説明

薄片状ガラスを含む固形粉末化粧品組成物

本発明は、(a)約75重量%〜約98重量%の粉末構成成分であって、少なくとも52重量%の二酸化ケイ素と、5重量%以下のアルカリ金属酸化物とを含む構成成分で構成される化粧品グレードの薄片状ガラスを含み、この化粧品グレードの薄片状ガラスは、0.1〜1.0μmの平均厚さと、1〜100μmの平均粒径と、平均粒径を平均厚さで割ることによって得られる10以上のアスペクト比とを有する、粉末構成成分と;(b)約1重量%〜約24重量%の、フマル酸ステアリルナトリウムを含む粉末結合剤と;(c)約1重量%〜約25重量%の液体結合剤と、を含む固形粉末化粧品組成物を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品グレードの薄片状ガラスと、粉末結合剤と、液体結合剤とを含む固形粉末化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション組成物は、顔及び体のその他の部分に適用して肌の色調及びきめを均一にして、毛穴、欠陥、小じわなどを隠すことができる。ファンデーション組成物はまた、皮膚に潤いを与え、皮膚の油分を整え、そして日光、風、及びその他の環境要因の悪影響から皮膚を守るためにも適用される。
【0003】
ルースパウダー及び固形粉末などの固体形状のファンデーション組成物は、皮膚に清潔感のある明るい感じを享受する消費者の間で人気がある。コンパクトの中に充填された固形粉末ファンデーションは、使用目的でこのような製品を持ち運ぶことが可能であるという理由から、特に好適である。
【0004】
固形粉末ファンデーションにとって、長時間続く利益は、特に春及び夏における消費者の最大のニーズの1つである。当該技術分野において周知であるように、一般的に皮膚は、春及び夏には油っぽくなり、冬及び秋には乾燥する。液体の量が少ない固形粉末ファンデーションでは、元の形態に含まれる粉末の湿り度は低い。このような製品形態では、粉末は皮脂及び/又は汗で濡れる傾向があるので、ファンデーションの色又は明度が変化する場合がある。明度の変化は、メークアップがこすれて徐々に消えるにつれて消費者によって知覚され得るので、色/明度のこのような変化は、パウダーファンデーションに関する共通の懸念事項である。
【0005】
絹雲母及び雲母は、充填剤及び顔料としての役目を果たすパウダーファンデーションの構成成分であり、材料の種類に応じて、透明感又は真珠光沢などの好ましい見た目を提供する。天然由来の絹雲母又は雲母が皮脂又は汗で濡れると、絹雲母又は雲母自体の透光性が増す一方、天然の絹雲母又は雲母に含まれる酸化鉄などの不純物がより可視となり、その結果顔料全体がくすんだ色を有するように見える。これが色/明度変化の理由の1つと考えられている。
【0006】
上述の問題を緩和するために、パウダーファンデーションを調製する際にいくつかの手法が取られている。1つの手法は、例えば、汗と皮脂の両方をはじくことで知られているフッ素などのコーティング剤で粉末を処理して、皮脂又は汗が粉末を濡らすのを妨げることである。したがって、フッ素コート顔料を使用しているファンデーションは、適用当初及び一定時間にわたって、良好な耐摩耗性を提供する。しかしながら、フッ素コート顔料を含有するこれらのファンデーションは、ファンデーションを長時間付けている場合には同じように有効ではない傾向がある。別の手法は、特開2006−176557A(Kanebo)に教示されているように、更なる濡れに起因した明度変化を回避することができるように、特定の油で既に濡れている顔料を組み込むことである。これらのファンデーションは、明度変化を回避するのに有効であるが、全組成に組み込まれた油の量が多いことが原因で、湿っていて明るさに欠く感じをもたらす傾向がある。したがって、色/明度変化に対する良好な耐性を有しながら皮膚にフレッシュ感を与えるという、バランスの良い利益を有するファンデーションが依然として望まれている。
【0007】
特開9−110452A及びPCT国際公開特許WO2007/119395号(Nippon Sheet Glass)は、化粧品用途に有用な薄片状ガラス、その物理的性質、及び製造工程を開示している。薄片状ガラスを含む化粧品原料は、一般に、良好な伸び、皮膚接着及び透明性、きめ細かな質感及び感触を有するとして開示されている。
【0008】
薄片状ガラスは比較的平坦かつ薄い形状であるので、化粧品組成物に薄片状ガラスを組み込むことによって特定の外観利益がもたらされるが、薄片状ガラスは、ケーキプレス成形性において困難を引き起こす場合がある。ケーキプレス成形性は、送出し(pay off)などの製品性能に影響を与え、かつプレスケーキの衝撃抵抗にも影響を与える。一般的なプレス法を用いてパウダーファンデーションを形成することができる、薄片状ガラスに適合する好適な結合剤が望ましい。更に、薄片状ガラスの皮膚への接着を改善する余地が残されている。
【0009】
フランス特許第2885298A号(LCW)は、錠剤型に圧縮される化粧品組成物の結合剤として、フマル酸ステアリルナトリウムの使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−176557A
【特許文献2】特開9−110452A
【特許文献3】PCT国際公開特許WO2007/119395号
