説明

蓄電装置

【課題】蓄電部の放電中に劣化を判断しても負荷の動作を継続できる高信頼な蓄電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】主電源15に接続された充電回路19と、充電回路19と負荷17の間に接続された蓄電部23と、充電回路19が接続された制御回路41とを備え、制御回路41は、蓄電部23が電力を蓄えた積算時間tを計測し、積算時間tが既定の警告時間taを越えれば蓄電部23が劣化状態に近づいたことを警告する警告信号を出力し、積算時間tが警告時間taより大きい劣化限界時間teを越えれば蓄電部23が劣化したと判断し劣化信号を出力するとともに、それ以降は蓄電部23が放電された状態であっても充電回路19による主電源15から蓄電部23への充電を禁止するようにしたので、蓄電部23の放電中に劣化を判断しても放電は禁止されず、負荷17の動作が継続可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主電源の電圧低下時に蓄電部から電力を供給する補助電源としての蓄電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への配慮や燃費向上のために停車時にエンジン駆動を停止するアイドリングストップ機能を搭載した自動車(以下、車両という)が市販されている。このような車両は使用中に断続的に大電流を消費するスタータが駆動すると一時的にバッテリの電圧が下がる。その結果、オーディオやカーナビゲーション等の他の負荷への供給電圧も下がり、その動作が不安定になる可能性があった。
【0003】
また、車両の制動についても、従来の機械的な油圧制御から電気的な油圧制御への各種車両制動システムの提案がなされてきているが、バッテリが異常になった時、車両制動システムが動作しなくなる等の可能性があった。
【0004】
これらに対し、一時的なバッテリの電圧低下時に負荷に十分な電力を供給したり、バッテリ異常時に車両制動システム等に電力を供給するために、あらかじめ蓄電部を充電しておき、バッテリの電圧低下時や異常時に負荷へ蓄電部の電力を供給する補助電源としての車両用蓄電装置が開発されている。このような蓄電装置の蓄電部には、例えば急速充放電特性に優れる電気二重層キャパシタが用いられ、バッテリが正常電圧時に電気二重層キャパシタを充電するようにしている。
【0005】
このような蓄電装置は、特にバッテリが異常になった時に車両制動システム等の負荷に電力を確実に供給できるように、高信頼性が要求される。そのために、電力を蓄える電気二重層キャパシタの劣化判断が重要となる。この劣化判断を行うために、例えば下記特許文献1の構成が提案されている。なお、特許文献1では蓄電用の電気二重層キャパシタに対してではなく、電源の電力を電動機駆動用の電力に変換する電源システムにおける平滑コンデンサ(アルミ電解コンデンサ)に対する劣化判断構成が示されている。
【0006】
図10はこのような電源システムのブロック回路図である。電源101と電動機103の間には電源システム105が接続されている。なお、電源101は商用電源であり、電動機103は誘導電動機であるので、電源システム105は電源101の電力を電動機103の駆動可能電力に変換する機能を有する。
【0007】
電源システム105は次の構成を有する。まず、電力変換を担う電源装置107が電源101と電動機103の間に接続されている。ここで、電源装置107はリアクトル109、コンバータ111、平滑コンデンサ113、およびインバータ115から構成される。
【0008】
また、平滑コンデンサ113の劣化を判断するために、平滑コンデンサ113の近傍には環境温度を検出するための温度センサ117が設けられている。温度センサ117の出力は環境温度検出器119で温度信号TAに変換されて平滑コンデンサ113の寿命演算回路121に入力される。
【0009】
さらに、平滑コンデンサ113には、その印加電圧を検出するための印加電圧検出器123が接続されている。この印加電圧出力VIも寿命演算回路121に入力される。また、印加電圧検出器123の出力は稼働時間検出器125にも入力される。稼働時間検出器125は平滑コンデンサ113に電圧が印加されている時間(稼働時間)を検出するもので、稼動時間出力LRは警報回路127に入力される。
【0010】
一方、電源装置107の出力には平滑コンデンサ113の自己発熱検出回路129が接続されている。これは電源装置107の出力特性(電圧や電流)を検出して、自己発熱量を求める回路であり、その詳細構成の説明は割愛する。自己発熱検出回路129の出力ΔTは寿命演算回路121に入力される。
【0011】
寿命演算回路121は入力されたVI、TA、ΔTから平滑コンデンサ113の計算寿命時間Lを求め、警報回路127に出力する。なお、平滑コンデンサ113の寿命(劣化程度)は温度と電圧により大きく影響を受けるので、TA、ΔTに対する温度補正量と、VIに対する電圧補正量を計算することにより計算寿命時間Lを求めている。
【0012】
警報回路127は実際の平滑コンデンサ113の稼働時間LRと計算寿命時間Lを比較し、稼働時間LRが計算寿命時間Lに達すれば寿命に至った(劣化した)と判断して警報信号を出力している。
【0013】
このような構成とすることにより、平滑コンデンサ113の劣化判断が可能となり、劣化警報によりすぐに人為的に電源システム105を停止させ、劣化した平滑コンデンサ113を交換することで高信頼性が得られる。
【特許文献1】特開平11−69834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記の電源システム105によると、確かに平滑コンデンサ113の劣化を判断することができるのであるが、このような劣化判断構成を前記した車両用の蓄電装置に適用すると、以下のような課題が生じる。
【0015】
従来の電源システム105では、平滑コンデンサ113の劣化警報によりすぐに電源システム105を停止し平滑コンデンサ113を交換していたが、車両用の蓄電装置では、運転中に蓄電部(電気二重層キャパシタ)の劣化が判断されて蓄電装置の動作を停止してしまうと、特に蓄電部が負荷へ電力を供給中(放電中)であれば、車両制動システム等の負荷の動作が停止したり不安定になる可能性があるという課題があった。
