説明

薄膜架橋ゴムシートおよび複合薄膜架橋ゴムシート並びにこれらの製造方法

【課題】薄膜ゴムシートであっても、接合部の機械的強度を維持して、接合部の段差を解消することができる薄膜架橋ゴムシートおよびこの薄膜架橋ゴムシート同士を接合して得られる複合薄膜架橋ゴムシート、並びにこれらの製造方法を提供する。
【解決手段】薄膜架橋ゴムシート1は、端部1aが塑性変形できる未架橋部分であり、残部1bが放射線架橋された架橋部分であり、端部を架橋接合でき、この薄膜架橋ゴムシートを用いて、その端部の未架橋帯部分同士を重ねて加圧成形後架橋して一体化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄膜架橋ゴムシートおよび複合薄膜架橋ゴムシート並びにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加硫したゴムシートの端部をカット・研磨して接着剤を塗布した後、薄く分出しした未加硫シート(パッチシート)を挟んで加硫ゴムシートの端部同士を接合して熱盤を超える大きさのゴムシートを製造する方法が知られている(特許文献1)。
しかしながら、加硫ゴムシートの端部同士を挟んで接合する方法では、接合部の一部拡大図である図4に示すように、接合部8がもり上がって段差になったり、変形したりする。もり上がらないように成型すると強度が確保できない等の製品品質の課題が生じる。
特に膜厚さが1mm以下の薄膜ゴムシートの場合、工数の多い接着剤を用いて接合する方法では、接合部の段差を解消することが困難で、また機械的強度が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−46758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、薄膜ゴムシートであっても、接合部の機械的強度を維持して、接合部の段差を解消することができる薄膜架橋ゴムシートおよびこの薄膜架橋ゴムシート同士を接合して得られる複合薄膜架橋ゴムシート、並びにこれらの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
薄膜架橋ゴムシートの接合について検討したところ、端部に未架橋部分を残すゴムシートを用いることにより、接合部の段差の発生を抑えて、長さおよび幅方向に接合強度を維持して複数枚接合できる複合薄膜架橋ゴムシートが得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされたものである。
本発明において薄膜架橋ゴムシートとは、ゴムシートの厚さが3.0mm以下、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.4mm以下、0.03mm以上の薄膜ゴムシートをいう。
【0006】
すなわち、本発明は、端部を架橋接合できる薄膜架橋ゴムシートであって、上記端部が塑性変形できる未架橋部分であり、残部が放射線照射により架橋された架橋部分であることを特徴とする。
また、本発明の複合薄膜架橋ゴムシートは、複数枚の上記薄膜架橋ゴムシートの少なくとも端部同士を接合させてなり、その薄膜架橋ゴムシートの端部の未架橋帯部分同士を重ねて加圧成形後放射線照射により架橋して一体化させてなることを特徴とする。
また、本発明の他の複合薄膜架橋ゴムシートは、上記薄膜架橋ゴムシートの端部同士を接合させて、スリーブ状または無端ベルト状にした複合薄膜架橋ゴムシートであって、対向する両端部が未架橋部分である薄膜架橋ゴムシートの端部の未架橋帯部分同士を重ねて加圧成形後放射線照射により架橋して一体化させてなることを特徴とする。
上記複合薄膜架橋ゴムシートは、加圧成形後架橋して一体化させた接合部のシート厚さが上記残部の厚さと略同一であることを特徴とする。
【0007】
本発明の薄膜架橋ゴムシートの製造方法は、未架橋の薄膜ゴムシートを製造する工程と、上記薄膜ゴムシートの端部を放射線遮蔽層で覆う工程と、上記放射線遮蔽層で覆われない残部を放射線照射により架橋する工程とを備えることを特徴とする。
また、本発明の複合薄膜架橋ゴムシートの製造方法は、上記薄膜架橋ゴムシートの端部の未架橋帯部分同士を重ねて加圧成形する工程と、
