薄膜インジケータを有する、有機蒸気吸着剤保護装置
吸着媒体保護装置は、気体注入口、気体排出口、及び薄膜多層インジケータを有するエンクロージャを含む。薄膜多層インジケータは、気体注入口から気体排出口に向かって流れる、目的の蒸気を吸着することができる、吸着媒体に近接する。インジケータは、蒸気の存在下で光学的厚さが変化する多孔質検出層を含み、これは、半反射層と蒸気に対する透過性の反射層との間に位置する。媒体の少なくとも一部と蒸気との間において、適用された蒸気濃度で平衡化され、蒸気は、反射層から検出層へと通過し、検出層の光学的厚さを十分に変えて、半反射層を通じて見たときに、インジケータの外観に認識可能な変化を生じることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機蒸気吸着保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て個人用レスピレータ、動力付き空気浄化レスピレータ、危険物スーツ、及び他の望ましくない物質の存在の保護装置をユーザーに警告をするために、様々な、化学、光学、又は電子インジケータが提案されてきた。例えば、サポート終了日インジケータ(“ESLI”)は、このような装置の濾過要素が、飽和状態に近づいているか、又は特定の物質に対して無効であることを警告することができる。個人保護又は呼吸保護(場合によってはセンサ又はインジケータ一般、あるいは特にESLI)に関する特許及び出願としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、及び特許文献24、並びに特許文献25が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第1,537,519号(ヤブリック(Yablick))
【特許文献2】米国特許第3,966,440号(ロバーツ(Roberts))
【特許文献3】米国特許第4,146,887号(マグナンテ(Magnante))
【特許文献4】米国特許第4,154,586号(ジョーンズ(Jones)ら)
【特許文献5】米国特許第4,155,358号(マックアリスター(McAllister)ら)
【特許文献6】米国特許第4,326,514号(エイアン(Eian))
【特許文献7】米国特許第4,421,719号(バーレイ(Burleigh))
【特許文献8】米国特許第4,530,706号(ジョーンズ(Jones))
【特許文献9】米国特許第4,597,942号(ミースレル(Meathrel))
【特許文献10】米国特許第4,684,380号(Leichnitz)
【特許文献11】米国特許第4,847,594号(ステッター(Stetter))
【特許文献12】米国特許第5,297,544号(メイ(May)ら)
【特許文献13】米国特許第5,323,774(Fehlauer)
【特許文献14】米国特許第5,376,554号(Vo-Dinh(ヴォー・ディン))
【特許文献15】米国特許第5,512,882号(ステッター(Stetter)ら)
【特許文献16】米国特許第5,666,949号(デーべ(Debe)ら‘949)
【特許文献17】米国特許第5,659,296号(デーベ(Debe)ら‘296)
【特許文献18】米国特許第6,375,725 B1号(バーナード)
【特許文献19】米国特許第6,497,756 B1(クラド(Curado)ら)
【特許文献20】米国特許第6,701,864 B2(ワトソン,ジュニア(Watson, Jr.)ら)
【特許文献21】特許出願公開番号US 2004/0135684 A1(スタインサル(Steinthal)ら)
【特許文献22】特許出願公開番号US 2004/0189982 A1(Galarneauら)
【特許文献23】特許出願公開番号US 2004/0223876 A1(キロロス(Kirollos)ら)
【特許文献24】特許出願公開番号US 2005/0188749 A1(カスター(Custer)ら)
【特許文献25】PCT公開特許出願国際公開第2004/057314 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサ及びインジケータに関するが、ESLIには関連しない他の特許及び特許出願としては米国特許第5,611,998号(Aussenegg(オーセネグ)ら)、第5,783,836号(リゥ(Liu)ら)、同6,007,904号(Schowotzerら)、同6,130,748号(クルガー(Krueger)ら)、同6,248,539号(ガディリ(Ghadiri)ら、米国特許出願公開第US 2004/0184948 A1号(ラコウ(Rakow)ら、及び米国法廷発明登録第H1470(ユーイング(Ewing)ら)が挙げられる。
【0005】
上述のセンサ又はインジケータのいくつかは、電子装置及び電力の必要性、望ましくない複雑又は高価な設計、不十分な感度、又はただ1つ若しくは僅かな物質のみへの感度などの欠点を有する。また、いくつかのセンサ又はインジケータは、液体又は蒸気を検出するために使用可能であるとして開示されているが、固体による収着の程度を検出するために有用であるという開示はなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明は、1つの態様では、気体注入口、気体排出口、及び薄膜多層インジケータを含む保護装置であって、
A)前記エンクロージャは、注入口から排出口へと流れる目的の蒸気を吸着することができる、吸着媒体を含み、
B)前記薄膜多層インジケータであって、
i) ii)とiii)との間に位置する、光学的厚さが、前記蒸気の存在で変化する多孔質検出層、
ii)浸透しない、前記エンクロージャの外側から見える半反射層及び、
iii)前記蒸気に対して透過性の反射層、を含み、かつ
C)前記反射層は媒体に十分に近く、その結果、前記媒体の少なくとも一部と前記蒸気の間の適用される蒸気濃度が平衡になると、前記蒸気は、前記媒体から前記反射層を通過して前記検出層に入り、前記検出層の光学的厚さを十分に変えて、前記半反射層を通じて見たときの前記インジケータの外観に視覚的に認識可能な変化を生じることができる、保護装置を提供する。
【0007】
A)エンクロージャを提供する工程であって、
i)前記エンクロージャを通じて流れる目的の蒸気を吸着する吸着媒体を含む空間と、
ii)薄膜多層インジケータであって、
a) b)とc)との間に位置する、光学的厚さが、蒸気の存在で変化する多孔質検出層と、
b)前記エンクロージャの外側から見える、半反射層と、
c)前記蒸気に透過性の反射層、とを含む薄膜多層インジケータとを含むエンクロージャを提供する工程と、
B)媒体の少なくとも一部と前記蒸気の間の適用される蒸気濃度が平衡になると、前記蒸気は、前記反射層から前記検出層を通過して検出層の光学的厚さを十分に変えて、前記半反射層を通じて見たときの前記インジケータの外観に視覚的に認識可能な変化を生じるように、前記エンクロージャ内の前記媒体を、前記反射層に十分近くに配置する工程と、
C)前記エンクロージャを密閉する工程、とを含む、本発明における別の態様での、保護装置を作製する方法。
【0008】
開示される薄膜多層インジケータは、反射層側から透過性であり、半反射層側から認識可能な比色分析変化を提供することができる。これによって、多くの場合使い捨て個人用レスピレータカートリッジに使用される、多孔質炭素媒体などの固体吸着媒体にインジケータが接触するか近位にある一方、溶媒蒸気の検出が可能である。インジケータは、媒体が蒸気と平衡したときに、電力による光源、光学検出器、又はスペクトル分析器を必要とせずに、インジケータの外観において、鮮やかで、容易に視覚的に認識可能な変化(即ち、比色分析の変化)を提供することができる。インジケータは、低コスト、使い易さ、堅牢性、及び多様な目的の蒸気に関する広域スペクトルを含む利点を提供することができる。
【0009】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、上記要約は、請求された主題に関する限定として決して解釈されるべきではなく、主題は、手続処理中に補正され得る添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】薄膜多層サポート終了日インジケータを備えた、交換可能な吸着カートリッジを有する、レスピレータの斜視図。
【図2】図1のレスピレータでの使用のための、炭素を充填した交換可能なカートリッジの部分断面側面図。
【図3】薄膜多層サポート終了日インジケータを備えた、使い捨て個人用呼吸装置の、部分断面斜視図。
【図4】薄膜多層インジケータの概略断面図。
【図5a】穿孔フォトレジストでコーティングされた薄膜多層インジケータ前駆体の概略側面図。
【図5b】穿孔フォトレジストでコーティングされた薄膜多層インジケータ前駆体の概略平面図。
【図6a】アルミニウム反射層がエッチングによって穿孔され、フォトレジストが取り除かれた後の、図5aの前駆体の概略側面図。
【図6b】アルミニウム反射層がエッチングによって穿孔され、フォトレジストが取り除かれた後の、図5bの前駆体の概略平面図。
【図7】様々な吸着媒体の近くに搭載された、開示される薄膜多層インジケータの概略側面図。
【図8】様々な吸着媒体の近くに搭載された、開示される薄膜多層インジケータの概略側面図。
【図9】様々な吸着媒体の近くに搭載された、開示される薄膜多層インジケータの概略側面図。
【図10】様々な薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図11】様々な薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図12】様々な薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図13】アルミニウム反射層及びポリマー検出層を通じてレーザー除去された孔の顕微鏡写真。
【図14】追加の薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図15】追加の薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図16】追加の薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図17】追加の薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図18】薄膜多層インジケータを横断して移動する着色した波面の黒−白レンダリング。
【図19】薄膜多層インジケータを横断して移動する着色した波面の黒−白レンダリング。
【図20】いくつかの蒸気からの負荷への薄膜多層インジケータの反応を示すプロット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明される用語は、次のように定義される。
【0012】
「目的の蒸気」とは、周囲空気(即ち、呼吸する空気)から取り除くことが好ましい有機、又は無機蒸気を意味する。
【0013】
「被検質」は、即ち、化学的、又は生化学的分析において検出される、特定の目的の蒸気、又は他の構成成分を意味する。
【0014】
「光学的に応答性である」とは、物品又は検出層に関して使用された場合、物品又は検出層が、被検質が存在する場合に、光学的厚さ(即ち、物理的厚さ、又は屈折率)、反射率、位相シフト、偏光、複屈折、又は光透過率の変化などの、検出可能な光学特性における応答性の変化を呈することを意味する。
【0015】
「エンクロージャ」とは、中に吸着部材を配置することができるカートリッジ、カプセル、パウチ、格納容器、ハウジング、又は他の構造体を意味し、保存又は輸送のために必要な場合は密封され、後に取り付け及び使用のために開封され、その後に目的の蒸気を吸着するために使用される。
【0016】
「反射性である」とは、層に関して使用された場合、層が可視光線を反射することを意味する。
【0017】
「半反射層」とは、第2反射層と関連し、第2反射層よりも低い反射率と高い光透過性を有し、例えば、干渉色を提供するために第2反射層と離れた関係で使用され得る、第1反射層を意味する。
【0018】
「蒸気透過性である」とは、一方の側が多孔質層と流体連通する反射層に関して使用される場合、反射層のもう一方の側が、1000ppmスチレンモノマー蒸気を含み、20L/分で流れる空気流に15分晒されたとき、十分なスチレンモノマーが反射層を通過して、これによって検出層において光学的に応答性の変化が起こることを意味する。
【0019】
「多孔質」とは、材料に関して使用されるとき、堆積全体を通じて孔の接続網(これは、例えば、開口、隙間空間、又は他のチャネルであってよい)を有することを意味する。
【0020】
「寸法」とは、孔に関して使用されるとき、円形の横断面を有する孔の直径、又は非円形の横断面を有する孔を横断して形成されることがある最も長い横断面の弦の長さを意味する。
【0021】
「ミクロ孔質」とは、材料に関して使用されるとき、材料が多孔質であり、平均孔径が約0.3〜100ナノメートルであることを意味する。
【0022】
「連続的」とは、材料の層に関して使用されるとき、非多孔質であり、蒸気透過性ではないことを意味する。
【0023】
「半連続的」とは、材料の層に関して使用するとき、層が多孔質であり、蒸気透過性であることを意味する。
【0024】
「非連続的」とは、材料の層に関して使用されたとき、層が、所与の平面内で少なくとも2つの分離した別個の材料の島を有し、その間に空間を有するか、又は所与の平面内で、少なくとも2つの分離した別個の空間(湖(lakes))をその間の材料と共に有し、及び層が蒸気透過性であることを意味する。
【0025】
開示される装置は、様々な目的の蒸気を検出するために使用されてもよい。典型的な目的の蒸気としては、水蒸気、気体、及び揮発性有機化学化合物が挙げられる。典型的な有機化学化合物としては、アルカン類、シクロアルカン類、芳香族化合物類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロカーボン類、アミン類、有機酸類、シアン酸類、ニトレート類、及び二トリル類、例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、エチルアセテート、二硫化炭素、四塩化炭素、ベンゼン、スチレン、トルエン、キシレン、メチルクロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、酢酸、2−アミノピリジン、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ニトロメタン、及びアセトニトリル、を含む置換、非置換炭素化合物が挙げられる。
【0026】
図1に関し、個人用レスピレータ1は、1組の交換可能な空気浄化レスピレータカートリッジ3が上部に搭載されるフェースマスク2を含む。カートリッジ3はそれぞれ、図1には示されない吸着材料(例えば、活性炭)のエンクロージャの役割を果たす。各カートリッジ3の前側カバー4は、気体注入口として機能する多数の開口5を含み、周囲空気が外部環境からカートリッジ3へと流入することを可能にし、吸着材料を通過し、カートリッジ3からの気体排出口及びフェースマスク2への注入口として機能する通路(図1には表示されない)を通過する。各カートリッジ3の側壁6は、これを通じてフェースマスク2の着用者が薄膜多層インジケータ8を見ることができる、透明なビューポート(viewing port)7を含む。各インジケータ8は、カートリッジ3の1つ以上の湾曲する領域の周囲を包み、様々な視角からの改善された可視性を提供し、カートリッジ3がレスピレータ1のいずれかの側の上に取り付けられることを可能にすることがある。インジケータ8は光学的に応答性であり、暴露状態で吸着材料が蒸気と平衡になった場合に、視覚的に認識可能な比色分析の変化を経験し、したがって着用者がカートリッジ又はカートリッジ3を交換する時期を認識するのを助ける。呼気は、呼気バルブ9を通じて、レスピレータ1から出る。インジケータは、様々な呼吸の保護装置に使用することが可能である。例えば、インジケータはまた、単一のカートリッジレスピレータ又は動力付き空気浄化レスピレータ内に配備されることもできる。
【0027】
図2は、レスピレータカートリッジ3の部分断面側面図である。所望により、開口部5は、例えば使用前に取り外すことができる、取り外しカバー(図1及び図2に示されない)を使用して、使用まで密封され得る。吸収性材料21の底床は、開口5から排出口23へと通過する目的の蒸気を吸収又は吸着する。ポスト27上に搭載される一方向吸入バルブ25は、呼気がカートリッジ3に入るのを防ぐ。ねじ付きの、又は好ましくは差し込みコネクタ(1つ又は複数)29は、カートリッジ3をマスク2に取り外し可能に連結するために使用され得る。側壁6は、薄膜多層インジケータ8を覆う透明なビューポート7を含む。ポート7は、ビューポート7の近位に位置するインジケータ8の半反射層(図2に表示されない)を通じて周囲光をインジケータ8に入れ込むことができる。所望により、取り外し可能又は交換可能な遮蔽物又は他の被覆(図2に示されない)が、ポート7を、塗料又は泡のスプレーしぶき、ほこり、又は他の掩蔽から保護するために、任意に使用することが可能である。ポート7及びインジケータ8に入る周囲光は、吸着材料21の近位に位置するインジケータ8内の蒸気透過性反射層(図2に表示されない)により、ビューポート7を通じて戻る。インジケータ8の外観の視覚的に認識可能な変化(例えば、緑から赤へなどの色の変化、白若しくは黒から有色へ、又は有色から白若しくは黒へなどの色の出現又は消失、あるいは白から黒へ、又は黒から白へ)が、インジケータ8の下の吸着材料21が、暴露状態で蒸気と平衡になったことを示すとき、カートリッジ3は取り除かれ、新しいカートリッジ3と交換される。蒸気の流路の全長を覆うようにインジケータ8を構成することにより、外観変化(即ち、色の変化)の「フロント」は、吸着材料21を通じ、インジケータ8を超える蒸気の流れと共に進行する。進行する外観変化のフロントは、単にサポート終了日ではなく、むしろカートリッジ3の残存耐用年数を示し(棒ゲージ又は燃料計など)、特に、残存耐用年数が、インジケータ8を超える、空間的に広がる蒸気のフロントの浸透と直線的に比例するために、カートリッジ3を設計するように適切な注意が払われる。あるいは、インジケータ8は、望ましい残存耐用年数のパーセンテージにおいてのみ警告を与えるためだけに、流路の末端部に向かって配置され得る。インジケータ8又はビューポート7は、所望により、インジケータ8の外観における変化の視覚的認識を助けるために、パターン又は参照色を含んでもよい。前述のように、インジケータ8における外観変化は、周囲光の下で視覚的に観察され得る。あるいは、インジケータ8が、発光ダイオード(LED)などの外部光源を使用して照明され、カートリッジ3の周辺に搭載される光検出器を使用して光電子信号をもたらし、評価することができる。周囲光の下で見ても、又は外部光源及び検出器を使用して見ても、化学的検出の幅は、所望によって、様々な方法で増やすことができる。例えば、蒸気流路を横断する小さなインジケータの配列が使用されてもよい。各インジケータは、異なる多孔質検出層材料を含むことができる(例えば、シリカ検出層、プラズマ化学蒸着(「PCVD」)によって適用される検出層、及び固有ミクロ孔質を有するポリマー(「PIMs」)から成る検出層、全て以下で論じられる)。また、一連のインジケータは、一連の異なる化学処理を用いて処理された同じ検出層材料(例えば、シリカ)を含む吸着特性の範囲をもたらすことができる。多孔質シリカは、例えば、孔により高い疎水性特性を付与するために、様々なアルキルシランで処理することが可能である。
【0028】