【0016】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、蓄電部の放電中に劣化を判断しても負荷の動作を継続できる高信頼な蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記従来の課題を解決するために、本発明の蓄電装置は、主電源と負荷の間に接続され、前記主電源の電圧(Vb)が既定下限値以下になった時に、あらかじめ蓄えた電力を前記負荷に供給する蓄電装置であって、前記蓄電装置は、前記主電源に接続された充電回路と、前記充電回路と前記負荷の間に接続された蓄電部と、前記充電回路が接続された制御回路とを備え、前記制御回路は、前記蓄電部が電力を蓄えた積算時間(t)を計測し、前記積算時間(t)が既定の警告時間(ta)を越えれば前記蓄電部が劣化状態に近づいたことを警告する警告信号を出力し、前記積算時間(t)が前記警告時間(ta)より大きい劣化限界時間(te)を越えれば前記蓄電部が劣化したと判断し劣化信号を出力するとともに、それ以降は前記蓄電部が放電された状態であっても前記充電回路による前記主電源から前記蓄電部への充電を禁止するようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の蓄電装置によれば、蓄電部が劣化状態に近づくと警告信号を発するので、早めの修理が可能になり、高信頼性が得られる。また、蓄電部が劣化したと判断された以降は蓄電部が放電された状態であっても、再び蓄電部を充電することを禁止しているだけで放電は禁止しないので、たとえ蓄電部が負荷に対して放電中に劣化判断されても放電が停止することがない。その結果、負荷を駆動し続けることができ、高信頼性が得られる。さらに、蓄電部の劣化後における充電禁止により、劣化した蓄電部を使い続けて負荷に十分な電力を供給できなくなるという可能性を低減でき、さらなる高信頼性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における蓄電装置のブロック回路図である。図2は、本発明の実施の形態1における蓄電装置の起動時のフローチャートである。図3は、本発明の実施の形態1における蓄電装置の使用積算時間計測のフローチャートである。図4は、本発明の実施の形態1における蓄電装置の通常動作時のフローチャートである。図5は、本発明の実施の形態1における蓄電装置の使用終了時のフローチャートである。なお、図1において太線は電力系配線を、細線は信号系配線をそれぞれ示す。また、本実施の形態1では蓄電装置をアイドリングストップ車に適用した場合について述べる。
【0021】
図1において、蓄電装置11は主電源15と負荷17との間に接続されている。主電源15はバッテリであり、図示していないが大電流を断続的に消費するスタータも接続されている。また、負荷17はオーディオやナビゲーション等の補機である。
【0022】
蓄電装置11は次の構成を有する。まず、主電源15の出力には充電回路19と、主電源15の電圧Vbを検出する主電源電圧検出回路21が接続されている。充電回路19は後述する蓄電部の電圧Vcを検出しながら、定電流、または定電圧で設定電圧まで充電する機能を有する。さらに、検出した電圧Vcを出力する機能も有する。また、主電源電圧検出回路21は電力系配線(太線)の入力側と出力側が同電圧になるよう接続されている。
【0023】
充電回路19の出力と負荷17の間には、蓄電部23が接続されている。蓄電部23は、例えば蓄電素子として電気二重層キャパシタを複数個直列接続して必要な電力を賄う構成としている。なお、負荷17の要求電力仕様によって電気二重層キャパシタの個数を増減したり直並列接続としてもよい。
【0024】
蓄電部23には温度センサ31が配されている。温度センサ31は蓄電部23の環境温度を検出している。温度センサ31には、温度に対する抵抗値変化が大きい特性を有するサーミスタを用いた。
【0025】
蓄電部23と負荷17の間には放電回路33が接続されている。放電回路33は蓄電部23に蓄えられた電力を負荷17に供給せずに放電するものである。これにより、任意に蓄電部23の放電が可能となる。また、蓄電部23と負荷17の間には、さらに切替スイッチ35と第1ダイオード37が直列に接続されている。切替スイッチ35は外部からオンオフ制御できる構成のもので、ここではFETを用いた。また、第1ダイオード37はアノードが切替スイッチ35に、カソードが負荷17にそれぞれ接続されている。
【0026】
なお、主電源電圧検出回路21と負荷17の間にも第2ダイオード39が接続されている。第2ダイオード39はアノードが主電源電圧検出回路21に、カソードが負荷17にそれぞれ接続されている。従って、第1ダイオード37と第2ダイオード39により主電源15からの電力と蓄電部23からの電力が互いに逆流することを防止している。
【0027】
充電回路19、主電源電圧検出回路21、温度センサ31、放電回路33、および切替スイッチ35は信号系配線で制御回路41にも接続されている。制御回路41はマイクロコンピュータと周辺回路から構成されており、蓄電装置11の全体の動作を制御している。すなわち、制御回路41は充電回路19の出力から蓄電部23の電圧Vcを、また主電源電圧検出回路21の出力から主電源15の電圧Vbを、さらに温度センサ31から蓄電部23の温度Tをそれぞれ読み込む。また、制御回路41は充電回路19に充電制御信号Ccontを送信することで充電回路19の制御を行うとともに、放電回路33に放電制御信号Dcontを送信することで放電回路33の制御を行う。また、切替スイッチ35に切替スイッチオンオフ信号Sofを送信することで切替スイッチ35のオンオフ制御を行う。また、制御回路41は車両側制御回路(図示せず)とデータ信号dataの送受信を行うことで互いに交信する機能を有している。
【0028】
次に、このような蓄電装置11の動作について、まず起動時における動作を図2のフローチャートを用いて説明する。なお、制御回路41はメインルーチンから必要に応じて様々なサブルーチンを実行することにより全体の動作を行うソフトウエア構成としているので、図2に示すフローチャートをサブルーチンの形態で示した。以後同様に、全てのフローチャートをサブルーチンの形態で示す。
【0029】
車両が起動すると、蓄電装置11も同時に起動する。これにより、制御回路41のメインルーチンは図2のサブルーチンを実行する。その結果、まず制御回路41は、これまでの車両使用により蓄電部23が電力を蓄えた積算時間tと劣化限界時間teを比較する(ステップ番号S11)。ここで、積算時間tは制御回路41に内蔵された不揮発性メモリに記憶されており、後述する積算時間tの計測フローチャートにより書き換えられる。従って、S11の時点では前回までの車両使用による蓄電部23の蓄電積算時間tを劣化限界時間teと比較することになる。なお、劣化限界時間teとは、蓄電部23が使用可能な限界に至るまで劣化する時間であり、あらかじめ求めて制御回路41に内蔵したメモリに記憶してある。
【0030】
もし、積算時間tが劣化限界時間teを越えれば(S11のYes)、前回までの車両使用で既に蓄電部23が劣化していることになるので、制御回路41は蓄電部劣化信号を車両側制御回路に出力する(S12)。具体的には、蓄電部劣化信号をデータ信号dataとして車両側制御回路に送信する。これを受け、車両側制御回路は運転者に対し蓄電装置11が劣化して、これ以上使用できないことを警告し修理を促すとともに、アイドリングストップ動作を禁止する。なお、S12の後は図2のサブルーチンを終了してメインルーチンに戻る。
【0031】
メインルーチンは、起動時に蓄電部劣化信号が出力されたことを受け、それ以降の充電回路19による主電源15から蓄電部23への充電を禁止する。その結果、S12の時点では蓄電部23は放電されたままの状態となるので、蓄電装置11は使用されなくなる。
【0032】
このような動作をまとめると、運転者が修理を行うまでは蓄電装置11を停止し、それに伴いアイドリングストップ後のスタータ駆動時における主電源15の電圧Vbが低下している間、蓄電部23の電力を負荷17に供給することができなくなるので、アイドリングストップ動作も禁止するということになる。これにより、修理を行わないとアイドリングストップ動作が行われないので、運転者が蓄電部23の劣化に気づき、速やかに修理を行う可能性を大きく高めることができる。なお、車両起動時に蓄電部23の劣化が判断されてもアイドリングストップ動作が行われないだけで、通常の走行は可能であるので、運転者はそのまま車両を運転して修理工場に持ち込むことができる。
