説明

薄膜型ガスセンサ

【課題】過度の発熱が起きず、検知感度の良いガス検知素子を提供する。
【解決手段】センサ領域R内に複数の梁部で構成する保持部材を、支持基板41から延設して設ける。梁部に設ける薄膜熱感知体は、センサ領域Rの中心領域Bから外れた位置に複数設ける。それぞれの薄膜熱感知体は、センサ領域Rの中心点Cに対して点対称にしてもよく、中心点Cから等距離の位置にしてもよい。こうすることで、ガスの到来時に熱が集中せず、また、複数の薄膜熱感知体は同一形状、同一大きさにして熱容量が同一になるようにすれば、ガスの検知の際の感度特性や反応速度特性も向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種のガス漏れを検知する接触燃焼式ガスセンサに関し、特に薄膜型ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水素ガスやメタンガス等の可燃性ガスを検知するセンサとして、ガスセンサが用いられている。ガスセンサは、検知素子の検知面にガスが到来することによる相互作用で検知素子の電気信号の変化を捉えるものである。なお、以降の説明では、可燃性ガスを単にガスと表現する。
【0003】
ガスセンサの構成に関しては多くの提案をみるが、中でも接触燃焼式ガスセンサが広く知られている。この接触燃焼式ガスセンサは、ガスが検知面を有する検出素子や触媒と接触して発熱反応を起こすことでガスの到来を検知するものである。
【0004】
このような接触燃焼式ガスセンサは、家庭用、産業用等において、ガスを使用する各種の機器内や、それが設置された室内等におけるガス漏れ検知装置として多用されている。
【0005】
近年では、接触燃焼式ガスセンサの中でもバルク型と呼ばれるタイプが広く用いられているが、一方でシリコンウエハ上に薄膜状の熱伝膜、触媒膜、電極、配線、ヒータを形成するマイクロセンサ素子製造技術を利用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械素子)によるセンサチップを用いた薄膜型ガスセンサも用いられるようになってきた(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に示した従来技術を図13を用いて説明する。図13は、説明しやすいようにその主旨を逸脱しないように書き直しした平面図である。
図13において、19は電極パッド、18は電気配線、3は空洞、2は半導体基板、17は熱感知部、16は梁部である。
半導体基板2は、枠形状に加工されており、この枠をつなぐ梁部16が形成されている。平面から見ると、その梁部16がない部分は空洞3となっている。空洞3は、エアホールとも呼ばれるものであって、ガスが通過する部分である。
梁部16の上部に設けられた熱感知部17は、ガスの到達により発熱反応し抵抗値が変化する。
【0007】
このような構成を有するセンサチップと、このセンサチップを制御する回路等により薄膜型ガスセンサを構成する。ガスの到来を検出するためには、予め電極パッド19間に電圧を印加しておき、ガスの到来による熱感知部17の発熱によって生じる抵抗変化分を検出する。
【0008】
薄膜型ガスセンサのセンサチップは、構成要素が半導体製造技術により形成することができるため、バルク型接触燃焼式ガスセンサに比べ集積度が高く、量産性も高いという特徴がある。また、ヒータなども金属製の薄膜熱感知体で形成できることから、熱応答性も良好である。
【0009】
近年、薄膜型ガスセンサの小型化が要求されている。薄膜型ガスセンサのサイズは、センサチップの平面的な面積、並びに厚さによって決定するため、小面積で薄型のセンサチップであるほど、薄膜型ガスセンサを小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−247981号公報(第6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、薄膜型ガスセンサは、そのサイズの小型化要求とともにガスの感知性能の向上も要求されている。特許文献1に示した従来技術において、そのような要求に対応しようとするならば、梁部16の上部に設けられた熱感知部17の数を増やせばよい。具体的には、梁部16の上部に複数の熱感知部17を配設するのである。
【0012】
このような構成にすれば、より多くの熱感知部17がガスに晒されるので、同時に複数の熱感知部17が発熱する。これにより発熱量が多くなるから、熱応答性が向上し、その結果、感知性能が向上するのである。
【0013】
しかしながら、複数の熱感知部17を配設する構造は、熱感知部17が発する熱が隣接する他の熱感知部17に影響し、過度なる発熱を起こしてしまうことがあることが分かった。ようするに、熱感知部17が密集していると、その部分に熱が篭ってしまうのである。
このような過度なる発熱は、熱感知部17を設けている梁部16に熱ストレスとして印加され、梁部16自体に亀裂などの損傷を起こしてしまうという問題を発生する。
【0014】
すなわち、特許文献1に示した従来技術は、ガスの感知性能を向上させようとすると、センサチップ自体が損傷してしまうのである。
薄膜型ガスセンサは、特許文献1に示した従来技術に示したように、MEMSによるセンサチップを用いることで、小型化を達成している。
つまり、ガスの感知性能の向上とセンサチップの小型化とを両立する技術は、いまだ提案されていないのである。
【0015】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、センサチップの小型化とガスの感知性能の向上とを両立した薄膜型ガスセンサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するため、本発明の薄膜型ガスセンサは、以下に示す構成を採用するものである。
【0017】
枠形状をなす支持基板の内側をセンサ領域とし、このセンサ領域に支持基板から延設して保持部材を設け、センサ領域の保持部材上に複数の薄膜熱感知体を備えた薄膜型ガスセンサにおいて、薄膜熱感知体は、センサ領域の中心点から離間して配置することを特徴とする。
【0018】
このような構成にすることで、センサ領域の中心点付近に薄膜熱感知体が集中して配置しないため、ガスの到来によって生じる発熱も集中しない。
【0019】
薄膜熱感知体は、中心点に対して点対称に配置するようにしてもよい。また、複数の薄膜熱感知体がセンサ領域の中心点からそれぞれ等距離にあるようにしてもよい。
【0020】
このような構成にすることによって、ガスの到来によって生じる薄膜熱感知体に発生する熱が均等になる。
【0021】
また、本発明の薄膜型ガスセンサは、複数の薄膜熱感知体の熱容量がそれぞれ同一であることが望ましい。
【0022】
これによって、それぞれの薄膜熱感知体に同一な発熱特性が得られ、ガスを検知する感度特性や反応速度特性などの精度が向上する。
【0023】
また、本発明の薄膜型ガスセンサは、複数の薄膜熱感知体が金属薄膜抵抗体を介してそれぞれ互いに接続しているのが望ましい。
【0024】
薄膜熱感知体を金属薄膜抵抗体を介してそれぞれ接続することで、複数の薄膜熱感知体を直列に接続することができる。
【0025】
また、本発明の薄膜型ガスセンサは、保持部材には薄膜熱感知体の搭載部を避けて貫通孔が形成されているのが望ましい。
【0026】
貫通孔を有することで、貫通孔を通ってガスが保持部材の上面側と裏面側とに流通することができるため、センサ領域に到来したガスが留まることがなくなり、ガスにより保持部材に不測の応力が印加されることがなくなる。
【0027】
また、本発明の薄膜型ガスセンサは、保持部材が薄膜熱感知体の搭載部の幅よりその厚さが薄いことが望ましい。
【0028】
このような構成にすると、保持部材の熱容量が小さくなり、ガスの検出感度が向上する。
【0029】
また、保持部材は、複数の薄膜を積層してなる積層膜構造をなし、積層膜を構成する第1の薄膜は、その断面が矩形の梁構造を有し、積層膜を構成する第2の薄膜は、メンブレン構造を有し、このメンブレン構造は、支持基板からセンサ領域に向かって一様な薄膜であり、薄膜熱感知体の搭載部を避けて貫通孔を有する構成であってもよい。
【0030】
このような構成にすると、保持部材の強度が向上する。また、第1の薄膜と第2の薄膜とで、膜の応力特性を変えることもできるため、保持部材を応力に対して強くすることができる。
【0031】
また、保持部材を複数備え、複数の保持部材は、その端部がセンサ領域の中心点と平面的に重ならないようにしてなる片持ち梁構造をなし、複数の保持部材のそれぞれに薄膜熱感知体を設けるようにしてもよい。
【0032】
このような構成にすると、片持ち梁構造としてバランスがよくなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の薄膜型ガスセンサは、薄膜熱感知体が適度に離間することにより、薄膜熱感知体の密集がなくなり、発熱の集中が生じない。
従って、保持部材の損傷が防止され、センサとしての寿命を延ばすことができる。また、薄膜熱感知体を分散してバランスよく配置することができるため、薄膜熱感知体の抵抗値を高く設定することが可能となり、ガスの検知の際の感度特性や反応速度特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の薄膜型ガスセンサの第1の実施形態を説明する平面図および端面図である。
【図2】図1(a)における矢印Dの部位の部分拡大図である。
【図3】本発明によるガス検知感度の向上を説明するグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態を説明する平面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を説明する平面図と端面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態を説明する平面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態を説明する平面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態の異なる構成を説明する平面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態を説明する平面図と端面図である。