図3は、部分断面図の使い捨て個人用レスピレータ30を示している。装置30は、例えば、薄膜ESLIを含むように改善された、米国特許6,234,171 B1(スプリンゲット(Springett)ら)に示されるような、使い捨てマスクであることが可能である。装置30は、一般的に、外側カバーウェブ32、吸着粒子33、及び内側カバーウェブ34から構成される、カップ形状のシェル又はレスピレータ本体31を有する。溶接縁部35は、これらの層を保持し、装置30の縁部を超える漏れを低減する、顔の封止領域をもたらす。アルミニウムなどの金属の曲げ易く非常に柔らかい鼻バンド36により、漏れは更に低減される。装置30は、透明のビューポート37、及び吸着粒子33に隣接する薄膜多層インジケータ38を含む。装置30はまた、タブ40によって装置30に締結される、調節可能なヘッド及びネックストラップ39、並びに呼気バルブ41も含む。このようなレスピレータの構成に関する更なる詳細は、当業者に周知である。
【0029】
図4は、透明基材43及び吸着媒体48に隣接する薄膜多層インジケータ42の概略図を示す。インジケータ42は、半反射層44、多孔質検出層45、及び蒸気透過反射層46を含む。媒体48の少なくとも一部と目的の蒸気の間の、適用される蒸気の濃度における平衡化の際、又はその直後に、蒸気は孔47を通じて検出層45に入ることができる。検出層45は好適な材料から構成され、又は好適な構造で構成され、目的の蒸気への暴露の際に、層の光学的厚さは変化する(即ち、増える)。生じる光学的厚さの変化は、インジケータ42の視覚的に知覚可能な外観の変化をもたらす。この変化は、外側から、つまり基材43を通じてインジケータ42を見ることによって観察できる。光線49aによって表される周囲光の一部は、基材43を通過し、光線49bとして半反射層44から反射し、基材43を通じて戻り、次に基材43の外側に出る。周囲光線49aの別の部分は、基材43、半反射層44、及び検出層45を通過し、反射層46から光線49cとして反射する。光線49cは、検出層45、半反射層44、及び基材43を通過して戻り、次に基材43の外を通過する。検出層45に適切な初期又は変化した厚さが選択され、層44及び46が十分に平坦な場合、次に、インジケータ42、並びに光49b及び49cのような光線内で干渉色が作られ、又は破壊され、インジケータ42の外観の視覚的に認識可能な変化が、半反射層44を通じて見たときに明らかになる。したがって、電力付き光源、光学検出器、又はスペクトル分析などの外部機器は、インジケータ42の状態を評価するために必要ではないが、このような外部機器は、所望に応じて使用されてもよい。
【0030】
開示される装置は、様々な吸着媒体を使用してもよい。吸着媒体は、意図される使用条件下に存在すると予想される目的の蒸気を吸着することができる。吸着媒体は、望ましくは空気又は他の気体が滞りなく流れて通過するのを可能にするほど十分に多孔質であり、微粉固体の形状(例えば、粉、ビーズ、フレーク、粒剤、又は粒塊)又は多孔質の固体(例えば、連続気泡)であってもよい。好ましい吸着媒体材料としては、活性炭;アルミニウム及び吸着により目的の蒸気を除去できる他の金属酸化物;粘土並びに、酢酸などの酸性溶液、又は水性酸化ナトリウムなどのアルカリ性溶液;モレキュラーシーブ、及び他のゼオライト;シリカなどの他の無機吸着剤;「スチロソーブ(Styrosorbs)」(例えば、V.A.Dacankov及びP.Tsyurupa、純粋応用化学(Pure and Appl.)、第61巻、pp1881〜89(1989)、並びにL.D.Belyakova、T.I.Schevchenko、V.A.Davankov、及びM.P.Tsyurupa、アドバンスコロイド及び界面科学(Adv. in Colloid and Interface Sci.)、第25巻、pp249〜66、(1986)に記載される)として知られる高度に架橋されたスチレンポリマーなどの超架橋システムを含む有機吸着剤などが挙げられる。活性炭及びアルミニウムは特に好ましい吸着媒体である。例えば、目的の蒸気の混合を吸収するために、吸着媒体の混合物が使用され得る。微粉形状である場合、吸着粒子寸法は、多様に変化することができ、通常、部分的に意図された使用条件に基づいて選択される。一般的な指針として、微粉吸着媒体粒子の寸法は、約4〜約3000マイクロメートル平均直径、例えば約30〜約1500マイクロメートル平均直径の間で変化してよい。異なる寸法範囲を有する吸着媒体粒子の混合物もまた使用されてよい(例えば、吸着媒体粒子の二峰性混合物、又は上流層のより大きな吸着粒子及び下流層のより小さな吸着粒子を使用した多層構成)。例えば、米国特許第3,971,373号(ブラウン(Braun)ら)、同4,208,194号(ネルソン(Nelson))、及び同4,948,639号(ブルーカー(Brooker)ら)、及び米国特許出願公開US 2006/0096911 A1(ブレイ(Brey)ら)などに記載される、好適な結合剤(例えば、結合炭素)と組み合わせた吸着媒体、又は好適な支持体の上部又は内部に捕捉された吸着媒体もまた使用されてよい。
【0031】
インジケータは剛性であってもよく、可撓性であってもよい。可撓性のインジケータは、破断することなく十分に曲げることができ、その結果1つ以上のロール加工工程を使用して作製することができ、例えば、図1に示される吸着媒体エンクロージャの角部の周囲を、必要であれば、使用中に曲げることができる。インジケータは、フィルム、又はバルク接着剤、機械的挿入、熱接着、超音波溶接、及びこれらの組み合わせを含む、様々な技術を使用して、フィルターハウジング又は他の支持体に取り付けることができる。
【0032】
基材は任意であるが、存在する場合は、薄膜インジケータのための好適に透明な支持体を提供することができる、様々な材料であってよい。基材は剛性であってもよく(例えば、ガラス)又は可撓性であってもよい(例えば、1つ以上のロール加工工程で処理されてよいプラスチックフィルム)。好適に透明なプラスチックなどの可撓性の材料で作製される場合、基材が望ましく十分に低い蒸気透過性を有し、これによって目的の蒸気は、半反射層を通じて検出層の内部に、又は外部に透過しない。基材が省略される場合、半反射層はこのような蒸気の透過を妨げる、又は防ぐのに十分なほど不透過性であるべきである。多孔質の基材は、所望により、反射層及び吸着媒体の間に配置されることが可能である。例えば、目的の蒸気は、吸着媒体から透過性基材、及び反射層を通じ、そこから検出層へと入ることが可能である。
【0033】
半反射層及び反射層は、それぞれ、拡散又は好ましい正の光反射をもたらす様々な材料から作製され得、これらは適当に離間したとき協調して、容易に視覚的に知覚可能なインジケータの外観の変化をもたらす。好適な半反射層、及び反射層の材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、シリコン、銀、パラジウム、プラチナ、チタニウム、及びこれらの金属を含む合金;酸化クロム、酸化チタン、及び酸化アルミニウムなどの金属酸化物;並びに米国特許第5,699,188号(ギルバート(Gilbert)ら)、同5,882,774号(ジョンザ(Jonza)ら)、及び同6,049,419号(ウィートリー(Wheatley)ら)、並びに公開済みPCT出願WO 97/01778(アウダーカーク(Ouderkirk)ら)に記載される、(複屈折の多層光学フィルムを含む)多層光学フィルムが挙げられる。反射層、及び半反射層は、同じか、又は異なってよい。「透過性ナノ粒子反射体(PERMEABLE NANOPARTICLE REFLECTOR)」、と題された同時係属中の米国特許出願第11/530,619号に記載されるように、反射層を形成するために、金属ナノ粒子コーティング(例えば、金属ナノ粒子インク)が使用されてもよい。
【0034】
半反射層は、反射層ほど反射せず、いくらかの入射光線を透過する。半反射層は、例えば、約2〜約50nmの物理的厚さ、500nmで約20〜約80%の光透過率、500nmで約80〜約20%の反射率を有してよい。半反射層は、それ自体蒸気に対して不透過性であってよく(その場合、望ましく連続的である)、任意に好適な基材上にコーティングされるか、そうでなければ隣接する。半反射層はまた、蒸気に対して透過性であってもよく(その場合、例えば、非連続的又は半連続的であってよい)、好適に蒸気不透過性の基材上にコーティングされるか、そうでなければ隣接する。検出層に隣接する半反射層の面は、望ましくは約±10nm以内の精度で平坦である。
【0035】
反射層は、例えば、約1〜約500nmの物理的厚さ、500nmで約0〜約80%の光透過率、500nmで約100〜約20%の反射率を有してよい。反射層は好ましくは多孔質、パターン付き、非連続的、半連続的、又は別の方法で十分に透過性であり、これによって蒸気は吸着媒体から、反射層を通じて検出層に入る。望ましい多孔質又は不連続性は、好適な堆積技術を通じて、又は、選択的エッチング、反応性イオンエッチング、若しくはパターン付きレーザーアブレーションなどの適切な後堆積加工を通じて達成される。反射層はまた、上記の同時係属中の米国特許出願第11/530,619号に記載されるように、蒸気透過金属ナノ粒子層を堆積させることによっても形成され、稠密なナノ粒子の蒸気透過層を形成し、ナノ粒子の間の隙間によって孔がもたらされた。所望により、形状、文字、記号、又はメッセージの形で、反射層に断絶が形成されてもよい。これにより、目的の蒸気への暴露の際に認識可能なパターンが現れ、又は消えることができる。見る人は、このようなパターンの色の対照的な色を認識する方が、インジケータフィルム全体における比色分析の変化を認識するよりも容易であると感じることがある。
【0036】
検出層の混合物は、均質、又は不均質であってよく、例えば、無機化合物の混合物、有機化合物の混合物、又は無機及び有機化合物の混合物から作製することが可能である。構成成分の混合物から作製される検出層は、被検質群の改善された検出をもたらすことがある。検出層は、望ましくは、吸着媒体の蒸気収着特性と同様な、蒸気収着特性をもたらすように選択された、孔径、又は表面積の範囲を有する。好適な多孔性は、米国特許第6,573,305 B1号(タンホースト(Thunhorst)ら)に記載されるものなどのような、高内相エマルションから作製されるフォームなどの多孔質の材料を使用して得ることができる。多孔性はまた、ミクロ孔質材料を作製するために二酸化炭素のフォーミングを介して(「Macromolecules」、2001、34巻、pp.8792〜8801を参照)又はポリマーブレンドのナノ相分離(「Science」、1999、283巻、p520参照)によって得ることもできる。一般的に、孔の直径は、好ましくは、望ましいインジケータ着色のピーク波長よりも小さい。例えば約0.5〜約20nm、0.5〜約10nm、0.5〜約5nmの平均孔径のナノサイズの孔が好ましい。
【0037】
典型的な無機検出層材料としては、光学的干渉によって色、又は比色分析の変化を生じるために適当な厚さの、透明及び多孔質の層に形成され得る多孔質シリカ、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又は他の無機材料を含む。例えば、無機検出層材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、ゼオライト、又はこれらの組み合わせであってもよい。多孔質シリカは、堅牢性及び湿式エッチング処理との適合性のために、特に望ましい無機検出層材料である。
【0038】
多孔質シリカは、例えば、ゾルゲルプロセス法を用いて調製することができ、有機テンプレートを用いて、又は用いずに調製できる。代表的な有機テンプレートとしては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩などのアニオン性又は非イオン性界面活性剤、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)ブロックコポリマー及び他の界面活性剤又は又は当業者に明らかなポリマーが挙げられる。ゾルゲル混合物は、ケイ酸塩に変えてもよく、有機テンプレートは取り除かれてシリカ内の網状組織をミクロ孔質のままにしてもよい。典型的な多孔質シリカ材料は、オガワ(Ogawa)ら、Chem.Commun.、pp1149〜1150、クレスジ(Kresge)ら、Nature、359巻、pp710〜712(1992)、ジア(Jia)ら、Chemistry Letters、33(2)巻、202〜203(2004)、及び米国特許第5,858,457号(ブリンカー(Brinker)ら)に記載されている。様々な有機分子もまた、有機テンプレートとして使用することができる。例えば、グルコース及びマンノースなどの糖類が、多孔質シリケートを生成するための有機テンプレートとして使用されてもよい(ウェイ(Wei)ら、Adv.Mater.、10巻、p313(1998)を参照)。有機置換シロキサン又は有機−ビス−シロキサンがゾルゲル組成物に含まれて、ミクロ孔質をより疎水性にし、水蒸気の収着を制限してもよい。プラズマ化学蒸着もまた、多孔質無機検出材料を生成するのに使用され得る。この方法論は一般的に、ガス状前駆体からプラズマを形成し、プラズマを基材上に堆積して非晶質ランダム共有結合網状層を形成し、次に非晶質ランダム共有結合網状層を加熱して、ミクロ孔質非晶質ランダム共有結合網状層を形成することによって被検質検出層を形成する工程を含む。このような材料の例は、米国特許第6,312,793号(グリル(Grill)ら)及び米国特許出願番号第11/275,277号、2005年12月21日出願、発明の名称「プラズマ堆積多孔質被検質検出層(PLASMA DEPOSITED MICROPOROUS ANALYTE DETECTION LAYER)」に記載される。
【0039】
典型的な有機検出層材料としては、疎水性のアクリレート及びメタクリレート、二官能性モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、及びこれらの混合物又は組み合わせを含むモノマーのクラスから調製される、又は調製することができるポリマー、コポリマー(ブロックコポリマーを含む)、並びにこれらの混合物が挙げられる。上述の米国特許出願公開第US 2004/0184948 A1号は、このようなモノマーの広範な一覧表を含み、更なる詳細に関する参照が付される。固有ミクロ孔質を有する上述のポリマー(PIMs)は、特に望ましい検出層を提供する。PIMsは、典型的には、ミクロ孔質の固体を形成する非網状ポリマーである。これらの典型的に、高度に剛性で回旋状の分子構造のために、PIMsは、空間を有効に満たすことができず、したがって開示されるミクロ構造を提供する。好適なPIMsとしては、バッド(Budd)らの「固有ミクロ孔質のポリマー(PIMs):堅牢で、溶解処理可能な、有機ミクロ孔質材料(Polymers of intrinsic microporosity(PIMs): robust, solution-processable, organic microporous materials)」(Chem.Commun.2004、pp230〜231)が挙げられるが、これに限らない。PIMsは更にバッド(Budd)ら(ジャーナルオブマテリアルズケミストリー(J. Mater.Chem.)、2005、15、pp.1977〜1986)、マキューン(McKeown)ら(Chem.Eur.J.2005、11、9巻、2610〜2620)、及びPCT国際公開特許WO2005/012397 A2(マキューン(McKeown)ら)に開示される。
【0040】
有機検出層内の1つ以上のポリマーは、少なくとも部分的に架橋されていてよい。機械的安定性及び、一定の被検質に対する感度を向上するため、いくつかの実施形態では、架橋は望ましい。架橋は、1つ以上の多官能性モノマーを検出層に組み込むこと、検出層を、例えば電子ビーム若しくはγ線処理にかけること、検出層に配位化合物、又はイオン化合物を加えること若しくは形成すること、又は検出層に水素結合を形成すること、により達成することができる。1つの代表的な実施形態では、その後多孔質検出層を生成するために、架橋系から抽出されてもよい、ポロゲンの存在下で実行される。好適なポロゲンとしては、直鎖アルカン(例えば、デカン)又は芳香族(例えば、ベンゼン又はトルエン)などの、不活性有機分子が挙げられるが、これらに限定されない。他の架橋ポリマーとしては、上述の、高度に架橋されたスチレンポリマーが挙げられる。
【0041】
所望により、検出層材料は、その表面特性又は吸着特性を変性するために処理されてもよい。無機検出層のミクロ孔質を、好適なオルガノシラン化合物に暴露することなどにより、様々なこのような処理を使用することが可能である。検出層も、あるいは代わりに、好適な接着促進材料(例えば、チタニウム又は別の好適な金属から作製される連結層)と共に処理され、半反射層又は反射層及び検出層の間の接着を促進することが可能である。このような処理はまた、検出層との接着を促進するために、半反射層又は反射層にも施されてよい。
【0042】
多くの用途において、検出層は望ましく疎水性である。これは、水蒸気(又は液体水)が、検出層の光学的厚さを変化させ、例えば有機溶媒蒸気の検出など、被検質の検出を妨げる可能性を低減する。
【0043】
検出層は、単一の層又は2つ以上の副層から作製されてもよい。副層は、様々な構成を有してよい。例えば、これらは積み重ねられてもよく、又は横並びに構成されてもよい。副層は、目的の異なる蒸気を吸収するために選択される異なる材料で作製されてもよい。層又は一連の副層の1つは、非連続であるか、又はパターン付きであってもよい。パターンは、被検質に暴露する際に、色の付いた画像、言葉、又はメッセージを作ること、あるいは取り除くことが可能で、これによってユーザーにとって容易に識別可能な警告をもたらす。層又は副層は、特定の被検質に対して反応性の1つ以上の部分を、並びに同じ被検質に対して非反応性の1つ以上の部分を提供することによって形成することが可能である。例えば、被検質が吸収されるまで、光学上の厚さにおいて見かけ上の差がないほど十分に薄いパターンつきの層を作製することにより、反応性材料のパターンもまた、より大きな非反応性副層上に堆積することができる。米国特許番号第6,010,751号に記載されるように、検出層の厚さもまた、パターン付きであってよい。これは、パターンが消える(例えば、より薄い一部がより厚い一部と同じ厚さまで膨張する場合)のを、又は現れる(例えば、一部が隣接する一部を下回る厚さまで収縮する場合)のを可能にする。
【0044】
開示される装置は、所望に応じ、追加の層、又は要素を含んでもよい。例えば、吸着剤充填コンポジットの多孔質層(例えば、上記の米国特許第4,208,194号などに記載されるフィブリル化されたPTFEのマトリックスに含まれる、活性炭粒子のウェブ)が、反射層と吸着媒体との間に配置されてインジケータ内に浸透する蒸気を均質化するか、ないしは別の方法で吸着媒体における状態に対するインジケータの反応を和らげる。
【0045】
開示される装置は、有機蒸気レスピレータ、動力付き空気浄化レスピレータ(PAPRs)、防護服、集合保護フィルター(collective protection filter)、及び当業者には周知の他の用途を含む、様々な用途に使用されてよい。
【0046】
本発明は、以下の具体的実施例において更に例示されるが、その中での全ての部及びパーセンテージは、他に指示がない限り重量基準である。以下表1に示される略語は、いくつかの実施例で使用された。
【0047】
【表1】
【実施例】
【0048】
(実施例1)
不透過性の半反射層、多孔質シリカ検出層、及び蒸気透過性反射層を含む多層フィルムインジケータは以下のように調製された。ガラススライドは最初に、AuPd(60:40Au/Pd質量比)ターゲットを備えたデントン・バキューム・デスクII(Denton Vacuum Desk II)スパッタコーターを使用してスパッタコーティングされ、およそ5nm厚さの半反射層を提供した。スパッタコーティング電力及び、コーティング持続時間は、13.3Pa(100ミリトール)の真空下で、それぞれ、35ミリアンペア、及び20秒であった。多孔質フィルムは、ゾルゲル溶液ディップコーティングによって、半反射層上に堆積された。シリカゾルは、2段階の加水分解プロセスを使用して調製された。段階1では、231.6部のテトラエトキシラン、195.2部の無水エタノール、17.28部の脱イオン水、及び0.715部の0.007NのHCLが容器の中で混合され、攪拌されると同時に60℃で90分間加熱されてシリカゾルを形成した。段階2では、122.97部の、段階1のシリカゾル、17.50部の0.07NのHCL及び5.75部の脱イオン水がビーカー中で混合され、外部から加熱することなく15分間攪拌された。結果として得られるゾルゲル溶液は、更に15分間攪拌されると同時に50℃で加熱され、次に263.32部の無水エタノールで希釈された。エチルセルロースを組み込むコーティング溶液は、25.25部の段階2のゾルゲル溶液、25.00部のイソプロピルアルコール、及び1.71部のETHOCEL(商標)の標準20プレミアム(Standard 20 Premium)エチルセルロース(ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company))を混合し、蓋付き容器内で一晩(16時間)攪拌し、エチルセルロースを完全に溶解することによって調製された。
