操作されてオンされると、信号装置45から信号が出力される。ステップS2102において、電力変換器4の制御装置44が、信号装置45から出力された信号を受信すると、ステップS2103において、電力変換器4の制御装置44は、信号装置45から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2104において、開閉器82aのスイッチング素子がオフされ、蓄電モジュール81aが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離される。そして、ステップ2105において、蓄電モジュール81aの複数の蓄電池83aの状態を確認し、交換が必要な蓄電池83aがある場合には、その蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。予め交換が必要な蓄電器83aが判っている場合には、ステップ2104の処理後、ステップ2105において、交換が必要な蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。
【0196】
図22は、外部装置50からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0197】
ステップS2201において、電力変換器4の制御装置44が、外部装置50から出力された信号を受信すると、ステップS2201において、電力変換器4の制御装置44は、外部装置50から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2203において、開閉器82aのスイッチング素子がオフされ、蓄電モジュール81aが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離される。そして、ステップ2204において、交換が必要な蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。
【0198】
図23は、図21又は図22による蓄電池の交換手順を実施したときの各機器の動作や状態の時間的な変化及び信号や特性の時間的な変化を示す。
【0199】
図23では、横軸に時間をとり、縦軸に、図上方より、信号装置45又は外部装置50から出力される信号の状態、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変化状態、開閉器82aのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82bのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82cのスイッチング素子のスイッチング状態、蓄電モジュール81aの接続状態、蓄電モジュール81bの接続状態及び蓄電モジュール81cの接続状態を、それぞれとる。
【0200】
また、図23では、各状態において、縦軸と横軸との交点を、「OFF」或いは「0」若しくは「非接続」とし、その交点よりも上側を「ON」或いは「1」若しくは「接続」としている。
【0201】
時刻0から時刻T231の期間では、信号装置45又は外部装置50からの信号が無く、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオンの状態で、電力利用率が1の電力変換器4に蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bが電気的に接続されている状態にある。また、蓄電モジュール81cには蓄電池が設けられていないことから、その接続状態は非接続の状態にあり、開閉器82cのスイッチング素子もオフの状態にある。
【0202】
時刻T231において、信号装置47又は外部装置50から信号が出力され、信号の状態がオンの状態になると、所定時間を経過した時刻T232において、電力変換器4の電力利用率の絶対値が低下し始め、時刻T233において、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になる。この後、所定時間を経過した時刻T234において、開閉器82aのスイッチング素子がオフになり、所定時間を経過した時刻T235において、蓄電モジュール81aが電力変換器4から電気的に切り離される。時刻T235以降では、その状態が維持され、蓄電池83aの交換が行われる。
【0203】
尚、電力変換器4の電力利用率の絶対値を零にするにあたっては、図23に示すように、電力変換器4の電力利用率の絶対値をリニア(ランプ状)に減少変化させたが、ステップ状に減少変化させるようにしてもよいし、電力変換器4の電力利用率の絶対値の単位時間に対する減少度合いを時間に対して変化させるようにしてもよい。
【0204】
図24乃至図26は、図18に示す蓄電池の交換手順示す。
【0205】
図24は、信号装置45からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0206】