【図10】本発明の第7の実施形態を説明する平面図である。
【図11】本発明の第8の実施形態を説明する平面図と端面図である。
【図12】本発明の実装形態を説明する概略図である。
【図13】特許文献1に記載されたガスセンサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の薄膜型ガスセンサは、複数の薄膜熱感知体を、センサ領域の中心点から少し離れた部位に分散させて配置する。
具体的には、枠形状の支持基板の内壁で囲まれたセンサ領域に保持部材を設ける。保持部材は、例えば、支持基板から延設された梁部である。この保持部材に薄膜熱感知体を設けるのであるが、センサ領域の中心である中心点とは重ならないようにすると共に、この中心点から離間して設けるのである。
このような構造を有することによって、薄膜熱感知体がセンサ領域の中心点付近に集中して配置しないため、ガスの到来によって生じる発熱も集中しない。よって、薄膜型ガスセンサの小型化とガスの感知性能の向上とが図れるものである。
【0036】
なお、本発明の薄膜型ガスセンサのガスの検知手順であるが、薄膜熱感知体に電流を流し、通電による発熱で所定の温度に達した状態でガスが到来するまで待機する。ガスが到来し、薄膜熱感知体の上部のガス検知体にガスが接触することでガス検知体が燃焼し、薄膜熱感知体はより発熱する。これにより、薄膜熱感知体に流れる電流値が変化するので、それを検出するものである。
このような検出手順はすでに知られているものであるから、詳細な説明は省略するものとする。
【0037】
なお、薄膜熱感知体がセンサ領域の中心点付近に集中して配置しないという特徴的な構成は、少なくとも2つの薄膜熱感知体で構成することができるが、もちろん、その数を増やしてもかまわない。1つの保持部材に1つの薄膜熱感知体を設けてもよく、また、1つの保持部材に複数の薄膜熱感知体を備えてもよい。
【0038】
薄膜熱感知体は、その数を増やすことで、到来するガスが接触する場所が増え、発熱しやすくなるから(その抵抗値が変化しやすくなるから)、検出感度が向上する。また、増やした薄膜熱感知体をすべて直列に接続するなどすると、抵抗値が高くなるため、ガスの到来による抵抗値の変化をさらに検出しやすくなる。もちろん、1つの保持部材に設ける薄膜熱感知体の数は、本発明の薄膜型ガスセンサを用いるシステムによっても変わる。
【0039】
いずれにしても、薄膜熱感知体の数に関係なく、その薄膜熱感知体をセンサ領域の中心点付近に集中しないように、中心点から離間して配置することで、ガスの到来による発熱がセンサ領域に分散されるので、熱の集中がなく、薄膜型ガスセンサとして破損しにくくなり、その寿命が向上するのである。
【0040】
以下、図面を用いて実施形態の詳細を説明する。すでに説明したように、本発明にあっては、少なくとも2つの薄膜熱感知体を有していればよいのであるが、検出感度が向上する好例として、4つの薄膜熱感知体を用いる例と、8つの薄膜熱感知体を用いる例とを用いて説明する。
【実施例1】
【0041】
[第1の実施形態の説明:図1、図2]
本発明の薄膜型ガスセンサの第1の実施形態を図1、図2を用いて説明する。図1は、本発明の薄膜型ガスセンサの第1の実施形態の構造を模式的に示す図である。図1(a)はその平面図、図1(b)は図1(a)の切断線X−X´における端面を模式的に示す端面図である。図2は、図1(a)に示す梁部の接続部分を拡大した部分拡大図である。
【0042】
図1において、41は枠形状の支持基板、41cは支持基板41の内壁、42は絶縁膜、42hは貫通孔である。43a,43b,43c,43dは梁部である。44a,44b,44c,44dは電極パッドである。45a,45b,45c,45d,45e,45fは金属薄膜抵抗体である。46a,46b,46c,46dは薄膜熱感知体である。48は薄膜熱感知体の上部を覆うガス感知体である。このガス検知体48は、触媒として働くものである。そして、これらでガス検知素子40を構成している。
【0043】
記号Rは、センサ領域を示している。図1に示すように、ガス検知素子40は、枠形状の支持基板41から、その内側に梁部43a〜43dが構成されている。これらの梁部には、薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とガス検知体とが設けられている。
このようにセンサ領域Rは、ガスの検出を行う構成が設けられる領域であり、支持基板41の4つの内壁41cに囲まれた部分がセンサ領域Rである。
【0044】
記号Cは、センサ領域Rの中心点を示している。図1では「+」で示している。記号Bは、センサ領域Rの中央領域であり、中心点Cを含む領域である。図1では円形の破線で示している。この中央領域Bは、図1に示す例では、梁部43a,43b,43c,43dが合流する合流部分でもある。
【0045】
図1、図2において、中央領域Bにて隣り合う梁部の接続部分は、記号Dで示している。図2に示すように、接続部分Dには、梁部同士が接する点Bcdから三角形の張出部Fを有するようになっている。
【0046】
[外形形状の説明:図1、図2]
まず、外形形状を説明する。
図1に示すように、支持基板41の形状は、平面的に枠形状を有している。支持基板41は、絶縁性を有し、熱伝導率が低く、耐熱性に優れている材質が適している。さらに、加工のし易さを鑑みると、知られている半導体素子の製造方法を適用できることから、例えば、シリコン(Si)が好適である。もちろん、その他の材質を用いてもかまわない。
【0047】
図1(b)に示すように、支持基板41の表面には、絶縁膜42が形成されている。絶縁膜42は、例えば、酸化シリコン(SiO)で構成している。もちろん、窒化シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タンタル(Ta)なども用いることができる。また、これらを積層した積層膜としてもよい。
【0048】
絶縁膜42の形状は、図1(a)に示すように、枠形状の対向する2辺を所定の幅を持って橋渡しするように形成されており、梁部43a〜43dを構成している。図1に示す例では、梁部43a〜43dは、その裏側に支持基板41はなく、絶縁膜42のみで構成
している。梁部43a〜43dは、薄膜熱感知体や金属薄膜抵抗体を搭載する保持部材である。
【0049】
ところで、このように、支持基板を橋渡しするように梁部が設けてある構成を、両持ち梁構造という。なお、支持基板から梁部が延在し、その端部が開放端となっている構成を、片持ち梁構造という。
どちらの梁構造であっても、ガスが到来して、そのガスの圧力により生じる力が梁部43a〜43dにかかり、応力が発生したとしても、梁部が損壊しないような強度を備える必要がある。
【0050】
絶縁膜42を積層膜とするとき、積層する膜の応力特性を変えるようにしてもよい。例えば、2つの膜を積層するとき、下の膜を引っ張り応力を有する膜とし、上の膜を圧縮応力を有する膜とするのである。
このようにすれば、双方の膜の応力を打ち消すことができる。そうすると、ガスの到来により生じる力が梁部43a〜43dにかかったとしても、梁部に発生する撓みに絶縁膜42自体の応力特性は関与しないから、梁部の設計がし易くなる。
【0051】
図1(a)に示すように、支持基板41が梁部43a〜43dにより分割された領域が、ガスの流通部となる貫通孔42hとなっている。図1に示す例では、梁部が4つあるため、この貫通孔42hも4つある。この貫通孔42hは、いわゆるエアホールと呼ばれ、ガスが通過する部分となっている。
【0052】
貫通孔42hを有することで、貫通孔を通ってガスが保持部材である梁部43a〜43dの上面側と裏面側とに流通する。そうすると、センサ領域Rに到来したガスが留まることがないため、ガスの流入を阻害することがない。
【0053】
支持基板41から延設された梁部43a〜43dは、中央領域Bでそれぞれが接続している。接続部分Dには、張出部Fを有している。この張出部Fによって、梁部同士の接続部分は、直角ではなく鈍角を有するようになっている。梁部は4つあるため、張出部Fも4つある。このため、各梁部は、張出部Fの分だけ表面積が増えるから、強度を向上することができる。ガスの到来による応力が梁部にかかっても、梁部が損壊することはない。
【0054】
[薄膜熱感知体、金属薄膜抵抗体、電極パッドの説明:図1、図2]
次に、梁部43a〜43dの上部に設ける薄膜熱感知体および金属薄膜抵抗体、そしてこれらに接続する電極パッドについて説明する。
絶縁膜42で構成している保持部材である梁部43a〜43dの上部には、薄膜熱感知体46a〜46d、金属薄膜抵抗体45a〜45fが設けてある。支持基板41上の絶縁膜42の上部には、電極パッド44a〜44dが設けてある。
電極パッドは支持基板41の上部のどこに設けてもかまわないが、図1に示す例では、図1(a)の平面視して時計の文字板に例えると、電極パッド44aは12時方向、同じく、電極パッド44bは9時方向、電極パッド44cは6時方向、電極パッド44dは3時方向にそれぞれ設けている。
【0055】
それぞれの梁部にはそれぞれ薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とが設けられている。梁部43aの上部には、薄膜熱感知体46aと金属薄膜抵抗体45aとが設けてある。支持基板41上の電極パッド44aとは、金属薄膜抵抗体45aを介して薄膜熱感知体46aが接続されている。
【0056】
同様に、梁部43bの上部には、薄膜熱感知体46bと金属薄膜抵抗体45bとが設けてあり、電極パッド44bには、金属薄膜抵抗体45bを介して薄膜熱感知体46bが接
続されている。