加圧成形後に放射線照射により架橋する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の薄膜架橋ゴムシートを複数枚、上記方法により、長さおよび幅方向に接合することにより、接合部は平坦で接合強度に優れる。また、その製造方法は、放射線照射により架橋するのみであるので、大幅な工数削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】薄膜架橋ゴムシートの製造工程を示す図である。
【図2】複合薄膜架橋ゴムシートの製造工程を示す図である
【図3】複合薄膜架橋ゴムシートの他の形状を示す図である。
【図4】従来例の接合部の一部拡大図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に使用できるゴムは、放射線により架橋できるゴムであれば使用できる。例えば、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどが例示される。これらの中で、粘度が低く、押圧加工時に厚みが均一に加工しやすいシリコーンゴムが好ましい。ゴムは単独または混合ゴムとして使用できる。
【0011】
なお、上記ゴムには、有機過酸化物等のラジカル架橋開始剤を含むことが可能であり、開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、モノクロルベンゾイルパーオキサイド、2,4ジクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等が例示できる。
【0012】
本発明で使用できるゴムには、例えば、電子線架橋における接着力の改善に寄与する共架橋剤、およびゴム加工特性やその物性を改善する老化防止剤、補強剤または充填剤、加工助剤または滑剤、着色剤等のゴム配合剤を配合することができる。
共架橋剤としては多価アルコールのアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル、多価カルボン酸のアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリアリレート等が挙げられる。
また、老化防止剤としては酸化防止剤や紫外線吸収剤が、補強剤または充填剤としてはカーボンブラック、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、硫酸アルミナ、リトポン、スチレン樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂、再生ゴムなどが、加工助剤または滑剤としてはステアリン酸、ステアリン酸金属石鹸、ワックス類がそれぞれ挙げられる。
【0013】
本発明の薄膜架橋ゴムシートは、上記ゴム材料をシート状に加工して、そのゴムシートの端部を塑性変形できる未架橋部分として、残部を放射線照射により架橋された架橋部分とすることで得られる。
薄膜架橋ゴムシートの製造方法について、図1を参照して説明する。図1(a)〜(d)は、薄膜架橋ゴムシートの製造工程を示す図である。なお、図1、図2において、ゴムシートの大きさおよび厚さについては、接合部の説明のため、部分的に変更拡大してある。また、斜線部分は架橋している部分を表す。
ゴム材料、例えばシリコーンゴム生地をシート厚さ1.0mm以下のシート状に形成し、未架橋ゴムシート1’を製造する。(図1(a))。
ゴムシートの製造は、シート厚さを1.0mm以下とする方法であれば、採用できる。例えばカレンダーロールによる方法、塗工による方法等が挙げられる。ゴムシートの厚さが0.4mmをこえる場合、好ましいゴムシート製造方法はカレンダーロールによる方法である。
また、未架橋ゴムシートを製造する場合には、取り扱い性を向上させるために、ポリエチレンテレフタレート製などのフィルムを貼り付けて基材フィルムを設けることが好ましい。また、製品を巻取る場合には、巻き出し時に取り扱い易くするために、ゴムシートの非基材フィルム面に、ポリエチレンやポリプロピレンなどがラミネートされた離型性を有する工程紙やポリエチレンテレフタレート製などのフィルムを貼り合せることができる。