【0049】
AuPdコーティングガラススライドは、コーティング工程中の結露を防ぐために、30%より低い相対湿度に維持されたエンクロージャ内で、10cm/分の引き抜き速度を用い、コーティング溶液中でディップコーティングされた。これはゾルゲルコーティングをスライドの両面に適用した。コーティングは透明であったため、これは両方の面上に留まり、一方の面上のコーティングが多孔質検出層を作るために使用され、他方の面上のコーティングが最終的な表示面上に存在することが可能であった。コーティングされた試料を、湿度が制御されたエンクロージャで、2分間乾燥させた。コーティングされたスライドは、次にベルト炉内にて30分間の加熱サイクルを用いて400℃で加熱された(11分間の熱上昇時間、400℃で8分間の維持時間、及び11分間の冷却時間を含む)。有機物の完全な脱水及び熱分解を確認するために、スライドは、空気雰囲気の箱型炉内で、2時間の400℃までの加熱時間、400℃の1時間の維持時間、及び空気雰囲気に戻すための10時間の冷却時間を含む、13時間の加熱サイクルを使用して再加熱された。スライドの一方の面上のシリカ層は次に、0.0013Pa(1×10−5トール)の基本圧力で動作する、CHAインダストリーズ(CHA Industries)のマーク50(Mark 50)蒸発コーター、並びにチタニウム層にはT−2003号99.995%純粋真空蒸着等級6mm×6mmペレット(セラック社(Cerac, Inc.)より)、及びアルミニウム層にはA−2049、99.99%純粋真空蒸着等級6mm×6mmペレット(これもまたセラック社(Cerac, Inc.)より)を使用して、10nm厚さのTi連結層、及び100nm厚さのアルミニウム反射層でコーティングされた。
【0050】
アルミニウム反射層を蒸気透過性にするために、湿潤化学エッチングによるフォトリソグラフィ方法が使用された。ヘキサメチルジシラザン接着促進剤(J.T.ベーカー(J. T.Baker)より)がアルミニウム層上に2500rpmでスピンコーティングされ、続いてPR 1813ポジ型フォトレジスト(シプレイL.L.C(Shipley, LLC))のスピンコーティングされた層は、4000rpmで適用され、1.3マイクロメートル厚さのフィルムをもたらした。フォトレジストは、96℃で30分間ベーキングされ、次にフォトマスクを通じ、14mW/m2の紫外線強度で、スライドの2区域に渡って、紫外線に9秒間露光された。第1区域では、10マイクロメートルのピッチで離間した3マイクロメートルの規則的な配列を有する、低エッチフォトマスク(low etch photomask)を使用した。第2区域では、5マイクロメートルのピッチで離間した3マイクロメートルの規則的な配列を有する、高エッチフォトマスク(high etch photomask)を使用した。光への露光の後、スライドは、MF319現像液(これもまたシプレイ社L.L.C(Shipley, LLC)より)に45秒間浸漬され、次に120℃で30分間ハードベーキング(hardbaked)された。現像液は、照射された孔の領域で、ポジ型フォトレジストを除去し、図5a及び図5bに示されるような、物品50をもたらし、ここで52は最終的な薄膜多層インジケータを示し、53は52がこれを通じて見えるガラス基材を示し、54は、Au/Pd半反射層を示し、55は多孔質シリカ検出層を示し、56は、アルミニウム反射層を示し、57はフォトレジスト58中の孔を示す。
【0051】
アルミニウム層56の湿式エッチングは、500ミリリットルの濃縮されたH3PO4、19.4ミリリットルの凝縮されたHNO3、96.8ミリリットルの凝縮された酢酸、32.2ミリリットルのH2O、及び0.6ミリリットルのエチレングリコールを混合して作製される酸性エッチング溶液を用いて、32℃で90秒間実行された。エッチングされたフィルムは、脱イオン水で直ちに洗浄された。Ti層は次に、100ミリリットルの0.1 M EDTA、8ミリリットルの濃縮されたNH4OH及び20ミリリットルの30%H2O2を混合して作製される塩基性エッチング溶液を使用してエッチングされた。エッチングされたフィルムは再び、脱イオン水中で直ちに洗浄された。最後に、残ったフォトレジスト58は、アルミニウム層56を1165リムーバー(これもまたシプレイ社L.L.C(Shipley, LLC)より)を使用して、アルミニウム層56から剥し、図6a及び図6bに示されるような、完成した薄膜多層インジケータ60を提供し、ここで66は蒸気透過性アルミニウム反射層を示し、67は、アルミニウム層66内の孔を示す。
【0052】
(実施例2)
実施例1の薄膜インジケータ60は、3つの異なる蒸気の通路を用いて、評価された。第1蒸気通路は、図7に示される。有機蒸気を含有する空気流72が、ガラス基材53の上で、インジケータ60を横切って流れた。蒸気透過性アルミニウム反射層66に対して配置される、不織布カーボン紙74の小さな断片により、空気流72の有機蒸気の通路が、多孔質シリカ検出層55に到達することが可能になった。光源77からの光線76などの入射光線が、半反射層54によって第1の反射光線78として反射され、アルミニウム層66によって、第2の反射光線78bとして反射された。第2の蒸気通路は図8に示される。図8は図7と似ているが、有機蒸気を含有する空気流72が、蒸気透過性のアルミニウム反射層66に対して配置されたガラスウール84の断片を通じ、多孔質シリカ検出層55に到達した。第3の蒸気通路は図9に示されている。図9は、図7及び図8と似ているが、有機蒸気を含有する空気流72は、可撓性でミクロ孔質の、炭素充填不織布ウェブ94を通じて多孔質シリカ検出層55に到達した。ウェブ94は、約500g/m2(有効炭素密度約0.22g/ccに対応する)の、ココナツの殻から得られる40×140メッシュ活性炭顆粒(パシフィック・アクチベーティッド・カーボン社(Pacific Activated Carbon Co.)より)を含み、これは、米国特許出願公開第US2006/0096911 A1(ブレイ(Brey)ら)に記載される通りに調製される、IROGRAN(商標)PS440−200熱可塑性ポリウレタンから作製される弾性繊維ウェブ全体を通じて分散された。サンプルスペクトルは、白色光源、光ファイバー反射プローブ、及びスペクトロメーターを使用して観察された。図10は、各蒸気通路におけるppmトルエン負荷との対比における波長シフトのプロットを示し、図7、図8、及び図9に示される蒸気通路にそれぞれ対応する曲線A、B、及びCを有する。図10に示されるように、3つの蒸気通路全てが、所与のトルエン負荷レベルにおいて、同様の波長シフトを示した。曲線Cはまた、インジケータ60が、ミクロ孔質の炭素充填ウェブと吸着の競争関係にある場合でもその性能を維持することも示している。
【0053】
所望により、薄膜インジケータ60は、発光ダイオード(LED)などの外部光源を使用して照明され得、また、光検出器を使用して評価され得る。図11は、波長の関数として、薄膜インジケータ60の、50ppm(曲線B)及び2000ppm(曲線C)トルエンにおけるトルエン蒸気に対する初期反応(曲線A)を測定することにより作製される、捕捉されたサンプルスペクトルを示す。図12は、図11の得られた試料スペクトルと、LEDスペクトルのガウス近似を掛け、適した光検出器を使用して測定される光強度(任意の単位で)の変化を算定することによって得られるシミュレーションを示す。検出器が受ける信号(例えば、PN、PIN、又はLEDの波長に適合するように選択される分光応答度を有するアバランシェフォトダイオード)は、LED/サンプルスペクトルを結合することによって決定される。初期信号(図11、及び図12の曲線A)は緑LEDで512カウントに正規化され、青LEDの検出された信号は、50ppmトルエンへの暴露において、21任意単位で減少し、およそ5:1の信号:ノイズ(S/N)比が、標準的なコンポーネントを使用して得られる。S/N比は、より厚いシリカ層をインジケータ内に組み込むことによって更に改善され、初期サンプルスペクトルを狭めることができる。全体的な薄膜インジケータの厚さの変化はまた、LEDスペクトル出力に関するピークシフトポジションの最適化のためになされてもよい。図11及び図12の曲線Cは、2000ppmトルエンで、予測された反応を示した。
【0054】
以下に示される実施例では、センサの特性における変化を測定するために、光源及びスペクトロメーターが使用された。しかしながら、開示されたインジケータは、周囲照明下で容易に見られ得ることが理解される。
【0055】
(実施例3)
薄膜インジケータは、検出層として固有ミクロ孔質のポリマー(PIMs)を、反射層及び検出層に孔を空けるためにレーザーを使用する。
【0056】
PIMポリマーの調製。PIMポリマーは、一般的に、アドバンストマテリアルズ(Advanced Materials)、2004、16巻、第5号、pp456〜459の中でバッド(Budd)らによって報告される手続きに従って、モノマーBC及びモノマーFAから調製した。9.0グラムのBCを、5.28gのFA、18.0gの炭酸カリウム、及び120ミリリットルのDMFと混合し、混合物を、70℃で24時間反応させた。得られたポリマーを、THF内に融解し、メタノールから3回沈殿させ、次に、室温の真空下で乾燥させた。61,800の分子量(Mw)を有する黄色い固体の生成物が得られた。
【0057】
レーザー処理された孔を有するPIMサンプル。ガラススライドは、Au/Pd質量比60:40を有するAuPdターゲットを備えた、デントン(DENTON)(商標)バキュームデスクII(デントンバキューム社(Denton Vacuum))のスパッタコーターを使用して、Au/Pdの5nm厚さの層でスパッタコーティングした。スパッタコーティング電力及びコーティング持続時間は、13.3Pa(100ミリトール)の真空下で、それぞれ、35ミリアンペア、及び20秒であった。PIMポリマーは次に、Au/Pd層に3,000rpmでコーティングされる、クロロベンゼン中に上記のPIMポリマーを有する4%の溶液を使用して、Au/Pd層上にスピンコーティングされた。100nm厚さのアルミニウム層は次に、0.0013Pa(1×10−5トール)の基本圧力で動作する、CHAインダストリーズ(CHA Industries)からのマーク−50(Mark-50)蒸発コーター、及びセラック社(Cerac Inc)から入手される6×6mmペレット形状の金属ターゲットを使用して、PIMポリマーに堆積された。サンプルは次に、フェムト秒機械加工を用いてレーザー切除され、アルミニウム及びPIMポリマー層を通じて円錐の孔の配列を作った。アルミニウム層に近接する穴径は、およそ13マイクロメートルであり、Au/Pd層付近では、約5マイクロメートルまで狭まっていた。レーザー切除された孔(測定値データがより容易に見えるように、明るくされている)の写真が、図13に示されている。
【0058】
有機蒸気の吸着に関して、得られた薄膜フィルムインジケータの、ミクロ孔質炭素と競う能力を評価するため、インジケータを、実施例2のミクロ孔質炭素充填ウェブの小断片上に配置し、蒸気透過性アルミニウム反射層は、ウェブ及びそのミクロ孔質炭素に接触した。炭素充填BMFウェブは、ココナツの殻から得られる40×140メッシュ活性炭顆粒(パシフィック・アクチベーティッド・カーボン社(Pacific Activated Carbon Co.)より)を含み、これは、米国特許出願公開第US 2006/0096911 A1(ブレイ(Brey)ら)に記載される通りに調製される、ISOGRAN(商標)PS440−200熱可塑性ポリウレタンから作製される弾性繊維ウェブ全体を通じて分散された。繊維ウェブは、約0.22g/cm3の炭素密度に対応し、17マイクロメートル有効繊維直径、及び500g/m2炭素含有濃度を有した。32L/分で流れる1000ppmのシクロヘキサンと均衡するとき、この不織布ウェブ層の炭素は、炭素1g当たり約0.21gのシクロヘキサンを吸着する。トルエン蒸気が炭素充填層を通過し、インジケータを越える間、インジケータは照明され、スペクトロメーター及び光ファイバー反射プローブを使用して、ガラス基材を通じて観測された。図14に示されるように、曲線A及び曲線Bはそれぞれ、初期信号及び50ppmトルエンでの信号を表しており、約27nmのピーク信号波長シフトが観測された。これは、PIMポリマー検出層が、ミクロ孔質炭素の熱力学的競争下に置かれたときに、その吸着機能性を維持したことを示した。
【0059】
(実施例4)
薄膜フィルムインジケータは、検出層として固有ミクロ孔質のポリマー(PIMs)、Au/Pd半反射層、及び銀ナノ粒子反射層を使用して調製された。実施例3の方法を使用し、ガラススライドは、Au/Pdの5nmの層でスパッタコーティングされ、続いてAu/Pd層上へとPIMポリマーの層をスピンコーティング(750rpm)した。次に、銀ナノ粒子懸濁液をPIMポリマー層へと適用することにより、2つの異なるインジケータが調製された。ハリマ社(Harima Corporation)からのNPS−J銀ナノ粒子懸濁液(テトラデカン内で60%)を使用して、インジケータAが調製された。粒子の、透過電子顕微鏡(TEM)分析は、直径において、およそ2〜10nmの寸法分布を示した。0.08gの量の、受領したままのナノ粒子懸濁液は、2ミリリットルのヘプタンと混合されて、約3.3%の銀を含有する、希釈された懸濁液をもたらした。希釈された懸濁液は、PIMフィルムに500rpmでスピンコーティングされ、500nmにおいて、100nm厚さのアルミニウム参照層に対して約62%の反射率を有する蒸気透過性反射層をもたらした。インジケータBは、日本ペイント社(Nippon Paint Corporation)(アメリカ)からのSVE 102銀ナノ粒子懸濁液(エタノール中において30%、30nm平均粒径)を使用して調製された。0.7gの量の受領したままの懸濁液が、2ミリリットルのエタノールと混合され、約9.1%の銀を含有する希釈された懸濁液をもたらした。希釈された懸濁液は、PIMフィルムに1000rpmでスピンコーティングされ、500nmにおいて、100nmの厚さのアルミニウム参照層に対して約70%の反射率を有する蒸気透過性反射層をもたらした。
【0060】
インジケータは、実施例3の方法を使用して評価され、有機蒸気の吸着に関してミクロ孔質の炭素と競争する能力を判断した。図15において、曲線A及び曲線Bはそれぞれ、インジケータAの初期信号及び50ppmトルエンにおける信号を表している。同様に、図16において、曲線A及び曲線Bはそれぞれ、インジケータBの初期信号及び50ppmトルエンにおける信号を表している。インジケータAは、50ppmトルエンの負荷を受けたとき、約20nmのピーク信号波長シフト(約564nm〜約584nm)を呈した。インジケータBは、50ppmトルエンの負荷を受けたとき、約17nmのピーク信号波長シフト(約544nm〜約561nm)を呈した。インジケータA及びインジケータBの双方は、ミクロ孔質炭素との熱力学的な競争下に置かれたとき、吸着機能性を維持した。
【0061】
(実施例5)
実施例3の方法を使用して、PIMポリマーは、モノマーBC及びFAから調製された。実施例3の方法を使用して、1mm厚さのガラススライドは、Au/Pdの5nm厚さの層で、スパッタコーティングされ、続いてPIMポリマーの層が、Au/Pd層に(1500rpmで)スピンコーティングされた。実施例4の方法を使用し(インジケータB)、希釈されたSVE 102銀ナノ粒子懸濁液がPIMフィルムにスピンコーティングされ、蒸気透過性ナノ粒子反射層をもたらした。生じる薄膜インジケータは、ガラススライドを通して視覚的に観察したときに、黄緑色の外観を有した。ダイマックス社(Dymax Corporation)からの、ダイマックス(DYMAX)(商標)OP−4−20641A号UV硬化性光学接着剤を使用して、インジケータを透明なポリカーボネート樹脂から作製した濾過カートリッジの内部側壁に接着し、蒸気透過性ナノ粒子反射層は、カートリッジの内側に面した。カートリッジは、45.7gの活性炭吸着剤で充填された。インジケータ/吸着剤の基底界面に十分な蒸気の流れを確保するため、インジケータのすぐ上及び上流のカートリッジカバーに、いくつかの小さな孔が空けられた。カートリッジは、64L/分で流れる、乾燥した空気(RH3%未満)中の50ppmトルエンを使用して負荷された。インジケータは、ポリカーボネートカートリッジを通じ、基底深さの50〜60%で、1mm未満の照明領域直径を有する光ファイバー反射プローブ及び海洋光学スペクトロメーターを使用して観察された。トルエン負荷開始から6〜16時間後、インジケータは、合計で14nmの、緩やかな着色の赤方偏移を呈する。カートリッジ内のインジケータの位置を考慮すると、インジケータの反応のタイミング及び大きさは、カートリッジ排出口に配置される、RAEシステム社(RAE Systems Inc.)からの、MULTIRAE(商標)IR光イオン化検知器(photo-ionization detector)を使用して得られる、別々に回収される濃度データと一致する。インジケータデータ及びIR光イオン化検知器データは、図17にプロットされた。
【0062】
第2カートリッジは、同じ方法で組み立てられ、64L/分で流れる乾燥した空気(3%RH未満)で500ppmのスチレンが負荷された。デジタルブルー社(Digital Blue Corporation)からのQX5(商標)コンピュータ顕微鏡が、インジケータが観察されたときに、最初に緑色に見えるように角度を調節され、スチレン蒸気を負荷されたときの、インジケータの外観を記録するために使用される。負荷が進むにつれ、インジケータの最初の緑色の着色は、カートリッジの注入口から、その排出口に向かって移動する変色フロント(color change front)に沿って、オレンジ色に変化した。最初の緑色の着色のRGBヒストグラムの結果は、平均値r=145、g=191、及びb=121になった。インジケータが、緑色からオレンジ色に変化することによってスチレンに反応した後の、ヒストグラム値は、r=208、g=179、及びb=127であった。図18は、実験の途中の、インジケータの色の白黒レンダリングを示し、蒸気の波面進行(wavefront progression)及び外観を例示している。緑色及びオレンジ色の可視部分は、文字G及びOで確認され、波面は文字Wで確認され、スチレンの流れ方向は文字Sで確認される。
【0063】
(実施例6)