梁部43cの上部には、薄膜熱感知体46cと金属薄膜抵抗体45cとが設けてあり、電極パッド44cには、金属薄膜抵抗体45cを介して薄膜熱感知体46cが接続されている。
梁部43dの上部には、薄膜熱感知体46dと金属薄膜抵抗体45dとが設けてあり、電極パッド44dには、金属薄膜抵抗体45dを介して薄膜熱感知体46dが接続されている。
【0057】
4つの薄膜熱感知体46a,46b,46c,46dは、それぞれセンサ領域Rの中心点Cから離間して配設しているが、図1に示す例では、中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれを設けている。つまり、薄膜熱感知体46aと薄膜熱感知体46cとが中心点Cに対して点対称であり、薄膜熱感知体46bと薄膜熱感知体46dとが中心点Cに対して点対称である。また、中心点Cから等距離になるようにも設けている。
【0058】
このような構成にすれば、ガスの到来によって生じる薄膜熱感知体に発生する熱が均等になり、特定の薄膜熱感知体に熱が集中し、それにより熱が集中した薄膜熱感知体を設けている特定の梁部が熱ストレスを受けて損壊することがなくなるのである。
【0059】
図1に示す例では、各薄膜熱感知体の上部にはガス感知体48を設けている。このガス感知体48は、ガスが到来し、接触したとき発熱する。いわゆる触媒である。薄膜熱感知体の材質にもよるが、このように、ガス感知体48を設けることで、ガスの到来に対応して熱を発生しやすくなるので、薄膜型ガスセンサの仕様に応じて用いるとよい。
【0060】
なお、各薄膜熱感知体は、その熱容量が同一である方が好ましい。具体的には、各々の薄膜熱感知体を構成する材質を同一としたときは、その幅と膜厚とを同一にすればよい。
このようにすれば、それぞれの薄膜熱感知体の発熱特性がばらつくことがなくなるため、ガスを検知する感度特性や反応速度特性などの精度を向上することができるのである。
【0061】
ところで、ガスを検知する際の反応速度特性とは、ガスが到来して薄膜熱感知体が発熱したとき、薄膜熱感知体が、ガスが到来したと感知する所定の温度に達するまでの速度を示すものである。
また、感度特性とは、ガスが到来して発熱し、薄膜熱感知体の抵抗値が変化する変化量のことをいう。
すなわち、センサとしては、ガスが到来したときに所定の温度まで素早く変化し、その抵抗値の変化量が大きいほど感度がよいとされているのである。
【0062】
[薄膜熱感知体の形状説明:図1]
次に、薄膜熱感知体の形状を説明する。
4つの薄膜熱感知体46a,46b,46c,46dは、複数の折り返し部を有する九十九折りパターンの形状をなしている。図1に示す例では、1つの薄膜熱感知体の折り返し部は6つ設けている。
先の説明のとおり、各薄膜熱感知体は同一の熱容量とする方が好ましいため、このような九十九折り形状を有していても、各薄膜熱感知体の熱容量が同一になるために、同一形状、同一大きさになるよう形成している。
【0063】
ところで、薄膜熱感知体46a〜46dの抵抗値は、適する値が存在する。もちろん、高抵抗である方が、ガス検知の感度特性や反応速度特性が向上して好ましいのである。抵抗値を高くするためには、加工が難しくなるものの、薄膜熱感知体を細く、薄く形成すればよい。
【0064】
しかしながら、薄膜熱感知体のパターンの幅などを小さくすると、電力密度が増して、エレクトロマイグレーションの影響を受けやすくなる。
エレクトロマイグレーションとは、電気伝導体の中で移動する電子が金属原子と衝突し、これらの間で運動量の交換が行われるために、金属原子が徐々に移動する現象である。このため、金属原子が欠乏した部分に、欠損が生じるのである。
エレクトロマイグレーションが発生すると、薄膜熱感知体の断線が発生し、ガスセンサとしての寿命が短くなってしまう。
【0065】
このような事情から、薄膜熱感知体の抵抗値には、ガスセンサとして十分な感度とエレクトロマイグレーションなどへの耐性とを両立する値が存在するのである。
このような事情を鑑みて、薄膜熱感知体46a〜46dの形状を決めるのであるが、一般に、薄膜熱感知体46a〜46dのパターンの幅を小さくすると、折り返し部も数多く設けることができ、実質的にパターンの全長を長くすることができて高抵抗が得られる。このため、薄膜熱感知体のパターンの幅や膜厚などのほか、折り返し部の個数なども考慮に入れて、抵抗値を決めるのである。
【0066】
薄膜熱感知体46a〜46dの九十九折りパターン形状は、図1に示す例では、梁部43a〜43dの短手方向(幅方向)に折り返し部を有しているが、もちろんこれに限定するものではない。図示はしないが、長手方向(長さ方向)に折り返し部を有してもよいのである。
いずれにしても、九十九折りパターン形状は、薄膜熱感知体の配設スペースを小さくすることができるのでセンサ領域Rを小型化でき、その結果、薄膜型ガスセンサ自体も小型化することができるという効果も奏するのである。
【0067】
[薄膜熱感知体の配置の説明:図1]
次に、薄膜熱感知体を梁部に配置する上での特徴を説明する。
センサ領域Rの中央領域Bは、梁部43a,43b,43c,43dが合流する合流部分となっている。この部分には、薄膜熱感知体46a〜46dは設けていない。つまり、各薄膜熱感知体は、中心点Cから離間している。これは本発明の特徴的な部分である。このような構成にすれば、センサ領域Rの中心点Cを含む中央領域Bに過度なる発熱が集中することを防止することができる。
【0068】
図1に示す例では、中央領域Bの部分では、2つの薄膜熱感知体を金属薄膜抵抗体でそれぞれ接続している。薄膜熱感知体46aと薄膜熱感知体46dとを金属薄膜抵抗体45eで接続し、薄膜熱感知体46bと薄膜熱感知体46cとを金属薄膜抵抗体45fで接続している。つまり、2つの薄膜熱感知体を直列に接続している。
【0069】
なお、金属薄膜抵抗体45e,45fは、中心点Cから外れた部位に設けている。 このようにすれば、中央領域B内で2つの金属薄膜抵抗体同士が交差することなく、4つの梁部43a,43b,43c,43dの上部に4つの薄膜熱感知体46a,46b,46c,46dを平面的に分散して配設することができる。
なお、中央領域Bには、張出部Fが設けてあるため、その分だけ表面積が広くなるから、金属薄膜抵抗体のパターン形成に余裕をもたせることができる。
【0070】
[梁部を構成する絶縁膜の説明:図1]
次に、梁部の構造の特徴を説明する。
保持部材である梁部43a〜43dは、その上面側に薄膜熱感知体46a〜46dと、それに接続する金属薄膜抵抗体45a〜45f、および薄膜熱感知体の上部にガス感知体48を設けるので、それらの部材を保持するに耐えうる強度を必要とする。そのため、梁部43a〜43dを構成する絶縁膜42の膜厚は、所定の厚みを必要とする。
しかしながら、到来するガスの検知性能を向上させるためには、薄膜熱感知体46a〜46dを搭載する部分(梁部43a〜43d)の熱容量を小さくする方が望ましい。なぜならば、熱容量が大きいと、ガスの到来により生じた熱が梁部に吸収されてしまうからである。この状態では、薄膜熱感知体の熱が上昇しきれず(つまり、抵抗値が変化しきれず)、ガスが到来してもそれを感知することができなくなってしまう。
【0071】
このように、梁部43a〜43dの強度とガスを検知するための性能とは、トレードオフの関係にあるから、梁部43a〜43dを構成する絶縁膜42の膜厚は、それを鑑みて適宜に設定する。到来するガスの種類、薄膜熱感知体やガス検知体の材質によっても発熱温度が異なるから、例えば、実験を繰り返してデータを取るなどして、絶縁膜42の膜厚を設定してもよい。
【0072】
また、梁部43a〜43dの薄膜熱感知体46a〜46dを搭載する部位の幅も同様である。この幅が広ければ、梁部の強度は向上する。
発明者が検討したところ、梁部43a〜43dの薄膜熱感知体46a〜46dを搭載する部位の幅とその膜厚とは、「膜厚<幅」とすることがよいことを見出した。その理由は、薄膜熱感知体46a〜46dが搭載されている部位の直下が最も熱伝導性が高いからである。そのため、梁部43a〜43dを構成する絶縁膜42の膜厚を薄くして熱容量を小さくし、幅を大きくして強度を維持するとよいのである。
【0073】
図1に示す例では、例えば、電極パッド44aと電極パッド44bとを外部の基板上などで電気的に接続し、電極パッド44cと電極パッド44dとの間に電源および電流計を接続すると、4つの薄膜熱感知体が直列接続になり、これらに電流を流すことができると共に、電流量を計測することができる。具体的には、電極パッド44cと電極パッド44dとの間に図示しない電源から電圧を印加しておき、薄膜熱感知体に通電しておく。その後、ガスが到来するとガスに反応して薄膜熱感知体の温度が上昇し、その電流量に変化が起きる。この電流量の変化を捉えることで、ガスの到来を知り得ることができるのである。
【0074】
なお、すでに説明したとおり、ガスの到来による発熱をすばやくさせて検出感度を向上させる目的で、薄膜熱感知体46a〜47dの上部には、ガス検知体48を設けているが、その材質などの詳細については、後述する。
【0075】
ところで、ガスの到来により薄膜熱感知体46a〜46dが発熱することで、そのガスの到来を知り得るわけであるから、各々の薄膜熱感知体にどのように電流を流し、その電流を計測するかは、図1に示す例に限定するものではないのは明らかである。
【0076】
これら薄膜熱感知体、金属薄膜抵抗体、電極パッドは、同一の金属で構成することができる。これらは、高融点貴金属を用いる場合が多く、例えば、白金(Pt)である。
【0077】
このような高融点貴金属を用いる理由は、温度である。すなわち、薄膜熱感知体の上部にはガス感知体48が設けてあり、このガス検知体48は、触媒として機能するものであって、ガスが到来したときに発熱し、検出感度を向上させる効果がある。ガス検知体48は、薄膜熱感知体上に焼結させている。しかし、このガス検知体48の焼結温度は高く、用いる触媒の材質にもよるが、例えば、600〜700度程度である。そして、ガスが到来したときに生じる温度を、いわゆる燃焼温度と呼び、その温度は、例えば、400度を超える。