【0014】
得られたゴムシート1’の端部に放射線遮蔽層2を形成する(図1(b))。
放射線遮蔽層2は、放射線を透過し難い部材で構成される。例えば、層厚さの厚いゴムシート、樹脂板、金属板等が挙げられる。本発明においては、薄膜ゴムシートと密着できる層厚さの厚いゴムシートが好ましい。放射線遮蔽層の厚さは取扱性に優れていることから1mmをこえる厚さが好ましい。
また、放射線遮蔽層2の層厚さを薄膜ゴムシートの端部から中心部に向かって徐々に薄くすることにより、薄膜架橋ゴムシートの端部の架橋密度に傾斜をつけることができる。
【0015】
端部に放射線遮蔽層2を形成した後、放射線3の照射を行なう(図1(c))。
放射線架橋は、電子線、γ線、X線等が挙げられる。本発明においては放射線遮蔽層の効果を制御しやすいという観点で電子線照射が好ましい。
電子線照射条件としては、加速電圧が50〜3000KV、好ましくは100〜800KV、照射線量が10kGy〜400kGy、好ましくは50〜200kGyである。照射条件として加速電圧が50KV未満では厚さ方向への電子線到達深度が低くなり未架橋部分が残ってしまい、照射線量が10kGy未満では架橋が十分でなく、アンダー架橋になる。また、加速電圧が3000KVをこえると設備費用が非常に高価となると共に放射線遮蔽層の効果が希薄となる。照射線量が800kGyをこえると過架橋になると共に電子線照射による発熱が大きくなるため好ましくない。
【0016】
電子線照射はシートの片面からの照射であってもよく、また、電子線照射条件を変更することにより、両面からの照射であってもよい。放射線遮蔽層の遮蔽効果や架橋する製品の厚さ、材質などを考慮し、電子線照射条件および電子線照射方向は適宜設定する。
また、電子線照射による発熱の影響が出る場合には、必要とされる照射条件に対し、分割して電子線照射を行ない、電子線照射による発熱の影響を緩和することが好ましい。
また、未架橋部分1aが図1に示すように片面からのみ照射された場合、薄膜架橋ゴムシート1の電子線照射されていない面同士を接合する。一方、両面から照射された場合、薄膜架橋ゴムシート1の放射線遮蔽層の密着していた面同士を接合する。これにより、接着力とともに機械的強度に優れた複合薄膜架橋ゴムシートが得られる。
【0017】
放射線遮蔽層2を取り外すことで塑性変形できる未架橋部分1aを有し、残部1bが架橋されている薄膜架橋ゴムシート1が得られる(図1(d))。
図1においては、薄膜架橋ゴムシート1の1つの端部を未架橋部分1aとする例について説明したが、未架橋部分1aは架橋ゴムシート1’の1aに対向する他の端部に設けることができる。
【0018】
また、電子線照射の場合、放射線遮蔽層を使用せず、電子線照射装置の照射範囲から外すことで、塑性変形できる未架橋部分を作製することもできる。
【0019】
本発明の複合薄膜架橋ゴムシートは、上記薄膜架橋ゴムシート1の未架橋部分1a同士を重ねて加圧してシート厚さを一定にする成形後、放射線照射により架橋して一体化させて得られる。
本発明の複合薄膜架橋ゴムシートの製造について図2を参照して説明する。図2(a)〜(e)は、複合薄膜架橋ゴムシートの製造工程を示す図である。
端部に未架橋部分1aを含み、残部1bが架橋されている薄膜架橋ゴムシート1を2枚準備する(図2(a))。
【0020】
次に、薄膜架橋ゴムシート1の端部の未架橋帯1a同士を重ね合わせる(図2(b))。
その後、塑性変形できる未架橋帯1a同士を重ね合わせ部分をプレスしてシートの厚さを残部1b部分と略同一とする(図2(c))。未架橋帯1a部分の塑性変形により、シートの厚さが残部1b部分と略同一となる重ね合わせ部分4の帯幅長さは、未架橋帯1a部分の帯幅長さよりも長くなる場合がある。
また、未架橋帯1a同士を重ね合わせ方法としては、未架橋帯1aの態様により、以下の方法が挙げられる。以下、未架橋帯1aが両面未架橋の場合をIシートと、未架橋帯1aが片面未架橋の場合をIIシートとする。
(1)Iシート同士を重ね合わせる。
(2)IシートとIIシートの未架橋部分の片面とを重ね合わせる。
(3)IIシートの未架橋部分の片面同士を重ね合わせる。
【0021】