実施例3の方法を使用して、PIMポリマーは、モノマーBC及びFAから調製された。0.0013Pa(1×10−5トール)の基本圧力で動作する、CHAインダストリーズ(CHA Industries)「マーク50(Mark 50)」蒸発器及びT−2003号チタニウムペレット(99.995%の純度、6mm×6mm(セラック社(Cerac, Inc.)より)を使用し、洗浄されたガラススライドは、10nm厚さの半反射Ti層によって金属化された。クロロベンゼン中にPIMポリマーを有する4%の溶液が、Ti層上に、1000rpmでスピンコーティングされた。実施例4の方法(インジケータB)を使用し、希釈されたSVE 102銀ナノ粒子懸濁液がPIMフィルムにスピンコーティングされ、蒸気透過性の反射層をもたらした。銀の堆積の後に、フィルムサンプルは、150℃で、空気中で1時間に渡って加熱された。得られた薄膜インジケータは、ガラススライドを通して視覚的に観察されたとき、緑色の外観を有した。インジケータを追加のガラススライド層に接着するために、ダイマックス(DYMAX)(商標)からの、OP−4−20641A号UV硬化性光学接着剤が使用された。得られたガラススライドの積み重ね体は、透明なポリカーボネートプラスチックから作製される濾過カートリッジの内部側壁に接着された。次に、米国特許第4,153,661号(リー(Ree)ら)及び米国特許第4,208,194号の実施例1に記載されるような方法を使用し、水性ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)粒子分散物と、粉末状の活性炭粒子を混合することによって生地が形成される。生地は、挽かれ、乾燥されるが、カレンダリングされず、フィブリル化されたPIFEのマトリックス中に定置される、活性炭粒子の複合ウェブをもたらした。炭素複合ウェブの層は、ガラススライド積み重ね体の上端部に取り付けられ、折り畳まれて、多孔質ナノ粒子反射層を覆う。残った濾過カートリッジ容積は、次に45.8gの活性炭吸着剤を充填された。インジケータ/吸着剤の基底界面に十分な蒸気の流れを確保するため、インジケータのすぐ上及び上流のカートリッジカバーに、いくつかの小さな孔が空けられた。カートリッジは、流速32L/分の乾燥した空気(3%RH未満)中の200ppmスチレンを負荷された。周囲照明を使用し、トレンドネット(TRENDnet)(商標)モデルTV−IP201Wワイヤレスカメラ(トレンドネット社(TRENDnet Company)より)が、インジケータが観察されたときに、最初に緑色に見えるように角度を調節され、スチレン蒸気を負荷されたときの、インジケータの外観を記録するために使用される。実験が進むと共に、インジケータの色は、最初の緑色から、濃い赤に変わり、色の変化は最初に濾過カートリッジの注入口付近に現れ、カートリッジの排出口に向かって移動した。蒸気の流れが止まったとき、波面はわずかにぼやけたが、カートリッジの排出口に近づきも、遠ざかりもしなかった。最初の緑色のRGBヒストグラムの結果は、平均値r=30、g=99、及びb=51となった。インジケータが、緑色から赤色に変化することによってスチレンに反応した後の、ヒストグラム値は、r=97、g=56、及びb=66であった。図19は、実験の途中のインジケータの色の白黒レンダリングを示し、蒸気の波面進行(wavefront progression)及び外観を例示している。炭素吸着剤は、文字Cで確認され、緑色及び赤色の可視部分は、文字G及びOで確認され、波面は、文字Wで確認され、スチレンの流れ方向は、文字Sで確認される。波面は、図18のインジケータ及び吸着媒体の間に炭素複合ウェブを含まない濾過カートリッジを含んだ波面よりも著しく均一である。
【0064】
(実施例7)
実施例6の方法を使用し、10nm厚さのチタニウム半反射層は、蒸発によって洗浄されたガラススライド上にコーティングされた。Tiコーティングガラススライドは、次に平面電極上に取り付けられた。次に電極が、ルーツブロアー(Roots blower)及び乾燥機械式ポンプと直列のターボ分子ポンプを備えた、アルミニウム真空チャンバーの中に取り付けられた。チャンバーは閉じられ、基本圧力の0.067Pa(0.0005トール)まで減圧された。テトラメチルシラン、酸素、及びブタジエンの気体の混合物がそれぞれ、毎分100立方センチメートル(sccm)、100sccm、及び160sccmの流速でチャンバーに導入された。モデルAMN3000インピーダンス整合ネットワーク(プラズマサーム社(PlasmaTherm Inc.)から)を通して動作するモデルRF50Sの高周波電源(RFパワープロダクツ(RF Power Products)から)を使用して、平面電極に電力を供給することによりプラズマが形成された。プラズマが動作する間、供給される電力は75ワットに維持され、チャンバーの圧力は4.93Pa(37mTorr)に維持された。0.768マイクロメートル厚さを有する、プラズマを堆積した有機薄膜を生成するために、堆積は14分間実行された。プラズマを堆積された薄膜は、真空炉で450℃の温度にて1時間アニールされ、チタン半反射層上にミクロ孔質薄膜検出層をもたらした。0.0475gの量のシルバーナノインク(SILVER NANOINK)(商標)メタノール中の銀ナノ粒子スラリー(LotSAg031027W、韓国のアドバンストナノプロダクツ(Advanced Nano Products)社から)が、追加の2ミリリットルのメタノールによって希釈され、希釈された懸濁液をもたらし、これは、薄膜検出層上に1500rpmでスピンコーティングされた。得られたスピンコーティングされた銀ナノ粒子層は、乾燥され、薄膜検出層上に蒸気透過性薄膜銀ナノ粒子反射層を生成した。
【0065】
得られたインジケータの、有機蒸気の吸着に関してミクロ孔質炭素と競争する能力を評価するため、インジケータは、実施例6で使用された炭素複合ウェブの小断片上に配置され、透過性反射層は、炭素複合ウェブと接触した。スペクトロメーター及び光ファイバー反射プローブを使用し、ガラス基材を通してインジケータの外観が観察され、センサの色合いを評価した。センサは、炭素複合ウェブを通過する、トルエン、メチルエチルケトン、及びエチルベンゼンの蒸気ストリームに暴露された。トルエン及びメチルエチルケトンストリームは、5%未満の相対湿度に維持され、エチルベンゼンストリームは、82%の相対質量に維持された。図20に結果が示され、ここで、曲線A、C、及びDはそれぞれ、観測された波長シフトとの対比における、メチルエチルケトン、トルエン、及びエチルベンゼン蒸気の濃度を示しており、ここで、曲線Bは、炭素複合ウェブが使用されなかった場合の、観測された波長シフトとの対比におけるトルエン蒸気の濃度を示している。図20における結果は、開示されるインジケータが、200ppm蒸気密度において、約6〜16nmの波長シフトを、2000ppm蒸気密度において、約12〜21nmの波長シフトを呈したことを示している。曲線B及びCはまた、開示されるインジケータ内の多孔質検出層が、ミクロ孔質炭素との熱力学的な競争下に置かれた場合であっても、吸着能力を維持したことを示している。
【0066】
(実施例8)
実施例3の方法を使用し、PIMポリマーは、モノマーBC及びFAから調製された。0.0013Pa(1×10−5トール)の基本圧力で動作する、CHAインダストリーズ(CHA Industries)「マーク50(Mark 50)」蒸発器及び、T−2003号チタニウムペレットを使用し、洗浄されたガラススライドは10nm厚さの半反射Ti層によって金属化された。クロロベンゼン中にPIMポリマーの4%の溶液が、Ti層上に、2000rpmでスピンコーティングされた。実施例4(インジケータB)の方法を使用し、希釈されたSVE102銀ナノ粒子懸濁液は、PIMフィルムにスピンコーティングされ、室温の真空下で12時間に渡って乾燥され、チタン半反射層と蒸気透過性金属ナノ粒子反射層との間に位置する、PIM検出層を備える多層薄膜インジケータをもたらした。インジケータは、ガラススライド及び半反射層を通して視覚的に観察されたとき、緑色の外観を有していた。
【0067】
インジケータの、有機蒸気の吸着に関してミクロ孔質炭素と競争する能力を判断するため、インジケータは、実施例2で使用された炭素充填不織布ウェブ94の小断片上に配置された。32L/分で流れる、1000ppmのシクロヘキサンと平衡状態で、層中の炭素は、炭素1グラム当たり0.21gのシクロヘキサンを吸着する。インジケータの外観は、スペクトロメーター及び光ファイバー反射プローブを使用して、ガラス基材を通じて観察され、乾燥した空気(3%RH未満)中、及び85%の相対質量で測定された。インジケータは、85%の相対湿度において、乾燥した空気と比較し、3nmのみのスペクトルシフトを呈し、したがってインジケータは、高湿度状態に対して一般的に感度が低いことを示した。次に、85%の相対質量雰囲気を維持すると同時に、炭素充填不織布ウェブが、20ppmでスチレン蒸気に暴露された。インジケータは、23nmスペクトルシフトを呈し、インジケータが、湿度の高い被検質ストリームに暴露されるミクロ孔質炭素との熱力学的競争に置かれた場合に、その吸着機能性を維持したことを示した。
【0068】
(実施例9)
実施例6の方法を使用して、10nm厚さのチタン半反射層は、2つの洗浄されたガラススライド上に蒸気でコーティングされた。62,900の重量平均分子量(Mw)を有するPIMポリマーは、実施例3の方法、並びにモノマーBC及びFAを使用して調製された。60/40クロロベンゼン/テトラヒドロピラン混合物中にPIMを含む3.2%の溶液が、コーティングされたガラススライドのTi層上に、1000rpmでスピンコーティングされた。1.0gの量のシルバージェット(SILVERJET)(商標)DGP 40LT−25C銀ナノ粒子(メタノール中で43.25%、韓国のアドバンストナノプロダクツ(Advanced Nano Products)社から)が、2ミリリットルのメタノールに加えられ、16.8%の固体を含む希釈された懸濁液をもたらした。希釈された懸濁液は、600rpmで、PIM層上の各コーティングされたスライド上にスピンコーティングされた。1つのスライドが次に空気乾燥され、インジケータAとして確認された。もう一方のスライドは、150℃で空気中で1時間加熱され、銀粒子を部分的に焼結し、インジケータBとして確認された。インジケータBは、100nm厚さのアルミニウム参照層に対し、500nmにおいて、約39%の反射率を有した。
【0069】
両インジケータの、有機蒸気の吸着に関してミクロ孔質の炭素と競争する能力を判断するため、各スライドのコーティングされた側は、実施例2で使用された炭素を負荷されたウェブ94の小断片に対して配置され、透過性ナノ粒子反射体は、炭素充填ウェブと接触した。インジケータは、スペクトロメーター及び光ファイバー反射プローブを使用し、ガラス基材、及び半反射層を通して観察された。インジケータは、炭素充填ウェブを通過する、50ppmのトルエン蒸気ストリームに暴露された。インジケータAのスペクトルピークは532nmから558nmにシフトし、インジケータBのスペクトル最小値は609nmから629nmにシフトし、各場合において、インジケータは、ミクロ孔質炭素との熱力学的競争下に置かれたときに吸着の機能性を維持することを示した。
【0070】
上記に引用した全ての特許及び特許出願は、背景技術の項にあるものを含めて、その全内容が参照により本書に組み込まれる。対立が生じる場合は、本文献が優先する。
【0071】
本発明の数多くの実施形態を記載してきた。本発明から逸脱することなく、様々な修正を実施できることは理解されよう。したがって、その他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機蒸気吸着保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て個人用レスピレータ、動力付き空気浄化レスピレータ、危険物スーツ、及び他の望ましくない物質の存在の保護装置をユーザーに警告をするために、様々な、化学、光学、又は電子インジケータが提案されてきた。例えば、サポート終了日インジケータ(“ESLI”)は、このような装置の濾過要素が、飽和状態に近づいているか、又は特定の物質に対して無効であることを警告することができる。個人保護又は呼吸保護(場合によってはセンサ又はインジケータ一般、あるいは特にESLI)に関する特許及び出願としては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、及び特許文献24、並びに特許文献25が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第1,537,519号(ヤブリック(Yablick))
【特許文献2】米国特許第3,966,440号(ロバーツ(Roberts))
【特許文献3】米国特許第4,146,887号(マグナンテ(Magnante))
【特許文献4】米国特許第4,154,586号(ジョーンズ(Jones)ら)
【特許文献5】米国特許第4,155,358号(マックアリスター(McAllister)ら)
【特許文献6】米国特許第4,326,514号(エイアン(Eian))
【特許文献7】米国特許第4,421,719号(バーレイ(Burleigh))
【特許文献8】米国特許第4,530,706号(ジョーンズ(Jones))
【特許文献9】米国特許第4,597,942号(ミースレル(Meathrel))
【特許文献10】米国特許第4,684,380号(Leichnitz)
【特許文献11】米国特許第4,847,594号(ステッター(Stetter))
【特許文献12】米国特許第5,297,544号(メイ(May)ら)
【特許文献13】米国特許第5,323,774(Fehlauer)
【特許文献14】米国特許第5,376,554号(Vo-Dinh(ヴォー・ディン))
【特許文献15】米国特許第5,512,882号(ステッター(Stetter)ら)
【特許文献16】米国特許第5,666,949号(デーべ(Debe)ら‘949)
【特許文献17】米国特許第5,659,296号(デーベ(Debe)ら‘296)
【特許文献18】米国特許第6,375,725 B1号(バーナード)
【特許文献19】米国特許第6,497,756 B1(クラド(Curado)ら)
【特許文献20】米国特許第6,701,864 B2(ワトソン,ジュニア(Watson, Jr.)ら)
【特許文献21】特許出願公開番号US 2004/0135684 A1(スタインサル(Steinthal)ら)
【特許文献22】特許出願公開番号US 2004/0189982 A1(Galarneauら)
【特許文献23】特許出願公開番号US 2004/0223876 A1(キロロス(Kirollos)ら)
【特許文献24】特許出願公開番号US 2005/0188749 A1(カスター(Custer)ら)
【特許文献25】PCT公開特許出願国際公開第2004/057314 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサ及びインジケータに関するが、ESLIには関連しない他の特許及び特許出願としては米国特許第5,611,998号(Aussenegg(オーセネグ)ら)、第5,783,836号(リゥ(Liu)ら)、同6,007,904号(Schowotzerら)、同6,130,748号(クルガー(Krueger)ら)、同6,248,539号(ガディリ(Ghadiri)ら、米国特許出願公開第US 2004/0184948 A1号(ラコウ(Rakow)ら、及び米国法廷発明登録第H1470(ユーイング(Ewing)ら)が挙げられる。
【0005】
上述のセンサ又はインジケータのいくつかは、電子装置及び電力の必要性、望ましくない複雑又は高価な設計、不十分な感度、又はただ1つ若しくは僅かな物質のみへの感度などの欠点を有する。また、いくつかのセンサ又はインジケータは、液体又は蒸気を検出するために使用可能であるとして開示されているが、固体による収着の程度を検出するために有用であるという開示はなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明は、1つの態様では、気体注入口、気体排出口、及び薄膜多層インジケータを含む保護装置であって、
A)前記エンクロージャは、注入口から排出口へと流れる目的の蒸気を吸着することができる、吸着媒体を含み、
B)前記薄膜多層インジケータであって、
i) ii)とiii)との間に位置する、光学的厚さが、前記蒸気の存在で変化する多孔質検出層、
ii)浸透しない、前記エンクロージャの外側から見える半反射層及び、
iii)前記蒸気に対して透過性の反射層、を含み、かつ
C)前記反射層は媒体に十分に近く、その結果、前記媒体の少なくとも一部と前記蒸気の間の適用される蒸気濃度が平衡になると、前記蒸気は、前記媒体から前記反射層を通過して前記検出層に入り、前記検出層の光学的厚さを十分に変えて、前記半反射層を通じて見たときの前記インジケータの外観に視覚的に認識可能な変化を生じることができる、保護装置を提供する。
【0007】
A)エンクロージャを提供する工程であって、
i)前記エンクロージャを通じて流れる目的の蒸気を吸着する吸着媒体を含む空間と、
ii)薄膜多層インジケータであって、
a) b)とc)との間に位置する、光学的厚さが、蒸気の存在で変化する多孔質検出層と、
b)前記エンクロージャの外側から見える、半反射層と、
c)前記蒸気に透過性の反射層、とを含む薄膜多層インジケータとを含むエンクロージャを提供する工程と、
B)媒体の少なくとも一部と前記蒸気の間の適用される蒸気濃度が平衡になると、前記蒸気は、前記反射層から前記検出層を通過して検出層の光学的厚さを十分に変えて、前記半反射層を通じて見たときの前記インジケータの外観に視覚的に認識可能な変化を生じるように、前記エンクロージャ内の前記媒体を、前記反射層に十分近くに配置する工程と、
C)前記エンクロージャを密閉する工程、とを含む、本発明における別の態様での、保護装置を作製する方法。
【0008】
開示される薄膜多層インジケータは、反射層側から透過性であり、半反射層側から認識可能な比色分析変化を提供することができる。これによって、多くの場合使い捨て個人用レスピレータカートリッジに使用される、多孔質炭素媒体などの固体吸着媒体にインジケータが接触するか近位にある一方、溶媒蒸気の検出が可能である。インジケータは、媒体が蒸気と平衡したときに、電力による光源、光学検出器、又はスペクトル分析器を必要とせずに、インジケータの外観において、鮮やかで、容易に視覚的に認識可能な変化(即ち、比色分析の変化)を提供することができる。インジケータは、低コスト、使い易さ、堅牢性、及び多様な目的の蒸気に関する広域スペクトルを含む利点を提供することができる。
【0009】
本発明のこれら及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかし、上記要約は、請求された主題に関する限定として決して解釈されるべきではなく、主題は、手続処理中に補正され得る添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】薄膜多層サポート終了日インジケータを備えた、交換可能な吸着カートリッジを有する、レスピレータの斜視図。
【図2】図1のレスピレータでの使用のための、炭素を充填した交換可能なカートリッジの部分断面側面図。
【図3】薄膜多層サポート終了日インジケータを備えた、使い捨て個人用呼吸装置の、部分断面斜視図。
【図4】薄膜多層インジケータの概略断面図。
【図5a】穿孔フォトレジストでコーティングされた薄膜多層インジケータ前駆体の概略側面図。
【図5b】穿孔フォトレジストでコーティングされた薄膜多層インジケータ前駆体の概略平面図。
【図6a】アルミニウム反射層がエッチングによって穿孔され、フォトレジストが取り除かれた後の、図5aの前駆体の概略側面図。
【図6b】アルミニウム反射層がエッチングによって穿孔され、フォトレジストが取り除かれた後の、図5bの前駆体の概略平面図。
【図7】様々な吸着媒体の近くに搭載された、開示される薄膜多層インジケータの概略側面図。
【図8】様々な吸着媒体の近くに搭載された、開示される薄膜多層インジケータの概略側面図。
【図9】様々な吸着媒体の近くに搭載された、開示される薄膜多層インジケータの概略側面図。
【図10】様々な薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図11】様々な薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図12】様々な薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図13】アルミニウム反射層及びポリマー検出層を通じてレーザー除去された孔の顕微鏡写真。