【0033】
このように、蓄電部23の劣化判断を車両の起動時に行うことにより、既に蓄電部23が劣化していた場合、いち早く劣化判断をすることができるので、高信頼性が得られる。
【0034】
ここでS11に戻って、積算時間tが劣化限界時間te以下であれば(S11のNo)、制御回路41は積算時間tと警告時間taを比較する(S13)。ここで、警告時間taとは、前記した劣化限界時間teに対し、例えば90%の時間としている。従って、劣化限界時間teは必ず警告時間taよりも大きくなる。これにより、S13では、積算時間tが劣化限界時間teの90%に達したか否かを判断していることになる。なお、警告時間taもあらかじめ既定値として求めておき、制御回路41のメモリに記憶しておく。
【0035】
もし、積算時間tが警告時間taを越えていれば(S13のYes)、蓄電部23が劣化状態に近づいているので、その事実を運転者に知らせるために蓄電部警告信号をdata信号によって車両側制御回路に出力する(S14)。これを受け、車両側制御回路は運転者に対し蓄電装置11が間もなく劣化することを警告し、早期の修理を促す。なお、S14の時点では、制御回路41は蓄電部23の充電禁止動作等は行わず、単に警告のみを行う。その後、蓄電装置11そのものはまだ使用できるので、後述するS15にジャンプする。
【0036】
このように、劣化判断により蓄電装置11が使用できなくなる前に運転者に警告を発するようにしているので、蓄電装置11が使用できる内に運転者が修理を行う可能性が高まり、蓄電装置11だけでなく車両全体としての信頼性が向上する。
【0037】
なお、ここでは警告時間taを劣化限界時間teの90%としているが、これは一例であり、蓄電装置11の使用頻度や環境温度等によって適宜変更すればよい。すなわち、アイドリングストップ動作があまり行われず車両運転中の蓄電部23の蓄電時間が長い場合や、車両において蓄電部23の劣化が進行しやすい高温環境の位置に蓄電装置11が設置される場合等は、蓄電部23の劣化警告を出力してから実際に劣化するまでの時間を長く取る方が、運転者の修理可能性を向上できるので、90%より小さな値とすればよい。逆に、アイドリングストップ動作の頻度が高い場合や、電源装置11があまり高温にならない位置に設置される場合等は、警告から劣化に至るまでの時間が長いので、不要な修理を避けるために90%より大きな値とすればよい。
【0038】
ここでS13に戻って、積算時間tが警告時間ta以下であれば(S13のNo)、蓄電部23は劣化に至るまでにまだ時間的に余裕があるので、蓄電装置11を使用することができる。そこで、図3に示す積算時間tの計測ルーチンの割り込み動作を許可する(S15)。これにより、図3の積算時間tの計測割り込みルーチンは既定時間間隔Δt毎に割り込んで実行されるため、これから蓄電部23を使用するS15の時点で割り込みを許可して積算時間tの計測を開始する。なお、図3の積算時間tの計測ルーチンの詳細は後述する。
【0039】
次に、制御回路41は蓄電部23の電圧Vcを充電回路19から読み込み(S17)、電圧Vcと設定電圧を比較する(S19)。なお、設定電圧は蓄電部23を満充電した時の電圧である。本実施の形態1では、蓄電部23が定格電圧2.2Vの電気二重層キャパシタを6個直列に接続した構成としたので、設定電圧は13.2V(=2.2V×6個)となる。
【0040】
もし、電圧Vcが設定電圧未満であれば(S19のYes)、蓄電部23を満充電にするために充電回路19に対して蓄電部23を充電するよう充電制御信号Ccontを送信する(S21)。これを受け、充電回路19は蓄電部23の充電を行う。その後S17に戻り、蓄電部23の電圧Vcの読み込み以降の動作を繰り返す。
【0041】
一方、電圧Vcが設定電圧以上になれば(S19のNo)、蓄電部23の充電が完了したので、制御回路41は充電回路19に対し設定電圧を維持するように充電制御信号Ccontを送信する。これにより、蓄電部23の電圧Vcは充電回路19によって設定電圧に維持される。その後、図2のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
【0042】
次に、図3の積算時間tの計測割り込みルーチンについて説明する。既定時間間隔Δt(ここでは0.1秒とした)毎に割り込みが発生し、図3の計測ルーチンが実行されると、まず温度センサ31により蓄電部23の温度Tを読み込むと同時に、充電回路19から蓄電部23の電圧Vcを読み込む(S25)。次に、温度Tと電圧Vcの影響を加味した積算時間tを計算する(S27)。
【0043】
ここで、積算時間tの計算方法について説明する。前記したように電気二重層キャパシタは印加されている電圧Vcや温度Tによって寿命が大きく影響される。すなわち、電圧Vcが高いほど、また温度Tが高いほど、指数関数的に寿命が短くなる傾向がある。
【0044】
そこで、本実施の形態1では、まず蓄電部23の電圧Vcと寿命の関係から電圧劣化係数K(Vc)を求めておく。これは、電圧Vcが基準電圧(例えば12V)時の電圧劣化係数K(12V)を1とした時に、基準電圧と異なる電圧Vcが印加された時の蓄電部23の寿命が基準電圧印加時の寿命の何倍になるか、の逆数を求めたもので、電圧Vcが大きいほど電圧劣化係数K(Vc)も大きくなる。従って、同じ既定時間間隔Δtであっても、電圧劣化係数K(Vc)が例えば2であれば、蓄電部23に基準電圧(12V)が印加されている場合の2倍の時間、すなわち2×Δtを積算時間tに加算するようにしている。これにより、蓄電部23の印加電圧Vcの影響を加味した積算時間tを計算することができる。なお、電圧劣化係数K(Vc)はあらかじめ制御回路41のメモリに記憶してある。
【0045】
同様に、蓄電部23の温度Tと寿命の関係から温度劣化係数K(T)も求めておく。これは、温度Tが基準温度(例えば25℃)時の温度劣化係数K(25℃)を1とした時に、基準温度と異なる温度Tの環境下における蓄電部23の寿命が基準温度時の寿命の何倍になるか、の逆数を求めたもので、温度Tが高いほど温度劣化係数K(T)も大きくなる。従って、同じ既定時間間隔Δtであっても、温度劣化係数K(T)が例えば2であれば、蓄電部23が基準温度(25℃)下の場合の2倍の時間、すなわち2×Δtを積算時間tに加算するようにしている。これにより、蓄電部23の温度Tの影響を加味した積算時間tを計算することができる。なお、温度劣化係数K(T)はあらかじめ制御回路41のメモリに記憶してある。
【0046】
以上のことから、蓄電部23の電圧Vcと温度Tの両方の影響を加味すると、制御回路41は、既定時間間隔Δt毎に蓄電部23の電圧Vcから現在の電圧劣化係数K(Vc)を求めるとともに、蓄電部23の温度Tから現在の温度劣化係数K(T)を求め、既定時間間隔Δtに現在の電圧劣化係数K(Vc)と現在の温度劣化係数K(T)を乗じた値を積算時間tに加算することで、積算時間tを計測することになる。すなわち、これまでの積算時間tにΔt×K(Vc)×K(T)を加算して、積算時間tの値を更新する。
【0047】
S27の計算が終了すると、図3のサブルーチンを終了して、割り込み元に戻る。
【0048】