重ね合わされプレスされた未架橋帯1a部分を電子線照射する(図2(d))。電子線照射条件は、薄膜架橋ゴムシート1製造時の条件と同じであることが好ましい。上記重ね合わせの態様が(1)または(3)の場合、電子線照射は重ね合わせ部分の両面側から行なうのが好ましい。また、(2)の場合、Iシート側から行なうのが好ましい。
【0022】
電子線照射により、薄膜架橋ゴムシート1の端部同士が接合された複合薄膜架橋ゴムシート5が得られる。このシート5は、接合部が一体架橋されており、接合強度に優れた薄膜架橋ゴムシートとなる。また、接合部のシート厚さが上記残部の厚さと略同一となり、シート5として全体に略同一の厚みとなる。
【0023】
上記接合方法は、2枚の薄膜架橋ゴムシート1を結合しても、また、1枚の薄膜架橋ゴムシートの端部同士を接合させて、スリーブ状または無端ベルト状にすることもできる。図3(a)はスリーブの斜視図であり、図3(b)は無端ベルトの斜視図である。
薄膜架橋ゴムシート1の対辺の両端部を重ね合わせてプレス後、電子線照射することにより、重ね合わされた面が一体に接合されたスリーブ状の複合薄膜架橋ゴムシート6を製造できる(図3(a))。
また、薄膜架橋ゴムシート1を複数用いて、それぞれの対辺の端部を重ね合わせてプレス後、電子線照射することにより、重ね合わされた面が一体に接合された無端ベルト状の複合薄膜架橋ゴムシート7を製造できる(図3(b))。
【0024】
本発明の複合薄膜架橋ゴムシートは、3mm以下のシート厚さに適用できるので、真空プレス用シート、ラミネータ用シート、保護シート、エアーバック、ベルト等の用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例によって本発明を詳述する。なお、以下の記載で「部」は重量部を示す。実施例1
信越化学工業(株)製シリコーンゴムコンパウンド(商品名:KE951U)をロールで分出ししてポリエチレンテレフタレート製のマットフィルムに貼り付けて、さらにポリエチレンテレフタレート製のフィルムで挟んで、厚さ0.3mm×幅150mm×長さ150mmの大きさに成形して裁断する。
得られたシリコーンゴムフィルムの端部幅20mmを覆うように、厚さ3mmのEPDMゴムシートからなる放射線遮蔽層を端部両面に被せてマスクする。
端部がマスクされたシリコーンゴムフィルム全面に対して、加速電圧200V、照射線量100kGyで、ゴムフィルム両面に電子線照射を行なった後、放射線遮蔽層を取り外すことにより、端部が塑性変形できる未架橋部分を有する薄膜架橋ゴムシートを製造した。
【0026】
実施例2
信越化学工業(株)製シリコーンゴムコンパウンド(商品名:KE951U)をロールで分出ししてポリエチレンテレフタレート製のマットフィルムに貼り付けて、さらにポリエチレンテレフタレート製のフィルムにて挟んで、厚さ0.3mm×幅150mm×長さ150mmの大きさに成形して裁断する。
得られたシリコーンゴムフィルムの両方の端部幅20mmをそれぞれ覆うように、厚さ3mmのEPDMゴムシートからなる放射線遮蔽層を端部両面に被せてマスクする。
対向する両端部がマスクされたシリコーンゴムフィルム全面に対して、加速電圧200V、照射線量100kGyで、ゴムフィルム両面に電子線照射を行なった後、放射線遮蔽層を取り外すことにより、両端部が塑性変形できる未架橋部分を有する薄膜架橋ゴムシートを製造した。
【0027】
実施例3
実施例1で得られた薄膜架橋ゴムシートを2枚を準備する。
この2枚の薄膜架橋ゴムシートの未架橋部分を重ね合わせて、ニップロールにて加圧成形する。
その後、加圧成形部分に対して、加速電圧200V、照射線量100kGyで、ゴムフィルム両面に電子線照射を行ない、複合薄膜架橋ゴムシートを製造した。
得られた複合薄膜架橋ゴムシートの接合部の外観、硬さ、引張り強さ、伸びを測定した。外観は目視により、硬さはJISK6253−1997(タイプAデュロメーター)、引張り強さおよび伸びはJISK6251−2004により測定した。結果を表1に示す。なお、表1において、実施例3コントロールは、実施例1で得られた薄膜架橋ゴムシートの架橋部分の特性であり、実施例3従来接合品は、実施例1で準備した薄膜架橋ゴムシート端部同士を重ね合わせて、熱盤に挟んでプレスに入れ、加硫温度164℃、加硫時間30分、加硫圧力として面圧1MPaの条件でプレス加硫することで得られた複合加硫ゴムシートの接合部の試験結果である。