このように、薄膜熱感知体や金属薄膜抵抗体は高温に晒されるため、高融点貴金属を用いるのである。
【0078】
薄膜熱感知体46a〜46d、金属薄膜抵抗体45a〜45f、電極パッド44a〜44dは、保持部材である絶縁膜42との密着性を良くするために、クロム(Cr)やチタン(Ti)、あるいは、これらの合金からなる金属膜を下地層として設け、その上に白金(Pt)を形成して構成してもよい。例えば、白金(Pt)は、スパッタリング法などの知られている形成方法で形成することができる。
なお、薄膜熱感知体、金属薄膜抵抗体、電極パッドは、白金(Pt)以外の材料としては、ロジウム(Rd)、パラジウム(Pd)、金(Au)などの高融点貴金属、あるいは、これらの合金金属などを用いることができる。
【0079】
[ガス検知体の説明]
薄膜熱感知体46a〜46dの上面に設けるガス感知体48は、ガスの到来による発熱をすばやくさせて検出感度を向上させる目的で設ける触媒である。特に限定するものではないが、例えば、酸化アルミニウム(Al)からなる熱伝導層と、この熱伝導層の表面に燃焼触媒層を重ねた構成を有している。
燃焼触媒層は、例えば、酸化スズ(SnO)を主成分にして、白金(Pt)とパラジウム(Pd)なる燃焼触媒の微粉末を溶媒に混ぜ合わせてスラリー状にし、それを熱伝導層の表面に塗布して600°Cの温度で焼結したものである。
【0080】
図1に示す例では、ガス検知体48は、センサ領域Rの中央領域Bにて、梁部43a〜43dの上部に十字型に薄膜熱感知体46a〜46dを覆うように設けているが、これに限定するものではない。各薄膜熱感知体の上部に独立してガス検知体48を設けてもよいのである。
もちろん、薄膜熱感知体46a〜46dの抵抗値、到来するガスの種類などに応じて、ガス検知体48を設けない場合もある。
【0081】
また、図1(b)に示すように、ガス感知体48は、薄膜熱感知体46a〜46dの上面側にのみ設ける例を示したが、もちろんこれに限定するものではない。到来するガスは貫通孔42hを通って流通するので、図示はしないが、保持部材である梁部43a〜43dを挟んでその裏面側にも設けてもよい。つまり、ガス感知体48で梁部43a〜43dを上下から包むようにしてもよいのである。
このような構造をとると、燃焼触媒層の表面面積が増してガスとの接触面積が増え、より速く燃焼することができる。そして、ガス検知の反応速度を更に速める効果を得る。
【0082】
[第1の実施形態による効果の説明:図3]
本発明のガスセンサの効果を、図3のグラフを用いて説明する。図3は第1の実施形態の構造のガスセンサと、特許文献1に示された技術を元にしたガスセンサ(従来技術によるガスセンサと称する)とを試作し、実際にガス検知試験を行い、それぞれのガス感度特性を比較したものである。
【0083】
検知対象のガスは水素を用いており、図3に示すグラフの横軸は水素濃度、縦軸はガスセンサの出力電圧であるセンサ出力を示している。センサ出力とは、ガスの到来により薄膜熱感知体が発熱してその抵抗値が変化し、それに応じて流れる電流値が変化したときの電圧出力を示している。
【0084】
図3のグラフでは、従来技術によるガスセンサを「従来例」とし、「□」で示している。第1の実施形態の構造のガスセンサは「本発明」とし、「◆」で示している。
図3に示すとおり、本発明のガスセンサは、従来技術によるガスセンサと比べて、約2倍程度のガス感度特性が得られている。
【0085】
これは、センサ領域Rの所定の部分に薄膜熱感知体が集中せず、分散して配置している
ため、到来するガスが各薄膜熱感知体に適度に接触するためである。
【0086】
また、第1の実施形態の構造のガスセンサと従来技術によるガスセンサとで、それぞれガス検知体48(触媒)の燃焼試験を行い、良品率を比較した例を以下の表1に示す。なお、この燃焼試験により、薄膜熱感知体にかかる熱の影響を調べることができる。また、ここでいう良品率とは、ガスセンサとしてガスの検出実験を行ったときに、正常にセンサ出力が発生するものを良品とした。
【0087】
【表1】

【0088】
表1に示すように、従来技術によるガスセンサでは、梁部の中央に薄膜熱感知体が集中しているため、その部分で過度なる発熱が起こり、梁部が損壊し、良品率を下げている。これに対し、第1の実施形態の構造のガスセンサ(表1では、本発明のガスセンサと表記)では、薄膜熱感知体を分散してバランスよく配置しているため、過度なる発熱が起きず、梁部が損壊しないため、良品率が高いのである。
【実施例2】
【0089】
[第2の実施形態の説明:図4]
次に、第2の実施形態を図4を用いて説明する。
図4は第2の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。なお、図4は、説明しやすいように、例えば、ガス検知体48など説明に必要のない構成は省略している。また、すでに説明した同一の構成については同一符号を付与しており、詳細な説明は省略する。
【0090】
図4において、54a,54bは電極パッドである。55a,55b,55c,55d,55e,55f,55g,55h,55iは金属薄膜抵抗体である。56a,56b,56c,56d,56e,56f,56g,56hは薄膜熱感知体である。そして、これらでガス検知素子50を構成している。
【0091】
梁部43a〜43dの上部には、薄膜熱感知体56a〜56h、金属薄膜抵抗体55a〜55iが設けてある。支持基板41上の上部には、電極パッド54a,54bが設けてある。
電極パッドは支持基板41の上部のどこに設けてもかまわないが、図4に示す例では、電極パッド54a,54bは9時方向に設けている。
【0092】
梁部43bの上部には、薄膜熱感知体56a,56bと金属薄膜抵抗体55a,55bとが設けてある。
同様に、梁部43cの上部には、薄膜熱感知体56c,56dと金属薄膜抵抗体55dとが設けてある。梁部43dの上部には、薄膜熱感知体56e,56fと金属薄膜抵抗体
55fとが設けてある。梁部43aの上部には、薄膜熱感知体56g,56hと金属薄膜抵抗体55hとが設けてある。
つまり、図4に示す例では、1つの梁部に2つの薄膜熱感知体を搭載しているのである。
【0093】
センサ領域Rの中央領域B(図4では省略しているが、図1(a)を参照されたい)には、金属薄膜抵抗体55c,55e,55g,55iが設けてある。これら金属薄膜抵抗体は、それぞれセンサ領域Rの中心点Cから離間するとともに、中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれを設けている。つまり、金属薄膜抵抗体55cと金属薄膜抵抗体55gとが中心点Cに対して点対称であり、金属薄膜抵抗体55eと金属薄膜抵抗体55iとが中心点Cに対して点対称である。また、中心点Cから等距離になるようにも設けている。
【0094】
図4に示す例では、電極パッド54aと電極パッド54bとは、各金属薄膜抵抗体と各薄膜熱感知体を介して接続されている。
つまり、電極パッド54aから辿ると、金属薄膜抵抗体55a、薄膜熱感知体56a、金属薄膜抵抗体55i、薄膜熱感知体56h、金属薄膜抵抗体55h、薄膜熱感知体56g、金属薄膜抵抗体55g、薄膜熱感知体56f、金属薄膜抵抗体55f、薄膜熱感知体56e、金属薄膜抵抗体55e、薄膜熱感知体56d、金属薄膜抵抗体55d、薄膜熱感知体56c、金属薄膜抵抗体55c、薄膜熱感知体56b、金属薄膜抵抗体55bを経て電極パッド54bと接続している。
【0095】
図4に示すガス検知素子50の構成は、8つの薄膜熱感知体56を直列に接続した回路をなしているのである。電極パッド54aと電極パッド54bとの間に電源および電流計を接続すると、8つの薄膜熱感知体に電流を流すことができると共に、電流量を計測することができるのである。
このような構成にすることで、図示しない外部の機器との接続配線を減らすことができる。
【0096】
梁部43a〜43dの上部に設ける薄膜熱感知体56a〜56hは、1つの梁部の上部にて、隣接して梁部表面に対して平行にバランス良く配置している。すでに説明したように、薄膜熱感知体同士が接近して配設されると、双方に過度なる発熱の影響が出てしまうが、そのような状況を鑑みて、双方を離間して配設する。
【0097】
また、梁部43a〜43dの上部に設ける薄膜熱感知体56a〜56hは、それぞれ中心点Cから等距離に配置されていて均等な分散をなしており、全体的に重量バランスがとれた状態になっている。
ところで、薄膜熱感知体56a,56bを第1の薄膜熱感知体群とし、薄膜熱感知体56c,56dを第2の薄膜熱感知体群とし、薄膜熱感知体56e,56fを第3の薄膜熱感知体群とし、薄膜熱感知体56g,56hを第4の薄膜熱感知体群と、仮に決めると、各薄膜熱感知体群は、中心点Cに対して点対称に配置されていることになる。
さらにまた、それぞれの薄膜熱感知体は、折り返し部を有する九十九折りパターンの形状をなし、同一形状、同一の大きさに形成している。
【0098】
このような構成をなすことにより、少ない梁の数で多くの薄膜熱感知体を平面的にバランスのとれた状態で搭載することができる。そして、ガス検知の感度特性や反応速度特性を高めることができると共にその特性の精度を高めることができる。
また、外部での接続を必要とせず、全ての薄膜熱感知体を直列で使用できるため、ガスセンサとしてのサイズを小型化することができる。
【実施例3】
【0099】
[第3の実施形態の説明:図5]
次に、第3の実施形態を図5を用いて説明する。
図5(a)はその平面図、図5(b)は図5(a)の切断線Y−Y´における端面を模式的に示す端面図である。図5において、69は層間絶縁膜である。なお、すでに説明した同一の構成については同一符号を付与しており、詳細な説明は省略する。
【0100】
図5において、63a,63b,63c,63dは梁部である。69は層間絶縁膜である。60はガス検知素子を示している。
【0101】
図5に示す第3の実施形態のガス検知素子60の特徴は、薄膜熱感知体46a〜46dを立体的に配置しているという点である。