【図14】追加の薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図15】追加の薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図16】追加の薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図17】追加の薄膜多層インジケータのトルエン負荷(toluene challenge)への反応を示すプロット。
【図18】薄膜多層インジケータを横断して移動する着色した波面の黒−白レンダリング。
【図19】薄膜多層インジケータを横断して移動する着色した波面の黒−白レンダリング。
【図20】いくつかの蒸気からの負荷への薄膜多層インジケータの反応を示すプロット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明される用語は、次のように定義される。
【0012】
「目的の蒸気」とは、周囲空気(即ち、呼吸する空気)から取り除くことが好ましい有機、又は無機蒸気を意味する。
【0013】
「被検質」は、即ち、化学的、又は生化学的分析において検出される、特定の目的の蒸気、又は他の構成成分を意味する。
【0014】
「光学的に応答性である」とは、物品又は検出層に関して使用された場合、物品又は検出層が、被検質が存在する場合に、光学的厚さ(即ち、物理的厚さ、又は屈折率)、反射率、位相シフト、偏光、複屈折、又は光透過率の変化などの、検出可能な光学特性における応答性の変化を呈することを意味する。
【0015】
「エンクロージャ」とは、中に吸着部材を配置することができるカートリッジ、カプセル、パウチ、格納容器、ハウジング、又は他の構造体を意味し、保存又は輸送のために必要な場合は密封され、後に取り付け及び使用のために開封され、その後に目的の蒸気を吸着するために使用される。
【0016】
「反射性である」とは、層に関して使用された場合、層が可視光線を反射することを意味する。
【0017】
「半反射層」とは、第2反射層と関連し、第2反射層よりも低い反射率と高い光透過性を有し、例えば、干渉色を提供するために第2反射層と離れた関係で使用され得る、第1反射層を意味する。
【0018】
「蒸気透過性である」とは、一方の側が多孔質層と流体連通する反射層に関して使用される場合、反射層のもう一方の側が、1000ppmスチレンモノマー蒸気を含み、20L/分で流れる空気流に15分晒されたとき、十分なスチレンモノマーが反射層を通過して、これによって検出層において光学的に応答性の変化が起こることを意味する。
【0019】
「多孔質」とは、材料に関して使用されるとき、堆積全体を通じて孔の接続網(これは、例えば、開口、隙間空間、又は他のチャネルであってよい)を有することを意味する。
【0020】
「寸法」とは、孔に関して使用されるとき、円形の横断面を有する孔の直径、又は非円形の横断面を有する孔を横断して形成されることがある最も長い横断面の弦の長さを意味する。
【0021】
「ミクロ孔質」とは、材料に関して使用されるとき、材料が多孔質であり、平均孔径が約0.3〜100ナノメートルであることを意味する。
【0022】
「連続的」とは、材料の層に関して使用されるとき、非多孔質であり、蒸気透過性ではないことを意味する。
【0023】
「半連続的」とは、材料の層に関して使用するとき、層が多孔質であり、蒸気透過性であることを意味する。
【0024】
「非連続的」とは、材料の層に関して使用されたとき、層が、所与の平面内で少なくとも2つの分離した別個の材料の島を有し、その間に空間を有するか、又は所与の平面内で、少なくとも2つの分離した別個の空間(湖(lakes))をその間の材料と共に有し、及び層が蒸気透過性であることを意味する。
【0025】
開示される装置は、様々な目的の蒸気を検出するために使用されてもよい。典型的な目的の蒸気としては、水蒸気、気体、及び揮発性有機化学化合物が挙げられる。典型的な有機化学化合物としては、アルカン類、シクロアルカン類、芳香族化合物類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロカーボン類、アミン類、有機酸類、シアン酸類、ニトレート類、及び二トリル類、例えば、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、アセトン、エチルアセテート、二硫化炭素、四塩化炭素、ベンゼン、スチレン、トルエン、キシレン、メチルクロロホルム、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、酢酸、2−アミノピリジン、エチレングリコールモノメチルエーテル、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ニトロメタン、及びアセトニトリル、を含む置換、非置換炭素化合物が挙げられる。
【0026】
図1に関し、個人用レスピレータ1は、1組の交換可能な空気浄化レスピレータカートリッジ3が上部に搭載されるフェースマスク2を含む。カートリッジ3はそれぞれ、図1には示されない吸着材料(例えば、活性炭)のエンクロージャの役割を果たす。各カートリッジ3の前側カバー4は、気体注入口として機能する多数の開口5を含み、周囲空気が外部環境からカートリッジ3へと流入することを可能にし、吸着材料を通過し、カートリッジ3からの気体排出口及びフェースマスク2への注入口として機能する通路(図1には表示されない)を通過する。各カートリッジ3の側壁6は、これを通じてフェースマスク2の着用者が薄膜多層インジケータ8を見ることができる、透明なビューポート(viewing port)7を含む。各インジケータ8は、カートリッジ3の1つ以上の湾曲する領域の周囲を包み、様々な視角からの改善された可視性を提供し、カートリッジ3がレスピレータ1のいずれかの側の上に取り付けられることを可能にすることがある。インジケータ8は光学的に応答性であり、暴露状態で吸着材料が蒸気と平衡になった場合に、視覚的に認識可能な比色分析の変化を経験し、したがって着用者がカートリッジ又はカートリッジ3を交換する時期を認識するのを助ける。呼気は、呼気バルブ9を通じて、レスピレータ1から出る。インジケータは、様々な呼吸の保護装置に使用することが可能である。例えば、インジケータはまた、単一のカートリッジレスピレータ又は動力付き空気浄化レスピレータ内に配備されることもできる。
【0027】
図2は、レスピレータカートリッジ3の部分断面側面図である。所望により、開口部5は、例えば使用前に取り外すことができる、取り外しカバー(図1及び図2に示されない)を使用して、使用まで密封され得る。吸収性材料21の底床は、開口5から排出口23へと通過する目的の蒸気を吸収又は吸着する。ポスト27上に搭載される一方向吸入バルブ25は、呼気がカートリッジ3に入るのを防ぐ。ねじ付きの、又は好ましくは差し込みコネクタ(1つ又は複数)29は、カートリッジ3をマスク2に取り外し可能に連結するために使用され得る。側壁6は、薄膜多層インジケータ8を覆う透明なビューポート7を含む。ポート7は、ビューポート7の近位に位置するインジケータ8の半反射層(図2に表示されない)を通じて周囲光をインジケータ8に入れ込むことができる。所望により、取り外し可能又は交換可能な遮蔽物又は他の被覆(図2に示されない)が、ポート7を、塗料又は泡のスプレーしぶき、ほこり、又は他の掩蔽から保護するために、任意に使用することが可能である。ポート7及びインジケータ8に入る周囲光は、吸着材料21の近位に位置するインジケータ8内の蒸気透過性反射層(図2に表示されない)により、ビューポート7を通じて戻る。インジケータ8の外観の視覚的に認識可能な変化(例えば、緑から赤へなどの色の変化、白若しくは黒から有色へ、又は有色から白若しくは黒へなどの色の出現又は消失、あるいは白から黒へ、又は黒から白へ)が、インジケータ8の下の吸着材料21が、暴露状態で蒸気と平衡になったことを示すとき、カートリッジ3は取り除かれ、新しいカートリッジ3と交換される。蒸気の流路の全長を覆うようにインジケータ8を構成することにより、外観変化(即ち、色の変化)の「フロント」は、吸着材料21を通じ、インジケータ8を超える蒸気の流れと共に進行する。進行する外観変化のフロントは、単にサポート終了日ではなく、むしろカートリッジ3の残存耐用年数を示し(棒ゲージ又は燃料計など)、特に、残存耐用年数が、インジケータ8を超える、空間的に広がる蒸気のフロントの浸透と直線的に比例するために、カートリッジ3を設計するように適切な注意が払われる。あるいは、インジケータ8は、望ましい残存耐用年数のパーセンテージにおいてのみ警告を与えるためだけに、流路の末端部に向かって配置され得る。インジケータ8又はビューポート7は、所望により、インジケータ8の外観における変化の視覚的認識を助けるために、パターン又は参照色を含んでもよい。前述のように、インジケータ8における外観変化は、周囲光の下で視覚的に観察され得る。あるいは、インジケータ8が、発光ダイオード(LED)などの外部光源を使用して照明され、カートリッジ3の周辺に搭載される光検出器を使用して光電子信号をもたらし、評価することができる。周囲光の下で見ても、又は外部光源及び検出器を使用して見ても、化学的検出の幅は、所望によって、様々な方法で増やすことができる。例えば、蒸気流路を横断する小さなインジケータの配列が使用されてもよい。各インジケータは、異なる多孔質検出層材料を含むことができる(例えば、シリカ検出層、プラズマ化学蒸着(「PCVD」)によって適用される検出層、及び固有ミクロ孔質を有するポリマー(「PIMs」)から成る検出層、全て以下で論じられる)。また、一連のインジケータは、一連の異なる化学処理を用いて処理された同じ検出層材料(例えば、シリカ)を含む吸着特性の範囲をもたらすことができる。多孔質シリカは、例えば、孔により高い疎水性特性を付与するために、様々なアルキルシランで処理することが可能である。
【0028】
図3は、部分断面図の使い捨て個人用レスピレータ30を示している。装置30は、例えば、薄膜ESLIを含むように改善された、米国特許6,234,171 B1(スプリンゲット(Springett)ら)に示されるような、使い捨てマスクであることが可能である。装置30は、一般的に、外側カバーウェブ32、吸着粒子33、及び内側カバーウェブ34から構成される、カップ形状のシェル又はレスピレータ本体31を有する。溶接縁部35は、これらの層を保持し、装置30の縁部を超える漏れを低減する、顔の封止領域をもたらす。アルミニウムなどの金属の曲げ易く非常に柔らかい鼻バンド36により、漏れは更に低減される。装置30は、透明のビューポート37、及び吸着粒子33に隣接する薄膜多層インジケータ38を含む。装置30はまた、タブ40によって装置30に締結される、調節可能なヘッド及びネックストラップ39、並びに呼気バルブ41も含む。このようなレスピレータの構成に関する更なる詳細は、当業者に周知である。
【0029】
図4は、透明基材43及び吸着媒体48に隣接する薄膜多層インジケータ42の概略図を示す。インジケータ42は、半反射層44、多孔質検出層45、及び蒸気透過反射層46を含む。媒体48の少なくとも一部と目的の蒸気の間の、適用される蒸気の濃度における平衡化の際、又はその直後に、蒸気は孔47を通じて検出層45に入ることができる。検出層45は好適な材料から構成され、又は好適な構造で構成され、目的の蒸気への暴露の際に、層の光学的厚さは変化する(即ち、増える)。生じる光学的厚さの変化は、インジケータ42の視覚的に知覚可能な外観の変化をもたらす。この変化は、外側から、つまり基材43を通じてインジケータ42を見ることによって観察できる。光線49aによって表される周囲光の一部は、基材43を通過し、光線49bとして半反射層44から反射し、基材43を通じて戻り、次に基材43の外側に出る。周囲光線49aの別の部分は、基材43、半反射層44、及び検出層45を通過し、反射層46から光線49cとして反射する。光線49cは、検出層45、半反射層44、及び基材43を通過して戻り、次に基材43の外を通過する。検出層45に適切な初期又は変化した厚さが選択され、層44及び46が十分に平坦な場合、次に、インジケータ42、並びに光49b及び49cのような光線内で干渉色が作られ、又は破壊され、インジケータ42の外観の視覚的に認識可能な変化が、半反射層44を通じて見たときに明らかになる。したがって、電力付き光源、光学検出器、又はスペクトル分析などの外部機器は、インジケータ42の状態を評価するために必要ではないが、このような外部機器は、所望に応じて使用されてもよい。
【0030】
開示される装置は、様々な吸着媒体を使用してもよい。吸着媒体は、意図される使用条件下に存在すると予想される目的の蒸気を吸着することができる。吸着媒体は、望ましくは空気又は他の気体が滞りなく流れて通過するのを可能にするほど十分に多孔質であり、微粉固体の形状(例えば、粉、ビーズ、フレーク、粒剤、又は粒塊)又は多孔質の固体(例えば、連続気泡)であってもよい。好ましい吸着媒体材料としては、活性炭;アルミニウム及び吸着により目的の蒸気を除去できる他の金属酸化物;粘土並びに、酢酸などの酸性溶液、又は水性酸化ナトリウムなどのアルカリ性溶液;モレキュラーシーブ、及び他のゼオライト;シリカなどの他の無機吸着剤;「スチロソーブ(Styrosorbs)」(例えば、V.A.Dacankov及びP.Tsyurupa、純粋応用化学(Pure and Appl.)、第61巻、pp1881〜89(1989)、並びにL.D.Belyakova、T.I.Schevchenko、V.A.Davankov、及びM.P.Tsyurupa、アドバンスコロイド及び界面科学(Adv. in Colloid and Interface Sci.)、第25巻、pp249〜66、(1986)に記載される)として知られる高度に架橋されたスチレンポリマーなどの超架橋システムを含む有機吸着剤などが挙げられる。活性炭及びアルミニウムは特に好ましい吸着媒体である。例えば、目的の蒸気の混合を吸収するために、吸着媒体の混合物が使用され得る。微粉形状である場合、吸着粒子寸法は、多様に変化することができ、通常、部分的に意図された使用条件に基づいて選択される。一般的な指針として、微粉吸着媒体粒子の寸法は、約4〜約3000マイクロメートル平均直径、例えば約30〜約1500マイクロメートル平均直径の間で変化してよい。異なる寸法範囲を有する吸着媒体粒子の混合物もまた使用されてよい(例えば、吸着媒体粒子の二峰性混合物、又は上流層のより大きな吸着粒子及び下流層のより小さな吸着粒子を使用した多層構成)。例えば、米国特許第3,971,373号(ブラウン(Braun)ら)、同4,208,194号(ネルソン(Nelson))、及び同4,948,639号(ブルーカー(Brooker)ら)、及び米国特許出願公開US 2006/0096911 A1(ブレイ(Brey)ら)などに記載される、好適な結合剤(例えば、結合炭素)と組み合わせた吸着媒体、又は好適な支持体の上部又は内部に捕捉された吸着媒体もまた使用されてよい。
【0031】
インジケータは剛性であってもよく、可撓性であってもよい。可撓性のインジケータは、破断することなく十分に曲げることができ、その結果1つ以上のロール加工工程を使用して作製することができ、例えば、図1に示される吸着媒体エンクロージャの角部の周囲を、必要であれば、使用中に曲げることができる。インジケータは、フィルム、又はバルク接着剤、機械的挿入、熱接着、超音波溶接、及びこれらの組み合わせを含む、様々な技術を使用して、フィルターハウジング又は他の支持体に取り付けることができる。
【0032】
基材は任意であるが、存在する場合は、薄膜インジケータのための好適に透明な支持体を提供することができる、様々な材料であってよい。基材は剛性であってもよく(例えば、ガラス)又は可撓性であってもよい(例えば、1つ以上のロール加工工程で処理されてよいプラスチックフィルム)。好適に透明なプラスチックなどの可撓性の材料で作製される場合、基材が望ましく十分に低い蒸気透過性を有し、これによって目的の蒸気は、半反射層を通じて検出層の内部に、又は外部に透過しない。基材が省略される場合、半反射層はこのような蒸気の透過を妨げる、又は防ぐのに十分なほど不透過性であるべきである。多孔質の基材は、所望により、反射層及び吸着媒体の間に配置されることが可能である。例えば、目的の蒸気は、吸着媒体から透過性基材、及び反射層を通じ、そこから検出層へと入ることが可能である。
【0033】
半反射層及び反射層は、それぞれ、拡散又は好ましい正の光反射をもたらす様々な材料から作製され得、これらは適当に離間したとき協調して、容易に視覚的に知覚可能なインジケータの外観の変化をもたらす。好適な半反射層、及び反射層の材料としては、アルミニウム、クロム、金、ニッケル、シリコン、銀、パラジウム、プラチナ、チタニウム、及びこれらの金属を含む合金;酸化クロム、酸化チタン、及び酸化アルミニウムなどの金属酸化物;並びに米国特許第5,699,188号(ギルバート(Gilbert)ら)、同5,882,774号(ジョンザ(Jonza)ら)、及び同6,049,419号(ウィートリー(Wheatley)ら)、並びに公開済みPCT出願WO 97/01778(アウダーカーク(Ouderkirk)ら)に記載される、(複屈折の多層光学フィルムを含む)多層光学フィルムが挙げられる。反射層、及び半反射層は、同じか、又は異なってよい。「透過性ナノ粒子反射体(PERMEABLE NANOPARTICLE REFLECTOR)」、と題された同時係属中の米国特許出願第11/530,619号に記載されるように、反射層を形成するために、金属ナノ粒子コーティング(例えば、金属ナノ粒子インク)が使用されてもよい。
【0034】
半反射層は、反射層ほど反射せず、いくらかの入射光線を透過する。半反射層は、例えば、約2〜約50nmの物理的厚さ、500nmで約20〜約80%の光透過率、500nmで約80〜約20%の反射率を有してよい。半反射層は、それ自体蒸気に対して不透過性であってよく(その場合、望ましく連続的である)、任意に好適な基材上にコーティングされるか、そうでなければ隣接する。半反射層はまた、蒸気に対して透過性であってもよく(その場合、例えば、非連続的又は半連続的であってよい)、好適に蒸気不透過性の基材上にコーティングされるか、そうでなければ隣接する。検出層に隣接する半反射層の面は、望ましくは約±10nm以内の精度で平坦である。
【0035】
反射層は、例えば、約1〜約500nmの物理的厚さ、500nmで約0〜約80%の光透過率、500nmで約100〜約20%の反射率を有してよい。反射層は好ましくは多孔質、パターン付き、非連続的、半連続的、又は別の方法で十分に透過性であり、これによって蒸気は吸着媒体から、反射層を通じて検出層に入る。望ましい多孔質又は不連続性は、好適な堆積技術を通じて、又は、選択的エッチング、反応性イオンエッチング、若しくはパターン付きレーザーアブレーションなどの適切な後堆積加工を通じて達成される。反射層はまた、上記の同時係属中の米国特許出願第11/530,619号に記載されるように、蒸気透過金属ナノ粒子層を堆積させることによっても形成され、稠密なナノ粒子の蒸気透過層を形成し、ナノ粒子の間の隙間によって孔がもたらされた。所望により、形状、文字、記号、又はメッセージの形で、反射層に断絶が形成されてもよい。これにより、目的の蒸気への暴露の際に認識可能なパターンが現れ、又は消えることができる。見る人は、このようなパターンの色の対照的な色を認識する方が、インジケータフィルム全体における比色分析の変化を認識するよりも容易であると感じることがある。
【0036】
検出層の混合物は、均質、又は不均質であってよく、例えば、無機化合物の混合物、有機化合物の混合物、又は無機及び有機化合物の混合物から作製することが可能である。構成成分の混合物から作製される検出層は、被検質群の改善された検出をもたらすことがある。検出層は、望ましくは、吸着媒体の蒸気収着特性と同様な、蒸気収着特性をもたらすように選択された、孔径、又は表面積の範囲を有する。好適な多孔性は、米国特許第6,573,305 B1号(タンホースト(Thunhorst)ら)に記載されるものなどのような、高内相エマルションから作製されるフォームなどの多孔質の材料を使用して得ることができる。多孔性はまた、ミクロ孔質材料を作製するために二酸化炭素のフォーミングを介して(「Macromolecules」、2001、34巻、pp.8792〜8801を参照)又はポリマーブレンドのナノ相分離(「Science」、1999、283巻、p520参照)によって得ることもできる。一般的に、孔の直径は、好ましくは、望ましいインジケータ着色のピーク波長よりも小さい。例えば約0.5〜約20nm、0.5〜約10nm、0.5〜約5nmの平均孔径のナノサイズの孔が好ましい。