まず、ステップS2401において、蓄電モジュール81cにコンデンサ84を設置する。次に、ステップS2402において、信号装置45のボタン又はレバーが操作されてオンされると、信号装置45から信号が出力される。ステップS2403において、電力変換器4の制御装置44が、信号装置45から出力された信号を受信すると、ステップS2404において、電力変換器4の制御装置44は、信号装置45から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2405において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81a,81bが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)に電気的に接続される。そして、ステップ2406において、蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bの状態を確認し、交換が必要な蓄電池83a,81bがある場合には、その蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。予め交換が必要な蓄電器83a,83bが判っている場合には、ステップ2405の処理後、ステップ2406において、交換が必要な蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。
【0207】
図25は、外部装置50からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0208】
まず、ステップS2501において、蓄電モジュール81cにコンデンサ84を設置する。次に、ステップS2502において、電力変換器4の制御装置44が、外部装置50から出力された信号を受信すると、ステップS2503において、電力変換器4の制御装置44は、外部装置50から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2504において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81a,81bが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)から電気的に接続される。そして、ステップ2505において、交換が必要な蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。
【0209】
図26は、図24又は図25による蓄電池の交換手順を実施したときの各機器の動作や状態の時間的な変化及び信号や特性の時間的な変化を示す。
【0210】
図26では、横軸に時間をとり、縦軸に、図上方より、信号装置45又は外部装置50から出力される信号の状態、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変化状態、開閉器82aのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82bのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82cのスイッチング素子のスイッチング状態、蓄電モジュール81aの接続状態、蓄電モジュール81bの接続状態及び蓄電モジュール81cの接続状態を、それぞれとる。
【0211】
また、図26では、各状態において、縦軸と横軸との交点を、「OFF」或いは「0」若しくは「非接続」とし、その交点よりも上側を「ON」或いは「1」若しくは「接続」としている。
【0212】
時刻0から時刻T262の期間では、信号装置45又は外部装置50からの信号が無く、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオンの状態で、電力利用率が1の電力変換器4に蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bが電気的に接続されている状態にある。この状態において、時刻T261において、蓄電モジュール81cにコンデンサ84を設け、開閉器82cのスイッチング素子はオフの状態のままにしておく。
【0213】
時刻T262において、信号装置47又は外部装置50から信号が出力され、信号の状態がオンの状態になると、所定時間を経過した時刻T263において、電力変換器4の電力利用率の絶対値が低下し始め、時刻T264において、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になる。この後、所定時間を経過した時刻T265において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフ、開閉器82cのスイッチング素子がオンになり、所定時間を経過した時刻T266において、蓄電モジュール81a,81bが電力変換器4から電気的に切り離され、蓄電モジュール81cが電力変換器4に電気的に接続される。時刻T266以降では、その状態が維持され、蓄電池83a,83bの交換が行われる。
【0214】
尚、コンデンサ84は予め充電されていてもよいし、時刻T261から時刻T262の期間にコンデンサ84を充電するモードを設けて充電するようにしてもよい。
【0215】
図27乃至図29は、図19に示す蓄電池の交換手順示す。
【0216】
図27は、信号装置45からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0217】
まず、ステップS2701において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設置する。次に、ステップS2702において、信号装置45のボタン又はレバーが操作されてオンされると、信号装置45から信号が出力される。ステップS2703において、電力変換器4の制御装置44が、信号装置45から出力された信号を受信すると、ステップS2704において、電力変換器4の制御装置44は、信号装置45から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2705において、開閉器82aのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81aが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)に電気的に接続される。そして、ステップ2706において、蓄電モジュール81aの複数の蓄電池83aの状態を確認し、交換が必要な蓄電池83aがある場合には、その蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。予め交換が必要な蓄電器83aが判っている場合には、ステップ2705の処理後、ステップ2706において、交換が必要な蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。