【特許文献4】フランス特許第2885298A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述に基づき、皮膚に適用されたときの光沢制御、移動抵抗、色安定性、良好な伸び、皮膚への優れた接着、皮膚上でのきめ細かな質感、清潔感のある明るい感じ、ケーキプレス成形性、衝撃抵抗、及び良好な送出しの観点からバランスの良い利益を有する固形粉末化粧品組成物が必要とされている。
【0012】
既存の技術には、本発明の利点及び利益の全てを提供するものは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下を含む固形粉末化粧品組成物を目的とする。
(a)約75重量%〜約98重量%の粉末構成成分であって、少なくとも52重量%の二酸化ケイ素と、5重量%以下のアルカリ金属酸化物とを含む構成成分で構成される化粧品グレードの薄片状ガラスを含み、化粧品グレードの薄片状ガラスは、0.1〜1.0μmの平均厚さと、1〜100μmの平均粒径と、平均粒径を平均厚さで割ることによって得られる10以上のアスペクト比とを有する、粉末構成成分、
(b)約1重量%〜約24重量%の、フマル酸ステアリルナトリウムを含む粉末結合剤、及び
(c)約1重量%〜約25重量%の液体結合剤。
【0014】
本発明の固形粉末化粧品組成物は、皮膚に適用されたときの光沢制御、移動抵抗、色安定性、良好な伸び、皮膚への優れた接着、及び皮膚上での清潔感のある明るい感じ、良好なケーキプレス成形性、衝撃抵抗、並びに良好な送出しのバランスの良い利益を提供する。本発明の固形粉末化粧品組成物は、ファンデーション、アイブロー、アイシャドウ、頬紅、ハイライター、及びコンシーラーなどの機能を有する化粧品で用いるのに特に有用である。
【0015】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様、並びに利点は、添付の特許請求の範囲と共に本開示を読めば、当業者には明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の記載から更に十分に理解されるものと考えられる。
【0017】
引用した参照文献はすべて、それらの全体が本明細書に参考として組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求する本発明に対する従来技術としての有用性の決定に関する容認ではない。
【0018】
本明細書では、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の要素を加えることができることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0019】
百分率、部及び比は全て、特に記述しない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。提示された成分に関するこのような重量は全て、活性物質の濃度に基づいており、したがって市販材料に含まれる可能性があるキャリア又は副生成物は含まない。
【0020】
本明細書に有用な活性物質及び他の成分のような成分は全て、美容及び/若しくは治療的な利益、又はそれらの自明であると見なされている作用様式によって分類又は記載されることがある。ただし、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては美容的及び/若しくは治療的な複数の利益をもたらすこと、又は複数の作用様式で作用することもあることを理解すべきである。それゆえ、本明細書での分類は便宜上のことであって、成分を特定の適用又は列記された適用に限定しようとするものではない。
【0021】
固形粉末化粧品組成物
本発明の固形粉末化粧品組成物は、粉末の構成成分と、粉末結合剤と、液体結合剤とを含む。
【0022】
本発明の化粧品組成物、及びそれらのそれぞれの構成成分は、本明細書中で以下に列記されており、次を含む:
(a)約75%〜約98%の粉末構成成分であって、少なくとも52重量%の二酸化ケイ素と5重量%以下のアルカリ金属酸化物とを含む構成成分で構成される化粧品グレードの薄片状ガラスを含み、この化粧品グレードの薄片状ガラスは、0.1〜1.0μmの平均厚さと、1〜100μmの平均粒径と、平均粒径を平均厚さで割ることによって得られる10以上のアスペクト比とを有する、粉末構成成分;
(b)約1%〜約24%の、フマル酸ステアリルナトリウムを含む粉末結合剤;及び
(c)約1%〜約25%の液体結合剤。
【0023】
本発明の固形粉末化粧品組成物は、当業者に既知の一般的なプロセス、即ち、粉末結合剤及び任意のその他の固形材料を均一に混合し、前工程の生成物を液体結合剤及び任意のその他の液体材料と混合し、最終的に得られた混合物を約3.0〜約7.0Mpaの圧力下でプレスすることによって調製されることができる。
【0024】
粉末構成成分
本発明の組成物は、少なくとも薄片状ガラスを含む粉末構成成分を含む。本発明の組成物中に含まれる粉末構成成分の量は、固形粉末化粧品組成物を提供するのに十分であり、約75%〜約98%の範囲である。本発明の組成物はまた、以下に詳述される他の粉末を含む。
【0025】
薄片状ガラス