なお、従来の電源システムでは、平滑コンデンサの自己発熱を検出して、それを加味した寿命演算を行っていたが、本実施の形態1における蓄電部23はアイドリングストップ後の一時的な主電源15の電圧Vbの低下時における負荷17への電力供給に用いられるので、前記平滑コンデンサのように短い周期で充放電を繰り返す動作は行わない。従って、蓄電部23の充放電時の発熱はほとんど無視できるので、ここでは自己発熱の影響を除外している。
【0049】
次に、蓄電装置11の通常時の動作について図4を用いて説明する。なお、制御回路41のメインルーチンは車両使用時に適宜(例えば一定時間毎に)図4のサブルーチンを実行している。
【0050】
これにより、まず制御回路41は主電源15の電圧Vbを主電源電圧検出回路21から読み込む(S31)。次に、電圧Vbと既定下限値を比較する(S33)。ここで、既定下限値は負荷17を動作させるための最低電圧(本実施の形態1では10.5V)とした。もし、電圧Vbが既定下限値より大きければ(S33のNo)、車両が通常走行時等の状態であり、主電源15は正常な電圧を出力しているので、そのまま図4のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
【0051】
一方、電圧Vbが既定下限値以下であれば(S33のYes)、アイドリングストップが終了し、主電源15がスタータを駆動している状態であるため、負荷17を動作させられないほど電圧低下を起こしていることになる。この場合は、制御回路41が切替スイッチ35をオンにする(S35)。具体的には切替スイッチオンオフ信号Sofをオン信号として制御回路41から切替スイッチ35に送信する。これにより、蓄電部23の電力が図1の放電経路と書かれた矢印の方向に流れ、負荷17に供給される。この時、第2ダイオード39のアノード電圧(=主電源15の電圧Vb)はカソード電圧(=蓄電部23により負荷17に印加される電圧)より小さくなるので、第2ダイオード39はオフになり、蓄電部23の電力が主電源15に供給されることはない。このことから、蓄電部23の電力は負荷17にのみ供給され、負荷17は動作し続けられる。
【0052】
次に、制御回路41は主電源15の電圧Vbと蓄電部23の電圧Vcを読み込む(S37)。その後、まず電圧Vbと既定下限値を比較し(S39)、もし電圧Vbが既定下限値以下のままであれば(S39のNo)、スタータの駆動中であると想定されるので、次に電圧Vcと既定下限値(S39と同様に10.5V)を比較する(S41)。もし、電圧Vcが既定下限値より大きければ(S41のNo)、蓄電部23から負荷17に正常な電圧が印加されていることになるので、引き続き蓄電部23が負荷17に電力を供給しつつS37に戻り、電圧Vbと電圧Vcの監視を続ける。
【0053】
一方、電圧Vcが既定下限値以下であれば(S41のYes)、主電源15の電圧Vbが既定下限値以下であり、かつ電圧Vcが既定下限値以下であることになるので、負荷17を駆動し続けることができない。この場合は、主電源15やスタータ等の何らかの異常により電圧Vbが回復しないまま、蓄電部23の電力を使ってしまった状態であるので、制御回路41は車両側制御回路に主電源異常信号を出力する(S43)。これを受け、車両側制御回路は運転者に主電源15の電力系統の異常を警告し、修理を促す。その後、図4のサブルーチンを終了する。
【0054】
ここでS39に戻って、スタータの駆動が完了し、電圧Vbが既定下限値より大きい電圧に戻れば(S39のYes)、再び主電源15の電力で負荷17を動作させることができるので、切替スイッチ35をオフにする(S45)。これにより、蓄電部23からの電力供給が停止するので、第1ダイオード37のカソード側電圧が低下するが、主電源15の電圧Vbは既定下限値以上に回復しているので、第2ダイオード39のアノード電圧がカソード電圧より高くなり、第2ダイオード39がオンになる。その結果、主電源15の電力が再び負荷17に供給される。
【0055】
次に、制御回路41は次回のアイドリングストップに備えるために、蓄電部23から負荷17に放電した分の電力を再び充電する。具体的には、図2のS17にジャンプする。これにより、蓄電部23に主電源15の電力が充電される。
【0056】
次に、車両の使用を終了した時の蓄電装置11の動作について図5を用いて説明する。車両の使用が終了すると、制御回路41は図5のサブルーチンを実行する。これにより、まず放電回路33に対し蓄電部23の電力を放電するように放電制御信号Dcontを送信する(S45)。これを受け、放電回路33は蓄電部23の放電を行う。放電が完了すれば図3の割り込みルーチンの実行を禁止し(S47)、図5のサブルーチンを終了する。
【0057】
使用終了時に図5のような動作を行うのは以下の理由による。車両非使用時にも蓄電部23に電力を蓄えたままにしておくと、蓄電部23の劣化が進行する。そのため、図3の割り込みルーチンを車両非使用時にも実行し続ける必要がある。従って、車両非使用時に蓄電部23を蓄電したままにしておくと、蓄電部23の劣化が進行してしまうだけでなく、蓄電装置11が積算時間tを計算し続けるために暗電流を消費し続けることになる。
【0058】
そこで、車両使用終了時に放電回路33により強制的に蓄電部23の電力を放電するようにしている。これにより、蓄電部23の電圧Vcがほぼ0Vとなり、非使用時の劣化進行を抑制できる。さらに、電圧Vcがほぼ0Vなので電圧劣化係数K(Vc)もほぼ0になる。従って、図3のS27におけるΔt×K(Vc)×K(T)が0となり積算時間tを加算する必要がなくなる。ゆえに、図3のサブルーチンを実行し続ける必要がなくなり、暗電流消費を抑制できる。
【0059】
なお、図2の点線枠で示した動作は図5の最後(S47の後)に実行してもよい。この場合、車両使用終了時に蓄電部23の警告や劣化を運転者に知らせることができるので、次回車両を使用するまでに修理等の対応を行いやすくなる。なお、警告や劣化の情報は車両側制御回路が記憶するので、警告や劣化を報知したにもかかわらず運転者が再び車両を使用すれば、車両側制御回路は改めて運転者に報知するとともに蓄電装置11の使用を禁止し、アイドリングストップ動作を停止するようにしている。
【0060】
また、図2の点線枠で示した動作は車両起動時と使用終了時の両方で行ってもよい。これにより、劣化判断等を行う回数が増えるので、さらに信頼性が高まる。
【0061】
ここまでに述べた蓄電装置11の特徴となる動作をまとめると、以下のようになる。
【0062】
制御回路41は、蓄電部23が電力を蓄えた積算時間tを計測し、積算時間tが既定の警告時間taを越えれば蓄電部23が劣化状態に近づいたことを警告する警告信号を出力し、積算時間tが警告時間taより大きい劣化限界時間teを越えれば蓄電部23が劣化したと判断し劣化信号を出力するとともに、それ以降は蓄電部23が放電された状態であっても充電回路19による主電源15から蓄電部23への充電を禁止する。
【0063】
以上の構成、動作により、積算時間tにより警告、劣化の2段階の報知を行うので早期修理の可能性が高まるとともに、劣化後は蓄電部23への充電を禁止するが負荷17への放電は可能なので、放電が中断されることがなくなり、信頼性の高い蓄電装置11を実現できる。
【0064】