【0218】
図28は、外部装置50からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0219】
まず、ステップS2801において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設置する。次に、ステップS2802において、電力変換器4の制御装置44が、外部装置50から出力された信号を受信すると、ステップS2803において、電力変換器4の制御装置44は、外部装置50から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ2804において、開閉器82aのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81aが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)から電気的に接続される。そして、ステップ2805において、交換が必要な蓄電池83aを新品の蓄電池に交換する。
【0220】
図29は、図27又は図28による蓄電池の交換手順を実施したときの各機器の動作や状態の時間的な変化及び信号や特性の時間的な変化を示す。
【0221】
図29では、横軸に時間をとり、縦軸に、図上方より、信号装置45又は外部装置50から出力される信号の状態、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変化状態、開閉器82aのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82bのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82cのスイッチング素子のスイッチング状態、蓄電モジュール81aの接続状態、蓄電モジュール81bの接続状態及び蓄電モジュール81cの接続状態を、それぞれとる。
【0222】
また、図29では、各状態において、縦軸と横軸との交点を、「OFF」或いは「0」若しくは「非接続」とし、その交点よりも上側を「ON」或いは「1」若しくは「接続」としている。
【0223】
時刻0から時刻T292の期間では、信号装置45又は外部装置50からの信号が無く、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオンの状態で、電力利用率が1の電力変換器4に蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bが電気的に接続されている状態にある。この状態において、時刻T291において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設け、開閉器82cのスイッチング素子はオフの状態のままにしておく。
【0224】
時刻T292において、信号装置47又は外部装置50から信号が出力され、信号の状態がオンの状態になると、所定時間を経過した時刻T293において、電力変換器4の電力利用率の絶対値が低下し始め、時刻T294において、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になる。この後、所定時間を経過した時刻T295において、開閉器82aのスイッチング素子がオフ、開閉器82cのスイッチング素子がオンになり、所定時間を経過した時刻T296において、蓄電モジュール81aが電力変換器4から電気的に切り離され、蓄電モジュール81cが電力変換器4に電気的に接続される。時刻T296以降では、その状態が維持され、蓄電池83aの交換が行われる。
【0225】
尚、複数の蓄電池83cは予め充電されていてもよいし、時刻T291から時刻T292の期間に複数の蓄電池83cを充電するモードを設けて充電するようにしてもよい。
【0226】
図30乃至図32は、図20に示す蓄電池の交換手順示す。
【0227】
図30は、信号装置45からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0228】
まず、ステップS3001において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設置する。次に、ステップS3002において、信号装置45のボタン又はレバーが操作されてオンされると、信号装置45から信号が出力される。ステップS3003において、電力変換器4の制御装置44が、信号装置45から出力された信号を受信すると、ステップS3004において、電力変換器4の制御装置44は、信号装置45から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ3005において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81a,81bが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)に電気的に接続される。そして、ステップ3006において、蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bの状態を確認し、交換が必要な蓄電池83a,83bがある場合には、その蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。予め交換が必要な蓄電器83a,83bが判っている場合には、ステップ3005の処理後、ステップ3006において、交換が必要な蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。