本発明において有用な薄片状ガラスは、化粧品組成物中で安全に使用することができる化粧品グレードであり、少なくとも52重量%の二酸化ケイ素と、5重量%以下のアルカリ金属酸化物とを含む構成成分で構成され、この化粧品グレードの薄片状ガラスは、0.1〜1.0μmの平均厚さと、1〜100μmの平均粒径と、10以上のアスペクト比とを有する。一般的に、このような化粧品グレードの薄片状ガラスは、透明かつ滑らかであり、不純物が少なく、したがって、固形ファンデーション組成物を調製するのに一般に使用される、絹雲母、雲母及びタルクなどのその他の透明又は半透明の顔料及び充填剤に代わって用いられることができるものである。薄片状ガラス及び粉末結合剤の組み合わせが、固体化粧品組成物に、長時間続く効果、明るい感じ、良好な伸び、及び皮膚への優れた接着という利益を提供することが予想外に判明した。更に、この組み合わせが固形粉末形状に組み込まれると、好ましいケーキプレス成形性、衝撃抵抗、及び良好な送出しが達成されることが見出された。
【0026】
本明細書において特に有用な薄片状ガラスには、PCT国際公開特許WO 2007/119395号に記載されているものが挙げられる。
【0027】
本発明の薄片状ガラスの物理的性質は、以下の方法を用いて測定される。厚さは、Carl Zeiss製のInterpha−koを使用する干渉縞法によって測定される。粒径は、Shimadzu Corporation製のSALD−2000を用いてレーザー回折によって測定される。粒径と厚さの比率(平均粒径/平均厚さ)が得られ、アスペクト比と見なされる。
【0028】
本発明の薄片状ガラスは、修飾されなくてもよく、表面をコーティングされてもよく、又は他の顔料と複合体化されてもよい。
【0029】
本発明の一実施形態では、薄片状ガラスは疎水的に表面処理される。好ましくは、薄片状ガラスはシリコーンで表面処理される。本明細書で非常に有用な市販の薄片状ガラスには、シリコーン表面処理された薄片状ガラスが挙げられ、商標名SILKY FLAKEでNippon Sheet Glassから入手可能である。
【0030】
本発明の別の実施形態では、薄片状ガラスは、特開2001−11340Aに記載のもののような、真珠光沢及び輝度を提供する、チタニア及びレアメタルでコーティングされた複合体顔料である。更に別の実施形態では、薄片状ガラスは、特開2007−176935Aに記載のもののような、時間経過に伴ってくすんだ色を示さない着色顔料を提供するウルトラマリンなどの分散したカラー粒子を包含する。
【0031】
本発明の組成物は、好ましくは、約10重量%〜約50重量%の薄片状ガラス、より好ましくは約15重量%〜約40重量%の薄片状ガラスを含む。このような好ましい濃度で使用するとき、特に好ましい透明な見た目及び色安定性が組成物にもたらされると考えられている。このような利益は、パウダーファンデーションにとって特に有用である。
【0032】
他の粉末
上記の薄片状ガラスに加え、本発明の組成物は、固形粉末化粧品組成物を製造するためのその他の粉末を含んでもよい。その他の粉末は、優れた肌触りといった製品の所望の特徴を提供するために含まれるのが好ましい。
【0033】
本明細書で用いるのに好ましいその他の粉末の1つは合成雲母である。合成雲母は、上記の薄片状ガラスと同様の色安定性効果を提供することができる一方で、薄片状ガラスよりも比較的安価でもある。合成雲母は、本発明の組成物を調製する際に、薄片状ガラスの一部と置き換えるために使用されてもよい。使用時、本発明の組成物に含有される合成雲母の量は、好ましくは約1%〜約88重量%、より好ましくは約3%〜約30重量%である。市販の合成雲母には、例えば、ジメチコンでコーティングされた合成フルオロ金雲母が挙げられ、商標名SA−SYNTHETIC MICA PDM−8WでMIYOSHI KASEI,INC.から入手可能である。
【0034】
本明細書で有用なその他の粉末には、表面処理、例えばシリコーン処理されている又はされていない、タルク、シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン及び酸化鉄、ベントナイト、並びにモンモリロナイトなどの、基粉体及び着色粉末であり得る粘土鉱物粉末が挙げられる。本明細書で有用なその他の無機粉末には、アルミナ、硫酸バリウム、第二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、ヒドロキシアパタイト、チタン酸鉄、群青、プルシアンブルー、酸化クロム、水酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト、酸化チタンでコーティングされた雲母、窒化ホウ素、及びその他の複合粉体などのパール顔料が挙げられる。本明細書で有用な有機粉末には、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル酸メチル系樹脂、セルロース、12−ナイロン、6−ナイロン、スチレン−アクリル酸コポリマー、ポリプロピレン、塩化ビニルポリマー、テトラフルオロエチレンポリマー、デンプン、絹、魚燐グアニン、レーキ(laked)タール色素染料、及びレーキ天然色素が挙げられる。このような無機及び有機粉末は、次のものを包含する疎水性処理剤で処理されてもよい:メチコン、ジメチコンなどのシリコーン;ステアリン酸などの脂肪性材料;ジミリスチン酸アルミニウムなどの金属石鹸;水素添加タローグルタミン酸アルミニウム、水素添加レシチン、ラウロイルリジン、ペルフルオロアルキルリン酸のアルミニウム塩、並びにこれらの混合物。