図5(b)に示すように、支持基板41の表面には、絶縁膜42が形成されており、この絶縁膜42で梁部63a,63cを構成している。絶縁膜42の上部には、層間絶縁膜69を設けており、この層間絶縁膜69と絶縁膜42とで梁部63b,63dを構成している。
【0102】
層間絶縁膜69は、枠形状の支持基板41の表面に設けている絶縁膜42のさらに上部に設けている。図5(a)に示す平面図では、支持基板41の電極パッド44a〜44dを除く表面全てが層間絶縁膜69となっている。
したがって、梁部63a〜63dは、すべて絶縁膜42と層間絶縁膜69との積層構造になっている。
【0103】
梁部63a,63cは、絶縁膜42と層間絶縁膜69との間に薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とを備えており、梁部63b,63dは、梁部の最上面である層間絶縁膜69の上部に薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とを備えている。
【0104】
薄膜熱感知体46aおよび金属薄膜抵抗体45aは、絶縁膜42で構成する梁部63a上に設けている。同じく、薄膜熱感知体46cおよび金属薄膜抵抗体45cは、絶縁膜42で構成する梁部63c上に設けている。
また、薄膜熱感知体46bおよび金属薄膜抵抗体45bは、層間絶縁膜69で構成する梁部63b上に設けている。同じく、薄膜熱感知体46dおよび金属薄膜抵抗体45dは、層間絶縁膜69で構成する梁部63d上に設けている。
【0105】
なお、これらの梁部63a〜63dの上部の薄膜熱感知体45a〜45dを覆うように、ガス検知体48を設けている。
【0106】
中央領域Bは、下側の梁部63aと梁部63cとの接続部分と、上側の梁部63bと梁部63dとの接続部分と、が上下に交差する領域となっている。
この中央領域Bにあっては、下側の梁部63aと梁部63cとの接続部分において薄膜熱感知体46aと薄膜熱感知体46cとが金属薄膜抵抗体45eにより接続されている。また、上側の梁部63bと梁部63dとの接続部分において薄膜熱感知体46bと薄膜熱感知体46dとが金属薄膜抵抗体45fにより接続されている。
金属薄膜抵抗体45eと金属薄膜抵抗体45fとの間には層間絶縁膜69があるから、双方が接触してしまうことはない。
【0107】
電極パッド44a〜44dは、すべて層間絶縁膜69の上部に設けてある。電極パッド44a,44cの下部には、図示はしないが層間絶縁膜69を開口するスルーホールが設けられており、電極パッド44aと金属薄膜抵抗体45aとが接続され、電極パッド44cと金属薄膜抵抗体45cとが接続されている。
【0108】
このように、第3の実施形態の梁部は、絶縁膜42と層間絶縁膜69との積層膜構造になっている。
すなわち、梁部63a,63cの構造は、絶縁膜42の上部に薄膜熱感知体46a,46cと金属薄膜抵抗体45a,45c,45eとを設けてあり、その上部に層間絶縁膜69を設けている。つまり、下側の梁部は、絶縁膜42と層間絶縁膜69との間に薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とが設けてあるのである。
【0109】
一方、梁部63b,63dの構造は、絶縁膜42の上部に層間絶縁膜69を設けてあり、その上部に薄膜熱感知体46b,46dと金属薄膜抵抗体45b,45d,45fとを設けている。つまり、上側の梁部は、絶縁膜42と層間絶縁膜69とが積層された上部に薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とが設けてあるのである。
【0110】
このようにすれば、薄膜熱感知体46a〜46dは、中心点Cから等距離に配置されていて均等な分散をなしており、全体的に重量バランスがとれた状態とすることができる。
また、4つの薄膜熱感知体46a〜46dは、中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれを設けている。図5に示す第3の実施形態では、薄膜熱感知体46a〜46dを立体的に配置しているため、詳しくは、薄膜熱感知体46aと薄膜熱感知体46cとが点対称になっており、薄膜熱感知体46bと薄膜熱感知体46dとが点対称になっている。
【0111】
各薄膜熱感知体は、中心点Cから等距離に配置されていて、折り返し部を有する九十九折りパターンの形状をなしており、同一大きさで形成している。
このように、それぞれの薄膜熱感知体は、同一形状、同一の大きさに形成することにより、梁部における熱容量も同一とすることができ、ガス検知の感度特性や反応速度特性を高めることができると共にその特性の精度を高めることができる。
【0112】
このように、1つのセンサ領域Rの内部にあっても、梁構造を異ならせてもよい。もちろん、それぞれの梁部に設ける薄膜熱感知体や金属薄膜抵抗体の抵抗値などを適宜変更することで、ガスを検知する感度特性や反応速度特性などの精度を向上することができるのである。
【0113】
層間絶縁膜69は、絶縁膜42と同一の材料で構成することができる。例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、窒化シリコン(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化タンタル(Ta)などの材料を用いることができる。
【0114】
もちろん、絶縁膜42と層間絶縁膜69とを異なる材料の膜で構成してもよい。また、絶縁膜42と層間絶縁膜69との膜の応力特性を変えるようにしてもよい。例えば、絶縁膜42を引っ張り応力を有する膜とし、層間絶縁膜69を圧縮応力を有する膜とするのである。このようにすれば、すでに説明したように、双方の膜の応力を打ち消すことができる。
【0115】
また、絶縁膜42および層間絶縁膜69をそれぞれ積層膜とすることもできる。このとき、積層する膜の応力特性をそれぞれ変えるようにしてもよいのである。例えば、絶縁膜42および層間絶縁膜69をそれぞれ2つの膜で積層するとき、絶縁膜42の下の膜を引っ張り応力を有する膜とし、上の膜を圧縮応力を有する膜とし、層間絶縁膜69の下の膜を引っ張り応力を有する膜とし、上の膜を圧縮応力を有する膜とするのである。つまり、応力特性が相反する膜を交互に設けるのである。このようにすれば、双方の膜の応力を打ち消すことができるばかりか、1つの膜厚が薄膜化するため、膜の応力自体を低減することができるのである。
【0116】
なお、中央領域Bにおいては、すでに説明した第1の実施形態および第2の実施形態に例示した張出部Fは設けていない例を示したが、もちろん、これに限定するものではない。
【実施例4】
【0117】
[第4の実施形態の説明:図6]
次に、第4の実施形態を図6を用いて説明する。
図6は第4の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。図6において、73a,73b,73c,73d,73e,73f,73g,73hは梁部である。74a,74b,74c,74d,74e,74f,74g,74hは電極パッドである。75a,75b,75c,75d,75e,75f,75g,75h,75i,75j,75k,75lは金属薄膜抵抗体である。76a,76b,76c,76d,76e,76f,76g,76hは薄膜熱感知体である。70はガス検知素子を示している。なお、すでに説明した同一の構成については同一符号を付与しており、詳細な説明は省略する。
【0118】
図6に示す第4の実施形態のガス検知素子70の特徴は、8つの梁部で保持部材を構成しており、第3の実施形態と同様に、絶縁膜42の上部に層間絶縁膜69を設け、薄膜熱感知体76a〜76hを立体的に配置しているという点である。
つまり、各梁部に薄膜熱感知体、金属薄膜抵抗体を設けてそれらを接続し、中央領域Bで薄膜熱感知体同士を金属薄膜抵抗体で接続している構成は基本的に同じであり、その数が違うものである。
【0119】
薄膜熱感知体76b,76d、76f,76hと金属薄膜抵抗体75b,75d、75f,75hとは、絶縁膜42(図6には図示しない)で構成する梁部73b,73d、73f,73h上にそれぞれ設けている。同じく、薄膜熱感知体76a,76c,76e,76gと金属薄膜抵抗体75a,75c、75e,75gとは、絶縁膜42の上部に設ける層間絶縁膜69で構成する梁部73a,73c、73e,73g上にそれぞれ設けている。
【0120】
層間絶縁膜69は、すでに説明した例と同様に、枠形状の支持基板41の表面に設けている絶縁膜42のさらに上部に設けており、図6(a)に示す平面図では、支持基板41の電極パッド74a〜74hを除く表面全てが層間絶縁膜69となっている。
したがって、梁部73a〜73hは、すべて絶縁膜42と層間絶縁膜69との積層構造になっている。
【0121】
梁部73b,73d,73f,73hは、絶縁膜42と層間絶縁膜69との間に薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とを備えており、梁部73a,73c,73e,73gは、梁部の最上面である層間絶縁膜69の上部に薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とを備えている。
【0122】
なお、これらの梁部73a〜73hの上部の薄膜熱感知体76a〜76hを覆うように、ガス検知体48を設けているが、図6においては、図面を見やすくするために省略している。
【0123】
中央領域Bは、下側の梁部73b,73d,73f,73hの接続部分と、上側の梁部73a,73c,73e,73gの接続部分と、が上下に交差する領域となっている。
この中央領域Bにあっては、下側の梁部である梁部73bと梁部73dとにそれぞれ設けている薄膜熱感知体76bと薄膜熱感知体76dとが金属薄膜抵抗体75kにより接続されている。同様に、下側の梁部である梁部73fと梁部73hとにそれぞれ設けている薄膜熱感知体76fと薄膜熱感知体76hとが金属薄膜抵抗体75lにより接続されている。
【0124】