なお、本実施の形態1では、蓄電部23を放電する放電回路33を設け、使用終了時に蓄電部23を放電しているが、これは放電回路33を設けずに、使用終了時に蓄電部23を放電しないようにしてもよい。この場合、蓄電部23が非使用時にも充電されたままになるので、蓄電部23の劣化が進んだり、積算時間tを計算するための暗電流が必要となるが、次回の起動時に蓄電部23にはあらかじめ電力が蓄えられているので、高速に起動することが可能なる。従って、蓄電部23の寿命を重視するか高速起動を重視するかで用途に合わせ最適な方を選択すればよい。
【0065】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における蓄電装置の起動時のフローチャートである。図7は、本発明の実施の形態2における蓄電装置の使用積算時間計測、および警告判断、劣化判断のフローチャートである。図8は、本発明の実施の形態2における蓄電装置の通常動作時のフローチャートである。
【0066】
本実施の形態2における蓄電装置の構成は実施の形態1で説明した図1の構成と全く同じであるので、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態2においても蓄電装置をアイドリングストップ車に適用した場合について述べる。
【0067】
本実施の形態2における蓄電装置11の特徴となる動作は、図7の割り込みルーチン(後述)において劣化判断や警告判断を行い、図8の通常動作ルーチン(後述)にて蓄電部23の劣化や警告の報知を行うようにした点である。これにより、実施の形態1のように起動時、または使用終了時の少なくともいずれかに行うよりもタイムリーに劣化や警告の報知を行うことができる。以下に、このような特徴点を中心とした動作を説明する。
【0068】
まず、車両起動時においては、制御回路41はメインルーチンから図6に示すサブルーチンを実行する。これにより、まず後述する図7の割り込みルーチンの実行を許可する(S51)。これにより、既定時間間隔Δt(0.1秒)毎に図7の割り込みルーチンが実行される。
【0069】
その後、実施の形態1の図2におけるS17にジャンプし、それ以降の動作(蓄電部23の満充電動作)を実行する。
【0070】
次に、使用積算時間tの計測、および警告判断、劣化判断の割り込みルーチンについて説明する。図7の割り込みルーチンが実行されると、まず制御回路41は温度センサ31により蓄電部23の温度Tを読み込むと同時に、充電回路19から蓄電部23の電圧Vcを読み込む(S71)。次に、温度Tと電圧Vcの影響を加味した積算時間tを計算する(S73)。なお、積算時間tの計算方法は図3と全く同じである。
【0071】
次に、制御回路41はS73で計算した積算時間tと劣化限界時間teを比較する(S75)。劣化限界時間teの定義は実施の形態1と同じである。もし、積算時間tが劣化限界時間teを越えれば(S75のYes)、蓄電部23が劣化したことを示す劣化フラグをオンにする(S77)。なお、劣化フラグは蓄電部23が劣化していなければオフ、劣化するとオンになるフラグで、制御回路41に内蔵されたメモリの一部に記憶される。従って、メインルーチンやサブルーチンで劣化フラグの状態を判断することにより、蓄電部23の劣化を知ることができる。その後、図7の割り込みルーチンを終了し、割り込み元に戻る。
【0072】
一方、積算時間tが劣化限界時間te以下であれば(S75のNo)、蓄電部23は劣化していないので劣化フラグをオフにし(S79)、次に積算時間tと警告時間taを比較する(S81)。警告時間taの定義は実施の形態1と同じである。もし、積算時間tが警告時間taを越えれば(S81のYes)、蓄電部23が間もなく劣化することを示す警告フラグをオンにする(S83)。なお、警告フラグは蓄電部23が間もなく劣化すると判断された場合はオンに、まだ劣化しないと判断されればオフになるフラグで、制御回路41に内蔵されたメモリの一部に記憶される。従って、メインルーチンやサブルーチンで警告フラグの状態を判断することにより、蓄電部23が間もなく劣化するか否かを知ることができる。その後、図7の割り込みルーチンを終了し、割り込み元に戻る。
【0073】
一方、積算時間tが警告時間ta以下であれば(S81のNo)、蓄電部23は劣化するまでに時間的余裕があるので、警告フラグをオフにした後(S85)、図7の割り込みルーチンを終了し、割り込み元に戻る。
【0074】
このような割り込みルーチンの動作を行うことにより、警告フラグや劣化フラグが一度オンになると、以後常にオンになったままになるようにしているので、走行中にオンになれば蓄電部23の警告や劣化の報知を行い続けることができ、運転者の警告や劣化に対する認識可能性を高めることができる。
【0075】
次に、蓄電装置11の通常時の動作について図8を用いて説明する。なお、制御回路41のメインルーチンは車両使用時に適宜(例えば一定時間毎に)図8のサブルーチンを実行している。
【0076】
これにより、まず制御回路41は主電源15の電圧Vbを主電源電圧検出回路21から読み込む(S101)。次に、電圧Vbと既定下限値を比較する(S103)。ここで、既定下限値は実施の形態1で述べたように10.5Vである。もし、電圧Vbが既定下限値より大きければ(S103のNo)、車両が通常走行時等の状態であり、主電源15は正常な電圧を出力している。従って、蓄電部23は負荷17への放電を行っていないので、その間に蓄電部23の劣化、警告の状態を調べる。すなわち、まず劣化フラグの状態を判断する(S105)。もし、劣化フラグがオンになっていれば(S105のYes)、蓄電部23の劣化を報知するため、後述するS121にジャンプする。
【0077】
一方、劣化フラグがオフであれば(S105のNo)、次に警告フラグの状態を判断する(S106)。もし、警告フラグがオンになっていれば(S106のYes)、蓄電部23が間もなく劣化することを警告するため、後述するS125にジャンプする。
【0078】
一方、警告フラグがオフであれば(S106のNo)、蓄電部23は正常状態であるので、そのまま図8のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。
【0079】
ここでS103に戻って、主電源15の電圧Vbが既定下限値以下であれば(S103のYes)、アイドリングストップが終了し、主電源15がスタータを駆動している状態であるため、制御回路41は切替スイッチ35をオンにする(S107)。これにより、実施の形態1と同様に蓄電部23の電力が負荷17に供給される。
【0080】
次に、制御回路41は主電源15の電圧Vbと蓄電部23の電圧Vcを読み込む(S109)。その後、まず電圧Vbと既定下限値を比較し(S111)、もし電圧Vbが既定下限値以下のままであれば(S111のNo)、スタータの駆動中であると想定されるので、次に電圧Vcと既定下限値(10.5V)を比較する(S113)。もし、電圧Vcが既定下限値より大きければ(S113のNo)、蓄電部23から負荷17に正常な電圧が印加されていることになるので、引き続き蓄電部23が負荷17に電力を供給しつつS109に戻り、電圧Vbと電圧Vcの監視を続ける。
【0081】
一方、電圧Vcが既定下限値以下であれば(S113のYes)、主電源15の電圧Vbが既定下限値以下であり、かつ電圧Vcが既定下限値以下であることになるので、負荷17を駆動し続けることができない。この場合は、電圧Vbが回復しないまま、蓄電部23の電力を使ってしまった状態であるので、制御回路41は車両側制御回路に主電源異常信号を出力する(S115)。これを受け、車両側制御回路は運転者に主電源15の電力系統の異常を警告し、修理を促す。その後、図8のサブルーチンを終了する。