【0037】
典型的な無機検出層材料としては、光学的干渉によって色、又は比色分析の変化を生じるために適当な厚さの、透明及び多孔質の層に形成され得る多孔質シリカ、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又は他の無機材料を含む。例えば、無機検出層材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、窒化チタン、酸窒化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、ゼオライト、又はこれらの組み合わせであってもよい。多孔質シリカは、堅牢性及び湿式エッチング処理との適合性のために、特に望ましい無機検出層材料である。
【0038】
多孔質シリカは、例えば、ゾルゲルプロセス法を用いて調製することができ、有機テンプレートを用いて、又は用いずに調製できる。代表的な有機テンプレートとしては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩などのアニオン性又は非イオン性界面活性剤、ポリ(エチレンオキシド−co−プロピレンオキシド)ブロックコポリマー及び他の界面活性剤又は又は当業者に明らかなポリマーが挙げられる。ゾルゲル混合物は、ケイ酸塩に変えてもよく、有機テンプレートは取り除かれてシリカ内の網状組織をミクロ孔質のままにしてもよい。典型的な多孔質シリカ材料は、オガワ(Ogawa)ら、Chem.Commun.、pp1149〜1150、クレスジ(Kresge)ら、Nature、359巻、pp710〜712(1992)、ジア(Jia)ら、Chemistry Letters、33(2)巻、202〜203(2004)、及び米国特許第5,858,457号(ブリンカー(Brinker)ら)に記載されている。様々な有機分子もまた、有機テンプレートとして使用することができる。例えば、グルコース及びマンノースなどの糖類が、多孔質シリケートを生成するための有機テンプレートとして使用されてもよい(ウェイ(Wei)ら、Adv.Mater.、10巻、p313(1998)を参照)。有機置換シロキサン又は有機−ビス−シロキサンがゾルゲル組成物に含まれて、ミクロ孔質をより疎水性にし、水蒸気の収着を制限してもよい。プラズマ化学蒸着もまた、多孔質無機検出材料を生成するのに使用され得る。この方法論は一般的に、ガス状前駆体からプラズマを形成し、プラズマを基材上に堆積して非晶質ランダム共有結合網状層を形成し、次に非晶質ランダム共有結合網状層を加熱して、ミクロ孔質非晶質ランダム共有結合網状層を形成することによって被検質検出層を形成する工程を含む。このような材料の例は、米国特許第6,312,793号(グリル(Grill)ら)及び米国特許出願番号第11/275,277号、2005年12月21日出願、発明の名称「プラズマ堆積多孔質被検質検出層(PLASMA DEPOSITED MICROPOROUS ANALYTE DETECTION LAYER)」に記載される。
【0039】
典型的な有機検出層材料としては、疎水性のアクリレート及びメタクリレート、二官能性モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、及びこれらの混合物又は組み合わせを含むモノマーのクラスから調製される、又は調製することができるポリマー、コポリマー(ブロックコポリマーを含む)、並びにこれらの混合物が挙げられる。上述の米国特許出願公開第US 2004/0184948 A1号は、このようなモノマーの広範な一覧表を含み、更なる詳細に関する参照が付される。固有ミクロ孔質を有する上述のポリマー(PIMs)は、特に望ましい検出層を提供する。PIMsは、典型的には、ミクロ孔質の固体を形成する非網状ポリマーである。これらの典型的に、高度に剛性で回旋状の分子構造のために、PIMsは、空間を有効に満たすことができず、したがって開示されるミクロ構造を提供する。好適なPIMsとしては、バッド(Budd)らの「固有ミクロ孔質のポリマー(PIMs):堅牢で、溶解処理可能な、有機ミクロ孔質材料(Polymers of intrinsic microporosity(PIMs): robust, solution-processable, organic microporous materials)」(Chem.Commun.2004、pp230〜231)が挙げられるが、これに限らない。PIMsは更にバッド(Budd)ら(ジャーナルオブマテリアルズケミストリー(J. Mater.Chem.)、2005、15、pp.1977〜1986)、マキューン(McKeown)ら(Chem.Eur.J.2005、11、9巻、2610〜2620)、及びPCT国際公開特許WO2005/012397 A2(マキューン(McKeown)ら)に開示される。
【0040】
有機検出層内の1つ以上のポリマーは、少なくとも部分的に架橋されていてよい。機械的安定性及び、一定の被検質に対する感度を向上するため、いくつかの実施形態では、架橋は望ましい。架橋は、1つ以上の多官能性モノマーを検出層に組み込むこと、検出層を、例えば電子ビーム若しくはγ線処理にかけること、検出層に配位化合物、又はイオン化合物を加えること若しくは形成すること、又は検出層に水素結合を形成すること、により達成することができる。1つの代表的な実施形態では、その後多孔質検出層を生成するために、架橋系から抽出されてもよい、ポロゲンの存在下で実行される。好適なポロゲンとしては、直鎖アルカン(例えば、デカン)又は芳香族(例えば、ベンゼン又はトルエン)などの、不活性有機分子が挙げられるが、これらに限定されない。他の架橋ポリマーとしては、上述の、高度に架橋されたスチレンポリマーが挙げられる。
【0041】
所望により、検出層材料は、その表面特性又は吸着特性を変性するために処理されてもよい。無機検出層のミクロ孔質を、好適なオルガノシラン化合物に暴露することなどにより、様々なこのような処理を使用することが可能である。検出層も、あるいは代わりに、好適な接着促進材料(例えば、チタニウム又は別の好適な金属から作製される連結層)と共に処理され、半反射層又は反射層及び検出層の間の接着を促進することが可能である。このような処理はまた、検出層との接着を促進するために、半反射層又は反射層にも施されてよい。
【0042】
多くの用途において、検出層は望ましく疎水性である。これは、水蒸気(又は液体水)が、検出層の光学的厚さを変化させ、例えば有機溶媒蒸気の検出など、被検質の検出を妨げる可能性を低減する。
【0043】
検出層は、単一の層又は2つ以上の副層から作製されてもよい。副層は、様々な構成を有してよい。例えば、これらは積み重ねられてもよく、又は横並びに構成されてもよい。副層は、目的の異なる蒸気を吸収するために選択される異なる材料で作製されてもよい。層又は一連の副層の1つは、非連続であるか、又はパターン付きであってもよい。パターンは、被検質に暴露する際に、色の付いた画像、言葉、又はメッセージを作ること、あるいは取り除くことが可能で、これによってユーザーにとって容易に識別可能な警告をもたらす。層又は副層は、特定の被検質に対して反応性の1つ以上の部分を、並びに同じ被検質に対して非反応性の1つ以上の部分を提供することによって形成することが可能である。例えば、被検質が吸収されるまで、光学上の厚さにおいて見かけ上の差がないほど十分に薄いパターンつきの層を作製することにより、反応性材料のパターンもまた、より大きな非反応性副層上に堆積することができる。米国特許番号第6,010,751号に記載されるように、検出層の厚さもまた、パターン付きであってよい。これは、パターンが消える(例えば、より薄い一部がより厚い一部と同じ厚さまで膨張する場合)のを、又は現れる(例えば、一部が隣接する一部を下回る厚さまで収縮する場合)のを可能にする。
【0044】
開示される装置は、所望に応じ、追加の層、又は要素を含んでもよい。例えば、吸着剤充填コンポジットの多孔質層(例えば、上記の米国特許第4,208,194号などに記載されるフィブリル化されたPTFEのマトリックスに含まれる、活性炭粒子のウェブ)が、反射層と吸着媒体との間に配置されてインジケータ内に浸透する蒸気を均質化するか、ないしは別の方法で吸着媒体における状態に対するインジケータの反応を和らげる。
【0045】
開示される装置は、有機蒸気レスピレータ、動力付き空気浄化レスピレータ(PAPRs)、防護服、集合保護フィルター(collective protection filter)、及び当業者には周知の他の用途を含む、様々な用途に使用されてよい。
【0046】
本発明は、以下の具体的実施例において更に例示されるが、その中での全ての部及びパーセンテージは、他に指示がない限り重量基準である。以下表1に示される略語は、いくつかの実施例で使用された。
【0047】
【表1】
【実施例】
【0048】
(実施例1)
不透過性の半反射層、多孔質シリカ検出層、及び蒸気透過性反射層を含む多層フィルムインジケータは以下のように調製された。ガラススライドは最初に、AuPd(60:40Au/Pd質量比)ターゲットを備えたデントン・バキューム・デスクII(Denton Vacuum Desk II)スパッタコーターを使用してスパッタコーティングされ、およそ5nm厚さの半反射層を提供した。スパッタコーティング電力及び、コーティング持続時間は、13.3Pa(100ミリトール)の真空下で、それぞれ、35ミリアンペア、及び20秒であった。多孔質フィルムは、ゾルゲル溶液ディップコーティングによって、半反射層上に堆積された。シリカゾルは、2段階の加水分解プロセスを使用して調製された。段階1では、231.6部のテトラエトキシラン、195.2部の無水エタノール、17.28部の脱イオン水、及び0.715部の0.007NのHCLが容器の中で混合され、攪拌されると同時に60℃で90分間加熱されてシリカゾルを形成した。段階2では、122.97部の、段階1のシリカゾル、17.50部の0.07NのHCL及び5.75部の脱イオン水がビーカー中で混合され、外部から加熱することなく15分間攪拌された。結果として得られるゾルゲル溶液は、更に15分間攪拌されると同時に50℃で加熱され、次に263.32部の無水エタノールで希釈された。エチルセルロースを組み込むコーティング溶液は、25.25部の段階2のゾルゲル溶液、25.00部のイソプロピルアルコール、及び1.71部のETHOCEL(商標)の標準20プレミアム(Standard 20 Premium)エチルセルロース(ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company))を混合し、蓋付き容器内で一晩(16時間)攪拌し、エチルセルロースを完全に溶解することによって調製された。
【0049】
AuPdコーティングガラススライドは、コーティング工程中の結露を防ぐために、30%より低い相対湿度に維持されたエンクロージャ内で、10cm/分の引き抜き速度を用い、コーティング溶液中でディップコーティングされた。これはゾルゲルコーティングをスライドの両面に適用した。コーティングは透明であったため、これは両方の面上に留まり、一方の面上のコーティングが多孔質検出層を作るために使用され、他方の面上のコーティングが最終的な表示面上に存在することが可能であった。コーティングされた試料を、湿度が制御されたエンクロージャで、2分間乾燥させた。コーティングされたスライドは、次にベルト炉内にて30分間の加熱サイクルを用いて400℃で加熱された(11分間の熱上昇時間、400℃で8分間の維持時間、及び11分間の冷却時間を含む)。有機物の完全な脱水及び熱分解を確認するために、スライドは、空気雰囲気の箱型炉内で、2時間の400℃までの加熱時間、400℃の1時間の維持時間、及び空気雰囲気に戻すための10時間の冷却時間を含む、13時間の加熱サイクルを使用して再加熱された。スライドの一方の面上のシリカ層は次に、0.0013Pa(1×10−5トール)の基本圧力で動作する、CHAインダストリーズ(CHA Industries)のマーク50(Mark 50)蒸発コーター、並びにチタニウム層にはT−2003号99.995%純粋真空蒸着等級6mm×6mmペレット(セラック社(Cerac, Inc.)より)、及びアルミニウム層にはA−2049、99.99%純粋真空蒸着等級6mm×6mmペレット(これもまたセラック社(Cerac, Inc.)より)を使用して、10nm厚さのTi連結層、及び100nm厚さのアルミニウム反射層でコーティングされた。
【0050】
アルミニウム反射層を蒸気透過性にするために、湿潤化学エッチングによるフォトリソグラフィ方法が使用された。ヘキサメチルジシラザン接着促進剤(J.T.ベーカー(J. T.Baker)より)がアルミニウム層上に2500rpmでスピンコーティングされ、続いてPR 1813ポジ型フォトレジスト(シプレイL.L.C(Shipley, LLC))のスピンコーティングされた層は、4000rpmで適用され、1.3マイクロメートル厚さのフィルムをもたらした。フォトレジストは、96℃で30分間ベーキングされ、次にフォトマスクを通じ、14mW/m2の紫外線強度で、スライドの2区域に渡って、紫外線に9秒間露光された。第1区域では、10マイクロメートルのピッチで離間した3マイクロメートルの規則的な配列を有する、低エッチフォトマスク(low etch photomask)を使用した。第2区域では、5マイクロメートルのピッチで離間した3マイクロメートルの規則的な配列を有する、高エッチフォトマスク(high etch photomask)を使用した。光への露光の後、スライドは、MF319現像液(これもまたシプレイ社L.L.C(Shipley, LLC)より)に45秒間浸漬され、次に120℃で30分間ハードベーキング(hardbaked)された。現像液は、照射された孔の領域で、ポジ型フォトレジストを除去し、図5a及び図5bに示されるような、物品50をもたらし、ここで52は最終的な薄膜多層インジケータを示し、53は52がこれを通じて見えるガラス基材を示し、54は、Au/Pd半反射層を示し、55は多孔質シリカ検出層を示し、56は、アルミニウム反射層を示し、57はフォトレジスト58中の孔を示す。
【0051】
アルミニウム層56の湿式エッチングは、500ミリリットルの濃縮されたH3PO4、19.4ミリリットルの凝縮されたHNO3、96.8ミリリットルの凝縮された酢酸、32.2ミリリットルのH2O、及び0.6ミリリットルのエチレングリコールを混合して作製される酸性エッチング溶液を用いて、32℃で90秒間実行された。エッチングされたフィルムは、脱イオン水で直ちに洗浄された。Ti層は次に、100ミリリットルの0.1 M EDTA、8ミリリットルの濃縮されたNH4OH及び20ミリリットルの30%H2O2を混合して作製される塩基性エッチング溶液を使用してエッチングされた。エッチングされたフィルムは再び、脱イオン水中で直ちに洗浄された。最後に、残ったフォトレジスト58は、アルミニウム層56を1165リムーバー(これもまたシプレイ社L.L.C(Shipley, LLC)より)を使用して、アルミニウム層56から剥し、図6a及び図6bに示されるような、完成した薄膜多層インジケータ60を提供し、ここで66は蒸気透過性アルミニウム反射層を示し、67は、アルミニウム層66内の孔を示す。
【0052】
(実施例2)
実施例1の薄膜インジケータ60は、3つの異なる蒸気の通路を用いて、評価された。第1蒸気通路は、図7に示される。有機蒸気を含有する空気流72が、ガラス基材53の上で、インジケータ60を横切って流れた。蒸気透過性アルミニウム反射層66に対して配置される、不織布カーボン紙74の小さな断片により、空気流72の有機蒸気の通路が、多孔質シリカ検出層55に到達することが可能になった。光源77からの光線76などの入射光線が、半反射層54によって第1の反射光線78として反射され、アルミニウム層66によって、第2の反射光線78bとして反射された。第2の蒸気通路は図8に示される。図8は図7と似ているが、有機蒸気を含有する空気流72が、蒸気透過性のアルミニウム反射層66に対して配置されたガラスウール84の断片を通じ、多孔質シリカ検出層55に到達した。第3の蒸気通路は図9に示されている。図9は、図7及び図8と似ているが、有機蒸気を含有する空気流72は、可撓性でミクロ孔質の、炭素充填不織布ウェブ94を通じて多孔質シリカ検出層55に到達した。ウェブ94は、約500g/m2(有効炭素密度約0.22g/ccに対応する)の、ココナツの殻から得られる40×140メッシュ活性炭顆粒(パシフィック・アクチベーティッド・カーボン社(Pacific Activated Carbon Co.)より)を含み、これは、米国特許出願公開第US2006/0096911 A1(ブレイ(Brey)ら)に記載される通りに調製される、IROGRAN(商標)PS440−200熱可塑性ポリウレタンから作製される弾性繊維ウェブ全体を通じて分散された。サンプルスペクトルは、白色光源、光ファイバー反射プローブ、及びスペクトロメーターを使用して観察された。図10は、各蒸気通路におけるppmトルエン負荷との対比における波長シフトのプロットを示し、図7、図8、及び図9に示される蒸気通路にそれぞれ対応する曲線A、B、及びCを有する。図10に示されるように、3つの蒸気通路全てが、所与のトルエン負荷レベルにおいて、同様の波長シフトを示した。曲線Cはまた、インジケータ60が、ミクロ孔質の炭素充填ウェブと吸着の競争関係にある場合でもその性能を維持することも示している。
【0053】
所望により、薄膜インジケータ60は、発光ダイオード(LED)などの外部光源を使用して照明され得、また、光検出器を使用して評価され得る。図11は、波長の関数として、薄膜インジケータ60の、50ppm(曲線B)及び2000ppm(曲線C)トルエンにおけるトルエン蒸気に対する初期反応(曲線A)を測定することにより作製される、捕捉されたサンプルスペクトルを示す。図12は、図11の得られた試料スペクトルと、LEDスペクトルのガウス近似を掛け、適した光検出器を使用して測定される光強度(任意の単位で)の変化を算定することによって得られるシミュレーションを示す。検出器が受ける信号(例えば、PN、PIN、又はLEDの波長に適合するように選択される分光応答度を有するアバランシェフォトダイオード)は、LED/サンプルスペクトルを結合することによって決定される。初期信号(図11、及び図12の曲線A)は緑LEDで512カウントに正規化され、青LEDの検出された信号は、50ppmトルエンへの暴露において、21任意単位で減少し、およそ5:1の信号:ノイズ(S/N)比が、標準的なコンポーネントを使用して得られる。S/N比は、より厚いシリカ層をインジケータ内に組み込むことによって更に改善され、初期サンプルスペクトルを狭めることができる。全体的な薄膜インジケータの厚さの変化はまた、LEDスペクトル出力に関するピークシフトポジションの最適化のためになされてもよい。図11及び図12の曲線Cは、2000ppmトルエンで、予測された反応を示した。
【0054】
以下に示される実施例では、センサの特性における変化を測定するために、光源及びスペクトロメーターが使用された。しかしながら、開示されたインジケータは、周囲照明下で容易に見られ得ることが理解される。
【0055】
(実施例3)
薄膜インジケータは、検出層として固有ミクロ孔質のポリマー(PIMs)を、反射層及び検出層に孔を空けるためにレーザーを使用する。
【0056】
PIMポリマーの調製。PIMポリマーは、一般的に、アドバンストマテリアルズ(Advanced Materials)、2004、16巻、第5号、pp456〜459の中でバッド(Budd)らによって報告される手続きに従って、モノマーBC及びモノマーFAから調製した。9.0グラムのBCを、5.28gのFA、18.0gの炭酸カリウム、及び120ミリリットルのDMFと混合し、混合物を、70℃で24時間反応させた。得られたポリマーを、THF内に融解し、メタノールから3回沈殿させ、次に、室温の真空下で乾燥させた。61,800の分子量(Mw)を有する黄色い固体の生成物が得られた。