【0229】
図31は、外部装置50からの信号をとトリガとして、蓄電池を交換する手順を示す。
【0230】
まず、ステップS3101において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設置する。次に、ステップS3102において、電力変換器4の制御装置44が、外部装置50から出力された信号を受信すると、ステップS3103において、電力変換器4の制御装置44は、外部装置50から出力された信号に基づいて、電力変換器4の電力利用率の絶対値をほぼ零に変化させる。これにより、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になると、ステップ3104において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフされて、蓄電モジュール81a,81bが主回路(電力変換器4)から電気的に切り離されると共に、開閉器82cのスイッチング素子がオンされて、蓄電モジュール81cが主回路(電力変換器4)から電気的に接続される。そして、ステップ3105において、交換が必要な蓄電池83a,83bを新品の蓄電池に交換する。
【0231】
図32は、図30又は図31による蓄電池の交換手順を実施したときの各機器の動作や状態の時間的な変化及び信号や特性の時間的な変化を示す。
【0232】
図32では、横軸に時間をとり、縦軸に、図上方より、信号装置45又は外部装置50から出力される信号の状態、電力変換器4の電力利用率の絶対値の変化状態、開閉器82aのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82bのスイッチング素子のスイッチング状態、開閉器82cのスイッチング素子のスイッチング状態、蓄電モジュール81aの接続状態、蓄電モジュール81bの接続状態及び蓄電モジュール81cの接続状態を、それぞれとる。
【0233】
また、図32では、各状態において、縦軸と横軸との交点を、「OFF」或いは「0」若しくは「非接続」とし、その交点よりも上側を「ON」或いは「1」若しくは「接続」としている。
【0234】
時刻0から時刻T322の期間では、信号装置45又は外部装置50からの信号が無く、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオンの状態で、電力利用率が1の電力変換器4に蓄電モジュール81a,81bの複数の蓄電池83a,83bが電気的に接続されている状態にある。この状態において、時刻T321において、蓄電モジュール81cに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池83cを設け、開閉器82cのスイッチング素子はオフの状態のままにしておく。
【0235】
時刻T322において、信号装置47又は外部装置50から信号が出力され、信号の状態がオンの状態になると、所定時間を経過した時刻T323において、電力変換器4の電力利用率の絶対値が低下し始め、時刻T324において、電力変換器4の電力利用率の絶対値がほぼ零になる。この後、所定時間を経過した時刻T325において、開閉器82a,82bのスイッチング素子がオフ、開閉器82cのスイッチング素子がオンになり、所定時間を経過した時刻T326において、蓄電モジュール81a,81bが電力変換器4から電気的に切り離され、蓄電モジュール81cが電力変換器4に電気的に接続される。時刻T326以降では、その状態が維持され、蓄電池83a,83bの交換が行われる。
【0236】
尚、複数の蓄電池83cは予め充電されていてもよいし、時刻T321から時刻T322の期間に複数の蓄電池83cを充電するモードを設けて充電するようにしてもよい。
【0237】
《蓄電システム1のハードウエア構成》
次に、図33から図37を用いて、蓄電システム1の実際のハードウエア構成について説明する。
【0238】
図33は、図1に示す蓄電システム1の実際のハードウエア構成を示す。
【0239】
図33では、図1に示す蓄電システム1の構成要素の一部を図示省略している。図1では、電力変換器と蓄電装置との接続対を4組備えているが、図33では、そのうちの3組を図示すると共に、3組目の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを1つのみ図示している。
【0240】
図33に示すように、蓄電システム1は、鉄やスチールなどの金属製の設置台332を備え、この設置台332に、電力変換器と蓄電装置とを4組分、搭載している。
【0241】
ここで、設置台332の8つの角をそれぞれ、点A〜点Hとすると、設置台332は、点A〜点Dを結ぶことによって形成される長方形状の面ABCD、点E〜点Hを結ぶことによって形成される長方形状の面EFGH、点A,点D,点E,点Hを結ぶことによって形成される長方形状の面ADEH、点B,点C,点F,点Gを結ぶことによって形成される長方形状の面BDFG、点A,点B,点E,点Fを結ぶことによって形成される長方形状の面ABEF、及び点C,点D,点G,点Hを結ぶことによって形成される長方形状の面CDGHの6面によって囲まれて形成された6面体であり、6面のうち、対向する面ABCDと面EFGHとの面積が最も大きく、対向する面ADEHと面BCFGとの面積が最も小さく、対向する面ABEFと面CDGHとの面積がそれらの間の大きさの直方体形状の構造体である。