なお、薄膜架橋ゴムシートの未架橋部分を重ね合わせて、シートの厚さを架橋部分と略同一となる条件でプレスした場合もニップロールにて加圧成形した場合と同一の複合加硫ゴムシートが得られた。
【0028】
実施例4
実施例2で得られた薄膜架橋ゴムシートを準備する。
この薄膜架橋ゴムシートの両端部の未架橋部分を重ね合わせて、シートの厚さを架橋部分と略同一となる条件でプレスする。
その後、プレスにより加圧成形した部分に対して、加速電圧200V、照射線量100kGyで、ゴムフィルム両面に電子線照射を行ない、スリーブ状の複合薄膜架橋ゴムシートを製造した。
接合部を実施例3と同一の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
本願発明の複合薄膜架橋ゴムシートは、いずれも接合部外観が平坦であり、硬さ、引張り強さ、伸びで表したゴム特性が従来接合品よりも優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の薄膜架橋ゴムシートは接合方法が簡易であり、また、長さおよび幅方向に接合することができるので、任意の大きさの複合薄膜架橋ゴムシートを得ることができる。
そのため、今後、真空プレス用シート、ラミネータ用シート、保護シート、エアーバック、ベルト等の分野で利用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 薄膜架橋ゴムシート
2 放射線遮蔽層
3 放射線
4 重ね合わせ部分
5 複合薄膜架橋ゴムシート
6 スリーブ状の複合薄膜架橋ゴムシート
7 無端ベルト状の複合薄膜架橋ゴムシート
8 接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を架橋接合できる薄膜架橋ゴムシートであって、前記端部が塑性変形できる未架橋部分であり、残部が放射線照射により架橋された架橋部分であることを特徴とする薄膜架橋ゴムシート。
【請求項2】
複数枚の薄膜架橋ゴムシートの少なくとも端部同士を接合させてなる複合薄膜架橋ゴムシートであって、
前記薄膜架橋ゴムシートが請求項1記載の薄膜架橋ゴムシートであり、該薄膜架橋ゴムシートの端部の未架橋部分同士を重ねて加圧成形後放射線照射により架橋して一体化させてなることを特徴とする複合薄膜架橋ゴムシート。
【請求項3】
薄膜架橋ゴムシートの端部同士を接合させて、スリーブ状または無端ベルト状にした複合薄膜架橋ゴムシートであって、
前記薄膜架橋ゴムシートの両端部が未架橋部分である請求項1記載の薄膜架橋ゴムシートであり、該薄膜架橋ゴムシートの端部の未架橋帯部分同士を重ねて加圧成形後放射線照射により架橋して一体化させてなることを特徴とする複合薄膜架橋ゴムシート。
【請求項4】
前記加圧成形後架橋して一体化させた接合部のシート厚さが前記残部の厚さと略同一であることを特徴とする請求項2または請求項3記載の複合薄膜架橋ゴムシート。
【請求項5】
請求項1記載の薄膜架橋ゴムシートの製造方法であって、
未架橋の薄膜ゴムシートを製造する工程と、
前記薄膜ゴムシートの端部を放射線遮蔽層で覆う工程と、
前記放射線遮蔽層で覆われない残部を放射線照射により架橋する工程とを備えることを特徴とする薄膜架橋ゴムシートの製造方法。
【請求項6】
請求項2または請求項3記載の複合薄膜架橋ゴムシートの製造方法であって、
請求項5記載の製造方法で製造された薄膜架橋ゴムシートの端部の未架橋帯部分同士を重ねて加圧成形する工程と、
加圧成形後に放射線照射により架橋する工程とを備えることを特徴とする複合薄膜架橋ゴムシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−242012(P2010−242012A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94491(P2009−94491)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(591005006)クレハエラストマー株式会社 (37)
【Fターム(参考)】