【0057】
レーザー処理された孔を有するPIMサンプル。ガラススライドは、Au/Pd質量比60:40を有するAuPdターゲットを備えた、デントン(DENTON)(商標)バキュームデスクII(デントンバキューム社(Denton Vacuum))のスパッタコーターを使用して、Au/Pdの5nm厚さの層でスパッタコーティングした。スパッタコーティング電力及びコーティング持続時間は、13.3Pa(100ミリトール)の真空下で、それぞれ、35ミリアンペア、及び20秒であった。PIMポリマーは次に、Au/Pd層に3,000rpmでコーティングされる、クロロベンゼン中に上記のPIMポリマーを有する4%の溶液を使用して、Au/Pd層上にスピンコーティングされた。100nm厚さのアルミニウム層は次に、0.0013Pa(1×10−5トール)の基本圧力で動作する、CHAインダストリーズ(CHA Industries)からのマーク−50(Mark-50)蒸発コーター、及びセラック社(Cerac Inc)から入手される6×6mmペレット形状の金属ターゲットを使用して、PIMポリマーに堆積された。サンプルは次に、フェムト秒機械加工を用いてレーザー切除され、アルミニウム及びPIMポリマー層を通じて円錐の孔の配列を作った。アルミニウム層に近接する穴径は、およそ13マイクロメートルであり、Au/Pd層付近では、約5マイクロメートルまで狭まっていた。レーザー切除された孔(測定値データがより容易に見えるように、明るくされている)の写真が、図13に示されている。
【0058】
有機蒸気の吸着に関して、得られた薄膜フィルムインジケータの、ミクロ孔質炭素と競う能力を評価するため、インジケータを、実施例2のミクロ孔質炭素充填ウェブの小断片上に配置し、蒸気透過性アルミニウム反射層は、ウェブ及びそのミクロ孔質炭素に接触した。炭素充填BMFウェブは、ココナツの殻から得られる40×140メッシュ活性炭顆粒(パシフィック・アクチベーティッド・カーボン社(Pacific Activated Carbon Co.)より)を含み、これは、米国特許出願公開第US 2006/0096911 A1(ブレイ(Brey)ら)に記載される通りに調製される、ISOGRAN(商標)PS440−200熱可塑性ポリウレタンから作製される弾性繊維ウェブ全体を通じて分散された。繊維ウェブは、約0.22g/cm3の炭素密度に対応し、17マイクロメートル有効繊維直径、及び500g/m2炭素含有濃度を有した。32L/分で流れる1000ppmのシクロヘキサンと均衡するとき、この不織布ウェブ層の炭素は、炭素1g当たり約0.21gのシクロヘキサンを吸着する。トルエン蒸気が炭素充填層を通過し、インジケータを越える間、インジケータは照明され、スペクトロメーター及び光ファイバー反射プローブを使用して、ガラス基材を通じて観測された。図14に示されるように、曲線A及び曲線Bはそれぞれ、初期信号及び50ppmトルエンでの信号を表しており、約27nmのピーク信号波長シフトが観測された。これは、PIMポリマー検出層が、ミクロ孔質炭素の熱力学的競争下に置かれたときに、その吸着機能性を維持したことを示した。
【0059】
(実施例4)
薄膜フィルムインジケータは、検出層として固有ミクロ孔質のポリマー(PIMs)、Au/Pd半反射層、及び銀ナノ粒子反射層を使用して調製された。実施例3の方法を使用し、ガラススライドは、Au/Pdの5nmの層でスパッタコーティングされ、続いてAu/Pd層上へとPIMポリマーの層をスピンコーティング(750rpm)した。次に、銀ナノ粒子懸濁液をPIMポリマー層へと適用することにより、2つの異なるインジケータが調製された。ハリマ社(Harima Corporation)からのNPS−J銀ナノ粒子懸濁液(テトラデカン内で60%)を使用して、インジケータAが調製された。粒子の、透過電子顕微鏡(TEM)分析は、直径において、およそ2〜10nmの寸法分布を示した。0.08gの量の、受領したままのナノ粒子懸濁液は、2ミリリットルのヘプタンと混合されて、約3.3%の銀を含有する、希釈された懸濁液をもたらした。希釈された懸濁液は、PIMフィルムに500rpmでスピンコーティングされ、500nmにおいて、100nm厚さのアルミニウム参照層に対して約62%の反射率を有する蒸気透過性反射層をもたらした。インジケータBは、日本ペイント社(Nippon Paint Corporation)(アメリカ)からのSVE 102銀ナノ粒子懸濁液(エタノール中において30%、30nm平均粒径)を使用して調製された。0.7gの量の受領したままの懸濁液が、2ミリリットルのエタノールと混合され、約9.1%の銀を含有する希釈された懸濁液をもたらした。希釈された懸濁液は、PIMフィルムに1000rpmでスピンコーティングされ、500nmにおいて、100nmの厚さのアルミニウム参照層に対して約70%の反射率を有する蒸気透過性反射層をもたらした。
【0060】
インジケータは、実施例3の方法を使用して評価され、有機蒸気の吸着に関してミクロ孔質の炭素と競争する能力を判断した。図15において、曲線A及び曲線Bはそれぞれ、インジケータAの初期信号及び50ppmトルエンにおける信号を表している。同様に、図16において、曲線A及び曲線Bはそれぞれ、インジケータBの初期信号及び50ppmトルエンにおける信号を表している。インジケータAは、50ppmトルエンの負荷を受けたとき、約20nmのピーク信号波長シフト(約564nm〜約584nm)を呈した。インジケータBは、50ppmトルエンの負荷を受けたとき、約17nmのピーク信号波長シフト(約544nm〜約561nm)を呈した。インジケータA及びインジケータBの双方は、ミクロ孔質炭素との熱力学的な競争下に置かれたとき、吸着機能性を維持した。
【0061】
(実施例5)
実施例3の方法を使用して、PIMポリマーは、モノマーBC及びFAから調製された。実施例3の方法を使用して、1mm厚さのガラススライドは、Au/Pdの5nm厚さの層で、スパッタコーティングされ、続いてPIMポリマーの層が、Au/Pd層に(1500rpmで)スピンコーティングされた。実施例4の方法を使用し(インジケータB)、希釈されたSVE 102銀ナノ粒子懸濁液がPIMフィルムにスピンコーティングされ、蒸気透過性ナノ粒子反射層をもたらした。生じる薄膜インジケータは、ガラススライドを通して視覚的に観察したときに、黄緑色の外観を有した。ダイマックス社(Dymax Corporation)からの、ダイマックス(DYMAX)(商標)OP−4−20641A号UV硬化性光学接着剤を使用して、インジケータを透明なポリカーボネート樹脂から作製した濾過カートリッジの内部側壁に接着し、蒸気透過性ナノ粒子反射層は、カートリッジの内側に面した。カートリッジは、45.7gの活性炭吸着剤で充填された。インジケータ/吸着剤の基底界面に十分な蒸気の流れを確保するため、インジケータのすぐ上及び上流のカートリッジカバーに、いくつかの小さな孔が空けられた。カートリッジは、64L/分で流れる、乾燥した空気(RH3%未満)中の50ppmトルエンを使用して負荷された。インジケータは、ポリカーボネートカートリッジを通じ、基底深さの50〜60%で、1mm未満の照明領域直径を有する光ファイバー反射プローブ及び海洋光学スペクトロメーターを使用して観察された。トルエン負荷開始から6〜16時間後、インジケータは、合計で14nmの、緩やかな着色の赤方偏移を呈する。カートリッジ内のインジケータの位置を考慮すると、インジケータの反応のタイミング及び大きさは、カートリッジ排出口に配置される、RAEシステム社(RAE Systems Inc.)からの、MULTIRAE(商標)IR光イオン化検知器(photo-ionization detector)を使用して得られる、別々に回収される濃度データと一致する。インジケータデータ及びIR光イオン化検知器データは、図17にプロットされた。
【0062】
第2カートリッジは、同じ方法で組み立てられ、64L/分で流れる乾燥した空気(3%RH未満)で500ppmのスチレンが負荷された。デジタルブルー社(Digital Blue Corporation)からのQX5(商標)コンピュータ顕微鏡が、インジケータが観察されたときに、最初に緑色に見えるように角度を調節され、スチレン蒸気を負荷されたときの、インジケータの外観を記録するために使用される。負荷が進むにつれ、インジケータの最初の緑色の着色は、カートリッジの注入口から、その排出口に向かって移動する変色フロント(color change front)に沿って、オレンジ色に変化した。最初の緑色の着色のRGBヒストグラムの結果は、平均値r=145、g=191、及びb=121になった。インジケータが、緑色からオレンジ色に変化することによってスチレンに反応した後の、ヒストグラム値は、r=208、g=179、及びb=127であった。図18は、実験の途中の、インジケータの色の白黒レンダリングを示し、蒸気の波面進行(wavefront progression)及び外観を例示している。緑色及びオレンジ色の可視部分は、文字G及びOで確認され、波面は文字Wで確認され、スチレンの流れ方向は文字Sで確認される。
【0063】
(実施例6)
実施例3の方法を使用して、PIMポリマーは、モノマーBC及びFAから調製された。0.0013Pa(1×10−5トール)の基本圧力で動作する、CHAインダストリーズ(CHA Industries)「マーク50(Mark 50)」蒸発器及びT−2003号チタニウムペレット(99.995%の純度、6mm×6mm(セラック社(Cerac, Inc.)より)を使用し、洗浄されたガラススライドは、10nm厚さの半反射Ti層によって金属化された。クロロベンゼン中にPIMポリマーを有する4%の溶液が、Ti層上に、1000rpmでスピンコーティングされた。実施例4の方法(インジケータB)を使用し、希釈されたSVE 102銀ナノ粒子懸濁液がPIMフィルムにスピンコーティングされ、蒸気透過性の反射層をもたらした。銀の堆積の後に、フィルムサンプルは、150℃で、空気中で1時間に渡って加熱された。得られた薄膜インジケータは、ガラススライドを通して視覚的に観察されたとき、緑色の外観を有した。インジケータを追加のガラススライド層に接着するために、ダイマックス(DYMAX)(商標)からの、OP−4−20641A号UV硬化性光学接着剤が使用された。得られたガラススライドの積み重ね体は、透明なポリカーボネートプラスチックから作製される濾過カートリッジの内部側壁に接着された。次に、米国特許第4,153,661号(リー(Ree)ら)及び米国特許第4,208,194号の実施例1に記載されるような方法を使用し、水性ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)粒子分散物と、粉末状の活性炭粒子を混合することによって生地が形成される。生地は、挽かれ、乾燥されるが、カレンダリングされず、フィブリル化されたPIFEのマトリックス中に定置される、活性炭粒子の複合ウェブをもたらした。炭素複合ウェブの層は、ガラススライド積み重ね体の上端部に取り付けられ、折り畳まれて、多孔質ナノ粒子反射層を覆う。残った濾過カートリッジ容積は、次に45.8gの活性炭吸着剤を充填された。インジケータ/吸着剤の基底界面に十分な蒸気の流れを確保するため、インジケータのすぐ上及び上流のカートリッジカバーに、いくつかの小さな孔が空けられた。カートリッジは、流速32L/分の乾燥した空気(3%RH未満)中の200ppmスチレンを負荷された。周囲照明を使用し、トレンドネット(TRENDnet)(商標)モデルTV−IP201Wワイヤレスカメラ(トレンドネット社(TRENDnet Company)より)が、インジケータが観察されたときに、最初に緑色に見えるように角度を調節され、スチレン蒸気を負荷されたときの、インジケータの外観を記録するために使用される。実験が進むと共に、インジケータの色は、最初の緑色から、濃い赤に変わり、色の変化は最初に濾過カートリッジの注入口付近に現れ、カートリッジの排出口に向かって移動した。蒸気の流れが止まったとき、波面はわずかにぼやけたが、カートリッジの排出口に近づきも、遠ざかりもしなかった。最初の緑色のRGBヒストグラムの結果は、平均値r=30、g=99、及びb=51となった。インジケータが、緑色から赤色に変化することによってスチレンに反応した後の、ヒストグラム値は、r=97、g=56、及びb=66であった。図19は、実験の途中のインジケータの色の白黒レンダリングを示し、蒸気の波面進行(wavefront progression)及び外観を例示している。炭素吸着剤は、文字Cで確認され、緑色及び赤色の可視部分は、文字G及びOで確認され、波面は、文字Wで確認され、スチレンの流れ方向は、文字Sで確認される。波面は、図18のインジケータ及び吸着媒体の間に炭素複合ウェブを含まない濾過カートリッジを含んだ波面よりも著しく均一である。
【0064】
(実施例7)
実施例6の方法を使用し、10nm厚さのチタニウム半反射層は、蒸発によって洗浄されたガラススライド上にコーティングされた。Tiコーティングガラススライドは、次に平面電極上に取り付けられた。次に電極が、ルーツブロアー(Roots blower)及び乾燥機械式ポンプと直列のターボ分子ポンプを備えた、アルミニウム真空チャンバーの中に取り付けられた。チャンバーは閉じられ、基本圧力の0.067Pa(0.0005トール)まで減圧された。テトラメチルシラン、酸素、及びブタジエンの気体の混合物がそれぞれ、毎分100立方センチメートル(sccm)、100sccm、及び160sccmの流速でチャンバーに導入された。モデルAMN3000インピーダンス整合ネットワーク(プラズマサーム社(PlasmaTherm Inc.)から)を通して動作するモデルRF50Sの高周波電源(RFパワープロダクツ(RF Power Products)から)を使用して、平面電極に電力を供給することによりプラズマが形成された。プラズマが動作する間、供給される電力は75ワットに維持され、チャンバーの圧力は4.93Pa(37mTorr)に維持された。0.768マイクロメートル厚さを有する、プラズマを堆積した有機薄膜を生成するために、堆積は14分間実行された。プラズマを堆積された薄膜は、真空炉で450℃の温度にて1時間アニールされ、チタン半反射層上にミクロ孔質薄膜検出層をもたらした。0.0475gの量のシルバーナノインク(SILVER NANOINK)(商標)メタノール中の銀ナノ粒子スラリー(LotSAg031027W、韓国のアドバンストナノプロダクツ(Advanced Nano Products)社から)が、追加の2ミリリットルのメタノールによって希釈され、希釈された懸濁液をもたらし、これは、薄膜検出層上に1500rpmでスピンコーティングされた。得られたスピンコーティングされた銀ナノ粒子層は、乾燥され、薄膜検出層上に蒸気透過性薄膜銀ナノ粒子反射層を生成した。
【0065】
得られたインジケータの、有機蒸気の吸着に関してミクロ孔質炭素と競争する能力を評価するため、インジケータは、実施例6で使用された炭素複合ウェブの小断片上に配置され、透過性反射層は、炭素複合ウェブと接触した。スペクトロメーター及び光ファイバー反射プローブを使用し、ガラス基材を通してインジケータの外観が観察され、センサの色合いを評価した。センサは、炭素複合ウェブを通過する、トルエン、メチルエチルケトン、及びエチルベンゼンの蒸気ストリームに暴露された。トルエン及びメチルエチルケトンストリームは、5%未満の相対湿度に維持され、エチルベンゼンストリームは、82%の相対質量に維持された。図20に結果が示され、ここで、曲線A、C、及びDはそれぞれ、観測された波長シフトとの対比における、メチルエチルケトン、トルエン、及びエチルベンゼン蒸気の濃度を示しており、ここで、曲線Bは、炭素複合ウェブが使用されなかった場合の、観測された波長シフトとの対比におけるトルエン蒸気の濃度を示している。図20における結果は、開示されるインジケータが、200ppm蒸気密度において、約6〜16nmの波長シフトを、2000ppm蒸気密度において、約12〜21nmの波長シフトを呈したことを示している。曲線B及びCはまた、開示されるインジケータ内の多孔質検出層が、ミクロ孔質炭素との熱力学的な競争下に置かれた場合であっても、吸着能力を維持したことを示している。
【0066】
(実施例8)
実施例3の方法を使用し、PIMポリマーは、モノマーBC及びFAから調製された。0.0013Pa(1×10−5トール)の基本圧力で動作する、CHAインダストリーズ(CHA Industries)「マーク50(Mark 50)」蒸発器及び、T−2003号チタニウムペレットを使用し、洗浄されたガラススライドは10nm厚さの半反射Ti層によって金属化された。クロロベンゼン中にPIMポリマーの4%の溶液が、Ti層上に、2000rpmでスピンコーティングされた。実施例4(インジケータB)の方法を使用し、希釈されたSVE102銀ナノ粒子懸濁液は、PIMフィルムにスピンコーティングされ、室温の真空下で12時間に渡って乾燥され、チタン半反射層と蒸気透過性金属ナノ粒子反射層との間に位置する、PIM検出層を備える多層薄膜インジケータをもたらした。インジケータは、ガラススライド及び半反射層を通して視覚的に観察されたとき、緑色の外観を有していた。
【0067】
インジケータの、有機蒸気の吸着に関してミクロ孔質炭素と競争する能力を判断するため、インジケータは、実施例2で使用された炭素充填不織布ウェブ94の小断片上に配置された。32L/分で流れる、1000ppmのシクロヘキサンと平衡状態で、層中の炭素は、炭素1グラム当たり0.21gのシクロヘキサンを吸着する。インジケータの外観は、スペクトロメーター及び光ファイバー反射プローブを使用して、ガラス基材を通じて観察され、乾燥した空気(3%RH未満)中、及び85%の相対質量で測定された。インジケータは、85%の相対湿度において、乾燥した空気と比較し、3nmのみのスペクトルシフトを呈し、したがってインジケータは、高湿度状態に対して一般的に感度が低いことを示した。次に、85%の相対質量雰囲気を維持すると同時に、炭素充填不織布ウェブが、20ppmでスチレン蒸気に暴露された。インジケータは、23nmスペクトルシフトを呈し、インジケータが、湿度の高い被検質ストリームに暴露されるミクロ孔質炭素との熱力学的競争に置かれた場合に、その吸着機能性を維持したことを示した。
【0068】
(実施例9)
実施例6の方法を使用して、10nm厚さのチタン半反射層は、2つの洗浄されたガラススライド上に蒸気でコーティングされた。62,900の重量平均分子量(Mw)を有するPIMポリマーは、実施例3の方法、並びにモノマーBC及びFAを使用して調製された。60/40クロロベンゼン/テトラヒドロピラン混合物中にPIMを含む3.2%の溶液が、コーティングされたガラススライドのTi層上に、1000rpmでスピンコーティングされた。1.0gの量のシルバージェット(SILVERJET)(商標)DGP 40LT−25C銀ナノ粒子(メタノール中で43.25%、韓国のアドバンストナノプロダクツ(Advanced Nano Products)社から)が、2ミリリットルのメタノールに加えられ、16.8%の固体を含む希釈された懸濁液をもたらした。希釈された懸濁液は、600rpmで、PIM層上の各コーティングされたスライド上にスピンコーティングされた。1つのスライドが次に空気乾燥され、インジケータAとして確認された。もう一方のスライドは、150℃で空気中で1時間加熱され、銀粒子を部分的に焼結し、インジケータBとして確認された。インジケータBは、100nm厚さのアルミニウム参照層に対し、500nmにおいて、約39%の反射率を有した。
【0069】
両インジケータの、有機蒸気の吸着に関してミクロ孔質の炭素と競争する能力を判断するため、各スライドのコーティングされた側は、実施例2で使用された炭素を負荷されたウェブ94の小断片に対して配置され、透過性ナノ粒子反射体は、炭素充填ウェブと接触した。インジケータは、スペクトロメーター及び光ファイバー反射プローブを使用し、ガラス基材、及び半反射層を通して観察された。インジケータは、炭素充填ウェブを通過する、50ppmのトルエン蒸気ストリームに暴露された。インジケータAのスペクトルピークは532nmから558nmにシフトし、インジケータBのスペクトル最小値は609nmから629nmにシフトし、各場合において、インジケータは、ミクロ孔質炭素との熱力学的競争下に置かれたときに吸着の機能性を維持することを示した。