【0035】
市販のその他の粉末には、例えば、DAINICHI SEIKA COLOR & CHEMICAL MFG CO.,LTDから入手可能な商標名DAIMICBEAZ UCN−8150CM CLEARであるHDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマー、NIPPON SHEET GLASS CO.,LTD.から入手可能な商標名MICROGLAS METASHINE MC1040RSである、二酸化チタン及び酸化スズでコーティングされたホウケイ酸カルシウムアルミニウムが挙げられる。
【0036】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、実質的に天然雲母及び絹雲母を含まない。実質的に天然雲母及び絹雲母を含まない組成物は、改善された色安定性を提供することが期待される。油で濡れる前後の明度変化の観点からの固形粉末組成物の色安定性は、実施例に記載の「明度変化」と題される方法にしたがって試験され得る。
【0037】
1つの好ましい実施形態では、本発明の組成物は、フッ素コート顔料を実質的に含まない。フッ素コーティングは、水及び皮脂に対する良好な耐性を提供するために有用であり得るが、フッ素コートされた成分を使用しないことは、環境的考慮から例外的な利益であろう。
【0038】
粉末結合剤
本発明の組成物は、例えば商標名COVAFLUID FSでDAITO KASEI KOGYO CO.,LTD.から入手可能な、少なくともフマル酸ステアリルナトリウムを含む粉末結合剤を含む。粉末結合剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される構成成分を更に含んでもよい。本発明の粉末結合剤は、上記の薄片状ガラスと組み合わされると、固形粉末化粧品組成物に、良好な明度変化制御、皮膚への接着、及び他の粉末などの他の構成成分の保持有効性(holding efficacy)、良好なケーキプレス成形性、並びに衝撃抵抗を提供することができることが予想外に判明した。
【0039】
理論に束縛されるものではないが、それらの比較的平坦かつ薄い形状が原因で、薄片状ガラスは、ケーキプレス成形性において困難を引き起こす場合がある。即ち、一般に用いられる条件でプレスされると、衝撃抵抗の劣ったケーキをもたらす可能性がある。その一方で、超高圧でプレスされると、許容範囲にある衝撃抵抗を有するケーキを作製することができるが、ケーキはとても硬いので、皮膚に適用する際の送出しが小さくなり過ぎる。ケーキプレス成形性のこのような困難は、全組成中で少なくとも約10%の薄片状ガラスが使用される場合に特に顕著である。本発明の粉末結合剤は、当該技術分野において周知の一般的なプレス条件を用いた場合であっても、薄片状ガラスを含む組成物に良好なケーキプレス成形性を提供することができることが予想外に判明した。更に、薄片状ガラス及び粉末結合剤の組み合わせは、長時間続く効果、色安定性、明るい感じ、及び皮膚への優れた接着などの利益を提供する一方で、皮膚に適用する際には、優れた接着にもかかわらず良好な伸びもまた提供する。固形粉末形状に組み込まれるとき、本発明の固形粉末化粧品組成物は、好ましくは、約1重量%〜約24重量%の粉末結合剤、より好ましくは約2重量%〜約10重量%の粉末結合剤を含む。このような好ましい濃度で使用するとき、組成物は、特に好ましいケーキプレス成形性及び衝撃抵抗を提供すると考えられている。このような利益は、パウダーファンデーションにとって特に有用であり、かつ実施例に記載の「衝撃抵抗」と題される方法にしたがって評価され得る。
【0040】
液体結合剤
本発明の組成物は、特定の製品形態、及び追加の使用利益をもたらすために、その他の結合材を更に含んでもよい。本明細書で有用なのは、広くは使用及び運搬の際に粉末が分散しないように保持する液体結合剤である。液体結合剤の量及び種類は、製品の所望の特徴、例えば、製品形態の適用範囲、皮膚への接着、及び様々な肌触りに応じて選択される。本明細書の液体結合剤は、紫外線防護などの特定の利益をもたらすために、又は普通であれば組成物の中に組み込むことができない皮膚有効成分を溶解するために使用することもできる。
【0041】
シリコーンオイルは本明細書の結合剤成分として有用である。特に有用なのは、低粘度であるがあまり揮発性でないものであり、好ましくは約400mPas未満の粘度と、150℃で24時間常圧で静置した後にシリコーンオイルの35%以下が蒸発するような揮発性とを有するものである。このようなシリコーンオイルは、組成物を皮膚に適用したときに、清潔感がありかつ明るい感じを高めると考えられている。
【0042】
本明細書において有用なシリコーンオイルとしては、次の構造(I)を有するポリアルキル又はポリアリールシロキサンも挙げられる。
【0043】
【化1】