また、上側の梁部である梁部73aと梁部73gとにそれぞれ設けている薄膜熱感知体76aと薄膜熱感知体76gとが金属薄膜抵抗体75jにより接続されている。同様に、上側の梁部である梁部73cと梁部73eとにそれぞれ設けている薄膜熱感知体76cと薄膜熱感知体76eとが金属薄膜抵抗体75iにより接続されている。
金属薄膜抵抗体75k,75lと金属薄膜抵抗体75i,75jとの間には層間絶縁膜69があるから、双方が接触してしまうことはない。
【0125】
電極パッド74a〜74hは、すべて層間絶縁膜69の上部に設けてある。電極パッドは支持基板41の上部のどこに設けてもかまわないが、図6に示す例では、電極パッド74a,74c,74e,74gは、それぞれ12時方向、9時方向、6時方向、3時方向に設けており、電極パッド74b,74d,74f,74hは、それぞれ支持基板41の角部に設けている。
【0126】
電極パッド74b,74d,74f,74hの下部には、図示はしないが層間絶縁膜69を開口するスルーホールが設けられており、電極パッド74bと金属薄膜抵抗体75bとが、電極パッド74dと金属薄膜抵抗体75dとが、電極パッド74fと金属薄膜抵抗体75fとが、電極パッド74hと金属薄膜抵抗体75hとがそれぞれ接続されている。
【0127】
このように、第4の実施形態の梁部は、第3の実施形態と同様に、絶縁膜42と層間絶縁膜69との積層膜構造になっている。
【0128】
なお、中央領域Bにおいては、金属薄膜抵抗体75k,75l,75i,75jは、第1の実施形態と同様に、センサ領域Rの中心点Cの上部には設けていない。
そして、8つの薄膜熱感知体76a〜76hも他の実施形態と同様に、それぞれセンサ領域Rの中心点Cから離間して配設しており、中心点Cから等距離になるようにも設けている。
【0129】
図6に示す第4の実施形態では、薄膜熱感知体を立体的に配置しているが、中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれを設けている。
詳しくは、薄膜熱感知体76aと薄膜熱感知体76eとが点対称になっており、薄膜熱感知体76cと薄膜熱感知体76gとが点対称になっている。同様に、薄膜熱感知体76bと薄膜熱感知体76fとが点対称になっており、薄膜熱感知体76dと薄膜熱感知体76hとが点対称になっている。
【0130】
このようにすれば、薄膜熱感知体76a〜76hは、中心点Cから等距離に配置されていて均等な分散をなしており、全体的に重量バランスがとれた状態になる。
さらにまた、それぞれの薄膜熱感知体は、同一形状、同一の大きさに形成することにより、梁部における熱容量も同一とすることができ、ガス検知の感度特性や反応速度特性を高めることができると共にその特性の精度を高めることができる。
【0131】
第4の実施形態は、梁部を8つ設ける例を示した。このように多くの梁部に薄膜熱感知体を分けて配置することにより、1つの梁部当たりの熱容量が低減されることから、薄膜熱感知体の感度が向上する。また、1つの梁部当たりの重量が低減されるから、梁部自体が軽くなり、ガスの到来などによる不足の応力が加わっても、破壊に至りにくくなるのである。
【0132】
なお、第4の実施形態では、梁部の数を8つとしたが、これは一例である。到来するガスの種類や、薄膜熱感知体の材料や抵抗値によって、自由に選択することができる。
また、絶縁膜42と層間絶縁膜69とは、第3の実施形態と同様に、同じ材料を用いて
も異なる材料を用いてもよく、もちろん、複数の膜を積層する積層膜構造を有してもよい。
【実施例5】
【0133】
[第5の実施形態の説明1:図7]
次に、第5の実施形態を図7を用いて説明する。
図7は第5の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。図7において、42aはメンブレン構造体である。82hはメンブレン構造体42aに設ける貫通孔である。84a,84bは電極パッドである。85a,85b,85c,85d,85eは金属薄膜抵抗体である。86a,86b,86c,86dは薄膜熱感知体である。80はガス検知素子である。すでに説明した同一の構成については同一符号を付与しており、詳細な説明は省略する。
【0134】
図7に示す第5の実施形態のガス検知素子80の特徴は、保持部材をメンブレン構造とした点である。すでに説明した第1から第4の実施形態は、支持基板41の上部に絶縁膜42を設け、この絶縁膜42で支持基板41の枠形状の対向する2辺を所定の幅を持って橋渡しするように梁部を構成していた。図7に示す第5の実施形態では、保持部材を梁部で構成せず、メンブレン構造体42aとしたものである。
【0135】
メンブレン構造体42aは、支持基板41の上部に設ける絶縁膜42をセンサ領域Rの方向に一様な薄膜で構成したものである。メンブレンとは「膜」を意味するものであり、メンブレン構造とは、膜による構造そのものを意味するものであるが、本発明の実施形態では、説明しやすいように絶縁膜42のうち、センサ領域Rの部分をメンブレン構造体42aとしている。
【0136】
薄膜熱感知体86a〜86dおよび金属薄膜抵抗体85a〜85eは、絶縁膜42で構成するメンブレン構造体42a上に設けている。電極パッド84a,84bは、絶縁膜42の上ではあるが、支持基板41の上部に設けている。電極パッドは支持基板41の上部のどこに設けてもかまわないが、図7に示す例では、6時方向に設けている。
【0137】
メンブレン構造体42aは、特に限定しないが、例えば、1μmの薄膜である。メンブレン構造体42aの上部の、薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とを有していない部分に貫通孔82hを設けている。この貫通孔82hは、すでに説明した第1〜第4の実施形態の貫通孔42hと同様の役割を有しており、ガスが通過する部分となっている。
【0138】
貫通孔82hは、図7に示す例では、円形の形状を有しているが、もちろん、その形状は一例であって、多角形で構成してもよい。また、多角形と円形とを組み合わせてもよく、自由に変更が可能である。
【0139】
薄膜熱感知体86aと薄膜熱感知体86bとは、金属薄膜抵抗体85bで接続している。同様に、薄膜熱感知体86bと薄膜熱感知体86cとは、金属薄膜抵抗体85cで接続し、薄膜熱感知体86cと薄膜熱感知体86dとは、金属薄膜抵抗体85dで接続している。
薄膜熱感知体86aは、金属薄膜抵抗体85aにより、電極パッド84aに接続しており、同様に、薄膜熱感知体86dは、金属薄膜抵抗体85eにより、電極パッド84bに接続している。
【0140】
なお、メンブレン構造体42aの上部の薄膜熱感知体86a〜86dを覆うように、ガス検知体48を設けるのであるが、図7においては、図面を見やすくするために省略している。
【0141】
図7に示す例では、薄膜熱感知体86a〜86dは、センサ領域Rの中心点Cを囲むように設けているが、それぞれの薄膜熱感知体は、中心点Cから離間して配設しており、中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれを設けている。また、中心点Cから等距離になるようにも設けている。
【0142】
図7に示す第5の実施形態では、薄膜熱感知体86aと薄膜熱感知体86cとが点対称になっており、薄膜熱感知体86bと薄膜熱感知体86dとが点対称になっている。
【0143】
図7に示す第5の実施形態では、保持部材をメンブレン構造体42aとすることで、枠形状の支持基板41の内壁41cに囲まれたセンサ領域Rはすべてメンブレン構造体42aとなるこのような構造であるから、膜自体にしなやかさを有している。このため、流通するガスの流圧によってメンブレン構造体42aに撓みが生じても、その撓みは小さく抑えることができる。また、メンブレン構造体42aに生じる応力も分散して小さくなり、メンブレン構造体42aの損壊を抑制する効果を生む。
【0144】
また、4つの薄膜熱感知体が均等な分散配置をとり、すでに説明した実施形態と同様に、それぞれの熱容量を同一としておけば、ガス検知の感度特性や反応速度特性を高めることができると共にその特性の精度を高めることができる。
【0145】
[第5の実施形態の説明2:図8]
次に、第5の実施形態の別の構成を図8を用いて説明する。
図8は第5の実施形態の別の構造を模式的に示す平面図である。図8に示す構成も、図7に示す構成と同様に、薄膜熱感知体86a〜86dおよび金属薄膜抵抗体85a〜85eは、絶縁膜42で構成するメンブレン構造体42a上に設けているのである。しかし、相違点は、薄膜熱感知体86a〜86dの配置が、メンブレン構造体42a上に分散して配置しているという点である。
【0146】
図8に示す構成では、各薄膜熱感知体は、中心点Cに対して点対称に配置しているものではなく、中心点Cからの距離も同一ではない。メンブレン構造体42aに対しては、多少重量バランスが悪くはなるが、センサ領域Rに分散しているため、熱の集中は緩和できる。このように、薄膜熱感知体は、中心点Cから離間して、センサ領域Rにばらけて配置してもよいのである。
【実施例6】
【0147】
[第6の実施形態の説明:図9]
次に、第6の実施形態を図9を用いて説明する。
図9は第6の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。図9(a)はその平面図、図9(b)は図9(a)の切断線Z−Z´における端面を模式的に示す端面図である。
図9において、99は絶縁膜である。99aは絶縁膜99で構成したメンブレン構造体である。99hはメンブレン構造体99に設ける貫通孔である。90はガス検知素子である。すでに説明した同一の構成については同一符号を付与しており、詳細な説明は省略する。
【0148】
図9に示す第6の実施形態のガス検知素子90の特徴は、保持部材を梁部とメンブレン構造体とにした点である。図5を用いて説明した第3の実施形態と図7や図8を用いて説明した第5の実施形態とを合わせた構成であって、下側の梁部63a,63cの上部に上側の梁部63b,63dを重ねており、これら2つの梁部の下部にメンブレン構造体99aを設ける構成である。