【0242】
設置台332は、上下2段になるように構成されたラックである。設置台332の上下の中間部位には仕切板が設けられている。仕切板は、面ABEF及び面CDGHに設けられた天板及び底板と同じ大きさのものである。天板,底板及び仕切板は、面ADEH側及び面BDFG側の縁が、面ADEH及び面BDFGの面ABCD側及び面EFGH側の縁に沿って延びるように設けられた細長い支柱板に固定されて保持されている。設置台332の面ABCDには、面ADEHから面BDFGに延びるように、上下段のそれぞれに対応して設けられた細長い電力変換器取付板332a,332bが設けられ、それぞれ支柱板に固定されて保持されている。設置台332の面EFGH側は開放されている。設置台332の面ABCD側は電力変換器取付板332a,332bによって一部が塞がれている。
【0243】
設置台332の上段には、2組の蓄電装置を構成する蓄電モジュール331a〜331fが設置されている。設置台332の下段には、蓄電モジュール331gを含む、2組の蓄電装置を構成する複数の蓄電モジュールが設置されている。
【0244】
蓄電モジュール331a〜331gは、それぞれ、対向する2つの長方形状の主面と、この2つの主面に垂直になるように、2つの主面の縁に沿って配置された、主面よりも面積が小さい4つの長方形状の側面とによって囲まれて形成された直方体形状のモジュールケースに、電気的に直列に接続された複数の蓄電池を収納した構造体である。ここで、直方体形状のモジュールケースは、対向する2つの主面間の距離(高さ方向の寸法)が主面の4辺の長さ(奥行き方向と幅方向の寸法)よりも小さい扁平形状をしている。
【0245】
蓄電モジュール331a〜331gは、それぞれ、設置台332の面EFGHの開放側から、対応する段に、モジュールケースの面3310(側面の一つ)が、設置台332の面ABCDと向かい合うように挿入されている。これにより、設置台332の上段では、モジュールケースの主面が設置台332の面ADEH及び面BCFGを向くように、蓄電モジュール331a〜331fが、設置台332の面ADEH及び面BCFGの一方側から他方側に向かって並列に配列される。設置台332の下段では、蓄電モジュール331gを含む複数の蓄電モジュールが上段と同様に並列に配列される。モジュールケースの面3310には電力変換器との接続端子が設けられており、蓄電モジュールを設置台332に挿入することによって、電力変換器との接続されるように構成されている。
【0246】
電力変換器取付板332aの蓄電モジュール331a〜331f側とは反対側には、蓄電モジュール331a〜331cに対応する電力変換器333aと、蓄電モジュール331d〜331fに対応する電力変換器333bが左右に並んで取り付けられている。電力変換器取付板332aの、蓄電モジュール331gを含む複数の蓄電モジュール側とは反対側には、蓄電モジュール331gを含む複数の蓄電モジュールに対応する電力変換器333cと、残りの複数の蓄電モジュールに対応する電力変換器(図示省略)が左右に並んで取り付けられている。
【0247】
以上のように構成された蓄電システム1では、蓄電池を交換する場合、交換する蓄電池を含む蓄電モジュール、例えば蓄電モジュール331gを、設置台332に面EFGHの開放側から、設置台332の面ABCD側とは反対方向に水平に引き出すだけで、容易に取り外すことができる。また、電力変換器は333a〜333cを含む複数の電力変換器が蓄電モジュール331d〜331gから分離されて電力変換器設置板332a,332bに保持されているので、交換する蓄電池を含む蓄電モジュール、例えば蓄電モジュール331gを取り外すとき、電力変換器は333a〜333cを含む複数の電力変換器の取り外しを伴うことなく、蓄電モジュール331gのみを取り外すことができ、蓄電モジュール331gの取り外し作業を容易にできる。
【0248】
尚、本実施形態では、中央制御装置12,電圧計測装置13,電流計測装置14及び変圧器3の配置やそれらを電気的に接続するケーブルなどの図示を省略したが、それらについては設置台332の天板の上或いは設置台332の側部に設けられたりする。また、設置台332の段数を増やし、その増えた段部分にそれらを設置するようにしてもよい。
【0249】
また、本実施形態では、複数の蓄電モジュール331a〜331fを横に配列したが、縦に積み上げるようにしてもよい。
【0250】
さらに、図1の蓄電システム1のハードウエア構成を説明するにあたって、図33では、図1で用いた符号とは別の符号を用いたが、図1の電力変換器及び蓄電装置と図33の電力変換器及び蓄電装置との対応関係は次の通りである。図34以降においても同様の関係にある。
【0251】
電力変換器4⇔電力変換器333a
電力変換器5⇔電力変換器333b
電力変換器6⇔電力変換器333c
電力変換器7⇔電力変換器(図示省略。図34,図37では電力変換器333d)
蓄電モジュール81a,81b,81c⇔蓄電モジュール331a,331b,331c
蓄電装置9の3つの蓄電モジュール(図示省略)⇔蓄電モジュール331d,331e,331f
蓄電装置10の3つの蓄電モジュール(図示省略)⇔蓄電モジュール331gを含んだ3つの蓄電モジュール(図示省略)
蓄電装置11の3つの蓄電モジュール(図示省略)⇔3つの蓄電モジュール(図示省略)
【0252】
図34は、図33に示す蓄電システム1の実際のハードウエア構成にバイパス回路を追加したときのハードウエア構成を示す。図35は、バイパス回路の回路構成を示す。
【0253】