式中、R93はアルキル又はアリールであり、pは約7〜約100の整数である。Z8は、シリコーン鎖の末端を封鎖する基を表す。シロキサン鎖(R93)上又はシロキサン鎖の末端Z8において置換されたアルキル又はアリール基は、結果として生じるシリコーンが室温で流体のままであり、分散性があり、肌に適用した時に刺激性がなく、毒性やその他の害もなく、組成物の他の構成成分と適合性があり、通常の使用及び保存条件下で化学的に安定している限り、いかなる構造をも有することができる。好適なZ8基としては、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びアリールオキシが挙げられる。ケイ素原子上の2つのR93基は、同一の基又は異なる基を表してもよい。好ましくは、2つのR93基は同一の基を表す。好適なR93基としては、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル及びフェニルメチルが挙げられる。好ましいシリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサンである。ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンが、特に好ましい。使用され得るポリアルキルシロキサン類としては、例えば、ポリジメチルシロキサン類が挙げられる。ポリアルキルアリールシロキサン液を使用することもでき、これらには、例えば、ポリメチルフェニルシロキサン類が含まれる。
【0044】
本明細書で有用な市販のシリコーンオイルには、商標名KF56(ShinEtsu Chemical Co.,Ltd.より入手可能)、SF 1075 METHYL PHENYL FLUID(the General Electric Companyより入手可能)、556 COSMETIC GRADE FLUID(Dow Corningより入手可能)であるメチルフェニルポリシロキサン、並びに商標名SH200(Dow Corningより入手可能)、並びにVISCASIL及びSF96シリーズ(General Electric Companyより入手可能)である50mPas未満のポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0045】
本明細書で有用な液体結合剤は、様々な等級の鉱油であることができる。鉱油類は、石油から得られる炭化水素類の液体混合物である。適した炭化水素類の具体例としては、パラフィン油、鉱油、ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン、エイコサン、イソエイコサン、トリデカン、テトラデカン、ポリブテン、ポリイソブテン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0046】
本明細書において追加の結合材として有用なその他の油は、例えば、イソノナン酸トリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル(isodecyl isonoanoate)、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸ジイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、ネオペンチルグリコールジ(2−エチルヘキサノエート)、ジイソプロピルジメレート、トコフェロール、酢酸トコフェロール、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカダミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、菜種油、卵黄油、ごま油、パーシック油、麦芽油、サザンカ油(pasanqua oil)、ヒマシ油、亜麻仁油、サフラワー油、綿実油、ペリリック油(perillic oil)、大豆油、ピーナッツ油、茶実油、カヤ油、米糠油、シナ桐油、日本桐油、ホホバ油、米芽油、グリセロールトリオクタノエート(glycerol trioctanate)、グリセロールトリイソパルミテート、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸イソプロピル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、ラノリン、ラノリン液、パラフィン液、スクワラン、ワセリン、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸コレステリル、ステアリン酸コレステリルなどのコレステリル誘導体、PPG−7コハク酸ポリプロピレングリコールオリゴエステル(35P.O.)などのコハク酸コポリマー、及びこれらの混合物である。市販の油には、例えば、商標名CRODAMOL TN(Crodaより入手可能)、HEXALAN(Nisshin Seiyuより入手可能)であるイソノナン酸トリデシル、Eisaiから入手可能な酢酸トコフェロール、商標名SALACOS HS(Nisshin Oil Mills,Ltd.より入手可能)である12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、及び商標名YOFCO MAC(Nippon Fine Chemical Co.,Ltd.より入手可能)であるマカデミアナッツ脂肪酸コレステリルが挙げられる。
【0047】