【0070】
上記に引用した全ての特許及び特許出願は、背景技術の項にあるものを含めて、その全内容が参照により本書に組み込まれる。対立が生じる場合は、本文献が優先する。
【0071】
本発明の数多くの実施形態を記載してきた。本発明から逸脱することなく、様々な修正を実施できることは理解されよう。したがって、その他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体注入口、気体排出口、及び薄膜多層インジケータを含むエンクロージャを含む保護装置であって、
A)前記エンクロージャは、前記注入口から前記排出口へと流れる目的の蒸気を吸着することができる、吸着媒体を含み、
B)前記薄膜多層インジケータは、
i) ii)とiii)との間に位置する、光学的厚さが、前記蒸気の存在で変化する多孔質検出層、
ii)前記エンクロージャの外側から見える半反射層及び、
iii)前記蒸気に対して透過性の反射層、を含み、かつ
C)前記反射層は前記媒体に十分に近く、その結果、前記媒体の少なくとも一部と前記蒸気の間の適用される蒸気濃度が平衡になると、前記蒸気は、前記媒体から前記反射層を通過して前記検出層に入り、前記検出層の光学的厚さを十分に変えて、前記半反射層を通じて見たときの前記インジケータの外観に視覚的に認識可能な変化を生じることができる、保護装置。
【請求項2】
前記蒸気が存在する場合、前記インジケータ内で干渉色が作られる、又は破壊される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記インジケータが、動力付き光源も光学検出器もスペクトル分析器も必要とせずに、外観での比色分析の変化をもたらす、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記インジケータが、外部光源を使用して照明され、光検出器を使用して評価される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
変色フロントが、前記媒体を通じ、インジケータを越える前記蒸気の流れと共に進行する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、空気浄化レスピレータカートリッジを構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
蒸気通路を横断するインジケータの配列を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記インジケータが、1つ以上のロール加工工程を使用して作製することができるように、可撓性であり、破断することなく十分に曲げることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記インジケータが、基材を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記エンクロージャが、前記インジケータを覆う透明なビューポートを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記媒体が、微粉固体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記媒体が炭素を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記検出層が、前記媒体が有するような蒸気吸着特性をもたらすために選択される、孔径又は表面積の範囲を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記インジケータが、視覚的に認識可能な着色を有し、前記検出層が、前記インジケータ着色ピーク波長よりも小さな孔径を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記検出層が、光学的干渉によって色、又は比色分析の変化を生じるために適当な厚ささの、透明及び多孔質の層に形成され得る多孔質シリカ、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又は他の無機材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記検出層が、プラズマ化学蒸着によって形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記検出層が、疎水性(メタ)アクリレート、二官能性モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、又はこれらの混合物又は組み合わせから調製される、又は調製することができる、ポリマー、コポリマー又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記検出層が、固有ミクロ孔質を有するポリマーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記検出層が、ビス−カテコール及びフッ素化アレーンのポリマーを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記半反射層及び反射層が、金属若しくは金属酸化物、又は多層光学フィルムを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記検出層に隣接する半反射層の面は、約±10nm以内の精度で平坦である、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記反射層と吸着媒体の基底との間の、吸着剤充填コンポジットの多孔質層を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置を含む、レスピレータ。
【請求項24】
A)エンクロージャを提供する工程であって、
i)前記エンクロージャを通じて流れる目的の蒸気を吸着する吸着媒体を含む空間と、
ii)薄膜多層インジケータであって、
a) b)とc)との間に位置する、光学的厚さが、蒸気の存在で変化する多孔質検出層と、
b)前記エンクロージャの外側から見える、半反射層と、
c)前記蒸気に透過性の反射層、とを含む薄膜多層インジケータとを含むエンクロージャを提供する工程と、
B)前記媒体の少なくとも一部が前記蒸気によって飽和する際、蒸気が前記反射層から、前記検出層へと通過し、前記検出層の光学的厚さを十分に変えて、前記半反射層を通じて見たときに、前記インジケータの外観に視覚的に認識可能な変化を生じるように、前記エンクロージャ内の前記媒体を、前記反射層に十分近くに配置する工程と、
C)前記エンクロージャを密閉する工程、とを含む、保護装置を作製する方法。
【請求項25】
前記装置が、空気浄化レスピレータカートリッジを構成する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記インジケータが、可撓性であり、破断することなく曲げることができる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記エンクロージャが、前記インジケータを覆う透明なビューポートを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記媒体が、微粉固体を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記媒体が炭素を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記検出層が、光学的干渉によって色、又は比色分析の変化を生じるために適当な厚ささの、透明及び多孔質の層に形成され得る多孔質シリカ、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又は他の無機材料を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
プラズマ化学蒸着によって前記検出層を形成する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記検出層が、疎水性(メタ)アクリレート、二官能性モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、又はこれらの混合物又は組み合わせから調製される、又は調製することができる、ポリマー、コポリマー又はこれらの混合物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記検出層が、固有ミクロ孔質を有するポリマーを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記検出層が、ビス−カテコール及びフッ素化アレーンのポリマーを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記半反射層及び反射層が、金属若しくは金属酸化物、又は多層光学フィルムを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記検出層に隣接する半反射層の面は、約±10nm以内の精度で平坦である、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記反射層と吸着媒体の基底の間に、吸着剤充填コンポジットの多孔質層を配置する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記エンクロージャを、レスピレータに取り付ける工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項1】
気体注入口、気体排出口、及び薄膜多層インジケータを含むエンクロージャを含む保護装置であって、
A)前記エンクロージャは、前記注入口から前記排出口へと流れる目的の蒸気を吸着することができる、吸着媒体を含み、
B)前記薄膜多層インジケータは、
i) ii)とiii)との間に位置する、光学的厚さが、前記蒸気の存在で変化する多孔質検出層、
ii)前記エンクロージャの外側から見える半反射層及び、
iii)前記蒸気に対して透過性の反射層、を含み、かつ
C)前記反射層は前記媒体に十分に近く、その結果、前記媒体の少なくとも一部と前記蒸気の間の適用される蒸気濃度が平衡になると、前記蒸気は、前記媒体から前記反射層を通過して前記検出層に入り、前記検出層の光学的厚さを十分に変えて、前記半反射層を通じて見たときの前記インジケータの外観に視覚的に認識可能な変化を生じることができる、保護装置。
【請求項2】
前記蒸気が存在する場合、前記インジケータ内で干渉色が作られる、又は破壊される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記インジケータが、動力付き光源も光学検出器もスペクトル分析器も必要とせずに、外観での比色分析の変化をもたらす、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記インジケータが、外部光源を使用して照明され、光検出器を使用して評価される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
変色フロントが、前記媒体を通じ、インジケータを越える前記蒸気の流れと共に進行する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、空気浄化レスピレータカートリッジを構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
蒸気通路を横断するインジケータの配列を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記インジケータが、1つ以上のロール加工工程を使用して作製することができるように、可撓性であり、破断することなく十分に曲げることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記インジケータが、基材を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記エンクロージャが、前記インジケータを覆う透明なビューポートを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記媒体が、微粉固体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記媒体が炭素を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記検出層が、前記媒体が有するような蒸気吸着特性をもたらすために選択される、孔径又は表面積の範囲を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記インジケータが、視覚的に認識可能な着色を有し、前記検出層が、前記インジケータ着色ピーク波長よりも小さな孔径を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記検出層が、光学的干渉によって色、又は比色分析の変化を生じるために適当な厚ささの、透明及び多孔質の層に形成され得る多孔質シリカ、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又は他の無機材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記検出層が、プラズマ化学蒸着によって形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記検出層が、疎水性(メタ)アクリレート、二官能性モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、又はこれらの混合物又は組み合わせから調製される、又は調製することができる、ポリマー、コポリマー又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記検出層が、固有ミクロ孔質を有するポリマーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記検出層が、ビス−カテコール及びフッ素化アレーンのポリマーを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記半反射層及び反射層が、金属若しくは金属酸化物、又は多層光学フィルムを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記検出層に隣接する半反射層の面は、約±10nm以内の精度で平坦である、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記反射層と吸着媒体の基底との間の、吸着剤充填コンポジットの多孔質層を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
請求項1に記載の装置を含む、レスピレータ。
【請求項24】
A)エンクロージャを提供する工程であって、
i)前記エンクロージャを通じて流れる目的の蒸気を吸着する吸着媒体を含む空間と、
ii)薄膜多層インジケータであって、
a) b)とc)との間に位置する、光学的厚さが、蒸気の存在で変化する多孔質検出層と、
b)前記エンクロージャの外側から見える、半反射層と、
c)前記蒸気に透過性の反射層、とを含む薄膜多層インジケータとを含むエンクロージャを提供する工程と、
B)前記媒体の少なくとも一部が前記蒸気によって飽和する際、蒸気が前記反射層から、前記検出層へと通過し、前記検出層の光学的厚さを十分に変えて、前記半反射層を通じて見たときに、前記インジケータの外観に視覚的に認識可能な変化を生じるように、前記エンクロージャ内の前記媒体を、前記反射層に十分近くに配置する工程と、
C)前記エンクロージャを密閉する工程、とを含む、保護装置を作製する方法。
【請求項25】
前記装置が、空気浄化レスピレータカートリッジを構成する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記インジケータが、可撓性であり、破断することなく曲げることができる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記エンクロージャが、前記インジケータを覆う透明なビューポートを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記媒体が、微粉固体を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記媒体が炭素を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記検出層が、光学的干渉によって色、又は比色分析の変化を生じるために適当な厚ささの、透明及び多孔質の層に形成され得る多孔質シリカ、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又は他の無機材料を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
プラズマ化学蒸着によって前記検出層を形成する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記検出層が、疎水性(メタ)アクリレート、二官能性モノマー、ビニルモノマー、炭化水素モノマー(オレフィン)、シランモノマー、フッ素化モノマー、ヒドロキシル化モノマー、アクリルアミド、無水物、アルデヒド官能化モノマー、アミン若しくはアミン塩官能化モノマー、酸官能化モノマー、エポキシド官能化モノマー、又はこれらの混合物又は組み合わせから調製される、又は調製することができる、ポリマー、コポリマー又はこれらの混合物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記検出層が、固有ミクロ孔質を有するポリマーを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記検出層が、ビス−カテコール及びフッ素化アレーンのポリマーを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記半反射層及び反射層が、金属若しくは金属酸化物、又は多層光学フィルムを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記検出層に隣接する半反射層の面は、約±10nm以内の精度で平坦である、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記反射層と吸着媒体の基底の間に、吸着剤充填コンポジットの多孔質層を配置する工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記エンクロージャを、レスピレータに取り付ける工程を更に含む、請求項24に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2010−502375(P2010−502375A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527482(P2009−527482)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/076287
【国際公開番号】WO2008/033647
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/076287
【国際公開番号】WO2008/033647
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]