図34に示す蓄電システム1では、電力変換器333a〜333dに対応してバイパス回路344a〜344dを備えている。バイパス回路344a〜344dは、対応する電力変換器333a〜333dとは分離して設けられていると共に、対応する電力変換器333a〜333dと上下方向に並ぶように、電力変換器設置板332a,332bに取り付けられている。
【0254】
図35に示すように、バイパス回路344aは、電力変換器333aのスイッチング回路(図2に示すフルブリッジインバータ回路参照)を構成する第1のアームの中点(上アームのスイッチング素子41aのソースと下アームのスイッチング素子41bのドレインとの電気的な接続点)に電気的に接続された中点側端子3342の一方と交流端子3343の一方との間に電気的に接続された切替スイッチ3341aと、第2のアームの中点(上アームのスイッチング素子41cのソースと下アームのスイッチング素子41dのドレインとの電気的な接続点)に電気的に接続された中点側端子3342の他方と交流端子3343の他方との間に電気的に接続された切替スイッチ3341bとを備え、切替スイッチ3341a,3341bがオフのとき、中点側端子3342の一方と交流端子3343の一方とを、中点側端子3342の他方と交流端子3343の他方とを、それぞれ、電気的に接続し、切替スイッチ3341a,3341bがオンのとき、中点側端子3342の一方と交流端子3343の一方との電気的な接続、中点側端子3342の他方と交流端子3343の他方との電気的な接続を遮断し、電力変換器333aをバイパスして交流端子3343の一方と他方とを電気的に接続する接続切替回路である。
【0255】
尚、バイパス回路344b,344c,344dもバイパス回路344aと同様に構成されている。
【0256】
このように、バイパス回路344a〜344dを備え、切替スイッチ3341a,3341bをオンさせて交流端子3343と中点側端子3342との電気的な接続を切り離し、電力変換器333aをバイパスさせて交流端子3343の一方と他方とを電気的に接続することにより、蓄電システム1の負荷側接続端の一方から他方までの電気的な直列回路を途中で切断することなく、蓄電システム1の負荷側接続端の一方から他方までの電気的な直列回路から電力変換器333a〜333dを電気的に切り離すことができるので、蓄電システム1の運転中に、電力変換器333a〜333dを交換することができる。
【0257】
図36は、図33に示す蓄電システム1の実際のハードウエア構成を一部変更したときのハードウエア構成を示す。
【0258】
図36に示す蓄電システム1では、図33に示す設置台332から電力変換器取付板332a,332bを取り外した設置台361と、設置台361aとを備えている。設置台361には、図33に示す場合と同様に、蓄電モジュール331a〜331gを含む複数の蓄電モジュールを搭載している。設置台361aには、電力変換器333a〜333cを含む複数の電力変換器を上下左右に並べて取り付けている。設置台361と設置台361aとの間には距離Lの間隔を設けているが、間隔を設けなくてもよい。
【0259】
図36に示す蓄電システム1においても、図33に示す蓄電システム1と同様の作用効果を達成することができる。
【0260】
図37は、図34に示す蓄電システム1を、図36に示す蓄電システム1のように構成したときのハードウエア構成を示す。
【0261】
図37に示す蓄電システム1では、図36に示すように、電力変換器333a〜333dを設置台361aに取り付けると共に、図34に示すバイパス回路344a〜344dも設置台361aに取り付けている。バイパス回路344a〜344dは、対応する電力変換器333a〜333dとは分離して設けられていると共に、対応する電力変換器333a〜333dと上下方向に並ぶように、設置台361aに取り付けられている。
【0262】
図37に示す蓄電システム1においても、図34に示すように、バイパス回路344a〜344dが動作することにより、蓄電システム1の負荷側接続端の一方から他方までの電気的な直列回路を途中で切断することなく、蓄電システム1の負荷側接続端の一方から他方までの電気的な直列回路から、対応する電力変換器333a〜333dを電気的に切り離すことができるので、蓄電システム1の運転中に、対応する電力変換器333a〜333dを交換することができる。また、バイパス回路344a〜344dが、対応する電力変換器333a〜333dから分離して設けられているので、バイパス回路344a〜344dの取り外しを伴うことなく、電力変換器333a〜333dのみを取り外して、電力変換器333a〜333dを交換することができ、電力変換器333a〜333dの取り外し作業を容易にできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷が電気的に接続される負荷接続端、及び電源が電気的に接続される電源接続端を備え、前記負荷側接続端或いは前記電源側接続端に供給された電力を制御して前記電源側接続端或いは前記負荷側接続端から出力する電力制御回路を複数、前記負荷接続端側において電気的に直列に接続してなる電力制御回路群と、
前記複数の電力制御回路のそれぞれに対応して設けられ、前記電源として、対応する前記電力制御回路の前記電源接続端に電気的に接続された、複数の蓄電器を有する蓄電装置と、
前記複数の電力制御回路の作動を制御する制御装置と、
前記複数の電力制御回路のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の電力制御回路の前記負荷接続端と前記電源接続端の間で授受される所定期間の電力量の総量に対して、前記電力制御回路の各々が前記電力制御回路群の所定期間の入出力電力量に寄与する電力量の割合を電力利用率と定義したとき、対応する前記電力制御回路の前記電力利用率の比率を変更する電力利用率変更手段と、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電システムにおいて、