【0082】
ここでS111に戻って、スタータの駆動が完了し、電圧Vbが既定下限値より大きい電圧に戻れば(S111のYes)、再び主電源15の電力で負荷17を動作させることができるので、切替スイッチ35をオフにする(S117)。これにより、蓄電部23からの電力供給が停止し、主電源15の電力が再び負荷17に供給される。
【0083】
その後、蓄電部23からの電力供給が停止している間に蓄電部23の劣化、警告の状態を調べる。すなわち、まずS105と同様に劣化フラグの状態を判断する(S119)。もし、劣化フラグがオンになっていれば(S119のYes)、蓄電部23の劣化を報知するため、蓄電部劣化信号を車両側制御回路に送信する(S121)。これを受け、車両側制御回路は蓄電部23が劣化したことを運転者に報知し、修理を促す。その後、図8のサブルーチンを終了し、メインルーチンに戻る。なお、車両側制御回路は蓄電部劣化信号を受信することにより、以降のアイドリングストップ動作を禁止する。同時に制御回路41は、S121の時点で蓄電部23が放電された状態であるが、それ以降の主電源15から蓄電部23への充電回路19による充電を禁止するように制御する。その結果、劣化した蓄電部23を使い続けることによる負荷17への電力供給不足の可能性を低減している。
【0084】
一方、劣化フラグがオフであれば(S119のNo)、次に警告フラグの状態を判断する(S123)。もし、警告フラグがオンになっていれば(S123のYes)、蓄電部23が間もなく劣化することを警告するため、蓄電部警告信号を車両側制御回路に送信する(S125)。これを受け、車両側制御回路は運転者に間もなく蓄電部23が劣化することを報知する。その後、蓄電部23はまだ使うことができるので、蓄電部23を再充電するために、図2のS17にジャンプする。
【0085】
一方、警告フラグがオフであれば(S123のNo)、蓄電部23は正常状態であるので、そのまま蓄電部23を再充電するために、図2のS17にジャンプする。
【0086】
以上の図8の動作を繰り返すことで、蓄電部23の劣化判断や警告判断をタイムリーに行うことができるので、蓄電装置11の早期劣化警告による高信頼性を得ることができる。
【0087】
次に、車両の使用を終了した時の蓄電装置11の動作についてであるが、これは図5と同じなので詳細な説明を省略する。
【0088】
以上の構成、動作により、積算時間tにより警告、劣化の2段階の報知をタイムリーに行うことができるので、さらなる早期修理の可能性が高まるとともに、劣化後は蓄電部23への充電を禁止するが、S107からS117までの動作に示すように蓄電部23が劣化しても負荷17への放電は停止しないので、信頼性の高い蓄電装置11を実現できる。
【0089】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3における蓄電装置の警告時間と劣化限界時間の計算フローチャートである。
【0090】
本実施の形態3における蓄電装置の構成は実施の形態1で説明した図1の構成と全く同じであるので、詳細な説明を省略する。また、本実施の形態3においても蓄電装置をアイドリングストップ車に適用した場合について述べる。
【0091】
本実施の形態3における蓄電装置11の特徴となる動作は、図9の割り込みルーチン(後述)において、実施の形態1、2のように蓄電部23の電圧Vcや温度Tの影響を加味して積算時間tを計測するのではなく、積算時間tは既定時間間隔Δt毎に積算していくだけであり、警告時間taと劣化限界時間teを蓄電部23の電圧Vcや温度Tの影響により増減するようにした点である。それ以外の動作は実施の形態1と同じである。このような動作によっても蓄電部23の劣化や警告の報知を行うことができる。以下に、このような特徴点を中心とした動作を説明する。
【0092】
既定時間間隔Δt(0.1秒)毎に図9の割り込みルーチンが実行されると、まず制御回路41は温度センサ31により蓄電部23の温度Tを読み込むと同時に、充電回路19から蓄電部23の電圧Vcを読み込む(S201)。その後、電圧劣化係数K(Vc)と温度劣化係数K(T)を求め、両者の積を劣化係数Kとして計算する(S203)。なお、電圧劣化係数K(Vc)と温度劣化係数K(T)は実施の形態1と同じ定義である。ゆえに、劣化係数Kは蓄電部23の電圧Vcと温度Tの両方の影響を加味した値となる。
【0093】
次に、劣化係数Kが1未満であるか否かを判断する(S205)。もし、劣化係数Kが1以上であれば(S205のNo)、蓄電部23の劣化が基準電圧時や基準温度時(以下、基準状態という)よりも進行することになる。従って、警告時間taと劣化限界時間teを減少させている。具体的には、劣化係数Kから1を減じた値に既定時間間隔Δtを乗じた値を警告時間ta、および劣化限界時間teから減算し、その結果を警告時間ta、劣化限界時間teとして更新している。すなわち、警告時間taについては、ta−Δt・(K−1)を新たなtaとして更新し、劣化限界時間teについては、te−Δt・(K−1)を新たなteとして更新している(S207)。このように更新することにより、蓄電部23の劣化が基準状態より進行する状況では警告時間ta、および劣化限界時間teが小さくなるようにしている。その結果、電圧Vcや温度Tによる劣化進行分、早く積算時間tが警告時間taや劣化限界時間teに至るので、電圧Vcや温度Tの影響を加味した蓄電部23の劣化や警告の報知を行うことが可能となる。なお、劣化係数Kが1と等しい場合(基準状態時)にもS205でNoとなるので、S207の動作が実行されるが、K=1であるので警告時間taや劣化限界時間teは更新されない。
【0094】
S207の後は積算時間tの更新のために、後述するS213にジャンプする。
【0095】
一方、劣化係数Kが1未満であれば(S205のYes)、蓄電部23の劣化が基準状態よりもゆっくり進行することになる。従って、警告時間taと劣化限界時間teを増加させることになる。しかし、両者を増加させるために、後述するS211で劣化係数Kの逆数を求めているのであるが、蓄電部23がほぼ放電していて、その電圧Vcが極めて小さい場合や、温度Tが極めて低い場合は劣化がほとんど進行しないので、劣化係数Kは極めて小さい値となる。従って、そのまま逆数を計算すると巨大な値になり、警告時間ta、および劣化限界時間teの更新値が無限に近くなってしまう。これにより、正しい警告や劣化の判断ができなくなる可能性がある。そこで、次に制御回路41は劣化係数Kが既定値(ここでは0.01とした)より小さいか否かを判断する(S209)。これにより、劣化係数Kが極端に小さい場合の判断誤差を除外することができる。なお、既定値として0.01としたのは、電圧劣化係数K(Vc)と温度劣化係数K(T)がそれぞれ0.1、すなわち基準状態の10倍の寿命となる場合までは電圧Vcと温度Tの影響を加味するようにしたためである。従って、この値は使用する蓄電素子の寿命特性等により適宜決定すればよい。
【0096】
もし、劣化係数Kが0.01未満であれば(S209のYes)、そのまま図9の割り込みサブルーチンを終了し、割り込み元に戻る。このように動作することで、蓄電部23がほとんど劣化しない状態では、警告時間ta、劣化限界時間te、および積算時間tの更新を行わないようにしている。