典型的にはUV保護剤と呼ばれるもののような、UV保護効果を有する各種油が本明細書における使用に好適である。これらのUV保護剤の中で好ましいものは、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(PARSOL MCXとして市販されている)、ブチルメトキシジベンゾイル−メタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾ−フェノン、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、オクトクリレン、2−エチルヘキシルN,N−ジメチル−p−アミノベンゾエート、p−アミノ安息香酸、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、オクトクリレン、オキシベンゾン、ホモメンチルサリチラート、オクチルサリチラート、4,4’−メトキシ−t−ブチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、3−ベンジリデンカンファー、3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、及び商標名EUSOLEX 6300、OCTOCRYLENE、PARSOL 1789のものから選択される。これらの油は、所望の太陽光線保護指数(SPF)を提供するように選択されることができる。SPFは、通常使用されている、紅斑に対する日焼け止め剤の光防護の測度である。Federal Register,Vol.43,No.166,pp.38206〜38269(1978年8月25日)を参照のこと。
【0048】
ここで、有用な液体結合剤はまた、シリコーン乳化剤及び非シリコーン乳化剤などの乳化剤を含む。乳化剤は、本発明の組成物のその他の構成成分に応じて選択され、所望の乳化又は分散特性をもたらす。好適な乳化剤は、約4〜約14のHLB値を有する。これらの範囲外のHLB値を有する乳化剤は、これらの範囲内に収まる有効な重量平均HLBが得られるように、他の乳化剤と組み合わせて使用することができる。
【0049】
有用なシリコーン乳化剤には、ジメチコンコポリオール類が含まれる。これらの物質は、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロピレンオキシド鎖、これらの鎖の混合物などのポリエーテル側鎖、及びエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの両方に由来する部分を含有するポリエーテル鎖を包含するように変性されたポリジメチルシロキサン類である。他の例には、アルキル変性ジメチコンコポリオール類、即ち、C2〜C30のペンダント側鎖を含有する化合物が挙げられる。更に他の有用なジメチコンコポリオール類としては、様々な陽イオン性、陰イオン性、両性、及び双性イオン性のペンダント部分を有する物質が挙げられる。Dow Corning Corporationによって販売される本明細書において有用な市販のジメチコンコポリオール類の例は、Dow Corning(登録商標)190、193、Q2−5220、2501ワックス、2−5324流体、及び3225C(この後者の物質はシクロメチコンとの混合物として販売されている)である。セチルジメチコンコポリオールは、ポリグリセリル−4イソステアレート(及び)ヘキシルラウレートとの混合物として市販されており、商標名ABIL(登録商標)WE−09(Goldschmidtから入手可能)で販売されている。セチルジメチコンコポリオールは、ヘキシルラウレート(及び)ポリグリセリル−3オレエート(及び)セチルジメチコンの混合物としても市販されており、商標名ABIL(登録商標)WS−08(同じくGoldschmidtから市販)で販売されている。また、ジメチコンコポリオール類の他の非限定的な例としては、ラウリルジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオールアセテート、ジメチコンコポリオールアジパート、ジメチコンコポリオールアミン、ジメチコンコポリオールベヘネート、ジメチコンコポリオールブチルエーテル、ジメチコンコポリオールヒドロキシステアレート、ジメチコンコポリオールイソステアレート、ジメチコンコポリオールラウレート、ジメチコンコポリオールメチルエーテル、ジメチコンコポリオールホスフェート、及びジメチコンコポリオールステアレートも挙げられる。International Cosmetic Ingredient Dictionary、第5版、1993を参照のこと。
【0050】
本発明の固形粉末形状の組成物は、優れた清潔感のある明るい感じを皮膚に提供するために、好ましくは、ワックス又はゲル化剤のいずれも実質的に含まない。
【0051】
追加的構成成分
本明細書の組成物は、例えば、組成物又はパーソナル表面に審美的又は機能的効果をもたらすためのもの、例えば外見、匂い又は感触に関連する知覚上の効果、治療的効果、あるいは予防的効果をもたらすために、化粧品に従来使用されるもののような追加の構成要素を更に含有してよい(上記の必要とされる材料自体がこうした効果をもたらす可能性があることを理解すべきである)。含まれる場合、その量は組成物の約10重量%以下に保たれる。
【0052】