【0149】
メンブレン構造体99aは、支持基板41の上部に設ける絶縁膜99をセンサ領域Rの方向に一様な薄膜で構成したものである。図7や図8を用いてすでに説明した第5の実施形態のメンブレン構造体42aと同様に、絶縁膜99のうち、センサ領域Rの部分をメンブレン構造体99aとしている。
【0150】
層間絶縁膜69は、すでに説明した例と同様に、枠形状の支持基板41の表面に設けている絶縁膜42のさらに上部に設けており、図9(a)に示す平面図では、支持基板41の電極パッド44a〜44dを除く表面全てが層間絶縁膜69となっている。
したがって、梁部63a〜63dは、すべてメンブレン構造体99aと絶縁膜42と層間絶縁膜69との積層構造になっている。
【0151】
なお、梁部63a,63cは、メンブレン構造体99aの上部に設ける絶縁膜42と層間絶縁膜69との間に薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とを備えており、梁部63b,63dは、梁部の最上面である層間絶縁膜69の上部に薄膜熱感知体と金属薄膜抵抗体とを備えている。
【0152】
なお、メンブレン構造体99aの上部の薄膜熱感知体46a〜46dを覆うように、ガス検知体48を設けるのであるが、図9においては、図面を見やすくするために省略している。
【0153】
図示しないが、中央領域Bにおいて、梁部63a〜63dに設ける薄膜熱感知体46a〜46dと平面的に重なるメンブレン構造体99aの膜厚を薄くするか、除去してもかまわない。
そのようにすれば、薄膜熱感知体の下部の膜厚が薄くなり、熱容量が小さくなるので、センサとしての感度が向上する。
【0154】
なお、図9に示す例では、2つの梁部の下部にメンブレン構造体99aを設ける構成を説明したが、これに限定するものではない。2つの梁部の上部にメンブレン構造体99aを設けてもよいのである。
【0155】
いずれの構成においても、梁部とメンブレン構造体とで保持部材を構成すれば、保持部材を損壊しにくくすることができる。2つの梁部を構成する絶縁膜42と層間絶縁膜69、そしてメンブレン構造体99aを構成する絶縁膜99は、すでに説明した実施形態と同様に、その材料や膜厚を適宜選択することができる。これにより、梁部自体が有する応力を打ち消しあったり、強度としなやかさを兼ね備えた保持部材とすることができるためである。
【実施例7】
【0156】
[第7の実施形態の説明:図10]
次に、第7の実施形態を図10を用いて説明する。
図10は第7の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。図10において、103a,103b,103c,103dは梁部である。104a,104b,104c,104d,104e,104f,104g,104hは電極パッドである。105a,105b,105c,105d,105e,105f,105g,105h,105i,105j,105k,105lは金属薄膜抵抗体である。106a,106b,106c,106d,106e,106f,106g,106hは薄膜熱感知体である。100はガス検知素子である。すでに説明した同一の構成については同一符号を付与しており、詳細な説明は省略する。
【0157】
図10に示す第7の実施形態のガス検知素子100の特徴は、保持部材を構成する梁部
が、いわゆる片持ち梁構造を有している点である。つまり、支持基板41から梁部を構成する絶縁膜42が中心点Cに向かって延在し、その端部が開放端となっている構成である。
センサ領域Rの中央領域Bでは、各梁部は離間しているため、梁部の接続部分Dは存在しない。
なお、電極パッド104a〜104hは、支持基板41の上部の絶縁膜42の上に設けてある。電極パッドは支持基板41の上部のどこに設けてもかまわないが、図10に示す例では、12時方向、9時方向、6時方向、3時方向にそれぞれ設けている。
【0158】
梁部103aの上部には、薄膜熱感知体106a,106hと、金属薄膜抵抗体105a,105h,105iとが設けてある。薄膜熱感知体106aと薄膜熱感知体106hとは、梁部103aの端部にて金属薄膜抵抗体105iで接続されている。薄膜熱感知体106aは、金属薄膜抵抗体105aで電極パッド104aに接続し、薄膜熱感知体106hは、金属薄膜抵抗体105hで電極パッド104ah接続している。
他の梁部に関しても同様に、2つの薄膜熱感知体が梁部の端部にて金属薄膜抵抗体で接続されており、そして電極パッドにそれぞれ接続されている。
【0159】
なお、薄膜熱感知体106a〜106hを覆うように、ガス検知体48を設けるのであるが、図10においては、図面を見やすくするために省略している。ガス検知体48は、各梁部の上部の薄膜熱感知体ごとに設けるが、それぞれの梁部を橋渡しするように中心点Cの上部を覆うように設けてもかまわない。
【0160】
図10に示す例では、他の実施形態と同様に、薄膜熱感知体106a〜106hは、センサ領域Rの中心点Cから離間して配設している。中心点Cに対して点対称の位置にそれぞれを設けており、中心点Cから等距離になるようにも設けている。
ところで、薄膜熱感知体106a,106hを第1の薄膜熱感知体群とし、薄膜熱感知体106b,106cを第2の薄膜熱感知体群とし、薄膜熱感知体106d,106eを第3の薄膜熱感知体群とし、薄膜熱感知体106f,106gを第4の薄膜熱感知体群と、仮に決めると、各薄膜熱感知体群は、中心点Cに対して点対称に配置されていることになる。
【0161】
図10に示すような構成にすれば、梁構造としては、しなやかであり、ガスの到来により圧力が生じても、それぞれの梁部が自由に撓むことでその力を受け流すことができる。これにより、梁部の損壊を防止することができるのである。
また、それぞれの薄膜熱感知体が均等な分散配置をとり、すでに説明した実施形態と同様に、それぞれの熱容量を同一としておけば、ガス検知の感度特性や反応速度特性を高めることができると共にその特性の精度を高めることができる。
【0162】
なお、第7の実施形態では、梁部103a〜103dは、絶縁膜42で構成しているため、強度などは同一となっているが、これに限定するものではない。すでに説明したように、絶縁膜42は、複数の膜を積層した積層膜構造を有してもよい。このとき、各梁部の膜の材料や膜厚をそれぞれ変えることで、それぞれの梁部の強度や撓み具合を変えることができる。
そのような構成にすれば、到来するガスの向きや角度、速度などに応じて、より適する梁部を構成することができるのである。
【0163】
なお、ガス検知体48は、それぞれの梁部を橋渡しするように中心点Cの上部を覆うように設けてもかまわないと説明したが、このような構成にすると、梁部103a〜103dがガス検知体48にて接続されるような形態になる。このため、ガスの到来により、それぞれの梁部が自由に撓むことでその力を受け流すことができにくくなるが、もちろん、
梁部を構成する膜の材料や膜厚を選択することで、梁構造としてのしなやかさを有することもできる。
【実施例8】
【0164】
[第8の実施形態の説明:図11]
次に、第8の実施形態を図11を用いて説明する。
図11は第8の実施形態の構造を模式的に示す平面図である。図11(a)はその平面図、図11(b)は図11(a)の切断線W−W´における端面を模式的に示す端面図である。
図11において、119は絶縁膜である。119aは絶縁膜119で構成したメンブレン構造体である。119hはメンブレン構造体119に設ける貫通孔である。110はガス検知素子である。すでに説明した同一の構成については同一符号を付与しており、詳細な説明は省略する。
【0165】
図11に示す第8の実施形態のガス検知素子110の特徴は、保持部材を梁部とメンブレン構造体とにした点である。図10を用いて説明した第7の実施形態と図7や図8を用いて説明した第5の実施形態とを合わせた構成であって、梁部103a〜103dの下部にメンブレン構造体119aを設ける構成である。
【0166】
メンブレン構造体119aは、支持基板41の上部に設ける絶縁膜119をセンサ領域Rの方向に一様な薄膜で構成したものである。図7や図8を用いて説明した第5の実施形態のメンブレン構造体42aと同様に、絶縁膜119のうち、センサ領域Rの部分をメンブレン構造体119aとしている。
【0167】
なお、梁部103a〜103dの上部の薄膜熱感知体106a〜106hを覆うように、ガス検知体48を設けるのであるが、図11においては、図面を見やすくするために省略している。
【0168】
図示しないが、中央領域Bにおいて、梁部103a〜103dに設ける薄膜熱感知体106a〜106hと平面的に重なるメンブレン構造体119aの膜厚を薄くするか、除去してもかまわない。
そのようにすれば、薄膜熱感知体の下部の膜厚が薄くなり、熱容量が小さくなるので、センサとしての感度が向上する。
【0169】
なお、図11に示す例では、梁部103a〜103dの下部にメンブレン構造体119aを設ける構成を説明したが、これに限定するものではない。梁部103a〜103dの上部にメンブレン構造体119aを設けてもよいのである。
【0170】
梁部103a〜103dは、片持ち梁構造と同様に、それぞれが撓むことができるため、梁構造としては、よりしなやかである。それらの下部にメンブレン構造体119aを設けることで、強度も有することができる。したがって、保持部材を損壊しにくくすることができる。
【0171】
以上、第1の実施形態〜第8の実施形態では、薄膜熱感知体の上部にガス検知体を設ける構成を例示してきたが、もちろんこれに限定するものではない。薄膜熱感知体を半導体で構成すれば、ガス検知体は不要になる。
【0172】
[ガスセンサシステムの説明:図12]
次に、本発明の薄膜型ガスセンサを用いたガスセンサシステムについて説明する。図12は、その概念図である。
図11において、1001はガス検知素子、1002はリファレンス素子、1003は補正回路、1004は判定回路、1005はガス流入方向、1011はガス検知体(触媒)、1100はガスセンサシステムである。