【0097】
一方、劣化係数Kが0.01以上であれば(S209のNo)、電圧Vcと温度Tの影響を加味した警告時間taと劣化限界時間teの増加計算を行う。具体的には、劣化係数Kの逆数から1を減じた値に既定時間間隔Δtを乗じた値を警告時間ta、および劣化限界時間teに加算し、その結果を警告時間ta、劣化限界時間teとして更新している。すなわち、警告時間taについては、ta+Δt・(1/K−1)を新たなtaとして更新し、劣化限界時間teについては、te+Δt・(1/K−1)を新たなteとして更新している(S211)。このように更新することにより、蓄電部23の劣化が基準状態よりゆっくり進行する状況では警告時間ta、および劣化限界時間teが大きくなるようにしている。その結果、電圧Vcや温度Tによる劣化進行の遅延分、積算時間tが警告時間taや劣化限界時間teに至るまでに時間がかかり、寿命が伸びる方向への電圧Vcや温度Tの影響を加味した蓄電部23の劣化や警告の報知を行うことが可能となる。
【0098】
その後、積算時間tに既定時間間隔Δtを加算して、積算時間tを更新し(S213)、図9の割り込みサブルーチンを終了して割り込み元に戻る。
【0099】
なお、図9以外(起動時、通常動作時、使用終了時)の動作は、それぞれ実施の形態1の図2、図4、図5と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0100】
以上の構成、動作によっても、積算時間tにより警告、劣化の2段階の報知を行うので早期修理の可能性が高まるとともに、劣化後は蓄電部23への充電を禁止するが負荷17への放電は可能なので、放電が中断されることがなくなり、信頼性の高い蓄電装置11を実現できる。
【0101】
なお、本実施の形態3では図9のS209に示したように、劣化係数Kが既定値(0.01)未満であれば積算時間tの加算を行わないようにしているが、これは実施の形態1、2において同様な動作を行ってもよい。
【0102】
また、上記の場合、劣化係数Kが既定値未満であれば、実施の形態1、2における積算時間tの加算値、または実施の形態3における警告時間taと劣化限界時間teの加算値を、例えばK=0.01の時の値のように小さい一定値に固定するようにしてもよい。
【0103】
また、実施の形態1〜3において蓄電部23には蓄電素子として電気二重層キャパシタを用いたが、これは電気化学キャパシタ等の他の蓄電素子でもよい。
【0104】
また、実施の形態1〜3において蓄電装置11をアイドリングストップ車の補助電源に適用した場合について述べたが、それらに限らず、ハイブリッド車や、電動パワーステアリング、車両制動システム、電動過給器等の各システムにおける車両用補助電源等にも適用可能である。
【0105】
また、実施の形態1、2において、積算時間tが、実施の形態3においては警告時間taや劣化限界時間teが、それぞれ蓄電部23の電圧Vcと温度Tの影響を加味して計算されているが、これはいずれか一方のみの影響を加味してもよい。この場合、例えば車両制動システムのように、主電源15の異常時にのみ動作するシステムでは、通常車両使用時は蓄電部23の電圧Vcが満充電電圧のまま一定であるので、電圧Vcの影響は加味せず、温度の影響のみを加味して積算時間tや、警告時間ta、劣化限界時間teを計算してもよい。また、蓄電装置11が温度の影響を受けにくい車室内等に設置された場合は、温度の影響を加味せず、電圧Vcの影響のみを加味して計算してもよい。さらに、電圧Vcや温度Tの両方の影響を受けにくい場合(例えば車両制動システムを車室内等に設置した場合)は両者の影響を加味せずに計算してもよい。なお、温度Tについては、車両非使用時に車両の置かれた環境により大きく変化することが考えられるが、実施の形態1、2においては車両非使用時には蓄電部23が放電されているので、車両の環境温度が変化しても蓄電部23の劣化にはほとんど影響しない。従って、車両非使用時の温度Tの影響を考慮しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明にかかる蓄電装置は、早期の劣化警告ができる上、放電中に劣化しても放電が中断することなく高信頼性が得られるので、特に主電源の電圧低下時に蓄電部から電力を供給する車両用補助電源としての蓄電装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施の形態1における蓄電装置のブロック回路図
【図2】本発明の実施の形態1における蓄電装置の起動時のフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1における蓄電装置の使用積算時間計測のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1における蓄電装置の通常動作時のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1における蓄電装置の使用終了時のフローチャート
【図6】本発明の実施の形態2における蓄電装置の起動時のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態2における蓄電装置の使用積算時間計測、および警告判断、劣化判断のフローチャート
【図8】本発明の実施の形態2における蓄電装置の通常動作時のフローチャート
【図9】本発明の実施の形態3における蓄電装置の警告時間と劣化限界時間の計算フローチャート
【図10】従来の電源システムのブロック回路図
【符号の説明】
【0108】
11 蓄電装置
15 主電源
17 負荷
19 充電回路
23 蓄電部
31 温度センサ
33 放電回路
41 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源と負荷の間に接続され、前記主電源の電圧(Vb)が既定下限値以下になった時に、あらかじめ蓄えた電力を前記負荷に供給する蓄電装置であって、
前記蓄電装置は、前記主電源に接続された充電回路と、
前記充電回路と前記負荷の間に接続された蓄電部と、
前記充電回路が接続された制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記蓄電部が電力を蓄えた積算時間(t)を計測し、前記積算時間(t)が既定の警告時間(ta)を越えれば前記蓄電部が劣化状態に近づいたことを警告する警告信号を出力し、
前記積算時間(t)が前記警告時間(ta)より大きい劣化限界時間(te)を越えれば前記蓄電部が劣化したと判断し劣化信号を出力するとともに、それ以降は前記蓄電部が放電された状態であっても前記充電回路による前記主電源から前記蓄電部への充電を禁止するようにした蓄電装置。
【請求項2】
前記蓄電部の電圧(Vc)が基準電圧時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準電圧と異なる電圧が印加された時の前記蓄電部の寿命が前記基準電圧の印加時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた電圧劣化係数(K(Vc))をあらかじめ前記制御回路に記憶しておき、