好適な局所用成分の部類の例としては:上記以外の粉末及び顔料、抗キレート剤、研磨材、収れん剤、染料、精油、芳香剤、フィルム形成ポリマー、可溶化剤、固化防止剤、消泡剤、結合剤、緩衝剤、充填剤、変性剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、隔離剤、化粧用殺生物剤、及び防腐剤が挙げられる。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、本発明の範囲内の好ましい実施形態を更に説明し、実証する。これらの実施例は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の多くの変更が可能であるので、単に例証を目的として与えるものにすぎず、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。成分は、適用できる場合は、化学名又はCTFA名称で識別され、そうでない場合には以下で定義される。
【0054】
以下は、皮膚に使用するための固形粉末化粧品組成物、それらの調製方法、及びそれらの特性の技術的評価である。実施例1〜12は本発明による固形粉末化粧品組成物であるが、比較例1〜4は本発明によらないものである。
【0055】
【表1】

【0056】
構成成分の定義
*1 ジメチコンを有する薄片状ガラス:NIPPON SHEET GLASS CO.,LTD.より入手可能なSILKY FLAKE。
*2 ジメチコンでコーティングされた合成フルオロ金雲母:MIYOSHI KASEI,INC.より入手可能なSA−SYNTHETIC MICA PDM−8W。
*3 HDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマー:DAINICHI SEIKA COLOR & CHEMICAL MFG CO.,LTD.より入手可能なDAIMICBEAZ UCN−8150CM CLEAR。
*4 二酸化チタン及び酸化スズでコーティングされたホウケイ酸カルシウムアルミニウム:NIPPON SHEET GLASS CO.,LTD.より入手可能なMICROGLAS METASHINE MC1040RS。
*5 フマル酸ステアリルナトリウム:DAITO KASEI KOGYO CO.,LTD.より入手可能なCOVAFLUID FS。
【0057】
調製方法
実施例1〜7の化粧品組成物は、次のように調製される。構成成分1〜13及び19〜21を混合機で混合して顔料混合物を作る。その後、構成成分14〜18をこの顔料混合物に加え、混合機で混合する。得られた組成物を粉砕し、3.0〜7.0MPaの圧力でトレーの中に圧入し、例えばパウダーファンデーションの場合は、コンパクトの中にセットする。圧力は4.0〜6.0MPaの範囲内であることができ、頬紅の場合、圧力は6.0〜7.0MPaの範囲内であることができ、コンシーラーの場合、圧力は3.0〜5.0MPaの範囲内であることができる。
【0058】
前述の実施例によって代表されるこれらの実施形態は、固形粉末化粧品として有用である。実施例1〜4及び7は固形粉末ファンデーションとして有用であり、実施例5は固形粉末頬紅として有用であり、実施例6は固形粉末コンシーラーとして有用である。
【0059】
顔の皮膚に適用する場合、それらは多くの利点を提供する。例えば、皮膚に適用されたときの光沢制御、移動抵抗、色安定性、良好な伸び、皮膚への優れた接着、皮膚上でのきめ細かな質感、清潔感のある明るい感じ、ケーキプレス成形性、衝撃抵抗、及び良好な送出しの点から見てバランスの良い利益を提供することができる。
【0060】
実施例8〜12及び比較例1〜4は固形粉末ファンデーションである。
【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
上記の表2及び表3の化粧品組成物は次のように調製される。構成成分1〜9及び12〜14を混合機で混合して顔料混合物を作る。その後、構成成分10〜11及び15をこの顔料混合物に加え、混合機で混合する。得られた組成物を粉砕し、5.0MPaの成形圧力でトレーの中に圧入する。
【0064】
技術試験の方法
1.衝撃抵抗
優れた衝撃抵抗を維持すると同時に優れた送出しを保持する製品を提供することを目的として、本発明の固形粉末組成物を常圧下で加圧することができる。このような衝撃抵抗は、本明細書で定義される落下試験によって適切に定量的に測定される。
1)かかる試験目的で産業上一般的に用いられている落下試験装置を使用して、30.5cmの高さから固形粉末製品を落下させる。
2)固形粉末製品を肉眼で観察して、固形粉末製品が何らかの目に見える損傷を有していないかどうかを調べる。
【0065】
実施例8〜10及び12、並びに比較例1の固形粉末製品を、高さ30.5cmから一定の回数落下させて、製品の衝撃抵抗を評価した。これらの組成物を、これらの固形粉末製品が、肉眼で観察して目に見える損傷を受けずに落下試験に持ちこたえた回数によって評価した。各試験製品に関し、試験を3回実施し、3回の試験結果の平均を記録する。平均5回以上の落下に持ちこたえた製品を○(合格)と評価し、5回未満の落下に持ちこたえた製品をx(不合格)と評価した。
【0066】
落下試験結果を次の表4に示す。
【0067】
【表4】

【0068】
2.明度変化