【0173】
ガス検知素子1001は、これまでに説明した実施形態と同一のものである。図12においては、説明しやすいように簡略化している。なお、ガス検知素子1001には、ガス検知体1011を設けており、ガスの到来により発熱しやすくしている。
リファレンス素子1002は、ガス検知素子100と同一の構造体であるが、ガス検知体1011を設けていない。
ガスセンサシステム1100は、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002とを内包する構成となっている。このような構成を2チップ構成とよぶ。ガスセンサシステム1100は、説明に必要のない部分を省略している。
【0174】
ガス検知素子1001は判定回路1004と接続しており、リファレンス素子1002は、補正回路1003を介して判定回路1004に接続している。
【0175】
ガスセンサは、ガスの到来を温度変化という物理量に置き換えることでガスを検知するものであるが、温度は周囲環境によっても変化するため、単一のガス検知素子ではその影響を受けやすい。
例えば、周囲温度が激しく変動するような環境にガスセンサを設置したとき、それに搭載するガス検知素子が単一であったとき、薄膜熱感知体の抵抗値変化が、ガスが到来したことによるものなのか、周囲温度が変化したことによるものなのかを、判別できないのである。
【0176】
2チップ構成のガスセンサシステム1100は、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002とを内包するため、これら2つの素子は常に同一の環境温度に置かれる。例えば、環境温度が変化し、ガス検知素子1001の薄膜熱感知体の抵抗値が変化しても、リファレンス素子1002の薄膜熱感知体の抵抗値も同様に変化する。ガス検知素子1001とリファレンス素子1002との抵抗値は、それぞれ判定回路1004にて比較されるが、それぞれの抵抗値に差異がなければ、ガスが到来していないことを判別できるのである。
【0177】
一方、流入方向1005からガスが流入したとき、ガス検知素子1001は、ガス検知体1011を搭載しているため、薄膜熱感知体の抵抗値が変化する。リファレンス素子1002は、ガス検知体1011を備えていないため、抵抗値が変化しない。つまり、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002との抵抗値に、差異が発生する。この差異を判定回路1004にて検出することにより、ガスが到来したことを判別できるのである。
【0178】
ようするに、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002とで、ガスの到来により発生する発熱具合に違いを生じさせておくことで、ガスの到来を正しく検知できるようにするのである。
したがって、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002とは、少なくとも1つずつあればよく、当然のことながら、ガスセンサシステム1100の都合により、これらの対を複数設けてもよく、ガス検知素子1001の数とリファレンス素子1002の数とをそれぞれ変えてもかまわない。
【0179】
なお、リファレンス素子1002は、補正回路1003を介して判定回路1004と接続している。補正回路1003は、ガス検知素子1001がガス検知体1011を備えていることにより、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002との薄膜熱感知体の
抵抗値に若干の違いが生じてしまう場合などに、それを補正するために設けるものである。例えば、薄膜熱感知体と同一の材料などにより構成される抵抗素子などを用いる。
このようにすれば、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002とで、その抵抗値に違いが生じても、判定回路1004は正しく判定することができる。
【0180】
また、ガスセンサシステム1100によっては、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002との配設状態(例えば、双方の素子の実装場所など)によって、必ずしも環境温度の影響を等しく受けないこともある。このような場合であっても、補正回路1003を設ければ、抵抗値を補正することができ、判定回路1004は正しく判定することができる。
【0181】
さらにまた、ガスセンサシステム1100によっては、ガス検知素子1001とリファレンス素子1002とを離間して配設する場合がある。ガスが到来する経路は同じであるが、装置の構造上の都合などにより、双方を離間して配置する場合がある。または、あるガスの流入経路において、ガスが流入してくる側にガス検知素子1001を設け、ガスが排出される側にリファレンス素子1002を設ける場合などである。そうすると、双方の素子の周囲温度に差異が生じてしまうこともある。このような場合であっても、補正回路1004を設ければ、抵抗値を補正することができ、判定回路1004は正しく判定することができる。
【0182】
なお、図12に示す例では、補正回路1003は、リファレンス素子1002と判定回路1004との間に設けているが、もちろん、これに限定するものではなく、ガス検知素子1001と判定回路1004との間に設けてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明の薄膜型ガスセンサは、薄膜熱感知体が密集していないため、ガスの到来により高温になっても熱の集中がなく、梁部の耐久性を向上させることができる。このため、比較的高温環境で運用されるガスセンサとして好適である。
【符号の説明】
【0184】
40,50,60,70,80,90,100,110 ガス検知素子
41 支持基板
41c 内壁
42,99,119 絶縁膜
42a,99a,119a メンブレン構造体
42h,82h,99h,119h 貫通孔
43a〜43d 梁部
63a〜63d 梁部
73a〜73h 梁部
103a〜103d 梁部
44a〜44d 電極パッド
54a,54b 電極パッド
74a〜74h 電極パッド
84a,84b 電極パッド
104a〜104h 電極パッド
45a〜45f 金属薄膜抵抗体
55a〜55i 金属薄膜抵抗体
75a〜75l 金属薄膜抵抗体
85a〜85e 金属薄膜抵抗体
105a〜105l 金属薄膜抵抗体
46a〜46d 薄膜熱感知体
56a〜56h 薄膜熱感知体
76a〜76h 薄膜熱感知体
86a〜86d 薄膜熱感知体
106a〜106h 薄膜熱感知体
48 ガス感知体
69 層間絶縁膜
B 中央領域
C 中心点
F 張出部
R センサ領域
1001 ガス検知素子
1002 リファレンス素子
1003 補正回路
1004 判定回路
1005 ガス流入方向
1011 ガス感知体
1100 ガスセンサシステム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠形状をなす支持基板の内側をセンサ領域とし、該センサ領域に前記支持基板から延設して保持部材を設け、前記センサ領域の該保持部材上に複数の薄膜熱感知体を備えた薄膜型ガスセンサにおいて、
前記薄膜熱感知体は、前記センサ領域の中心点から離間して配置することを特徴とする薄膜型ガスセンサ。
【請求項2】
前記薄膜熱感知体は、前記中心点に対して点対称に配置することを特徴とする請求項1に記載の薄膜型ガスセンサ。
【請求項3】
複数の前記薄膜熱感知体は、前記中心点からそれぞれ等距離に設けることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜型ガスセンサ。
【請求項4】
複数の前記薄膜熱感知体は、熱容量がそれぞれ同一であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の薄膜型ガスセンサ。
【請求項5】
複数の前記薄膜熱感知体は、金属薄膜抵抗体を介してそれぞれ互いに接続していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の薄膜型ガスセンサ。
【請求項6】
前記保持部材は、前記薄膜熱感知体の搭載部を避けて貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の薄膜型ガスセンサ。
【請求項7】
前記保持部材は、前記薄膜熱感知体の搭載部の幅よりその厚さが薄いことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の薄膜型ガスセンサ。
【請求項8】
前記保持部材は、複数の薄膜を積層してなる積層膜構造をなし、
前記積層膜を構成する第1の薄膜は、メンブレン構造を有し、
前記積層膜を構成する第2の薄膜は、その断面が矩形の梁構造を有し、
前記メンブレン構造は、前記支持基板から前記センサ領域に向かって一様な薄膜であり、前記薄膜熱感知体の搭載部を避けて前記貫通孔を有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の薄膜型ガスセンサ。
【請求項9】
前記保持部材を複数備え、
複数の前記保持部材は、その端部が前記センサ領域の前記中心点と平面的に重ならないようにしてなる片持ち梁構造をなし、
複数の前記保持部材のそれぞれに前記薄膜熱感知体を設けることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の薄膜型ガスセンサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−230385(P2010−230385A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76459(P2009−76459)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】