前記制御回路は、既定時間間隔(Δt)毎に前記蓄電部の電圧(Vc)から現在の前記電圧劣化係数(K(Vc))を求め、前記既定時間間隔(Δt)に現在の前記電圧劣化係数(K(Vc))を乗じた値を前記積算時間(t)に加算することで、前記積算時間(t)を計測するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記制御回路に接続された温度センサを前記蓄電部に配した構成を有し、
前記蓄電部の温度(T)が基準温度時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準温度と異なる温度環境下の前記蓄電部の寿命が前記基準温度時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた温度劣化係数(K(T))をあらかじめ前記制御回路に記憶しておき、
前記制御回路は、既定時間間隔(Δt)毎に前記蓄電部の温度(T)から現在の前記温度劣化係数(K(T))を求め、前記既定時間間隔(Δt)に現在の前記温度劣化係数(K(T))を乗じた値を前記積算時間(t)に加算することで、前記積算時間(t)を計測するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記制御回路に接続された温度センサを前記蓄電部に配した構成を有し、
前記蓄電部の電圧(Vc)が基準電圧時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準電圧と異なる電圧が印加された時の前記蓄電部の寿命が前記基準電圧の印加時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた電圧劣化係数(K(Vc))、および前記蓄電部の温度(T)が基準温度時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準温度と異なる温度環境下の前記蓄電部の寿命が前記基準温度時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた温度劣化係数(K(T))をあらかじめ前記制御回路に記憶しておき、
前記制御回路は、既定時間間隔(Δt)毎に前記蓄電部の電圧(Vc)から現在の前記電圧劣化係数(K(Vc))を求めるとともに、前記蓄電部の温度(T)から現在の前記温度劣化係数(K(T))を求め、前記既定時間間隔(Δt)に現在の前記電圧劣化係数(K(Vc))と現在の前記温度劣化係数(K(T))を乗じた値を前記積算時間(t)に加算することで、前記積算時間(t)を計測するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記蓄電部の劣化判断を起動時、または使用終了時の少なくともいずれかに行うようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電部と前記負荷の間に、前記制御回路と接続された放電回路を設けた構成を有し、
前記制御回路は、使用終了時に前記蓄電部を前記放電回路により放電するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記蓄電部の電圧(Vc)が基準電圧時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準電圧と異なる電圧(Vc)が印加された時の前記蓄電部の寿命が前記基準電圧の印加時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた電圧劣化係数(K(Vc))をあらかじめ前記制御回路に記憶しておき、
前記制御回路は、既定時間間隔(Δt)毎に前記蓄電部の電圧(Vc)から現在の前記電圧劣化係数(K(Vc))を求め、
前記電圧劣化係数(K(Vc))が1以上であれば、前記電圧劣化係数(K(Vc))から1を減じた値に前記既定時間間隔(Δt)を乗じた値を前記警告時間(ta)、および前記劣化限界時間(te)から減算し、
前記電圧劣化係数(K(Vc))が1未満であれば、前記電圧劣化係数(K(Vc))の逆数から1を減じた値に前記既定時間間隔(Δt)を乗じた値を前記警告時間(ta)、および前記劣化限界時間(te)に加算するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記制御回路に接続された温度センサを前記蓄電部に配した構成を有し、
前記蓄電部の温度(T)が基準温度時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準温度と異なる温度環境下の前記蓄電部の寿命が前記基準温度時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた温度劣化係数(K(T))をあらかじめ前記制御回路に記憶しておき、
前記制御回路は、既定時間間隔(Δt)毎に前記蓄電部の温度(T)から現在の前記温度劣化係数(K(T))を求め、
前記温度劣化係数(K(T))が1以上であれば、前記温度劣化係数(K(T))から1を減じた値に前記既定時間間隔(Δt)を乗じた値を前記警告時間(ta)、および前記劣化限界時間(te)から減算し、
前記温度劣化係数(K(T))が1未満であれば、前記温度劣化係数(K(T))の逆数から1を減じた値に前記既定時間間隔(Δt)を乗じた値を前記警告時間(ta)、および前記劣化限界時間(te)に加算するようにした請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記制御回路に接続された温度センサを前記蓄電部に配した構成を有し、
前記蓄電部の電圧(Vc)が基準電圧時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準電圧と異なる電圧が印加された時の前記蓄電部の寿命が前記基準電圧の印加時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた電圧劣化係数(K(Vc))、および前記蓄電部の温度(T)が基準温度時の前記蓄電部の寿命を1とした時に、前記基準温度と異なる温度環境下の前記蓄電部の寿命が前記基準温度時における寿命の何倍になるか、の逆数を求めた温度劣化係数(K(T))をあらかじめ前記制御回路に記憶しておき、
前記制御回路は、既定時間間隔(Δt)毎に前記蓄電部の電圧(Vc)から現在の前記電圧劣化係数(K(Vc))を求めるとともに、前記蓄電部の温度(T)から現在の前記温度劣化係数(K(T))を求め、
前記電圧劣化係数(K(Vc))と前記温度劣化係数(K(T))の積を劣化係数(K)として求め、
前記劣化係数(K)が1以上であれば、前記劣化係数(K)から1を減じた値に前記既定時間間隔(Δt)を乗じた値を前記警告時間(ta)、および前記劣化限界時間(te)から減算し、
前記劣化係数(K)が1未満であれば、前記劣化係数(K)の逆数から1を減じた値に前記既定時間間隔(Δt)を乗じた値を前記警告時間(ta)、および前記劣化限界時間(te)に加算するようにした請求項1に記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−95210(P2009−95210A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266347(P2007−266347)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】