本発明の組成物は、汗及び皮脂で濡れた場合にも良好な色安定性を有する。色安定性を明度変化の欠如によって適切に定量的に測定し、この明度変化は、シリコーンオイルを組成物に適用し、かつ吸油量の最大点まで濡らした前後の測色データのΔE値として、カラーコンピュータ(SpectraFlash 600 Plus;Datacolor International Company)によって測定することができる。かかる測色測定にはHunter L−a−bカラーシステムを用いた。
【0069】
明度変化試験結果を次の表5に示す。
【0070】
【表5】

【0071】
3.知覚
本発明の固形粉末化粧品組成物は、皮膚に適用されたときの良好な伸び、皮膚への優れた接着、皮膚上での清潔感のある明るい感じ、及び良好な送出しなどの知覚上の効果を提供する。知覚試験のために官能試験員8名による専門家パネルを設置した。官能試験員は、上述した実施例8及び比較例4のファンデーションをそれぞれの指及び前腕に適用し、表6に列挙されるような直接質問(DQ)に関して評価した。評価a〜d及びe〜gはそれぞれ、指への適用及び前腕への適用に基づく官能評価に対応し、一方で総合評価は、指及び前腕の両方の一般的評価に対応している。「実施例8がより優れていると考える」と答えた官能試験員の人数及び割合が記載されている。
【0072】
【表6】

【0073】
評価
粉末結合剤構成成分を欠き、かつフマル酸ステアリルナトリウムを欠く比較例1は、持ちこたえた平均回数が8を超える実施例8〜10及び12の結果とは対照的に、持ちこたえた平均回数が3.6であり、落下試験による耐衝撃性において「x(不合格)」と評価された。
【0074】
ジメチコンでコーティングされた雲母25%を粉末構成成分として有し、薄片状ガラスを使用しない比較例3は、約6のΔE値を有する実施例8〜10の結果と比較して、7.04という高い比色分析変化(ΔE)を有すると評価された。
【0075】
フマル酸ステアリルナトリウムを有さない代わりに一定量の液体結合剤(1%シリコーンオイル及び7.5%エステル油)を有する比較例4を、本発明の化粧品組成物と共に知覚試験で評価した。比較試験結果は、本発明の化粧品組成物は優れた知覚結果を提供することを示している。
【0076】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0077】
本明細書で引用される、相互参照付きの、又は関連する、特許及び出願を含むいずれの文献も、明白に排除されない限り、また別の方法で制限されない限り、本明細書にその全体が参照によって組み入れられる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本明細書中で開示又は特許請求の範囲に記載されるいずれかの発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他のあらゆる参照文献との組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0078】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約75重量%〜約98重量%の粉末構成成分であって、少なくとも52重量%の二酸化ケイ素と、5重量%以下のアルカリ金属酸化物とを含む構成成分で構成される化粧品グレードの薄片状ガラスを含み、該化粧品グレードの薄片状ガラスは、0.1〜1.0μmの平均厚さと、1〜100μmの平均粒径と、該平均粒径を該平均厚さで割ることによって得られる10以上のアスペクト比とを有する、粉末構成成分と、
b)約1重量%〜約24重量%の、フマル酸ステアリルナトリウムを含む粉末結合剤と、
c)約1重量%〜約25重量%の液体結合剤と、を含む固形粉末化粧品組成物。
【請求項2】
約10重量%〜約50重量%の前記化粧品グレードの薄片状ガラスを含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
約2重量%〜約10重量%の前記粉末結合剤を含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記組成物がワックス及びゲル化剤を実質的に含まない、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記粉末構成成分が合成雲母を更に含む、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記組成物が天然雲母を実質的に含まない、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記組成物がフッ素コート顔料を実質的に含まない、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記組成物が、ファンデーション、アイブロー、アイシャドウ、頬紅、ハイライター、及びコンシーラーからなる群から選択される化粧品である、請求項1に記載の化粧品組成物。

【公表番号】特表2012−500854(P2012−500854A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525128(P2011−525128)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/054823
【国際公開番号】WO2010/025117
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】