前記電力利用率変更手段は、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の変更が必要な場合、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値を、前記変更を行う前よりも小さくする、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電システムにおいて、
前記電力利用率変更手段は、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値を、零を目標として、前記変更を行う前よりも小さくする、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の蓄電システムにおいて、
前記電力利用率変更手段は、対応する前記電力制御回路の前記負荷接続端側における、交流電圧波形の1サイクル期間中の電力の平均値、或いは対応する前記電力制御回路の前記負荷接続端側の電圧を小さくし、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値を小さくする、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記電力利用率変更手段による、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値の変更は、対応する前記電力制御回路に電気的に接続された前記蓄電装置の前記蓄電器を交換する必要がある場合に行われる、
ことを特徴とする蓄電装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
さらに、機械的操作によって、前記電力利用率変更手段に指令信号を送信する信号装置を備え、
前記電力利用率変更手段は、前記信号装置からの指令信号或いは外部装置からの指令信号をトリガとして受信し、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値を変更する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記蓄電装置は、それぞれ、
電気的に並列に接続され、それぞれ、複数の前記蓄電器を有する複数の蓄電モジュールと、
前記複数の蓄電モジュールのそれぞれに設けられ、対応する前記蓄電モジュールを前記電気的な並列接続から切り離す開閉器と、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項8】
請求項7に記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の蓄電モジュールのうち、前記蓄電器を交換する必要がある蓄電モジュールがある場合には、前記蓄電器の交換が必要な蓄電モジュールによって構成された蓄電装置に対応する電力変換器の電力利用率の絶対値を小さくし、前記開閉器によって、前記蓄電器を交換する必要がある蓄電モジュールを前記電気的な並列接続から切り離す、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項9】
請求項7に記載の蓄電システムにおいて、
前記開閉器によって前記電気的な並列接続から切り離され、前記複数の蓄電器が取り外されている空の蓄電モジュールがある場合で、前記開閉器によって前記電気的な並列接続に電気的に接続された蓄電モジュールの蓄電器を交換する必要がある場合には、前記空の蓄電モジュールにコンデンサ又は複数の蓄電器を取り付け、前記開閉器によって、前記コンデンサ又は前記複数の蓄電器が取り付けられた蓄電モジュールを前記電気的な並列接続に電気的に接続した状態で、前記蓄電器の交換が必要な蓄電モジュールによって構成された蓄電装置に対応する電力変換器の電力利用率の絶対値を小さくし、前記開閉器によって、前記蓄電器を交換する必要がある蓄電モジュールを前記電気的な並列接続から切り離す、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項10】
請求項7に記載の蓄電システムにおいて、
さらに、設置台を有し、
前記設置台には、前記複数の蓄電モジュールが一方向から挿入されて、挿入方向に対して直行する方向に並置されている、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記電力制御回路と前記負荷側接続端との間には、バイパススイッチを有するバイパス回路が設けられており、
前記バイパス回路は、前記バイパススイッチをオンしたとき、前記電力制御回路をバイパスして前記負荷側接続端間を電気的に接続する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項1】
負荷が電気的に接続される負荷接続端、及び電源が電気的に接続される電源接続端を備え、前記負荷側接続端或いは前記電源側接続端に供給された電力を制御して前記電源側接続端或いは前記負荷側接続端から出力する電力制御回路を複数、前記負荷接続端側において電気的に直列に接続してなる電力制御回路群と、
前記複数の電力制御回路のそれぞれに対応して設けられ、前記電源として、対応する前記電力制御回路の前記電源接続端に電気的に接続された、複数の蓄電器を有する蓄電装置と、
前記複数の電力制御回路の作動を制御する制御装置と、
前記複数の電力制御回路のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の電力制御回路の前記負荷接続端と前記電源接続端の間で授受される所定期間の電力量の総量に対して、前記電力制御回路の各々が前記電力制御回路群の所定期間の入出力電力量に寄与する電力量の割合を電力利用率と定義したとき、対応する前記電力制御回路の前記電力利用率の比率を変更する電力利用率変更手段と、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電システムにおいて、
前記電力利用率変更手段は、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の変更が必要な場合、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値を、前記変更を行う前よりも小さくする、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電システムにおいて、
前記電力利用率変更手段は、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値を、零を目標として、前記変更を行う前よりも小さくする、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の蓄電システムにおいて、
前記電力利用率変更手段は、対応する前記電力制御回路の前記負荷接続端側における、交流電圧波形の1サイクル期間中の電力の平均値、或いは対応する前記電力制御回路の前記負荷接続端側の電圧を小さくし、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値を小さくする、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記電力利用率変更手段による、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値の変更は、対応する前記電力制御回路に電気的に接続された前記蓄電装置の前記蓄電器を交換する必要がある場合に行われる、
ことを特徴とする蓄電装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
さらに、機械的操作によって、前記電力利用率変更手段に指令信号を送信する信号装置を備え、
前記電力利用率変更手段は、前記信号装置からの指令信号或いは外部装置からの指令信号をトリガとして受信し、対応する前記電力制御回路の電力利用率の比率の絶対値を変更する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記蓄電装置は、それぞれ、
電気的に並列に接続され、それぞれ、複数の前記蓄電器を有する複数の蓄電モジュールと、
前記複数の蓄電モジュールのそれぞれに設けられ、対応する前記蓄電モジュールを前記電気的な並列接続から切り離す開閉器と、を有する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項8】
請求項7に記載の蓄電システムにおいて、
前記複数の蓄電モジュールのうち、前記蓄電器を交換する必要がある蓄電モジュールがある場合には、前記蓄電器の交換が必要な蓄電モジュールによって構成された蓄電装置に対応する電力変換器の電力利用率の絶対値を小さくし、前記開閉器によって、前記蓄電器を交換する必要がある蓄電モジュールを前記電気的な並列接続から切り離す、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項9】
請求項7に記載の蓄電システムにおいて、
前記開閉器によって前記電気的な並列接続から切り離され、前記複数の蓄電器が取り外されている空の蓄電モジュールがある場合で、前記開閉器によって前記電気的な並列接続に電気的に接続された蓄電モジュールの蓄電器を交換する必要がある場合には、前記空の蓄電モジュールにコンデンサ又は複数の蓄電器を取り付け、前記開閉器によって、前記コンデンサ又は前記複数の蓄電器が取り付けられた蓄電モジュールを前記電気的な並列接続に電気的に接続した状態で、前記蓄電器の交換が必要な蓄電モジュールによって構成された蓄電装置に対応する電力変換器の電力利用率の絶対値を小さくし、前記開閉器によって、前記蓄電器を交換する必要がある蓄電モジュールを前記電気的な並列接続から切り離す、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項10】
請求項7に記載の蓄電システムにおいて、
さらに、設置台を有し、
前記設置台には、前記複数の蓄電モジュールが一方向から挿入されて、挿入方向に対して直行する方向に並置されている、
ことを特徴とする蓄電システム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の蓄電システムにおいて、
前記電力制御回路と前記負荷側接続端との間には、バイパススイッチを有するバイパス回路が設けられており、
前記バイパス回路は、前記バイパススイッチをオンしたとき、前記電力制御回路をバイパスして前記負荷側接続端間を電気的に接続する、
ことを特徴とする蓄電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2012−253862(P2012−253862A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123028(P2011−123028)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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